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逢蒙を超絶改修。クラスもアヴェンジャーから別クラスにしました。FGOのQPがほぼ無くなってしまった、稼がねば。
あと、うーむ、最近スレの活動度合いが凪よりになってて寂しい……、と思ってるとちゃんとレスが投下されるのでそういう時はやっぱり安心する
>>3
強い。所感になるけど、マスターすら置いてきぼりにするぐらい大暴れして、戦争舞台を灰燼に帰す大暴れをしそうな印象がありますね、狂化EXだし
>>6
お久しぶりです~。
>なにやら新しいwikiを使うとかなんとか。
ちょっと前にFC2wikiで通信障害?(人によって閲覧できたり出来なかったり)が起こりまして。一応今は解消してるっぽいですが。
それで避難場所作ってもいいのでは?→じゃあ作ろう!→いい機会だし、避難所としてではなくて心機一転リニューアルの新設にしませんか。ゲルトさんも復帰できるし
に一応OKが出たんで新設って感じです。
ただwikiのページ移植とかはあんまり進んでないんだなコレが……。みんな忙しいってのはあるかもですが。黒鹿さんいらっしゃいますか……!
あとこれはぜったい決して修正してほしい的な意味ではないと前置きした上で
レージュさんに描いていただいたルナを並べてみると、だんだん胸が大きくなってる気がするのです(小声)いやこれでもお胸は盛らないよう意識したんですが申し訳ない……
魂が盛るペコなのか……>>18
えへへェ
そう暖かく受け取ってくださり、ありがとうございます……!
>>24
( ̄ー ̄)ニヤリギリッギリで間に合いましたぞ2025ハッピーハロウィン!!
SS投下じゃーい!!目を開けば青色が広がっていた。
空だ。
空が見える場所で、私は寝っころがっていた。
「……ん、しょっと」
ぱっと飛び起きて周囲を確認。
青い空に白い雲。ほどよく日の差しこむ程度に開けた緑の森。なるほどなるほど、思わず駆け出したくなるような場所だ。……光の加減や風の通り方が不自然でなければ、だけど。
……うん、やっぱり魔力の感じ方もどこか馴染みがある。空間拡張
あとはこの状況が誰の仕業かがわかればやりやすいんだけど、自分でやらかしたって可能性もあるからなぁ……。なにかをトチって前後の記憶が飛ぶくらいはあってもおかしくない。もっとシンプルにただの夢ってこともあるかな。
自分の状況確認もしとかなくちゃいけない。着慣れた冒険用のポンチョか、あるいは時計塔の制服かと見下ろしてみると───
「……うひぇっ!?」
見えてる、見えちゃっている、すっとんきょうな声も出ちゃうくらい肌色が見えている。>>27
胸元なんかもあみあみしてるだけで見えてるところは見えてしまってる。背中や足もあみあみになってるけど、こんなのぜったいに隠しきれてない。そのまま見えるよりもよろしくない気がする。
お腹あたりはちゃんと隠してくれてる部分も、どこか見慣れない布地でつるつるしてる。なんだなんだと身体のあちこちをペタペタさわってみると頭の上でふわふわと揺れる柔らかいものが二つあった。つまんで目の前まで持ってくると、もっふもふのうさぎ耳のように見える。
これは、もしや、バニースーツってやつではなかろうか。ちょっと特殊なウェイトレスさんとかちょっと特殊なディーラーさんとかが着てるちょっとえっちなやつ。
「な、なんで……?」
なんで私がこんなの着てるの? 着ないよ? いや着てるけど自分から着ないよこんなの。
だって見てごらんなさい。これじゃ足も手も前も後ろも見えちゃいそうだよ。これ見られたらダメなやつだよ。見ないでよ。誰も見てないけど。
ざっくり肩回りから両腕がひどくすーすーする格好をしている。手には薄地の手袋があるけれど何とも頼りない。
自覚してしまうとすーすー面積の広さにちぢこまりたくなる。網目になってる部分だって好き放題に風が出入りするからすーすーする。
うわぁ、わー……すっごいや……わぁー……やだぁ…………。
というかアレだ、こういうバニー服って見た感じよりもけっこう硬い。骨組みっぽいような……ワイヤーかなんか入ってる? 肩回りはとっても頼りないけど、うっかりぺろんとめくれたりしなさそうなのはありがたい。いやありがたくない。上着がほしい。着替えたい。
はずかしい。
はずかしい。
はずかしいぃぃ……。
しばらくそのまま身悶えるなどしてみる。そんな場合じゃないと分かってるけど、そうせずにはいられない。着ればわかる、バニースーツってのは着てみると縮こまらずにはいられないんだっ。
そうしているうちに近くの草むらがガサゴソと揺れた。>>28
「うひょあっ!?」
びっくりして背筋をピンと伸びる勢いで起立する。直後、自分の格好を思い出してまた腕であちこち隠しながら縮こまった。なにやってんだろ私。
ひとまず音の発生源を確認する。
おそるおそる首を回してみれば……そこにはぴょんこぴょんこと跳ねるボール型のうさぎっぽいナニカがいた。一応、顔もついてる。私を見てる。
「な、なにこれ……?」
「ン~~……」
「……?」
「あいるび~~~……ばーーーっく!!!」
「しゃべったぁ!」
正体不明のうさぎ型ボールは喋るらしい。いよいよ夢の可能性を真面目に検討すべきかもしれない。ただぴょんぴょん跳ねる姿は愛らしい。持って帰ってみたい気もする。家に帰れるかどうかって状況だけど。
「ん!」
「ん?」
「フリー・ハグ!」>>29
ボール型ウサギ的イキモノは私の足元まで来てからそんなことを言いだした。ひとまず従ってみる。
「だっこすればいいの?」
「いえす」
会話はできるっぽいのでそのままだっこしてみた。持ち上げてみると案外軽い。もちもちであったかい。
「おぉ……このまま寝てみたい……」
「いえいべいべー、古今東西にウサギ娘といえば、わたしだからね!」
謎の自負がある。そして性別的には女の子らしい。ちょっと丁重に扱おうと思った。
……うぅん、いつもならこれがどういう術式で生まれた使い魔なのかとか気にするとこだけど、今はそんな気にはちっともなれない。やっぱり夢かな?
テーマ:うさぎの夢ならまぁ、ここでもうひと眠りすれば終わるのかも。寝てしまおうか。
「足がないから、ウサギジャンプはできないけど……でき、ないけど……」
そんなことを考えていたらウサギ娘さんが落ちこんでしまった。今や私にもついてるおっきなウサギ耳も垂れてしまった。かわいそうだった。>>30
「じゃ、じゃあほら、ウサギ娘さんは何ができるの?」
「……んぅ、道案内?」
「道案内?」
「いえす。今回のわたしはそのために呼ばれた、すぺしゃるげすと」
「すぺしゃるげすと……」
やはり謎の自負がある。ゲストってことは、この子は黒幕でも主役でもないって宣言だろうか。
それはそれで、何のために呼ばれたのか気になるけど……。
「ウサギといえば、わたしだからね!」
「そうなんだぁ」
うん、これ深く考えてもダメなやつだ。
◇ ◇ ◇
道案内のウサギ娘さんに従って森を歩いていく。
指示内容が「あっちにまっすぐ」という大ざっぱなもので途方に暮れそうになった。どうせ初めての場所で行くアテなんかないとはいえ、びみょ~に不安になってしまう。>>31
それでも指示自体は合っていたらしく、しばらく歩いていくと次のウサギさんが現れた。
木漏れ日をわけて近づいてくるシルエットは人型。私と近い背格好で、でもちゃんとウサギらしいウサ耳ヘアバンドをつけていた。たぶん道案内さんっぽいボール型黒ウサギさんを抱えている。
首から下は……燕尾服? っていうのかな。バニーはバニーでも、バニーボーイなんて呼ばれる格好をしている。髪の色は金。瞳の色は紫。何度も目にしたその顔は……
「なんだメレクじゃん!」
「そちらこそ……とは言うまでもないですね。こんな状況にルナが関わっていないわけもいない」
この物言い、ぜったいメレク本人だ。
見た感じだと私と同じような状況で目が覚めて、これまた同じような道案内ウサギさんに連れられてここまできた……とかかな?
とかなんとか考えていると私とメレクがそれぞれ抱えていた白と黒のウサギがぽーーんと飛び出した。
「みっしょん、おーるくりあ! わたしたちはここまでね」
「あとは若いおふたりにおまかせ? そんにゃ風に、どうぞ?」
白と黒どっちも私より年下っぽいんだけどなぁ……。
「いくぜぃ、まいふれんど」
「にゃ」>>32
肝心なところ何一つ説明しないまま、二匹……二羽? のウサギさんたちは茂みの奥に消えていった。なんだったんだろアレ……。
さて。
そうなるとこの場に残されてしまったのは私とメレクの二人だけってことになるわけで。お互い気にせずにはいられないことがある。
「ところで、ルナ?」
「……なに」
「よくお似合いですよ。とても愛らしい」
「なんで言うのさぁ!」
完璧なニッコリ笑顔でストレートに突いてきた。なんてやつだ。ゆるせん。こっちがひたすらはずかしのを愉しんでるに違いない。
「言及しないのも不自然でしょう?」
「そうだとしてもだよ! 好きでこんなカッコしてると思う!?」
「まぁ……ハロウィンならそういうこともあるのでは?」
「え。今日ってハロウィンだっけ?」
「…………」
フー……と冷たいため息。また日付を忘れるまで何か没頭してたのかと温度を下げた瞳が刺してくる。>>33
ところでいつも通りのうっすら冷たい視線もバニバニしてる格好のせいでなんだか面白くなっちゃってる。シュールだ。超レアなメレクだ。魔術回路に1シーンだけ残しておこう。
それを知ってか知らずか、すぐに瞳の温度を戻したメレクはじぃっと私を見てくる。
「……」
「ん、うぅ……?」
……な、なんだ。この格好だと見られるだけでも顔が熱くなる。まさかメレクに限って滅多なことはないだろうけど……。
「そうは見えないかも知れませんが……本心を伝えているつもりです。今のルナは、かわいいですよ」
「あ……あり、がと?」
なんか、なんかおかしいぞ。バニー姿以上にメレクの様子がおかしい。こんなむやみに私の顔を熱くさせようとしないはずだメレクは。
まさか……!
「にせもの……? にせメレク……?」
「褒められた二の句が偽者呼ばわりとは、なかなか挑戦的ですね?」
「あ、いつものメレクっぽい」
「何ですかさっきから。……ルナはいつも以上にかわいいですね」
「変!!!」>>34
やっぱりおかしい。いやそもそもこんなバニバニした格好で平然としていることからおかしい。
誰かが化けてる……? 洗脳されてるってこともあるかもしれない。だってメレクはそんな私の見た目とかはなんも言わな……でも、水着のときは似合ってるって言ってくれたっけ。
……んぅ。
いやいや。ちがうちがう。
いまはそんなの思い出してる場合じゃなくてさ。
「どうしました? ここに留まっても何も変わりませんよ?」
「いや水、じゃなくてっ……なに!? なんで手ひっぱるの?!」
「時間は有限ですよルナ。さぁ行きましょう」
「そうだけど! そうじゃなくて!」
……そのまま騒ぎ続けて数分、私がいくらか大人しくなってやっとメレクは手を離してくれた。
◇ ◇ ◇
「先に現状を説明しておきますが」
「ん?」
そうして手を離した矢先に、すっと冷たくなったテンションで話し始めた。>>35
「貴女は現在、死霊術と変身術を掛け合わせた新しい魔術を試して軽度の昏睡状態になっています」
「待って待って待って?」
かと思えば想像していたよりやばい情報が出てきた。
「待ちません。よってここは貴女の内面世界と言っていいでしょう」
「私の心象風景ってウサギまみれでバニーガールなの???」
「そのように外部から誘導・調整しています。貴女がバニーガールなのも、僕がバニーボーイなのもその一環です」
「……なんでそんなことしてんの?」
「でなければショッキングな光景が延々続いていたからですね」
「……バケモノまみれになってたり?」
「死霊と怨嗟も込みですね。ハロウィンの夜には相応しくなっていたことでしょう」
「わーぉ……」
あぁ、じゃあ……これって私が盛大にやらかしたからこうなってるのか……。ぶっ倒れた私の横でヨモちゃんが泣いたりしてるかもしれない。あとで謝ろう。
そういえば「ハロウィンだから」でなにか思いついたような記憶があったりなかったりするかもしれない。キョンシーとかできた気がするんだけどなぁ……。>>36
「まとめると今の貴女は救助対象ということです。理解しましたか?」
「ハイ。ゴメンナサイ。助けてください」
「よろしい」
「……で、どうすれば助かるの、これ?」
「大雑把な表現になってしまいますが悪夢を見ているようなものです。あくまでポジティブに、夢から醒めればいい」
「……つまり、私が喜べばいいの?」
「その通りです。先ほどもいくつか試したのですが、成果は出ませんでしたね」
「先ほどってさ、それもしかしてさ、さっき変だったのってさ、」
「なので次善策といきましょう」
「こら。おいこら」
「そう心配せずとも本心ですよ」
「えっ……おぅ、……うん」
……なんか熱くなりがちだ、今日。一応は、心の中だからか。
「話を戻します。とにかく僕からのアクションでは上手くいきません。なので貴女から動いてもらいます」
「なにすればいいの?」
「好きなことをしてください。今だけは僕をどう扱っても構いませんよ」
「なんかすごいこといってる」>>37
「治療行為と理解していますから。さぁ、どうぞ?」
どうぞと言われても。
そんな風に腕を広げられても困る。
別にメレク相手にやりたいことがあるかっていうとそんな別に……変なコトして気まずくなるのもヤだし……私とメレクの間で、なんか自然なこと………………あ、あったかも。
「何してもいいんだよね?」
「……良識の範囲内ならば」
「じゃあ、さ。……噛んでもいい?」
「……なるほど」
くるりと回って。そして首を傾けて。私がそうしたい場所がよく見えるようにしてくれて。
それで。
それで……。
……ここから先は、ウサギらしくなくなってしまったので、とても言えやしない。
目が醒めるようなことは、しちゃったとだけ。前スレ965のルナとノルちゃんの話の続きが書けたので投下投下~
こけおどしのつもりだった。
十二に連なってノルに付き従う『幻槍』はその一本一本が強力な神秘を有している。
まるでネコかウサギかというように身軽に逃げ回る少女を、おどかしてやるのに充分な威力があると考えた。
たとえ十二分の一だけだとしても不足などあろうはずがない。都合よく空へ飛び上がった少女に一本でも見せつけてやれば、ただそれだけで見上げるべき玉座の主を思い知るだろう、と。
それがどうだ。
空中にいる少女は頭と足の上下を逆しまにした態勢でこちらを見ている。
高く高く離れていく間もその姿は見えている。身体をかたむけて左手を前に、右手を肩越しに後ろへ。まるで遠投の予備動作。身体に隠れて見えない右手の中に、隠しきれない燐光が浮かぶ。
根拠もなく悟った。
「まさかとは思いましたが。あなたも"槍"をお持ちですのね」
なんのつもりか。偶然か。意趣返しか。そこばかりが読み取れず。
そして、それ以上に不可思議な視線を感じる。見下ろされているはずなのに、見上げられているかのような感覚。その視線に含まれているのは相手を上位の者と認める敬意。そして上にいるからこそ撃ち落としてやろうという数十倍にも及ぶ、不敬。
再び悟る。これは玉座をかけた挑戦状なのだと。
「上ォ等ですわ」
不躾な視線に快活そのものの笑みを返す。>>47
もう一度しかと相手を見定めれば、太陽を背に影を濃くする少女の姿。
自ら両足をうかせて身一つで空に向かうなど正気とは思えない。ノル自身からすれば想像するだけでも恐ろしい。先の『幻槍』を足場にした空中階段ごっこもそれなりに勇気を奮ったのだ。
常、挑戦することを是とする自分が、数少ない足のすくむ領域に挑む姿を見せつけられた。
のみならず……挑戦を受ける側に回されようとは思いもよらなかった。法政科に下手くそな干渉をしてみせた不埒者程度に捉えていたが、なかなかどうして前のめりに生きてみせる。自分とはまた違うタイプで、目が離せない。
……この邂逅を終えた後に、お話してみたいな、なんて思ったりして。
だからといって負けるつもりも驕るつもりもない。
今からではこの身に秘められた"とっておき"を出す余裕はない。だが足りる。魔力の満ち足りた十二の『幻槍』を思うままに振るえれば挑戦の礼には足りてなお余る。
「さぁ、正面衝突と参りましょう! いざ尋常にパワー勝負ですわーーーっ!!!」
◇ ◇ ◇
「いいや、まるで足りんな」
ヘンな感じだ。
私の意思とは無関係なところで私が喋っている。>>48
自分の身体が自分の意思とは関係ないところで動いてるってだけでもおかしいのに、そのことへの違和感も拒否感も湧いてこない。
頭を下にしたままボール投げの直前みたいなポーズで止まっている。視界のうしろに持っていかれた右手の中がやたらと熱くて、視線の先ではしっかりとノルの姿を捉えたまま。
そこまでの動作が不思議なことにしっくりくるんだから絶対おかしい。身体に染みついた動きをなぞるような感覚で、初めてのはずの予備動作をごく自然に取らされている。
極めつけに"私"がつぶやく。
「あァ、足りん、足りん。俺様を起こすにゃ力も、贄も、暇さえ足りやしない。仮宿としちゃあ劣悪だ」
また私じゃない誰かが喋る。
その"声"の源がどこにあるのか、なんとなくわかる。さっきからうるさく騒ぎ立ててる心臓だ。緊張も恐怖もないくせにドクドクと勢いよく血を巡らせる鼓動には覚えがある。フィンランドでメレクとケンカした時と同じだ。わけわかんないまま心臓ばっかり動いて、早回しに全身が新しくなっていく感じがして……、
……ああ、そうだ、あの時もこんな声が聞こえていた。
私を焚きつけるようにしてなんだかんだと好き勝手なことを言っていた。
これ、どうなるんだろう? このまま身体を盗られて私の意識は消えるとか? だとしたら、そうなる前に心臓をつぶすくらいはしておきたいけど。
「物騒だなオイ。心配しなくても長くは保たん、ほんの一時だけだ」
なんだ、聞こえてるのか。もっと早く言ってよ。
それに自己紹介くらいはしてほしかったな、勝手に人の身体使ってるんだからさ。>>49
「後でな。ま、あの"お嬢様"の相手をしたら返してやるよ」
言って、集中された視線の先でノルの姿を見定める。
向こうはこちらの異変に気付いているのかいないのか、何事かを吠えて、そして迎撃の構えを取った。
私の中の誰かもそれを受けて構える。高められた魔力が、光が、右手を焼きながらひとつのカタチに集まっていく。
それを見ていることしかできない。 ───ノルが構えた黄金の光を受けることもできない?
終わるまで黙って見守るしかない。 ───自分の中の未知ですら手放すことしかできない?
そんなバカな話が、
「……あ、っっってたまるかァ!!!」
動く。
声も出る。
私の身体が私の意識に戻ってきた。これが時間切れによるものか、気合でなんとかなるものかはわからない。
そんなことに構ってられない。
今はもう、前に、
「はるか空からであろうとも───仰ぎ見なさい、高貴なるわたくしを! わたくしに付き従う幻槍隊列(ファランクス)を!!」>>50
魔力のうねりを感じる。不可視なれど幻視させる存在感が狙いを定めた。
私もまた、自分で自分を止められない。止まる気もない。
未だ名前も知らない"誰か"に動かされた身体は、その動作を最終段階まで進めていた。あとは最後の一押しを、ほんの一瞬きの意志だけでいい。
心臓が熱くなるに任せて。
其に纏わる真名の浮かぶまま。
被せるようにした"誰か"の声が響く。
「……応えろ! 『黎、世明けの太陽石』!」
灼かれながら握りしめた右手の光を、一心に前へ、前へ、前へと───放る。
槍さながらにまっすぐ伸びた光線がノルへと向かった。
ノルもまた、怯まず。不可視の力を前へと向ける。
時計塔・考古学科、ロクスロートの直上で展開された結界内にて、黄金の光と赤熱の光がぶつかりあった。
轟、と風を伴う衝撃があたりを揺らす。並ならぬ魔力が行き交う魔術師たちの視線を上向かせ、そして二色に混じりあった光の渦が惜しげもなくまき散らされた。
相殺し、花火のように消えた光は2人の魔術師どちらにも届かなかった。
その光景を私は最高の特等席ですべて焼きつけた。
時間にすればほんの一瞬で、楽しい時間が終わるのはあっという間だと痛感する。
そういえば、あの声はもう聞こえてこない。頭の中で呼びかけても返ってこない。また何かの拍子にぽんと出てくるのだろうか、出てきそうだなぁ。>>51
なんとなく力が抜けていくのが心地いい。ふっと楽になってみれば、急速に下から上へと移り変わる視界に気づいた。
……そういえば、私、空とんでたっけ。
「イヤァアアーーッ!!? 墜落してますわーーーっっっ!!!」
こっちを見てノルがすっごい叫んでる。誰のせいだ。私のせいか。じゃあしょうがないか。
さっきの勢いはなんだったんだってくらいパニックになっているのが、なんだかおかしい。
あの不可視の力をこっちに向けようとしているのが見える。あの慌てようならトドメってより助けようとしてくれているんだろうけど、これじゃあどう見ても間に合わない。飛ぶ前に準備した着地用の結界術もあの光のせいでパーになってる。今から集中し直すのは、やっぱり間に合わない。
せめて『強化』でなるべくケガしないように……って考えていたところで、ガボッと引っかかるようにして落下が止まった。
「……んっ? えっ? なになに?」
「なんですのコレ!? 見えないのが絡まってますわー!?」
ノルが助けてくれたわけではないらしく、私と同じく何かに引っかけられていた。
使われているのは網目状の結界と連鎖する空気の凝固だろうか。私は空中で、ノルは学術棟の屋根で。それぞれ位置を固定されている。『救助』というよりも『捕獲』に近いやり方を私は知っている。
私とノルを捕まえた術者は下にいた。
2メートルをはるか超えていく体躯。奥行きと横幅のすごい筋肉でパツパツになったスーツ。そしてつるりとした頭頂部が特徴的な、私たちの先生。>>52
「そこの庶民共ォ! 学び舎を足蹴にしてまで何をやっておるかぁ!!」
上空の風音にも負けない怒声を響かせて、我らがモートン・ドラモンド先生のご登場だrr。
「……まぁ,目立つよねぇ、アレ……」
さっきの光のぶつかり合いが気づかれないわけがない。私もノルもお互いぎゃーすか騒ぎながらばちばちやり合えばそりゃすぐ見つかる。
ドラモンド先生が掲げたぶっとい腕と、その先にあるでっかい握り拳がゆっくり下ろされる。それに伴って私とノルの身体がゆっくりと地上に向かっていく。
浮いた青筋が見える距離まで近づいて、ドラモンド先生が口を開いた。
「庶民共ォ……ここまでの騒ぎを起こした覚悟はできてるな? 私の貴族的指導をみっちり叩き込んでやろう」
「しょっ、庶民ン!? こともあろうに、『忘失令嬢(レディ・ロスト)』たるわたくしを庶民呼ばわりですの!?」
「先生、先生、その子なんか法政科の魔術師っぽいからさ、私といっしょにやさしくしてあげてほしいなーとか思ったり……」
「施設破壊未遂に『神秘の秘匿』という原則の無視。こんな馬鹿騒ぎを起こす者には学科関係なく同罪だ。庶民呼ばわりですら温情と知れ」
すっぱりと切り捨てながら私とノルを結界ごと両肩に担ぐ。>>53
「アードゥルには反省文と追加課題と結界の修繕補助を命じる。法政科には正式に抗議文を送ろう。双方、粛々と沙汰に従うように」
「へぇーい……」
「嘘でしょう!? 嘘ですわよね!?」
「……なんかごめんね? 巻き込んじゃって」
「本当ですわよ! あなたっ、とんでもねぇ女ですわね!?」
「ごめん! ごめんとしか言えないんだけど、つい、楽しくなっちゃって!」
「そこは、えぇ、昂るものがあったことは認めますが!」
「ホントっ? ノルも楽しかった? 私はすっごい楽しかった!」
「……悪くはありませんでしたわ。今回限りなのが、惜しいくらい」
「~~っなら、もっかいやろうよ! ノルの魔術がどんなのか気になるもん! 一回と言わずに何回でも───」
「せめて反省の素振りくらいは見せられんのか貴様ら! このまま法政科に引き渡しても構わんのだぞ!」
「「……ごめんなさい」」
2人して怒られて、しゅんと黙る。
のっしのっしと揺れるドラモンド先生の巨躯の上で、どちらともなく含み笑いが漏れた。>>57
ルナがやらかしてノルちゃんが凸る黄金図式ができてしまったゆえ…つい…
もったいぶることでもないので言ってしまうと俺様野郎は南米系列ですわ!
ちらっと調べたら真名即バレするくらいには情報モロ出しでしてよ!
>>58
ノルちゃんのキャラシ見たときから地と空で対比イケる…!と思ってたポイントなので書いててとっても楽しかったです
最初はもっとマイルドにする予定だったけどノルちゃんに引っ張られてこんなことに…
(そういえば伏字のままだった)
ルナ視点で出すのって何気に初…?
ワンチャン怒られるかもと思いましたが庶民呼ばわりに反応しちゃうノルちゃんが見たかったンだ…!!
>>59
ワーォうさぎさんが!!まんまるうさぎさんが!!うさぎ娘仕様とネコチェン仕様になってる!!
ナイス…!ナイスアップデート…!(拍手)>>62
ニコッ!>>66
おそらく区別するのに明確な基準はない……というか、基準を設けるとそれはそれで別の火種になりそうなので英霊か幻霊かの線引きはフィーリングでいいのではと思います
体感だと、固有の名前がある概念的存在とか、童話などに出てくるキャラクター単体とかだと幻霊っぽく見られやすい印象リガヤプロのこそこそ話。
アメリカ留学中、出身地を言った&タララーワの写真を見せた際、友人達のみならず講師からもアルビノ疑惑をかけられたことがある。積んでたゲームをとりあえずエンディングまでクリアしたので、いったん積読を崩すか、別の積みゲーに移るか悩み中……。ルナティックも進めたいね
>>56
ルナちゃんに友達が増えるのはいいことだ……。競争相手って感じだとあんまり少ないような印象がある(読み逃しあるかも)なので、また交流の範囲が増えたのは今後が楽しみ
内部の存在もちょびっとずつ情報出てきて考察がしやすくなってきた感
>>72
>キメラちっくなのでいっそごちゃ混ぜ感を推していくと一周回った統一感が出るのではないでしょうか
なるほど。ただまぁ調べたらゾロアスター教にアパオシャって馬&旱魃な悪神がいたので、疑似鯖として人間を依り代にするんじゃなくて幻霊を器にして現界ってのもアリかなぁ、とか。
ノルちゃんSS、書いてみたくはあるが、題材がいまいち思い浮かばない……。アリウムさん的にこの人との絡み見たい!って人、うちの子にいます?(ヴィクトル以外で)
あと前スレで伊草エピローグの追加描写あるので、伊草参加者で見てない人がいれば読んでほしいな、とポツリ。問題なければコッチにも貼っちゃうか?>>76
(そういえばバニヤンそんなプラスアルファあったなぁ…)
キャプテン・ノアはここからさらにノア要素も外付けされるから豪華だなぁ、となる
幻霊合体はそういう贅沢仕様なサーヴァントも見てみたかったり>>76
>境遇的にはヴィクトルに拾われた繋がりでジジェくん、時計塔関係者だと目的消失した人間繋がりで刹那さん
なるほどなるほど……。とりあえずその2名での案を考えつつ、今進行してるノルちゃんヴィクトルの話がある程度の決着を迎えたら本格的に着手、という感じで。脱稿の確約はできませんが……
>>75
>英霊が依代になる前例は術兄貴がいるし、そこからダウングレードすると思えば普通にアリやも…?
人間を依り代に神霊を、ってのよりは自由度高くていいんじゃないかなぁ、と
幻霊は強度が足りない、神霊は格がありすぎ、的な感じですから、幻霊をベースに神霊パッケージを貼り付けると結構便利にキャラメイクできそうだなぁ、と
ヘシアン・ロボや呼延灼の例から考えるに、結構見た目も好みのデザインできそうだし
……現状の構成要素だと肌無し首無しのグロ人馬がごつい鎧きて馬車を牽いてる、みたいな「神秘の隠匿絶対無理だろ!」なビジュアルとスキル構成になりそうだ……>>80
>なんでもアリになっちゃいそうですね幻霊+神霊
まぁしかし。FGOの時点で結構色々やってますからね。幻霊周りについては
英霊+幻霊、幻霊+幻霊はやってますしね。あとはちょっとズレるかもだけど神霊?+英霊もそれっぽい前例はあるっちゃあるので
>説得力出す
一応今回のライダー構成要素は概ね馬系。死や旱魃の概念と近しい、あたりの共通項があるので、100%無理筋ではない、と思いたい……。
しかし自分が作るライダー霊器、基本的にメンタルヤバめな広範囲迷惑野郎ばっかだな……。
>>88
現時点ですと、どういう手段を持つ組織でどんな目的があるのかが不明なので、イマイチ入り込みにくい印象はありますね。組織構想のようですから「オッシャー聖杯戦争するどーっ!」って感じでもないですし……。お紅茶を飲んだ一口目の感想が「嗚呼…お茶…」しか出てこない自分が本当になさけない…ない…
それはそれとしてお茶魔術をやるとしても、メインは別に用意して補助に徹したほうが雰囲気出そうだなとも思いました
お茶が補助に徹するメインってそれはもうお菓子しかないのでは…??
>>89
聖杯戦争は、やらないタイプですね…
前にチラッと中納言さんと話してた「幻霊研究会」ってところの話なんですが、主に違法召喚・複数召喚・霊基改竄あたりで悪どいことしようぜっていうワルの組織
いわゆるマッドサイエンティスト気質な人が割合多そうなので自由にやらせたほうが……とも思っていたんですが、やっぱり組織としての目標が一個はあった方がいいかもしれない…?紅茶はアールグレイ派(あの人を選ぶ匂いが刺さる)。
ロレンシオのキャラシを作りつつ、バルベルデ家の各々の趣味をまとめとく
イノセンシオ:女装(ギャルファッション)
イスマエル:オカルト
プリシラ:製菓、エイジプレイ(お世話する専)
リガヤプロ:ブロック玩具の収集
ビオランテ:日本の特撮とアニメと漫画、食べること
ミラグロス:冒険
バイディワ:絵画>>90
>組織としての目標が一個はあった方がいい
まぁそうですね。聖杯戦争だと「好きなサーヴァンとマスター組み合わせて暴れる!」って明快なコンセプトがありますが、組織系だと「キャラは作ったが……どうする!?」となりがちな印象が、個人的にありますし
このスレだとたまにオリジナル組織が設立されましたけども、そういう”目的地”が曖昧だったので結局長続きせず……みたいになってる感覚はあったり。あとは単純に設定面の複雑さ、とか?(流れがちな理由の一つとして)
WASP組はありがたいことに割とちょくちょくキャラに言及されたりして貰えてますが、初期にキャラが集まった理由としては「型月改造人間作って聖杯戦争しよう!」という目的があった、というのは大きいのかなぁ、と(結局聖杯戦争自体は立ち消えになっちゃいましたが、増えたキャラでワイワイやろう!)みたいなコンセプトは残った訳ですし……。
なのでマッドサイエンティスト集団、って以外の方向性に関してそれなりの明示はした方がいいのかも、とか考えます。成果物で根源行きたいのか、世界征服するのか、それとも研究自体が目的で作ったヤツはリリースするから超迷惑集団なのか、とか?
まぁそれで今後がどうなるか、が丸っと解決する訳ではないでしょうが、ある程度の土台があるとやっぱ色々載せやすいよねって寒くなって全体的な活動量が落ちている…
久しぶりにキャラを投下します~【名前】柳生九仞/ Yagyu Kyujin
【異名・表記ゆれ】キュージン・ヤギュウ
【性別】男性
【方針・属性】秩序・悪
【魔術回路・質/量】C/C(外付けの回路によりランクが上昇)
【魔術回路・編成】変質
【魔術属性】風・水
【魔術系統】柳生新陰流
【起源】武
【代数】6代
【所属】宇治陵・柳生忍群
【魔術/魔術礼装/技能など】
〇宇治入り
神殿『宇治の宝蔵』にて生きる“現存する神”の一体、宇治殿との契約。
極東の法術系統で確認されている八つの神體ではなく、現存する神を擁立している宇治陵では彷徨海の秘匿神理と似て非なる保存方法が行われている。『宇治の宝蔵』は神域の陰陽師、安倍晴明の手による異界ともされる。海神・大綿津見神の住まう宮殿である『綿津見宮』に通じるとされる門が固定化されており、これを開く事ができたならば、常世──すなわち神の世界の力が得られる事もあるだろう。宇治殿も正確には現世に存在する訳ではなく、この固定化された『門』の奥から顔を覗くのに収まっているだけ。
三月三日に行われる『宇治入り』の日のみ、綿津見宮すなわち常世(星の内海)へと繋がることで第五真説要素(真エーテル)を引き出し、これによって物理法則(秩序)から空想を保護し、実践してきたという。その上で、本来ならば摩耗していく神秘を留めていられるのは、純粋に神殿自体が、ひとつひとつ国を買えてしまうほどの聖遺物を幾多も納めることで神代に等しい環境を維持しているからでもある。>>95
〇水月
柳生新陰流に於ける極意のひとつ。
剣者が到達する最高の位。究極の境地。
立ち向かふ その目をすぐに 緩むまじ これぞまことの 水月の影。
柳生宗矩が著した『兵法家伝書』の下巻「活人剣」にはこう記されている。「此尺のうちへ踏入り、ぬすみこみ、敵に近づくを、月の水に影をさすにたとへて、水月と云う也。心に水月の場を、立ちあはぬ以前におもひまふけて立あふべし。尺の事は口伝すべし。」と。
ここで言うところの『水月』とは立ち合いの場における座取り、身を置く場所のこと。
月の陰が水に映っている時、それに斬りかかっても決して月は斬れない。
柳生宗在の門弟、佐野勝舊が著した新陰流の形の目録の註釈書『柳生流新秘抄』「九箇必勝」には次のように記されている。「水月と云ふは立相三尺のことなり、互にあたらざる場なり、これを中りかけて行うことを越すと云ふ也、越すところ様々あり、懸待有を以てこす、敵のあそびをこす、遊びと云ふは働きの抜くるところなり、移りうつす真の水月などと云ひ、向上の習ひあり」という。
〇神視
元々、“退魔”は脳で身体を書き換えて自己暗示による変体を可能とする。
脳の“共通認識覚(チャンネル)”の切り替えは異能さえ生み出す。
限界(いのち)を覗くことができる透視の一種。
対象の存在規模を視覚化して見ることで、線や点を切ることでエネルギーそのものを直接削ることができる。また他者ではなく自身を視ることで、内外の要因を無視して常に最大値の行動が可能。すべての知性体が持つ高次元への可能性。すなわち魂の限界。霊核(たましい)・霊基(にくたい)こそ人間と変わらないが、神霊に等しくなる。
剣術に対する神性の付与────柳生新陰流を司る神/カミと化す。
『水月』の術理を対人魔剣に拡張する。
────間合い自在。
無限遠点の概念を宿した縮地の魔剣。すなわち『無限』の術理なり。>>96
【解説】
大和国(奈良県)の国侍、柳生一族。
菅原道真の第四世、紀伊守重宣の末裔。あるいは播磨国赤松氏と同累の村上源氏とも。その孫である大膳亮・永家が藤原頼通の家司である関係により長暦元年、大和国四カ郷を春日社に寄進して神領とした際、四カ郷のうちの一つ小柳生の庄の奉行に任じられ地名を取り姓としたのを由来とする。
この柳生庄と呼ばれる隠れ里は伊賀などの忍びの里と隣接した土地柄で、柳生一族は伊賀や甲賀などの土豪、俗に忍者と認識される家柄の家と血縁関係にもあった。
例えば、柳生宗矩の母・春桃御前(於鍋)は伊賀の土豪・奥原家の出身である。
剣豪・上泉秀綱を祖とする剣術の流儀「新陰流」は秀綱より柳生石舟斎に技が授けられてのちは代々柳生家により相伝され続けたことから、柳生新陰流の俗称で呼ばれることが多い。門人には柳生家のみならず荒木又右衛門など名立たる剣客も名を連ねる。
柳生庄の大和柳生、宗家である尾張柳生。そして柳生宗矩を祖とし、徳川将軍家の兵法指南役として隆盛した江戸柳生。光差す「表」の柳生家当主ではなく、薄暗き「裏」の柳生家総帥によって統べられる陰の柳生たる忍者軍団。彼らは直接的な戦闘のみならず、暗殺、斥候、諜報など多彩な技能を有している。
柳生忍群の一部は、いまだに藤原氏の家司として『宇治の宝蔵』の管理に従事している。
現実の平等院鳳凰堂と同じく、末法初年に当たると考えられた永承七年(1052年)に建立された『宇治の宝蔵』。宇治川という鏡面結界(鏡界)を隔てて複写された、魔術的に浄土の概念を体現している。そこに納められたのは貴重な宝物や聖遺物だけではなく、ただ在るだけで多くの呪いを放つ酒吞童子(伊吹童子とも)の首、大嶽丸の首、玉藻の前の遺骸といった呪体も含まれていた。稀代の陰陽師・安倍晴明が集めた超抜の職能集団、後の源氏の技術者となる者達の一部など、選りすぐられた藤原氏の家司が代々これを守護する家来衆(候人)となった。宇治殿すなわち宇治川の龍神と化した藤原頼通を奉じる法術系統『宇治陵(うじのみささぎ)』を組織した彼らは藤原氏摂関家の重宝が納められた宝蔵の管理という役目を背景に、歴史の中で揺るぎない地位を獲得してきた。安倍晴明の名声を背景に一大勢力を築いていた源氏が全国に離散した後、柳生氏(後の大和柳生)の一部が支配的となる。>>97
宇治柳生の麒麟児。
柳生新陰流に法術系統である退魔を組み合わせた、柳生忍群の『数字持ち(ナンバーズ)』のひとり。宇治陵の主神である宇治殿へ捧げるものとして、神秘狩りを執り行う。
その対象となるのは────
〇人物像
言動は軽薄そのもので、関西弁(京言葉)を常用する。
魔力のマの字も知らず、のうのうと生きる只人。
児戯に等しい西暦以後の魔術を修める魔術師。
『宇治陵(うじのみささぎ)』の“殿上(でんじょう)”に劣る“地下(じげ)”の魔術師。
初対面・目上の相手であろうが、誰に対しても「〇〇君」「〇〇ちゃん」付けするなど、馴れ馴れしく舐め腐った態度を憚らない。要するに他者を軽んじているのだ。魔術世界にありがちな貴族主義・選民思想に凝り固まっており、力で劣る者を徹底的に見下している。
上昇志向と実力主義に根差した差別意識を隠そうともしない一方で、宇治陵が奉じる『宇治殿』への信仰心は本物。宇治陵の“退魔”──『神秘狩り』にも積極的なのは宇治殿へ神秘を捧げれば捧げるほど、現世で発揮できる力が増すという実益あってこそ。最強への飽きることのない羨望が故である。逆に言えば、力を与えてくれる存在であれば従うに足ると考えているのだ(もっとも下剋上の意志は露骨なのだが)。>>98
誕生日:3月3日
年齢:21
身長・体重:180cm・78kg
出身:日本
イメージカラー:深緑色
好きな物:独立不羈の強者
嫌いな物:無知の不知、強さを理解しない弱者
外見:つり目で切れ長の顔立ちを持つ、若い銀髪の男性。
願い:最強
自分のサーヴァントとの果し合い(聖杯戦争参加時)
決戦の日:柳生秘剣帖
【台詞例】
「────魔に寄るんなら、斬るで」
「神秘狩り。分かるやろ、君は今から狩られる側や」
「御留流やで? 只人に剣を抜くわけあらへん。抜いたら斬らなあかんやろ」
「自己暗示による変体、神視の秘奥がこれや。劣化した魂・体を捨てて新しい魂・体に新生する『転生(リポップ)』の儀式。転生の際に心臓(新生体)に魔力を圧縮して、『先代』であったんは魔術刻印になって、『今代』に生体情報が刻まれる。宇治殿のバックアップがなければ一生使えへん大嶽丸の法術や。面白いやろ? 永遠に斬り合うことができる訳やし」
「勝つんは僕や!」>>110
へいお待ち!このページに見返したいキャラの名前、とかこんな感じのキャラいた気がするので確認したい……、とかあれば可能な限りは対応します。手が回らない場合は黒鹿さんとかお願いします……。
https://seesaawiki.jp/fatetv/d/%b1%dc%cd%f7%cd%d1数分間ずっと「今編集中だから後にしろ(要約)」と表示され続けた私に悲しき現在…
それと関係ないよーなあるよーなナニカで裏・冒険旅行記的なのを閃いてしまってどうしましょ…>>116
おぉ、ありがとうございます。ルカ・メルトから遷延の魔眼をデリートしつつここのえさんから借り受けた収斂の魔眼をどうにかして組み込んだキャラ改修を自キャラでやりた〜い
>>121
>自分の癖に正直に、ね……。
現状のランサー、あんまり癖にドンピシャなサーヴァントいないんですよねぇ。強いて言えば上杉景虎とかメリュジーヌですが、イマイチ踏ん切れない
そんでちょっと現メンバー見てるっぽいですし、聖杯大会まとめwikiのキャラ登録に関する諸々を決めたい。ガチガチの規則は難しいでしょうが、「作ったので登録!」は避けてある程度の制限を付ける、というのはアリだと思うのですが、皆様的にはどうでしょうか?
”鯖鱒ともに10登録までは無条件OK!でもそれ以上登録するならSSもちゃんと書いてこう”みたいな感じにはしたい(キャラだけじゃなくてキャラによるストーリーも見たいし)のですが……。>>120
>>121
>>122
>>123
>>124
>>125
なんやかんやでみんな割とバラバラなのが楽しかったりする私
そんな私は最古参エースのアルテミスか推しすぎるツタンくんかで悩みまくってます…キマラナイ…
>>126
これは断言する勢いで言いますが絶対に意味ないですよそれ
SS書いてない人にキャラ数の制限を課したところで「じゃあSS書こう」とはなりません。「じゃあ別のところで作ろう」ってなるだけです
そもそもキャラを動かすこととキャラを作ることじゃ消費カロリーも使う脳みそも違いすぎるので同列に扱えるわけがありません
みんなにSS書いてほしいと思うならまず自分からガンガン書いていくしかないんです。根拠あやふやなルールを提示して書いてもらおうだなんて以ての外ですよ
それでなくても趣味の場なんですからルールで誘導するより、楽しそうな企画なり舞台なり作って引きつけるほうが効果あるに決まってます>>129
プルフラス「ワハハハ!中国が幻の菓子、何するものぞ!(お玉ガンガン)」
ちゃんとつくれるかなあ>>132
お大事に……。自分はイマントコ深刻状態になった感じはないので……健康気をつけよ
>>130
>聖杯戦争リレーは一回仕組み丸ごと見直さないといけない
>既存のやり方はもう厳しい
現状の問題点としては企画発足+メンバーや舞台設定の決定は割とすんなり行ってますんで、結局は
・(>>127でも言及あるけど)SSを書くには精神&肉体的なリソースが膨大
・そもそもメンバーのアクティブ状態がまばらになるんでスムーズに進行しないがち
辺りですかねー。
すっげぇ本末転倒感もありますが、リレーSSの目的って”複数人で聖杯戦争のシナリオ作って盛り上がろう”な訳だし、企画参加メンバーの都合がつく日を決めて、そん時にワイワイ相談しつつシナリオを想像、ってすれば一応完走はする、のかなぁ
それだと結局SS執筆に繋がるのではないだろうけど、最近は個人SSもある訳だし……>>137
【魔術】
・植物魔術
ビオランテとほぼ同じ使い方をしているが、農業が本業だけあって品種改良に使うことが多い。
・土魔術
土壌の状態維持や改善に使う。
悪い使い方をすれば土中に膨大なアルカロイドを発生させたりもできる。
【外見・容姿の詳細など】
忍者と極.道の竹本初代組長のアングロサク.ソン版
【人物像】
イメージカラー:よもぎ色
特技:農業、農産物の品種改良と加工、ビジ.ネス(経済侵略)、拷問、殺人、謀略、害虫・害獣の殺処分
好きなもの:農業、家族(夫婦共有の愛.妾含む)、従業員達一同、銃器収集、ブラック企業の敵対的買収
嫌いなもの:身内に無用の手出しをするカ.スども、野菜泥棒、敵対的買収被害
天敵:次女>>138
【一人称】私 【二人称】君、貴殿、お前 【三人称】あれ、彼、彼女
台詞例
「嗚呼〜孫二人を一度に抱けるとか僥倖だろぉ…。ビオランテが結婚した後が楽しみじゃ〜」
「プリシラ…。お前だってパリに留学したじゃないか。ビオランテの留学先も大きい都市じゃないとアンフェアだろ?」
「リガヤプロ!殴るならパパだけにしなさい…!!」
「カンデラリア〜。今夜はどんなプレイでタララーワをヒーヒー言わせようか?」
「タララーワ。その集合写真に写ってる奴らを全員呪え!」
「野菜泥棒を一匹殺処分(ひとりころした)だけでも殺人罪は成立するからなぁ」
「リヒターがな、時計塔を出て行ったって、イスマエルから国際電話来てな…」>>139
【来歴】
スペインのアンダルシア州が資産家一族、バルベルデ家の現当主(J.C.バルベルデの理事長と兼任)を務める老紳士で、アンダルシア屈指の大農場『オハ・エスメラルダ』を経営する。
バルベルデ家は公爵位を持つため、正真正銘の百姓貴族。
プリシラ、リガヤプロ、ビオランテの実父にして、ミラグロスとバイディワの祖父。
やれる範囲内で失業率低下に尽力し、前科者でも気にせず雇用するため地元セビリアでは名士・篤志家として有名。
グループ内での支持も厚く、今や理事会は当人を除き「オハ・エスメラルダを受け継いだ人が次期当主兼理事長だろ」になっている。
子供の頃から農業に精通・邁進しており、大学進学も農学部一本に絞るつもりだったがバチジェラート(※日本の高等学校にあたる)の恩師に「大規模な農場を経営するなら先に経済学と経営学を勉強なさい。あなたは英語ができてご実家も大富豪ですから、農学はその後でブリテンかアメリカに留学して最先端のを学べばよいのです」と強く勧められ、マドリード中央大学から改名間もないマドリード・コンプルテンセ大学の経営学部へ進学した。
後に妻となるカンデラリア(獣医学部)との馴れ初めもこの頃。
卒業後、アメリカへと留学しニューヨーク州にある名門大学で農学を学んだ。
帰国後に継いだ実家所有の大農場を組織化・企業化する形でオハ・エスメラルダを起業。
翌年にようやくカンデラリアと結婚。
経済学・経営学の知識(+アメリカ留学中に読んだ経営学の論文の内容)をフル活用して一族の各々がやっていた仕事も組織化・企業化してまとめ上げ、新興の企業グループ『J.C.バルベルデ』を結成したのもこの頃。
夫婦共有の愛妾となるタララーワと出会ったのは後に長女プリシラが生まれてからである。
家庭は円満で輝かしい業績も積んだ一方、その人生はJ.C.バルベルデを結成してから裏で敵対的買収者や野菜泥棒の死体を積み上げる血塗られたものにもなっていった。
家族ぐるみの付き合いであった友人・イグニス夫妻の仇討ちも即断即決で実行している。>>140
【性格】
バルベルデ家らしく温和なお人好しながら外敵には苛烈という傾向が非常に強く、人情と残忍性を兼ね備える。
家族と会社と従業員に迷惑をかけたくないから自分の犯行だとバレないよう工作するだけで、外敵に対する拷問と殺人は躊躇も後悔もせず、時には爽やかに微笑みながらそういう事をする極めて残虐な側面を持つ。
さながらスパニッシュマフィアならぬスパニッシュヤクザ。
家庭ではマイホームパパにして好々爺だが中々にお盛んでもあり、タララーワが腰と股関節の筋肉痛に悩む原因の片割れだったりもする。
【役どころ・コンセプトなど】
リアル百姓貴族兼ヨーロピアン極道。
以上。
台詞例はこれでもヤバ過ぎるのを削りました。>>144
あーいや。ん~、伝え方が下手でしたねコレ……。
自分がイメージしてるのはここのえさんの>>143案みたいな感じです
全員の都合が合う日を決めて(まぁ1日かな?ぐらいの想定)、あとは当日に
GM「じゃあ開始します。サーヴァント召喚しましたね?よしスタート」→剣陣営「じゃあ自分挑発するんで誰かのります?」→弓、狂「『いきます』」術「自分は偵察で……」→剣+弓+狂「戦闘過程と結果はこうで~、こんな感じ?」部外者陣営「まぁそんな風ですかねぇ」→槍「ウチは初手喧嘩したんで仲直りが終わりました~。喧嘩内容は○○」
GM「はい各陣営の行動終わりですね~。やり残しは?無い?了解」
GM「では2日目に移行です。どんな事したいですか?」→各陣営「『○○したい』」→GM「じゃあ騎さんと剣さんがかち合うんでそこに術陣営割り込めるんでは?」→剣+騎+術「大丈夫!」→GM「槍さんと暗さん、弓さんはどーします?」→「ウチは~」
SS執筆ぐらい時間はかけないけど、ひとことで終わるぐらい短くもない、ぐらいのチャット形式というか……。リレー企画を始める前に「ウチはこういう動きになりそうです」とか構想言うじゃないですか、アレをもうちょっと拡充して、みたいなイメージですねside-ヨモ・ヘルメ
巨木が自分に向かって倒れてくるならこんな光景だろうか。
夕日が差し込む放課後の教室にて。ヨモ・ヘルメは目の前に見えるものがどうにも受け入れられず、他人事のようにそんなことを考えた。
「頼みがある」
「へっ? ……え!?」
おお、倒れた巨木がしゃべったではないか。
いやこれは巨木ではない。巨木と見間違えるほどの大男の名はモートン・ドラモンド。時計塔・考古学科にある名無しの教室を取り仕切る講師である。
2メートルをゆうゆう超える巨漢。そして貴族の責務とプライドを重視する。物理的にも精神的にも庶民を見下ろす巨漢魔術師。それがモートン・ドラモンドだ。
そしてヨモは同教室に通う生徒であり、つまり両者の関係性は明確な上下が存在していた。
その上下関係が今まさにひっくり返っている。
モートン・ドラモンドが、ヨモ・ヘルメに向かって、頭を下げていたのだ。
「先生っ、頭、頭を上げてください!」
「……しかしこれは講師として、」
「お話は聞きますからぁ!」>>149
思わずいつも以上の声量で悲痛な声をあげる。
だが、注目する者はいない。ほかの生徒も、講師の姿も見えない。ヨモは居残りの補習という名目でここに呼び出されていた。それが蓋を開けてみれば自分に向かって頭を下げる巨漢講師の姿だ、驚きもする。
ようやく頭を上げたことでモートンの禿頭が首が痛くなるような位置へ戻っていく。そして出てきたのはまたも予想外の言葉。
「君は、霊墓アルビオンを知っているかね」
「……時計塔の地下にあるっていう、迷宮ですか?」
「そうだ。かの迷宮のいつでも使える出入口はすべて、秘骸解剖局によって管理されている。正式な手続きを踏まねば出入りすることも叶わない」
「……はあ」
ちゃんと知っている話と、どこかで聞いたことがあるような話が半々。
迷宮の出入口の話がいったいどういう"頼み事"に繋がってくるのか。とりあえず最後まで聞くだけは聞こうと続きに耳を傾ける。
「だが、例外もある」
「例外?」
「いつでも使える出入口は管理されている四つのみ。しかし、管理されておらず一時的にのみ使える出入口というものも存在する」
「そ、それって危ないんじゃ」
「もちろん危険だ。さらに言えば出入口は現れる時期も規模も不規則であることが厄介だ。これは時計塔が霊墓アルビオンの直上に構えられているために起きる天災のようなものだ」>>150
たとえば地震のような。
あるいは雷のような。
避ける、逃げるといったことは叶わず、備えて祈ることしかできない自然の災い。
「迷宮から時計塔へ向かって浮き上がるように現れることからその出入口は『泡』と呼ばれている」
「『泡』……」
「正式な記録はないが現代魔術科ではこの『泡』を通った不埒者の噂話もある。……まぁ、出処はテレータのやつだ。こちらはあまり気に留めずとも良い」
「はい……あの、その話をどうして私に?」
「本題はここからだ。その『泡』が多数かつ集中的に現れるという予言がなされた。この考古学科の近辺にだ」
「へ? ……え!?」
「こちらの予言の出処はロード・メルアステア。我らが君主の名をもって、考古学科全体に水面下でのお触れが出ている。『泡』の同時多発表出現象───仮称『嵐』が訪れるとな」
想像を超えて話が大きくなってきて。
霊墓。ロード。そして『嵐』なんて話まで出てきた。うっすらめまいを覚えるが倒れるわけにはいかない。
「そ、それ、それって、私が聞いちゃダメなんじゃ、怒られるんじゃ」
「もちろん、そうだとも。君のような木っ端の生徒にロード直々の知らせを漏らすなど正気の沙汰ではない。このことがバレてしまえばモートン・ドラモンドの名が傷つくだろう」
「だったら、どうして」
「そのリスクを呑んででも君に頼みたいことがあるのだよ。ヨモ・ヘルメ」>>151
「む、無理です。迷宮とか、ロード様が出てくるような場に、私ができることなんて」
「安心しろ、そちらは我々講師陣の仕事だ。……それよりも君は、ルナ・アードゥルと親しいはずだな?」
「……え? ルナちゃん、ですか?」
「そうだ」
「ええっとそれは……はい、仲良くさせてもらってると、思います」
「ならばルナ・アードゥルの行動方針も理解しているな?」
「?? はい」
「想像してみてほしい。迷宮の出入口が多数開かれる『嵐』の最中に、やつを放り込めばどうなるか」
どうなるかと言われても。
魔術大好きな少女の姿を思い浮かべながら考える。
まず間違いなく喜ぶだろう。霊墓アルビオンに、そこを根とする神秘や幻想種の数々に目を輝かせる。そしてすぐに見ているだけでは満足しなくなるだろう、そうなればぽっかり口を開ける迷宮の出入口を無視できるはずもなく…………。
「……ぁ」
「気づいたか。そして私も同じ見解だ」
「ルナちゃんが霊墓アルビオンに……!?」
「行きかねん、という話だ。秘骸解剖局に"見学"という名目で出した申請書が突っぱねられた記録も確認している」
それはルナが霊墓の存在を前々から認知しており、かつ興味を示していたという記録。機会さえあれば今すぐにでも足元の地下迷宮へ潜るという証左である。>>152
「予言された日にちの前後は考古学科とそして法政科の人員が回される予定だ」
「それにルナちゃんが気づいてしまうと……」
「考古学科と法政科の双方と事を構えたのちに霊墓アルビオンへ不法侵入、あたりが予想できるな。あの猪突猛進庶民はそれ以上のことを引き起こすだろうが」
「…………」
「そも、かの迷宮は現代に残った神秘の中でもとびっきりだ。単身で潜れば命はあるまい」
「そ、そんなのっ!」
「ああ認められん。そのような事態は是が非でも阻止する。そのために、君が必要なのだ」
ようやくヨモは自分が呼ばれた理由を理解し始めていた。
そして、自分がやるべきことも。
「本来ならば我々講師が生徒の首に縄をかけてでも止めるべきなのだろう。しかしアードゥルに異常がある、と知られるだけでも危険だ」
「……だから、私、ですか」
「肯定する。そして、君たちの友情を利用しなくてはならない私の無力を謝罪する。───このとおりだ」
再び、見上げるほどの巨漢が頭を下げる。
対するヨモは、もう、頭を上げてくれとは言わなかった。>>154
◇ ◇ ◇
けれど、切った大見得に反して事は簡単ではない。ヨモは寮の自室のベッドでごろごろしながら妙案を探っていた。
ルナ・アードゥルという少女を引き留める。これは大変な難題だ。
なにせ一瞬目を離す間にも消えてしまうような少女だ。その行動の早さと好奇心の強さは五歳児と遜色ない。
そして行動範囲は五歳児とは比較にならないのだから厄介だ。気づけば単身で国外にいた、という前例も一度や二度ではないと言えばその厄介さが少しでも伝わるだろうか。
ならば『嵐』の日には最初から国外にいてもらえばいいのでは?
その画期的な閃きを携えて、ルナに次の冒険を聞いたところ返ってきた答えはまぁ間が悪いものだった。
『クラッフ先輩からの宿題があるからしばらくは時計塔にいる』……と。
なんと間が悪い。こんな偶然が起きてしまうから世界ではまだ魔術が信じられているのかもしれない。
そしてこれで問題はふりだし。
なにかと理由をつけてルナを引き留める、あるいは時計塔そのものから引き離したいが上手い言い訳は思いつかない。
あるいは『何も聞かずについてきて』と言えばルナは聞いてくれるかもしれない。何事もなくその日をやり過ごせるかもしれない。
それでも疑われたら? もし万が一にも『嵐』の存在をルナに知られたら?
……想像する。想像してしまう。ロンドンから離れる汽車の中、耐えきれずに事情を説明する自分の姿。一から十までを聞き終えて、そうして天秤の上に『自分』か『魔術』かを乗せるルナの姿。そして乗せたどちらを取るか、なんて考えたくもない。>>155
「うぅ……」
後ろ向きな考えだ。都合の悪い考えだ。現実的ではなく悲観的な考えだ。そんなことはわかってる。
わかっていてもどうしようもないのがヨモ・ヘルメという人間だ。あるいは真府四方というタグの付けられた何千何万何億という細胞群だ。どうにかできるなら、とっくにどうかしてしまっている。
良くない。良くないことを考えている。考えているなら考えなければいいものを自覚しながら思考している。思考しているフリをして自分がなにかやってるフリをしてなにもしてないなにもできない自分を自分を自分を言い訳したくて言いたくなくて言えるわけもなくてそれでもだからどうしてまたくりかえしてやめろやめろやめてやめろやめろやめろやめるながんばれできるぞできないできるできるできないできないできるできる───ほんとうに?
「……ッ!」
跳ねるようにして、がたがたと耳ざわりな音と一緒に床を蹴った。机の上に常備した目的の物に手を伸ばす。
半ば反射で安定剤を服用する。安定を促すのは肉体と精神の両方。そうでなければ『真府四方』は内から外からどこからともなく瓦解する。
そんな最悪の未来も今しがた落ち着いた。フゥフゥと乱れた呼吸を整え、暴れたりぬとばかりに脈動する心臓を祈るように押さえつける。
薬を置いて、けれどまたベッドに戻る気にはなれなくて椅子に座った。力なく頬を冷たい机に乗せるようにして脱力する。
ここでまた思考に集中するとネガティブが堂々巡りすることをヨモは知っていた。力の抜けた身体もすぐには起こせず、せめてもの抵抗に頭を空っぽにして細胞たちが落ちつくのを待つ。
「………………」
何も考えない。何の言葉も浮かべない。ただあるがままの視覚情報を脳に送りこむ時間を維持する。>>156
使い込まれて日に焼けた机。
考古学科の編入の際に新調したペン。
結論への繋ぎ方に困って中断したレポート。
夏真っ盛りであることを示す、赤丸のついた八月のカレンダー。
「…………。………………あっ」
思いつくものがあった。机から頬を浮かす。
カレンダーの真ん中あたりに書き加えられた赤丸。それは友人であるルナ・アードゥルの誕生日であることを示すものだった。また、それは悩みの種である『嵐』が訪れる日でもある。
これを使うことはできないだろうか。
どこにも行ってほしくない友達を留められないだろうか。
少なくとも自分がいつもと違う行動をとる理由にはならないだろうか。
でも。でも。友達の誕生日を、そんな利用するかのように捉えてしまうのは、良くないことではないだろうか。
生まれてきたことを祝う。それだけでいいんじゃないか。
そうだろう、そうに決まっている。ただ祝うだけでいい。それが一番いい。できるものなら、それが一番いいはずなんだ。
……できない。
きっとあの友人は自分の誕生日よりも自分を脅かす神秘を優先する。
ケーキの上で揺れるろうそくの火を消すことよりも、自分という存在そのものの火を焦がすことを求める。>>147
>下手な熊よりおっかない
スペインの裏社会では、オハ・エスメラルダから野菜を盗むのは自殺願望持ちかバカのすること。
よくて四肢を撃たれてから警察に突き出され、下手すれば生きたままジブラルタル海峡に…。
>何やってんですか
カンデラリアと一緒にタララーワをヒーヒー言わせてます(意味深)。>>148
まぁそれはそうなんだけど、前例を参考に「みんなで聖杯戦争!」を完走まで&脱落抜きでやりきるならこんな感じでやるしかないのでは?って印象はありまして(個人意見)
今までを考えると、時間かけるとSS執筆のリソース確保が十分にできなかったり、そもそも予定が合わずに~辺りが原因で尻切れトンボになりそうというか。
だったらもうSSは個人シナリオ主体でやっていこう!と割り切って、”みんなで聖杯戦争”は1日を目安の短い期間で協力して聖杯戦争のシナリオ作り、に軸をスライドした方が楽しめるのでは?という意見
別案として出たここのえさんの>>143、チャット形式TRPGもSSを書くって訳じゃなそうですし……。いやここら辺は深堀りするとまた違うかもなので確認はしておきたいですね>>161
TRPGのリプレイはどちらかというと台本風?
シャクラ:んじゃオレのターンね。雷霆魔術を使います。Aランクで。「神秘を狩り尽くした先に何がある!?」
九仞:「知るか、んなもん。未来視でも聞けばええやろ!」1ターン毎にAランク飛んで来るとかどうなってんねん。神視化した無拍子で斬ります。
GM:九仞の刀って普通の?古刀?
九仞:あ。普通のでしたわ
GM:シャクラの雷で焼け落ちるね
九仞:「ちっ、なんやねんこの男!」
という風に。TRPGのオンラインセッションでいうテキストツールを使うイメージとか...
デメリットとして最低二人のスケジュールを合わせる、半日は潰れる、等聖杯遊戯
マスターが一括で人質になり、これを解放したサーヴァントは願いが叶う
人質となっているマスターは交信権、3回の令呪行使権と、サーヴァントに「固有スキル(マスター支援スキル)」を追加する
これで描写するのはサーヴァントだけでいい、とかいう短縮方法、とかちらっと考えたことはあるようなないような雷轟が視界を埋め尽くす。
それは1000分の1秒という一瞬でありながら、放電路を約30,000度に熱することで周囲の空気が急速に膨張して衝撃波が生じ雷鳴として轟き、10kWh~500kWhにもなるという雷のエネルギーはただの一回で50世帯の1日分の電気を賄えるほどだ。
大魔術の域にまで詠唱された雷霆など如何なるエネルギーを内包するのかは想像もつかない。人体は魔力で保護されているとはいえ、通常の落雷でさえ人体構造損傷の可能性、心臓の律動異常の発生、呼吸器系等への影響、心室細動電流の発生、心肺停止の可能性が考えられる。
ましてやエーテルを素粒子まで分解する、電離の絶界。
焼失した遺体が残れば上出来だろう。
「キュージンっ!!」
「なんやねん、君は!!」
魔術で無理やりに強化、過電流を大地に逃がすアース化した刀剣で『雷切』を成功させる。正直に言って、神視によって限界(ポテンシャル)を引き出しているとはいえ自分でも神業である。この神業を常に出来なければこの化け物を相手に生き残ることはできないという直感がアドレナリンの分泌を加速させた。
シャクラ・ヴィシュヌヤシャス。
ある意味では“自分と同じ”────神代の、遺物(レムナント)。
(ありえへんやろ、マジで。うちも宇治殿サマのお陰で無限の魔力供給しているようなものやけど、魔術回路にも焼き切れがあるのが当然や。メインもサブも全力疾走させているのが2秒も超えていられるのが奇跡なんよ。
相手側の理屈は分かるで? 神代の魔術は一工程で大魔術クラスっていうのは。
せやけどこうも連発されているのは、おかしいやろ)
九仞────柳生九仞は『雷切』で捌き切れず、火傷・感電した四肢を治癒で誤魔化しつつ防戦一方の状態が続いた。魔術師にとって長期戦はよほど好条件でなければ難しい。魔力……生命力のみならず、魔術を行使するための神経・集中力を削られていくからだ。
九仞も実践派の法術師としてある程度は大魔術を受けた経験はあるが、魔術回路を路としない高速神言のような異能とは相対したことはなかった。そのような横紙破りは彷徨海や山嶺法廷のような世捨て人しか残っていないからだ。>>165
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
東洋に螺旋館あり。
螺旋館に阿房宮あり。
かつて始皇帝が仙境を探索したことで持ち帰った成果、扶桑樹。
これは古代中国の地理書『山海経』に記されている、東海中から海上に伸びる伝説上の巨木のこと。東方の海中に黒歯国があり、その北に「其葉如芥(葉はカラシナに似る)」扶桑という木が立っていたという。その実、神仙の秘密がこの地上に具現化した存在、あらゆる生命の神秘を秘めた智の宝庫。当然ながらそれほど膨大な情報量はただ一本の樹木に収まりきるわけがなく、仙界の神樹はその内部に独自の次元を畳み込んでいるのだ。
扶桑樹を筆頭に、咸陽には始皇帝が中華全土の隅々から搔き集めた、ありとあらゆる外法・禁術、そして神秘が存在した。
これを解析し、始皇帝が望んだ不老不死を実現する研究機関が『阿房宮』である。
不老不死という方向性こそあれ、その実現方法は各々の裁量に任せられている。
杜牧『阿房宮賦』や、『史記 秦始皇本紀第六』に語られる地上の阿房宮は焼失したが、魔術的に建設された阿房・渭水・咸陽の地下拠点とそれを繋ぐ通路は残されていた。ひとつの拠点に留まるものではないのは、地下の阿房宮を小宇宙とし、天極星中の閣道なる星が天漢すなわち天の川を渡って営室星に至るのを象った、実際の自然界の運行と照応させる風水魔術の原理を用いているからである。当然、大規模な認識改竄にも風水は役立つ。
螺旋館の学術棟のため、螺旋の形状を取り入れているのは言うまでもない。
始皇帝は『人間』の究極だった。
己一人を人とし、その責任を負う。
極端な個人主義であったが、それも自分こそが『人類の理』と考え、実践したからこそ。肉体的にも精神的にも強者であるのなら、そもそも他人と自分を比較する必要はない。書を焚し、儒を坑す。臣下たちは世界を維持するための労働力で、王に文化を捧げる提供者。始皇帝はそれらを審査したあと、更なる発展を生み出す第一人者となる。
始皇帝は皇帝として臣下を愛し、人間として種の進化を突き詰めた。
完全な人──真人となったのだ。>>166
この惑星(ほし)の最終解答を擬似的な人工神性、すなわち人工の“観測記述装置(アカシックレコード)”である『思想盤』に書き込み、根源へと至らしめる者。
阿房宮の求める不老不死とはすなわち真人────始皇帝と同じ視座に立つことに他ならない。
「一曰定百脉、二曰喘不得、三曰突地吼、四曰著即承、五曰失魂胆、六曰實同反、七曰反是實、八曰死猪愁、九曰求即死、十曰求破家。
────急急如律令!」
中華服の意匠を取り入れた現代ファッションに身を包んだ女性、荒屋敷るきな。革製のハーネスベルトや、ピアスやネックレスの金属光の反射、無地の黒服を基調としながらもピンポイントで刺繍された薔薇の模様が派手さを演出する。彼女が自らの皮膚に刻まれた鍵のような紋様、思想鍵紋に触れて思想盤から魔術を構築。
思想魔術『告密羅織経』。告密羅織経とは酷吏(拷問官)達の指導書に由来し、言わば罪人を作り上げるための、拷問と尋問のハウツー本であった。『(術者は)自由に罪人を生み出せる』という国家的法則の体現に等しいこの大魔術を展開した時、誰に対しても『拷問する者』となり、相対するものは問答無用で『拷問される者』となる。
「死.に晒せ、豚野郎が────!」
「要するに概念による重圧って感じやねえ。対魔力・抗魔力の綱引きの前に発動したら無抵抗になる辺りは魅了の系統もあるんやな」
『封神演義』の聞仲の持つ金鞭に倣い、怪異に近い生態の幻想種である蛟を加工した硬鞭……ある種の棍棒に近い……を振るうルキナの一撃は九仞の内臓を破裂させた。
(呆気なさ過ぎる。こういうのは自分の手札に自信があるク.ソ野郎だ)>>167
「君、日本人やろ。魔術師なら大嶽丸の逸話とか知っとるかな。
自己暗示による変体、神視の秘奥がこれや。劣化した魂・体を捨てて新しい魂・体に新生する『転生(リポップ)』の儀式。転生の際に心臓に魔力を圧縮して、『先代』であったんは魔術刻印になって、『今代』に生体情報が刻まれる。宇治殿のバックアップがなければ一生使えへん大嶽丸の法術や。面白いやろ? 永遠に斬り合うことができる訳やし」
「気色悪いな、スワンプマンかよ……!」
「酷いなあ。次代って言ってや」
返す刀でルキナの身体が袈裟斬りとなり、周囲に血が飛び散る。
動作には必ずある“起こり”の無い────無拍子は歴戦の思想魔術師であるルキナでさえ反応できず、ただ、斬られた。左肺、心臓、腸、肋骨さえ貫通して背骨さえ断ち切るのは完全に普通の剣術ではない。魔術的な拡張もあるだろう。だが魔力の起こりさえ無い所作は練度の結晶だ。どのような一撃であれ致命傷と成り得る。それが御留流、柳生新陰流の名を背負う『数字持ち(ナンバーズ)』の“当たり前”だった。
「じゃ、扶桑樹の化石は貰うで────」
宇治陵の神秘狩り。
それは退魔と言えば聞こえはいい。
確かに、世のため人のためになる。魔とは所詮は歪みだ。今はまだ完全に神秘を駆逐するには未熟だが、今後の人理にあっては不要なものになるのは間違いない。だが宇治陵の本心は大源(マナ)が枯れつつある中で自分たちにリソースの一極集中を『退魔という大義名分の下』に行うというものだ。
「そうはいかない。何故ならオレがいるからな」
「遅えよ愚図!!」
「すまないルキナ。金烏の雛たちを鎮めていたら遅くなったようだ」>>168
雷霆が視界を埋め尽くす。
魔力の密度が違う。魔力の質が違う。もし神代にタイムスリップしたのならば“それ”が神威であると痛感できただろう。
シャクラ・ヴィシュヌヤシャス。横紙破りの神代魔術師。現代にありながら竜の因子持つ神象アイラーヴァタの神性を概念受胎した化身。致命傷であったルキナの斬り傷さえ瞬間の内に治癒してしまえる霊薬アムリタの体質の持ち主。魔術形式の差のために相容れないはずの法術、呪術、思想魔術のみならず西洋魔術を修めるオールラウンダー。
柳生九仞は雷を切り裂いたことで火傷を負った腕を治癒しつつ、調子を崩さない。
「へえ。ここには金烏もあるんや。選り取り見取りやね?」
「それだけじゃない。さすが始皇帝の収集した神秘。蚩尤の神體……楓木や、視肉、哪吒太子の残骸。まさに宝の山だ」
「余計なことを言うなバカが!」
「んじゃ、君たち殺して狩り尽くそうかな」
「そう簡単に出来ると思うか、お前…」
「九仞(キュージン)。柳生九仞。君の首を刎ねる者の名や」
「そうか。オレはシャクラ・ヴィシュヌヤシャス。お前の企みを退ける者の名だ」なんとなくで書いた、特に意味も意義もない小話。
新宿。某所の居酒屋にて、カウンター席で明らかに日本人ではない複数人の客が並んで座っていた。
大柄で、逆立った紫紺色の髪と炯々たる鋭い双眸を持つ男。目を合わせただけで己が狩猟の獲物だと錯覚してしまうような威容を纏う男は、提供された品々に舌鼓を打ち、子供のように感激している。
やや小柄で、綺麗な姿勢でビールジョッキを呷る灰色の瞳の美女。真面目な性格なのは発せられる雰囲気だけで読み取れる彼女は、目前に並ぶ大量のビールジョッキを豪快に飲み干していく。
細身だが華奢ではない、女と見紛う程の中性的な容姿を持つ男。眉間に皺を寄せながらも、次々に提供される卵料理とカレーに手が止まらず、お供のカルーアミルクも呷った後、追加の注文をする。
そんな彼らを尻目で眺めていた全体的に豪勢な格好をしている男────サーヴァント・キャスターが呆れた様子で呟く。
「英霊の姿か? これが……」
などと言いつつも、彼も巧みな箸捌きで魚の身を無駄なく骨から取り除き、洗練された所作で口に運ぶ。
かつてローマ帝国で贅沢の限りを尽くしたと思っていたが、食事に関しては時代が進めばその限りではないと実感していた。
旨い。とにかく美味で、酒の種類も富んでいるから片っ端から味合わなければ気が済まない。
結局サーヴァントも元は人。美味い飯を前に抗う事なんてできないのだ。
「で、お前たちは何故雁首揃えて多数的孤独のグルメなんぞやっているんだ? 今の流行りはメシの流儀なのを知らないのか? ああ、固有結界を持ち合わせていないお前たちには関係のない話だったかこれは失礼した」
「……どちら様で? ひとりでに喋って自己完結するような奇異な人物に知り合いはいないのですが」
「遺憾だか同意する。魔術師というものは口が悪く、態度が悪く、性格も悪いの三拍子に加え、さも苦労人って顔をしているが、終わってみれば一番事態をかき回してる疫病神に等しい」
「覚えがある。俺の所ではケチ、せせこましい、寝起きが悪い、黴た書物ばかり読んでる暗い偏屈者が追加されるぜ」>>172
せっかくの食事に水を差されて気が立つサーヴァントたち。
彼らのいるカウンター席のみが一触即発の空気に包まれ、人外による爆発が起きようとした────が。
「お客さん、ウチはどんちゃん騒ぎ禁止なんでやめてください」(CV:津田健次郎)
目の前で店主が睨みを利かせたので、険悪な空気は霧散した。
外国人観光客の迷惑行為に厳しい目が向けられるご時世。我らは英霊。人類史に刻まれた、かつてありし人の影。そんな恥を晒す筈ないし、己の矜持を穢すような事などしない。
その傲りがこうして理解(わか)らせられた。単なるマナー違反の注意。されどマナー違反の注意。
現実として思い知らされた彼らは一同にこう感じたらしい。
────ああ、なんか、恥ずかしい。
出演者:
イダス 愉悦部inクローディアァ!作
パラス・アテナ ユージーン【大罪戦争ss】作
ラクシュマナ 私
シモン・マグス 私【CLASS】キャスター
【真名】シモン・マグス/Simon Magus
【性別】男性
【身長・体重】178cm・66kg
【属性】混沌・悪
【ステータス】筋力D 耐久E 敏捷C 魔力A+ 幸運EX 宝具A
【保有スキル】
陣地作成:A
魔術師として自ら有利な陣地である「工房」を作り上げる能力。Aランクを所有するため「工房」を上回る「神殿」を構築することが可能。彼にとっては神秘、深淵をより観測する為の穴蔵であり、神の流出を効率的に促す場所。
道具作成:A
魔力を帯びた器具を作成する。シモン・マグスは効果的且つ美麗な魔術礼装の他、聖別された道具すらも作成できる。>>174
秘蹟/魔術:A
主の祈りとは異なる秘蹟。西暦初期にて異端の祖と呼ばれたシモン・マグスが体系化させた魔術。異端視された神秘思想とはいえ、奇蹟・秘蹟を基礎としているので世界最大の魔術基盤を使用できる。加えて、共に現界したヘレンと魔術回路を同調させる事により、「主の奇蹟」すらも再現できる。
神性:D
神霊適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされる。「この者は偉大なる神の力(デュナミス・メガレ)」として信奉者を集め、更にはヘレンと合わせて両性具有を体現した事により、このランクを得ている。
アトラスの思考:A
エジプトにて魔術を研究した際に修得した思考能力。魔術を行使する際の工程を演算処理し、大魔術であっても一工程で発動できる。また霊子を観測し、計測し、対象の過去・未来を演算によって割り出し見通す事も可能。
死なずのマグス:EX
シモン・マグスが自ら首切りの刑を受け、そして蘇った逸話の再現。保存した霊基情報を復元及び召喚する事によって擬似的な復活を遂げる。ただし、皇帝ネロのような特殊な魔力を持たない為、獣の如き筋力は得られない。>>175
【宝具】
聖娼:神の流出(ピスティス・ソフィア・プルニコス)
・ランク:A+
・種別:魔術宝具
・レンジ:-
・最大捕捉:1人
シモン・マグスがフェニキアのツロ(ティルス)で身請けした娼婦が由来。
普段は「ヘレン」と呼ばれる少女が自我を持って行動している自律系人型の宝具。「プロパトール・エンノイア」とも呼ばれる。
通常時は霊子及び霊基情報を保存できる媒体として機能し、シモン・マグスが自身の霊基情報を保存し、「死なずのマグス」を用いる事によって消滅しようとも復活できる。またサーヴァントの宝具ではあるが、サーヴァントと同じ出力で戦闘が可能で、魔術による迎撃を行う。
真名を解放する事でヘレンに搭載された本来の魔術刻印を起動する。
ヘレンの魔術刻印は地上に降り立った女神エンノイアへと変貌し、至高の女性原理たる“神の流出(バルベーロー)”を体現する。一種の固有結界であり、侵食した領域に流れる全ての魔力はシモン・マゴスが体現する原父たるプロパトールに集束し、完全性の実現により永劫に等しい魔力の循環を得られる。秘蹟:空洞の亜霊(デイモニオン・クアドリガ)
・ランク:A
・種別:対軍宝具
・レンジ:1〜100
・最大捕捉:100人
シモン・マグスが聖ペトロと対決した際に召喚した四つの翼を持つ悪魔と戦車が由来。
天使ほどの神格を持たないが、ランクはそれに近しい大霊の一種。ダイモーンとも呼ばれ、伝承では天使とも悪魔とも形容される不定形の存在。
真名を解放せずとも召喚可能で、人間と神の狭間に位置する亜霊を四体召喚して使役する。
四体の亜霊は星の内海より生じた精霊の類いなので、戦闘の際は純粋な魔力の奔流を攻撃に転用する。
戦車は任意で出現させる事が可能で、引かせる事もできるが特に必殺の一撃がある訳でもない。単に空中移動で轢き逃げができる程度である。
供与:聖職売買(アルカヌム・シモニア)
・ランク:EX
・種別:契約宝具
・レンジ:-
・最大捕捉:1人
シモン・マグスが聖霊の力を得る為に聖ペトロと聖ヨハネへ金銭の供与を持ちかけた逸話が由来。
対価を用意し、商談によって取引が成立した時、指定した宝具を含むあらゆる神秘を買収する事ができる。
獲得した神秘はある程度のランクであれば問題なく使用できるが、格の高い宝具を扱う場合、真名を解放できるにしても制御できないかもしれない。
この宝具のランクがEXなのは神秘の強さではなく「交渉次第であらゆる神秘を買収できる点から何が起きるか判断不能」という理由で付けられている。>>177
【解説】
新約聖書の『使徒行録』に登場する魔術師。一世紀に活躍した人物であり、皇帝ネロの宮廷魔術師、十二使徒の一人であるシモン・ペトロの敵対者として名高い。また『異端反駁』では異端思想の創設者の一人とされている。
サマリアのギットという村の出身。洗礼者ヨハネに師事する信徒であり、またエジプトのアレクサンドリアにて魔術を研究した魔術師でもあった。
当時のサマリアでは魔術を用いて信奉者を集め、自らが敷いた神秘思想を説いて大いなる存在として君臨していたが、後にやってきた福音宣教者フィリポによって改宗する。そして使徒ペテロとヨハネが行った聖霊を迎える奇蹟を金銭で買収しようとしたが、「神の奇蹟は金で得られるものではない。悪事を悔いて、主に祈れ」と叱責されてしまう。
『ペテロ行伝』において、シモン・マグスは皇帝ネロの宮廷魔術師になっており、使徒ペテロとの対立がより深く描かれている。皇帝ネロの目前で使徒ペテロとパウロに勝負を挑み、悪魔を召喚して空を飛ぶが、神に祈りを捧げたペテロにより地上へと堕とされ四方に砕け散ったされる。
【人物】
紫をベースに金の意匠が為されたローブを身に纏う男性。
皇帝ネロ曰く「口は悪い、態度は悪い、性格も悪い」という評価を受ける程度には魔術師らしい人格の持ち主で、当人もその自覚がある。ただし宮廷魔術師として仕えた経験から宮廷作法を身につけており、口も態度も悪いながら紳士的。見方によっては胡散臭い詐欺師に映るかもしれない。
ただの人間には興味がなく、ある程度何か突出した才能を持つ人物に注目する。魔術の才能があれば自身の弟子として育てる事も厭わない。
元々は洗礼者ヨハネに師事していた信徒であった事から信仰心は持ち合わせている。ただし、己の思想は当時の使徒たちとは相容れなかったので、結果的に敵対する事となった。
聖杯に託す望みはない。強いて言えば救世主が齎した聖杯とは異なる願望機自体に興味を持っている。
マスターに対するスタンスは、才能あふれる魔術師であれば共闘し、興味の範囲外の人材であれば速やかに傀儡にして独断で動くだろう。
一人称「私(オレ)」
二人称「お前」
三人称「奴、彼奴」>>178
【能力】
秘蹟/魔術により主の奇蹟を再現できる。祈りと信仰で発生する魔力による光、シモン・マグスが神の流出と呼ぶ輝きを一瞬にして発動させる。
如何なる大魔術でも高速演算処理により一工程で展開し、キャスターの不利な点である範囲攻撃の為を帳消しにしている。
運用次第では魔力の循環の効果で無限に等しいエネルギーを供給できる。そして時間をかける程に魔力の蓄積と、霊基情報保存の重複で何度でも復活する脅威になり得る。
【補足】
ローマにおけるマーリン枠。公式から出ている断片的な情報を汲み取った結果の産物。
ネロの「原初の火」の構成物質の情報からヴェルバーの存在を視認し、過去の飛来、未来(並行世界)での再起動を割り出した情報処理能力は、エジプトのアレクサンドリアで魔術の研究をした経緯からアトラス院由来のものと設定。
ネロのビースト適性を予見したのも、キリスト昇天後、第一魔法が誕生した西暦初期の時代で世界の裏側について言及できるのも、上述の設定によるもの。
魔術はグノーシス由来だが、公式が頑なにユダヤ教、キリスト教らに固有名詞を出さないので、ここでの設定文でも敢えて出さないようにしている。
おそらく根源到達間近だった魔術師。けれど抑止力によって爆散させられた。>>179
【関連人物】
ヘレン
フェニキアのツロ(ティルス)で身請けした娼婦。その正体はシモン・マグスが手ずから造り上げたホムンクルス。
元より最高品質の魔術回路を有しており、シモン・マグスと対になって完全性を発揮する魔術刻印を搭載されている。
臈長けた美貌の持ち主。ホムンクルス故に自己主張の薄い性格だが、良妻賢母が如き働きをする。
ネロ・クラウディウス
宮廷魔術師として仕えていたローマ皇帝。
魔術の才能を見出し、教鞭を振るったが魔術師としての道を歩む事はなかった。
彼女の特殊な魔力からビーストの適性を見抜き、更にはヴェルバーとの奇数な関連性を見通していた。
ロクスタ
同僚。口が悪い同士、言葉の殴り合いをする仲であった。
茸と毒に関する知識量には舌を巻いていて、茸を食した皇帝が神になった神秘性にも興味津々だった。
シモン・ペテロ
思想の相違により決して相容れる事がなかった因縁の相手。
結果的に彼という抑止力により命を落とした。私の脳内で、
『寒い日のルナちゃんは温かい部屋で猫のようにぬくぬくのんびりしてたら可愛い』派
VS
『寒い日のルナちゃんは魔術を探して犬のようにキラキラした目で雪かき分けて外出てたら可愛い』派
の論争が話題に……>>164
フフ…どうなるでしょうね…まぁまず挑戦できるかどうかすら未定ですゆえね…
>>183
がんばれヨモちゃんマジがんばれ
いつも手が届かないところで泣くほど心配してくれてるので今回は手だけ届くようにしたいところ
>>170
シャラクくんスペックぶっ飛んでるなぁ…が第一印象だったんですが、柳生のキュージンくんが対抗馬になれるレベルとまでは思わなんだよ…
これ…いつかぶつけてやる時には一手間二手間考えないとだ
>>181
マーリン枠と言うだけあって周辺設定すんごいことになってらっしゃる。ネロから飛躍してヴェルバーに、アレクサンドリアからアトラス院……本人もまた根源の渦に迫るとは中々
ビースト関連も見通してたってことですがその辺どうにかしなかったんでしょうか。どうにもならなかったのかな…
>>182
ほぅ…なかなか難しい話をされてらっしゃいますわね…
ルナの行動力は年がら年中発揮されるので基本的には犬のようにするのがふさわしい……のですが、性質的には犬よりも猫に近いのでこたつにも入ってほしい
どっちもかわいいだろうなぁ…ちょいと時間できたので返信。
>>183
シモン・マグスの思想は使徒とは相容れなかったけど、元々は同じ神を信仰する信徒でもあるので、多分「人類を楽園に引き上げる」になるかも? するとキリ様と似たような感じになりますね。
>>184
マーリン枠なのと、公式に出ている断片的な設定と、伝承との整合性を持たせた結果こうなりました。
ネロ帝に関しては未来の奏者が解決してくれるって分かってたから……。
>>186
売買宝具を使うとあら不思議、アポのアストルフォ(アキレウスの盾)が何度もできてしまうではありませんか。おそらく都合よく行かないと思いますが。
仮にシモン・マグスが勝っていたらネロ帝の世論が変わっていたかもしれません。ロクスタに「オメェが先におっ死んだせいでな!」みたいに言われてた気がしたので。他の投稿はもう少しゆっくり閲覧したいと思いたく……。
山星さん…山星さんいらっしゃいますか…
シウン先生が生徒を呼ぶときってどういう雰囲気なのかお聞きしたく…
名字呼び捨てがデフォなのかなと思いつつも場合によっては名前+さん付けとかもありそうに思えてきて……どうなんでしょう?連休中は色々用事があったのとルナティックをチマチマ書いてましたよと生存報告。
あとFC2wiki→聖杯大会運営まとめwikiへのキャラページ&SS移植はみんな出来るタイミングでやりたいのやろうね、という事で……。(一応、今回のページ移植を機にキャラの整理やブラッシュアップはやっていいと思う立場はそのままマン)>>195
ミートゥー……
───こうして争いは幕を閉じた。猫派時代の到来である。>>204
片方が先に行けばもう片方が走ってそれを追い越すしそうやって先に行かれたらもう片方が追いついて先に行きます
クラッフが名無しの教室の生徒になったのでシウンは教師となり、シウンが教師となったのでクラッフもスキュレカリュー教室の教師になったのかもしれませんね今日は一日中ずっとクリスマス用のネタを考えていました
一日の終わりに今年のクリスマスは終章でクリスマスどころじゃないのではと気づきました
ふふ…鬼が笑ってる…
つまり、ならば、今からバレンタインのことを考えるのが正解なのでは?>>223
これはこれは麗しい面々……!
聖杯大会運営本部【リレー相談・雑談】#235
224
レス投稿