>>641
カリオストロ伯爵はチラリとパーシヴァル卿を見た。彼は幸せそうにサンドイッチを食べていた。量は多いが決してがっつくことはなく一口ずつ丁寧に食べていた。些細な食事が彼にとっては幸福なのだろう。
「マスターの住む時代ではアイスクリームはポピュラーなお菓子だったそうですよ。」
「マスター…であれば魔術とも関係ない一般人でも口にしていたということですか。」
「ええ、私も驚きました。マスターの住む時代ではこのカルデアキッチンのようにありとあらゆる食材と料理が手に入るそうですよ。」
パーシヴァルも聖杯からの知識として現代のことは知っているが、改めて言われると驚きの方が勝った。
「願わくば、誰も飢えることがない時代が来ると良いのですが…」
パーシヴァルが静かに目を伏せた。聖杯の知識によって知っている。この豊かな現代になっても飢えは無くなっていなかった。
「古代ローマも豊かな国ではありましたが、すべての人々がその恩恵を受けたわけではないですから。平等や公平は難しいものなのでしょう。」
「なるほど。歴史の影法師の私たちにはどうすることもできないことです。明るい未来があることを信じ、人理を元に戻せるように努力しましょう。」
「あなたという人は、底抜けに…」
そこでカリオストロは珈琲を一口飲んだ。カリオストロがその後『愚かな人だ』と言ったのか『清らかな人だ』と言ったのか本人以外知る人もいなかった。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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