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聖杯大会運営まとめwiki
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”マスター系キャラが魔術関係ない家に生まれてたらどういう職業についたりしているか”ですが……。
例えばクッチーは魔術関係ない世界だったら外科医をやってそうだな、とかそういう感じです
肉体を切ったり開いたり縫ったりするのは『破壊』起源持ちとしては楽しく勤務できそうだし建て乙です。
魔術関係ない家に生まれてたらか…。
少なくともビオランテは役者の道は進んでたし、タララーワは日本へ行ってフィリピンパブ勤務からの太客と国際結婚してたかもしれない。前スレ990
うおおおお!!ジル、ジルが来てくれた!
完っ全に予想してなかったのでただ今バチク.ソに興奮しております
地下水道の一件で縁ができたのも遠い昔のようだ…ちなみにうちの面々ですと魔術関係ない家に生まれてた場合、以下の通りになります
・ニキータ→故郷の内戦という運命が変わらない限り傭兵ないし難民生活ほぼ確定
・ジェイド→裏社会で権力者相手に商売()しながら権力争いを煽ったり煽らなかったり
・黒江→魔術がなければ異常に気付く事もなし。なので学生時代はやや不思議ちゃんの気がある生徒として過ごしつつ、将来的には起源の影響で美術(特に絵画)の道を歩んだりするかも
・加々見→魔術師にならない=本家と分家に分かれてないので本家暮らしのまま神職生活。こっちだと多少真面目になってるかも?
・アクアステラ→欧州における医者の名門となった実家の跡取りとして日々奮闘中。医者として熱心に向き合う姿と腕前が高く評価され、いずれは欧州医療史に名を遺すのでは?と噂されてるとかされてないとか。こっちの世界でもオタク文化に興味を持つが、変に暴走してはおらず真っ当に一ユーザーとして楽しんでる
・マチルダ→世界線が変わっても魔術が絡まないだけで過酷な実家事情に変化はなし。ただしカルデアに流れ着く事がない為、設定通り分家に放逐されてからは何だかんだ彼女なりにたくましく生きている
・ユウキ→例の限界集落で生まれ、普通に育つ。特に混血とかそういった異能もなく、両親もお互い集落内で生まれ育った者同士であり迫害もされない。ただどの道集落自体が過疎化の限界に達しつつあるので、彼女が成人する頃には両親と揃って村を出ていく予定魔術関係ない未来ですと、パッと思いつくのは:
ゲルト→各地を歩く回って持ち前の女運の悪さを発揮。
ブリュンヒルド→引きこもって鍛造生活。崩壊世界の魔法杖職人(神秘なし)ルートへ。
バプロディカ→ちょっとエッチなお姉さん。
浄架→ただの甘党シスター。
句音→母親になりたいけど未成年では法という壁を破れず自堕落ルート。即興で考えた銀髪キャラ。
シルヴァリン・アルゴスペル(Silvallyn Argospell)
身長:169cm 体重:55kg
スリーサイズ:B84W56H88(Dカップ)
好きな物:敬虔な信徒、シルバーアクセサリー
苦手な物:分かり合えない人
所属:聖堂教会(第八秘蹟会)
魔術系統:洗礼詠唱、第八秘蹟
魔術回路:質:C/量:C 編成:正常
【解説】
聖堂教会に所属する代行者のシスター。第八秘蹟会に在籍しており、異端と深く関わる都合により各地に飛び回っている。
【人物】
銀髪銀眼で、氷のような冷ややか顔つきの女性。
職務に忠実且つ信仰心の篤い聖職者。しかし決して堅物という訳ではなく、新しいものは取り入れるべきという柔軟な考え方を持つ。
聖堂教会という組織ではなく「神の子」に忠節を誓っており、「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」という一節に倣って異教であっても排斥するにではなく、その思想に一定の理解を示し、受け入れて一つになるべきと考えている。
シルバーアクセサリー愛好家で、ロザリオや指輪など至る所に銀の装飾品を身につけている。>>8
【能力】
優等生で優秀であるが故に、代行者としても真っ当に強い。格上には勝てずとも、負けはしないし死なない戦い方をする。
灰錠、黒鍵どちらも使用し、その熟練度も高い。また表向きは異端とされている魔術を修めており、洗礼詠唱も使えるが、代行者として戦う際は魔術の方を頻繁に使う。
同僚に黒鍵を六本持っている姿を見られたら「◯ルヴァリン」と揶揄される事も。
・天名言唱
天使の名前を唱える事で、名に準えられた神秘を一時的に行使する。簡易的な術式なので、洗礼詠唱のような爆発的な効果は望めない。不足を補うための小手先の技。灰錠や黒鍵と併用して使う。
◼︎神の腕(ゼルエル)
腕部を限定とした筋力と技巧を上昇させる。
◼︎神の速さ(カフジエル)
移動速度を上昇させる。
◼︎神の影(べザリエル)
この術式を黒鍵に組み込み、相手に影に突き刺す事で動きを封じ込めることができる。影縫い。
◼︎突き刺す神(トゥトレシエル)
この術式を使用した状態で黒鍵を投擲すると貫通力が上昇する。
◼︎神は私の番人(ゾフィエル)
黒鍵を四方に突き刺し、結界を展開する。自陣防御結界としても、相手を閉じ込めて炎に包む結界としても使える。創作欲をお手軽に発散する方法
絵を描きましょう!(クッソバカデカ声)>>15
>創作の人任せは嫌
いやいや、そこの感覚は別に普通だと思います
自分も「AI導入してんの?じゃあルナティックも代筆して貰えばいいじゃん」
って言われたら断固としてNOですし。
少なくとも聖杯大会系創作においてはプロット練り込み、キャラクター磨き上げ、辺りの壁打ち相手、編集者やアドバイザー的な補助役としての運用が基本です。
あくまで筆者は私!表に出さないネタ……ナチス聖杯戦争のネタはありますね。ただ、この世界線を作ろうにも、ダーニックをどうやって始末すればいいのか分からなくて頓挫していますが。
>>21
ああ、ありですね。それ+聖堂教会の「あれナチスとダーニックの手に渡ったらやばいのでは?」という考えによる追撃と、ファルデウス君家のご先祖様の最後っ屁(アサシン)が何故かダーニックにだけ当たってナチスは棚ぼたで大聖杯ゲット……。>>9
>同僚に黒鍵を六本持っている姿を見られたら「◯ルヴァリン」と揶揄される事も
黒鍵使用者の大半にぶっ刺さりそうな言葉!
実際シエル先輩とか言峰神父みたいに、原作でもそういう使い方してる人たち多い……多くないです?
>>11
ありがとうございますありがとうございます
そう言ってもらえるとこちらも生み出した甲斐があるというものです
そしてお手軽な創作欲の発散方法ですか…
自分が思いつくのだと、SSの内容をもっとお手軽な感じに書くとかですかね
人物とか状況描写を必要最低限にして、主に登場人物の台詞回しを中心に書き進めていく感じです
これだとその都度状況を細かく説明しなくてよくなりますし、文字数もだいぶ抑えられるので一挙に完結する事もできるかと
まあこの手法思いついたのが別掲示板サイトでの二次創作という、ある意味身も蓋もない裏事情があったりすのですが…>>30
ようこそ、
ようこそお絵描きの大海へ(両肩ガシッ)side-ジル・セレナード
「私がその命を繋ぎましょう───貴女を、殺してでも」
宣言を終え、錯乱状態にあるルナ・アードゥルへ向けて疾走。二本のメスを挨拶代わりに投擲。
「ちょっ、」
傍らにいたもうひとりの男性───彼の傷も後々診なければならない───の声を一旦無視する。優先順位を間違えてはならない。
投げたメスは、振るった光の槍に落とされた。充分。次の、いやこの一歩で間合いに入った。
「ハッ、ハァッ!」
今まで一度も見せたことの表情、笑い声でルナらしからぬルナが槍を振る。
いつかの人狼の事件で彼女の魔術も見ている。こんな槍を持ち出した姿はまるで知らない。知っていれば絶対に止めていた。
なぜなら、肉の焦げる臭いがする。
ルナの手元から。いや槍を握る、手そのものが焦げている。あの光の槍は、自他の区別を置かずにすべてを灼くのだろう。>>33
すなわちこれは、明確な自傷行為にあたる。自分自身の意思で死へと近づいているのだ。
ふざけるな。死にたいのか。ふざけやがって。殺.してやる。死なせるものか。死なせないから、殺.してやるのだ。
「いいな! 死ぬ気でくるか!?」
「いいえ。生かすのです」
半ば捨て身で肉薄していく、新たに取り出したメスをまっすぐに突き出した。これは槍に弾かれる。
投擲。刺突。弾かれようとも都度くりかえす。
足を止めてはならない。この身が苦痛にひるめば、ひるむだけ目の前の誰かが死へと近づいていく。
あってはならない。
許してはおけない。
想うほどに躊躇は消し飛んでいく。幾重にも別たれた光をかきわけて、ついに私の一歩は届いた。
メスの投擲とほぼ同時の一刺しだった。被せるように放ったそれは見事槍の防御をすり抜けた。
肩と鎖骨の中間、つまり肩鎖関節を狙った一刀はキレイに突き刺さる。
払いのけるような一振りをかわして、距離を置く。結果的にはこちらも片腕に大きな火傷と裂傷を負った感覚があるが……
「ン……この傷ひとつで、上がらんのか」>>34
向こうも同じのようだ。
ルナは口調こそ別人のようだが、状態・状況の認識能力は落ちていないようだ。メスが刺さって脱力した片腕をむしろ興味深そうに眺める。
由来はわからないが彼女は吸血種の特性を持つ。聖別された刃は特に効くはずだ。事実、脱力した腕が動き出そうとする気配はない。
お互いに腕一本なら五分五分だ。いや槍という長モノを扱う以上、有利はこちらに傾く。
「そして、全身を制圧する」
「いいのか? 人間の身体って脆いんだぜ?」
「ご安心を。必ず治します。治すために壊します。貴女は、ただ治療を受け入れてください」
「あァそうだ、そうだったな。貴様は人の尺度でイカレていたな」
「記憶が戻りましたか? それは良い兆候です」
「そういうところだろうよ」
不意に、そして脈絡なく。光の槍がくるりと回った。
ただそれだけで少女は自らの肩から先を、斬り飛ばしてみせた。
「───」
それもまた、許せない行為のひとつ。
人の言葉を忘れてなお余る怒りを覚える。>>35
血が冷えた。沸騰した頭がすべての些事を忘れた。自分のなかでなにかの糸が切れるという確信があった。
だが……止まった。
怒りを押しとどめたのは、ほんのささいな疑問だった。
「───……血が?」
本来あるべきアカイロが見えない。傷口の大きさに見合うだけの出血がない。彼女の肩を覆う色彩は赤ではなく、白。
白い灯火だった。
朝焼けのような光が彼女の肩を覆い……ちかちかと瞬いて消えた。
それだけだ。ほんのそれだけで、傷は最初から無かったとでも言うように、別たれた腕が何食わぬ顔で生えている。
見事なものだ。いやさ異様と言うべきか。
いかに神秘とされる力でも限度はある。魔術と呼ばれる力も例外ではなく、いくつもの制約・限界があるはずだ。これらを踏み倒そうと思えば、相応の代償を支払うか時間をかけねばならない。
だと言うのに……、
「……治癒の魔術ですか? いつかの下水道から、ずいぶんと上達したようで」
「さてどうだろうな……ま、結果は同じさ。だから安心って言葉をそっくり返すぜ、俺様はその程度じゃ殺.せないからな」
「よろしい。それでも、殺してみせましょう」>>36
腕一本分の有利がそのまま不利に転じた。だからなんだ? やることは変わらない。
刃は通った、ならば良し。まずは四肢を削ぐことからはじめよう。
そう思い、残った腕でメスを握りしめたとき、
「ストップ! ストッーーープ!」
見知らぬ男性が私と彼女の間に割って入ってきた。
side-間久部理仁
オレ、なにやってんだろうなぁ。
弟に、会いに来ただけのはずだったのになぁ。
それがどうして、やたら滅多にアブナイ初対面の人を止めることになってんのかなぁ??
「治療の邪魔です。おどきなさい」
「いいから止まれ、一旦オレの話聞いてくれ」
「そのような時間はありません。彼女は予断を許さぬ状態です。一刻も早く救わねば」>>37
「助ける気ならそれ置け! まず女の子に刃物なんか向けるな!」
「見知らぬ貴方、救う命に男女の区別などありはしないのですよ」
「そうだろうけど! そうじゃなくてさぁ!」
なんでこんな話通じないヤツばっかなんだよ!!
ちくしょう間近で話してみても狂った殺人鬼じゃないと言い切れない。でも殺意とか感じないし……マジでなんなんだよ。
「悪いけどあの子は弟の友達なんだ。切り刻まれたら困る」
「私にとっても彼女は友人です。なので殺さねばならない」
「……今更だけどあんたシスターだよな? そういうコスプレとかじゃなくて」
「教会の代行者です。正式に認められた修道者ですよ」
「ああ……うん。いいや、もう突っ込まん」
教会って聖堂教会のことだよな、とか。
それ時計塔ともバッチバチな組織じゃないっけ、とか。
じゃあ代行者のあんたと魔術師のルナが友達ってどういうことなんだよ、とか。
聞きたいことが一気にあふれてきたが、もうそれどころじゃない。オレは無理矢理にでも代行者サンの隣に並び立って、なんとか2対1の構図を作る。>>38
「間久部理仁だ。本気で助けるつもりなら手伝ってくれ」
「ふむ……現地の協力者に感謝としておきましょう。ジル・セレナードです。ジルとだけお呼びください」
「オーケー。ならとっととアイツを、」
「───悪いが、ここまでだ」
「……は?」
なんだ。
光が。
トラウィスの槍に集まっていく。熱く、白く、煌々と猛る炎が、集まっていって……構えを取った。
槍を持つ手を後ろにもっていき、逆の手を前に突きだした。オリンピックで見たような、投げ槍にも似たポーズ。
まずいという直感がある。ジルさんも同様の危機感を覚えて動く。
だが開いた距離は一歩や二歩で埋められるものじゃなかった。それでも何もしないよりマシと自分を叱咤して、その一歩だけでも詰める。
オレたちに対する反応はなく。
声だけが聞こえた。
目にしみる朝焼けのような、澄んだ声だった。>>39
「我は、神を墜とす神である。
我は、死に冷える神である。
我は、星を明かす神である。
よって知るがいい。
是なるは天意に仇なす一刺しなれば───我は、太陽(かみ)を撃ち墜とす明星なり」
怪獣映画かなにかで見たようなワンシーンだった。
光が集っていく。
音が間延びしていく。
スローモーションになっていく世界で、一瞬後に迎える絶望を想像しながら手に汗にぎる。
今はちょうど……なんだろうか。ああ、怪獣を口を開いた瞬間になるのかな。
ならオレはこのあとモブみたいに灼かれるのか。
それとも、オレは、
オレは───
「リッ、ィィィィィイイイイイッッ!!」
───オレのことなんかお構いなしに、動く植物みたいなバケモンが、二体目の怪獣が現れた。
ためらいなく向けられた白い光が、バケモンにぶつかってまき散らされて、>>41
この肉体を動かせない理由はいくらでも挙げられるが、つまるところ、私の無力に原因がある。先祖代々と子々孫々に顔向け出来ない恥である。
結局のところ"逆さ花"の成長は止まらなかった。モートン・ドラモンドおよびダグラス・ブリージスの両名の攻撃力を大きく上回るだけの、回復力を獲得した。
途中で方向転換して封印を試みるも時すでに遅く。不完全な封印を一蹴して"逆さ花"はまたも花びらを車輪のようにして移動していった。
(ダグラスは……どうなった……?)
視界が昏い。
眼が潰されてはなかろうが、あちこちの感覚がひどく鈍い。まどろみに落ちる寸前にも似た感覚を覚えるが、あるいは今まさに意識を手放そうとしているのか。
それでもと必死に部下の姿を探す。見つからない。
(……この目が届かぬ場所で果てるなど許さんぞ……!)
怒りすらも声にならない。不甲斐なさに身が震えた。
不幸中の幸いは、アレに自分たちを仕留めるという発想がなかったことだ。
アルビオンから湧き出た怪物だからと必要以上に身構えていたが、結局のところ"逆さ花"も大枠で見れば花の一種でしかないようだった。魔力という魔力を使い果たして出がらしとなった自分たちに価値などないのだろう、より上質な栄養を求めて移動したと見える。
つまり、どうあれ、まだ生きている。
まだ動ける身体があり、そしてまだ仕事は残っている。
(……ならば、立たねば)>>42
そうだ立つのだ。立たねばならない。
私はモートン・ドラモンド。
ドラモンドの名を背負った魔術師。その名を託した魔術師。とうにその名を無くした、私は、名無しの教室の、講師なのだ。
ここで倒れたままでいることは貴族の名折れであり、また庶民どもに対する敗北である。
できることなら今すぐにでも手放してやりたい。高貴なる私が庶民のひとりひとりを導いてやるなどまるで貴族らしくない。
だがしかし庶民のひとりすら導けぬ。それもまた貴族らしくない。
そら……そら、今も聞こえるだろう。庶民どもの声がする。私が聞いてやらねばならない、私たちの生徒の声を聞かねば───
『レディーーーー…………ス、アンッドッ!! ジェントルメェーーーーーンッッッ!!!』
「……は?」
なに、なんだ……? 思っていたのと……違う声がするな……?>>51
ちょっとでも楽しいと思えてくださったなら、それが何よりの発見なんですわ〜(何目線)余所でやってる創作が脱稿!!!やったぜ。
なのでGW中はルナティックを進めて、鯖鱒情報もブラッシュアップするぞ!!!(セルフ追い込み)。具体的には塵塚怪王の疑似皇帝特権を削除して別の強みに変えたり!
ダラケずに頑張っていきたい……。いっぱい書き直してました
レイド間に合いませんでした
これ投下したらイベントいっぱい走るんだぁ…いくぞー!!side-シウン・ヴィルクレツィア
「ひっ、ひぃぁああ……!」
すっかりおびえきった声を発しながら"逃亡者"が逃げていく。
"走る"と"転がる"の中間にありそうな、バタついた動作で私から少しでも距離を取ろうともがく。
そんな私の足下には、先ほど逃亡者が頼りにしていた牧羊犬が転がっている。
……べつに直接蹴ったり殴ったりしたわけじゃない。これは私と密着して、そのまま勝手にこうなった。それだけの話だ。
「なんでだ、なんでだよぅ、霊墓の霊障をかき集めた、とっておきの呪毒なんだぞ、なんで生きてんだよあの女ぁ……!」
おびえながらも恨みがましい声。
なんでと言われても、そういう体質だからしょうがない───と言ったら、また汚い声を上げそうだ。黙っていよう。
さておき奥の手もあっけなく尽きたらしい。まだ羊の群れは残ってるが、ここからではどう頑張っても間に合うものでもない。
あとは油断なく詰ませる。それでこの逃亡者の対処は終わる。
のに、>>59
『レディーーーー…………ス、アンッドッ!! ジェントルメェーーーーーンッッッ!!!』
「なっ……」
降ってわいた声と同期するように、眼前の視界が場違いな土壁に覆われた。
自然、足が止まる。 視界がふさがれてしまえば逃亡者の姿も見失う。
「ちっ」
これもまたごく自然に舌打ちがこぼれた。なんて邪魔が入ったのかと嘆息する間にも、あたりの風景が変わっていく。
置き換えられていく。
やかましいにもほどがある笑い声と連鎖するように、世界が変わっていく。
伝統あるロンドンの町並み。石畳と煉瓦造りの壁から連なる風景が、野性味あふれる土石混じりのそれに変わっていく。
苔むしていて規則性が見えづらい。岩と、土と、どこか神秘を思わせる妖しい光に満ちた世界。
どこかの洞窟のような……あるいはまるで"地下迷宮"のような。
「これは、いや、違う? ……ニセモノ?」
よくできているが、よく見れば違うとわかる。これは霊墓アルビオンを模して描いた超巨大な"背景"だ。>>60
なんのことはない。ごく初歩的な置換魔術と同様の現象だ。
あらかじめて用意していた素材を、すでにそこにあった物質の表面だけ置き換える。
ぺたぺたと切り貼りしているに過ぎない。空間も座標もなにひとつ変じていない。よくできているだけのハリボテでしかない。
一方で感じられる規模だけは莫大と見える。おそらくは同様の仕掛けがこの街一帯に生じているはずだ。そのすべてを使って形だけの迷宮を再現しようとしている。
いわばこれは───『なんちゃって霊墓アルビオン』とでも呼ぶべきイミテーションだ。
なんて意味のない魔術。大がかりな仕掛けに反して得るものはない。こんなものは文化祭の出し物と同レベルのレクリエーション以上のものにはならない。
これをやった人物に問い詰めたところで、出来心だの遊び心だのとうろんな返事しかしないだろう。
そんな人物は、名無しの教室においてひとりしかいない。
脳裏に浮かべた顔が、声が、これもやはり事前に仕込んでいたのだろうスピーカーから垂れ流される。
『ごきげん麗しゅう我が同輩たち!
この芸術魂あふるる贈り物に!
この俺の遠大なる仕込みに!
エンデ・エルフィリーデ・リヒテンシュタインのサプライズに! 驚いていただけたかなァ!!?』
「あんの道楽王子……!」>>61
side-間久部理仁
……。
……………。
……………………なにが、どうなったんだろう。
もうなにがなんだかわからなくなってきた。
弟とどんな関係かもわからんルナが、これまたよくわからんトラウィスとか名乗って暴れて、気づけばオレがそれを止めることになっていて、かと思えばやたらと物騒なシスターのジルさんがオレより先に突っ込んで、それで、
「生きていますか?」
絶対に聞き覚えのある声。かるくトラウマになりかけたこの声は……、
「…………め、メレク!? メレクかっ!?」
「なんだ、元気そうですね」
「ほ、本物? いやさっきオレ、死にかけて、」
「先の熱線なら僕が防ぎました。上物のエメラルドをひとつ丸々消費してしまいましたが」>>62
「な、なんでここに、」
「誰かさんが迷子になったので迎えに来たんです。おかげで予定していた待ち合わせ時間はとっくに過ぎているんですよ」
「わ、ワリ……じゃなくて!」
どうしよう、どこから何を言えばいいんだ。
ルナに会ったところからか? 知り合いらしいしトラウィスのことから話したほうが……トラウィスのことも知ってたら時間の無駄か? つーかこっちはこっちで聞きたいこといっぱいあるし、あのルナとどういう関係なのか聞いておき……聞いたら怒るか? 関係自体秘密にしてるすげぇ地雷ってこともあるんじゃ、てかまず何が起こったのかを、
「無駄な思考を回す余裕があるなら、周囲に目を向けてみてはいかがです?」
「今やろうとしてたんだよ!!」
逆ギレみたいになりながら周囲を見渡す、と───……
「……は?」
自分でもどうかと思うほど、すっとんきょうで間の抜けた声が出た。
けれど仕方ないとも思う。目が覚めて異世界にいたら誰だってこうなるだろう。
「どこだよここ!?」>>63
洞窟だった。
一言で表すとそうなってしまう。右から左からせり上がった岩壁が、持ち上げた視線の先で天上の形をとっている。土と砂利にまみれたそれは至るところが苔むして、人の手が届かない年月を想起させた。ここに白骨とさびた剣でも突き立てればRPGのダンジョンにしか見えないだろう。
もちろんそんなはずがない。オレはついさっきまでロンドンにいたんだぞ。
「そう悩まずとも現在地は変わっていませんよ」
「なんでそう落ち着いているんだお前は!?」
「事情は把握しましたし、先ほどから目立ちたがりの"放送"があったものでして」
「はぁ? いや……え? 放送??」
「いいから黙って聞いてください。今あちらの通りをルピア嬢が確保しています。フェーブスの車もあるのでさっさとここから離れるように」
「まってルピアっつった? いやそりゃフェーブスはいるだろうけどルピアってあのルピア? マジ? なんで??」
「だから黙って聞けと───」
「リィィィィィィイイイイッッッ!!!」
オレたちの会話を、バケモノがかき消した。
さっき割り込んできた"花"だ。
「アレもまだ生きてんのかよ!」>>64
生きているどころじゃない。
一周まわってギャグみたいな光景だ。
花びらにあたる部分をぐるんぐるん回転させて爆走してる花がいる。あたりの壁や床が洞窟っぽくなった今じゃ比較できるものもないが、日本で見た4~5階建ての建物くらいの高さはありそうだ。つまりマジでデカい花。
……さっきまで、そんな大きさはなかったのに。
いやそれ以前の話。あのタイミングで割りこんできたせいで、トラウィスの熱線が直撃していたはずだ。オレから見ても半分以上は消し飛んでいて、生きているだけで奇跡みたいな状態だったのに。
なんで生きているんだ。なんで元気にウエヨコナナメに伸ばした触手をぶんぶん振り回しているんだ。
『───お集まりいただいた皆様には、』
たたみかけるような知らない声。
だめだ。もうオレにはわけがわからない。
side-アクアステラ=リキッドクラウン
現在地は考古学科・名無しの教室……その準備室だ。
俺は、いや俺たち3人は、この一室を乗っ取って周囲一帯を巻き込んだ大魔術に没頭していた。背中を預けた同志エンデ・エルフィリーデ・リヒテンシュタインは、イタズラが成功した子供のようにはしゃぎまくっている。
俺もまったく同じ気持ちだ。>>65
「客入りはどうだ!?」
「大盛り上がりさ! 主に驚愕と困惑と俺への文句で!」
「迷宮に対してのクレームは!?」
「無論ゼロだとも! 紳士淑女の皆様もまことの美を前にしては閉口するしかないらしい!」
「ヨシ!!! だが君のセンスはたまに疑わしいがね!」
「なんだって!? 聞こえなかったなァ!?」
背を向け合って口々に言いながらも、意識は手元に集中している。
床に大きく広げた"それ"は地図状にこしらえた『なんちゃって霊墓アルビオン』の操作盤だ。通路の配置、術式のほころび、点在する動植物の位置、そしてもっとも重要な客(プレイヤー)の表示までなんでも出来る。
よりゲームらしくするため<ふりだしにもどる>や<プレイヤー同士の位置交換>などの機能も盛り込みたかったが……空間転移は魔法に限りなく近いとされる天上の御業だ。冠になんちゃって、とついた迷宮モドキには贅沢が過ぎた。次の機会があるならば是非とも天上の域に挑戦してみたい。
おおっと閑話休題。
ともあれこの準備室にいる限り、俺たちは盤上を見下ろすゲームマスターというわけだ。物理的に干渉することは難しいが、現場の情報はすべてここから把握し、共有できる。
エンデの担当は矢面に立っての司会進行役と、迷宮の操作・調整。
そしてこの俺、アクアステラ=リキッドクラウンの担当は……ある意味でダンジョンにおける最高の花形。プレイヤーたちの乗り越えるべき壁。
そう、つまり、モンスター&トラップである。
わずかな魔力を操作盤に込める。ここからでは認識できないが、手塩にかけて仕込んだアレやコレやが起動したはずだ。
このアクアステラ=リキッドクラウンが主とする魔術は液体魔術だ。水の気を扱う以上、使える範囲は幅広く、その気になればなんだってできるだろう。そのなんでもできる特性を真っ向から無視して作り上げたのが、服だけ溶かす液体もとい『愚者の王水』である。今回、俺が手がけたトラップにはすべてこの『愚者の王水』を用いている。……ん? あぁ誤解しないでくれ、あくまで迷宮の流儀に則って彩りを添えたいだけだ、それだけさ、他意はないとも。当然じゃあないか。>>66
さて。
しかし。
トラップというものは基本的に動かない。やはり今回のようなフィールドでは"モンスター"が輝きやすい。
「さぁ起きてくれ。俺の大事な大事な……作品たち」
街中にあらかじめ配置しておいたこれはエンデとの合作だ。
使い魔に特化した液体魔術で作成したスライムに、エンデが描いた"絵"を被せる。要は迷宮を形作るハリボテと仕組みは同じだ。
形だけの見せかけ。戦闘力は無いも同然。ただの液体なので叩けば滴に変じて終わる。
だがそれゆえに形状は無限大。絵描きの手により色彩も無限大。元が液体だからこそ、どんなモンスターだって演出してみせる。
「見てくれデセフィオくんとやら。これから俺とエンデの合作が街を闊歩する。よぉく見た上での感想を聞きたい。いっぱい聞きたい」
「あぁ、いや、うん。その前にワケもわからずここまで引っ張ってこられた理由を説明してほしいのだが」
「共犯(ぎせい)は多い方がいいというエンデの提案だ。なぜってこのあと必ず怒られるだろうからね」
「よし僕は逃げる。ここから出してくれ。いや勝手に出る!」
「ははは、やめておくといい。どうやら今この街は、俺たちの迷宮と無関係にピンチらしい」
「はぁ? それはどういう……」
「見ればわかるさ。さぁ覚悟を決めて一緒に見守っていこうぜ?」>>68
side-メレク・アルマソフィア
「あぁもったいない。彼女がいれば目を輝かせていたでしょうに」
side-間久部理仁
「いやなんでお前こんな状況に慣れてんの?」
side-トラウィスカルパンテクートリ
「??? …………なに、なんなの? 今どういう状況?」
side-ダグラス・ブリージス
「うぉおおおお!? 洞窟が!? 霊墓がせりあがってきた!? "泡"だけでないというのか!? なぜエルフィリーデの声が響いてくるのだぁぁああ!!?!?」
side-エンデ・エルフィリーデ・リヒテンシュタイン
「さて……お集まりの諸君には、何が起きているか、その説明がほしいところだろう?」
「当たり前だク.ソ王子! 状況見て物言えコラ!」「ルナちゃんが大変なんですよ!?」「なに? ねぇなんなの? なんの声なのこれぇ」「おぉぉぅぅぁあああ服がぁ! 謎粘液で服がぁぁああああ!!!」「やっと着いた。今からそっち行くわね」「……(放心)」「緊張感ってものがないの?」「なんでもいいから教えてくれ!」「空気を読むってことを知らないのかな?」「後で覚えておけ、とそれだけ言っておきます」>>72
これ見たお兄ちゃんが「えっマジ?」ってなっててくれると私がうれしい
デスゲームはバースデー用のプレゼントです。でしたしばらくドット絵を描くことないかなと思っていたけれど、トモコレくんが「描け」って言うのでドット打ってます
逃げられない
ハイ投下します。今回は状況整理回~『───お集まりいただいた皆様には……デスゲームに参加してもらうッ!!!』
side-アロッコ
一体何を言っているんだコイツは?
突如、様相を変えた周囲の景色。石造りの街並みから一転した土と岩の洞窟に。
それはどこか見覚えがあるようで……よく見たら細かい違和感がひたすら募ってくる、そんな迷宮モドキに変じていた。
「ハッ、ハッ、ハァッ……!」
なぜか、なんてわかるわけもない。
乱れた呼吸にもつれる足。血が巡れど巡れど酸素がまるで足りない脳みそに、わかる事柄はいくらもない。
ただ偶然にも追っ手から───もう二度と顔を見たくない化物みたいな女───は、振り切れた。こればかりは幸運と言っていい。
あとはこの迷宮モドキを対処するか、あるいは無視すればいい。具体的にはどうするべきか。
罠か、幻惑か、そう警戒したところに降りてくる……声。
ぴんと張った品のある声が、120%ふざけまくってることでいろいろ台無しになった声が迷宮モドキのあちこちから聞こえてくる。>>78
『現在、ロクスロート全域には俺たちが事前に用意した結界が張られている。その名も……なんちゃって霊墓アルビオン』
『あくまでフェイクだが……本来なら秘骸解剖局を通さなければ入れない秘境を、自分たちなりに再現したのさ。かの地で冒険したがっていた誰かさんのためにね』
『そしてここからが本番だ。ただのピクニックじゃ面白みがない、険しきを冒さねば冒険とは呼べない、よって俺の筋書きに則ったデスゲームに参加してもらう!! 言うなれば体験型プレゼントというわけなのだよハッピー・バースデイ!!』
ナメてんのかコイツ。名前もよく聞き取れなかったコイツを殴ってやりたい。
そもそも名付けがふざけすぎだろう。『なんちゃって霊墓アルビオン』だぁ? 俺たちが地獄を見たあの場所はこんなものじゃないぞ。
まず通路が均等すぎるし直線すぎる。ヒトの意思が見え隠れする道順のなんと理解しやすいことか。このザマなら専任の地図役を用意しなくても、片手間で魔術回路に書き込むだけで一生迷わない。こんなものが"迷宮"であってたまるか。
それになんだこのやたらと光る苔、こんなモノはあの迷宮にないぞにわか野郎め。いや似たような光源はたしかに迷宮にもあるがアレは群生だし瞬いてるしそもそも色が違うというか不定形なんだぞちゃんと勉強しろそれでも頭でっかちな地上の魔術師か? ああん? 聞きかじりの知識だけでバカにしてんじゃねぇぞちくしょうめが。
この杜撰さでゲームだと?
マジでいい加減にしねぇとコイツ……
『……と、思っていたが、やめました』
やめたんだ。
』>>79
『先も言ったが俺たちの迷宮は完全にフェイク、イミテーションだ。実際に霊墓アルビオンを知る人間が見れば文句の百も千も出ることだろう』
『そんなニセモノの中になぜかホンモノが紛れている。現在俺たちが観測している範囲で、見覚えのない怪物がわんさといる。原因も事情も知らんが、ここは冒険の舞台の真っ只中というわけだ』
『主役も生徒も講師も部外者も。俺たちの結界からはすべて見えている。しかるべき人間をしかるべき場所までたどりつけるよう誘導する。合理的な魔術師諸君が、俺の言葉を信じてくれることを期待する』
『ああ、それと。地下からの"逃亡者"さんに忠告だ』
……は?
『走って車道に飛び出すのはやめたほうがいい。危ないからね』
何を言って……
「……い!?」>>80
side-セシボン・トゥー・ザ・パラチンタ
脇道から小汚えボロをまとった誰かが飛び出してくるのを、ガラス越しに認める。
ブレーキはかけない。
アクセルを踏みこんだ。
愛車のキッチンカーがうなりをあげて前へ前へと進む。それだけで、当たり前のように交通事故が起きた。
人身事故確定だ。このまま走り去れば俺はひき逃げ犯になるだろう。
だからってわけじゃないが、車は止めた。
「どうだ、死んだか?」
「魔術師があの程度で? まさか」
屋根から冷ややかな声。わかりきったことを聞くなと言外に語ってるようだ。
ンなことはわかってる。エンデのヤツが言っていた通りなら、コイツはさっきまでシウン・ヴィルクレツィアとやりあってた魔術師にして逃亡者だ。
曲がりなりにも地下から上がってきたっつう魔術師が、車にひかれてオダブツなんざギャグにもならねぇ。
「く、ぅ……ァ……!」>>81
それを裏付けるようなうめき声。なるほどたしかにそうだ、見る限りじゃぜんぜん元気じゃねぇか。
立ち上がる足には震えよどみも無し。あの様子なら戦るも逃げるも即座だろう。
んじゃ、まァ、やるか。
『さぁ、さぁさぁさぁ! やっておしまいよクラッフ&セシボン! 野蛮な決闘形式なら、お前たちが教室ツートップだろう!?』
「うるせぇウエメセ野郎。後で覚悟しとけよ」
「何もなければシウンが終わらせてたのに。余計な仕事をふやしてくれる」
余計な仕事というのがまさにそのまんまの意味で。
ここは俺のキッチンカーが通れるような大通り。迷宮風になった今では、迷宮に似合いのデケェ怪物が待ち構えていそうな縦長の空間になっている。
となりゃあ……羊の群れくらいなら、余裕で暴れられるだろう。
裏付けるように、どかどかと喧しい足音があちこちから響いてくる。さっきまでキッチンカーでなんとか撒いてきたキメラどもだ。あの逃亡者が飼い主ならぬ調教師というなら、集まってきてもおかしくはない。
「……ハァ、せっかくバラけさせたのに、また一カ所に集めんのか」
「役割分担だとさっき確認したでしょう? あちらに余計な変数が入らぬように、」
「わーってるよ囮だろ?! それでもあるだろ? もったいないってよ」
「そんなこと言い出したら自分だって弾の一発一発が……いやまず魔術師が戦闘をすること自体が……」>>82
『…………うん! ごめん! 応援してるぞ! がんばえー!』
「だってよ」
「何の足しにもなりませんよ」
ボヤきながらもフロースはマスケット銃に銃弾をこめる手を止めない。
いつだったか俺にも向けられたそれが、今度は集まりつつあるキメラすべてに向けられると思うと不憫でならない。
一方の俺も"映写機"を取り出して構える。やっと愛車のハンドルから手を離せたんだ。これで思いっきり暴れられる。
血が騒いじまって抑えるのも一苦労だ。
「……本当に理解してます? あくまで時間稼ぎですよ?」
「だとしてもやるこたぁ同じだ! ここに集まってくる全部を───倒しちまってもいいんだろォ!?」
side-ジル・セレナード
「ミスター、ご無事でしたか」
すっかり様変わりしたロクスロートに、先ほどとそう変わらぬ青年……理仁の姿を見つける。
既知の仲らしい少年も増えているが今は問題にしていられない。状況はよりいっそう混沌としてきているのだから。>>83
「ジル……さん! 今これどうなってんだ!?」
「落ち着いて、そして冷静に。私たちのやることは変わっていません」
周囲のなんちゃって迷宮は無視していい。羊の群れだの『調教師』だのという話もあったが私たちには関係ない。
今、すべきことは、
「ルナの救助が最優先。私たちの共通事項はそれだけでしょう?」
「そう、だけど! こんな訳わかんねぇときになんだってジルもそうケロッとしてんだ!?」
「ケロッと……?」
「してるだろ!? 今!!」
「最優先事項以外は棚上げにしているのです」
「現実逃避ってコト!?」
「神霊トラウィスカルパンテクートリを自称していたそうですね?」
ふいに少年が口をはさんでくる。
顔に覚えはないが、その声はいつかの下水道で聞いたことがあった。この青年と、そしてルナの双方と既知の仲であるのだろう。重畳だ、この状況で友人知人の声かけは大きな助けになる。>>84
「メレクは知ってるのか? ルナと、トラウィスのこと」
「そのときは名乗りませんでしたが……フィンランドの冒険からその気配はありました」
「知ってるなら、とびっきりの対処法とかは───」
「ありません。当時も僕が必死に降しただけですから」
目の前の少年に、必死、という言葉がどうにも当てはまらなかったがそこはそれ。旅の思い出に口を挟む暇もない。
似たような思いはあったのだろう、少年はすぐに代案を出してきた。
「なので、今回も僕が力尽くで止めます」
「はぁ??」
「なんですか」
「止めるって言ったのか? お前自身が? ……メレク・アルマソフィアが?」
「含みを持たせないでください。何が言いたいんですか?」
「そういうキャラじゃなかったろ、オレなりフェーブスなりを矢面に立たせて自分は盤面見てるってヤツだった。今回会うのだってほとんどフェーブス越しに計画走らせてた。なんでコレだけ人に任せない?」
「いちいち人をはさんでいては彼女に追いつけないのですよ」
それだけ答えて、話は終わりだというように少年はきびすを返した。魔力探知にでも優れているのか、すでに行き先の検討はつけているようだった。
少年が目を向けた───その方向から"花"は現れた。
車輪じみた花弁をぎゃりぎゃりと唸らせて地面をえぐる。"花"の通った痕だけなんちゃって迷宮の外装がはがれ、元のロクスロートの石畳が露出していた。>>85
「リィリィリィリィィィッッッッィィィィイ!!!」
ち、と思わず出てきた舌打ちが、3人のうち誰が発したものかはわからなかった。
気持ちだけは同じだったのだろう。それを示すように足が前に出る。
「やることはわかりやすくなりましたね」
「……また面倒事が増えて……」
「おいメレク、お前が何言ってもオレは最後までやるからな」
「ルピア嬢が『ムカついた』と言っていたとしても?」
「ぅ…………。い、いや、やる! ルナもトラウィスもほっとけないんだよ!」
「まぁ、それは同意しますが」
ひとまずの合意は得られたようだ。兄弟喧嘩未満のなにかを見守った甲斐はある。今はなによりも人手がほしい。
目の前の植物の駆除。後に捜索と鎮圧。やることは山積みなのだ。
アレの標的に未だ私たちは入っていないらしい。右往左往しながらその巨体をふりまわす。
「お二方、どうぞご安全に。無茶を通して二次被害が出るようであれば、私がすべて片付けます」
「……」
「…………ハイ」>>86
side-ライカ・サオトメ
───人身事故が起きる数分前。
僕とヨモの2人はキッチンカーを飛び出していた。
エンジン音を轟かせてゆれる車内から、なお負けぬ跳躍音をともなって2人分の重量が外へ飛び出す。
なんなく着地。走行中の車から人を抱えて飛び出すくらいの行為は、魔術師ならわけもない……なんて、ヨモの背中でおんぶにだっこの僕じゃ説得力はないけれど。
「ごめんね、背負ってもらって」
「い、いえ、『強化』だけが取り柄なので……それより、走りますから」
「あぁ飛ばしておくれ」
言われるまでもないらしい。ヨモの『強化』された下肢は弾丸じみた勢いで加速した。
今や岩と土にしか見えない洞窟然とした道を疾駆していく。
先ほどのバカみたいな全体放送の直後、エンデから僕たち"キッチンカー組"に個別で連絡がきた。
要約するとこうだ、>>87
『ルナ嬢が見たことのないテンションで暴れている』
『それを止めようと一般人らしい男性が戦ってる』
『そこに顔見知りらしい代行者が乱入してきた』
『ドラモンド先生を倒した"花"も乱入してきた』
『光って、爆発して、そこから先はわからない』
それを聞いたヨモの表情の悲痛さといったらもう、ね。見ていてかわいそうになるくらいだった。
さておき。現在ロクスロートの問題は霊墓アルビオンから浮かびあがる"泡"と、そこからあふれる怪物群だった。そこにまったくの別軸の『変貌して暴れるルナ』という問題が出てきてしまった。前者と後者に即座に対応していかなきゃならず、だから僕らは二組に分かれた。
前者は撃退と囮係を兼ねてクラッフとセシボンが。後者は僕とヨモが……というかヨモが率先して手を上げたのでフォロー係としてついてきた形だ。それだけ、思うところがあるのだろう。背中越しでもいろんな感情が渦巻いているのが見て取れる。
「っ……」
ヨモは普段からあまり笑わない子ではあるけれど、それにしたって今の思い詰めた様子はそうそう見ない。>>88
どんな言葉をかけるべきか。「きっと大丈夫だよ」「ポジティブに考えよう」「思い詰めちゃ肝心な時に」……ダメだな。この様子じゃ、こんな根拠のうすい言葉たちじゃ、なにを言っても気休め未満になるだけだ。
言うべきか言わないべきか。悩むだけだなんてのもよくないだろうけど……。
それに、重ねて問題になってしまいそうな懸念点がひとつ。
『そう不安そうにするものでないよヘルメくん! どうせアードゥルのヤツなんか……なんか……~~っ、ええい! 早く現場に向かいたまえよ! ハリーハリー!』
なんと、いやさよりにもよってナビ役がデセフィオだ。贅沢は言ってられないけどもっと他になかったのかと言いたくなる。
ああもう、本当に大丈夫なのか?昨日と今日でなんとか進めようと思ってたら発熱して進まなさそう
地道にやるのって大事ね。>>91
今回の件で心労やばいのはぜったいヨモちゃんです
その対象がよく知らん俺様野郎になってるのがまた何ともね…>>98
やっぱり先人の体験談が一番ありがたいですわなぁ…
言われてみると浅いの買った自分が「まだ届かない!?」とか言ってるの余裕で想像つきますもん
買おう、深いのオフトゥンで寝てるだけなのに車酔いみたいになるの謎すぎてこわい…
番外編投下シマースside-『フィーバー・ファーム』
調教師アロッコが使役する羊の群れである。
『フィーバー・ファーム』という名は『牧羊犬』にならんで調教師自ら名付けたものであるが、前者に関してはある一因によって最初から群れの体を成していた。
あえて言うならそれは精神汚染の一種だろう。
特性は狂気の伝播。各個体の恐慌状態が無作為にまき散らされることで成立している。狂気を帯びた個体は、また別の個体に近づいて狂気をともにする。
そこに種や個体数の垣根はなく、精神抵抗を有していない生命はたやすく群れに取り込まれる。
恐るべきことに群れは、そのことごとくが種を分かつ個体同士でありながら、狂気を通して意思の共有を果たしている。個体のひとつひとつはあくまで手足であり……その本質・本体は群れようとする病的な狂気そのものである。
すなわち、群れの正体は霊墓アルビオンのみに確認される"感染症"なのだ。
加えて言えば魔術師や魔術使いに発症するケースも確認されており、現地では『寄生病』といった通称で認知されている。
精神汚染として見れば低ランクなもので、新人が引っかかりやすいトラップであるとも。また「あの程度の群れに呑まれるようじゃここでは生きていけない」という、ふるいの側面も持ち合わせている。事実、一定以上の質を備えた魔術回路があれば、息を吸って吐くだけで無効化できる。
よって……この"感染症"に対して重視するべきは二つ。病そのものへの抵抗力と、先に感染していた群れへの対応力。この二つがなければならない。
つまり───>>101
「全部ノしちまえば話は簡単だろォが」
セシボン・トゥー・ザ・パラチンタが、軽口を叩きながら羊じみた怪物を沈黙させた。どうやらフィルムから取り出したナイフをそのまま眉間に突き入れたらしい。
そこにクラッフ・フロースからの冷ややかな声が返る。
「もう少し、現実的な指標を寄越しなさい」
目も合わせずに右手で握ったマチェットを振るった。すでに取り出したマスケット銃も左手に構え、しかしどちらも疎かにはしない。
2人は背中合わせになりながら、そして足を止めないまま怪物の群れと相対していた。
セシボンが映写機から出した銃器類を、半ば使い捨てるような勢いで火花を撃ちきっていく。そうして攻めに偏ることで生まれるセシボンのスキを、クラッフが的確に埋める。
ケモノの群れに囲まれる危機的状況にあって、2人は過不足ない連携をもって生き残っていた。
だが……
「なにせ、現状のままではそう保たない」
「……まぁ、それはわかるが」
方向性の違いはあれど両者は百戦錬磨といえるだけの経験値がある。その経験が告げるのだ、長続きはしない───と。>>102
「さすがにアルビオン出身ってところか? まったく息切れしてくれる気配がねぇな」
「魔力の流れ方も異質。反応の短さと出力される力がどう見ても釣り合わない」
「……つまり?」
「1+1でなぜか3や4が返ってくるようなものです」
「ズルじゃん?」
「だからそうだと言ってる。……撤退も視野に入れては?」
「それはもうちょい後でいいだろ」
弾を撃ちつくした軽機関銃を用済みとばかりに振りまわし、蛇の尾に向けてぶん投げた。間髪入れずに二丁のサブマシンガンを展開、景気よくバラまいていく。
「つか時間稼ぎはどうなんだよ? 足りてるのか? まだ要るのか?」
「さぁ……後輩たちを信じて、とか言えればいいんだけど」
立ち向かうこと、生き残ること、そういった闘争の経験値は豊富にある2人だったが、敵でも味方でもない他者が介在するとなると話は別だ。正義の味方でもやっていない限り、他者を守るための立ち回りが身につけられるケースはまれであり、2人もまたその例にもれない。
「こういうときのルナさんって、中々止まってくれないからなぁ」
「それ言ったらヘルメも不安だろうよ。アイツ声小さいから時間かかンだよ」>>103
まあサオトメが付いてるならマトモ/マシではあるけど……と意見が一致したところで"羊の群れ"の動きが変わった。入れ替わり立ち替わりを演じる乱戦から、どこか統一した意思による動きを見せる。
群れは大きく二分した。大雑把に囲むのではなく、左右で挟めるように一度距離を取る。
右と左で分かれた群れの、その右のほうから声がした。
「アレだッ!! アレが最後の獲物だッ!! 狩りの時間だぞ『フィーバー・ファーム』ッッ!!」
「…………」「…………」
「あの二匹をすぐに退けて───俺は逃げる、自由になるッ」
つい数分前に人身事故に遭っておいてなお元気に叫ぶ調教師アロッコ。
その言動が群れの動きに影響していることは誰の目にも明らかであり、すなわちそれは群れの弱所を示すことと同じであり……セシボンとクラッフの両者もまた同じ結論に達していた。
セシボンが先んじてその結論を口にする。
「あれ、任せるぜ」
「任されました」
セシボンが足を止めてフィルムから重量級の火器をいくつも出した。
クラッフが足を早めて右手に向かって走り出した。
狩りの時間が、始まった。>>104
side-アロッコ
俺はスパイとして生きる運命だったらしい。
らしい、というのは伝聞だからだ。
四代ほど前のご先祖サマが時計塔の民主主義派ってトコから、命令を受けてわざわざ霊墓まで身を投じたのだという。
いい迷惑だ。
おかげで、こんな目に遭わなきゃいけなくなる。
「来るなァ!!」
一直線に走る羊の背の上。
俺は怒りと焦燥感に駆られて叫ぶ。が、そいつが意に介する様子はない。
「……」
無言。名前も知らない眼鏡をかけた少年魔術師。
左右の手にはそれぞれマスケット銃とマチェットをにぎっている。そして俺を追っている。
「来るなと言っているだろう……! やれ、『フィーバー・ファーム』ッ!!」>>105
興奮・誘引に特化させた匂い袋を後方へぶちまける。自分が乗る羊からは逸れるように注意したが、これで残りはすべてあの眼鏡に集中する。
すぐに"羊の群れ"がたったひとりに殺到する。絶叫とも悲鳴ともつかぬ羊の鳴き声があたりをゆらして、すぐに俺の声などかき消えた。
これでいい。これで俺が逃げ切れるだけの時間稼ぎになる。羊どもは単純な力くらべだけなら容易く抜けるものでは───……
「……あ?」
ぱん、と小気味よい銃声がひとつ。
どうやら足下に向けて放たれたらしいそれは、着弾後に拡散する形で効果を発揮した。
見れば羊の群れ全体の動きが緩慢になっている。"おだやか"になっている。今の弾丸か、あの弾丸が殺傷を目的としたものではなく、沈静・催眠に特化させたものであるなら……
「残り、ひと」
「……くそったれっ!!」
角を掴んだまま匂い袋を乗った羊の口内に放り込む。
高ストレスをかける純然な匂い袋だ。
途端に暴走がはじまる。このまま放置すれば右往左往して終わりだが、ここで超微量の快楽成分を漂わせる。「こっちに向かえば楽になる」と示してやれば、羊はありもしない"楽"を求めてまっすぐ進んでくれる。
逃げる、逃げられる。>>106
「逃げられる……から! 消えろ! 消えろよちくしょうが! テメェ時計塔の子飼いか!? 点数稼ぎにでもしてんのか!?」
地下───俺にとっては故郷での暮らしが、なにからなにまで嫌だったわけじゃない。
確かに危険な毎日だった。だが命がけだからこその充実感があった。
日常風景が、地上からでは手の届かぬ光景と知ったときは優越感を覚えた。
身の危険がせまったときに「同業者だろう」と手をさしのべられるだけの温もりは、あった。
生きる意味みたいなものは確かにあった。
でも俺は逃げた。
逃げて、自由になる。
そのためだけに走る。
「テメェも……ッ!」
迫りくる眼鏡野郎を見据える。見るかぎりじゃフィジカルに恵まれたようには見えんがスピードだけはある。『強化』の賜物かそれともブーツに仕込みであるのか、どうあれ俺の羊に追いつこうとしている。その現実だけが目の前にあった。
「根源とやらが欲しいクチか!? そうやってまた次の子孫にまで呪いを残すのか!?」
八つ当たりとわかっていても口が止まらない。
どんな事情があるにせよ、アイツが神秘に由来する力を使っているのは変わらない。つまり同類だ。魔術社会だか魔術協会に属して、無意味なモノのために弱者を食い物にしてるカスみてぇな連中だ。こうして身体張ってる時点で、下っぱではあるだろうが……>>107
「テメェらみたいのが!! スパイだなんだとタグつけて放り出してくれたおかげでいい迷惑だ!! 呪われてしまえ!! そうやって使い捨ててきた人間のひとりひとりに命があったんだと自覚して、ああク.ソ! いい加減にしろよク.ズどもが!!」
「俺は生きてる! 俺だけが生きている! 何度見送ってきたと思う!? 同じような境遇と時間を分かち合ってきた仲間が!! 何度───何度!! お前らのような人でなしのためにッ!!!」
「何もッ! 悪いことじゃない! ことさらに否定されることじゃないはずだ!! ほんの一時でも……永遠だろうとも! 『逃げる』なんて誰でもすることだろうッッ!?」
少なくともあの迷宮ではそうだった。
怪物から逃げる。地形から逃げる。異常から逃げる。普通から逃げる。他の探索者から逃げる。自分の欲から逃げる。逃げる。逃げる。逃げる。ただそれだけをくりかえす。
そうしないと生きてはいけないから。
そうしないと死.んでしまうのだから。
だから、逃げることは俺にとっての絶対の正義だ。それは今も、この先の人生でもずっと変わりはしない。
立ち向かう? 七難八苦に自ら挑む? バカを言え、どうしてそんな無意味なことをしなきゃならない。戦うなら絶対に勝てるときだけで、万が一を察知すればやはり逃げる。あくまで俺にとってはそれが絶対に正しい。
根拠は、こうして俺が地上に出ていることだ。
現在まで続いた俺の命が、俺の行動の正しさをすべて証明している。
「……そうですか」
ここではじめて、追跡してきた眼鏡が返事をした。確認するような声音ではなく、明確な意思で返事をしてくる。
熱のない、平坦な声。>>108
「人に歴史ありとも言いますし……霊墓アルビオン出身という貴重な視点からの身の上話は、大変深くもありますが、」
むしろ冷めているとすら思える。
一歩引いたような声色で、そいつは、言った。
「それ、自分となにか関係あります?」
「───……は? ぁァあ?」
殺そうと思った。
イヤ決めた。ここで殺してしまおう。
駆る羊を反転させて、その角が上手く当たるように狙ってやって、どこにだって刺さってしまえるように、
「ああいえ、聞かなかったことにしましょうか───"月を掴む"」
「え、あ??」
なにか、ブーツに妙な作用があった。
そう思った時には視界が濃紺に染まっていた。
それが眼鏡野郎のはいたズボンだったと、ズボンに包まれた膝蹴りだったと気づいたのは、宙に浮かされて空を仰いでからだった。
俺は、大の字になって背中から地面に落とされていた。>>109
「ぐっ、か……!」
「こんな挑発ひとつに乗るようでは、その『逃げる』とやらもどれほど真実味があるか、疑わしいので」
言葉を吐き捨てながらもマチェットの刃先は俺の首筋に突きつけられている。
動けばどうなるか、なんて悠長な警告はなかったが、獣の牙と比較すれば断然やさしいだろう。でなきゃ俺の喉笛はとっくに意味のないものになっている。
一縷の望みをかけて視線だけで羊を追う。
即、銃声。
「ひとつ、質問をします」
両腕を踏みつけられた。人間ひとりの分の重量が上に乗って身動きがとれなくなる。
マチェットが動く。刃先がほんの少しだけ皮をやぶって、肉をうすく裂いた。
慣れ親しんだ血の感触がした。この痛みにきっと"次"はないだろう。>>113
アロッコはそういうヤツです
因果応報のようであり染み付いた習性のようでもあり一朝一夕では落ちないサガでもあり……ありあり……>>120
あぁやっぱり近いのはあるんだ…
私が基本イカロスのイメージに引っ張られてるのもあると思いますけど、突き抜けた人が痛い目に合いがちな気しますます>>116
普通に楽しんだけど、あんまり創作そのもののネタに繋がる要素はなかった感じかなぁ
刹那の保護者をロードからプレラーティにするのアリか?と一時期考えてた事あるけど、プレラーティズのスタンスとしては刹那にそこまで関わらなさそうなので断念
個人的にはヒッポリュテさんのキャラクター性が良かったですね>>116
好感度が1番上がったのがプレラーティズでしたね……。
三臨フランチェスカの邪女神感スコスコ。
逆にジョンはクッソ嫌いです。そろそろ暑さで心身がへにょへにょになってきた中でのとうかっかっかターイム
side-セシボン・トゥー・ザ・パラチンタ
「いい加減にしやがれ!! キリがねぇってんだよボケ共がぁ!!」
火花が散る。
比喩でなく魔力と硝煙に彩られた光がまたたく。一定の速度と指向性を持たされた弾丸は怪物の群れに容赦なく食い込んでいった。
攻撃は有効。攻撃回数を増やせば、ケモノたちはその個体数を減らしていく。何十分の、または何百分の一という割合ではあるが。
「だからなんだってんだよコラァ!」
繰りかえす。
幾度となくこなした戦闘経験が"無駄弾"と吐き捨てるのが聞こえる。実際、この場にいる群れのすべてをひとりで狩り尽くすだなんてどだい無理な話だ。そも目的は時間稼ぎで、それだって達成したと言えるくらいには戦い続けている。
もし時間稼ぎが足りてなかったとしても、群れの弱点らしいヤツはフロースが抑えに行った。だったら帳尻は合うだろう。
つまり、ここで踏ん張っている意味は、もう、あまり無い。
……。
逃げるか?
「……───無ェな!」>>125
ガンッと鈍い金属音が響く。弾切れを起こした鉄の塊でブン殴った音だ。血まじりの空気に鉄の濃度が増していく。
このロクスロートが自分の命より大事とは言わない。あの教室であってもそれは変わらないし、そこにいる小煩い連中も変わりやしない。……ただ。ひとつでも胸くそ悪い結果が出れば、ここで食わせてやるパラチンタがまずくなる、それはよくない。
「結局やるしかねぇってことだよな」
嘆息。即、新たな火器を取りだす。
死ぬまでとは言わんが、まぁ、やるだけやってやろう。
「……んん?」
妙だ。
羊の数が不自然に少ない。
思いがけず自分が倒しすぎた……ということはないだろう。戦場で自他の戦力差を見極められないヤツの末路なんていくらでも見てきた。
なら、なぜ?
答えは羊どもの視線の先にあった。
視線を奪うモノがあった。
そこに"美"があった。
「アレは……」>>126
魔術っぽい、という間の抜けた感想が浮かぶ。
立つ。手をゆるくふって、靴を鳴らす。たったそれだけの所作のひとつひとつが輝くようで、それゆえに目を引く。人も羊たちも例外なく。
すでに羊の何匹かは、その2人に視線を向けるために足も戦意も止めていた。
その2人は教室でも何度か見た顔だ。
たしか……シャフリヤーナ・アスタムと、ローザ・ユスティングリー。そういう名前だった。知らぬ仲ではないが、緊急事態の考古学科に駆けつけてくれるような間柄でもないはずだ。
「なんでお前ら2人が、」
ここにいる? と、そう続けようとして、俺は間違いに気づいた。
2人じゃない。いくらでも来ている。
「吸血鬼さんの誕生日って聞いてきたのにぃ、どうしてこんなことになってるのぉ?」
「ルナさんならアルビオンの幻想種にモテモテでもおかしくないけど……」
「さすがに彼女でもそこまで顔が広いとは思えないけど。いやこうして招待状もらった身ではあるけどね?」
「あぁいやだいやだ、ほんと野卑だこと」
「まぁ、懐かしくはあるな。オレにとっちゃアルビオンの名前にロクな思い出はないが」
「待って待ってちょっと待って君たち。ここロクスロートよ? 今って外部からは封鎖中だったりするんだよ? どうやって入ったの? 」
「まぁまぁ、べつにいいじゃないのぉ」
「よかないんだよ!!」>>127
なんか紛れてきてたダグラスまで叫んでいる。
大きいのと小さいの。男と女。おそらく所属する学科もバラバラな連中。共通しているのは『ルナの知り合い』くらいのものだろう。
どう見てもまとまりのない連中が、ほぼほぼ力技だけで連れてきたのは……
「さぁ! さぁさぁさぁ!!! とくと目に焼き付けらませ!!! このわたくしが、淫蕩女王ことノルが!!! 本日の主役であるルナ・アードゥルの顔見知りたちをォ、連れてきて差し上げましたわよ!!!」
ああ、アイツか。アイツだな。なんてわかりやすいヤツなんだ。
だがおかげで、……とそう言うべきだろう。羊の群れは見るからに勢いを失っていた。
光線の魔術が射貫いている。墓荒らしの魔術が地を這っている。意味のわからんキメラ同士で張り合っている。なおも"美"が興奮を霧散させている。王の振るう槍が、なに容赦することなく向けられている。
部外者が紛れ込んでいるのは大問題だろうが、まぁ俺の考えることじゃない。
今はなにも考えずに、暴れてやろう。
「よっしゃおかわりをくれてやる!! まァだまだ味わってもらうぞコラァ!!」>>128
side-ジル・セレナード
"花"の挙動が変わった。
さまようように右往左往していた様子から一転、なにか目標を見つけたようにまっすぐ進む。
花弁が地を掴んだ。素人が乗った一輪車さながらに全身をゆらして、それでも倒れること花弁が回る、回る、回る。
駆けた。
大輪はタイヤのように。植物にあるまじき加速度で"花"が私たちから遠ざかる。
「そういうもんじゃねぇだろ花びらって!!」
「そうこともあるでしょう。霊墓の名が付くなら、なおさらに」
「どうあれ止めます。アレが次の死傷者を出さないとも限らない」
メスを投擲……イヤ、追いつかない。距離が開いては有効な手は皆無になる。
ならば詰めるだけだ、距離を、すき間を埋めるために両足へ込められた魔力だけに、集中する。
倣うようにして彼も走り出していた。ありがたい、この状況で手が届く人手はいくらあっても困らない。
少年と青年と、3人で並んで走る。
無人の街をただ走る。道といわず壁といわず突っ切っていく植物型の怪物を、ひたすらに追いかける。少年だけがすぐにバテはじめたのは想定外だったが。
幸いにも、そう間を置かずに"花"は止まった。>>129
「まぁたなんか来やがったぞぉ!!」
「ギャー!! キモいバケモン花ですわぁー!!」
次いで困惑まじりの絶叫と悲鳴。見ればあからさまな魔力反応をともなった者が複数。年若い者が多いことから見てあれは時計塔の生徒なのだろう。それもただ群がっているのではなく、あちらもあちらで戦闘行為のさなかだったらしい。人の群れの向こうに羊の群れが見えた。
アレも、アルビオンから這い出たものか。
ひどく間が悪い。二つの問題が同じフィールドに揃ってしまった、逃亡したルナのことも含めれば三つだ。なぜかと問いたくもなる。
アルビオンに縁ある者は惹かれ合うとでもいうのだろうか。どうせ考えたところで知りようもないし、学者然として解き明かす気は毛頭無いが。それでも重なる問題を前に愚痴りたくもなる。
───だから、知るよしもなかった。この場には『調教師』が残していった誘引の効果が広がっている。あくまで羊の群れにと調整されたそれが、まさか植物にも効いてしまった……などと。
"花"は、羊の群れへと向かった。
「ィィィ……ィ、ィ、ィ……!」
捕食していると思った。
実際は融合かもしれないし寄生という可能性もあるだろう。それでも自分の視界に映る光景は、食うものと食われるものでしかなかった。
あの羊の群れも一般的なイメージから大きく逸脱したケモノに見える。それでも、今なお成長を続ける"花"とは明確な差があった。>>130
また、羊は周囲の魔術師たちと"花"のどちらを狙うべきか決めきれずに。
それが決め手となった。
瞬く間にケモノたちの悲鳴が響いていく。
あたりの魔術師たちも困惑の声を上げている。
私のとなりに並んだ彼もどうすべきか決めあぐねていて、
……情けないことに、私もまた次をどうすべきか決めきれずにいた。
「ィィ、ィ、……、…………ィィィeeィィeeイeeeeイイeeeee!!!」
多くに見守られる中で、ついに"花"は盛大な産声をあげてみせた。
花と羊の嬌声が不気味な不協和音となって、無人の街並みを揺らしている。
もう一度言うべきだろう。花と、羊だ。……二種類の声が、一個の生命から発生している。
羊の群れを吸収した"花"はその全容を大きく変化させていた。
たとえば、四方八方へと伸びる触手には筋肉にも似た一本筋が通っている。
たとえば、節々には元は羊毛であったのだろう綿毛が生えるようになっている。
だが、それらに対してこの場にいる多くが、その意識の一割も向けられない。>>131
目を引くものは、上にあった。
一般的な植物の上下を入れ替えれば、上にくるのは根となるだろう。
根にあたる部位には『羊の群れ』がいた。ただし頭部だけ、と付け加える必要があるが。
率直に言って冒涜的な光景だ。まるで生け花かなにかのように羊の頭部が束になって鳴き声をあげている。所狭しとひとくくりにされた頭部の群れは恐るべきことに表情の差があった。
怒りと悲しみに二分されているように見えるが……見たままの現象が起きているなら、アレは頭部だけで生かされていることになる。身動きなど取れるはずもない"根"の尖端として。
「……むごいものですね」
人の手によるものなら鬼畜外道の所業と切り捨てて終わる。しかしながらアレの実行者はただの"花"だ。人の目から見た冒涜的な光景も、植物目線では効率的な吸収・成長でしかないのかもしれない。そこにあるかもわからない悪意を推し量るなど栓のない話だ。
「あんなのどうしろってんだ……」
「どうか冷静に。やるべきことは変わっていません。であれば物事を順序立てて解決に望むべきです」
「順序ったって、あのバケモン倒すだけだろ? ゲームみたく順番に弱点でも出てくるわけじゃあるまいし」
「それは前提条件です。本件の解決は『ルナの救出』という一点を置いて他にありません」
「……そりゃそうだろうけど、だからって対策とかあんのか?
「ありませんよ」
「……じゃあ、代行者だけのとっておきとか」
「異端滅ぶべし、という意思表示でよければ」
「……オーケーよくわかった。ステゴロでがんばろうか」
「同じ結論に達していただけたようですね。何よりです」>>132
side-ヨ■・ヘ■メ
どうしていつもこうなっちゃうんだろう。
どうしてルナちゃんはいつもいつも遠くへ行っちゃうんだろう。
どうして? どうして? どうして? ってそんなコトわかってるのにね。それこそどうして、だよ。わかりきったことをなんども確認するだけって飽きないの?
いいやわかるよ、そうしていたいよね。おなじ話とおなじ嘆きを繰り返すだけで悲劇のヒロインみたいな気分にひたれる。そりゃあしょうがないさ。誰だって似たようなコトしてるはずだよ。
まさに"今"がそうとも言えるかもな。とっくに答えがでた自問と、ただ悦を覚えるための自答。いやこれは実にいい趣味だと思うね、なんといってもコスパがいい。誰にも迷惑をかけたりしない。
ちがうよ、ちがう。だれかに迷惑をかけていたいの。だれかにワガママをきいてほしいの。自分の中だけに抱えこんで我慢するのはもうイヤだから。
そんなの好きにしろって話だ。どうせ乙女心なんて感情任せに並べた言葉の波、そこに跡づけたていの理屈でしかない。風の具合でどうとでも形を変えるし雨露だって流れ放題の落ち放題。ひとつのルールに当てはめようとするのが大間違いだ。
……なら、どうすればいいの?
……じゃあ、どうしようかって話だ。>>133
舌が言葉を乗せたがっている。
肺が溜息を吐きたがっている。
歯が苦笑に飽きたがっている。
骨が亀裂を見せはじめている。
喉が嗚咽を零そうとしている。
胃が悲鳴を融かしてしまって。
眼が本心を言えなくなった。
そんなヨ■・ヘ■メを───真府四方を、どうしようかって話なんだよ。
まるで脳髄(わたし)だけが悪いかのように言う。いつもはただの他人のクセに。我が物顔で間借りしてるだけの邪魔者のクセに。私の思い通りにならない私ばっかりで邪魔くさい。消えてしまえなんて言わないからみんなでどこにでも遊びに行けばいい。そして二度と帰ってくるな。
旅行とかいいね/うるさい。
旅はいいものだ/うるさい。
冒険は楽しいよ/うるさい。
ねぇ、どうして"あの子"にもそう言ってあげないんだい?/うるさいうるさいうるさいうるさい!
言えない言わない言いたくない言ってなんてあげないの。痛い思いも苦しい思いも危ない思いもいらないいらないいらないの。心配になるの不安になるのこわくてたまらないのさびしくてたまらないのどこかに消えてしまうことばっかりかんがえちゃうの。応援してあげたいのにがんばれって言いたいのにちゃんと見送ってあげたいのにいってらっしゃいって言葉だけでいいのにそれもできなくなってきた。もうわからなくなってきたのにそれでも泣きたいのはずぅっと変わらないから。
ルナちゃんはもう、冒険なんかに行かなくたっていいんだよ。
───ほんとうに?>>116
2部仕立てのシナリオにレイドにコラボ先のキャラ同士の掛け合いにと、個人的にはだいぶ満足なイベントでした(小並感)
平たく言ってお腹いっぱい
個人的にはちょうどハマってた歴史マンガでジョン王が出てくるくだりがあったのでまさかのFakeコラボでのジョン王登場にビビり散らかしてたのですわ
ブルターニュ花嫁異聞って言うんですけども
https://www.comic-ryu.jp/36077/
>>135
モンスター花がさらなるクリーチャーになってしまった…
花弁を車輪代わりに走り出した時は思わず噴き出しかけましたが、ほんと何でもありだなアルビオン産は(白目)
そしてヨモちゃんがいよいよ限界だァ>>136
正直アルビオン産なら何やらせても「やりすぎ」にはならないだろうという慢心があります。だって霊墓だから…
ヨモちゃんはね…そろそろいい感じになるといいね…
聖杯大会運営本部【リレー相談・雑談】#235
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