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数秒後、呼吸を整えたパーシヴァルが謝罪した。
「失礼、レディ。」
「いいわ。私も何か恥ずかしい事言っちゃったし。」
しかしアビゲイルとしてはどうしても言わなくてはいけないような気がしたのだ。好きという気持ちが伝わらないのはとても良くない事のような気がした。たとえ永劫の呪いが解けずとも。そこまで考えてアビゲイルは『今の自分は少し悪い子かもしれない』と思った。
「ねえ、パーシヴァルさん。」
「なんだい?」
「私、クンドリーさんのその後が知りたいの。お話をして下さらないかしら?」
「クンドリーとはこの後何も無いよ。この後は魔術師クリングゾールとの対決だけだ。」
「良いわ。だってクンドリーさんを操ってた悪い魔術師なんでしょう。ちゃんと決着まで知りたいの。」
本当は大筋の流れは本で読んで知っていた。でもせっかくなら本人の口から知りたかった。
「ではレディのご要望通り、魔術師クリングゾールとの対決のお話をしよう。」
パチパチとアビゲイルは拍手した。拍手し終えるとアビゲイルスリーティアーズに目を向けた。2段目にはまだスコーンが残っていたが、無視して3段目のケーキに手を伸ばした。そのままケーキを自分のお皿に乗せると、パーシヴァルの話に耳を傾けた。今日はもう少しだけ悪い子でいたいなとアビゲイルは思った。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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