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淡々とパーシヴァルが返すとアビゲイルは少し悲しそうに言った。
「魔女のキスはお嫌だったかしら?パーシヴァルさんは清らかだもの仕方ないわよね。」
「私は清らかではないよ。その証拠にその…正直なところ彼女の口付けは嫌ではなかった。」
パーシヴァルは一瞬だけ目を細めた。
「それはそれとして私は彼女の気持ちに気づくことはなかったんだけどね。」
「まあ、意地の悪い人!」
「ははは、そこは愚か者と呼んで欲しい。その代わり彼女を永遠の呪いから解放することができた。私が彼女にしてあげられたのはそれだけだった。」
魔女クンドリーは救世主を嘲笑ったという理由で永劫の時を彷徨うように呪いをかけられていた。その呪いをパーシヴァルが解いたのだ。世間的には充分なのだろうがなんとなくアビゲイルはモヤモヤした気持ちになった。
そこまで話すとパーシヴァルは紅茶を一口飲んだ。つられてアビゲイルも紅茶を飲んだ。なんとも言えない空気に耐えられずアビゲイルはスリーティアーズを見た。1段目はすでに空になっていた。スリーティアーズは基本的に下段から食べていくものだ。本音で言えばアビゲイルは3段目のケーキが気になっていたけど、2段目のスコーンに手を伸ばした。スコーンを食べながらふとアビゲイルは思った。
「でもクンドリーさんも欲が無いのね。」
「そうかい?」
「私だったら一度のキスで諦めないわ。好きな人が気がついてくれるまで。」
ゴホッと音がした。パーシヴァルが紅茶を飲み込もうとしてむせた音だった。同時にアビゲイルも自分が言ったことがとんでもなく恥ずかしい事に気づき顔を赤らめた。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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