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たわいもない話をしていると不意にアビゲイルが口をつぐんで目を逸らした。
「どうしたんだい?」
「えっと、気を悪くしたら申し訳ないのだけど…」
パーシヴァルが黙って次の言葉を待っていると、アビゲイルが口を開いた。
「パーシヴァルさんは魔女とキスをしたことがあるって聞いたの。その逸話って本当かしら?」
アビゲイルは不安そうに視線を彷徨わせた。そんな彼女をまっすぐに見てパーシヴァルは答えた。
「それは魔女クンドリーのことかな?私が魔術師クリングゾールと対決した時の話ならあっているよ。」
「そう…その魔女があなたのファーストキスって本には…えっと…」
話すうちにアビゲイルの声がだんだん消え入りそうになった。
「そうだね。その記述は間違っていないよ。魔女クンドリーは私が初めて唇を捧げた相手だよ。」
できるかぎり穏やかな声でパーシヴァルは話した。魔女であるアビゲイルにとっては『魔女の口付け』は特別な意味を持つのだろう。
意を決してアビーゲイルは言った。
「そのキスって“どう”だったのかしら?」
「“どう”とは?」
キョトンとしたパーシヴァルに対して、アビゲイルは顔を赤らめながらも説明した。
「えっと、ファーストキスだったのよ!その甘酸っぱいとか…くすぐったいとか…何かあったと思うの。」
「感想ということかな?そんなロマンチックな思い出ではないかなあ。期待に添えなくて申し訳ない。」
怪 文 書 ス レッ ド 3
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