>>655
「そういえばお前さん回復スキルを持っていたなあ。」
「ええ、聖槍ロンギヌスの槍の力でそれなりの治癒が行えるのですが…よくご存知ですね。」
少し驚いたパーシヴァルに対して、ナポレオンは気まずそうに言った。
「まあ軍略も任されるからな。味方の事を知るのは仕事みたいなものだ。気を悪くしたのならすまない。」
「いえ、そんなことはありません。ただ直接その話をしたことがなかったので不思議に思っただけです。」
「まあ今回の特異点じゃ俺の読みはイマイチだったがな。」
「そうでしょうか?特異点の問題を無事解決し、マスターは無傷で帰ってきました。これだけでも大手柄だと思いますが?」
「まあ、そういう評価もあるだろうが、俺としては思うところもあってな、色々と考えちまうんだが…おっと、湿っぽい話になっちまったな。治療の方を頼む。」
ナポレオンはそういってパーシヴァルを見た。パーシヴァルの方も何か言いたいことがあったようだが、それを飲み込み治療を始めることにした。
ナポレオンが大きく負傷したのは左腕側面と左脇腹だった。パーシヴァルは聖槍ロンギヌスを右手で握りしめた。
「傷の痛みは?」
「別になんともないな。」
その言葉を聞くとパーシヴァルはそっと左手を服の左袖に当て、祈りように目を閉じた。触れられたのはちょうど腕の傷口の真ん中あたりだった。パーシヴァルの手から淡い温かみのある光が溢れた。騎士というよりは聖職者みたいだな、とナポレオンは思った。
腕の傷の治療が終わり、次に腹部の治療となった。腹部に手を触れた瞬間、パーシヴァルが呟いた。
「これは酷い…」
「触るだけでわかるのか。」
「はい。大きい傷ほど魔力を消費するので、大まかな傷の大きさはわかります。ご無事で何よりです。」
再びパーシヴァルの手に温かい光が溢れた。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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