「まあ強くなること自体否定しないわ。でも名前とか逸話って大事かしら?」
タラスクとパーシヴァルの愛馬は何の事かわからずに揃ってキョトンとした。
「ナザレのイエスってわかるかしら?あなたの主人のパーシヴァルの聖槍やスキルの聖杯に縁のあるすごい人なんだけど。」
世にいうキリスト教の救世主であるが、カルデアでは多種多様な宗教の人間がいるのであえてキリストとも救世主とも言わなかった。愛馬はこくりと頷いた。
「あんなタラスクより賢いのね。」
「姉さん!」
「で、そのナザレのイエスは何に乗っていたと思う?ただのロバよ。名前の逸話もなんもないただのロバ。あの人ぐらいすごい人でも乗っているのはそんなものよ。馬ですらないわ。」
愛馬は顔を少し上げて聖女を見た。聖女もまっすぐに愛馬を見返した。
「納得したかしら?」
こくりと愛馬は頷いた。
「あ、ここにいたのかい。探したよ!」
少し離れたところから愛馬の主人であるパーシヴァルの声がした。
「あんたねえ、自分の馬の管理ぐらいちゃんとしなさいよ!迷子になってたわよ。」
「滅茶苦茶迷子でした。」
「申し訳ない。聖女マルタ、それにタラスク、我が愛馬の面倒を見てくださりありがとうございます。」
パーシヴァルは深々と頭を下げてお礼を言った。
愛馬は足取り軽く主人に寄り添って行った。聖女はその様子をしばらく眺めていた。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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