こほんと一つ咳払いをしてパーシヴァル卿が言った。
「今日はいつもより疲れた顔をしていたように見えたけど、何か大変なことがあったのかい?」
私は口を閉じて話すべきか悩んだ。あの明るいパーシヴァル卿を思うとネガティブな自分を見せるのは恥ずかしいと感じた。話すべきか逡巡しているとパーシヴァル卿が口を開いた。
「ここ最近の貴女はとても疲れているように見えてね。でも私はぬいぐるみだからなのもできない。この機会にせめて話だけでもと思ったのだけど、辛いのなら無理に話さなくていいよ。」
優しい言葉を聞いて私はポツポツ話だした。
「最近会社でうまく行っていなくて…先輩から怒られることも多くて…それでこんな全然ダメな自分がこれからやっていけるのかって最近そればっかり考えていたんです。」
「そうだったんだ。何もできずに申し訳ない。」
「そんなことないです。ぬいぐるみのパーシヴァル卿が声をかけてくれて嬉しかったです!私のこと大切に思ってくれる存在がいるってわかっただけで幸せです。」
パーシヴァル卿は突然私の肩を抱き寄せた重心が傾いて自然とパーシヴァル卿胸に顔を埋める事になった。
「貴女にそれほどまでに思われていたとは…私も貴女の思いを知れて幸せです。私はただのぬいぐるみですが、貴女は大切にしてくれた。話すことはおろか表情一つ変えることのできない私を。何もできない私にそこまでの価値があると言うのなら、日々頑張り一生懸命に生きている貴女が無意味で無価値なはずがありません。」
涙が自然と溢れてきた。嗚咽を噛み殺そうとしてもうまくいかず自然と声が漏れた。
「どうか忘れないでください。貴女を大切に思っている人がここにいることを。」
パーシヴァル卿の腕の中はとても暖かく、ただただ安心できた。ゆっくりと意識が微睡の中に沈んでいくのを感じた。
「Good luck!私はいつでも見ていますよ。」
そこで私の意識はプツンと消えた。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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