聖杯大会本戦統合スレNO.3

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  • 1リドリー陣営2019/08/05(Mon) 23:47:42ID:QxMTg3NTA(1/2)NG報告

    ・当スレッドはTYPE-MOON様原作Fateシリーズを題材とした二次創作作品をでもにっしょん掲示板利用者により共同制作したリレーSSを掲載するスレッドです。
    ・作品、設定作りの相談。参加者間の雑談は「聖杯大会予選会場」をご利用ください。
    ・次スレは>>950、又は>>970を踏んだ人がカテゴリー「その他」に建ててください。
    ・投稿前に混線を防ぐため投下の宣言並びに名前欄に作品タイトルを記載して下さい。また、確認の上他の方が投稿中である場合は少々時間を置いてからにして下さい。
    ※現在進行中の「Fate/TV SHOW~アイランド編~」、「Fate/TV the "SHOWt"」の2スレッドは順次統合予定です。掲示板利用者の方々には大変ご迷惑をおかけしております。
    ・まとめwiki :https://fatetv1830.wiki.fc2.com/

  • 2橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/08/14(Wed) 09:17:10ID:Q5MDU0NDI(1/5)NG報告

    九終です。
    >前971
    敵サーヴァントが動く。
    木陰から飛び出し、セイバーへ斬りかかる。その一連の動きは、獲物に飛びかかる肉食獣の如き俊敏さと獰猛さを持っていた。
    対するセイバーは冷静に攻撃の軌道を見極め、一歩下がる事で回避した。すぐさま放たれる肉食獣の連撃も、華麗な足捌きや体捌きで躱していく。そして獣に生まれた隙へ、抉り込むような突きを以って反撃する。
    「おっと」
    だが敵もさるもの。ひょい、と斜め後ろへステップして剣の直線上から退避した。そのまま下がり続け、始めと同じように森の中へ姿を隠す。
    セイバーはそれを追うべきか逡巡するが、マスターから離れるべきではないと直感的に判断する。
    「マスター、お気をつけて。何があるか分かりません」
    「ええ」
    短いやり取りの後、セイバーは空中にルーンを刻み、主へと防護を施す。防げるのは数撃だろうが、何も無いより遥かに良い。

  • 3橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/08/14(Wed) 09:17:50ID:Q5MDU0NDI(2/5)NG報告

    >>2
    ルーンを刻んだ後、四方八方へと気を巡らせ、僅かな物音や違和感すらも逃すまいと感覚を研ぎ澄ます。
    すると、カサリ、という音が耳に届いた。瞬時に音の方向を向くと、細長い物体が飛来していた。殆ど反射的に、それを剣で払う。真っ二つに両断されたそれは、木の枝だった。
    飛来物の正体を認識すると同時、先程と同じ方向から、続けざまに枝が投擲された。そして、その標的はーーーマスターへと変わっていた。
    「っ!」
    いくらただの枝と言えど、サーヴァントの腕力で投擲されれば、人間にとっては充分以上の脅威だ。ルーンの防護にしても、そう何撃も防げるわけでは無い。
    故にセイバーは、迫り来る天然の凶槍を迎撃する。マスターへ流れ弾が行かぬよう、細心の注意を払いながら。
    ーーー十を超える数を撃ち落としたところで、投擲者の位置を把握する。
    敵は樹上。太い枝に乗り、何本もの枝を小脇に抱えている。
    そして更に数本を叩き、一つの考えを実行する為の力加減を把握。
    (ーーー少し、曲芸を披露してあげましょう)
    剣の腹を用い、テニスのように枝を打ち返す。打ち返した枝は、次に迫る枝を割り、真っ直ぐに投擲者へと飛んで行く。

    ルキウスさんにパスします

  • 4橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/08/14(Wed) 09:20:20ID:Q5MDU0NDI(3/5)NG報告

    stageです。
    >前923
    彼が叫ぶ。
    縋るように、救いを乞うように、そしてーーー命ずるように。
    掲げられた右腕に、煌々とした光が灯った。その金色の光は次第に輝きを強め、電撃の様な音を放ち始めた。
    突如、光の色が変わる。
    ーーー神聖な金色から、邪悪な真紅へと。
    音もより激しさを増し、"それ"の出現を祝福する。
    ーーー右手の光が収束し、最後に一際眩い閃光を発する。
    騎士王を始め、この会場にいる多くの者が目を閉じた。そして、
    「来てくれたか……!クラレント!」騎士王の耳に、歓喜の声が届く。目を開くと、ヴィヴィアンの右手には一振りの剣が握られていた。赤い紋様の描かれたその剣は、騎士王にとって酷く見覚えのある剣だった。
    その剣を見た騎士王は、感情を無理矢理押し殺して呟く。
    「あなたは、そちらの味方をするのですね。ーーー"モードレッド"」
    押し殺された感情は、悲しみか、苦痛か。
    叛逆の騎士、モルドレッドを名乗る者。そして、今王の手を離れ、彼の騎士の元へ馳せ参じたクラレント。その二つが揃った光景は、騎士王に苦い記憶を想起させて止まない。一人、また一人と円卓から離れて行く彼等の、その背中を。

  • 5橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/08/14(Wed) 09:21:10ID:Q5MDU0NDI(4/5)NG報告

    >>4
    そして、思考が駆け巡る。
    (嗚呼ーーー私はきっと、卿らの王に相応しくなかった)
    全力を尽くしたと、そう弁解することは簡単だ。なにせそう自負できるだけの事はした。だがーーーだからこそ、思ってしまうのだ。アーサー(私)以外の誰かなら、もっと上手くやれたのではないか、と。
    全力を尽くした結果、祖国ブリテンの滅びを止められず、護れた物など何一つとして無かったのなら、自身は王になど相応しく無かったのだと。
    "王は人の心が分からない"ーーー騎士の一人、トリスタン卿にはそう言われたと、ふと思い出す。
    (全くだよ、トリスタン。私は分かっていなかったんだ。何一つ、これっぽっちも)
    正直、今だってよく分かってはいない。私に何が足りなかったのか、何が悪かったのか。けれどーーー
    (分かっていない、ということだけは、分かったんだ)
    ならば、何かを変えられるかもしれない。いや、変えてみせる。
    その決意と、いくつもの後悔を胸に、私は欲したのだ。あの永い永い眠りにつく前に。
    ーーーもう一度、もう一度だけ機会が欲しいと。
    「さあ、アーサー!これで勝負は分かるまい!この剣はお前に終わりを齎す象徴だ!ーーーお前の"運命"で、お前を討つ!」
    啖呵を切り、騎士王の元へ飛び込むヴィヴィアン。彼の振るうクラレントを、王はアロンダイトにて受ける。
    太刀を受け止める王の表情は、強い意志に満ちていた。
    (今、私には機会が与えられている。王として再び、ブリテンの滅びに立ち向かう為の機会が!)

  • 6橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/08/14(Wed) 09:22:10ID:Q5MDU0NDI(5/5)NG報告

    >>5
    本当に滅びを回避することができるのか。正しい道とは何なのか。その答えを、まだ自身は持っていない。故にまずはーーー
    (我がマスターの歩む道を、守って見せようじゃないか!)
    数瞬の鍔迫り合い。その後、力に分のある騎士王がヴィヴィアンを弾く。しかしヴィヴィアンも負けじと、自分から飛び退ることで態勢の崩れを最小限にした。
    続いて、騎士王がすかさず斬り込む。右手に握るアロンダイトで、横一文字に敵を断とうとする。ヴィヴィアンはそれを寸でで回避。更に後ろへ跳ぶ。
    しかし、騎士王はそれを見越していた。空いている左手に槍を呼び出し、敵の脚を抉るべく突き込む。ヴィヴィアンは皮一枚切らせて回避に成功。
    人間業では躱しきれない一突きだったはずだ。それを躱されたのならば、何か絡繰がある。
    (この舞台という空間、彼の騎士の名、クラレントの所有ーーーなるほど。モードレッド卿の力が少しばかり引き出されたとしても、おかしくは無いかもしれないな)
    今のヴィヴィアンには恐らく、英霊の力が僅かに憑依している。しかし、最早満身創痍の身体で、どこまで扱えるものか。
    「楽にして差し上げましょう。ーーー痛哭の幻奏(フェイルノート)」
    槍と剣を手放し、代わりに一つの武器を出現させる。
    それは弓のような形で、弓と呼ぶには奇怪な品だった。ーーートリスタン卿が用いた、竪琴の弓。この弓は、演奏するように弦を弾くことで、真空の刃を飛ばす代物。よく彼はこんな弓を作ったと、呆れつつも感心してしまう。そして、ここにこの弓を出現させられた事へ感謝の念が湧く。
    (いくら礼を言っても足りないな。こんな迷いばかりの、何もできなかった王へ、それでも力を貸してくれるなど)
    「ヴィヴィアン・ビリジアン。貴方は先程、我が宝具を愚弄した。その認識を改めさせよう。我が宝具ーーー『夜空彩る星の騎士』は、決して王の強権によって成り立っている物では無い。あの白亜の城に集った皆の、信念と忠義、人徳が織り成した奇跡だ」
    (そしてそれは、モードレッド。卿も同じだと信じよう。卿は卿なりの信念と忠義で以って、我が前に立ち塞がるのだとーーーならば、その忠義に応えよう。卿を凌駕する事で)
    王の指が、弓の弦を弾いた。

    以上です。委員会さんにパース!

  • 7ガイ・フォークス2019/08/14(Wed) 18:42:32ID:kzMjI5NTI(1/2)NG報告

    学校に着くと、突然たくさんの人に囲まれました。
    クラスのみんな、男子も女子も、見知らぬ先輩や後輩たちも。驚き半分、喜び半分といった様子で口々に、「大丈夫!?」「どうしてたの!?」
    私はわけがわからず面食らうばかりでした。

    「み、皆さんおはようございます!ちょっと、ええっと、風邪をひいて。もう綺麗に元気満々ですよ、お心遣いありがとうございます!」
    とりあえず挨拶。それから疑問を口にします。
    「・・・・・・それで、ええっと、何かあったんですか?」
    それだけで周囲からざわめきが起こりました。本当に何なんですか!
    ・・・・・・はっ!
    まさか、先日コンテストに投稿したネコちゃんの写真が休んでいる間に最優秀作品に選ばれて、私も学校のスターデビューですか!?練習しておいたサインをお披露目するときのようですね!

    「来野!!」
    「はい!すみません調子に乗りましたぁ!!」

    聞きなじみの鋭い声が飛んできて、私は飛び上がりました。
    声の聞こえたほうを見ると、レアちゃんとトワちゃんが人の輪を割って入ってきているところでした。
    久しぶりに会う親友たちの顔。これほど嬉しいところのことはありません。
    よくわからない状況にあって日常を感じられる人たちに会えたので、なんとなくホッとして、私は2人に向かって小走りで近づきました。

    「ふたりとも、お久しぶりです!いやあ、思ってたより長引いちゃって。レアちゃん、授業が始まる前にノートとかコピーさせて――」

  • 8ガイ・フォークス2019/08/14(Wed) 18:43:13ID:kzMjI5NTI(2/2)NG報告

    >>7
    伏神の続きです。
    以上です。レアさんにパス!

  • 9スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/08/14(Wed) 23:26:23ID:c2NTYxMzQ(1/11)NG報告

    フランス特異点回想シーン、投下します。
    最初の方は以前投下したものと同様のものです。

  • 10スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/08/14(Wed) 23:26:54ID:c2NTYxMzQ(2/11)NG報告

     王都近郊にある村に着いた俺は、村唯一の酒場に入る。
    此処は革命軍王都部隊との定期連絡用に設けられた革命軍アジト。
    いや、正確にはこの村自体に革命軍の息が掛かってるんだったな。

    「連れが一人遅れてくるから、二人分の料理と酒を頼む。ああ、安酒で構わない」

     前にデュマが言っていた通り、一番奥のテーブルでこう注文するという合言葉を使う。
    良い酒は王都に持ってかれて大半の地域には安酒しか残ってないのは周知の事実なのにわざわざ確認するのが合図だそうだ。
    そう心の中で確認している内に酒と、野菜のシチューと、肉団子が運ばれてくる。
    此処は王都に食糧を供給する為の村の一つ……故に、王国軍も簡単には滅ぼせない。
    だからこそ、小さいとはいえ肉料理を出す余裕はある。
    と、ここで扉が開いた。

    「来たか、寺田」

  • 11スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/08/14(Wed) 23:29:27ID:c2NTYxMzQ(3/11)NG報告

    「という訳で、あの醜女の思い付きでバーサーカーとして呼ばれたサーヴァント共は全て儂が斬った」

     寺田は相変わらず戦闘狂のようだ。
    その日の召喚を全てバーサーカーになるようにした女王によって、狂化によって長所を全て失ったイアソン等が喚ばれては王都で放し飼いにされたのもあるとはいえ、その日の内に全滅とはな。
    そう思いつつ肉団子を口に運ぶ……嗚呼、久しぶりの肉だ。
    何日か前に救った村で、青林檎と共にその日猟師が捉えた猪の丸焼きでもてなされたのが最後だったか。
    力を付けた所で、こちらも話をしよう。

    「こちらは、ハーゲンが敵将の小アイアスと相討ちになった。奴は王国軍でも有力なサーヴァントを次々と葬った猛将……武将としては俺のほうが強いとはいえ、惜しい奴を亡くしたものよ」

    「全くだ……うん?小アイアスなんて召喚されて……まさか」

     やはり、頭が切れる男だ。
    続けて話そうとした事にもう気付いている。

  • 12スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/08/14(Wed) 23:30:17ID:c2NTYxMzQ(4/11)NG報告

    「ああ、そうだ。マーシャルかガヌロンかは解らんが、王国軍もはぐれサーヴァントの勧誘を始めたらしい」

     革命軍の主力は俺達のようなはぐれサーヴァント……その一部が敵に回ればそれだけで革命軍は弱体化していく。
    それに、数が少ない代わりなのか女王が召喚するサーヴァントよりもはぐれサーヴァントのほうが強い傾向にある。
    故に革命軍は弱体化の一歩を辿っている。

    「それは……待遇に目が眩んだか」

    「そういう者も居るだろう。だが、中には革命の必要性がどうのとか、民には政治なぞ出来んとか……そんな言葉に踊らされた奴も居るだろうな」

    「世迷い言じゃな」

     その返事に苦笑し、酒を呷る。
    奴等の事を語るなら、酒でも呑まんとやってられん。

  • 13スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/08/14(Wed) 23:31:51ID:c2NTYxMzQ(5/11)NG報告

    「董卓でもまだマシだったと思える程に、この国は終わりに向かっている……だからこそ、新しい国が起こるのだ。それが駄目ならまた新たな国が……そうやってより良いものを目指すのが人の在り方よ。それが、解らんとはな……」

    「まあ、民を苦しめてころす事が目的の国ではな。だが、向かってくる奴全て儂が斬り伏せれば良かろう」

     ああ、こいつはそういう奴だった。
    張飛より頭自体は良くても、結論が大して変わらんとは……後で周りが苦労するぞ。
    だから、一つ助言しておこう。

    「もし、ああいう世迷い言をのたまう奴が居るならこう返せ、『この国に政(まつりごと)は存在するか?』とな。もしかしたら、道が開けるかもしれんぞ」

    「まあ、儂が覚えておったらな」

     まあ、大丈夫だろう。
    幾ら戦闘狂とはいえ、そこを間違える程愚かな奴ではあるまい。

    「さて、そろそろお開きとするか。生きてたらまた会おう」

     そして、俺達はそれぞれの戦場に戻った。

  • 14スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/08/14(Wed) 23:34:06ID:c2NTYxMzQ(6/11)NG報告

    以上です。
    時系列は王国側の回想シーンと同時期位。
    結局、このあと直接顔を合わせる事は無かったという……。

    乱世メンタルな関羽故にこんな結論。

  • 15レアの人2019/08/15(Thu) 22:50:27ID:kwNTYzMTA(1/5)NG報告

    >>7
    目の前にいるのはありえない人物だ
    だって写真だけを残して行方不明になったのだから

    (おかしいそんなはずはない…そんな都合のいい話なんてない)

    この世はいつだって弱者には残酷なのだから。
    まして魔術師に巻き込まれたのなら当然無事ではすまないはずだ。だから警戒しなければならない。これは罠だと思うから。だが自分の体は目の前の友人を力強く抱きしめていた。

    「来野!無事でよかった!」

    「わぶっ!レアちゃん痛い!」

    ああ…それでもこの数刻だけは素直に喜ぶことはしてもいいと自分に言い聞かせた。

  • 16レアの人2019/08/15(Thu) 22:51:09ID:kwNTYzMTA(2/5)NG報告

    >>15
    ―――――――――――――

    「で?しばらく風邪で休んでたって家の人にも言わずに?」

    しばらくして落ち着いた玲亜は来野にたいしての事情聴取をしていた。無事であったと喜びはしたがいまだに疑いは晴れていない。そもそも偽物の可能性だってあるから喜んだこと自体が間違いではあるのだが

    「そうそう。私急病で倒れて意識も朦朧とした上で適当に歩いてたみたいで途中で倒れて親切な家の人に看病してもらってやっと目が覚めたんだよ。それでやっと家に連絡してここに来たってこと。」

    「いや流石にそれは都合が良すぎるっていうかそんな漫画の話じゃないんだからね」

    「もー本当なんだってばトワちゃん!」

    この来野の証言について玲亜は判断をできかねていた。
    確かに不自然ではあるが内容として破綻まではしていない。加えて現在魔術師が紛れ込んでいるという状況だ。魔術師にとって一般人を巻き込んでしまった際は神秘の秘匿のために記憶をいじるということは珍しいことではない。今回の失踪の原因として魔術師を考えていたためこの不自然さについては納得ができる。しかし、魂食いを是とするような魔術師であるなら一般人を返すなどという穏便な方法はまず取らないだろう。そのたぐいの魔術師に巻き込まれていたとするならばそれは
    (来野を戻すことで得があるということ…つまりは油断させるためや情報収集。)
    であれば調べなければならない。本物か、あるいは危険な状況に来野が置かれていないかを。

  • 17レアの人2019/08/15(Thu) 22:52:01ID:kwNTYzMTA(3/5)NG報告

    >>16
    「レアちゃん?なんか難しい顔してるけどどうしたの?」
    「いえその来野の言ってることがどこまで信じていいのかってことを考えてたのよ。あなたの言うことって信用できないからね」
    「ガーン、ショック!ひどいよお!」

    来野が自身へ感情を向けたその時自身の魔術回路の一部を発動し押さえつけていた能力を発動する。この魔術は東雲家に伝わるものではない。玲亜自身がいつの間にか使えるようになっていた能力。自身に向けられた感情を感知して相手の思考を読む能力だ。しかし、この能力には欠点がある

    (うーん…やっぱり読めないわ。来野は対魔力が昔から高いのよね。)

    対魔力の高い相手にははじかれてしまうのだ。ノイズで声がまるで聞こえない状態というのが感覚としては近いと玲亜は思っている。

    (ノイズだけね…ただ…ノイズに混じって変な音も聞こえてるわね…ちょっと対魔力が下がってるのかしら?……近いのだと動物の唸り声…?)
    「レアー拗ねてるからフォローしないとまたしばらく来なくなるぞー?」

    都羽の声にハッと気づいてみるとどんどんと落ち込んでいく来野の姿があった。

    「もう冗談よ。まあ体調悪いなら気を付けなさいな。」
    「冗談にきこえなかったんだけど?」

    拗ねる来野。ああなんだかこの騒々しさがなつかしい。ほんの数日前のことだったと思うのにまるで数年も前のことのように感じる。とりあえずこの普段通りの感じからして偽物であるという可能性はないように感じた。あとは何か魔術で悪いことをされてないかの確認であるがこれに関しては自分が見るよりも監督役に任せた方がいいだろう。

  • 18レアの人2019/08/15(Thu) 22:53:00ID:kwNTYzMTA(4/5)NG報告

    >>17
    「まあまあそういわずに、そういえば来野。ちょっと耳貸して?」
    「ん?なにさ?」
    「そうそう、『放課後に教会にあなたは行きなさい』」
    魔力を込めて命じる。
    「……うん…わかった。……っとそういえば先生に呼ばれてたんだった!ごめんねレアちゃんトワちゃん。またすぐ後でね!」
    と暗示にかかった反応を返すといつも通りに戻り走り去っていく来野。
    「まあなんだ、元気そうでよかったね来野は。」
    うんうんとうなづきながら言う都羽。
    「そうね。」
    相槌を打ちながら次のことを考える。
    (軽い暗示をかけてみたけどあっさりとかかった。やはりこれは魔術師が化けてるということはないといってもいいの?でもとりあえず監督役に相談しないとね)
    「ごめんちょっと電話してくる。」
    そうして都羽と別れ携帯電話で監督役に電話をかける。
    「もしもし、ああ東雲のお嬢かどうした?」
    「さっき魔術師の手で行方不明になったと思われていた子が発見されたの。それで一般人の被害者としてその状態の調査と保護を申請するわ。放課後に教会に向かわせるから対応して。以上。」
    「は?おいちょっとま(ガチャリ」
    なにも反論をさせずに言いたいことだけ言って電話を切る。
    必要以上のことはあの監督役と話したくはなかった。
    玲亜の学園の長い朝はようやく終わろうとしていた。

  • 19レアの人2019/08/15(Thu) 22:53:30ID:kwNTYzMTA(5/5)NG報告

    >>18
    とりあえず学園朝パートはうちは終了です

  • 20ルキウス陣営2019/08/18(Sun) 08:57:35ID:EzNjQxNzA(1/4)NG報告

    うおおstageだぞー

  • 21ルキウス陣営2019/08/18(Sun) 08:57:49ID:EzNjQxNzA(2/4)NG報告

    >>20
    (青銅の乙女……青銅の乙女……)
    バーサーカー、タロスの中でそんなワードが駆け巡る。方喰のサーヴァント、アヴェンジャーはもうタロスに口を開く事はなく、ずっとマスターの傍らで無言を貫いている。
    (どったのタロスちゃん。どったのねぇ、どったの)
    (いえ、青銅の乙女、とアヴェンジャーは言いました)
    (うぅん言ったね。良いネーミングセンスだ、思いつかなかったよ俺……かぁぁ、咄嗟にクッキー出しちゃったけどもうちょっと段階踏むべきだったかなぁ)
    (マスター、乙女、だそうです)
    楽しげに語るカフカスに、タロスは上ずった声で言った。自身の中で、アヴェンジャーの言葉に対する返答が見つからない。
    乙女、確かにタロスという存在は女性として作られた。間違った表現ではない。青銅、それも確かだ。
    言葉にし難いむず痒さがあった。カフカスは何度もタロスの事を可愛いと言ってきたが、マスター以外の他人に面と向かって言われるのは、少しばかり感触が違う。
    (マスター、なんだかおかしな気分です)
    (どんな気分?)
    (とても、とてもムズムズします)
    (ふむふむ、人はそれを「嬉しい」と言う。タロスちゃん、嬉しいんだよ。人に褒められたのが)
    嬉しい、つまり、喜び。
    タロスを、恐ろしい機械ではなく女性と、乙女と認められた、その喜び。それがこの、ムズムズなのか。
    (乙女……嬉しい……私は嬉しい……?)

  • 22ルキウス陣営2019/08/18(Sun) 08:58:05ID:EzNjQxNzA(3/4)NG報告

    >>21
    「……彼女、固まっているが大丈夫か?」
    方喰が不安げな声色で尋ねてくるのも無理はない。カフカスの傍らに座るタロスは石像の如くピクリとも動かないだけでなく、双眸はじっと虚空を見つめたままでいる。時が止まっている、と言うべきか。
    カフカスはいやいや、と手を振り、
    「少しこのままでいさせてやってください。ちょっと、ホワホワしてるとこなんです。それより方喰さん、折角こうして同じテーブルについたんですからお話でもしましょう?たとえば、どうしてこの聖杯大会に出場したのか、とか」
    カフカスの問いに方喰は少しばかり口を閉ざし、
    「……特に、目的はない。息抜きでここに来た」
    「ははぁ、息抜きですか」
    「そういうお前こそ、目的はあるのか?」
    仮面越しに、方喰はカフカスを凝視する。得体の知れない道化師の腹の内を、探りたいと思ったのだろう。
    カフカスは頬を掻き、それから苦笑いする。
    「実を言うとワタクシも、方喰さんと似た様なものなんですよ。ああいや、方喰さんも息抜きなんていうんですから普段から大変なんでしょうけども。ワタクシ優勝してどうこうなんて考えてなくて……」
    「考えて、いない?」
    首を傾げる方喰にカフカスは頷く。
    「ワタクシ、ただのピエロですから。人を笑わせる事、喜ばせる事が大好きなんです。でも普通のショーだけじゃなく、もっと凄いショーもやってみたいなって。だから聖杯大会に出場して、サーヴァントと一緒にお客さんを喜ばせたいんです。なので、こうして大会に出場している時点で願いなんて叶っている訳なのですよ」
    「……分からん奴だ」
    かぶりを振る方喰に、そりゃそうだよな、とカフカスはまた頬を掻き、困った風に眉をへの字に曲げた。

  • 23ルキウス陣営2019/08/18(Sun) 08:58:30ID:EzNjQxNzA(4/4)NG報告

    >>22
    「ワタクシのショーでみんなが喜んでいる姿、好きなんです。子供が目を輝かせて、笑顔でいてくれる。ご両親に手を引かれながら、ショーのここが凄かったとか言いながら帰っていく。それを見ているとたまらなく嬉しくて。ちっぽけな事かもしれないけど、それでも誰かがワタクシのショーで元気になってくれるんだって」
    普段も饒舌だが、この時のカフカスは少し違っていた。つい熱が入って、自分の喜びと言うものを方喰にはっきりと表現したいと思った。それはきっと傍らのタロスが喜びに触れ、感情というものを確かに認識する姿を見たが故の行動だ。
    子供、ご両親。そう言っている時の方喰はほんの少しだけ、カフカスの話に耳を傾けている様だった。

  • 24愉悦部inクローディアァ!2019/08/19(Mon) 22:59:52ID:AzMTM3NDE(1/24)NG報告

    「ハァ……、ハァ……!」

     森の中、幼い少年が逃げている。そう、これは過去の夢だ。私――、ゲルトラウデ・アーレがサーヴァント:ライダーの過去の夢を俯瞰して見ている。
     その少年は自らの身を襲った不可解としか言いようがない現象に混乱しながら追手から必死の思いで逃げていた。齢にして10歳ほどか。
     事の発端は彼が先ほどまで東ローマ帝国の宮廷で人質として過ごし始めていたことに起因する。人質である以上死なれては困るし、狭苦しいとはいえある程度の保証を得て軟禁生活をしていた。ふと。そう、なんでもなく扉を開け中に入った先がい面森の中というものであり、自らが入ってきた扉も跡形もなく無くなり、途方に暮れながらも森に出て街道に出れば誰がしかにここが何処なのかを教えてもらえるだろうと当てもなく彷徨っていたところを野生の狼の群れに遭遇した、というだけの話。
     これでも王子として剣の手解きは受けていた、はずだった。しかし、異様に強い狼達に負傷を許し、逃走を余儀なくされていた。

    「どうして、どうして僕がこんな――、うわっ!?」

    ぬかるんでいた地面に足を取られ、近い狼達の遠吠えを青ざめた顔で振り返りながら保々の体で木の元まで這いずり、とうとう包囲されてしまう。

    「ッ……!――、――?」

    飛び掛かられ、もはやこれまでかと頭を押さえたものの、少年はいつまでもたっても来ない痛みに疑問を抱く。そして。

  • 25愉悦部inクローディアァ!2019/08/19(Mon) 23:00:47ID:AzMTM3NDE(2/24)NG報告

    >>24
    「おい」

    声が聞こえ、顔を上げる。

    「生きてるか。坊主」

    半ば白髪が生えている壮年の男が狼達を瞬く間に切り倒していた。それに対し、なんとか返答を返し、差し出された手を取り、握り返す。

    「それで、お前さんの名前は何なんだよ。小奇麗な身なりをしておきながらあんな森にいるなんてなぁ」

    「……僕を、本当に知らないのですか」

    ひとまず野営を取り、火の番をしながら男が問いかける。

    ここがベルンであると知って、自分の父が治めている国であり、聞いた話ではまるで知らない他人が治めていることを知って。ならば、と。ここで法螺話にしかなりはしない本来の
    名を明かした所でより信用されなくなるだけだ。なら。

  • 26愉悦部inクローディアァ!2019/08/19(Mon) 23:00:58ID:AzMTM3NDE(3/24)NG報告

    >>25
    「……ディートリッヒ。それが僕の名です」

    「――はぁん。ま、いいさ。行く当てなんざないんだろう?なら俺の所に来るがいい。最も、ただで面倒なんか見る気は無いが、な」

    眼鏡の奥で瞳を細めながら何やらほくそ笑むように口元を緩めながら自らの元に来ないかと誘いをかけた。

    ――これが、一つ目の運命。

    「ん……」

    眠気を覚ますように声を上げながらゲルトラウデは目元を擦りつつ上半身を起き上がらせる。

    (朝から嫌な夢を見た……)

    かつて失ったものを取り戻そうとするのではなく、縁を切る為に聖杯を求める。理解が出来ない。
    昨夜喰われた肩を擦る。止血をし、専用の塗り薬を処した程度で本格的な治癒魔術などはしていないが、今はこれで十分。
    さて。今日はどう行動するか――。

  • 27ルキウス陣営2019/08/21(Wed) 22:55:39ID:g5MTk3ODg(1/5)NG報告

    >>3の続き行きます!

    「ひひひひひひ、ひぃひひひひひ!」
    笑みが止まらなかった。腹の底から湧き出すこらえきれない衝動と欲望が、声となってアサシンから漏れだす。
    森林に潜むその体躯は、ヒトのカタチこそとどめているが実質獣のソレに等しい。まるでそれが本来の形であるかの様に四つん這いになりながら、アサシンは自分めがけて飛んでくる木槍を素手で掴み取ってみせる。
    「ひぃひひひひひ、ヒャハハハハハハ!弾きやがったなオレの槍ィ!おもしれぇ、おもしれえじゃねぇかよォ!」
    アサシンにとって、自分以外の全てが獲物と言えた。壊し、犯す。彼からすれば他人とはそのまま「自分とは違うナニカ」でしか無い。だから壊す事に少しの躊躇も無いのだ。
    木々の合間を駆けながら、マスターである少女を守りながらアサシンの攻撃を受け続ける敵サーヴァントを見据える。獲物からしてセイバーであろうという事は察せられる。
    「ひひひぃ、健気だなぁオイ!マスターを守る為にそこから動かねぇのかよ!でもよゥ、それってつまるところ、か弱い女の子を助けにくる正義の味方でも現れねぇ限りよォ!」
    木の幹を足場に跳躍。セイバーの頭上を飛び込えつつ、研ぎ澄まされた木槍を投擲する。セイバーはまたこれを剣の腹で受け止め、アサシンへと弾き返してくる。
    「ずゥッとこうしてよォ!俺様にマスター狙われながら戦わなきゃいけないんだぜぇ!楽しみだよなぁ、テメェがマスター守り切れなくなるその瞬間ゥ!」
    また、槍が弾かれる。返答一つせず、鉄面皮を貫き通すセイバーにアサシンは舌打ちしつつも、このままでは自分も危ういという事に苛立っていた。
    こうして槍を投げ続けても、膠着状態が続く。ジリ貧となれば、セイバーがいつ畳み掛けてきてもおかしくは無い。
    「アアァ、早くぶっころしてぇなテメェら!特にその後ろで縮こまってる女が特にィ!柔らかそうな身体してるじゃねぇか、真っ赤に染めてやりてぇなぁぁ!!」

  • 28ルキウス陣営2019/08/21(Wed) 22:56:05ID:g5MTk3ODg(2/5)NG報告

    >>27
    畳み掛けるのなるば、それはセイバーが先であってはいけない。戦いの主導権を得ねばならないのは、地形を利用して戦えるアサシンだ。
    持っている槍を全て投擲してセイバーの気をそらし、その隙に地上へと降り立つと、アサシンは傍らの樹木の幹に腕を突き刺した。
    「ギギギギギィィィィ!!」
    獣の咆哮と呼ぶべき絶叫をあげながらアサシンが力を込めると、大地に張られた根は容易く引き剥がされ、5メートルはあろうかという木は即席の槍となった。
    サーヴァントに筋力をもってすれば、樹木程度ならば容易く引き抜ける。高ランクの怪力クラスを持っていれば尚のことだ。
    「死んじまえよォォォォォオォ!!!」
    マスターを守るべくセイバーがアサシンの前に立ちはだかる。だがアサシンからすればどちらでも良い。このジリ貧を打開するに必要なのは驚きと、焦りと、そして勢いなのだ。
    細身からは想像もつかないほどの力強いフォームと共に、アサシンは木槍をセイバー目掛けて全力で投げつけた。
     

  • 29委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/24(Sat) 13:26:25ID:U3MjY1NzY(1/9)NG報告

    アメリカ合衆国ネバダ州スノーフィールド市を舞台にした第一回聖杯大会の続きで御座います。長々とお待たせしました

  • 30委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/24(Sat) 13:28:49ID:U3MjY1NzY(2/9)NG報告

    アメリカ合衆国ネバダ州スノーフィールド市で行われる聖杯大会、その模様を複数箇所、リアルタイムの映像が壁一面に設置されたモニターに映し出されている。
    今も聖杯大会運営スタッフが30人近く詰め込まれ中継映像の選定や各所への対応などに追われている。
    そして多くの人間がサーヴァント同士の異次元の戦い、その趨勢を見守る中、唐突な着信に誰もが面食らった。
    全員が全員、同じ画面を注視していた訳ではない。故に電話を掛けてきた張本人…朽崎遥が今なにをしたのかも画面越しに把握しているスタッフも勿論いた。
    それは令呪そのものを魔力資源としたサーヴァントへの支援である。宝具などの使用で大量に魔力を必要とするなど過去の聖杯戦争のデータや以前に開催された聖杯大会でも何度か見られた使用例でもある。だが

    「リタイア…だと……!?」

    そもそも令呪とは何か。かつて冬木の地で興った魔術儀式「聖杯戦争」に於いて始まりの御三家と呼ばれる大家のひとつ、間桐家が生み出した大魔術……その効果は聖杯により呼び出された規格外の召喚獣、人類史に刻まれた功罪が落とした影、サーヴァントに対する絶対の命令権である。
    聖杯戦争に参じマスターとなった者は三回だけという制限はあるものの、この命令権があってこそ従者の主人でいられるという仕組みだ。
    中には令呪に対抗できるサーヴァントもいるとのことだが……マスターの意に沿わないサーヴァントの行動、、暴走を抑制するために生み出された魔術である。
    そして、神代古代の大英雄を意のままに操る力を秘めた令呪はそれそのものが莫大な魔力の塊でもある。
    つまりこの絶対命令権をすべてサーヴァントのために費やすということは指揮権の放棄に他ならない。暴走を看過するという事だ。

    リタイアだって    バーサーカーはどうするんだよ
      こんな時所長はどこ行ってるんだ       オイオイオイ
    ヤバいってコレ   ここから必殺の超宝具発動じゃないの
     救急ならスタンバイできてますけど

    ーcont.ー

  • 31委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/24(Sat) 13:31:33ID:U3MjY1NzY(3/9)NG報告

    一気に騒然とした中でキャロライン・ブロックは所長代理として決断を迫られる。
    そもそもが大会規則において降参を申告する場合はサーヴァントの自害を以って成立される。当然だ。制御不能になったサーヴァントを野放しにしたままで何がリタイアなのか。
    だがここで断ればコイツがいったい何をしでかすか…………
    そこへスマートフォンに着信が入る。[Nicolas]の表示に思わず手に取った彼女は第一声にどんな悪態を吐いてやろうかと一瞬考えた故に先手を譲った。そして言葉を失った。

    通話を終えた所長代理は決断する。否、決定を通達する。「バーサーカーのマスター、朽崎遥のリタイアを受理しなさい」と。



    「クッ……埃及のふぁらおと言ったか。確かに凄まじい、が。これでは助太刀も成らんぞ」

    宝具『トゥト・アンク・アメン』により砂嵐と化したツタンカーメンがザッハークに襲いかかる!
    本来三月のアメリカ合衆国、ネバダ州は快適な季節であるのだが……そんな事も忘れさせる熱砂が!熱風が!邪智暴虐の人竜を襲う!!
    もはや助勢など不要と言わんばかりの攻勢は后羿、山中鹿之介、アイエーテスの三騎を、そして背を向け走る蓮見静香と小脇に抱えられたクローディア・スチュアートを確実に分断した。
    嵐の只中にひとり取り残されたザッハークはこれを引き裂かんと攻撃する。それは対城クラスにも分類される大規模攻撃を可能とする宝具『クリンタ』による魔力砲撃。
    だがその何れもが嵐の中に消える。それだけだ。
    手応えがないと分かると一転、大跳躍を試みる。それは魔力放出を用いた人ならざるサーヴァントの全力跳飛。だが、だがだが!

    「無駄だ、蛇よ。この姿の余に貴様の攻撃は通じぬ。そして逃さぬ。貴様はここで朽ち果てよ!!」
    ーcont.ー

  • 32委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/24(Sat) 13:32:58ID:U3MjY1NzY(4/9)NG報告

    嵐の壁に弾き返され地面に叩きつけられるザッハーク。身体中には大小様々な傷から血が流れている。

    「へっ……面白え!だがな、殺りようは幾らでもあるんだよ!」

    常人では、並みのサーヴァントではもはや立つ事すら不可能であろう神砂神嵐の集中攻撃を受けながらも立ち上がり不敵に嗤うザッハーク。嵐の中で負った傷は既に癒えている。
    構えた両の掌に渦巻く邪悪なる魔力の奔流は次第に形を変え取り巻く砂嵐に向かって飛翔する!

    「アメン=ラーの化身たる今の余にその程度の攻撃、なんど繰り返そうと…」

    広げた掌を握り拳を作るザッハーク。それを合図に砂嵐の中に消えた魔力の矢が

    「『クリンタ』はこう使う!!」

    掛け声と共に爆裂する。だがそれがどうしたというのか。もはや肉体という実体のない自分相手になんの意味があるのか。
    そう思った。思ってしまった。この時、もし相手の意図に気付けていれば回避する手立てもあっだろう。

    砂嵐の勢いが徐々に弱まっていく。収束していく渦の中心に膝をつき肩で息をするツタンカーメンの姿が少しずつ形成される。

    「貴様、いったい…なにを………」
    ーcont.ー

  • 33委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/24(Sat) 13:35:53ID:U3MjY1NzY(5/9)NG報告

    「へっ、良いぜ。教えてやる。テメェが喰らったのはな、毒さ
     テメェは確かに嵐そのものになったんだろうよ。それじゃあ当てられやしねえよなあ…
     だがな、 避けることも出来無くなっちまったんだよ。」

    肌には青黒い線が浮き上がり病苦どころではない苦しみようだ。

    「なぁツタンカーメン? 悲劇の少年王? んん?
     二十も生きてない小僧と俺様じゃあ頭の出来が違う訳よ。分かる?
     千の魔術を操る俺様とォ、ひとりで戦おうなんざ思い上がりだったなア!!」

    ツタンカーメンの腹部にザッハークの脚撃が叩き込まれる。

    「余の、名前を……」
    「……まぁなア。つーかあの黄金のマスク見たら誰だって分かるだろうよ。
     ファラオが聖杯に何の様だと思ったが、テメーあれだな?行けなかったな?死後の国っ奴に。
     お歴々は神王から神霊に召し上げられちまったせいで聖杯戦争にゃ呼ばれねえっつうじゃねえか。
     でもよぉ、生半な奴は…いわゆる現世に未練を残してって奴だなぁ!」
    ーcont.ー

  • 34委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/24(Sat) 13:36:27ID:U3MjY1NzY(6/9)NG報告

    「よくもまぁペラペラと……」
    「おっと、ああそうだな。まだまだ最悪を見せなきゃいけねぇ奴がごまんといるんだ。構い過ぎちゃ
    「そこまで、知ってる、なら……十分だ」
    「あァン?」
    「『秘匿せざる者の死/アルム-ト ジャナ-ヒ-ヤ アレイク』」

    『王の紋章』に続く宝具の連続解放。それは血を含む唾であった。だが必中致死の絶矢となりザッハークの額を貫く。
    そして白目を剥き仰向けに倒れるザッハークに目もくれず立ち上がりその場を去ろうとするツタンカーメン。うわ言のように何かを口にするが判別できた者は居ないだろう。その呪毒に侵された身体は足取りすら不確かだ。数歩、1mも進まない間に俯せに倒れ込んでしまう。
    顔面から突っ伏し大きな音がすると同時に嘲笑が響いた。

    嗤いと共にゆらり、立ち上がったザッハークはやはり傷ひとつない。確かに脳天を貫いた筈なのに。

    「だから言ったろうがぁ! テメェと! 俺とじゃあ! デキが違うってなア!」
    ーpassー

  • 35stage讐陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/08/24(Sat) 21:36:45ID:Y5NTE4NjQ(1/2)NG報告

    短いですがstage更新でーす

    『どう思う?アヴェンジャー』

    カフカスの話に相槌を打ちながら念話でアヴェンジャーに問いかける。

    『ふむ、悪人ではなさそうだ』
    『なるほど、「悪人ではなさそうだがこれが演技だとすると相当の手練だから完全に警戒を解くのは早い」といったところか?』
    「む…」

    アヴェンジャーの言葉の意図を読み解いた菫にアヴェンジャーが小さく声を上げる。

    『どうした、そんなに驚いて。私に考えを読まれたのが意外か?』
    『そう…だな…』
    『しかし前情報無しにお前がそんな評価を下すとはな。あの噂はデマではないのかもしれないな』

  • 36stage讐陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/08/24(Sat) 21:36:58ID:Y5NTE4NjQ(2/2)NG報告

    >>35
    『噂とは何だ?』
    『詳細は分からんが聖杯戦争に参加して生き延びたらしい。大会のようなレギュレーションも無い聖杯戦争にな。故に一部では「聖杯戦争を生き抜いた狡猾な男」とも言われている。そういえば時計塔にも似たような評価の男がいたな』
    『ふむ、成程な…』

    アヴェンジャーがカフカスの顔をマジマジと見詰めると少々困惑気味にカフカスが首を傾げる。

    「あのー、ワタクシの顔に何か?」
    「いや、何でもない」
    「アヴェンジャーはピエロというものに馴染みが薄いそうだ」

    菫のフォローを聞いたカフカスがぱっと顔を明るくする。

    「そうでしたか!でしたら是非ワタクシのショーをご覧になってください。きっと笑顔になれますよ」
    「うむ、では次の機会を楽しみにするとしよう」

  • 37第一回槍陣営◆2qny/qsKfA2019/08/24(Sat) 21:47:25ID:QzMjg1MjA(1/36)NG報告

    >>34
    「まだ耐えるか、狂獣……!」
     砂嵐が晴れ、視界が開ける。
     その先に見えた光景に、遠間より様子を伺うのみだったランサーは舌打ちした。
    (先の攻撃とて尋常なものではない。仮に拙者が呑み込まれておれば、なす術もなく討たれていた。だが、こ奴は――)
     こちらに背を向け、哄笑し続けるその姿は一見隙だらけのようでもある。だが、ランサーは一歩も踏み出せずにいた。
    『近づけば殺.す。死にてえのなら踏み入れてみせろ』
     言葉もなく、総身で放つ無言の威容。かつて熱砂の大地に在り、暴政をもって民を虐げ続けた王者の圧力はそこにいるだけで戦場の脅威と成る。
     加えてランサーはあくまで近世の英霊。いかに修羅場を潜り抜けたと言えど、神代に君臨したバーサーカーを仕留めるには到底及ばない。
     それを知ってか知らずか、悠然とバーサーカーは満身創痍の乱入者に迫る。そのまま、右の拳を大きく振り上げた瞬間。

    「――させませんよ、暴君」

     上空から、左右から、そして背後から。
     あらゆる角度で光条と化した矢が放たれ、バーサーカーに降り注ぐ。

  • 38第一回槍陣営◆2qny/qsKfA2019/08/24(Sat) 21:47:54ID:QzMjg1MjA(2/36)NG報告

    >>37
    「チィ……そういや、手前もまだ残ってやがったな!」
     バーサーカーも黙ってはおらず、乱入者よりもう一人の――そして、本来のアーチャーに標的を変える。
     自らに向け放たれた無数の矢。その全てを再び宝具をもって吹き飛ばした。
    「ハッ! 馬鹿の一つ覚えがいつまでも通じるかよ! このまま、森ごと跡形もなく吹っ飛ばして――!?」
     口上の途中、バーサーカーの身体に衝撃と苦痛が走る。
     見下ろせば、背中か右腰にかけ槍が突き刺さっていた。大した業物にも見えない、素朴な拵えの長槍。
     舌打ちしつつ、バーサーカーは引き抜こうと手を伸ばす。
     だがそれより早く、投擲者たるランサーの声が響き渡った。

    「『槍よ、我が七難八苦に応えたまえ』――爆ぜよ、我が愛槍!』

     振り返れば、拝むように両手を合わせたランサーがいた。
     そしてその両手より、魔力が槍へ流れ込み――次の瞬間、盛大に槍が爆散した。
    「グッ、ガァアアアアアア!!」
     最早人のものとは思えぬ絶叫を上げ、悶絶するバーサーカー。
     内側からの爆発は、見事にバーサーカーの肉体を吹き飛ばしていた。腹部に大穴が開き、常人であれば即死する程の致命傷。
     そう。相手が常人であったならば。
    「こっ、のっ――ク.ソガキがぁ!」
    「ぬうっ!?」

  • 39第一回槍陣営◆2qny/qsKfA2019/08/24(Sat) 21:48:25ID:QzMjg1MjA(3/36)NG報告

    >>38
     右腕を振るい、ランサー目掛けバーサーカーは衝撃波を放つ。
     衝撃波自体は大した威力ではない。しかし、圧力に負けバーサーカーより大きく引きはがされてしまう。
     その間にもバーサーカーの肉体は急速に再生・回復が進められており、先の傷が塞がりかけていた。
    (何たる迂闊か! このままではせっかくの好機が)
     己が失態に舌打ちしつつ、ランサーは再度距離を詰めようと跳躍しかける。
     が、その直前。彼の意識は新たな気配を捉えた。
     先の砂嵐と同様、あるいはそれ以上の尋常ならざる魔力圧。
     それは、バーサーカーがいる場所からさらに奥より漂っていて――



    ここでまたパスします。次は監獄長さんという事で

  • 40委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/25(Sun) 14:08:22ID:g2ODg1NTA(7/9)NG報告

    stage、ヴィヴィアンvsオズの続きを投下します。とても短いです

  • 41委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/25(Sun) 14:09:42ID:g2ODg1NTA(8/9)NG報告

    >>6
    手にした宝剣、クラレントに魔力を送る度に赤色をした雷が迸る。
    これが伝説に謳われた王殺 しの魔剣……ッ!! これならば!
    運命は我に味方したと強気になったヴィヴィアン・ビリジアンは脇目も振らず一歩踏み出そうとする。
    だが見据えた先のアーサー王は悠然と

    (なんだアレは? 竪琴、か?)
    「響け、『フェイルノート』……」

    それは如何なる魔技か、音波は不可視の斬撃となり不忠の騎士を襲う。

    「あ、ガアア?!!!?!!」

    咄嗟に身を守る様に構えたクラレント、それが苦痛の声に呼応する様に赤雷を周囲に飛ばすが音の攻撃を全て防ぐことなど出来はしない。
    鎧を失った今のヴィヴィアンには苛烈過ぎるダメージだ。

    ーcont.ー

  • 42委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/08/25(Sun) 14:10:29ID:g2ODg1NTA(9/9)NG報告

    >>41
    (何かは分からないが、、守っていてはやられる……!)

    空高く叛逆の騎士の象徴たる剣を掲げる。

    「ここまで来たんだ……このままハイそうですかと負けるつもりはないんだろ。……モルドレッド!!!」




    とうとう幕引きも近い。■■■■■■■■■は立ち上がる。満身創痍の身体だがその事を感じさせない余裕のある動きだ。


    さあ、仕上げをはじめましょう。

    ーpassー

  • 43ガイ・フォークス2019/08/26(Mon) 23:23:26ID:U3MzQ3MzA(1/4)NG報告

    伏神の続き、投稿します。

  • 44ガイ・フォークス2019/08/26(Mon) 23:24:27ID:U3MzQ3MzA(2/4)NG報告

    >>43
    おもわず短く口笛を吹いた。

    ここがあの素敵な館だった場所か!ミルテの花とバラで満たされた庭は見る影もなく、部屋はまるで十匹の鳩に突かれた雀のようなありさまだ。彼女はどうやら相当なダイヤのクイーンらしい。

    真面目な少女に手を伸ばすのも悪魔の務めと、初日に会ったお嬢さんの生家を突き止めてはみたものの昨日は全く行き会えず。
    それならばと続けて2日目訪れたが・・・・・・荒れ果てたという言葉すら生ぬるい、徹底的に破壊された様子に、逆に感心を覚えた。
    いや、まあ、全力を出させないための精神攻撃としてはそれなりに効果的なんだろうけどさあ・・・・・・なかなかないぜ?悪魔すらドン引かせる奴らがこれだけ集まる町ってのは。

    ひとしきり見て回ったあと、どうやらこれは帰ってくる見込みは無さそうだと判断してリビングから立ち去ろうとしたとき、背後から錆びた蝶番のような声が飛んできた。

    「あれぇ、先客がいんじゃん。ブンブンハロー!このイカれた世界へようこそ!!」
    「なっ――!?」

    慌てて振り向く。
    いつの間にか、薄い月明かりに照らされた窓に、真っ黒なレインコートに身を包んだガスマスクの人物が座っている。
    気配もなく現れたそいつに、俺は警戒するよりも先にしばらく目を奪われた。
    おお、ちょっとサインが欲しいかもなくらいに見本のような怪人だ・・・・・・!

    怪人はケケケと笑いながら、こちらの反応を全く気にすることなく(あるいは、いかついマスクで表情がわからないためそう思ったのかもしれない。)、十年来の友人のように近づいてきた。

  • 45ガイ・フォークス2019/08/26(Mon) 23:24:53ID:U3MzQ3MzA(3/4)NG報告

    >>44
    「おお、よく見たら同類じゃん。ヘイ、アミーゴ!あんた一体どこ産?クラスどこ?じゃなかった、何のクラス?――わわわ、ストップストップ、撃たないでプリーズ!ああでも、銃を向けてるっていうことはアーチャーか」
    「・・・・・・それがどうした?」
    「あんた、アーチャー。わたし、アサシン。お互い人外っぽい感じの上に、クラスの最初の一文字まで一緒じゃん。これはミラクル、ハプニング。運命感じちゃう!」
    「いやいや、さすがに同類にするなって。ちょっと複雑な身の上であることは自覚してるが、お前ほどじゃないわ。煙で満たされた杯でも、面白半分に飲み干す質だろお前」

    そういいながらも、俺はこの変人にどことなく親近感を覚えていた。
    それは、これまで会ったどのサーヴァントよりも『こっち側寄り』の存在だと感じていたからかもしれないし・・・・・・単にここ数日で珍獣に会いすぎて耐性が付いているからかもしれなかった。
    そんなこちらの気持ちを知ってか知らずか、怪人は俺の音楽プレイヤーをさっと奪うと、さも当然かのように肩に手を回してきた。
    そして、それを顔より少し高い位置に構えると――

    カシャァ!

    「そう言わないでさ。友人も被害者も多い方がいいっていうじゃん。実際、なんか仲良くやれそうだし。しょうがない、本当は家主の絶望顔を見てひとしきり笑いたかったけど、おいしいところは友情の証に、あんたに譲るぜブラザー」

    音楽プレイヤーをひょいと投げてよこした次の瞬間、アサシンは影も形もなく消えていた。
    ・・・・・・なんというか、未知との遭遇っていう感じだ。
    端末には一枚の写真。姿も思い出せなかった怪人と俺が肩を組んでいる。そしてその下には鮮やかな色の文字で「ズッ友(はぁと)」の文字。
    この出会いはビールの後のワインか?それともワインの後のビールか?
    まだ明らかではないが、言えることはただ一つ。どちらであっても、グラスを満たさなければ酒は飲めないってことだ。

  • 46ガイ・フォークス2019/08/26(Mon) 23:25:10ID:U3MzQ3MzA(4/4)NG報告

    >>45
    以上です。

  • 47ルキウス陣営2019/08/28(Wed) 11:07:30ID:A1ODk2OTI(1/3)NG報告

    stage更新です

  • 48ルキウス陣営2019/08/28(Wed) 11:08:04ID:A1ODk2OTI(2/3)NG報告

    人だ)
    カフカスは満面の笑みで何度も方喰へと頷いては料理を口に運ぶ。嬉しい気持ちの時に食べる料理ほど美味しいものは無いのだ。
    きっと方喰とアヴェンジャーの前で楽しいショーをしよう。そうして彼女が笑顔になってくれる事がカフカスの全てなのだ。
    (マスター、嬉しそうですね)
    ようやく意識を取り戻したタロスは、ウキウキなカフカスに声をかける。今日一番の嬉しそうな笑顔をしているのだ。
    (そりゃもちろん。誰かを笑顔にする事って凄く嬉しくて、生き甲斐を感じるんだもの)
    カフカスが方喰に言っていた事(硬直していたが聞いてはいた)を思い出す。
    「誰かがワタクシのショーで笑顔になってくれる」
    (マスター。誰かを笑顔にするのは、楽しい事なのですか)
    (うん、楽しい。凄く楽しい。いつかタロスちゃんにも教えてあげるよ!)
    タロスは自分の両手に視線を落とし、肌色に塗られたその下の青銅の肌をじっと見つめた。
    何人もの人間を屠った、血で染まった両手。
    こんな手で、こんな自分で、誰かを笑顔にする事など出来るのだろうか。
    タロスはマスターに尋ねたいと思った。自分は果たして、誰かを幸せにさせられるのかと。
     
    「ところでワタクシ、アナタともお話をしてみたいんです。神野さん」
    唇を水で湿らせつつ、カフカスはサーヴァントを傍らに置いたまま沈黙を貫き続ける男へと視線を向けた。
    神野幸長は席に着いてから口を開く事もなく、機械的に食事を続けていたが、名を呼ばれてゆっくりとカフカスと向かい合う。
    彫りの深い顔、底なしにも思える瞳がカフカスの顔を凝視してくる。胃がぎゅっと握られた様に痛む。

  • 49ルキウス陣営2019/08/28(Wed) 11:08:58ID:A1ODk2OTI(3/3)NG報告

    >>48
    ああ、本当にそっくりだ。なんていうか、雰囲気がそっくりだ。あの人に)
    カフカスは嫌でも「彼」の事を思い出してしまう自分に呆れながらも、しかしそうなるほどに強烈な威圧感を放つ神野に緊張していた。
    『私は世界を救いたい。たとえこの方法が間違っていようとも、誰も苦しまない様にしたい』
    (ああ、くそ。ダメダメ、フラッシュバックはお呼びじゃ無いぞ!)
    ぶり返してくる記憶を頭の隅に押しやり、カフカスは笑みを浮かべながら神野へと語りかける。
    「神野さんは、この大会にどんな目的で?」
    この時点でカフカスは自分がやらかした事をなんとなく自覚していた。
    神野に威圧され、「彼」を思い出して。
     
    (あ、ヤバい。『笑えてない』)

  • 50第一回戦弓陣営2019/08/30(Fri) 14:01:23ID:g4NjAyNTA(1/7)NG報告

    「まさか、あの死に損ない……!」

     膨大な魔力の奔流は、ツタンカーメンの撤退した地点から発せられていた。
     神罰の砂嵐──その中軸にて神威の魔力がとぐろのように渦巻いており、巨大な何かを形成しようとしていた。
     みすみす逃してしまい、ランサーとアーチャーの妨害で僅かな時間を与えてしまったツケが回る。
     バーサーカーは只々苛立ちを募らせ、自らの周囲を移動しながら矢を射るアーチャーを煩わしげに『凶鳴毒唱(クリンタ)』で打ち払おうとする。

    「ちょろちょろと邪魔なんだよ!」

     高速詠唱の速度を超えた多重高速詠唱により、初動無しの殲滅魔術が周囲を覆うように拡散し、森一帯を無に帰す。
     これによりバーサーカーの周囲には障害物などといった移動を隔てるものがない真っ新なフィールドとなり、優位な地形となった。
     そして逆にランサーとアーチャーにとって移動手段、隠伏手段が失われてしまった事の表れでもあり、火力のぶつけ合いにおいても少々不利になってしまった。

    「殺れ」

     バーサーカーは砂嵐の渦へと移動する。
     しかし、両肩の蛇は逆方向にいるであろう槍兵と弓兵を標的とし、炎と毒のブレスを正確な位置に放出した。

  • 51第一回戦弓陣営2019/08/30(Fri) 14:02:09ID:g4NjAyNTA(2/7)NG報告

    >>50
    「やはりそう簡単に墜ちてはくれぬか……!」

     呪詛も含んだ毒炎を紙一重で回避し、打開策を考えるが、ブレスの猛攻により案が纏まらない。
     バーサーカーに重傷を与える事に成功した連携技は再使用不可。
     対軍規模はあるかもしれないアーチャーの通常掃射も、『凶鳴毒唱(クリンタ)』を出されてしまえば決定打に欠けてしまう。

    「彼のファラオは何やら算段あるようですが、サポートするにもあの蛇が邪魔ですね」
    「面妖な上に面倒な。先んじて両蛇の掻っ切るしかないか」
    「……一か八かですが、一つだけ私から」

     東洋の弓兵が一つだけ提案を示すと、麒麟児が可笑しなものを見るような視線を向けた。

    「本気か? その賭けは、博打にも値しない程の確率だぞ?」
    「ですが、凶王の油断を誘うには最適です」

     目が本気だと告げ、中々に渋ったランサーは即諦める事にした。

    「承知した。だが、決して墜ちるでないぞ。貴殿は、我らが陣営の主砲なのだからな」
    「重々、心得ていますよ」

  • 52第一回戦弓陣営2019/08/30(Fri) 14:03:16ID:g4NjAyNTA(3/7)NG報告

    >>51
     その言葉だけを残し、アーチャーは駆け出す。
     同時にランサーは自らの得物をバーサーカーへ向けて全力投擲した。

    「多少の無茶と無理は許してください」

     誰に向けての言葉だったかは定かではないが、アーチャーは投擲された槍の上に飛び乗り、弓を構えるという無茶振りを現実のものとした。
     ブレスを放っていた両肩の蛇たちは、突拍子のない行動に出た男に一瞬面食らい、一度だけ互いに見合ってから攻撃を再開する。
     射線上の先には突き進むだけの槍上にて、弓を構えて一歩も動かない男。
     このまま行けば蛇の攻撃は直撃確定。しかし弓兵に動きはない……その理由はもう一つの無茶振りだった。

    「出力上昇を確認。射落す」

     鉉を最大限に引き、先程までとは桁違いの魔力を充填させ、矢を放った。
     一矢だけではなく、機関銃の如き連矢の嵐。
     威力を増したアーチャーの攻撃は、ドルグワントのブレスを相殺していき、呪詛に塗れた直線上をクリアにする。
     しかし、アーチャーが相殺したのはあくまで急所になり得る箇所の攻撃のみで、僅かながら負傷し、傷口から毒と呪いが小さく侵食していた。

    「油断大敵……!」

  • 53第一回戦弓陣営2019/08/30(Fri) 14:03:46ID:g4NjAyNTA(4/7)NG報告

    >>52
     ブレスを相殺され、距離を詰められたのでドルグワントは主人に合図を送るように凶鳴する。
     ──あの宝具は撃たせん!
     多重高速詠唱が始まる前に、アーチャーは槍を蹴って凶王の背後まで急接近し矢を射った。

    「────くだらねぇな。幾度も背中を取らせると思ってんじゃねえ!」

     翠色の矢はバーサーカーの振るった腕に掻き消されてしまい、攻撃した当人は空中で矢を射った後の状態で無防備になってしまった。

    「間抜け」

     両者の距離はまだまだ離れている。
     このままでは無防備なアーチャーに『凶鳴毒唱(クリンタ)』が炸裂し、一人の陣営が脱落する──そんな未来を誰もが予想しただろう。


     ────令呪をもって命ずる。アーチャー、ゼロ距離に移動しろ。


     弓兵の姿が消える。

  • 54第一回戦弓陣営2019/08/30(Fri) 14:04:48ID:g4NjAyNTA(5/7)NG報告

    >>53
    「な──」

     刹那。バーサーカーが捉えたのは、大弓に備わっていた刃を振るうアーチャーの姿だった。

    「テメッ……!」

     バーサーカーも朽崎遥からの令呪の影響か、大幅に強化されていたので斬撃を間一髪のところで回避する。
     自身の首は取れなかった。ただ単にに“両肩の蛇が切り落とされた程度”だ。
     この程度であるならば蛇を即再生し、宝具を放ってしまえば目前の弓兵はここで退場する。
     そう思い立ったバーサーカーは多重詠唱を行おうとして──できなかった。
     ──再生速度が、遅い……!?
     ドルグワントは、断面図から肉が盛り上がろうと動くも、何かに阻害されるかのように速度が緩やかだった。

    「油断大敵と、言った筈です」

     凶王は即座に理解した。
     あの弓兵が矢ではなく、接近してまで弓で攻撃したのかを。
     弓は破魔の属性が付与されており、魔を身に抱く自身とは最悪の相性を持つ得物。よって、いくら再生力が優れている蛇であっても、弱点である武器で切り付けられてしまえば修復は遅くなってしまう。
     全てがアーチャーの思惑通りに戦況が動いた──その事実がバーサーカーを激昂させた。

  • 55第一回戦弓陣営2019/08/30(Fri) 14:05:22ID:g4NjAyNTA(6/7)NG報告

    >>54
    「このブリキ野郎が!」

     魔力を乗せた裏拳がアーチャーに迫る。
     攻撃動作後の直後であったので、防御体勢を取ろうとするも間に合わない。
     凶器が間近に迫り、直撃が免れない一撃が与えられる────。

    「ご苦労、弓兵」

     瞬間、いつの間にか接近を許してしまっていたランサーに阻まれた。

    「テメェ、どこから……」
    「拙者は最速の霊基を与えられている身。慢心が過ぎたな、暴君」

     バーサーカーの死角──真下からの登場で虚を突かれ、今度は逆に彼自身が無防備を晒す。

    「ぬんっ!」

     槍を打ち込む。
     穂先はバーサーカーの腹部の肉を穿つまでには達しなかったものの、突きの衝撃で上空へと飛ばされる。

  • 56第一回戦弓陣営2019/08/30(Fri) 14:05:47ID:g4NjAyNTA(7/7)NG報告

    >>55
    「浅いか!」
    「まだまだ!」

     弓を天に向け、連続してアーチャーは矢を放つ。
     標的はバーサーカー──腹部の槍。
     無数の翠色の矢が槍に接近し、一つが石突に命中、そして直撃した矢の筈部分にもう一つの矢が着弾、その後に続く他の矢も同様に筈部位に直撃していき、槍を押し込むように圧力をかけていく。
     そして七発目の矢が到達した時、槍はバーサーカーの肉を穿った。

  • 57スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/09/02(Mon) 19:59:14ID:Q0NDE2NjI(7/11)NG報告

    戦闘自体は剣術陣営の接触待ちになりますが、予告編的にアサシン陣営の会議シーンを。

  • 58スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/09/02(Mon) 20:01:08ID:Q0NDE2NjI(8/11)NG報告

     時刻は午後6時、俺達アサシン陣営は有名ラーメンチェーン「百楽」に来ていた。

    「豚骨醤油ラーメンと、担々麺です」

     久し振りのラーメンだ。
    俺は一番好きな豚骨醤油で、アサシンは一番辛い奴という事で担々麺。
    イギリスの飯は不味いからなあ……この機会に食べとかないと。

    「民が安価でこれだけの物を食べられるのは、良い国だな、マスター」

    「それは良かった。今はイギリスに住んでるけど、やっぱり日本が誉められるのは嬉しい」

     その側面で喚ばれた訳ではないとはいえ、王であるアサシンが満足して良かった。
    正直、あんまりお金に余裕無いから高級料理には手が出ないし、機嫌損ねるか不安だったし。
    まあそれより、久し振りのラーメンが美味しい……なんて考えてたら、アサシンの雰囲気が真剣なものに変わった。

  • 59スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/09/02(Mon) 20:02:21ID:Q0NDE2NjI(9/11)NG報告

    「さてと、マスター。状況は念話で伝えた通りだ。策は三つ程あるが……どうする?」

     そうだ、気を引き締めないと。

    「とりあえず、その策について聴かせてくれ」

    「勿論だ。まず一つ目、管理者を無力化出来る薬品を持っている陣営と同盟を組む」

     これは俺も考えてた。
    同盟相手との交渉次第とはいえ、小聖杯を手に入れる可能性は最も高いはずだ。
    しかし、そういった薬品を持っている陣営と同盟を組むまでが難しいし、手こずってる内に小聖杯を取られるかもしれない。

    「次に二つ目、適当な陣営を唆して管理者の屋敷に向かわせ、管理者の出方を見る」

     これなら、俺達は殆ど消耗しないし、漁夫の利も狙える……が、潜入した陣営がそのまま小聖杯を奪うかもしれないのが……。

  • 60スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/09/02(Mon) 20:02:59ID:Q0NDE2NjI(10/11)NG報告

    「最後に三つ目、複数の陣営を集めて同時に管理者の屋敷を襲撃し、管理者を錯乱させつつ、乱戦の勢いに任せて小聖杯を奪う」

     これは、賭けになりそう。
    他の陣営が乗る可能性は高いけど、そこから先が未知数だ。
    そんな感じで俺は考え……。

    「で、マスター。どれにするか決まったか?」

     丁度答えを決めた所でアサシンが問いかけた。
    絶妙なタイミングに驚いたけど、気を取り直してこう答える。

    「よし、三つ目で行こう」 

     そして、俺達は他の陣営を呼び寄せる為、ホテルが多くて他の陣営の拠点が多そうな中央部へと向かった。

  • 61スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/09/02(Mon) 20:08:38ID:Q0NDE2NjI(11/11)NG報告

    以上です。
    一日目の戦闘シーン、参加したい方は連絡して下さいね。
    ただ、参加しなくても、二日目の管理者邸乱戦に参加するのに問題はありません。

  • 62愉悦部inクローディアァ!2019/09/03(Tue) 12:51:24ID:kwMjE4MTc(4/24)NG報告

    「――ここがあの人狼の通っている学園ね」

    夕焼けが滲む放課後、校門の前に陣取り、帰りゆく生徒たちの波を受け流しながら目的の人間が来るのを待つ。

    (あの男、いつまでこっちを見ているのかしら)

    遠方の電柱の陰からこちらを見ているセイバーのマスターからの不躾な視線に耐えつつ、紫紺の髪をロール状に結ったテールを手持ち無沙汰のように弄っていると周囲の人間より一際背の高い今回会いに来た相手を見つける。
    そして、口元を嬉しそうに緩め近づいた。

    「こんにちは。時間、いいかしら?」

  • 63リドリー陣営2019/09/03(Tue) 13:39:30ID:U0NDYyNTA(2/2)NG報告

    「ねぇ、私たち気づかれていると思うかい?」
    「今明らかにこっち向いたしそりゃあなあ」

    電柱からゲルトラウデとイコマを見るのはセイバー陣営の2人

    リドリーは現在全身に包帯を巻き、車椅子という非常に目立つ格好だ

    セイバーはリドリーに対して疑問を投げかける

    「ク.ソマスター。あんた、"怪我したのは脚だけ"だろ?何故全身に巻く?」
    「脚の怪我だと分からせたくないからな。どんな結果でこうなったのかを悟られたくはない」

    セイバーは"あまり意味がないのでは?"という言葉を飲み込む。この男に何を言っても無駄だからだ

    「で話はいつ割り込む?」
    「彼らが話し終わってからにしようか」

    そしてまた物陰で様子を伺う、セイバーとリドリーであった……………

  • 64亥狛の人2019/09/03(Tue) 22:38:15ID:gxODE0NDM(1/29)NG報告

    もうすっかり空は夕暮れだった。
    午後の授業を終えた放課後、亥狛は玲亜からの忠告通りランサーと校内で合流した。
    今は霊体化した状態で彼の傍らに付いて回っている。

    実に安心感がある、とでも言うべきか。
    後ろ盾があるという状態は精神的な安定性を向上させてくれる。今更ながら彼女の存在の重要性をひしひしと感じざるを得ない。



    何故ならば今正に彼女が必要か否かの瀬戸際に立たされているからである。

  • 65亥狛の人2019/09/03(Tue) 22:38:58ID:gxODE0NDM(2/29)NG報告

    >>64

    「こんにちは。時間、いいかしら?」
    涼やかな声が亥狛の耳朶を震わせる。
    声がした方向に向くと見慣れない女性が立っていた。
    校門前で自分を待ち伏せしていたであろう彼女、その物珍しげな視線は亥狛の頭からつま先までスキャニングしているかのようだ。

    亥狛の獣由来の本能が警鐘を鳴らす。
    彼女は聖杯戦争に関連する者だ、と。
    「─────何か、俺に用でもあるのか?」

    と言いながら、相手に悟られないよう慎重に自身の身体を変質させる。
    変える部分は感覚器官。
    魔力を視認できるよう虹彩を弄った。
    魔力の流れを読み解く為に嗅覚を研ぎ澄ませた。
    舌を、耳を、肌を。
    全身の毛穴が広がるようにじっとりと、目に見えない部分を書き換える。

    すると早速新しい発見をした。
    魔力の反応は彼女だけじゃない。

  • 66亥狛の人2019/09/03(Tue) 22:39:26ID:gxODE0NDM(3/29)NG報告

    >>65
    すると早速新しい発見をした。
    魔力の反応は彼女だけじゃない。
    自分の位置から凡そ数十メートル離れた場所に別の魔力の反応がある。
    (───────!)
    跳ね上がる心臓は恐怖を感じた証だ。
    今現時点で敵性と思しき存在が二つ、その何れも照準を此方に向けている。

    四面楚歌。
    午後に古文で習ったばかりの四字熟語が脳裏をよぎる。

  • 67亥狛の人2019/09/07(Sat) 21:45:09ID:g0ODYxNjc(4/29)NG報告

    だいぶん、というか一年近く経ちましたがトーナメントの続きです

  • 68亥狛の人2019/09/07(Sat) 21:45:30ID:g0ODYxNjc(5/29)NG報告

    「……信じられないけど、信じるしかなさそうね」

    傷ついた敵のマスターに、理性を失った英霊を交互に見やって思案する。
    膨れ上がっていく的サーヴァントの魔力に焦燥するキャメロンの様子は演技とは到底思えない。
    怒りとともに怒張する霊格は最早サーヴァント一騎、それも宝具を有していない弓兵には分が悪い事は理解できた。

    戦乙女の末裔としては忸怩たる思いではあるが、此処は敗北を認めるのが一番安全かつ円滑な選択肢なのだろう。
    舌を噛み切りそうな顔で悔しさを呑み込む。
    「…まあ、お嬢に任せるさ」
    隣でアーチャーはポツリと呟く。
    何処か興を削がれた風な表情を浮かべながらも、納得はしているようであった。
    後は自分の気持ちが納得するだけ。

  • 69亥狛の人2019/09/07(Sat) 21:45:51ID:g0ODYxNjc(6/29)NG報告

    >>68
    手元には呪具である羊皮紙。自分が敗北する事を確約させる契約書だ。
    これに名を刻むということは敗北を魂規模で承認するという事である。

    連綿と受け継がれる戦士としての霊魂に刻まれる敗北という名の雪辱か。
    はたまた戦乙女の血筋を清らかなままに、誇りと共に死に急ぐか。
    二つに一つ。

    「───────〜〜〜〜〜ッ!!」

    殴りつけるような勢いで筆を走らせる。
    自己強制証明に己の名前を刻んでいく。
    名誉ある死より泥臭い生を掴む事を是としたのだ。
    (雪辱はいつでも晴らす事は出来る、でも死は取り返しが付かない。それは駄目だ)
    キャメロンは逸る気持ちでその光景を見守っている。自身のサーヴァントの脅威は確実に此方へと向かっているからだ。

    (自分の罪は自分で背負う、全部全部飲み込んでやる。今回は負けても良い、でも)
    ザリ、という音を立てて。自身の名前を書ききる。
    「セルフ・ギアス・スクロールに誓う、私は今回の勝負を辞退する!」

  • 70リドリー陣営2019/09/07(Sat) 22:47:35ID:M2NzU1NzE(1/42)NG報告

    >>69
    安堵を浮かべている場合ではない
    キャメロンは自らのサーヴァントに目をやる
    怒りに狂い我を忘れているようだ

    (ならば『もっと怒らす』)

    キャメロンは『背中にある翼』を展開。その翼が広がると同時にカドモスの興味はその翼に移る

    翼の正体は『ウリエルの切翅』。堕天したとされる大天使ウリエルが持っていた最初の翼。聖遺物として特級の品でありカドモスが憎む『神性』が多量に分泌されていたのだ……………!

    カドモスの怒りは益々大きくなり、そして一周回って冷静になっていた

    心に周りの声を聞く余裕が生まれ、外からの音が耳の中に入る

    そして彼は自らのマスターの声を聞くことができた

    「ランサー!戦闘は終わりだ!俺たちの勝ちだ!」

  • 71リドリー陣営2019/09/07(Sat) 22:47:52ID:M2NzU1NzE(2/42)NG報告

    >>70
    終わりです

  • 72愉悦部inクローディアァ!2019/09/08(Sun) 00:44:00ID:Y2ODMwMTI(5/24)NG報告

    「そんなに警戒しなくても良いじゃない」
    警戒心を剥き出しにしてこちらを見やるランサーのマスターを見ながら少々呆れながら嘆息する。
    「一応は貴方を助けようとはした恩人に成り損なった相手なのだけれど、ランサーから何も聞いてないの?」

    「いや、ランサーからは何も聞いていないし、俺には目の前にいるような不審者の知り合いはいない」

    ぴしゃり、と反論の余地もない正論を叩きつけられるとゲルトラウデは確かに、と思わず納得してしまう。自分でもそんな人間とは関わり合いになりたくないだろう。

    「んんっ!私は確かに正真正銘なライダーのマスターよ。そして戦いに来た訳でもないわ。もしもその気があるならわざわざこんな人の多い場所に出向かないもの」

    「じゃあ、何をしに来たんだ」

    本当に何をしに来たか見当がつかない亥狛は煮え切らない態度を訝しんだのか、さらに追及する。すると、ゲルトラウデは沈みゆく太陽を横目で睨みながら答える。

    「そうね。単刀直入に言うわ。貴方と話がしたい、というのともう一つ――、時間がないの。私と一時的な協力をしてくれないかしら。もちろんタダで、とは言わないわ。魔術師の基本は等価交換。それに見合う対価は払うし、何かあるならそれでも良い。それにホラ。ニンゲンの基本は助け合い、でしょう?どうかしら――?」

  • 73亥狛の人2019/09/08(Sun) 01:27:38ID:M1NjIzNDg(7/29)NG報告

    今日はやけに女性に言い寄られる日だな、と我がごとながら驚嘆する。
    これで内容が物騒な聖杯戦争がらみで無ければ諸手を挙げて喜んだものだが、悲しいことに世の中そこまで甘くない。

    ライダーのマスターと名乗る女性は毅然とした態度で本筋に話題を切り込んだ。
    一日に二度も同盟を持ちかけられるなど今日は何と数奇な星の巡りだろうか。
    先に東雲玲亜と同盟を結んだ以上、勝手に新しい協力関係を結ぶというのは如何なものかと思うし、何より彼女の背景が読み取れない。
    亥狛は暫し口にする言葉を選ぶように逡巡する。
    「前もって言っておくけど、同盟は既に売約済なんだ。だから仮に協力関係を結ぶとしても俺個人が勝手に決める訳にはいかない」
    後ろ頭を掻きながら「仲間に義理立てするのも真っ当な人間の基本だろ?」と嘯いてみせた。

    亥狛はちらり、と遠くの電柱に潜む影を確認する。怪しげな気配は未だ消える兆しもない。
    ライダーのマスターが用意した伏兵なのだろうか、そんな一抹の不安を抱えたまま彼女と向き合い直す。

  • 74橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/09/08(Sun) 06:40:34ID:IyMTQ4MTI(1/19)NG報告

    >>28
    大質量の物体が、凄まじい速度でわたくしへと向かってくるーーーその光景は、わたくしの心を一つの色に染め上げてしまいました。
    恐怖。
    暗く、ドロドロとして、ひやりと冷たい、泥のような感情。それが全身にに纏わりついて、わたくしの動きを鈍らせる。一歩でも此処を離れなければならないのに、身体がぴくりとも動かない。
    細身の男性が地面から木を引き抜いた事は、まだ何も感じませんでした。魔術の世界では、別段珍しい事でも無いのですから。
    けれど、"死"がこうして目の前に来た時、わたくしの心は悲しいほどに無防備でした。
    魔術世界には命の危険が付き物と言う知識があり、多少なりと荒事の経験があったとしても、有り余る程の殺意を自らに向けられ、死というものをここまで身近に体感した事は一度もなかったのです。
    怖い。
    迫り来る物体は、最早死の塊に等し
    い。
    怖い。怖い。
    速く、速く此処から離れないと。
    怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いーーー
    (動いて、動きなさい!わたくしは、こんな事でーーー)
    "強がりな自分(りせい)"が叫ぶ。しかし、身体は冷え切り、動かない。
    意思が乱れているせいなのか、魔術で強制的に自身を動かすこともできない。ああ、もう、目の前にーーー
    「宝具、解放」
    凛とした声が響き、"彼女"の手がわたくしの手を取る。その瞬間、ほんの少しだけ身体に熱が戻る。

  • 75橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/09/08(Sun) 06:40:54ID:IyMTQ4MTI(2/19)NG報告

    >>74
    相手の手が力を伝えてくる。その力に導かれるまま、身を任せるーーー。
    背後で轟音がした。いつの間にか閉じていた目を開くと、"彼女"の顔が視界に映った。
    「セイ、バー……」
    「ご無事ですか、マスター」
    優しい笑みでわたくしを見下ろすセイバー。その笑みに安心して、こみ上げるものがありましたが、なんとか堪えることができました。
    「ええ。……ありがとう」
    心からの感謝を彼女へ。セイバーは一つ頷くと、繋いでいたわたくしの手を離した。
    「あーーームカつくなァーー!」
    苛立ちを露わに、もう1騎のサーヴァントが叫ぶ。彼の手には、再び木の大槍。
    「さっさとオレに殺されちまえってンだよォォォーー!」
    その槍を手に、今度はこちらへと殴りかかって来た。
    セイバーはそれを魔力放出を伴った斬撃で受け止め、鍔迫り合いの体勢に入る。暫く迫合い、一度離れる両者。
    「生憎ですが、マスターも私も、貴方に殺されるつもりはありません」
    「ハッ!か弱い女の子を守るヒーロー気取りってか?いいねえ、最高にヘドが出るぜ!そんな奴を見るとオレはよォ、虫みテェに叩き潰したくなンだよ!」
    「ーーー出力上昇。ワルキューレ還元率90%。マスター、お下がりください。こちらも少し、暴れますので」
    セイバーの言葉に従い、その場を離れる。まだ身体が重く感じるけれど、それでも動けるようにはなっていますわね。
    その場を離れている間、背後では鈍い激突音が鳴り響いていた。
    (セイバー、負けないでくださいね)

  • 76型月NYの人◆3zXvUrYT3w2019/09/09(Mon) 17:29:23ID:E1MTAzMTc(1/4)NG報告

    お待たせして申し訳ありません。
    第■回剣陣営投下いたします。

  • 77型月NYの人◆3zXvUrYT3w2019/09/09(Mon) 17:31:33ID:E1MTAzMTc(2/4)NG報告

    それは、いかなる偶然かそれとも宿命(フェイト)か。
    突如巻き上がった突風に、ハリーの軽い身体が吹き上げられる。
    姿勢制御のためハリーが首を振った瞬間。
    彼の視界に、一条の煙が飛び込んできた。

    「マスター、危ない!」

    落下するハリーの元へと飛び込み抱きかかえるようにしてセイバーが受け止めた。 

    「セイバー。向こうの方に煙が見えた。火事かなにかかかも知れない。助けに行こう!」
    「! ええ、わかりました!」
    「ちょ、ちょっと待って!」

    ハリーを抱えたまま走り出そうとするセイバー。その行動に待ったをかけたハリーがセイバーの顔をマジマジと見つめる。

    「な、なにか……?」
    「そ、その……下ろしてくれないかな……」

    顔を真っ赤にしたハリーがうつむきがちに呟く。
    彼らの姿勢は、俗に言うお姫様抱っこというものだった。

  • 78型月NYの人◆3zXvUrYT3w2019/09/09(Mon) 17:32:35ID:E1MTAzMTc(3/4)NG報告

    「こ、これは大変失礼な真似を……」
    「い、いいんだよ。助けてくれてありがとう。セイバー」

    ハリーをゆっくりと地面に下ろすセイバー。
    着地するやいなや、彼は周囲の至るところに魔法陣を展開し始めた。

    「ま、マスター。なにを?」
    「走っていくには時間が惜しい。街中を飛ぶには目立ちすぎる。だから……地上から見えなくなる高さまで飛んでそこから滑空するってわけさ! こういうふうにね!」

    瞬間、竜巻の如き暴風が彼の身体を垂直に巻き上げた。
    駅や市役所やショッピングモール、更には彼が泊まるホテルすらも追い越して、街全体を見渡せる高さにまで彼とセイバーの身体は放りあげられる。

    「セイバー。君は霊体化を。最も、空を飛べるなら話は別だけど」
    「それではお言葉に甘えて。マスターこそ、怪我をなされないように」

    すると、風の友と呼ばれる少年はニッと笑って。

    「大丈夫! ニューヨーク(じもと)ではよくやったから!」

  • 79型月NYの人◆3zXvUrYT3w2019/09/09(Mon) 17:33:42ID:E1MTAzMTc(4/4)NG報告

    以上です。
    フォーリナーさんよろしくお願いします。

  • 80愉悦部inクローディアァ!2019/09/09(Mon) 23:24:23ID:gyMTUyNTE(6/24)NG報告

    >>73
    「―?……??」

    話が噛み合っていない。何故そこで聖杯戦争の話が出てくるのだろうか。今日は戦争が目的でないと言ったのに。

    『マスター。それでは聖杯戦争の話だと思われても仕方ないよ。僕もそう思う。君はまずその飾る態度を止めた方が良いんじゃないかな。時間、ないんだろう?』

    『ぐ。……ぐむむむむむ―』

    霊体化したライダーに横やりを入れられ。悔しそうな声を上げながら、顔を赤面させたりコロコロと二転三転させて、ようやく。

    「……タイムセール」

    「は?」

    唐突に出てきた聖杯戦争のせの字も関係のないワードに亥狛はポカンと放心する。
    顔がサングラスとマスクで隠れているが、どうも恥ずかしいのか、見えている範囲の顔をさらに赤くしながらゲルトラウデは再度応答する。

  • 81愉悦部inクローディアァ!2019/09/09(Mon) 23:24:34ID:gyMTUyNTE(7/24)NG報告

    >>80
    「だから、タイムセール。今日の下の街のショッピングモールでアルプス山脈の天然水が箱売りで1人1ケースで安売りしてるから、頭数増やしたいな、って……。私、片腕こんなだし」

    腕を示すようにぷらんぷらんと揺らしす彼女。

    「じゃあ……、アレは?」

    アレ?と怪訝に思い浮かべるように表情菌を―亥狛からはそう見える―変えながら視線で気づいたのか、透して見えるサングラスの奥の瞳を明らかにげんなりさせながら。あぁ――、と疲れたように息をつき。

    「…………ストーカー?」

    なるほど。彼女も苦労しているのかもしれない。亥狛は純粋にそう思った。

  • 82リドリー陣営2019/09/10(Tue) 22:14:41ID:UwOTMyMzA(3/42)NG報告

    >>81
    「アルプスの天然水……………だと……………」

    エル・シッドは絶句する。あの雪山から取れた水を一ダース簡単に手に入る現代社会にだ

    ああそれ程の水があればどれだけ上手い料理ができるのだろうか!!

    エル・シッドは心踊りだす。その様子を見たリドリーは顔で向こうに行くよう合図した

    リドリーとしてここで協力することでスムーズに会話ができるのでは?と考えたからだ


    エル・シッドはリドリーの車椅子を全力で押しながら遠くの2人に声をかけた

    「チョォォォォォトマッッッッタッ!」

  • 83亥狛の人2019/09/10(Tue) 23:18:57ID:YxMDgwOTA(1/11)NG報告

    >>81
    『……どう思う、ランサー』
    『どうも何も。嘘をついてるようには見えませんね』
    霊体化したランサーはスッパリとそう断言した。
    人里に下りて日数も長くない人狼は人の嘘を見分ける力に乏しい。
    嘘の判別ならば自身よりランサーの方が長けているだろうと、半ば藁にもすがる思いで問い掛けた結果がこれだ。

    (態々初対面の奴に荷物持ちを頼むか……?いや、俺が疑り深いだけなのだろうか!?)

    思い悩むあまり混乱する頭にランサーの声が滑りこむ。
    『目の前のレディが何を考えているかは私の与り知る所ではありませんが。
    私でしたら、困っている女性に手を差し伸べるでしょうね』
    『……仮に罠だったとしても?』
    『その時はその時です。幾千幾万の困難など何するものぞ、ですよ』
    霊体化している為姿は見えないが、きっとランサーは自信満々な表情を浮かべている事だろう。

  • 84亥狛の人2019/09/10(Tue) 23:27:49ID:YxMDgwOTA(2/11)NG報告

    >>83
    なんと頼もしい相棒か。騎士とは貴婦人の無理難題を叶える為に鍛えているのだ、と言わんばかりではないか。

    (──────仕方ない、此処はランサーに背中を預ける事にしよう)

    東雲の令嬢に「注意深くあれかし」と望まれた矢先のコレは流石に気が引けるが、名指しでの頼まれ事ならば致し方ない。
    我ながら辟易するが断るのも気が引けるし、良心も痛む。

    そして何より人間って奴等はこういう時断らないもんなんだろう?

    「…分かったよ、荷運びだろうが何だろうが手を貸す」
    観念したように唸り声を上げる。

  • 85亥狛の人2019/09/10(Tue) 23:28:33ID:YxMDgwOTA(3/11)NG報告

    >>84
    ここでパス回します。

  • 86明星2019/09/11(Wed) 21:36:14ID:AwMjg4NjY(1/4)NG報告

    北米異聞帯更新します

    「それじゃあ班分けしようか」
     藤丸立香がそう切り出したのは、主を失った流浪のサーヴァント、無形のエル・シッドが語るクリプターであったリドリー・フォーサイトの遺産。それから情報を得るために必要だと提示されたものを集めるためである。
     神酒はハドソン川沿いにある商店、装甲車はスクラップ工場、テレビ枠はテレコープ社ニューヨーク店。アメリカに点在するこれらを集めるためだ。
     うーん、と形のよい指を唇に当てて暫く考える。そして再び口を開く。
    「キャスターには神酒を頼める?」
    「承知しました」
     マスターの願いにキャスターのモーシェ・デ・レオンは首肯した。彼女が思っていた通り、モーシェは神酒に対して強い興味を覚えていた。それを察した彼女は役割を振ったのだ。ここら辺、多くのサーヴァントたちのマスターを務め、彼らを円滑に動かすための折衝を行っていただけに慣れたものだ。
    「ならば、キャスターには私が同行しよう」
     そう名乗り出た雪白の美女はセイバーの白雪姫。

  • 87明星2019/09/11(Wed) 21:37:07ID:AwMjg4NjY(2/4)NG報告

    >>86
    「道中、敵が現れるかもしれない。キャスターに丁々発止の大立ち回りをさせるわけにもいくまい」
    「それもそうだね。じゃあお願い。……それに前衛に戦士、後衛に魔術師って鉄板だよね!」
     本当ならあとは斥候か盗賊、あと神官も欲しいな、などと立香が呟く。
     リオナが立香に提案する。
    「それでは、私たちがそれぞれ道案内をしましょう」
     リオナはエル・シッドに目配せするとエル・シッドは無言で頷く。モーシェはリオナのほうを向く。
    「では、酒店にはリオナさんにご案内いただきましょう」
    「……ええ、わかったわ」
     嘆息してリオナはモーシェの依頼を受けた。
     その後、マスターによる班分けは進み立香とアインシュタインと大嶽丸が装甲車、リンドヴルムはテレビ枠。エル・シッドは立香たちの案内人を買って出た。

  • 88明星2019/09/11(Wed) 21:38:01ID:AwMjg4NjY(3/4)NG報告

    >>87
    「まあ、案内頼む」
    大嶽丸はそう言うとわざわざ立香とアインシュタインの間に入り肩を抱き寄せる。身辺を華やがせたい、そう思っているかのような、そんな笑顔だ。生真面目なモーシェが、多少の偏見をこめた視線で大嶽丸の横顔をひとなでする。
    「ふんっ」
     立香は自分の胴回りより太い腕を振り払い、拳を腹に叩き込む。
    「いてっ!」
     あれ、私、今地面を殴った? 立香は拳を抱えてうずくまる。
    「よせよ、痛いじゃないかね」
     力強いくせに悠然とした口調でそう言うと、大嶽丸は立香の手首を掴んだ。とくに力を入れたように見えなかったが、立香はひょいと持ち上げられた。

  • 89明星2019/09/11(Wed) 21:38:43ID:AwMjg4NjY(4/4)NG報告

    >>88
     なんたる―――、拳を擦りながら白雪姫に泣きつく立香を横目に、未だに肩を抱かれているアインシュタインは自身の念話で干渉されているのを感じ取る。
    (もし、奴さんがこちらに刃を向けるようなことがあれば、そのときはお前がマスターを連れて逃げろ)
     紅玉の如き双眸でアインシュタインは頭ひとつ以上高い鬼の顔を見上げる。大嶽丸は人の悪い笑みを浮かべていた。
    (クリプターのサーヴァントだったから、というだけではない。嬢ちゃんのような叛逆者(レジスタンス)も、俺たちの味方というわけではない。敵の敵は敵だ)
     汎人類史を取り戻す人理再編のためには空想樹を刈り取り、異聞帯(ロストベルト)を消滅させなければならない。リオナたち北米異聞帯の住人にとってカルデアは許し難い敵対者である。
    「心配するな、俺の辞書に不可能の文字はない」
    「失敗とか挫折とかいう文字はあるけどね」

  • 90橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/09/12(Thu) 21:33:50ID:c4ODY0NjQ(1/4)NG報告

    >>42
    叛逆の騎士が、掲げた剣に赤雷を纏わせる。そのまま剣の切っ先を地面に叩きつける。
    雷撃が地を這い、眩い閃光を放ちながら騎士王へ襲いかかる。閃光に視界を阻まれた騎士王は弓を弾く手が刹那止まる。即座に弓を消失させ、一本の剣に持ち替える。剣を横薙ぎに振るうと、剣から炎の斬撃が放出された。
    雷撃は炎の斬撃と激突し、小規模な爆発を引き起こす。
    騎士王はその爆発に怯むことなく、自身の身長程もある大盾を構えて爆発の中を突っ切る。そして叛逆の騎士が立っていたと思しき場所を盾で殴りつけた。
    しかし、その一撃は空を切る。
    「セイバー、後ろだ!」
    主の声。声の導きのまま、超人的な反射で振り返り、大盾を構える。直後、盾に衝撃が伝わる。間一髪のところで攻撃を防いだようだ。
    ーーーここまでだったなら。
    大盾によって僅か塞がれた視界。その死角から、低い姿勢の叛逆者が躍り出た。その片腕に、"終わりの魔剣"を構えながら。
    (先の一撃は、まさかーーー)
    盾で防いだ攻撃は、アサシンの使っていた大鋏の残骸を投擲した物だったのだ。
    フェイントによって生じた一瞬の隙を、叛逆者は逃さなかった。
    凶刃が突き出される。回避は間に合わない。閃光と爆発による目眩し、セイバーが大盾を選択した事、防御と攻撃のタイミング。全てが"奇跡的に"噛み合った、最高の一撃だった。

  • 91橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/09/12(Thu) 21:34:18ID:c4ODY0NjQ(2/4)NG報告

    >>90
    魔剣が騎士王の腹部へ突き刺さる。
    かつて王に深い傷を齎した魔剣は、王の纏う鎧を容易く貫通した。
    過去の残滓であるサーヴァントは、伝説の内容に縛られるーーー特にアーサー王にとって、クラレントとモードレッドの組み合わせは、最悪の相性と言えた。
    ーーーだが同時に、名高き彼の騎士王が、この程度の苦難で果てる訳もない。
    「くっ……おおっ!」
    自身に接近していた叛逆者の頭蓋を、騎士王は剣の柄で打撃する。
    「がっ!」
    叛逆者が苦悶の声を漏らして地面へ沈む。意識が霞むが、意地でも剣を手放すことはしなかった。強く握りしめた剣が騎士王の腹部から抜け出る。
    王は血を噴き出させ、荒い息を吐きながら叛逆者へ語り掛ける。
    「よくやった、ヴィヴィアン・ビリジアン。私にここまでの傷を負わせたこと、素直に賞賛しよう。だがーーーこれで決着だ」
    王は無慈悲に褒め称える。どれだけ善戦しようとも、ヴィヴィアン・ビリジアンでは、ここが終着だ。
    「ーーーまだだ」
    か細い声。しかし、その声には確かな気迫を持っていた。その気迫は、騎士王に言い知れない危機感を抱かせるに足る物だった。
    思わず後ろへ飛び退る騎士王。そして、直後に自身の行動に驚愕した。
    (私が、恐怖した……?)
    「ははっ……酷い顔じゃないか、王サマよォ……」

  • 92橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/09/12(Thu) 21:34:51ID:c4ODY0NjQ(3/4)NG報告

    >>91
    全身から出血し、身体に殆ど力が入らないながらも、ゆらりと立ち上がるヴィヴィアン。その目には、最早狂気と呼べそうなほどの執念が燃えていた。
    「その身体でまだ立つか。死ぬつもりなのか?」
    「サア……どうだろうなァ……。だけど、負ける訳には行かないんだよ……」
    「……もうやめた方が良い。私はマスターに貴方を殺.すなと命じられている。これ以上貴方を傷つけたとしても益はないのだ」
    「嫌だ!私は……オレは……僕は……必ずお前に勝つんだ……!」
    叛逆者の持つ剣が、絡繰仕掛けのように形を変える。そして、恐ろしいまでの魔力と赤雷を放ち始めた。
    「これで最後だ……。お前に特大の一撃をくれてやる……。とことんまで付き合ってもらうぜ、王サマァ……!」
    赤雷が更に力を増す。禍々しくも美しい、邪悪な輝きが剣を覆う。
    「……私は、貴方を殺.す訳に行かない。ーーーだが、負ける訳にも行かない……!」
    騎士王が武器を持ち替える。その剣はクラレントの禍々しい光と対照的に、神聖な黄金の輝きを纏っていた。
    ーーー両者が己の切り札を解放する。
    「『我が麗しき、父への叛逆(クラレント、ブラッドアーサー)!』」
    ヴィヴィアンの魔剣から放たれる、騎士王を打ち砕く為の轟雷。
    「『約束された、勝利の剣(エクス、カリバー)!』」
    アーサーの聖剣から放たれる、人々の願いを束ねた光の斬撃。
    赤と金の輝きが、激突したーーー。

  • 93橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/09/12(Thu) 21:35:07ID:c4ODY0NjQ(4/4)NG報告

    以上です。

  • 94リドリー陣営2019/09/12(Thu) 22:08:25ID:YwMzgzMzY(4/42)NG報告

    >>89
    エル・シッドは皆の様子を見る。リドリー・フォーサイトに関する怨みを晴らすにこれほど豪勢なメンバーはいないだろう

    いまいち信頼を得られていないと感じているが仕方ない。行動で疑念を晴らすしかないからだ。エル・シッド小さく嘆息する。だが、その目はギラつき、スカーフェイスに対する怒りを燃やす

    「あっ、そうだ。あんたらに紹介したい奴がいる」
    エル・シッドはそう言いながら自分の胸に手を当てる。そこから粘着性の泥ついた液体金属が出てきた。どう見ても人じゃない

    「俺が無形って言われる所以の一つ。Mr.コラーダだ。コラーダ皆に挨拶しな」

    液体金属は頭一つに手を二つ作り出し、皆に会釈した。そして初めて会う人々の顔をねっとり眺めている。そして立夏に顔を向け、近づき始めた

    ナメクジのように貼っている癖に機敏なその動きに背面から寒気が立つ立夏。Mr.コラーダは彼女に近づくと右手を取り出す。握手なのだろう、立夏はそう判断して右手を合わせた。金属特有の冷たさにスライムに近い感触の手。全身に鳥肌が立つもののきっかり握手を交わした

    手を離したMr.コラーダは立夏と隣にいた大嶽丸の顔をみる。交互に見比べた後、露骨に落胆したようなジェスチャーをした

    「何がっかりしてんだ、変態起動」
    エル・シッドの罵倒に対し、丸の中に棒を出し入れするジェスチャーをする。見た瞬間エル・シッドはMr.コラーダを殴っていた!

  • 95リドリー陣営2019/09/12(Thu) 22:09:22ID:YwMzgzMzY(5/42)NG報告

    >>94
    「お前な。人のプライベートを勝手に妄想するんじゃあない。変態起動、テメェのベッドの下にある雑誌全部燃やすぜ?」

    それだけは勘弁。Mr.コラーダは土下座するように地面に身体を擦り付ける。彼は性欲が強い

    「よーし、反省している形だけ見せてもらった。では次に行動で示してもらおうか?」

    へいへいなんでしょう。Mr.コラーダは揉み手をしてへこへこ頭を下げる。彼は上司に媚を売る

    「これから現地案内する必要があるんだ。お前にもその任務を任せたい」

    え!この女たちと一緒に行動できるのか!Mr.コラーダはカンガルーの勝利の舞をおどる。彼は性欲が強い

    「お前はこの人連れてテレコープに行ってこい」
    は?はーふざけてるわぁ。中指を立てるMr.コラーダ。彼は露骨に態度を変える

    「ほう?お前よく俺に対してそんな態度取れるなぁ?燃やすぜ?」
    それは勘弁してください!慌てて土下座するMr.コラーダ。彼は面の皮が厚い

  • 96リドリー陣営2019/09/12(Thu) 22:09:50ID:YwMzgzMzY(6/42)NG報告

    >>95
    「分かればいいんだ。さあ働いてこいよ?お前はできる」
    任せてくださいよ!サムズアップするMr.コラーダ

    そして彼は優秀である

  • 97ルキウス陣営2019/09/14(Sat) 16:06:28ID:kzNTY3OTI(3/5)NG報告

    九終更新です

  • 98ルキウス陣営2019/09/14(Sat) 16:06:47ID:kzNTY3OTI(4/5)NG報告

    >>97
    「くそっ、あいつ!僕の事はおかまいなしか!」
    全身を襲う倦怠感と疲労に思わず樹は立ち止まり、先行したアサシンを罵る。
    敵サーヴァントと接敵したのは間違いないが、それにしてもマスターへの配慮というものがかけらもない。アサシンは思うまま、好きな様に動くものだから、その分のダメージは全て樹へと叩きつけられる。体の節々に走る痛みに顔を歪めながらも、樹はなんとか戦場付近へとたどり着く事に成功した。
    視力を強化し、森をなぎ倒しながら繰り広げられる激闘を観察する。
    戦況は五分五分、と言うべきか。剣を得物とする女性のサーヴァントとアサシンは辺りの木を砕いては即席の槍として使っているらしい。
    「……アレは、セイバーか?」
    アサシンの獣の如き俊敏さから打ち放たれる連撃にも少しも焦りを見せず、セイバーの剣は容易くそれらを弾いていく。
    心臓、脳天、腹、ありとあらゆる急所を狙うアサシンではあるが、セイバーとの間には圧倒的な技量の差が見て取れた。
    どれだけ槍を振るおうが、どれだけ策を弄じようが、セイバーの剣技の前には等しく無駄と切り捨てられてしまう。
    (ダメだ。勝てない。元より暗殺者のクラスだ、真っ向勝負じゃ最優のセイバーに勝てる可能性なんて皆無だ……!)
    強いてセイバーに優っているものがあるとすれば、それは筋力程度だろう。怪力クラスによって上げされた膂力は何度かセイバーが力負けしている。
    つまるところ、技量の差を埋めるパワー。それさえあれば、アサシンがセイバーに打ち勝てる可能性は十二分にあると言えるだろう。
    とはいえ所詮それは仮定、机上の空論に留まる。現状を見ればアサシンはセイバーに一瞬の隙さえ許せば即座に首を刎ねられてもおかしくはない。
    五分五分など鼻で笑える。圧倒的不利。それが現状だ。
    不意に視界の隅を何かが横切る。戦いから目を離し、首を向けた時には既にそこには誰もいなかった。だが確かに樹は自分以外の誰かがここにいる事を理解した。
    一般人か、それともマスターか。
    (もしも、セイバーのマスターだとしたら)
    脳裏をよぎったのは運営から言い渡されたミッション。セイバー陣営との同盟。
    このままアサシンがやられるのを黙っている見ている訳にはいかない。聖杯戦争に勝利する為、島を守る為、そして海音に……!

  • 99ルキウス陣営2019/09/14(Sat) 16:08:10ID:kzNTY3OTI(5/5)NG報告

    >>98
    「やるしか、ないか」
    決意を込め、樹は森の奥に消えた背中を追いかけるのであった。

  • 100愉悦部inクローディアァ!2019/09/14(Sat) 16:16:23ID:U4NzY0NDY(8/24)NG報告

    >>84
    「そう。有難う助かったわ。じゃあ――、あ」

    「チョォォォォォトマッッッッタッ!」

    何か、何気なくとも致命的なミスに気づいたような、それが何かに気づく前に、遠方に待機していたセイバーの叫び声がそれをかき消した。耳をつんざくような悲鳴というよりは奇声を上げながら車椅子に乗った包帯だらけの怪人を乗せながら猛スピードで下校中の生徒を横に退けさせながらこちらに突っ込んでくる。

    先の奇声で耳を傷めながらもゲルトラウデは思う。薄々感づいっていたが。

    あぁ――、めんどくさいのが絡んできた。

  • 101亥狛の人2019/09/15(Sun) 20:24:04ID:kwOTU2MTU(8/29)NG報告

    その姿はともすれば不審者に見えかねない勢いを帯びていた。
    奇声を上げながら車椅子を爆走させるその二人組は、下校途中の学生達を物ともせずに猛進してくる。
    世俗に疎い人狼の目からも二人組の姿は奇異に映って見えたのだろうか、それとも二人組の異様な圧力に気圧されたのか。
    亥狛は無意識に一歩後ろに引き下がる。

    『…やはり彼等でしたか』
    とランサーからの声が脳に響く。文脈から類推するに彼等は先日ランサーが語っていた剣士の英霊とマスターなのだろう。
    (ランサーから聞く分には割と善い奴等だって話だけど…)
    今現時点では戸惑いしかない。
    というよりこの場に立たされて以降、亥狛の脳内は九割九分九厘困惑しかない。

    外連味溢れる男は亥狛達の前で車椅子を急停止させる。車椅子に載せられた包帯男は慣性の法則を魔術で緩和させているのか車椅子から振り落とされる事なく着席している。
    ふと、亥狛は横にいるゲルトラウデの顔を見る。
    「まさか絡んでくるとは」と言わんばかりに迷惑げな表情を浮かべていた。

    「────その話、俺達も一枚噛ませてもらおうかッッッッ!!!」

  • 102亥狛の人2019/09/15(Sun) 20:25:04ID:kwOTU2MTU(9/29)NG報告

    >>101
    もらおうかッッ─────

    うかッッ─────

    かッッ─────

    ッ────

    伏神の街全体に響いたのではないか。
    英霊の肺活量から吐き出される声量の鮮烈たるや凄まじく、亥狛の耳朶を揺らし、鼓膜を振るわせ、脳が揺れる錯覚を覚える程であった。

    ─────どうしよう。このノリ、付いていけるだろうか。

    その世界のスピードに振り落とされない様心の緒を締める亥狛であった。

  • 103委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/09/18(Wed) 20:40:21ID:YxMzA5NjY(1/10)NG報告

    >>92
    簒奪された王剣から伝わる何かがある。
    眼前の男に応報せよと、立ちはだかる全てに牙を立てよと。
    紡ぐ言の葉は呪詛に等しい。
    赤雷に蝕まれる身体はその痛みで辛うじて意識を保っているような状況だ。

    それでも……そう。それでも、求めるものがあるのならば

    唱えよ


    「『我が麗しき、父への叛逆』!」

    振り下ろす魔剣から解き放たれた暴威の塊とも言うべき魔力の奔流は違わず騎士王へ目掛けて突き進む。
    だがそれと同時に抜き放たれた輝きがあった。

    「『約束された、勝利の剣』!」

    激突する光と光。
    ーcont.ー

  • 104委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/09/18(Wed) 20:41:48ID:YxMzA5NjY(2/10)NG報告

    >>103
    ヴィヴィアン・ビリジアンは間違っても戦士ではない。魔術師としても半端モノの、生き様すら二流の男だ。
    だが聖剣の輝きはその心を貫いた。
    其の輝きこそ過去現在未来、すべての闘いに敗れる者が手を伸ばし、されど届かない『栄光』という幻。
    選ばれし王が振るうに相応しい星の聖剣、エクスカリバーの輝き。
    クラレントから放たれた光は次第に勢いを失い、あわや黄金の輝きがヴィヴィアンを飲み込もうとした時———

    「ご主人様っ!!!」

    片腕を失ったメイドの突進を受け吹き飛ばされる二人。極光から間一髪で逃れたヴィヴィアンは目撃する。
    両脚を焼かれたメイドを。
    腕を失い、今度は脚を失った■■の人を。

    「———ァ! アア!!!アアアアアアアアアアアア————」

    その声は言葉にならない。高速で暴れ回る思考は既に言語野を凌駕し獣が如き唸り声があがる。
    抱きしめるその身体のなんと軽いことか、人が人として生きるためにはあまりに多くのものを喪い過ぎている。
    それでも胸中に抱き寄せたメイドは残った腕で主人の涙を拭って見せた。
    震える手、虚ろな視線、声も出せない口……ヴィヴィアンは最後の覚悟を決めた。
    ーcont.ー

  • 105委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/09/18(Wed) 20:44:25ID:YxMzA5NjY(3/10)NG報告

    >>104
    「………ぃ呪を以って命じる」

    ヴィヴィアンの右手に刻まれた三画の令呪が光る。それは人が御するには余りにも強大なサーヴァントに対する絶対の命令権。

    「瞳を閉じろ」

    たった三度しかないその絶対命令で下された内容は起死回生の一手でも何でもなかった。
    そしてアサシンが瞼を下ろすのを確認すると、そのマスターは唇を交わらせた。
    それは触れるか触れないか、接吻と呼ぶには余りに弱々しいなにかだった。

    「続けて命じる。アサシン、なにも喋るな」

    それは意味のない命令に思えた。だがそれは彼にとっては必要な命令であった。
    これで連続して二画。残りは一画。
    瞳を閉じ、大きく息を吸う。そして目を閉じたまま言葉を紡ぐ。

    「最後の令呪を以って命じる。アサシンよ
                                     彼女を返してくれ」
    ーcont.ー

  • 106委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/09/18(Wed) 20:47:00ID:YxMzA5NjY(4/10)NG報告

    >>105
    ニタリ、と大きく歪んだ顔をヴィヴィアンが見る事はなかった。


    そもそもデミ・サーヴァントとは何か。
    それは英霊という力を、その力だけを利用するために企図された外法の産物。
    意思ある英霊から主導権を奪い、その肉体の持ち主が人類史に刻まれる程の英雄の力を好きに振るうための兵器。

    だがもし、もしそのデミサーヴァントの肉体の持ち主の、その精神が最初から死ん.でいたらどうなるのか。

    悪魔が

    解き放たれる

    その名は………

          メフィストフェレス
         『光を愛せざるもの』

    ーpassー

  • 107明星2019/09/19(Thu) 22:40:14ID:MxMjk0ODI(1/3)NG報告

    フランス特異点更新します

    「なんだ、なんなのだぁぁぁっ!? わからん、わからんぞぉ!」
     象牙を彫りあげて作られた女神像のような女が絶叫する。異境魔境の女王の身体を依代に現界したフォーリナー・スカタクが頭を抱えて悶絶する。
    「バカなのか!? バカオロカなのか!? そーなんだな! そうに違いない!」
     躁的な反応をするスカタクに人狼のバーサーカー・リュカオンが自ら率いる魔性の軍勢を率いて走り出す。復活した月棲騎兵獣(ムーンビーストキャリバー)たちは猛然と襲い掛かる。さながら午睡の夢からさめた肉食性恐竜と化したのである。
    疾走する魔狼王は、前傾した姿勢をそのままに一回転させた。スカタクから放たれた超硬度な結晶の槍が、一瞬前にまで彼の頭部のあった空間を貫いて遠方にある丘陵に命中し、非音楽的なひびきをたてて、丘陵の表面を砕き突き刺さっている。
     リュカオンが放った視線の先に、歪み捩くれた結晶の槍を陽光に反射させつつ殺到して女神の姿が映った。魔狼王は女神の細い首を噛み砕かんと襲い掛かる。装甲車の装甲すら噛む砕く強靭な顎を、狙わる女神は猛禽のごとき軽捷さで避ける。
     スカタクはふっと、けぶるような微笑を浮かべていた。
    「よしっ! 決めたーぞ! よォく訊けバカオロカ。お前の倒しかたは決めた。疾く失せるがいい!」

  • 108明星2019/09/19(Thu) 22:41:41ID:MxMjk0ODI(2/3)NG報告

    >>107
     超越存在たる神でなければ、とても到達できないような達観と壮図に満ちた笑み。それを目の当たりにしたリュカオンは口から、血と憎悪をしたたらせながら、美貌の女神を焼き殺.すかのように、眼光を集中させる。
    ―――この身を獣へ堕とした増上慢どもと同じだ。
    ―――自分の意志が絶対であり起きる結果も変わらないとでもいうような……!
    霊基が軋むほどの怒りが彼の体内を嵐のように荒れ狂う。
    「■■■■■■■■■■■■―――――――ッ!!」
     リュカオンは怨念に穢れた咆哮で大気を震わせた。
     こうしてさながら、蛮人同士の血戦が始まった。領域外の女神と堕天の魔狼王の戦闘だというのに、火薬が実用化される以前の日々、いや石器時代にまで時を遡行して、肉体と刃物と鈍器をぶつけ合う闘争が展開されたのである。
     金属と非金属が激突し、飛散する血腥い臭いが周囲に漂い、リュカオンの配下の死体から臓物がまろび出ている。スカタクは引き撃ちし始め距離を保ちながら槍を放ち、接近する敵を手に持つ槍で払い突いて仕留める。有象無象を捌きつつ、リュカオンめがけて投槍で攻撃する。リュカオンも放たれた槍を二本とも叩き落とす。
    「――――」
     スカタクが忌々しげにリュカオンへ近接して刺突を繰り出す。強烈な刺突を、受けとめるのではなくはね返し、致命的な一閃を敵に撃ち込んで跳び退る。その間に、飛来する槍をさけて素早く移動しつつ、スカタクを狙ってくる。俊敏で理にかなった動作は、スカタクの憎悪の的とした。致命的な襲撃を捌いて引き撃ちをしてもすぐに距離をつめてこようとするリュカオンが憎らしかった。
     スカタクは後背から迫りくる月棲騎兵獣(ムーンビーストキャリバー)を槍の一閃で血煙の下に撃ち落とした。
    「下賤な獣(けだもの)め……」
     忌まわしい、だが、哀れな獣だ。美貌の女神は嘲弄する。引き撃ちをする彼女の態度に何か裏があるのではないかと疑いながらも、リュカオンは憎き神気を追わずにはいられない。もしも真っ当なマスターが、彼奴を御せるものがいれば、命運は違ったかもしれないが、そのようなことは考えても仕方ないことだ。

  • 109明星2019/09/19(Thu) 22:42:10ID:MxMjk0ODI(3/3)NG報告

    >>108
    以上です。フォーリナーさんよろしくお願いいたします。

  • 110委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/09/22(Sun) 12:38:15ID:c5NTcxMTQ(5/10)NG報告

    >>106
    ザラリと、ナニカが心を逆撫でた気がした

    ズルリと、ナニカが腕をすり抜けた気がした

    ゾワリと、ナニカが這い出した気がした


    「ぃ、いざ…イザベル……ぅ、うう……」

    それは彼が彼女に付けた名前だった。自分の教育係として充てがわれた名もないホムンクルスに、幼い彼が付けた名前だった。
    あの日、自分の愚かさの代償に永遠に喪われた彼女。
    いま、自分の浅ましさの代償にもう一度喪われる彼女。

    自分は、この自分でも制御できない感情のせいで自分よりも大切と思ったひとを二度も喪ってしまった。
    恐れていたことが、現実となったのだ。

    ーcont.ー

  • 111委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/09/22(Sun) 12:39:34ID:c5NTcxMTQ(6/10)NG報告

    >>110
    メイド服を着たホムンクルス、片腕と両脚を失った人形から魔力の塊が溢れ出る。
    それはエーテルのカラダとなり今、舞台の上に現れる。

    それはサーヴァント。

    暗殺者のクラスを以て現界した人間でも、悪魔でもないナニカ。
    魔術師ファウストによって創造された生命体。戯曲に語られた誘惑と裏切りの悪魔。

    「あぁ、ぁあ……!」

    言葉にならない声をあげる男の腕に抱かれたメイドと同じくホムンクルスとして生を受け、純粋なまでにその欲求を満たすことで英霊の座に刻まれるに至った究極の愉快犯。
    その目の前で、今、すべての物語は結実した。
    座興は終わった。さぁ、この興奮が醒めてしまう前に幕を降ろそう。

    白すぎる手指、その爪が鋭利に伸びる。
    主人であった男の命を奪うために、衆人環視の前で、凶刃が、振り下ろされる。

    ーpassー

  • 112リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:33:51ID:k2NTc2NzA(1/8)NG報告

    伏神行きます

  • 113リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:34:04ID:k2NTc2NzA(2/8)NG報告

    >>112
    タイムセールは闘いだ。特に軽減税率だの消費増税だの言われる月最後に行われるのだ
    スーパーが戦場にならないと言えるだろうか?
    否!それは素人の都合のいい幻想に過ぎないのだ!

    〜人界地獄帳・英霊軍団スーパーにて堕つ!〜

    スーパー『黄桜』伏神店内に立つ六人の男女
    そのうち三人は一騎当千、音に聞く強者、歴史から現れた英霊である。もう三人は彼らの主人。そんな戦慣れした彼らは戦々恐々していた。訳は一つ。あと五分で始まるタイムセールの為待機している猛者達(しょうひしゃ)の気迫に押されていたから故に

  • 114リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:34:38ID:k2NTc2NzA(3/8)NG報告

    >>113
    ゲルトラウデは正直なところ物理的に精神的に頭痛がしている。ただのタイムセールでなぜここまでこの男は焦るのか?そんな思いをしている。狂人リドリーのサーヴァントに有無を言わせず頭を片手で持たれ、簀巻きの如く抱き抱えられここまで来た時、流石のライダーもセイバーにキレた。それはイコマも同じでランサーはセイバーに対する好感度を下げた

    だがセイバーに構う余裕なし。ある種の強迫観念が比較的秩序的であるエル・シッドをかきたてた。偏に特売品を狙う猛者達に対する焦燥感

  • 115リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:36:03ID:k2NTc2NzA(4/8)NG報告

    >>114
    「おんヤァ?いたんですな『心太』の西馬さん」
    西馬とはエル・シッドの偽名の一つ。この名前の時、彼はヒスパニック系日本人となる
    話しかけた男は河田。別名『音超』
    タイムセールにおいてそのスタイルから異名がつけられる。河田は音よりも早く目的地につき特売品を購入してしまうところからあだ名がつけられた。エル・シッドの『心太』も押し出される心太のように猛者の隙間を潜り抜け目当ての品を取るところから名付けられた

    「あんた、まだいたのか?前々回の鯛釜飯セールの時腰やって引退したと見聞していたが?」
    「へへ、西馬さん。老兵はただじゃ死なないんでさぁ。今回のタイムセールが増税前最後。無理やり体調を整えて来やした」
    「老骨おってもらいって悪いが、無駄だった事を証明してやんよ」
    「へへ、西馬さん。あんたもよくいう人でさぁ。その言葉そっくりそのままお返ししやす」

  • 116リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:39:25ID:k2NTc2NzA(5/8)NG報告

    >>115
    バチバチに火花を散らす2人を側から見て理解するのを諦める5人。大凡真面目に考えてはいけない空間のようだ

    エル・シッドは作戦会議を始める。紆余曲折したが、立ち位置が決まった。英霊三人は前衛として品を集め、主人三人は後衛として飛んできた品を受け取り会計へ持っていく

    作戦を固め、配置に着く六人。彼らのいく道は天国か地獄か?それは阿頼耶識ですらわからない……………

  • 117リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:40:36ID:k2NTc2NzA(6/8)NG報告

    >>116
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    死ぬかと思った
    特売品を買った6人は満身創痍だった
    いかに英霊、魔術師と雖も日頃タイムセールで戦っている猛者に対して、苦戦は必至なのだ

    息のあった物量戦を行う『米国』の岸十兄弟
    あまりに高速の手技で品取る『千手』の館無戒
    鷲の如く空を舞う『滑空』の鳳
    猛者の弱点を見抜きせめる『医者』の工藤
    猛者のスタイルを模倣する『互換』の鴻上
    誰も勝てない年齢76歳『最強』の真砂バーさん

    後の世に『伏神のスターリングラード攻防戦』と謳われる闘いを生き残った、生き残ったのだ

    リドリーは今日この日を生き残った事に対して誰に対してでもなく感謝の念を送った。そしてふと『当初の目的を思い出し』、慌ててゲルトラウデ嬢とイコマに聞く

  • 118リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:41:31ID:k2NTc2NzA(7/8)NG報告

    >>117
    「これから飲みいかない?」

    2人の答えはNO
    そこでリドリーはもう少し提案のランクを下げる

    「じ、じゃあさ、そこの公園で少し駄弁らないかい?それくらいならいいじゃないのか?戦利品の山分けもしないといけないしよ」
    〜〜〜〜〜〜〜〜
    今回の戦利品
    アルプスの天然水
    名古屋コーチン手羽先
    名古屋コーチン胸肉
    名古屋コーチンもも肉
    九条ねぎ
    富良野産人参
    越冬キャベツ
    ほうれん草


    打ち立てラーメンの麺

  • 119リドリー陣営2019/09/30(Mon) 09:41:44ID:k2NTc2NzA(8/8)NG報告

    >>118
    終わりです

  • 120橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/01(Tue) 21:19:06ID:Y4NzcwODk(3/19)NG報告

    >>111
    〜場面転換・ある女の心境〜
    「貴方がそこまで仰るのなら、私も楽しみましょう。ただ、彼らの作り出す流れに身を任せて」
    隣で鑑賞する黒眼鏡に告げて、私は視線を戻した。
    舞台の上で演じられる、願いと願いのぶつかり合いに酔いしれる。
    そして、彼らの物語に想いを馳せた。
    オズボーン・ファンタジアとヴィヴィアン・ビリジアンーーー本来交わることのない2本の線。
    それが交差し、舞台に無数の煌めきを灯す。
    舞台の上でたった今、ヴィヴィアン・ビリジアンが甲冑を身に纏い、アーサー王に対するジョーカー、モルドレッドとして伝説の王に相対した。
    観客が挙げる歓声や拍手が心地よい。
    そこに込められた熱狂や興奮が手に取るように分かる。
    耳朶が震えるごとに、なんとも言えない幸福感が身を包む。
    視界では、2人の騎士が剣戟の火花を散らす。彼らが剣を振るい、身を動かす度、意思の光とも言うべき煌めきが舞っているようだ。それは緑、青、赤、黄と宝石の如く輝き、私を楽しませてくれる。
    ーーーけれど、残念。私の本命は他にいるの。

  • 121橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/01(Tue) 21:19:43ID:Y4NzcwODk(4/19)NG報告

    >>120
    私の本命。それはヴィヴィアン・ビリジアンでも、アサシンでも、観客達でもない。そしてセイバーでもない。
    視線を騎士達の決闘から移す。視線の先には、そこに存在するだけで溢れんばかりの輝きを放つ者がいる。
    ーーーオズボーン・ファンタジア。
    彼の放つ意思の光は、金色。正しく光、煌めきと表現するに相応しい色。
    彼は自身の背後に水鏡を展開し、静かに2人の騎士を見つめている。
    ーーーあなたのその煌めき。ずっと気になっていたんですよ?
    彼にはこの上演が始まってから、いえ、一目見た時から惹かれていた。あの美しい輝きに。そしてーーーその輝きの裏側に。
    彼の輝きも、意思も、美しいものだ。けれど、美しいだけの人間なんて、いるのでしょうか?

    ふと、観客の反応が変わった。再度視線を騎士達の方へ向ければ、お互いの剣に眩い光を纏わせて相対していた。
    ーーー宝具の解放。
    二振りの剣から放たれる光の奔流。地面が抉れ、強大な力と力がぶつかり合う。

  • 122橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/01(Tue) 21:20:15ID:Y4NzcwODk(5/19)NG報告

    >>121
    そして、
    「ご主人様っ!!!」
    そこからの一幕に、目を奪われた。
    どこか遊んでいるような気軽さを持っていたアサシンが身を挺し、脚を消しとばされた彼女をヴィヴィアンが抱き寄せる。
    ヴィヴィアンの顔が悲痛に歪む。この世の中終わりというような表情と、地獄のような絶叫。
    その後のーーー令呪を使った命令(くちづけ)。
    浮き彫りになった彼の想い。それを目の当たりにして、私の心が動いた。
    ーーーああ、それが貴方の秘密なのね。
    なんてーーー愛おしい。

    まもなく舞台は終わる。
    幕の降りたその後に、"彼等"に会うのが楽しみね。

  • 123伏紙アサシン陣営2019/10/04(Fri) 01:07:44ID:I5ODU0MzY(1/26)NG報告

    ウィリー・ジャックは歩いていた。
    言葉は無く、ただ何も変わらぬ冷えた光をその目に湛えながら路地裏を歩いていた。
    隙間から差し込む夕暮れの輝きを持ってしても彼の心を揺らす事は出来ないだろう。
    昨晩、何者かに背後から襲われ昏倒、目が覚めたのは太陽が空の中心に来た頃合いだった。すぐに己の身体に何か魔術や呪いが仕掛けられていないかの確認、そして拠点の廃ビルの装置が働いていないかを点検したが何も見受けられない。
    サーヴァントであるアサシンにこの事を尋ねたが、アサシンは素知らぬ態度で首を横に振った。
    それが嘘である事をウィリーが見抜くのに時間はかからなかった。元より狂人に片足を踏み入れている反英霊だ。己の主人が強襲されて何の反応を示さない従者などこの世にはいない。
    人はそれを背信者と呼ぶ。

    「ここか」

    とある一角で足を止めた。
    彼方此方に映る、抉り取られたアスファルトは昨晩起こった戦いの証拠だ。何かが音速に匹敵するスピードで移動しなければここまでには至らないだろう。
    そして、奥の壁には薄くなりつつある血が染み込んでいた。ウィリーの頭より二つくらいから血は流れたらしく、少なくない量から察するに腕を切られたか。

    「………」

  • 124伏紙アサシン陣営2019/10/04(Fri) 01:08:18ID:I5ODU0MzY(2/26)NG報告

    >>123
    ウィリーが壁に向かって手を翳し意識を集中させると血跡は淡く光り始めた。やはり魔術師の血だ。
    しばらくすると、蒐集された魔力が小さく押し固められた結晶となり出現する。親指と人差し指に挟まれ夕日を浴びたそれは赤くルビーの様な色合いを放つ。
    赤色。ウィリーの目に映ったそれは重大な意味を持っていた。
    通常、蒐集された魔力は大半は白く透明な結晶へと姿を変える。ただそれでも聖堂教会の者が使う詠唱などで発生した魔力は無色に近くなり、黒魔術から採集した結晶は文字通り黒に近くなる傾向という傾向が存在する。
    ならばそのどれにも当てはまらないこの赤色が示すのはーーー

    「神代か」

    この科学主義が確立された二十一世紀、神々が世界を支配していた時代の証はほぼかき消え僅かに名残があるだけだ。目にかかる機会もまた、失われたはずだった。
    だが目の前の結晶はそれを否定する。何よりもウィリーの魔術によって。

    「………」

    神代から残る魔術は世界を五周した程度では己のように刻めなかった。
    ーーーだが、仮にその神代の魔術を知る者がこの聖杯戦争に参加しているとすれば?

    ふと思い立ったかのように後ろを振り返る。護衛の為、側に控えさせていたアサシンは居なくなっていた。
    ウィリーは表情を変えず、昏い光を宿した目で令呪を見つめていた。

  • 125橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/05(Sat) 19:19:02ID:QzODk0NDU(6/19)NG報告

    >>122
    〜舞台上〜
    高音が響く。
    ヴィヴィアンを貫かんとしていた凶刃は、刺客の頭上へと跳ねあげられていた。
    「させないよ」
    静かに、身を正させるような風格を持った声が響く。
    滂沱の涙を流す錬金術師と、それを嘲笑う悪魔。そして、錬金術師を護る様に立つ騎士。
    騎士が纏う銀色の鎧は、しんしんとした雪景色の如く、神秘的で清浄な輝きを放つ。
    鮮やかな金髪は舞台の照明に照らされ、見る者の心に光を灯すようだ。
    金と銀のコントラスト、そして颯爽とした立ち姿が人々を魅了する。その姿は正しく、御伽噺で語られる騎士のもの。
    「な、ぜ、だ……?」
    錬金術師が騎士に問う。何故この騎士は、先程まで敵だった自分を助けたのか、不思議でならなかったのだ。
    「私はマスターに、貴方を死なせるなと命じられている。それを違える訳にはいかない。それにーーー目の前で消えようとする命の火を、見過ごせる騎士などいるはずがない!」
    力強い宣言だった。彼の騎士にとって、それこそが本懐。主人を、誰かを護るという堅き誓い。
    その返答を受け、錬金術師は俯いた。そして、たった一言呟く。
    「ーーー敵わねぇな、アーサー王」
    その声は弱々しく、苦々しく。されど清々しさも感じられた。
    「ちょぉぉ〜〜〜〜〜っと、よろしいですか?お取り込み中のところタイヘン申し訳ないのですけれども、ワタクシ、そこの方を可愛がり(コロシ)たくて可愛がり(コロシ)たくてウズウズしているの死(Death)!」

  • 126橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/05(Sat) 19:19:30ID:QzODk0NDU(7/19)NG報告

    >>125
    錬金術師の感傷を汚すように、軽薄で下劣に嗤う悪魔。道化を思わせるな白い化粧が、その狂的な雰囲気を加速させている。
    「気配からして、お前がアサシンの正体か。ーーー彼らに手は出させないよ」
    「ヒヒッ!ヒヒヒッ!イイですねぇ〜〜。高潔な騎士様がどうなってしまうのか、ワタクシ楽しみでございます!」
    アサシンが後ろへ飛び退ると同時にカードを投げる。騎士は飛来するカードを剣で弾いた。
    その光景は、序盤の再演のようだ。
    しかし、ただの再演ではない。その相違点の一つとして、着地したアサシンの足元が隆起し、一つの構造物が出現する。
    「それでハァ、皆さま。ワタクシのパフォーマンスを披露致しましょう!」
    現れたのは、巨大なメリーゴーランドだった。
    アサシンは馬の一頭の上に立ち、悪辣な笑みのままカードを投擲した。セイバーはそれを回避しながら、回転を始めた別の木馬に飛び乗る。
    道化と騎士の対決、その第二幕が始まった。

  • 127橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/05(Sat) 19:22:50ID:QzODk0NDU(8/19)NG報告

    >>126
    以上です。
    ここからやりたいこととしては、
    ・過去に受けたカードで付着した呪いが爆発(イザベルの放ったカードは、メッフィーの悪戯心で呪いは発動させずにいた)。
    ・カリバーン解放で決着。
    です。

  • 128リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:14:21ID:A0NTgzMTg(7/42)NG報告

    アメリカ異聞帯です

  • 129リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:14:36ID:A0NTgzMTg(8/42)NG報告

    >>128
    「拍子抜けする程簡単だったな」
    大嶽丸の言葉に同意する立夏。拍子抜けする程なんの困難もなく装甲車を持っていくことができたのだ
    別れた他のチームも同じような展開だったらしい。モーシェは神酒の調査をしている結果が出るのはもう少し先であろう

    立夏はエル・シッドの言葉を思い出す

    『復讐だ。あの傷持ち野郎のドタマにこの拳ぶっ刺してやりたい。それが今の生き甲斐だ』
    目に宿る炎は怒りに彩られ、気迫に嘘はない

    (まあ、私たち裏切るような感じには見えないけどなぁ……………)
    しかし何事にも過信は良くない。数多の特異点、■つの異聞帯を解決した彼女の経験上導き出した処世術ゆえに

  • 130リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:15:20ID:A0NTgzMTg(9/42)NG報告

    >>129

    「涙が出てるな。なんかあったか?」
    「あ、ごめん白雪姫心配かけちゃったね。ちょっと疲れてね」
    「全く……………」
    涙を手で拭う様を見て、思わず抱きしめる。平凡な善人かと思えば時々訳の分からないのが彼女だ

    (はさまりてぇ……………)
    「顔に出てるぞ呪鬼」
    「え、まってなんだよそのあだ名。俺には大嶽丸っていう天地を開闢させるどえらい名前があるんだぜ」
    「癖みたいなもんだ。許せや呪鬼」
    「また言ってるやんよ」
    エル・シッドと大嶽丸の小競り合いを尻目にリオナは機械を動かしテレビを作る
    それを興味深く見ているのはアインシュタインだ。彼女の頭脳を持ってしても何故装甲車を溶かした液体から型に流し込む事でテレビができるのか皆目見当がつかない

    19分後
    完成したテレビにビデオを差し込む。そして映像を再生した。リドリーが残したその遺産。一体どんな内容なのか?

  • 131リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:15:49ID:A0NTgzMTg(10/42)NG報告

    >>130
    19分後
    完成したテレビにビデオを差し込む。そして映像を再生した。リドリーが残したその遺産。一体どんな内容なのか?

    映し出されたのはこの部屋。写っている男はリドリー……………"ではなかった"

    『Allo。僕は宇喜多直家。ここじゃ"謀略の宇喜多"といわれいる』

    戦国の世に梟雄と謳われた天才謀略家の姿だった……………

  • 132リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:16:46ID:A0NTgzMTg(11/42)NG報告

    >>131
    〜〜〜〜
    このビデオを見ているなら僕の予測通りことが進んでいるんだろう。脳が発達しててね。人がどう動くのか完璧に分かるようになったんだ。……………僕たちが勝利するためには僕たちが犠牲にならなきゃいけない事を黙っていて申し訳ないと思っている。まあ罪悪感はないけどね、君たちは僕の家臣じゃないし

    それはさておき、裏切り者は"歴史に潜むデン・テスラ"じゃないかな?彼の動機はただ一つ『歴史的英霊になりたい』だね。彼の技術は凄い。弟を遥かに凌駕している。だが"無意味だ"。彼は何かを成し遂げる前に死ん.でしまったからね。弟よりも能力があると自負しているのに自分は幻霊にしかならない。彼にとってこれ以上の屈辱はないさ。だから"裏切る"

    彼は自分独自の方法でこの異聞帯を修復しようとしている。だが、この目論見は失敗に終わるんだ。何故なら彼は"傷持七豪集"に殺されるから。どんなに強い英霊を読んだとしても彼は勝てない。僕の"予測"は絶対さ

  • 133リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:17:20ID:A0NTgzMTg(12/42)NG報告

    >>132
    じゃあ何故こんな話をするんだ?そう思ったよね、この映像を見ている君。デン・テスラが"見つける物"が重要なのさ。彼はこの異聞帯を解決できるアイテムを必ず見つけ出す。だがこのまま行けば傷持七豪集に取られるだろうね

    そこで君たちだ。君たちがやるべきことはこのデン・テスラが見つけ出したアイテムを横取りすること。それが出来なければアメリカは終幕さ。異聞帯としての強度はそれなりだが、この国に隠されているのが"やばい"。他の異聞帯を凌駕する物量があるからね

    このカプセルを飲んでからの僕の予測は絶対だから。でも予測できるだけでは勝てない。君たちがミスをしなければアメリカは必ず修復できる。期待しているさ



    あっ、場所行ってなかったね。君たちが行くところは

    ハリウッドだ

  • 134リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:19:05ID:A0NTgzMTg(13/42)NG報告

    >>133
    〜〜〜〜〜〜〜〜

    荒野に大きく浮かぶ影有り。アルプス山脈と比較しても支障がない程の大きな影は羽ばたいていた

    "怪鳥ソロウェイ"

    『舵取の五人目』が操る巨大な索敵機だ。外敵を噛み砕く口は威嚇を露わにし、その片目は外敵を睨みつける

    ソロウェイと比べると遥かに小さい、しかし90mはあろう象がその先にいた。いや正確には頭の上にいる英霊を見ているのだが

  • 135リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:19:44ID:A0NTgzMTg(14/42)NG報告

    >>134
    ……………珍妙な格好だ。髷を結い、桃色の戦鎧をつけ、桃のマークのついた鉢巻を巻いている。刀、小手、脛当て、巾着袋。恐らく日本の出身者。そしてその旗には『天朝無類』の文字

    ソロウェイは風を巻き起こす。その羽ばたきにより砂嵐が連鎖的に生まれ、周囲を吹き飛ばす。だが英霊は意に返さない。むしろさらに直立姿勢を保っていた

    面白くないのはソロウェイだ。彼は嘴で英霊の内臓をえぐろうとする。瞬時に動かした頭の速度、実にマッハ9。並の英霊おろか強い英霊でも粉々になってしまうだろう

  • 136リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:20:17ID:A0NTgzMTg(15/42)NG報告

    >>135
    ミシリ。爪を捩じ込む音がする。英霊がソロウェイの嘴を握り潰す音だ。マッハ9。その衝撃をこの英霊は筋肉だけでねじ伏せたのだ!

    「嘴も臓にいたならければ良い。全く安易なものよ」

    そう呟くと嘴を掴んだまま片手でソロウェイを地面に叩きつける。

    ドバガンッッッッッ!!!
    ドバガンッッッッッ!!!
    ドバガンッッッッッ!!!
    叩きつけられるたびにクレーターが生まれ、音が鳴るたびに地面が揺れる。神酒の管は軋み、地の肌はひび割れ、土の骨はヒビ入る!

    そして伸びきったソロウェイを片手で回転させ、ハンマー投げの如く空に飛ばした!ソロウェイは態勢を直す暇なく大西洋に叩きつけられたのだった

  • 137リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:20:40ID:A0NTgzMTg(16/42)NG報告

    >>136
    〜〜〜〜〜〜〜〜
    「ソロウェイがやられたようじゃ」
    「マジの話?舵取氏」
    「しばらくは休ませた方がいい程にやられたようじゃ」
    「困りましたね、やられた場所は?」
    「ハリウッドじゃな。文字が見えたからのう」
    「くくく、ひさびさに良い処刑ができそうですな」
    「処刑、舵取。私も行きます」
    「成る程、肝心氏も来てくれたら安泰ですな」
    「では行きますか」

    舵取の五人目
    処刑の二人目
    肝心の三人目
    ハリウッドに参戦……………!

  • 138リドリー陣営2019/10/06(Sun) 23:20:50ID:A0NTgzMTg(17/42)NG報告

    >>137
    終わりですね

  • 139一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:39:29ID:EzMTU1MjA(1/8)NG報告

    お待たせしました、第■回を投下いたします

  • 140一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:39:41ID:EzMTU1MjA(2/8)NG報告

    >>139
    「いやー、冷えた身体には羹(あつもの)が一番だよねー」

    そう言いながら、銀河は汁椀によそった豚汁をすすりつつ飯盒に箸を突っ込んで白米を食らう。

    「《…………何で、私もなんだ?というか、何故変身を解かない?》」

    「んー?」

    白米の盛られた茶碗を持ちながら、困惑した表情で自身のマスターに問いかけるキャスター。

    「もぐもぐ………………いやぁ、解き方わかんなくってさ、もうしばらくはこのまんまで良いかなって!」

    白米を飲み込み、能天気に大笑いするマスターに、思わずずっこけそうになるがなんとか持ち直すキャスター。

    「それにさ、いくら身体が寝ず食べずでへいきへっちゃらだとしても、心はそうじゃないでしょ?」

    だったら食べなきゃ、とにこやかに微笑み銀河は豚汁を口に掻っ込んだ。

  • 141一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:40:28ID:EzMTU1MjA(3/8)NG報告

    >>140
    「(――――――――変なマスターだ)」

    サーヴァントは食事も睡眠も必要としない、殆ど意味は無いと言うのに。
    心の中でそう呟きながら、キャスターは豚汁に口をつける。

    ――――――――美味い。
    田舎味噌の風味が口に広がり、豚肉の旨みがあとにつづき、よく味の染みたゴボウや人参がまた別な味わいをもたらす。
    自身の生きていた時代には口にすることもなかった料理を口にする。
    ――――――――もう、かの唯一神を信仰する資格は自分にないのだから。

    >>>

    「ふぃー、食った食った……」

    「《寝て食ったら牛になるぞ》」

    腹をさすりながら、テントの中でゴロ寝する銀河。

  • 142一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:41:03ID:EzMTU1MjA(4/8)NG報告

    >>141
    「いーじゃん『寝る子は育つ』って言うし」

    「《今の肉体は15歳あたりだから、まぁ……育つと言えば育つが………………ってそうじゃなくて》」

    「わーかってるよぉ、他の陣営のことでしょ?」

    「《わかっているなら、何故行動しない》」

    「いや『行動しない』んじゃないんだ、どっちかと言えば『行動できない』って感じかな」

    「《ほう?》」

  • 143一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:41:31ID:EzMTU1MjA(5/8)NG報告

    >>142
    「けど、その前に一つ良いかな」

    おもむろに起き上がり、神妙な顔で言葉を紡ごうとするマスターに思わずキャスターは居ずまいを正す。

    「《何だ?マスター》」











    「トイレ行きたい!」

    盛大にキャスターがずっこけた。

  • 144一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:42:12ID:EzMTU1MjA(6/8)NG報告

    >>143
    「《…………行けば良いじゃないか》」

    「ありがと!いやーさっきからションベンが漏れそうでさ!」

    「《女の子がションベンとか言うんじゃありません》」

    スタコラと、銀河と霊体化したキャスターがトイレの方へと駆けていった。

    >>>

    「あー、危なかったー」

    銀河がハンカチで手を拭いながら建物から出てくる。

    「《まったく…………お前は不用心にも程がある、もし他陣営に出くわしたらどうする?》」

    「んー……多分他と出くわすのはそうそう無いと思うし、大丈夫なんじゃない?」
    そう言う銀河の顔に、枯れ葉が風に巻き上げられて『ひらり』と飛んでくる。
    「なんか、風強いなぁ」

  • 145一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:42:38ID:EzMTU1MjA(7/8)NG報告

    >>144
    「《…………マスター、ピースの準備だ》」

    「へ?」

    枯れ葉を浮かす風が徐々に強くなり、銀河の視界……というより顔面が枯れ葉で殆ど塞がれる。

    「アバババババ!ア゛っ、ちょっ、前ッ……見えな――――――へべしゅ!!」

    思わずスッ転び、キャスターになんとか助け起こされて起き上がる。
    しかし、視界には未だ大量の枯れ葉。枯れ葉。枯れ葉。
    枯れ葉のブラインドがキャスター陣営の視覚を覆い、風切音と枯れ葉同士のこすれ合う音が聴覚を埋め尽くす。

    視界が晴れたとき、巻き上げられ地面に落ちる大量の枯れ葉の中心にふわりとした癖毛の青年が立っていた。

  • 146一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/10/08(Tue) 00:43:09ID:EzMTU1MjA(8/8)NG報告

    >>145
    以上です。
    お待たせしましたァッ!

  • 147レアの人2019/10/08(Tue) 18:43:29ID:YyNjUzNzY(1/8)NG報告

    伏神いきます

  • 148レアの人2019/10/08(Tue) 18:44:01ID:YyNjUzNzY(2/8)NG報告

    >>147
    教会からの帰り道を霊体化した従者を引き連れながら徒歩にて帰る。
    暗示の魔術の効果によりしっかりと教会へと向かった学友を診察した監督役いわく特に異常はないとのことで一安心といったところである。霊障は当然のこと何かの悪い魔術的な仕掛けが施されていないとも限らなかったが今回は幸い大丈夫そうだ。監督役はなにやら急に連れてくるなだのと悪態をついていたが知ったことではない。そもそも自分をまきこんだのは自分自身なのだからその仕事などはしっかりとこなしてしかるべきだと玲亜は考えている。我ながら意地の悪いことだと思うが無理やり厄介ごとを押し付けてきた相手なので雑な対応を意趣返しという意味でも行ってしまうのだがそれぐらいは許されるだろう。

    『友人が無事で少しは喜ぶかと思えば表情が硬いな。考え事か?』

    霊体化した従者の言葉を肯定しつつ続ける。
    「ええ、ほっとはしたけれどこれからも無事かはわからないもの。はやく終わらせるべきよこんな戦いなんてね。あの子が本当に魔術師に巻き込まれたかは分からないけれどね。」

    『いや、あれは十中八九魔術師がらみであろうよ。』
    その断言に近い言葉に疑問を感じる。たしかにこの状況で魔術師がらみのトラブルに巻き込まれたと考えることは自然だがなぜほぼ間違いがないといえるのだろうか?

  • 149レアの人2019/10/08(Tue) 18:45:06ID:YyNjUzNzY(3/8)NG報告

    >>148
    『なぜそう思うのかという顔だな。それなりの理由はあるが…あまり聞いていい気分にはならん話だ』
    「話して」
    すぐに続きを促す。アヴェンジャーが令呪の効果により隠し事はできない。だからこそその理由もあると語ったのだろうがそれに対して忠告を入れたということはそれなりの話であるのだろう。聞きたくはないが聞かなければならないことだと玲亜は思う。
    (私に気を使ってくれてるのはうれしいけれどね…)
    『…そうか、ならば語ろう。あの娘についた匂いで分かる。俺は故あって嗅覚が通常の英霊よりは優れていたからわかった。あれは少々異質な匂いがついている。』
    「異質な匂い?それはなに?」
    『…腸の匂いだ。ある程度匂いを消す細工はしていたようだが残っていたということは本来は相当濃かったのだろうさ。通常に暮らしていたならばそんな匂いの着いた人間はそうはいまい。』
    「は…」
    思わず絶句する。腸の匂い。それはつまり…
    「そんなものが大量にあるところにいたということ?」
    『そこまではわからぬ。だがお前の語った友人の話からしてそんな状況に陥るようなものではないからな。記憶操作か何かでも受けていると考えることが自然だ。』
    アヴェンジャーの言葉が事実だとすればそのような行為に及んでいた魔術師が居たということだ。
    許すわけにはいかない。そう決意を新たにしつつ次の一手を考える。
    だがその思考は途中で想定外の事態によって途絶えた。

  • 150レアの人2019/10/08(Tue) 18:45:55ID:YyNjUzNzY(4/8)NG報告

    >>149
    「結界が、消えてる?」
    一度屋敷に戻り留守中にきた情報を整理しようと考えていたが目の前の光景は玲亜を動揺させるのに十分すぎる事態であった。
    魔術師の家はいわば工房のようなものだ。当然他の魔術師を排除するような仕掛けが施されていることが一般的と言える。東雲家の屋敷も当然先代の残していた結界が作動しており侵入者を中に居れないような仕掛けがあったのだがその結界がなくなっているのだ。
    「アヴェンジャー!ついてきて!」
    自身の従者を引き連れ急いで屋敷の中に入る。
    中はひどい有様であった。
    物は倒され家具は汚されとさんざんである。だが、どれもこれも深刻なものではない子供のいたずらと言えるようなレベルの汚れや損害であること。
    「な…なにこれ…子供?子供のいやがらせ?いえでも子供が簡単に入れるようなものではないし…子供にしては大きい家具とか倒されてるし…」
    色々と混乱してきた玲亜であったがアヴェンジャーは冷静に告げる。
    「レア、少し下がっていろ。そこの部屋に敵だ。」
    え?とつぶやく玲亜しり目にドアを勢いよく開けるアヴェンジャー。
    そこにいたのは…人ではないと一目でわかるほど異質な存在であった。

  • 151レアの人2019/10/08(Tue) 18:46:25ID:YyNjUzNzY(5/8)NG報告

    >>150
    以上です
    ガイさんにパスします

  • 152ガイ・フォークス2019/10/09(Wed) 22:29:37ID:YxMTEyNjc(1/3)NG報告

    >>150
    血のように紅い夕陽を背負ったその侵入者は玲亜たちの姿を認めると、ぱん、と大きく手を打った。それから、謳いあげるような調子で言葉をつづる。
    「やあ、麗しいお嬢さんがご自慢の番犬とともにお帰りだ。見ろ、かわいそうに、不安な予感に胸を塞がれていらっしゃる!誰か彼女を元気づける者がいないだろうか!」
    「『これ』をやったのはお前か?わざわざ敵の拠点まで――」
    「とんでもない!」
    唸るようなアヴェンジャーの問いかけに、異形の人物は、ぱっと両手を広げた。
    「俺だって、この惨状を憂える者の一人ですぜ。友人思いの心優しい少女に何かしてあげたくて、掛け値なしの善意でここに来たのさ」
    玲亜は困惑した。アヴェンジャーが動かないということは、敵意がないというのは本当なのだろう。しかしこの風貌・・・・・・明らかに目の前のこいつはサーヴァントだ。敵対者が親身になるなんて、そんなことがあるのだろうか。
    アヴェンジャーを見上げると、好きにしろ、というような視線で見返してきたので、おずおずと言葉を投げかけてみることにする。
    「あなたは・・・・・・サーヴァント?」
    「それは正しいが、本質じゃない。――申し遅れました、Gnädiges Fräulein。ワタクシ、悪魔ザミエルでございます。以後、お見知りおきを」
    深々と丁寧にお辞儀をする男に対して、魔術師の少女は絶叫に近い声を上げた。
    「悪魔ですって!?ありえない!!」
    「ありえない?なぜ?」
    「なぜって――悪魔は人間には感知できない存在よ。人間に憑依することもあるらしいけれども、その末路はみんな自壊。人間の精神では耐えられないの。それに、そもそも悪魔は『人』の理の外に在るもの。仮にあなたが本当にそうであったとして、善であれ悪であれ、人理を守る存在が根底にあるサーヴァントになるはずが・・・・・・」
    「だが、俺はこうしてここにいる」
    喉の奥でくつくつと笑い、ザミエルは未熟な魔術師に向き合った。薄暮の中、オッドアイが怪しく光った。
    「俺が何者であるか。そんなものはどうでもいい。重要なのは、お嬢さん。アンタに手を差し伸べるのはいったい誰かっていうことさ」
    「どういう意味?」

  • 153ガイ・フォークス2019/10/09(Wed) 22:29:50ID:YxMTEyNjc(2/3)NG報告

    >>152
    思わず聞き返した玲亜に、ザミエルはゆっくりと歩を進める。恐ろしくも、なぜか安心して心をゆだねてしまいたくなるような甘美な空気を纏っており、それは、防御反応を一瞬忘れてしまうほどのものだった。
    悪魔はささやく。
    「こんなにも真面目に努力しているのに、不幸に次ぐ不幸。愛すべき友人にも不安が見え隠れする。あんたが頑張っている裏でロクデナシ共が甘い汁を吸っているのに・・・・・・不公平に思ったことは無いか?なんでそんなことになる?それは・・・・・・おお、神がアンタを見放したからだ!」
    「そんなこと・・・・・・」
    「心配ご無用。神が見捨てたモノ――それはすなわち、悪魔の取り分さ。俺たちは弱き者の味方であり、同時に毒であるべきだ。救いが欲しいんだろ?この町にも、ご友人にも。アンタだって報われていいはずさ。お代は後払い。もたらす結果をいただこう。何なら歌でも歌ってもらえたら最高だね」
    いつの間にか、耳元にザミエルの顔があった。背後から差し出された手のひらには、弾丸が7発。悪魔は続ける。
    「贈り物(魔弾)をどうぞ、お嬢さん。こいつは孕んだアシナシトカゲだ。絶対に命中するってやつ。この先きっと役に立つ。6発命中、だが、気を付けろ。7発目はイカサマ、俺の取り分だ。大事なものを必ず奪う」
    アヴェンジャーは動かない。敵意がないことは確かなようだ。利のあるように思えるが・・・・・・この怪しすぎる誘いに、果たして乗って大丈夫なのだろうか。
    もちろん命令すれば、アヴェンジャーはこの悪魔?を、一刀のもとに切り伏せるだろう。すでに刀の柄に手がかかっているのを、玲亜は横目に確認した。
    悩んだ末、出した答えは――

  • 154ガイ・フォークス2019/10/09(Wed) 22:30:16ID:YxMTEyNjc(3/3)NG報告

    >>153
    以上です。レアさんにパース!

  • 155理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/10/10(Thu) 01:01:15ID:kzNTI2MjA(1/3)NG報告

    第■回続き行きます

  • 156理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/10/10(Thu) 01:01:27ID:kzNTI2MjA(2/3)NG報告

    (マスター、気をつけて。彼女達はサーヴァントとマスターです)

    落ち葉をまきあげて着地するハリーの脳裏にセイバーの念話による声が響く。

    (OK……とは言っても、悪い子達には見えないけど)
    (……どうします? このまま戦闘を?)
    (……やめておく。というか、この子相手にはそんな気にはなれないよ。この女の子、僕の妹に歳が近いんだ)
    (承知しました。心代わりの際にはすぐに念話を寄越してください)
    (OK、頼りにしてるよ、セイバー)

    唐突に現れた自分を見て唖然とするサーヴァントとマスターを前に会話を終えるハリーとセイバー。
    そうしてハリーは、彼女達2人にこう告げた。

    「やあ。僕の名前はハリー・ウォーカー。驚かせてごめんね。ここから上がってる煙を見てね、火事が起きてると思って飛んできたんだ、文字通りね……ところで、君たち2人はこんなところでなにを?」

  • 157理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/10/10(Thu) 01:01:47ID:kzNTI2MjA(3/3)NG報告

    以上です
    短いですがフォーリナーさんよろしくお願いします

  • 158委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/10/13(Sun) 00:49:59ID:cwMDE5ODE(7/10)NG報告

    >>126
    「逃すかッ」

    嘲りと共に回転木馬から回転木馬へと移っていくかつてメイドだったモノ、真なる姿を現した悪魔めいたナニカを追いセイバーは跳躍する。
    回転するメーリーゴーランド内部に着地。迫る木馬。視界から消えようとするアサシンを捉えるために木馬と木馬の隙間を縫い……セイバーは横薙ぎに剣を振るうと木馬の支柱を両断した。支えそしてを失った木馬が落下するよりも早く魔力放出による放射が行われた。
    吹き飛ぶ二頭の木馬。その瞬間、外側の木馬が爆裂した! 判断を誤ればセイバーはこの爆発に巻き込まれていただろう。

    「んン〜〜フッフッフー? アナタ、直感スキルなんて持っていましたっけぇ?」
    「これくらいのこと、外道ならば当然のようにやるだろう」
    「フフフ…フフ、フゥーフッフッフー」

    メリーゴーランドは回り続ける。
    嗤い声は響き続ける。

    だが、悪魔の姿はそこにはない。姿は元より気配すら……。

    「気配遮断、か…」

    ーcont.ー

  • 159委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/10/13(Sun) 00:50:56ID:cwMDE5ODE(8/10)NG報告

    >>158
    回る廻る、木馬の群れの中を騎士が聖剣を閃かせる。その度に爆発が起こる。

    「攻撃したらその効果は失われる筈なのに…」
    「アレがトラップ……だからだろうな」
    「ヴィヴィアン」
    「悪いが、俺にアレはもう止められない……ご覧の有様でね」

    掲げた右手には掠れた令呪の跡のみがある。だが、それよりも抱えた亡骸にこそ視線は奪われる。

    「恨んで……いるか? 私を、セイバーを」
    「どうして。悪いのは俺だ。俺だけだ……そんな筋違いな事をしたら今度こそ顔向け出来ない」
    「……」
    「そんなに気が咎めるなら…そうだな。後で一杯奢れよ勝者ウィナ-」
    「フッ……分かったよ。吐くほど呑ませてやるさ☆」
    「よし。じゃあ決まりだ……。その前にひとつ、頼めるか」

    ーcont.ー

  • 160委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/10/13(Sun) 00:52:57ID:cwMDE5ODE(9/10)NG報告

    >>159
    「こんな小細工では私は殺れないと分かる筈だ、アサシン。一切合切吹き飛ばしても構わないのだぞ」
    「ならばやってみるがイイでしょう騎士様、王様!フフフ、フフフゥーフッフッ」
    「チッ…」

    ((セイバー、聞こえるかい♪))
    ((マスター?))
    ((これからあの悪魔に隙が出来るよ☆ でも何度も通用する手段じゃない。この機を逃さず仕留めて欲しい))
    ((Yes my master.))

    念話が終わったと同時、歌が響いた。


    Amazing grace how sweet the sound
    That saved a wretch like me.

    「おお゛??! おや?おやおやおやぁ〜!?」

    ーcont.ー

  • 161委員会【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/10/13(Sun) 00:55:05ID:cwMDE5ODE(10/10)NG報告

    >>160
    How precious did that grace appear,
    The hour I first believed.

    ピアノの旋律と共に、亡骸を抱えた男は歌う。
    オズボーンの指は華麗に鍵盤を叩き、見事荘厳な雰囲気を演出している。それに呼応する様に、舞台も変貌っていく───

    The Lord has promised good to me,
    His Word my hope secures

    悪魔メフィストフェレス、実態とはかけ離れた「悪魔」という人々の想像によりその存在を再定義されたサーヴァント。ならば

    We've no less days to sing God's praise
    Than when we'd first begun.

    「彼女を弔う。そんなことも、俺はまだやっていなかったんだ」

    気配遮断を失い、床に転がり落ちたアサシン。道化めいた悪魔は確かにその姿を晒した。

    ーpassー

  • 162スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/10/13(Sun) 23:41:46ID:k0ODI2MTE(1/1)NG報告

    台風とかあったので連絡。
    第■回参加者の皆様、もし参加自体が厳しくなったら此処でも予選スレでも良いので連絡下さい。
    その場合、代筆、辞退(代役建てます)等といった参加陣営の扱いについても連絡して下さい。
    代筆の場合、参加陣営をどういう役回りで書いて欲しいか、隠し玉として用意したものは有るか、もし再び参加出来る状態になった時に敗退してなければ復帰するかどうか、といった事も書いて頂けると助かります。

  • 163橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/10/14(Mon) 23:06:17ID:EyOTIyNDY(9/19)NG報告

    >>99
    〜ルイ視点〜
    森の中を走る。サーヴァント達の戦いの余波に巻き込まれないように。
    力と力がぶつかる音が次第に遠いて行く。
    「これくらい離れれば大丈夫かしら……」
    適当なところで足を止め、呼吸を整える。
    すると先程の、恐怖に足が竦んでしまった不甲斐ない自分が思い出され、暗い気分が胸を満たす。
    (……いいえ、しっかりしなさい"蒼木ルイ"。貴女はこんなところで沈む人ではないでしょう)
    自身を叱咤し、沈む思考から抜け出す。それにしても、先程から続く、
    その時、枝を折ったような音が響いた。
    「誰ですの!」
    音のした方を向くと、「ひっ!」と小さな悲鳴を挙げて後ずさる男性の姿があった。
    「や、やあ、こんばんは。お、驚かせるつもりは無かったんだ、ごめんよ」
    先程の悲鳴を取り繕うように、彼はどこかぎこちなく挨拶をする。
    背が高く細身、丸眼鏡をかけたその姿には見覚えがあった。確か、以前インタビュー映像で見た、参加者の1人。タイミングから言って、彼が先程のサーヴァントのマスターである可能性が高い。
    (警戒は必要ですが、まずは様子見と行きましょう)
    「ごきげんよう。貴方は……宗美樹さんでいらっしゃいまして?」
    こっそりと魔術の準備をしつつ、表面上はにこやかに彼へ挨拶を返す。
    すると彼は、驚きの表情を浮かべて硬直してしまった。

  • 164橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/10/14(Mon) 23:06:49ID:EyOTIyNDY(10/19)NG報告

    >>163
    「ムッシュ?如何なさいました?」
    「……………ない」
    「はい?」
    「……信じ、られない。覚えていてくれたのかい?会ったこともない僕の名前を?その上、そんな風に笑いかけてくれるなんてーーー嬉しいなぁ」
    微かな違和感。ほんの一瞬、彼の言葉には背筋がゾクリとするような何かが滲み出ていたように思えた。しかし、その違和感の正体を手繰り寄せる前に、次の言葉が到来してしまいました。
    「君は確か、蒼木ルイさんだったね。うん、映像で見るより数倍……その、き、綺麗、だよ」
    聞き慣れた賛辞。そして、わたくしを複雑な気分にさせる言葉。勿論、綺麗、美しいと言われる事は何度あっても嬉しく思います。
    けれど、そう言われる度に頭に過ぎる事があるのです。ーーーわたくしの価値は、見た目(からだ)なのか、と。
    そして、その思いを加速させる要因が一つ。それは彼の視線。瞳孔が忙しなく動いているけれど、気のせいか、わたくしの顔よりも下、胸元に視線がよく当たっているように感じる。過去に出会った、わたくしの身体や財産を手に入れようとしていた嫌な人間を思い出し、不快さが込み上げて来た。
    「あら、ありがとうございます。嬉しいお言葉ですわ」
    そんな内心を面には出さず、笑顔という仮面で心を覆う。
    「それで、宗美さん?ご用件は何かしら?」
    「ああそうだった……ごめんよ。ええとーーー僕はアサシンのマスターだ。セイバーのマスターである君に……同盟を申し込みたい。アサシンの力は、きっと君達の役に立つ」

  • 165橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/10/14(Mon) 23:11:07ID:EyOTIyNDY(11/19)NG報告

    >>164
    予想外の返答に、一瞬面食らってしまう。しかし、どうにか頭を働かせて思考を進める。
    (わたくしは既に、ムッシュ・ユージーンと同盟を結んでいる。三陣営の同盟……成就すれば巨大な戦力ですけれど、利害の一致を測り、お互いの足並みを揃えるのは困難になるでしょう。ムッシュ・ユージーンに話を通さず決めていい話でもありません。ここはお断りするしかありませんわね。それにーーー)
    それに、この宗美樹という人物を信用するなと、わたくしの直感が告げている。
    「当のアサシンは随分好戦的ですのね。セイバーやわたくしに襲いかかったのは貴方の指示かしら?それとも彼の暴走?」

    以上です。樹さんの気持ち悪さが足りないかもしれませんが、まだ理性が溶ける前ということでこれくらいかなと。……私の想像力が足りなかった。

    こちらとしては同盟は断るつもりですが、樹さんには1〜2回食い下がって欲しいですね。島を守る為に必死な話をしながら。
    食い下がることで、しつこくねちっこい的な気持ち悪さに繋げるのはどうでしょう?

  • 166明星2019/10/15(Tue) 22:45:27ID:UyODYyMTU(1/1)NG報告

    >>130
    大嶽丸の部分を変更しました。エル・シッドの台詞も少し変えてしまったのでご確認ください。

    「涙が出てるな。なんかあったか?」
    「あ、ごめん白雪姫心配かけちゃったね。ちょっと疲れてね」
    「全く……………」
    涙を手で拭う様を見て、思わず抱きしめる。平凡な善人かと思えば時々訳の分からないのが彼女だ。
    (人(にん)が肥えたとはいえ、烈女とか女傑になるような精神的骨格を有してはいないからな)
    「呪鬼。人と寄り添えるとでも思っているのか?」
    「阿呆め感傷など青臭い。俺は面白おかしくやるだけだ」
    「そうかよ不良中年」
    「不良中年とは俺のことか? おれはまだ中年じゃない」

  • 167リドリー陣営2019/10/17(Thu) 16:33:14ID:EwODMyNDE(1/3)NG報告

    フランス投稿します

  • 168リドリー陣営2019/10/17(Thu) 16:33:29ID:EwODMyNDE(2/3)NG報告

    >>167
    厩戸王子とルイの激しい斬り合い。そんなものを意に介さず、寺田宗有は座禅を組む
    藤丸はその様子を見て不安に思う。何をしているのだろうか?藤丸は寺田の人格を何処か測りかねていた。戦闘狂。そんな印象だったのだが、今の彼は目の前の戦を無視しひたすらに座禅を組んでいる。イメージの乖離。素顔が読めない天狗の面

    ……………いや藤丸はよく見た。面の奥にあるその目はコールタールのような泥が宿っているのを。この目はそう、始めて寺田と相対した時と同じ、斬に満ち溢れている


    寺田は立ち上がり前を向く。刀は下段に構え、歩みだした
    炎の檻、そう形容できるルイの剣戟。厩戸王子ですら隙を見出せない連続攻撃の隙を己の心眼で見破り進み続ける

    ヌルリッ

    あまりに自然に、そして手際よく間合いに入り込む寺田。ルイはその様子を目視したのち彼に剣を振るう。寺田の間合いはルイの間合い。ここで斬れば寺田とて死は免れない

    ドカッ
    しかし寺田は生きている。切り上げた刀は、剣を持つルイの右手、その指を全て切り捨て、剣を落とさせたが故に!

    そしてその隙を逃さず返す手からルイの足の指、魔力でできた左手の指を一振りで全て切り離す。足指がなくなり、バランスを崩し前に倒れるルイ。その姿を見て寺田は呟いた

    「人の攻を殺しそのまま活かす、これこそ活人剣。指を詰めればそう抵抗はできまい、そうだろ橙武者?」

  • 169リドリー陣営2019/10/17(Thu) 16:33:59ID:EwODMyNDE(3/3)NG報告

    >>168
    短いですが終わりです

  • 170ライオンの巣窟2019/10/18(Fri) 07:00:56ID:YwNDMwNDg(1/3)NG報告

    >>165
    ルイのくもりのない目が真っ直ぐに樹を射抜く。ああ、と樹は口中で感嘆の声を漏らしていた。
    なんて、真っ直ぐな瞳をしているのだろう。眩く、そして美しいその双眸に見つめられているだけで樹は全身が震え、喉が干上がった。
    これほどまでに強く美しい女性など樹は今まで見た事が無い。クラスの女子達は化粧で己を着飾りそれのせいで醜く見えたが、ルイは違う。そういった類のものはむしろ彼女には不要だろう。
    ごくりと唾を飲む。ルイが自分を見ていた。接点などほとんどないはずの自分を、自分の名前を、覚えていてくれた。
    胸の鼓動は鳴り止まない。不思議な高揚感に満たされていくのを感じつつも、樹は今やるべき事へと思考を集中させる。
    未だにセイバーとアサシンの交戦は続いている。ルイと交渉の場に立つ為には、なんとかアサシンを退かせる必要がある。
    樹は思わず手の令呪を隠していた。もう令呪を二画も消費してしまっているだなんて恥ずべき姿を、ルイに見せたくないと思っての行動だ。
    「あ、アサシンに関しては確かに僕の指示だ。敵だと思ったから……けれどそれが君だって言うのなら、話は別だよ。君も、ミッションは受けてるだろ。あーしろ、こーしろって。僕は、セイバー陣営と手を組めって言われた。つまりその、君と」

  • 171ライオンの巣窟2019/10/18(Fri) 07:01:31ID:YwNDMwNDg(2/3)NG報告

    >>170
    顔が耳まで赤くなっていくのを感じて、ここまで異性と会話するのは苦手だったという事に樹は今更ながら自覚した。
    「ならまず、アサシンを下がらせていただけます?まだセイバーが戦っていますもの」
    「あ、ああ、ごめん。すぐにやめさせるよ」
    ルイの表情は疑念に満ちていた。自分目掛けて襲いかかってきた敵のマスターの言葉など、そう簡単に信じきれるものではない。きっと樹が同じ立場だったら、同じ選択をするだろう。
    ルイに微笑みかけながら、念話に意識を集中させる。アサシンに繋げ、出来るだけ冷静を装いながら、
    (アサシン、戦いをやめてくれ)
    (ああ!?これからがイイトコなんだぜ?テメェ、それを俺様から奪おうってのか?約束がちげぇじゃねぇのかよ、ええ!?)
    予想通り、ハイドは激情のままに樹を怒鳴りつけてくる。一度エンジンが入っている以上、抑え込めるかどうかは樹にも自信がなかった。しかしそれでも、絶好のチャンスを逃す訳にもいかない。
    (お願いだ。次は邪魔しないと誓う。だから頼む。そのセイバーのマスターと同盟が結べるかもしれないんだ)
    (……そりゃあのガキの事か?)
    (そうだ。もし同盟を結べたら……戦いやすくなる、お前だって気持ちよく戦いたいだろう?)
    (……)
    ハイドは沈黙している。答えあぐねているのか、それとも樹を無視して戦闘を続けるつもりなのか。樹はルイの視線を受けつつ、ハイドが刃を収めるというまずあり得ない可能性に祈るほかなかった。

  • 172ライオンの巣窟2019/10/18(Fri) 07:01:53ID:YwNDMwNDg(3/3)NG報告

    >>171
    (条件がある。それを呑んでくれるってならイイぜ)
    条件?どんな条件だ?樹は嫌な汗をかきながら思考を巡らす。ハイドからの提案などろくなものではないに決まっている。生贄が欲しいなどと言い出すのではないか?
    (心配すんなよ。誰かを殺してぇとかそんなんじゃねぇ。俺を夜、出歩かせろ。不安ならお前がついてきても良い)
    (……お前を?僕に何の得がある?)
    それはあまりにも恐ろしい提案だった。契約してから、ハイドとは取り決めを行った。決して夜に出歩かない、というものだ。樹はハイドが何処にもいかない様に家中に結界を敷き詰め、完全に身動きが取れない様にしていた。もしハイドが家から離れようものなら、残る最後の令呪で自害させるという訳である。それ故にハイドも樹に従ってきた。
    しかしこの提案は承諾するには不安要素が多すぎる。樹がついていくとはいえ、ハイドが何をしでかすかわかったものではない。
    (俺にかかってる令呪を忘れたかよ。テメェにも、テメェが大好きな奴らにも俺は指一本触れられねぇぞ)
    令呪、島の人々と樹をハイドは傷つけられない。そうとも、働いているのは確かだ。
    ルイの眉間にシワが寄る。こうして話を続けている間に交渉が決裂してしまえば、もうセイバーとの対立は避けられない。
    それは、嫌だ。このままルイと別れてしまうのは、心から嫌だった。何故ならルイは───。
    (……わかった。受けてやる)
    (ひっひひ、ありがとうよ)
    ルイの眉間のシワが緩んでいくのがはっきりと見えた。かセイバーからアサシンが撤退したと伝えられたに違いない。ほっとしながら樹は出来るだけ表情を崩さない様に心がけながら、口を開いた。
    「さて、アサシンは下がらせた。交渉を続けるとしよう」

  • 173愉悦部inクローディアァ!2019/10/20(Sun) 12:53:27ID:gyOTM3ODA(9/24)NG報告

    「……………」

    ずかずかと不機嫌さを隠そうともせずに足を踏みしめながら湾岸方面に歩を進めていくゲルトラウデ。
    群衆の中を無理やり進み、通りかかった人々が迷惑そうな顔をしてもそれを気にすることなく突き進む。

    「ずいぶん不機嫌そうだね。そんなに彼に振られたのが嫌だったのかい?」
    珍しく実体化を許されているライダーが茶化すように話を振る。
    「黙りなさい!私は振られてなんかいないし、怒ってなんかいないわ!」
    ムキになって怒鳴る目の前の女性。
    つい先ほどホテルまで大人買いした段ボールを運び込んでもらい、その縁で話でも、と切り出した際に目当てであった人狼の少年にバッサリと断られてしまったのだ。

    ──すまない。俺には既に先約がいるし、これから別の用もある。その話は受けられない。

    その場では表面上は隠し通したものの、少年が出ていった途端にこの有様である。

    「それで、これからどうするんだい?」
    「気分がてらの散策よ。ついでに他のサーヴァントも釣れたのなら最高ね。その為に貴方を実体化させているのだし」
    マスクをずらし、水を飲みながら歩いているゲルトラウデはその目的を吐露する。
    海方面に向かっているのは彼女の意向であるが、その実ただの八つ当たりである。
    ライダーは薄々それを感じ取り、苦笑するしかなかった。

  • 174亥狛の人2019/10/22(Tue) 21:06:06ID:IyNDY5ODI(10/29)NG報告

    もう辺りはすっかり夜だった。
    ホテルのフロントから外へ出て漸く亥狛は時間の経過に気付く。
    吹きすさぶ風が冷たいが、身体を動かしたせいか寒さは気にならなかった。

    然し乍ら騒々しい放課後であったな、と思う。
    校門では聖杯戦争の参加者に待ち伏せされたかと思えば、突然の第三勢力の来襲。そのまま買い物戦争を乗り切ってから、最後はこの高級ホテルの最上階まで荷運びの手伝いと相成った訳である。
    何というか、疲労感が凄い。
    「お疲れ様です。怒濤のような時間でしたね」
    傍に立つランサーが労ってくれる。彼女も荷運びを手伝ったというのに疲れは一切見られない。
    「肉体的な疲れっていうか、精神的な疲れが尋常じゃないな……人里に下りた最初の頃を思い出すよ」
    遠い目をして過去に想いを馳せ、帰路に着く。アスファルトで舗装された歩道は夜の冷気に冷め切っていて、冬の到来を予感させる。
    吐く息は白く濁る。

  • 175亥狛の人2019/10/22(Tue) 21:06:29ID:IyNDY5ODI(11/29)NG報告

    >>174
    振り返って、背後に聳える高い建造物を見上げる。
    この最上階に聖杯戦争の参加者が居を構えている事実を今更ながらに実感した。
    「…俺悪い事したかな、どう思うランサー?」
    「断った事についてですか?先約を大事にした結果ですから別段気に病む必要はないと思いますよ」
    「や、そうじゃなくて」
    神妙な面持ちで口籠もって、
    「ランサーも感じただろう?あのゲルトラウデって女の子の後ろに控えてるサーヴァントの気配。
    ……霊体化していてすら唯ならない雰囲気を纏っていた、と思うんだが」

    相手の気を損ねた事に対する不安ではなく、相手が従えていた敵の強大さに対する不安。
    協力関係をにべもなく断ったのは下策だったのではないか、と亥狛は悩んでいたのだ。
    「……確かに彼女のサーヴァントは強大です、それは間違いありません。一度霊体化を解除した彼の戦闘を垣間見ましたが、その実力は未知数……恐らく私と同等か、下手をすればそれ以上か」

  • 176亥狛の人2019/10/22(Tue) 21:07:27ID:IyNDY5ODI(12/29)NG報告

    >>175
    しかし、とランサーは言葉を繋ぐ。
    「だからといって私達が負ける道理はありません」
    力強くそう宣言する。言外に不安を抱く必要はない、と告げるかのように堂々とした口振り。
    自分よりも一回りほど小さい体躯の騎士であるはずなのに、その姿の何と雄々しく頼もしいことか。

    そう考えていると、ランサーの細腕が亥狛の進路を制止する。
    「………なにか、居ます」
    視線は真っ直ぐ前に、舗装された道路の先へと向けられている。
    目を凝らすと、確かに『何か』が居た。

    「─────────」
    それは黒い渦。
    或いは果てのない闇。
    宙を浮かぶようにぽっかりと空いた『何か』は、微動だにしない。言葉を発する事もなくただ其処に異物として存在し続けて居た。

    「なん────────」
    亥狛が疑問を浮かべたその瞬間。
    黒い渦は中心に向かって縮小し、跡形もなく消失してしまった。
    胸に残るどうしようもない不快感だけを残して。

  • 177亥狛の人2019/10/22(Tue) 21:07:52ID:IyNDY5ODI(13/29)NG報告

    >>176
    「反応、消失しました。……もう、警戒を解いて大丈夫かと」
    「今の、は、サーヴァント、なのか?」
    嫌悪感を抱く闇は去り、いつもの平穏な空気が雪崩れ込む。緊張から解放された感覚は脂汗という形で額から滴り落ちた。
    そうして漸く自分が恐怖していた事実に気付くのであった。

  • 178レアの人2019/10/22(Tue) 21:47:32ID:U3MDc1MzQ(6/8)NG報告

    >>153
    玲亜の出した答えは拒絶である。
    目くばせをするとともに切りかかったアヴェンジャーであるが攻撃をかわし敵サーヴァントは窓へ腰かける。どうやらはじめから長居をするつもりもなかったのだろう。アヴェンジャーもその気配を察してか牽制にとどめる程度に収め敵の動きを警戒している。

    「おお、なんということだ。まず拒絶から入るとは周りにおびえ続けた人生だったことが偲ばれるよお嬢さん。だが安心してほしい、悪魔は人間と違って嘘はつかない。その魔弾はもう君の物だよ。七発目以外はね。」

    「いらないわよこんなものクーリングオフ!大体私には打ち出すものもないから関係ないわよ。」

    「魔弾はただ発射しさえすればいい。火の魔術でも飛ぶ。お嬢さんならわけもないだろう?では魔弾は譲渡された。迷える牝羊の行く末を見守っているよ。願わくば悪魔の楽しみになることを期待しよう。」

    敵サーヴァントはそうつぶやくと消える。霊体化したのかはたまた悪魔の能力なのかは定かではないがアヴェンジャーが武器を降ろしたことからもう近くにはいないのだろう。

  • 179レアの人2019/10/22(Tue) 21:48:10ID:U3MDc1MzQ(7/8)NG報告

    >>178
    七発目は大切なものを奪う。

    先ほどの言葉を思い出しながら攻撃した際に床に散らばった魔弾を拾う。

    魔弾は確かに普通の武器とは違うようだ。魔力を帯びており魔力のない人間には見ることができないようにするような特殊性もあるようだ。そして必ず命中するという。サーヴァントは魔術師では対抗することができない存在である。しかし、神秘を帯びたものであれば敵のサーヴァントであっても傷つけることが可能であるという。この魔弾に込められた神秘はそれを満たすことに十分であるといえるのかもしれない。なら未熟な私であっても敵魔術師や必要であるならばサーヴァントとも戦うことが…

    「1つ忠告をしておくが、人外の力を貸すという契約はろくな結果にはならんぞ。」

    隣から聞こえてきたサーヴァントの言葉に我に返る。声のした方へ振り向くと腕組みをし不機嫌そうにこちらをにらんでいた。

    「契約というのは結ぶ側の利益があるからこそ行われるものだ。そして力を貸すという契約はその結果がどうなろうと必ずその結ぶ側の利益につながる結果となる。結んだ側が不本意な結果であってもな。こんな不公平な契約など結ぶべきではない。加えて相手は人ならざるものだ。人間の契約などかわいいぐらいのおぞましい対価を求められてもおかしくはなかろうよ。実際そんな契約をして後悔したやつを俺は知っているからな。」

    忌々しいと吐き捨てるアヴェンジャー。冷静に考えるとその通りだ。危うく敵の思惑に乗るところであったと反省をし、次の一手を考える。

  • 180レアの人2019/10/22(Tue) 21:48:45ID:U3MDc1MzQ(8/8)NG報告

    >>179
    「分かった。ありがとうアヴェンジャー。とりあえずこの魔弾は封印することにするわ。ものを封印しておく箱ぐらいは確かあったと思うからひとまずそれに入れておきましょう。」

    「そうするといい。それとあのサーヴァントのクラスは流石に検討は付けたな?」

    「ええ、あれが公園で狙撃をしたアーチャーで間違いないと思う。」

    その言葉にうなずくアヴェンジャー。渡したものが魔弾であったこと。そしてそれが必ず当たる性質を持っている。すなわち追尾性を持っているということであれば先の戦闘での特徴と一致しているからである。

    「それでどう動く?」
    「とりあえずは相手の正体を知るべきだと思う。悪魔というのも気になるし真名の候補とかを調べてからでも遅くはないと思うから。」
    「ふむ、いまだよくわからぬ状態であるのなら慎重にいくというのはいいだろう。」
    「ただそれよりも前にやることがあるわ。」
    「それはなんだ?」

    「掃除!こんな状況で放置は絶対にだめ!犯人絶対に許さないんだからー!」

    ガーッと嘆きと共に怒りの咆哮をする自身のマスターに対して飽きれつつ掃除を手伝わされないように無言で霊体化をして逃げた従者の姿がそこにはあった。

  • 181橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/10/22(Tue) 23:48:48ID:YzMTY5NTg(12/19)NG報告

    >>172
    〜セイバー・アサシンの戦闘〜
    聞くもの全てを慄かせるような轟音が連続する。アサシンの持つ樹木を引き抜いた天然の槍–––いや、最早大鎚–––と、セイバーの持つ剣とが激突した音だ。
    一撃、二撃とぶつかり合う度に発生するエネルギーの余波は、相対する両者の並外れた膂力を物語る。
    –––しかし、轟音は唐突に終わりを迎えた。
    お互いに距離を取った直後、アサシン
    が殺気を緩めつつ口を開く。
    「ワリィな姉ちゃん、ここまでだ」
    「どういう事でしょうか?」
    「俺様のマスターからお達しさ。戦いを止めろ、だとよ」
    「それに私が付き合う理由は–––」
    「アンタのマスターが頼んだそうだぜ?」
    「……なるほど」
    「ま、そういうわけだ。ひひっ、じゃあな」
    そう告げて、アサシンは森の中へと歩を進め、その姿を消した。だがその消え方に、セイバーはほんの少しの違和感を覚えた。
    (今、あのサーヴァントは消えた。文字通りに)

  • 182橘亜衣&ミラーカペア【九終剣陣営】◆V6COUaXse62019/10/22(Tue) 23:49:18ID:YzMTY5NTg(13/19)NG報告

    >>181
    どこかへ跳躍した訳でもなく、気配諸共、まるで風景に溶け込んで行ったように。
    その違和感に、セイバーは心当たりがあった。
    (恐らくこれは気配遮断のスキル。であるなら、彼はアサシン–––?)
    そこまで考え察を進めた時、セイバーの脳裏にマスターの念話が響いた。
    『セイバー、状況はどうなってますの?』
    『はい、こちらは敵サーヴァントが撤退して行ったところです』
    『そうですの。それなら良かったですわ。セイバー、貴女もこちらへいらっしゃいな。これからわたくしは、あのサーヴァントのマスターと交渉に入りますわ』

    「さて、アサシンは下がらせた。交渉を続けるとしよう」
    「ええ、こちらも確認しましたわ。どうやら約束は守ってくださったようですわね、ムッシュ」
    「はは、当然じゃないか。これから協力しようとしている相手なんだから」
    「……では、貴方はどうしてわたくし達と同盟を組みたいのかしら?申し訳ありませんけれど、わたくしは正直、貴方との同盟にはあまり乗り気ではありませんわ」

  • 183ライオンの巣窟2019/10/23(Wed) 15:24:20ID:Q4MzI3NjI(1/2)NG報告

    >>182
    ルイからの警戒心は未だ消えてない。現時点ではまだ樹は彼女にとって敵だ。その証拠にルイは樹との間に一定の距離を置く様にしている。樹が少しだけ近付けば、その分また距離を離すのだ。もしも下手に動こうものならセイバーが飛んでくるに違いない。
    こちらに害はないという事を証明するべく、そして自分に価値がある事を説明すべく樹は意味があるかもわからないが両手を上げながら口を開いた。
    「僕のアサシンは敏捷性こそあれど火力が足りない。それに比べて君のセイバーは彼に必要な全てが揃っている。アサシンの奇襲攻撃の全てを巧みに捌いていく姿は見事だったよ」
    自分でも驚くほどに饒舌に樹はルイへと語りかけていく。思う様に事が運んでいるせいだろう、ほんの少しだけ浮ついた気持ちになっていた。
    「僕のアサシンはさっき言った様に素早い。上手くやれば斥候にもなるし、戦闘時に敵の注意を引きつけるなんて事も出来るはず。君と君のセイバーの勝利に貢献出来ると思う。どうだろう、悪い話ではないはずだ」
    「……」

  • 184ライオンの巣窟2019/10/23(Wed) 15:25:25ID:Q4MzI3NjI(2/2)NG報告

    >>183
    ルイは探り探り、と言った様子で樹の顔を窺う。まだ信用しきれない、と言うかの様に目を細め、
    「あのアサシンをどうやって召喚したのです?」
    「触媒は、用いずに召喚した。いわゆる僕自身の縁を使っての召喚だ」
    ルイの顔色が一変する。何かを察した様な、まるで探偵もので犯人が誰か理解した様な、そんな顔をしていた。
    「……アサシンを、縁を使って」
    「言いたい事は、分かる。確かに奴は恐ろしい。正直何故召喚出来てしまったのかまだわかっていない。でも僕は制御出来る。その証明として今下がらせたんだ」
    「……」
    「お願いだ。僕はこの島を守りたい。この島の人々を守りたい。訳のわからない戦いに巻き込ませるなんてもってのほかだ。聖杯だって君にくれてやる。だから……!」

  • 185橘亜衣&ミラーカペア◆V6COUaXse62019/10/26(Sat) 17:26:10ID:M4MjkzMTQ(14/19)NG報告

    >>184
    彼の発言を聞き、分かったことがある。それは先程抱いた違和感の正体–––狂気。恐らく彼は、何か狂気的な物を胸に秘めている。
    あの凶暴で獰猛なアサシンを自分に纏わる縁だけで召喚してしまったのは、その狂気にアサシンが引き寄せられたから。そう考えれば辻褄が合う。勿論この考えは、まだ確たる証拠の無い直感と憶測の組み合わせ。彼の言う、島を守りたいという言葉も嘘とは感じられなかった。
    (島を守りたいと言った時、定まらなかった彼の視線がわたくしの目を真っ直ぐに射抜いていた。それだけ本気ということなのでしょう。それを信じたい、けれど–––)
    脳内が凄まじい速度で回転する。重苦しい沈黙が暫し、場を支配する。
    彼の縋るような説得。必死なその思いを前に、わたくしは–––
    「ムッシュ、貴方の思いの程はわかりましたわ。けれど、わたくしにも事情がありまして、今すぐお返事を返すのは難しいですわ。申し訳ないのだけれど、今しばらく保留にしていただけないかしら?」
    決断を先延ばしにすることを選択した。あまり好きなやり方ではないけれど、宗美樹という人物を見極めるのにも、ムッシュ・ユージーンに話を通すにも時間が足りなかった。かと言って、否を告げてこの相手を刺激するのも避けたい。
    (さあ、この提案にどう返して来るのかしら)

  • 186ライオンの巣窟2019/10/28(Mon) 14:59:17ID:IxNDYxNTY(1/3)NG報告

    >>185
    「ほ、保留?保留かい?」
    「ええ……お気に召しませんでしたか?」
    「まさか、それだけ聞ければ十分だよ。本当に、うん、満足さ」
    ルイにしきりに頷きながら、樹は微笑みを返した。拒絶されてしまえばそれまでだっただけにルイが応じてくれた事は喜ばしく、思わず口の端も緩んでしまった。
    「それじゃ、僕はもう行くよ。他に話す事なんてないし……あ、そうだ僕の電話番号良ければ……」
    「電話番号、ですか?」
    ルイに怪訝な目で見つめ返され、あ、と声を出して樹は懐から取り出した携帯を慌てて仕舞い直した。少し気分が良かったからとは言え、あまりにも馴れ馴れしかった。
    「ごめん今のなし、無遠慮だった。連絡手段を持っておいた方が良いかと思ったけどまだそんな僕ら敵である事には変わりなかったね。忘れてくれ。うん、そうだな……次会った時にでも返事を聞きたい、いいね?」
    「そうですね。その時に」
    「了解。それとセイバーにごめんと伝えて欲しい、それじゃあね」
    今日一番明るい声色でルイに別れを言って、樹は足早にその場を立ち去った。脇目も振らず、ルイに格好つける様に。耳まで真っ赤に染まっていたのは言うまでもない事だ。
    「なぁ何そんなに笑ってんだよ、保留じゃねぇか。断られるかもしれねぇってのに」
    「でも、受けてもらえる可能性もある。そうだろう?」
    樹は実体化したアサシンへと思わず笑いかける。あとからむっとした顔に戻り、そして彼に提案された事についての話を切り出す事にした。

  • 187ライオンの巣窟2019/10/28(Mon) 15:00:42ID:IxNDYxNTY(2/3)NG報告

    >>186
    「それで?どうして夜に出歩きたいんだ」
    「オマエは散歩に行く時に理由作るか?作らねぇよな?俺だってふらふら出歩きたいって思う時がある。生憎オマエの道具じゃねぇんだ」
    「僕だってサーヴァントの意思は尊重するつもりだ。相手がお前みたいな殺人鬼じゃなければね。……どうして僕はお前を召喚したんだろう」
    「ふ、ふふふふははははは」
    樹のぼやきにアサシンは何が面白いのか、体をくの字に折り曲げて大笑いを始める。その笑顔ときたら、純粋に楽しげで子供の様に見えた。
    「オマエ、ホントにおめでたい奴なんだな!前にも言わなかったか?縁で召喚された以上、俺とオマエには共通点があるって事だ。それもチャチなもんじゃねぇ、磁石みたいに引き合う繋がりだ」
    繋がり。人の死を喜び、生を唾棄するこの男と自分に一体どんな繋がりがあるのか。あるはずがない。そんなもの、少しもありはしない。
    「そんなものは無い。醜い怪物はお前だけだ」
    「いいや、違うね。オマエは俺と一緒だよ。気付いていないだけで醜い化け物だ」
    ハイドはニッコリと微笑む。歪んだ口の端が耳くらいまで達していて、さながら口裂け女だった。
    「まぁイイさ。俺が言える事なんざ何もねぇ。それより、俺が興味あんのはアレだ。クレープっつったか?アレを食わせてくれよ」
    いつの間にやら街まで降りてきていたらしく、賑やかな繁華街の一角をハイドは興味津々と言った様子で指差す。樹は眉を潜めて、
    「サーヴァントに食事は必要ないはずだが」
    「逆に聞くけどよ、オマエ食わなくても良いよって言われてホントに何も食わねぇつもりか?頭のかてー野郎だな」
    むっとしながらも樹はハイドの言葉に一理ある気もした。寝なくても良い、食べなくても良い、だからと言ってその二つをしてはいけないとはならないだろう。サーヴァントにとっても娯楽は大事なものだ。
    ルイを思う。彼女もセイバーに良くしてあげているのだろうか?

  • 188ライオンの巣窟2019/10/28(Mon) 15:00:50ID:IxNDYxNTY(3/3)NG報告

    >>186
    「……ふん、良いだろう。なら買ってくると良い。これが代金だ」
    「へへ、ありがとよ……オマエも一緒に食うか?」
    「絶対に嫌だ」
    ちぇっ、と口を尖らせながらもクレープ屋に駆けていくハイドを見送りながら、樹はぼんやりとクレープという単語を脳裏で何度も反芻する。
    「……海音さんも、クレープ食べたりするんだろうか」

  • 189ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:03:21ID:M5OTI0MTA(1/8)NG報告

    >>180
    お久しぶりです。前スレ>>528です。この間、話した「ごるごるさん」ですが、また進展がありましたので報告します――
    パソコンを立ち上げ、そんな文句から始まる文章を読んでいたエル・シッドの肩に、容姿から想像される以上に屈強な手が勢いよく叩きつけられた。

    「ロドリーゴ!ゲームしようゲーム!この間の格ゲーだけどさ、ダウンロードコンテンツで新キャラが追加されたんだ。いやー、私このキャラ好きでさー!」

    同時に降り注ぐ能天気な声。それに答えることなく、かつての偉大なる王は不機嫌そうに肩を払う。

    「やかましい。アンタが『今日、こっそり引き抜いてきた髪の毛で礼装作るからさー、しばらく邪魔しないでくれる?』というから、こうして暇をつぶしているわけだろうが。もう完成したのか?」
    「いや?」
    「さっさとやれ」

    リドリー・フォーサイトが小首をかしげるのを横目で確認し、シッドは先ほどまで行っていた作業、もといネットサーフィンに戻ろうとする。
    情報端末の操作など、戦争が終われば記憶が消滅するサーヴァントには不要な知識だと思っていたが、覚えると存外面白いものである。これなら丸一日でも時間をつぶせそうだ。
    だが、操作しようとしたマウスは、背後から伸びてきた手によって遠くへと寄せられてしまった。

    「そんなこと言わずにさあ!正直、作業に飽きちゃったんだよ。チマチマしたことを私があんまり好きじゃないの、ロドリーゴも知ってるだろ?大体、人間の集中力は30分しかもたないんだ。私はもう1時間も頑張ったんだから、ちょっとくらい休憩させろよ!だいたい君も、そんな熱心に何を見ているんだい?なになに、『軽食喫茶《バル・ブライア》アルバイト募集中』?死後まで働くなんて、労働意欲にあふれているね」
    「そっちじゃねえよ。こっちだ」

    強引にマウスを奪い返したシッドは、慣れた手つきで先ほどまで読んでいた箇所へポインターを動かす。そこには、このような文章が書かれていた――

  • 190ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:06:50ID:M5OTI0MTA(2/8)NG報告

    >>189
    233ガイ・フォークス ◆nOVakRsA:??/??/?? ??:?? ID:RaIlzFGo
    お久しぶりです。前スレ>>528です。この間、ここで話した「ごるごるさん」ですが、また進展がありましたので報告します。

    234名無し :??/??/?? ??:?? ID:???
    >>233
    鳥の下3ケタがFGO

    235名無し :??/??/?? ??:?? ID:???
    >>233
    乙 あの後どうなったの?投下どうぞ

    236名無し :??/??/?? ??:?? ID:???
    キター???生きてたんかワレェ!無事化?

    237名無し :??/??/?? ??:?? ID:???
    Wiki更新しました

  • 191ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:08:14ID:M5OTI0MTA(3/8)NG報告

    >>190
    238ガイ・フォークス ◆nOVakRsA:??/??/?? 04:05 ID:RaIlzFGo
    >>235 >>236
    ありがとうございます。無事です。早速投下させていただきます。

    239名無し :??/??/?? ??:?? ID:???
    今北産業

    240ガイ・フォークス ◆nOVakRsA:??/??/?? ??:?? ID:RaIlzFGo
    あれからわかったことは、ごるごるさんに噛まれると、どうやらその人も、ごるごるさんになるらしいです。
    私の友達の女の子(Aさんとします)の話です。
    Aさんは元気な活発な子で、全然そんな感じじゃなかったのですが、ある日を境に全く学校に来なくなっちゃったんです。先生に聞いても何も教えてくれませんし、家に会いに行っても、玄関で必要な書類を家族の人が受け取るだけでAさんに合わせてくれないんです。
    警察の人が出入りしているみたいだという話があったのと、動物園から動物たちがいなくなった日とちょうど同じ日に学校に来なくなったので、「動物たちと一緒に、ごるごるさんに食べられちゃったんじゃないか」なんていう噂も出ていました。さすがにそれは不謹慎だっていうことでクラスの子が怒って、みんなすぐに言うのを止めたんですが・・・・・・

    238ガイ・フォークス ◆nOVakRsA:??/??/?? ??:?? ID:RaIlzFGo
    そんなある日、Aさんが突然、学校にやってきたんです。
    何でもなかったみたいに普通の時間に登校してきて、心配していた友達とか野次馬に囲まれて困ったみたいに笑っていました。みんなは「よかった」って感じにほっとしていましたが、でも私は、久しぶりに見たAさんを、「なんか違う」って思いました。
    Aさんは笑っていたものの、なんとなく以前のような心からの笑顔じゃなくて、何かに耐えているような、つらそうな顔に見えました。でも、その時の私は、「疲れているからなんだろうな」と思って気にしませんでした。
    そのあと、すぐに先生が来てAさんは連れていかれてしまいました。その時に廊下にいた私とすれ違ったのですが、私は聞いたのです。
    彼女の体の中から、ごるごるごる、という、獣の唸り声のような音がしているのを。

  • 192ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:08:50ID:M5OTI0MTA(4/8)NG報告

    >>191
    241名無し :??/??/?? ??:?? ID:???
    >>239
    ごるごる



    242ガイ・フォークス ◆nOVakRsA:??/??/?? ??:?? ID:RaIlzFGo
    ここからは聞いた話です。
    Aさんは事情聴取の後、ある施設に保護されることになりました。Aさんはそこについてすぐに、「おなかがすいた」って言ったらしいです。施設の人(Bさんとします)は、すぐに食事を用意しました。
    食べ始めたAさんですが、食欲がすさまじくて、5人前でも6人前でも、どんなに食べ物を用意しても、全部ぺろりと平らげてしまったそうです。そして、Bさんに言うそうです。「おなかがすいた」って。
    Bさんも、最初は望まれるままに料理を出していましたが、段々とこんなに食べて大丈夫なのか心配になってきて、ついには「また明日あげるから、今日はもうおやすみなさい」っていいました。Aさんはそれに一瞬困った顔をしましたが、素直な子でしたので「わかりました」と、与えられた寝室へ戻っていきました。
    その日の深夜。

  • 193ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:09:16ID:M5OTI0MTA(5/8)NG報告

    >>192
    243ガイ・フォークス ◆nOVakRsA:??/??/?? ??:?? ID:RaIlzFGo
    Bさんは施設の中を誰かが歩き回る足音で目を覚ましました。
    一瞬、泥棒かと思い身構えましたが、すぐに思い直しました。「ああ、さてはAちゃんが朝までご飯を我慢できずに起きだしたな。しょうがない、何か軽く食べられるものを作ってあげよう」
    そして、自分も起きだして、足音が向かっていった厨房に向かって歩いていきました。
    厨房についたBさんは驚きました。なんと、食糧庫の扉が開いていて、中身が空っぽになっていたのです。いくら夜にAさんの料理をたくさん出したからといっても、まだまだいっぱい貯蓄はあって、一人では到底食べきれるものではなかったはずです。
    思わず動揺で立ち尽くすBさんでしたが、ちょうどその時、食堂の開け放たれた窓の外から、ガリゴリぴちゃぺちゃという音が聞こええきました。もちろん、Bさんは寝る前に施設内の見回りをしていて、きちんと戸締りは確認していました。
    ひどく不安に駆り立てられ、Bさんは恐る恐る窓に近づいてみました。そして、そこから身を乗り出してみると、庭の茂みの近くに、Aさんがうずくまっているのを見つけました。どうやら何かをがつがつと食べているようで、音もそこから聞こえています。

    244ガイ・フォークス ◆nOVakRsA:??/??/?? ??:?? ID:RaIlzFGo
    暗闇に目が慣れてそれが何なのかを知ったとき、Bさんはぎょっとしました。
    Aさんが食べていたのは、なんと猫だったのです。
    先ほどまで生きていただろう、まだわずかに痙攣している猫の死体。それの頭を丸かじりにして、バリバリと骨ごとかみ砕いていました。周囲には大きな血だまりと、何かの生き物の体のパーツがたくさん転がっていて、食べたのがその一匹だけではないことがわかりました。
    Bさんが「あっ!」っと声を上げると、Aさんが振り返って、目が合いました。全く生気を感じられない、昏い目だったそうです。
    でも、それも一瞬でした。Aさんは一言「ごめんなさい」と言った後、茂みの向こう側へと消えていきました。そして、いまだに見つかっていないみたいです。
    みんな言います。「Aさんは『ごるごるさん』になって、人間の肉を求めて街をうろついているんだ」って。

  • 194ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:09:40ID:M5OTI0MTA(6/8)NG報告

    >>193
    ◆◆◆◆◆◆

    「へえ、興味深いね」

    楽しそうにそうつぶやいたリドリーに、シッドは胡乱な目を向けた。

    「意外だな。もっと怒り狂うかと思った」

    「ん?この『ごるごるさん』にかい?はは、さすがに噂話を聞くだけで、私もそこまではしないさ。まあ、もしこの話が本当なら、この2匹の『ごるごるさん』とやらは速やかに駆除するけどね。化け物ごときが人間に危害を加えるなんてふざけた話さ。そんなことじゃなくて、私が『面白い』と思ったのは、この話を作った語り主自身にさ」

    リドリーは得意げに、ぴっと人差し指を立てる。

    「ロドリーゴ、人間の専門家として教えてあげるけど、人間の噂話というのは、大いに語り手たちの感情が現れる者さ。いい話なら、きっと語り手は幸せな時に、冒険譚なら興奮しているときに。――そして怖い話なら、きっと不安な時に、という具合にね。しかもこの話、きっと舞台はこの伏神だ。この新聞、ロドリーゴは読んだっけ?」

    リドリーが取り出した新聞を受け取り、ざっと目を通したシッドは、驚きの声を上げた。

    「『伏神町、動物集団脱走。未だ行方知れず』――おお、まさにこの話と一緒じゃねえか!」

  • 195ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:10:01ID:M5OTI0MTA(7/8)NG報告

    >>194
    「その通り!そして、ここまで明確に舞台を示しているのに、かなりこの語り手は詳細に状況を書いているよね。実在の舞台から状況がかけ離れてしまうと話にリアリティーが無くなるから、嘘にしろ本当にしろ、この話の一部は本当である可能性が非常に高い。つまりは、この『ごるごるさん』に類似する『何か』が町に隠れている可能性も多分にあるということ」

    「敵マスターか、それともサーヴァントか・・・・・・」

    「知らないけどね。ただ、私が言えることはただ一つ――」

    少しの間ためを作り、それから、人類を愛する男は今までにないほど嬉しそうに宣言した。

    「この噂をたどっていけば、何かしらの『倒すべき敵』に会えるだろうということさ」

  • 196ガイ・フォークス2019/10/30(Wed) 01:10:52ID:M5OTI0MTA(8/8)NG報告

    >>195
    伏神投稿以上です。

  • 197橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/30(Wed) 22:38:29ID:EzNDE2NzA(15/19)NG報告

    >>161
    〜アーサー〜
    歌が聞こえる。美しい歌だ。
    辛さも苦痛も、何もかもを取り去って、遥か雲の上へと連れて行く–––そんな歌だ。
    「これで終わりだ、アサシン」
    手元にクラレントを呼び出す。この剣は終わりの象徴。現界にあたって、私はこの剣にて相手との決着をつけると誓いを立てた。その誓いを果たすべく、剣に魔力を集中させる。姿を現し悶えているアサシンに向けて、クラレントに秘められた力を解放する。
    しかし–––
    (解放、できない?)
    宝具を解放しようとした瞬間、直感的に悟った。何かが解放を拒否してい
    る、と。
    (貴方の意思か、モードレッド卿……!)
    「ギヒッ、ギヒヒヒヒ!終わりィィ〜?いいえ、いいえ!まだまだ終わりませんとも。右腕〜バクハツしまーーす!『あからさまなイカサマ(ファイブカード・オブ・ジョーカー)』!!!」
    息を荒げながらも、アサシンがパチンと指を鳴らす。直後、私の右腕が爆ぜた。突然の痛みと衝撃に、思わず剣が滑り落ちる。
    「ぐっ!」

  • 198橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/30(Wed) 22:38:53ID:EzNDE2NzA(16/19)NG報告

    >>197
    「ギヒヒヒヒ、ここで手品のタネ明かし!貴方が弾いていたあのカード、実は本気を出していませーんでーしたー!悪魔(ワタクシ)お手製の品が、あんなチャチな爆発で済むわけないでショ!」
    そういう間にもアサシンが二度三度と指を鳴らし、私の脇腹や膝の辺りに爆発を起こす。一撃一撃の威力は大したことは無いものの、力を込めるべき箇所にピンポイントで衝撃と痛みが起こることで、なかなか体勢を立て直せない。地に膝を着きそうになる。しかし、
    「セイバー!!」
    マスターの声で、踏み留まれた。
    「大丈夫です、マスター。この程度で、騎士は倒れません」
    力の入らない右腕の代わりに、左腕に剣を呼び出す。
    踏み込むと同時に魔力を放出し、相手へと斬りかかる。捉えた–––そう思った瞬間、アサシンの姿が消えた。
    「残像です!」
    左側面から嘲笑うような声。間髪入れず声の方向へ剣を振るう。
    「残像です残像です残像」
    どういう原理なのか、剣がアサシンを捉える度に霞のようにその姿が消えてしまう。
    (気配遮断は失った様だったが、まだこんな余力を残していたのか、アサシン!)
    さてこの状況、どう切り抜ける……!

    〜オズ〜
    セイバーとアサシンの攻防がクライマックスに差し掛かっている。しかし、その戦況は芳しくない。
    「まさかの展開だね。アサシンがあんな力を持っていたなんて」
    「俺も知らなかったよ。どうする、オズボーン?」

  • 199橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/30(Wed) 22:39:18ID:EzNDE2NzA(17/19)NG報告

    >>198
    演奏を終えて、ヴィヴィアンが声を掛けてくる。その顔には焦燥が見て取れた。正直、僕も同じ気持ちだ。
    けれど、賛美歌を歌う事でアサシンは確かに弱体化した。ならば、この舞台の特性を合わせれば、或いは。
    「もしかしたら、手があるかも知れない」

    〜アーサー〜
    飛来するカードと、身を焼く爆撃–––アサシンの攻撃を耐えるものの、傷は増え、体に込められる力は減って行く。
    敵が放つ宝具の真髄は、カードに触れた者を時間差で爆発させることか。気にする必要もない擦り傷が、こちらの力を散らす爆薬に変わる–––厄介な能力だ。こちらが宝具を解放しようとすれば、的確にその予備動作を邪魔される。魔術回路にも何か細工をされているのか、魔力の扱いが上手くいかない。
    ジリジリと打てる手が削られる、そんな状況。
    –––だった。
    『セイバー、これから奇跡を起こすヨ☆』
    そんな、マスターからの念話が来るまでは。直後、再び賛美歌が始まる。
    "Amazing grace how sweet the sound
    That saved a wretch like me."
    しかし、それは先程までとは違っていた。
    –––大勢の、声。いくつもの歌声が、四方八方、会場中から響いていた。
    思わず辺りを見回せば、円状の観客席に沿うように、水のカーテンがかかっていた。透明なそのカーテンには、よく見れば文字のような物が映し出されている。

  • 200橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/30(Wed) 22:40:12ID:EzNDE2NzA(18/19)NG報告

    >>199
    「これは……」
    「僕だよ☆会場の皆に協力してもらったんだ♪」
    ピアノを弾きながら、輝く笑みをこちらに向けるマスター。その笑みに、心が熱くなる。
    そして–––
    「ぐふぉーーーー!こ、これはキテます、キテますキテますキテますよぉーー!」
    アサシンが狂ったように叫ぶ。悶え苦しみ、動きが止まる。
    『マスター、感謝いたします……!やはり貴方は、私の光だ』
    主へ感謝を述べ、己の役目を果たすべく動く。
    手にエクスカリバーを呼び出す。剣を地に突き刺し、手を前に、柄頭を優しく包む様に掌を閉じる。まるで、祈りを捧げる巡礼者のように。
    「深き闇の空。絶望表す黒き世界–––」
    言葉を紡ぐ。すると、剣を突き刺した場所から小さな黒の円が現れる。円は凄まじい速さで広がり、反比例する様に剣は地へと飲まれて行った。
    「人は願い、求め、憧れた。暗きを照らす輝きを。我らを導く王たる者を」
    剣が完全に消えると、辺り一面は黒の色に支配されていた。そして白銀の騎士は静かに声を響かせる。賛美歌と共に紡がれる詠唱は、荘厳な教会の如く。

  • 201橘亜衣&ミラーカペア【stage前日譚】◆V6COUaXse62019/10/30(Wed) 22:40:48ID:EzNDE2NzA(19/19)NG報告

    >>200
    「–––円卓領域、展開。我はその責に挑む者」
    呼び声に応じる様に、地の暗闇から眩い輝きが現れる。それは徐々に形を成して、一本の剣を象った。
    「今ここに、夜明けの道が拓かれる!」
    王は愛剣を地(さや)から抜き放つ!
    「『始まり告げる暁の剣(カリバーン)』!!」
    剣が引き抜かれると同時、黒き円は光の柱を放った。柱の本数は12本。天に向かって放たれて光達も、やがて剣の形へと変貌した。まるで、夜を照らす星、いや、夜明けを告げる太陽のように。
    引き抜いたものと合わせて13本の剣。それは、円卓の騎士を表す本数。
    –––全ての剣が、アサシンへ向けて光の奔流を解き放つ!
    「ヒヒッ、アヒャヒャヒャーー!それでは最後の置き土産!3、2、1、パァーーン!世界は終わりィィィィ!」
    意味の分からぬ言葉を最後に、アサシンは奔流の中へ消え去った。

  • 202ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:24:18ID:I5MDczOTA(1/12)NG報告

    ついに暴王は墜落した。
    「…………ァ、ッ…………!!」
    バーサーカーの口から吐き出された振動は、もはや声の形すら取れず血を泡立てる。
    地面に縫い付けられたかつての王は、全身の傷から血という形で魔力をこぼす。
    単純な白兵戦においてスペックの暴力を振るうバーサーカーを相手にしたとはいえ、ランサー、アーチャー、そしてツタンカーメンの三騎がかりでようやく地に伏せたというところがザッハークの暴王たる由来と言えよう。
    先ほどまでの交戦で獅子奮迅と駆けたランサーは、現在アーチャーに肩を借りる形で立っている。
    「立てるか、ランサー」
    「当然……ッ……クッ…………」
    代償は大きい。
    事実上ランサーの槍は消費され、ツタンカーメンは単純なダメージに加え呪毒に侵されている。比較的傷の浅いアーチャーですらも毒と呪いを受けているのだ。
    そして、まだ戦いは終わってはいない。
    たとえ地に縫い付き土に後頭部を沈めたとしても、バーサーカーはいまだに消滅していない。
    ランサーに肩を貸したまま大きく後ろへと後退するアーチャー。そのままランサーを下ろし、先にドルクワンドを斬り飛ばした赤弓を構えた。
    そしてうつ伏せのバーサーカーへ向けてアーチャーは翡翠の弓懸で赤い大弓を引き絞り、さらに魔力放出のためゲルト・リスコフォスとのパスより魔力を引き出していく。

  • 203ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:25:11ID:I5MDczOTA(2/12)NG報告

    >>202
    真名の解放こそ無いといえど、二つの宝具と直接魔力を解き放つスキルの同時使用。アーチャーの全身から余剰魔力が赤と翠のオーラとなって漏れ出している。
    そして、真に収束されたエネルギーは余分な現象を引き起こさない。
    支(つか)えを外すように指が離れると、太陽さえ貫きうる矢は無音のままに放たれた。
    静寂の中、意識あるものは誰もがその矢に注目していた。

    そして、しかし、だから。バーサーカーを除くあらゆる者の目がアーチャーへとむけられていたからこそ見逃された存在があった。

    「…………ッ!! 貴様何をしている!!」
    斬り飛ばされ、悪性呪の泥となるはずの蛇(ドルグワント)が赤黒い色の塊を啜っていた。
    赤い残光を引きながらバーサーカーの霊核に向かって翔ぶ翠の矢。


    「よくやった、…………ドルグワンド」

    誰もその一言を聞き取ることは叶わなかった。
    直後、音速よりも短い時を空けて放たれた咆哮はボツリと呟いた言葉を吹き潰して静寂を破壊した。

    本来の凶鳴毒唱は両肩のドルグワンドとの合唱多重詠唱による大破壊である。
    当然の話として、頭部一つの凶奏はランクA+++の対城宝具としては成立しない。

  • 204ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:25:41ID:I5MDczOTA(3/12)NG報告

    >>203
    だが。しかし、それでも。
    霊核一点を狙った矢の軌道を、心臓の、本当の中心から逸らすことくらいならば叶うだろう。
    「アアアアアアアァァァァアアアアアアアァ!!!!」
    そしてそれは叶った。
    バーサーカーは『右の胸』にぽっかりと大穴を開け、激痛に絶叫しながら立ち上がったのだ。
    「いっっっでぇなァアアアアオイ!!!」
    胸に丸く孔を開けたまま、暴力の王は右脚で地面を砕いて跳ぶ。
    勢いのまま強攻撃直後の隙を突きアーチャーを左脚で蹴り飛ばす。
    「ッ!!何故……!!」
    「グァアアァ!!!痛え!!!!」
    跳躍の為に地面と同じように右脚は砕けて、蹴り込んだ左脚は弓で受けられ(弾き飛ばしはしたものの)むしろ自らのダメージの方が大きい。
    両肩の蛇は未だに切断面のままで、それでも致死量をはるかに超える血を流して、身体を砕きながら飛んできたのは何故だ?
    流石に今のバーサーカーほど壊れ切ってはいないとはいえ、凄まじい疲労と蓄積された傷を持つランサーはその答えを知っている。
    「貴様……、その肩の蛇……」
    「やれば出来るもんだよなぁ」
    切り離されたドルグワンドを破棄することなくそのままに『王を夢見る一万馬(ペイヴァルアスプ)』を食わせ、サーヴァントと宝具の繋がりを通して魔力を補給し肉体を再生したのだ。

  • 205ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:26:08ID:I5MDczOTA(4/12)NG報告

    >>204
    「オレはオレが思ってるより器用だったみてぇだな」
    膝を折ったランサーはバーサーカーから距離を取る為後ろに跳躍するが、バーサーカーは追って来ず、むしろ倒れ込んだ。
    その際膝でない部分が折れて倒れたところを見ると追わなかったのではなく、追ってくるための脚が壊れたという方が正しいだろう。
    そしてそれは時間の問題でしかない。
    一万馬のストックが残されている以上、胸を塞ぎ、脚に芯を通し直せばすぐに暴力の王は跳び込んでくるだろう。
    いや、それすら待たずドルグワンドさえ再生すれば『毒鳴凶唱』が飛んで来る。
    吹き飛ばされたーー少なくとも目視できる範囲にアーチャーは居ないーーアーチャーが間に合い、射抜くか。
    それともバーサーカーはそれより早くランサーを砕くか。
    「おい」
    「先にテメェからだランサー」


    「おいと言っているんだこの気狂い(バーサーカー)」


    黒と血の赤で染まった毒竜王の左側頭部を、白と銀の竜が掴んでそのまま地面に埋め潰した。

  • 206ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:26:37ID:I5MDczOTA(5/12)NG報告

    >>205

    短い振動が、距離を取っていたランサーにも伝わった。それほどの威力でバーサーカーは押しつぶされたのだ。
    「…………ァ、ハハッ!! 遅かったじゃあないかライダーァ!? 出来ることが何もねえからすっこんでたんだと思ってたよ!!」
    首が動かない。左眼だけを上に向けてバーサーカーが吼える。
    にジュリ、という気分の悪い音が潰れた顔の右半分から漏れる。
    対したライダー、護竜の背に立つ王は静かなものであった。冷たい目だった。
    「おいって声をかけたのだから、はいなんでしょうと返答するのが礼儀だろう? ぁあ違うか? うん? でもまあ許すよ気狂い(バーサーカー)。何故って、気狂いだものな。怒ったって虚しいものだ」
    「ァハハハハハハ余(オレ)が気狂いならテメエは腰ぬけかぁあ!?」
    「いいだろう腰を抜いて欲しいんだな」

    白銀の竜が後ろ足で、仰向けに固定されたバーサーカーのみぞおちを踏みつぶした。
    臓物を撒き散らかさなかっただけ丈夫なものだが衝撃は肉体を貫通して地面にヒビを通す。竜の脚と地面の間にあった脊椎がどうなったを論じる意味は無いだろう。
    今度は。今度こそ、苦悶の声すらあげさせなかった。
    息は出ていたのだろうか、口は開いていたけれど。

  • 207ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:27:48ID:I5MDczOTA(6/12)NG報告

    >>206
    ふとライダーは何かに気がつきバーサーカーに刺さったものを引き抜いた。それは鋼と木で出来ていた、誰かの武器の成れの果て。
    即ち、
    「槍か…………、使った覚えはあるがね」
    ライダーはひとしきりかつて槍だった残骸を眺めると、とある方角へと投げ飛ばした。
    まるでダーツのように迷いなく真っ直ぐに飛んだ残骸は持ち主の足元へと突き刺さる。
    「おぅいランサー、済まないね遅れて」
    「ライダー……? いや、これは」
    「あぁ、雑竜どもかい? 引き上げたとも、もう無用だからね」
    ライダーの口ぶりはおだやかであるが、返ってそれが作られた声色であることをランサーに実感させた。
    「そもそもこの! コレが! 撤退! できないように! 張っていた檻の役目でしかなかったからね」
    会話をしながら、声の抑揚のリズムでバーサーカーの頭を地面をおろし金にして擦りおろさせるライダー。
    「キミがその破片を持ってこっちに来るか、このまま撤退するか、一度アーチャーと合流するかは任せるよ。 まあ少なくともしばらくはこの体制のままだからね」
    言い終わると同時に、竜の後ろ脚がもう一度バーサーカーの胴を踏みつける。今度は踏みつけられた部分を支点に肉体がくの字に折れた。
    「でバーサーカー、ところで君は破壊を見せてくれるそうじゃないか」
    竜の上で目だけを下に向けて見下ろすライダーが告げる。
    「一つ俺にもその破壊とやらを見せてはくれないかな?」
    竜が頭を握りつぶしていた左手を離すと、口を開いて痙攣している様子が見て取れる。
    いや、
    「ああ良いぜ、先ずは趣味に合わねぇこのトカゲからなぁ!!!!」

  • 208ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:28:38ID:I5MDczOTA(7/12)NG報告

    >>207
    バーサーカーが身体の向きを変えると死角になっていた右肩の蛇が脳漿を飲み込んだのが明らかになる。
    「『凶鳴毒唱』ァ!!!」
    「『眠らずの翼竜』」
    破壊の宣告に対しての返答は冷徹なものだった。
    多重詠唱殲滅現象が白銀の鱗に反射して返って行く。

    どこに?



    ライダーに届くことなく跳ね返された衝撃波がバーサーカーを媒質にしてヒビ割れた地面にクレーターが形成された。

    「おい、……ああすまんもう返事はいい。 何でわざわざランサーと会話してお前に時間をやったと思っているんだ? うん?」
    「……………………………………………………」
    「おい、胸踊る破壊を見せてくれるんだろう、俺にも見せてくれよバーサーカー」
    半ば自律的に両肩の蛇が脳漿をすするのは、令呪の効果なのだろうか。
    「ただし壊れるのはお前一人だバーサーカー、お前だけが破壊されろ」
    「…………………………………………ォ」

  • 209ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:29:44ID:I5MDczOTA(8/12)NG報告

    >>208
    「お前だけで良いんだよ、お前が壊れろ。 お前が壊れる様を見たいんだよ俺は、だから見せろよバーサーカー」

    竜を駆る王は残虐か?

    「おい、早く再生しろよバーサーカー。 俺はもっとお前を壊したいんだよ」
    「ォォォウォォァアァァアアアアアアアア!!!!」

    彼は『娘を連れもどせなければ裏切り者の娘に与えるものと同じ罰を与える』と国民全員を国から追い出した男だぞ?


    バーサーカーが右の拳を握りしめる。
    振り上げられたアッパーが受け止められ、逆にもう片方の腕が前脚の爪で縫い付けられる。
    その体制のまま両肩の蛇が上を向き『凶鳴毒唱』が合奏されるーー、その直前でバーサーカーの頭部を銀の竜が噛み潰して抑え込む。
    逃げ場を失った魔力はどこへ行く?
    バーサーカーの胴体で爆発があった。
    胸骨が弾け飛んで肋骨と蠢く心臓が露わとなるが、しばらくするとまた肉と骨で埋まっていった。ドルグワンドが竜を呪い漬けにするために両肩から伸びて竜へと迫る。
    竜は白いブレスを吐いて双肩の蛇を押し流した。
    竜の息継ぎの間を狙って『凶鳴毒唱』が、今度こそ合唱されたが冷たく見下ろすライダーが竜の真名を解放すると全ての衝撃はバーサーカーへと返って行く。
    全身全霊全力のそれを真正面から放つならともかく、マウントを取られた状態で満身創痍で放つそれならば押し返せる。

  • 210ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:30:08ID:I5MDczOTA(9/12)NG報告

    >>209
    それはクレーターがさらに深くなることで証明された。
    生きている証拠として痙攣しているバーサーカーの喉に竜の爪が食い込んで声帯を引きちぎる。
    「もう喋らなくてもいいぞバーサーカー」
    対してバーサーカーの口角が上がる。
    「なんだぁ……もう飽きたのかよ飽き性じゃねえの?」
    ライダーの口元が引きつるが、それはすぐに消えた。
    二の句を継ごうと口を開いたバーサーカー、その顔を竜が真正面から噛み付く。
    そして先にも放った押し流すような白いブレスが、顔を固定されたバーサーカーの口の中へと流し込まれて行く。
    それは本来破壊力としては大したことのない、『押し流す』ためのものであるのだが。
    「喋らなくてもいいと言ったら喋るんじゃないよ」
    「ガハッ……ッ! いやしゃべるだろ? そっちの方がおもしろい」
    「……チッ」
    果たして、思う通りに事を進めているのは城壁として空を塞ぐ翼竜なのか、それとも地を這う蛇竜なのだろうか。
    マイクを持ってインタビューにでも行けば答えてくれるかもしれない。最も、攻めきれず押し切れず口も止めさせることもできていない、ただ突っ立っているだけのおうさまがそれで癇癪を起こさない保証はしかねるが。
    白銀の鱗をすり抜けて、もはや何度目かもわからないほどに引きちぎられた肩蛇の呪沫がライダーのほほ数センチを飛んで行った。
    起爆した爆弾に無理やりフタをして抑え込んでいるのと変わらない。フタを抑える力を緩めれば、むしろそちらの方が正しいのだと炸裂と高熱はライダーを焼くのだろう。
    果たして、不自由なのはどちらか。

  • 211ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:30:48ID:I5MDczOTA(10/12)NG報告

    >>210
    虐殺は続く。しかし、まあ、一時離脱したアーチャーが戻らない程度の時間と考えると短いものか?
    さあ、この場に居合わせないマスターはどこで土を舐めているのだろう。
    「知ったことか」
    ズズンッ!!と、地面の亀裂がさらに増え、クレーターは深く窪む。
    凶い鳴く毒の輪唱は何度目かの固定反射を受けて、バーサーカーを媒し地球を殴りつける。アースとはよくぞ表現したものだ。
    「サーヴァントマスター間の魔力提供は、『使う側』主導でも搾り取れる。 繰り返すが、今ここで役に立たない男から魔力を搾り取ってそれでどうなろうが知ったことではない」
    お互いに利用しあい、使い潰しあい、勝利を求める。それもまたサーヴァントとマスターの関係性だが、それにしても。
    「よって最後の一滴を超えてもなおその生命を搾り取ってこれを潰し続ける。 聞こえているかどうかは関係ない。 むしろありがたがって欲しいんだがね。 最後まで戦いのテーブルに乗れていることを」
    危ういバランスで、踏み続ける。
    あちこち腐り落ちた吊り橋をズンズンふみ鳴らすような暴挙は、どうせ長くは続かない。

    だってそうだろ。
    権力者の暴税ほど分かりやすい破滅の記号なんてそうそうないだろう。

  • 212ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:32:47ID:I5MDczOTA(11/12)NG報告

    >>211
    あらゆる攻撃を弾き続けてきた銀の竜が、揺らぐ。
    「……!?」
    護竜とは城だ。神獣を守護するに足る城壁だ。揺らぐなどあってはならない。
    「……そろそろオレの方もなぁ、残弾が無くなりゃ喰うものも選べねぇだろ」
    あたりまえの話だ。踏んでいたナニカを踏み外したのでおっとっととガクついた。
    翼ある竜が踏んでいたのはなんだった?
    ・・・・・
    蛇の下半身ではなかったか?
    「上半身を踏み潰し直せばそれでいい!!」
    ・・
    「一歩遅かったな、最終楽章だ」
    ふらつく銀の翼竜、その腹に凶鳴毒唱がこんどこそ突き刺さった。


    「ハ……ハハハハァ……、まだまだッ…………やれんじゃねえかよ…………」
    半身だけで蛇竜王が吼えた。
    城壁を謳うなら基礎工事くらいやっておけ。
    不安定な体勢で腹部に宝具の直撃を受けた護竜は、ついに初めて、深手を負った。

  • 213ライダー陣営作成担当・第一回◆TvNZI.MfJE2019/11/02(Sat) 15:33:11ID:I5MDczOTA(12/12)NG報告

    >>212
    「何をやっているッ!!あと、あと一撃あれば足りるものをッ」
    「いやぁおうさま、これはさすがにもうだめでしょ」
    それでも城壁それそのものは堅牢だったのだ。直撃を受けた腹部はえぐれているものの、その後ろにいたライダーに衝撃が行くことは無かった。
    「アリエスッ!!! あとブレス一つで足りるのだ!!! 撃たせろ! 一撃でいいんだよ!!」
    「おいコルキスの王、コリュキオンは僕の宝具だ。 借り受け主が我が物顔で僕のものを使い潰すな」
    グル……と血を吐く口から唸り、ライダーを見やった護竜はアリエスの手で強制的に霊体化させられそのまま金羊毛へと格納された。
    「いらつきにまかせぼくをとりはずして、コリュキオンにしぼったうんようにきりかえたのは、たぶんまちがってないんだけどね」
    「…………チッ」
    「ぼくはそんなおうさまがだいすきだよ?」
    「…………俺はそんなお前と縁を切るために聖杯が欲しかったんだよ」
    『そんなおうさま』を好むアリエスは、案外楽しそうに笑う。
    「でもわるいんだけどさ、これでぼくもほんとうにたまぎれ。 どーすんの? あれたぶんこんどはじょうはんしんごときばくするよ? このきょりだとむかってってもさがってもしんじゃうけど」

  • 214リドリー陣営2019/11/02(Sat) 19:10:12ID:c1NDc2NDY(1/4)NG報告

    アメリカ異聞帯の幕間的何かを投入

    がっつり本編に絡んでくるので注意!

  • 215リドリー陣営2019/11/02(Sat) 19:10:31ID:c1NDc2NDY(2/4)NG報告

    >>214
    ハリウッドに向けて、足を動かす三人の傷持七豪集。残像を残す下半身に対して微動もしない上半身、話をするのに快適な体勢である

    「しかし肝心氏。執務仕事がまだ残ってるんじゃないですか?余達と一緒にきて大丈夫なんすか?」
    処刑は己の武器であるふた振りの剣を研ぎつつ、話しかける
    傷持七豪集は建前上対等であるがお互いの仕事の都合でその立場は入れ替わる
    肝心は主に執務と市民に対して表に立ってアル・カポネの言葉を代弁するのが仕事。そのため酔っ払う市民たちにもよく顔が知られているのだ。それ故に人気も高く多忙。何故付いてきたのか、処刑は疑問だった
    下半身を忙しく動かす馬にまたがる肝心の顔は鴉を模した兜により伺えない。だがその目は怒りに満ち満ちていた
    そして処刑は思い至った。肝心はデン・テスラによって娘を誘拐されているということに……………

  • 216リドリー陣営2019/11/02(Sat) 19:10:51ID:c1NDc2NDY(3/4)NG報告

    >>215
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    インペリアルタワー666階遊戯室

    『黒幕の五人目』、彼はこの異聞帯の王と謁見していた。キューを見事に使い、ボールを弾く様は呪術師、しかも片腕だけしかない男とは実に思えない
    「我王。故リドリーが言っていたようにカルデアの侵入を発見しましたねぇ。一体どうなさるおつもりでしょうか?」
    【大ごととする必要はない】
    多重に重なる声で返答する王
    【いずれ来ることはわかっていた害虫だろ?その始末のために私は君達を作った。対策は万全。だから私は君達だけで何とかなる……………そう考えている】
    「成る程、いやはや王たる楽観。全く素晴らしいですネェ!」
    【実際そうさ。私が選んだ君達は最強。だから別に気にすることはないんだよ……………ところで『ニューワールド計画』は進捗どうだい?】
    「すこぶる順調!あと一週間後にはできますねぇ」
    【一週間後といえば……………『バレンタインデー』だ!】
    「ええ、ええ、ええ!何という偶然でしょうか!この幸運に私は乾杯をあげたいですねぇ!」
    【あらあら、お酒はまだ駄目よ?一週間後の『バレンタインデー』に備えなくちゃ】
    「全くもってその通りですねぇ。ですが私は喜んでいますぞ!これで我々は他の異聞帯を完膚なきまで叩き潰せるというもの!」
    興奮する黒幕。彼は身体中を蚊の大群に変え窓から飛び出す
    「それでは我王!一刻も早く完成させて見せましょう!」
    【ふふふ、ああ、楽しみにしているぞ!『ニューワールド』!】

  • 217リドリー陣営2019/11/02(Sat) 19:11:23ID:c1NDc2NDY(4/4)NG報告

    >>216
    幕間おわり!

    今回の話は重要なところがあるので必ず見てください!

  • 218伏神アサシン陣営2019/11/04(Mon) 00:38:45ID:k2NDYzMzY(3/26)NG報告

    人工の光で極彩色に照らされた中心街。喧騒と轟音、適度に汚れた空気が都会の味を演出する。
    ビルとビルの屋上を黒づくめのサーヴァントは舞うように渡り歩いていた。
    アサシンは浮かれていた。この時代に来てまさか同類と出会えるとは思わなかったのだから。
    ひっくり返しても埃すら出てこないであろうマスターに召喚された時はどうしようかと思ったが今はそんな心配も頭には無い。
    曇りなきガスマスクは街を見下ろす。

    「ラブアンドピース!やっぱ友達はいつの時代も裏切らないね!角生えてたけど何のコスプレだったんだろあれ人。宇宙人かな?」

    ゲラゲラと男の野太い笑い声を上げると、歩くスピードは更に増した。正直、あの屋敷の主人が困り果てている所を見たくなかったかと言えばそれは嘘になるが。
    生前に友人はいた気もするし、いなかった気もする。今いるのならどっちでもいい。

    「…あーあの仕掛けもすれば良かったかな。いやでもあれはちょっと21世紀の人間には刺激が…」

    妄想と興奮が混じり合い、更なる高揚の領域へ足を踏み入れる。早くなる鼓動は足にも反映される。高所ゆえの寒さも今の麻痺した体には感じられない。
    と、その時。

    「うわぁぁああ!?」

  • 219伏神アサシン陣営2019/11/04(Mon) 00:39:10ID:k2NDYzMzY(4/26)NG報告

    >>218
    突然視界が低くなると同時に鈍い痛みが全身を襲う。心臓を掴まれたような冷や汗がどっとガスマスクの下をつたう。
    どうやらビルとビルの隙間に落ちてしまったらしく、建物に外付けされている階段に激突した。
    頭を摩りながらも仕方がないのでその場で横になる。冷えたコンクリートとはまた違った鉄の冷たい感触が血の回った頭を冷やした。

    「………」

    このまま戦って聖杯戦争に勝てるのだろうか。
    ふと、日頃は絶対に考えないであろう、そんな漠然としたネガティブな思考が頭をよぎった。
    そして改めて己以外の全てのサーヴァントを下した時に与えられる権利について考える。

    「……待てよ」

    サーヴァントが聖杯に抱く願いの種類はそれこそサーヴァントの数だけあるが、大半は聖杯による『奇跡』によってしか叶えられないという点という共通項がある。
    この世への受肉、生前のやり直し、世界の救済…これらは勝ち残ってからようやく実現するのだ。

    「けどここに例外が存在しちゃった感じ?」

  • 220伏神アサシン陣営2019/11/04(Mon) 00:41:28ID:k2NDYzMzY(5/26)NG報告

    >>219
    そうだ、この願いは殺し合いを勝ち抜いて何も聖杯に叶えてもらう必要などない。己の手で成し遂げられるものだ。
    ならばすぐさまに行動に移さなくては。実体化したナイフをくるくると回すと階段の踊り場から身を乗り出し街を再び見下ろす。
    忙しなく行き来する群衆を見続けーーーアサシンは遂にその欲望に駆られた目に捉えた。
    人々を半ば無理やりかき分けながら歩く男女のペア。世間離れした佇まいの女性はマスクをしており、男はかなりの美貌だ。

    「始皇帝…とまでは言わないけどケネディさんぐらいには知名度ある人だといいな」

    暗殺者は天高く跳び上がると光輝く大通りに堕ちていった。
    後には踊り場が凹んだ事以外は何も変わらない階段だけが残された。

  • 221ガイ・フォークス2019/11/04(Mon) 21:31:02ID:g3ODU0MDg(1/6)NG報告

    伏神、弓陣営のライノパートを投稿します。

  • 222ガイ・フォークス2019/11/04(Mon) 21:31:41ID:g3ODU0MDg(2/6)NG報告

    >>221
    深夜。ご近所さんのお庭に私はいました。いわゆる不法侵入であるところの行為ですが、そんなことに気を使うほどの気持ちの余裕はありません。
    目的は、真っ白な犬小屋に繋がれている大きいワンちゃんです。人なつこいワンちゃんで、いつも通学のたびに門に鼻を押しつけながら戯れてきたものです。本当は良くないのですが、コッソリとオヤツをあげたのも、一度や二度ではないんですよ。

    近くにしゃがんでそっと撫でてあげると、目を覚ましてゆっくりと頭を持ち上げました。一瞬、彼と目が合います。それから彼は、大きな舌で私の頬を舐めました。
    神父様の元から逃げ出してから、さんざん泣いたり吐いたりした私の顔は、きっととても酷いものになっているのでしょう。優しい子です。
    私は片腕で彼をそっと抱き寄せ、もう片方の手で頭を撫でながら、今日1日だけで何度目になるかわからない言葉を、耳元でそっと囁きました。

    「ごめんね」

    彼の首をグリッと捻ると、薄い板を踏み割るような音とともに1回転して、鳴き声をあげる間も無く動かなくなりました。
    きっともう意識がないだろうことを確認してから、私はまだ痙攣しているそれに齧り付きます。込み上げてくる吐き気を抑えながら、一口、また一口と。

    生のお肉の食感は未だに慣れませんし、喉に毛が絡みついてとても苦しい。何より、大切に接してきた生き物の命を奪ったという恐怖と後悔が、私の中のナニカを少しずつ蝕んでいきます。そのことに気がつきながらも、猛烈な飢えをしのぐために、私はそうせざるを得なかったのです。

    半ばほど食べ進んだ時、私の頬を温かいものが伝うのに気がつきました。もう、涙は枯れ果てたと思っていたのに……そう思いながら袖で拭うと、袖口が真っ赤に染まりました。
    留めなく溢れるこの液体は、さっき血管を食い破った時に飛んだ血なのか、それとも……

  • 223ガイ・フォークス2019/11/04(Mon) 21:32:19ID:g3ODU0MDg(3/6)NG報告

    >>222
    ◆◆◆◆◆◆

    砂漠を潤そうと、水を手で掬って打ったとします。いくら額に汗しながら一所懸命に運んだところで、水は地面に触れるや否や染み込んで、または照りつける太陽が蒸発させて、何事も無かったかのように消えてしまうでしょう。
    私の飢えも、そのようなものでした。いくら何を食べようと、灼けつくような喉の渇きや、内臓の一つ一つが万力で潰されるような辛さは消えません。ただ、ほんの少しだけ……新鮮な生き物の肉だけが、気が狂いそうなほどの苦痛を和らげてくれるのです。
    弱い私は、それに救いを求めずにはいられませんでした。食べて、食べて、食べて食べて食べて食べてーー

    一度に必要な肉の量が増えている。私がそのことに気付くのはすぐでした。
    当然だ、と私は思いました。間に合わせのもので苦痛を誤魔化しても、それは一時的なもので、見ないふりをされた原因は一層悪化していくものです。
    実のところ私は、私自身が本当に求めているものは何なのか知っていました。だけれども、もし本当にそれをしてしまったら……想像しただけで震え上がってしまいます。私は、私ではなくなってしまうでしょう。

  • 224ガイ・フォークス2019/11/04(Mon) 21:32:50ID:g3ODU0MDg(4/6)NG報告

    >>223
    ◆◆◆◆◆◆

    夜が明けて空が白み始めた頃、今まででひときわ大きな衝動が私を襲いました。まるで燃え盛る炎の中に投げ込まれたような苦痛に、私はただただ耐えるしかありませんでした。
    痛みを紛らわすために喉を掻き毟り、捲れた皮膚の内側から息が漏れました。お腹を抑える手に力が入り過ぎていたのか、バキボキという音が絶えず耳の奥に響いていました。

    私が次にはっきりと意識を取り戻したのは、夕暮れになってからでした。
    私は、私のものではない何かの血だまりの上に倒れていて(この異変が起こってから、私はいくら傷ついても血を流すことはなくなっていたのです)、目の前には動物の前足が切れ端だけ転がっていました。
    呆然としながら視線を下ろしていきーー自分で毟って食べたはずの右腕が何事も無かったかのように治っているのを見て、私は自分が人間では無くなってしまった事を、今更のように自覚しました。

    なんで。
    唇が自然に動き、言葉がこぼれました。そうなると、もはや考えないようにしていた感情を押しとどめておくことは不可能でした。たとえそれによって、より惨めな気持ちになると知っていても。

    何で私ばっかりこんな目にあうの?痛い、痛い、嫌だよ、許して。誰か、誰でもいいから助けてよ。助けて……助けてよ。助けてよ……レアちゃん!

  • 225ガイ・フォークス2019/11/04(Mon) 21:34:25ID:g3ODU0MDg(5/6)NG報告

    >>224
    ◆◆◆◆◆◆

    スッと、頭の中に重くかかっていた霧が晴れた気がしました。
    そうだ、レアちゃん。私が辛い時はいつもそばにいて私を助けてくれた。レアちゃんなら……レアちゃんに……会いたいな。
    私は近くの木に縋るようにして立ち上がりました。それから、おぼつかない足取りで、一番信頼できる友達の家を目指して歩き出しました。
    そこには確かな希望がある。そんな気がしていたのです。

  • 226ガイ・フォークス2019/11/04(Mon) 21:36:05ID:A3MzY1MTI(1/1)NG報告

    >>225
    以上です。3日目の夜から4日目の夕方もしくは夜までの行動を終了します。

  • 227名無し2019/11/04(Mon) 22:38:36ID:Q3NDA2MDg(1/3)NG報告

    >>225 支援らくがき

  • 228Requiem◆B8D4AQBhU22019/11/04(Mon) 22:40:49ID:Y0MDQ3MzY(1/3)NG報告

    >>227
    登録オッケーですか?

  • 229名無し2019/11/04(Mon) 22:43:00ID:Q3NDA2MDg(2/3)NG報告

    >>228
    らくがきとはいえ血なのでギャラリーは良かない

  • 230Requiem◆B8D4AQBhU22019/11/04(Mon) 22:44:12ID:Y0MDQ3MzY(2/3)NG報告

    >>229
    あ、いえ。ストーリーに載っける感じを想定しております。

  • 231名無し2019/11/04(Mon) 22:46:40ID:Q3NDA2MDg(3/3)NG報告

    >>230
    そっちに載せるならもう少し清書するから待ってください

  • 232Requiem◆B8D4AQBhU22019/11/04(Mon) 22:49:11ID:Y0MDQ3MzY(3/3)NG報告

    >>231
    了解です。ありがとうございます!

  • 233ガイ・フォークス2019/11/05(Tue) 07:01:00ID:Y3NTk5NjA(6/6)NG報告

    >>227
    この絶望感……とても良い!
    ご支援ありがとうございます!!

  • 234ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 22:55:13ID:UxOTI0MDA(1/11)NG報告

    九終投稿します

  • 235ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 22:55:38ID:UxOTI0MDA(2/11)NG報告

    昼休みも一山を越えた正午45分頃。私とアーチャーはお昼ごはんを食べ終え少しの休憩をしていた。もちろんあまり休んでばかりはいられないのだけど。
    先の会談で分かったことだけどバーサーカーのマスター、ユージーン・バックヤードが家を訪れ賢司さんに手紙を預けていったというのだ。─────さすがにそれを無視することはできない。
    「アーチャー、お昼ご飯を食べ終えて早速で悪いのだけど。家にいって手紙を見てきてもらえるかしら?」
    「手紙……というとバーサーカーのマスターのですか?」
    「ええ、性急になってしまって悪いのだけど家にいって内容を見てきてもらえるかしら?貴方達サーヴァントとは確かマスターであれば視覚共有が出来るのよね?」
    「はい、マスターであるなら僕達とは離れていても視覚の共有は可能です。」
    サーヴァントとマスターの間に結ばれている契約関係はなにも魔力パスや令呪だけではない。サーヴァントの目を通じた情報の共有も契約しているマスターが行える特権だ。……やっていることは使い魔や式神による偵察と大差ないのだけど、自分の目か他者の目かは呪術を扱うものとしては重要な部分だ。アーチャーの口から改めて確認出来たのは良かったと思おう。
    「明久さんの口ぶりからして恐らくだけど手紙の中身は宣戦布告ではない。だとすれば互いの陣営に関わることのはずよ。」
    「つまりバーサーカーの陣営が同盟を持ちかけてきた……ということでしょうか?」
    「最良は、ね。ともかく今から確認してきてもらえるかしら?」
    「分かりました、その間マスターはどちらに?」「私は……1Fの多目的室にいるわ。パスを辿れば貴方ならどこにいるかは分かるわね。」
    「はい、では少し行ってきます!到着したら念話でお伝えしますね!」
    アーチャーは霊体化しその場から離れた。

  • 236ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 22:56:35ID:UxOTI0MDA(3/11)NG報告

    >>235
    「とりあえず手紙は大丈夫ね。さて、問題は私の方かしら……」
    その場で一番使える手段だったから使ってしまったけれど間違いなく今の生徒達の中で私と誠さんの関係性について話されているだろう。突飛……とも言い切れない発想としては恋仲であるとか実は兄妹だとかといったところだろうか?自分で蒔いた種とは言え我ながら頭が痛い。少しでもそんな話を聞こうものなら夏休みが明けてから数日は学校に行きたくはない。
    「……とりあえず多目的室に行きましょうか。ここにいても何も始まらないのだし。」
    私は空になったお弁当箱を持って生徒会室を出て少し遠回りに多目的室に向かう。普段の距離で行くのならこんなことはしなくてもいいのだけど今の状況を考えると出来うるだけ騒ぎになるのは避けるしかないだろう。なんとなく『これが逃亡犯の気持ちなのかしら?』と知りたくもない気持ちを理解したかもしれない、これは今後の人生でできるだけ味わいたくない。
    周りを警戒しながらなんとか1Fにたどり着く。少なくとも多目的室に行くまでの廊下に特に人は見当たらない。廊下の窓側の壁際に手をつき、
    「(″心音感応(しんおんかんのう)″──────)」
    魔術を簡略化した呪術探索を行う。すると多目的室の前に1人の女生徒……レイがいるのが感じ取れた、なぜいるのかは何となく察しはつくけれど。
    このままここにいても仕方ないので少しだけ早足で多目的室まで歩いていく。
    「あ、カノちゃん!」
    「レイ、どうしてここにいるのかしら?」
    「えっとね、ほらさっき七星先生が教室に来たでしょ?カノちゃんが行った後すぐに『当面の間は当校の方針として九重さんには特別室で授業など受けてもらいます』ってみんなに説明してね……『誰か九重さんの荷物を持ってついてきてくれませんか』なんて言うもんだからみんな自分が自分がー、で七星先生にアピールするからその間に私がみんなの目を盗んでカノちゃんのカバンを持って七星先生の前に行ったんだよ。それでみんな諦めたみたいで蜘蛛の子を散らすみたいに席に戻ってっちゃった。」
    「はあ……おおよその経緯は分かったわ。苦労かけたわねレイ。」
    「いいのいいの困った時はお互い様だもん!じゃあ、私教室に戻るね〜。」
    手を振りながらレイは大階段の方へ歩いていく。こういう時のレイの気遣いはありがたい。

  • 237ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 22:57:15ID:UxOTI0MDA(4/11)NG報告

    >>236
    ガラッと多目的室のドアを開ける。まあ多目的室とは言うけれど実際のところは少し広めの会議室程度の大きさしかない。それでも学校内で使える自由空間が手に入ったのは悪いことではない。誰も入ってこないようにドアの鍵を下ろし多目的室の窓を開けカバンから1枚の呪符を取り出す。魔力をこめると呪符は鳩の形に変化し「校門の上で待っていなさい?」と指示を言って送り出し椅子に座ったタイミングでアーチャーから念話が届く。
    「(聞こえますかマスター?)」
    「ええ、聞こえるわよアーチャー。手紙はあるのよね?」
    「(はい、ご丁寧に名前付きで。)」
    「少し待ってちょうだい、私が貴方の目に視界を繋げるわ。」
    椅子の背もたれに体を預け目を閉じる。
    「(接続開始(アクセス)──────)」
    アーチャーに自分の視界をリンクさせていく。ほんのわずかに自分の魔術回路が励起しアーチャーの魔術回路と交錯すると閉じていた視界がクリアになり彼の手元が見えた。そこには『To Kokone_Canon』と書かれた手紙の裏面があった。
    「(繋がったわ。アーチャー、手紙を開けてみてちょうだい。)」
    「(はい、では開けますね。)」
    手紙は案の定、というかまあほぼ予想通り全編に渡って英語で書かれていた。まあ英語くらいであれば読めなくはないので要点を抜き出してまとめる。内容は簡単に言えばこうだ。

  • 238ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 22:58:26ID:UxOTI0MDA(5/11)NG報告

    >>237
    「俺達バーサーカー陣営と同盟を結んでほしい。同盟の内容としてこちらは『島の住民に手を出さず、また手を出させないよう協力する』こととしたい。代わりにそちらには『アーチャー陣営が優勝した場合、その際に発生する賞金をこちらに受け渡すこと』を要求する。
    こちらは既にこの大会を運営するスタッフに対してバーサーカーによる魂喰いをさせたが、これ以上はするつもりはない。まあこれをどう受け取るかはアンタに任せるとしよう。ともかく同盟に対して回答を聞かせてもらうためにここに連絡先を書いておく。
    良い返事を期待しているぜ。
    ────From Eugene_Backyard」
    さて相手が要求してきた事柄は分かった。しかしこれを飲むかどうかは別問題だ。まず私に要求している同盟の条件は賞金の譲渡だけ。まあこれはいいだろう、別段今の私にとって賞金はそれほど重要ではないし相手の目的が賞金にあるのなら多少の熨斗を付けないこともない。
    ただ問題は私に保証する同盟の条件だ。島の住民に手を出さず島の住民に手を出させない、と書いてはあるが恐らくそこに同盟相手である私は含まれていない。まあ含まれているのも変な話だとは思うけれど、少なくとも私自身に対してはこれといったメリットも担保もない。となるとこちらにとってメリットとなる内容をバーサーカー陣営に突き返すしかない。
    とりあえず考えられる条件は最低でも3つ。

  • 239ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 22:59:14ID:UxOTI0MDA(6/11)NG報告

    >>238
    1つ目は互いの陣営にとって不利益になる行動をしないこと。
    仮にではあるがバーサーカー陣営が私達以外の陣営にも条件こそ違えど似た内容で同盟を結ぼうとしている可能性を考えた場合、バーサーカー陣営が同盟を結んだ陣営同士がぶつかった際に自分にとって利益・得のある陣営側につこうとするだろう。同盟をより強固にするという意味でも少しでも多く裏切りの可能性は絶っておきたい。
    2つ目は自同盟間の要求・取引を第一に優先すること。
    1つ目の条件の保険でもあり、これに関しては双方にメリットがある話だ。例えば私がバーサーカー陣営に加勢を要求したのならバーサーカー陣営はその報酬を要求出来る。逆にバーサーカー陣営から何かしらの要求があれば私はそれに出来る範囲で答えなくてはならない。よほどの非常時でもなければできる事柄だ、ある意味では同盟間で上下関係を作らずに互いに公平な立場にすることができる。
    3つ目は互いに敵対陣営の情報を手に入れた場合はその情報を共有すること。
    必ずしも必要な条件というわけではないけれど情報を手に入れるという意味では互いに損な条件ではないはずだ。
    「(ありがとうアーチャー、手紙の内容は分かったわ。一度、手紙を持って戻ってきてもらえるかしら?校門の前に使い魔を置いておくから校門まで来たら手紙は使い魔に渡してちょうだい。)」
    「(分かりました、ではこれから戻ります。)」
    アーチャーとリンクしていた視界を閉じ接続を切り離す。再び目を開けるとそこは当然さっききたばかりの多目的室だ。私は私の背後にいる存在に話しかける。
    「はあ……七星先生?そこにいるのは分かってるんですよ?今度は何の用ですか?」
    「あはは……いやその、うっかり特別扱いの説明を忘れてまして……」
    「……と言いますと?」

  • 240ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 22:59:46ID:UxOTI0MDA(7/11)NG報告

    >>239
    「はい。夏休みまでの残りの3日間の授業は今回に限り特例として全て免除することになりました。もちろん学校に来ても構わないのですが、内申点などには一切影響しませんので先ほどのことを考えると残りを全て欠席するのも手かと。このあとの時間も早退しても問題はないそうです。」
    「はあ……そうですか。」
    好都合といえば好都合なのだけど、ただあまり欠席はするべきではないかもしれない。
    宗美樹、アサシンのマスターはこの学校の職員だ。今はまだ何のアクションも起こしてはいないが、ただ彼が受けている扱いを考えると私がこの学校にいないという状況は作らない方が賢明だ。
    もし、私がこの学校に来ていないと分かればアサシンを使った魂喰いか──────もしくはそれまで受けてきた恨みを晴らす復讐かそれらに類似する行動を起こす可能性が高い。そうなれば恐らく誠さんだけでは対処しきれまい。宗美樹だけならまだしもアサシンのサーヴァントがいるとなると勝ち目はほぼゼロに等しいだろう。ネズミがクマに戦いを挑むようなものだ、むしろ時間稼ぎになったのならプラスといっていい。
    「えっと────」
    「弁明は結構です、何を言うのかは大方予想がつきますので。それよりも1つ、お願いしておきたいことが。」
    「?」
    「もしレイ……倉橋零華に何かあればすぐに連絡をしてください。わずかな変化でもかまいません、彼女に何かあれば私は……」

  • 241ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 23:00:58ID:UxOTI0MDA(8/11)NG報告

    >>240
    天莉を──────たった1人の妹さえ守りきれなかった人間が一体何を言っているのか。じっとりと嫌な汗が滲む。
    自分の未熟さが原因で今の事態を引き起こしているというのに、なぜ『友人を守りたい』などと思っている?どうして『友人だけは助けてみせる』などと思っている?
    ああ、本当に自分の馬鹿さが頭にくる!お前は一度でもそんなことを本気で思ったのか?お前は一度でもそれを成せると思ったのか?いいや、否、否だ!お前にとって倉橋零華という存在は他の人間と何が違う?お前にとって倉橋零華という存在はそれほどまでに執着すべき人物か?違うだろう?お前にとって倉橋零華はただの記号だ、他の人間と区別するために付けたラベルに過ぎない。幼い頃からお前は知っていたはずだ、理解していたはずだ。そんなものに意味はないと。
    だって彼女は─────────────
    「分かりました、もし倉橋さんに何かあればすぐにお伝えしますね。」
    彼は、七星誠は倉橋零華について何も知らない。いや生徒としての倉橋零華は知っている、だが一個人としての彼女が何であるかは彼は知らないし知らされていない。
    「この後はどうされますか?」
    「……一応、早退を考えています。少しだけやることができましたので。」
    「分かりました、とりあえず学校側には報告しないでおきます。宗美先生に知られたら面倒ですからね。」
    では、といって誠さんは多目的室を後にする。
    「はあ……。」
    「くるっぽー。」
    開けていた多目的室の窓から右肩に私の使い魔の鳩が止まる。鳩のくちばしの先には先ほどアーチャーの視界越しに見た手紙があった。私は左手でそれを受け取ると同時に戻ってきていたアーチャーが霊体化を解く。

  • 242ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 23:03:47ID:UxOTI0MDA(9/11)NG報告

    >>241
    「マスター、ただいま戻りました……どうかしましたか?」
    「……いいえ、なんでもないわアーチャー。それよりもありがとう、手紙を取ってきてくれて。」
    「マスターの命ですから。僕は当たり前のことをしただけで感謝をされるようなことはしていませんよ?」
    「私が言いたかったからこれでいいのよ。少し待っていて?今のうちに済ませておかないといけないことがあるから。」
    私はカバンからノートを取り出して1枚だけノートのページを切り取りそこにユージーン・バックヤードへの返答を書き込んでいく。返答を書き終えるとページを簡易的な手紙に作り変え軽く強化の魔術を施し、使い魔の鳩に咥えさせる。
    「魔眼、起動(セットアップ)──────」
    先ほどのユージーン・バックヤードの手紙に微かに残る魔力の残滓に魔眼の照準を合わせ、ユージーン・バックヤードの位置を特定し使い魔にその情報を共有させる。
    「それじゃおねがいね。多少遠回りでもかまわないから必ず渡して?」
    多目的室の窓から再び鳩を飛ばす。あとは────────
    「呪怨八相汝我心層見事能(じゅおんはっそう、なんじ、わがしんそうをみることあたわず)、我心層暴覗視者永罰与永時苦悶生満(わがしんそうをあばきのぞきみようとしたもの、ながきばつをあたえられ、ながきじかんくもんによってせいをみたされん)」
    先のユージーン・バックヤードのインタビュー映像を鑑みて心層領域に心層防衛の呪術を施す。私の予想通りならそれでよし、例え的外れな対策だとしてもしておいて損はないしひとまずはこれで大丈夫だろう。
    「これからどうしますかマスター?」
    「ひとまずやることが出来たわ、買い物に行かないと。」
    「?買い物……ですか?食材ならまだ多少あったような……」
    「他所の人間を歓待するのに普段と同じ料理じゃダメでしょう?特にこれから関係を持つ相手に対してなら良い関係を築くためにもまずは簡単に心を開いてもらわないと。」
    「なるほど……つまり胃袋を掴んで引きずり出すのですね!」
    「いやさすがにそこまでバイオレンスじゃないのだけど……あと多分アーチャーが想像してるものは絶対間違ってると思うわよ?」
    「あれ、そうなのですか?アルスターではこれくらいは日常茶飯事でしたが……」
    「……ねえ、今更だけどまずそれ相手死ん.でないかしら?」

  • 243ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 23:04:35ID:UxOTI0MDA(10/11)NG報告

    >>242
    「?これくらい出来て当然ではないのですか?」
    「オーケー、分かったわ。今度アーチャーに今の時代のルールとマナーを教えてあげる。まずはそのバイオレンスな思考を矯正してあげないといけないみたいね……」
    とりあえず明日以降のやるべきことにアーチャーの情操教育が追加された。英霊の座に帰れば忘れてしまうことかもしれないけれど現界している今だけでも覚えておいてもらわないと……
    「ともかく一度帰りましょうか、アサシンの気配は?」
    「今はありません。」
    「ひとまず学校を出るまでは霊体化していなさい。出歩きたいのなら買い物のついでに服も買ってあげるわよ?」
    カバンを手に持ち多目的室を後にする。さてまずはバーサーカー陣営をどうもてなすのかを考えましょうか。

  • 244ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2019/11/08(Fri) 23:05:23ID:UxOTI0MDA(11/11)NG報告

    ここまでです。ユージーンさんにパスします

  • 245亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:50:40ID:g5NTg5OTE(4/11)NG報告

    伏神のランサー陣営投下します。

  • 246亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:51:04ID:g5NTg5OTE(5/11)NG報告

    亥狛とランサーが拠点とする施設に帰ったのはもう日付も変わった深夜未明であった。
    日中におきた様々なイベントに疲労困憊といったマスターに、割と平気そうなサーヴァント。
    二人とも同じ場に居たにも拘らずそれらの表情は違って見えて、こんな所にも英霊と生物の根本的な体力の差というものを思い知らされる。

    扉を静かに開けたのは、中に居る同居人を起こさない為の配慮だった。
    「……ただいま、帰りました〜」
    大きな体躯に見合わないか細い声は、遅すぎる帰宅に対する申し訳のなさからだろう。
    抜き足差し足、忍び足、と応接間を抜けようとしたが、そこでぴたりと足を止める。

  • 247亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:51:36ID:g5NTg5OTE(6/11)NG報告

    >>246
    丁度亥狛の視線の先、魔術師シスカに充てがわれた部屋から淡い光が漏れているのに気付く。
    「なんだ、起きてたのか」
    「───ん、あぁ帰ったか。お帰り」
    光の原因(モト)はパソコンの画面だった。
    文明の利器にはやや疎い亥狛にとっては奇妙奇天烈な鉄の箱としか思えないが、使い熟せるとこれ程便利なものはない、とはシスカ・マトウィス・オルバウスの言葉だ。

    画面には細かい文字の羅列が延々と続いている。所々にはカラーの写真、目立つ箇所には「伏神市の連続変死事件、未だ解決の目処立たず」と書かれている。
    ネットニュースの見出しらしい。近年情報媒体の主軸は紙から電脳へと移行しつつある、こんな地方都市の事件一つとってもネットで検索すれば数件は該当すると言うのだから驚きだ。
    シスカは振り向きざまにマウスを手繰り画面を閉じる。
    「随分と遅い帰宅じゃないか、何かあったのかい?」
    「何かも何も……色々あったよ、本当に色々」

  • 248亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:52:29ID:g5NTg5OTE(7/11)NG報告

    >>247
    順を追って話すと長くなるけど、と前置きしてから今日の顛末をシスカに伝えると、彼女は思いの外楽しそうな表情で聞き入っていた。

    「へーそんな事が。良いじゃないか、モテモテの身で羨ましいもんだね。
    やぁコレは保護者として実に鼻が高いといいますか」
    「冗談じゃない、こんなの想定外だ。
    てっきり全陣営で常時啀み合ってるもんだとばかり思ってたから」
    戸惑いしかない、と頭をかく。
    「勿論そういった側面が主体だろうけど、平和的に戦いを収められるならそれに越した事はないさ。
    多分他の連中もそういう類いが居るのだろう。それに同盟を組めばその分同盟相手の手の内を読む事が出来る、今後敵対する時に確実なアドバンテージとなるからね」

    つらつらと語る口調はやや芝居じみているが、シスカは常時こんな感じだ。
    いつだってドラマや本の中の世界に生きている様な、そんな印象を受ける。
    戯ける時も、怒る時も、何処か一線を引いていると言えばいいだろうか。

    端的に言って彼女は常に非現実的だ。
    「それで、いつもの事ながら言うが『君はどうしたいんだい?』」
    そんな彼女の非現実性を尤も如実に顕すのは、この発言だなぁと亥狛は思う。
    彼女は打算に縛られることはなく、気儘に散歩する猫のように思うがままにある事を亥狛に幾度となく伝えようとする。
    それは彼女なりの処世術なのだろうか、社会的に見れば実に奇異な生き方に見える。

  • 249亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:53:12ID:g5NTg5OTE(8/11)NG報告

    >>248
    だがそんな幻想的な生き方だからこそ幻想種である錫久里亥狛と巡り会えたのだろう。
    「アヴェンジャー陣営との同盟を受けようと思う。他の陣営とは今のところ組む考えはないけど、もし組むのなら東雲玲亜…アヴェンジャーのマスターと相談して決めようと思ってる」
    それで、と続けて。
    「同盟を結ぶか決める為に、玲亜がシスカと会ってみたいって。それが同盟締結の条件らしいんだ。
    勿論シスカの了解がなかったらこの話は無しになるんだけど、一度会ってもらえないか?」
    そう言うか言わないかする前にシスカの口からは「イイヨ」の言葉が飛び出してきた。

    「……今絶対脊髄反射で返事したよな?」
    傍で静観していたランサーに顔を向けると、ええ多分、と言わんばかりに曖昧な表情を浮かべていた。
    「宜しいのですか?貴女にとってはこれといって益はないと思うのですが」
    「ふふん、百も承知だよ。だが私は益の有無で物事の指針を決めるような生き方はしたくないのさ」
    そういって、指揮者のように指を振り回す。
    「やりたい事をやる、と」
    「そう!やりたいようにやらせてもらう。
    その東雲のお嬢ちゃんと会うのが面白そうだからとか、そんな他愛の無い理由だよ───こんな適当な人間で幻滅したかい、ランサー?」

  • 250亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:53:55ID:g5NTg5OTE(9/11)NG報告

    >>249
    戯けるような視線を、亥狛の斜め後ろにいるランサーへ。一方でランサーにこれといった不機嫌の兆しはないように見える。
    静穏で、それでいてどこか凛々しさの含んだ表情を崩すことはない。
    「……いえ、全く。貴女のそれは軽薄とは異なるある種の信念です。
    であれば、私が向けるべき感情は軽蔑ではなく敬意かと」
    「名にし負う円卓の騎士にそう言われては流石に照れ臭いな。
    正直、もっと罵ってくれるものと思ったぞ」
    「そうだぞランサー。シスカはそんなに敬うような人間性をしてない」
    「君はもうちょっと尊敬しても良いんじゃないかなぁー!?
    聖杯戦争の身元引受人に対する恩義って言うか優しさってもんが足りないんじゃないかい?!」
    座り心地抜群の安楽椅子から身を乗り出して、畏敬の念の足りなさを糾弾する妙齢の魔術師である。
    そして恩義は感じてるが哀しいが尊敬は別の話だ、と頑として評価を改めない亥狛は。
    ふと、昼間起きた一幕を思い出す。

    ────利ならそうね。私にとってのメリットは無駄な死がひとつ防げるかも知れないって所かしら?

    ────私の精神の安寧の為にも、貴方には死ん.で欲しくないの。

    そういえばそうか。
    あの東雲玲亜という女の子も、利益でなく信念で動く奴だったな、と。

  • 251亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:55:13ID:g5NTg5OTE(10/11)NG報告

    >>250
    二人の女性の思わぬ共通点に吃驚すると同時に、だからこそ惹かれたのだと思えてならない。

    東雲玲亜、そしてシスカ・マトウィス・オルバウス。
    期せずして合間見える御三家の二人は、会ってみればどんな化学反応が起きるか想像もつかない。
    正に未知数、蓋を開けるまで結果の見えないシュレディンガーの猫。
    魔術師として反目しあうか、それとも似た者同士意気投合するのか。
    それとも──────
    「……多分、いやもしかすると」
    「ん、何がだい?」
    「…………同族嫌悪?」
    「唐突かつ意味深な、不穏なワード!?」

  • 252亥狛の人2019/11/09(Sat) 16:55:48ID:g5NTg5OTE(11/11)NG報告

    以上です!では三日目は自分はこれにてターンエンドします。

  • 253ディック2019/11/09(Sat) 23:03:11ID:Q4MDQ2MzI(1/6)NG報告

    九終島のインタビューと召喚シーンを投稿します。

  • 254ディック2019/11/09(Sat) 23:03:24ID:Q4MDQ2MzI(2/6)NG報告

    ―――この九終島聖杯大会に参加した理由を教えてください。
    ケーフェンヒラー:勿論、聖杯を求めてのことだ。
    ―――成る程!聖杯への願いは決まっておられるのですか?
    ケーフェンヒラー:……それは言えない。
    ―――そ、そうですか……ですが、参加者の皆さんの聖杯にかける願いや大会に臨む理由は観客も楽しみにしていますので、ご教示お願い致します。
    ケーフェンヒラー:断る。俺の聖杯にかける願いは他人を楽しませるためにあるわけではない。
    ―――わかりました……。で、では召喚する予定のサーヴァントのクラスだけでもご教示お願いします。
    ケーフェンヒラー:ライダーを召喚する予定だ。他の参加者と被らなければいいのだがな……
    ―――高い機動力と強力な宝具を数多く所有するクラスですから三騎士に勝るとも劣らない活躍を期待できそうですね!
    ケーフェンヒラー:期待に応えられるよう、善処しよう。
    ―――ありがとうございます。それでは最後に、大会への意気込みをお願いします。
    ケーフェンヒラー:参戦するからには勝つ。そのために出来る限りのことはしよう。

     ◇◆◇

  • 255ディック2019/11/09(Sat) 23:04:24ID:Q4MDQ2MzI(3/6)NG報告

    >>254
    撮影終了後、楽屋にて
    「いつもの仕事以上に緊張した……」
     深い溜め息をついて水を一口飲む。
     つっけんどんな態度を取ってしまい、インタビュアーに失礼なことをしてしまったと軽い自己嫌悪を感じてしまった。

     ◇◆◇

     聖杯大会開始一週間前。
     場所は九終島にある神が眠るという沼があった。そこは彼の占星術で調べて自分と波長の合う霊地として選んだのだ。その土地で彼は英霊召喚の儀式を執り行うのだ。
     地面には魔力を込めた宝石を溶かした液体で魔法陣の紋様が描かれていた。歪みやむらもない。魔法陣の中心には即席で作った祭壇がある。その上には古い鎖が置かれていた。少し錆があり、何かで断ち切られたような鎖だ。
     これこそがゴルディアスの結び目。故事の由来になった器物であり偉大なる大王の覇業の始まりを象徴するものである。
     この聖遺物で召喚される可能性があるのは二人の英雄である。一人は古代マケドニアの覇者。世界の大半を征服し、ヘレニズム文化として知られる一時代を築き、神話となった征服王イスカンダル。
     もう一人は『結び目を解いたものがアジアの王者になる』と予言して柱に牛車を結び付けた神託王ゴルディアス。
     ゴルディアスは未知数であるものの、イスカンダルは人類史上屈指の大英雄である。強大極まる英霊であることは間違いないのだ。
     聖杯大会に参加することを決めたときに知己である古美術商を営む魔術師アーダルベルト・シザームンドに依頼して、この聖遺物を入手してもらったものである。

  • 256ディック2019/11/09(Sat) 23:05:14ID:Q4MDQ2MzI(4/6)NG報告

    >>255
     ニューヨークの古美術店『キャリバン』で、ケーフェンヒラーとアーダルベルトは取りき引きをした。
    「確かに料金は戴いた」
     アーダルベルトは秘書のディアナが見せたタブレット端末を見て頷き、そう言った。
    「これで取引は成立だな」
    ケーフェンヒラーはゴルディアスの結び目の入ったカバンを掴み、席を立つ。
    「それにしても意外だったよ。君が聖杯大会だなんて見世物に参加するだなんて」
    「……」
    「君はその大層な面構えだ。さぞやテレビ映りはいいだろう。だけど、見世物小屋の獅子になりたがる奇特な奴だったかな?」
     容赦なく言葉を投げつけるアーダルベルトにケーフェンヒラーの双眸は剣呑な光を帯びる。だがそれもすぐに霧散した。
    「俺もああいう目立つことは趣味ではないよ。それでも、聖杯を求める理由がある」
    「根源への到達?それとも混血の力の完全支配? いや、まあいいや。自在にやり賜え、負けてくれるなよ?」
    激励するアーダルベルトをじっと見るケーフェンヒラーは善処しよう、と頷く。
    「それで、お前は俺が勝つほうにいくらかけた?」
    「一〇万ドル。だから負けてくれるなよ」

     ◇◆◇

  • 257ディック2019/11/09(Sat) 23:07:00ID:Q4MDQ2MzI(5/6)NG報告

    >>256
    「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
     ケーフェンヒラーが呪文を注意深く唱える。
    「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
     全身を突き抜けるような痛みが稲妻のように奔る。全身の血液が沸騰するかのような熱を持った痛み。
    「―――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者―――」
     今のケーフェンヒラーは人ではなく神秘を成し得るためだけの装置。幽世と物質界を繋げるための道しるべと成る。
    「―――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
     そう呪文の結びをつけるとともに、ケーフェンヒラーは魔術回路を巡り加速する魔力の奔流を限界までさらに加速させる。
     逆巻く風、眩い雷光。召喚の紋様が燦然と輝きを放つ。
     魔法陣の中の経路はこの世ならざる場所へと繋がり、超新星爆発(スーパーノヴァ)の如き光の奥から、現れる姿。その威容を前にケーフェンヒラーはまるで蝋人形にでもなってしまったかのように、彼はその場で立ち尽くしている。
     赤胴色の肌で、ずば抜けた長身でそれを感じさせないほど横幅も広い偉丈夫。黒檀のような髪を短く刈っている。
     サーヴァントの花崗岩の風格は、ケーフェンヒラーを圧倒した。英霊の座に刻まれた偉大なる英霊であることを全身で証明している。頭がおかしくなる重圧に、眼が、腕が、身体が軋むような痛みを覚える。
    「俺はライダー、ゴルディアス! 召喚の求めに従い、勝利をもたらすためにやって来た!」

  • 258ディック2019/11/09(Sat) 23:07:13ID:Q4MDQ2MzI(6/6)NG報告

    >>257
    以上です。

  • 259リドリー陣営2019/11/10(Sun) 20:09:32ID:k2MDM4MzA(18/42)NG報告

    伏神投稿します

  • 260リドリー陣営2019/11/10(Sun) 20:10:14ID:k2MDM4MzA(19/42)NG報告

    >>259
    「完成したぜ!」
    リドリーは粘土の塊を掲げ、天を仰ぐ
    インカの数え方キープと数秘術を独自の割合で組み合わせた一種のゴーレムだ
    小さな山にしか見えない粘土の塊は唯一出ている突起が埋め込まれた髪の毛の持ち主の方向を指し続けるのだ。本来ならば距離まで測れるはずなのだがリドリーにそんな技量はないし、そもそもこの魔術の食い合わせはかなり悪い。リドリーの器量の限界である

    「こっちも水炊きできたぞ」
    エル・シッドは鍋つかみで鍋を運ぶ。漂う煙と匂いが腹の虫をならさせる
    土鍋の中でよく煮込まれた鶏肉と野菜がだしをたっぷりと出しており、白くにごり旨味が溶け出す

  • 261リドリー陣営2019/11/10(Sun) 20:10:53ID:k2MDM4MzA(20/42)NG報告

    >>260
    こたつの中に入る三人。お互いが疲れ箸で鍋をつつき始める
    肉、肉、肉、野菜、肉、野菜、肉、肉……………
    無心で食べ続ける三人。箸を口に運び、肉を舌で味わう。もはや三人の存在感は世界に溶け込み、確固たる存在は鍋しか残らない

    十分後、締めのラーメンを食べきり満足する三人。それぞれ思い思いに口を出す

    「寒い日に鍋って最高だね!」
    「全くその通り。それもディアス君が料理上手ってのがいいよね!ローマ広しと雖もうまい料理人は多くないし!」
    「全く身に余る光栄です」

    ……………

    「って君誰?!」
    リドリーは家に侵入していた不審者に対して今更ながら正体を問う
    あまりに溶け込んでいたのでリドリーは全く気づかなかったのだ!

  • 262リドリー陣営2019/11/10(Sun) 20:11:31ID:k2MDM4MzA(21/42)NG報告

    >>261
    リドリーは不審者の格好をよく見る
    長い金髪をポニーテールで束ね、月桂冠をかぶっている。白く滑らかなトーガを着ているがよく浮き出た凹凸、そして青々と光っているがグルグル焦点が全く定まっていない目
    正直美女だが、途轍もなく違和感がある存在だ
    「ク.ソマスター。時の皇帝にきく口調じゃねぇぜ。失礼だろ」
    「あーでもいいのよディアス君。そんな畏まらなくてさ。どーもワタシはクィンティッルス。元ローマ皇帝だよ!」

  • 263リドリー陣営2019/11/10(Sun) 20:12:04ID:k2MDM4MzA(22/42)NG報告

    >>262
    リドリーは目を見開く。クィンティッルスはローマ帝国の軍人皇帝時代の皇帝。そして記録が矛盾だらけであることが有名な皇帝だ
    大体いつ死んだのかは分かっているのだが、どれだけ在位に着いたのか?何をしたのか?そして死因は何なのか?その殆どが謎に包まれている皇帝なのだ
    考古学科としての血が騒ぐリドリー。だが色々聞きたいことを置いておいてまず質問する
    「そもそも貴女は何故ここに?」
    彼女はビール缶を口に含み答える
    「火を見てやってきた」
    「火ですか?」
    「うん。ワタシはずーっと彷徨う定めを持ってるからね。長く同じ場所にはいられないんだ。で世界を移動している時に火が見えたんだ。だからこっちへ来たってわけだよ」
    「火か……………俺が召喚される時も見えたぞ。ありゃあとんでもなく目立つ」
    「……………そうなのですか」
    【火】というと心当たりは一つ、智慧の炎だ。だが、英霊にまで見える?そんな効力聞いたことがない。智慧の炎はまだまだ謎の多い伝承保菌である。知らない効力があっても不思議ではないだろう

  • 264リドリー陣営2019/11/10(Sun) 20:12:44ID:k2MDM4MzA(23/42)NG報告

    >>263
    その後リドリーはクィンティッルスとエル・シッドと共に硫黄島を舞台にしたFPSやオールスター大乱戦をプレイしながらローマの実情などを聞きながら、翌朝クィンティッルスが唐突に消えるまで遊んでいたのだった……………

  • 265リドリー陣営2019/11/10(Sun) 20:12:58ID:k2MDM4MzA(24/42)NG報告

    >>264
    終わりです

  • 266メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:16:34ID:IwMjIxNDQ(1/9)NG報告

    九終島ランサー陣営 投下します。

  • 267メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:18:52ID:IwMjIxNDQ(2/9)NG報告

    リポーター「それでは閖上辣祢さんのインタビューを開始したいと思います」
    辣祢「おう」
    パシャパシャとシャッターが切られる先には一人のだらしない身なりの男がいた。彼は閖上辣祢。かつてこの島のガス会社の支店に努める支店長だった、無職独身37歳の男だ。
    島民は何故この男が、という気持ちで彼を見つめていた。
    リポーター「ではまず今回の大会に出場した動機を教えてください」
    「復讐だな。俺から何もかもを奪った理不尽に復讐するために来たんだからな」
    復讐、といえば聞こえはいいが彼が考えているのは憂さ晴らしでしかない。仮に成し遂げたとしても相手には蚊に刺されたかな程度だ。
    リポーター「なるほど。では聖杯はどうするおつもりですか?」
    「んなもん知るかよ!
    っあー、でも、もし叶えるとしたら金ですかね。金だな金」
    リポーター「何故、復讐を願わないのですか?」
    「復讐はもう参加するだけで半分ぐらいは叶ってんだ。それにその後があるなら酒を買う金くらいは欲しいもんだな」
    しかし、自他共に帰れるとは到底思えなかった。彼はただの人でしかなく、魔術の造詣は無きに等しいのだから。見物人の中には失笑する者もいた。
    リポーター「では最後にこの聖杯大会への意気込みを聞かせてください」
    意気込みについて聞かれると閖上の雰囲気が一変した。宙を見ているだけの瞳孔が目の前のカメラに向けられた。
    「……おいお前ら!画面の向こうのてめえらの事だよ!お前らのせいで俺は全部失った!てめえらがこんなくっだらねぇことをしたせいだ!俺は全部知ってっからな!!何があっても俺はてめえらを許さねえ!!」
    声がだんだん大きくなり目に暗い輝きが宿る。千鳥足になりながらも立ち上がるとリポーターの持つマイクに手をかけた。
    「早く取り押さえろ!!」
    キャスターの悲鳴が上がり慌ててカメラマンやADが引き剥がした。島民からざわめきが起こり場は一瞬にして気まずいものになった。
    予測できていたとはいえ起きてしまった放送事故に対し、テレビの画面は別の映像を映し出した。

  • 268メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:19:37ID:IwMjIxNDQ(3/9)NG報告

    >>267
    参戦者インタビューでひと騒動起きたが、運営は引き起こした当人に何も求めなかった。それでも周りの目はより剣呑さを孕み辣祢に突き刺さる。
    しかし彼は慣れているのか視線を気に留めることなく会場の外へ出て行く。そして、近くの自動販売機でワンカップを購入して再びアルコールへ逃げた。



    聖杯戦争にはサーヴァントの召喚が必要だ。しかしサーヴァントがどういったものなのか辣祢には分からない。召喚は如何にして行うものなのか、何を必要となすのか。
    一応最低限のルールや用語などは一通り向こうから教えて貰えたが、それ以上頼る気は無かった。
    そして今彼は召喚場所を探していた。なんかそんな感じの場所を探せばいいだろう。そうすれば大体なんとかなる。魔術とか聖杯とかと関係がありそうな場所をふらふらと探すと神社が視界に入った。
    改めて伝えるが、辣祢は普段から酔っ払っている。辣祢はここならいいかもしれないと思ってしまった。
    「神社といえばパワースポットだろ。だったらここでお祈りするとかしときゃ召喚できんじゃねえのか」
    五円玉を賽銭箱に投げ入れガラガラと鈴を鳴らす。柏手を打つと願い事を心の中で呟いた。

  • 269メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:20:20ID:IwMjIxNDQ(4/9)NG報告

    >>268
    うし、それじゃ帰って寝るかと踵を返そうとしたその時、一陣の風が強く吹き上げた。絵馬が一斉に揺れ木の葉が舞う。慌てて目を瞑り風が去るのを待ち目を開けると、一瞬大量の紙が神社の裏手へ飛んでいく幻影が見えた。
    「なんだってんだ!?っつーかなんだ今のは!!」
    文句を言っていると後ろから誰かが駆け寄ってきた。それはこの神社で働く老女であった。
    「こらっ、アンタ騒いでどうしたんだい」
    「なんか知らねえけどよ、いま風が吹いただろ、いま。それがムカつくんだよ」
    「風ね……風なんて吹いとらんかったよ」
    「嘘つけ!さっき絵馬だってうるさかったろ!」
    「そうかね。わしには聞こえんかったけんどなぁ」
    「ババアーー!!」
    老女に掴みかかろうとしたが、後ろでまたバサバサと音がして動きを止めた。後ろには大量のおみくじ。なんとも気味が悪い。
    「聞こえたか、今の」
    「そうやね……おかしいわねぇ、アンタ神様になんかしたん?」
    「するか!!俺はただあそこで貴重な銭使って願い事頼んだだけだ」
    「あるやないか。神様に何願ったの」
    辣祢にはこんな目にあう心当たりはない。しかしそれを聞いた老女はすぐに突っ込んだ。突っ込まれた辣袮はしぶしぶ話すと老女は少し考えた後、神社の奥に進むことを進めた。

  • 270メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:21:50ID:IwMjIxNDQ(5/9)NG報告

    >>269
    神社には本宮だけでなく祠が存在していた。本社と比べると小さいらしい上道が所々獣道のようになっているとの話だった。
    辣袮はめんどくささに最初逃げようとしたが、願い事を思い出し騙されたと思ってその祠へ向かう事にした。
    祠への道は遠く細い。石のタイルが敷かれているものの、木の根でひび割れ土が露出している場所は少なからず多い。整備が必要だと感じるが神社には金が無いのだろう。なんと世知辛い。
    「けっ、神様も人間も案外変わらねえもんだな」
    そうこうしているうちに視界の先に小さな木の鳥居が見えてきた。なんとかたどり着くと足を止めて息をついた。こんな場所では人は寄り付かないだろう。近づくと鳥居は少し腐敗しているのが分かる。
    そこから先に進むには川、正確には滝のすぐ横の岩へ渡らなければならなかった。五つの飛び石から足を踏み外さないように慎重に進むと古い岩場に着地した。右側から水飛沫が舞ってくるのに顔をしかめながら岩場の上にある祠の前に立った。
    祠は小さくて屋根に苔が蒸している。格子の奥にこれまで見たこともないような青く丸い石が鎮座していた。

    辣袮は石を綺麗だ、と思った。

    自然と手は格子の中へ差し込まれ、指先が触れた。石はつやつやと鏡のように世界を映す。



    『ほう、まさか触れるとはな』

  • 271メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:22:29ID:IwMjIxNDQ(6/9)NG報告

    >>270
    「だっ、誰だ!!」
    辣袮は後ろから突如響いた声に驚き手を引っ込めて振り返った。振り返った視線の先には、鳥居の上に座る人の姿をした何かがいた。
    『気になって呼んでみたがなるほど、面白い』
    それは口を動かすことなく声を直接脳に伝えてきた。声もなく見つめ合っていると鳥居から飛び降りこちらに歩いてくる。
    それは一人の青年の姿をしていた。男にしてはやや少し線が細く、癖の強い髪は腰につくほど長い。大胆に露出した胸元には、先ほど手を伸ばした球と同じ色をした球がいくつも連なっている。
    そして、衣服の裾から覗く生足をよく見ると幽霊のように少し透けていた。
    これは幽霊なのか。神域に現れた謎の異形に警戒心を強めると、異形はころころと笑った。
    『警戒しなくともいい。私はお前に呼ばれてきたのだからな』
    「呼ばれて……ということはお前、サーヴァントか!?」
    『今は違う。ただ気になったのでね、姿を見せられる所まで来てくれるようであれば契約を結ぼうと思ったのさ』
    目の前に立った異形は近くで見れば見るほど麗しい、という言葉が似合う顔をしていた。
    長い前髪から覗く紅をさした目は空のように青く、耳たぶにぶら下がる金のピアスはシンプルながらも映えている。きめ細やかな肌はとても白いのに対し、首元には龍のような黒い痣はアクセントになっていて。
    遠くで見たときは男かと思ったが、閖上と比べるとやや華奢な肢体は女のものに近い。背丈はおおよそ10cm差だろうか。
    「待て、それじゃあさっきの風は」
    『私が呼んだ。サーヴァントになれば流石に制限がかかるからできなくなるがね』
    「ということはお前は神、だよな」
    『そうなるな。とはいえこの祠を知る酔狂な奴は早々はいないさ。仮に真名がバレたところで大したことではない』
    サーヴァントを召喚、できれば強くて暴れやすい奴をと辣袮は願った。まさか、神が直接サーヴァントになるとは考えていなかった。

  • 272メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:23:31ID:IwMjIxNDQ(7/9)NG報告

    >>271
    「い、いや待て待て待て待て!!神さまだってんなら証拠を見せろよ証拠をよ!!」
    『証拠も何もさっき見せただろう』
    「そうじゃなくてだな!あー、くそっ、こんななるとか考えてねーよ!?」
    『それなら契約はやめるか、閖上辣袮』
    「やめねーよ!というかなんで名前バレてんだよ!!」
    『さっき調べたからな。少しの事なら分かるのさ』
    その後も漫才のようなやり取りを繰り返し、辣袮は息を荒くしながら契約を了承した。契約を結ぶ方法を知っていなかったので神さまに聞くと知っていたので教えてもらいながら契約することにした。

    『告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に』
     「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。」
    『聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うなら我に従え』
    「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば我に従え。」
    『ランサーの名にかけ誓いを受ける。我は天より降りしもの。淵を穿つもの。主の願いをを聞き届けるもの。お前の縁に従い、お前を主と認めよう』

    ガラスが割れるような音と共に体から何かがごっそり抜け落ちる感覚があった。思わず膝をついた男の顔は青ざめていく。ランサーが川辺へ運んでやると予想通り、大量の吐瀉物を吐き出した。
    「契約完了だが……大丈夫か、マスター」
    「だい、じょ、ば、ない……」
    こんなリスクがあるとは聞いてなかった。ランサーは吐いて勢いをなくしたマスターをよしよしとあやしてやりながら思考した。
    どうやらこのマスターは魔力回路のまの字もないどころか、体調も最悪のようだ。今はまだこの場所に彼女自身の魔力の残滓が残っているので顕現できている。しかしそれも長くは持たない。

  • 273メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:24:20ID:IwMjIxNDQ(8/9)NG報告

    >>272
    安定した魔力を得るためにどうするか。通常であれば魂食いがあるが、ランサーにはそれ以外にも方法がある。しかし了承してくれるかどうか。
    「……マスターに悲報と朗報がある。この様子だと後数分で限界できなくなって終わる」
    「えっ、う、嘘だろっ!?」
    「残念だが本当だ。そして朗報はこれを切り抜ける方法が2つあることだ。……どうする」
    「あ、あるならやるに決まってるだろ……ああ、でも何をすればいいんだよ……」
    「落ち着け。まず方法は二つだ。一つは人を殺.すこと。もう一つは自害させることだ」
    「待て、人を殺、すって……自害って、おい…」
    「だから安心しろ。自害と言えば聞こえは悪いが宝具ですぐに復活する」
    前者は定期的に何度でもしなければならず、運営からも目をつけられやすい。その代わり聖杯に願う機会を作れる。
    後者はランサーは一度消滅して敗北となる。正しい勝者ではないため聖杯に願うことはできない。しかしサーヴァントのふりをして召喚されたまま行動でき、魔力不足に困ることはない。

    辣袮は悩みの末に、後者を選んだ。令呪を使おうとしたがそれは止められた。それはまだ取っておきなさい、と。
    「すまない……こんな、おれのために……せっかくこたえてくれたのに……」
    「気にするな、マスター。最初から自害することになるとは思わなかったが、それで全て終わるわけではないのだろう」
    意気消沈した辣袮を宥めるとランサーは手のひらに火槍を作り、自らの胸に突き刺した。

  • 274メ◯ニウム◆WQFdlmOX7o2019/11/12(Tue) 21:24:41ID:IwMjIxNDQ(9/9)NG報告

    以上です。長文になりすみませんでした

  • 275愉悦部inクローディアァ!2019/11/15(Fri) 02:11:30ID:M4NTY0ODU(10/24)NG報告

    その変化は唐突であり、激変であった。
    霧が立ち込めると共に、崩れ落ち、痙攣しながら目や口から液体を流すゲルトラウデ。
    「マス────!くッ!?」(魔力──、敵サーヴァントの襲撃か!)
    ゲルトラウデの急変に驚きその安否を看ようとしたライダーもまた、煙の作用を受け、片膝をついてしまう。

    アサシンの宝具。『甘き香りは死の入り口(テトラクロロエタン)』。
    化学物質が大量に含まれるガスを拡散するというモノであるが、現代の神秘を駆逐する類が点滴であるゲルトラウデには効果覿面であった。

    もしも。もしもライダーがマスターの安否よりも願いの優先、即座にマスターを広い離脱あるいは状況の把握と立て直しを図る性格であれば。
    もしも鎧が健在であれば。
    この後の結末は違ったのかもしれないが。

    「グッ……!」
    ライダーが己のマスターに思考を取られた瞬間、背後から突き出された腕に霊核を貫かれた。

  • 276メ◯ニウム2019/11/21(Thu) 15:32:40ID:c5NzA0OTM(1/5)NG報告

    九終島槍陣営です
    報酬と魔眼関係で反応がなく判断がつかないので、報酬の電話までの下りを2パターン書きました
    どっちかにする予定で、マスター的にはAはグッドBがバッド風味

  • 277九終槍陣営Aルート2019/11/21(Thu) 15:33:56ID:c5NzA0OTM(2/5)NG報告

    >>276
    辣袮は咄嗟に手を掴んでしまった。
    ランサーの顔は少し驚いていたのだが、当の本人である辣袮も戸惑っていた。
    「なぜ、手を伸ばす」
    「えっ、あ、その……少し恐かったんだ」
    「恐い?」
    何を恐れる必要があるのか。神であり、嫌悪そのものであるランサーには彼の人としての機微は分からない。
    「このまま消えてしまいそうで、つい……すまない」
    「……まあいいさ。とりあえず宝具は起動した。全く、人騒がせなマスターだな」
    「……ごめん」
    ランサーは気にしてない、と片手を振って答えた。
    辣袮が英霊を見ると体が心音に合わせ明滅しているように見えた。呆れた風情でこちらを見る視線で少し居たたまれない。
    ちなみに手はそのままにしている。一度手を離そうと考えたが、どうしてか少し心配で手が離せない。頼りないとは思わないけど、目の前で自ら死なれるのは予想以上に毒だったらしい。
    覚悟が決まってない、のかもしれない。戦争と言うからには誰かが死ぬのは当然だ。巻き込まれれば地獄を見るのは必定だ。
    だから魔術という理不尽に憤り魔術世界を憎悪し魔術師の破綻を乞うたのに。まして目の前にいる神なんて誰よりも理不尽で非常識的な存在なのに。
    嫌いだ。不甲斐ない自分が、臆病な自分が嫌いだ。
    それでも、この手を離すのは恐い。

  • 278九終槍陣営Aルート2019/11/21(Thu) 15:34:26ID:c5NzA0OTM(3/5)NG報告

    >>277
    ランサーはじっと何かを小さく呟いていた。それから数分して口を開いた時、蛍火のような光は失せていた。
    「……もう終わったぞ。これで活動に問題はない。だからいい加減手を離せ」
    消えなかっただろう、と続けて言う声に安堵の息が重なった。
    ランサーから力を失った手を離し確認すると衣服が変わっていた。
    「あれ、さっきと服が変わってないか」
    「ん……ああ、これか。時代とお前に合わせて多少姿を変えたからな。私にとってはあまり興味はないものではあるが」
    そうなのかと納得しかけたが、一瞬の違和感を聞き逃さなかった。
    「……え、お前女なの、か」
    「……これでも娘がいる女神だぞ」
    女だったのか。そして子持ちかよ。
    流石に額に手を当てるランサーと少しいざこざがあった後、祠のある場所から移動する事にした。すると突然、所有している携帯電話に着信が届いた。

  • 279九終槍陣営Bルート2019/11/21(Thu) 15:36:15ID:c5NzA0OTM(4/5)NG報告

    >>276
    胸が貫かれた、と思った瞬間辣袮の意識は急速に失せた。
    何が起きたのかと驚く暇もなく。彼が最後に見たのは、胸を押さえたランサーの歪んだ眼。
    ランサーはその場で消滅し、残されたのは意識を失った閖上辣袮の体だけ。




    数時間後、辣袮の指先が僅かに動いた。
    体がゆっくり起き上がるとその瞳は祠の宝玉のように青く染まっていた。
    「全く、最初はどうなることかと思ったが、こんなにもたやすく乗っ取れるとはな。お陰で身体が動きやすい。封印が効かなくなった、ということか」
    立ち上がって伸びをすると身体がどれほど動くかを試す。封印があると気怠く動く気も失せるが、人の筋力そのままだと動き辛い。まだ乗っ取ったばかりなので感覚はまだ慣れないが程よく使えそうな身体だ。不健康な点は問題ではあるものの、自身の魔力と呪術で多少は補える。
    何よりも強い嫌悪を抱き、周りから嫌悪されていたのは有難い。ランサー、いや今はランサーではないこの神は心を文字通り食い物にする存在だった。
    「さて、一旦此処を出てこいつの家に行くか。めぼしいものはないようだがここに居続けるのも変に思われるだろうからな」
    元ランサー、高龗だったものが祠のある場所から離れると尻ポケットにある機械がけたたましく鳴った。

  • 280メ◯ニウム2019/11/21(Thu) 15:37:22ID:c5NzA0OTM(5/5)NG報告

    以上です
    お目汚し失礼しました

  • 281◆B8D4AQBhU22019/11/25(Mon) 13:49:36ID:kyMjYxMjU(1/1)NG報告

    戦争開始4日目、朽崎家の一室

    「だぁーーっ!つっかれた!甘く見てたよ、聖杯戦争。いやマジで」
    青年━朽崎遥━がとっ散らかった自室で息を吐く。
    「教授が食い散らかした人間動物etc.の後始末でしょー?」
    ブツブツと、確認するような愚痴を言う。
    「昨日は飛行機墜落の隠蔽に英霊共のカーチェイスによる道路損壊への舗装工事の申請。ああ、暮吊坂あたりの集団昏倒の隠蔽が範囲デカかったな…。まぁコレはガス会社のパイプライン破損とかリアルな変換しやすい案件だったからそこまで問題じゃかったけど」
    誰に話しているのだろうか。独り言?携帯電話を持っているが、同時にひどく自己完結した物言いである。
    「ねぇ、聞いてる~?キョージュ?……って言おうにもいないんだよなぁ、教授。もっかい無理やり持たせた携帯にも出ないし。使い魔とかでの連絡もナシ。なんやかんや几帳面なタイプだから、一日期間が空くのはおかしい。死んだか?でもまだアーチャー脱落したって連絡は無いし。…………使い魔で捜索だけしとくか。会えるか会えぬか半々だけども。さ、皆よろしく~」
    そして遥の足元や背後から、生気を感じない瞳をした鴉やネズミなどの小動物がゾロゾロと這い出て来て、洋館の外に出て行った。
    「終わり。教授の事は置くにしても、戦争自体は割と順調、かな?サーヴァント同士の激突が勃発し、マスター達もまぁまぁ動いてる。うん、よしよし。現時点で脱落情報は無いし、まだ腹の探り合いって感じだろうけど、そろそろ加速するだろう、うん。なんなら多少の情報を流してもいい」
    そんな青年の呟きが終わるや否や、屋敷に電話の着信音が響く。
    「おっ、教授かな?でも教授ってウチの据え置き電話番号知ってたっけなぁ~?ハイもしもし?どちら様?」
    返事が届く。青年は沈黙し、そして。
    「あっ、どーもどーも。コレはコレは。元御三家のシスカさんですか。いやぁ、こうやって直に口頭で会う?のは初めてですねぇ。何の御用です?…………ああ、了解しました。では明日の午前中でどうです?聖杯戦争は夜にやるもの。昼は盲点かなぁ、とか思うのですが。ええ、では」
    どうやら、多少の知り合いからの電話だったらしい。だが電話を切った青年の顔には焦りが浮かんでいた。
    「やっべぇ……」

  • 282山星2019/11/30(Sat) 20:52:01ID:Q2MjkxNzA(1/34)NG報告

    「………すっごい。これ全部、糸で作ったものなんて信じられないぐらい……」
    「あの、その、そんな大したことじゃないんです………私の糸は『特別製』だから……領地も、まだ広げていくつもりですし………
    ─────でも、その前に、誰か来てます。蜘蛛に観察させて見えた魔力は、多分………」

    色とりどりの糸。その全てを使ってアラクネが作り上げたのは彩色豊かな宮殿そのものだ。それこそ、糸を使っているのに編み込みが複雑で堅いぐらい。彼女曰く『まだ足りない』『大したことはない』というが、その絶技は素晴らしいことこの上ない。

    「……そう、か。迎撃できるかい、アラクネ」
    「────何を言っているの?私ともあろう者が迎撃ですって?
    くだらない、くだらないわ。迎撃じゃない、殲滅よ。全て踏み潰してあげる。だって私は最高なんですもの!そんな当たり前なこと聞かないで。縊り殺されたいの?」
    「うん、ごめん!君みたいな素晴らしい女性を疑う俺が悪かった。………じゃ、初戦闘頑張ろう!あ、気配遮断は忘れないでね!」

  • 283アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2019/11/30(Sat) 20:56:57ID:AwNzg1NzA(1/9)NG報告

    >>282
    「あらあら、蜘蛛の使い魔とか気が利いてるね!やっぱりライダーの最初の敵といえば蜘蛛だよね!」
    「その価値観はよく分からないのだけれど……」
    「ん?もしかして『特撮ヒーロー物』とか見たことない?今度見せてあげようか?」
    要領の得ない発言を繰り返しながらバイクを運転する少女と相乗りした黒髪制服姿の少女は自分達を眺めていた蜘蛛を見て呟く。
    前方でバイクを運転する乙女は騎兵(ライダー)の英霊(サーヴァント)。後方に座る少女はそのマスター古鐘翠雀。
    彼等は聖杯戦争に参加しており、現在は敵対陣営に攻め込んでいる真っ最中である。
    「機会があればいずれ確認し、学習しておきましょう。それはそれとしてライダー……行けるかしら?」ライダーがバイクを急停止させ、翠雀がそこから降りるとバイクは馬へと変化──否、『バイクのカタチを解き、馬の姿に戻る』。

    「うん!負ける気がしないぜ!変身!!」
    ライダーの掛け声と共に今度は馬の皮がベリベリッと剥がされ、ライダー自身の身体に覆いかぶさっていく。
    余りにグロテスクな風景をヒロイックでサイバネティクスな演出で何とか児童が見ても大丈夫な雰囲気に整え、ライダーは宣言通り『変身』を果たした
    「『変身・馬頭蚕娘(わたし、さんじょう!)』!!」
    馬の皮を被り蚕の要素をあしらった風貌(コスチューム)。怪人ならぬ皮面ライダー。
    ライダーの真名は蚕馬──中国の伝説の1つで、馬の皮と融合し蚕に変身したとされる少女。

  • 284山星2019/11/30(Sat) 21:12:59ID:Q2MjkxNzA(2/34)NG報告

    「─────ありゃ、駄目だこれ」

    馬の面を被った少女の進撃は止まらない。面白いようにこちらの糸の柱をなぎ倒しながら進んでいく。びゅんびゅん音をたてながら使い魔の蜘蛛や宮殿をなぎ倒していく少女の光景は壮観だ。

    「ちっ、これじゃ私の気配遮断じゃ心許ないわね………いいわ、殴りに行く。途中で気配遮断バレても、先手は取れるでしょ。………援護しなさいよ、マスター」
    「わかってるよ、俺に任せて。君の傷はなんでも治してあげるから。……ごめんね、綺麗な体なのに」
    「……そう思うなら、私の身体を治すことを怠らないことよ。……勝つわ。問題ない。だからちゃんと私に奉仕しなさい!」

    ────蚕馬の背後から糸を伸ばし、接着し、縮めてとてつもない速さで近づき、毒を浸した指の牙で一裂き。……が、薄い気配遮断を簡単に防がれてしまう。

    「………あ、あの。その、ごめんなさいごめんなさいー!許して、許してくださーい!!私が悪いんです!だから、大人しく殺されてくださーーい!!」

    ────この女、霊基不安定につき。

  • 285アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2019/11/30(Sat) 21:25:23ID:AwNzg1NzA(2/9)NG報告

    糸が飛んできた。それに何かしらの刺突
    即座に防げたとはいえ変身状態の私への迅速な攻撃……態度こそ卑屈だが間違いなくこの陣地の主はこの女だろう。
    「へぇ!アナタが蜘蛛達の主……つまるところボス級怪人(サーヴァント)ってわけだね!」
    「それにしても凄い舞台(セット)だねー!私も絹織物の神様とかなんとか言われてるから衣装(コスチューム)は自作したりするけどさ、これ程じゃないよ!」
    蚕の神に祭り上げられた少女は相手の陣地で無邪気にはしゃいだ。

  • 286山星2019/11/30(Sat) 21:32:38ID:Q2MjkxNzA(3/34)NG報告

    「────そ、そんなぁ!いや、確かに私はどうしようもなく卑屈で惨めなキャラですけど、確かに愚かですけどぉ……と、というか織物の神様なんて、アテナ様ですか!?む、無理無理────」
    『大丈夫だよ、アラクネ。俺は君の凄さを知ってるから!』

    「──────いや、うん。違います、よね。取り敢えずはマスターのために頑張らなきゃ。
    ………ってな訳で潰すわ。というか何よ、織物の神?私に喧嘩売ってるわね。死になさい。特に不快よ。五回ぐらい死になさいよ、気持ち悪い」

    アサシン が糸を射出する。その糸の一つ一つが簡単に常人の身体を裂いてしまう、締め潰してしまうほどの凶器であり、毒を浸したもの。それを自らの指のように扱い、ライダーに襲いかかる────!

    『』内は念話です

  • 287アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2019/11/30(Sat) 21:54:50ID:AwNzg1NzA(3/9)NG報告

    「なになに!?急にキャラ変わってない!?路線変更前と後でブレブレのキャラみたいな感じ!?」
    冗談好きで俗世にどっぷり浸っているライダーは軽口を叩きながら対応する、がしかしアサシンの攻撃が驚異ではない……というわけではない。
    むしろ、その相手を潰さんとする猛攻はただの少女であったライダーに取っては恐怖ですらあり、それを誤魔化しているにすぎない。
    しかし、勇猛果敢な自身の半身──ライダーの纏った『雄馬』の精神がライダーを殺さまいと必死に動く
    前脚の蹄に相当する篭手で糸を弾き、後脚であった脚部装甲を全力で動かして後退する。
    もとより雄馬は荒れ狂う戦場よりライダーの父を連れ帰った者──窮地からの脱却は得意中の得意だ。
    ある程度の余裕が出たところでライダーはマスターである翠雀に念話を送る。
    『アテナ……って確かギリシャの方の軍神だったけ、マスター?』
    『えぇ、ギリシャ神話の最高神 ゼウスの娘……、戦略や工芸の神とされるけれど……アテナを知り、蜘蛛に縁のある織物の英霊と言うことは……』
    翠雀が『学習』した記憶から情報を取り出し、アサシンの真名を推測する。
    『オッケ、黄帝とか蚩尤みたいな感じね、了解!』
    しかし、ライダーはそれを聞くことなく走り出してしまった。
    「おうおう、我こそは太上老……じゃなかったゼウスの娘、戦神アテナの加護を受ける者よ!汝が何者かは知らぬが、小娘程度に止められるわけもなし!」
    『どうして自分から煽りに行き出すのかしら……』
    サーヴァントは生前に縛られる者。であるならばライダーもまた『取り返しのつかない嘘で身を滅ぼす』ことが宿命づけられているのだろう

  • 288山星2019/11/30(Sat) 22:10:27ID:Q2MjkxNzA(4/34)NG報告

    「─────ふぅん。ねぇ、小娘。あの女はね、自分にも他人にも厳しいの。貴女のような方が、アテナ様の寵愛を受けられるとは到底思えません……あと、それってアテナ様を騙ったってことですよね……
    ──────よく言ったわ。お前は絶対に這いつくばらせる。あの女との格の違いを知るのね、下郎」

    引き裂こうとする糸の量が更に増える。それだけでは飽き足らず、糸を使った立体的な軌道を描きアサシンの爪は、確実にライダーの身体を狙い続ける。

    『………太上老君?それと、織物。あと、馬……?』
    『偵察をしていた時から変な宝具(なまえ)だと思っていたけれど。……そういえば、中国にそんな奴いたわね。ムカついてあまり知らないけど。お前はそれを調べなさい。………わ、私は、精一杯頑張るので……!』

    糸の猛攻を凌いでいた最中のライダー。その隙を見つけ、糸を利用して遙か高くに飛び上がったアサシンは蜘蛛の脚が抜け落ち、豊満な乙女の如き姿へと転じ────

    「………勝機っ!動きも遅くなってる辺り焦りましたね、セイヤー!!」

    ライダーの糸を使ったパンチがアサシンを狙う。来ることがわかっていたので、左脚の骨を犠牲にして受けたアサシンは、そのまま地面に華麗に着地したライダーに向かい────

    「……ま、避けてみれば?あの女の眷族なら出来るわよ。『幻想織機・傲慢乙女』………あの女を騙ったことはつまり、私を騙ったことと同義。疾く砕かれよ、愚か者。………その前に、縛って私が踏みしだくけど」

    ────空想具現化。人の域でありながらそこまで手を伸ばした者の絶技により、多数の矢と刃の雨、……そして、それで体力を低下させ拘束するための鎖の雨が降り注ぐ──!

  • 289アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2019/11/30(Sat) 22:27:59ID:AwNzg1NzA(4/9)NG報告

    降り注ぐ刃と矢の雨、それこそアサシンは一人にして雄馬の潜り抜けた戦場を再現したと言えよう。これは流石に、不味い……
    「ちょっ、怒りすぎじゃない!?ちょっとした冗談よ、ジョーダン!」(いや、お前そういうとこだぞ)
    『流石の地雷踏み抜き、墓穴掘りスキルだわ。私という個体の脳髄にしっかりと記憶しておきましょう』
    『マスターも雄馬も酷くない!?ふんだ、いいもん!私、太上様に愛されてるからっ!!』
    言い争ったところで自体は好転しない。
    なによりも──矢だ。生前における死因。こればかりは雄馬にも防ぎ得ない。
    ならばこの場はライダー自身で切り抜けるしかない。身から出た錆なのだが
    「見せてあげるよ!アテナの眷属に相応しい戦いぶりってものを!」
    ライダーが絹糸を紡ぐ。アサシンのような空想具現化が使えずとも、ライダーもまた絹糸の神と信仰された存在だ。
    作り上げた武器は剣──ならぬ斧であった
    「コレコレ!ライダーの武器といったらこれでしょ!」
    ライダーが斧を地面に叩きつけると絹糸が弾けて伸びだし、刃と矢を1本1本の糸が絡めとっていく

  • 290山星2019/11/30(Sat) 22:31:01ID:Q2MjkxNzA(5/34)NG報告

    >>289
    時間的に大丈夫ですか?明日に回す、それともここで終わらせる(手札がないので必然的にこちらが負ける)、もしくは互いに退いて終わりにするとかどれでもいいのですが……

    互いに退くなら状況的に私の方が撤退した方がいいので、こっちが逃げる形になります。逃げれるなら

  • 291アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2019/11/30(Sat) 22:36:34ID:AwNzg1NzA(5/9)NG報告

    >>290
    まだ行けますよー

  • 292山星2019/11/30(Sat) 22:44:32ID:Q2MjkxNzA(6/34)NG報告

    「────ちっ、焦ったわ。鬱陶しいのよその糸!」

    紡がれる糸が世界に『炎』を織りなす。この炎は現実であり、異郷の蚕糸を焼き千切る。完全に油断したいたがためか、ライダーの飛ばした糸で作られた小刀がアサシンの体を切り裂き、そのまま糸となり拘束しようとする。

    「こ、こないでくださいよぉ……。私ばっかり、虐めないでぇ!」

    織り成す糸が風刃を作り出し、糸を裂く。その隙を見て攻撃に転じたのはライダーだ。この数瞬で、攻勢が転じてしまった。

    『大丈夫か?今治すから!………【白き門、柑橘の華、春の草木。楚は全てを癒すもの】……あ、あと多分そのサーヴァントの真名がわかった!そいつは───』

    砕かれていた骨が癒えていく。アラクネの目は一層険しくなる。

    「痛い、なんで私ばっかりぃ………!何も悪いことしてません………!でも、私のせいですよね……
    ムカつくわ。腹立つわ。……でも、そうね。褒めてあげる。アンタは絶対許さないけど。どうせ私の真名わかってんでしょ?アンタは馬鹿っぽいけど、アンタのマスターはわかってんじゃない?今ので掴めたから言うけどアンタの真名にも当たりがついた。
    ………中国の娘。馬と婚姻することを約束し、その約束によって蚕へと転じた娘。アンタ、蚕馬でしょ」

  • 293アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2019/11/30(Sat) 22:58:41ID:AwNzg1NzA(6/9)NG報告

    「げっ、真名バレてる!?そんでもって私って意外と有名人!?」(言ってる場合か!こいつ何でもありだぞ!)
    刃や炎を出し、受けた傷を癒す……キャスターとさえ見まごう万能だが……
    「いいえ、恐らく回復は魔術師(マスター)によるものでしょう」
    それを否定する声が糸の宮殿に響き渡る。
    先程、ライダーに置いていかれたマスター 古鐘翠雀が糸の宮殿に姿を現したのだ。
    よく見れば使い魔の蜘蛛や彼女の踏みしめる床には彼女お手製の魔術礼装『フルフルパウダー 』がふりかけられていた。
    「そして、直にその姿を見れば貴方の真名にも確信が言ったわ。記憶の出典はギリシャ神話。女神を超えたと傲り、その女神の怒りによって打ち据えられた乙女──神域の織り手アラクネ、そうでしょう」

  • 294山星2019/11/30(Sat) 23:07:44ID:Q2MjkxNzA(7/34)NG報告

    >>293
    時間が来たら言ってくださいね。無理してやることでもないのです

    「あら、正解よ。でも花丸じゃないわ。──────私があの女を超えたのは事実だわ。それに納得しなかったあの女が反則をしただけのこと。残念ね、ペナルティで貴女の命がなくなるのは確定したわ。さて、どうやって……
    ────あ、あれ?待ってください、ねぇ、マスター!?」

    対して、こちらも姿を現したのは金髪碧眼の、とてつもない程の美青年。彼は、アサシンを一瞥し………

    「もう、心配させすぎだっての!無理すんなって俺言ったよね!?」
    「し、仕方ないじゃないですかぁ……!てか何よ、アンタがいても邪魔なのよ!」
    「俺がいた方が回復の効率が上がるだろ!?バフだってかけられるんだし!………それに、多分あの女の人(マスター)はヤバイ。魔術系統は違うんだろうけど、俺でもわかる。だから」
    「………わかったわ。さて、第二ラウンドと行きましょうか。それとも、逃げる?いいわよ、それでも」

  • 295名無し2019/11/30(Sat) 23:21:39ID:AwNzg1NzA(7/9)NG報告

    「なるほど、神話に違わない傲慢な口振り……かと思いきや、卑屈な一面を見せる……奇妙なサーヴァントね、貴女」
    さてと、と一旦区切りを入れながら翠雀は視線をアサシンからライダーへと移す。
    「撤退よ、ライダー。」
    「はぇ!?」
    翠雀の突然の撤退宣言にライダーから気の抜けた声が上がる。
    「真名が割れた──貴女なら兎も角、雄馬の方には致命的な弱点がある……。このまま戦ってもこちらにいい事はひとつもないわ。幸い、こちらも相手方の真名が知れたからそれで痛み分けとしましょう」
    「ちょっと待って!私まだあの蜘蛛怪人倒してない!これじゃ最初からクライマックスどころか始まってすら……」
    相変わらず軽い調子よライダーは反抗するが……
    「よく回る舌だこと……今回はその舌のせいで真名が破れちゃったわけだけれど……それに関して弁明はあるのかしら?」
    「うっ、それは……」
    「ペナルティについては帰ってから言い渡しましょう。さ、馬(バイク)を出しなさい」
    翠雀の鋭い指摘によって萎縮した蚕馬は渋々変身を解き、馬をバイクに変形させた。
    「それじゃあ、アラクネ……それに歳若き魔術師さん。今回はこれで痛み分け……ってことにしたいところだけど……提案があるの」
    「今回判明した互いのサーヴァントの真名を他の魔術師に語らないという協定を結ばない?流石にセルフギアススクロールは用意出来ていない口約束なのだけれど……」

  • 296名無し2019/11/30(Sat) 23:22:27ID:AwNzg1NzA(8/9)NG報告

    >>294
    ひとまず、こちらの手番は此処で終わらせて貰いたいと思います。ありがとうございました

  • 297山星2019/11/30(Sat) 23:31:00ID:Q2MjkxNzA(8/34)NG報告

    「……私に得がないわ。私の死因は『女神の呪い』だけど、そんなのをかませる英雄なんて極少数じゃない」
    「まあまあ。……こっちも痛手を負った。取り敢えずは、あっちへの思いも汲んで飲んでおこうよ。
    ……俺たちと貴女達が次敵対した時、もしくは仮に俺たちが同盟を組んだ陣営がいたとして、その陣営と貴女達が敵対していた時は、その約定は破ります。それまでは、絶対に喋りません。それでもいいのなら」

    私もここまで。お疲れ様でした

  • 298アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2019/12/01(Sun) 02:17:21ID:c4NDA0ODk(9/9)NG報告

    >>297
    こちらこそありがとうございました!

    「契約成立ね、それではまた。聖杯戦争が続けばまた相見えることもあるでしょう……。その時はまた、貴方のこともいろいろ『学ばせて』頂戴ね」
    「言っとくけど、私もまだ負けたわけじゃないからね!!」
    翠雀とライダーは雄馬に乗って、宮殿を後にしたのだった……

  • 299理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/01(Sun) 18:32:46ID:A0NDQ5OTQ(1/27)NG報告

    「……ふむ。よくぞ、これだけ集まったものよ」
    カルデアの一室に集った3人の英雄を眺め、この部屋で1番幼い風貌をした少年は満足そうに頷いた。
    漆黒の髪に褐色の肌、エキゾチックな顔立ちをした豪奢な装束を纏う少年。
    彼の名はトゥト・アンク・アメン。
    少年王ツタンカーメンの幼少期の姿である。
    『はーい♪全員集まってるかしら? それじゃあ簡単にルールを説明するわね。
     1.ここでの戦闘は禁止。戦う場合はトレーニングルームに行くこと。
     2.お互いの王道について話し合うこと。
     3.王道に対して優劣は決めないこと。貴方達は全員優れた王よ。その王が敷いた王道に優劣なんてないわ。
     4.ただし、話が盛り上がる程度に比較するのはオーケーよ。後々遺恨を残さないなら好きにやってちょうだい。
     ……以上。この4つのことをちゃんと守ってね?
     そ♪れ♪と♪これは私からの差し入れよ♪
     『喝采せよ、美は全ての民に開かれり(ミュゼ・ド・ルーヴル)』!』

  • 300理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/01(Sun) 18:33:00ID:A0NDQ5OTQ(2/27)NG報告

    >>299
    アンクと王達のいる室内に華やかなアナウンスが流れる。
    それと同時、花弁と硝子の結晶が舞い、次いで無数の瓶があらわれた。
    初代のボジョレーワインがあった。ナポレオンの愛したブランデーがあった。フランスで製造された貴重な美酒が、今この空間に存在していた。
    アナウンスの主の名はドミニク・ヴィヴィアン。
    開帳された宝具は『喝采せよ、美は全ての民に開かれり(ミュゼ・ド・ルーヴル)』
    このカルデアで技術顧問を務める女性であり、キャスターのクラスを冠するサーヴァントである。
    「おお、これはこれは! 感謝するぞドミニクちゃん……で、あれば。余(オレ)も少しは振る舞うとするか」
    愉しげに言い放ったアンクが無造作に空間に手を入れ……次の瞬間、彼の手の中には熟成されたエールが詰まった壺が入っていた。
    「ふむ、これだけあれば十分であろう。
     ではこれより、星見台問答を開始する!」
    高らかに宣言する少年王。
    その声に誰よりも早く反応したのは━━━━

  • 301リドリー陣営2019/12/01(Sun) 18:39:52ID:I2MDYxNTM(25/42)NG報告

    >>300
    「まずは自己紹介。Xin chào(ちーす)。黎利っていいまーす。キョーは宜しくね」
    青いアオザイ、黒髪を束ね後ろに送り、メガネをする女。その胸は豊満だった

    そして次に反応したのが

  • 302ディック2019/12/01(Sun) 18:48:03ID:gxMjMxODk(1/4)NG報告

    >>301
    「ソーテール。ラゴスの息子。プトレマイオス1世だ。手土産にコニャックを持ってきたが必要なかったようだな」
    髪と瞳の色は砂色。均整のとれた長身、鋭気をみなぎらせた端正な美丈夫。自信と覇気にあふれたファラオが右手に持つ酒瓶に視線を落とす。

  • 303理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/01(Sun) 18:51:15ID:A0NDQ5OTQ(3/27)NG報告

    >>302
    「ふむ……黎利に……興味深い名を聞いたな。プトレマイオス……かのラムセス二世と争った王か……ああ。名乗り遅れたな」
    プトレマイオスを真っ直ぐに見据えた男は、足元の瓶を一息で半分ほど飲みほし……大仰な口調で名乗りを上げた。
    「余(オレ)の名はトゥト・アンク・アメン。またの名を少年王ツタンカーメンである!」

  • 304リドリー陣営2019/12/01(Sun) 19:04:09ID:I2MDYxNTM(26/42)NG報告

    >>303
    「……………今聞いた限りだと私浮いてない?大丈夫?」
    「いや?」
    「大丈夫だとは思うが?」
    黎利のこぼしに反応する二人。彼女は二人から共通するオリエンタルな雰囲気を感じとり、居心地が悪いのだ
    「まあ王道を語るってのが今回の趣旨だけどさ……………私は後でいいかな?貴方達二人の"王道"?ってやつを聞いてみたい」
    酒を口に含みつつそう答える黎利。その目は品定めのように二人をじろりと観察している

  • 305名無し2019/12/01(Sun) 19:29:38ID:gxMjMxODk(2/4)NG報告

    >>304
    「黎朝の太祖よ、そう急かすな」
    コニャックをテーブルに置き、典雅な所作でブランデーを味わいながらプトレマイオス1世は言う。
    「王道を語るならば先達たるファラオからまず御教示願いたいところだが……まず、その先達の知識を訂正させてもらおう」
    ほう、と呟きアンクは視線をプトレマイオス1世へ向ける。
    砂色の瞳がその視線を受け止める。
    「俺はかの神王とは面識を持たん。そもそも、時代が合わん。俺の治世は主上───イスカンダル王から太守を任じられていたところから始まる」

  • 306理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/01(Sun) 19:47:13ID:A0NDQ5OTQ(4/27)NG報告

    >>305
    「ふむ……そうか……なるほど……ク、クク……クハハハ! クハハハハ!」
    呵呵大笑、既にアルコールが回りきったのかと錯覚するような豪笑がカルデアの一室に響き渡る。
    自分達を集めた王の豹変に黎利とプトレマイオスは怪訝な視線を向けた。
    「ククク……なに、当世で得た知識ほど当てにならぬものはないと思ったまでよ。許せ、プトレマイオス。何分余(オレ)はそなたとは1000年ほど古い王であるが故、幾分か見誤っておったわ。
     そうであるな。そなたのいうとおり。
     こういうものは先達から語るもの。
     謝罪の代わりに余(オレ)の王道を拝聴する栄誉を与える」
    すると紀元前1000年代を生きた古王は、半分ほど残っていたボトルワインを一気に飲み干し。

    「余(オレ)の王道とはな。本来言葉で語るものでは無いのだ。
     王とはその背によって民を導くもの。
     民草の最前線に立ち、己が身をもって民と土地を守る。
     それが余(オレ)の王道だ……なに、完遂出来たとは思っておらんがな」

  • 307リドリー陣営2019/12/01(Sun) 20:10:26ID:I2MDYxNTM(27/42)NG報告

    >>306
    「なるほどね……………そこのmrダンディズムはどうなんです?」
    黎利は酒のつまみのチーズを食いながらプトレマイオスに話をフル

  • 308ディック2019/12/01(Sun) 20:45:39ID:gxMjMxODk(3/4)NG報告

    >>307
    「タンディズム……?」
    虚をつかれ思わず自分の顔を撫でるプトレマイオス1世。
    「まあ良い、赦す。俺の王道だったな。俺の王道は法だ。俺が作り上げた世界での法だ」
    彼がエジプト人の宗教と統治者(マケドニア人)らの宗教を統合することを主導してひとつの文化・宗教観を創り出したことを指す。
    「俺の法下に生きる者には誰もが幸福を得ることを赦す。そして法の外たる敵手……特に後継者(ディアドコイ)を詐称する愚か者どもには容赦はしない、実に簡単なことだ」
    「ああ、あなたのところの王様が死んじゃったあとみんなバラバラになったんだっけ?」
    おつまみを食べながら、こともなげに言う黎利にプトレマイオス1世は微笑する。
    「我らは征服王イスカンダルという煌めく恒星の周りに集う星だった」
    語りながらブランデーをグラスに注ぐ。
    「ひとりが野心を抱いても、同格である他の将がそれを阻む。いままで同格であった者の下風なおめおめと立てる者は誰もいない」

  • 309理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/01(Sun) 21:16:52ID:A0NDQ5OTQ(5/27)NG報告

    >>308
    「ふむ、法か……法とな……くくく……なるほど、なるほどな?」
    「……笑われるようなことを話したつもりは無いが」
    あからさまに不機嫌な態度を見せるプトレマイオスにアンクはつまみのチーズを差し出し答える。
    「なに。生まれた時は違えど砂王(ファラオ)の在り方は変わらぬと思っただけよ。そなたは法を敷くことで民を守る、余(オレ)はこの身をもって民を守る。形は違えど、我らの王道の行き着く先は同じではないか?」
    アンクの答えに考え込むような顔を見せるプトレマイオス。
    その表情に満足気な笑みを浮かべたあと、改めて黎利に向き直る。
    「さあ、次はそなたの番だぞ? 黎朝の王よ。そなたの王道を余(オレ)達に見せてみよ」

  • 310リドリー陣営2019/12/01(Sun) 21:34:44ID:I2MDYxNTM(28/42)NG報告

    >>309
    「そこまで言われたら仕方ないな、Mrパッション」
    黎利は酒を一気に煽り二人を目に収めてこういった

    「私の王道、それは"偉いやつを殺.す"この一点に尽きる」

    ……………。
    「「は?」」
    困惑。二人の神王(ファラオ)は奇しくも同タイミングで同じ言葉を口から漏らした
    しかしその程度で黎利は動じない。むしろ熱が入ったかのように語り始めた
    「まあ、正確に言えば、"偉いやつ"、"偉そうなやつ"、"偉くないのに偉かなってるやつ"が嫌い……………いやむしろ好きだね、こいつらが私の叛のおかげで慌てふためく姿を想像すると実に愉快な気分になるんだ♡……………もともと私は生きていてどこかつまんなかった。剣、政治、宗教、道楽……………色々やってみたんだがどうも身に入らなくてな。その時起きたのが明が我が祖国を支配したという戦争。いや〜初めて聞いた時イラッてしたんだよ。『なんで土地勘もない奴に私たちは支配されなきゃいけないの!?』ってね……………しかも明は世界を全て支配するときた。『なんなんこいつら?』って思った時には舎弟だったグエン連れて叛を起こしていたんだよ♡」
    黎利の目はエメラルドグリーンの焔が燃え広がっている

  • 311理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/01(Sun) 22:03:53ID:A0NDQ5OTQ(6/27)NG報告

    >>310
    「ほ、ほう……? そなたはどう思う? プトレマイオス?」
    「は?」
    俺に振るのかよ、と言いたげな顔を浮かべる神王が1人。
    振った少年王は少年王で黎利の発言に困惑が隠せなかった。
    「なるほどな……時代が違い地域が違えばここまで異なるということか……王道とはまっこと面白きものよな」

  • 312ディック2019/12/01(Sun) 22:37:24ID:gxMjMxODk(4/4)NG報告

    >>311
    「人を殺めるために生まれてきたような女だな」
    「はっきり言うではないか」
    アンクは率直過ぎる評価に微苦笑する。
    黎利の両眼には、王道を語るとともに嗜虐的な笑いのさざ波が揺れていた。プトレマイオス一世が黎利にたいして全面的な賞賛をためらうのは、勇猛の表現の枠を越える残忍さを感じ取り、生理的な嫌悪感をそそるからである。
    「その獣性、粗豪さには王器があるとは認めよう。だがそれは石器時代の王者だ」
    「あれぇ~、嫌われちゃったかな~」
    猛獣扱いされた黎朝の太祖はにへらっと笑う。
    そんな中、王者たちの宴を行っている部屋の扉が開かれる。
    「ここですか、美味しいお酒が呑める場所は!」
    現れたのは三人の王者と同じくカルデアのサーヴァント。上杉謙信だった。
    「私にもお酒ください。あっ!上等なコニャックがあるじゃないですか。ちょうどいい!」
    プトレマイオス一世は咄嗟に舌打ちする。
    「不識庵!何がちょうど良いだ。誰の赦しを得てタダ酒をたかるつもりだ」
    「いいじゃないですか!」
    「ここは王道を語らうための酒宴だ。一国の主であったそなたも語ればこの酒を呑ませてやろう」
    「いやいや、私はもうそういうのないですから。だからお酒だけください」
    雅な盃をプトレマイオス一世の前に差し出す謙信に、他の王たちは毒気を抜かれたように弛緩する。あの女武者はプトレマイオス一世に任せよう、アンクと黎利はプトレマイオス一世に全権委任すると酒宴を再開した。

    以上です。

  • 313ディック2019/12/02(Mon) 20:16:55ID:E2MDQ3NTY(1/4)NG報告

    無限にひろがる空間の大部分は黒曜石を磨いたような暗黒に支配されていた。
    そして、その夜空のもとで聖杯戦争が行われている。
    一人の壮年の紳士が片腕だけを異形のものへ変えて、身近にあった違法駐車の車両たちを叩き壊し、バラバラにした。人間の膂力では不可能な荒業である。
    「さあ、可愛い我が子らよ。俺に尽くせ」
    傲岸にそう言った壮年の紳士はヘンリー・フェアフィールド・オズボーン。超越存在たるサーヴァントである。
    クラスはアサシンだった。
    ヘンリーによって破壊された車の残骸群はそれぞれが形を変える。その変貌した姿は、かつてこの地球上を支配していた生物である恐竜だ。
    残骸は恐竜へと姿を変えたのだ!
    小型肉食恐竜、大型翼竜と種類は様々だ。
    彼らは駆け出し、あるいは飛び立ち、夜闇に消えた。
    自分の造物主の敵手を見つけるために。
    これこそが世界一有名な恐竜ティラノサウルスの名付け親であり、数多くの恐竜に名付けた学者であるヘンリーの持つ宝具『かつて途絶えし太古の神秘(ジ・オリジン・アンド・エヴォリューション・オブ・ライフ)』の力である。
    消失したその存在に名前をつけて、再び存在をこの世界に確立させたことに由来する力である。
    触れたものや自分を恐竜へと変身させる。かつて存在していた個体だけでなく、ヘンリーがこうあれと望んだ形に作り出すこともできた。
    「いつ見てもその能力には驚かされるな」
    感嘆しているのはヘンリーのマスターであるナイトハルト・ケーフェンヒラー。
    「暗視を使っていても姿が確認し難いぞ」
    ケーフェンヒラーが目を凝らすように恐竜たちが去っていった方向を見た。
    「やつらには斥候のために隠密能力を持たせたからな。コウイカのように周囲に溶け込めるさ」

  • 314ディック2019/12/02(Mon) 20:17:07ID:E2MDQ3NTY(2/4)NG報告

    >>313
    「魔術的な探査の術式はどうだ?」
    「門外漢な俺にそんなものは求めるなよ」
    ヘンリーは呆れたように片方の眉をつり上げる。
    「気配遮断スキルを持つ俺なら兎も角……もっと魔術について知ることができれば話は異なるかもしれんが、あいつらには何の対策も施されてはいない」
    「わかった。それでは、俺たちも向かおう」
    占星術を扱うケーフェンヒラーは自分が倒すべき敵手がいると思われる方向を目指し進み始める。
    「了解だ。……まったく学者を腕力沙汰に引っ張り出すとは……」
    ヘンリーは冷ややかに言いながら歩きだした。

  • 315ガイ・フォークス2019/12/02(Mon) 21:07:01ID:E4MjExMjA(1/5)NG報告

    >>314
    荒廃したビルのラウンジに、二つの人影があった。一つは巨大で、一つは小柄。この男女はまさしく、聖杯を争う戦いにおけるバーサーカー陣営だ。
    本来の拠点に戻る途中にトラブルが発生し戻るに戻れなくなったため、簡易的な陣をこの廃墟に構えて夜を超すことになったのだが・・・・・・

    「ガハハハッ!なんだマスター、結構渋ってた割には、おめえも割とイケるクチじゃねえか!」
    大盃に満たされた清酒をぐいと飲みほした主人に魯智深は豪快に破顔した。由子は胡乱な目でそれに応え、盃をサーヴァントに押し付ける。返しに注ぐ酒は、あたかも表面張力の限界を試しているような量だ。
    「あんだけ煽られて呑まなけりゃあ、女が廃るってもんだ。あーあ、今日は聖杯戦争なんて止めだ、止め!こうなりゃ、お前と私の威信をかけた『清盃戦争(せいはいせんそう)』だっ!」
    「おう、受けて立とう。禁酒の誓いはあれどこの魯智深、これでも無頼漢で名の通った男よ。勝負とあっちゃあ後には引けねえ!・・・・・・第一、御仏の目もこんなちんけなビルまで向いてねえだろうよ」
    美味そうに喉を鳴らしながら匂酒を流し込む。それを由子は忌々し気に睨みつけるしかなかった。
    すぐさま空になった器を嬉々としてマスターに押し付けようとする魯智深だが、ふと注意が逸れたのか、手を離れた盃が、地面に落ちて転がった。
    「おい、何やってんだ!負けかあ?負けを認めんのかぁ?」
    おどけるマスターに、うって変わって鋭い声を投げかける。
    「――マスター、邪魔が入ったようだぜ」
    「ん?ああ・・・・・・確かに、侵入者か」

    鋭くガラスが砕ける音が空間に木霊し、不可視の魑魅魍魎がなだれ込んできた。
    逃げ場のない、敵の数すらわからない状況で、二人はふてぶてしく嗤った。
    「酔い覚めの水盃でもするか、マスター?」
    「冗談。頭ん中でロックがガンガンなってる、割れそうなほどの絶好調だ。変に水を差すんじゃないよ」

  • 316ガイ・フォークス2019/12/02(Mon) 22:01:38ID:E4MjExMjA(2/5)NG報告

    >>315
    「うおりゃあーー!」
    魯智深が自身の身の丈を超える水磨禅杖を、うなりを上げて振り回す。バーサーカーの強化された筋力で振るわれたそれは、避け損ねた怪物を数体巻き込み壁に打ち付けた。
    「チッ、やりにくいったらありゃしねえ。きちんと見えてさえいりゃあ、こんな奴ら一網打尽なんだがよ。そっちは大丈夫か、マスター?」「おうさ!」
    振り向いた先では、由子が空間に向けて鋭い回し蹴りを放った。しなやかな身のこなしで足先は空を切り――ビルの支柱にしたたか打ち付けられる。
    「痛ってええええ!」
    「酔っぱらってんのかマスター!視覚の強化くらいしろよ!」
    足を抑えてはねる由子の脇を禅杖が飛び、今にも襲い掛かろうとしていた怪物を追い払った。寄り添う巨漢に、由子は笑顔を向ける。
    「おお、サンキュー。いやー、何回打ったかわかんねえ。さすがに痛くてさ」
    「だからボケてる場合じゃねえんだって。本気でこいつらはヤバいぞ。数が多いくせに連携が取れているものだから、全然数を減らせねえ。敵の正体もわからないままジリ貧だぜ」
    「おう、そうさな。たかが使い魔程度と思ったが、予想外な強さだ。広範囲を討てる手段なんて、私もお前もないからなあ・・・・・・」
    「どうするんだ?」
    「そりゃあれだ、粘って運を天に任せるしかあるまいよ」
    「はっ、任せとけ。得意分野だ」
    バーサーカー陣営は、愚鈍でもなく優秀な人材がそろってはいるが、相性の悪さはいかんともしがたく、じわじわと壁際に追い詰められてしまった。
    息を荒げたバーサーカーが、脇腹を食いちぎられ手負いのマスターに問う。
    「そんでもってマスター、天はいつ頃振り向いてくれるのかね?」
    「知らんのか。いつまでも天は私たちのことなんざ知らんぷりさ。御仏の目もこんなちんけなビルまで向いてねえよ」
    「そんな気はしてたよ」
    鼻で笑う魯智深の言葉を待たずして、怪物たちが二人にとびかかった。

  • 317ガイ・フォークス2019/12/02(Mon) 22:10:24ID:E4MjExMjA(3/5)NG報告

    >>316
    その刹那。
    「天の目は、顔面掴んで自分で引き寄せるモノさ。バーサーカー!」
    「おうさ!」
    バーサーカーが由子を抱え上げ、壁に突進して突き破った。ほぼ同時にビル全体に亀裂が走り、砂煙を上げながら倒壊する。間一髪、がれきの山の前に魯智深達は転がった。
    「痛つつつつ。なんとかなったの・・・・・・か?」
    傷口に初歩的な治癒の呪文を重ね掛けしながら由子は立ち上がる。
    彼女が使うのは『水紋魔術』。与えた魔術的・物理的効果を、魔力が続く限り重ね増幅させ続ける。雨垂れが石を穿つように、時間はかかるものの小さな力でも最終的に大きな効果を得られる魔術である。彼女は蹴りの威力をこの魔術で壁面に張り付け増幅させ続け、巨大なビルを倒壊させたのだ。
    大きくえぐられた腹部の傷も、少しずつだが治るはずだ。致命傷にはならないだろう。
    「・・・・・・とりあえず、間が悪いな。傷が治しながら作戦を練って、再戦に備えるか。――めんどくさいけどよ」

  • 318ディック2019/12/02(Mon) 22:51:20ID:E2MDQ3NTY(3/4)NG報告

    >>317
    「っ!」
    バーサーカーのサーヴァント魯智深が背筋に氷が落ちたような悪寒を感じ、虚空へ禅杖を投擲する。流星のように飛来する杖が何かに衝突して、墜落した。
    「嫌な知らせだ。マスター。どうやら敵さんは空にもいるらしい」
    バーサーカー陣営は知らないことだが、彼が撃ち落としたのはヘンリーが一頭だけ作り出したプテナラドンだった。
    「めんどくせぇなっ!振り切れねぇ!」
    魯智深が忌々しげに舌打ちしつつ、追撃してきた怪物──ヴェロキラプトルに突き手を打ちそのまま裏拳で別の怪物を打ち抜く。
    「こいつら、犬みたいに嗅覚が鋭いのかもしれない!あーもうイヤ!」
    傷を癒しながら怪物たちの攻撃をかわす由子は顔をしかめる。
    禅杖をバトンのように高速で回し、怪物たちを倒す魯智深はマスターが快癒するまでの時間を稼ごうとする。
    しかし、精神回路の一部に軋みを生じさせた。奇妙な焦燥が体内から沸き起こる。
    これは幾度も死線を潜った彼だからこそ感じるある種の直感である。死が間近にある、そのような感覚。
    「伏せ!」
    魯智深は端的に、かつ強制力のある声を上げた。犬か私は!そう思いつつ由子だが反射的に体を伏せた。
    禅杖を拾い上げた魯智深は棒高跳びの要領で前方に勢いよく跳び、見えない何かへ踵落としの後、禅杖を打ち下ろす。
    巨大な動物の咆哮が夜空に轟く。見えなかった姿が明瞭になる。
    「は?」
    魯智深は以外な姿にあっけにとられる。マスターはその姿を知っているので、それゆえに驚愕した。
    「ティラノサウルスだ!」
    それは先ほどまでの怪物より遥かに大きい。大型肉食恐竜へと変身したアサシンのヘンリーだった。

  • 319ガイ・フォークス2019/12/02(Mon) 23:06:42ID:E4MjExMjA(4/5)NG報告

    >>318
    神獣クラスの登場に、既に怪物たちとの戦いで消耗している由子たちになすすべはない。巨大な顎の一撃が由子の体を噛み砕いた。

  • 320ガイ・フォークス2019/12/02(Mon) 23:50:28ID:E4MjExMjA(5/5)NG報告

    >>318
    絶望的状況の中、わずかながら幸いも訪れた。T-REXの威圧が、他の恐竜たちの動きを止めたのだ。同時代の覇者であるというDNAレベルに刷り込まれた恐怖が、恐竜たちを震撼させたのだ。
    魯智深はそれを見逃さなかった。
    「ぜあっ!」
    禅杖を水平に薙ぎ、それらを一掃する。
    「おう、マスター。どうやら運とやらが向いてきたようだぞ。こいつが何者かは知らんけどよ、わらわら群がられるよりは、バケモン一匹を相手取る方がやりやすいぜ」
    「ああ、まあ、そういう解釈もある・・・・・・か?しかし驚いた、ティラノサウルスがサーヴァントとは」
    「知っているか?」
    「知ってるも何も。お前の時代にはなかったかもしれんがよ、『恐竜』っていうヒトが生まれる以前にバカでかいトカゲたちが地球を占領してて、こいつはその王様だよ。石になってる骨とか、見たことあるだろ」
    へえ、と魯智深は息を吐く。
    「ありゃ、如来が作った生き物の出来損ないだと思ってたぜ。こんな生き物とは」
    「とにかく油断するな。時代で言えば間違いなく神代以上の昔だ。きっと強大な力を持っているぞ!」
    「おうともさ!こちとら剛力無双の魯智深様よ。寅こそ倒したことは無いが、そろそろ箔が欲しいと思ってたところだ。やってやるぜ!」
    白亜の怪物の咆哮が空気を震わせる。思わず身をすくめた由子が再び敵を捕らえるころには、魯智深はイノシシのように勇猛に突撃していた。

  • 321ディック2019/12/03(Tue) 00:00:32ID:AxNTAzMzQ(4/4)NG報告

    >>320
    「しゃあああ!」
    千変万化に杖の軌道を操り、一瞬のうちにティラノサウルスへ猛攻を加えた。
    古代世界の覇者はその動体視力で見切り、回避してその巨大な顎で魯智深を噛み砕かんと襲いかかる。
    巨体に見合わない慮外の速度に魯智深の感嘆混じりに舌打ちする
    「やっべ!」
    杖を踏みつけ弓のようにしならせて、その反動を用いて高く跳び噛み砕かれる未来を回避する。
    「おっそろしい生物だぜ……でかくて速いとは反則だろ!」
    「すばしっこいな……。東洋人は妙な技を使うと聞いたことがあったが本当だったのか」
    なんとティラノサウルスは明瞭な発声で人語を使った。
    「「喋れんのかよ!お前!?」」
    バーサーカー陣営のリアクションは奇しくもハモった

  • 322リドリー陣営2019/12/03(Tue) 20:05:59ID:M1NTEyNTk(29/42)NG報告

    カルデア・トレーニングルーム、変幻自在に変わるこの部屋にて向き合う二人の英霊あり

    許仲琳と黄飛鴻、どちらも中華の大地にてその名を轟かせる英傑だ

    彼らの実戦は始めてだが、気迫は充分に高まっている

    黄色の武道着に弁髪、その手に無骨な根を持った黄飛鴻は相対する敵の気迫を肌に感じていた

    許仲琳は封神演義の作者、それと同時に人知を超えた仙人である。その気迫は計り知れない

    だからこそ、燃える。自らの武を高めるための相手に相応しい!

    「さて、そろそろ本番アルね。本気の稽古をお願いするヨロシ!」

  • 323理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/03(Tue) 20:21:14ID:IzNDkzODI(7/27)NG報告

    「ええ、私で良ければ喜んで」
    ゆらり、と舞を踊るように右手を掲げる許仲琳。
    一瞬、その背後の空間に波紋が走り、気づけば彼女の手に無骨な偃月刀が握られていた。
    「ただし、一つだけ条件がありますがね」
    1回、2回、10回、20回。
    手先を、手首を、腕を、やがては身体全体を軸にして偃月刀を振るう許仲琳。
    その動きは流麗華美なようで一切に無駄がない。
    「アイヤー! 見事な功夫アルね! お見逸れしたヨ! して、条件とはなにアルか?」
    愉快な口調とは裏腹に獰猛な笑みを浮かべる。
    「ええ、そうですね」
    そんな彼に、神仙と呼ばれた女流作家はほんの少しだけ口角を釣り上げ。
    「私の指導は太公望様(ししょう)よりも厳しいですから。途中で泣き言をあげないように!」
    宣言と同時、一足で黄飛鴻との距離を詰めてきた。

  • 324リドリー陣営2019/12/03(Tue) 20:42:28ID:M1NTEyNTk(30/42)NG報告

    >>323
    滑るに宙を泳ぐ偃月刀。魔力放出により強化された筋力により、通常以上のスピードで黄飛鴻を襲う

    頭にきたものを弾く。腕に来たものを避ける。胴に来たものを絡めたり、喉にきたものは逸らす

    指揮をとるかのように根を動かし、ギアを回転させるようにねじり避ける。これ程までの上体の柔さは下腿によるもの

    彼の納める洪家拳は船の上など不安定な場所で戦うことが想定された拳法。しっかりと土台を踏みしめる脚があるからこそ上体は変幻自在に動かせる!
    「ハハハイャーッ!」
    笑い声にも似た息吹を吐きながら偃月刀を弾き、避け、絡め取る!
    「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイィィ!」
    「少しは静かに出来ないのかい!」
    「アイヤー、ワタシの拳法のクセよろし、許してアル!」
    徐々に加速し、ついに肉眼では見えなくなる偃月刀と根の攻防。だが、残念な事にこの技の応酬は唐突に終わる
    「セイヤーッ!」
    魔力放出を倍以上かけた偃月刀により黄飛鴻の根は真っ二つに斬られた。こればかりは仕方ない。両者が互角以上の力を放つ時、勝機を決するのは僅かな差なのだ
    折れた根を持つ黄飛鴻に向かい迫る偃月刀。どうする!
    「ハイーッ!」
    黄飛鴻は手を広げ、脚を上げ、爪先で偃月刀を蹴り上げた!鶴拳だ!

  • 325理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/03(Tue) 20:52:30ID:IzNDkzODI(8/27)NG報告

    >>324
    蹴り上げられた偃月刀、完全に無防備になった許仲琳の身体に鶴の姿を模した貫手が迫る。
    「ハイヨーッ!」
    両の手を交差させられ放つ鶴拳。
    右手が心臓を、左手が膵臓をえぐり抜かんと放たれ━━━━
    「アイヤー!?」
    その手が、彼女の身体を貫くことはなかった。
    許仲琳の魔力放出は仙術から派生したスキルだ。
    大地の魔力を纏う許仲琳の肉体は、宝具に匹敵する耐久度を持つ。
    いかに拳聖とてその身は人間、その拳が彼女を貫くことは無い。

  • 326リドリー陣営2019/12/03(Tue) 21:02:23ID:M1NTEyNTk(31/42)NG報告

    >>325
    貫くことができない?ならば表面に攻撃を加えるのみ!素早く両手を離し、今度は指を顎に見立て曲げる。龍拳だ

    許仲琳の手に戻った偃月刀は研ぎ澄まされた龍の牙により捕らえられ、へし折られる!そして許仲琳の首を捉え引き寄せた!

  • 327山星2019/12/03(Tue) 21:03:07ID:U2NDg3Mjc(9/34)NG報告

    ─────ふむ。何故このようなことになったのだったか。

    手元でナイフを弄りながら、少女……山星不湯花はそう考える。
    魔術師にとって戦いというものは必ずしも敬遠されるものではない。確かに魔術師とは研究職ではある。それは紛れもない事実だ。
    しかし、魔術による争いを行うことで己の魔術の精度を高め、秘匿が基本である魔術……そんな上で他者の魔術に触れるという機会は中々にない。そこも含め、時計塔などは魔術師同士の戦闘を奨励する傾向すらある。かのエーテライトの前代当主の詳細も確か────いや、今はどうでもいいことだろう。

    「さてさて。私としてもあなたの魔術には触れてみたかったんだよね。良い機会だったよ」
    カツリ、カツリ、と音を立てながら歩み寄る。……が、相手の───大鳳京介の顔は怪訝な顔だ。が、すぐに不湯花は納得する。
    ………山星というものは礼装製作を主とする家系だ。その悲願も「根源」ではない。魔術使いと謗られることも多いが、私たちなりに別の悲願があるのだ。かの大魔術師、ソロモン・イブン・ヒガールが目指した果てのように。
    ようは、私の礼装はまだしも、私という存在には大した力はないと思っているのだろう。よくそういう認識は受けるし、そのように扱われる。別に、私としてはそれでも構わないのだが、今回は話が別だろう。これは戦闘なのだから。

    「……ねぇ、大鳳君。ちょっといいかな」
    徐に、京介の顔の真横を指差し……

    「Wave(打ち砕かれよ)」

    ────指先から放たれた水流が壁を砕いた。一小節すら必要としない、一工程(シングルアクション)でこの火力。礼装も何も起動していない状態で、だ。

    「君が私をどう思うのも勝手。でもさ、
    ─────私達の魔術の真髄を見たいなら、せめて少しは頑張ってよ?」

  • 328理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/03(Tue) 21:19:21ID:IzNDkzODI(9/27)NG報告

    >>326
    襟を捕まれ引き寄せられる。
    黄の動きに合わせるように、許仲琳は顔を近づけた。
    真下からの強襲、それに呼応したことによって許仲琳の身体が大きくたわむ。
    「セイッ!」
    それと同時に両足に力を収束した魔力放出。
    跳躍の勢いを乗せて放たれた暴風の如き魔力が許仲琳の身体を大きく持ち上げ、空中を三回転して黄飛鴻との距離を大きく取り直した。
    宙に飛んだ許仲琳、その背後が大きく歪む。
    そこから放たれたのは火を纏う曲剣、杭と見紛う如き巨大な釘、二刀一対の夫婦剣。
    火竜鏢、鑽心釘、干将莫耶。
    封神演義に名高い名剣達が黄飛鴻に向けて殺到した。

  • 329リドリー陣営2019/12/03(Tue) 21:33:31ID:M1NTEyNTk(32/42)NG報告

    >>328
    「ウウイヤャャャャ!」
    飛んできた四つの名剣。これに対し黄飛鴻は酔拳で対抗。酩酊(ドランカー)にも似た不規則極まり無い動きは名剣達は捕らえられない。ぬるりと避け続ける事で地面に全て刺さる

    そして宙から降りた許仲琳を襲撃。彼女は次なる武具の発射を準備して、目を細めた

    黄飛鴻が二人に分身したのだ!これはスキル電脳的英雄の効果によるもの。二人に別れた黄飛鴻は豹ののように手を丸める。これぞまさしく豹拳!目にも映らない連続拳戟を許仲琳が襲う!

  • 330理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/03(Tue) 21:43:23ID:IzNDkzODI(10/27)NG報告

    >>329
    「くっ!ちょこまかちょこまかと小賢しい!」
    そう、黄飛鴻の攻撃は許仲琳にとって致命打とはならない。
    魔力放出の効果は未だ健在。このまま一生耐えることも可能だ。
    しかし、彼の動きを彼女が捉えることもまた不可能。
    (ならば……分身ごと本体を仕留めるのみ……!)
    一瞬、本のわずかに空間が光り輝く。
    本能的に察知した黄飛鴻がその場から跳躍するが時すでに遅し。
    「━━━━鳴け。『雷公鞭』」
    閃光、ついて轟音。
    シミュレーションルーム全体に無数の雷が迸った。

  • 331九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/03(Tue) 21:45:02ID:g1NDcwNDg(1/18)NG報告

    >>327
    「正直、侮っていたよ。山星は礼装で戦うタイプだと思っていた」

    水飛沫か冷や汗か、頬を伝う水を拭う。山星不湯花が当てるつもりだったならば今の一撃で勝負を決める事も出来ただろう。
    やれやれ、これが実戦だったら死ん.でいたな。……もう同じ轍は踏まない。

    「次はこちらの番だな。『Suas[上がれ』」

    ざあっという音とともに大鳳京介の足下の影が広がり、立体的に膨らんだと思えばそれらが二羽の鳥の姿をとる。
    闇そのものを具現化したような黒で全身を構築した鳥────鳳凰はけたたましい鳴き声をあげる。

    「影鳳凰、名前は…今は置いておこうか。やれ」

    手を振って合図すると影鳳凰の片割れがいっとう高く飛び上がり勢いよく急降下して襲い掛かった。

  • 332リドリー陣営2019/12/03(Tue) 22:03:45ID:M1NTEyNTk(33/42)NG報告

    >>330
    「アイヤーッ!?そんな宝貝(パオペイ)あったアルかーっ!?」

    その言葉を残し辺り一面は光と音に包まれた。周りの木々が燃えて焦土と化す

    (少しやりすぎたかしら?)

    そのようなことを思い、ふと顔に影がかかる。ハッとし上を見上げた彼女は見る
    炎を見にまとった黄飛鴻のことを!

    雷に直撃を受けた彼だが電脳的英雄の影響を利用。炎を使う自分を呼び出し雷から派生する火を纏う事で自らの損害を限りなく抑えたのだ!

    洪家拳は主に手を主体とする拳法である。だが黄飛鴻、彼は脚の神技を持つ男!その蹴りは影すら残さず、敵を滅する。そんな光速を超えた連続蹴り、これぞまさしく!


    「『無影脚』!ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイヤヤャャャャャャ!!!」

  • 333山星2019/12/03(Tue) 22:07:36ID:U2NDg3Mjc(10/34)NG報告

    急降下する黒翼の鳳凰は黒い残光を残しながら、不湯花を啄み引き裂かんとする。

    「なるほどね……『Follow me(手を引きたまえ)』『nauraa(笑う』『悪戯神よ、喰らふ物ノ怪を引き裂きたまへ』………さて」

    『Follow me』で草が茂り、伸び盛り
    『nauraa』で草はざわざわと不湯花を包むように動き
    『悪戯神よ、喰らふ物ノ怪を引き裂きたまへ』という語句によって草は鋭利な刃物のようになり、鳳凰を引き裂く。

    「我、命ずる。
    『奮え、アハティ』『散り抜け、玉祖命』『栄えろ、シランパカムイ』
    起句復唱。楚は強者を貫くもの。……『少彦名命』なり」

    ひゅっと、不湯花が振った筒から飛び出した鉱石を大量に溢れ出した水の刃の一部が覆い、地面から生えた巨大な蔦は鳳凰を拘束する。
    ザクリ、と鉱石が鳳凰に刺さった瞬間、その鉱石は鋭利に四方八方に勢いよく伸び、鳳凰の内部の全体を引き裂き掻き回し磨り潰す────!

    「さて……ああは言ったけど、私はやっぱり礼装を使ってこそだよね。まあ、正確に言うと『礼装を使って自分の魔術の効能を高める』ってことかな。……ほら、頑張って?」

  • 334理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/03(Tue) 22:48:00ID:YyNzU4MzA(1/1)NG報告

    >>332
    「なっ……『雷公鞭』を耐えた……!?」
    全身に炎を纏う黄飛鴻の姿を見て、許仲琳は驚愕を禁じえなかった。
    その驚愕は一瞬、しかし達人同士の攻防では致命的な隙となる。
    『無影脚』━━━無限にも思える神速の蹴撃が今度こそ許仲琳を捉えた。
    「な……んの、これしき……!」
    魔力放出に揺らぎが生じ、華奢な彼女の体躯に傷が入り出した。
    否、揺らぎではない。これは魔力放出に使っていた魔力を自身の体内に取り込み直しただけに過ぎない。
    イメージするものは嵐。
    制御不能な自然現象を想像して体内でエネルギーを練り込んでいく。
    永遠にも続く無数の蹴技。光速にも迫るそれを許仲琳を捉えることは出来ない。
    しかし、一つだけ確かなことがある。
    捉えることは出来ないが、許仲琳が蹴られたその時、そこに黄飛鴻はいる━━━!
    「そこッ! 崑崙仙技・太公望釣魚槍ォオオッッ!━━━!!!!」
    咆哮のような開帳と共に、渦を描いた魔力が螺旋となって黄飛鴻の身体を貫いた。

  • 335リドリー陣営2019/12/03(Tue) 23:09:36ID:M1NTEyNTk(34/42)NG報告

    >>334
    渦巻かれた螺旋魔力は黄飛鴻を貫き、血を吐き出す!
    だが無限の無影脚は許仲琳を貫き、これまた血を吐き出す!

    両者互角のやり合い!二人は距離を取る

    「アイヤー……………流石は仙人様ネ。ワタシの想像を超えた功夫してくるアルな」
    「それはこちらの台詞ですよ。まさか雷公鞭を耐えるなんて人間の域超えてますよふつーに」

    そしてお互いに笑顔を浮かべ構えを取る
    恐らくこれが最後の一撃となるだろう!

    「ハイヤーッ!」
    「セイヤーッ!」
    お互いが意地とプライドをかけ最後の突撃をかけた……………が!
    『このッッッッッバカ野郎ガァァァァァァァァ!!!』
    突然の大声によるインターラプトが入ったのだった……………
    雷公鞭。その威力によりトレーニングルームはめちゃめちゃに破壊されてしまったからなのだ。電化製品は電気に滅法弱かった。ミケランジェロに怒られた二人は出鼻を挫かれ興が削がれてしまった
    そしてこの日結局引き分けと言うこととなりお互い健闘を称えて解散したのだった……………
    end

  • 336九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/04(Wed) 00:19:33ID:Y2Njk2NjQ(2/18)NG報告

    >>333
    影鳳凰がべちゃり、とまるでトマトを潰したように四散し地面に影を作ると京介の影へと伸びていき、一体化する。
    影鳳凰に死は(ほぼ)無い。活動限界を迎えると身体を影へと変換し、俺の影へ潜って身体を再構する。尤も、戦闘中に再構築してやる余裕は無いので実質的にフェニ男はもう使えない。

    「これは、出し惜しみしている場合ではないな」

    指輪に付いている漆黒の宝石を見せるように右手を掲げ────

    「『呪血の蠱毒壺』、出てこいフィルニース」

    その言葉に不湯花が警戒を強め宝石を注視する。フィルニースを起動する場面を見せた事は無いがその存在自体は知らせていた。故にそのブラフが機能する。

    「Rampage」
    「──っ」

    京介の指輪────闇の宝珠に封じ込められた光が解き放たれる。神秘も何も纏わない閃光だったが警戒し注視していた不湯花に対しての目眩しには十分である。
    その一瞬の隙を突いて今度こそ『呪血の蠱毒壺[フィルニース]』を起動し接近する。

  • 337ディック2019/12/04(Wed) 20:09:47ID:A0OTMxNjg(1/3)NG報告

    カルデア・トレーニングルーム。そこはシュミレーターを利用することで様々なシチュエーションを作り出して訓練を行うことができた。
    今日もトレーニングルームを使う英霊が二騎対峙していた。
    極東の戦士、より正確に表現すれば日本の鎧武者だった。
    剣の英霊と槍の英霊が対峙する。
    「東国無双、本多平八どのと手合わせ願えるとはありがたいことだ」
    そう言って凄絶に笑うのはセイバーの立花道雪。
    豊後の戦国大名大友氏の家臣で大友家の隆盛から斜陽まで一身に背負って奮闘した忠臣、西国無双立花宗茂の義父として知られる英霊だ。
    若い頃、落雷に遭ってその折に刀で雷を切ったという伝説を持つ。さらにそれが原因で半身不随になっても戦場に輿で乗り込んで獅子奮迅の働きで戦った猛将だ。
    現界した姿は半身不随になる前の精悍な若武者の姿だが、物腰は歳に見合わない泰然さを感じる。その精神が
    敵味方問わず畏怖され敬意を払われた勇将「鬼道雪」と呼ばれた壮年期のものだからだろう。
    兵装は鎧甲冑ではなく、上着はジャケットのような羽織に指出しの篭手、黒い脚絆に脛当てをしており動きやすさを重視した戦装束だった。
    「さて、模擬試合とは言えど油断なされるなよ?俺は手心をかけるのが苦手だからな!」
    道雪は腰に差した雷切を抜刀した。抜刀によって三日月のような煌めきが放たれた。

  • 338火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/04(Wed) 20:37:41ID:UxNTg0MjA(4/36)NG報告

    >>337
    「ご安心召されよ、道雪殿。元より貴殿は西国無双の父君。ならば――こちらとしても、手を抜く道理はない」
     対する本多忠勝も臆さない。
     自慢の愛槍『蜻蛉切』を勢いよく振るい、目の前の道雪目掛け叩きつけんとする。
     が、その一撃は雷閃めいた斬り込みの前に阻まれる。
    「ぬうっ!」
    「ハハッ、何とも実に猛々しい! この名刀を前にして、怯むどころか突っ込んで来ようとは! それでこそ誘った甲斐もあるというもの!」
     槍と日本刀。一見すれば、リーチに勝る忠勝の方が有利にも見える。
     だが現実は違った。蜻蛉切による刺突、薙ぎ、払い。そのいずれも道雪の身体を捉えることはなく、悉く空を切る。
     一方の道雪も負けていない。動きやすさを重視した服装に違わず、蜻蛉切による猛攻をかいくぐっては果敢に、時にはからかうように一撃を見舞い翻弄していく。
     互いに十数合を交わした所で、忠勝が動いた。
     それまで上~中段から仕掛けていた刺突を、あえて下段から抉り込むように突き上げる。
     アッパーカットめいて迫る穂先に、道雪は――

  • 339ディック2019/12/04(Wed) 21:03:22ID:A0OTMxNjg(2/3)NG報告

    >>338
    道雪は、とびさがりながら、左腕の籠手をあげてその一撃を受けた。籠手は紙のように容易く切り裂かれ左腕にしびれを感じながら雷切を撃ち込む。強烈な斬撃は、だが蜻蛉切で払いのけられた。
    本多忠勝の膂力は、想像を絶した。はらわれた瞬間、道雪はよろめいたのだ。踏みとどまった彼の目に、再び襲いかかる蜻蛉切が映った。攻撃は右からだった。道雪は今度は受け止めようとはしなかった、右腕を振り上げた。
    蜻蛉切が、籠手の表面を滑る。道雪が受け止めず体幹をずらすことで受け流したのだ。しかし、東国無双の技量と名槍をしのぐには無傷ではすまない。籠手の表面を打ち砕き、道雪の肩をうつ。だが既に勢いをそがれていたので、羽織をわずかに切るのみで衝撃は軽かった。
    道雪は、その一撃を受け流すとともに、一転して跳ね起き、腰当てに差した小筒を抜き出し、体勢を崩しかけた忠勝の横顔めがけて実弾ではなく魔力を投射した。

  • 340山星2019/12/04(Wed) 21:07:15ID:IyMzgwMzY(11/34)NG報告

    うっかりしていた。この程度のブラフに引っかかる辺り、自分は相当油断していたのだろうと思う。
    これが殺し合いならば、そもそもその様子を見せる前に、行動を見せる前に殺していた。……というか、それ以外にもタイミングは色々あった。

    「─────めんど」
    一小節を刻む程度の攻撃ではない、なのでここを凌いで次に全力を回そうとし、水の膜を張り、樹木で覆い、鉱石の壁をその上で包む。呪いの規模を観測し、その上で最適解を出した。多分これを貫ける出力をあの泥のようなものは出せない。………警戒をするに越したことはないが。

    「奢ったな、山星」

    ………突如、急激に増加した黒血の爪がそれを砕き、不湯花を襲う。回避はしたが、軽く右腕を引き裂かれてしまう。それと同時に、礼装の殆どが呪詛で使い物にならなくなった。自身に対する呪詛の解呪は傷が浅いこともあってできたが、礼装に染み込んだ呪いは時間をかける。

    「ごめんごめん。私ね、戦ったこともないガキが何を言うかと思ってたの。流石に見縊ってた。謝罪しよう。
    ──────だから、私の秘奥の一つを見せてあげよう」

    コロン、と転がり出る箱。

    『世界は輪転し、星々は瞬く。原初の世界には恵みと破滅が渦巻き、その中心に私はいる。
    妖精は祝福する。巨人は咆哮をあげる。竜は脈動する。
    打ち砕かれよ、群衆。響き渡れよ、栄光。それ即ち我が我たる証であり、私達が地球である証である。
    ─────【精霊女皇】の名を以って命じます。起きなさい、テリアル』

  • 341山星2019/12/04(Wed) 21:07:25ID:IyMzgwMzY(12/34)NG報告

    ──────見よ、凡百共。これが世界渦巻く神秘が一。世界の中心に未だ根付く神秘の秘奥が一。
    古き者よ、死に絶えよ。多数の神秘よ、平伏せよ。これこそが、湖の乙女の原型が一つ。その意思の断片が混ざり合ったもの。

    誰にも解き明かせぬ千年規模の神秘は、いまこそここに顕現する────!!

  • 342山星2019/12/04(Wed) 21:45:29ID:IyMzgwMzY(13/34)NG報告

    「………お呼びでしょうか、御主人様?」
    「うん。呼んだ。さっさと終わらせて」
    「殺しますか?」「模擬戦闘だから、そこまでしなくていい」

    ─────龍。その姿は水で出来た東洋の龍だ。それに大量の蔦が絡みつき、そこから咲き誇る大量の花。そして、爪と花は爛々と輝く宝石である。その身から放つ魔力周囲を圧倒し、その神秘はそこらの神秘を容易く押し潰す。

    「────えーっ?御主人様ったら、こんな、こんなたった『数百年程度』の雑魚に私を切ったんですかー?マジ?ちょーありえね!草だわこんなもん。いや草越えて森。マ?集団戦でもない、殺し合いでもない、たった一人に対してそれとか、マァァァァ???」

    立てば竜、佇めば庭園、喋る姿は────くそウゼェ。

    「うっぜ!お前やっぱうっぜ!……いいから、早くやってくれない?」
    「了解。………さて、そこの魔術師さん。可愛らしいですね。高身長でヘアピンにピアス。可愛さが溢れます。『その程度』の呪いを携えてる辺りが実にキュート。………じゃ、来なさい」

  • 343火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/04(Wed) 21:53:53ID:UxNTg0MjA(5/36)NG報告

    >>339
     忠勝の鼻面を魔力光が突き抜ける。
     スキルではなく本能で危険を感じ取り、どうにか首を動かして回避する。
     だが代償は小さくない。至近距離を閃光が横切った事で目が眩み、一時的とはいえ視界が潰れる。
     そして当然、道雪が続きの隙を見逃すはずもなく。
    「獲ったぞ、東国無双」
     上半身に衝撃が奔る。その正体は痛烈な峰打ち。
     道雪のスキルによるブーストも加わった一撃は、忠勝の宝具『傷無の武名』をも貫いた。
     模擬戦故の手加減とはいえ、金属武器による痛烈な打撃。エネミーは元より並みの英霊ですら倒れかねない一撃を受けた忠勝は――。
    「―――――ふんっ!!」
    「ぬおっ!? ……はは、これは本当に驚いた」
     後方に大きく吹き飛ばされたものの、忠勝は着地し床を踏む。
     否、それは最早着地というレベルではない。衝撃を流された床は深く砕け、忠勝を中心に小さからぬクレーターを作っていた。
     その効果も如実に表れている。攻撃を受けながらも持ち前の耐久と技量、そして執念で凌いだ忠勝の身体は未だ健常であり、戦闘続行に支障はない。むしろ道雪を前に不敵な笑みを返す余裕すらあった。
     なお、その陰でスタッフとミケランジェロが天を仰いで絶望していたがそれは些細な問題である。

  • 344火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/04(Wed) 21:54:38ID:UxNTg0MjA(6/36)NG報告

    >>343
    「今の一撃は流石に決まったと思ったのだがな……流石東国最強と謳われた武人というべきか」
    「貴殿の業前こそ。こと頑強に限っては他の英霊にも後れを取らぬと思っていたが、どうやら慢心だったらしい。俺もまだまだ修練が足りぬ」
     忠勝の言葉に道雪は微笑する。
     ――気づけば二人の距離はざっと七丈(現代の単位で約二十一メートル)。お互い宝具を解き放つにはうってつけと言える間合い。
    「如何する本田平八? こちらは先程同様斬り合いに徹しても構わんが、それではいささか物寂しかろう」
    「皆まで申されるな、道雪殿」
     腰を落とし、蜻蛉切を中段に構える。
     先のダメージすら気にならない程、忠勝は集中を高め穂先に魔力を込めていく。
     やがてその高まりが骨頂に達しかけた時、忠勝はその真名(ことば)を解き放った。

    「――踊れ、『蜻蛉切』!」

     斬撃が飛び立つ。
     正しく蜻蛉が飛翔するが如く、空を切り裂き迫るは刃の衝撃波。
     対する道雪もまた、その脅威を前に――

  • 345ディック2019/12/04(Wed) 22:42:56ID:A0OTMxNjg(3/3)NG報告

    >>344
    獣が吼えるように道雪は笑う。
    「はははは!魅せてくれるじゃないか。いいぜ!やろう」
    道雪が雷切を構える。柳生新陰流の八艘の構えに似ていた。
    「この一撃に敵うもの無し。鳴き切るがいい」
    携えた大刀は、刀身に雷撃を纏っている。雷切は空間に遍在するマナを雷に変換するのだ。
    「──『雷鳴一閃、千鳥散し』」
    道雪は刃の雷を、蜻蛉切が起こした衝撃波へとぶちこんだ。雷光の一撃と疾風の一撃が競り合う。
    忠勝は全身を熱で苛まれる。道雪がぶちこんだ雷撃によるものだ。道雪は無数の刃のごとき疾風に刻まれた。

  • 346九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/04(Wed) 23:10:32ID:Y2Njk2NjQ(3/18)NG報告

    >>342
    人は規格外なものと対峙するとかえって冷静になると言うがそれは本当だったようだ。というのが京介の感想だった。
    ガキってお前の方が年下だろうだとか秘奥の一つということはこのレベルのものが他にもあるのかとか精霊女皇と言ったかだとかそんなどうでもいいことが浮かんでは今はその思考は必要無いと端に退ける。
    話には聞いていたが想像通り否、想像以上の神秘の塊を前にゴクリと生唾を飲んだ後自然と笑みが浮かぶ。

    ────何を怖気付いている。この状況を望んだのは俺自身だろう。格上の生物の神秘を欠片でも取り込めればフィルニースの性能向上が望めるだろう。

    「気張れよフィルニース。これを切り抜けられたら、にゃぶ郎のちゅ〇るを一本都合してろう」

    そんな軽口──と言っても当のフィルニースはすっかり萎縮してしまっていたのが嘘のように立ち直ったのだが──を言える程度には余裕を取り戻した京介は今一度眼前の水龍を見据える。

    「テリアルだったな。俺の名は大鳳京介、こいつはフィルニース。別に覚えなくてもいい。胸を借りるつもりでいくので、よしなに」

  • 347火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/04(Wed) 23:35:55ID:UxNTg0MjA(7/36)NG報告

    >>345
     宝具の撃ち合いは、痛み分けに終わった。
     ダメージの度合いで言えば雷撃を受けた忠勝の方がやや重傷に見えるものの、感電による火傷こそあれ出血の方はそれ程でもない。
     道雪の方は散らされたとはいえ無数の斬撃を喰らい、装備・肉体共にボロボロ。元々軽装な事もあり、残った防具も部品だけの状態となっていた。
     ――それでも。
    「ふ、ふふ。ふふははは……」
    「くくっ、くはは……」
     両者の目は戦意旺盛。総身を苛む激痛も、宝具解放による疲労と倦怠感も、まるで支障をきたすに及んでいない。
     むしろ獰猛に笑い、戦に恍惚する様はどこまでも彼等の人外ぶりを証明していた。
     だが当然といえば当然だ。
     何しろ彼らは戦国武将。百年以上続いた大乱、その末期にあってなお我が武勇此処にありと高らかに示した無双豪傑なのだから――!
    「素晴らしい……素晴らしいぞ、立花道雪! 青年の見てくれでありながら、子の技量は正しく磨き抜かれた壮年のそれ! 鬼と恐れられたのも頷ける!」
    「そういう貴様も、ずいぶんと『乗っている』らしい。先程までの礼節はどうした? まるで獣のようではないか」
     道雪の挑発に、忠勝は槍の石突を叩きつけることで応える。
    「笑止! これ程の猛者を相手に己を取り繕うなど滑稽千万!かくなる上は、我らが全霊を賭してぶつかり合う他有り得まい!」
    「――吠えたな若造? こうまで言われては、流石の俺も手は抜けんぞ?」
    「大いに結構。そちらが抜こうが抜くまいが、その手を我が槍で刎ね飛ばすまでの事!」

  • 348火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/04(Wed) 23:36:40ID:UxNTg0MjA(8/36)NG報告

    >>347
     道雪は言葉を返さない。
     否、最早返す必要もない。これより先は生死の境界、すなわち武将と武将が己の全てをぶつけあう昔ながらの血戦なのだから。

    「――行くぞ東国無双。我が息子と並び立つ武勇、その身をもって証明してみせろ」
    「応とも鬼道雪。天下に名を轟かせし無双の極致、とくと味わえ」



     ……そこから先の戦いは、凄絶と呼ぶも生ぬるい有り様だった。
     本多忠勝が槍を繰り出せば、立花道雪がこれを切り払い前に出る。
     振り下ろされる刀の軌跡に、疾風の刺突が応えて打ち返す。
     突き、薙ぎ、払う。斬り、捌き、突く。
     繰り出される技は嵐の如し、いずれも例外なく一撃必殺を期したもの。
     その全てを、互いに凌ぎ互いに穿つ。完全回避など望むべくもなし、文字通り肉を切らせて骨を断たんとばかりのせめぎ合いが重なっていく。
     いつしか二人は武器さえも捨てていた。破壊し破壊され喪失したのか、あるいはどこかで互いに失くしたのか。それすらもどうでもよくなる絶頂の時。
     あるのはただ、眼前の敵を打ち倒す一心のみ。徒手空拳となり、その拳すら砕けかけても止まらない。
     模擬試合であった事もとっくに忘れ――最後の一撃を同時に叩き込んだ瞬間、両者はどうと地面に倒れ込んだ。

  • 349火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/04(Wed) 23:37:03ID:UxNTg0MjA(9/36)NG報告

    >>348
    「……やって、くれたなジジイ」
    「ぬかせ小僧……俺はまだ現役だ……」
     霊核こそかろうじて無事ではあるが、既に立ち上がれる状態ではない。
     互いに天上を仰ぎ、限界まで――あるいは限界を超えて疲労するその姿は、どこまでも笑顔に満ちていた。
    「次こそは俺が勝つ」
    「こちらの台詞だ、たわけ」
     戦闘の余波で破壊され尽くされたトレーニングルーム。瓦礫と残骸の只中で、二人の戦国武将はいつまでも笑っていた。


    ―終―

  • 350山星2019/12/04(Wed) 23:40:55ID:IyMzgwMzY(14/34)NG報告

    「ふむふむ?まあ私の〝目〟でみる限り才能的には悪くない模様。もう少し鍛えれば……それこそ殺し合いや他の魔術の簒奪とかで………まあ、頑張ってみてくださいな」

    黒々と光を飲み込む黒血の爪と泥の鎧に、巨大な蔦が─────


    「いやー、良かった良かった。意地でも私の体に『喰らい付こう』としたのは立派でしたよ……えっと……なんでしたっけ、キョースケ君でしたっけ?あとフィルニース君!まあ?私も一応『至高礼装』を名乗らせていただいていますので、私の一欠片もくれてやる気はありませんでしたけど。では、さようなら!」

    「……アイツ……わざと激しく暴れやがった……魔術回路ゴリゴリだわ……」
    不湯花の魔術回路は平均以上ではあるがかなり優れたものともいえない。魔術の才覚、魔力の運用、その他のセンスはずば抜けているが魔力量や魔術回路自体は一流とも言えない。

    「……大丈夫なのか?体に出血が見られるようだが」
    「この程度で根を上げるなら私は山星家の当主なんて務めてない。……で、どうだった?命の奪い合いじゃないとはいえ、戦闘をした感想は?」

  • 351九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/05(Thu) 00:42:42ID:Q3OTIyODA(4/18)NG報告

    不湯花の質問に京介は『呪血の蠱毒壺』を小瓶やピアスに収納しながら答える。

    「どうだったも何も、やはり俺には正面切っての戦闘は向かないということが分かったな。出来ない訳では無いが、それよりも騙し打ちや不意打ちの方が性に合っている」

    やれやれと肩を竦め手を上げて首を振る。実際この他にも蜘蛛の使い魔による箒の自動操縦での意識外からの突撃や影からの使い魔の襲撃、フィルニースを影武者として操る等といった戦い方は幾つかある。
    妹の飛鳥には「何でそんな姑息な戦法ばっかり…」と突っ込まれているものの京介自身は「正々堂々と戦う意味が無い」と考えていた。
    そんな京介の背中を強く平手打ちする。丁度テリアルに打ちのめされた所で小さく苦悶の声を上げる。

    「でもいざという時は自分が盾になってでも妹ちゃんを守るんでしょう?だったらその時のために少しは戦えるように鍛えなさいよ」

    山星の言葉にはっとする。そうだ、魔術師だ何だと言う前に俺は飛鳥の兄なのだ。空野程とは言わなくとも格闘技を修めるだとかそれこそ今回のように模擬戦を繰り返してもいい。
    そんな事を思いながら鈍痛が響く背中を擦り息を整える。

    「────善処するよ」

    ──終──

  • 352リドリー陣営2019/12/06(Fri) 20:00:45ID:Q5Njg5MTg(35/42)NG報告

    短編リレー開始!

  • 353リドリー陣営2019/12/06(Fri) 20:01:22ID:Q5Njg5MTg(36/42)NG報告

    >>352
    カルデア・トレーニングルーム。
    図書室が再現された空間にて一人の英霊がいた。
    卓と椅子の前に立つ男。自らを天頂無類と信じて疑わない、日本なら誰もが知り思い浮かべるままの伝説的英雄『桃太郎』その人である。
    桃太郎はふと虚空の方を向き、声をかける。

    「隠さんでも良い。其方の姿を捉えるなんて安易なことよ」

    その言葉とともに何もない空間から女が一人現れた。くすんだ金髪のロングヘアで、活き活きと輝くブルーグリーンの瞳が活力に満ちた印象を与えている美女。そしてその胸は豊満であった。ランドグリーズ、『楯を壊すもの』がそこにいたのである。

    「あれま、いつから気づいていらしたんです?」
    「最初からだ。其方の姿は見えずとも神気を感じてることは安易なこと……………」
    「成る程、無思慮な愚か者とは思ってませんでしたが、流石ですわ」

    ランドグリーズは桃太郎をじっと見る。桃色の鎧、その下にある肉体、これ程まで完成されたものはワルキューレとして見るのは随分と久しぶりである。そして対戦は唐突に始まった。
    桃太郎は本棚の本を勢いよく掴む!そして当然ランドグリーズは直感でそれを読んでいた!

    (やっぱりきた本をつかった急襲!投げるか?それとも殴る?……………えっ、読む!?)

    そう、桃太郎は勢いよく本を取り出し朗読を始めたのだ。本の題名は『みんなの童話桃太郎』。ランドグリーズは困惑しているが読み進める。

  • 354リドリー陣営2019/12/06(Fri) 20:01:31ID:Q5Njg5MTg(37/42)NG報告

    >>353
    「も〜もたろさん、ももたろさん。おたびをつきてあしげりを〜ひとつ〜わたしにくださいな。あ〜げましょう、あげましょおうゥッ!」

    その言葉と同時に顔に向かって高速の飛び蹴りを放った!

  • 355ディック2019/12/06(Fri) 20:21:46ID:k2MTM0MDI(1/14)NG報告

    >>354
    唐突の襲撃をランドグリーズは紙一重に避けた。
    ギリギリだったわけではない、相手の動きを流れで読み取り攻撃の軌道を予測して、最小限の動きで攻撃をかわしたのだ。
    「桃太郎さん……」
    戦乙女の玲瓏な美貌は些かも色褪せてはいない。しかし、彼女の冬の湖面のような瞳は剣呑な光を放ち、声は冷え冷えとしている。
    「今のは何の真似ですか? お戯れも過ぎますわ。……度が過ぎる戯れは馬鹿で礼儀知らずな方がすることですよ」
    図書室が再現されていると聞いてやってきたグリムゲルデは、ランドグリーズから発するただならぬ神気の冷たさを感じて、即回れ右をして退室した。
    「わたくし、馬鹿と礼儀知らずが大嫌いなのです」

  • 356リドリー陣営2019/12/06(Fri) 20:34:50ID:Q5Njg5MTg(38/42)NG報告

    >>355
    「この本にはそう書いてあったからな。実際やってみれば、いやはや子供の教育に悪い。」
    「答えになってませんよ?貴方やはり馬鹿ですか?」
    あたりを支配するのは恐るべき冷気、うっかり入ってきた清少納言はさっさと退散してしまった
    「うん……………"いい"。」
    「はあ?」
    「とても"いい"表情をしているぞ其方。やはり憎しみや怒りを浴びるのは"いい"。実に闘いをしている、そんな気分になる。」

    深く頷く桃太郎。そして卓を蹴飛ばし、ランドグリーズにぶつけんとする。卓の裏に桃太郎は隠れて拳を握った。卓ごしから殴るつもりだ!

  • 357ディック2019/12/06(Fri) 21:22:28ID:k2MTM0MDI(2/14)NG報告

    >>356
    ランドグリーズは飛来する卓を蹴り上げる。桃太郎の追い討ちは彼の魔力の流れ、筋肉の伸縮、骨格の運動、霊衣のすれる音。それらで予見できた。
    動きの予測によって初動を早め桃太郎の動きに合わせて、彼の突き手に勢いが乗る前にいなす。
    桃太郎はランドグリーズの後背へすり抜けた。
    「……わたくし、何度も言いましたよね。何度も何度も……馬鹿と無礼者は大嫌いだと」
    ランドグリーズは手元に武器を顕現させた。
    「その喧嘩、買って差し上げましょう」
    金髪の戦乙女は優美に微笑む。
    「その足りないオツムを潰してやるよ!」

  • 358リドリー陣営2019/12/06(Fri) 21:31:48ID:Q5Njg5MTg(39/42)NG報告

    >>357
    「いいな、怒り。其方の強さ、吾(オレ)に味あわせてくれ」
    淡々と口にする桃太郎。信じるものは自らの力(りき)。
    直感で二度攻撃を避けられた。ならば避けるよりも早く"打つ"まで。規格外の筋力を速度に変え、連続的なパンチを繰り出す……………!

  • 359火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/06(Fri) 21:36:30ID:I4OTk2MzA(10/36)NG報告

    お疲れ様です。
    宗茂×忠勝酒盛りSS投下させていただきます

  • 360火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/06(Fri) 21:36:46ID:I4OTk2MzA(11/36)NG報告

    >>359
     カルデアのレクリエーションルーム。
     元々は職員達の交流や暇つぶしの為に用意された部屋なのだが、現在ではサーヴァント達もこの部屋を利用するようになっていた。
     遊戯(ゲーム)、歓談、あるいは撮影に昼寝等々…。利用する目的は様々だが、カルデア内でも人口密度の高い部屋である事に変わりはない。
     そんな部屋を、二人のサーヴァントが訪れていた。
    「遅かったではないか、西国の勇士殿」
    「すまぬ、親父殿に少々捕まってしまってな…。詫びと言っては何だが、取って置きの一品を持参した故ご容赦願いたい」
     部屋に入ってきたサーヴァント――立花宗茂が先客へと笑いかける。
     右手には酒瓶が携えられており、中身がちゃぷんと揺れている。
    「それは結構。こちらとしても名酒と名高い代物を用意していたのでな。飲み比べが実に楽しみだ」
     対する先客こと、本多忠勝も自信ありげにテーブルの酒瓶を鳴らす。見るからに年代物と分かるラベルが張られたそれは、紫色の液体を並々と湛えていた。
    「ほほう。それはもしや、葡萄酒の類か? 随分と由緒ありげな香りがするが」
    「ご名答。砂漠の女王より買い付けた品でな、昔大御所様が飲んでいるのを見て、俺も一度口にしたいと思っていたのだ」
    「あの女王か。それはまた高くついたのでは?」
     宗茂の茶化しに、忠勝はただにやりと笑うだけで応える。
     そうして宗茂が席に着いた事を確認すると、忠勝は待ちかねたように宣言した。

    「では始めるとしようか。第一回聖杯問答、ならぬ東西問答の開幕だ!」

  • 361ディック2019/12/06(Fri) 21:55:20ID:k2MTM0MDI(3/14)NG報告

    >>358
    ランドグリーズは内心の激怒とは裏腹に、桃太郎のラッシュには努めて心は冷静だった。
    動きの予測できるようになれば、次は桃太郎の流れに自分から合わせて、相手の動きを読み攻撃をかわす。洞察力や観察力だけではない、鋭敏な直感もあってこそだ。
    「せぇやっ!」
    ランドグリーズは斧と鉄球を錐揉み回転させながら桃太郎に向かって同時に撃ち出す。
    「ほほぅ、愉快愉快!」
    桃太郎は瞠目しつつも、口元には笑みを比べていた。
    まるで自分の動きを予測しているかのような怒濤の攻撃だったからだ。
    「其方、もしや読心の心得があるのか?」
    彼の突きのラッシュはいなされ、まるで水を切るかのような手応えの無さは気味が悪かった。さながら自分がランドグリーズに動きをコントロールされている、そのよう錯覚を覚える。
    「楽園(ヴァルハラ)に渡るときに教えて差し上げましょう」
    ランドグリーズはにべもなく言い切り。鎖を踏みつけて鉄球の軌道を変え、またしても桃太郎の思わぬ方向から上段蹴りを放つ。

  • 362リドリー陣営2019/12/06(Fri) 22:11:19ID:Q5Njg5MTg(40/42)NG報告

    >>361
    ランドグリーズの鉄球は胴体に、見事な蹴りは桃太郎の首元に炸裂!勢いも含めて並大抵の英霊においてヴァルハラに行ってしまうほどの一撃だ。だが!

    「グァッ!」

    悲鳴をあげたのはランドグリーズ。彼女の蹴りは桃太郎の首ばさみにより無効化。さらに首と肩を使って圧迫され、神秘ゴロシも相まって甚大なダメージが足に入る!
    無論桃太郎とて無事ではない、鉄球は鎧の守りを貫通していたが……………強靭な筋肉でやせ我慢する!口から血を一筋流しながらも桃太郎はランドグリーズの脚を離さない!
    そして桃太郎はランドグリーズの脚を両手で掴む。

    「鬼を一振りで斬る吾(オレ)の素振り。何度耐えられる?」

    高速で素振りを始めた!

  • 363九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/06(Fri) 23:15:31ID:I5MTQ4OTY(5/18)NG報告

    >>360
    東西問答という言葉にほほう、と嘆声を漏らすと宗茂はまず自分が持参した酒瓶を開け、互いの杯に注ぐ。そして静かに杯を持ち上げ乾杯する。

    「問答と言うからには何か議題が欲しいな。と言ってもそこまで堅くない話が望ましい」
    「ならばカルデアに来てからの四方山話などどうだ?」

    忠勝は自分の杯に注がれた焼酎を煽り口角を上げる。宗茂秘蔵の酒はお気に召したようだ。

    「ならばまずは私から。カルデアでは古今東西様々な英霊と出会い語らう事が出来る。それは己の見聞を広める事にも繋がる。何が言いたいかというと
    ────かの牛若丸が女性[にょしょう]だとは夢にも思わなかった!」

    はははと笑い宗茂もまた酒を飲む。喉に残る酒精を感じながらも二杯目を注ぐ。

    「次は忠勝殿の番だ」

  • 364ディック2019/12/06(Fri) 23:37:09ID:k2MTM0MDI(4/14)NG報告

    >>362
    絹のような柔肌を桃太郎は無遠慮に掴んだ。それはまるで鬼を滅ぼした斬魔の太刀を手にしたように……
    「わたくしに触るんじゃあない!」
    心を許してもいない男に触られる屈辱にランドグリーズは怒りを露にする。
    臓物が破裂しそうな速さで素振りをされるランドグリーズは、器用なことにその体勢でルーンを描く。動いている状態では虚空にルーンは描けない。しかし、自分が手に持っている武器ならば可能である。手斧にルーンを描き、その斧を地面へ叩きつける。
    「ぬぅっ!?」
    地面が沼のようになり、桃太郎は虚をつかれる。いかに桃太郎が膂力に優れようとも、脆く不安定な足場であれば踏み込みも満足にはできない。
    「っし!」
    桃太郎の手からすり抜けたランドグリーズは桃太郎から、距離を取る。沼のように不安定になった地面も既にもとに戻っている。
    「ぶっ潰すぞ!」
    ランドグリーズは両手で鎖を操り、手斧と鉄球による縦横無尽な攻撃を繰り出す。ルーンによる強化もあって怒濤のような猛攻をしかける。
    「おお、その武器を手足のごとく扱える腕力、たおやかな肢体でこれ程の身軽さ俊敏さ、信じがたいな!」
    至近距離に迫った棘付鉄球に、横なぐりの一刀を叩きつけた。異様な音を発して鉄球がすっ飛び、返す刀で桃太郎が刺突を繰り出すも斧が右上方から迫り、あやうく右肩から左脇腹まで斬り裂かれかける。
    「ちぃっ!」
    忌まわしげに舌打ちするランドグリーズ。
    桃太郎は斬魔刀を垂直に振り下ろし、水平に薙ぎ、斜めに払い、それらの連続した動作で銀の暴風と化した戦乙女の攻撃をいなしてみせた。撃ちかわされる刀の響きが、桃太郎の耳を乱打した。
    彼の刀が温羅を倒した逸話から始まる数多の鬼退治の逸話を一つに纏め上げた太刀型宝具であるように、彼女の武器も宝具でこそないものの、尋常ならざるものであった。高純度の魔銀(ミスリル)で斧だけでなく鎖や鉄球も作られているのだ。
    「ああ……やはり其方は佳いな。吾の眼に狂いはなかった」
    桃太郎は自らすすんで、ランドグリーズの間合いに身をさらした。十数合にわたって、刃鳴りがつづき、火花が散乱した。周囲の本棚や卓や椅子は木っ端微塵となる。
    「惜しいですね。技に人徳がともなわなかったようですね」

  • 365火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/07(Sat) 00:07:09ID:E3NzAyMzU(12/36)NG報告

    >>363
    「そうさなぁ。俺としても実は女子だったという連中には何度も驚かされた。平安最強の神秘殺し、大江山の悪鬼羅刹、それにあの二天一流だったか? あ奴は色々事情が異なるそうだが、初めて会った時は世の数奇というものを噛み締めたものよ」
    「はは、それはそれは」
    「だがまぁ――――それもこれも、あの第六天魔王と再会した事に比べればたかが知れていたがな!」
     ガツン、と忠勝はぐい飲みを叩きつける。
    「あの小娘ぇ……生前からして高い声だと思っていたが、よもや真に女子だったとは……」
    「ずいぶんと思う所があるようだな」
    「思うも何も! 戦国の頃よりあ奴とその取り巻き共にどれ程我が主が振り回され、御心を砕かれた事か! 味方であった事こそ安堵するが、何かの間違いでもし敵に回ったらと思うと夜も眠れなんだわ……!」
     余りの変わりように、宗茂も流石に顔色を変える。
     具体的に言うと「あ、ヤバい。地雷踏んだわ」といった感じにである。
    「ま、まあ何だ。信長公の話はその辺で良かろう。それに、女子の大名と言えば何も信長公に限った話でもあるまい。信濃の軍神や奥羽の独眼竜も同じだろう?」
    「むう……それは、まあ確かにだな」
    「世界には強い女子が多いというものかもしれん。そう思えば、我らが日ノ本の英雄に女子が混じっていてもおかしくはあるまいよ」
    「……お主が言うと妙に説得力があるな。細君の影響か?」
     さてな、と宗茂は笑って受け流す。
     忠勝もそれ以上問い質すことはせず、この話題は自然と流れていった。

  • 366リドリー陣営2019/12/07(Sat) 03:59:12ID:U0NDE0NzE(41/42)NG報告

    >>364
    「人徳に対しては思うところもある。……………だが、今はよしておこう」

    桃太郎はランドグリーズの前に立ち、構える。自らの神秘ゴロシ、規格外の筋力、そして桃の聖により魔刀に圧力をかけ、極大の呪いを弾き飛ばす!

    これぞ温羅コロシ!解き放たれた呪いは光線となってランドグリーズの逃げ道を塞ぎ襲いかかった!

  • 367亥狛の人2019/12/07(Sat) 09:01:13ID:Q5MzAwMjg(1/5)NG報告

    伏神四日目、投下します!

  • 368亥狛の人2019/12/07(Sat) 09:01:35ID:Q5MzAwMjg(2/5)NG報告

    四日目、午前十時。

    冬の伏神は曇天。
    何処までも広がる灰色の空は寒さだけでなく気怠さを運んで来るようだ。
    女魔術師シスカ・マトウィス・オルバウスは緩慢な動きで珈琲を口に流し込んだ。
    いつも通りの遅めの朝。だがしかし今日ばかりは怠慢な彼女ではいられない。
    つい先刻人と会う約束を取り付けたのだ。
    スマートフォンの画面には通話履歴がずらりと並び、その一番上に『朽崎家 当主』という名前がみえる。
    「さて、退屈凌ぎに御三家の顔でも拝みに行こうかと連絡したは良いものの……約束を取り付けた途端に面倒臭さを感じてしまうのは一体どんな理屈なんだろうな」

  • 369亥狛の人2019/12/07(Sat) 09:02:09ID:Q5MzAwMjg(3/5)NG報告

    >>368
    んー、と背筋を伸ばす。飲み終えたコーヒーカップにまた更に淹れたての一杯が注がれた。
    彼女が入れたのではない。彼女の魔術をふんだんに使った全自動珈琲精製器がそうしてくれたのだ。
    ガラスと真鍮製の魔道具はプスプスと蒸気を噴霧し、水飲み鳥の要領で適量の珈琲が注がれる。さながら怪しい科学者が徹夜明けに織り成す朝の風景か、B級スチームパンク映画の一幕か。
    「よし、これを飲んだら行こう。決めた」
    本日三杯目。余所行きのモードに切り替わるまでに相当な時間を必要とする彼女であった。


    外はもうすっかりと日が昇り、社会人は齷齪と額に汗をし生産的活動に勤しんでいた。そんな中を悠々と歩く、向かう先は朽崎が指定した喫茶店だ。
    煉瓦造りの歩道をヒールが叩いて、軽快な音とともに魔術師が行く。
    指定された喫茶店は昨今人気の長ったらしいカロリーの化け物飲料を提供するような雰囲気とは無縁の、古めかしくも洒脱な店だった。

  • 370亥狛の人2019/12/07(Sat) 09:02:42ID:Q5MzAwMjg(4/5)NG報告

    >>369
    「如何にもナポリタンとか出しそうな………ま、私は別にどっちのサ店も嫌いじゃないけど」
    店先を覆うようにして生えた植物に、店の扉へと続く石畳の道。それらを横目に扉を開くと、何とも趣のある空間が広がっていた。
    喫茶店の店主と思しき御老人はこちらを見ると、ごく小さな挙措で指定されたテーブルへと案内してくれた。
    恐らく朽崎の当主が席を予め確保しておいてくれたのだろう、何ともいじらしいじゃないか。

    適当に温かい珈琲を頼んで腰を落ち着ける。
    本日四度目の珈琲。
    カフェイン中毒になりやしないかと人狼に心配されるが、この程度で中毒は言い過ぎだと毎度反論している。
    知り合いのアメリカ人は水分補給は全て珈琲で賄ってるというのに、とも。
    だがそう言うと「屁理屈をいうな」「ンなわけないだろ」と一蹴され借りてきた猫のような気持ちになるのは毎度ながらの恒例だった。

    なので、あの小煩い狼人間が居ない時間を見計らってこうして珈琲を堪能する他にない。

  • 371亥狛の人2019/12/07(Sat) 09:03:05ID:Q5MzAwMjg(5/5)NG報告

    >>370
    芳醇な豆の香りを存分に堪能していると、待ち人はふらりと現れた。
    「いやぁ、お待たせして申し訳ないです」
    「いいのいいの。此処の珈琲美味しいから、この味に免じて許そうじゃないか。
    というか、こっちも急に呼び出したんだから言いっこなしだろ」
    空になった器を揺らして応じる。
    何も知らない外部の人間からすれば妙齢の外人と大学生の待ち合わせにしか見えないだろうが、蓋を開けてみれば魔術師同士の会談だ。
    どちらも真っ当な魔術師とは程遠いから本来のおどろおどろしい雰囲気とは無縁だが、曲がりなりにも魔術師である。
    必然的に空間はひり付く。

    シスカは店に他の客が居ない事を確認すると。
    「んで、どーだい近況は。なんか最近好い事あった?」

  • 372伏神アサシン陣営2019/12/07(Sat) 16:48:52ID:QzMDcwNjM(6/26)NG報告

    「やった、やったぞ、やってのけたぞ」

    アサシンは未だに刺した感触の残る掌を開閉させじっと見つめる。
    下から聴こえる喧騒は意識の外だった。
    心臓がいつもより熱を持って跳ねる。
    自分でもまさかここまで上手くいくとは思わなかった。
    きっかけはふとした事だ。ただ手頃そうな標的を求めて街を眺めていたら美人なカップルがいたから襲った。
    それだけだ。まさか男の方がサーヴァントだとは思わなかったし、女の方がマスターだとはもっと思わなかった。
    だが、現実は至って冷静で表情を変えない。

    「ふふふふふふふふふふふふふふ」

    マスクの下から、籠った女性の引きずる様な笑い声が漏れる。
    自分は最早知名度の無い、マイナーな犯罪者では無い。
    怪人だ。
    人を襲い、民衆を恐れさせ、正義の敵となる。
    今の自分はいつだったか憧れた怪人そのものだった。
    挨拶がわりにほんの少しだけ散布させた毒ガスに混乱は止まらない。
    たった少量であれなのだ。宝具を開放した暁には自分は世界の覇者になれるのではないか。

  • 373伏神アサシン陣営2019/12/07(Sat) 16:50:34ID:QzMDcwNjM(7/26)NG報告

    「ひゃっひゃっひゃっひゃっ!!いひひひひひ!!!」

    そんな傲慢で低俗な仄暗い喜びがアサシンの頭の中を占め始める。
    ふと、あのサーヴァントを殺した手が視界に入った。
    手は、どこか揺らいでいて、ザザッと砂嵐が入った様に見えた。

    「………?」

    興奮に体を支配されすぎたせいでそう見えたのだろう。
    そう結論づけるとアサシンはマスターと思われる女を肩に乗せると、名残惜しそうに事件現場を見下ろしてから高笑いを残して飛んで行った。

  • 374ディック2019/12/07(Sat) 18:20:48ID:gxNjA1Njk(5/14)NG報告

    >>366
    「───いい加減に、しろぉぉっ!」
    グリムゲルデはランドグリーズと桃太郎がぶつかり合うちょうど中間へ、空中から地上に向けて竜巻の様に斬りつけた。
    破魔の閃光を無数の剣戟で切り裂き霧散させ、魔銀の斧を受け流し、返す刀で鉄球を弾いた。
    二刀のセイバーにふさわしい、二つの神剣を左右異なる精密動作で剣技を振るった。
    「何者か?」
    「グリムゲルデ!」
    桃太郎の誰何には、本人の意図せずしてランドグリーズが答えた。
    「あなたたち、いい加減しなよ。二人がぶつかったせいでシュミレーターに不調が起きたって、ミケランジェロとドミニクが怒ってる」
    シュミレーターの故障に対応するためにも、まずはその原因であるランドグリーズの神気と桃太郎の闘気を鎮める必要があったので、マスターの藤丸立香からグリムゲルデは頼まれたのだ。
    グリムゲルデは怒るランドグリーズが怖いが頑張ったのだ。
    「そうですか、マスターにまで心配させてしまいましたか……」
    ランドグリーズはそう言うと苦虫を噛み潰したような顔で押し黙る。武器も既に構えてはいない。
    マスターである少年に仕えることを存在意義と定義するランドグリーズにとっては、些末な事で彼に迷惑をかけてしまうのは決して本意ではなかった。

  • 375ディック2019/12/07(Sat) 18:20:59ID:gxNjA1Njk(6/14)NG報告

    >>374
    「すみません、グリムゲルデ。あなたにも迷惑をかけてしまいました」
    「───気にしないで、だけどマスターたちには謝っておいたほうがいい」
    「それもそうですね。……けれど、まずは私室に戻らせてもらいます」
    「私室に?」
    「ちょっーと、サンドバッグに用事がありまして……ホホホホ♪」
    (サンドバッグに……?何故……?)
    わかないままグリムゲルデは承知して、ランドグリーズを見送った。
    戦乙女のやりとりを見守っていた桃太郎はグリムゲルデに視線を向ける。
    「其方の剣技、お見事也。故に」
    「素振りなら一人でやりな」
    桃太郎の誘いを最後まで言わせずに、グリムゲルデはにべもなく言い捨てシュミレータールームから出ていった。

    以上です

  • 376九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/07(Sat) 23:00:18ID:EwMzc1MTI(6/18)NG報告

    >>365
    次の話題をとなったので今度は宗茂が頭を捻る。

    「次の話題はそうだな…お互いの第一印象などはどうかな?」
    「ほう、それはいいな」

    忠勝は既に大分酔いが回っているのか抑揚に頷き初めて会った時の記憶に思いを馳せる。

    「そうだな、俺から宗茂殿への第一印象を述べるなら『一見人当たりの良い青年に見えるが、内から底知れぬ鬼気を感じる』と言ったところか」

    それを聞いた宗茂は軽く吹き出してしまう。鬼気ときたか!とこちらもまたややテンションが高めである。

    「私からの忠勝殿への第一印象はあれだな、『噂に違わぬ覇気、まるで鞘に収められた太刀の如し』だったよ。お互いの第一印象をまとめると────」

    「「こいつ、出来るな!」」

    同時に同じ事を言った二人は再び堰を切ったように笑い合うのだった。

  • 377火属性の人◆2qny/qsKfA2019/12/07(Sat) 23:04:53ID:E3NzAyMzU(13/36)NG報告

    >>376
    「いやしかし、お主が持ってきた酒は実に美味い! 見た所日ノ本の酒に見えるが、一体どうやって手に入れた? よもや越後の竜からくすねてきたとかではあるまいな」
    「まさか。左様な士道にもとる真似はせんよ。こいつは正真正銘、このカルデアで造られたものだ」
    「……造られた?」
     予想外の言葉に、忠勝は酔いも忘れて宗茂を見つめる。
     すると宗茂は悪戯っぽく笑い、由来を明かした。
    「ご存じだろう? このカルデアにはあらゆるサーヴァントが召喚されている。我らのような武勇に長けた者、執筆や絵画、その他創作活動を生業とする者、そして――酒にまつわる逸話を抱えた英霊たちも」
    「おい、それはまさか」
    「察しが良くて何より。この施設、どうやら我々が想定している以上に空き部屋の類が多いそうでな……一部の連中が、そこにつけ込んでこっそり完成させたのだそうだ。すなわち、醸造所というやつを」
     さしもの忠勝も唖然とし、宗茂の言葉を反芻する。
     まさか自分が与り知らぬ間にそんな壮大な計画が進められていようとは。呆れるべきか驚くべきか、忠勝は同じ英霊たちの所業に心底絶句した。
    「で、だ。どうせ造るならと、連中あらゆる酒造りに手を出してるらしくてな。今回の酒盛りに当たって、その内の一本を頂戴してきたというわけだ」
    「なんとまあ……」
     思わぬ出所に驚いたものの、酒が美味いことに変わりはない。
     辛口ながら濃厚な味わいと、舌に残る米の香り。かつて慣れ親しんだものとは大きく異なるが、それでもその味わいは在りし日を思い出せてくれる。
     異邦の地で味わう故郷の酒。その感動と喜びと数奇さを噛み締めながら、忠勝はさらに景気よく酒を飲み干した。

  • 378九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/08(Sun) 00:25:35ID:kxNjAxMjg(7/18)NG報告

    >>377
    東西問答が始まって1時間。そこには完全に出来上がった酔っ払いが二人居た。

    「いやぁしかしこの葡萄酒は美味い!家康公も飲んでいたと言うが素晴らしい舌をお持ちのようだ」
    「そうだろうそうだろう!酒は百薬の長と言う。他にも大御所様は食事や薬など、健康に気を使っておられてな!」

    忠勝の長くなる話を肴に宗茂は更に酒を注ぎ飲んでいく。途中で酒が足りないからと追加で酒を調達して来ていたのだ。酔った男二人、砂漠の女王にはさぞいいカモであっただろう。
    閑話休題
    ふと二人はある話題に行き着く。『東国無双と西国無双、どちらが強いのか』である。しかしこの話題は生前から幾度か繰り返された話題でありその度模擬戦をしていた。結果は…ここでは敢えて言うまい。

    「そうだ、久し振りに手合わせしようじゃないか!」
    「望むところ!此度の召喚は弓兵なれど、剣の腕が落ちた訳ではない」

    忠勝が蜻蛉切を手に取り、宗茂は雷切を抜刀する────レクリエーションルームで
    そして

    「止めんか馬鹿共!!」

    雷が落ちた。

  • 379一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/12/08(Sun) 00:53:14ID:IyOTY0NjQ(1/30)NG報告

    第■回投下いたします。
    長らくお待たせしました、申し訳ありません。

  • 380一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/12/08(Sun) 00:53:25ID:IyOTY0NjQ(2/30)NG報告

    「あー……いや、あたし達そこのキャンプ場で昼飯食べてただけなんだけど……(山火事って、もしかして………………?)」

    「(《恐らくはその時の煙だろう。マスター、どう対処する?彼の連れているサーヴァントの実力次第では、私はここで脱落になるぞ……》)」
    「(でも、向こうはやりあう気は無いッぽいし…………別に戦わなくていいんじゃない?)」


    「…………聞き間違いじゃ無かったらいいんだけど。この子たち『さっきキャンプ場で昼食を食べてた』って……」
    「……私も聞きました、嘘は言っていません……(脈拍・筋肉の駆動・発汗、どれも正常でした)」
    「………………つまり、僕の早とちり?」
    「……………………そうなりますね」


    「「……………………………………」」
    無言。
    気まずい雰囲気が、両陣営の間を流れた。

  • 381一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2019/12/08(Sun) 00:54:38ID:IyOTY0NjQ(3/30)NG報告

    >>380
    この後

    ・昼食食べて無くて腹がグーグーへりんこfireなハリーくんに、残り物で銀河がご飯やらサラダやら味噌汁やら鮭の塩焼きやらを作る。
    ・ハリーくんが『youはどこから会場に?(意訳)』と質問し銀河が「実家の虚神町から、徒歩で」と解答。
    ・会話を盗み聞きしていたマリアが計算してみると『通常、徒歩だと最短でも6時間以上かかる』と解が出て『彼女は、何かしらの魔術を使えるのかもしれない』とハリーくんが推測する。
    ・女子小学生をほっとけなかったハリー君が同盟の提案、渡りに船とばかりに銀河が乗っかる。

    以上の展開を踏まえて剣陣営と同盟を結びます。

  • 382ディック2019/12/08(Sun) 10:23:45ID:Y3MDc3MzY(7/14)NG報告

    >>378
    「彌七郎、平八殿」
    雷鳴のごとき一喝の後の言葉は静かな、重く響くものだった。忠勝は声の主を確認するために振り向いたが、宗茂は先程までの高ぶる覇気は霧散しており、ゆっくりと振り向いた。その態度はまるで悪戯が厳格な父親にバレた少年のようだった。
    「道雪殿……」
    「親父殿……」
    宗茂は自分よりとも年下と見える青年の登場ですっかり畏縮している。それもそのはずで彼こそは立花宗茂の養父である立花道雪であった。
    「俺はよい息子を持ったものだ。酒に酔って腕力沙汰を起こすなど、勇気と義侠心のない者には、とうていできぬことだからな」
    道雪の毒舌は、息子にたいして厳格すぎるものであったかもしれない。宗茂は悄然と項垂れる。道雪の厳しい教育を受けて育ったことで晩年になっても養父には頭が上がらなかった。
    「面目次第もありません……」
    「道雪殿、この酒盛りも、立合いを誘ったのも俺なんだ、どうかそのくらいで」
    朋友のあまりの撃沈ぷりに思わず忠勝は仲裁をいれようとする。
    「……戦うのは構わんが、立合いたいならばシュミレータールームを使え。子どものサーヴァントもおる故に酒に酔った腕力沙汰を起こすのが日本武士(ひのもとさぶらい)だと思われるのも困るからな」
    「はい、そうします」
    忠勝と共に宗茂も頷く。
    「あの……それで、親父殿はなぜここに……?」
    「ああ、よい清酒を作ったのでこれを手土産に将門公や大嶽丸と飲み会をしようと思っておったのだ」
    平将門と大嶽丸が道雪の呑み仲間だということは宗茂も知っていた。酒豪でも倒れるほどの信じがたいほどの量の酒を延々と飲み続ける地獄のような飲み会だ。
    その飲み会を知った宗茂は「魔の宴だ……」と恐れおののき巻き込まれることのないように避けていたのだ。
    「俺のことはよい。立合いをするというならば、彌七郎、東国無双と立ち合える機会などそうはないのだから存分に楽しむがよい。──わかっているな?」
    負けたらわかっているよな?という、養父の心の声を聴いてしまった宗茂は負けられない理由が出来てしまったと、さながら出陣するときのような胴ぶるいを覚えた。

  • 383ディック2019/12/08(Sun) 20:31:48ID:Y3MDc3MzY(8/14)NG報告

    フランス特異点投稿します。

    「……いかんな」
     ルイは崩された体勢を、全身に力を入れて無理矢理に立て直す。魔力を身体中に漲らせて炎を放出する。
    「―――おぉっ!」
     爆発的に放射される火炎。ルイから光の瀑布となってそれは周囲を埋め尽くす程の数多の炎の斬撃に転じ、カルデアの面々を襲う。
    「―――ぬぅっ!」
     鉄すら溶かす炎熱の奔流にも、臆せず寺田の双眸は凄まじい殺気と血光を放っていた。
     寺田は信じられぬほどの跳躍力をもって、空へ上がり空中で身を翻しながら風の中で回転して、旋風を巻き起こすような無数の斬撃をもって炎熱を斬り裂き、後方にいるマスターたちを守り、立香は余波で数メートル後方へ飛ぶだけで済んだ。
     ルイは再び炎を物体として具現化することで欠損した指を形成する。剣を握り魔力を通わせ技を振るう。切り上げるように振るう剣から三連の斬撃を放ち、巨大な業火の斬撃が寺田だけでなく後方の立香まで迫るように奔る。
    「ぬぅっ」
     あろうことか、寺田は立香を駆け寄り、彼を蹴り飛ばした。さっきまで立香がいたところへ炎の斬撃が迫っていた。もしも寺田が行動を起こさなければ立香の冥界へと旅立っていたことだろう。
    「しっっ!」
     寺田はマスターを蹴り飛ばした体勢から転じて、衝撃を伴った強烈な斬り上げでルイを弾き飛ばした。
     一方―――
    「ぐふぅっ!?」
     唐突な寺田の行動と痛みで思考停止した立香が吹っ飛ばされる。
    「!」
     珍しく困惑した厩戸皇子がマスターであろう少年を受け止める。少年の体重と加速でました衝撃に、太陽王との戦いで疲弊した厩戸皇子は思わぬ激痛に苛まれる。
    「っ……!」

  • 384ディック2019/12/08(Sun) 20:33:18ID:Y3MDc3MzY(9/14)NG報告

    >>383
     思わず顔を顰めたくなるところを根性で堪える。痛みに呻くなど、ましてやうずくまるなど、彼の矜持が許さなかった。
    「あ、ありがとう……。大丈夫です……か?」
    「問題ない……」
    「いや、でも……」
    「問題ない」
    「あ、はい……。う、うん。ありがとう……」
    「気にするな。それにしても、あいつも無茶をする……」
     立香を介抱しつつ、厩戸皇子が寺田とルイの戦いに目を向ける。甚大苛烈な、力の奔流が吹きすさぶその戦いは、まるで炎と炎のぶつかり合いだ。
     立香が厩戸皇子の肩に触れる。そうすることでカルデア礼装が起動する。
     藤丸立香が斬る制服はカルデアの技術の粋を集めたもので、それを着れば立香のような魔術が使えない者でも魔術が使えるのだ。そして今回立香が使う魔術は“回復”。
    「おお、大義である」
    「痛みはどう?」
    「ああ、よく効いている。星見台の魔術師どもも大した技量だな。斯様な礼装を作るとは」
    「この礼装なら俺でも傷を治せるんだ。……あんまり大きい怪我だと俺の体力が激しく消耗するらしいけど」
     この礼装は潜在能力の一時的な引き上げに過ぎない前借なのだ。この魔術を使ったことで立香は精気を抜き取られることで疲労感と虚脱感に襲われる。
    「徒人に術を使わせるならばさもありなん。もう回復は充分だ」
     少年の疲労を見抜いた厩戸皇子そう言って立香の回復を中断させる。自分と寺田との契約でただでさえ神秘に触れることに慣れない立香の心身には負担を強いている。それをより重くすることは避けたかった。
    ルイと寺田の戦う渦中へ向かおうとする厩戸皇子の袖を立香が掴む。

  • 385ディック2019/12/08(Sun) 20:35:05ID:Y3MDc3MzY(10/14)NG報告

    >>384
    「太子様、この礼装には回復以外にも効果があるんだ。この魔術礼装を使えば……俺も、太子様の役に立てるよ……」
    「卿は充分役に立っているよ。魔力を尽くして私を現界せしめるもてなしぶり。近侍としてその忠勤まことに大義であるぞ」
    「それじゃあ足りない!」
     立香は自分でも信じられないくらいの声量だった。ルイの威風を浴びて四肢は震え、胆が冷える思いをしたが、それでも言わずにはいられなかった。
    「ラ・シャリテでは大勢亡くなったのに何もできなくて……、リヨンでもこれじゃあただの案山子だ!言われるがまま契約して、言われるがまま戦いを傍観して……それで平気なわけないじゃないか」
     立香は重くのしかかる疲労感を気合いと握る拳の痛みで堪える。
    「卿は勇敢だな。恐怖に震えながら、尚そのようなことを言い出すとは」
    「太子様や寺田さんがいるから何とかなるかなって……。情けないです、戦っているのは太子様達なのに」
    「それがサーヴァントというものだ。気に病むことはない」
    「それに、どうやら俺は怒っているみたいです」
    自分がフランスに来て抱いた悔いは、迷いは、何のためにあったのだ?
    「そうか、怒っているのか」
    厩戸皇子は微笑む。
    「ならば、その怒りは私が卿の代わりにあの王に届けてやろう。『こんチクショウ!ふざけるな!』とな」
    「え、いや、そんな……。というか口調でしたっけ?」
    「は、は、は、は、は」
    厩戸皇子は微笑むだけで答えない。
    「私は卿の剣だ。君がやるというなら否応なし。できる限り私は力になろう」

  • 386ディック2019/12/08(Sun) 20:36:38ID:Y3MDc3MzY(11/14)NG報告

    >>385
    ◇◆◇

    (これは……)
    ルイはセイバー二人を相手にして違和感に気づいた。
    厩戸皇子と寺田宗有。セイバー二人は交戦を続けることで互いのリズムや太刀筋を覚えて順応しはじめたのだ。順応するようになればコンビネーションによってルイを追い詰めようと動き始めた。
    ルイにしてみれば一方のセイバーに対応しつつも常にもう一方のセイバーへ気を配らなければならないのだ。いかに太陽王の持つ魔力が膨大であっても二人に分裂することはできない。
    (それでも、我(フランス)にはその刃は届かない!)
    精鋭たるセイバーたちの攻撃を近づけないよう、炎の刃で距離を取りつつその業火で押し切ろうとする。魔力のバックアップが万全であるルイだからこそできる戦法だ。
    (炎の刃、攻め難し!)
    厩戸皇子や寺田にしても依然としてルイの怒濤の連撃にはつけ入るのも困難であった。炎の刃は揺らぎ、大きさ長さは常に変化する定形ではないが故に慎重に見極めなければ、避けたつもりの攻撃を受けてしまう。
    だからこそ、厩戸皇子は法術を使うタイミングすら与えてもらえない。
    「そろそろ、終演にしよう!」
     ルイが剣を斜めに一閃する。剣閃に沿って魔力放出(炎)が炎熱の刃となる。宝剣の一振りで広範囲かつ縦横無尽に無数の斬撃を放つ。
    「がぁっ……!」
    一瞬のうちに全方向に放たれるこの斬撃を全て見切ることもかなわず、寺田は炎に呑まれ爆発したのである。
    「寺田っ!」
    「俺に構うなぁぁ!」
    厩戸皇子とて例外ではない。見切ることはおろか間合いの外に出ることすら困難な炎の檻。大気が激しく振動し、閃光によって漂白された直後、オレンジ色に輝いた。
    立香は自分のサーヴァントの生存をパスによって知覚している。だからこそ、迷わず礼装を使う。

  • 387ディック2019/12/08(Sun) 20:37:44ID:Y3MDc3MzY(12/14)NG報告

    >>386
    「礼装起動(プラグセット)!危険回避(バック・ブリンク)!」
    鳴動と爆風により視覚と聴覚が混乱するなかで、ルイは自分に向けて光とも影ともつかぬ存在が襲いかかってくるのを、ルイの瞳に映し出した。
    「……!?」
    ルイは虚をつかれ瞠目する。七星剣を持って迫る厩戸皇子が現れた。
    「礼装起動(プラグセット)!瞬間強化(ブーステッド)!」
     立香は身体を苛む痛みを無視して礼装を連続使用する。厩戸皇子は全身に力が漲ることを知覚する。
     この力は一時的なものでしかない。それも一分も持たないであろう。
     厩戸皇子は駆ける。一足跳びで今まで越えられなかった距離を越える。彼は再び太陽王へ迫る。
    「はっ!」
    鉄をも断つ気勢の声。
    ルイは狼狽する。先程の会心の一撃によって、欠損した身体を補う分を除けば、彼が統制できる魔力はほとんど使い尽くした。技はでない。
    しかし反応する。宝剣を握り直し、そこで気付く。身体と炎でつくれれた義体との動きに僅かなズレがあることを……
    両人ともに、時間がゆっくりと進んでいるように感じた。
     寂寞たる時が流れた。
    その静寂な世界に在って、対峙するふたりの満面からは血の気がひいて、生きながらにすでに死相を呈している。ふたりの視覚、聴覚―――あらゆる感覚からは眼前の相手以外はすべて消え失せた。
    二つの剣尖に、陽光が妖しく描く二つの光芒が交わった。
     その二つの光芒が、チカッとはねた。立香の眼には、光の輪が広がって交錯したのが灼きついた。
     立香がハッと眼をこらしたとき、厩戸皇子とルイは、依然として刃を青眼にかまえたまま相対していた。
    胴斬りされたルイは赤い霧風のような血しぶきにくるまれている。―――が、その血の霧風が去ったあと、銅像のごとく以前としてそこに立ったままのルイの姿が見られた。

  • 388ディック2019/12/08(Sun) 20:40:36ID:Y3MDc3MzY(13/14)NG報告

    >>387
    肩より斬りつけられた袈裟斬りによって霊核が割断されてしまったが、それでも斃れず立っているのは王者としての矜持ゆえに成せたことだった。
    構えたままのルイの剣が、しだいに浮動しはじめた。剣尖が下がりかけては、またわずかに上がる。それだけの動作が、今のルイには数トンもある物をあげるより大苦闘であるらしく、そのひたいに脂汗がひかり出した。
    「太子様!」
    負傷した寺田を介抱しながら、立香が厩戸皇子を見てあえいだ。
    「騒ぐな、負傷したのは私だ、卿ではない」
    厩戸皇子は、このようなときに、片手で乱れた髪を撫でつけた。冠が無くなっていることにようやく気づく。
    「マスターの仕事に、サーヴァントに代わって悲鳴をあげるというものはなかったはずだぞ」
    日出処の天子は、苦痛よりも繁雑さにたえる表情で、自分の状態を確認する。黄丹の袍は緋色に染められていた。噴き出る血が、このとき白い細袴を伝い靴先まで達して、地面にしたたった。
    背中にある無数の切り傷も、背筋が収縮するまでの短時間に、背面に緋色の滝を作っている。
    厩戸皇子はルイへ語りかける。青ざめた、だが不遜なほど平静な笑う。
    「太陽王、私は最後に問いたい。卿は理性と良識に富んだ人物だと思っておったのだがな」
    「恐縮だ」
    「だからこそ、このような愚挙に参加するとは、理性も良識も居眠りしているとしか思えなんだ」

  • 389ディック2019/12/08(Sun) 20:41:07ID:Y3MDc3MzY(14/14)NG報告

    >>388
    長くなりましたがここで終わりです。アリウムさんよろしくお願いします。

  • 390レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/09(Mon) 20:21:57ID:kyMjA0MTA(1/18)NG報告

    西暦20XX年。日本の関西近畿地方で……何度目か数えるのも馬鹿らしくなる聖杯戦争が執り行われる事になった。
    私にとっては待ちに待った千載一遇のチャンスだったし、今まで築いてきたコネと資産を投げ打ってでも掴み取る価値のあるモノだった。
    右の手の甲を摩る。それはあの日から染み付いてしまった癖だった。彼を想う時、ここに繋がりの証が刻まれていたのだと縋りたくなる時の

    時計塔からの推薦枠のマスター候補として異邦の地に降り立った私は……有り体に言って道に迷ってしまった。

    (東雲邸ってどこにあるのよ…ニホンの地図難し過ぎない…?)

    そんな最初の一歩を踏み出す前に窮地に陥った私は偶然ある少女と出会った。

    「ありがとう。とても助かったわお嬢さん。私の名前はジゼル、ジゼル・G・ウェントワース。お礼にコーヒーでもご馳走したいのだけど」

    途方に暮れていた私に親切にしてくれた彼女の名前は…

    ーpass

  • 391ガイ・フォークス2019/12/09(Mon) 21:00:41ID:Y4NzgyMDQ(1/4)NG報告

    >>390
    「久しぶりね、ライノ。できればこんな形で会いたくはなかったのだけれど・・・・・・」

    レアちゃんに会いたい。その一心で痛む体を引きずっていた私に、そんな言葉が投げかけられました。顔を上げると、そこにいたのはこの町では珍しい栗毛をした女の人。外国の方です。どこかで一度あったような――
    思い出そうにも、頭の中は濃い霧がかかったように霞んでいてはっきりとしません。まるで夢の中みたいです。
    私の沈黙をどう受け取ったのか。女の人は言葉を続けます。

    「『バル・ブライア』。あそこね、気に入っちゃって何度も足を運んだわ。食事はおいしいし、店長は・・・・・・その、独特な感じだけれども・・・・・・慣れるととってもいい人よね。紹介してくれたの、覚えているかしら」

    ――ああ、思い出しました。
    ジゼルさん。日曜日、住宅街で地図を広げて右往左往していた人。てっきり観光かと思って町の中心地を案内したら、本当はレアちゃん家に用があったみたいで、かえって遠回りになっちゃったんだっけ。それでもすっごく喜んでくれて・・・・・・
    ふっと目の前が明るくなったような感覚。わずかなきっかけに連鎖して、つい数日前の記憶が蘇りました。

    ◆◆◆◆◆◆

    「私は下畑来野っていいます!いいんですか?やったー!喫茶店なら、私、実はとっておきの場所を知ってるんですよ!」
    ――pass

  • 392ガイ・フォークス2019/12/09(Mon) 21:19:11ID:Y4NzgyMDQ(2/4)NG報告

    >>391
    ◆以降の部分を以下のように差し替えでお願いします。


    すっごく優しくて良い人で、彼氏さんに会うために頑張っているオトナの女性で――
    そんなジゼルさんが、半壊したレアちゃんの家の前で、私を拒むように立ちふさがっていた。

  • 393レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/09(Mon) 21:48:42ID:kyMjA0MTA(2/18)NG報告

    >>392
      バーサーカー陣営を排除せよ
    招集に応じなかった1人を除く、私を含めた3人のマスターは市の主だった場所で待ち構える事となった。
    人払いの結界があると言っても過信は出来ないというのもあるが、疑心暗鬼にならざる得ないこの伏神市の現状で共同戦線を張るのは難しという方が大きい。
    秘された八騎目……否、初めのサーヴァントの存在は監督者の信用を欠くには十分過ぎる要素だった。それで3人も集まったのだから御の字だろう。
    セカンドオーナーである東雲邸の前で対象がやってくるのを待つ。待つ。待つ。待、来た。
    アーチャーが仕掛けたトラップを物ともせずバーサーカーと、そして

    「久しぶりね、ライノ

    ◇◇◇◇◇◇

    口を動かしながら手も動かす。
    袖口から零れ落ちた水銀のようなナニカ。魔術礼装[マーブルガム]は滴り落ちながらその一粒一粒が回転し色を変え、次第に私の周囲を取り囲む様に宙に浮き公転軌道を始める。
    それは銀の月、赤き火星、青い水星……星々の似姿が擬似天体を構成し───

     アナタを止めに来たよ」

    魔力によって生み出された炎が、水が、雷が、風が、土が少女に襲い掛かる。
    ーーーpass

  • 394Requiem◆B8D4AQBhU22019/12/09(Mon) 22:03:03ID:AwNzQ3OTU(1/4)NG報告

    >>371
    なんというか。こういった年上な女性と間近で話すのはかなり緊張する。
    いや、母を思い出してやりにくい、が適当か。勿論やり様はいくらでもあるが、心情と行動は別な訳で。
    更にはサングラスで目が見えないから『ウチの事情なりを見透かしてきそう』などと想像をしてしまったり。隠し事をしてる以上、この女性との”お話”は最大限の注意をしてかかる必要がある。「オタクから預かってた聖杯、壊しちゃってましたー!」なんてバレたら面倒だし……。その場合聖杯戦争で彼女のチームが有利になるような協力をする事で許して貰おう。いけるか?無理なら無理で仕方ない。そもそもシスカさんとこが勝てばほぼ確実にバレるからな…。
    とりあえず先ほどの質問への回答を考えつつ、丁度テーブルに届いたコーヒーを飲んで
    「うんおいしい。20越えて気恥ずかしいですが、俺って苦いの苦手で。でもココのマスターが淹れるのは割とイケるんです。貴女の口にもあったようで一安心って気持ちですねー。たまに克服しようと思って自分の家でもインスタントコーヒーに挑戦してみるんですが、砂糖や練乳をぶち込んで飲んじゃって。妹に『変な気分になるから、アホ兄貴は家で飲むな!』って怒られて遅々として全然進展しないんですよね」
    「あ、分かる。分かるよ青年。同居人が小煩いと中々好きな様にはいかない。かく言う私もそうでね。とある少年と同居してるんだが、コレがコーヒー嫌いで、嫌いといってもコーヒーが、というよりも私が一日に何杯も飲むのがお気に召さないらしい。こういう時でもないと気ままに飲めないから、ココが指定されて嬉しい、って気持ちもあるのさ。ところで青年。妹さんと喧嘩とかしてるのかい?アホ兄貴だとか、けっこうな呼ばれ方されてるようだが」
    「分かりやすく兄妹喧嘩、ってのはないですよ。寧ろ俺が散々苦労をかけてるぐらいで…、ああ、そうそう。最近の好い事、でしたっけ。そりゃあ勿論今のこの街、伏神の現状ですよ。無事に聖杯戦争が開催し、特に大きすぎるトラブルも無く進んでいる。広範囲のガス中毒やそれによる昏倒、飛行機の墜落未遂、なんてのはありましたが、ある程度は許容範囲」
    「俺には”根源への到達”とかいう魔術師の基本目的はこれっぽっちも理解できませんが、聖杯戦争自体には夢があると思ってますからね。神秘の隠匿や監督役の補佐もそれなりに楽しいですし悪くはないなぁ、と」

  • 395ガイ・フォークス2019/12/09(Mon) 22:21:01ID:Y4NzgyMDQ(3/4)NG報告

    >>393
    「ライノ!」

    ジゼルの動きにまず気が付いたのはバーサーカーだった。強力な魔術の気配を察し、來野のもとへと走る。
    しかし、道中何者かに仕掛けられていた「まるでバーサーカーを狙い撃ちして分断させようとしているような」罠によって遅れをとっていた彼女の手は、すんでのところで届かない。複数の天体球が來野の体を貫いた。
    あっけにとられたような表情で地面へと倒れ伏す來野。何も知らなければ、ここで決着がついたように感じるだろう。しかし、
    (・・・・・・まだ終わっていない!)
    ジゼルは油断なく術式を展開し続ける。事前に得た情報が、この「怪物討伐」が容易なものではないことを彼女に知らしめていた。
    変化はすぐに起こった。來野の肉体がタールのような物体として溶け出し、水たまりを作る。それがズルズルと宙に向かって伸びていき――

    「そう、あなたも・・・・・・ジゼルさんも、私のことが嫌いなんですね。あなたも、レアちゃんも――みんな私(バケモノ)のことなんか、『消えちゃえ』って思ってるんだっ・・・・・・!」

    復活した來野には、それまでの弱弱しい様子は無く、代わりに湛えているのは激しい怒りの色。信じる者に裏切られた地獄のような怨嗟が渦巻いていた。

    「いいよ。ジゼルさんがそうするんだったら・・・・・・あなたも食べてやる!私に手を上げられないように、私を虐められないように!ずっと私の味方でいるように!!血も骨も肉も、全部私のものにしてあげる!!!!」

    どぷり、と來野の足元の黒い水たまりが波立ち、2匹の黒い獅子が飛び出した。獅子たちは脅威から來野を守るように、また敵対者を排除するかのように、猛烈な勢いでジゼルにとびかかった。
    ――pass

  • 396レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/09(Mon) 22:57:05ID:kyMjA0MTA(3/18)NG報告

    >>395
    赤い眼を爛々と輝かせた黒い獅子の猛攻が迫る。その爪が、牙が身体を捉えようとした瞬間、擬似天体を集結させるとそれは高熱と共に夜闇を照らす光を発し始めた。
    それは白き太陽! 獅子を一匹巻き込むカタチで現れた太陽を中心に、地球として定義されたジゼル自身が宙に浮き公転軌道に乗り距離をる。
    着地と共に擬似太陽はその光を急速に失い、黒ずんだ固形物となって地面に落ちた。万能の魔術礼装[マーブルガム]はその万能性と引き換えに短命であった。(そして高価でもあった)

    獅子と、そして憎しみを瞳に湛えた少女と向かい合いながら言葉を溢す。

    「嫌いじゃない。あなたのこと、決して嫌いじゃないわライノ……でもね」
    (私の"好き"はあの人に捧げてしまったから)

    踵を鳴らす。再び溢れ出たマーブルガムが今度は紫と緑が綯い交ぜになったヘドロの様に地面に広がりながらガスを噴出する。

    幻覚性のガスが二人のいる空間を書き換えて見せる。それは激流の川を渡る吊橋。一直線上にのみ行き場を幻視させる空間であった。
    そして手にバリツマスター仕込みの杖を構える。

    「好きは与えられるものじゃなくて、勝ち取るものよ」
    ーpass

  • 397ガイ・フォークス2019/12/09(Mon) 23:24:28ID:Y4NzgyMDQ(4/4)NG報告

    >>396
    「・・・・・・っ!!」

    突然現れた深い谷、そして揺れるつり橋に、さすがの獅子も進撃を躊躇する。
    來野もまた、ふいに変わった周囲の環境に動揺を隠せない。不死の魔術師の能力を(不幸にも)手に入れたとはいえ、もとはただの女子高生。常識外の状況にはまだ耐性が無いのだ。
    前に進むこともできず、相手が杖を構えるのを見ていることしか――

    谷間に、一発の銃声が響き渡った。同時にジゼルの杖が弾きあげられる。

    「ライノ、さっきはごめんよ。でも今度は間に合ったね」

    亜麻色の長髪を吹き荒れる風にたなびかせたスーツ姿の女性が來野の前に立つ。バーサーカーのサーヴァントである。
    モデルのような体形にミスマッチな男物の青いスーツ。そのジャケットの内側から取り出した拳銃が火を噴いたのだ。
    主人である女子高生に背を向けたまま、彼女は優しく語りかけた。

    「大丈夫、こんなものは全部まやかしさ。さあ。僕と視覚を共有するんだ・・・・・・なあに、緊張する必要はないよ。僕と君の間柄じゃないか。念じるだけでうまくいくよ」

    バーサーカーには見えている。この世界の本当の姿が。

  • 398レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/09(Mon) 23:58:33ID:kyMjA0MTA(4/18)NG報告

    >>397
    現れたバーサーカー。あの様子からライノは既に幻覚から脱してしまったようだが……

    「アーチャー!」

    虚空に消える呼び声に応えるようにバーサーカーとライノに向けて矢が、鉄筋が、割れたガラス片が襲い来る。
    それをバーサーカーは危うげなく弾き飛ばすが、放たれた方角からサーヴァント特有の気配はない。気配遮断スキルを持たないアーチャーにその様な芸当が出来るのかと言えば否であり…

    「懲りずに罠か、卑劣な奴め!英霊同士の神聖な闘いを穢す行為。恥を知るがいい!」
    ((気持ちいいくらい啖呵切られてるわよアーチャー))
    ((言わせておくさ。手筈通りに事は運んでいるのだろう?))
    ((一応、ね))
    「ライノ、そしてバーサーカー。アナタに大切な事を教えてあげる。  恋する女の子は最強だって」
    ((女の子?((うるさい!))

    指揮者の様に振り回したジゼルの指先から桃色に反射するマーブルガムが迸る。

    「恋する気持ちは、こんなにも世界を輝かせる」
    「恋は、こんなにも胸を締め付ける……!」
    ーpass

  • 399ガイ・フォークス2019/12/11(Wed) 10:45:47ID:IyNDY2MjA(1/3)NG報告

    >>398
    ジゼルの詠唱と同時に、バーサーカーの眼前に眩い輝きが広がった。瞼を閉じようとも消えることないそれは、彼女がしばしば幻視する、アトリエの窓から差し込む暖かな木漏れ日によく似ていた。
    (ああ……昨日のことのようだ)
    かつての妖しい秘密と優しさに包まれた幸せな日々が脳裏に去来し、バーサーカーは思わずその情景に心を奪われる。

    画材や描きかけの作品が雑多に並ぶレンガ造りのアトリエに、炭を走らせる音が心地よく響く。時折目線を持ち上げると、キャンバス越しに2人の目が合った。それは偶然ではなく、互いに求めているのだ。世界の全てを、実物よりもずっと素敵に映し出す……セーヌ川のごとく美しい瞳を。
    「描けた?」
    好奇心旺盛な子猫のように身を乗り出してくる彼女から見えないように、僕はわざとキャンバスを傾ける。
    「いや、全然ダメだ。書き直し」
    「貴方に限ってそんなわけないでしょう。見せてよ」
    画板をひったくった彼女は、僕の狙い通りに不思議そうな声を上げた。
    「あら?とても良く描けてるじゃない。なんで失敗なんて……?」
    「いや、そんなんじゃ全然さ。なぜなら君は、昼にあってはほころぶ野花。僕はミツバチになり、君を探し求めてキスをする」
    不意打ちでぐい、と彼女の腰を引き寄せて唇を奪う。それから、しばらくの繋がりの後、顔を赤らめて俯く彼女の耳元で僕は優しく囁く。
    「そして、夜にあっては満月の月。いくら良心的な僕だって、君を見たらオオカミになって飛びかかる。こんな小さな布の中じゃ、君の魅力を、ほんのつま先程度にも表現できやしないよ。……ところでさ、久しぶりに月の君にも会いたいのだけれども、今晩空いているかな?」
    「もう……!」
    彼女は拗ねた風を取り繕って、僕をやんわりと突き飛ばした。それからくるりと後ろを向いて、逃げるように扉に向かう。出ていく直前、ちょっとだけ振り向いて「食べ物を買ってこなくちゃ……6時くらいにまた来るわ」なんて言うけれども、それも全部、真っ赤になった顔を隠すためだって僕にはわかっているんだ。
    それから……

    それから……?

  • 400ガイ・フォークス2019/12/11(Wed) 10:46:02ID:IyNDY2MjA(2/3)NG報告

    >>399
    狭い廊下が映し出された。『僕』の頰は上気し心臓はバクバクいっているみたいだけれども……いや、『僕』は何もない日ならずっとアトリエにいるはずだ。こんな場面知らない。
    スキップしそうになるのを堪えながら表通りへ。今晩はどんな服を着て行こうかしら、どんなのが似合うかな……と身だしなみチェックに覗き込んだお店の窓ガラスに映っていたのは、綺麗な亜麻色の髪をした女性だった。

    どう言うことだ?なんで僕がジャンヌの姿に……?
    深く考えるな。脳が理解を拒んでいる。この記憶の理由を知ってしまったら……致命的な何かが闇の底から這い出てきてしまうような、そんな嫌な予感がした。
    それでも本能的に思考は巡り……僕は気づいた。
    そうだ、僕とジャンヌはもはや分かち難いほどに一心同体。サーヴァントとなった今でも、ずっと彼女がそばにいてくれているんだ!

    眩い輝きが晴れて現実に引き戻される。ふと傍を見ると、ジャンヌが僕の肩に体重を預けて佇んでいた。ほらみろ、いつだってーー例え死が2人を分かとうとも、僕らは一緒だ。
    この繋がりを守らなくては。そう思うほどに全身が奮い立ち……僕は敵対者へと引き金を引いた。

  • 401ガイ・フォークス2019/12/11(Wed) 10:48:54ID:IyNDY2MjA(3/3)NG報告

    >>400
    以上です。胸の苦しみ(物理)にバーサーカーを縋ったライノの姿が、バーサーカーにはジャンヌに見えています。
    また、これ以降狂化の内部ランクが一つ上がります。よろしくお願いします。

  • 402ガイ・フォークス2019/12/11(Wed) 19:01:36ID:cwMTcxODQ(1/2)NG報告

    >>398
    「っ、ああっ……!」
    胸を万力が締め付けるような痛みに襲われ、少女は苦悶の声を上げた。幻痛とでも言うのだろうか、見えない何かを引き剥がすように胸を掻きむしろうと、一向に楽になる気配はない。しかしながら……少女が怯んだのは一瞬だった。
    彼女はこれまでの経験を通して知っていた。自分は並大抵のことでは滅びることはなくーーこの苦痛から逃れるためには、目の前の敵を打ち倒すしかないと。息もまともに吸えない状態にありながら、バーサーカーの肩を支えに、キッと相手を睨めつける。
    「っ、かはっ……っは……」
    通常の魔術であれば発音も、精神状態を整えることもできないこの状態は致命的であったが、幸いにも彼女の「力」は詠唱を必要としない。
    来野が差し伸べた手から、大小様々な毒蛇の津波が相手に向かって勢いよく吐き出された。

  • 403ガイ・フォークス2019/12/11(Wed) 19:01:58ID:cwMTcxODQ(2/2)NG報告

    >>402
    次いで、ライノパートです。
    お願いします。

  • 404亥狛の人(伏神四日目、バーサーカー陣営)2019/12/11(Wed) 23:17:29ID:E2NDUxOTE(14/29)NG報告

    「頼もしい限りだ」
    シスカはくつくつと笑う。
    「いや聖杯戦争の運営役と聞いたもんだから、さぞ首が回ってないものかと心配してはいたんだ。
    君が遣り甲斐を感じているようなら何よりだよ」
    これならこちらも思う存分動いても問題なさそうだ、と嘯く。
    無論冗談のつもりなどではない。聖杯戦争に関わると決めた以上は他者への思い遣りなどとうに捨てたつもりだ。
    だがそんな事を敢えて管理役に宣言する程彼女も浅慮ではない。
    「…お手柔らかに頼みますよ?」
    「はは、でも君も楽観視は出来ないと思うぞ?今後聖杯戦争はより苛烈さを増していく、それに比例して市街への波及も広がるだろうからね」

    そう言うと何の変哲も無いコピー用紙を数枚ほど机の上に広げた。

  • 405亥狛の人(伏神四日目、バーサーカー陣営)2019/12/11(Wed) 23:17:52ID:E2NDUxOTE(15/29)NG報告

    >>404
    紙にはパソコンの画面が印字されており、どうやらネット掲示板の書き込みを印刷したものらしい。
    内容は伏神市で実しやかに囁かれる噂話に関する話題であった。
    「例えばこれなんか……『ごるごるさん』だっけ?笑えるよなぁこのネーミングセンス、何とも言えないチープさとか実に私好み。
    この話題、聖杯戦争開催前から突如湧いて出た点からみても───聖杯戦争関連の情報統制の取り零しと見て間違い無いだろう」

    店員を呼びつけてコーヒーの追加注文を頼んだ。本日五杯目、そろそろ人狼に止められる領域に差し掛かりつつある。
    店員が調理場へと向かったのを横目で確認しつつ、
    「基本的には聖堂教会の仕事だろうが、彼奴らも完璧とは言えないからね。その辺のフォローも管理役の腕の見せ所というか、辛い所だな。まあ頑張りたまへよ」

  • 406理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/12(Thu) 19:44:42ID:Y3MDA3MDQ(1/6)NG報告

    モールド・オブ・メトロポリタン。
    メトロポリタン美術館の地下に広がる莫大な地下空間……そのまた一画。
    リオナとの縁を錨(アンカー)として駐車されたシャドウ・ボーダーの一室に、2人の英霊が集められていた。
    1人は傾いた容貌を持つ大男。
    1人は純白の戦装束に身を包む美女。
    男の名は大嶽丸。
    女の名は白雪姫。
    藤丸立夏が率いるサーヴァント一同の中でも、特に中核を担う2人だった。
    「今から2人にはこれを飲んでもらいます」
    立夏が差し出してきたのは2本の硝子瓶。 その中には、リオナが神酒と呼んだ液体が並々と満たされていた。
    「……こいつが」
    「神酒……」
    声を揃えて呟く白雪姫と大嶽丸。
    異聞帯の食物を前に、流石の2人もやや面食らっていた。
    「それで? 俺達2人を集めた理由は? まさか、この酒で俺達2人に酒盛りでもさせるわけじゃなかろう?」
    「まさか」
    同じく面食らう白雪姫を見ていつもの調子を取り戻す大嶽丸。そんな鬼人の軽薄な態度に立夏は否と即断する。
    そして、人類最後のマスターは、口角を釣り上げた不敵な笑みを浮かべて。
    「キャスターの分析で神酒のサーヴァントの霊基を強化する力があることがわかってね?  2人にこれを飲んでもらいたいの」

  • 407理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/12(Thu) 19:45:32ID:Y3MDA3MDQ(2/6)NG報告

    >>406
    「私達が……これを……?」
    「そう。映像を見終わった後、セイバーとバーサーカーに外の警護を頼んだでしょ? その時にみんなで相談して決めたの。もちろん拒否権はあるし、その時はまた話し合えばいいからさ」
    「ふーん……こいつをねえ。俺の舌に合うといいんだが」
    大嶽丸の美食家としての審美眼、どこまでも食にこだわる鬼の好奇心が目の前の神酒に向けられる。
    「そうか……みんなで私を……かたじけない。頂くとしよう」
    頭を下げる白雪姫。そこに謙遜の態度を見た立夏は即座に詰め寄った。
    「そう。みんなで選んでみんなで決めたの。セイバーに……マルガレータに神酒を飲んでもらおうって。だから『かたじけない』なんて言わないで。みんなのことを思って『かたじけない』って思ったのなら、そこはちゃんと胸を張って誇ってほしい……なんて、偉そうに言えた義理はないけどね。戦いになると私なんて役に立てないし」
    自重げに、そして真剣な声色で問いかける立夏。
    ピキリ、と音を立てて白雪姫の……マルガレータと呼ばれた少女の心にヒビが入る。
    それは立夏も、大嶽丸も、そしてマルガレータ本人も気づいていなかった彼女を被う殻。そこに初めて傷をつけたのは、藤丸立香の何気ない一言だった。

  • 408理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/12(Thu) 19:46:25ID:Y3MDA3MDQ(3/6)NG報告

    >>407
    「も!ち!ろ!ん! バーサーカー……大嶽丸も一緒だよ!  みんな2人に飲んでもらうのが1番だと思ってる。どう? 引き受けてくれる?」
    腰に手を当ててそう宣言する立夏に大嶽丸は苦笑する。
    鬼である自分を信頼しすぎだろう。裏切ったらどうする? 神酒なんてものを飲んだやつが的に回ったらまずいんじゃないのか?
    喉元から出かけた言葉を大嶽丸は鬼の胆力を持って封じ込める。
    無粋が。あまりにも無粋がすぎる。
    大嶽丸は鬼だ。ただし彼は決して畜生ではない。
    情も信念も心意気も、人の心情というものをすべからく理解している。
    故に彼は、この場で己がすべきことをわかっていた。
    「よっし! それじゃあ決まりだな。乾杯しようや、セイバー」
    「乾杯? ……なんに対してだ?」
    大嶽丸の思いつきに訝しむような視線をマルガレータが向ける。
    「そんなもん決まってらあな。これからの戦い、その勝利にだよ」
    「勝利に……なるほど。それならいい。気に入った」
    満足気にそう言いながら神酒に手をかける雪華の姫。それに合わせて鈴鹿山の鬼は豪快な仕草で蓋を開ける。
    「それじゃあ、次の勝利に……」
    「ああ。次の勝利に……乾杯!」
    カチン、と小気味よい音が鳴り。2人は神酒を一気に飲み干す。
    そして……異変はすぐにやってきた。

  • 409理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/12(Thu) 19:46:47ID:Y3MDA3MDQ(4/6)NG報告
  • 410理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/12(Thu) 19:49:24ID:Y3MDA3MDQ(5/6)NG報告

    >>408
    「ぐっ……なるほど、こいつはたしかに……」
    「そうだな……なか、なかっ……堪えるな……」
    膝をついて悶え苦しむ2人の英霊。当然だろう。大嶽丸と白雪姫の霊基(からだ)は今、神酒によって作り替えられているのだから。
    立夏からしたら30秒ほど、大嶽丸と白雪姫には一生続くように感じられた時間が終わる。
    「ふ、2人とも……大丈夫? 建てないなら肩を」
    貸そうか? と声をかけようとした立夏の言葉が詰まる。
    2人の英霊が立夏に浴びせかけたのは、凍気と呪詛が織り交ぜられた波動だった。
    「……うん。大丈夫だ。感謝するぞ、立夏」
    前者を放ったのは白雪姫。
    静謐を湛える蒼い瞳の内に、物皆尽く凍りつかせる極寒地獄が宿っている。
    「はっ、俺がこの程度でくたばるとでも思ったか?」
    後者を放ったのは大嶽丸。
    怨念、怨嗟、慟哭、狂気、畏怖、憐憫、嘲笑、そんな負の感情が綯い交ぜになった暗黒の意思が立夏に直撃した。
    無意識であったから耐えられた、と立夏は思う。
    大嶽丸や白雪姫にに立夏を害する意思があれば、彼女は物言わぬ屍となっていたであろう。

    (そうじゃなかったら、舌を噛み切ったくらいで耐えられるわけがないよね……こんなの……)

  • 411理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/12(Thu) 19:50:08ID:Y3MDA3MDQ(6/6)NG報告

    >>410
    「そっか……よかった。じゃあみんなのとこに戻ろうか。早速作戦会議だよ」
    「あいよ。行こうぜ、マルガレータの姫さん」
    「なっ、お前、その名前を一体どこで」
    「さっき立夏が言ってただろうが。それともなにか? 俺がそう呼んじゃなにか不都合でも?」
    「い、いや……何故だろうな。不思議と、お前に呼ばれるのは悪い気がしないよ」
    先導するマスターの背後でわあわあと言い合う2人。
    そんな2人のやり取りを小耳に挟みながら立夏はしみじみ。
    (うんうん。喧嘩するほど仲がいい……仲良きことは美しきことかな、ってね)

  • 412Requiem◆B8D4AQBhU22019/12/13(Fri) 22:28:59ID:YzNDk4MTU(2/4)NG報告

    >>405
    「ええ勿論。俺はまだまだ若輩の身ですが、頑張ってこなそうと思ってますよ」
    んー、しかし。教授の事がバレてるのはちとマズい気がする。いやまぁ代理というか招待客であってソレ以上の繋がりはほとんど無いから俺まで辿り着くまでには至らないと思うが、それでも俺が聖杯戦争自体にある程度介入してるのに気づかれるのは良い傾向じゃ無いのは確かだ。
    どーやって誤魔化すかなぁ…、そう考えながら、シスカさんがテーブルに広げたコピー用紙を確保する。お互いにこの程度の情報を確保してるだろうから意味なんてほぼ無いが、まぁ貰っておいて彼女の手間を微増させるのは悪手ではなかろう。
    「いやーしかし『ごるごるさん』『ごるごるさん』ね。俺達も使い魔や聖杯戦争の運営による人海戦術やらで隠匿以外での対策も打ってますが、手懸かりは掴めないわコッチへのコンタクトは無いわ。ホント困っちゃいますよねー。一応ですが俺って伏神の管理者の家系ですから、定期的な連絡ぐらいは欲しいモノです」
    「ん?ココのセカンドマスターは東雲、って家系のお嬢ちゃんだろう?あ、一応って事は事情があるんだね」
    5杯目のコーヒーを飲みながら、彼女が質問してくる。へぇ、ある程度この街の状況は知ってる訳だ。つついてみるか…?
    「ええ、ちょっと前に朽崎…、というか俺が東雲家に伏神の管理権をレンタルしたんです。病院や学園の運営とか、土地以外の色々が大変だった、ってのが理由ですねー」
    「なるほど。あ、店員さん。このコーヒーも頼むよ」
    6杯目…、めちゃくちゃ飲むなこの人。カフェイン中毒とかにはならないんだろうか…。
    「で、話を戻しますが、ごるごるさんの正体というか下手人?の正体ってなんだと思います?適当でいいですけど、元御三家としての意見は聞いておきたいなと」
    「そうだね…、獣性魔術師、かな?時計塔だとグラシュエート家が有名だが、あの魔術は精神に異常をきたすケースが多いというじゃないか。だから狂った「幻狼」がこの街で人を喰らっている、いうのはあり得ない話じゃないだろう?」
    「獣性魔術、ですか。そういえば数年前にアーデルハイト家が魔術を獣性魔術から獣化魔術に名称を変更したそうですが、アレってなんでですかね?んー、とりあえずソレっぽい奴がこの街に来た、的な感じは無いですので、ちょっと違うかもしれませんねー」

  • 413Requiem◆B8D4AQBhU22019/12/13(Fri) 22:30:33ID:YzNDk4MTU(3/4)NG報告

    >>412
    んー、この感じだと、教授の正体や俺と彼の関係性は割れてないかなー。分かってりゃもうちょい圧かけてくるだろうし。2杯目のコーヒーを注文しつつ、言葉を発する。
    「でも、参考になりました。どうも。…で、俺はごるごるさんの情報をどうすればいいんですかね?」
    ……引っかかった、かな?今まで余裕綽々って訳でも無かったけど、瞳がちょっと動揺した。
    「どう、とは?私だって魔術師の一人だよ?もう少しは隠匿して欲しいに決まってるじゃないか。それとも何か?コレの犯人は私達じゃないか、とでも?そう思ってるなら違う、と言っておこうか。ウチのサーヴァントは騎士でね。少なくとも自発的にソウルイーターの真似事をするような子じゃあない」
    「ああ、そうですか。コレは失敬」
    ペコリと頭を下げる。上目遣いで彼女の様子を伺うとちょっと安心してるみたいだ。ココで刺す。
    「いやぁ、すいません。実は昨日、新たなサーヴァントの召喚がほぼ同時期に起こったらしいんですよね。クラスはバーサーカーで多分霊器は正規のサーヴァントには満たないそうですが…」
    「おや、ソレは本当かい?中々召喚のタイミングが遅いね。何回かサーヴァント同士の激突はあったってのに。しかも霊器が弱いのか。変なチョイスをしたと見える」
    「ええ、おかしいんですよねー。この聖杯戦争、結構前から召喚枠は完全に埋まってたんですよ。三騎士にアサシン、ライダーとアヴェンジャーですね。あ、サーヴァント現界数が規定の量に満たないのは、気にしないで下さい。特に戦争に問題がある訳じゃないですよ?」
    ベラベラと、一気に情報を放出し、畳み掛ける。
    「ともかく。割とイレギュラーではあるんですよ。多分ですが、聖杯に詳しい人物が召喚した可能性が高い。いやぁ誰が召喚したんですかねー?心当たりあります?元御三家のシスカさん?」
    まー確信は持てないけど、おそらく十中八九この女性だろうけどね、新規バーサーカーのマスター…。ウチの聖杯について知識がある魔術師なのだし、サーヴァント召喚術式のサンプルもあるんだし。勿論この人がマスターだ、と言い切れる訳じゃないし、違う可能性が皆無でもいいが。とりあえずハッキリはさせておきたい。状況の整理は大事なのだ。監督役としても、俺個人としても“どう動くか”に非常に影響しそうな案件なのだし。さぁて、どう出る?シスカ・マトウィス・オルバウス……!

  • 414レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/14(Sat) 11:41:21ID:MxODI4NjA(5/18)NG報告

    >>402
    ◇◇◇

    「それじゃあジゼルさんは彼氏さんに会う為に日本に来たんですか?」

    ンン゛

    思わず変な声が出そうになるのを堪えながら誤解を解こうとしたが、それもなんと説明していいやら。
    相手が英霊だなんて話したら頭がおかしい人だと思われないだろうか、という問題以前に聖杯戦争に纏わる話を一般人にする訳にはいかない。
    右手の甲を摩りながら取り繕った笑顔を浮かべながら考える。この親切な少女に何と言って誤解を解くべか……
    ……

    「そうなの。彼ってば世界を転々とする仕事してるから中々会えなくて……だから今回は私から会いにきたの」

  • 415レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/14(Sat) 11:43:22ID:MxODI4NjA(6/18)NG報告

    >>414
    きっと、見栄を張って嘘を吐いたのがいけなかったのだろう。

    「素に銀と鉄、礎に石と───

    空で暗唱できる様になった呪文を唱えながら再会への期待と不安が膨張していく。
    サーヴァントは召喚された先での記憶を保持出来ないと言う。……そんなこと、いったい誰が確かめたのだろう。
    彼はきっと、きっと私の事を覚えている。覚えていて欲しい……ただそれはまだ少女の頃の私だ。今の私を見て、私だと分かってくれるだろうか?
    ユーウェイン、貴方が居なくなってからこんなにも月日が経っちゃったけど、頑張ったと褒めてくれるかな。それとも嫌がるかな?

    加速する思いを乗せて召喚は執り行われた。だが結果は

    「……アーチャー、召喚の儀に応じ参上した。お前が私のマスターか?」

    フードを目深に被り、濡れたマントで身を隠した男が立っているだけだった。
    アーチャー、弓兵。恐らくサーヴァントの彼が唯一持ち得ないクラス適性……。
    真名を名乗らないのは気になるが、信頼に重きをおくタイプなのだろう。気落ちした姿を見せられない。

    「私の名前はジゼル。ジゼル・グリンダ・ウェントワース。七代目ロッキンガム侯爵、英国女王の名代として聖杯戦争に臨む貴方のマスターです」
    「英国、女王……?」

  • 416レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/14(Sat) 11:44:25ID:MxODI4NjA(7/18)NG報告

    >>415
    微かな殺気と共にアーチャーは短剣を抜くと流れるような動作で私の喉元に刃を突き付けた。咄嗟の出来事に身体だけ反応し、手にしたステッキで叩き落とそうとするが純粋な腕力差で阻止されてしまう。

    「問う。お前の主とする女王は善き人間か? お前は悪しき王政の使者か?」

    ……成る程オッケー。ここで質問の答えをミスすればゲームセットであの世行き。よく分かったわ。ならどう答えるべきかも……

    「私は、私の正義の天秤を持ってここに立っている。陛下に過ちあれば私が正す。それがグリンダの字名を与えられた私の忠義の形……舐めるなよ、アーチャー」
    「ふん…」

    小さく鼻を鳴らして短剣を納めたアーチャー。
    どうやら何とか第一問はクリアしたらしい。もうノーヒントノータイムで生死に関わる問題を出されるのはゴメンだ。先に出題の傾向だけでも掴んでおこう。

    「女王陛下の意思は、聖杯による御子息の救済。ですが私はそれとは別に願いを持って聖杯戦争に参加しました」

    その願いは、最早断たれてしまったけれど

    「今の私は勝利を。そして次なる聖杯戦争を望みます。アーチャー、貴方は聖杯に何を願うのですか」

  • 417レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/14(Sat) 11:45:55ID:MxODI4NjA(8/18)NG報告

    >>416
    ◇◇◇

    前面に展開したマーブルガムの防護壁を銃弾が貫通し、割れた壁面から無数の蛇が波となって押し寄せる。

    「アーチャー、任せた!」

    どの様な効果があったのか、それは分からない。そういう魔術だ。困ったことに。
    強化を施した肉体を支配し全ての力を損失無く跳躍に変える。
    空中でアーチャーに抱き止めら、もう一段高く駆け上がる。
    無数の蛇が逆流する滝の様に追い縋るが、アーチャーが手ずから放った火炎瓶をマトモに食らってその勢いを減じた。
    (獅子に蛇…報告には聞いていたけど何でもありね…)
    着地。蛇の群れは警戒しているのか私たちを取り囲む様な動きで一旦襲うのをやめて機を伺っている。
    だが、ライノとバーサーカーの様子から二人はまだ術中にあるのは確かだ。ならば…

    「アーチャー、宝具を開帳しなさい。手筈通りに」
    「……承知した。これは歪んだ愛、一方的な忠誠…….『顔の無い騎士』」

    短剣を眼前に構えたアーチャーの言葉と共に宝具が展開された。

  • 418レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2019/12/14(Sat) 11:47:31ID:MxODI4NjA(9/18)NG報告

    >>417
    「バーサーカーの真名に心当たりはないのか、マスター。大分特徴的な人物だと思うが?」
    「そうね。男装の麗人でバーサーカーになれる様な逸話を持ってる人なんて凄い有名人でしょうね」

    ………
    ……


    「知ーりーまーせーんー! 悪かったわね!?でも拳銃使う様な時代の人を召喚するなんて考えもしなったんだもの!もっと強い英霊ならごまんと居るじゃない!なんなのバカなの?!」
    「落ち着け」
    「はい…」

    「でもね、報告の内容から分かる事は多いわ。きっと愛に生きた人だったのね」

    ◇◇◇

    故に、『顔の無い騎士』はジゼルにではなく、相手のマスターに掛けられる。
    敵対サーヴァントが自身のマスターの存在を知覚できないように

    ーpass

  • 419伏神アサシン陣営2019/12/15(Sun) 13:09:23ID:U2Mzk5MzU(8/26)NG報告

    「やー久しぶり我が家よ。でも生きてた頃と生活水準が然程変わらないのはどういう事?」

    廃ビルの五階に開いていた穴からアサシンは女を抱えて入り込む。ホコリが舞い、ただでさえ悪い視界を更に曇らせる。
    その先に男の背が見えた。

    「ん?もう帰ってたのマスター」
    「…………」

    ウィリーはアサシンに背を向けたまま動く様子が無い。
    女を抱えたまま手持ち無沙汰になりアサシンが余所見を始めた時、突然彼は口を開いた。

    「説明しろ」

    その声は平坦で抑揚が感じられない、いつもの声だった。
    だが、サーヴァントであるはずのアサシンすら一瞬心臓を掴まれたかと錯覚するほど恐ろしく冷たい声でもあった。

    「え、ええとね…。私って一つの場所でじっとしてられない性分なのよ。それでマスターの所からエスケープしてぇ…」

    どもりながらも慌てて己の保身に走るアサシン。無視するという選択肢もあるはずなのに、その発想を浮かばないほどの威圧を感じ取った故に取った行動だった。

  • 420伏神アサシン陣営2019/12/15(Sun) 13:10:34ID:U2Mzk5MzU(9/26)NG報告

    >>419
    「それで、確かあの時街ボーッと見てたら」
    「令呪を持って命ずる」
    「ああそうだ。なんかこうムラッとして人襲いたくなっちゃって…今なんか言った?」
    「今後は俺の命令に従え」

    それは迅速だった。
    アサシンが女を投げ捨て、ナイフを抜き、ウィリーに飛びかかる。首に通っている血管を横に引き裂くために放たれた一閃を防ぐ術などこの至近距離に立っているウィリーには無い。
    まさしく必殺だった。

    「動くな」

    ーーーだが、令呪の効果はそれを上回る。
    アサシンの体は宙で止まり、そのまま落下する。ただでさえ英霊としての霊基が最低格であり対魔力も持ち合わせていないアサシンに効果は予想以上のものだった。
    自分の意思で指を一本も動かせない。

    「…っ」
    「もうこれ以上お前の行動は看過できないから使わせてもらった。まずこの女が何者なのかを喋れ」

    未だに意識を取り戻そうとしない女をウィリーは観察する。

  • 421伏神アサシン陣営2019/12/15(Sun) 13:11:03ID:U2Mzk5MzU(10/26)NG報告

    >>420
    コートを着込みサングラスをかけた背の高い女は、まるでモデルの様なプロポーションと顔立ちだった。最もただのモデルならどうとでもなるが、今のウィリーにはどうしても見逃せない点があった。

    「…なんかのサーヴァントのマスターだよ。でもそのサーヴァントはもう殺しちゃったから何のクラスかはわからないけど」
    「マスターか…」

    右手の甲に輝く赤い刺青。それは何よりも彼女がこの聖杯戦争に参加してるマスターの一人であることを示していた。
    仮に従えているサーヴァントがもういないとしても、令呪が有るか無いかではその意味が全く異なる。令呪が残っていればマスターを失ったサーヴァントと再契約が出来るからだ。
    つまりこのまま放置しておく事はリスクを伴う。

    「アサシン、この女の手首を切れ」
    「…殺さなくていいの?」
    「それはまだ早い」

    この女が他の陣営と接触を持っているのなら情報を聞き出す事が出来る。そうすればこの四日間分のアドバンテージを一気に得れるだろう。

    「まぁ…こんだけ命令無視してるのに自害とか一番つまらんのに使わなかった事には正直驚いてるよ。感謝は微塵もしてないけどね」

    恨みがましい声色で呟きながら、アサシンは銀色に鈍く輝くナイフを取り出す。ため息混じりの中、凶器は振り下ろされーーー

  • 422伏神アサシン陣営2019/12/15(Sun) 13:11:48ID:U2Mzk5MzU(11/26)NG報告

    >>421
    「……!?」

    女は目を覚ました。
    それは危機を察知した本能のせいか、または彼女をここで物語から脱落させない為に運命が働いたのか。

    「あ…どうもアサシンです」

    どちらにせよ、これ以上ない最悪のタイミングだが。

  • 423亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/15(Sun) 19:05:37ID:E5NDk5MTU(16/29)NG報告

    口振りからしてバーサーカーの召喚に自分が関与しているのではないかと突き付ける様な、そんな鋭さが籠もった言葉だ。
    管理者特権で聖堂教会が所有する筈の霊基盤を見る事が出来るだろうことは想定済みだが、果たして朽崎本人が何処まで真相に迫っているかは未知数である。

    疑惑の段階を出ないのか、或いはほぼ確信に至った上でのカマかけなのか。
    どちらかによってシスカの立ち回りは大きく変わってくる。
    「さて、どうだろう?皆目見当もつかないね。何せ元御三家と言われても所詮は聖杯を貸し与えただけの外様に過ぎん。
    永らく根付いた土着の魔術師である君達より先んじた情報なんて持ってる筈もないだろう?」
    鼻腔にコーヒーの香りを薫せながら一息つく。
    「それともよもや私がバーサーカーのマスターだと疑ってんじゃないだろうな、君?」
    「まさか。ただまぁ可能性としては零でないのは確かですが」
    ほう、食い下がるじゃあないか。
    てっきり此方の勢いを殺ぐ牽制程度の発言と踏んでいたのだが。
    サングラスの奥の眼を細めて思案する。
    仮に───バーサーカー陣営のマスターが自分であるという事が彼に露呈した場合、どの様な不利益が被るか。
    基本的に今回の聖杯戦争に於いては完全な隠密を保ったまま事を成そうと考えている。
    触媒を用いずに召喚したバーサーカーもそういった目的に適した英霊であったのはシスカにとっては思わぬ幸運であった。

  • 424亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/15(Sun) 19:06:11ID:E5NDk5MTU(17/29)NG報告

    >>423
    だが此処で朽崎遥に自分がマスターだと判明されたとしよう。彼は聖杯戦争の管理役と謳ってはいるものの、その正当性に関しては首を傾げざるを得ない。監督役の教会と連携している事も踏まえると聖堂教会も真っ白とは言えないだろう。
    他の陣営に自身の聖杯戦争の関与が漏れる可能性───それを慮れば彼には秘匿しておいた都合が良いと思えた。

    まあ仮にバレた所で、私が召喚した英霊の真名まで到達する事はないだろうし、アレの真名はまともな推測では永劫到達し得ない類の変わり種だ。
    「マスターの証である令呪はこの腕に宿ってない、というのが何よりの物証にならないかい?」
    ほれほれと右手をぷらぷらさせて身の潔白を証明する、と言っても巧みに真実を覆い隠した偽証に過ぎないのだが。
    「……正直、令呪の有無だけでは何とも言えませんね。偽装という可能性も捨て切れませんが、今この場では確認のしようがないですよねー」
    「それは君、悪魔の証明ってヤツじゃないかな」
    そう言って店員を手招きした、本日七杯目。
    「ま、まだ飲むんです?ちょっと心配するレベルのハイペースなんじゃあないですか」
    「何を言う本番はコレからさ。
    それに先日カフェインの吸収を抑制する霊薬なんてものを個人で開発したんだ。お陰で何杯飲んでも夜はグッスリだよ」
    カフェインの摂取量を抑える霊薬を態々作る時点で立派なカフェイン中毒患者なのでは、と内心思う朽崎を余所にシスカは上機嫌だ。
    時刻を見ると、午後二時半。気が付けば長居してるのだなと主観と現実の時間の齟齬に驚かされる。
    それはそれだけ居心地の良い店という事の証明に他ならない。

  • 425亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/15(Sun) 19:07:07ID:E5NDk5MTU(18/29)NG報告

    >>424

    「……朽崎家は今回管理役で、東雲家は既に参戦済み、そしてオルバウス一族は言わずもがな」
    「水面下で御三家が糸を引いてる可能性をのぞけば、残る候補は外部の者だけとなるんですかね」
    まだ言うかコンニャロウ。
    思わずそう零しそうになった口を自制して、淹れたての珈琲を啜る。
    「しかしそうだとすると、いよいよ聖杯の機能不全を疑いたくなってくるね。聖杯を提供した身としては恥ずべき事態だよ」
    「機能不全?……仰る意味が今一つ理解しかねるのですが」
    「だってそうだろー。外様の魔術師如きに裏道を使われる程なんだ、聖杯に搭載された召喚式に不備が生じているのかも知れない。
    ……聖杯の管理者として何か兆候は感じられなかったかい?第三者からの干渉があったとか、或いは聖杯そのものに何らかの異常事態があったとか────」

  • 426愉悦部inクローディアァ!2019/12/16(Mon) 12:18:47ID:g2MTI2MjQ(11/24)NG報告

    >>422
    ──ふとした瞬間、途絶していた意識が覚醒する。

    目の前には今まさにナイフを振り下ろさんとしたサーヴァント。

    「Tief, tief, tief(深く、深く、深く).Meine Hände werden euch alle behandeln(私の御手は貴方の全てを手繰る).

    ……Bewegen Sie sich nicht(動くな).」

    ついさっきまで味わっていた自身を否定しようとする力の不快感と乱雑に扱われたのであろう身体の痛みに顔を顰めながら歌を奏でる。

    「うん…?あれ?」

    振り下ろしかけていたナイフが自然と降ろされ、自身の行動に疑問を覚えるサーヴァント。
    「……こんにちは」
    「あ、こんにちは」
    先ほどの挨拶を返されつい反射的に再度挨拶を返す。
    そのままゲルトラウデはすくっと立ち上がり、サーヴァント──、パラメーターから推測するにアサシンから距離を取り、おそらく何処かの廃墟ビルであるのだろう室内を見回し、そこに佇むアサシンのマスターであろう男に声を投げかける。

    「貴方がこのアサシンのマスターかしら?私のサーヴァントは、倒されたみたいね。良い暗殺の手腕だったわ」

  • 427リドリー陣営2019/12/16(Mon) 15:32:23ID:Q0MzY1OTI(1/3)NG報告

    伏神四日目です
    「じゃあ散策に出かけるとするか」
    「おいおい、ク.ソマスター。探索の間違いじゃないか?」
    「そうともいう」

    どんちゃん騒ぎをした後、片付けを済ませ、リドリーとエル・シッドは車に乗り込む。前日で話題に出た都市伝説『ごるごるさん』を捜索するのだ。
    「とはいえ、どうする?」
    「まあ、最初は動物園に行くだろ?その後に学校に行けばいいな」
    「しかし動物園はいいとしてだ、学校に関していえば俺たちゃ部外者だぜ?一体どうするっていうのさ?」
    「そーだねぇ……………刑事に化けるとかどう?スーツきっかり来こなして髪型変えれば行けそうな気はするけど」
    「だが、手帳とかどうするつもりだ?流石にドソキホーテで売ってはないだろ?まさか密林で注文するのか?」
    「それは時間がかかるからね。認知誤認の魔術を使うことにするよ」
    「そう上手く行くと思うのか?そもそもあんたの技量でどこまでできるんだか……………」
    「まあ少し気を逸らす程度のものだけど、そこから畳み掛ければ、まあ何とかなるんじゃないかな?」
    「……………やっぱり刑事は難しいと思うぞ。そもそもハーフって誤魔化すってか?ハーフの刑事なんざ違和感の塊じゃねえか」
    「じゃあ何か案があるのかい?」
    「……………一つ思いついたのがある、というかあんた忘れてることないか?」
    「忘れていること?」
    「俺、霊体化できるし、スキルで単独行動取得可能なんだぜ?」
    「……………その手があったかー」

  • 428リドリー陣営2019/12/16(Mon) 15:32:58ID:Q0MzY1OTI(2/3)NG報告

    >>427
    エル・シッドの建てたプランはえらく単純。
    1.単独行動を取得する。
    2.霊体化する。
    3.時間が許す限り授業中の校内を探る。

    「まあ問題があるとしたら単独行動がどんなランクになるかだな」
    「そもそも単独行動は戦闘向きなのかい?一見関係なさそうに見えるけど」
    「いや、マスターの側離れて奇襲できるなんてもう戦闘向け以外の何者でもないだろ?」
    「まあそうだけどさ」
    「それに単独行動はあくまで保険。というかぶっちゃけどんだけ離れていても大丈夫なのかわかってない部分あるしな。」

    エル・シッドはそう言いながら肩をほぐす。車の運転には気合が入るからである。

    「まあ、まだ朝だしさ、取り敢えず動物園で聞き込みして、午後から学校に行くってのでいいんじゃないかな?」
    「そうだな、それが一番良さそうだぜ」

    エル・シッドはそう言いながら動物園の方へ舵を切ったのだった。

  • 429リドリー陣営2019/12/16(Mon) 15:33:10ID:Q0MzY1OTI(3/3)NG報告

    >>428
    終わりです

  • 430Requiem◆B8D4AQBhU22019/12/17(Tue) 19:16:58ID:I2MjQ4MzU(4/4)NG報告

    >>425
    ズキリと、苦痛が湧き上がる。いや、トラウマを思い出したというべきか。深入りし過ぎたかなぁ。
    「いやいや。聖杯への異常って決めつけるのは早計じゃないですか?少なくともこの戦争における願望器はキチンと機能してると思いますよー?第三者からの干渉は今まで観測してないですね。しっかり秘蔵もして、プロテクト的なのも完備。霊地や召喚システムの可能性だってあるんじゃないです?」
    「ふんふん」
    シスカさんは7杯目のコーヒーを飲みながら、俺を見つめる。う。…やっぱり、この目は苦手だなぁ。俺は2杯目のコーヒーを一気に飲んで、続ける。
    「玲亜ちゃん……。あぁ、東雲の令嬢です。は土地管理や運用に関しては素晴らしい才能持ちですが、魔術的価値よりも資産価値を優先して行ってるみたいなのでレンタルした土地の霊脈がおかしくなっちゃったとか…、あとは聖杯は割と急な起動だったので召喚システムの方に変な影響が出たって事も否定できないですよね?」
    シスカさんは結構動揺してるであろう俺が言い終わるまで、何も言わない。そして口を開いt「あーーっ、やっぱ駄目だ!うん、無理」
    「ん?何が駄目なんだい?」
    サングラスの奥の瞳を僅かに開いて、彼女は俺に問う。うん、まぁ当然の帰結と言うか、仕方ないと言うか…、俺の負けだなぁ。落ち込むゼ!………、ダ~メだ。カッコつけてみたけど全然意味ない。俺は、この話題を避けようとしたりはぐらかしたりは出来るけど、其の物ズバリ質問されれば逃げられない。
    「ほんの数秒前の俺の言動ですよ。俺は、聖杯について貴女とかに単刀直入に聞かれれば、嘘は吐けない。それは、全てを否定する言葉だ。あの時の母さんの想いも、今までの俺の人生も、朽崎やオルバウスも踏み躙る行為です。だから、正直に開示するしか無い」
    シスカさんは困惑している、まぁそりゃカマかけしたら突然変なこと言いだすんだからしょうがないだろうが。
    「ええと……」
    「少し、歩きましょうか」
    「わかったけど、君はさっきから一体どうしたいんだい?」
    戸惑いを隠せてない。が、まぁこれから貴女がかなり有利になるのだ。多少は我慢してもらおう。
    さて、それじゃあオルバウスの一員に屍式修復・死骸聖杯の実態のお披露目だ。気ィ重いなぁ……。

  • 431スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/12/17(Tue) 21:38:57ID:A3MDk4OTM(1/5)NG報告

    「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

     そんな詠唱が響き渡っただろう瞬間、激しい光の中で私の霊基が形成されていきます。
    座から流れ込む知識、そしてカルデアからの記憶が私に……ってここ室内!?
    て、天井が低い!……じっ、実体化前にルーンで……!

    「サーヴァント、キャスター、シンモラ。マスター、貴女を護りに来ましたよ」

     どうにか間に合いました。
    周囲から見たら巨大な人影が急に血色の悪いアルビノ少女に……なんて事になってますけど…、マスターなら解ってくれますし。
    あら、そこで愕然としてる女の子は、この異聞帯(テスクチャ)の住人でしょうか?

    「来てくれてありがとう、シンモラ。頼りにしてるよ」

    「ええ、マスター。この私はカルデアに居る私ではありませんけと……その眼差しも、笑顔も、在り方も、記憶の中のものと変わらなくて、何よりです」
     
     持ち込めた記憶と変わらない笑顔のマスター、藤丸立夏。
    この上無い位に過酷な状況に居ると与えられた知識が示してるのに、その眼差しは変わらなくて……。
    私も、スルトも、そんな彼女がマスターだからこそ全力で力になれるのです。

  • 432スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/12/17(Tue) 21:41:15ID:A3MDk4OTM(2/5)NG報告

    「し、シンモラって北欧神話の女巨人で、
    レーヴァテインの管理者で、スルトの妻で……本当!?だとしたらそれが何でこんなに小さくなるのよ!?」

     現地の女の子が再起動したようですね。
    傍らで私を警戒してるサーヴァントは協力者でしょうか?
    けど、カルデアで召喚されたサーヴァントが居る中ですし、今は心配しなくても大丈夫でしょう。

    「ルーンで霊基を小さくしただけです。天井壊しちゃう所でしたし、的が大きくなるだけでメリット有りませんし」

     と言いながら女の子に近づきます。
    モーシェが表情を崩さない一方、アインシュタインは興味深そうにこちらを見てます。
    大嶽丸は、少し笑ってて「変な奴が来た」とでも言いたげですね……失礼な鬼です。
    リンドヴルムがあのサーヴァントを制するように立ち位置を変えてくれてるので邪魔は入りませんし、遠慮無く……。

    「何より、こうやって人と触れ合う事も出来ませんから」

  • 433スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/12/17(Tue) 21:42:16ID:A3MDk4OTM(3/5)NG報告

     女の子の頭を優しく撫でます。
    小さな彼女が慌てるのが、可愛らしいですね。
    いずれテスクチャ諸共滅ぼす関係なのは解ってます。
    だから、これは偽善ですらないワガママです。
    けど、こういうのは、何となくそうしたいと思った……それで十分だと思います。

    「なっ、わわわ、私は、子供じゃ、あわわわ」

    「その辺にしといてやれ。リオナ……その子がそろそろ限界だ」

     私を止める声が一つ。
    声の主の瞳を見て、ある事が思い浮かび……私はこう返しました。

    「ええ、そうですね……マルガレータ」

  • 434スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/12/17(Tue) 21:42:43ID:A3MDk4OTM(4/5)NG報告

    「なっ、私の名前を!?」

     ええ、名前を呼びました。
    マルガレータ、貴女が内に何を秘めてるかは解りません。
    けど、その瞳は……身に余るかのような責務を必死に抱え込む少女の眼だけはよく解ります。
    かつてのスルトと同じ眼をしてるのですから。

    「肩書きで人を呼ぶのは、スルトを巨人王としてしか見ないみたいで嫌ですし。ましてや、貴女は騎士や姫である前に一人の少女なのですから、同じ少女として名前で呼び合いたいです」

     ええ、私はこれだけは見逃せません。
    スルトと同じように苦しむ人を放ってはおけませんから。

  • 435スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2019/12/17(Tue) 21:44:36ID:A3MDk4OTM(5/5)NG報告

    以上、アメリカ異聞帯のシンモラ召喚シーンでした。

  • 436監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:21:21ID:E2OTgyMDI(1/9)NG報告

     魔王が再起動し、戦況がひっくり返ろうとしていた。
     先の戦闘に負傷したランサーとアーチャーは傷口を押さえながらバーサーカーから距離を取り、ライダーは至近距離から間一髪で回避行動を取る。

    「……私は、これまでのようだ」

     この戦場の中で唯一無傷なライダーがニヒルに笑う。
     もう自身に役割はないのだと、脱落したも同然の言わんばかりの表情で負傷した二人に目をやった。

    「護符竜は消失し、使用権さえも失った。今の私には雑竜さえ呼ぶ力もありません」
    「ライダー、それは真か?」
    「ええ、この非常時に冗談を言っても仕方ないでしょう。あの愚君を討つ手立ては──」

     三人がバーサーカーに視線を向ける。
     夥しい量の血の毒を撒き散らしながら地形を溶かし変えていく姿。
     下半身を失いながらも暴力的なまでな魔力を垂れ流しにし、凶暴な笑みを浮かべながらバーサーカーは嘯いた。

    「ハハハ! 喰らい合いじゃあ、オレの勝ちだったみてえだな腰の重い王様よぉ! 遅ぇ、全部遅えんだよテメエは! 行動するまでの過程、モーション、その全てにおいて遅すぎたんだよぉ! こんな愚図じゃあ生前の家臣も、親族も散々だったんだろうなぁ……!」

  • 437監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:21:58ID:E2OTgyMDI(2/9)NG報告

    >>436
     先程の嬲り殺しを根に持ったのか、ライダーを嘲笑うように怨言を吐き捨てる。
     コルキスの王にとっては生前を持ち出されるのは痛い話題だったが、全ての起点は結局のところは金羊の皮であり、自らに落ち度はない。そう自己完結しているのでバーサーカーの煽りなど微塵も心に響かないが、煩わしい事に変わりはないので軽く舌打ちする。

    「口の減らない狂人だな。気狂い(バーサーカー)らしく理性も気品もない喚きでもあげてればいいものを」
    「減らず口はテメエだ能無し凡骨。文字通り無能になったテメエに残されてんのは、そのよく回る舌だけ。主役から降格させられたオレでさえ哀れ過ぎて涙しちまうモブだ」
    「はっ、モブは風景と聞くが、ならお前は風景に遠吠えをしている頭の天辺から足の爪先まで可哀想な爬虫類だ」

     火花を散らしながら互いを煽る王たち。
     しかし、そこに割って入るかのようにアーチャーが矢を射った。

    「ぬお!?」

     上半身に躊躇なく数発の矢を打ち込む。
     肉体に風穴を開けられたバーサーカーは、くぐもった声を漏らすも狂ったような笑みを崩さない。

    「あぁ、痛ぇなあ……痛えけど、もう慣れちまったんだよなあ!」

     目を見開き、宝具『凶鳴毒唱(クリンタ)』を繰り出す。
     対軍・対城の規模を誇る広範囲の殲滅級魔術宝具は、地形を抉るように周囲を破壊しながら対象に向かうが、両肩の蛇が切断されてしまった影響か制御がままならず、三人のサーヴァントに回避されてしまう。

  • 438監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:22:53ID:E2OTgyMDI(3/9)NG報告

    >>437
    「ク.ソが、やっぱ狙いが定まんねえか。なら──」

     バーサーカーの魔力が高まる。
     急激な魔力の上昇に、ランサーとアーチャーは直感で危険を察知し、相手を挟み込むように二手に分かれて駆け抜けた。
     両者共々『敏捷』のパラメーターは最高ランクであり、縦横無尽に動き回る神速は肉眼で捉える事を許さない。そうして翻弄し、好機があれば攻撃を加える。

     だが──。

    「チョロチョロとうぜぇんだよ羽虫! んなモンの対処法は学習済みなんだよ!」

     対応して見せた。
     サーヴァント二騎の場所、攻撃の起点と軌道、そして狙われている箇所などを、霧状に分解し撒き散らした毒血を通して空間把握能力を向上させている。
     満身創痍の身なので全てとまではいかなかったが、それでも猛攻の七割を防ぎ切っている。
     この短時間で一対多に対応するとは想定していなかった二人の戦士は、驚愕と共に感心していた。
     ──これが二〇〇〇年の統治が培った経験と判断力、そして危機的状況でも焦燥せずに繰り出せる応用力。
     ──魑(もののけ)の王となれば、重傷ながらも予想を上回るか……! 単なる野蛮な圧政者とばかり思っていたが、その知力と知能……侮ったか!

    「散レェ!」

  • 439監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:23:29ID:E2OTgyMDI(4/9)NG報告

    >>438
     ランサーとアーチャーの両者の感想が出る中で、自身の周囲を駆け回られている事に苛立ちを感じていたいバーサーカーは、咆哮を轟かすと同時に界壁型の魔力を放出し、自らを軸として周りのものを吹き飛ばす。
     幸い紙一重でバーサーカーの攻撃を回避できたものの、距離を離されてしまう。ならば、せめてもの足掻きとして遠距離に特化したアーチャーは九発ほど射った。
     頭部、咽喉、心臓、肋骨、鳩尾、両肩口、両上腕骨隙間を狙った人体における急所攻撃。

    「妙な体勢からも射ちやがって、気色悪りぃ……んだよ!」

     悪態を吐きながらも、向けられた攻撃に対して魔力放出で対処する。
     対軍宝具規模の遠矢でも決定打にならないどころか、射る度に相殺されてしまって通用しなくなっている。
     ──芳しくありませんね。いくらバーサーカーが消滅寸前とはいえ、その一寸のひと時で甚大な被害を齎し兼ねない。既に彼は“聖杯大会”という名目を忘れ、破壊の権化となっている。
     さすがに拉致があかないと、苦虫を噛み潰したような表情で討伐する方法を模索するアーチャー。
     ランサーも降り注ぐ魔力の雨を捌きながら攻略法を思考するが、白兵戦特化である事と、強みであった素早さが通用しない点でどん詰まりの状態であった。

    「────気狂い(バーサーカー)が聞いて呆れる」

     すると、そこへ戦線を離脱した筈のライダーが現れた……仁王立ちで。

    「その程度でバーサーカーとは片腹痛い。お前には狂気も足りなければ、恐怖を形容したナニも足りない。はん、これでは色情魔(アフロディーテ)の呪いにかかってしまった私の娘の方が、狂言役者に相応しかろうに」

  • 440監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:24:15ID:E2OTgyMDI(5/9)NG報告

     バーサーカーは反応しない……否、する余裕はない。
     思考の殆どをサーヴァント二人への戦闘に割いている時に、一々挑発に反応している隙などないのだ。
     よって、無視を決め込むのが得策であり、態々無駄な悪態を吐きに来たライダーを内心嘲る。

    「高々魔術を師事してもらった程度の小娘の狂気すら上回れないとは、お前に取り憑いた中東の悪性とは余程脆弱に見える。蚊も殺.せないとなれば、唾を吐けば息絶えるんじゃないか?」
    「ウルッセェェェェエエエエェェ!!!」

     しかし、理性はあれどバーサーカークオリティ。受け流しは長く保たず、血と唾を吐きながら反応してしまった。

    「なんだ、本当に蚊程度に弱いのか。図星を突いてしまって申し訳ある。そもそも──」

     マシンガン挑発は止まらない。
     あれ程理知的に戦場を理解し、攻め際と引き際を把握していた彼が何故こんな行動に出たのかはランサーとアーチャーにも分からない。
     単なる自殺志望でない事は理解しているだけに、その趣旨が判別できないのだ。
     そうしている内にもライダーの煽りは途切れる事なく、口元からくどくどと射出されていく。

    「──だ。理解したか? 知能指数が爬虫類に侵されているあたり期待はできないだろうが、虫でも理解が促せる言葉遣いでこき下ろして……おっと、ここまでのようだ」
    「……………………ああ、ここまででいいぜ」

     野獣のような相貌で戦闘を楽しんでいたバーサーカーが、ふと狂騒から一変して静寂になり──魔力濃度を更に上昇させた。

  • 441監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:25:17ID:E2OTgyMDI(6/9)NG報告

    >>440
    「そうさ、何チンタラやってんだかなぁ。オレの命は既に風前の灯……身が朽ち果てるだけに無駄な時間を費やすくらいならなぁ、ここでテメエらを全滅道連れにしてゲームオーバーにしてやんよお!」

     血を撒き散らしながらバーサーカーが上空へ飛翔しようと魔力を放出する。

    「逃しません!」

     右手に弓懸に魔力を込め、渾身の一矢を弓兵は放つ。

    「んなモン想定済みだ!」

     飛翔する際に、事前に撒いた毒血を散布させ、毒と呪詛を含んだ結界を展開する。
     結界によって矢が阻まれたのを確認したバーサーカーは、次に広範囲に毒血を散布し、ランサー、アーチャー、ライダーを囲うように二重展開を施した。

    「これで逃げ場は封鎖した。さあ、幾らでも攻撃を加えてみろよ。オレはどっちにろ、ここで最後をぶつけてやるからなあ!」

     徐々に肥大化している魔力の暴威。
     ここで最大火力を放つという言葉が真実である事の証明であり、足場のない領域で充填を始めている事もあって、なす術がない状況だった……ただ一人を除いて。

    「ランサー、私をバーサーカーの元へ投げてください。彼の暴虐を尽くした王に引導を渡す手段が一つだけ……あります」

  • 442監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:25:54ID:E2OTgyMDI(7/9)NG報告

    >>441
    「……それしか方法はないか」
    「いえ、寧ろ好都合です。遮蔽物のない上空への移動は、私の宝具を被害なく行使できる。ライダーも、きっとそれが目的で挑発を続けたのでしょう」

     そんな意図があったとは、とランサーは視線をコルキスの王に向ける。
     見られている事に気づいた彼は、一瞬一瞥するだけ留めて、再度バーサーカーに目をやった。
     悠長に話している時間はない、という意味なのだろう。上で準備されている宝具も脅威だが、何よりこの結界に込められた毒と呪詛が侵食しているのが分かる。
     どちらにせよ、無駄に時間を費やしてはいけないのだと、ランサーは無言で構える。

    「任せたぞ」
    「はい」

     短い相槌。だが、両者にとってそれだけで十分だった。
     三騎士の二人が同時に飛ぶ。
     この程度の跳躍では、未だ距離に開きがあるのでアーチャーがランサーの手の平に足を乗せ、一方が脚に、一方が腕に渾身の力を込める。

     弓兵が飛び、飛ばされる。
     槍兵が飛ばし、落下する。

     こうして得られた更なる跳躍力によってバーサーカーに近づくに至った。

  • 443監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:26:42ID:E2OTgyMDI(8/9)NG報告

    >>442
    「蛇悪王、魔に魅入られしニ〇〇〇年の王よ。あなたの悪性はここで断ち切らねばなりません。これは世界を救う戦いに非ず、災害を滅ぼす戦い──では、私の独壇場だ」

     アーチャーが取り出したのは────光輝。
     眩い光を放つそれは、闇を払い、日輪さえも飲み込む不朽不滅の印。
     神々の粛清の為ではなく、無辜なる人々の苦しみに応え、人形だった英雄がただ救済の為に手にした慈悲。

    「この一矢を以って、終幕とさせていただく!」

     光を番えた瞬間、アーチャーの周囲に充満していた毒血の霧が瞬時に蒸発した。

    「……成る程、それがテメエの切り札か。だが、少し遅すぎたな。テメエがそれをぶっ放す前に、オレの宝具がテメエを消炭に変える……もう準備は整ってるんだよ!」

     不敵に笑い、無駄な足掻きと嗤うバーサーカーは、最後の詠唱を始めた。

    「『王を夢見る一万馬(ペイヴァルアスプ)』全騎消費、並行詠唱破棄による負担、霊核を度外視した最大出力──」

     肥大化を続ける魔力の奔流。
     その規模は既に規格外数値にまで達しており、蛇悪王周辺の空間がねじ曲がる程の圧を生み出していた。

  • 444監獄長第一回戦◆VENk5mkP7Y2019/12/18(Wed) 01:27:13ID:E2OTgyMDI(9/9)NG報告

    >>443
    「奏でるは魔の毒、狂い鳴く蛇の喉笛、背教(タローマティ)による善への反攻。

    右翼には苦痛、左翼には苦悩、我が心臓は死を抱く。

    崩壊しろ世界。この咆哮にて一切の万象を貪ってやろう!

    さあ、テメエらは……ここで塵芥みてぇにくたばりやがれえ!!! ────『凶鳴毒唱(クリンタ)』ァアア!!!」

     放たれたバーサーカーの最大火力。
     異次元とも言える魔力の濃度は、結界で覆われた地点に向けて集束放出され、先ず最初のターゲットとしてアーチャーに襲い掛からんと接近する。
     未だ真名開放をできないでいたアーチャーは、この僅かな遅れによって宝具を放てない事態に奥歯を噛み締める。
     刻一刻と迫りくる脅威に対して防御も何もできない。
     あと少し、あともう少しの猶予があればと、脳内で反響させていたところ────大気に壁がアーチャーを庇うように出現した。
     ──これは。この神威を纏った大気は……まさか。

    「余である!」

  • 445愉悦部inクローディアァ!2019/12/18(Wed) 16:15:07ID:E2NzcxMDI(12/24)NG報告

    シンモラが召喚され、後、キャスター・モーシェ・デ・レオンは自身の工房で椅子に座り思考に耽り、独り言ちる。

    (キャスター・シンモラの加入によって守りは万全。さらに万全を期すならフォーリナー・リンドヴルムにも陣地の形成を依頼しておくべきでしょうか)

    本に囲まれた書斎とすら呼べる私室にて足を組み口に手を当てるその様はまるで霧煙る謎を前に如何にしてそれを晴らさんとする探偵のようにも思える。

    (しかし、この異聞帯に根を張るであろう空想樹が問題ではある。ノウム・カルデアで再召喚された折にデータを閲覧した程度でありあくまでこれまでは予感。しかし、神殿を設置した現在であれば確定した事実。今まさに脈動する生物であり生存力に富んだものだというのは知っている。想定通り、アレは地脈から魔力を吸い取り成長を促す魔樹である。であれば工房を設置し霊脈からの魔力を実用に適うほど引き出せば敵対行動と見做されるのは必至。特に聞き及んだフォーリナーの陣地作成スキルは地下にて構築するもの。どうしても空想樹の根とかち合うことは避けられない。
    ……そこは私が異空間を形成、この地の霊脈を寸分違わずコピーした疑似霊脈を以て共鳴の魔術によりこちら側の霊脈に触れずに魔力を汲み取ることは可能でしょう。最も、それも気づかれれば無意味なものになりますがしないよりはマシでしょう)

  • 446愉悦部inクローディアァ!2019/12/18(Wed) 16:16:23ID:E2NzcxMDI(13/24)NG報告

    >>445
    「……ふぅ。難儀なものです」

    濾過異聞史現象──、人理焼却に限らずとも、人理に大規模な乱れが生じた際に人理再編に伴い切り捨てられたモノ達が浮上することは焼却の起こっていた時から“乗り越えた先に起こる問題”として“識っていた”し、実際自身に限らずかの第四特異点に存在していた蒸気王チャールズ・バベッジやその彼から依頼を受け調査、退却を辞退しカルデアに留まったシャーロック・ホームズ、キャスターの座(クラス)で現界を果たしたクー・フーリン然り、気づいていた面々も少ないながらも存在したが。
    ──思考が逸れた。少なくとも現状においては対応策としては“想定通り”。仮に空想樹に動かれてもその場で対応は出来ると断言できる。

    (とはいえやはり開花状態を見極める為にもある程度の挑発行為は必要ですか)

    欲を言えば敵サーヴァントの一騎や二騎。神酒による汚染を洗浄してこちらに引き入れたいものだが──。
    (まぁ、そちらはデン・テスラとその一味でも事足りますか。相手方の要望に沿うかはともかく、あのビデオの情報が正しければ。人理が曖昧な今であれば相応の手札は提供できますし)

    最悪─、空想樹の銀河(宇宙)にはこちらの世界(宇宙)をぶつければ相殺程度は出来るだろう。
    そこまで考えたところで工房の入り口である扉がノックされる。

    「先生、いるー?そろそろ会議の時間だから呼びに来たんだけど」
    「これはマスター。わざわざありがとうございます。ええ、そろそろ動こうと思っていたところです」

    催促に応え席を立つ。

    万事つつがなく──、成せば成るだろう。得てして運命というものは着くべく場所に着くのだから。

  • 447リドリー陣営2019/12/18(Wed) 16:58:53ID:A2Mzk1NTQ(42/42)NG報告

    アメリカ会議です

    「みんな集まった?じゃあ作戦会議始めますわね」
    リオナは皆の顔を見渡し、さらに言った
    「モーシェさんが調べた結果、傷持七豪集が三人ハリウッドに向かっているようだわ。そしてこれを見て」
    映像に映し出されたのは機械仕掛けの巨大な象が建物から何かを吸い取っている様子だった。
    「ここから神酒の反応が出ているの。で、吸い上げている場所はフォーサイト家別荘跡地。状況から見て、これはデンテスラの移動要塞で吸い上げたのがリドリーの残した遺産のようね」
    「これを踏まえてわたし達はどうするか?会議をしましょ!」

  • 448九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/20(Fri) 23:43:54ID:c2MzI1NjA(1/2)NG報告

    悪夢を見た────
    悪夢を見た────
    何度目とも分からない夢を見た

    嗚呼…アイゼンシュタイン…フランソワ…そして………


    「お父様!!」

    息を荒らげて寝台から体を起こす。身体中が嫌な汗で濡れていることから余程魘されていたのだろうことが伺える。────ふと部屋の扉をノックする音がする。

    「ミリアルカ様、獣王[ツァーリ]が御身を探しておられました」
    「そう。支度したらすぐに向かうと伝えておいてくれる?」
    「畏まりました」

    ミリアルカは手馴れた様子で身支度をすると鏡の前で自嘲気味に呟く。

    「随分と慣れたものね…このロストベルトに来た時はろくに髪もセット出来なかった小娘が」

    直後鏡に映ったミリアルカの姿が掻き消えた。

  • 449九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/20(Fri) 23:44:23ID:c2MzI1NjA(2/2)NG報告

    >>448
    男は玉座の間にて窓の外の月を眺めている。その男は普通の人間では無い。その頭には獣の耳が乗っていて尻尾が左右にゆらゆらと揺れているので一目瞭然である。
    男────獣王は玉座の間に来訪者が来たのを感知し耳をヒクヒクと動かす。

    「来たか、ミリアルカ」
    「私を呼び付ける為に人狼猟兵の隊長を小間使いにするなんて、いいご身分ね」
    「王だからな」

    獣王は笑いながら玉座に座ると膝で頬杖をつく。
    「カルデアは今日来るのだろう?」
    「ええ、確かな情報よ」

    その言葉に獣王は牙を見せて獰猛な笑みを浮かべる。
    「クハハ!この地に召喚された野良英霊共を駆逐してから早1年。漸く来たか!!
    ミリアルカよ、宣戦布告は其方に任せるぞ」
    「…分かったわ」

    獣王の大声に顔を顰めていたミリアルカが振り返り数歩歩き、消える。そしてそれを見届けた獣王は表情を引き締め

    「さて…カルデアが余[オレ]の眼鏡に適うと良いのだが」

  • 450監獄長ブルートガング◆VENk5mkP7Y2019/12/22(Sun) 10:00:41ID:c0Njc1NDA(1/7)NG報告

    彷徨海 ノウム・カルデア

     午前4時頃、アナウンスで中央管理室への集合がかけられた。
     唐突な放送だったので、やや疲労したままの身体を無理矢理にでも起こし、マイルームから出る。
     正直に言って癒えてない筋肉痛や、その他諸々の疲れなどでキツイ。しかしキツイと言えども、まだまだ頑張れてしまう辛さというか、具合悪くても学校に行けてしまうアレだ。
     よって余計に精神的にまで来てしまう。めげてはいけないが、それでも爆睡状態から強制起床されるのは辛い。
     だが、文句は言ってられない。漂白された地表で、俺はただ一人の汎人類史側のマスターなんだ。ここでやる気を出さなければ、次の異聞帯での戦いも本調子ではいられなくなるだろう。
     そういう訳で、中央管理室に到着する前に、できるだけ気怠さと眠気を取り、意識を完全に覚醒させる。

     ────行くか。

     中央管理室に入室。
     そこには既にセンパイとエルルーン、そしてローリー所長とキャスリーンが待機していた。

    「遅いぞフェリーペ君。予定されていた集合時間ピッタリとはいえ、私の後に到着とはいただけない。君が来るまでドーナッツを朝食に取ってしまったよ……一ついるかね?」
    「貰っとく」
    「貴方たち……緊張感というものはないの?」

  • 451監獄長ブルートガング◆VENk5mkP7Y2019/12/22(Sun) 10:01:12ID:c0Njc1NDA(2/7)NG報告

    >>450
     エルルーンが呆れた表情でため息を吐くが、逆に所長はしたり顔で反論する。

    「緊張感など常時していたら身が保たん。これは私の経験則だがね、とある監獄で所長をしていた頃、人外魔境過ぎる環境のせいで常に緊張して白髪が何本も生えた事がある。適度にガス抜きして、必要な時に緊張を煽れば、それはそれで肝が座るというものだ。つまり、私が言いたいのはリラックス万歳」
    「弛みはそのお腹だけにしときなさいよ」
    「辛辣!?」
    「所長いじりはそこまで。でも、確かにリラックスは大事よ。所長レベルのは推奨しないけど、力んだ肉体と精神には休息が必要。でなければ、ここぞと本番に失敗を犯してしまう確率も大きくなってしまいますからね」

     「おっと、お話が脱線しましたね」と所長のお腹を摘んで召集した理由を説明するキャスリーン。
     ……いや、なんで所長の腹を摘むのか。ていうか止めてあげて、普通に痛がってるから。

    「急遽召集をかけた理由は他でもありません。この拠点から最も近い距離にある異聞帯(ロストベルト)……北ヨーロッパのドイツに渦巻く『嵐』の中にレイシフトする必要性が出てきました」

     それは唐突に告げられた、異聞帯への突撃宣言だった。

    「ま、待ってくれ。異聞帯の攻略は二度目のを終えてまだ間も無いぞ。休息も十分には望めてないし、そして何より私たちが最優先事項としているのは、キリシュタリア・ヴォーダイムが潜伏してると予想される大西洋の異聞帯ではないのか?」

     センパイの疑問はもっともだ。
     俺たちが向かうべき異聞帯は、今もなお拡大を続けている大西洋。観測されている中で最大規模のものだ。
     本来なら寄り道をしている隙などないのに、合理性に欠けるミッションを出すだなんてキャスリーンらしくない。

  • 452監獄長ブルートガング◆VENk5mkP7Y2019/12/22(Sun) 10:01:48ID:c0Njc1NDA(3/7)NG報告

    >>451
    「ああ、その事だけど──」
    「私が説明書しよう」

     そう言って前に出てきたのが、ローリー所長だった。

    「単刀直入に言おう……私が原因です」
    「……は?」

     は? おっと、内心にまで同じ気持ちが出てきてしまった。
     しかしどういう事だ? 何故、ドイツの異聞帯に行く事と、所長が関連づけられるんだ?
     先程までと打って変わって縮小してしまった所長は、ポツポツと語り出す。

    「実はここ数時間前の事だ。私が夜の摘みぐ──夜食を嗜もうと思い立ち、キッチンに向かった時、冷蔵庫の中に今までとは異色のドーナッツが保管されていたのだ。ドーナッツマニアの私でもお目にかかった事のない一品、これは食べずして食べ物に失礼だろうと即食した……のだが、まさか……まさかあんな、卑劣な……!」

     悔しさと怒り、そして何より哀しさが滲み出る姿に、一体何があったのだと俺は注目した。
     いや、側から見れば摘み食いしたオッサンの言い訳を聞かされている構図になっているのだが。現にセンパイとエルルーンの目は冷ややかだった。
     所長の言葉は続かない。
     歯を食いしばり、握り拳を作って力んでいる様から、余程言葉にできないのだろう。
     説明が途切れしまった所長の代わりに、結局最初から説明する手筈だったキャスリーンが、事の終始を語ってくれた。

  • 453監獄長ブルートガング◆VENk5mkP7Y2019/12/22(Sun) 10:02:20ID:c0Njc1NDA(4/7)NG報告

    >>452
    「実は、コヤンスカヤがここに侵入していたの。予め所長に持たせていた自身の持ち物を起点に移動(スライド)してね。そして、多分あなたに食べさせる手筈だった毒入りのドーナッツを、所長が食べてしまった……これが事の真相よ」
    「バカじゃないの?」

     開幕早々、エルルーンは厳しい言葉を投げかけた。

    「敵に侵入を許すだなんて、この状況下ではあってはならないわ。一体どんな危機管理をしているのよ」
    「……彼女がまだ、私の秘書だった時だ。彼女だけが、私の努力を認め、肯定の言葉をくれたのだ。その時、親愛の証として口紅を渡してくれたのだが……まさか、こんな事に……」

     彼の口から溢れた理由に、何とも言えない気持ちになった。
     センパイも過去の事があるのか、どんな言葉を贈ればいいのか分からず、俺に視線を送っている。

    「……キャスリーン、その毒はどの程度の効力なんだ?」
    「分析結果によると、この世界では無い毒だ。効果も強く、もって四日から五日までがタイムリミットと見てもいい」
    「解毒は?」
    「期待はしない方がいい。しかし朗報もある。ここに召集した理由──ドイツの異聞帯へのレイシフトの件だ。盛られた毒は、微かにドイツで発見されている物質も検出されている。よって、所長を生命の危機かた救いたくば……」
    「異聞帯(ロストベルト)に、乗り込むしかない」
    「That's right(その通り)」

  • 454監獄長ブルートガング◆VENk5mkP7Y2019/12/22(Sun) 10:02:54ID:c0Njc1NDA(5/7)NG報告

    >>453
     なら、俺のやるべき事は一つだ。

    「俺は、所長を助けたい。確かに高飛車で、大胆不敵なところがあるのに臆病で、面倒くさいと思う事もあるけど……」
    「ちょっと一言どころか罵倒になってない?」
    「うるさい。でも俺は、そんな所長を心から助けたい。まだ知り合って間もないけど、俺の生涯で巡り合えた──仲間だから」

     俺の意志は伝えた。どんな事態になっても退かない。
     無謀だとしても、莫迦だと罵られても、俺は一人でも行く所存だ。

    「後輩」

     手を握られる感触。
     センパイが、両手で俺の手を握って見上げている。

    「後輩の事だ、どうせ誰も行かなかったら一人でも行く気だったんだろう? 莫迦だな……私は、お前の意志を尊重するよ。それに、私も所長の事はほっとけないからな」
    「センパイ……」
    「……はあ」

     エルルーンが嘆息混じり表情でこちらを見る。

  • 455監獄長ブルートガング◆VENk5mkP7Y2019/12/22(Sun) 10:03:24ID:c0Njc1NDA(6/7)NG報告

    >>454
    「マスターはとことんお人好しなのね。まあ、そんな当たり前の優しさで、他者を救い、人理焼却から世界を救った姿を見たから、私は貴方を勇者として認めたの。だからマスター、私に命令なさい」
    「いや、命令じゃダメだよ。エルルーン、俺と一緒に、仲間を助けてくれないか?」
    「……もう、本当にお人好しなんですから。そんな風にお願いされては、断る理由もありません。貴方の槍となりて、剪定された世界に共に赴きましょう」
    「ありがとう」
    「いえ、勇者に仕える戦乙女として当然の事です。それに……私も身内に毒を盛られてムカムカしているところですから」

     皆んながついて来てくれる言ってくれた。
     なんだかんだ言って、やっぱり所長の事が心配なんだと認識させられ、固い絆を結んでいると実感させられた。
     強制参加じゃない、全員の意志によるレイシフト。
     キャスリーンも、この提案をした段階でついて来てくれるのだろう。ていうか、シャドウボーダーの操縦など主に彼女がやってくれているので、来てくれないとヤバイ。
     仮に俺が操縦するとなると、虚数空間へのダイブで死.ねる自信がある。

    「決意は固まったようね。では、本日の〇六〇〇の時刻を以って、ドイツの異聞帯へとレイシフトを行う。各員、準備を進めておくように」

  • 456ディック 北米異聞帯2019/12/22(Sun) 21:41:07ID:kxMzczNzk(1/4)NG報告

    >>447
    「一応、私の考えを話させてもらうとね」
     藤丸立夏は昼食のメニューを決めるくらいの気軽さであさっりと言った。
    「この移動要塞を襲って遺産を奪っちゃおうよ」
     藤丸立夏は戦闘や用兵の素人である。なので戦術などはわからない。とサーヴァントたちも承知している。にもかかわらず、彼らは、コーヒーカップを受け皿に戻すとき、低からぬ音で驚きのボロカを奏でずにいられなかった。
    「なんと仰ったのですか、マスター?」
     キャスターのモーシェ・デ・レオンが、ことさら低い声で確認した。バーサーカーの大嶽丸とセイバーの白雪姫が、素早く視線を交差させる。モーシェが先陣をきってくれたおかげで、彼らは立夏の提案に対する心がまえを作る時間を与えられたのである。
    「移動要塞を襲って遺産を奪っちゃおう」
     立夏は同じ語句と口調を繰り返した。リオナは呆れているのか驚愕しているのか判断に迷う表情だったし、エル・シッドは口中で何かつぶやいている。
    「しかし、ひとたび手に入れたものを、みすみす敵の手に引き渡すとは思えないな」
     白雪姫が気難しそうな表情で言う。
    「だが、マスターの提案はいいと思うがね。襲撃と略奪(ハック・アンド・スラッシュ)、これしか俺たちがやることはないだろう」
     大嶽丸の答えは簡にして要を得ていた。
    「もっとも、お宝と人妻とかいうものは、そう簡単にもらえるものでもないがな」
     際どい比喩を使って、大嶽丸はマスターを苦笑させた。

  • 457ディック 北米異聞帯2019/12/22(Sun) 21:41:44ID:kxMzczNzk(2/4)NG報告

    >>456
    「私も大嶽殿の考えを指示します。ただ、私たちが移動要塞を襲撃したとき、デン・テスラが手をこまねいて座視するとは思えませんが、どうやって彼の攻撃に対処しますか」
     竜王リンドヴルムが控え目な態度で、しかし、意見を明確に告げる。
    「そうだねぇ、デン・テスラに頼み込んでみようか」
     立夏のそれは出来の悪い冗談だったので彼女のサーヴァントたち、レジスタンスは誰も笑わなかった。もっとも、今の状況では多少は出来の良い冗談でも、彼らが着込んだ緊張の甲冑を貫くのは困難であっただろう。
    「デン・テスラの技術力ならば、機械化歩兵を用意することくらいはしているだろう」
     エル・シッドが映像として資料を映し出す。
    「バベッジ卿のヘルタースケルターのようなものか」
     アーチャーのアルベルト・アインシュタインが感心したように頷く。
    「機械兵器は脅威ではあるが、サーヴァントが複数で襲撃すれば然程脅威になるとは思えないね」
     ふむ、とアインシュタインが形のよい指を顎に当てて考える。リンドヴルムが彼女から引き継ぐように口を開く。
    「デン・テスラもその霊基の強度、存在規模ともに真性の英霊に及ぶものとは思えませんね」
    「それでしたら、我ら全員でデン・テスラの居城に赴く必要もないかと思います」
     立夏はサーヴァントたちの間に交わされる会話を止めない。彼女は自分が凡庸であることを自覚している。だからこそ、彼女はサーヴァントたちに大分なところを任せて、自分は個性的で我が強いサーヴァントたちを束ねるための生きた接着剤であろうとしていた。

  • 458ディック 北米異聞帯2019/12/22(Sun) 21:42:40ID:kxMzczNzk(3/4)NG報告

    >>457
    「それでしたら……私が、留守番をしましょう」
     キャスター・シンモラがここで初めて口を開いた。視線をリオナへ転じる。
    「リオナちゃんも、ここで一緒にお留守番しましょうね」
     リオナは何か言いたげであったが、傍らのエル・シッドは沈黙を守っているのを見て嘆息した。
    「わかったわ」
    「キャスター……いえ、シンモラ。あなたにはここの守りを強化していただきたいが、よろしいか?」
    「はい……お任せを」
     モーシェ・デ・レオンとシンモラが幾度か言葉を交わす。魔術によるとう防衛機構について立香は門外漢だ。キャスター二人の会話を理解できるとしたら、会話している当人たちを除外すれば呪術を扱う大嶽丸くらいだろう。
    「あとは襲撃と遺産の回収を担当する班を決めるが、ここは俺が入るべきだろう。バーサーカーは前衛戦力として使うべきだ」
    「その班には当然私も行くわね」
     立夏がそう名乗り出て、それぞれ班決めが進んでいく。

  • 459ディック 北米異聞帯2019/12/22(Sun) 21:42:57ID:kxMzczNzk(4/4)NG報告

    >>458
     以下、各担当に班を分けた結果である。
     
    襲撃・回収班
     藤丸立夏、大嶽丸、アインシュタイン、竜王リンドヴルム、エル・シッド

    傷持七豪集足止め班
     白雪姫、モーシェ・デ・レオン

    留守番
     シンモラ、リオナ

     立夏がホワイトボードに書き記した。
    「よし、それじゃあこれで行こう!」
     そういうことになった。

    以上です。

  • 460九終狂陣営 ブルートガング【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/23(Mon) 07:40:50ID:A5OTkzNjg(8/18)NG報告

    『実数空間にアンカー固定。実数証明完了
    汎人類史残存数値:C
    異聞深度:A
    異聞帯内にシャドウ・ボーダーの存在確率。ゼロセイルによる帰港に成功しました』

    「ふぃー、この感覚は何度やっても慣れっこないな」
    「いや慣れんで正解だよフェリーペ君。本来これは危険が伴う行為なのだろう?それに慣れてしまうのは非常によろしくない」

    伸びをするフェリーペと身体を震わせ両手を開いたり閉じたりして感覚を確かめるローリー。

    「ふふ、相変わらず緊張感が有るんだか無いんだか分からないな。あの二人は」
    「キャスリーン、外の様子は?」
    「はいはい、今見ますよー。どれどれ?
    外気温、摂氏17度。湿度22パーセント。微風。大気中の魔力がやや多めってこと以外はとても快適な感じです。敵性反応も無し」

    キャスリーンがそう報告した次の瞬間
    ウゥーッ!!ウゥーッ!!ウゥーッ!!
    けたたましい警報が鳴り響いた

  • 461九終狂陣営 ブルートガング【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/23(Mon) 07:41:04ID:A5OTkzNjg(9/18)NG報告

    >>460
    レーダーに敵性反応が一つ映し出される。それは驚く事にシャドウ・ボーダーの真上に乗っていた。

    「敵性反応は無いんじゃ無かったのかねっ!?」
    「くっ、予兆も何もありゃしない!急に湧いて出やがった!」
    「サーヴァントの霊体化ではっ?」
    「っ、いえ。霊体化したサーヴァントでも捉えられるようレーダーを改造してあります」
    「何でもいいからボーダー緊急発進!フェリーペ君とメンテー君はいざとなった時のために戦闘準備!」
    『はい!!』

    しかしシャドウ・ボーダーはまるで何者かに捕らえられているかのように進めなかった。空回りし地面を抉る車輪の音が響く。そして艦内に通信要請が入った。

    「通信、繋ぎます」
    《ご機嫌よう、カルデアの生き残りの皆さん。私はクリプター、ミリアルカ・アーデルハイト。無駄な抵抗は止めて全員大人しく出て来なさい。でなければこの車をスクラップにして引きずり出すわ》
    それだけ言うと一方的に通信が切られ、艦内に一時の静寂が訪れた。

    【選択肢】
    ①全員で外に出る
    ②フェリーペとメンテーだけ外に出る
    ③徹底抗戦だ!

  • 462監獄長◆VENk5mkP7Y2019/12/23(Mon) 08:01:54ID:Q1OTg2MTA(7/7)NG報告

    >>461
    2番。

  • 463理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/23(Mon) 23:02:54ID:EzOTMyNjI(11/27)NG報告

    「……そう。親玉が出てきたのね。ちょうどいいわ。サクッと殺して終わらせましょう」
    ミリアルカからの通信を見たエルルーンが溜息混じりにこぼした。
    気怠るげに立ち上がり……刹那、神気と見紛う清冽な魔力を彼女が覆う。
    その手に握るは神鉄で製造された金の長槍。
    その身に纏うは白鳥を模した純白の戦装束。
    クラスはランサー。
    真名をエルルーン。
    北欧神話に名高い戦乙女、ワルキューレの1騎である。
    「いつになく本気のようだね?」
    「失礼ね。私はいつだって本気よ……今は、一刻も早く終わらせたいだけ」
    メンテーの言葉に即答するエルルーン。
    2つの異聞帯を得て、戦乙女の少女は得難い別離を経験した。
    後悔も悔恨も、苦悩すらもが彼女にとっての戦う理由だ。
    我が名はエルルーン。海の神ニョルズとその妻ネルトゥスの間に生まれし水の女神にして戦乙女。
    しかして今は、勇士・フェリーペに仕える一振りの槍。
    機械の如くあれと大神に造られた彼女は、今はその内に抱える情動(バグ)を肯定していた。

  • 464理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/23(Mon) 23:03:43ID:EzOTMyNjI(12/27)NG報告

    >>463
    「……それにしても。いつぶりかしらね。貴女とこうして組むのは」
    「白々しい。数える気なんてないだろう? 私も数える気なんてないよ」
    ランサー、エルルーン。
    シールダー、メンテー・プルトランプ。
    共にカルデア設立時からの仲で、特異点を越え異聞帯に突入して以降も最前線で生き残ってきた戦友だ。
    「作戦は? アンサズ? ソウェル? それともスリザズ?」
    「人使いが荒いな君は! 20(ヴァン)か16(セーズ)、30(トラント)辺りでどうかな?」
    「その言葉そっくりそのままお返しするわ……ハッチが開くわ。無駄口はここまで。いつも通りやりましょう」
    「ああ。私が守って君が攻める。さあ行くぞ、エルル……ランサー!」
    「シールダー、メンテー・プルトランプによる入力確認。これより戦闘行動を開始する!」

  • 465理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/23(Mon) 23:04:05ID:EzOTMyNjI(13/27)NG報告

    >>464
    シャドウ・ボーダーの上部ハッチに繋がる扉が開き……外の大気が流れ込んできたのと同時。
    足元から放出された水の勢いに乗って、エルルーンは眼前のミリアルカを切りつけた。
    それをヒラリと右に回避するミリアルカ。
    水を纏う神槍の一閃によってベールのような水の膜が彼女の視界を瞬間的に奪う。
    その隙を狙ったメンテーの振るう盾が、無防備なミリアルカの後頭部を打ち抜いた。
    エルルーンが切り込み、メンテーの攻撃へ繋げる。
    カルデア最古参の2人が幾度となく繰り返してきた必殺のコンビネーション。

    「武器を納めてちょうだい。戦いに来たわけじゃないわ」

    それが、目の前の女には一切通用していなかった

  • 466理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/23(Mon) 23:04:30ID:EzOTMyNjI(14/27)NG報告

    >>465
    「━━━戦闘補助。攻撃型ルーンを使用!」
    「交霊開始(Concert)━━━霊門設置(intermezzo)━━━霊撃(marche)!」
    エルルーンの細い指先が記した魔術記号━━━北欧に伝わるルーン文字から10を越す水の魔弾が放たれる。
    その隙間を縫って放たれたのはメンテー・プルトランプによる霊子の弾丸。
    2人の攻撃を重ねた瞬間的な制圧射撃。点ではなく面による攻撃もミリアルカにはかすりもしない。
    (一陣、二陣、三陣、四陣、第五陣、これで最後……!)
    如何に北欧の戦乙女とて全能では決してない。
    長期的な魔術行使による戦闘用魔力の枯渇が近づきつつあるその瞬間……ふと、身体が軽くなるような感覚をエルルーンは覚えた。
    そして彼女は確信する。
    ・・・・・・・・・・・
    次の攻撃は必ず中ると。

    「……まったく。遅刻よ。マスター」
    「礼装起動(lutar funcionar)━━━必至(
    rebatida)!」

    黒いコートを纏ったフェリーペによる礼装支援。
    その効果は文字通り必中、渾身の力を込めて放たれた水弾は文字通り因果を歪めてミリアルカの元に迫り。

  • 467理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2019/12/23(Mon) 23:04:47ID:EzOTMyNjI(15/27)NG報告

    >>466
    「カルデアのマスター。フェリーペ・ジョージ・デ・サント。
     その契約サーヴァント。メンテー・プルトランプ。
     カルデア最古参のサーヴァント。エルルーン。
     役者はそろったようね。それじゃあ話し合いを始めましょうか。
     ━━━━貴女達の攻撃が通用しないことはいい加減理解してくれたと思うけど」

    傷の一つどころか、水に濡れてすらいないミリアルカの姿がそこにはあった。

  • 468島編術陣営 ◆qjazSIB7S22019/12/23(Mon) 23:34:46ID:U4Mzk5NjE(1/18)NG報告

    ミリアルカ・アーデルハイド。獣性魔術の大家アーデルハイドの養子であり、実の親は(なんとなく心当たりはあるが)不明。
    使用するのは生来持つ五つの獣の特性である––––と、いうのが、自分が知るところの彼女の情報である。
    実のところ、彼女については通り一遍の調査しかしておらず、それ以上の情報といっても使用魔術の詳細(生来の体質によるものである為再現性がないと判断し、細かい解析再現は放棄。甲賀望月と同じようなものだ)ぐらいしか持っていない。
    それ以上の情報といえば–––まだカルデアが健在であった頃。比較的暇そうな若い女性であると見られたのか、フランソワとかいう従者に話しかけられた時に聞かされた「いかに彼女がかわいらしいお嬢様なのか」という話の事。加えて、その従者たちの死亡と娘の状態を伝えた時の父親のいやに冷静な態度だろうか。娘を愛していないからという風ではないし、だからといって内部犯が大規模破壊工作をするような組織に信頼を向けている訳でもあるまい。……気になって調査をしようとしたあたりで今回の漂白事件が起こったのだが………
    ………ああ、そうだ。そういえばあのメイドには、その他にも何度か話しかけられていた気がする。確か背丈が近いだかなんだかでの挨拶と、お嬢さんを気遣うなんとやらの手配だか。だが、その程度ならお互い何ら特別なことではなかったし、それに今役に立つ情報でもない。

  • 469島編術陣営 ◆qjazSIB7S22019/12/23(Mon) 23:34:56ID:U4Mzk5NjE(2/18)NG報告

    >>468
    閑話休題。
    現在カルデア勢力と交戦中である「ミリアルカ」を観察する。
    その余裕綽々といった態度は踏ん反り返った侍どもを思い出させて実に気に食わないということは一先ず置いておき、重要なのは彼女が行なっている回避動作だ。それらしき動作も殆どなく、呼吸をするように行われる転移。空間跳躍ならば幻獣ヒポグリフが行うと聞くが、彼女が使う五つの獣のいずれにも該当していないはずである。そして、あの慣れたような動きは短期間で急いで習得した魔術のそれであるとも思えない。
    ならば外的要因––––例えばこの異聞帯特有のなんらかの強化––––によって得た能力であると想定するが–––あの消失・出現は結果的に解析の方も妨害しているようだ。変化をしている気はするのだが、具体的な差異を割り出すまでには至らない。そもそも初見の状態であるので比較サンプルがそれほどないということもあり、もう少し時間がなければ正確な分析は不可能だと思われる。
    「あ゛ーもう!捗らん!」と思わず声を上げると、隣で同じように外の様子を伺っていた新所長が軽く飛び上がるのが見えた。……落ち着こう。完璧美女はこんな時でも怒鳴らず冷静なのだ。
    音声通信を入れ、「……先ほどから攻撃を回避しているなんらかの技ですが、少なくとも私が持っているデータには存在していないものです。十分な警戒をお願いしますね」と伝達した。
    この違和は外の三人も感じているはずだし、どうせ「話し合い(どうせ降伏要求だのマウントの類な気がするし期待はしていない)」をするのであれば、それを通じて情報を引き出してくれないかなぁ……などと期待をする俺であった。

  • 470九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/24(Tue) 00:21:32ID:MwNjM1ODQ(1/1)NG報告

    三人が手を止めたのを確認するとミリアルカは一息つきながら懐から1枚の紙を取り出す

    「『我々、獣王国ブルートガングは人理継続保障機関フィニス・カルデアに戦争を申し込む。…まあ堅苦しいのはここまでだ。要は明日の正午から我々はお前達を殺しに掛かる。死にたくなければ余[オレ]の元まで来い。出来なければ死.ね。以上』
    というのがこのロストベルトの王からの乱暴な宣戦布告よ。私はこれを伝えに来ただけ」

    それだけ言うと紙を畳んでフェリーペの正面へ転移し、手渡しする。

    「安心しなさい、私は極力手を出さないよう獣王レーヴェンから言われているから」
    「ま、待て!」

    フェリーペが止めようとした時には既にミリアルカの姿は掻き消えた後だった。

  • 471リドリー陣営2019/12/24(Tue) 10:58:07ID:UzMTc5MzY(1/6)NG報告

    傷持七豪集対白雪姫&モーシェできました
    取り敢えず載せます
    ひた走る傷持七豪集。彼らの目指す先は今は亡き映画の都ハリウッド。叛逆者デン・テスラを滅亡させ『肝心』の娘を救出する、三人いれば造作もない任務の"筈"だった。だがその慢心による認識は改める事となる。

    下半身を激しく動かすが、上半身は微動もしない三人の傷持七豪集を遠目から見、顔を顰めるモーシェと白雪姫。だが彼らの任務は奴らの足留め向き合わなければならない。白雪姫は剣を取り出し、神酒により身につけた"新たな力"を発現させる準備を整える。モーシェは事前に調べておいた霊脈の結果を考えながら魔術式の構成に取り掛かる。彼には疑問があった。

  • 472リドリー陣営2019/12/24(Tue) 10:58:41ID:UzMTc5MzY(2/6)NG報告

    >>471
    (何故神酒の管がこんなにも通っている?)

    霊脈を調べた際、明らかになった事だ。この異聞帯の特性を考えれば真っ先に思いつくのは水道管がわりなのだが、明らかに数が多い。毛細血管のように張り巡らされすぎており、過剰だ。
    そして……………
    (更に言えばなぜこの管は空間樹の枝と巻きついている?)

    そう、管の隙間を縫うかのように、空想樹の枝が伸びているのだ。何らかの意図を感じるが、モーシェは悩む。

    (私の魔術を使えばおそらくこの管を少しは取り除けるかもしれない。だが空想樹は生命活動に貪欲。下手に手を出して予想外な事態も起きかねない……………)

    そして、今現在の役割は足留めだ。調べた霊脈の結果は、立夏たちの後をつけている自作鳥型ゴーレムへと伝播させる。

    (やれやれ、こうもやる事が多いと肩がこる)

    だがモーシェはやり遂げる。何故なら彼は時計塔に中指を立てるほどの豪胆さを持つ魔術師が故に!

  • 473リドリー陣営2019/12/24(Tue) 10:59:12ID:UzMTc5MzY(3/6)NG報告

    >>472
    仕込みは終わった。傷持七豪集の悪趣味な走りを視界に収め、モーシェはノタリコンと魔道書により、多重高速詠唱で詠唱時間スキップした大規模儀式呪法で爆撃を仕掛ける!

    そしてモーシェも白雪姫も思い知った。傷持七豪集の一人、虎狩りのケイトー。彼はただの尖兵であったことを

    〜〜〜〜〜〜
    爆撃が迫る中、傷持七豪集はじゃんけんをしていた。この局面を乗り切るのを誰か決めるじゃんけん。そしてそのじゃんけんに負けたのは……………
    「はぁー、私か」
    「まあ順当な結果ではないかな『舵取』氏」
    「全くじゃ。儂等の中じゃ最大火力を誇るのがお主故に」
    「……………じゃ、ま、パーっと激しい花火を上げますか!」
    『肝心』は愛馬の背中に立つ。見事なバランスで直立した彼は一本の剣を取り出した。
    ――――例えるなら松明百本を束ねたものよりも強い輝きを発する"聖剣"。その輝きを見れば誰もがその真名に思いつく、最強の聖剣。その名は……………
    「――――束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるが良い!


    『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』 !」

  • 474リドリー陣営2019/12/24(Tue) 10:59:36ID:UzMTc5MzY(4/6)NG報告

    >>472
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    爆発ごと飲み込み、発射された星の息吹。モーシェに直撃するその寸前"時が止まる"。白雪姫の開花した力の一端だ!止まった時の中でモーシェを聖剣の当たらない位置に動かすとそのまま、傷持七豪集に攻撃を仕掛ける。

    時間は少ない。そのため、少しでも多くのダメージを与えるため聖剣を振った鴉をもしたフルフェイス兜の男に対して自らの剣を振り下ろす!

    だが!

    「おーっと、流石に卑怯ですぞ、某氏。」

    目の隈が激しい鎧の男に止められる!そして男の持つ長剣と短剣は白雪姫の肌を裂き、血を取った。その攻防により時間が来る。

  • 475リドリー陣営2019/12/24(Tue) 11:00:00ID:UzMTc5MzY(5/6)NG報告

    >>474
    「うん?」
    「む?」
    「気づかれましたか、お二方。」
    「一体何が起きた?」
    「どうやらこの麗女が、時を止めたご様子。いやはや余がいなければ危なかったですぞ」
    「そこは素直に感謝じゃ」
    「ありがとうだぜ」
    「いえいえ」

    傷持七豪集はにこやかに話す。そして白雪姫に向かって自己紹介をした!

    「余は処刑の二人目『闇討ちマクベス』」
    「私は肝心の三人目『オオヤジのアルトリウス』」
    「儂は舵取の五人目『晩成たるイリヤー・ムーロメツ』」

    「「「さあ、汝らの名はなんだ?」」」

  • 476リドリー陣営2019/12/24(Tue) 11:00:26ID:UzMTc5MzY(6/6)NG報告

    >>475
    取り敢えず終わりです

    何かあったら予選の方で言ってください。手直しします

  • 477九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/24(Tue) 20:50:51ID:I5Njg5NTI(1/2)NG報告

    「くそっ!あの小娘め、言いたい事だけ言って消えおって!」

    憤慨するローリーをまあまあと宥めるフェリーペとメンテー。

    「では私は少し周囲の様子を探って来ますね」
    「待ってください。一人で出て行くのは少し危険です。ここはワタシが作ったドローンを飛ばしますよ。いいですね?所長」
    「うむっ、ああ。いいとも、やってくれたまえキャスリーン君」

    絡繰で出来たドローンを展開しシャドウ・ボーダーの周囲を探らせる。鬱蒼と茂った木々が邪魔でよく見えないので木より高く飛ばす。

  • 478九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/24(Tue) 20:51:00ID:I5Njg5NTI(2/2)NG報告

    >>477
    ドローンからの映像によると森はかなり広い範囲に広がっていて二つほど集落のようなものも見える事が分かった。

    そして空想樹も確認出来る。特に隠蔽等もされておらず空想樹の近くにも町は無いようだが空想樹から少し離れた位置に都市のようなものが見える。

    そして、空には昼間なのに月が見えた。


    「…というのがドローンを飛ばして分かった事です。あと空に何匹か鳥型の魔獣らしきものも居ました」
    「となるとまずはその集落に行って情報を集める感じですかね?所長」
    「そうだな、まずはとにかくこのロストベルトに関する情報を集めなくては」
    「おや?」
    「どうした?キャスリーンちゃん」
    「っ!現地住民らしき少女が魔獣に追われています!」

    【選択肢】
    ①助けに行く
    ②様子を見に行く(助けないとは言ってない)
    ③ちょうど食料が少なくなってたんだよなー(棒)

  • 479リドリー陣営2019/12/25(Wed) 10:21:05ID:c2NDE1MDA(1/1)NG報告

    >>478
    「しかし、あんなでかいカエル見た事ないな」
    現地住民を襲っているのは顎がショベルのように出っ張っている大型のカエルだ。襲われているハーピーはどうやら空を高く飛べないらしく、少し飛んでは、飛んできた舌を避けるために下降りるのを繰り返している。カエルの舌は木を切断しながらハーピーを襲おうとしているようだ!

    「……………ねぇ所長?」
    「ん?フィリーペ君一体どうしたんだね」
    「いやーさ?そろそろ肉なくなりそうでしたよね(棒)」
    「……………あ、たしかにそうだね(棒)。カエルって鶏肉の味するって言うよね(棒)」
    「えっ食料まだ結構あム」

    キャスリーンの口を塞いでフィリーペはエルルーンとともに助けに外へ出る!

  • 480亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/28(Sat) 16:01:45ID:c5NDAyNjg(19/29)NG報告

    喫茶店を出た二人の魔術師が向かったのは市街地から程離れた山間部であった。
    道という道を見たのはもう暫く前が最後だった。今は獣道とも言えるような足場の悪い小道を突き進んでいる。

    少し、歩きましょうか。
    といった彼の言葉を鵜呑みにしたのは失態だったかもしれない。肉体労働は久方ぶりのシスカには少々骨が折れる悪路である。
    細かな砂利に軽く足を滑らせたシスカは、辛抱堪らないといった様子で前を歩く朽崎に恨み言をなげつける。
    「……おーい、いつまで歩かせるんだ」
    「もう少しです、すいませんね」
    それ、さっきも一言一句同じ事を言ってたぞ。
    と心の中で悪態をついていると、どうやら目的の場所とやらに到着したらしい。
    一気に視界が開けた、と思えば、その先には巨大な穴が口を開いていた。
    山の斜面が抉り取られたようにぽっかりと空いた洞窟。

  • 481亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/28(Sat) 16:02:41ID:c5NDAyNjg(20/29)NG報告

    >>480
    その周囲を覆い隠すように樹木が広がっている。
    それら全ての花が同一の種類である事に、訪れた人間ならばすぐに気付くだろう。
    目を覚まさせるような白い花に、他者を寄せ付けない刺々しい葉。
    ヒイラギという木だ。
    確か、花言葉は「用心深さ」「保護」だったか───

    辺りに自分たち以外、人の気配はない。
    魔術的な人払いが施されているのは魔術師であるシスカは一目で看破した。
    実に丁寧な術式だ、余程この場所が衆目に晒される事態を避けたいらしい。
    そんな事を考えて、
    「ささ、こちらです。もう一踏ん張り頑張ってください」
    と、柔和な笑みを浮かべてもう一人の魔術師は手招いている。恭しい姿勢は紳士然としているがその本質の真逆っぷりが逆に態度すら嫌味に見せてしまう。
    「もう一踏ん張りって、まだ歩かせるのかい!?もー貧弱な大人には堪えるよホントに…」
    「まぁまぁ、でも肉体強化の魔術を施しているみたいですが」
    「あのなぁ、身体の出力を上げたところで体力(スタミナ)が上がる訳じゃないだろ?
    こちとらアラサーなんだからな、手心を加えて欲しいってもんだ」
    自らの運動不足を棚に上げるのはどうかと思いますが、と朽崎はやや思うところありげである。
    「お気持ちお察ししますが、真実を伝えるためには致し方ない労力ですから……」

  • 482亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/28(Sat) 16:03:14ID:c5NDAyNjg(21/29)NG報告

    >>481
    洞窟の中は思っていた以上に広大だった。
    これは最早洞窟という規格を逸脱した、地下空間だ。山の外殻を残して中身を丸ごと抜き取ったかのような、そんな常識外れな印象を受ける。
    明らかに魔術が施された形跡がある。
    恐らくは空間の改竄と、山の重力に圧し潰されない強度を保つ為の強化魔術。恐らくは内側からの衝撃にも対応済みだろう。
    それらを半永久的に駆動させ続ける辺り、この空間の設計者の手腕に驚嘆せざるを得ない。

    "地脈を利用した魔力循環で半永久的な術式保持を可能としている感じか。全く誰だか知らんが変態地味てるぞ"

    露出した火山岩の床を踏み進む。
    視界は不良にして、裸眼では手元すら覚束ない有様だが、視力強化でその辺りはどうにでもなりそうだ。
    そも、魔術のマの字すら知らない者はこの洞窟に辿り着くことすら不可能なのだから、その辺の不便さをとやかく言う奴は居ないだろう。
    だが敢えて不満を漏らすなら、この腐った卵の様な匂いはどうにかならないものか。
    「匂いますか?すみませんね、この匂いばっかりは如何ともし難くって……」
    「?ああ、構わんよ。どうせ硫黄の匂いか何かだろう。自然現象ならばどうしようもないだろうさ」
    「いえ────まぁ、真相は直ぐに分かりますよ」

    そうこうしているうちに目的の場所とやらに到着した。
    「……こ、れは……………」

  • 483亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/28(Sat) 16:06:30ID:c5NDAyNjg(22/29)NG報告

    >>482
    そこには確かに聖杯があった。
    だが、それは聖杯と呼ぶには醜悪な容貌に過ぎた。
    脈動する体躯。
    鼻腔を刺す腐臭。
    肉塊、と呼ぶには余りにも、惨たらしい有様だ。
    凹型に窪んだ地面に収められる様にして鎮座する肌色の聖杯は、膨大な魔力を生み出しながら苦悶の声を漏らしていた。

    そう、声だ。
    無機物であるはずの聖杯は確かに有機的な音を何処からとも無く放ち続けている。
    腹の底を震わすような、地響きにも似た声で。
    殺して、と。
    眼を凝らして、声の方を見る。
    肌色の聖杯と思っていたそれは、その表面に細かな凹凸が刻まれていて、時折小刻みに揺れるのが分かった。

  • 484亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2019/12/28(Sat) 16:06:59ID:c5NDAyNjg(23/29)NG報告

    >>483
    意図せず眉間に皺が刻まれる。
    見間違いようがない。
    アレはどう見ても。
    「成る程、死霊魔術(ネクロマンシー)」
    努めて平坦な声で、ぽつりと呟く。
    「……さながら死体を捏ねて作った泥団子だな。
    で?コレを見せたかったと言ったからには、聖杯がこうなった経緯について教えてくれるんだろう?」
    怒りもなく、さりとて悲しみもなく。
    魔術師は単純に、魔術師として生じた疑問の発露を隣に立つ朽崎の当主に打つけるのであった。

  • 485伏紙アサシン陣営2019/12/29(Sun) 01:34:27ID:I5NzI0NjE(12/26)NG報告

    「………」

    ウィリーは表情にこそ出していなったが、焦っていた。
    手首を切り落とすはずだったマスターの女が最悪なタイミングで意識を取り戻したからだ。
    アサシンは彼女の魔術でその手を止められ、呆けたように何も無いところを見ている。

    「貴方がこのアサシンのマスターかしら?私のサーヴァントは、倒されたみたいね。良い暗殺の手腕だったわ」

    彼女の挨拶にウィリーは答えなかった。
    代わりに冷徹な視線と無骨なショットガンを突き付ける。女はあまりに段階を飛ばした行動を取るウィリーに一歩後ずさった。

    「どういうつもり?私、まだ貴方の癪に障るような事を言った覚えは無いのだけれど」
    「俺はまだ、お前を傷つけるつもりは無い。お前が知っている事を俺に教えろ。妙な真似をしたらその時はお前も死ぬ事になる」

    女は、ゲルトウラデはこの自分がいるコンクリート張の部屋を改めて見回す。よく注視すればあちこちに爆弾の様な物が仕掛けられていた。
    このアサシンのマスターが話す事は真実らしい。
    ゲルトウラデはしばらく思案すると、結論を出した。

    「わかったわ。それならーーー」

  • 486リドリー陣営2019/12/29(Sun) 23:43:36ID:c4MjA3NjU(1/28)NG報告

    「うーん、しかしなぁ……………」
    「まあ微妙だよなぁ……………」
    リドリーとエル・シッドは二人して頭を悩ましていた。あれから調査した結果どうやらごるごるさんの噂が事実であったらしい……………のだが、肝心の『誰が』関わっていたのかがまるでわからなかったのである。
    「あったってことだけで何とかならないのかク.ソマスター。」
    「そんな事あるわけないじゃない。それ一点だけじゃ少なすぎるさ。」
    「だよなぁ……………」
    揃って溜息をつく二人。掲示板の情報もほぼなく手詰まり状態だ。そこからうどん屋で昼飯を食べ、電気店でゲーム機を買い、服屋でTシャツを買って車の中に入る。そしてリドリーは口を開いた。

  • 487リドリー陣営2019/12/29(Sun) 23:44:06ID:c4MjA3NjU(2/28)NG報告

    >>486
    「なあロドリー。明日の夜勝負をかけないか?」
    「……………それだけじゃ分からん。詳しく聞かせろ」
    「もう、会う事ができないのであれば、私たちの方が誘い出せないか?というわけなんだ。」
    「言わんとすることはわかるがどう誘い出す?」
    「それは決めてない」
    胸を張って答える姿に眩暈を覚える。ノープランにも程があるからだ。
    「……………いやそんな目で見ないでくれよ?少しでも考えるために明日まで引き伸ばすんだからさ!?」
    必死の弁明をする姿が一層滑稽に見える。そこが面白いところでもあるのだが。
    「ふん。まあ期待せずに待っとくとするか」
    「おっと、そんなこと言っていいのかい?私には見える!君が私の案に驚愕する姿が!この確率1京%!」
    「なんだよ、その柄でもない言葉。キャラにあってねーぜ」
    「……………友達の受けおりさ。言った私も後悔してる」
    「というかあんたに友達いたのがびっくりしてる今世紀二番目の驚き」
    「いや私だって友達何人かいるから!?さっきの口癖の堰口那由多に、天才子役のマルネーゼ・スピネッラ、『伽藍回転』ジャクリーン・ラム、マスター・デンドロビウムに……………」
    「はいはい、その話は家で聞くぞ」
    適当に話を切り上げたエル・シッドは家に向かって車を方向付けたのであった……………

  • 488九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/30(Mon) 20:14:07ID:c4NTc2ODA(10/18)NG報告

    有翼の少女、ミュウは森の木々の間を縫うように飛んでいる。背後から追いかけて来るカエル型の魔獣の舌を避け、点在する木の枝を避ける。それでも魔獣を撒くことは出来ずむしろじりじりと距離を詰められていた。

    「ダメ…このままじゃ…」

    ────食べられる

    「ダメ!ミュウが食べられたら、お母さんがっ」

    一か八か枝を蹴って加速しようと降り立ったその時

    ギュエッ

    魔獣の悲鳴が聞こえ、追ってくる気配が無くなった。

    「なに…?」

    ミュウは木の影からこっそりと後ろの様子を伺った。

  • 489九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/30(Mon) 20:14:16ID:c4NTc2ODA(11/18)NG報告

    >>488
    「戦闘終了、お疲れ様だ。後輩、エルルーン」

    センパイのシールドバッシュで体勢を崩した所に上空からエルルーンが刺すという黄金コンボが決まってカエル型魔獣が完全に動かなくなったのを確認して一安心する。

    「ありがとうセンパイ。あとは」

    少し離れた所にある木の影からこちらを見るとこちらを見ていた女の子と目が合う。
    チュピッと驚いた声を上げて隠れてしまった。怖がらせてしまったかな?

    「私が飛んで行って話してみましょうか?」
    「いや、それじゃ多分逆効果だ。こういう時は…。
    おぉーい、大丈夫だからこっちにおいでー!」

    手を振って大声で叫んでみる。すると木陰から出てきた少女がぱたぱたと羽ばたいてこちらに飛んで来た。

  • 490九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/30(Mon) 20:14:45ID:c4NTc2ODA(12/18)NG報告

    >>489
    「これ、あなた達がやったの?すっごーい!ヨーゼフはたしかにありふれた魔獣で罠をつかったらミュウにも狩れるけどあっという間に仕留めちゃったの!」
    「ヨーゼフ?」
    「うん、この魔獣の名前。お兄ちゃん達知らないの?」
    「ああ、まあ…この辺りに来たのは最近だから魔獣の名前とかは分からないな」

    そんなやり取りをしているとシャドウ・ボーダーが追い付いて来てキャスリーンちゃんが出て来る。

    「ほうほう、遠目からでも大きいのが分かったけれど近くで見ると本当に大きなカエルですね」

    現地の生物の生態を確認する意味もあってキャスリーンちゃんが魔獣の解体を始めようとするとミュウが遠慮がちにキャスリーンちゃんに話し掛ける。

    「あの、あのね。できたら少しでいいからミュウにもヨーゼフのお肉分けて欲しいなって…」
    「えっと…」
    「いいんじゃないかな?」

  • 491九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/30(Mon) 20:14:54ID:c4NTc2ODA(13/18)NG報告

    >>490
    それから俺達は少し打ち解けて普通に話をするようになった。そしてミュウの家に魔獣肉を届けるついでにミュウを送っていくようになった。

    「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はフェリーペ、フェリーペ・ジョージ・デ・サント」
    「メンテー・プルトランプだ」
    「エルルーンよ」
    「ワタシは西行・キャスリーン・華恩と言います」
    「ミュウはミュウっていうの。種族はハルピュイアだよ」
    『(知ってた)』
    「それじゃあ行きましょうか」
    『ちょいちょーい!』

    ホログラムが浮かび上がって所長の姿が浮かび上がる。

    「私を忘れるとは何を考えているんだね君達ィ」

  • 492九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/30(Mon) 20:15:24ID:c4NTc2ODA(14/18)NG報告

    >>491
    「あー、その。忘れてたわけじゃないんだ。ただ所長はその…名前がな?」

    センパイが言い難い事を言ってくれた。やっぱりこういう時はセンパイを頼るものだよな、うん。

    『それ前にもやったよね!?私は別に幼女性愛者[ロリコン]ではないのだよ!』
    「ろりこん?」
    「ミュウちゃんは聞かなくていいからねぇ」

    そんなやり取りをしていると笑い声を聞かれたのか鳥型の魔獣──クラーラと言うらしい──に襲われたりしたけどセンパイとエルルーンが協力してやっつけてくれた。センパイのプロセルピナって装備にも大分慣れてきたようだ。
    戦っている間にふと気になったことがあったから移動する道すがら聞いてみる事にした。

    「ところでミュウ、さっき所長がホログラムで出てきた時なんで驚かなかったんだ?」

  • 493九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/30(Mon) 20:15:32ID:c4NTc2ODA(15/18)NG報告

    >>492
    そう、今まで特異点や異聞帯等行く先々でホログラムを見た現地の人々は最初は驚いていた。でもミュウはそんなに驚いた素振りを見せなかった。
    そんなに深刻って訳ではないけど一度気になりだすと色々と考えてしまう。そう、例えばそういう半透明な種族と思ったとか。ハルピュイアがいる世界なら有り得る…と思う。

    「え?だってこんなおっきな機械があるんだもの、ホログラムが出たって驚かないよ」

    予想の斜め上だった。

    「どう思う?センパイ」
    「もしかするとこの異聞帯では意外と科学が進んでいるのかもしれないな」

    『ミュウちゃん、ちょっと解体したお肉の可食部について教えて欲しいんだけど』
    「はーい!」

    アナウンスでキャスリーンちゃんに呼ばれてトテテテ、と歩いて行くミュウ。飛べないのがもどかしいのかたまに翼をぱたぱたと振るのが可愛らしいな。

  • 494九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22019/12/30(Mon) 20:15:50ID:c4NTc2ODA(16/18)NG報告

    >>493
    道中一度だけクラーラに遭遇したもののそれ以外は特に何も無くミュウの家に到着した。
    ログハウスのような建物の周りに生垣のように植物が囲っており中の庭に当たる場所ではマスクをした女性が椅子に座りながらナイフと金槌を使って薪を割っていた。

    「あーっ!お母さん!また外に出て、ダメでしょ!」

    ミュウが飛び出して女性の元へ羽ばたいて行った。…凄いスピードだな。

    「おかえり、ミュウ。大丈夫、今日は調子が良いから」
    「そう言ってこの前3日も寝込んだの忘れてたわけじゃないでしょ!?」

    そんな2人の元へ俺とセンパイ、あとエルルーンがボーダーから降りて歩いていくと向こうもこちらに気付いたのか椅子から立ち上がる。

    「娘が危ないところを助けてくれたと聞きました。ありがとうございます。大したおもてなしは出来ませんがゆっくりしていってください」

    深々と頭を下げてくるミュウのお母さんのお言葉に甘える事にした俺達はとりあえずキャスリーンちゃんが解体した魔獣肉をボーダーから降ろす事にした。

  • 495山星2020/01/01(Wed) 03:02:31ID:czMjAyMDk(15/34)NG報告

    「──────敵補足。アレが今回の聖杯戦争のマスターで間違いないな?」
    「多分あってる。……容姿も聞いてたものと一致してるからね。アレがルーカス・ソーラァイトで間違いないと思う」

    少女は使い魔の水晶の小鳥を可愛がりながら、冷静に相手を観測する。

    「……『決闘狂い』のエーテライト、そしてその分家の『理想論』のソーラァイト。私もエーテライトのことを知ってるぐらいだからソーラァイトのことなんてあまり詳しくないけれど……まあ、そのソーラァイトに生まれた待望の青年らしいし?とてつもない驚異なんだろうね」
    「ふーん……で?どうすんのこっから」
    「………奇襲?取り敢えずは適当に呪術で石でもぶつけちゃってくださいな」
    「めんど。まあいいよ。どうせサーヴァントいっからいなされるだろうけどな」
    「相手が対処した瞬間に目の前に出るよ。そこからはまあ、アドリブで」

    ─────そして、空からルーカス・ソーラァイトに向けて弾丸の如き速さで小石の雨が降り注ぐ。

  • 496魔術師◆TvNZI.MfJE2020/01/01(Wed) 03:43:58ID:AyMjY3MzQ(1/1)NG報告

    >>495
    「ああああああああ身内の恥!!」
    お孫さまはわざわざ被った帽子を取って頭をかきむしり、せっかくセットした髪も乱してしまう。
    もうすでに敵方の攻撃が始まっているにも関わらず両手を無駄に遣る、それは慢心でも油断でも失策でもなく対処完了故に他らならない。
    口頭や念話ではなく、魔力経路から直接行動の命令を受けたランサーが指示通りに特定の数個を弾く。すると、それはまるでドミノを倒すようにハジキの連鎖を起こして弾丸の雨はランサーとルーカスから逸れて土を抉った。
    「……はぁ」
    ルーカスは顔の前に手を出して口で両手袋を外す。
    「マスターのご家庭内で何か?」
    「ああいや……いや、下手にしゃべるとそれをアンカーにしてお爺さまが出てきそうだからやめておくよ」
    金糸の刺繍が入ったジャケットを軽くまくると、すでに演算回路としての輝ける魔術刻印は起動していた。
    「ランサー、2、いや3個でいい。撃ち返して」
    「わかったマスター」
    スコールのように突如として降り注いだ石を槍の穂先で取り出す。毒槍に触れる以上は汚染を止めることは出来はしない。
    「北角度87に一つと北西、ん、違うね東方距離3だ」
    ゴルフのショットのように。
    弾き飛んだ毒石は空を飛ぶ使い魔と奇襲をかけるキャスターの元へ正確に特攻した。

  • 497島編術陣営 ◆qjazSIB7S22020/01/01(Wed) 10:00:44ID:c2ODI1MDc(3/18)NG報告

    「さて、二号。この魔獣を見て、どう思う?」
    「訂正。当機(わたし)は絡繰であるので『思う』事はありません。分析係としての機能確認を求めているということでしょうか?」

    改めて現在の情報を記す。目の前で魔獣肉を几帳面に並べている少女は俺の作ったお手伝い絡繰の、分析担当。名は尾裂二号である。妙な名前だとは言わないでほしい。自分で人間っぽい名を名乗ったりしているものもいるが、こいつは特別「絡繰である自分」に拘っている個体なのだ。
    「少し正確性に拘りすぎるところがあるな」と言いたいところではあるのだが、それを言えば製作者たる俺の設定の不備であるということになりそうなので黙っておく。個性があるのは悪いことではあるまい。

    「それで正しい。分析結果を述べてみろ」
    「了承。 先ほど送信された現地人との会話より、「ヨーゼフ」「クラーラ」共に平均サイズであるという情報が入力されています。よって、以降2〜3メートルを平均値と定義。汎人類史における類似型生物と一致する点も見られますが、我々の世界と比べればこの大きさは特異であると分析します。加えて、双方共に一部ホモ・サピエンスと相似する身体構造を有しています。毒物や人体に害を及ぼす物質は現在のところ発見されていません」
    「ヒトとの相似構造ね。詳しく調べたか?」
    「補足。改造や変態の痕跡は発見できません。ヒトを変形したものではなく、汎人類史とは全く違う進化をした異聞の生物であると仮定されます」
    「よろしい。俺の分析とも大凡一致している。機能に問題は生じていないな」
    そのまま軽く頭を撫でると、「制止。行動の意味が理解できません」と腕をはたかれた。

    「俺はこれから現地人を呼んできて約束通りに肉を分けて……調理・保存法等の情報を手に入れよう。お前は一号に情報を送っておくように」
    「承知。調理担当にも送っておきます」

  • 498リドリー陣営2020/01/01(Wed) 10:43:04ID:I5OTMyODU(3/28)NG報告

    「なるほど、では僕はあの方を止めればいいんですね?」
    「ごめんね、ヴィーザル。今手が空いているのは君しかいないんだ。」
    「いえ、大丈夫ですよ、マスター。」

    カルデア。藤丸立夏とヴィーザルはトレーニングルームへ向かう。そこには"とあるサーヴァント"が破壊の限りを尽くしていた。

    彼はバーサーカーなのだが、召喚された際、マスターである藤丸立夏、そしてカルデアそのものを敵と認識し、暴走。その後トレーニングルームへとうまく誘導し、閉じ込めることに成功。調査の結果、"なんらかの不具合"により霊基がおかしくなっているのが判明した。解決する方法はただ一つ。

    『殴って正気を取り戻す!』

    そのため選ばれたのがヴィーザル!森を再現したトレーニングルームの中にいるバーサーカーを倒すのだ!


    ヴィーザルは森の中を進み、バーサーカーの姿を垣間見た。東洋の鎧、しかし巴御前や柳生宗矩の様式とは違う。その両手には二つの弓、背中に槍、腰に刀。そしてその頭は中国でよく見る頭巾のような布をつけている。
    地獄の底から響くような低い声で彼はヴィーザルに問う。
    「貴様か……………我が国に仇なす、逆賊は!」
    「いえ、僕は貴方を倒しに来ただけですよ。"岳飛殿"!」

  • 499山星2020/01/01(Wed) 10:43:40ID:czMjAyMDk(16/34)NG報告

    飛んでくる毒の弾丸、それに対し使い魔は自ら砕け散り自分の主とそのサーヴァント達の前にに簡易的な結界を作り出すも、その結界は簡単に撃ち抜かれる。
    ─────けれど、キャスターがそれを一瞥するだけで、彼らの下に到達する前に小石は自ずと止まり、砕け散る。

    『うっそだぁ。わざわざ私じゃなくてキャスターだけを狙った訳?』
    『なーんでだろね。俺と一緒にお前も戦場に出たのは知ってるだろうに。距離はちょっと離れてるけども。てかなんで看破してんの?見抜ける程度ではあるけど幻術破ったわけ?』
    『あの子天体科でしょ。星の導き、その他諸々とか占星術で察知は簡単じゃない?あとあれかな、あの雨を対処したのも最適解を導き出したのかな?』
    『………んで?こっちで勝手にやらせてもらうぞ』

    姿を現したのも束の間、キャスターは腕の一振りで数多の風刃を発生させる。それは人の体など簡単に両断してしまえるもので。

    「よっ」

    不湯花が指をくるりと回すだけで、回転する風刃の周りに水が現れ、それは風の勢いに巻き込まれ刃物のような鋭さとなる。

  • 500山星 ヴィーザル2020/01/01(Wed) 10:52:46ID:czMjAyMDk(17/34)NG報告

    「………まともに争うつもりはありませんので」

    気配遮断にて気配を消す。数瞬で遠くへ離れ、改めて奇襲をかけるも、高ランクではない気配遮断であるが故に防がれてしまう。

    「……嘘でしょう?」

    ─────自分を遥かに上回る膂力と対応速度。まさかと思い、司令部の方に問い合わせてみれば自分を上回る高ステータス。しかも武術の達人ときた。

    「まともに戦うべきではない、でしょうか?」

    槍を地面に接して、地面から生える巨大な氷を岳飛の元に向けて送る。その他に、自分の側に生えた巨大な氷を蹴り飛ばし、大きな氷の礫を岳飛に叩き込む

  • 501リドリー陣営2020/01/01(Wed) 11:07:56ID:I5OTMyODU(4/28)NG報告

    >>500
    迫りくる氷の礫。ショットガンと例えても遜色ない速さで迫りくる礫をどう対応する?

    岳飛は口に大量の矢を咥え、両手の弓から放つ!礫を全て壊し、弓を捨てた。そしてそのまま接近し、腰の中華刀を抜き払いヴィーザルに斬り込む!

  • 502山星2020/01/01(Wed) 11:15:51ID:czMjAyMDk(18/34)NG報告

    「─────」

    驚きしかない、そう形容せざるを得ないほどの技術。これが中国武術の一系統の開祖か。話には聞いていたが極東やアジアはイレギュラーが多すぎる。

    槍の一振りでは間に合わないので蹴りで迎撃する。下段からの蹴り上げ、そしてその勢いで地面に着くと共に逆回転で踵落とし。

    ────それすらも相殺してしまう岳飛に、改めて驚愕する。

    槍を地面に刺すことで支柱代わりとし、それを支えに首、太腿、肝臓、右肩にそれぞれ蹴りを、そして支柱にした槍から発した魔力放出で岳飛の背後から氷で貫こうとする。

  • 503リドリー陣営2020/01/01(Wed) 11:36:16ID:I5OTMyODU(5/28)NG報告

    >>502
    首、太腿、肝臓の蹴りを避け、右肩に来た蹴りを中華刀で迎撃。岳飛はそのまま押し込むつもりだったのだが……………

    バキンッ!

    音をたてて中華刀が壊れ、右肩に蹴りが入る。
    「グヌッ!」
    岳飛は苦悶の声を上げるが、岳飛は背中に氷の槍が迫る。

    だが!

    氷の槍は溶けた!彼の背中にある宝具の毒により分解、空気と化した。彼はヴィーザルについて認識を改める。

    「……………逆賊といったことを訂正しよう。貴様は国に叛逆する勇士なり。」

    岳飛の雰囲気が変わる。その姿を見てヴィーザルは警戒した。ここから彼は本気を出すのだ

    岳飛は背中の槍を取り出した。

  • 504山星2020/01/01(Wed) 11:54:36ID:czMjAyMDk(19/34)NG報告

    「そもそも今のあなたの行動こそが逆賊である、というような気もしますが………」

    突入前に聞いていた話と一致する。あの槍はまだいいが、『もう一つの宝具』だけは使わせてはいけないだろう。……マスターが悲しむ。

    (そもそも岳飛殿とはまともに戦うべきではない。身体能力も、武の腕も、あちらの方が上だ)

    己も北欧神代の戦士の中でもトップクラスであったと自負はしているが、いかんせん巨人であることを封じたこの身体ではうまくいかないのも事実。ならば─────

    素早い踏みこみで蹴り上げ、そこから追撃は与えずに一旦後退からの急速接近で槍の斬り上げ………

    (踏込みすぎると殺される。かといって浅すぎては簡単に捉えられる。分水嶺を見極めねば……)

  • 505リドリー陣営2020/01/01(Wed) 12:27:56ID:I5OTMyODU(6/28)NG報告

    >>504
    「ちょうどいい一撃であるな」
    ヴィーザルの攻撃をいなしつつ、そう評価する岳飛。浅すぎず深すぎず極めて中立的に仕掛ける槍は一種の美しさもある。

    「だが侵略するには未だ不足」

    岳飛は踏み込み槍の連続を放つ。ヴィーザルはそれをいなす……………が!

    岳飛は槍をはなし、距離を詰めて連続パンチ!
    うめくヴィーザル。

    「我が国を侵略するのならば、もっと命を捨ててこんかい!……………"我が国"?」

    頭を抑える岳飛

  • 506山星2020/01/01(Wed) 12:51:06ID:czMjAyMDk(20/34)NG報告

    「己の国に対する奉仕の心に疑いを持つので?貴方らしくもありませんね」

    手は止めない。脚は止めない。相手の動きが鈍った今が好機。振るう力を更に強めろ。

    「ですが、貴方ほどの愛国者が自身の国に対して疑問を抱くのです。僕に対して和平を取ろうなどとは提案しませんが、せめて、『自分がなぜそのような懐疑心を抱いたのか』を深く考えてみては?暫く私は待ちますので」

    そう言いつつ、ヴィーザルは岳飛の攻撃を止めるために、肩に向けてしっかりとした力を込めた蹴りを放つ目論見でかなり距離を取る。

  • 507リドリー陣営2020/01/01(Wed) 13:09:49ID:I5OTMyODU(7/28)NG報告

    >>506

    頭が割れそうになる。何かがおかしい。私の忠義。だが私が忠義を貸した国はどこにある?何故、何故、何故?

    「グウォォォォ!!?」

    頭を抑え蹲る岳飛。彼は気づき掛けた、自らの忠義を尽くす国(マスター)がいないことに!

    そしてこの長時間動かない姿を見るヴィーザルは更にためを決行!強大な一撃を決めるべく待つ!

  • 508山星2020/01/01(Wed) 13:19:54ID:czMjAyMDk(21/34)NG報告

    「──────両手足は覚悟してくださいね!」

    目にも留まらぬ速さで、大地が爆破すると錯覚するかの如き速さで走り抜け、岳飛の目の前に現れるヴィーザル。

    ────その勢いのまま、先ずは右肩を蹴り抜き、左に吹っ飛ぶ岳飛を捉え次は左肩を踵落としで蹴り砕く。
    さらに地面スレスレに屈み、地面に叩きつけられそうな岳飛の右太腿を蹴り上げ────

    最後に、跳び膝蹴りが左太腿を蹴り砕いた。

    「──────これにて、終い。帰りますよ、岳飛殿。マスターは大層心配のご様子でした。己が国だと奉じ、敬愛するのであればそれに尽くすためにも己の身を案じることを勧めます」

    気絶した岳飛を背負い、ヴィーザルは帰る。……どれだけ狂い果てようともただ己が国を思い、その為だけに動くことのできる岳飛に、情景の念を抱きながら。

  • 509ディック2020/01/02(Thu) 09:16:20ID:Q3OTk2MTY(1/7)NG報告

     ミュウの家の近辺にフェリーペたちは英霊召喚のための準備を敷設していた。
    「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
     フェリーペが暗記していた呪文を注意深く唱える。
    「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
     全身を突き抜けるような痛みが奔る。灼けた銅を血管に通されるかのような熱を持った痛み。
    「―――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者―――」
     身体中を魔力が巡り、勢いが加速する。その痛みに耐えながらフェリーペは詠唱を続ける。
    「―――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」
     そう呪文の結びをつけるとともに、フェリーペは身体に流れ込むカルデアからの魔力の奔流を限界まで加速させる。

  • 510ディック2020/01/02(Thu) 09:17:18ID:Q3OTk2MTY(2/7)NG報告

    >>509
     逆巻く風、眩い雷光。召喚の紋様が燦然と輝きを放つ。
     フェリーペの視線の先に、二人の男が現界していた。
    「あ……ヘンリー!」
    「アサシン!」
     フェリーペとメンテーにそう呼ばれたのはかつて他の戦場でともに戦ったサーヴァントであった。背筋もまっすぐで、品格ある紳士の印象を与える。
     フェリーペとメンテーを見る眼差しは、理性と知性の深みを感じさせた。立派に生きて立派に老いた人間の模範が、ここには実在しているのだろうか。
    「物好きな奴に召喚されたと思えば、また坊やだったか」
     そう言って嫌そうにしかめるのはアサシンのクラスのサーヴァント。嘆息するとすっとフェリーペを見据える壮年の男。グレーがかったブラウンの髪と瞳、彫りの深い顔立ち、背筋が伸びた長身で洗練された容姿の男だった。
    「まあいい、アサシン。ヘンリー・フェアフィールド・オズボーン、召喚に応じ参上した。……また学者(おれ)を腕力沙汰に引っ張り出すとは、お前はやはり阿呆で酔狂なのだろうな」

  • 511ディック2020/01/02(Thu) 09:17:55ID:Q3OTk2MTY(3/7)NG報告

    >>510
    「そう言わないでまた力を貸してくれヘンリー。それと俺を坊やと呼ぶんじゃない」
     するとヘンリーは平然として、
    「そうか、悪かった、気をつけるよ、坊や」
     その反応は、フェリーペには予想がついたので、彼はすぐに言い返した。
    「ああ、気を付けてくれ、ご老人!」
     ヘンリーは苦笑しただけで、何も言わなかった。
    「メンテーもよろしくな」
    「ああ、よろしく頼むよ」
    「先輩には普通なのかよ……」
    「その真名は……確か学者の名前だったな……?」
     ローリーが困惑しているところを、キャスリーンが補足する。
    「その通り。彼は世界一有名な恐竜ティラノサウルス・レックスの命名者である古生物学者であり地質学者です。あとアメリカ自然史博物館の館長でもあった人でもあるんです」
    「ま、まるっきりインテリじゃあないかね!もっとマシな英霊はいなかったのか!?」

  • 512ディック2020/01/02(Thu) 09:18:34ID:Q3OTk2MTY(4/7)NG報告

    >>511
    「お前さんの言う通りだ。俺を召喚するとはどうかしている」
     あわあわと狼狽するローリーに対して腕を組みながら同意するアサシン。
    「俺を召喚するよりもヘクトールとかジークフリートを召喚したほうが建設的だ」
    「君も何を他人事のように!」
    「まあ、落ち着いてくれよ所長」
    フェリーペがローリーを宥める。
    「口ではこう言っているがアサシン……ヘンリーは結構凄いんだ。学者だからってバカにしたもんじゃない」
    「後輩の言う通りです所長。彼の力は戦士のサーヴァントたちにも劣りません。学者とはいえ、前にお話したニコラ・テスラさんの例もあるじゃないですか」
    「むぅ……」
     メンテーの言葉にローリーも言葉を飲み込み、考えるように黙り込む。
     かつて神の領分であった「雷霆」を人類文明に引き寄せた星の開拓者、ゼウスの雷霆を地上に顕した男。ニコラ・テスラは学者でありながらも神代の英傑にも勝るとも劣らない強大極まる英霊として存在していた。

  • 513ディック2020/01/02(Thu) 09:19:23ID:Q3OTk2MTY(5/7)NG報告

    >>512
     ローリーもデータとしては知っていたのでヘンリーに対してもしかしたらと考えを改めたのだ。ローリーの胡乱げな視線にもヘンリーは平然としている。
    「そ、そんな凄い力があるのか……」
    「信じられない、という目だな。ま、俺もPRしたことはなかったからな」
     どうも役者が違うな、とローリーは感じさせられる。
    「それで、俺の紹介はもういいだろう。マスター、ますは訊かせてくれ。こいつは誰なんだ?」
     ヘンリーが言う、こいつ、というのはグレーがかったブラウンの瞳で見ている、傍らの男。先程までのやり取りの最中も只管に倒立腕立て伏せをしている男だ。
    「いや……俺も知らん。というか、初めて召喚するサーヴァントだ」
     フェリーペの視線を感じたのか、男は───依然として倒立腕立て伏せを続けながら───じっと見上げるように見つめてくる。

  • 514ディック2020/01/02(Thu) 09:20:02ID:Q3OTk2MTY(6/7)NG報告

    >>513
     微妙な沈黙が一同に間に降り注ぐ。
    「……メンチ切らないでくれないか?」
     堪りかねたヘンリーが観念したようにそう言った。
    「フゥー……心と……心…ンッ!で!……対話をっ……フフゥ~試みて、いる……だけだ!」
    「できるかそんなもん。メンチ切っているようにしか見えんわ、バカタレ」
     男の主張をヘンリーは一刀両断に斬り捨てた。
    「むぅ……」
     男は残念そうに唸ると、再びフェリーペに視線を向けた。彼はびくっと身体を緊張させたが、マスターとしてその視線を逃れるわけにはいかなかった。フェリーペは頑張った。ちなみにフェリーペとヘンリー以外は関わりたくないのか沈黙を守っている。
    「問おう……フフゥ~~っ!お…前っ!がっ!はぁ~マスター……フゥー……か?ンフッ!」
    「あ、はい。そうです」
     倒立男のクラスはアサシン。真名は尚雲祥。形意拳の近世三大名手に数えられる達人であった。そして鍛錬中毒者(トレーニングジャンキー)であった。
    「ランサー一人、シールダー一人、アサシン三人……随分偏りがある編成ですね」
     エルルーンが嘆息をついた。

  • 515ディック2020/01/02(Thu) 09:20:18ID:Q3OTk2MTY(7/7)NG報告

    >>514
    以上です!

  • 516Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/02(Thu) 22:58:08ID:U0Mzc3NjY(1/4)NG報告

    >>484
    女魔術師の質問に対して、死霊魔術師が返したのは僅かな沈黙だった。死骸で出来た聖杯から視線を外し、彼の方を見やると、黙祷を捧げていた。
    「へぇ、意外だね。まさか死霊魔術師がサンプルに祈りを捧げるなんて」
    薄く嗤って、彼は答える。
    「まぁ、程々に。安ーく買った命で、彼らにとってこの扱いは最悪でしょうが、それなりの感謝はあるつもりですよ?ああ、コレが”こう“なった経緯でしたっけ?勿論お答えしますよ」
    「俺って、餓鬼の頃は結構酷い子供でしてねー、いや今でも大分ヒトデナシですが。虫とかをコロすのが好きで。蟻の巣に水を流し込んだり、蟷螂の頭を毟ったり。でそれがどうしてだろう、と思ってたら、俺の起源は『破壊』だそうで。知ってますよね?起源。そ、あの起源です」
    一息ついたと思ったら何故か淡々と自分について話し始める。その訝しみを感じとったのだろう、「ちゃんと繋がりますから」と言葉にして、続ける。
    「で、起源の影響かある日俺はこの洞窟にある魔術式…この聖杯を壊してしまいまして。だーい爆発。保護の術式はなんとか無事でしたが、聖杯は木っ端微塵……とはいかなくてもかなり原型は無くなってましたね。で、俺だって責任なり負い目なりは感じる訳で?方々からツテを探ったり資源奪ったりでこの形に。完全に元の…オルバウスから受け継いだ形には戻せませんでしたが、なんとか機能するようにはなったかなぁ、と」
    「あのさぁ、君。とりあえずの経緯はわかったけどね、ちょっと端折りすぎじゃないかい?どうやって聖杯を壊したのか、とかさ」
    ある程度は理解したが、まだそれなりにだ。納得したか、と言われれば全くである。
    「と、言われましても。正直言って、俺にもあの日の事は呑み込めてない過去でして。始まりも結末も受け入れられない。なので今でも引きずってるんですよねー。まだ、理解できないままですよ」
    そう、青年は寂しげに呟いた。
    「ま、お互いに隠してるモノはあるでしょう?多少の違和感っつーか俺が言って無い事はありますが、それは単純に今の俺に関する事です。端的に言えば、恥ずかしいんですよ。大事に大事にしまっておきたい、俺の意味不明な宝物です。貴女には一切合切関係無いので、ご安心を」
    先程まで若干陰鬱に見えた青年は、打って変わって飄々とした雰囲気を身に纏う。

  • 517Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/02(Thu) 22:58:31ID:U0Mzc3NjY(2/4)NG報告

    >>516
    「まぁ、私に関係無い、と言われれば納得…すると思うかい?せめてもうちょっと保証が欲しいなぁ」
    「ではギアスロールでも作りましょうか?『俺は聖杯を壊した経緯については全て説明した』みたいな内容で」
    いきなり魔術師にとって最大限の譲歩を切ってくる。それほど、それほどまでに知られたく無い事なのだろうか。
    「分かった。分かったよ、OKだ。信じよう。でも一つだけ質問だ。この死体の聖杯、しっかり使えるのかい?こんな状態でマトモに動くのかどうか、とかはハッキリさせておきたいんだが?」
    まぁ彼の過去は一旦置くにしても、最低限これだけでも確実に知っておきたい。労力や血を払って戦争して、報酬なんてありません、なんて笑い話にもなりはしない。ピエロで終わるなんて真っ平だ。
    「あーー、それですか。それですよねぇ、気になるのは。その質問への回答としては……サッパリ分からない、というのが正確ですねー。正直言ってこの聖杯戦争を始めたのは、この死骸聖杯の性能チェックの意味もあるんですよ。今のところ、急に出てきたバーサーカーも含め、7騎が現界してますから、十分に成功、と言うべきでしょうね。もっとも、霊器が薄い?タイプのサーヴァントも散見されますから、断言は出来ないですが。それでも、見たところシッカリ願望器として機能するらしいですよ?流石に世界を変革するような願いが叶うかは五分五分との事ですが」
    少々の違和感。小さい、だが確かなクエスチョンを抱えながら、彼に続きを促す。
    「他に質問は?あぁ、オルバウスには不義理を働いてしまった事がバレましたから、何かこの聖杯戦争に対する便宜を図れ、と言われれば聞きましょう。何でもでは無く出来る事を、無限ではなく有限に、ですが。完全に無制限なのは、フェアじゃない。さぁ、どうします?」

  • 518魔術師◆TvNZI.MfJE2020/01/03(Fri) 20:48:43ID:MyNTcxNTM(1/2)NG報告

    >>499
    「目に見えるものが真実なんだ」
    ルーカスは右手で指鉄砲を作り、照準を空へと向ける。
    「たとえばそれは、物の有る無しも含めてね」
    人差し指の先端で収束した光の玉はシャワーのように拡散し、彼と彼の僕(しもべ)の姿が消える。標的を失った刃が、さっきまで二人がいたはずの空間を満たした。
    「居ない!?さっきまでそこにーー」
    「おいそっちだ!!!」
    山星とキャスターを中間で分断する二本のラインが地面に刻まれた。
    一方は輝かしき光の閃き。
    そして、もう一方はおぞましい毒の穢れ。
    マスターとサーヴァントが背中を合わせてそれぞれの相手へと向いている。
    「ランサー、P.L.2まで許可する。場合によっては3を使ってでもキャスターを留めろ」
    「僕がサーヴァントを足止めする間にマスターをあなたが倒すと言うのは構わないけれど、直接僕がサーヴァントを刈り取っても構わないんだよね?」
    ランサーが槍を振るうと、槍から漏れ出る毒の瘴気が空気を染め上げ地面を汚し山星とキャスターを分断した。
    「ではキャスター、そちらのマスターには悪いがこちらに付き合ってもらう」

  • 519魔術師◆TvNZI.MfJE2020/01/03(Fri) 20:51:14ID:MyNTcxNTM(2/2)NG報告

    >>518
    くるくるとステッキを回して帽子を外し、御曹司はわざとらしい恭しさでキャスターのマスターへと礼をする。
    「どうもこんばんは、東の淑女(レディ)。この僕はーー」
    「そういうの、いいから。知ってる。やるならとっととやりましょうよ」
    キメの言葉を遮られて不満げな青年は軽く息を吐いて、
    ( 照らすもの、汝の名は星である )
    「Sta(e)rs are made of the Lights.」
    ステッキを軽く突く。
    「この僕がルーカス・ソールァイト、では良き研鑽と決闘を」
    光の球体が彼を中心として回転し始めた。しかしそれは本当に球体なのではない。円盤状の魔法陣が自転し、球体のように振る舞って更に公転しているのだ。
    「では先ずは惑星魔法陣βから」
    回転中心で金色の青年はもう一度杖を突く。
    「目に見えるものが真実で、そしてこの僕が君の視覚を支配する」

    「君の真実を決めるのは、君でも世界でもなく、この僕だ」

  • 520島編術陣営 ◆qjazSIB7S22020/01/04(Sat) 00:14:11ID:U5ODc5Mjg(4/18)NG報告

    (ミュウの家内部)
    「以上が魔獣の解体によって手に入れた情報です。………と、いうわけで。皆さん、お腹は空いてます?九号ちゃんが『今日はモツ鍋だー!』って張り切ってましたけど。」
    西行がくるりと頭を回し、周囲を見渡す。
    真っ先に「俺はいらない。後で分析データだけ閲覧させてくれ」と返したのは、壁際に凭れていたヘンリー。
    彼のちょうど反対側となる位置では男が一人うるさく筋トレに励んでいるのだが、それは既に「気にしないことにしよう」という事になったので考慮する必要はない。
    フェリーぺは、目の前のモニターに映し出された「人間との類似箇所:内臓編」と注釈のついた画像を無言で見つめた後、小さく息を吐いた。
    「……まぁ、食べなきゃ動けないからな……ローマではローマ人のするように振る舞えって言うし」
    言い終わらないうちに小屋の扉が開き、箱を抱えた一人の少女が飛び込んでくる。
    「ウチに任しといてー!ちょっと調べてみた感じ、味自体はウチらの汎人類史(せかい)とあんまり変わりないみたいだし。がんばりましょう会って事でガツンと気合入れて作っちゃうから!」
    少女は「もちろん新所長のおぼっちゃまの舌にも合う料理をねー」と口の中で呟きながら部屋を見回し、一部始終を不思議そうに見ながら自身の翼を弄っていた少女に目を止めた。
    「あなたがミュウちゃんね。はい、これ。保存作業をする前に分配するように、って言われていたから持ってきたんだけど、これで足りる?」
    有翼の少女がぴょこんと立ち上がり、手渡された箱の中身を覗き込む。
    「わぁ、いっぱい!ありがとう!…………あ、そうだ!さっき言ってたもつなべってなに?」
    「ウチらの国でよく食べる動物の内臓を煮込んだもので、今回は鳥……じゃなかった、クラーラってのを煮てみようと思ってるの」
    「あぁ、内臓の煮物!ミュウもね、よく食べるんだよ。大きな鍋でいっぱい作ってね、それでねー………」
    入ってきたばかりの少女–––調理担当・尾裂九号–––と談笑を始めるミュウ。
    「そうだ。ウチまだ下ごしらえしただけだからまだ分量増やせるし、こっち流の味付けでいいならミュウちゃんも食べる?」
    「ほんと!?えっとね……お母さんも一緒でいい?」
    「もっちろん!」

  • 521島編術陣営 ◆qjazSIB7S22020/01/04(Sat) 00:14:22ID:U5ODc5Mjg(5/18)NG報告

    >>520
    ぴょんぴょんと飛び跳ねるミュウを見ながら、西行がふと何かに気が付いたように呟いた。
    「私は食べませんけど……鍋の大きさ、足りますかね?」
    「俺も食べないから足りるだろう。………それで、データはどこで受け取ればいい?」
    「ボーダーの中で引きこもってる緑の子に聞いてください。見つからないようなら青い子がその辺でぼーっとしてるのでそちらを起こしてどうぞ」

  • 522山星2020/01/04(Sat) 21:31:53ID:cwODgxMzY(22/34)NG報告

    「─────んー、そこの優男君さ。なんか勘違いしてない?俺ってば別に君と遊ぼうとしてた訳じゃないよ?」
    「僕も遊びのつもりでやってる訳じゃないさ」
    振るう槍は神の作りし毒の槍。触れてしまえば無事では済まぬ神の槍。

    「キャーこっわーい☆……誰が作ったかは知らねぇけど、相当だな。周りにまで毒をばら撒くなんざ」
    だからどうしたと言わんばかりにキャスターはなんてことないように術を行使する。呪符をばら撒く、腕を振る。それだけで炎や風、更には雷球がランサーを襲う。ただ避けるだけでは止まらない。それこそ、まるでキャスターの指先ではないかというほどに精巧にランサーだけを狙い続けている。

    「この程度で負けるならね。僕はあの人の息子ではないんだ」
    「やーだ、これだから人間って。お前らの絆とか知らねぇのに気張んなよ。……うわっと、」
    避けるだけでは解決しないと見込んだランサーは、それらを槍で砕きながら追いすがる。

    「いやぁ、怖……ぐふっ、?」
    易々回避していたキャスターが胸を抱き、膝をつく。それは、ランサーの槍から放たれる空間を汚染する毒にやられた証拠に他ならない。それを好機とし、その槍捌きのまま、更に強烈な一撃をキャスター本体にぶつけようとするも……

    「おっ、勘がいいな。せーかいせーかい。俺は何処にいると思う?」
    直感か、はたまた戦士としての実力か。後ろに後退したランサーの前方で膨大な爆発が起こる。それに巻き込まれたと思われるキャスターだが、その姿は霧のように消えてしまい。
    「………幻術の類、というのはわかったけれど。解せないのはその後だ。どうして、君は無事でいられるのかな?」
    「どうして?どうしてだろうねぇ……。考えてみるといいんじゃないかな?」

    ────肩も、そして毒も受けてない様子で、先程までランサーが槍を振るっていた場所に何事もないように、キャスターは立っていた。

  • 523山星2020/01/04(Sat) 21:32:59ID:cwODgxMzY(23/34)NG報告

    ─────光とは、人間の視覚を支配するものである。光とは、古来から神秘を感じさせるものである。

    「ああ……そういうこと。私が君たちのことを捉えられないわけだよ」
    手に持つ拳銃から銃弾を幾つも撃ち込む。が、それら全てはルーカスを中心として回転する球体……魔法陣に防がれてしまう。

    「自動防御機能かな?まあそんぐらいは仕込むよね。私だってしてるもの」

    礼装同時展開。何処から取り出したのか巨大な……人の頭ほどある水晶が大量の水へと変じ、不湯花の側の水は手であるかのように植物の杖と、笛のような杖を持っている。不湯花本人は、相変わらずナイフと拳銃だ。

    「僕としては、些か失望だけどね。あの悪名高い『この世で最も残酷な華』がどれほどのものかと思えば、ただの魔術使いじゃないか」
    「そもそも私たちの悲願は根源じゃないし?履き違えないよ、そこはね」
    「そうかい。全く惜しいものだ。【白羊宮】。即ち、【動性】と【雄星】を示すものよ、汝の構成要素は【炎】である」

    炎が巻き起こる。それは容易く不湯花を取り囲もうとするも、何をせずとも周りの水が蒸発しながらもかき消す。

    「………海を繋ぐは二神が盟約にて。彼女達は全ての道を保証し、我を正しい未来へと導かん。虚像を消し、戸惑いを消し、描くは海。海を進む船なり。『宗像三女神』はここに威を示さん」
    地面に水が迸る。それらは全てルーカスと不湯花が戦っていた地面に広がる。それと同時に、不湯花の周囲に水で造形された三女神が取り囲む。

    「我は望む。我が求むべき未来へと向けた航海を。我は望む。遥か先、遥か遠く、我らが望む星々への到達を。よって、我らは船を編み、漕ぎ出そう。『住吉大神』はここに威を示さん」
    笛のような杖を振るう。それだけで、そこから飛び出した鉱石が砕け散り、多数の小さな、人差し指程の船の大群となり、ルーカスに向けて飛びかかる。

  • 524山星2020/01/04(Sat) 21:35:03ID:cwODgxMzY(24/34)NG報告

    「………ふん。なるほどね」

    ルーカスを中心に展開される魔法陣の円周。………ルーカスを起点として、二つ目。そこまで辿り着いた船は叩き落とされる。しかし、この場合の留意点はそこではない。……数多の衛星を潜り抜け、そこまで到達したという事実こそである。


    「あなたは先程、何と言ったかな。私の真実を決めるのは世界でもなく、この私でもなく、あなたが決めるって、そう言ったよね。
    あなたは今、何処に立っている?その肌で、その耳で、何を知っている?空気か、大地か、コンクリートか、己が決闘の舞台か?違うでしょ。
    ──────大きな私(大地)の掌の上に、広い私(大海)の指先の間に、多くの私(植物)があなたを感じ取る場所に立っているの。わかる?視覚なんてそんなもの。触れることで、語りかけることで絶対的に感じるものこそが真実なんだよ」

    ──────大海、起動。完全掌握まで、あと二つ。

  • 525理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2020/01/05(Sun) 00:43:03ID:g3ODAzNzA(16/27)NG報告

    満天の星空の下、帯のような白煙がたなびいて流れていく。
    シャドウ・ボーダーの壁に腰を預け、口から煙を垂れ流す女性の姿があった。
    青いジャンバーの下から覗くのは純白の戦装束。
    風になびく長髪の色は大海原のような青、同じく瞳も海の如き群青を湛えている。
    明かりのない暗闇の中、煙草の先端に点った火と星の光だけが彼女を照らされた戦乙女の姿。
    異聞帯という世界において、その姿はあまりにも絵になっていた。
    車内にも喫煙所はあった。それでも彼女は、外で吸うことを好んでいた。
    人間にも、サーヴァントにも。1人になる時間は必要だ。
    大神から与えられた機能と趣向と言えばそれまでだが、彼女は確かにその事に感謝をしていた。
    「まったく。あれだけ避けられるとは。プロセルピナ形無しだね」
    いつのまにかエルルーンの隣に並んでいたメンテーがそんなことをこぼす。
    「たまたまでしょう。気に病むことじゃないわ。1つ目の異聞帯でも2つ目の異聞帯でも、貴女の新しい力は役に立ったじゃない」
    「そうかい? しかし、あれがクリプターねえ……あれがそうなら、この世界の王とやらはどれだけの豪傑なのやら」
    「あまり卑下するものじゃないわ。メンテー……いいえ。勇士、メンテー・プルトランプ。ヴァルハラに連れて行く気はさらさらないけどね。そこまでへこまれると貴方を勇士として認めた私の見る目がないみたいじゃない」
    口から白煙を吐き出しながらエルルーンが淡々と、それでいて当人同士にしかわからぬレベルの確かな感情を込めて告げる。
    「……後輩にもそんなことを言ってなかったか? ワルキューレというのは随分と節操がないんだな」
    「吟味した上でのことよ。というか貴女、そこ風下よ? 煙くない?」
    「いつものことさ。とっくに慣れたよ」
    軽口を叩き合う盾の乙女と水の戦乙女。
    その在り方は、多くの特異点を乗り越えることに紡がれていった彼女達の絆の形だった。

  • 526理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2020/01/05(Sun) 00:46:29ID:g3ODAzNzA(17/27)NG報告

    >>525
    メンテーと共にボーダーに戻ると、中では既に食事が振る舞われていた。
    ローリー所長手ずから用意された高級そうな食器に注がれているのは、見たことの無い肉質をしたぶつ切りの肉が浮かぶ煮物である。
    「モツ煮込みね。いただきましょう」
    即座に料理名が出るのは宴を司るものとしての面目躍如と言ったところか。
    味噌をベースとした出汁の香りが漂うそれを、エルルーンはこれまた所長手ずから用意されたスプーンで口に運ぶ。
    臭みはまるでなく、口に入れた瞬間に蕩けて肉の脂と出汁の旨みが渾然一体となって流れ込んできた。
    (この短い間に……よくもまあここまで……)
    尾裂九号。カルデアの技師であるキャスリーンが作った絡繰人形の一体。ボーダーの『食』を一手に担う彼女の料理は、ヴァルハラでの酒宴を取り仕切るエルルーンを唸らせるほどに美味しかった。
    「ふっ……ほう……! ふんっ! マスター、は! カポエイラっ! の! 心得がっ! ふっ! あるか!」
    「ああ。本当に心得だけね。自分の身は自分で守れるくらいのもんだよ」
    「そこで私のKARATEが炸裂!敵は木っ端微塵というわけだ!」
    「まあ私の援護もありましたけどね」
    「はぁぁ……! ローリーおじさんすごい! ね! お母さん!」
    「ええ……本当に。ミュウを助けていただいてありがとうございました」

  • 527理エルとNYの人◆3zXvUrYT3w2020/01/05(Sun) 00:46:40ID:g3ODAzNzA(18/27)NG報告

    >>526
    「……まったく。落ち着いて食事も取れやしないのか。この車は」
    「そう言う割にはさっきから箸が止まってるわよ。早く食べちゃいなさいな。ここは戦場、好き嫌いしてると死ぬわよ?」
    車内の喧騒に、ヘンリーは静かに顔をしかめる。そこに投げかけられるのはエルルーンの辛辣に聞こえる言葉だ。
    ただし彼とエルルーンもこれが初対面という訳では無い。
    お互いの人となりを十分に理解していた。
    「ふん……なるほどな。流石北欧神話に名を残す戦乙女。なかなか含蓄ある言葉を吐くじゃないか」
    「お褒め頂きありがとう、教授。ほら、早く食べなさい。じゃないと私が食べさせるわよ」
    「しつこいな……わかった。食べればいいんだろ? ……まったく。お前は変わらないな。エルルーン」
    「貴方の方こそ……また力を貸してくれて嬉しいわ。教授」
    すると、ヘンリーはわずかに唇の端を歪め、逆立ちするフェリーペに顎を向けて……

    「坊やに呼ばれては応じぬわけにはあるまい。いやなに、しばらく見ない間にいい顔をするようになった。あれならば我が獣も存分に力を振るえるだろうさ」

  • 528亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2020/01/05(Sun) 22:16:50ID:kxOTkwMDU(24/29)NG報告

    >>517
    はて、と指を唇に当てて思考する。
    オルバウス家への不義理の代わりに何でも言うことを聞くと語るではないか。
    正直な話シスカはオルバウス家のつまはじき者である。
    家を奔走し、人狼を気紛れで拾い上げ、紆余曲折を経て偶々実家の伝手を辿って聖杯戦争の枠を奪取したに過ぎない彼女は、別にオルバウスの代表でもなければ代理でもないつもりだった。
    したがって聖杯の取り扱いそのものに関して特に思う所はないのだが。
    “問題はコレがキチンと使える保障があるかどうか、それが全てだよなぁ”
    ふむ、と軽く息をついて。
    「……んじゃあ、二つ程頼まれごとを受けてくれるかい?」
    「ええ、何なりと」
    朽崎は鷹揚に受け入れる所存らしい、その証拠に返答に一切の淀みがない。
    シスカは左手でピースサインを作ると、その手を朽崎の前にかざす。
    「先ず一つ、聖杯戦争で敗退したサーヴァントが座に帰還した際の聖杯の様子を知らせて欲しい」
    「……あぁ、聖杯がキチンと動くかどうかの確認です?」
    そういうこと、と頷いて。
    「今現時点で聖杯戦争はイレギュラーが生じてて、尚且つ聖杯が正常に願いを成就する保障はない。
    だったら定期的に観測しながら異常の有無を判断する他はないだろう?
    サーヴァントが敗退した時、その魂は聖杯に満たされる。その際満たされた量が過不足無く、等価であるかを知りたいんだ」
    多過ぎても、少な過ぎてもいけない。
    願望の成就を盤石なものとする為には是非とも知っておきたい情報だ。

  • 529亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2020/01/05(Sun) 22:17:31ID:kxOTkwMDU(25/29)NG報告

    >>528
    聖杯が聖杯として滞りなく機能してなければ命を賭して戦う意味すら消失してしまうから。

    「いいですよ、その程度の要求で良ければ。
    では第二の頼まれごととは?」
    「この聖杯戦争に参戦したマスター、その全陣営の情報と召喚した英霊のデータを提供して欲しい……って言ったら断るかい?」
    「いいですよ、お教えします」
    コンマ数秒もない即答。ある程度の駆け引きを覚悟していた身としては少々拍子抜けしてしまう。
    いかん、呆けた顔をしてないだろうか、私。
    「……あのな、そう安請け合いしていいものかね。仮にも君聖杯戦争の管理者だろう?」
    「便宜を図るといった以上、二言はありませんとも。それに管理者と言ってもそこまで公平を重んじるつもりはないですからねー」
    いやはや悪い顔だ。
    軽薄な見た目をしていながらも頼りになるじゃあないか、せいぜい背中からザックリ刺されない様に上手く立ち回るとしよう。

    「男前は嫌いじゃないよ。
    文書でもデータでも、なんなら口頭でも構わない……特にセイバー陣営の情報を詳細に教えて貰えるとありがたいかな」

  • 530愉悦部inクローディアァ!2020/01/06(Mon) 00:28:02ID:AyMTczMzQ(14/24)NG報告

    「そうね。私の名前はゲルトラウデ・アーレ。年齢は大学入りたての18歳……。今をときめく地中海系スーパーアイドル──」

    詰められたとおりに自己の情報を話しだすゲルトラウデ。それも大げさな身振り手振りを加えて。

    「身長は170cm。体重は……、トップシークレット。アイドルに野暮なことは問う事じゃないわ。好きなものは紅茶、嫌いなものは……ふらふらじた人間ね。そう、あのセイバーのマスター、リドリーのような。

    あぁ!これ以上は事務所を通してちょうだい!これ、私の住所。Aare länzenderStern」

    さらりと近づいて名刺を差し出し、にこやかにほほ笑む。

  • 531九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/01/06(Mon) 19:25:10ID:QxOTcyOTY(17/18)NG報告

    「ところでミュウくん、つかぬ事を聞くがね。この辺りは魔獣に襲われたりしないのかね?こんなにいい匂いを漂わせていたら寄ってきたりしそうなものだが」
    「大丈夫だよ。この辺りはシルトグリューンの群生地だから」
    「シルトグリューン?」

    ミュウが「こっちだよ」とローリーを案内して向かったのは家の周りに生垣のように規則正しく生えている木々の所だった。

    「このシルトグリューンは魔獣が嫌がる匂いを出しててこれが生えてる場所には魔獣が寄ってこないの」
    「ほほう、それはなんとも便利なものだ。観葉植物として一本欲しいな。スンスン…うむ、少しクセがあるがそこはかとなく良いかほり」

    ローリーが一歩近寄り息を吸い込むとツンと鼻を突く感覚の後に木材の香りが感じられた。丁度新築の木造建築の匂いを濃縮したような感じを堪能する。

    「あんまり吸わない方がいいよ。毒だから」
    「早く言いたまえ!?」

    一転して顔を青くして飛び退き袖で口元を押さえるローリー。しかし考えてみれば魔獣が嫌がるものが人間に無害な筈がなかった。
    そんなやり取りをしていたミュウとローリーの上空からふわり、と音がしそうな程軽やかにエルルーンが飛んで来る。

    「それなら結界はこの木の内側に張った方が良さそうね」

  • 532九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/01/06(Mon) 19:25:19ID:QxOTcyOTY(18/18)NG報告

    >>531
    「あ、エルルーンお姉ちゃん!」

    エルルーンを発見したミュウは嬉しそうに羽ばたいてエルルーンの居る高さまで飛び上がるとエルルーンの周りをくるくると飛び回る。

    「お姉ちゃんの羽ってすっごく綺麗だけどすっごく不思議だよね。背中から生えてるしぱたぱたしなくても飛べるんだもん」
    「そうかしら?」

    そのままゆっくりと下降し着地する二人。ミュウはなおもエルルーンの周りを歩き回る。すると徐に手(のようになっている翼)をわきわきさせて

    「ねねねね、お姉ちゃんの羽触らせて?ね?ね?」

    言うが早いかミュウはエルルーンの背中の羽を弄る。エルルーンも「ちょっと、やめなさいってば」などと言うが本気で振り払ったりはせずじゃれついてくる子供を去なすように体を捩るのみである。
    そして置いてけぼりを食らったローリーがわざとらしく咳払いをする。

    「えーゴホンゴホン。エルルーンはここに用事があって来たのだろう?ミュウ君、その辺にしといてあげなさい」
    「はーい」
    「ありがとうございます所長。あちらで新しく召喚された拳士が手合わせをしたいと言うので周囲、取り分け敵の手の者から見られないようにルーンで結界を張りに来ました」

    そう言うとエルルーンは手早く結界を構築するとミュウに軽く挨拶をした後手合わせをするというメンバー達の元へ戻って行った。

  • 533リドリー陣営2020/01/06(Mon) 21:30:30ID:U1NjcyMTA(8/28)NG報告

    「……………さてと」
    飯を食い、首を小気味良く鳴らす尚雲祥。体を動かす様子はなくただ立っている。
    それが堪らなく不気味であった。

    「シャン。鍛錬はいいのか?」
    「いや、今からするからいいんだ。」

    そういうと尚雲祥は上の服を脱いだ。中から金剛石のような強靭な筋肉が顕になる。だが見ていた者の関心はそこではない。彼の腕、屋久杉のように太く迫力のあるそれは、鈍色に輝いていた。

    空気がピリつく。尚雲祥は明らかに臨戦態勢なのだ。だが、周りに敵らしき存在は発見できない。

  • 534リドリー陣営2020/01/06(Mon) 21:30:39ID:U1NjcyMTA(9/28)NG報告

    >>533
    「勝手を許してくれ、主人。これは鍛錬だ。……………俺はこの中で誰とも顔を合わせていない。もし戦いになった時うまく連携を取る事ができるのか。俺はそれが気になってな。」
    「だからといって戦う必要なんかあるのか?」
    「なら、話し合いで決めるというのか?俺は口だけで他人の呼吸は理解できない。……………俺は不器用だからな」

    なるほど、筋は通っているように聞こえる。しかしここは異聞帯。トレーニングルームならまだしも大っぴらにやっても良いのだろうか?
    フィリーペの脳裏にかすめた疑念は、意外な形で解消された

    「それじゃあ周りから見られないようにルーンで結界を張ってくるわ」

    エルルーンにより周りが阻害されたのだ
    「ありがたい、エルさん。しかし貴方は参加されないのですか?」
    「いえ、私は少し席を外そうと思っていたので」
    「なら仕方ないか」

    特に残念がるわけでなく尚雲祥は言い放つ。そして左手を前にしつつ右手を引き、足も同様に左を前、右を後ろにした。これは形意拳の構えである。彼は中にいるヘンリーとメンテー、フィリーペを見てこういった。


    「……………ところであんた方、俺の武術に関する逸話を知っているか?」

  • 535監獄長◆VENk5mkP7Y2020/01/06(Mon) 23:59:50ID:MyMzQ3ODA(1/2)NG報告

     彼────尚雲祥の逸話について問われ、最初に口を開いたのはフェリーペだった。

    「余り多くを知っているわけじゃないけど、ある程度は」

     フェリーペは確かにカポエラを扱うが、決して武術家ではない。
     ダンスの一環で覚えただけの一般人と言っていいだろう。
     故に、各国の高名な武術家たちを知っている訳ではなかったが、カルデアのマスターとして戦っていく内に、歴史の偉人たちの予備知識が必要になっていったので、ある程度の知識は持っていた。

    「確か、手足が鉄鋼のように硬い形意拳の達人……だったよな」
    「その認識で間違いはない。俺の手足は、生前の鍛錬の名残りか、宝具に昇華されている」

  • 536監獄長◆VENk5mkP7Y2020/01/07(Tue) 00:00:23ID:g5NjM0MTA(2/2)NG報告

    >>535
     形意拳の構えをしつつ淡々と自身の事を語る。

    「俺には先の戦乙女のように、面妖な力など有していない。己の武器は磨かれた肉体と技巧のみ……だからだ。連携の件もそうだが、俺という一武術家の技が奇怪な世界にどこまで通用するのか把握しなければならない」
    「だから戦えと言うのか、この非常時に」
    「戦わなければ見えないものもある。それに言った筈だ……俺は不器用だからな。手合わせして初めて他人との距離を縮められる」
    「最後のそりゃ、お前さんの都合だろうに。まあ何でもいい。最終的な決定はマスターに丸投げするからな」

     ヘンリーの言葉に、一同がフェリーペに視線を向ける。
     本来ならば無益な戦いは避けるべきなのだが、カルデアのサーヴァントたちを理解したい心情なども入っているので、尚雲祥の願いを無碍にはできない。
     それに、これはフェリーペの私情なのだが、中国きっての達人の戦いを間近で見たい衝動もあった。やはり男の子、そういう事には興味津々なのだ。

    「うん、やろうか」

     刹那、その言葉を待っていたと言わんばかりに、尚雲祥の闘気が増した。

  • 537ディック2020/01/07(Tue) 07:42:05ID:M3NzM1Mjk(1/8)NG報告

    >>536
    マスターであるフェリーペの意向もあり、尚雲祥が要望した手合せを行うことになった。相手はシールダーのメンテー・プルトランプ、アサシンのヘンリー・フェアフィールド・オズボーン。
    「不満だろうけど、よろしく頼むよヘンリー」
    「いいさ。あいつの望むこともまったく無駄とも思わないからな」
    気にしていない、とヘンリーは億劫そうに手を振る。
    「そうなのか?」
    「ああ。今後俺たちがともに戦うために互いを知るのは必要だ。知ったからそこの動き方もあるだろう。そのためにも互いの手の内を知るというのは悪くない。正しい判断は、正しい情報と正しい分析のうえに、はじめて成立するだからな」
    「正しい判断は、正しい情報と正しい分析のうえに、はじめて成立する──か、流石は教授。至言だね」
    うんうん、とメンテーは頷く。

  • 538ディック2020/01/07(Tue) 07:43:30ID:M3NzM1Mjk(2/8)NG報告

    >>537
    「それで守りは任せるぞ」
    「ああ、任された」
     傲然とさえいえる声音でヘンリーはメンテーに言う。
    メンテーもそれには気にした風もなく応じて盾を構える。
    彼女も役目は心得ている。自分の仕事は引き付け、攻撃を阻み(パリィ)、間合いに入れる機会があれば攻撃、自分の役目は壁役(タンク)だ。
    ヘンリーは片腕だけを異形のもの───恐竜のそれに変える。
    「おお……!」
     この中でただ一人知らなかった尚雲祥が感嘆の声を上げる。
     ヘンリーはその剛腕で近くの巨岩を砕き、字面を削り砕く。宙に飛散する岩石や土砂はそれぞれが形を変える。その変貌した姿は、汎人類史において太古の昔、地球上を支配していた生物である恐竜だ。無機物が恐竜へと姿を変えたのだ!
    小型肉食恐竜ヴェロキラプトル、大型翼竜プテラノドンと種類は様々だ。即席の恐竜の軍勢だった。
    ヴェロキラプトルの群れがメンテーの前に並ぶ。プテラノドンは空中を旋回して尚雲祥を狙う。エルルーンの結界を出ないように空中を飛んでいた。
    「素晴らしい!オズボーンさん。真理追及の学徒たる御身はそのような強大な力をお持ちであったとは」
     尚雲祥は依然として構えを解かないが、その目は感動に輝いている。対するヘンリーは冷ややかなだ。
    「ご期待に応えられたようで、よかったよかった」
    「……何故、ヘンリーの恐竜を見ると男子は一様に目を輝かせるのだろうね」
     メンテーは不思議そうに首を傾げるが、ヘンリーもフェリーペも即答する。
    「ロマンだからだ」
    「……そうか」

  • 539ディック2020/01/07(Tue) 07:43:52ID:M3NzM1Mjk(3/8)NG報告

    >>538
    「まあ、いい。さっさと始めようか。さあ、可愛い我が子らよ。俺に尽くせ」
     ヴェロキラプトルたちが尚雲祥へ襲いかかる。
    「恐ろしき竜たちよ!お前たちと死合えることを光栄に思うぞ!」
     尚雲祥は吼えるように言う。その目は凄まじい血光を放っていた。

    以上です

  • 540リドリー陣営2020/01/07(Tue) 12:14:12ID:AwODE5OTU(10/28)NG報告

    >>539
    「では、俺も手の内を見せようか。」
    迫りくる恐竜等に対し、尚雲祥はその姿をよく見て技を決める。

    一斉に襲いかかる牙と爪、それに臆することなくヴェロキラプトルを鉈の如く鈍い上下の一撃で地に沈める!プテラノドンに対して錐の如く抉る下上の一撃で空にカチ上げる!

    「相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係。こいつを『相剋』っていうんだ。……………まあ今は手加減して形は残しているんだが。」

    形意拳、陰陽五行説に基づいた五つの拳。そのうちの二つ、劈拳と鑚拳である。恐竜を具に観察していたのは、ヴェロキラプトルとプテラノドンの司る五行を見定めるためである。

    ヴェロキラプトルは鱗がある生物、つまり木行。プテラノドンは羽がある生物、つまり火行。それに合わせ、相剋しうる金行の劈拳、水行の鑚拳を撃ち込み恐竜達の動きを止めたのだ!

  • 541リドリー陣営2020/01/07(Tue) 12:14:37ID:AwODE5OTU(11/28)NG報告

    >>540
    「だがこれだけにとどまらないのが形意拳。」

    そういう時、尚雲祥はヴェロキラプトルに鑚拳を打ち込み、そしてプテラノドンには槍の如く突きを撃ち込む。この拳は崩拳だ!

    全ての恐竜に撃ち込む。すると恐竜が意識を表し、立ち上がった。だがその爪と牙の鋭さは増しており、目に見えるほど神秘の濃さが増している!

    「順送りに相手を生み出して行く、陽の関係。こいつを『相生』って言うんだ。平たく言えば強化することができる。こいつ等はあんたの仲間だが、一時的に操らせてもらうよ。……………正直ここまで上手くいくとは思ってなかったがな」

    尚雲祥は恐竜たちにメンテーとヘンリーに襲いかかるよう指示した!

    終わりです

  • 542ディック2020/01/07(Tue) 19:24:34ID:M3NzM1Mjk(4/8)NG報告

    >>541
    尚雲祥に思考を乱され狂奔する恐竜たちはヘンリーたち雲へ襲撃する。尚雲祥の拳を受けていない恐竜たちが迎撃して、己の仕事をまっとうしようとするメンテーが構える。
    ところが、
    「■■■■■■■■■───ッ!!」
    ヘンリーの口腔から大気を震わせる咆哮が放たれる。間近でそれを浴びたメンテーは音圧によって身体の芯まで揺さぶられた気分になった。
    それはヒトの声ではなかった。古代世界の覇者の一喝であった。
    狂奔する恐竜たちは咆哮を浴びたことで何かから醒めたように茫様とすること数拍。再びヘンリーに忠実になった。
    それでも狂奔から醒めない僅かな恐竜はヘンリーが一瞥するだけでもとの土塊へと還っていった。
    「ほう!」
    興味深げに尚雲祥が唸る。
    「ほんの手遊び程度の一手ではあったが、こうも鮮やかに返されるとは思わなかった」
    「神秘を弄する増上慢どもが言うには神秘はより古い神秘によって破られるという。ならば、お前が研鑽した技能と俺が内包する歴史、どちらがより古い神秘なのかは論ずるに能わないだろう」
    「然り然り。いかに至尊の武林であろうとも恐ろしき竜どもに時間で敵うはずもなかったか」
    愉しげに笑う尚雲祥。ヘンリーはつられて笑う。

  • 543ディック2020/01/07(Tue) 19:25:32ID:M3NzM1Mjk(5/8)NG報告

    >>542
    「俺も意外なことだったので驚いたのが正直な感想だ。まさか恐竜どもをあのような奇策で狂わせるやつがいるとはな。キャスターの真似事をするアサシンというのも面白い」
    「そういうあんたも大概ではないか?物に命を与える力を持つとは尋常なアサシンとは言えまい!」
    尚雲祥は笑いつつ、自分を襲う恐竜たちの怒濤の攻めを受け流す。
    ヴェロキラプトルたちは尚雲祥の四肢に警戒して当たらぬように鋭意注意を払い、尚雲祥の突き手に当たらないように避けている。獲物を狙う群狼のように尚雲祥が一頭を狙えば、その間隙を狙うかのようにヴェロキラプトルが狙い、彼らに警戒すれば上空のプテラノドンが襲撃してくる。
    「さあ、そいつらを蹴散らしてヴェーベちゃんの盾に一発打ち込んでみろ。カンフーマスター君」
    「私はサンドバッグではないんだが!?」
    「お前、先輩をなんだと思っているんだ!」

    以上です

  • 544Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/07(Tue) 23:23:28ID:MyMjM5MzE(3/4)NG報告

    >>529
    なるほど、死骸聖杯が願望器足りうるか及び聖杯戦争参加者の二つについての情報が欲しい、と。まぁ想定内
    の要求だ。だが返答が早すぎたかな?ほんの少しだけ唖然とさせてしまったかも知れない。
    「まずは聖杯の稼働状況についてですが、まだ確たる情報が手元に無いので、後ほどお知らせする、という形になりそうです。ま、サーヴァントが脱落する毎に逐一どのクラスが敗退したのか、は連絡しますねー。あぁそうそう。その為にも連絡先の交換をしませんか?ケー番でも使い魔を行き来させる為の座標あたりを」
    「あー確かにそうだね、そうした方が後々便利だろうし、こちらからもお願いさせてもらおうかな」
    確かライダーが脱落してた筈……。でも聖杯にちゃんと魂が溜まってるかはうろ覚えだからなぁ……。後回し後回しってねー。
    「で、サーヴァントですが。今回召喚されたサーヴァントは7騎、内訳はセイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、アサシン、アヴェンジャー。で、昨日何者かが召喚したバーサーカーですねー。セイバーについては其方の方が詳しいと思いますし、ランサーについては説明しなくていいでしょ?」
    霊器盤からでは大雑把な情報しか出ないから、手間は省きたい。
    「ちょっと待ちなよ、なんで省略するんだい?一応説明は貰おうか」
    「いやだってお宅の男の子のサーヴァントがランサーでしょ?俺が確実に所持してるのはアーチャーの情報のみなんですが、彼は騎士って柄じゃない。ライダーは王タイプが多いので消去法で。正解でしょうか?」
    「ま、そうだね。ココでごねても仕方ないか。うん、ウチの少年が召喚したのはランサーだよ」
    「なるほど。では確定情報から。まずアーチャーの真名は”ザミエル”です。魔弾の悪魔ですね。シンプルイズベストに強いかと。必中の弾丸は無視できないでしょうし。まぁマジで真性悪魔なザミエルかは知りませんが。コレぐらいですねー。サーヴァントの情報は。……拍子抜けさせてしまったかもですが、霊器盤と使い魔からだけじゃ情報なんて沢山は集まりませんて」
    「まぁそうかもね。じゃあこれからも何か分かったら連絡をお願いするよ」

  • 545Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/07(Tue) 23:26:03ID:MyMjM5MzE(4/4)NG報告

    >>544
    「ええはいはい。勿論ですとも」
    「さて、ではマスター達について。リドリー・フォーサイト。確かこの人がセイバーのマスターな筈ですねー。彼はフォーサイト家の二男で、元々時計塔の考古学科二級講師でしたね。今は辞めてます。講義内容はともかく、本人の性格の所為で生徒間の評価は芳しくないようですね。かなり金持ちではあるっぽいです」
    「次、アーチャーのマスターのフォアブロ・ロワイン。彷徨海の中でも異才・異形の持ち主で、珍しい動物が好きです。生命と同化する能力持ちなので死ににくい『ごるごるさん』の正体ですね。では次はゲルトラウデ・アーレ。スイスの名門出身、アイドルと魔術師の二足の草鞋を両立しているご令嬢です。呪詛科に所属してるようですから、アイドルやってるのも何か意味があるかもしれませんねー。言霊の使い手だったr「ちょっと待った。君、人が悪いぞ。知ってて私を引っ掛けたのかい?」
    あぁ、そういや『ごるごるさん』の情報ははぐらかしてたか。
    「テヘペロ」
    「いやいや……」
    「あー、彼は俺がこの聖杯戦争に引っ張り込んだんですよ。俺は事情があって今回の聖杯戦争のマスターとして参加はできませんですので。今は連絡取れてないんで、彼がどういう状態かは不明です。頼みといっては何ですが、殺 害まではしないでくれると有難いですねー」
    「まぁ、頭の片隅に留めておくよ。だが。かかって来たら容赦はしない」
    「ええ、そこまでやれとは言いませんよ。教授だった理解してくれるでしょう。あ、話戻していいです?……はい、ではウィリー・ジャック。彼は魔術師にしては珍しく、根城を持たない放浪の魔術師です。各地巡り、魔術を知る旅をしているとか。なので情報は少ないですね」
    「そして最後に東雲玲亜。いい子ですよ?ウチの妹も良くして貰ってますし。俺も土地関係では世話になってる。土地管理師としては天賦の才を持ってますが、魔術師としてはヘッポコのようで。まぁ性質が善なので、あんまり酷い事はしないくれると嬉しいな、と。一旦情報の開示、譲渡はお終いです。あとは自宅帰ってから調査収集したデータを送りますんで、確認して下さい」
    ふぅ、説明長かった。ホッと一息。
    「では、帰り道をご案内します。俺は霊器盤とか確認して聖杯への魂の貯蔵がシッカリ出来てるか確認しなければなりませんので。一旦お別れ、でいいですかね?」

  • 546リドリー陣営2020/01/08(Wed) 19:50:55ID:Q1OTY3ODA(12/28)NG報告

    >>543
    尚雲祥は静かに笑う。
    「そう言われて燃えない男はいないぜ。」
    迫りくる恐竜に対して尚雲祥、今度は何を出す?
    尚雲祥は地面に火矢の如く瞬発的な突き。これは火行に属する炮拳である!
    火は灰を生み出し、土に変える「相生」。これにより一時的に活性化した土が、槍として競り上がり、恐竜たちを貫いた!

    これにより恐竜たちは全て消滅。それを確認した尚雲祥は前進。瞬く間に間合いを詰めるとメンテーに向かって炮拳を撃ち込む!

    これは尚雲祥の狙いだ。盾は見るからに金属製であり、その司る属性が金行とわかる。その相剋は火行。それ故、炮拳により有利を取ったのだ!

  • 547リドリー陣営2020/01/08(Wed) 19:51:09ID:Q1OTY3ODA(13/28)NG報告

    >>546
    短いですが終わりです

  • 548ディック2020/01/08(Wed) 23:47:09ID:IzMTkwNzY(6/8)NG報告

    >>547
     中段を突く、炮拳の文字通りに大砲が炸裂するがごとき威力の拳を、メンテーは盾で受け流す(パリィ)。拳を滑らせる。直撃は免れたはずなのにどぉんと鐘を叩くような音がした。
    「っく!」
     メンテーは切り返しに盾の縁で尚雲祥を殴りつける。尚雲祥はそれを腕で受け止める。数歩よろめく。だが、それだけだ。臆さずメンテーは流れるようにローキックを放つ。
    「ふん」
    「うわ、なんだこれは!」
     痛痒に至らなかった結果へ、メンテーは困惑する。
     尚雲祥の外功の頑健さだけではない。その泰然とした体幹にもだ。まるで地球の中心にまで根付いた大樹のような体幹は、メンテーの攻撃をものともしなかった。
    「ここまでいいだろう。シャン・ユンシアン」
     ヘンリーの制止に尚雲祥とメンテーが戦いをやめた。
    「むう、もう少しやらないか?」
    「やらん。恐竜たちは全滅。べーべちゃんに一当てしたんだ、それで充分だ」
    「そうか……」
     残念そうに尚雲祥は構えを解いた。するとその場でスクワットを始めた。最早誰もそのことには突っ込まなかった。これはマグロのような遊泳し続けなれば死亡する生物のようなものだ、とヘンリーはそう判断していた。

  • 549ディック2020/01/08(Wed) 23:47:57ID:IzMTkwNzY(7/8)NG報告

    >>548
    「お疲れ様、センパイ」
    「やれやれ、アサシンだというのにあの拳打の威力とは恐れ入ったよ」
    「なあ、オズボーンさん……ムフー」
     スクワットを続けながら尚雲祥はヘンリーに問いかける。
    「なんだ」
    「出現させることができる恐竜の総数はあれだけではないのだろう?」
    「そうだ」
    「そうか。……ふぅ~、ンフ、惜しいな。もっと戦いたかった」
     ヘンリーは億劫そうに手を振ってそのまま霊体化した。
    「さて、手合せはもう御仕舞だね。私ももう行くよ。あとは任せたぞ、後輩」
     武装を解除したメンテーはフェリーペにそう言い残して去った。
    「……あ」

  • 550ディック2020/01/08(Wed) 23:48:05ID:IzMTkwNzY(8/8)NG報告

    >>549
     暫くして、センパイの意図を察したフェリーペは声をあげる。
     マスターを胡乱げな目で見る尚雲祥へフェリーペが向き直る。
    「任せたって、ここ、直していけってことだよ」
     尚雲祥とヘンリー・フェアフィールド・オズボーン、メンテー・プルトランプが戦った場所は地盤が砕け、捲れ上がっており、辺り一帯が破壊されていた。
    「………」
     呆然と見渡すフェリーペと尚雲祥。
    「ふふぅ~……俺も手伝うぞ」
    「当たり前だ!」

    以上です

    ヘンリーは後片付けから逃げました

  • 551ディック2020/01/11(Sat) 18:37:49ID:k1MzQwOTQ(1/7)NG報告

    九終島を更新します

    「おおっ、美味い!凶暴な旨味だ」
    「この系列の店のラーメンは深夜に食べると尚更美味い。……背徳的で」
     感動するライダーに、マスターである青年はうっとりした口調で言った。
    ライダーのサーヴァント、ゴルディアスとそのマスターであるナイトハルト・ケーフェンヒラーは九終島にあるラーメン店にいた。
     召喚されてからは当世の風俗を学びたいとライダーが希望したので、ケーフェンヒラーは彼のために衣服を買って、現代衣装を着たライダーとともに島を見て回ったのだ。ライダー本人は日本本土にも足を運びたがっていたが、そこはケーフェンヒラーが止めた。
      暫くの間、ライダー陣営は無言でラーメンを味わっていた。
    「そうだ。お前さんに聴いておきたいことがあったんだ」
    「なんだ?」
    「優勝して聖杯を得たら、それを何に使うんだ?」
     ライダーがそう訊ねたのは、やや唐突であったかもしれない。
     ケーフェンヒラーが苦笑する。
    「この聖杯大会の聖杯がどれほどのものかわからない。しかし、真に万能の願望器ならば根源への到達を願おう」
     ライダーは箸を止めて、マスターと向き合った。
    「成る程、当世の魔術師らしい望みだな」
     ケーフェンヒラーが水を飲むと、つられるようにライダーも手元にある紹興酒を飲んだ。

  • 552ディック2020/01/11(Sat) 18:43:46ID:k1MzQwOTQ(2/7)NG報告

    >>551
    「ライダー、君が生きた神代では珍しいかもしれないな」
    「俺は魔術には門外漢だが、確かに根源に至ろうとするやつはいなかった気がするな。まあ、そもそも有名な魔術師はあんまりロクでもないんだけどなぁ」
      ライダーが困ったような顔をして腕を組む。
    「アルゴー船で英雄たちと旅をした魔女、アイアイエー島の英雄堕としの魔女……ううむ。どれも誠実な君子人とは言えないな」
    「それを言うならば」
      ケーフェンヒラーは自虐的な笑みを浮かべて肩を竦める。
    「魔術師なんて人種はな、西暦以降でもろくでなしばかりさ」
      ライダーはマスターの首を振りながら、肩を竦めるという器用な動作を見つめた。恐らくは、無自覚にやっているのだろう。
    「とりあえず、魔術師としての大望こそ目的第一にこそするが、仮に聖杯が根源へ到達させるほどの力がないならば……俺がこの力の完全支配するために役立てることができないか、検討してみようか」
    「ああ、前に言っていた先祖の力か」
    「そうだ、この力には悩まされることもあるが、憎む気にはなれない。父から受け継いだ魔術、そして母から受け継いだ鬼の力、それがあってこその俺。ナイトハルト・ケーフェンヒラーだからな、どんなことがあっても混血の力を要らないとは思わない」
      魔術も鬼の力もケーフェンヒラーにとっての父母とのささやかな絆の証なのである。

  • 553ディック2020/01/11(Sat) 18:44:49ID:k1MzQwOTQ(3/7)NG報告

    >>552
    「まあ、何事もまずは勝ってからだな!」
      重くなった緊張の甲冑を取り払うように、覇気のある一声をライダーがあげる。
    「それもそうだが」
      ケーフェンヒラーはラーメンを再び食べ始めようとするライダーに言う。
    「ライダー、君の聖杯にかける願いをまだ訊いていないぞ」
    「ああ、それもそうだった!」
    「そうだ。マスターとしても、知っておきたいからな」
     ケーフェンヒラーの言葉を聞き、ライダーは箸を止める。
    「俺の願いは征服王イスカンダルに会ってみたい、というものだ」
    「征服王イスカンダル。お前が課した試練を踏破した英雄に会いたいということか」
    「ああ、別に戦いたいとかそういうわけじゃあない。かの大王の話は俺も知っている。だが、それはあくまでも知識として、だ。俺はあいつの人となりを知りたいんだ」
    「英霊の召喚か、たしかに聖杯でもなければ叶えることは難しい願いだな」
    「そういうことだ。俺は試練を課した者としてあの英雄と堂々と対峙したいから恥じず悔いることのないように生きたいと思う」
    「難しい生き方だな」
    「難しいが、挫けることのないよう自己を律したいと思っている」
     ライダーはグラスに残っている紹興酒を飲むほした。

  • 554ディック2020/01/11(Sat) 18:45:00ID:k1MzQwOTQ(4/7)NG報告

    >>553
    「ならば、この聖杯大会も後ろめたいもののない戦いにしよう」
      ケーフェンヒラーはそう言うとライダーに今後の方針を話した。
    「俺が扱う魔術は占星術。運気の流れから今日中に他のマスターとサーヴァントに遭遇するだろう。だからこちらからも積極的に動いてみようと思う」
    「いいだろう。マスターには我が武威を存分に見せてやろう」

    以上です

  • 555亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2020/01/11(Sat) 19:52:36ID:gzNzE0NzI(1/2)NG報告

    「それで構わないよ、悪いね何から何まで」
    思えばちょっとした探りを入れる程度に考えていた談話がえらく上々な結果に落ち着いたものだ。
    聖杯の管理責任云々に関しては個人的に何とも思っていない以上、棚から牡丹餅以外の何物でもない。
    “提供してくれるというなら有り難く受け取っとくさ。”
    かといって彼を信用するかどうかはまた別の話だが。
    至って落ち着いた様子で朽崎と接する女魔術師は、飄々とした態度の裏で複数の謀略を張り巡らせる。

    手札は大分充実してきた。
    聖杯戦争は今のところ小康状態を保ち続けている。
    アーチャーのマスターによる無差別的な襲撃事件も影を潜めつつあり、伏神という街も通常通りの穏やかな時間を取り戻し始めている。
    であれば、そろそろだ。
    次の段階へと移る頃合い。

    情報という強力なアドバンテージを確保出来た現状、シスカはこの聖杯戦争に於いて有利に立ち回る優待券を得た様なもの。
    後は手元にあるカードを如何にして切るか。眼前に広がる材料を如何にして料理するか。
    思索を巡らす。

  • 556亥狛の人(伏神バーサーカー陣営)2020/01/11(Sat) 19:53:42ID:gzNzE0NzI(2/2)NG報告

    >>555
    “先ず狙うべき標的は定まった。後はどう切り込むかだが─────”

    不意にポケットが振動する。
    会話を中断して携帯に出るのは些かマナー違反かと躊躇われたが、朽崎本人が「どうぞ」と促したので応じることにした。
    というより、この洞窟の中は電波が繋がっているらしい事に驚愕を禁じ得ないのだが。
    「もしもーし、どうしたんだい今は………」
    聞き入る様な沈黙。シスカの表情が一瞬固まって、また元の柔和な表情に戻る。声の調子からするにどうやら親しい間柄の者かららしい。
    「え、私に?………うん、でもだね…………いや、いやいやオイ今夜ってまた。……………」
    ちらりと朽崎の顔を見て、すぐさま視線を逸らす。
    一方で朽崎は会話の内容が解らない為その視線の意味が気になって仕方ない。
    「あー、分かった。直ぐに戻るよ」
    全く急すぎやしないかいもう、と言いつつ電話を切った。
    朽崎はその様子を見てくつくつと声を殺して笑っている。
    「どうやらお急ぎな様で」
    「その通りだよ、東雲の令嬢と会食の予定が急遽決定さ。
    ああもう、今日はやけに人に会う予定が入るものだ。流石に辟易してしまうよ」
    「魔術師と言えど有る程度の親交は必要不可欠ですからね。……彷徨海にでも行けば話は別でしょうが」
    そう聞くとワザとらしく肩をすくめるシスカ。
    「勘弁してくれ。世間知らずの象牙の塔に成り下がるつもりはないさ」

  • 557ディック2020/01/11(Sat) 22:40:29ID:k1MzQwOTQ(5/7)NG報告

    北米異聞帯、幕間の物語を投稿します

    「バーサーカー!」
    「おや、マスターどうした?」
    「どうしたって、あなたが出ていったからどうしたのかなって思って」
     メトロポリタン美術館から出た大嶽丸を藤丸立夏が追ってきたのだった。
    「どうしたも何もただの散歩さ。方士殿たちは色々準備があるようだし、そのあいだにこの異聞帯を見て回ろうと思ってね」
     洗練された容姿の大嶽丸は全身に術をかけて彼の角を消して、衣装もアメリカで歩き回っても違和感がないようなものになっていた。
    「凄い!ホログラムみたい!」
    「呪術で化かすのは昔から得意でね。マスターも散歩に付き合うか?」
    「ご一緒してもいい?」
    「どうぞどうぞ」
     メトロポリタン美術館は汎人類史と同じく、ニューヨーク市マンハッタンにある。五番街に面するセントラル・パークの東側を沿って歩く。マンハッタン区を南北に縦断するアヴェニューと呼ばれる通りだ。
     街並みは立夏が海外ドラマや洋画で見るような昔のニューヨークそのもののような街並みだったが、この異聞帯では汎人類史とは異なるところがすぐにわかった。

  • 558ディック2020/01/11(Sat) 22:40:57ID:k1MzQwOTQ(6/7)NG報告

    >>557
    「なんだか……怖い場所ね」
     立夏も大嶽丸も不快感に眉をひそめる。立夏たちから見れば、異聞帯のニューヨーカーの神酒による狂乱ぶりは信じられないことであった。一種痴れた、地獄的なパラダイスとなっていた。
     下品さと不潔さをまざまざと見せつけられた大嶽丸は苛立ったように剣呑さが瞳に宿ったのを、見て取った立夏は危うさを感じた。
     一際大きな喧騒が彼女たちの耳に入る。何事かと二人が騒ぎのする方向へ向かってみれば、錯乱した男が若い女性にナイフを突きつけて店に立てこもっている。
     やれやれ、と大嶽丸が嘆息して、人混みを掻き分けて、立てこもる男の前に距離を保ちつつ出る。
    「なあ、おい、話し合おうじゃないか」
    「ふん、何を話し合おうってんだ」
    「お前が、去勢された豚も同様のいくじなしだってことをさ」
    「……!」
     そのあと、思わず立夏が顔を赤らめるような台詞が次々と投げつけられて逆上した男は拳銃を向けてわめいていた。大嶽丸は瞬く間に距離を詰めて指打で男の額を撃ち抜いた。

      ◇◆◇

  • 559ディック2020/01/11(Sat) 22:41:53ID:k1MzQwOTQ(7/7)NG報告

    >>558
    「凄かったね、バーサーカーが指で小突いたら一〇メートルくらい吹っ飛んでたよ。しかもちゃんと生きてたし」
    「あんな有象無象、しとめる気にもならんよ。……それにしても、ここはつまらん場所だな」
     嘆かわしいと言わんばかりに大嶽丸は嘆息する。
    「乱痴気騒ぎの阿呆どもにも嫌気がさすが、神酒以外は美味い飯も酒もないとは話にならん!」
    「さっきからイライラしているのはそれが原因だったんだ」
    「俺は生前(むかし)から美女と美酒には絶対に妥協したくなかったからな!」
     美食家(グルメ)を自称するこの鬼ならば神酒による生命維持が可能になったため、食文化が衰退してしまったこの異聞帯は許し難いのである。
     大嶽丸は忌々しげに空を見上げる。こんな異聞帯、さっさと滅ぼしてしまうべきだ、強大極まる鬼種の双眸に剣呑な光が宿る。
    「マスターには悪かったな。こんな時間まで付き合わせた」
    「気にしないでいいよ!みんな色々と準備しているけれど私にはやれることはないからさ」
     大嶽丸が大笑する。
    「なんだサボりか?」
    「そんなところ!──私は、何も出来ないから。一人では何も出来ない」
     表情は明るいがどことなく翳りがある。そんな立夏を琥珀色の眼で見下ろす。立夏には夕陽の逆光で大嶽丸の表情は見えなかった。
    「人とは、そういうものだろう。人には出来ないことが多い、そのくせお前達はそれを忘れやすい」
     大嶽丸は鳩尾よりも下にある少女の頭を撫でる。
    「……なんで撫でられてるの?私」
    「いやぁ、形の良い頭だと思ったからだ。なんとなくだ。」

  • 560伏神アサシン陣営2020/01/13(Mon) 01:39:59ID:MxMjY4MTc(13/26)NG報告

    >>530
    正面からの不意打ち、というのは正にこの事だろうか。
    そのあまりに自然体で実行された行動にウィリーは虚を突かれた。

    「ーーー」

    まるで囚われの身と思わせない、磨き抜かれた偶像(アイドル)としての大胆な振る舞い。そしてそれにそっと相手が求めているであろう情報を添える。だが決してその味付けは濃すぎず、最低限だが、彼個人に限れば爆弾に値する取捨選択だ。
    何せ、世界を旅しているウィリーが何度となく耳にした秘密結社プロビデンス一族の分家である『リドリー』の名をセイバーのマスターとして出したのだから。
    そしてウィリーの一瞬の隙を突いて彼女は、全力で走った。

    「Wie ein Vogel(私は空を制す)…!ーーーRennen,Rennen,Rennen(追いつける者はいない!)」

  • 561伏神アサシン陣営2020/01/13(Mon) 01:40:16ID:MxMjY4MTc(14/26)NG報告

    >>560
    まるで唄にも聞こえる詠唱で全身を強化し、老朽化によって出来たであろうビルの壁の隙間へと駆け抜ける。
    だが、当然その愚行を見逃すウィリーではない。
    手にしていた銃を構えると躊躇わず発砲する。そしてその銃弾は真っ直ぐに飛んでいく。だが目標の頭を粉砕する仕事が果たされる、その瞬間に彼女は隙間からプールに飛び込むようにして飛び降りた。

    「すぐに追え、アサシン」
    「ハイハイ行けばいいんでしょ…あーめんどくせマジ」

    アサシンに命じ、ウィリーは銃を下ろす。その冷徹な心の奥に生じたのは、強い当惑だった。

  • 562獣国だよ ◆qjazSIB7S22020/01/13(Mon) 01:58:39ID:A5MDQxOTE(6/18)NG報告

    『もっしー、司令?』
    ––––………九号か。トラブルでもあったか?
    『トラブルってほどではないよ?ただ、ミュウちゃんに料理の作り方を訊かれてる。情報開示の許可はどこまで?』
    ––––んー……確かに過度の情報流出は好ましくないが、料理を教えるだけであれば単なる雑談の範囲内だろう。そっちの裁量で構わない。
    ––––もっとも、汎人類史(うち)と異聞帯(ここ)で同じ材料が揃えられるとは限らないが………
    『そこはウチの腕の見せ所よ。料理担当として完璧な仕事をお見せするって!』
    ––––そうか、期待しておこう………あぁ、そうだ。その子と一緒にいるなら丁度いい。しばらく引きつけておいてくれ。
    『りょうかーい』
                           ***

    通信が切れたことを確認した上で、西行が喉元に指を当て、人口声帯の調整を確認する。目標は「親しみを感じさせる声」。五百年近く研鑽を積んできたとはいえ、よく知らない他者に話しかけるという行為に対しヘドロにも似た拒絶感を感じてしまうことはどうにも止められなかった。ゆえに、せめてもの気休めとしての確認行為である。
    隣に立っている女–––尾裂三号にしても彼の隠れたルーティンは承知のことだったので、何も言わずに服の裾を整えていた。

    「失礼、ミュンヘンさん……でしたよね?」
    言われて、話しかけられた女性が振り返った。
    「……ええ、はい。そうですが……何か必要なものでも?」
    「いえ、特に問題はございませんわ。ただ娘さんからあなたの体の調子があまりよくないとお聞きしたもので、うちの医師が何かお力になれたりしないかなと。」
    研究に研究を重ねた「親しみを覚えてもらえる笑顔」を崩さぬように努めつつ、隣に立つ(よく見れば自分と同じ顔の)女性に挨拶を促す。
    「医務を任されている……みっちゃん、と呼ばれております」着物の女性が軽く頭を下げて、こちらは自然な微笑みを見せた。「あなたさえよろしければですが、少し診察をさせていただけないでしょうか?」

  • 563魔術師◆TvNZI.MfJE2020/01/13(Mon) 20:15:12ID:U4ODgxNDI(1/3)NG報告

    >>522
    ランサーは魔術師ではなかったが、魔術については無知ではない。
    「君キャスターとは云うけれど、そもそもそれは正確に魔術なのか?」
    「そんなことを俺に聞くんじゃなーいよっと!」
    槍がしなり幻影のキャスターの首を飛ばす。同時に真一文字、槍の軌道に添いつつ毒の飛沫が飛んでキャスターのいるはずの地点を汚染した。
    しかし吹っ飛んだ首はポンっと、冗談のように白煙となって大気に溶けてしまう。
    「何か違う気がするんだ、洋の東西で魔術方式が異なるらしいとは知ってるんだけどさ」
    「ほーーん、まあどっちも同じく化かしちゃえば一緒だと思うけどなあ」
    完全にキャスターの姿が消えた世界でその呪符のみがランサーへと牙を剥く。
    飛ぶ雷は縦に裂き、巻く炎は横に薙ぐ。突き刺す突風を突き返して後に続く呪い札に結露した滴を飛ばし腐らせる。
    それだけには留まらない。
    蛇の威嚇のような音をたてて蒸発していた毒の水滴だったが、その勢いがさらに増したのだ。槍は止まらず振るわれて紫色の煙を撒き散らす。
    「そもそも対魔力がうまく機能してない時点でおかしいのだよ」
    キャスターが本当に魔術師であるならば、(たとえそれが神代の魔術師であったとしても)対魔力Bが作用し多少なりともは幻術を看破る起点はあるはずなのだ。
    「それがないと言うことは」
    「くどいなぁ、くどくど喋ってるとマスターの方に行っちゃうゾ?」

    「アンタの化かしは物理現象、アンタが化かしてるのは僕じゃなくてフィールド自体。穢染領域を『化かし』て擬似的に毒を排除しながら移動してるなら、アンタの居場所は『僕がすでに穢染したと思っている場所』じゃない?」
    気化した紫はオーラのように。ひときわ強く最初に健在のキャスターが見えた位置を斜めに切り抜いた。

  • 564魔術師◆TvNZI.MfJE2020/01/13(Mon) 20:15:56ID:U4ODgxNDI(2/3)NG報告

    >>563
          ・・・・
    「よろしい、おはじきを取り出した時はどうなることかと思ったけれど、これなら戦闘の体裁は保てそうだ」
    「あら、そこまで甘くみてていいの、拳銃(コレ)?」
    「……従兄さんしかり、極まった扱いならともかく、単に火力としてしか見ていない魔術師も多いだろうに。自前の攻撃力不足を手軽に補うには下品じゃないかな、ソレ」
    乾いた音が二つ。熱を持った弾丸が二発。
    会話を遮ってにわかに撃ち込まれた銃弾は魔法陣外縁の冥王に囚われた。
    弾かれることはなく球体から伸びたサソリの尾に捕まったのだ。
    「冥王の天蠍……飛ぶ羽虫はクドイけど潰せばかゆくも無い……」
    水でできたサソリの尾先から弾丸が返される。しかしそれらはやはり、山星の周囲の水に捕まり以前の持ち主に牙を剥くことは出来ない。
    「基礎形態をすり抜けた程度で調子に乗るな」
    「傲慢なのはあなたでなくて?」

    大きく公転した冥王星のサソリの尾が勢いのまま山星の水腕と衝突する。
    「ではここから少々複雑に行こう」
    大質量の水と水がぶつかる衝撃と金色の魔術師が指を鳴らす音が重なると、ルーカスは景色を組み上げ姿を消した。

  • 565魔術師◆TvNZI.MfJE2020/01/13(Mon) 20:16:41ID:U4ODgxNDI(3/3)NG報告

    >>564
    「見えていようがいまいが同じよ」
    彼女を中心とした船団が円形放射状に発射される。
    「私の舟はあなたに届くーー?」
    しかし全ての舟は空間を素通りして彼の位置を知らせることはできない。
    「頭上注意」
    「ッ!?」
    ぶつかりあったのは彼女のナイフとルーカスのステッキだった。
    木と金属の衝突であるにもかかわらず甲高い音が響いたのは、ただステッキに強化が施されていたというつまらない理由ではない。
    「すなわち、水星の双児は殴打の土属性にてふたつ有り」
    右手で振り下ろされてナイフで受け止められているステッキの他に、
    「もう一本!?」
    左手に造られていた『ふたつ目』が横一文字に山星を撃ち抜かんと加速してーー
    ーー彼女の左手にあった水の巨腕に遮られた。
    つばぜり合いを抜けて後ろに下がる彼女に対してルーカスが気軽に声をかける。
    「そこは火星の白羊があるから危ないよー?」

    軽くであるがバックステップをかけた山星へ向けて、ーー気が抜ける形容だが炎上した羊のようなーー、豪炎が右側から突撃をかけた。

  • 566一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:48:51ID:YxMTc4MTI(4/30)NG報告

    フランス特異点投下しもす!

  • 567一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:49:59ID:YxMTc4MTI(5/30)NG報告

    >>566
    「■■!■■■■■■!!」
    「───────貴様の隣に真面なマスターが居れば、これに気づいたやも知れぬな……」
    リュカオンは、ボディスーツの一部を翼に変え宙に飛び上がったスカタク追って跳躍、そして──────。















    ─────いない。

  • 568一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:50:57ID:YxMTc4MTI(6/30)NG報告

    >>567
    追い詰めていた筈のあの憎々しい女神擬きが居らず、空が眼前に近づいていた。
    「■■■■■■!??!?」
    「どうした毛むくじゃら、もしや無重力は初めてか?」
    いや、違う。
    空が近づいたのではない、自分の身体が宙に浮いているのだ。

    「貴様のその機動力、どうやら足場があってのモノらしい……では、踏み場を無くしてしまえばどうなるか……は、この現状が示しておるか」
    「■■■■!■■■■!■■■■■■■■■■■■ッ!!!」
    そう、スカタクはただ引き撃ちしていたわけではない。

  • 569一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:52:10ID:YxMTc4MTI(7/30)NG報告

    >>568
    一定の紋様を────まるで方陣を描くように、回避と後退を繰り返していたのだ。
    『一定の場所を無重力へと変える』異界のルーンを刻むために
    しかし、それに気づけなかったのは、ひとえにリュカオンがスカタクの挑発に乗り『憎き神に似た目の前のナニカを死(ころ)す』ことに執着、先の先を見ることができなかったことにあった。

    「おぉ~、活きが良いではないか────これは期待できそうだ」
    そう言いながら、リュカオンへと近づいていくスカタク。
    それに対して、リュカオンは爪を振るう……が無重力状態で重量が無きに等しい状態では、その威力は地上にいたときとは段違いに低くなっている。
    その爪牙は、スカタクの肌にボディスーツの形をとって張り付いていた落とし子たちに簡単に絡め取られ、容易に拘束されてしまう。

  • 570一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:52:56ID:YxMTc4MTI(8/30)NG報告

    >>569
    「■■■……■■■■……!」



    「暴れるな」
    ドズリ、とリュカオンの胸元から黒色の何かが、鮮やかな赤色の何かをぶら下げて幾つも飛び出していた。

    その一拍後に、リュカオンは気づく。

    その『黒』は、この手足を絡め取っているモノと同じであることに。
    その『赤』は、自身の霊核であることに。
    「■■■■■■■■■■■!」

    「あーむっ」
    ルーンによって縮小され、掌サイズとなったリュカオンの霊核をスカタクは見せつけるように口に含み、咀嚼する。

  • 571一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:53:52ID:YxMTc4MTI(9/30)NG報告

    >>570

    「んっ……ふっ……」

    ─────────なんと、美味なことだろうか。
    咀嚼するたびに甘美な魔力(うまみ)が口いっぱいに広がり、深みのある後味を伴って舌の上で蕩けていく。


    「んんっ……ん……ふっ……」
    それは、スカタクにとってこの地球(セカイ)に降りたって以降、味わったことのない程の美味だった。

    咀嚼を続け、リュカオンの霊核を味わったのち────。
    「っ……はぁあ……」
    ─────ゴクリ、と喉を鳴らしてそれを飲み下した。

  • 572一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:56:56ID:YxMTc4MTI(10/30)NG報告

    >>571
    「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!
    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
    「五月蝿いのぉ」
    憎き女神擬きに自身の臓腑を食われ、怒りに打ち震えるリュカオンは、拘束に逆らったことでへし折れた手足にも構わず暴れまわる。
    そんなリュカオンを鬱陶しそうに見つめながら、自身の手についた血を綺麗になめとっていくスカタク。

    ──────もはや、これは『戦い』ではなく神に逆らった愚か者への『誅伐』だった。


    「■■■■■■■■■■…………!■■■■■■■■■■■■■!!!!」
    だが、獣(おう)は諦めず抗う。

    抗う。
    抗う。
    抗う。
    嗚呼、しかし、無情にも結果は変わらない。
    ────もし、リュカオンの傍にマスターがいれば、スカタクの狙いに気づいていたことだろう。
    しかし、そんなIFはこの場に存在し無い。

  • 573一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:58:32ID:YxMTc4MTI(11/30)NG報告

    >>572
    あるのは狩られた獣(ひと)と、狩り獲った神(フォーリナー)だけだった。
    暴れ続け、抗い続けるリュカオンの様子に反して、月棲騎兵獣(ムーンビーストキャリバー)達は力を失い只の肉片と残骸の山に戻っていく。


    「飽きた」


    その何でもない日常の会話のような『関心を無くしたおもちゃを叩き壊す子供のような』声音で、スカタクは腕を振るう。

    ルーンで作られた結晶槍が、リュカオンの全身に突き刺さり、その身を爆ぜさせた。
    バラバラの肉片となり消滅する寸前、リュカオンの首は恨みがましくスカタクの憎らしいほどに美しい貌(かわ)を見つめていた。

  • 574一般通過フォーリナー◆gmmefYfW/o2020/01/14(Tue) 22:59:06ID:YxMTc4MTI(12/30)NG報告

    >>573
    以上です。

  • 575第■回剣陣営◆3zXvUrYT3w2020/01/15(Wed) 00:29:22ID:gzMDIzMTA(19/27)NG報告

    静寂を断ち切ったのは、ハリーの奏でた腹の鳴る音だった。

    「お、お腹が空いてるなら、なにか作ろうか? 残り物でよければだけど」
    『(毒物の混入が予想されます。断るべきかt)』
    「ああ、よければお願いしようかな」
    『(マスター!?)』
    「(大丈夫大丈夫。敵対する気はなさそうだし。せっかくの厚意だ。ありがたく受け取ろう)」

    セイバーの念話による忠告を無視し、銀河からの申し出を受け入れるハリー。
    毒や睡眠薬の類の混入。ハリーも警戒はしたが、彼の空腹は既に限界を迎えていた。
    無理もない。
    朝から何も食べずに街を歩き回り、人一人を浮かばせるだけの突風を断続的に起こし続けてきたのだから。

  • 576第■回剣陣営◆3zXvUrYT3w2020/01/15(Wed) 00:30:00ID:gzMDIzMTA(20/27)NG報告

    >>575
    「そういえば、君達はここまでどうやって?」
    「あたし? 実家の虚神町から、徒歩で」
    「へえ。近いの?」
    「うーん。普通じゃない?」

    味噌汁を啜りながら尋ねるハリーに普通、と断ずる銀河の言葉をマリア―――ハリーの纏うスーツに内蔵されたAIが感知する。

    『(ハリー……彼女は嘘をついています。いえ、嘘ではなく、彼女にはそれが普通というのが正しいでしょうね。彼女の住む虚神町は、ここから徒歩で6時間ほどかかります)』

    茅理銀河。外なる宇宙より到来したネフィリムが一騎。
    人ならざる『身体能力』―――否、『性能』を持つ彼女にとって6時間程度の距離は徒歩でも何ら差し支えないものだった。

  • 577第■回剣陣営◆3zXvUrYT3w2020/01/15(Wed) 00:30:35ID:gzMDIzMTA(21/27)NG報告

    >>576
    「そういうあなたは? さっきみたいに空飛んでたってことは、私と同じ魔術師だったり?」
    「……ああ。そうだよ。僕はハリー・ウォーカー。この聖杯大会に参加したマスターだ」
    「(そこまで話してしまっていいのですか?)」
    「(遅かれ早かれバレるとは思うしね)」
    「(それでは。私も)」

    念話による軽い会話を終え―――刹那、ハリーの真横に淡い光が浮かび、瞬く間に人型の像を結んだ。

    「我が名はセイバー。マスター、ハリー・ウォーカーのサーヴァントです。以後お見知り置きを」

    現れたのは黒髪を結って束ねた美女。
    黒いクラシックなコートを纏い、同じく黒いスーツを一分の隙もなく着こなした麗人だった。

    「へー……あたしは茅理銀河。こっちの黒いのはキャスター。よろしくね、ハリーさん?」
    「牛乳パックはカルボナーラにして小麦粉は私が頂こう(誰が黒いのだ、誰が)」

  • 578第■回剣陣営◆3zXvUrYT3w2020/01/15(Wed) 00:32:50ID:gzMDIzMTA(22/27)NG報告

    >>577
    妹と同年代のように見える目の前の少女に、ハリーは心をひどく傷んだ。
    彼女を放ってはおけない。助けないと、なんてのは上から目線かもしれないけど。彼女に協力してあげるのが僕がここに来た役目だとハリーは本能的に感じていた。

    「(セイバー。彼女さえよければ同盟を結んでしまいたい。君はどう思う?)」
    「(構いませんよ。貴方ならそうすると思っていましたから)」
    「ああ……そうだね。君さえよければ、今日以降も「よろしく」したいんだけど。どう思う?」
    「……同盟の誘いってことでいいの?」
    「そう取ってくれても構わないよ」
    「キャスターはどう思う?」
    「ガイアが私にもっと輝けと囁いている!!!!(私はいいと思う)」
    「そっか……じゃあいいよ! 同盟締結ってことで!」

    差し出された銀河の小さな手をハリーが優しく取る。
    そうして―――風の主従と、宙の外より舞い降りた女達の同盟がここに誕生した。

    この二組がこれからどんな争いに挑むのか。
    それはまだ、誰にも分からない―――

  • 579愉悦部inクローディアァ!2020/01/15(Wed) 01:40:49ID:QwMDc0ODU(15/24)NG報告

    >>561
    廃ビルからつい条件反射的に飛び降り、ふと思う。

    (あれ、私何やってるんだろう?)

    勿論生存は大事であるが、もう少し相手の反応を窺ってから趨勢を決めるつもりであった。相手の反応を見ずに背を向けてしまっては意味がない。

    落下の途中でくるりと体勢を反転させ、仰向けになりながら自身を追ってきたアサシンの姿を確認し、両腕を大きく広げる。スマイル100円サービスも忘れない。これで追撃に踏み切ったならそれこそ逃亡に専念すればいい。
    一度受けて霧の脅威は確認できた。一時的に声を潰されてもどうにかなるだろう。ゲルトラウデは懐に隠し持った礼装を意識しながら計算を組む。
    「アサシン!ヘルプ!HE-LP!Hilfe(ヒルフェ)!」

  • 580黒鹿ファン2020/01/15(Wed) 16:10:08ID:EyMDA5NDU(1/4)NG報告

    ―――さて、どうしたものか。
    ロベスピエールは薄汚れた空き家の中で小さくため息をついた。

    今、机をはさんだ目の前には『カリオストロ』を名乗る術師がいる。いや『真・カリオストロ』だったろうか。まぁなんでもいい。
    まず間違いなくサーヴァントであろうこの術師は約30分前にこの集落に訪れ、私の名を声高に呼びながらここまで侵入してきた。
    真っ先に王国軍の襲撃を考えたがそれにしては不自然だった。術師が護衛も付けずに1人で乗り込んできたこと、その気になれば洗脳もできる暗示を眠らせるためだけに使っていること、そして"戦闘"ではなく"会話"を求めていること。
    これら全てが罠である可能性もあるが、単なる王国軍の襲撃と決め付けるのも危うい。なにより会話を求められているのだ。応えない訳にはいかないだろう。
    なので、まず落ち着いて話せる場を用意したのだが――……。

    「―――カルデア?」

    「えぇカルデア、彼らこそがこの戦いの幕を引く救済の徒にございます」

    「それは我々の味方としてか? それとも敵か?」

    「もちろん味方として! 貴方がた革命軍とカルデアが手を結ぶことでこの戦いは幕引きを迎えることでしょう!」

    「……」

    「逆に、革命軍がカルデアとの邂逅を果たさなければ戦いはいつまでも続きます」

  • 581黒鹿ファン2020/01/15(Wed) 16:10:43ID:EyMDA5NDU(2/4)NG報告

    >>580
    大袈裟な身ぶり手ぶりと共に術師は語る。
    やはりというかどうにも胡散臭い。そもそも"カルデア"なる存在など聞いたこともない。
    「……まるで既知の事実であるかのように語るが。君には未来でも見えるのか」

    「いえいえいえ、未来視などという大それたものではありません。これは『予言』にございます」

    「予言……か。どちらにせよ不確かで胡乱なものだな。狂言と変わらん」

    「ふぅむ? いやはやどうにも信用されていないご様子」

    「そんな曖昧なものは言葉と行動が伴ってこそだ。今の君は信用に値しない」

    「行動、行動ですかよろしい! それではまず私の信用を得るとしましょう!」

    「ほう、どうやってだね?」

    「私が『予言』によって知りえた現在の戦況をお伝えします。まずリヨンの太陽王―――彼はもうこの舞台から降りました」

    「……ふん?」

  • 582黒鹿ファン2020/01/15(Wed) 16:11:09ID:EyMDA5NDU(3/4)NG報告

    >>581
    「正確にはこれから、ですが。もう彼とこの特異点で顔を合わせることは叶わないでしょう」

    「それは君の言うカルデアの仕業か」

    「えぇ、えぇ、そのとおりです。彼らの登場によって状況は動き出した。……関羽とガヌロンもまた同じく舞台から降り、玉兎とマーシャルは戦線から一時身を引いた」

    「………………」

    彼の言葉をすべて真実とするならばたしかに状況は急変している。ともすればこれまでで最大の好機が訪れている。
    そしてこの好機を活かすためには迅速な対応が必要となる。死した同胞を想う時間すら、許されないほどに。

    「しかし彼らだけでは足りない、届かない。この舞台の幕引きは叶わない」

    「それで、我々か」

    「既に舞台の幕は上がっている。だというのに役者たちは顔合わせすら済ませていないのです。―――これは、実によろしくない」

    「ですので、わたしは僭越ながらもこうして貴方に助言を授けに来たのですよ。ロベスピエール殿」

  • 583黒鹿ファン2020/01/15(Wed) 16:11:35ID:EyMDA5NDU(4/4)NG報告

    >>582
    あれこれと語ったが結局この男の発言を裏付けるものなどない。そもそも目の前にいるこの男が『カリオストロ』であるという証明すらできない。
    だが同時に彼がカリオストロではないという証明もできない。どうしたって私にできることは少ないのだ。信じるか、信じないか、二つに一つだ。
    道は示された。ならば私は―――革命は。歩みを止めてはならない。誰よりも前に立ち、先に進まねばならない。
    革命の果てに、より善き未来があると信じて。

    「……いいだろう。カリオストロ、いやキャスター。お前を信じよう」

    「我ら革命軍はこれより『カルデア』との合流を目指す」

  • 584スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&ステージ】◆SOkleJ9WDA2020/01/15(Wed) 22:08:46ID:k4MzAwNDA(1/7)NG報告

    「アサシン?」

     マスターが問いかけてくる。
    俺達は予定通りに気配遮断もせずに街の中央部を練り歩いていた訳だが、急に俺が足を止めた事を不思議に思ったらしい。
    戦慣れしてないだけあって鈍い奴……いや、戦士でもないのに慣れているほうが可笑しいか。

    「どうやら、釣れたようだぞ」

     再び歩き出しながらそう答えると、マスターの顔に緊張が走る。
    よし、戦闘経験の割には狼狽えてない。
    時計塔とやらでそれなりに戦闘訓練があるらしいが、無駄にはなってないようだ。
    それだけ出来れば十分だ。

    「どうすれば良い?」

    「まずは、戦場選びだな」

     実際、今歩いてる道は両側にビルが建ち並んでいる上に幅が狭いので、サーヴァント同士で戦うには少しやりにくい。
    ましてや、出来るだけ多くのサーヴァントを呼び寄せたいのだから、広いほうが良いに決まってる。
    敵との距離を把握しながら俺達は歩を進めていき……。

  • 585スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&ステージ】◆SOkleJ9WDA2020/01/15(Wed) 22:09:30ID:k4MzAwNDA(2/7)NG報告

    「さてと、そろそろ良いだろ……出てこいよ!」

     コインパーキングの中央で、俺はそう投げかけた。

  • 586スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&ステージ】◆SOkleJ9WDA2020/01/15(Wed) 22:13:58ID:k4MzAwNDA(3/7)NG報告

    という訳で、第■回、一日目夜の戦闘を開始します。
    適当に乱戦した後、小聖杯の情報ばら撒いて二日目の管理者邸乱戦に繋げるので、参加者の皆様方、好きなタイミングで介入してください。

  • 587九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/01/16(Thu) 22:17:36ID:A0NjMyMTI(1/2)NG報告

    >>562
    ミュンヘンはまあ、と頬に手を当てる。そして尾裂三号の顔を見つめると一息つく。

    「お医者様だったのですね。はい、私としても願ってもない事です。よろしくお願いします」


    それから三人はシャドウ・ボーダー内の医務室に向かう。そして少し問診した後三号が注射器を取り出したことで事態が一変する。

    「はい、それじゃあ血液検査の為に採血しますね」
    「ヒィッ」

    顔を青ざめさせるミュンヘン。そして先程まで座っていた椅子から飛び退き壁際まで後ずさる。

    「ど、どうしました?」

    もしかすると先端恐怖症だろうか、等と真面目に考える三号だったがミュンヘンの口から出た言葉は

    「注射は…注射は嫌です…」
    「はい?」
    「だってだって、ハルピュイアの注射って腰に刺すんですよ!?あれ物凄く痛いんですよぅ!」

  • 588九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/01/16(Thu) 22:17:47ID:A0NjMyMTI(2/2)NG報告

    >>587
    それからチュンチュン言って嫌がるミュンヘンをなんとかなだめすかして採血を終えキャスリーンは別室で血液検査をするために席を外した。

    「本当にあまり痛くないのですね」
    「はい。極細の針を数分の狂い無く刺し込むことで云々〜」
    「えっと、よく分かりませんが要するにみっちゃんさんは凄いお医者様という事ですね」


    それからキャスリーンを待つ間二人は雑談をしていたのだがふと三号は気になった事を聞いてみた。

    「そう言えば外の木、シルトグリューン、でしたか。あれは毒だと聞いたのですが」

    ローリー経由でその事を知った三号とキャスリーンはシルトグリューンを調べてみたのだが結果は『確かに毒性はあるがそこまで強い訳では無い、寧ろこれで魔獣が寄ってこなくなる理由がわからない』だった。そして三号は続けて自らが疑問に思ったことを質問する。

    「これ、本当に毒ですか?」

    それに対するミュンヘンの返答は恐るべきものだった。

    「シルトグリューンは恐ろしい毒です。あれは人を、魔獣に…変貌させます」

  • 589終幕:太陽の光◆kBuHl0BYAI2020/01/19(Sun) 07:34:55ID:cyNzgxNDE(1/6)NG報告

    「なに、我(フランス)はこの国の王……故に己を卑下するべきでは無いが……しかしな厩戸皇子よ、我(フランス)は汝が思うほど思慮深い方では無いのだ……」
    勝負は決し、霊格を砕かれながらも太陽王は穏やかな口調で告げた。
    「無闇に華美を最良であると掲げ、国庫を喰らった。自身に王権に胡座をかき未来を見据えることが出来なかった……」
    「故に、かの女王の行いの責は我(フランス)に帰結するのだ。だからこそ……我(フランス)は女王の側についた」
    「女王、この王国軍の首魁にして特異点の元凶……この時代のフランスにおいて王に近しい女人となればやはり……」
    「あぁ……かの女王の名はマリー・アントワネット!我等(フランス)が残した負債を押し付けられた……哀れな愛し子(フランス)だ」
    王国軍に属しながら、そのトップである女王の真名をこともなさげに明かす太陽王、その姿に立香達は動揺する。
    「なにも驚くことではあるまい。この特異点を修復するのであれば……汝らは女王を討つのであろう?」
    「でも、なんで王国軍のサーヴァントである貴方が俺達にそんなことをおしえたんですか!?」
    立香の言葉に目を細め、深く考え込んでから太陽王は告げた。
    「我(フランス)はアレの非行を止めることが出来なかった……アレもまた愛し子(フランス)であり、アレの罪は我(フランス)の罪だからだ……。我(フランス)にはアレを糾弾する権利が無い。」
    「だから……フランス国民が殺されるのを見逃した……?」
    「あぁ……それこそ『我らは国家であり、我らの意志は絶対である』と非常に徹すれば良かったものだがな……。しかし、我(フランス)はそれが出来なかった……。故にフランスを刻んだのだ……。」
    「民と土地を選別したか……!」
    「然り、我(フランス)は自身に与えられたリヨンを仏蘭西(ワタシ)とした。自身の守れる範囲を選定したのだ。」
    太陽王は戦いの最中ですら見せなかった沈痛な表情でそう語った。

  • 590終幕:太陽の光◆kBuHl0BYAI2020/01/19(Sun) 07:35:27ID:cyNzgxNDE(2/6)NG報告

    >>589
    「なるほど、納得は出来ん……が、汝の立ち位置は理解出来た。故に我がマスターに決闘を申し込んだか」
    「もし、己がサーヴァントの力にのみ頼る者であったのであれば、此処まで情報を晒してはいないよ。強者が力で強者を捩じ伏せたならば、それはただの簒奪、首のすげ替えに過ぎないのだから」
    だが、と太陽王は付け加える。
    「その者――藤丸立香は無力を嘆きながらも己のサーヴァントを見捨てず、勝利を捨てずに我(フランス)に抗った……それは革命を欲する者の素質、人の可能性そのものだ。」
    「俺はそんな……」
    「謙遜するな、汝はその在り方を以てしてこの太陽王に打ち勝った。その事実を誇るがいい」
    太陽王の尊大な態度での賞賛に恐縮するばかりの立香
    「それで、勝利の報酬とやらはどうする?」
    そんなことを気にせず寺田が太陽王にふっかけた。
    「随分と気が立っているな天狗の剣士よ。先程の立ち合いでは不足だったか?」
    「本来ならば貴様のような橙武者の首を撥ねてやりたいところではあるが……それは童と尊人に禁じられておる。報酬の情報とやらのためにな……」
    寺田は消化不良といった面持ちで太陽王を睨んだ。
    太陽王はそれを受けて、致命傷を受けながらもあくまで王として堂々と胸を張って声を張り上げた。

  • 591終幕:太陽の光◆kBuHl0BYAI2020/01/19(Sun) 07:37:33ID:cyNzgxNDE(3/6)NG報告

    >>590
    「ふむ、では聞くが良い。カルデア一行よ。汝らが味方に付けるべきサーヴァントは二騎。一騎は魔術師、もう一騎は王国軍内にて女王に叛意を持つ者だ」
    「王国軍には、女王に従わない者もいるんですか!?」
    「あぁ、我(フランス)がそうであるように王国軍とは一枚岩ではない。なまじ召喚されているサーヴァントの数が数だからな。その中には女王自身に特攻の能力を持つ者もいよう。」
    自身に特攻と叛意を持つサーヴァントを抱えるとは王国軍もどうやら真っ当な組織ではないようだ。もっともそれも女王の気まぐれによって成り立っているのかも知れないが。
    「それで……そのサーヴァントの真名は?」
    「それは明かすことは出来ないな……女王を殺.せる者を女王を討たんとする一行に紹介してしまっては女王に義理が立たん。我(フランス)はヒントは出せても正答を教えることは出来んのだ。」
    どうやら太陽王自身には確固たる線引きがあるらしい。
    「ならば、魔術師の方はどうだ?」
    そう問いかけたのは厩戸王子だった。無理に聞き出すよりもより引き出しやすそうな情報に移る、その冷静さは戦闘の直後であっても健在らしい。
    「あぁ、こればかりは我(フランス)が直接見聞きしたわけではなく、キノツラユキからの伝聞ゆえに正確性は欠くかもしれぬが……」
    もっとも、その方が正答から遠ざかる分、直接的に伝えやすいがと言ってから太陽王は仔細を話す。
    「そ奴の真名はカリオストロ……我(フランス)よりも後の時代の人間だが、それなりに名のある錬金術師だと聞いている。女王――マリーアントワネットとも縁があるそうだから、恐らくは聖杯による連鎖召喚の類であろうな……。聞いた話では奴はマルセイユに居ると言っていたな……もっとも、今となってはどこかへフラフラ移動してしまっているやも知れんが」

  • 592終幕:太陽の光◆kBuHl0BYAI2020/01/19(Sun) 07:37:45ID:cyNzgxNDE(4/6)NG報告

    >>591

    「錬金術師、カリオストロ……立香よ、知っているか?」
    「名前程度ならアニメ映画とかで多少は……」
    「ともかく、マルセイユに向かえばいいんだな?」
    「あぁ、我(フランス)が語れる情報は此処までだ……それとかの麗しき美姫の様子も見に行った方が良かろう。」
    約束は守ったと告げると太陽王は今にも消滅しそうな霊基を引き摺りながら歩き出す。
    「貴様、どこへ行くつもりだ?」
    寺田がそれを見逃さぬと刀を抜く。
    「なに、どの道消滅を待つばかりだ……。ならば民草に別れを告げねばなるまい。それが今日まで彼等を“守ってきてしまった”我(フランス)に出来る償いだ。それぐらいは赦してくれるだろう、藤丸立香?」
    未だに余裕を感じさせる口調ながらも縋るようなその視線に立香は……
    「分かりました。寺田さんも刀を納めて。俺達も貴方に同行します。」
    そう返すと、太陽王は口角を釣り上げた。

  • 593終幕:太陽の光◆kBuHl0BYAI2020/01/19(Sun) 07:38:13ID:cyNzgxNDE(5/6)NG報告

    >>592
    太陽王は驚くべきことに崩壊しかけの霊基でリヨンの大広場まで移動していた、
    そして広場の中央に立つと集まった民衆に向けて声を上げる
    「突然で申し訳ないが、我(フランス)は程なくして消え去るだろう」
    太陽王の言葉に民衆が響めく。無理もない、リヨンの独立性は太陽王の存在によって保たれていたのだから。
    しかし、一部はいつかそのようなことが起きるのを予期していたかのような表情をしていた。
    それを一通り聞き終えてから再度太陽王は語り出した。
    「汝らを守りきることが出来ないことを先に謝らせて欲しい。本当にすまない……。
    だが、その上で汝らには我(フランス)亡き後も生きていて欲しい。立ち上がって欲しい。
    夢から覚める時が来たのだ。他を切り捨て、見ぬ振りをして得た安寧を良しとすべきではない。汝らも理解しているはずだ、リヨンの外の惨状を……。
    暴政が罷り通り、怪物が跋扈するまさに地獄の具現……だが、それでもなお仏蘭西(ワタシ)は滅びていない。
    檻(リヨン)の中で偽りの平穏を過ごす者、地獄で楽園を求め、声高に叫ぶ者――そのどちらが人として生きていると言えるか……分からぬほど我(フランス)が愛し子達は愚かではなかろう」
    我を打倒した者は汝らと同じ力無き者だった。だが、こうして我は打ち倒されている。
    人(フランス)の子よ、叫ぶがいい。地獄を踏破し楽園(フランス)に至れ。
    『朕は国家なり』!国家は国民によって形成され、太陽は汝ら一人一人の可能性―――その光によって生まれるのだ。
    我(フランス)は汝らの光の総算。敗れこそすれど我(フランス)が理想には一点の曇りも無し!我(フランス)が折れぬ限り汝らの心はまだ光を放つ!
    国家のため、未来のため、かつて愛した者といずれ愛する者、そして―――己の為に戦って欲しい。それが我(ワタシ)の最期の願いだ。」

  • 594終幕:太陽の光◆kBuHl0BYAI2020/01/19(Sun) 07:41:56ID:cyNzgxNDE(6/6)NG報告

    >>593
    民衆も立香達もその演説に聞き入っていた。
    それ自体が魔力を持っているようにも、けれどもただのなんてことない一人の男の痛切な願い事とも感じ取れる言葉。
    それこそが、太陽王が掲げた可能性の光をなのだろう。
    「やられたな……我らとの決闘もこの演説に持ち込むためか……大した役者だ」
    厩戸王子は悔しそうに、けれども僅かに口角を上げて呟いた。
    周りを見渡してみれば民衆は俄に沸き立ち、太陽王へのこれまでの感謝とこれからの抱負を告げていた。
    中にはそのように前向きに受け入れられない者もいたが――それでも、彼らも太陽王から目を逸らすことはなかった。

    可能性の光、太陽の如く。立香達はそこに煌々と人の世を照らす太陽を見た。
    ________________________

    とりあえずvs太陽王はここにてひと段落と言うことで……一応浅右衛門襲撃の裏でアンリ・ド・ラ・ロシュジャクランにジュワユースを渡したら私のパートは終わりですね、楽しかったです
    GMと参加者の皆さん確認お願いします

  • 595島編術陣営 ◆qjazSIB7S22020/01/20(Mon) 21:19:09ID:M2MTY4NDA(7/18)NG報告

    「それでは、実験を開始する。二号、頼んだ物は用意したか?」
    「当然。シルトグリューンよりサンプルを摘出済みです。実験、いつでも開始可能です」
    「それでは、始めようか」
    ボーダー内の一室、万が一の事故を防ぐために干渉防止の結界を貼った室内。
    西行が、考えを整理するように壁際のボードに文字を書き記していく。
    「分析結果1。サンプルは種族ハルピュイア、個体名はミュンヘン。分析した結果、遺伝的には人類と類似している点はあれど差異……図で見ればこのへんか。も顕著である。先の魔獣たち同様に、進化系統が違うだけの普通の生物だと思われるな」
    「肯定。サンプルデータの分析結果はすでに一号に送信済みです」
    「分析結果2。少なくとも、汎人類史の知識(データ)に照らし合わせた限りでは彼女の免疫力は低い部類に当たる。」
    「補足。データベースとの照らし合わせの結果、この状態に相当する免疫不全をもたらす病気は発見されませんでした」
    「よし。」指先の合図に反応した二号が小さなサンプルケースに入った血液を机の中心に移動させたことを確認し、話を続ける。
    「次。サンプルは原生植物。シルトグリューンと呼称されている。検査の結果だが、確かに毒を持つ植物ではある。だが、それほど強いものではないな」
    「肯定。仮定分析の結果、肉体に害を及ぼす毒として機能させるためには多量の摂取が必要であると出力されました。樹液サンプルを提出します」
    二号が先ほどの血液の隣にもう二つケースを置き、全てを開いた。

  • 596島編術陣営 ◆qjazSIB7S22020/01/20(Mon) 21:19:21ID:M2MTY4NDA(8/18)NG報告

    >>595
    「……じゃ、やってくれ」
    「承知」
    シルトグリューンと体液を接触させた時の反応調査。それが今回の目的である。
    三つのケースの内訳はそれぞれミュンヘンから採った血液、汎人類史の人間の血液、そしてシルトグリューンの樹液。
    異聞帯の人物にとってどのような毒なのかということは重要だが、自分たちにとって害になるかというのも重要であるとの判断だった。
    「完了。同一量の血液に同量の樹液を投与しました。」
    「………んじゃ、少し混ぜて待つ。そのあとで観察だな」
    しばしタイマーを見つめ、黙り込む二人。元よりお互い交流が好きなタイプではないので、こういう時は必然的に黙り込むことになる。
    「……時間か」
    「肯定。観測開始。……………」二号が少し驚いたように目を開いたあと、顔を顰め目を閉じる。「失礼。主が興味深いと感じると推定される結果です。送信します」

    「……ほう、これは………」

  • 597山星2020/01/20(Mon) 21:53:47ID:I1MTcwODA(25/34)NG報告

    「──────御大層な御高説ありがとう。俺がそんな甘い仕込みすると思う?」

    ランサーの放つ槍は宙を切り、次の瞬間にこそ、キャスターの掌底は鳩尾を打ち抜き、吹っ飛ばした。

    「いやいや。うん。まあ、立派だったよ。その考え方は確かに立派。けどさぁ。
    ─────そんなガチガチに仕込もうなんて考えたら、アンタみたいな奴も出てくる訳。普通にやるのめんどくさいしね。だからほら、いかに手を抜いて、いかに複雑に、そこが大事なんだよ。どれだけ稚拙でもいい。どれだけ複雑でもいい。ハッタリでもいい。詐欺でもいい。『お前が騙されるなら』それでいい」

    ふわふわと、キャスターが浮きながら爪いじりをする。舐めたマネをしているようで、その殺意は一切こちらから離れることはない。

    「そもそも、アンタがなんで騙されないと思ったのか。俺という存在の何を君は知っているのか。あの爆発の時、いつまで俺は幻術だったのか。最初から?途中から?それとも今も?というかこれは幻術?わっかんないなぁ。俺は馬鹿だからなーんにもわかんない。
    一つヒント。俺はあの時、確かにお前が汚染した空気の毒を喰らったよ」

    「随分とお喋りさんだね。僕が君の絡繰を見破る可能性は考えないのかな?」
    「お前程度に見破られるなら大人しく引退するわ。てか見破られても別にいいしね。百ある策のたった一桁に満たないのだー!………なんちって」

    ────そしてまた、周囲を取り囲むような呪符の雨が降り注いだ。

  • 598山星2020/01/20(Mon) 21:55:08ID:I1MTcwODA(26/34)NG報告

    「─────Wave(打ち砕かれよ)」

    たった一言。それだけで焔羊は勢いを消し、完全に消え去ってしまう。
    「気体、液体、固体……錬金術の真似事だけどね。これぐらいはわけないよ」

    少女はくるりくるりとステップを踏んだあと、己の頭に拳銃を押し当て─────

    「Bang!………なーんて?」
    撃ち抜かれたかのように見えた頭には傷一つなく。発砲音もしていない。ならば何が、というと衝撃と共に持ってはいるが頭から離れ拳銃は硝煙が漂っており、不湯花の足元に落ちている潰れた銃弾が、土に沈んだということ。

    「姿が見えないっていうのは、それだけで脅威になり得るもの。そりゃそうだ。私だって自分が相手に認識されなかったら……なんてどれだけ考えたことだろうね」
    「それで?そこから君はどうするのかな?」
    「んー。そうだね。私もまあ、見えない相手ともそれなりに殺しあってきたわけだよ。なんせ、魔術師とは仲良く話し合ったことよりも殺し合ったことの方が多いんだもの」
    ルーカスが景色を組み上げ終わる。そして姿は消える。

    あの魔法陣は太陽系のそれ。きっと光で太陽系惑星、及び黄道十二宮を再現したのであろうことは、安易に想像できる。
    「別に、私が姿を認識する必要はない。だって、見えなくてもいいんだから」

    ルーカスが、行動をしようとした際────

  • 599山星2020/01/20(Mon) 21:58:48ID:I1MTcwODA(27/34)NG報告

    「………!?」
    その背後から、初めからルーカスという存在を狙っていたかのように。地面からの光線が狙い撃った。………勿論、その程度の攻撃は魔法陣によって防がれてしまうが。

    「危ないな。どうしてわかった?」
    「目だけに頼るのが戦闘じゃないよ。
    ………Mielikki,Tapio, Nyyrikki.森の加護は私を包み、森の恵みは狩人に幸福をもたらす。宙は海。大海なり。地は森。生物の母なり」

    不湯花が杖を振る。それだけで、フィールドの至る所の地面から生え栄えた大量の巨大な木々の枝が見えない筈のルーカスを捉え、多方面から巨腕の如く力を振るう。

    「何処にいるかわかるから、これも出来るんだよね」
    先程のように船だけで辿り着こうとするのではなく、不湯花(操舵者)自身がルーカスの位置を捉えているのだから、船が迷うことなどない。船は再び、自らが目指すべき相手の場所に向けて突撃を行う。
    ─────船だけでなく、矢の形をした鋼も大量に飛ぶ。そしてそれらも的確に、ルーカスを狙う。

    ルーカスは己の周りに展開した魔法陣を惑星とし発動した魔術で、尽く対処する。当たるのであれば撃ち落とせばいい。木々のような面積が大きいものは壊せばいい。

    「壊したね?」
    「何?……っ!」
    「今、あなたはその木々を砕いた。────其は林業の神。切り落とし、繁栄せしめん神。『五十猛神』なり」

    ルーカスの周囲を囲んでいる木々ごと真っ二つに切り落とす程の、強大で広大な斬撃が弾けた。

  • 600名無し2020/01/25(Sat) 15:27:52ID:MwMTEzNzU(1/6)NG報告

    >>418
    「『顔のない騎士(ノ-フェイス キングス ナイト)』」

    その言葉とともに、強力な認識阻害の力が來野を覆う。バーサーカーの傍らから、確かにあったはずの『彼女』のぬくもり、気配が消えうせた。

    「エビュテルヌ!?」

    それはまるで永遠に失われたようで――動揺にかられたバーサーカーの悲痛な叫びが空気を震わす。
    突然様子がおかしくなったパートナーのあまりの声量に、來野はびくりと身を縮めた。

    「どうしたの、バーサーカー!」

  • 601レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/25(Sat) 16:06:43ID:cwNjEyNTA(10/18)NG報告

    >>600
    「どうしたの、バーサーカー!」

    『顔のない騎士』の作用により敵サーヴァントは自身のマスターを見失った。直ぐ傍に居るにも関わらず、だ。
    本来ならば護衛対象に掛ける筈の宝具だが……この状況、このマスターとなら別の効力を発揮する。
    "恋する魔法"と嘯く魔術がバーサーカーを再び襲う。
    愛する者を失った痛みが、ハートブレイクと表現される一撃が。

    バーサーカー……その真名に辿り着けた訳ではないが外見とその言動、そしてそのクラスから推測するにこれは無視出来ないダメージとなるはずだ。

    あの日の貴方が演技や虚飾だとは思わない。今の貴方が本当の姿とは信じたくない。
    きっと何か事情があったのだろう。だけど

    (ここで勝利を譲る理由にはならない……ッ!)

    ーpass

  • 602ガイ2020/01/25(Sat) 17:18:48ID:MwMTEzNzU(2/6)NG報告

    >>601
    「かっ・・・・・・ふっ・・・・・・!」

    "恋する魔法"による『身を引き裂くような痛み』がバーサーカーの全身を切り裂いた。
    肉を断たれ、内臓を割かれ、華奢な四肢がもげそうなほどの深手を負い、バーサーカーは声もなく地へと倒れ伏しそうになる。勝負は一瞬のうちに決したかのように思えた。だが――

    「ダメ!いなくならないで・・・・・・消えないで・・・・・・ください。私の、たった一人の・・・・・・・!」

    倒れ行くバーサーカーを支える手があった。
    とっさの行動で、非力な少女の細腕だったが、確かにそれはバーサーカーの腕を引き、体を受け止めていた。

    (ああ、『君』が・・・・・・)

    バーサーカーはそれを認識できたわけではない。今も敵の宝具の効果は続いており、自分の足で立っているのか、それとも何かに寄りかかっているのかさえも把握していないだろう。
    しかし、彼女にとっては「自分が未だに立てている」という事実だけで十二分だった。

    「・・・・・・なるほど、理解したぞ。君らはやはり僕たちには勝てない」

  • 603ガイ2020/01/25(Sat) 17:19:06ID:MwMTEzNzU(3/6)NG報告

    >>602
    血の塊を吐きながら、力なくうなだれていた頭を上げ、どこかに潜む敵を睨むように胸を張る。
    ひどく肉体を、心を傷つけられた直後なのにも関わらず、その顔に浮かぶ表情は憎悪のそれではない。もっと深く、燃え上がるような感情だった。

    「僕とエビュテルヌの間を引き裂こうとし、真実の心から『生きたい』と願っている少女の命を、陰からこそこそと刈り取ろうとする。その信念無き行為は・・・・・・英雄でも何でもない『嘘っぱち』の魂だっ!嘘から出た攻撃では、僕たちを倒すことなんかできやしない。なぜなら――

    ――真実の愛は不滅だからだ」

    "恋する魔法"の作用でバーサーカーの肉体が治癒していく。心に生まれた痛みが肉体を傷つけるのであれば、不滅の心が不滅の肉体をもたらすのもまた道理だろう。

    バーサーカーの瞳に輝きが宿る。

    「さあ、今度はこちらの番だ。
    ――嘘、欺瞞、まやかし。カラスの飾り羽を一掃し、僕の瞳は真実を映す。『直視する魔性の瞳 (リュミノジテ・エテルネッル)』っ!」

    神秘の薄い近現代に生きる彼女だからこそ持ちえた、『世界を見極める力』の発露。バーサーカーの宝具が世界を照らし出した。

  • 604レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/25(Sat) 18:01:53ID:cwNjEyNTA(11/18)NG報告

    >>603
    バーサーカー、アメリオ・モディリアーニと相対する二人。ジャンヌ・エビュテルヌの瞳に映るジゼルとそのサーヴァントに真実を照らす光が射し込まれる。
    ライノとジャンヌを襲った魔術は打ち砕かれ、虚像の恋煩いは去った。
    それと同時に宝具『顔のない騎士』も効力を失い、引き裂かれた二人は再会を果たす。
    だが、『直視する魔性の瞳』の力はそれだけに留まらなかった!

    「アーチャー!?」

    魔力パスの異変を感じたジゼルが振り返ると顔面を覆い狼狽するアーチャー、ロビンフッドの姿があった。

    「ガ、ガア!アアー!?!!」

    アーチャーを構成する霊基が揺れる。揺さぶられる。まるで磁気嵐を写すテレビジョンの様にエーテル体が荒れ、そしてその本性が暴かれる。
    そこに居たのは騎士であった。甲冑を身に纏い、剣と盾で武装した……

    「アーチャー……?」

    嘘偽りは暴かれ、その正体が白日の元に晒された。マスターの目にも今は正しくステータスが表示されている。
    そのクラスを正しくフェイカー、と。
    ーpass

  • 605ガイ2020/01/25(Sat) 18:17:59ID:MwMTEzNzU(4/6)NG報告

    >>604
    「騎士・・・・・・?あのマスターはアーチャークラスだと言っていたが、これはどういうことだ?」

    隠れながら罠でこちらを削ってくるという戦い方からは想像できない容姿に、バーサーカーは戸惑いを隠せなかった。しかし、それは彼女だけではない。
    アーチャー(?)のマスターの表情にも、ありありと驚きの感情が浮かんでいた。

  • 606レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/25(Sat) 19:00:06ID:cwNjEyNTA(12/18)NG報告

    >>605
    サーヴァント、フェイカー。真名ロビンフッドは、正しくはロビンフッドと呼ばれるかの義賊ではなかった。
    苦しみの中にある民衆が望み、勇気ある者達が創り出した偶像たるロビンフッドはその名自体が記号ではあるのだが、彼は名乗るに相応しくない男であった。

    「チッ……!」

    その噂を耳にし、兵士の立場を利用して王の足を引っ張った裏切り者に過ぎない。崇高な理想、救国の意思…どの様に言葉を繕っても青臭い愚か者……というのが名すら失った男の自己評価だった。
    だがそんな事は……マスターには知りようもないのである。

      クラスを偽っていた!どうして?マスターである私を騙してどうする?
      どうして?今は目の前の二人が!どうして?負けたくない!どうして?
      意味が分からない!フェイカーってなに?負けたくない!今は信じる!

    「""アーチャー""!! 罠は健在なのよね?」
    「あ、ああ。肯定だ」
    「なら作戦に変更はないわ!やりなさい!!」

    その時、フェイカーは驚愕の表情から確かに微笑を浮かべたのだが、それはジゼルには伺い知れぬ事であった。
    剣を閃かせ騎士が突撃する。
    ーpass

  • 607ガイ2020/01/25(Sat) 19:23:16ID:MwMTEzNzU(5/6)NG報告

    >>606
    バーサーカーは突撃してくる騎士に数発の銃弾を放ったが、どれも金属の甲冑に当たり、けたたましい金属音とともにはじかれてしまった。

    「くっ、ならば直接・・・・・・!」

    彼女は考える。仮にも自分はバーサーカー。狂化によるステータス補正が入っている。格闘は専門外だが、先ほどまでの動きを見るに、十分に勝負になるはずだ。
    こぶしを固め、向かい討とうと一歩踏み出す。

  • 608レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/25(Sat) 20:08:08ID:cwNjEyNTA(13/18)NG報告

    >>607
    激突。フェイカーの剣とバーサーカーの拳が交錯する。
    狂化によって強化された女性と、本来は座に残る筈のない騎士はここにきて拮抗した。
    両者の激突は、高位のサーヴァントとは言えずとも他者の介入を許すほど生温いものでもなかった。
    それを確認したジゼルは一歩踏み出す。一対一ならば勝てる、と迄は考えない。
    ここまで想定外はあったが(それこそ今回の聖杯戦争で最後まで勝ち残れるかに関わる重大な事案が発生したが……)今やるべきことは変わらない。
    両手を拡げた勢いで四方に飛ぶマーブルガム。それは直様色付き……東西南北それぞれが赤黄青紫に発光する立方体となって術者の周囲に浮遊し続けている。
    そして青色の立方体に手を触れるとここ一番の魔力を流す。この量の魔力をこのタイミングで流すのはリスキーだったが……

    「行くわよ、猛獣使いさん!!」

    立方体が膨れ上がったと思うと瞬間、ジゼルを覆い尽くし青白く輝く獅子に変成する。
    そして獅子は後脚で大地を力強く蹴り出し飛び掛かる!!

    ーpass

  • 609ガイ2020/01/25(Sat) 20:32:58ID:MwMTEzNzU(6/6)NG報告

    >>608
    「ぁ・・・・・・」

    頭のない男の人。肉片と血だまり。コートの人。そして、迫りくる牙。
    飛び掛かりくるライオンにフラッシュバック覚え、私は立ちすくんでしまいました。
    それは、いつかの夜の光景。私にとって忘れられない悪夢の始まりでした。
    そして――気が付いたときには、ライオンの牙が私の肩に食い込んでいました。

    「わああああああ!!」

    恐怖と痛み。頭の中がごちゃごちゃになり、私は叫びながら無我夢中でもがきました。すると腕がもげ、つかの間の自由を得ることができました。
    (逃げなきゃ・・・・・・殺.されちゃう!!)
    私の気持ちに呼応したのでしょうか。ちぎれた腕が大きなニシキヘビに変化して、ライオンを締め付けます。さらに腕の切り口からは、真っ黒で大きな牡鹿が飛び出しました。
    牡鹿は私に逃げ道を示すようにちらりと視線を投げかけると(偶然だろうと思うかもしれませんが、私にはそうとしか思えませんでした)、ライオンに向かって突進していきました。

  • 610レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/25(Sat) 21:22:10ID:cwNjEyNTA(14/18)NG報告

    >>609
    大蛇に締め上げられ自由を奪われた所に黒鹿が突進してくる。避ける術はない。頭突きが腹部にめり込み……弾き出される様に脱出するジゼル。自律行動を始めた獅子は蛇と鹿を相手に格闘を始める。
    逃しきれないダメージに顔は苦痛に歪むが止まらない。赤い立方体に手を触れ……同じように変成すると今度はバケツを重ねた様な人型になる。
    手には大きな斧……暴れる獣たちを背に、片腕を失って逃げ惑う少女に向かって振り下ろす。

    「あa……!!」

    悲鳴。だが浅い。背に付けられた傷口からは闇の様な泥が噴き出し大量の鼠となって猛威を奮う。
    押し倒され削られる中を這い出し、紫の立方体に手を触れると今度は身長3mはあろうかという細過ぎる大男が現れる。
    今度は中に潜みはしない。十分に距離は詰められたと判断し逃げ場を奪う様に左右から追い込む。

    ーpass

  • 611ガイ2020/01/25(Sat) 22:30:30ID:k3NTMxMjU(1/5)NG報告

    >>610
    絶体絶命の危機でした。
    ジゼルさんは次から次へと怪物を作り出して、私を追い込んでいきます。
    そして今、私の命運は尽きようとしていました。
    壁際に追い詰められて、方や大きな怪物が、方やジゼルさんが、私を仕留めようと迫っています。
    もう駄目だ、やられる!
    そう思い目をぎゅっと閉じたとき、優しい声が頭の中に響きました。

    『私の愛しい人。諦めちゃ駄目だ』

    「バーサーカー!?」

    『守ってあげるといったくせに、つらい思いをさせてしまって申し訳ない。助けに行きたいのは山々だけれど、どうやら騎士の彼は、僕が君のもとに行くのをとことん邪魔する気のようだ。こうなったら、君が敵のマスターを退けるしかない。君が自分で、自分の未来を切り開くんだ』

    「駄目・・・・・・こんな人に勝てないよ!私ひとりじゃ・・・・・・!」

    『いや、君は一人じゃない。僕をはじめとして、たくさんの命が君を助けようとしている。なんたって君は祝福されたいい子だからね。もとが血塗られた獣だとしても・・・・・・そんな子を見れば嫌が応にも『力を貸したい』って思うさ。僕の目にかけて保証するよ。あとは君が、勇気を出して踏み出すだけだ!』

  • 612ガイ2020/01/25(Sat) 22:30:46ID:k3NTMxMjU(2/5)NG報告

    >>611
    私次第?こんな人たちと戦わなきゃならないの?
    腰が引けそうになりますが、残された時間はそう多くはなさそうです。
    大きく息を吸って、ぎゅっとこぶしを握り締めて――私はようやく覚悟を決めました。

    「私は・・・・・・生きていたい!恨みとかじゃなくて、ただ純粋に生きるために・・・・・・そのためにジゼルさん、あなたを・・・・・・倒します!」

    その瞬間、どこかでずっと鳴っていた、ごるごる、という鳴き声がやみました。
    同時に、いつもとはまた感じの違う――いうなれば『極限まで圧縮された』といった感じでしょうか――闇色の泥が、私の全身を覆いました。そして、漆黒の甲殻のように形を成します。まるで私を守ってくれているかのように。

  • 613レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/25(Sat) 23:29:57ID:cwNjEyNTA(15/18)NG報告

    >>612
    巨人の様なナニカが目の前に現れる。これが「討伐令」が出された理由そのものであると確信すると同時に、圧倒的な力量差もまた実感とし持ってしまう。
    光を吸収する真っ黒な肌は隆起し、圧倒的なパワーを思わせる……行動を起こさせてはならない。先行する案山子が覆い被さろうと動くが太く長い両腕に引き裂かれてしまう。
    即座に黄色の立方体に触れる。それは翼ある猿を形取るとジゼルを抱えあげ空を飛ぶ。
    あの巨体だ、パワーはあっても小回りは効かない筈。

    (空中から削りころす……!)

    猿に抱えさせたまま両手に新たなマーブルガムを構え……
    ───させると思ったのか?
    まるでその様な声が聞こえた様な怖気と共に降り注いた黒い槍。正確に翼を撃ち抜いたソレによって地上に叩きつけられる。
    それは巨人になる瞬間、上空に放たれた烏が急速落下した結果だったのだが知る由もない。
    ただあるのは、倒れ伏した自分を曳き潰さんと狙いを定めている赤い目が迫っているという事だ。

    「ぜ、全力展開!!!」

    マーブルガムの再装填は間に合わない。直接魔術行使に踏み切る。落ちた拍子で外れたサングラスの奥、その翠の瞳が輝く。
    潰そうとする者と潰されんとする者、両者の間に緑に輝く紋様が広がりそして………。
    ーpass

  • 614ガイ・フォークス2020/01/26(Sun) 05:36:09ID:Q1MTExNTA(3/5)NG報告

    >>613
    (ここは……?)

    光に包まれたのち、急に景色が切り替わりました。
    荒れ果ててはいるものの、見覚えのある場所。
    程なくして、そこがレアちゃんの家だと気づきます。
    相手を見失ったことで身を包み込んでいた黒い骨格が溶け、身の丈を超えた力を使った反動がすぐに襲ってきました。
    全身の痛みにさいなまれる中、奥の部屋から壁を突き破って、2人のサーヴァントが現れました。

    「バーサーカー!」
    「君は……なんでここに!?」

    バーサーカーは私を守るように側に立ち、相手から距離を取ります。
    敵も、不用意には近づいてこないようでしたら。

    「わかんないです。急に光ったと思ったら、突然この場所に……」
    「なるほど、それは少しまずいね。君に直接害を成す魔術ではなくて移動させたということは……僕たちは、この場所におびき寄せられたということだ」

  • 615レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/26(Sun) 19:16:57ID:k4NTM3NDA(16/18)NG報告

    >>614
    眼前から魔物が消え去った瞬間、堪え切れず血を吐き出す。全身に痛みが走り頭蓋を締め上げられる様な頭痛に思考さえままならない。
    ──という、今が最悪の状態なのだろうとフェイカーは判断する。
    契約して間もない頃、マスターから聞かされていた欠陥。
    魔力回路に抱える爆弾が弾けたのだろう。
    バーサーカーとの格闘戦の中で剣も盾も失い短剣で立ち回っている今、マスターからの指示もないのは些か不安ではあるが……
    なんの念話も指示もなく魔力パスを通じて令呪一画分の魔力が流れ込む。

    「これは顔も知らぬ王に捧げる忠誠──

    ならば事前の作戦通りに…。

     悪逆を糺す怒りの火。見よ、これぞ『シャーウッドの剣』」

    視界が赤に染まる。主人を失った屋敷が燃え上がり、二騎と一人を炎が包む。

    ーpass

  • 616ガイ・フォークス2020/01/26(Sun) 20:23:09ID:Q1MTExNTA(4/5)NG報告

    >>615
    「危ないっ!」

    大きな柱が来野へと倒れてくるのを見て、バーサーカーはとっさに自分の体でかばう。
    神秘の込められた炎が彼女の身を焦がした。

    「ぐぅっ!」
    「バーサーカー!」

    悲鳴をあげる『愛しい人』に、大丈夫だよ、と笑いかけてから、バーサーカーは必死に考える。
    このままでは諸共焼け死.んでしまう。なんとかしなくてはーー!

    やがて、彼女は一つの行動に出た。床に拳を打ち付け始めたのだ。
    この規模の館であれば、ワイナリーなど、炎から逃れられる床下収納施設があるかもしれない。入り口は厨房だろうし、今から炎を突破して向かうことは不可能だがーーもしかしたら地下でここまで広がっているかもしれない。そうならば、サーヴァントの筋力であれば、そこまで穴を穿つことは可能なはずだ!
    仮定だらけの淡い希望だったが、やらないよりはマシに思えた。
    限界を超えた力を込めて拳を振るい続け、ようやく床が叩き割れる。覗き込んだ先にあったのは……コンクリートの硬い基礎だった。
    バーサーカーは肩で息をしながらしばらくそれを呆然と見ていたが、ゆっくりと来野の方へ向き直った。

    「」

  • 617ガイ・フォークス2020/01/26(Sun) 20:27:12ID:Q1MTExNTA(5/5)NG報告

    >>616
    そして、ゆっくりと口を動かし何かを伝えようとする。
    その微かな声は、果たして少女に届いたのだろうか。

    燃え上がる炎の轟に飲まれ、彼女たちを残したまま、館は無残に焼け落ちるのだった。

  • 618レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/26(Sun) 21:25:01ID:k4NTM3NDA(17/18)NG報告

    >>617
    スキル「火除けの加護」が施されたマントがその端から燃え上がりフェイカーの霊基を侵していく。
    エーテルで出来た身体が煙に咽せぶ。最期の時もこんな感じだったかと思いながら脱出を試みるが予想以上に脚が重い。
    これは駄目かも知れないな、と覚悟した一瞬。眼前の景色が変わる。
    目の前には肩で大きく息をしながらコンクリート製の壁に背を預けるマスターの姿。

    ((無事ね、アーチャー?))

    言葉も作れないほど疲弊した彼女から飛ばされてくる念話に思わず意地悪な笑みが溢れる。

    「あぁ、キミと同じく。ギリギリだがね」

    安堵した表情を浮かべると、次は燃える炎に視線を移す。遠くからサイレンの音も聞こえてきた。

    「にしても令呪を二画も使うとは。豪気なことだ」
    ((監督役の……え〜〜っと、なんだっけ? まぁ良いわ。アイツからふんだくってやるわよ。それより……))
    「アレで滅びたと思うか、だろう?」

    敢えてシんだか、とは表現しない。それはひとつの命、一度限りの生にしがみ付く者の為の表現だからだ。

  • 619レモネードランチャー【onSTAGE&島狂代行】◆O0PRisauvg2020/01/26(Sun) 21:25:58ID:k4NTM3NDA(18/18)NG報告

    >>618
    ((外に脱出した様子はない。焼けしんでないなら……))
    「地下に逃れたか」

    下畑来野という人格が、東雲玲亜への執着を抱いてしまう故の罠だったと言える。
    討伐令が出された時点で東雲邸への来訪を予測し罠を張ったのだ。もし本当にバケモノとして人格を喪っていたらこうはならなかっただろう。
    この最期の罠が使える、という事はライノは完全に人を捨ててはいない。もしかしたら元の善良な市民に戻れるかもしれない……と考えてしまうが。。

    「アーチャー、やって」
    ーpass

  • 620ガイ・フォークス2020/01/26(Sun) 23:03:39ID:gxMjYwMTg(1/2)NG報告

    >>619
    ◆◆◆◆◆◆
    「さあ、僕の愛しい人、こっちにおいで」

    笑ってしまいそうなほど弱々しい表情を浮かべる『マスター』を、僕は優しく引き寄せた。

    僕の目は真実を見通す。
    だから、宝具を発動した時から本当は分かっていたんだ。目の前にいるこの子は、僕のエビュテルヌじゃないって。
    あれだけ偉そうな事を言っておきながら、結局は僕が放っていた言葉もある意味『嘘っぱち』だったわけだけれども。今になっても自信を持って言えるのは、「この愛は『嘘っぱち』なんかじゃなかった」っていう事だ。
    うん、エビュテルヌに捧げたものとはまた違う種類ではあったけど、確かに僕はこの子を愛していた。
    だからこそ、何をしてもこの子を生かしてやりたいし、同時に分かってしまう。このままでは、たとえ助かったとしてもこの子は孤独に押しつぶされてしまうだろう。
    そうならないように僕は、彼女に提案をした。

    「奇跡はなかったけれども、万策尽きたわけじゃない。大丈夫。でも、2人で逃げ出すのは相当厳しそうだ。だから、突破の糸口が見えたらーー君は僕を取り込み力をつけて、全力で脱出してほしい」
    「そんな事……!」
    「君は悲しむだろうね。けど、1人にはさせない。そのための提案。……君の手の甲にあるその痣はね、令呪っていって、僕にあと2回だけ絶対に約束を守らせるおまじないだ。それを使って、2つの命令を出してほしい」
    「命令?」
    「そう。1つ目は『このコンクリートを砕いて穴を作ること』。君はその中で熱さや酸欠に耐えなきゃならない。それはすごく難しいことだけれど……環境の変化に耐性のあるサーヴァントの体を取り込めば不可能じゃない。それと、2つ目はーー『僕がいなくならない』事さ」

    半分パニックで涙を浮かべる少女をなだめながら、僕は続ける。

  • 621ガイ・フォークス2020/01/26(Sun) 23:03:55ID:gxMjYwMTg(2/2)NG報告

    >>620
    「君の体は、取り込んだものを『無色の魂』と『生命の情報』に変えてしまうみたいだけれども、完全に取り込んだものの意識がなくなるわけではなさそうだ。令呪の絶対命令があれば、きっと混沌の中でも意識を保っていられるはずさ。さあ、時間がない。早く」

    泣きじゃくる彼女が令呪を切り、体に自分の絶え有る限界を超えた力が宿る。きっとこれを振るえば、僕も無事では済まないだろう。
    拳をコンクリートに打ち付けると、僕の霊基にヒビが入るとともに地面に大穴が空いた。
    朦朧とする意識で考える。
    こうなったことに悔いなんてないけれどもーーせっかくだから、エビュテルヌに会いたかったな。

    マスターの声も遠く、もう落ちると思う寸前、ふと、潤んだマスターの瞳に映る人物が見えた。美しい黒髪と、力強いその目は……
    ああ……なんだ。君はやっぱり、ずっと僕と一緒にーー

    ◆◆◆◆◆◆
    何度か意識を手放しそうになりながら、それでもバーサーカーとの約束を思ってじっと熱さに耐えていた私は、外で何か動きがあった事を悟りました。
    どうやら地下の方に私が逃げたと考えて、ジゼルさんたちはそっちの方に意識が行っているみたいです。
    今なら……逃げられるかもしれない。そう考えた私は、燃え尽きつつある館の残骸の隙間からこっそりと這い出ることにしました。

  • 622リドリー陣営2020/01/29(Wed) 20:37:37ID:k0MDcyNjU(14/28)NG報告

    往々にしてある不仲。それはビュザンティオン協会も例外ではなく、動物科と植物科はとにかく仲が悪かった。行動理念とか教室深度とか生徒の数とかそんなんではなく"なんとなく"ソリが合わないのだ。
    日頃の不仲は徐々に蓄積されていく。そして今回それはある意味必然的に爆発した。

    二人の男がお互いに向き合う。
    かたや、魔獣の毛皮や骨を素材にした黒いジャケットや無骨なタクティカルブーツをした伊達男。動物科学部長『フェゼキア・ラギナデルス』
    かたや、白いスーツと紫色のネクタイを締めるデンドロビウム模様の仮面をつけた男。植物科学部長『マスター・デンドロビウム』

    生徒からも不仲であると言われていた彼らの因縁は今日の予算会議で紛糾。この決闘で勝った方が今年一年予算の増加を取り決めたのだ


    最初に動いたのはデンドロビウムの方だ。

    「俺はあんたのことがどーも気に入らなかった。伊達男めいて空かした格好してよう?いやそんなことに苛ついて無いけどね。……………まあロードと闘うなんて滅多に無いからな。研究を通して作った礼装色々試してやるよ。覚悟いいよな?」

    デンドロビウムは手から種を飛ばし地面に埋める。そして詠唱した。

    「devil’s kiss(轟々と燃え咲かれ)」

    生えてきた植物は蒟蒻。蒟蒻の花から放たれたのは大火炎。あたり一面を煉獄へとかえた!

  • 623Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/29(Wed) 21:35:04ID:YxMjQ2MTk(1/6)NG報告

    >>622
    「勿論さ。覚悟なんてのはビュザンティオンのロードになる前から備えてる。学部長になる前は、こういった魔術戦も結構慣らしたものだよ。しかし、アレだな。僕が伊達男なのは否定しないが、この格好への『すかした』なんて表現は取り消して貰おうか。今までに死んだ作品への愛情だからね。僕の服飾品は」
    迫る炎を前にしてもフェゼキアは落ち着いたまま。少々の軽口を叩きながら、胸元から薄桃色の林檎を一つを取り出し、炎に向かって放る。

  • 624Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/29(Wed) 21:35:21ID:YxMjQ2MTk(2/6)NG報告

    >>623
    「さ、まずは消火しなきゃだね、レイス。死ん できなさい。そして食事の時間だ、ベルゼ」
    フェゼキアの手から離れた林檎はみるみる内に膨張し、呻き声をあげる亡霊へと変貌、解けながらも煉獄の中心で自爆!大炎上はあっという間に勢いをなくし、温度の上昇は停止。レイスの自爆によって周囲の空気が一気に減り、鎮火してしまったのだ。
    そして蒟蒻の花が次の炎を吐く前に、いつの間にか接近していた蝿が花に纏わりつき、物の数秒で食いつくされてしまう。
    「さっ、Mr.デンドロビウム。コレで同じ手は通用しないんじゃないかな?別のアプローチの検討をお勧めしよう」
    グローブを嵌めた無骨な両手に、これまた武骨で、その上そこら辺の拳銃が玩具に見えそうな超大型のリボルバー拳銃を握って、フェゼキアは不敵に笑う。

  • 625リドリー陣営2020/01/29(Wed) 22:04:09ID:k0MDcyNjU(15/28)NG報告

    >>624
    「リボルバーか……………近代兵器というのは相変わらず厄介なこった」

    警戒心を露骨に出すデンドロビウム。近代兵器に対して苦手意識が彼の中にあるのだ。だがフェゼキアが出したベルゼは彼に迫ってくる。そのまま肉体をえぐり取るのだろうか?

    だがデンドロビウムは慌てない。リボルバーを持つ相手ならそれよりも早く攻撃すれば良い。

    種を地面に巻くデンドロビウム。だが今度の詠唱は違う


    「知ってるか?中国の五行説。木行は雷も属性として統合されているらしいぜ?
    shock jockey(煌々と跳び散れ)」

    出現したのはオジギソウ。オジギソウは雷撃を打ち出しベルゼを全て撃ち落としてフェゼキアへと標準を向ける!

  • 626Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/29(Wed) 22:37:17ID:YxMjQ2MTk(3/6)NG報告

    >>625
    「五行思想かぁ…。まぁそれなりに知っているとも。属性の相性によって生まれたり消えたりするんだろう?しかし、Mr.デンドロビウム。んー長いな。Mr.デンドロでいいかい、愛称。君はこの地球の植物に詳しいが動物への理解が足りない、と言わせて貰おうか。蟲の繁殖能力を舐めちゃいけない。あのベルゼ達は、今この瞬間も増加している総体のほんの一部だよ」
    すると背後から出るわ出るわ、奇怪な蟲…魔蝗索敵ベルゼブブがゾロゾロと湧き出してくる。その光景は虫嫌いな人間が目撃したら、少々トイレに駆け込むのでは無いか、というぐらいの量である。
    「でもアレだね。魔術戦で魔術師が使い魔に全てを任せて後方司令官顔、ってのも締まらない話だ。もうちょっと能動的に動かさせて貰おうかな」
    ジャコッ!とリボルバーを構え、徐にオジギソウに向けて発砲!そして着弾。すると弾丸からは大きな口を備えたワーム供が孵化し、オジギソウを根本から食い荒らす。
    「君も気をつけた方がいいよ、デンドロ。当たればビュザンティオンのロードと言えども、無事には済まない。イカした仮面を失いたくなきゃ、避ける努力をしなくちゃね」
    オジギソウが完全に食われたのを確認したと同時にフェゼキアはリボルバーをマスター・デンドロビウムに向けて、適当に発砲。しかし狙いが甘かったか、容易く回避されてしまった!舌打ちを一つ。一方デンドロビウムは今回の銃弾から蟲が出てこなかった疑問からか、リボルバーを避けられた安堵からか、挑発の為にデンドロビウムは顔を上げ「おいおいフェゼキアさんよ。狙いが明後日だぜ?学部長に収まって、狩猟の腕が鈍ったか!?」る…居ない!?「そんな訳無いだろう?」
    さっきまで十数メートル先にいたフェゼキアの声が、耳元で聞こえる。疑問を浮かべる暇も無く、デンドロビウムの側頭部へと雷のような衝撃が走る。そう、フェゼキアはデンドロビウムが銃弾に気をとられている隙に、距離を詰め、リボルバーを握った拳で彼を“強化”した拳で思い切り殴り付けたのだ!
    「うん、やはり魔術師たる者、一番信頼できるのは魔術だね。リボルバー拳銃という近代兵器も悪くは無いが、自分で決める方がやはり気持ち良い」
    次の銃弾が、マスター・デンドロビウムへ牙を突き立てる時を今か今かと待っている。

  • 627リドリー陣営2020/01/29(Wed) 22:49:31ID:k0MDcyNjU(16/28)NG報告

    >>626
    「かぁー、口ん中切れて、鉄の味でいっぱいじゃ無いか。たくよぉ」
    「いや、僕は頭の後ろ殴った身体そうなるのはおかしく無いか?」
    「あんまり常識を押し付けちゃいけないぜ」
    近寄っていたフェゼキアに左手を当て詠唱する。
    「shock jockey(煌々と跳び散れ)」
    左手に生えたオジギソウによりフェゼキアは電撃を受けながら吹き飛ばされる。

    距離が離れた事を確認したデンドロビウムは種を地面に埋める。フェゼキアは弾丸を放つ。
    「murder of crow(濛々と立ち放て)」
    キンポウゲの花だ。この花を中心に毒が巻かれる。フェゼキアの弾丸は跡形もなく溶けていった!

  • 628Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/29(Wed) 23:08:49ID:YxMjQ2MTk(4/6)NG報告

    >>627
    「ふむ。毒か、ぷぅっ!電撃はそれなりに効いたなぁ。……ジャッケットによる防護はいつも通り堅牢だ。ふふふ、やはり僕の作品は素晴らしい」
    微笑みつつ、次の一手を考えるフェゼキア。
    「うん、確実なのはコレだろう。レイス!」
    またもやレイスを召喚し、キンポウゲの撤去を命じる。毒の煙を吸い込みつつも、こたえた様子はほとんど無い。何故ならレイスの材料は屍肉。血はその肉を循環しておらず、故に毒が通じないのは道理である。デンドロビウムは電撃で邪魔をしようとするが、それはフェゼキア自身がカバーする。
    拳銃をぶっ放し、ヒットアンドアウェイ。確かにフェゼキアの狙いは厳格では無いが、彼の銃弾には非常に高い殺傷力があるのもまた事実なのである。デンドロビウムは否が応でも銃弾を避ける為に意識を割かざるを得ず、そしてデンドロビウムには拳打、蹴り、肘打ちなどの強化された暴力によるダメージが蓄積していく。
    ちなみにフェゼキアの銃弾消費は未だ半分以下。コレは彼の格闘技術の質や判断の巧みさが消費を極限まで抑え、しかし有効な攻撃の繰り返しが出来ているという結果であろう。

  • 629リドリー陣営2020/01/29(Wed) 23:28:41ID:k0MDcyNjU(17/28)NG報告

    >>628
    「全くむかつく。本当にむかつくよ。」
    「喋る余裕あるんだね」

    強化魔術の攻撃の嵐を同じく強化魔術で懸命に抑え込むデンドロビウム。今回持ってきた手札は11個。その中で打開できる手札を選び取る。
    「under to come(茫々と伸び生えろ)」
    体から出てきた巨大な南瓜のツル、これによりフェゼキアとレイス共々拘束。締めあげながら投げ飛ばす。レイスの消滅を確認すると今度は、種を埋め、別の詠唱をする
    「charge hurricane(散々と巻き移れ)」
    出てきた植物はタンポポ。10mもあるたんぽはは種を飛ばして小規模の嵐を巻き起こす!

  • 630Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/29(Wed) 23:53:19ID:YxMjQ2MTk(5/6)NG報告

    >>629
    「蒲公英か。しかし大きいね。生物学的な興味も湧いてくるね」
    ベルゼによって南瓜の蔦を嚙み切り焼き切って離脱したフェゼキアは迫り来る嵐を確認するとバックステップで駆け出し、距離を取る。しかし向かっているのは広い空間のある中央では無く、壁際である。勝負を投げたのか、と思われたその時!フェゼキアは跳躍し、次の瞬間姿が搔き消える。
    デンドロビウムが思わず驚愕したその時、フェゼキアの胴体へ激痛が!背中に手を回して掴もうとするが、やはり腕へ鋭い痛みが走る。
    そうこうしている内に、発砲音が響く。いつのまにか姿を表したフェゼキアがリボルバーで攻撃したのだ!その音を聞く前から浮き上がっていく体を制御できないデンドロは、大口径の銃弾を避けられず、大きめの風穴が空いてしまった!
    「ピュッーッ!…………じゃあくーらーえーっ、っとぉ!」
    軽い口笛と同時に、デンドロの体はフェゼキアへ大きく吹っ飛ばされ、待ち構えていたフェゼキアのストレートパンチを腹部に喰らい、内臓がlシェイクされたような感覚—実際にめちゃくちゃになってかもしれない—を味わう。その刹那、自分に“噛み付いた”モノの姿を視認する。それはギリシャ神話における地獄の番犬、ケルベロスによく似ていた!狐の顔があるなど若干の差異も確認できたのだが。

  • 631リドリー陣営2020/01/30(Thu) 00:17:55ID:M5MjIwNTA(18/28)NG報告

    >>630
    腹に風穴があき、内臓をシェイクされ、噛みちぎられたデンドロビウム。誰が見ても死に体である。

    フェゼキアは仮面に銃口を向け、デンドロビウムに言った
    「もう降参するべきだと思うけどどう?」
    「死ん.でも……………ごめんだ。」
    血塗れになり息も絶え絶えのまま拒絶する。その言葉を受けフェゼキアは脳に銃弾を放った。画面に入る穴。そこから吹き出した大量の血が雨となってフェゼキアを濡らす。その雨を尻目に決闘場の出口へと向かった。

    勝者フェゼキア・ラギナデル……………


    「possession(狂々と乗り潰せ)」

    詠唱。フェゼキアの足が動かなくなる。身体が強制的に歩き出す。フェゼキアはデンドロビウムを見る。血は引き、穴が埋まり、仮面にデンドロビウムが巻きつく。そこでフェゼキアは自分の身体の血を見た。それは血ではなく赤い苔。これによってフェゼキアは体を操作されていた。喋ることもできないフェゼキアにデンドロビウムは聞いた。

    「降参するか?」

  • 632伏神アサシン陣営2020/01/30(Thu) 01:08:34ID:g0NTkxNzA(15/26)NG報告

    「こ、これは…!?」

    最近は慣れてきた落下の感覚。
    マントがたなびく音に混じって声が聞こえた。

    「ーープ!HE-LP!Hilfe(ヒルフェ)!」

    自ら飛び降りて逃走を図った自称アイドルのマスターが両手を広げてこちらに助けを求めているではないか。

    「いやでも敵だし…」

    アサシンは一瞬躊躇した。相手はあくまでこの聖杯戦争においては敵だ。いくら可愛らしいといっても簡単に助けるなどーーー

    「!?」

    近くにつれ、小さかった彼女の姿が徐々に見えてくる。
    何と、彼女は落下している最中だというのにその顔には実に魅力的な笑顔を向けているではないか。
    それもアサシン個人に向けた満面の笑みを。

    「うおおおおおお!!!」

  • 633伏神アサシン陣営2020/01/30(Thu) 01:08:52ID:g0NTkxNzA(16/26)NG報告

    >>632
    前傾姿勢を取るとサーヴァントとしての超常的な力を活かして猛スピードで風を切りながら、下へ落ちていくアサシン。
    そしてもう少しで地面と激突する寸前に彼女を捕まえ両腕で抱きかかえた。

    「ちょっーーー」
    「舌噛むから黙ーーー」

    お互いの台詞は最後まで続かなかった。
    炸裂音と共に地上にたどり着いた二人。アサシンはゲルトウラデのクッションになっていた。そのため彼女に目立った怪我は無いが、アサシンは目を回していた。

    「…これじゃ、まるで、ヒーローじゃん…」

    ノイズ混じりでぼやきながら、アサシンは気を失った。

  • 634監獄長/ゲルト第一回戦◆VENk5mkP7Y2020/01/30(Thu) 19:53:11ID:I1MTExMjA(1/3)NG報告

     高密度の魔力の壁。
     砂塵舞う天空の王にして太陽の化身。その神性を纏った大気の圧力が魔王の放った渾身の一撃を相殺し、日輪を射抜く者を守った。

    「死に損ないの干物野郎がぁっ!」
    「余は無意味に冥府へ落ちる者に非ず! 貴様という世界を喰らう悪虐を滅ぼす一手となるまで、この身は不滅なり!」

     彼のファラオ────ツタンカーメンの象徴の一つとされる黄金の仮面。
     目元の半分が欠けていても尚、神性を一時的に還元させる力を発揮し、天空神の加護を与えていた。
     既に霊核は砕け、魔力を練る事さえもままならない状態である筈なのに、ツタンカーメンはファラオとしての矜恃、そして誓いと契りを結んだ少女(マスター)に最良のサーヴァントである事を示す為、意志の力のみでここまで這い上がったのだ。

     死に損ない? そうであろう。
     くたばり損ない? 否定はしない。

     しかし、それだけで諦める程度であったのなら、彼はファラオとして歴史に名前を刻む程の人物ではなかっただろう。
     君臨者としての意地。英霊としての意地。男としての意地がある以上、彼がただで消える筈もなかった。

  • 635監獄長/ゲルト第一回戦◆VENk5mkP7Y2020/01/30(Thu) 19:53:48ID:I1MTExMjA(2/3)NG報告

    >>634
    「さあ、神に彩られし大気よ、災禍を祓う架け橋となれ! 『王の紋章(トゥト・アンク・アメン)』の意に従い、目前の悪鬼に鉄槌を!」

     仮面の目が妖しく光る。
     すると、宝具を相殺した大気の壁が広がり、バーサーカーを包み込む。

    「な……────!?」

     本来であれば、空気断層などの攻撃に用いられるこの宝具を、ツタンカーメンは捕縛に持ち得る全ての余力を注いだ。
     その影響でバーサーカーは肉体を縛られ、大気に込められた呪詛の効果もあって声も出せず、瞬きすらもできない状態に陥った。

    「これで動作、詠唱すらできまい。貴様は完全に滄海一粟。狩られるのを待つ一匹の餌だ。本来ならば、余の手で貴様を討ち滅ぼしてやるのだが、生憎とこれ以上余力はない。故にアーチャー、余に代わる“黄昏の射手”よ、手柄を譲ってやろう!」

     消滅寸前であっても壮大な態度は変わらず、しかれどもその在り方こそが、何故かアーチャーにとって好ましかった。
     ────きっと、月の彼女を思い出すからでしょう。太陽と月、真逆であるというのにおかしな話だ。
     大弓と強く握り締め、既に弦に番えた白矢を引く。瞬間、光は更なる輝きを発し、あらゆる邪気を払拭する旭光と化した。

    「思えば、貴方は獣となって呼び起こされる世界もあったのでしょう。私では知覚できない並行世界の事柄……しかし、霊基だけはひしひしと感じ取っています。故に、私は冠位の席を持つ者として悪性を広げる両翼を撃ち落とす。今は冠位ではなくとも、資格ある者の務めなのですから」

     眩い光が白い矢に集束する。

  • 636監獄長/ゲルト第一回戦◆VENk5mkP7Y2020/01/30(Thu) 19:54:29ID:I1MTExMjA(3/3)NG報告

    >>635
    「交わす声さえも出ない貴方には、言葉は不要。災害の蛇、ここで安らかに眠れ」

     身動きが取れないバーサーカーは、呪わしい眼光を二人のアーチャーに向ける。
     無防備に晒されたまま、なす術もなく消える……これから辿る屈辱的な最期に、憤怒の感情しか湧かなかった。
     暴走し、最後の最後まで在り方を変えなかった者の因果応報なのだろう。
     自身の在り方に沿って、己を道を進んでいたファラオと同じであった筈なのに、善悪の違いだけで対照的な終わり方だ。
     善性が賛美され、悪性は淘汰される。
     何という綺麗な世界なのだろう……故に、バーサーカーは侮蔑する。
     詠唱も、言葉すらも綴る事のできない現状だが、邪悪なる王は心から世界に贈ろう────




     ────ク.ソ食らえ、と。




    「────『黄昏の尽より眠る日射(ヌディ・ムバ)』」

  • 637Requiem◆B8D4AQBhU22020/01/30(Thu) 23:00:26ID:c3MDU0MzA(6/6)NG報告

    >>631
    ま、返答なんぞ出来ないだろうが…、と思った瞬間、フェゼキアの体に飛行していたベルゼの群体がまとわりつき、吐き出した炎でフェゼキアにこびりついた赤苔を焼き溶かしていく。
    あっという間に焼失したフェゼキアは、目を爛々と輝かせながら、デンドロビウムに近付く。
    「うん、うん、うん!やっぱり凄いね、植物科の力と言うのは。しかし、恐らくだが、現状、私達の間に決定的な切り札は無い。僕は君をコロせないし、君は僕の作品達を根絶できない。……という事でだ。この決闘はドローとして、植物科と動物科で共同研究をやらないかい!?兼ねてより僕は『同じ生物学系の学部なのに何故いがみ合うのか』と苦慮していたんだよ!僕の生徒達も良くやってくれてるが、動物科もステージを一手進める時だと思うのさ。君のトコにも、損はさせないつもりだ。……どうだろうか?」
    決闘に至った経緯をサラリと無視し、意外な提案をフェゼキアはする。それとも、この柔軟性が彼の強みの一つなのだろうか。

  • 638山星2020/02/01(Sat) 20:49:18ID:YyNTExMDk(28/34)NG報告

    「─────宵の伽(VENUS)。暮れの果て(twilight)。踊りましょう(theater)。私はここに産声を挙げる(fantasìa born)。
    ─────千夜の果ての宵闇と、月光の楽園を。アルフ・ライラ・ワ・ライラ(Arabian night)」


    深夜の寂れた僻地の公園で、シルヴァ………否、オーレリアは魔術回路を起こし、魔術刻印を起動する。するとどうだろうか、人形達が彼女のアタッシュケースから組み上げられ、動き出す。各々が植物の種のようなものを持っており、それを広い範囲に撒きながらせっせと育てているではないか。

    「かつては子供達の……つまり想像豊かな人間達の想念がこもっていて、今は植物達が群生している一種の庭園と言っても過言ではない場所。それが公園ね。特に、最近の時代の流れで公園が寂れることも多くなったから、尚更こういう例が増えるのよ。それはつまり、私達の一族(ベルリーズ)にとって最高の条件であると言ってもいい」
    「まあ、幻想的な風景ですね。公園全体に淡い光が灯っているのは目を奪われます。………この人形達は、自律思考をお持ちで?」
    「いいえ。私が刻んだプログラム通りに動いてるだけ。そう簡単に自動人形(オートマタ)なんて作れはしないのよ。そんなの作るぐらいなら普通に人形を作って操作する方が効率もコストもいいもの」
    「なるほど。それは確かに、そうですね。……今は、何をしておられるのですか?」
    「工房の建築と、辺りの霊脈からの魔力接収よ。今から二日目の暮れまでは魔力の貯蔵に尽力するわ。……正直言って、私の素の魔力じゃ貴女は満足に戦えないのよ」
    「………そうでしょうか?私、大した力も持っていない妖の筈ですが」
    「………そうね」

  • 639山星2020/02/01(Sat) 20:50:41ID:YyNTExMDk(29/34)NG報告

    一日目の行動としてはこんな感じです。二日目乱戦までは大体こんな感じです。北側でショッピングしてたりはするかもですが

  • 640山星2020/02/01(Sat) 21:23:05ID:YyNTExMDk(30/34)NG報告

    問題点等ありましたらこちらのスレで仰ってくださると助かります

  • 641ここのえ2020/02/01(Sat) 21:32:00ID:g3OTI1NjM(1/4)NG報告

    山星さ~ん
    ランサー陣営はどんな思惑・印象で乱戦に参加するとかあります?
    「好機だ!」とか「有利な状況を作っておこう」とか、さらっとで良いので

    ぺウケスタスに止めを刺して欲しいので、こんな感じに倒されれば良いかなっていう指針を作りたいんです

  • 642山星2020/02/01(Sat) 21:37:24ID:YyNTExMDk(31/34)NG報告

    >>641
    未だ一日目の乱戦も始まっておらず、その上で二日目乱戦がどのような感じで始まるか、というのがわからない手前あまりしっかりと固められないのですが………
    敢えて少し固めるならば乱戦参加でランサーの戦闘を把握及び他マスターや陣営の実力偵察ですね
    勿論、倒せる状況にあるなら倒しにいくと思います。例え相手のそれがブラフでも令呪を切ればよっぽどのことがない限り逃げられますから

    あと単純に観客を楽しませようというエンターティナー心兼邪魔者は早いうちに消しておこうという魔術師精神

  • 643スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&ステージ】◆SOkleJ9WDA2020/02/01(Sat) 21:43:28ID:Q5MDk4OTY(4/7)NG報告

    >>639
    >>640
    GMとしては問題無いです。
    しかし、アサシン陣営とは桁違いの工房が出来てますね。

  • 644ここのえ2020/02/01(Sat) 21:46:42ID:g3OTI1NjM(2/4)NG報告

    >>642
    詳細ではなくてイメージなので大丈夫です~
    ほら共闘してて油断した隙にぶすっと刺すみたいなムーブもあり得るから…

    最初からではなく、途中からランサー陣営が入って来て、それからランサーの宝具にやられて予想外だったわ…的な感じでぺウケスタス消滅。というイメージで良いでしょうか?

  • 645山星2020/02/01(Sat) 21:49:46ID:YyNTExMDk(32/34)NG報告

    >>643
    いってもこれ「魔力接収」のみに絞ってますからね……?アサシン陣営みたいに防衛込みではないのです
    裏を返せば防御を捨てて魔力供給一辺倒にしないと赤ゑいを養えないわけで
    防御機構もないんだから察知されて壊されるのも承知の上。ならばその前に集めるだけ集めてやろう精神

    あとはそう、工房を作る際の苦労の差は魔術師としてのガチ度の違いだと思ってくだされば

  • 646山星2020/02/01(Sat) 21:54:56ID:YyNTExMDk(33/34)NG報告

    >>644
    宝具……宝具と来ましたか……そうか……

    宝具を切らない倒し方、という感じでもいけますかね?理由としては
    ・序盤でそこまで手の内を明かすつもりはない
    ・魔力消費がエグくて令呪補佐なしだとやばい(令呪を切ってまだ倒そうとは思わない)
    ・周りの被害がエグいから使いどころは考えたい

    の三つなのですが。一応、仕留めようとなったらシルヴァの援護魔術(花によるバフ盛り盛り)と魔力消費制限解除で化け物ステータス(筋力A+)+怪力を全力で行使して仕留めに来る赤ゑいという構図ではあるのですが、それでも倒せなさそうですかね?
    それならはい、宝具を使うのもやむなしとは思ってます。ペウケスタスの晴れ舞台ですしね

  • 647スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&ステージ】◆SOkleJ9WDA2020/02/01(Sat) 21:58:05ID:Q5MDk4OTY(5/7)NG報告

    >>644
    最初にライダー陣営が小聖杯獲得してて、集まってた他の陣営が奪おうと戦いを挑んでて、そこに……といった感じかな?

    >>645
    こちらの防衛機構も令呪でサーヴァント呼ぶ時間稼げれば位のものでしかなく、一度破壊されたら次を作る資材が無いので……。
    魔術師としてのレベル差が悲しい位ありますね。

  • 648スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&ステージ】◆SOkleJ9WDA2020/02/01(Sat) 22:06:34ID:Q5MDk4OTY(6/7)NG報告

    >>646
    宝具……アサシンが弟達召喚宝具を二日目乱戦でライダー相手に使い潰す想定はしてたので、それをランサーが宝具使う代わりにします?

  • 649山星2020/02/01(Sat) 22:10:24ID:YyNTExMDk(34/34)NG報告

    >>648
    ここのえさんの返答にもよりますが、それだと槍陣営も「チャンスじゃね?」ってなって上記の宝具を使わない上での本気モードで仕留めに来る可能性はとてもあるのでいけると思います

    こちらとしては、槍陣営コンビのキャラの思考は「まだ手の内を明かしたくはないから宝具は使いたくない。使わない範疇の全力は出す」
    執筆者の私としての思考は「基本はキャラエミュでキャラの考え優先。だけどペウケスタスは二日目乱戦が最後で最大の華だから宝具使うのも執筆者としては許容」みたいな感じです

  • 650ここのえ2020/02/01(Sat) 22:17:47ID:g3OTI1NjM(3/4)NG報告

    >>646 >>648
    余韻が残れば良いので他の手段でも大丈夫です~
    即死じゃなければ

    ライダー、アサシン、管理者で乱戦(王の軍勢とカウラヴァの戦闘)→ランサー参戦→ライダーやられる(逃亡、ここでアサシン倒せればベストなのですがそこはスルトさんに任せます)→逃亡先でマスターも倒れる(倒せなかったらアサシン。黒幕?アンジェリーナさんにやられる)という感じが良いかな~って思ってます
    どぞ

  • 651スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&ステージ】◆SOkleJ9WDA2020/02/01(Sat) 22:24:52ID:Q5MDk4OTY(7/7)NG報告

    >>650
    剣術陣営も恐らく居ますし、ナポさんやGMAさんがどうするかも有りますし、細かい流れはライブ感で行くとして。
    とりあえず、ライダーがやられた時点でマスターは敗退としてスタッフに保護されますね。

  • 652ここのえ2020/02/01(Sat) 22:28:57ID:g3OTI1NjM(4/4)NG報告

    >>651
    あ、そっか人は死なないんでしたっけ。じゃあ上を向いて歩こうエンドですね

    とりあえず軍団宝具での戦いからの霊核ぶち抜かれで考えておきまーす
    細かい流れは時系列進んだら、ですね

  • 653リドリー陣営2020/02/01(Sat) 23:07:26ID:Q0NzE3ODU(19/28)NG報告

    >>637
    「……………カハァ」
    デンドロビウムは声を漏らす。
    「何かおかしいことでも?」
    「いや、まさかお前からそんな提案されるなんて予想外だったからな」
    フェゼキアの柔軟さを見誤っていた。そんな自分の醜態がおかしくて仕方ないのだ。
    「……………いや笑わせてもらった。そうだな、まあそろそろ和解の時がきたんだろうな」
    「素直にそう言ってくれればよかったのに」
    「俺がそんな人間に見えるか?」
    「そもそも人間か怪しい所だけどまあそんな人間には見えないね」
    デンドロビウムとフェゼキアは握手をかわす。
    ビュザンティオン協会の長年の因縁が解消された瞬間であった。



    「共同研究といや、一つあってな」
    「ん?どうした」
    「……………渋谷ってところで聖杯戦争が起きる。そこに手を貸して欲しい」

    Fate/Evolution

  • 654九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/02/03(Mon) 23:50:57ID:UyODk1NjA(1/4)NG報告

    九終投稿します

  • 655九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/02/03(Mon) 23:51:16ID:UyODk1NjA(2/4)NG報告

    >>654
    「指スマ3!」
    「ハッ残念だったな」

    握った手を合わせ親指を立てて数を言い合う遊戯に興じるバーサーカーとユージーン
    二人は九重海音の使い魔に渡された手紙に書かれた時間よりも少し早めに九重邸にやって来た。外での待ち合わせなら早めに着くのは良いことだがこういった招待された場合は早まるのはあまり良くないのではないかとこうして付近の広場で時間を潰している

    余談だが心が読めるユージーンとこのゲームをするにあたって特別ルールとして指を立てる前は目を瞑っている

    「しっかしあれだな。こうして遊んでるとお前がバーサーカーだって忘れそうになるな」
    「ははは。宝具じゃないが刀も持って来れてるし、いっそセイバーとでも騙ってみるか」
    「うーん、さっきキャスター陣営とエンカウントしなかったら考えたんだけどなぁ…」

    ユージーンの言葉にバーサーカーはやや目を丸くする

    「意外だなぁ。お前はそういった嘘とか嫌いだと思ったんだが」
    「いんや?嫌いだぜ。でもな、人間そう言った本音と建前だとか無しに生きられるような生易しいもんじゃねぇんだよ
    だから俺は“自分を含めた嘘つき全員が嫌い”だ」
    「うわ面倒くさっ!」
    「うっせぇ!」

  • 656九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/02/03(Mon) 23:51:36ID:UyODk1NjA(3/4)NG報告

    >>655
    そうしたやり取りをしている内にどちらからとも無く笑い出す。他でもない狂戦士[バーサーカー]がこうして駄弁っていることが可笑しいと言わんばかりだ

    「はー笑った。っと次俺の番だったな。指スマ1!」
    「待ち合わせの時間ってのはそろそろじゃなかったか?指スマ3!」
    「おお、いい感じに時間潰せたな。じゃあこれで終わりにするか、指スマ0!ハッハー!」
    「クッソ!クッッソ!」

    そして歩き出したユージーンは「ああそう言えば」と思い出したようにバーサーカーの方に言葉を投げ掛ける

    「人間の遊戯やっていい感じにゲージとやらを調整するってのは上手くいったのか?」
    「さーて、なーんのことかねぇー。♪〜♪〜」
    「はいはい俺にそんな誤魔化しは通用しな…ってそれ歯笛か!?その牙で!?
    ゴホン、それはさておき着いたぞ」

    ユージーン達は九重邸の門の前で足を止める。一見それなりに広い敷地に広がる至って普通の日本家屋だが魔術的に見ると侵入者を感知し迎撃するトラップが仕掛けられている事が見て取れる。一度手紙を渡しに来た時にも見ていたが改めて見ても思う

    「ハッ!金持ってそうだな。いや、うちも貧乏って訳じゃないけどよ」

    誰言うでもなくそんな事を呟きながらユージーンはインターホンを鳴らすのだった

  • 657九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/02/03(Mon) 23:53:39ID:UyODk1NjA(4/4)NG報告

    >>656
    ここまでです
    ちなみにユージーンの実家は眼科医院やってます。それなりにお金持ちですが流石に息子の友人の多額の医療費を出すのはリームーという感じです。自家の研究もあるしネ

  • 658愉悦部inクローディアァ!2020/02/09(Sun) 20:20:57ID:gxMDkxNDY(1/3)NG報告

    >>633
    「あー、ごめんね?アサシン」
    わりと賭けだったけど言ってみれば何とかなるものだなぁ、とボヤいて気を失っているアサシンの頬を叩いて覚醒を促す。
    「ん……。うん?」
    いくつもしない内に目を覚ましたアサシンにとびきりの営業(0円)スマイルを上げながら手を差し伸ばす。
    「お礼を言っておくわ、ありがとう」
    「それはどうも」
    眉を潜めながらアサシンはゲルトラウデの手を取って立ち上がった。

    「それでさ、アンタ私が助けなかったらどうしてたの?」
    マスターの元に戻る為に廃ビルの階段を登る最中、ふとアサシンが問いかける。
    「どうしたって、貴女なら必ず来るって分かっていたもの」
    「それはあのマスターの命令だって──」
    「──本当に?」
    アサシンの答えに被せるようにいつの間にか狭い階段の隣に立ち、後を付いていたゲルトラウデ(魔物)が逃げ道を塞ぐようにふわりと立っていた。
    壁に押し付けられるような近距離で自分よりも幾分か背の高い偶像(彼女)が、自分(影)を目を合わせるように、スッと奥のものを見透かすように立っている。
    「本当にホント。マスターの言うことが無かったら面倒だったし──」
    「えぇ。確かに迷っていた感じはしてたわ。でも結局アナタ──」

    ──理性(確実な勝利)より本能(ワタシがホシイ)って顔してたじゃない──

  • 659愉悦部inクローディアァ!2020/02/09(Sun) 20:21:42ID:gxMDkxNDY(2/3)NG報告

    >>658
    息と息が、顔と顔が触れるような至近距離。
    アサシンの澄んだ氷のような髪を指にくるめながら囁くように、息を吹き掛けるように蕩けるコトバ。
    アサシンがぼぅっと顔が熱くなるような錯覚を得るか否かといった所で身体が離れる。

    「なんて。冗談よ。付き合わせてしまったわね。貴女のマスター、気難しい感じだったからもう行きましょうか」
    ハッとすると何事も無かったかのように前に立ち、先へ進むように促してくる。
    そんな彼女にアサシンは先ほどの出来事を振るうように投げ掛ける。
    「その辺り、あのマスターが罠を仕掛けてたケド」
    「えっ、ちょっと!?」
    驚くようにバランスを崩したゲルトラウデを支えるように背に手を当て、
    「だからきちんとわたしの後についてきて」
    「……ハイ」

    少し推し抜けるように先に進んだアサシンがゲルトラウデに手を出す。
    「…………ん」
    「……ありがと」
    差し出された手を握り返しながら、ゲルトラウデは内心想う。

    (……えぇ、信じてたわよ。だって貴女は──、私のファン(歌を聴いたの)だもの)

  • 660愉悦部inクローディアァ!2020/02/09(Sun) 20:30:26ID:gxMDkxNDY(3/3)NG報告

    >>659
    そして、ゲルトラウデはアサシンに連れられ対峙する。

    開けた壁の側に背を預け、目を閉じていた男に。
    暗殺者の魔術師に。

    「手間をかけさせたわね──。さぁ、聞きに戻ってきたわ。
    貴方の答えを。情報の応対を。」

  • 661火属性の人:第一回聖杯大会・槍陣営◆2qny/qsKfA2020/02/12(Wed) 21:58:47ID:E1NjgyNjA(14/36)NG報告

    第一回の続き、投下します

    参加者の方は確認よろしくお願いします

  • 662火属性の人:第一回聖杯大会・槍陣営◆2qny/qsKfA2020/02/12(Wed) 21:59:33ID:E1NjgyNjA(15/36)NG報告

    >>661
     アーチャーの宝具発動後、周囲一帯は閃光と衝撃と熱波に覆われた。
     ここ数日の戦いで、英霊たちの戦闘が齎す被害は既に知れ渡った通り。ましてあの中華の大英雄が放つ宝具ともなれば、その破壊力は巡航ミサイルかそれ以上にもなる。
     つまり何が言いたいのかというと――


    「――し。し、死ぬかと思った! 死ぬかと思ったぁ!!」
     戦場より遠く離れた、森の外れ。
     森林と道路の境目に当たる位置で、木陰と茂みに身を潜めていた俺は突如発生した災害に大きく翻弄されていた。
     爆音がかろうじて届くか届かないか。そんな遠間まで離れていたにも拘わらず、俺が隠れていた場所は大きく吹き飛ばされ、その景色を変えていた。
     木々や茂みの葉っぱは悉く散り、根っこの弱かったものや細かったものは文字通り根こそぎ倒木。
     流石に全滅とまではいかないが、これだけ離れた上でこの惨状となると、爆心地付近がどうなってるか想像したくもない。
     ちなみに俺はどうなったのかというと――――道端に、土埃で汚れたホームレスでも想像してほしい。それが今の俺です。
     運営から渡されていた護符のおかげか、そこまで肉体的なダメージはない。むしろ精神的なショックの方が地味に大きかった。
     ……例えばの話だが。交通事故とかに遭った被害者ってこんな気分なんだろうか?
    「ああもう、ほんとに死ぬかと思った……。こりゃ家に帰ったら絞られ確定だな」
     今頃うちの両親や妹はどんな顔で見ている事やら。拝啓故郷の家族様、今日も俺はどうにか生き残っております。

    続く

  • 663火属性の人:第一回聖杯大会・槍陣営◆2qny/qsKfA2020/02/12(Wed) 22:00:31ID:E1NjgyNjA(16/36)NG報告

    >>662
     ――さて。冗談はここまでにして。
     とりあえず、これからはどう動いたものだろうか。
     先程の爆発を見る限り恐らく――いや多分、バーサーカーは消滅した筈。戦争ではなく大会形式である以上、サーヴァントを失ったマスター――朽崎遥もこれで自動的に退場になるだろう。
     となると、問題はこれからだ。
     現在俺たちはゲルト陣営と同盟関係にある。順当に行けば、このまま生き残っているだろう他陣営と衝突することになる訳だが。
    (でも、流石に今日これからはなぁ……)
     遠間から見た感じ、バーサーカーとの戦闘は苛烈を極めたように思える。
     加えて先程のビル爆発。誰がどうなったかは分からないが、もしマスター同士の戦いなら確実にやり合ってたであろう誰かは無事では済むまい。
     俺のランサーも、運営から何の通知もない以上無事なのは確実だろうが……正直、あんな怪物と戦って無傷でいるかどうか。
    (というか最悪、ゲルトたちと戦わなきゃならない羽目にもなるのか?)
     ぶっちゃけた話。今の俺たちでゲルトと戦うには厳しすぎる。
     サーヴァント同士の優劣もさる事ながら、俺とゲルトの実力差がありすぎるからだ。
     何しろこっちは普通かちの大学生。武術はおろか運動なんて日々のささやかな筋トレ程度で、当然ケンカもろくにした事がない。
     一方あちらは執行者だか何だか――とにかく、映画に出てくるようなガッチガチの武闘派にして修羅場経験者。
     率直に言って、勝ち目無さすぎる。例えるなら虎とアリ、あるいは騎馬武者と足軽(しかも竹槍)か。
     うん。出くわしたら速攻で負けるわこれ。瞬殺まったなしだわ。
    (ひとまずランサーと合流するとして……それからどうしようかなぁ)
     あいつの事を思えば、負けたくない気持ちはある。が、勝ちを狙うにはどうにも現実的に厳しすぎる。
     全身の土埃を払いつつ、俺はどうしたものかと考えあぐねていた。

  • 664火属性の人:第一回聖杯大会・槍陣営◆2qny/qsKfA2020/02/12(Wed) 22:01:10ID:E1NjgyNjA(17/36)NG報告

    >>663
    ひとまずここまで

    軽くうちの陣営が置かれた状況再説明と、整理的な感じです

  • 665愉悦部inクローディアァ!2020/02/13(Thu) 19:25:15ID:kyNzk5MDk(1/1)NG報告

    「これはこれは。愉快な方達ですね」
    「呑気に構えている暇はないと思うぞ、キャスター」
    「もちろん。そして先ほどはありがとうございました、セイバー」
    結界を張り、自らの陣地として一時的な神殿と化した空間にの中で剣を構える白雪姫とその後方で魔道書を構え展開したモーシェが苦笑をする。
    (しかし、早々に真名を暴露してくれて助かりましたね。これで明確な方針が固まりました)
    (ああ、しかしあのアルトリウスという男……)
    (はい。我々の見知っている騎士王とも異世界の彼とも異なる人物です。恐らくは、史実にて存在したアルトリウスでしょう)
    (ああ。私としてはあの二人と対戦するのではと思い震えたが、あの聖剣もどきは厄介だぞ。およそオリジナルと同様だ。)
    (そこは私が彼の相手をしましょう。貴女は残りの二人の相手をお願いします。)
    (承知した。それにしても──)
    (ええ、はい──)
    念話にて会話する二人。ここにきての真名の獲得という好都合な事態で当初の計画となる相手を選出する。
    (いずれ、マクベスは外にはじき出そう/しましょう)

  • 666ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:12:44ID:QwNjU2MzA(1/9)NG報告

    九終投稿します。

  • 667ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:13:09ID:QwNjU2MzA(2/9)NG報告

    >>666
    「さて、と……。これくらいでいいかしら?」
    客間に一通り作り終えた料理を並べてそう言葉を漏らす。料理のウェイトは自分より客人側に置かれているが、こんな量は普段作るのは九家の会議が家で行われる時くらいのものだし多少豪奢にしても問題ないだろう。
    副菜に鮪・オクラ・納豆・めかぶ・とろろ・卵黄のばくだん、茄子・小松菜・油揚げの煮浸し、トマト・きゅうり・玉ねぎ・にんじんのコンカッセ、しらすとあおさの玉子焼き、汁物は豆腐・わかめ・長ねぎの味噌汁、主菜にあじ・カレイ・金目鯛・カツオの刺身。ご飯も既に炊けて保温状態に設定してある。
    時期が夏ということもあり、出来るだけ生鮮食品は避けたがそれでも客をもてなすのには十分と言える。
    「…………。」
    「アーチャー?食べたいのは分かるけど、お客さん達が来てから一緒にいただきましょう?」
    「う……はい。」
    「そんなに焦らなくても料理は逃げ……あら?」
    玄関のチャイムが鳴らされる音が聞こえる。
    「指定した時間通り……ということはバーサーカー陣営が来たみたいね。出迎えにいきましょうか、アーチャー?」
    「は、はい!」
    客間を出て、ポニーテールに結っていた髪を解き廊下の姿見で改めて自分の姿を一瞥する。
    白を下地に藤の花があしらわれた着物を紺色の露芝文様の名古屋帯で着付けた自分の出で立ちにどこかおかしなところは無いだろうか?胸元がはだけてはいない?帯の緩みは?料理をした際に油はねや汁はねが付いていない?
    「……ひとまずは問題なさそうね。アーチャー、どこか私の服装に変なところはないかしら?」
    「変なところ……ですか?」
    「ええ。何でもいいの、帯が乱れてるとか、着崩れてるとか、アーチャーから見ておかしいって思うところがあれば教えてほしいの。」

  • 668ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:13:48ID:QwNjU2MzA(3/9)NG報告

    >>667
    「マスターにおかしいところなんてありません!むしろこんなに綺麗なマスターが見れて嬉しいです!」
    まっすぐにキラキラした顔で私を見るアーチャー。そういう趣味があるわけではないけど、アーチャーのその純真無垢な表情に思わず鼓動が高鳴る。この顔から察するに、間違いなくお世辞でもなんでもなく本心で言っている。聞いておいてなんだけど、言っているアーチャーより私の方が恥ずかしい。アーチャーにそんな意識は微塵もないだろうけど……。
    「きっと、私が気にしすぎなだけよね……。」
    アーチャーに聞こえないくらいの声で口籠もる私。姿見には多分、頰が紅潮した私の顔が映っていることだろう。
    「?マスター、何か仰いましたか?少し顔が赤いですけれど……」
    ……もしかして、アーチャーって地獄耳?
    そんな私の気持ちを知ってか知らずか何の遠慮もなしにグイっと顔を近付けてくるアーチャー。……改めてアーチャーの顔を見ると、幼さの中に恐らく親譲りであろう端正な顔がよく分かる。ただ色々と邪な考えが頭を巡る私には、その行動はちょっとした劇薬なわけで。咄嗟に言い訳を取り繕う。
    「な、何でもないわ気にしないで!ちょっと料理に力を入れすぎて疲れちゃったのかもしれないわね!」
    「大丈夫ですか?もしお辛いようなら、バーサーカーとバーサーカーのマスターの出迎えは僕が……。」
    「大丈夫よ、アーチャー!それは彼らをここに呼んだ私がやらないと意味が無いわ。それに、そんなことをしたら相手に失礼でしょう?」
    「……マスターがおっしゃるのであれば。僕はスターの従者(サーヴァント)として側にいますね?」
    「最初からそのつもりよ。何かあった時はよろしくねアーチャー?」
    こくん、と首を縦に振り頷くアーチャー。とりあえず服装に変なところはないし、私のアーチャーに対する動揺は隠せたようだ。……いや、動揺を隠す言い訳としては正直赤点もいいとこなのだけど。作り慣れてるのに力を入れすぎて疲れるって無駄に体に力が入ってる証拠じゃないの。
    「それじゃあ、彼らを出迎えにいきましょうかアーチャー?」
    「はいっ!」

  • 669ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:14:21ID:QwNjU2MzA(4/9)NG報告

    >>668
    客間から玄関口まではほぼ真っ直ぐだ。姿見の置いてある場所が丁度曲がり角なのもあり、あとは玄関に向かうだけだ。
    じっとりと背中に汗が滲む。これからバーサーカー陣営と会うこともそうだけど、同盟が成立するかどうかは正直賭けに近いところがある。それでも天莉を取り戻す一番の近道であることに変わりはない。
    玄関の前までやってくる。私達より一回りは上背のあるシルエットは間違いなく。
    「すー……はー……。」
    深呼吸をして、心を整える。とにかくこれはスタート地点に過ぎない。失敗した時のことは後から考えろ。私は玄関に手をかけた。
    ガラガラガラガラ、と玄関が開く。
    「お待ちしていました。確認しますが、あなたがバーサーカーのマスター、ユージーン・バックヤード様ですね?」
    「ああ、そうだ。そういうアンタこそ、アーチャーのマスター、九重海音でいいんだよな?」
    改めての確認なのだろう。確かに魔術師であれば、そういった認識阻害の魔術が使えるのではないか?と疑問を持つのはおかしくない。
    「ええ、私がアーチャーのマスター……ひいてはこの九終島の管理者(セカンドオーナー)の九重海音です。そして隣にいるのが───」
    「アーチャーです。どうぞ、よろしくお願いします!」
    「ハッ!随分とちんまいガキじゃねえか?茨木の奴よりちょい低いくらいか?」
    「そういう貴方はバーサーカーですね?」
    「さて、どうかな?こんな成りで実はセイバーなんてありえるかもしれねえぜ?」
    「余計なことをするな、バーサーカー。済まない、アーチャー。こいつのクラスは君の言う通りバーサーカーだ。念のためアンタにも聞いておくが、こいつがアンタのサーヴァント、アーチャーってことでいいんだよな?」
    「ええ、彼は私のサーヴァント。クラスはアーチャーです。インタビューでも、私はそう言ったはずですよ?」
    「そうかい。いや、俺の見間違いや勘違いじゃなくて良かったよ。」
    「では、どうぞ上がって──────」
    客間へ案内するために背を向けようとして、ユージーン・バックヤードから呼び止められる。

  • 670ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:14:53ID:QwNjU2MzA(5/9)NG報告

    >>669
    「その前に、1つ教えろ。」
    「……何でしょうか?」
    「この島にあるっていう聖杯、その在り処をだ。まさか、管理者が知らないなんてこたねえだろう?」
    ……なるほど。いや、普通に考えれば予測出来る質問だ。この大会の参加者の中で最も願望機(聖杯)に近いのは私だ。その私に在り処を聞くのは優勝への最短距離と言っていいだろう。
    でも。
    「すみませんが、その質問にはお答えできません。そのことに関しては大会を開催するにあたって、運営のエリザヴェーダ様とそのように取り決めたのです。」
    「あんたが聖杯の在り処を知らねえなら、確かにそれで話は通るだろうがな。アンタ、今の会話の中で『聖杯の在り処を知っている』こと自体は否定しなかったよな?なら、そりゃ不公平ってもんだろうよ。1人だけ問題の答えをカンニングしてるようなもんだ。まあ、話す気が無いならそれでも構わないけどな!」
    ユージーン・バックヤードの目に魔力が満ちる。恐らくは魔眼、それも発言から察するに心情を読み取る性質のものだろう。
    「がっ……!?なん、だ、これ……頭が……ッ!!」
    「はあ……予想しておいて正解だったかしら。」
    ユージーン・バックヤードの方へ振り向く。ユージーン・バックヤードは頭を片手で抱えながら、苦悶の表情を浮かべ、こちらを睨みつけていた。
    「何をしやがった、てめえ……!」
    「何をって、勝手に人の心を覗こうとしたあなたが呪われただけですよ?あなたのインタビューを見返して、何らかのからくりがあると思ったから念のために魔術を自分にかけておいたのですけど……どうやら、その眼がからくりの正体のようですね?」
    「はっ、たかが頭痛で引くと思うか?そうやって隠されたら、知りたくなるのがオレって奴なのさ……ッ!」
    恐らく、まだ諦めてはいないのだろう。いや、諦めるはずもないか。それでも、彼には諦めてもらわなくては困る。聖杯(アレ)は、人に扱いきれる代物ではない。

  • 671ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:15:24ID:QwNjU2MzA(6/9)NG報告

    >>670
    「無理に暴くことはお勧めしません。それに、あなたが在り処を知ったところで、あなたに聖杯(アレ)をどうこうすることは出来ませんから。」
    「何……?」
    「……私としても、無用な被害は出したくはないのです。聖杯(アレ)は、正しき者が然るべき時に扱わなくてはならない。それを破るということは、どのような神罰が下ろうと文句は言えません。それでも、あなたは暴こうとするのですか?」
    「あいにくと、その程度で諦められるんなら、オレは、ここに来ちゃいないんでな……!」
    どうやら意思は固いらしい。……あまりやりたくはないが、使えるものは使うべきだろう。背に腹は変えられない。
    「お願いします、聖杯(アレ)の在り処を知ることは諦めてください……。それ以外のことでしたら、いくらでもお話ししますから……。」
    「本当か?それをどうやって保証するんだ?」
    「それは……。」
    「なら、オレの質問に答えてみせろ。それが出来るんなら信じてやるよ!」
    ……仕方がない。どんな内容であれ、向こうの質問に答える以外に、逃れる術はない。
    何を聞いてくる?こちらの弱点か?それともアーチャーの宝具か?もしかしたら私の使う魔術についてかもしれない。思案を巡らせれば、こちらが答えざるをえない内容なんて、いくらでも思い浮かぶ。
    しかし、ユージーン・バックヤードが問いかけてきたのは色んな意味で拍子抜けしたものだった。
    「さあ!お前のスリーサイズを教えろ!」
    「……………………はい?」
    「いやだから、スリーサイズだよ!スリーサイズ!意味くらい分かるだろ?」
    ………………呆れた。いや、呆れたというより体から力が抜け落ちたというべきか。漫画的な表現をするなら「着物が肩まで下がり落ちている」感じだろう。アーチャーは頭に「?」が浮かんでいるようで、恐らくユージーン・バックヤードが言った言葉の意味を理解していない。それとは対照的にバーサーカーは「はははは!なんだそりゃ!もっと他に聞くことあんだろ!」と大笑いしている。

  • 672ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:16:08ID:QwNjU2MzA(7/9)NG報告

    >>671
    「えっと……一応、確認するのだけど。それが質問でいいのよね?」
    「ああ、オレからの質問はこれだぜ?まさか、『答えられない』なんて言わないよな?」
    「上から順に、バスト84のウエスト58のヒップ88。お望みなら、ブラのサイズまで言いましょうか?」
    さらに何か要求される前に、自分の羞恥心を押し殺しスリーサイズをユージーン・バックヤードに告げる。
    …………正直、ほぼ見ず知らずの男に自分のスリーサイズを教えるなんて女子からすれば、辱め以外の何者でもないのだけど。私のプライドなんてエリザヴェーダに囚われた天莉のことを思えば投げ捨てられる。今の私のプライドの重さなんて、その程度の価値でしかない。
    しかしながら、当の質問者であるユージーン・バックヤードの様子がおかしい。
    「え。いや、えっと、それは……。」
    「何かしら?ああ、ブラのサイズだけじゃなくて、ショーツのサイズまで言えば──────」
    「いや、そうじゃなく!その、まさか、本当に言うとは思わなくてだな……」
    「……………………はい?」
    この男、もしかして…………。いや、そんな、まさか。仮にも、これから同盟を結ぶかどうかを話し合う相手に対して、そんな子供の意地悪じみたことを考えるなんて────────
    「えっと、その、ちょっとした意地悪のつもりで言ったんだ。『さすがにこれは答えないだろうな』と思って……。いや、まさか、こんなあっさり言うとは思わなくて、その…………なんか、ごめん。とりあえず、アンタのことは信じるよ。」
    「……………………はあ。」
    深く溜め息を吐く。……いくら、ミッションを達成して天莉を助けるためとはいえ、同盟を組む相手を間違えたかもしれない。これでは、ただ単に私のスリーサイズというパーソナルデータを見ず知らずの男に暴露しただけじゃないの…………。向こうも自分の幼稚さで恥ずかしいのだろうけど、そんな相手に自分のスリーサイズを暴露した私はその何倍も恥ずかしいし、その浅慮さにもういっそのこと同盟の話を無かったことにしたい気分だ。

  • 673ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:16:36ID:QwNjU2MzA(8/9)NG報告

    >>672
    いや、落ち着け。落ち着くのよ、九重海音。これはむしろチャンスと思うのよ。ここで信用を勝ち得たということは、この後の展開もこちらの優位に進められるかもしれない。うん、とにかくプラスで考えていこう。そうしよう。
    「……ひとまず、私の家に上がってください。先ずは食事をしてから、同盟について話しましょう?」
    色んな意味で緩みきった自分の心を引き締め、ユージーン・バックヤードを家へと招き入れる。
    まだ、同盟の話は始まってすらいない。本番はこれからだ。
    「ところで、深層心理にかけた魔術を解くつもりってない?」
    「ふふ、あなたが魔眼を使わないとお約束出来るのでしたら解除しますけど……そんなの、あなた嫌なんじゃないですか?」
    「おう、オレは隠し事が大嫌いなんでな!アンタが魔術を解いたら、速攻で聖杯の在り処を探ってやるよ!」
    「でしたら、諦めてくださいな。あなたが聖杯の在り処を探るのをやめないように、私もそれは隠さなければならない理由があるのです。」
    「ちっ……意外と身持ち固えなあ!」

  • 674ドロテーア【九終&トーナメント&stage】2020/02/15(Sat) 01:17:12ID:QwNjU2MzA(9/9)NG報告

    >>673
    ここまでです。ユージーンさんにパス回しますね。

  • 675伏神アサシン陣営2020/02/18(Tue) 01:21:22ID:MxMjA3NjI(17/26)NG報告

    アサシンが窓の外に落ちていったのを確認したウィリーは壁に背をもたれて目を閉じる。
    呼吸を繰り返す事で心を落ち着けた。

    「よし」

    ならすることは情報の整理だ。今、アサシンが探しに行っているあの女ーーーゲルトウラデ・アーレ。
    その名をウィリーは知っている。時計塔では長い歴史を積み上げ、表社会では貴族として君臨しているアーレ家の女だ。
    一度どこかの名簿で名前を見ただけだが、記憶を全て保持できる彼にとってはそれで十分すぎた。しかしそれは逆に名前以外について知っているという事でも無かった。
    何のクラスのサーヴァントのマスターだったかまではわからないが、今は彼女がただの一人の魔術師である。それだけで十分だ。不確定な要素こそあるが今は無視するしかない。

    「そしてリドリーか」

    ゲルトウラデが残した情報のもう一つ。それはセイバーのマスターがリドリーという名の男だ。ならば一日目に公園にいたあの車に乗った人物だろうと、ウィリーは確信した。
    ウィリーが時計塔を出て世界に旅立つのと入れ替わる様に講師として来た男。そのためウィリーが彼について聞いた情報は微々たるものだ。
    だがそのどれもがとても常識とはかけ離れた行為だった。そう、仮にゲルトウラデにも同じ事をしたのなら、あっさりと売られてしまうだろうと思うぐらいには。

  • 676伏神アサシン陣営2020/02/18(Tue) 01:23:09ID:MxMjA3NjI(18/26)NG報告

    >>675
    「………」

    この二つの情報をウィリーは手に入れた。
    正直な話、これらを持ったところでこの先勝てるとは思わない。何せあの気まぐれを擬人化させた様なアサシンがサーヴァントなのだから。
    寿命を伸ばす方法を入手する。これが現時点での最大の目標だ。
    ならば、聖杯戦争を馬鹿正直に勝ち抜く以外にも手段はあるのではないかーーー?

    「……来たか」

    そんなウィリーの思考を遮る様に、二つの足音が聞こえた。目を開けるとそこにはガスマスクをしたアサシンとゲルトウラデの姿があった。

    「手間をかけさせたわね──。さぁ、聞きに戻ってきたわ。貴方の答えを。情報の応対を」

    その貴族然とした要求にウィリーは顔にこそ出していなかったが驚かされた。やはり名家の魔術師らしくテーブルには着こうという事らしい。
    ならばここで嘘をつくのは得策では無い。

    「俺が知っている情報か」

    ウィリーは二日目に何者かに襲撃され気を失った事を正直に話した。

  • 677伏神アサシン陣営2020/02/18(Tue) 01:23:37ID:MxMjA3NjI(19/26)NG報告

    >>676
    手短に、簡潔に、しかして説明が足りないというわけではなく、それでいて質問をさせる隙を作らせなかった。

    「あー…」
    「どうかしたの、アサシン?」
    「いや別に…」

    声を漏らすアサシンにゲルトウラデが話しかけるがアサシンははぐらかした。その行動に小さな違和感を覚えたがあのサーヴァントが不審気な行いをするのはいつもの事だ。
    そして三日目にサーヴァント同士が交戦した形跡について喋った。
    だが、そこに神代の魔術師がいた事は黙っていた。万が一、その魔術師がゲルトウラデに排除されたのならば取り返しのつかない事になるからだ。
    こんな思考は聖杯戦争という殺し合いの中では異端な考えだという自覚はある。ただ起源の前ではそんな物は用をなさないというだけだ。

    「俺が話せる事は以上だ。誓って嘘はついていない」
    「あら、それは嘘をつく人が言うセリフじゃなくて?」
    「俺は自分に不利益になる事はしない」

    再び壁にもたれかかるとウィリーは剣呑な目つきを隠そうともせず口を開いた。

    「今度は俺の番だ。お前の、魔術について教えろ」

  • 678愉悦部inクローディアァ!2020/02/21(Fri) 20:24:12ID:Y0MjQ4MTk(16/24)NG報告

    >>677
    「私の魔術、ね」
    問われたゲルトラウデはほんの刹那思考をする。根源へのアプローチ法を開示する。論外だ。であれば現状生殺与奪の権を握られているのはこちら側なのだから差し障りのない個所を提示するのが賢明か。
    「魔術系統は呪歌かしら。言葉通り、歌を紡いで相手を呪う魔術。古典的で珍しくもないわね。歌はそこに意味を乗せるのは人からとはいえ生命が生まれてから共にある旧き神秘だもの。そう、神代から続くね」
    そして一呼吸間を置くと
    「私は少し特殊なのだけれど」
    小声で独り言ちる。
    神代から。自分自身で口に出しておいてふと何とも言えない気持ちになる。
    かつての過去でありたい。それはアーレの一族の誰もが想い懐いていたものだ。
    ──そして、ゲルトラウデがその誰よりも身をもって飽いているものだ。
    身体が覚えてしまっている神代の大源。誰にも理解がされない感覚。
    今更道を違えるつもりはないが、随分と永い間続けてきたものだと感傷的になる。
    二千年。あぁ、それはずいぶんと永いものだ、と。

  • 679名無し2020/03/06(Fri) 14:56:12ID:M1NzY2Nzg(1/5)NG報告

    >>599
    「これは、」ルーカスは水平に振るわれる木斧に舌打ちをする。「また実に大味なことだ」
    ルーカス・ソールァイトを取り囲む10の軌道が、彼の右の掌中に収束し、圧縮し、そして光の球体へと回帰する。
    「立体型積重魔法陣」
    圧縮された魔力から塵のような輝きが霞のごとくして拡散し、さらにその粒の一つ一つがパズルのピースのような姿を取っていく。
    「有効射程設定完了、自らの知覚力を恨むがいい」
    「…………!」
    次の瞬間発生した魔術現象こそが、彼の周囲全方位における四大属性の起爆であった。
    前方と左右45度においては緑の輝きとともに土塊が盛り上がり植物の幹を根から砕く。
    左手からは扇状の水が青の光をたゆたせつつもその質量で木々を根こそぐ。
    後ろと右側についてはそれぞれ黄色と赤いきらめきが風の刃と炎の息吹を呼び起こし、周囲の環境を破壊した。
    そして前方よりの伐採を受けて切り裂かれた堤防、その崩れた向こう側に魔術師は以前立っている。
    輝かしい霞のパズルピースを緩やかな密度で球体状に身に纏い、しかし今度は彼の魔術回路を完全に隆起させたままに。
    「やることなすことまったく派手だよね」
    「はぁ……、僕の場合は家柄かもしれない」
    あらゆる方向から襲いくる『天罰』に対して、斬撃や(先ほどには見られなかった)打撃が魔術師に対して一定距離に入った瞬間、その瞬間に角度に応じた属性迎撃魔術が発動する。
    ルーカスが右手を振るう。
    実際にその脳内で行なっている演算は極めて煩雑(はんざつ)であり、足りないところは魔術回路を演算端子にしてすら成立させられているホタルの群れのような光子の群体が、吹雪のごとくに組み代わり構成を変える。
    「ッ……ッァツ!」
    上に下に右に左に、そして前にも後ろにも、斜めにすら隙間なく行われる迎撃だが、それでも苛烈な『天罰』の勢いを止め切ることはできず、ルーカスは彼の光子の群体ごと吹き飛ばされた。

  • 680魔術師◆TvNZI.MfJE2020/03/06(Fri) 14:57:09ID:M1NzY2Nzg(2/5)NG報告

    >>679
    大きく後退した彼の射程範囲に、彼の存在を検知する木々が入った瞬間に立体型積重魔法陣は魔術を起動する。
    後方一帯が焼き払われるとともにその分の天罰が鉉にかけられて、右手でホタルの群れを動かしその軌道に沿って土の壁が斬撃と打撃で砕かれる。
    「射程調整!!」
    後方頭上から振り下ろされるギロチンと鉄槌をしのぎ切った上で、光の吹雪が拡散した。
    「うそ、これって『そういう』」
    水の巨腕に対して大質量の水が押し潰さんとばかりに迫るが、神秘と神秘のぶつかり合いは所有者の異なる水を溶かし合うことはしない。2種類の水ははっきりとした境界面を作りながら山星不湯花の元へたどり着くことはない。

    つまりは『遠近法』と『だまし絵』の理屈なのだ。
    近すぎるとパズルのピースはバラバラになる。遠すぎると密集しすぎて潰れてしまう。しかしある距離感でのみ球状に集まった光子の群れはあらゆる方向から見て、平面的な魔術円陣に成立する。
    右回りに土、風、火、そして水という順番は崩せないものの、術者からみた位置は動かせるため、どの属性がどの位置で起動するかは射程内に入るまでは分からない。

    水属性の押し合いで敗れたルーカスがまたも弾かれて山星の視界から消える。
    「隠れたってムダとは……わかってるわよね、ということは」
    「射程調整」
    位置取りは山星不湯花とルーカスを探知し攻撃を仕掛けた木々の円形等距離点。風と火が背後の幹を押し返し、山星の足元は押し出されるように勢いよく隆起させられる。
    「わっ、たっ!?」
    ダメージはないものの宙を舞う山星と、またしても受けざるを得ない伐採のペナルティをしのぐルーカス。
    「ーーー!!」
    それは全速力で走り続けながら砲弾も撃ち続ける戦車のようなものだ。溜め込んだ資源を無理やりに使い潰して走り回っているのと同じことなのだ。

  • 681魔術師◆TvNZI.MfJE2020/03/06(Fri) 14:58:22ID:M1NzY2Nzg(3/5)NG報告

    >>680
    光の吹雪が再びパズルを組み替える。助走をつけた魔術師は、脚の強化と下へ向けた風属性の出力で打ち上げられた山星不湯花よりもさらに上に跳んだ。彼に群がるホタルの群れが彼からステッキに移り、ただの樫の木の杖に単純な強化魔術以上の効果を与える。
    「ーーフッ!」
    「ッァア!!落ちろよッ!!」
    振り下ろされたステッキがナイフと激突し、七色の火花を散らしたのち、うけた側が押し切られた。
    空中でのほんのわずかな時間の出来事だ。重力の手は神秘であろうとも質量のあるものを逃しはしない。それでも彼らは魔術師であるが故に結果が落下で終わることはなく地に降り立つ。それは押し負けた側であっても変わらない。
    「はぁ……はー……ふ…………」
    「息あがってるよ?」
    一連の流れで負担が大きかったのはどちらなのか。
    「そうだね…………2度は使いたくないかなぁ」
    パズルの群れは鼓動のように収縮と拡散を繰り返し、元あった10の軌道に戻った。
    「それまさか、シームレスに切り替わるわけ?」
    「さて」
    惑星魔法陣が一瞬のみ立体型積重魔法陣に切り替わり、ピントを合わせた舟を迎撃したのちまた惑星魔法陣へと立ち戻る。
    「次はどのカードを切ろうかな」
    「手札切れは起こさないでよね」
    「ああ」不意をつかれたように一瞬だけくしゃりとルーカスは笑ったが、「それは僕の主義だったのに」すぐに魔術師としての表情を取り戻した。
    「同じ相手に二度全く同じ魔術を使うのは主義に反するんだよね」
    惑星魔法陣地動説。
    かつてPLANETを惑う星と訳した話者は本質をよく捉えているだろう。視点を変えるだけで惑星とも遊星とも呼ばれる星々は周回線軌道ではなく遊行を始めてしまうのだから。

  • 682魔術師◆TvNZI.MfJE2020/03/06(Fri) 15:00:15ID:M1NzY2Nzg(4/5)NG報告

    >>597
    「まだ、一筆書きできるのはなんとか助かるか」
    毒の槍は円形に取り囲んでいた呪符を腐らせ、仕込まれた術式を破損させた。
    (煙に巻かせるな、相手をペースに乗せないためにはこっちがキャスターの誘導に乗せられないことだ)
    目を閉じて意識を研ぎ澄ます。当然だがその程度のことでキャスターの呪術から抜け出せるわけではない。
    「俺の幻術は視界を捨てれば突破できるほどてきとーなモンではねぇぞ?」
    「うるさい馬鹿、黙ってろ」
    「だまれと言われて素直にだまる馬鹿がいるかバーカ!」
    言われたキャスターの口が悪戯っぽく笑みを作り、キャスターはランサーを乱すため数枚の呪符を繰り出してくる。
    「チッ……ああもう!」
    ランサーはそれを目を閉じたまま彼の直感で槍を振るい切り裂き落とす。
    「えっ、うおっ!?あっぶな!!!」
    今戦場を客観視して見えるキャスターの姿が真実か否か、牽制(とちょっかい)の攻撃を払った槍が実態としてのキャスターの鼻先をかすめて空を切る。

  • 683魔術師◆TvNZI.MfJE2020/03/06(Fri) 15:00:42ID:M1NzY2Nzg(5/5)NG報告

    >>682
    「バレてるわけじゃねぇぞ、と来てもあてずっぽうでもないなこりゃあ。直感のスキルか!」
    「やっぱり感覚でとらえたカラクリを言語化出来ないとダメか……!」
    勘とは言えども思考を捨てた闇雲な選択と、体と脳に染み付いた無意識下で複雑に思考し最短で答えを出す直感は本質的に別ものである。
    しかし。
    「ちょいと踏み込みすぎじゃあないかねアンタさん?」
    「しまっ……っぐあっ!!」
    不用意に攻撃を仕掛けた隙にカウンターが差し込まれた。瞳を開いて迎撃しても、撃ち漏らした数発がランサーに命中し、彼の体制を崩してしまう。
    「じゃあ一発デカイのいくぞー!」
    「ッ!!今近い!!!」
    全力でバックステップしつつも、全方位に槍を振り回してランサーは空間座標のハズレを埋めていくが、槍が捉えたのは牽制レベルの小玉ひとつであった。
    「あれ!?どうして撃ち込んで来ないんだよ」
    「おい、どうしてホントのことを言わなきゃあならんのだよ」
    都合三度目の舌打ちに自分で気がついて、ランサーは改めて意識して息を整えた。
    とにかく今はまだ判断材料が足りない。キャスターとキャスターのマスターの合流を阻止する前提の上で、しばらく受けに回る必要がある。

  • 684伏神アサシン陣営2020/03/12(Thu) 18:18:23ID:M3ODIwMDg(20/26)NG報告

    神代の魔術。
    その言葉を聞いた瞬間、ウィリーの鼓動の動悸は早鐘を打った。
    化学が跋扈するこの時代において失われたはずのそれは、ウィリーの生の目的に置ける壁の一つだった。
    久方ぶりに『興味』という熱を持った感情が体を駆け抜ける。
    神代から続く呪歌の魔術。
    それはどの神話の体系から生まれたものなのか?現代においてこの魔術の神秘を支える基盤は?使用する際はどれほどの魔術回路を開くのか?
    飽くなき疑問が湧いては消えていく。
    だが、とウィリーは暴れようとする己の感情を理性で押さえつけた。

    『これ以上は望まない。一時の欲に駆られ全てを失うなど論外だ。あくまで目の前の女は敵であり、隙を見せれば殺されるのは自分だ』

    しかし奥底の起源は平静に繋がれた鎖を軋ませる。

    『このチャンスを逃せば神代の魔術について詳しく知れる機会は二度と来ないかもしれない。それにこの場所は自分のフィールドだ。殺されるのならば先に殺してやろう』

    ウィリーの内心が落ち着いていないことを悟ったのか、アサシンはクスクスと口元を手で抑えて笑っていた。
    そしてアサシンがゲルトウラデにその事を話そうとして近づいた時、ウィリーが声を上げた。

    「アサシン、捕まえろ」
    「ーーー!!」

  • 685伏神アサシン陣営2020/03/12(Thu) 18:18:41ID:M3ODIwMDg(21/26)NG報告

    >>684
    「口は閉じさせろ」

    ゲルトウラデが自身に迫る危機を察知し、身構えるが遅かった。側面から飛びかかったアサシンがゲルトウラデを押さえつける。そして口元に手を回し喋れない様にした。
    令呪の効果は対魔力も霊基も低いアサシンには絶対的な効果を持つ。その動きは洗練されていた。

    「マスター!?どういうつもり!?」
    「まだその女には聞きたいことがある」
    「…魔術の事?でもゲルトウラデちゃんはもうマスターじゃないから普通に聞けばいいじゃん!もっと…こう…何か…あるでしょ!多分!」

    非難がましいアサシンの指摘。その声色にはゲルトウラデに対する情が含まれていた。

    「俺にとっては神代の魔術の方が重要だ」
    「そんなんじゃ聖杯戦争に勝てないよ」
    「獲れるかもわからない聖杯より俺は確実な利益を選ぶ」
    「えぇ…何それ」
    「連れて来い。もし抵抗したら死なない程度に気絶させろ」

  • 686伏神アサシン陣営2020/03/12(Thu) 18:19:29ID:M3ODIwMDg(22/26)NG報告

    >>685
    ウィリーはアサシンの抗議を一蹴した。魔術師特有の人間味がまるで感じられない態度だった。
    そして背中を見せると下の階へと降りて行く。
    アサシンはゲルトウラデの口元を押さえたまま、腰の上を持って持ち上げる。サーヴァントの膂力なら若い女性一人は大した負担では無い。

    「………」

    視線を落とすとゲルトウラデと目が合った。この状況でも何か思案に耽っているのか、その浅紅色の瞳からは読み取れなかった。

    「正直、悪いと思ってるよ。こんなの怪人のやる事じゃないし」

    ぼそりと呟くアサシン。そして深いビルの底へとゲルトウラデを連れて行く。

  • 687一般通過術陣営◆gmmefYfW/o2020/03/16(Mon) 20:36:40ID:UzNTExMjg(13/30)NG報告

    おまたせしました、第■回を投下します。

    「…………バレた、か」
    車の影から、白髪の少女が姿を現す。
    容姿から察するに年齢は15~17歳辺りだろうか、手足と胴体に装備した鎧が電灯の光を反射している。
    辺りは、いつの間にかシンと静まり返っていた。
    「名乗りな、戦の礼儀ってヤツだ」
    「ヤだね」
    「そうかい」
    なら仕方ない、とアサシンは鎚鉾を構え───────。
    「ッ!」
    ─────────一瞬にして距離を詰め、鎚鉾を振り下ろし避けたのを確認して横へと薙ぐ。
    銀河は、鎚鉾を踏み台に大ジャンプ。白い乗用車の屋根へと飛び降りた。
    「あっ、ぶな…………!」
    間髪入れず次の攻撃が襲いかかり、直撃を受けた車が上からひしゃげ、続けてのフルスイングによって凄まじい縦回転を伴って上空に逃げた銀河へと飛ぶ。

  • 688一般通過術陣営◆gmmefYfW/o2020/03/16(Mon) 20:37:34ID:UzNTExMjg(14/30)NG報告

    >>687
    「こ、んのォ!」
    手甲部分から伸びた短めのブレードを使い、飛んできた車を真っ二つにする。
    が、しかし車の影に身を隠してアサシンが飛び上がり、鎚鉾を銀河に叩きつけた。
    「【GUNCERESS!】」
    クロスアームブロックで何とか受け、落ちる瞬間にピースを付け替えベルトのハンドル部分を展開する。
    「させるかッ!」
    空中で──────中空に張られた鎖を足場に─────方向転換して追撃せんと迫るアサシン。
    鎚鉾が銀河の顔面に叩き込まれる───────。
    「変身(トランス・オン)ッ!」
    ─────────寸前に、金型が鎚鉾ごと銀河を挟み込んだ。
    「熱ッ!」
    吹き出す余剰エネルギーと、熱と化した成形時のエネルギーが、鎚鉾を伝導。

    アサシンが思わず手を離した瞬間、金型が開きライフルの銃口からゼロ距離で焔が奔り、アサシンは顔や胸元からネフィリムの法則と地球の法則とのギャップによって生まれたスパークを、血飛沫の代わりに爆ぜさせ押し出されていく。

    「ガッ───────!」
    「アサシンッ!」

  • 689一般通過術陣営◆gmmefYfW/o2020/03/16(Mon) 20:38:04ID:UzNTExMjg(15/30)NG報告

    >>688
    押し出され、マスターの元へと倒れ込むアサシン。
    銀河は、ゆっくりと立ち上がりながら箒型ライフルを一回転させ、肩に担ぎ直した。


    「─────魔法少女、参上ッ…………!」

    「………………どっちかって言えば、魔女だな……!」
    「知ってるよ」
    アサシンは即座に立ち上がり、銀河に向かって駆ける。
    「【ANIMA!】」「変身(トランス・オン)!」
    金型が開き、中から異形の生物的なフォルムをした鎧に身を包んだ妙齢の女性が躍り出た。

  • 690一般通過術陣営◆gmmefYfW/o2020/03/16(Mon) 20:38:57ID:UzNTExMjg(16/30)NG報告

    >>689
    →→→→→

    「(…………ッ!始まったッ!!)」
    何処かのビルの屋上から、キャスターが戦場を俯瞰する。

    マスターに此方のかけられる限界まで強化をかけておいたのが幸いしたのか、どうにかこうにかアサシンに食らいついていけているようだ。
    術陣営が陽動を行い、剣陣営が奇襲でアサシンのマスターから令呪を落とさせる。
    最低限、アサシンを釘付けに出来れば此方のモノだ、が──────。

  • 691一般通過術陣営◆gmmefYfW/o2020/03/16(Mon) 20:39:33ID:UzNTExMjg(17/30)NG報告

    >>690
    「《(やはり気づかれているか…………)》」

    アサシンもそのマスターも、銀河に目を向けながらもしっかりと奇襲を警戒しており、つけいる隙が見当たらない。

    「《(………………仕方ない、ここは『プランB』で行くか)》」
    正直使いたくはなかったが、とキャスターは心の中で付け足し、鉾鎚のフルスイングを受けて立体駐車場へホールインワンされたマスターのチャンネルへ念話を飛ばす。

    「【《マスター、すまないがハリー君へ中継を頼む。『奇襲は不可能、プランBへ移行する』と》】」

  • 692一般通過術陣営◆gmmefYfW/o2020/03/16(Mon) 20:40:05ID:UzNTExMjg(18/30)NG報告

    >>691
    以上で投下を終わります。

  • 693九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/03/23(Mon) 14:57:03ID:E1NDQ0OTk(1/6)NG報告

    九終投稿します

  • 694九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/03/23(Mon) 14:57:31ID:E1NDQ0OTk(2/6)NG報告

    九重海音に案内された先に用意されていたのは一目で分かるほど豪勢な料理の数々だった。まるで旅館や料亭のもののような手の込みっぷりに隣のバーサーカーも「ほう…」なんて嘆声を漏らしている

    「さあどうぞ、遠慮せず召し上がって。お腹が膨れれば穏やかに話せるでしょう?」
    「おう、分かってるじゃねぇかアーチャーのマスター」

    そう言って真っ先に両手を合わせて料理を食い始めるバーサーカーに思わずため息が出る
    いや、それよりもだ。これだけの歓待をするってことはそれだけこの同盟を成立させたいという事だろう。俺としては願ったり叶ったりだがその思惑は知っておきたい
    という訳で俺は席に座り九重海音に対してカマをかけることにした

    「それじゃあ改めて自己紹介だ。俺の名前はユージーン・バックヤード。いや、本名はユージーン・秋月・バックヤード・バーバラヴィチ・マドゥハン・グゥ。無駄に長ったらしくてグローバルな名前だろう?だから普段はユージーン・バックヤードって名乗ってる」
    「それではこちらも改めて。九重海音、私は長い本名とかは無いけれども」
    「ハッそりゃそうさ。こんな名前そうそうあるもんじゃねぇ
    ────これ(本名)を信頼の証と取るか呪術的に弱みを握ったと取るかは、あんたの自由だ」

    俺がそう言うと九重海音が一瞬目を細める。そしてピリピリとした空気が流れ…約二名の咀嚼音がやけに耳につく
    それはさておき、にこやかな顔を取り繕った九重海音の猜疑心が俺にはよく分かる────突然そんなことを言い出すということは恐らく本名はブラフ……。何か他の目的があるのだとしたら、これをダシにこちらの情報を引き出すのが狙いといったところかしら?だからといって、馬鹿正直に話す私じゃない────ハッ、深層心理を読み解く事は出来なくてもそういった思考は読めるんだよ

    「「お代わり!!」」

    バーサーカーとアーチャーの声に九重海音の思考が途切れ、意識があっちに向いた。何してくれてんだあいつら…

  • 695九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/03/23(Mon) 14:57:58ID:E1NDQ0OTk(3/6)NG報告

    >>694
    「おいガキ、俺の方が先に言っただろ。その茶碗下げろ」
    「子供相手に大人気ないことを言いますね。ガキ…餓えた鬼と書いて餓鬼ですか。寧ろあなたの方では?」
    「──いい度胸だ。穏便に済ませてやろうと思ったが気が変わった。そんなに血が見たいなら、飯の礼にてめぇで血肴を振舞ってやらぁな!」

    クッソつまんねーことでバチバチに殺気を出して威圧し合うバーサーカーとアーチャーにため息を隠せない

    「はぁぁあ…いい加減にしろお前ら!飯の事で喧嘩するな!」
    「二人ともよそってあげるから待っていて頂戴!」

    茶碗を渡した後俺達はまた向き合うがその顔には苦笑いが浮かんでいる

    「試すような真似して悪かったよ。これだけの用意をする程この同盟に本気だってのが何故か探ろうとしたんだ。でも、こいつらを見てなんだか毒気が抜かれちまったよ…」
    「なら…」
    「ああ、余計な詮索は無しだ。どんな同盟にするかの話を始めようか」

    ほっとした表情をする九重。俺相手に表情を取り繕うよりも感情をさらけ出した方がいいと分かってくれたようだ。いや、同盟が結べそうだと緊張が緩んだだけか?どっちでもいいか。それより目の前に並べられたに目を向ける

    「その前にいただきますだな。折角用意してくれた飯が冷めちまう。…それにこのままだと横から攫われていきそうだ」

  • 696九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/03/23(Mon) 14:58:27ID:E1NDQ0OTk(4/6)NG報告

    >>695
    味噌汁を一口飲んで一息つくと同盟の前に言っておこうと思っていた事を切り出す

    「その…さ。さっきは悪かったよ。答えにくい質問に対して嫌がりながらでも正直に言ったら信用出来るって思って……でもやっぱりあれは無いよな、うん。あんまりにも躊躇無く答えたもんだからさ、ちょっとダチを思い出してハッとしたぜ」
    「確かにあれはどうかと思いました。同盟の話を無かったことにしようかと思ったくらいには」
    「うげっ、それはほんっとゴメン!」

    ペコペコと頭を下げる俺の姿が可笑しかったのか九重がクスクスと笑う

    「気にしないでくださいな。これで信用を得られたと前向きに考えることにしましたから」
    「ああ…女の弱みにつけ込んでスリーサイズ言わせたとかあいつに知られたらぜってぇグーパンだよ……」
    「…ご友人と仲が良いんですね」
    「ああ!馬鹿正直でク…じゃない超真面目な良い奴さ。嘘がつけないのが玉に瑕って言われるけど俺にとってはそれは美点だね
    一応言っとくけど一般人だから魔術師的な繋がりじゃない普通の友達」

    そこまで言ってはっと口を噤む。この話をするとよく相手を辟易させるんだ。それに『友人』というワードに少し不穏なイメージが浮かんだのを見て見ぬ振りするなんて、俺のバカ!アホ!

    「ん”ん”っ。食べながら、話そうか…同盟のこと」

  • 697九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/03/23(Mon) 14:58:36ID:E1NDQ0OTk(5/6)NG報告

    >>696
    お待たせしました、ここまでです。ドロテーアさんにパスします

  • 698スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2020/03/26(Thu) 00:34:01ID:E2NTEyNDg(1/18)NG報告

    第■回投下します。

  • 699スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2020/03/26(Thu) 00:35:23ID:E2NTEyNDg(2/18)NG報告

     目の前の奴は何だ?
    手甲から刃を伸ばす騎士に魔弾らしき物を放つ魔女ときて、次は獣人の如き戦士……何よりそのどれもが全く理解の及ばない力によるものだという事実。
    最初はキャスターあたりの宝具か何かだと思ったが……奴は本当に人間、いやこの人理の存在か?

    「てめえ、一体何者だ?」

     片脚だけで放たれた連続蹴りを鎚鉾で受け止めながらそう問いかける。

    「さあね」

     脚を止めて仰け反り、横に大きく振るった鎚鉾を躱しながら奴はそうはぐらかす。

    「一つ言えるのは、私がただの女の子ってこと」

     どこがだとツッコミを入れようとした所で二連続で飛んでくる右拳……ジャブとかいうスピードに特化したそれを二発共鎚鉾で反らす。
    続いて右の回し蹴りがやって来るが距離を取る事で躱し、今度は此方が身長を超える高さまで跳躍して上段に構えた鎚鉾を振り下ろすが、奴は獣のように飛び退く。
    急な戦法の変化にも対応してくるとは、厄介だ。
    力や技術自体は最初の騎士より落ちるが、人の理性と獣の野生が混ざった動きで的確に回避してきやがる。

    「お次はこちら!」

  • 700スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2020/03/26(Thu) 00:37:57ID:E2NTEyNDg(3/18)NG報告

     着地後を狙ってきたのは両拳による乱打。
    1秒間に10発ものパンチを鎚鉾で全て受けきったが、着地後の無理な姿勢では徐々に押し込まれていき……そこに再び回し蹴りが飛んできた。

    「アサシン!」

     衝撃をころすため横に飛んだ俺にマスターが呼びかけた。
    その意味は言われなくとも解ってる。
    だからこそ俺は着地と同時に身を捩り、袈裟斬りに振るわれたサーベルを回避し、そのまま下から上へと鎚鉾を振り上げた。
    その一撃から飛び退いて間合いを取り直したのは……現代的な衣装に身を包んだ美女。
    どう見てもバーサーカーじゃねえし、アサシンは俺自身、何よりサーベル自体が宝具のようで……ならそのクラスは一つ。

    「此度のセイバーは随分と新しい英霊じゃねえか」

    「あら、だからといって勝てるとは思わない事ね」

     美女もといセイバーが肯定すると同時に刺突を二発。
    それを躱して間合いを詰め、互いの武器を二合打ち合わせ、このまま押し切ろうとして……風を操る少年に追い詰められるマスターの様子が目に入った。

    「余所見は駄目よ」

  • 701スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2020/03/26(Thu) 00:38:30ID:E2NTEyNDg(4/18)NG報告

     俺がマスターに気を取られた隙を突いた横薙からの切り返し。
    それを防ぎきったと思ったら、上段に構えられたサーベルが振り下ろされる。
    それを受け止めた所で、さっきまで戦っていた謎の女が近付いてくるのに気付く。
    先程までの獣人姿を取っていた奴の両拳が開かれ、鉤爪状に発達した五指が露わになる。
    そして、その戦意は俺だけに向けられていた。

    「おっ、お前等!組んでやがったな!?」

     俺を切り裂かんとする鉤爪を鎚鉾で反らし続ける。
    凌ぎきったかと思えば、セイバーの流れるかのように縦・横・斜めと六つの斬撃が襲い掛かる。
    どうにか無傷で切り抜けたら、今度は女の鉤爪が白熱化し、切り札と思しき攻撃を放とうとしてくる。
    余りにも早過ぎる同盟締結……此処が戦場でなければ喚き散らしたい位だ。
    ただでさえマスターが危ねえというのに……もう、他の陣営が来るのを待てるか!

    「これでもくらえ!」

     女の鉤爪が振るわれるより先に鎚鉾で殴りつける。
    手加減抜きの最高速度、その速さは先程までの1.2倍。
    そのまま怯んだ女をマスターと少年の間へと突き飛ばした。

  • 702スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2020/03/26(Thu) 00:39:51ID:E2NTEyNDg(5/18)NG報告

     ハリー・ウォーカー……彼の魔術自体は時計塔の魔術師達に比べれば、そこまで凄い訳でもない。
    魔術回路自体は上のようだけど、俺が全く届かないという訳ではない筈だった。
    しかし、俺の服にある幾つものポケットから射出された鎖達は、ハリーを拘束するどころか掠める事すら出来ずに撃ち落とされてた。
    それを見て袖口から伸ばした鎖は自在に動いて拘束も打撃も可能な俺の切り札だが、その変幻自在の軌道も、先読みしたかのように対処されていく。
    とにかく戦い方が巧い……一体どんな経験をすれば俺と大差ない年齢であそこまでの動きが出来るのか。

    「おや、もうおしまいかい?なら、次は僕の番だ」

     やられる!?
    そう思った時、俺とハリーの間に突っ込んでくる影。
    とっさにハリーが風で受け止めたその正体は、アサシンと戦っていた女性だった。
    次いで、アサシンの声が響く

    「さてと、小手調べはこのへんにして話をしようじゃないか?」

  • 703スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2020/03/26(Thu) 00:41:47ID:E2NTEyNDg(6/18)NG報告

    「えっ?」

     相手の陣営の総意を代弁するかのように、女性が声を上げる。
    派手に吹っ飛ばされた筈なのに意識を保ってるどころか、自力で立ってる……こちらだって困惑してくるよ。
    いや、とりあえず今は説明だ。

    「俺達アサシン陣営は小聖杯を探していてな、各エリア毎に最も良い霊地と聞いて真っ先に管理者邸が思い当たった。土地の管理者が良い霊地に工房を構えない訳が無いからな」

    「で、俺が単独で潜入してみたが問題が有ってな……山の翁でもない限り抜けられない位魔術による警備が厳しかった。というか、探知する事だけを異様に重視してるように見えた訳だ」

    「管理者は探知したサーヴァントに対抗出来る何かを使ってくる筈……だから、俺達はこう考えた。可能な限り多くの陣営で突入して混乱してる間に小聖杯を見つけ出せば良いと」

    「小聖杯は早い者勝ち、互いの準備も考えて、決行は明日の夜……さて、お前達はどうする?」

     さて、相手はどう考えてる?
    少なくとも、真面目に聞いているのは確かだ。
    話に乗ってくれると良いけど……。

  • 704スルトちゃん&マグダレーナ陣営【トーナメント&第■回&stage】◆SOkleJ9WDA2020/03/26(Thu) 00:42:22ID:E2NTEyNDg(7/18)NG報告

    以上です。

  • 705山星2020/03/26(Thu) 19:16:53ID:g5MDcyMjA(1/14)NG報告

    「これだから天才は嫌なんだ。また同じように惑星軌道かと思ったらさぁ」
    ナイフをくるくると回しながら、少女は一人愚痴る。当たり前ではないだろうか。割と自信のあった一手を切り抜けられるわ、その後に平然と先ほどと似たような状況になるわ。

    「二度全く同じ魔術、ってあなたは言ってたっけ?……ああ、確かに。天動説に変わってはいるけどさっきと同じ形だね。でも天動説の方が私は嫌いだな」
    「無神論者かい?」「いや別に。単にあなたを殺しにくくなる」

    魔術と魔術のぶつかり合い。本来の魔術戦であれば魔術同士のぶつけ合いは勿論だが、いかに場を掌握し上手く立ち回るのかも大事なのだ。けれど、うん。

    (私って基本相手の使った魔術とかフィールドの状況に照応した魔術で追い込むタイプなんだよなー……独創性と自由性が高いこの人はかなり面倒というか、なんというか)

    それはあちらも同じかな、とも思うけれど。先の光の粒子を纏ったものといい、他人の視覚や魔術を利用した騙し(魔術)がお得意なようで。どちらも受け身型でこれでは困ってしまう。そのくせ片方が攻めた時の術式は介入のし辛さが以上なのだから戦いにくいことこの上ない。

    (多分相手も私がそういうのだーってのは気付いてるよねー。……困るなぁ)
    なら、自分からその状況を作り込むしかないわけで。



    「ふむ……哭沢の 神社に神酒すゑ 祷折れども わご大君は高日知らしぬ」

    局所的な雨がルーカスと不湯花のいる場所を濡らす。……いや、雲の一つすらなく二人の3mほど頭上から降り注ぐものを雨と呼べるかは、個々の解釈に入り乱れるであろうが。

  • 706山星2020/03/26(Thu) 19:17:20ID:g5MDcyMjA(2/14)NG報告

    「其は泣き女。遍く死を悼み、遍く全てに慈雨を施し、人の怨みを流すもの。涙は全てを許し、全ての手を引く者。其の名は哭沢女命なり」

    その涙は猛る荒魂を鎮める雨。対象の思考を冷静にすると共に対象の闘争心すら冷やし静めるもの。ようは戦場にて持つべきであろう緊迫とした感覚を損なわせるというものであるが……

    「……これが効くとでも思っているのかな」
    「いや全然。魔術師ならそれ相応に精神感応の対処ぐらいして然るべきじゃない?」

    闘争心を鎮め、戦う気を失くすという段階に至る前に私の視覚を扱って惑星から別れた幾つかの光の玉から空気の層を作り出すのは大したものだというべきか。その巧緻性は素晴らしいというべきか。

    「君は大丈夫なのかな?」
    「自分の魔術を自分で喰らう人がいるかなって話だよね。……まあ、今はそういうことじゃなくってさ」

    ─────伝承曰く。哭沢女命は伊邪那美命が死した際に伊邪那岐命がその死を悼んだ涙より生まれ出たという。枕元で泣いたその涙は伊邪那美命を濡らし、そこから生じたというような。

    「実はというとさぁ、私って割と優秀じゃないんだよね。魔術回路とか、大したことはないし。別に千年級の一族でもないしね。自分の身に宿った魔術センスだけはまああるとは思うんだけど」

    詰まるところ、実は割と魔術回路がやばいのだ。焼き切れるまでとはいかないが、割と酷使してるから指先から血が出てる。幾度とない連撃や炎の接近とかで、少し火傷や切り傷だって負っているし。……敢えてそれを刻印の自動治癒に適応させなかったのは。

  • 707山星2020/03/26(Thu) 19:18:15ID:g5MDcyMjA(3/14)NG報告

    「─────伝承曰く。その後の伊邪那岐命は伊邪那美命を埋葬した後、俗に言う冥界下りをするんだけど………一つ、再演といってみようかと思って」

    今この戦場の周囲には砕けた木々がまき散らされており、其れ等は雨でかなり濡れている。……ああ、なんということだろうか。その木々から異臭がする。


    「伊邪那美命言ふに 愛しき我那勢命 汝の国の人草 一日にて千人縊り殺さん」

    元よりこの木々は山星不湯花の末端のようなもの。仮に砕け散ったとしてもその所有権は彼女にある。故に、このようや合わせ技も出来る。  


    「爾伊邪那岐命詔て 愛しき我那迩妹命 汝其れを為すなれば 吾は一日にて千五百の産屋を立てよう」

    水に濡れ、腐っていく木々は腐泥と化す。ぬかるみ柔らかくなった土地に不湯花の指から垂れる血が注がれる。


    「ようこそ、黄泉比良坂へ。大したものでもないけれど、まあ見てってよ」

  • 708山星2020/03/26(Thu) 19:19:04ID:g5MDcyMjA(4/14)NG報告

    「勘がいい。やっぱ直感持ちー?やーん面倒ー!もっとこう、お姉さんを労るとかさ」
    「何言ってるんだお前」

    ぐにゃり、とキャスターの顔が変化する。その顔つきは確かに女性のそれであったのだが、槍の一振りを回避した際には途端にそれが元に戻ってしまう。

    「良いセンスだな。直感下での行動とは言え冷静に幻術の俺と現実の俺を判断出来てる。良い兆候だ。そのまま行くと良い。……ああ、それとな。そこは危ないぞ」

    突如ランサーの立っているところの四方八方から鉄の杭が噴き出る。それは空中にも生じたもので。

    「よく避ける。今の凌げるのは大したもんだ。誇っていいぞ。金メダルあげようか」
    「ふん。呪符で作られた紛い物を欲しがるほど名誉に飢えてはいないんだ」

    鉄杭を砕き、汚染し、その破片をキャスターにぶつけるランサー。散弾ともいうべきそれらはあそこの位置から逃げたとしても並大抵の速度では捕捉してしまうもの。

    「────じゃ、こうするしかないわな」

    キャスターの対応は動かず。いつの間にか手にとった日本刀を構えている。

    「こう、かな」

  • 709山星2020/03/26(Thu) 19:19:39ID:g5MDcyMjA(5/14)NG報告

    たった一つ。たった一つの破片を弾いただけで連鎖的に弾かれ飛び散りキャスターを襲う毒の弾丸だけが的確に当たらないでいた。

    「………武術も出来るのは、卑怯じゃないか」
    「こんなのごっこ遊びだよ。この程度で根をあげらちゃあ俺の立場がないっての。ま、そんな様子無さそうだけどな?」

    槍と刀の刃がぶつかり合う。刀は腐食し崩れ落ちるもキャスターの手元にはまた新しい刀が握られている。それと同時に呪符から呪術が紡がれるもランサーはそれすら対処しながら戦闘を続けている。

    「ほら、ごっこ遊びだから君に対しても有利に立ち回れるわけじゃない。むしろ怖いね、いつそれが当たったらと思うとひやひやする」
    「────こんな風にかな?」

    突如キャスターの足が崩れ落ちる。刀を腐食させ続けることによって壊れた刀に累積した毒が大気に散布されたのだろう。見れば脚に少し腐食の気が見える。

    「そうそう。そうやって─────!」
    キャスターが目にも留まらぬ高速移動で距離を離す。何かしらの術なのだろうが、それが発動する前に深々とではないが横腹を抉っている。

    「おーおー、毒がすごいわ。……じゃ、今から一つ答え合わせをしよう」

    パチリ、と指を鳴らすだけで脚と腹の毒は何故か消えていく。傷はそのままだが、毒だけが消え………いや、浮き出した後キャスターの懐のポケットに吸い寄せられているというべきか

    「……後一回。後一回が限度だよ。それを越えたらお前の勝ちさ」

  • 710猫の藩士◆UhdDLWUNl.2020/03/30(Mon) 01:52:07ID:MwMjQwMjA(23/27)NG報告

    「例えば、トラウマを刺激されるとか?」

     3号がぽつりと呟く。
     意思を問わず人を魔獣に変える成分。
     そんなものを放つ木があるのだとしたら近づきたくないのも当然だろう。
     例えるなら、花粉症を患った人間がヒノキや杉の木を避けるようなものだ。
     そして、3号は根本的な疑問にメスを入れた。

    「そもそも、魔獣とは一体なんなのでしょうね」

  • 711愉悦部inクローディアァ!2020/04/05(Sun) 00:59:48ID:gzNTY3OTU(17/24)NG報告

    >>686
    これは不味いことになった。だが、まだやれることはある──!

    そう打算を組み、ゲルトラウデはアサシンに声をかける。
    「……ほら、早く行きましょう?もうこの先の目も見えてしまっているんだし」
    そう息を吐き、アサシンに先導を促す。
    「……うん。ごめんね」
    そう何某かに対してアサシンは謝罪の言葉を告げるとゲルトラウデを背後から羽交い絞めにし、その身体をま探り出す。
    「ちょっ……!どこ触って……!?」「あった。これこれ」
    アサシンは目的のモノを探り当てたのか、その手を引っ張り出す。その手には小型の金属製の箱が握られていた。
    「これ、ずっとお尻の当たりを気にしていたから何かあるんじゃないかと思ってたんだけどやっぱり礼装隠してたよね」「……はぁ」
    とうとう袋小路まで追い詰められたことを察したのか観念のため息を付く。
    「分かった。もう抵抗しないわよ。ところでさ」「うん?」「私の身体、余計なところまでずいぶんと触っていたように思えたんだけれど」
    「えへへ……。ご馳走様でした。役得役得♪」

  • 712伏神アサシン陣営2020/04/07(Tue) 18:50:02ID:cxMDk4NjM(23/26)NG報告

    >>711
    陽が落ち、周囲が静謐に包まれた頃。
    アサシンは埃を被った瓦礫を乗り越えて地下室に足を踏み入れた。
    そこはサーヴァントの視力で何とか視界を確保できるほど暗かった。ここに来るのは体の傷を治しに来た初日以来だろうか。

    「マスター?」

    ウィリーがゲルトラウデ・アーレの尋問ーーーいや、拷問を始めてから数時間が経過した。アサシンも最初は付き合おうと思ったのだがウィリーに邪魔だと言われ、仕方なく他の階で睡眠を取っていた。
    彼女の事が心配かと聞かれたら心配だと答えただろう。ただ、それでも惰眠を貪る事を拒否してまで何か行動に移す気は起こらなかった。
    結局のところ、アサシンという怪人は自分のことしか考えていない。

    「どこにいるの?」

    そんな取り止めのない事を思い出しながらアサシンはマスターとゲルトラウデの姿を探す。
    その時、足元でちゃぷっと音がした。よく見ると液体が広がっており、それを踏んでしまったらしい。
    顔を上げるとそこにウィリーが立っていた。

    「あ、ここにいたんだ。休憩でもし」

  • 713伏神アサシン陣営2020/04/07(Tue) 18:50:28ID:cxMDk4NjM(24/26)NG報告

    >>712
    アサシンの言葉は途切れた。
    ウィリーの周りには肉と血が広がっていたからだ。
    無惨、としか言いようが無かった。僅かな外からの光を反射する赤黒い肉はまだ新しいのか、鼻を刺すような匂いがした。

    「…何これ?」

    思った事をそのまま口にした。

    「拷問したがどうしても魔術について口を割ろうとしなかった。これ以上の追求は無駄だと判断し、殺した」

    アサシンはあまり死について触れた事がなかった。
    いつもは毒ガスで人を襲っていたし、初日にナイフで刺した男も死ぬところまでは見ていない。家族で死んだ人間がいたかどうかはよく覚えていない。いた気もするしいなかった気もする。
    だからアサシンはこの光景を目にしてまず先に後ずさった。

  • 714伏神アサシン陣営2020/04/07(Tue) 18:51:19ID:cxMDk4NjM(25/26)NG報告

    >>713
    「うわぁ…ここまでしたの?」
    「何も考えずに殺したわけじゃない。アーレ一族の情報がこれで多少は揃えられた。もしアーレ一族の魔術師と接触する機会があるのなら役に立たせられる」

    噛み合ってるような、噛み合ってないような会話。
    ウィリーは令呪が刻まれた彼女の手首に魔術的な措置を施していた。既にゲルトラウデ個人への興味は無かった。
    魔術師らしさを垣間見せるウィリーに複雑な感情を抱きながらも、アサシンはなるべく肉を踏まないようにしながらゲルトラウデがいる位置まで近づく。

    「………」

    俯いていた彼女の顔を無理やり上げた。右目があったところに赤い穴が開いていた。
    その顔は血にこそ塗れているが、目を離せないような美しさは少しも失われていないように見えた。
    それを見たアサシンは何かを思ったのだろうか。歓喜か、同情か、憤怒か。
    だが、全てはガスマスクの中で誰にも覗く事は叶わなかった。

  • 715伏神アサシン陣営2020/04/07(Tue) 18:51:51ID:cxMDk4NjM(26/26)NG報告

    >>714


    『…私が嫌いなもの、わかる?』
    『それはお前の魔術に関係あることか』
    『それはね。貴方みたいな、いるべき場所すら持てなかったふらふらした人間!』

    流れ出た血を魔力の結晶に変換させている時。
    ゲルトラウデの指の骨を砕いた時のやり取りをウィリーは思い出していた。本来ならこんな必要の無い記憶などどうだっていいはずだが、やけに強く印象に残っていた。

    「………」

    抵抗か怨みか。どちらからこのセリフが湧き出たものかは彼女が冷たくなってからは判断のしようがない。
    ただ、わかっているのは今後もウィリー・ジャックはゲルトラウデ・アーレという『記憶』を抱えて、終わりがあるかわからない旅を続けるという運命だ。
    それはこの地下ビルの暗闇で命を散らした偶像(アイドル)の、最期の呪詛だった。

  • 716狂気メガネ2020/04/11(Sat) 21:07:12ID:I1NzY2MzU(20/28)NG報告

    久々に伏神
    「逝ったか……………」
    リドリーは部屋の中で静かに呟いた。目線の先にはゲルトラウデを探知する泥人形、粉々に砕け散ったそれがあった。


    「ふーん、てことはこれで一歩聖杯に近づいたってことか?」
    「うん、それと同時に手がかりが一つ消えたって訳だ」

    その答えを聞き顔を顰めるエル・シッド。彼はゲームに真剣だ。含みのある言い方は彼の手を狂わせ、ゲームオーバーに導いた。

    「あーもー!」
    「誰と戦ってたんだ?」
    「サリヴァーンだよ。二刀流とかずるすぎない?」
    「分かる。私もコントローラー投げたもん。」

    それはともかく。エル・シッドはリドリーの真意を聞く。
    「この礼装が壊れたってことはその毛の主が死.んだってこと。生きているなら情報とか引き出せた可能性が高いじゃない?」
    「……………まあ言わんとする事はわかるけどなぁ。手に入らないものはもう諦めようぜ。」
    「じゃあなんか今後の予定でも考える?」
    「そうしようか」

  • 717狂気メガネ2020/04/11(Sat) 21:07:24ID:I1NzY2MzU(21/28)NG報告

    >>716

    だが黙り込んでしまう二人。この日エル・シッドはダーク魂、リドリーはハイロー、各自で楽しんでおり、いいアイデアなんか全く思いつかないのだ。

    考える事1時間、エル・シッドは自分のTシャツの『アンドレのイェーイ十字架刑』の文字を見る。その様子を見てリドリーは言う。

    「私は別に熱心なキリスト教徒じゃないけど、ちょっと不遜すぎないかなそのシャツ?」
    「うーん、デザインはいいと思うんだがな」
    「まあX十字架をイェーイ十字架なんて呼ぶのは日本人くらいだろうね。こりゃあ教会からもお叱りが来そうだ……………教会?」

    リドリーは顎に手を当て考えるそぶりを見せる。エル・シッドは何度目かの嫌な直感が働いた

    「おいク.ソマスター……………あんたまさか」
    「君の思った通りさ!……………教会に入り浸るぞ!」

  • 718狂気メガネ2020/04/11(Sat) 21:07:40ID:I1NzY2MzU(22/28)NG報告

    >>717
    終わりです

  • 719名無し2020/04/12(Sun) 20:17:49ID:Q3NjkyNTI(1/5)NG報告

     覇久間市の市街地側校外に聖堂教会の支部がある。一般信者たちの憩いの場というのは表向きの姿。もとよりこの教会は聖杯戦争を監視する目的で聖堂教会が建てた拠点である。

     当然ながら、ここに赴任してくる神父はマスターとサーヴァントの闘争を監督する役割を担っている第八秘蹟会の構成員と決まっている。この教会で一般信者を相手に日々の祭司を執り行っていた食満四郎助(けま しろすけ)もまた第八秘蹟会に所属する代行者である。声量が豊かで、オペラ歌手なみの低い声と巨体を持つ食満は信者たちからの信望を得ていた。

     食満は奥の司祭室の椅子に腰掛けていた。同じく椅子に座る少女が一人。所謂がギャルと言える容姿で、鳶色がかった瞳。日に透かすと髪の毛は栗色を通り越して茶色に見えるロングウェーブ。ひときわ色白で、眼にも唇にもしたたるようななまめかしい色気がある少女であった。

     彼女は蒲池夏美。この覇久間の土地の管理者である蒲池家の若き当主である。そして聖杯戦争を開始した御三家の一人である。彼女と食満は人を待っていた。待ち合わせ時間にギリギリにその相手がきた。

     忽然と男が現れ椅子に座っていた。和装の、狷介そうな顔立ちの壮年の男だ。

  • 720名無し2020/04/12(Sun) 20:18:47ID:Q3NjkyNTI(2/5)NG報告

    >>719
    「久しいな蒲池の当主、監督役」

     夏美の華やかな装いに片眉がつり上がるが、ただ形式的に挨拶をする男。

    「こんにちは猜野さん。大変ご無沙汰しておりますが、お変わりございませんでしょうか」

    「お久しぶりです。本日はお時間頂戴して申し訳ありません」

     お辞儀をして優美に微笑む夏美。食満も人の良さそうな笑顔で男を迎える。

     すべての魔術師の悲願たる根源の渦──万物の始まりにして終焉、この世の全てを記録し、この世の全てを創造できるという極地。

     そんな高次の領域へと到る試みを、あらゆる願望を実現させるという聖杯を召喚することで実現させようとした。そのために三家の魔術師は互いの秘術を提供しあい、壮挙を実行した。

     しかし、召喚した聖杯が叶えるのはただ一人の願いのみ、という事実が明らかになったとき、協力関係は血で血を洗う闘争へと形を変えた。

     それが聖杯戦争の始まりである。

     聖杯戦争をこの覇久間の地で行うようになり、数度にわたる聖杯戦争によって御三家の一角は断絶、そして残る二つの門家が蒲池と猜野だった。

  • 721名無し2020/04/12(Sun) 20:19:26ID:Q3NjkyNTI(3/5)NG報告

    >>720
    「ああ、こちらは変わりなどない。それよりも、早く本題に入れ」

      面倒臭げに手を振りながら促す男──猜野の申し出に、夏美は「はい」と言って従った。他家から蒲池にやってきて正統継承者になり当主になった夏美。そのせいかこの男は彼女への心証は悪い。尤も夏美のほうも無理に打ち解けるつもりもないので、本題に移ることにした。

    「本日、お集まりいただきましたのは昨日、私に令呪が発現したからです。これは近々、聖杯戦争が開始される兆しであると判断しましたので、猜野一門と監督役にお伝えさせていただきます」

      夏美が右手の甲を食満と猜野へ見せる。不思議な形の痣にも見えるのが、令呪と呼ばれるものだ。

      猜野が驚き、ううむとうなる。令呪は聖杯によって選ばれた者に与えられる。聖杯の人選には序列があり、始まりの御三家である蒲池、猜野の家に連なる魔術師には優先的に令呪が授けられる。

    「当家の者に令呪が発現したという報告はまだない。監督役、令呪を宿した者は他にいるのか?」

     夏美へ向ける猜野の視線に微かに険が宿っているのは、自分の一門より外様の──彼個人の見解だが──魔術師が先に聖杯に選ばれたことへの不快感だ。

  • 722名無し2020/04/12(Sun) 20:20:40ID:Q3NjkyNTI(4/5)NG報告

    >>721
    (嫌うのしょうがないけど、もうちょい隠す努力してくれないかなぁ)

     内心辟易するものの、笑顔を貼り付けて夏美はやり過ごす。

     食満はゆったりとした話し方で応じた。

    「いいえ、私が確認できているのも蒲池さん一人。サーヴァントの召喚も未だなされておりません」

    「私のほうも同じです」

    「そうか、事情はわかった。我々も聖杯戦争への準備を始める。今度こそ聖杯は成る。猜野の悲願は叶えてみせる」

     話しは終わった。その途端、夏美の前にいる猜野の姿が消えた。夏美は嘆息して椅子にもたれかかる。

  • 723名無し2020/04/12(Sun) 20:21:52ID:Q3NjkyNTI(5/5)NG報告

    >>722
    「疲れるなぁ」
    「お疲れ様です。──相変わらず、ご両家は心を泥水で洗われるような関係ですな!」
     呵々大笑する食満神父にほんと、それね!と夏美も同意して苦笑した。彼女はこの豪胆な神父の直截的な物言いやユーモアが好きだった。
    「さて、私も監督役として準備がありますので失礼します」
    「すみません。色々と迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします」
    「これも仕事ですから、気にせんでください」
     微笑む食満が夏美の前から消えていく。次いで彼女を取り巻く、教会内部も消える。すると夏美は自室にある椅子に腰かけていた。
     彼女たちは教会に出向いていたわけではなかった。礼装が投射する幻像を介して連絡をしていたのだ。それはまるで、SF小説のホログラムのようだった。
    「電話会議かSkypeのほうが手っ取り早くていいんだけどね」
     猜野に合わせて礼装を利用したやり取りも、夏美にとっては不満であった。
     余所行きの服装から今度は制服のブレザーに着替える。食満は兎も角何となく、猜野のああの男には制服姿を見せたくなかったのだ。時刻を確認する。そろそろ出なければ遅刻の危険がある。
    「やっば、急がなきゃ」

    覇久間第一話終了しました

  • 724覇久間ランサー陣営2020/04/14(Tue) 20:32:11ID:U0NTg4MDg(1/4)NG報告

    覇久間において外国人観光客はそれ程珍しくない。有名観光地に行くために首都圏にほど近いこの街のホテルを取る人もいたり、歴史好きな外国人なら古墳や歴史的建築物を見たりするからだ。
    だが街の東にある大きな駅、ショッピングモールにほど近い道路をスーツケースを転がして歩くその青年は珍しい部類に入る人間だろう。なぜならその髪の毛は、降り積もった雪のように真っ白だったからだ。
    「くそぅ…バカ姉貴め、ホテルくらいとってくれてもいいだろ…」
    ブツブツと何かを呟きながら歩く姿を見て、道行く人は青年を避けて行く。
    「何が『ホテルごと爆破されたらどーするの?』だよ。お陰で朝早くから出発するはめになった…」
    この場にいない人物に英語で文句を言い続ける青年。すると通行人の誰かが連絡したのか、警察官が二人近づいてきた。
    「お兄さん、ちょっといいかな?」
    職務質問を受けている様子を物珍しそうに眺める通行人。だが、警察官がいることで安心したのか興味を無くしたのか、誰も気に止めなくなっていく。
    「ありがとねお兄さん。観光楽しんでね」
    質問は済んだのか、やがて警察官は離れていく。外国人に対して『日本語で』挨拶をしていく。
    「……俺程度の誘導の魔術でも、そこそこ使えるみたいだな」
    日本語で小さく呟く青年。彼がした事は簡単。警察官の意識を魔術で誘導し、『あらゆる調査をした』という風に思わせたのだ。
    「聖杯戦争の前に、目をつけられたくはないからな」
    ガラガラとスーツケースを転がして立ち去っていく青年。彼の名はローガン=クレイドル。神秘を操る魔術師の端くれである。
     

  • 725覇久間ランサー陣営2020/04/14(Tue) 20:33:38ID:U0NTg4MDg(2/4)NG報告

    >>724
    ◇◇◇
    ツテを辿って手に入れた拠点は街の西側にあるオンボロアパート一棟。霊脈の上に建っている訳でもなく、様々な曰くが付きに付きまくってもはや貧乏学生ですら住まないようになり、そんな赤字アパートの管理人を強請って手に入れたとしか思えない。そんなアパートがローガンのスタート地点だった。
    「…知ってたよ。むしろ周りに誰もいないのが好都合だ」
    時刻は深夜一時をまわっており、辺りは耳をすませば草木の息遣いすら聞こえてきそうな静寂に包まれていた。「さてと、やるかな…」
    ローガンは床に描いた魔法陣の側に立つ。側には礼装『月影:Ⅱ』。魔力量の少ないローガンが安定して儀式を行う為に必要な魔力コンデンサー。これを装着して時を待つ。近所を歩き回って探した鳩や動物の血を贄とし、黒魔術の要領でも魔力を補う。
    (ここまでしないとサーヴァントを呼ぶことすら危うい…か。畜生、情けなさすぎて嫌になるな)
    聖杯戦争において参加者の兵器(使い魔)となるサーヴァント。それは過去に生きた英雄、人類史に名を残す偉人の影法師。あらゆる武器や魔術を凌駕する力を持つまさに『最強の兵器』。だが呼び出すだけでも多大な労力がかかる上に目当ての英雄を、しかも必ず勝てるような能力を持つ者を呼び寄せることはローガンには出来ない。触媒を手に入れる資金も、大英雄を引き寄せる魔力も無いのだから。
    だからなるべくいい状態の時に。自分の魔力が最も高まるこの時間に儀式を行う。クレイドルに伝わる月の力を借りる魔術をローガンは使えない。逆にいえば、月の状態に左右されずに自分の力のみに集中すればいい。才のないローガンにとって一つの事を気にかければいいのは楽なことであった。
    「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師×××××―――」
    埃っぽい、がらんどうの部屋で詠唱の言葉だけが響く。
    家具の類は無く、床一面に散らばった礼装やら何やらで足の踏み場もなくなっている。
    「―――告げる。汝の身は我が元に。我が命運は汝の剣に。」
    やがて魔法陣が輝きはじめ、ローガンの顔を照らし出す。
    不健康そうな顔立ちに白髪、瞳の色は赤色と見る者がみれば世間一般のウサギのイメージを覚えるかもしれない。
    黙々と、平坦に呪文を唱え続ける。心の底からの願いを外に出すことを拒むかのように、抑揚を抑えている。
    そして、その時が来た。

  • 726覇久間ランサー陣営2020/04/14(Tue) 20:34:14ID:U0NTg4MDg(3/4)NG報告

    >>725
    「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――ッ!」
    呪文の最後、僅かに声に力がこもる。急激に魔力を持っていかれたことに、つい反応してしまったからだ。ひときわ輝きを増す魔法陣をみてローガンはひとまず安堵する。
    (とりあえずは成功…か…?)
    とはいえ触媒も無い状態の召喚だ。誰が来るか何をするかは未知な部分が多い。召喚された瞬間にこちらに害を及ぼすサーヴァントかもしれない。ローガン少し召喚陣から離れて待機する。
    やがて光が収まり、人影が見えるようになった。魔力のパスが目の前の存在に確かに流れている事を感じる。
    (これが…俺のサーヴァント…)
    聖杯戦争に必要な兵器、戦い合う七騎のうちの一人。
    「サーヴァント、ランサー、玉兎です」
    全身の色素は薄く、長いアホ毛が二本ピョンっと生えた赤い瞳の少女。まるでウサギをイメージしたかのような姿をした槍の英霊。それがローガンのサーヴァントであった。
    月の明かりが差し込む部屋で、兎のような男女が向かい合う。これがローガン=クレイドルの戦いの始まりであった。
    「質問です。あなたが兎(わたし)のマスター、です?」

  • 727覇久間ランサー陣営2020/04/14(Tue) 20:37:24ID:U0NTg4MDg(4/4)NG報告

    >>726
    ランサー陣営の4/28終了です。

  • 728ここのえ@覇久間アサシン陣営2020/04/14(Tue) 22:26:17ID:QxNDU2OTA(1/11)NG報告

    「ねえ、ねえっ! 止めなくて良いの!?」
    ストロベリーブロンドと呼ばれる桃色の髪は、派手なのだから奥手なのはおかしいだろうと思うが、逆に生まれつきだから引っ込み思案になってしまったのだという。
    常に人の顔を伺うような困り眉。幼い顔立ちの少女。控えめに言って、人間では十二分に美少女の分類であろう、それはクォーターという混血と、家族揃って整った顔立ちが原因だろう。
    それがアサシンのマスター、二階堂夢莉だった。
    「なぜ?」
    シースルーでレースが編まれた白い儀礼用の外套に、随所に金やラピスラズリの輪状の装飾品と、体に密着する純黒の神官装束という、見るからに高価そうな衣類が引き摺られて埃を散らせる。
    ずるずると。
    自身の影として侍る、守護英霊である魔神王ゲーティアに引き摺られながらも、涼しい微笑みを絶やさない穏やかな少女。大人びた容姿でありながらも無邪気な姿は、年相応のように思えた。
    「え、え? だって引き摺られているし……」
    「ああ。それはゲーティアが私から離れられないからね」
    「だからって引き摺られるの!?」
    「貴様、このオレに文句でもあるのか」
    ゲーティアと呼ばれた青年がその神にも比肩する威圧感を、ただのヒト相手に向けた。
    「まったく有りません!!」
    暴威とも言える魔力を一身に浴びた夢莉は、涙目になりながら反射的に叫ぶ。

    そも、事の経緯は数時間前に遡る。

  • 729ここのえ@覇久間アサシン陣営2020/04/14(Tue) 22:26:46ID:QxNDU2OTA(2/11)NG報告

    >>728
    「夢莉、お前は令呪となる前段階の兆しが生まれた。ならば聖杯戦争に参加する資格が生まれたということだ」
    聖杯戦争に参加し、令呪ごとアサシンに利き手の右腕が切り落とされたと語る祖父は、以来、聖杯戦争に復讐する機会を待ち続けていた。
    「アサシンを呼べ、次に最優たるセイバーを呼べ」
    祖父はそう願い続け、聖杯戦争に召喚するサーヴァントに指向性を与える細工のために一財産築けるだけの大金を払ってまで、魔術師の総本山である時計塔の降霊術師に依頼することさえあった。
    祖父は、聖杯を手に入れるというだけの妄念の怪物になってしまった。
    「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。“闇に紛れて夜を纏う”汝、三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
    召喚の触媒には、かつて魔術王ソロモンがバビロンに七十二柱の魔神を封じたという曰く付きの真鍮の壺。
    魔術師の細工なぞ、元から信用しておらん!
    ソロモンを、召喚できれば、確実に勝てる!
    その確信が、二階堂宗次にはあった。
    令呪が刻印される。能力のある魔術師は円に近い形状になるというが、流石にそのような形状ではなかった。
    (なんというか、SFのような……?)
    魔術回路の源泉である、霊子による演算器である『オシリスの涙』の特性が反映された令呪であった。入り組んだ花のような三画の紋様。
    「アサシンの名に懸け誓いを受けた、我が真名ネブカドネツァル。汝がマスターか」
    「ぁ……に、二階堂夢莉です」
    恐ろしく美しい少女であった。現代の人間がおよそヒトとは呼んではならぬ、隔絶した生命。天性の絶対者。生まれながらの王聖を宿した天上王の御姿であった。
    「よろしく。マスター」
    「ふ、ははは! これがッ! 当世か! この脆弱さが人間を騙るとは、まったく人理も、行きつくまで行きついたという事か!」
    「耳元で叫ばないで、ゲーティア」

  • 730ここのえ@覇久間アサシン陣営2020/04/14(Tue) 22:29:43ID:QxNDU2OTA(3/11)NG報告

    >>729
    というわけで覇久間アサシン陣営です!

    4/28
    -[[星見の旅路に、花を。]]
    登場人物…[[二階堂夢莉]]、[[ネブカドネツァル]]、二階堂宗次(NPC)

  • 731正親中納言2020/04/15(Wed) 21:03:23ID:g3MDcxMzA(1/22)NG報告

     過ごしてきた現実を思い惜しむ気持ちというのは、何気ない差異から軽率にも生まれ、あっという間脳に沈んでいく。
     ホテルに入り、ロビーにて手続きを済ませ、鍵を受け取る。エレベーターを使い、予約していた部屋の扉を通る。動作一つ一つが自分でも分かるほど覚束ずギクシャクしているのは、ホテルに泊まるという行為自体が馴れていないからだ。と、思いたい。
     普段使わずにいてばかりであった貯金をなげやり感覚で削って押さえた客室は、どうやら人数設定を誤っていたらしく男一人が泊まるにはやや広い。
     手荷物を手近な所に置き、チリ一つないベッドに座る。そのまま倒れてしまいそうになる身体を両手つっかえ棒に支えた。なんとなく窓に目をやり、そこからの青と橙がせめぎあったような色の空を見て我に反る。同時に、浮わついた心が重力に屈したように重くなる。
     自分はもう観光客ではない。この地で行われる聖杯戦争の参加者なのだ。ここまで来てしまったからには、回れ右をすることは出来ない。

  • 732正親中納言2020/04/15(Wed) 21:04:23ID:g3MDcxMzA(2/22)NG報告

    >>731
     荷物の中から、一枚の封筒を取り出す。再びベッドに腰掛け、封を切り丁寧に畳まれた白い紙を広げる。
     折り目正しい時候の挨拶から始まった手紙には、変わらず元気に過ごせているのかという心配や近況の報告、そして息子が5月の連休に戻れないことへの嘆息が慎ましくも懇切丁寧に認められていた。一字一字から、実家の両親祖父母の心情が伝わってきて、弱っていた心が細かに痛む。
     一念発起して親元から離れてからも、連休にはいつも帰省していた。その慣習が崩れたことは、今までの在り方を否定したようで辛い。それでも、これは、真逆小路家のためのことだ。これが今自分にとれる最善の手であると考えている。
     しかし、そんなことは誰にも言えない。魔術のことも、悪夢のことも、戦争のことも、口に出してはならない。どれだけ苦しくとも、膝をつき投げ出すことは許されない。
     寂寥や暗澹が、冷たい液のようになって心中に注がれていく。だが、弱音や世迷い言を吐く訳にはいかない。これまで、色々な人に励まされて、それが勇気とか元気になった。感受性が高いという言葉で片付けられるかもしれないが、自分は言霊というものを信じている。毒を吐けば、その毒が身中に回るのは自分だ。ここで泣き言を言っても、己の首を絞めるだけだ。
     こんな臆病者についてきてくれるサーヴァントなんているのだろうか。もしいたとして、その人は、見えない明日に足を竦ませる自分を、今に心臓が押し潰されそうになっている自分をどう思うだろう。

  • 733正親中納言2020/04/15(Wed) 21:05:09ID:g3MDcxMzA(3/22)NG報告

    >>732
     見捨てられるかもしれない。馬鹿にされるかもしれない。サーヴァントだけでなく、他の参加者にも。他のサーヴァントにも。そして、家族に汚名を着せてしまうかもしれない。考えれば考えるほど、名状しきれない感情が喉を伝って込み上げてきそうになる。

    「────駄目だ」

     不意に口から漏れたのは、自分でも予想だにしていなかったような言葉だった。だから、何が駄目なのかはわからない。それでも、ここですべきことはわかる。気分転換が必要だ。
     気を紛らわせるために、返事を書こうと便箋とペンを手にする。帰れない理由は用事があるからとかが良いだろうかから始まり、何処に泊まるか書くべきか、や次にいつ戻れるかの目処をつけておこうかなどを考えていく。そうだ。今はとにかく、これからの不安を思うより、紙面上だけのものでも、楽しく忙しい仕事について気を配るべきなのだ。
     
     ────結局。覇久間聖杯戦争マスターが一人である真逆小路郁はその日の内に返書を書き下すことは叶わず、どころか夕食も取れず空腹に晒されながら夜を明かしたそうな。

  • 734正親中納言2020/04/15(Wed) 21:06:19ID:g3MDcxMzA(4/22)NG報告

    >>733
    以上、4/28キャスター陣営『ゆうがた』でした。連投失礼いたしました

  • 735名無し2020/04/16(Thu) 21:57:12ID:I3NTA3ODQ(1/16)NG報告

    「蒲池の小娘め……!御三家のうち、よりにもよって奴が最初に令呪を授かるとは……」
    屋敷の一角にある私室にて壮年の男は苛立ちを隠そうともせず、吐き捨てた。
    男はこの覇久間におけるとある儀式、ソレを取り仕切る三家が一角──猜野一門の当主である。尤も一家は断絶したため、実質的には状況は二つの家の睨み合いにも近いのだが……。
    猜野一門はこの地で行われる儀式、聖杯戦争においてサーヴァントの使役に携わる技術を提供している。
    その優れた術式は遡れば平安時代に名を馳せた安倍晴明の血脈であると称されているが、真偽は定かではない。
    しかし、真実がどうであれその肩書きが一門の誇りに転じるのも無理はない。
    そういった経緯から猜野は徹底した血統至上主義であり、それ故に仮にも同じ御三家が外様からの養子を受け入れ、あまつさえその子に当主の座を明け渡したことに憤りを感じていた。
    そして極めつけは先刻のこと、蒲池の当主に令呪が宿ったという報せだ。
    聖杯すらも外様の魔術師である蒲池夏美を認めたのだ、これが荒れずに居られようか。
    「我が一門に令呪の兆しがあらわれた者はいないというのに……忌々しい……」
    そう、加えて蒲池にマスター候補者が出たというのに、猜野にはまだ一人として令呪を授かった者はいないのだ。
    というのも、断絶した一門ほどでは無いにせよ、猜野も魔術師として衰退の一途を辿っていたのだ。
    無数の分家は徐々に魔導とは縁を切り、残された本家の人間の資質も高いとは言い難い。
    その事実に目を背けつつあったというのに聖杯戦争開催の報せが来てしまえば、無視も出来ない。
    御三家として代表者を一人も出せないとなれば、蒲池にも監督役にも面子が立たない。
    「どうしたものか……」
    血統至上主義の家門が故に、他の魔術師を雇い入れる……などと言う選択肢は端から除外されている。
    猜野の当主である男は頭を抱える。すると、それに合わせるようにして血族の一人が当主のもとに現れた。

  • 736名無し2020/04/16(Thu) 21:57:36ID:I3NTA3ODQ(2/16)NG報告

    「──様、失礼致します」
    「なんだ、今私は気が立っている……」
    「猜野芽衣(アベノ メイ)が訪ねてきました。どうやら近場で仕事があるからとの事で……」
    「芽衣……暁(アキラ)の二人いる娘のうち、妹の方だな……。とはいえ、奴は分家の上に魔導から外れた者だ、適当にもてなしてから帰らせろ」
    芽衣は分家の猜野 暁の娘である。姉の聖(セイ)はフィールドワーク、とやらで頻繁に覇久間に出入りしていたが、芽衣が訪れてくるのは十年来だろう。
    だが当主はさして興味がなさそうに突っぱねるが、血族の男はなおも続ける。
    「それが……芽衣の手の甲に奇妙な痣、令呪発現の兆しがあると……」
    「なッ!それはまことか!?」
    令呪のことを聞いて男の様子が一変する。つい先程まで思案していたそれが、偶然にも覇久間を訪れただけの分家の娘に宿ったのだ。驚かずにはいられなかろう。
    「いかが致しましょう?」
    男の問に当主はまたしても深く考え込んだ。
    芽衣を駒として聖杯戦争に参加させるべきか、或いは芽衣から強引にでも令呪を剥ぎ取り移植するべきか、をだ。
    魔術と関わりのない一般人である芽衣を戦闘に赴かせるのは得策ではないだろう。
    猜野として相応の戦果をあげるためには令呪を奪い、一族でも有能なモノへと引き継ぐべきだが……
    (問題は、それを誰にすべきか……という点だな)
    ただでさえ衰退しつつある猜野一門において、優秀な術師を戦争へ駆り出し、万が一にも失うべきでは無い。
    当主である自身もまた、ここで命を落とせば、一門に大きな波紋を起こすだろう。
    かといって、他のモノを選別したところで勝率は芽衣と比べて飛躍的に上昇するわけではない。
    少なくとも、移植・譲渡に失敗してせっかく宿った令呪が他者に再分配されるリスクを背負ってまで行うほどのリターンは無い。

  • 737名無し2020/04/16(Thu) 21:58:07ID:I3NTA3ODQ(3/16)NG報告

    となれば、猜野一門としての選択は──
    「芽衣を引き留めよ。此度の戦、猜野の
    駒は奴に決まった。他の者は奴の支援に専念せよ。」
    「ハッ!」
    男が当主に向けて恭しく敬礼すると、すぐさま、客間の方へと駆けて行った。
    この選択が、後に聖杯戦争の大きな波瀾を齎すのだが──それを知り得る者はまだ誰もいない……。

  • 738アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/16(Thu) 21:59:50ID:I3NTA3ODQ(4/16)NG報告

    4/28 バーサーカー陣営 『猜野邸の一幕』 投下完了

    芽衣の本格登場は29日の召喚になります

  • 739ここのえ@覇久間アサシン陣営2020/04/16(Thu) 22:24:51ID:Y1NDczNjA(4/11)NG報告

    「アサシンよ」
    「なんだ、人間!」
    夜も寝静まった頃の、二階堂邸は貿易商が家業だけあって古今東西の価値ある物と定められた品々で溢れていた。
    二階堂宗次こそ、誰よりも聖杯戦争を望む男であった。有能なビジネスマンであった、かつての頃と同じような感覚で指示を出すのはある意味で滑稽だと言える。
    「聖杯戦争が始まった以上、常に他陣営よりも一歩進んだ状態を維持しなければならない」
    「ふん。暗殺という心理での優位、同盟という戦力での優位、情報という戦術での優位。そういうものの有益さは認めよう」
    「力を見せてみろと、そういうことですね?」
    「星見の始祖カルディア人の王、惑星と天空、宇宙の力を借り受けることが出来る天上王ともなれば、凡百の使い魔風情、容易に倒せるだろうに」
    「それはどうでしょう。あなたの言う、凡百の使い魔に貶められたのがサーヴァントである以上」
    暗に、二階堂夢莉の魔術回路は“天上王ネブカドネツァル”と“七十二柱の魔神ゲーティア”の性能を十全に発揮できない、という主張であった。
    「まあ、霊脈の流れもおおよそ把握した。地理の確認も兼ねて、人間の思う通りに動いてやるさ」
    「まあ、珍しい」
    「ネブカドネツァル……、貴様、オレを何と思っている」
    「伝説上の悪魔、魔術世界における魔神。下等な人間に従うなど我慢ならない全能者。七十二柱を統べる魔神の王。それ以上にある?」
    「だからこそ、だ。聖杯はこのオレが手にすべきもの。それをたかが人間が狙うなどと!」
    「分かりました。なら、その通りに。召喚から一日過ぎているとはいえ、マスターの具合はいまだ不調。そこに留意して」
    「ちっ、脆弱だな」

  • 740ここのえ@覇久間アサシン陣営2020/04/16(Thu) 22:25:19ID:Y1NDczNjA(5/11)NG報告

    >>739
    月の輝きに、古の民は狂気を見た。
    街灯の明かりもない時代に、昏き森にて叫ぶ獣は、恐ろしい。
    暗闇の中で、両の眼だけが爛々と光る様は、おぞましい。
    「今日は、兎狩りかしら」
    霊脈、この天体(ほし)の霊子ネットワークを乱す魔力反応を元に、当たりをつけてほっつき歩いたのが功を奏したか。
    ここで脱落させれば良し。
    そもそもアサシンたるネブカドネツァルの利点は性質の違う手札の多さ。次に相対する時に対策を練れるだけの情報を引き出すのも良し。
    「ちっ、人間ではない者に恨みは無いが、人間に飼われてやろうという性根は気に喰わん」
    大気のマナが重圧に伏せる。
    周囲の魔力が制圧され、ソロモンの指輪ならざる十の指輪の支配圏に入ったのだ。
    ネブカドネツァルの聖剣に、星の光が灯される。
    ゲーティアの周囲を十つの指輪が浮遊し始める。
    「地表を這う者共よ、天上王の王律を知るがいい……!」
    「それ、あなたが言うの?」

  • 741ここのえ@覇久間アサシン陣営2020/04/16(Thu) 22:27:56ID:Y1NDczNjA(6/11)NG報告

    >>740
    [[アサシン、アサシンしない]]

    4/29…29日で良いんでしたっけ
    vsランサーまでのお話です。イオンさん、後は託しました-!

  • 742イオン@覇久間槍陣営2020/04/17(Fri) 11:42:44ID:U0NjczNTE(1/5)NG報告

    「♪ふんふんふ〜ん、ふんふんふふ〜ん」
    ローガンがサーヴァント召喚に成功した翌日。ローガンは自らのサーヴァントの歌声で目を覚ました。
    「おはようございますです、マスター。簡単にですが朝御飯作ってありますです。よろしければ食べてくださいです」
    「…あ、あぁ…」
    激しく魔力を消耗したからか体に倦怠感を感じる。寝袋から這い出してペットボトルの水を取ろうと左手を伸ばす。その時、左手の甲の赤いタトゥーのような紋章が濃くなっていることに気づく。これが令呪。聖杯戦争の参加者の証にして、サーヴァントへの絶対命令権。
    「本当に召喚したのか…」
    自らの令呪と部屋の片付けをしているアホ毛の少女を見比べながら湧き上がってくる実感を噛みしめる。
    巫女装束を改造したような服を着て、色素が薄い肌を肩と胸元を露出するような格好をしている。紅色のスカートのような衣装は丈が若干心許なく、眩しい太ももがちらちら覗いている。
    「どうしたです?もしかして体調が優れないです?兎(わたし)、霊体化してましょうか?」
    やや心配そうに尋ねてくるサーヴァントにローガンはこちらへの敵意はないと判断する。 

  • 743イオン@覇久間槍陣営2020/04/17(Fri) 11:44:45ID:U0NjczNTE(2/5)NG報告

    >>742
    「いや、大丈夫だ。このままで構わない。えっと…ランサー」
    ローガンがそう言うとランサーはニコリと笑って
    「はい。クラス、ランサーのサーヴァントです。改めまして玉兎といいますです。よろしくお願いしますです」
    ランサーはペコリとお辞儀をした。どこで拾ったのか雑巾を片手にこの部屋の掃除をしているようだ。 
    「これから誠心誠意、マスターのお世話をさせていただくです。あ、サンドイッチ作ってあるです。卵のやつとジャムのやつですが、食べれない物とかありますです?」
    「いや、基本的に何でもイケる…はず…」
    「なら良かったです。どうぞです」
    ランサーが差し出した皿にはサンドイッチが二つ置いてあり、上にラップがかかっていた。管理人の部屋から持ち出したのだろうか、丸い小さな机が床に置いてあった。ローガンはその机の上に皿をのせて、サンドイッチを食べようとする。そしてちらりと自分のサーヴァントをみた。
    ボロい部屋をせっせと掃除する姿は家にいた給仕を思い出させる。あそこまで洗練された動きではないが、掃除の手際のよさはメイドとしても十分通用するレベルであろう。見た所の年齢はローガンと同程度か少し下。顔立ちからするとアジア圏の英霊だろうか。しかしながらローガンの知識の中には『玉兎』という名の英霊はいない。自分は一体どのような英霊を呼んだのだろうか?ローガンには見当がつかなかった。
    「しかしマスター、ボロっちいとはいえアパート一棟手に入れちゃうなんて凄いです。どうやったんです?」
    「俺だけの力じゃない。家のサポートがあったんだ」
    です?と首を傾げるランサー。ローガンはゆっくりと息を吐いた。
    「義妹がいるんだ。エミリアっていうんだけどな」
    長くなりそうだと思ったのかランサーはローガンの前に座る。ローガンの緑の瞳をじっと見つめる。
    「血は繋がってないけども大事な家族だった。木登りをしたのはいいけど降りれなくて泣いてたこともあったよ。可愛い義妹だった」
    そこまで語るとペットボトルの水をぐい、と煽って続ける。
    「ある時突然倒れた。原因は不明。世界中の医者や研究者に診せた。だが誰もどうにも出来ない。脳みその近くにある魔術回路が悪さをしているらしいが、誰一人としてエミリアの目を覚ませはしなかった。時計塔のロードにも相談したがお手上げだった」

  • 744イオン@覇久間槍陣営2020/04/17(Fri) 11:45:16ID:U0NjczNTE(3/5)NG報告

    >>743
    ローガンはランサーの背面の壁を睨みつける。まるで何かを呪うかのように。ランサーはその瞳をただ見つめている。
    「もうずっとこのままなのか、そう思っていた時にバカ姉貴がふらっと帰って来てこう言いやがった。『聖杯なら助けられるかも』ってね」
    左手の甲に浮かんだ紋章。ギザギザの剣のような模様が歪な円を形づくっているような。そんな形の自分の令呪をみながらローガンは懐かしむように話す。
    「それで言ったんだ。『聖杯戦争に参加して、エミリアを助けたい』って。そしたらあれよあれよという間に話がついていた。覇久間への渡航費、拠点の候補のリストアップ、滞在費。まぁつまりはお膳立てされたんだ。『あとはテメエでやってみやがれ』ってな」
    ローガンは手をヒラヒラさせながらサンドイッチを咀嚼する。卵の程よい甘みとマヨネーズの塩気がマッチして絶妙な美味しさだ。
    「管理人には魔術による暗示でしばらく出かけて貰ってるよ。幸いにして一人も入居者がいないから手間がかからないでよかった。候補はいくつかあったが、ラッキーだったよ」
    サンドイッチを一つ平らげると、二つ目のサンドイッチに手を伸ばす。ランサーはまだ目の前に座って、その赤い瞳をこちらに向けている。
    「俺の願いはエミリアの治療だ。その為に聖杯が欲しい」
    ローガンがそう言うとランサーはクスリと笑った。知らず知らずの内に熱く語っていたのが見抜かれた気がして気恥ずかしくなる。

  • 745イオン@覇久間槍陣営2020/04/17(Fri) 11:45:39ID:U0NjczNTE(4/5)NG報告

    >>744
    「…何だよ。大層な願いじゃなくて悪かったな…」
    「あ、いえ。そういう訳じゃないです。……何だか、マスターは優しいんだなって思ったんです」
    ランサーはアホ毛を揺らして遠い目をする。
    「兎(わたし)、人間って自分勝手で救いようのない馬鹿な奴ばかりだと思ってたです。だから、マスターの話を聞いて、なんかホッとしたです」
    「…そんなに大層なもんじゃないよ。俺だって十分身勝手さ。身内の為に赤の他人を蹴落とすんだからな」
    文字通り戦争なんだから、と続けるローガン。それを聞いたランサーは立ち上がるとくるりと一回りした。
    「ひとまずですが、マスターは兎(わたし)がお世話するに足る人間だと兎(わたし)は認めるです。この玉兎、我が主ツキヨミ様の名のもと、聖杯戦争においてはマスターに全面協力することを誓うです」
    『ツキヨミ』と彼女はそう言った。ツクヨミとは日本神話における月の神である。そしてクレイドル家は月への信仰を扱う魔術師だ。
    もしかしたら、これも何かの縁かもしれない。触媒無しに召喚した、自分の知らない英霊。まさにローガンにとっての未知との遭遇だった。
    「なぁ、君の事を教えてくれないか?…もちろん、言いたくないことは言わなくてもいい」
    好奇心からつい口走ってしまい、慌てて付け足してフォローする。はい、喜んでとランサーは答える。もう一度座り直したランサーは懐かしむように口を開いた。
    「兎(わたし)はですね―――」
    いつの間にかサンドイッチは無くなってて、ペットボトルの水は空になっていた。

  • 746イオン@覇久間槍陣営2020/04/17(Fri) 11:47:20ID:U0NjczNTE(5/5)NG報告

    >>745
    覇久間槍陣営4/29日昼

    [[覇久間ランサー陣営:兎とウサギ]]

  • 747監獄長ハクマ弓2020/04/17(Fri) 12:18:22ID:UxMTMzMTk(1/8)NG報告

    「小腹が空いたよぅ……」

     午前、朝日の時間帯。
     何となくルーレットで旅行先が日本に決まり、初めての観光を味わおうとワクワクしていた少女────ブリュンヒルド・ヤルンテインは覇久間の都市に迷い込んでしまい、腹の虫を鳴らしながら彷徨していた。

    「ここどこ? 看板読んでも現在地が分からない……人いない……声かけられない……オーディンの導きもない……詰んだ」

     彼女は昨日から何も口にしていない。
     貯金は持ち歩いているが、人見知りは災いして話しかける事すらできず、あまつさえ「別に食べなくても大丈夫だし」などと自らに言い訳を作り、現在の空腹状態に至っている。
     つまり、ブリュンヒルドという少女は所謂『コミュ障』なのだ。
     ただ普通に声をかけて品物を買うだけで済む事なのに、彼女にとって難関に等しい。適当な工芸品を作る方がまだ簡単だと思ってしまう程に。

  • 748監獄長ハクマ弓2020/04/17(Fri) 12:18:56ID:UxMTMzMTk(2/8)NG報告

    >>747
     空腹で気力を失い、道の隅に座り込む。
     日の出が登って少ししか経っていない時刻だが、目の前を眺めていると、既に仕事などに出ている者たちが多く歩いている。

     ここで一つ不思議に思うだろう。

     ブリュンヒルドは海外からやって来た見た目は麗しい美少女のそれであり、服装を注目すれば刺激的な格好とも言える。
     そんな少女に“目もくれず”、全員が素通りしているのは、なんとも摩訶不思議な光景だ。警官すら彼女に声をかけない。
     それもその筈。彼女は魔術師と呼ぶ存在なので、お得意の不可視のルーンで姿を消しているのだ。当の本人は声をかけられたいのに、である。
     この少女、実はルーンが発動中である事を忘れている。ちょっとアホの子。

    「極東人は冷たいって本当だったんだ……むっす」

     これである。自己責任なのに、責任転換である。
     とはいえ、ルーンを悪用して盗みを働かないあたり、根は純粋なのだろう。ただ、そこに空腹に震えてミジンコのように丸まるだけ。

  • 749監獄長ハクマ弓2020/04/17(Fri) 12:20:06ID:UxMTMzMTk(3/8)NG報告

    >>748
     ────餃子食べたい。

     余りのひもじさに、空想の中で今現在食べたいものを思い浮かべ、悲しいエア食事をキメていた、そんな時────。

    「あの、大丈夫?」

     長身で、スタイルの良い学生服を来た少女が、“本来なら見える筈のない彼女”に話しかけたのだった。

  • 750監獄長ハクマ弓2020/04/17(Fri) 12:21:39ID:UxMTMzMTk(4/8)NG報告

    >>749
    覇久間弓陣営 4/28日 朝

    『北欧からの迷い人』

  • 751ディック2020/04/17(Fri) 12:35:16ID:c5Mzg0MjY(1/5)NG報告

    聖杯戦争に臨むため準備を始めた夏美は、学校にいながらも一門の人間や知人を介して聖杯戦争の準備や情報収集に余念がなかった。使い魔や礼装を介したもの、端末を使った連絡などさっきからひっきりなしにだ。
    (猜野一門の参戦はほぼ確実。蒲池から私以外が選ばれることは……まず、ないだろう。そういえば、当主が聖杯に執心しているあの二階堂の老人が出て来るかもしれない)
     聖杯に固執して覇久間の地に居ついた一族を思い出す。聖杯を強く求めるあの一族にも令呪は発現するかもしれない。二階堂の動向も調べたほうがよいだろうと考えて、蒲池家の当主は連絡をする。
     夏美が情報を整理しながら、彼女が所属しているダンス部の部室を目指す。
     三階まで上がり、タイル張りの廊下を行く。彼女の目的の部室は特別棟の四階だ。
     この豊月高校は、生徒数の面でも立地の面でもさほど大きな学校ではない。総生徒数は一〇〇〇を超すか超さないかといったところだろう。一応、進学校で通っているが、進学に特別力を入れている様子はない。部活動が多くて文化祭が毎年盛況であることくらいが特徴だ。
     部室へは暫く部活動には顔を出せないと断りを入れようとしていたのだ。横開きのドアに手をかける。そこで夏美は手を止める。部室から声が聞こえてきたのだ。

  • 752ディック2020/04/17(Fri) 12:36:33ID:c5Mzg0MjY(2/5)NG報告

    >>751
    「そう言えば蒲池さんって、一人暮らしなんだってね」
    「らしいね。お父さんが亡くなってからだっけ、家族と仲悪いのかな」
    「家族って言っても、養子らしいよ?もっと昔に本当の親を亡くして引き取られたらしいよ」
    「へえ、それでひねてギャルやっているって?」
     高い笑い声が部室に響く。
    「ギャルって言っても見た目だけじゃん?利口ぶった態度だし、なんてか、中途半端じゃない」
    (……別にひねくれてギャルやっているわけじゃなんだけどなぁ)
     夏美はそっと離れて歩き出す。歩きながら先程の言葉を思い出す。
     そう言えば、家族を亡くして、泣き止んだのはいつだったか。
    落ち着いたのはどれくらいたってだったろう……。
    「おかしいな……思い出せない」
    夏美の日常はある日いきなり引きちぎられるように唐突に終わった。案内された冷たく暗い部屋に寝かされた両親。大好きだった母親の腕にあった紫色のまだらが、今も記憶に残っている。

  • 753ディック2020/04/17(Fri) 12:38:00ID:c5Mzg0MjY(3/5)NG報告

    >>752
     葬儀のあと彼女は所在なさげに座っているしかなかった。兄夫婦の死を悼むことなく、家督を継ぐことを躁的な口調で主張する叔母が耳目を集めていた。
     父が生きていた頃は優しかった彼女は、そのときはとても怖かった。今まで見せてくれていた笑顔は偽りだったのだろうか。夏美にはわからなかった。ただ、叔母が欲しがっているものを得るには自分が邪魔なのだと、それだけはわかった。もうほっとできる時間は三六五日の中で一瞬も無くなるのだという事だけはわかった。
     自分のこの先がどうなるのか、不安で押し潰されそうになったときだった。
    「久しぶりだな。喜一郎の孫」
     亡くなった彼女の祖父とは旧知の仲であった魔術師である蒲池文郎だった。
    精悍な顔。険しい眼。引き締まった口元。広く聡明そうな額。理性の固まりのような貌の壮年の男。年齢の割りに黒く艶のある髪をオールバックに撫でつけた紳士は夏美に語り掛けた。
    「君が優れた魔眼を持つことも、優れた才幹を持つことも喜一郎から聞いている。……君は、その才を活かし、魔導に身を捧げる気はないか?」
     夏美を内弟子にして後継者の候補──その一人にしたいというのが蒲池の考えだった。
    「──私は」
     この瞬間が、香坂夏美から蒲池夏美になったときだった。幼い彼女が人生で初めて、生きるために吐いた嘘だった。それは決して戻れない選択。

     ◇◆◇

  • 754ディック2020/04/17(Fri) 12:40:01ID:c5Mzg0MjY(4/5)NG報告

    >>753
     思惟の海に沈みながら夏美は教室に戻っていた。
    「あ、夏美ちゃん!今動物占いしているんだけど!夏美ちゃんがイメージする動物はなに?」
     雑誌を指さしながら話しかけてきたのは、クラスメイトの宮野つむぎ。オカルトや占いが好きな好奇心と行動力の塊のような子だ。
    「なになに、占い?うーん、そうだね。……カッコウ、かな」
    「え?」
     小さく呟いた夏美の言葉はつむぎには届かなかった。
    「いや、パッと思いつくのは鳥か何かかな~って」
    「あーわかる。鶴とか?そういうキレイな鳥っぽい」
     わかるわかると、つむぎに賛成するクラスメイトたち。鶴、白鳥とそれぞれが夏美から想起される鳥の名を挙げる。しかし、夏美本人には自分だと思える鳥はそのような華麗な鳥ではなかった。
     ──わたしからお父さんを取らないで!
     かつて義妹に言われた言葉を思い出す。自分が鳥ならば、それはきっとカッコウだろう。
     魔術師の家の子になった夏美は目覚ましい成長を遂げた。単純な話である。傍目にも明らかに鍛錬の量が桁違いだったのだ。文郎の実子たち以上に魔術の鍛錬をしていた。
     それでも彼女に負けたくないのならば彼女より更に鍛錬しなければならない。簡単な答えだった。
     だがしかし、それが子どもたちに出来るかと言えば出来なかったのだ。自分と夏美を比較し、自分の弱さに心を乱し、粉々に崩れてしまった。
    そしてそんな子どもたちにも周囲の大人たちは見切りをつけてしまい、大病を患い末期の文郎が夏美を家督の正統継承者に指名したときも反発は起こらなかった。
     徐々に力が衰えつつあった蒲池は、夏美という人中の鳳雛を受け入れて一門として遇することを選んだのだ。
    「どうしたの~?夏美ちゃん」
    「なんでもないよ。それよりもつむぎ。夜遅くは街を出歩いちゃダメだよ」
    「え?どうしたのいきなり、何かあるの?夜歩いていると宇宙人に誘拐されちゃうとか?」

  • 755ディック2020/04/17(Fri) 12:40:33ID:c5Mzg0MjY(5/5)NG報告

    >>754
     つむぎのオカルト好きが刺激されたらしい。
    「ははは!何ソレ!そんな面白いことはないよ。ただ、暫くは夜中に幽霊探しとかそういうのはやめときな」
     魔術師たちがサーヴァントとともに戦う聖杯戦争。それは夜に行われるのが通例とされる。友人が戦禍を被るのは夏美としても避けたいことだった。

    4/28 昼頃ライダー陣営終了です

  • 756音咲雛葉&リンドヴルム(雷星)2020/04/17(Fri) 19:39:12ID:c2Mzg5OTA(6/14)NG報告

    「いやー……嫌な相手に当たっちゃったなぁ」
    「むぐっ……そうなのか、マスター。いや、相手のサーヴァントは確かに凄いやつに見えるが」
    「嫌も嫌だよー!時計塔の上級講師だよ?私みたいな若輩者には手が出しにくいって」

    人のものとは思えないほどの美貌で歩く青年の肩に乗りながら少女は言う。

    「……とはいえ、単純な戦闘経験なら私の方が上……かな?当主の座を手に入れるまで色々あったし。でも魔術師は誰かれ護身の術は持ってるものだよね」
    「……マスターは俺を信頼すればいいと思う。俺は絶対にマスターを敗北させたりなんかしない。信用できないか?」
    「………ありがと。そうだね、私にはライダーがいるし、私もお姉ちゃんのために負けるわけにはいかないし。よし、頑張って勝とう!」

    青年に抱き抱えられ、少女は住宅街で待つ己が敵を見据える。雷速、と形容すべきかもしれない速度で駆け抜けた少女達は大きく相手の方に飛び込んで─────

    「雷撃も星撃も許可!けど住民に被害はやめてね!」
    「了解した。……行くぞマスター!」

    青年……リンドヴルムが繰り出す雷の剣閃が相手のライダーを、少女……音咲雛葉が繰り出す四大属性の放出が相手のマスターを襲う!

  • 757ガイ2020/04/17(Fri) 20:19:17ID:U5NjQzNTI(1/3)NG報告

    >>756
    レスリーに向かった魔力塊は、彼の手の動きに呼応するように隆起したアスファルトの壁によって阻まれた。すさまじい衝撃とともに壁は砕け散り、破片が飛び散る。しかし、そのどれもがまるでレスリーを割けるかのように後方へと飛散していった。
    向かい来る少女を見据えながら、レスリーは独り言ちる。

    「ほう、正面からとは・・・・・・まずはその勇気、褒めるべきだな。先の攻撃も、見たところ4属性の混成か。なんと才覚に恵まれた子か。だが、私に届かせるには、いささか熟練が足りぬな。ここは先達として、魔術がいかに奥深いものか示すべきか・・・・・・」

    研究者としての習性か、悠長に思えるほどの冷静な状況分析。それが彼の強みであり、同時に彼が絶対の自信を置くものだった。

    「――Live earth(目標、捕捉)」「Fall(切り裂け)!」

    詠唱とともに、先ほど飛び散ったアスファルトの破片が浮かび上がる。そして、音咲目掛け鋭く襲い掛かった。
    ◆◆◆◆◆◆
    「おっとぉ!!」

    重く鋭い敵対サーヴァントの一撃を、ルドルフ2世はすんでのところで回避した。生前より戦闘を生業としていない彼にとって、それは、明確に死を感じさせる一撃だった。

    (ル、ルドルフ2世は前衛向きではないのだが・・・・・・さすがはこの体!なんとか読み切ることはできたぞ!!速攻される前に距離を取らなくては!)
    剣撃後の隙をつき、自らの黄金の籠手に魔力を通わす。すると、それはほどけて金糸となり、蛇のように相手に絡みついた。

    「動きを封じよ、『管を巻くサラマンダー』!」

  • 758音咲雛葉&リンドヴルム(雷星) 山星2020/04/17(Fri) 20:52:28ID:c2Mzg5OTA(7/14)NG報告

    「来い(Summon)、Jack-o'-Lantern!」

    即座に四撃。自分を球状に守るように振るわれる斬撃が一つ残さずアスファルトを砕き刈り取る。……雛葉が手に携えるのは身の丈に合わないほど巨大で、グロテスクで、おぞましい大鎌で。

    「御機嫌いかがですか、サルバドーレ殿。自己紹介の程は……まあ、いいか。いいよね。
    ──────死を導け(memento mori)」

    雛葉が大鎌を宙に振るう。すれば大鎌に付属していたランタンが青白く燃え、そこから青火が大量に現れる。それらは確実にレスリーを燃やし尽くさんとする。

    「これはっ、ダメ押しだよ!」
    それと同時に少女は大鎌に炎を纏わせ、切り裂こうとする。その刃は大量の呪詛が絡み付いており、受けてしまえば呪詛が身を蝕むだろう。


    「─────はぁっ!」

    身に纏わせた雷撃による身体能力の向上。魔力消費も考え一瞬ではあったがそれでリンドは自分に絡みつく金の糸を引きちぎり、バックステップを取るとともに片手に持ったボウガンから雷の矢を撃ち出す。
    ────それらをライダーは避け、ついにはリンドが近づいて繰り出す剣閃すら幾度も避けて見せるではないか。

    (………戦闘に慣れているが故の対処、とは違うような気がする。気がするが……とにかく押し通る!)
    攻撃をしていれば相手のこともわかるだろう、と。リンドは右手の長剣で剣技を繰り返すと共に左手のボウガンで矢を放つ。それをひたすら繰り返すのだった。

  • 759ガイ2020/04/17(Fri) 21:42:24ID:U5NjQzNTI(2/3)NG報告

    >>758
    「む、死霊魔術か。確かにこのような場では非常に有効な魔術かもしれんが・・・・・・そのような発展性のない分野に己の才を割くとは、愚かな!」

    数節の詠唱とともに、レスリーの周囲の空間が揺らぐ。
    レスリーの専門とする錬金術は、一般に「何か物理的なものを生成する」「卑金属を貴金属に変換する」といったイメージが強いが、それは一端に過ぎない。手段は様々だが、最終的には自らの魂を錬金によって神と一体化させること――「非物質の錬金」こそ、錬金術の真価である。レスリーは自らの感覚を周囲の空間と一体化させ、自身の体の延長として扱う――風の属性による大気の触覚化をおこなった。
    いかに強大な炎であろうと、それが伝うのは大気。ゆえに、その道のりを支配してしまえば届く道理はない。不可視の触手は炎をいなし、そのまま鎌を持った少女へ叩きつけられようとしていた。
    ◆◆◆◆◆◆
    「っ!こんなにもたやすくルドッ・・・私の技を引きちぎるなんて!恐るべき膂力!!」

    距離を取ることには成功したものの、敵対サーヴァントの猛攻は未だに続いていた。続けざまに襲い来る雷と剣閃。並行思考と高速思考の合わせ技による演算でなんとかしのいではいるものの、失敗すれば痛烈な痛手は避けられない。そう長くは持たないだろう。実力では相手が上。ならば、短期決戦を仕掛けるしかない。ルドルフ2世の指揮とともに、ちぎれて転がっていた金糸が再び編み合わさり、綱となって敵の足に絡みつく。ルドルフ2世は、それと同時に切り札を抜いた。

    「見るがよい、これこそが皇帝の守護!私に夜は訪れない――『陽光沈まぬ帝国の鷲よ(ツィーサシュ・オボーストラニー・オレル)』!!」

    ルドルフ2世の隣の空間から、何かが稲妻のような速度で飛び出し、敵対者へと突撃する!

  • 760音咲雛葉&リンドヴルム(雷星) 山星2020/04/17(Fri) 22:18:48ID:c2Mzg5OTA(8/14)NG報告

    「────ふーん、なるほど。前評判は偽りではないご様子。
    来い(Summon)、Sephirothic tree!」

    大鎌では間合いを詰められて対処できない。そう思った瞬間に手に召喚したバトンで切り裂く。バトンだけでは対処できないので自分の腕に結んでいたリボンの礼装を動かし、それも併用して触手を切り裂く。大気を切り裂こうというのならば単純に力でへし切ればいい。途中で鎌を放棄した為斬撃は中断されるが、これでいい。

    「………邪なるものに鉄槌を。魔女には心臓に杭を打ち込むのが効く……ってね!」

    突如、バトンの先端がが杭打ち機のように伸び爆ぜ、超速でレスリーを貫かんとする。……それと同時に、雛葉が『Hop Step Jump!』と唱えることで周囲のアスファルトが磁石のように激しく惹かれ合い、間にいるレスリーを潰そうとする────!



    「(直撃はまずいっ……)ぐっ……がぁ、来い、俺ぇ!」
    襲いくる双頭の大鷲。一度は突撃をモロに喰らって傷を負うも、続けて二発、三発目は撃たせない。突如リンドと大鷲の間に降り立った巨躯の竜の鱗がその突撃を防ぐ。防ぎ、リンドが距離を取った際にその竜は消えてしまうも、紛れもなくそれを召喚したのはリンド本人であった。

    「はぁ……はぁ……双頭の大鷲。あなたはかの帝国の縁者と伺われるが、いかに?」
    返答を聞く前に、リンドの身を激しい雷が包み込む。マスターの魔力量が化け物クラスであるが故に出来る浪費だ。本来、並の魔術師では賄いきれないほどの魔力消費だというのに。先程の自分の『抜け殻』の召喚もそう。

    「────八割でいく。どうか覚悟してほしい」

    そして、雷竜が爆ぜるように駆けた。

  • 761ガイ2020/04/17(Fri) 23:20:04ID:U5NjQzNTI(3/3)NG報告

    >>760
    激しい衝突音とともに、レスリーの姿は全方位からの包囲攻撃の中に消えた。並みの魔術師ならここで敗退していただろうが・・・・・・

    「なんとも――不思議な魔術だ。見たところ、そちらも錬金の一種のようだが・・・・・・実態がつかめんな。戦闘中に一から礼装を編もうなど、魔力が枯渇してもおかしくないが、魔術特性に関係があるのか?いや、しかし・・・・・・」

    崩れ落ちた瓦礫の隙間から、淡く光を帯びた黄金の球体が姿を現した。歯車の一つ一つに至るまで複雑に展開したそれは、まるで天球のようにレスリーを包み込み自転している。

    「なんにせよだ。私に『黄金天文時計(オルロイス・ゴールデナー・ティアクライス)』を使わせるとは、想定以上だ。敬意として、ここからは一切の手加減抜きで行かせていただこう。」

    天球が高速で組み代わり、その瞬間、地面が無数の鋼鉄の顎に変化した。周りの地面を自在にうねらせ、引き伸ばしながら、それらはまるで不定形な怪物のように音咲をかみ砕かんと襲いかかる。礼装の演算能力による、無詠唱での大魔術の行使である。
    ◆◆◆◆◆◆
    「竜・・・・・・いや、龍か!そんな馬鹿な!?」

    ルドルフ2世のスキルである高ランクの『芸術審美』は、古今東西、歴史・伝承における逸話を持つ宝具を目にした場合、ほぼ確実に真名を看破することができる。だが、それゆえに、彼は目の前の存在を受け止めきれずにいた。それは、彼の時代にはすでに世界の裏へと消えた存在。かつての地上の支配者の姿であったからだ。その中でも、雷を自在に操るとなると――

    「しまった!」

    雷が神鷲の羽をかすめる。いくら早く動けようとも、雷よりも早く世界をかけるものは存在しない。一瞬頭によぎった「奴」の正体についての考えに気を取られたのが命取りだった。
    大きくバランスを崩し、鷲の動きが一瞬止まった。

  • 762音咲雛葉&リンドヴルム(雷星) 山星2020/04/18(Sat) 07:53:24ID:QyMTg0NjA(9/14)NG報告

    「Tempo up!からの……Disce libens(楽しんで学べ)」

    雛葉の命令に従い、宙に現れた大鎌とバトンが地面から現れた獣を切り刻む。それでも防げないほどに噛み喰らおうとする大量の獣。しかし、それらはサーヴァント同士が争っていた所から飛んできた雷撃によって打ち砕かれる。その瞬間、獣の一欠片を雛葉は掴み詠唱を行うと同時にその骨子を理解。それと同時に地面に手を付けながら、一言。

    「Initium sapientiae cognitio sui ipsius(自分自身を知ることこそが知恵の始まり)」

    それだけで、今地表に現れていたアスファルトの獣たちはバラバラに崩れ去る。そのまま十数m程距離を取った雛葉は、自身のいる近くの地面にバトンを突き刺し、悠然とレスリーを見つめる。

    「あなたも、私も、それなりに意地があって立っているんだと思う。私は、私の大事な人に向けた愛のためにここに立っている。だから、愛する人のためになっていると思えば今この状況も幸せなの。私には愛が溢れてて、そのために戦えているから」

    腕に結びついていたリボンを片手で解き、それが自動的に髪に結び直される。

    「私は音咲雛葉。かの音咲家の当主を務めさせていただいています。──────あなたの愛を、教えてください」

    バトン……否、杭を中心として地表から水が噴き出し、組み上がる。それは一つの建造物を思わせる形であり、その周囲には地表からレスリーの行使する獣が現れることはできない。……展開されているフィールドの権利を雛葉が握っているからだ。
    それと同時に、元素変換で現出させた水を分解し、それを火で爆撃とし獣たちを吹き飛ばし、雛葉が大鎌を携え、呪いを撒き散らし飛ばしながら呪詛の霊を纏わせ斬りかからんとす────

  • 763音咲雛葉&リンドヴルム(雷星) 山星2020/04/18(Sat) 07:53:45ID:QyMTg0NjA(10/14)NG報告

    「────ッ、ぜああっ!」

    大鷲をすり抜け、この一刀のもと切り捨てんとした時にマスターに襲いかかる危機。慌てて剣に纏わせた雷撃をそちらの方に飛ばしカバーをする。
    そして佇む敵方にボウガンから雷撃を撃ち出した際には、その雷は別の方向へと流されていく。
    ……避雷針。彼?はその籠手から避雷針を作り出したのだろう。全く器用なことだ。
    そして襲いくる大鷲を避け、事態は一気に転向する。先程までは驚愕と未知というアドバンテージをとっていたとしても、今はそれが薄く、何より相手は神獣と錬金術師のそれなのだから。

    「わかっていたかのような動き……マスターから聞いた話だが、錬金術の一つに己の思考を分割、並列で起動することにより高速演算を可能にする錬金があるらしいな。あなたがそれか」
    「さてな?本物の未来視ということもあるかもしれん。いいや、私が武芸者という線も捨てられんだろう」
    「そうだな………俺も永続で展開するわけにはいかないから。速いところ、決めさせてもらおう」

    その身に再び雷を纏う。剣も、ボウガンも、眩いほどに煌めいて。
    ──────黄金の王を打ち砕かんと、雷の剣技と矢が迸る。

  • 764ガイ2020/04/18(Sat) 09:41:45ID:g2MDk3MjI(1/4)NG報告

    >>763
    「音咲の娘か。なるほど、融合魔術による複数概念の掛け合わせ・・・・・・実際に目にしたのは初めてだが、興味深いな。このような場でなければ多くを聞いてみたいものだが、うまくいかぬものだ」

    天球が廻り、先ほどよりもはるかに強力な不可視の触手が生み出される。それは無数の鉄牙の獣と共に音咲に襲い掛かり、彼女の行く手を阻む。

    「私がここにいるのは、愛の為などではない。我が先祖が――そして、私が生涯をかけて心血を注いだ積み重ねの証明のためだ。特にお前の信条を否定する気はないが・・・・・・お前を討ち、一族の悲願、その先へと私は進ませてもらうぞ」

    『黄金天文時計(オルロイス・ゴールデナー・ティアクライス)』――レスリーの展開するこの魔術礼装は、そのすべてが「完全」の性質を持つ純金でできた機械仕掛けの球体であり、内外部構造が物理的に切り替わることによって演算および術式の発動を行う。その実態は小型化されたプラハの天文時計と近しいものである。内部に天球を再現することによりオドを引き込み、それらの星々そのものを外付けのサーキットとして非常に効率的な魔術運用ができる。その結果のひとつが、詠唱を放棄しての大魔術の連続行使である。この礼装がある限り、レスリーに魔力の枯渇は無いと言って差し支えないだろう。

    「それにしても、『どの魔術師よりも魔術師らしい』とも評された音咲の娘が『愛』を語るとは。怪老の死から何があった」

    ◆◆◆◆◆◆

  • 765ガイ2020/04/18(Sat) 09:42:02ID:g2MDk3MjI(2/4)NG報告

    >>764

    (あ、危なかった!しかし今の・・・・・・マスターを守った?)
    いや、それ自体に不思議はない。マスターがやられてしまっては、いくらサーヴァント同士の戦いに勝利したとしても、その時点で敗北なのだから。
    気になったのはその時の態度である。自身がルドルフ2世の宝具による攻撃にさらされた際にも動揺を見せなかった目の前のサーヴァントが、マスターの危機には明確な動揺を示したように見えた。自身に対する絶対的な自信によるものの可能性も考えられるが、先ほどからの加減や時間を気にする様子から見て――

    「待て、人を愛する竜よ!いや、竜王リンドヴルムよ!ここまでの、正体を隠した非礼を詫びよう。伝説の王に、このルドルフ2世は最大限の敬意を払う!」

    竜王リンドヴルム。醜い竜として生まれながら、一人の女性の愛によって善王として生まれ変わったデンマークの王だ。そうであるならば。苦しい現実の心の支えとして各地の英雄談に心を躍らせてきた身としては、自身の身分を隠すような無作法を働くわけにはいかない。

    「遅ればせながら名乗らせていただこう!わが名はルドルフ2世、魔術皇帝である!!あなたの為にも、ルドルフ2世の全力でもって決着とさせていただく!」

    「開かれよ、私の愛する金色の小道よ。そこは、すべての奇跡の故郷。すべての美が生まれし場所――『全て擁す黄金箱庭(ゴーゼン・メースト・プラハ)』!」

    周囲の空間が、きらびやかな都市に塗りつぶされていく。ルドルフ2世が愛し、また愛された魔術都市プラハが姿を現した。ルドルフ2世は宝具の展開により、四季を司る永遠の王、ウェルトゥムヌスとして降臨した。

  • 766山星2020/04/18(Sat) 11:41:13ID:QyMTg0NjA(11/14)NG報告

    「そう?やっぱり?お婆様が亡くなられた……私に殺されたっていう事件は魔術師らしいって言われてるんだね」

    何一つやましいことはない、そうやって言い切るかのごとく微笑みながら自分の陣地に飛び戻る。周知に数百年前に亡くなったと思われた魔術師が生きており、それを師として仰いでいた少女が殺したなどという事件、師父殺しとして魔術社会には評判なのだろう。その後の当主争いで成り上がったのも一因だ。

    「けどさ、順序が違うんだよ?私は別に自分がお婆様に殺されそうになったことは怒ってないの。うん。本当に。けど……さ。
    ─────お婆様は言ったの。私の大事な大事なお姉ちゃんを肉塊にしてやるって。だから、殺した。殴って潰して引き裂いて……なーんにも言わない肉塊になるまで。だって仕方ないよ、私の大事な人を壊そうとしたんだもん。
    当主争いもそう。私を潰すために私のお姉ちゃんにみんな手を出そうとしたから。『たかが女』『たかが子供』……そういう人たちはみんな叩き潰してきたけどね」

    自分に向かって飛んでくる大気の触手をレスリーの触覚の一部として『解析』、大気の一部として『分解』、そして私の領土の大気として『融合』させ、空気の刃として撃ち出す。この程度は防がれるだろうがそれでいい。しばらく撃ち合いを続ければいい。

    「愛っていうのはね。ふわふわしてて、甘くて、優しくて、綺麗で、心地良くて、煌めいて、とっても幸せになれるものなの。だから私はお姉ちゃんのために、お姉ちゃんの幸せのために働いてる時がとても幸せ。愛に生きてるって幸福なことなんだよ?」

    雛葉の語りに呼応するかのように大鎌が脈動する。呪いが噴き出し、周囲のマナを汚染する。雛葉自身からもオドが噴き出し、それを糧に水の増築はさらに進んでいく。止まらない、止まることを知らない。

    「愛があればなんでもできる。愛に殉じているのは幸せで、何よりも素敵なこと。こんな気持ちを知ってしまった以上、私はもう戻れない。お姉ちゃんのために全部を尽くす。それこそが私の、『音咲雛葉』としての命題だよ。
    だって、私はあの人への愛が全て。あの人のために私の全部を使って生きることこそが喜びなんだもの!」

  • 767山星2020/04/18(Sat) 11:41:40ID:QyMTg0NjA(12/14)NG報告

    戦場にあるまじき幸せに満ちた恍惚な顔。その異常性が在ると共に鎌で獣を切り裂くあたり意識は戦闘に向いている。全く持ってちぐはぐなもの。
    ──────そして、水の聖堂は出来上がる。聖堂から多くの水で出来た生物達が飛び出し、弾丸となってレスリーの獣達と撃ち合う。厄介払いは済んだ。改めて大鎌を携え、四属性の魔術を行使しながら、とびっきりの笑顔で突っ込んで。

    「─────私は愛に生きている!だから私は幸せで、だから私は負けられないの!」




    「────なるほど、プラハの錬金皇帝。あなただったか。確かに、あなたのその宝具から感じ取れる王威、俺の王の器よりも遥かに大きい。……正々堂々と、などとは言えないな。俺にはマスターを守る役目があるから。けれど……
    力の振り絞れる限り、俺もあなたとぶつかろう。故に、来い!」

    彼方から現れる巨大な竜。何処か機械を思わせる巨躯に迸る電気、煌めく星々のような宝石。ああ、これこそが北欧神代から存在し続けた竜の残滓。人の未来を想う竜である。

    「宝具、断片展開……『愛よ、雷の如く轟き流星の如く燃え盛れ!(リンドヴルム)』……完全な、展開が出来ないこと、許してほしい。あなたを打破するのであれば完全展開でなければ困難となるだろう。だが、それは俺のマスターの魔力を食い潰してしまう。……故に、どうか」

    あくまでも自身の最優先はマスター。もしものことがあればを考えれば、自分は何よりもマスターを最優先にするぞと言って、己が抜け殻である竜体に騎乗する。……一般サーヴァントと同等、つまりあの大鷲の神獣程度、もしくはそれ以下の力しか発揮できないがそれでいい。それと同時に自身も魔力放出を扱い、構える。

    「─────いくぞ!」

  • 768ガイ2020/04/18(Sat) 12:51:25ID:g2MDk3MjI(3/4)NG報告

    >>767
    「ぐっ、なんだと・・・・・・!?」

    レスリーは右目に鋭い痛みを感じた。同時に視界がかすみはじめ、自身の肉体が呪いに侵されつつあることに気が付いた。『黄金天文時計』に備わるマナ蒐集機能が裏目に出て、周囲から呪いを結界内へ引き込んでしまったのだ。自身の魔術の腕前に絶対の自信を持っていたために、また音咲の戦闘スタイルを接近戦だと決めつけていただけに見落としていた「穴」。これは彼にとって大きな衝撃だった。
    (なんという呪い!大気中のマナまで汚染するとは!このままでは・・・・・・)

    瞬時に魔術礼装の構成を組み替え、あらかじめ設定していた最後の魔術を発動させる。『黄金天文時計』が変成し、巨大な鎌を象った。自身の魂の一部を黄金とともに錬金し生み出した、クロノスがウラノスを退けた「人の祖ガイアの大鎌」の再現である。
    礼装の守りが解け、呪いの大気にさらされる。すでに喉をやられ声が出ないながら、レスリーは音咲に心の中で賞賛を贈った。よもや、完璧だと思っていた私の礼装を、こんな形で突破するとは。願わくば教師として先行きを見届けたかったものだ。
    他人を導くことに大した意味を感じていなかったレスリーにとって、この感覚は初めてのものだった。

    大鎌が周囲を薙ぐように振るわれ、その延長にある構造物が「繁栄」を奪われ砂へと還っていく。オリジナルにはほど遠いまがい物だが、直撃すれば大きな損傷を受けることは間違いないだろう。

    ◆◆◆◆◆◆

    「力を貸してくれ、プラハの守護、レーヴのゴーレムよ!」

    ルドルフ2世の立っている大地が裂け、黄金の巨人が姿を現す。
    正確には「ラヴィ・レーヴのゴーレム」そのものではないが、その伝承がプラハにおける信仰によって実体化したものだ。刻まれる文字は「mash」。黄金都市を荒らす敵を粉砕するため、ゴーレムは敵に襲い掛かる。

  • 769山星2020/04/18(Sat) 15:19:08ID:QyMTg0NjA(13/14)NG報告

    「──────はぁっ!」

    大きく振り切った呪炎の鎌と自動で刈り取ろうとする黄金の鎌がぶつかり合う。一合交えた時点で遥か遠くにバックステップを取り、聖堂から大量の水弾を撃ち出すが、それら全ても鎌の刃が触れるだけで形を失い、ただの液体と化し、地面に落ちていく。

    「魔力を……生命を奪い取る刃。嫌だなぁ、魔術師には天敵じゃん」
    ヒビが入った自らの大鎌を納め、髪を解く。いつも最後に私を助けてくれるのは愛しのお姉ちゃんがくれたこのリボン。ああ、やっぱり私の愛は間違っていないのだ。

    「私にそのような目を向けてくれるあなたは、きっと魔術師として正しい。悪い事は言わないから、素直に殺し合いからは足を引いた方がいい……とも思います。ただでさえ亜種聖杯戦争で魔術師の減りが多い昨今なのですから」

    そう言いながら、リボンを持って駆ける。リボンをワイヤーのように駆使して木を駆け上がったり、すんでのところで避けるなどの立体起動。当たればアウト、掠ってもアウト……ぶっちゃけジリ貧だろう。だからこそ、雛葉は強化魔術を選択した。これならば自分の魔力消費を抑え、『ライダーに全力を使わせる』ことに注力できる。



    「っ─────保てよ、俺の竜体っ!」

    意志なき抜け殻とはいえ、それはリンドの意識とリンクしている。リンドの思うがまま、手足や指先のように動く竜は爪を振るい、ブレスを吐き散らし、敵対せしゴーレム達を打ち砕かんとする。

    「っ、数が多い!それにゴーレム以外の多数の錬金術………ルドルフ殿、貴方はこの都市を築いた偉大なる王だ。俺のような若輩者たる王が何をできるかはわからないが……しかし!」

    竜体から飛び出し、自分自身に雷を纏わせ突撃する。刃の一閃でゴーレムの身体を砕き、一矢で頭を砕く。

  • 770山星2020/04/18(Sat) 15:19:53ID:QyMTg0NjA(14/14)NG報告

    「俺はマスターの誇りを背負っている。ここで負けるわけにはいかないんだっ!」

    自分に供給される魔力が増えた。恐らくマスターが意図的にこちらに流れる魔力を増加させたのだろう。念話で状況を伺えばあちらは相当手詰まりの状況なのだと察せられる。

    「っ、あああっ!」
    黄金の槍が、刃が、リンドを切り裂く。一つの都市の中に紛れ込んだ青年一人に対し、錬金術は容赦なくその身を打ち据えるのだから。そしてついに、リンドを包むように黄金の刃が降り注がんとした時─────

    「ここだっ……!『雷鳴啼き巻き遊歩す星よ』!」
    リンドの持つボウガンから放たれたのは今までのような雷矢ではなく、撃ち放たれた先にいる対象全てを焼き滅ぼす竜の雷。それは物質的な性質ではない、この世ならざる神秘の力。故に、黄金、ゴーレム、避雷針、その全てを構わず焼き焦がす。……ルドルフ二世は無傷のようだが、それでいい。

    「っ、ぐ……がぁっ!」
    魔力放出を使い、流星のように駆け抜けた先に待つは大鎌を避け続けている己がマスター。黄金の大鎌を雷撃で留め、その隙にマスターを腕に抱く。

    「………無事か」「うん。ありがとう。じゃあ撤退しよう」
    黄金を操る主従……彼等をじっと見据えて、マスターとサーヴァントが各々口を開く。

    「サルバドーレさん、貴方の力、実によくわかりました。また今度会う時は私も自らの決着術式(ファイナリティ)を以てお相手します。……強いから会いたくないんだけど!」
    「ルドルフ二世。あなたの王としての在り方、あの宝具で充分感じ取れたよ。……自分のような未熟者が何処まで通用するかと思ったものだが、やはり上手くいかない。では、これで。俺はあなたを尊敬している」

    雛葉とリンドヴルム。彼等は瞬く間に、雷に纏われて去っていった。

  • 771ガイ2020/04/18(Sat) 18:16:55ID:g2MDk3MjI(4/4)NG報告

    >>770
    (身を引いた方がいい、だと?わからんことを。それができるのなら、お前もとっくにそうしているはずだろう)
    レスリーは、先ほどまで刃を交えていた強敵が消えた方向を見据えていた。
    危険など、あのロード・エルメロイが敗れたと知ったあの日からとっくに承知の上だ。それを乗り越えてでも成し遂げたいことがある。他人や、世界のことではないがために自分の力でなさねばならない夢が彼にはあった。

    「マスター!見たところ呪いを受けているようなのがルドルフ2世には心配なのだが、大丈夫なのか?」

    隣に駆け寄ってきた自らのサーヴァントに、レスリーはぶっきらぼうにしゃがれた声をかける。

    「・・・・・・工房に戻るぞ。『黄金天文時計』の機能に穴が見つかった。調整しなければ」

    聖杯戦争はまだ始まったばかりだ。このタイミングで欠点が示されたのは、逆に幸運だったといえるだろう。次の戦闘までには、より一層完成度を高めておかなくては・・・・・・

  • 772覇久間術中納言2020/04/18(Sat) 19:23:44ID:c4NzA3OTY(5/22)NG報告

     ──「私の出会う人は皆、ある意味で私の先輩だ」というラルフ・ワルド・エマーソンの言葉がある。人にはそれぞれ長所ないし人生上の研究対象があり、その点では誰しもが誰かの先輩後輩になるということだ。
     実際、そうだと思う。今まで生きてきた中で出会った人はいずれも優れた部分があって、それに何度も助けられてきた。
     この場で、自分は紛れもなく後輩で、周りは先輩だ。何についてかというと、それは勿論、魔術についての。きっと、周りはもっと魔術に造詣深く、明るく、一日どころではない長がある。
     「戦争」なのだから、彼らは当然敵であり、悠長に教えを乞うなど出来ない。それでも、魔術師だって人だ。無闇な争いは好まない筈で、こちらに敵意がないと話せば分かり合える。たぶん。
     それに、もし仮に魔術師が皆ろくでなし──もとい、良心が欠如していたとしても、サーヴァントがいる。サーヴァントは間違いなく先達だ。あまり詳しくはないが、きっと何か情報とか知識が得られる筈だ。
     ホテルの自室、魔方陣の前で、もう一度よく手順と詠唱を確認する。読み返す度に思うが、他の魔術師たちはこういうの恥ずかしくないのだろうか。難しい言葉の羅列を声高に詠唱している時に人に見られたら、とかは考えないのか、それとも何らかの対策をしているのか。

  • 773覇久間術中納言2020/04/18(Sat) 19:25:28ID:c4NzA3OTY(6/22)NG報告

    >>772
     対策らしい対策も出来ない郁は、朝に昨夜の分の食事を摂り、覇久間市内で人目の少なそうな場所を探した。結局見つからず、仕方なく自室で執り行うことになったのだが。
     手紙も出せなかった。外を一瞥すると、もう宵から夜へと空が移り変わろうとしている。こうなれば自棄だ。恥ずかしいことは手早く終わらせるに限る。
     一つ、長く息を吐き。一つ、短く息を吸う。
    「──素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で…」
     眼前の魔方陣に向け、慎重に言葉を紡いでいく。一文一文、一言一言告げる毎に魔方陣が淡い光を宿す。カーテンを閉めておいて良かった、と安堵し、慌てて思考を戻す。
    「…汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ────!」
     光は止まることなく強さを増していき、最後の一節へ移った時には、室内に恒星が現れたようなほどに強烈になっていた。
     果たして、詠唱の最後の一字が口から出でた。急激に明るさが増し、瞬間、破裂する。思わず目を閉じ、顔を覆った。
     指と指の隙間から、室内が段々と元の暗さへ戻っていく過程が見え。そして、次に視界に入ったのは、一人の男だった。
     薄い配色の和装は、随所が正規のものとは違い、動かしやすいように加工が施されていた。それでも、全身から一種の近寄りがたい──謂わば「神々しさ」があった。

  • 774覇久間術中納言2020/04/18(Sat) 19:26:34ID:c4NzA3OTY(7/22)NG報告

    >>773
    「ひふみ よいむなや こともちろらね 
     しきる ゆゐつわぬ そをたはめくか 
     うおえ にさりへて のますあせゑほれけ」
     目深に笠を被った男は、朗々と何事かを唱えた。聞き馴染みのない、呪文のような奇怪な言葉が紡がれていく。
     三度ほど、その詠唱を繰り返した男が、ふっと顔を上げる。しなやかな曲線の双眉、しっかりと線を引く鼻筋、弓のようにつり上がった口からは、不敵さと泰然とした人となりが滲んでいる。
     笠をむずと掴み、手の上で手繰るように遊ばせたかと思うと、ぶんと放り投げる。そして、次にこちらに見せた表情は──
    「…この、ナウでヤングでちょべりぐなキャスター!柿本人麻呂を喚んだのは、其方か?」
     みょうちきりんな単語を並べた紹介に似合った、どこか気の抜ける、清々しいほど明け透けな喜色だった。

  • 775覇久間術中納言2020/04/18(Sat) 19:27:50ID:c4NzA3OTY(8/22)NG報告

    >>774
    以上、覇久間聖杯戦争キャスター陣営4/29「合縁奇縁」でした

  • 776ディック2020/04/18(Sat) 21:41:18ID:M5ODQwMDY(1/4)NG報告

    「美味しいです!これが日本の焼き餃子!暴力的な旨味、全身を百手巨人(ヘカントケイル)に殴られているような衝撃!」
    「……痛そうだね」
    「あなたは食べないのですか?」
    「アタシはいいよ。朝ごはんもう食べちゃったし」
    餃子を食べて美味しさに悶絶する北欧美人に夏美が微苦笑する。夏美はこれから登校する──遅刻はこの時点で確実である──ので臭いが気になり、食事は控えるが目の前の少女はぱくぱくと食べていた。
     覇久間市東部にある覇久間駅で出会ったブリュンヒルド・ヤルンテイン。燻んだ銀色の髪に、金糸雀色の瞳を持つ美少女。
    彼女はただの旅行客ではなく──魔術師であることはすぐにわかった。不可視のルーンで姿を消していたのだ。魔術による隠蔽に気づいた夏美は何事かと思い、土地の管理者としても気になるので声をかけて見れば、捨てられた子犬のような様子で思わずこのようにお店を紹介して食事させてしまったのだ。
    「まさか不可視のルーンをかけていたことを忘れていたなんて……。アタシは妖精眼があったから見抜けたから良かったけど」
     夏美の指摘にブリュンヒルドの顔が羞恥で赤くなる。
    「本当にありがとうございました。教えてくれなかったらどうなっていたことか……それにこんな美味しい餃子を食べられるお店まで紹介していただけるだなんて、あなたとであるとは、オーディンのお導きに感謝を!」
    「大袈裟だよ~」
     最初はなよなよとしていた態度だったが、お店を紹介してこのように食事に舌鼓を打てばすっかり夏美に懐いていた。
     子犬に餌付けしている気分だと、夏美は思った。露出も多い刺激的な服装ながら反応は朴訥としている。なんというか、色々と勿体無いと思う少女。今日が休日ならば近くのショッピングモールへ連れ込んで色々と弄りたくなる。

  • 777ディック2020/04/18(Sat) 21:41:59ID:M5ODQwMDY(2/4)NG報告

    >>776
    「それにしても、自由気ままな旅か……。アタシも、どこか行ってみたいな」
     身を自由にして旅行にしてきた、ブリュンヒルド。当主として就いて以来、いや魔術師の家の子になってから旅行した覚えがない。
    「え?夏美さんはどこ行きたいの?」
    「……んー、どこだろう」
    「ええ~」
    「ゴメンって、つい思ったこと言っちゃったみたい。それに色々と忙しいから旅行行ける時間はないかな」
    「土地の管理者って大変そうですねー、知らないけど」
    「うわ……適当だなぁ」
     夏美は話していてやっと気付いた。行きたい所なんて無いって事に。
    (どうやらアタシはどこかに行きたかったのではなく、どこかへ行ってしまいたかったのか)
     自分の力だけで生活する事ができればそこが自分の居場所になるんじゃないかと思った。そのために魔術師として鍛錬を重ねてきた。そしてその夢は叶って現実となり……それが認められて当主となった。
    ここにさえ着けば ここにさえ居続けられれば、あれもこれもと多くを望まなければ停滞を受け入れてしまえば思考を停止してしまえればもうここはゴールで、そしてもう一度嵐の中に飛び込んで次の場所へ向かう理由を夏美はもうすでに何ひとつ持ってなかった。
    (やば、どんどんネガティブなこと考えている。聖杯戦争も始まったのに……はあ、重症だなぁ)

  • 778ディック2020/04/18(Sat) 21:42:43ID:M5ODQwMDY(3/4)NG報告

    >>777
    「さっきホテルの予約しておいたから、ごはん食べ終わったら案内するわね」
     夏美がブリュンヒルドの懐事情も聴いた上で予約したのは、関東でもランクが高い最高級ホテル・ティータニア。
     聖杯戦争の最中に来訪した魔術師。これから聖杯に選ばれる可能性があるならば、彼女の所在も自分が把握できるほうが良いだろう。
     その後、二人は雑談を交わしながらホテルまで夏美に案内されて、ブリュンヒルドは無事にホテルに到着する。一階のフロントへ向かい、夏美は「先程お電話したヤルンテインですけど」と予約で使ったブリュンヒルドの名前を名乗る。するとチェックインは三十二階の専用フロントになるという話で、ベルボーイが荷物を持ってエレベーターへ案内する。
     専用フロントのカウンターはラウンジバーの出入口に作られた一人用デスクで、利用者が少なくサービスが密なことを示している。
     ブリュンヒルドは宿泊名簿に住所と名前を書く。先に宿泊料金のほぼ二倍の預かり金を入れるシステムだと聞いていたのでフロントの女性に言われるがまま札を数えて渡す。チェックアウトで精算して差額を返すという話だった。
     手続きと引き替えに金色のカードキーをブリュンヒルドが受け取るとベルボーイがまた案内を再開する。
     部屋に案内され、ベルボーイが去ってからブリュンヒルドは夏美に大きく頭を下げた。
    「何から何まで……本当にありがとうございます」
    「いいよ、気にしないで。今度は不可視のルーンのかけっぱなしには気を付けてね」
     それは持ち出さないで!とブリュンヒルドは内心羞恥で叫びたくなる。
    「も、もうしません!というかあれは十年に一度の過ちであってそう何度もありえません!」
    「あはは~ゴメンゴメン、ちょっと言い過ぎたかな?けど、往来で魔術はあんまり使って欲しくなんだよ、ブリュンヒルドさん!」
    「もう、わかったわよ」
    むくれたブリュンヒルドが部屋に入っていった。

  • 779ディック2020/04/18(Sat) 21:43:04ID:M5ODQwMDY(4/4)NG報告

    >>778
    ライダー陣営朝パート終わりました。

  • 780アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:43:20ID:IxMTEwMDY(5/16)NG報告

    「芽衣、君には猜野に連なる者として聖杯戦争に参加してもらう」

    それが、猜野本家の邸宅にたまたま立ち寄った私が受けた言葉であった。
    戦争なんていう厄介事に、聖杯という聖なる単語がくっついている奇妙な造語。
    正直、タチの悪い冗談だと思った。
    或いはドッキリを疑ったが、生憎とわざわざそんなモノを仕掛けられるほど私はタレントとして大成していない。
    事の発端は実の姉である猜野 聖からの電話であった

  • 781アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:43:58ID:IxMTEwMDY(6/16)NG報告

    >>780
    ─────────────

    『もしもし、芽衣〜?調子はどうだー。アナウンサーには慣れたか〜?』
    電話越しで陽気な声をあげているのが聖。これで私より三つも上なんだから信じられない。
    「いきなり電話かけてきて何よ?あと、私が目指してるのは『お天気のお姉さん』であってアナウンサーじゃないの。一口に天気予報コーナーの担当と言ってもね……」
    『あー、長くなりそうだからいいや。それにいきなりって言うけどアンタだって私を避けるように行動して滅多にコンタクト取ってくれないんだから仕方なく無い?お姉ちゃん悲しいな〜』
    「両親の言うような迷信を真に受けて超能力研究なんて方向に突っ走るような人とは関わりなんて持ちたくないの。肉親なら尚更ね。」
    「アンタのだって安定性の無さだったらどっこいだと思うけど……。そんなに野球選手と結婚したいのか〜?ん〜?」
    「偏見やめて。野球選手と結婚したのは聖の推してた女性声優の話でしょ」
    「おい、テメェ!そこに触れたら戦争だろうがッッ!!」
    「聖から雑に話題振ってきたんでしょうが……それで?用がないなら切るけど?」
    私がそう告げると聖は「おっと、いけねぇ。脱線したわ」と持ち直してから本題に入った。
    「実はさー、芽衣に調べ物して欲しいんだけど〜」
    「嫌だ、忙しい。」
    「断るの早くない!?いいじゃん、地方ロケとかの参考になるかもしれないし!!」
    「私は今、国家試験を取るために勉強中なの。聖のオカルト研究なんかに付き合ってる暇はない」
    私はにべもなく突っ撥ねるが、聖は食い下がり話を続けた。
    「ちゃんとお金払うから!これはお願いじゃなくて依頼なの!芽衣、お金があるに越したことはないでしょ!」

  • 782アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:44:41ID:IxMTEwMDY(7/16)NG報告

    >>781
    「そうやって、お金にばっか頼ってると信用無くすよ?」
    「知るか!というか妹に頼ってる時点で私の交友関係なんてたかが知れてるんだよ!」
    恥じるでもなく告げる聖に私は呆れた顔をした。
    聖は要領が良くて、パッと見華やかなのだが……如何せんオカルト志向一直線なその在り方から人を寄せつけないオーラを放っている。我が姉ながら残念は女(ヒト)だ。
    しかし、聖の言うことも事実だ。養成所に通いながらバイトをして、更には合間を見て試験勉強をしている私にはとにかく時間が無い。
    バイトの時間を削れればいいのだが、そうなると生活するのも苦しくなる。
    対して聖の依頼は短期間でかなりの金額のお給金が手に入る。
    どこにそんな需要があるのかは定かではないが、以外にも儲かる仕事らしく、実は私が聖の依頼を受けるのは今回が初めてではないのだ。
    故に今回も請け負ってくれると確信して私に電話をかけてきたのだろう。
    奴の思い通りに事が運ぶのは気が進まないが、生活費には変えられないのだから仕方ない。
    「それで、私は今回どこに行けばいいの?」
    「引き受けてくれるの!?ありがとう、愛してるぜマイシスター!」
    そんな事を白々しく吐き捨てながら、聖は続ける。
    「今回は芽衣も知ってるところだよ。覇久間!」
    「覇久間って猜野の本家のあるところだよね」
    「そうそう、子供の頃行ったよなぁー」
    猜野は結構大きな家でうちは分家にあたるらしい。よく知らないけど。
    「で、今回は何について調べればいいの?どうせ胡散臭い奴だろうけど……」
    「よくぞ、聞いてくれた!今回の調査内容は『夜の街を駆ける七人ミサキ!呪い師による霊体降ろしの儀式の実態!』だ!」

  • 783アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:45:17ID:IxMTEwMDY(8/16)NG報告

    >>782
    「胡散臭ッ!!」
    ノリノリな聖の解説を聴きながら、私は何度目かも覚えていない溜息をついたのだった。

    ─────────────

    で、その胡散臭い話と似たような事を猜野本家の人が私の目の前でご高説を垂れていたわけだ。信じられるわけが無い。
    聖杯、英霊召喚、サーヴァント、マスター……
    複雑な要素に頭がパンクしそうになる。何より私はオカルトの類を一切信じていないというのに。
    『私達の子孫はかの陰陽師、安倍晴明である』なんて話を両親や姉だけでなく、本家の方々まで信じ込んでいるなんて……。
    しかし、仮にも関係上は分家と本家。本家の人間に頭を下げられては意識せずには居られない。
    無下にしてしまえば、どんな扱いを受けるか分からないし……適当に口裏を合わせた。
    今思えば、アレが最初の過ち。断って一目散に逃げれば良かったのに……。

    開けた庭に呼び出され、大きな魔法陣?の描かれた地の手前に立つ。
    この辺、風水とかに影響ないのかな?とどうでもいいことを考えていた。
    「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。」
    そのまま、教えられた呪文を復唱する。仰々しい呪文の意味は分からないが、雰囲気に身を任せる。

  • 784アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:45:46ID:IxMTEwMDY(9/16)NG報告

    >>783
    「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───! 」
    詠唱が終わると、円の中心に一際強い風が吹く。
    この期に及んでも私はオカルトなんて信じていない。
    手の込んだ演出だなぁ……と思っただけだった。
    やがて突風は中心で収束し──一際強い風の渦を生み出した。
    「え!?」
    聞いていた話と違う。
    完全に信じ込んでいた訳では無いが、聖杯戦争とはヤマトタケルのような英雄や織田信長のようか偉人の霊を召喚する儀式と聞いていた。
    だと言うのに、目の前に現れたのは水……否、雨を纏った風の渦。規模こそ小さいが、それは正しく
    「……ハリケーン?」
    仮にも天気に纏わる仕事を志すモノとしての直感が目の前のそれを気象現象のソレと認識したのだ。
    その声に目の前の竜巻が呼応する。
    「Are you、 My Ma、sSStEERRRRR── !!?!?」
    竜巻が言葉を発しようとするが、異常があったのか告げる声はノイズがかったものだった。それに伴い、渦も形を崩す
    「何?どうし───痛ッッ!」
    異常を察した私が様子を伺おうとするが、直後に私の眼が疼き痛みだす。
    私の眼から何かが起こり、目の前の風に乗ってソレを汚染する。
    やがて、風が一瞬だけ人のカタチを取ったかと思うと、やはりそのカタチを崩し竜巻へと拡大変容する。

  • 785アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:50:27ID:IxMTEwMDY(10/16)NG報告

    >>784
    「クッ、クハハハハハハハハハハハ!!」
    大笑が木霊する。それは世界全てに届くような尊大な声。
    竜巻が揺らめく。自然と私は自身がソレに見られているのだと理解した。
    「クハハ、芽衣よ。よくぞ我を降ろすに相応しい器を用意した。褒めてやろう」
    何様だと責めたくなるような偉そうな態度ではあるが、それをしようとは思えなかった。
    目の前のソレに歯向かってはならない。神も仏も信じていないけど、その凄まじさは理解した。
    目の前のソレは紛れもない天災なのだ。敵意を抱くことすら無意味だ。
    「クハハ、せっかくの我と芽衣の逢瀬だと言うのに……下賎な虫がいるな。消え失せよ。我等の睦み合いは貴様らの見せ物ではない。」
    やがて、ソレは周囲を見渡すと、不機嫌そうに渦を揺らしてから吐き捨てる。
    そのまま暴風を起こし、猜野本家の式神とやらを破壊した。
    「ふむ、此処は術師の類が多すぎる。場所を帰るべきか。芽衣よ、我に身を委ねるがいい」
    風が私の周囲を取り囲む。風と共に巻き起こる雨が私の衣服と身体を濡らした。
    「ちょっ、何を……やめ」
    逃げようとするが、ただの一般人が意志を持った災害に勝てるわけもなく、私はただ流れのままに巻き上げられる。
    「では、行こうか!愛の逃避行、というヤツだ!クハハハハ!」
    まるで、『オズの魔法使い』のドロシーのように、私は旅行用のキャリーバッグのみを持って、台風に攫われたのだった……

  • 786アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:51:26ID:IxMTEwMDY(11/16)NG報告

    >>785
    ─────────────

    『消え失せよ。我等の睦み合いは貴様らの見せ物ではない。』
    その言葉を最後に現界したサーヴァントは召喚者である芽衣を連れてきて空に消えた。
    アレは如何なる英霊か──否、英霊であるかも定かではない。
    嵐や風に纏わる英霊は珍しくない。
    ローマの神祖ロムルスは嵐と共に去り神となった。
    インドの神猿ハヌマーンは風神ヴァーユを父に持ち、自身もラーマの供として英雄の側面を持っている。
    だが、芽衣の呼び出したソレは英雄と称することも憚られる異質なモノだ。反英雄であるかすら怪しい。
    カタチを持たぬ暴威の具現。魔術的な意味合いを嵐ではなく、文字通りの現象としての台風。
    サーヴァントとして召喚される異常何らかのカタチで人類史に付属する側面を持っているはずだが、てんで分からなかつた。
    そして、最後に明確な変質を経てからの行動。
    アレによってあのサーヴァントの根幹は歪んだカタチで確定したのだろう。
    人類を見下すが如き傲慢、時として人類から供物となる者を選定し、奪い去る凱旋。
    そう、正しくアレは……
    「よりにもよって……芽衣が『神霊』の類を召喚せしめた、というのか……?」
    ともかく、制御不能な狂戦士に唯一の駒をかっさらわれた猜野の術師一同は頭を抱えた。

  • 787アリウム&かねたけちゃん◆kBuHl0BYAI2020/04/19(Sun) 13:52:42ID:IxMTEwMDY(12/16)NG報告

    >>786
    覇久間聖杯戦争バーサーカー陣営 4/29 『嵐は突然に』 了

  • 788イオン@覇久間槍陣営2020/04/19(Sun) 14:50:29ID:M0NjYzNDA(1/4)NG報告

    半日近く費やして会話をした。色んな話をした。そして得た感想は―――
    「まるで意味がわからないぞ…?」
    「何でです!?」
    『ツキヨミ様にお仕えする奉仕種族』『宇宙人ではない』『月に住んでいた』。これがランサーの主張する経歴である。
    当然そんな逸話を持つ英霊をローガンは知らないし、たよりのインターネットでさえ的外れな検索結果を表示してくる。クレイドル家の魔術師として月に関する伝説は詳しい自覚はある。確かに東洋には『月には兎が住んでいる』という言い伝えがある。あるが……
    「それは月のクレーターが兎の形に見えることから生まれた信仰だ!そんなあやふやな信仰で英霊一人、三騎士クラスで召喚されるものか!」
    「されてる、です!兎(わたし)はちゃんと実在してたですー!」
    ぎゃあぎゃあと言い合いをする兎達。やれ宇宙人だの何だのと騒ぎ合っていた所、ついにランサーが言い出した。
    「じゃあわかったです!そんなにグチグチ言うなら黙らせるです!兎(わたし)の力をお見せするです!」 
    ローガンが止める間もなく、ぐいぐいと自分のマスターを引きずって行くランサー。バタバタと支度をするローガン。
    かくしてランサー陣営は聖杯戦争に繰り出したのだった。
     

  • 789イオン@覇久間槍陣営2020/04/19(Sun) 14:52:20ID:M0NjYzNDA(2/4)NG報告

    >>788◇◇◇
    夜の街を歩く白髪の男女。男の方はローガン。革のジャケットを着て目つきが悪い為に、不良に見える。女の方はサーヴァント、ランサー玉兎。肩を露出した服を着て夜の街をうろつく姿は如何わしい雰囲気を醸し出している。
    「そういえばマスター、その白髪はどうしてそうなったんです?」
    「髪を銀色にしようと魔術使ったら失敗したんだ。ケチらずにヘアカラー使えば良かった…。お陰で『ローグバニー』なんてあだ名をつけられちまった…」
    それを聞いてクスクスと笑うランサー。
    「兎繋がりです、何だか運命感じちゃうです」
    と軽口まで叩いてくる。運命とか軽い気持ちで言われるとローガンは何となく悩んでしまう。

    だから『ソレ』に気づいたのは何かの知らせが働いたとしか思えない程の幸運だった。
     
    悪寒を感じて立ち止まる。ランサーもそれに倣ってローガンの隣に並ぶ。その一瞬後に目の前の地面が弾け飛んだ。

    「なっ―――!」
    爆破の勢いで吹き飛ぶローガン。しかし、地面を転がることはなく、ドスッとランサーに受け止められる。
    「マスター、大丈夫です?」
    「………すまん、助かったよ、ランサー」
    支えを得て起き上がろうとするローガンに空から声が聞こえて来た。
    「ほう、運が良いな人間。オレの一撃を避けるとは…」
    「今あなた恥をかいてるって分かる?散々こき下ろした人間を、一撃で仕留められてないのだから」
    ローガンが見上げるとそこには少女が一人、宙に浮いていた。

  • 790イオン@覇久間槍陣営2020/04/19(Sun) 14:53:51ID:M0NjYzNDA(3/4)NG報告

    >>789
    聖職者に似た清涼感を思わせる大人びた少女。シースルーでレースが編まれた白い儀礼用の外套に、随所に金や、宝石を用いた輪状の装飾品と、体に密着する純黒の神官装束を纏う褐色肌。全能感と威圧感を両立した底知れない透明感のある眼を有しており、常人では窺い知れない視野をもつことを思わせる。このひと目で分かる『只者では無い』気配。聖杯戦争の参加者であるローガンはこの少女がどういった存在かをすぐに把握した。
    「こいつは…サーヴァントか!」
    「然り!刮目せよ、我が名は―――」
    少女の背後に立つ『何か』が高らかに宣言しようとした時、少女はすかさず背後に蹴りを入れた。
    「ちょっと黙ってなさい。初回から真名バラしとか馬鹿のやることですよ?あなたはそこまで愚鈍だったかしら?」
    悶絶のうめき声をあげている背後の『何か』に目を向けることなく、少女はランサーとローガンを見下ろした。
    「サーヴァント、アサシン。これで十分でしょう?ウサギさん」
    聖杯戦争参加者のサーヴァントが相見えたのだ。ならばすべきことはただ一つ。
    すなわち、相手を倒せ。霊核を潰し、首を折り、自らのマスターに勝利を捧げる事。ランサーにとってそれは自然なことであり、ローガンもまた聖杯戦争を理解していた。
    「マスター、離れててくださいです。今から兎(わたし)、少し荒っぽくなるです」
    槍を現出させて構えを取るランサー。互いに共通の理解があるのなら、これはただの確認作業に過ぎない。
    身につけた礼装に魔力を全開でまわす。『月影:Ⅱ(ムーンクレイドル)』に貯めた僅かな魔力すらも使い切る勢いで自分のサーヴァントに力を貸す。
    「あぁ…!ランサー、君の力を見せてみろ!」
    「承知したですマスター!ぶっ飛ばしてやるです!」

  • 791イオン@覇久間槍陣営2020/04/19(Sun) 14:55:31ID:M0NjYzNDA(4/4)NG報告

    >>790
    臨戦態勢となったランサーを少女の背後にいる『何か』―――ゲーティアが嘲笑するように言い放つ。
    「ハッ!愚かしい!人ならざる身にして、人間の為に槍を取るなど!」
    「いいじゃない。素直で可愛らしいわ。それに―――」
    ニヤリ、と。口角を挙げて妖艶に微笑む。獲物を目にした肉食動物のような、ギラギラした瞳をランサーに向けて。
    「獲物が抗ってくる時こそ、狩りの醍醐味でしょう!?」

    いざ覇久間聖杯戦争。ここに開幕。









    ランサー陣営4/29夜 『兎、天上を見上げる』

  • 792ディック2020/04/19(Sun) 17:42:56ID:MyNzA4ODA(1/1)NG報告

     覇久間にある旧住宅地。ベットタウン化するより以前よりの住民が多く住む区画に、蒲池夏美の家がある。その蒲池邸の地下の工房で、儀式の準備が執り行われていた。
     夏美が描く魔法陣は生贄の血などではなく水銀によるものだ。祭壇の上に載せられた聖遺物は無銘の業物の刀。古代の太刀が中世の湾刀に移り変わる過渡期に属する刀だ。
     夏美は白い襦袢を纏い、身を清めるために浴びた冷水によって濡れている。それは清廉であっても、匂い出す女のなまめかしい香はいかんともとどめがたい風情があった。
    「──誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者──」
     詠唱を紡ぐ夏美の視界が暗くなり、身体に刻み込まれた蒲池家伝来の魔術刻印が、夏美の術を掩護するべく、それ単体で独自の詠唱を紡ぎ出す。魔術回路が蠕動する発熱に、最高級の白磁のような肌が火照る。
    「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
     そう呪禱の結びをつけるとともに、夏美は身体に流れ込む魔力の奔流を限界まで加速させる。
     逆巻く風と雷光、召喚の紋様が燦然と輝きを放つ。
    凛冽なる誰何の声が響き渡る。
    「問おう。汝が俺を招きしマスターか」
     坂東一の荒武者、護国の守護神が地上へと降臨した。

    4/28 夜 ライダー陣営:『板東一の荒武者』了

  • 793愉悦部inクローディアァ!2020/04/19(Sun) 18:37:59ID:k4MDgxNDE(18/24)NG報告

    「これは、分断されたかな?」

    セイバーと思わしき少女に他の二人が剣撃で追いやられたことを鑑みるに明瞭とした事実をアルトリウスは口に出す。
    相対するは魔術師然としたカルデアのサーヴァント。
    酒に酔い、酩酊した頭でもサーヴァント位階として定石としてすらなるもの。

    「キャスターがライダー相手に真っ向勝負なんて正気か?」
    「ええもちろん。私は私として正気です。やりようがあるからこそ貴方を相手に選んだものですとも」
    キャスターは余裕を以て穏やかに口許を弛ませる。
    「ならば、その口を試させてもらう!!」

    平時ならば警戒を心奥に置いて出方を窺っていたであろうが今のアルトリウスは酒の影響であっという間に沸点が登り、嵐の如き魔力を纏い、大地を抉らせながら突貫する。
    ふっ──、とキャスターは息をつき自らの宝具(魔本)へと命じる。Bランクの魔術行使が通じなかったのならギアを上げるまで。
    地に描かれた魔法陣から火柱が噴出し、アルトリウスを包み込む。つかの間に炎を切り裂き突破。火の粉散るその鎧に損傷は無傷。

    (Aランクの魔術でも傷が付かない……!?となるとあのセイバーの対魔力は騎士王と同じくA+ランク……?いや)

    それは余りにも早計。ここで倒すのが目的でないのだから焦ることも無し。そう自身に言い聞かせさらなるカードを切ることを判断する。聖杯戦争であればカードを無暗矢鱈に切ることは愚の骨頂であるが、これは聖杯探索。自身の手の内が露見しようと仲間がその情報を得手へと変えてくれる。
    そうと、戦況を視つつ、己が精神世界へと埋没していく──。

  • 794愉悦部inクローディアァ!2020/04/19(Sun) 18:38:43ID:k4MDgxNDE(19/24)NG報告

    >>793

    「宙はここに。位相は慈悲(ケセド)。大いなる錫にて、遠方の貴石。隕鉄の矢を以ってこれを潅がん!」
    詠唱によって紐解かれる理は大いなる力。その高位なる存在の鉄槌。それが導いた神秘はすぐさまに顕れた。
    「む……!」
    彼方の宇宙。木星に漂う氷結粒子。それが蒼き尾を引いてアルトリウスに向けて飛来する。
    神の如き魔術。物質的な破壊力と最高位に近い神秘を織り交ぜた凶星。これは流石に対魔力スキルでは防がれはしないだろう。
    そう判断したアルトリウスは『顕現する騎士達の物語(アームド・キャメロット)』から一つの盾を取り出す。
    「日は闇夜に堕ち、境は新たなる路を示す──。『光闇暮れ湛える導きの盾(ウィネブ・グルスヴッヘル)』!」
    顕れたるは銀と黒。二つの色が橙のラインに吸い込まれるような精巧な盾。アーサー王が所持していた宝具の1つ。
    妖精が鍛えし『夕べの顔』の異名を持つ妖盾。
    太陽と月。朝と夜。日を二分する二極の側面の間。夕暮れを象った盾は境界を拓き、第三の世界線を開く。盾が展開した次元の裂け目にアルトリウス自身に直撃するであろう礫達が吸い込まれていく。
    キャスターが目を見開き、驚愕を露にする。それもそうだ。剣使いと見越した相手が盾の宝具を使用する。宝具はサーヴァントに対し決して一つとは限らないし、それがクラス通りの形をしているとはこれも限らない。
    驚愕を他所に即座に思考を取り戻し、キャスターは惑星轟に隠した布石を発動させる。
    惑星轟の着弾で傷ついた地面。その瓦礫を指向性を操る魔術でアルトリウスを襲う第二の嵐。
    それが収まり晴れた視界には傷だらけになりながらも未だ力を残すアルトリウス。
    「対魔力が防ぐのはあくまで魔術のみ。その副次作用で発生したものはその対象外。やはり、ダメージが通りますか。とはいえ、惑星轟が防がれたのは想定外ですが」
    「なるほど。あれほどの大技はただの囮。手段が豊富な魔術師らしいな。だが、一手甘い」
    「?……ゴフッ!?」
    訝しんだキャスターの身体が袈裟懸けに切り裂かれ、口から血を吹き出す。アルトリウスが盾を消した向こう側で手に備えていたのは『痛哭の幻奏(フェイルノート) 』。円卓の騎士が一席、トリスタンの保有する妖弦の宝具。見えざる音の刃はあの工房の中でキャスターの身体を確実に捉え、切り裂いていたのだ。

  • 795愉悦部inクローディアァ!2020/04/19(Sun) 18:39:44ID:k4MDgxNDE(20/24)NG報告

    >>794
    げに恐ろしくは盾を壁にカウンターを狙ったアルトリウスの狡猾さ。
    たたらを踏んだキャスターはそれでも膝を屈することなく身体を支える。

    「これは気づきませんでした。やはり本職の戦士には及びませんか」
    「卑下することはないとも。貴様の魔術は並みのサーヴァントであれば撃滅せしめたものだ。まぁ、相手が悪かった。」

    それを聞いて不味い流れだとキャスターは思った。“相手に自身を脅威と感じて貰えなければ意味がない”。
    フ──、と笑いキャスターはまだだ、と魔術を行使する。

    「ぬ。悪あがきか?」

    大魔術で吹き飛ばされたアルトリウスは剣で防ぎながら土煙の向こう側の魔術師が仲間を見捨て逃走に入ったかと勘繰った。が、その判断は覆される。

    「位相は峻厳(ケブラー)。第七、第八、第九が囲いしは幽かなる星。王冠に到りし汝は”反転せよ”。来たれ大逆の王!赤き蛇よ!」
    土煙が晴れたキャスターが召喚したものは赤き蛇。六対の翼を持ち、嘲るような笑みを湛えているそれは。



    ──サマエル<神の悪意>。

  • 796監獄長ハクマ弓◆VENk5mkP7Y2020/04/19(Sun) 23:21:11ID:U3MzYzMDA(1/3)NG報告

     ホテルの一室にて、ようやく一息つけたブリュンヒルドは、旅行用に持ってきたトランクを開き、中身を取り出してゆく。
     キューブ型の物体、意匠が施されている銀色の金槌、幾つかの銀の素材、そして必要最低限な下着類。
     なんとも色気のない中身なのだろう。下着ですら、飾り気のない地味なものばかり。

    「まさかこの町にも魔術師がいるなんて……運が良かった。しかも私に優しいし、極東人が冷血とか迷信だったんだね」

     鼻歌交じりに銀を磨く。
     余程路頭に迷っていたところを助けてもらったのが嬉しかったらしい。ホテルに到着してからというもの、終始機嫌が良かった。
     ガルドル式の適当な鼻歌音頭を取ってしまう程度に……しかし、それが彼女にとってよくなかったのかもしれない。
     トランクの中に投げ捨てられていた、魔方陣の描かれた紙。元々は礼装に降霊術(セイズ)を試そうと書き殴った術式だったのだが、ズボンのポケットにしまって放置したお釣りの如く忘れていた代物。
     しかしながら、忘れていた少女からすれば知る由もない。

  • 797監獄長ハクマ弓◆VENk5mkP7Y2020/04/19(Sun) 23:28:21ID:U3MzYzMDA(2/3)NG報告

    >>796
    「え? え……!?」

     部屋に魔力が充満し、少女の動揺が小さく漏れる。
     非常事態発生、コンディションレッド発令と脳内で警報が鳴り、冷や汗がとどめなく流れる。
     悪戯がバレてしまった子供のような面白い表情をしながら、ブリュンヒルドは取り敢えず『遮断』のルーンを結界として展開し、音漏れと魔力漏れを防いだ。

    「今日は黄昏の前兆か何かですかもー!」

     少女の悲鳴も虚しく、魔力の奔流によりかき消され、やがてトランクを中心に渦巻ていく。
     こんなものは知らない。故郷の村でさえも、記されていなかったタイプの乱れだと、戸惑う一方で状況を分析する。
     爆発や、暴発する気配はないが、何が起きてもいいように自身の礼装を手に取った。
     集束されてゆく魔力の流れが大気を掻き出す。

    「────あ!?」

     突如として奇声を上げる年頃の少女。
     魔力が風を生み、それによって飛ばされた魔方陣の紙が彼女の視界に入った事で、全て発端を察してしまったのだ。
     だが、時は既に遅し。発動してしまった術式は今更中断などできる筈などなく、ブリュンヒルドは死んだ魚のような目で事を見守る方に徹した。決して諦観したとかでは無い。絶対。

  • 798監獄長ハクマ弓◆VENk5mkP7Y2020/04/19(Sun) 23:38:51ID:U3MzYzMDA(3/3)NG報告

    >>797
    「運命(ノルン)のアホ、職務放棄、ドジっ娘〜」

     とは言え、現実逃避はしたいらしく、取り敢えずは運命の女神をディスった。

    「────ほう、運命に毒を吐くか。中々に見処があるではないか」

     脳内に直接語りかけるような声。そして同時に一閃、その刹那の煌めきがブリュンヒルドの目蓋を閉ざす。
     一秒も満たない瞬きの後、彼女の目前には見知らぬ男が佇んでいた。
     白縹の髪を持ち、古代の巨人(ヨートゥン)を思い出させる特徴的な魔性の瞳。

    「問おう。汝(ナレ)こそが、吾を召喚した契約者か?」

     これは……非常に面倒くさい騒動に巻き込まれた感が拭えないと、少女は心の奥底から思った。

  • 799亥狛の人(ランサー陣営)2020/04/20(Mon) 23:17:07ID:gxOTYwMjA(26/29)NG報告

    伏神の続き投下します。

    「……釈然としないわ」

    二陣営を交えた会談を終えて開口一番放たれた言葉がそれだった。
    東雲玲亜は帰路につく最中、腕を組んで唸り声を上げる。
    「オルバウスの人間が今更聖杯に何の用なのよ……胡散臭いの権化よアレ」
    ぶつぶつと呟く玲亜を、亥狛は不審そうに眺めている。
    「申し訳ない、まさか東雲とシスカさんがアレほど水と油だとは。正直想定外だった」
    「真意を問うてものらりくらりとはぐらかされるあの遣り口、正直苦手だわ。
    あの分だと聖杯には興味がない、って言葉も何処まで本当なんだか分かったものじゃない」
    そう言ってくしゃりと髪をかきあげる仕草をした。

    数十分前、亥狛率いる槍陣営と玲亜率いる讐陣営の会談はお世辞にも良好とは言えなかった。
    現御三家であり土地の管理者である東雲家当主と、数十年前に聖杯を放棄して久しい旧御三家の魔術師。そはの両人が合間見えた会談が和気藹々としたものになる筈もなく、互いに笑顔のお面を貼り付けた泥仕合の様相を見せた。
    会談に同席した亥狛がみるみる内に縮こまってしまう程の重苦しい空気。
    結局同盟が解消されるという最悪の結末は回避出来たが、「オルバウスの魔術師の動向」という東雲の当主の懸念案件が一つ増える事となった。

  • 800亥狛の人(ランサー陣営)2020/04/20(Mon) 23:18:05ID:gxOTYwMjA(27/29)NG報告

    >>799
    「でもあの妙な紙を取り出してから、目の色が変わったよな。
    ……アレなんだったんだ?」
    「あぁ、あれは自己強制証明(セルフ・ギアス・スクロール)って言ってね。魔術師界隈で最も拘束力の強い宣誓書みたいなものよ。
    それこそ一族の進退に関わるような重大な局面でしか出てこない様な、出来る事なら一生拝みたくない代物ね」

    シスカが懐から取り出した羊皮紙は、魔術師の、ひいては魔術家系の今後を縛る特級の呪縛礼装のようなものだという。
    聖杯に興味はなく、関与するつもりもない。
    それを保証するために自己強制証明を取り出したのだが、余りにも軽々しく持ち出したものだから亥狛は只の紙切れだと誤解してしまっていた。

    「そう、余りにも軽軽しすぎるのよ。だから逆に怪しい、裏があるように思えてならない」
    「だが今のところ根拠はない、所感に過ぎん以上不必要に構えるのも無駄というものよな」
    霊体化を解いたアヴェンジャーが宥める。


    『じきに馬脚を現すだろうよ』
    そういう風にも聞こえたのは、きっと気のせいじゃない。

  • 801イオン@覇久間槍陣営2020/04/20(Mon) 23:18:39ID:AwNjg4NDA(1/6)NG報告

    甲高い金属音が夜の闇に響く。断続的に聞こえる硬質な音の中に時折爆発音と何かが焼けるような音も交じる。
    奏でているのは対照的な二人の少女。一人は剣を振るう褐色の少女。もう一人は槍を振るう白い少女。ランサーとアサシンが戦闘を行っているのだ。長物を自在に操り、常人には捉えられない速さで優雅に舞うランサーは、一見するとアサシンに多くの攻撃を加えて、優勢に見える。
    「チッ―――!ちょこまかとウザい!です!」
    「こら、怒らないの。どうせ当たりはしないんだから」
    だが実際、ランサーは焦っていた。槍を一振りする。アサシンはそれをひらりと身をひねって躱す。続けて一突き。アサシンは剣を槍に『添えて』先端を反らすことで攻撃を避ける。二撃三撃と動きと攻撃を加えてもアサシンは最小限の動きでいなしていく。 

  • 802亥狛の人(ランサー陣営)2020/04/20(Mon) 23:18:41ID:gxOTYwMjA(28/29)NG報告

    >>800
    気がつけば東雲玲亜の邸宅の前だ。
    会談が終わったのは午後十時。
    夜道を一人で歩かせるのは忍びないと亥狛が頑なに主張した結果、こうして帰り道を一緒に歩いている次第である。

    「ありがとう、家の前まで送ってくれるだなんて意外と紳士なのね」
    それじゃあ、と。
    玲亜は鉄格子の様な門に手を掛けて、改まるように此方の方を振り返る。
    「……要らぬ世話かも知れないけれど。
    あのシスカって魔術師はあまり信用しない方が良いわ」
    「どうして」
    「いや、あの人だけじゃない。魔術師という存在は基本的に信用しちゃ駄目よ。
    私を含めて、魔術師って生き物は、人でなしばかりだもの」
    そう言ってそそくさと扉の向こう側へと行こうとする玲亜。もうこれ以上語る事はないと言わんばかりに。
    「…そんな事は、ない」


    「少なくとも、東雲は、良いやつだ」
    自然と口をついて出た言葉は、はたして玲亜の耳に届いただろうか。
    扉の向こう側、闇へと溶ける彼女の脚が一瞬止まったように見えた。

  • 803亥狛の人(ランサー陣営)2020/04/20(Mon) 23:19:12ID:gxOTYwMjA(29/29)NG報告

    以上ですー

  • 804イオン@覇久間槍陣営2020/04/20(Mon) 23:22:24ID:AwNjg4NDA(2/6)NG報告

    上げ直し
    ◇◇◇
    甲高い金属音が夜の闇に響く。断続的に聞こえる硬質な音の中に時折爆発音と何かが焼けるような音も交じる。
    奏でているのは対照的な二人の少女。一人は剣を振るう褐色の少女。もう一人は槍を振るう白い少女。ランサーとアサシンが戦闘を行っているのだ。長物を自在に操り、常人には捉えられない速さで優雅に舞うランサーは、一見するとアサシンに多くの攻撃を加えて、優勢に見える。
    「チッ―――!ちょこまかとウザい!です!」
    「こら、怒らないの。どうせ当たりはしないんだから」
    だが実際、ランサーは焦っていた。槍を一振りする。アサシンはそれをひらりと身をひねって躱す。続けて一突き。アサシンは剣を槍に『添えて』先端を反らすことで攻撃を避ける。二撃三撃と動きと攻撃を加えてもアサシンは最小限の動きでいなしていく。 
    「遅い遅い!獣の技ではオレには届かない!」
    「偉そうに言ってるけどあなた何もしてないでしょ?」
    さらに焦りが募る原因はこの背後霊のようなモノだ。少しアサシンの体勢が崩れると魔力による弾丸を放ち、こちらに追撃をさせない。こちらが魔力弾の対処をするために動きを止めるとアサシンは距離をとって体勢を立て直してしまう。その癖こちらが少しでも隙を見せるとアサシンの癖に剣で切りかかってくる。まるでこちらの考えが全て読まれているような気分になり、それが焦りをさらに募らせる。
    剣と槍がぶつかり、兎が跳ねた。そのまま上空からのキックを仕掛ける。

  • 805イオン@覇久間槍陣営2020/04/20(Mon) 23:22:49ID:AwNjg4NDA(3/6)NG報告

    >>804
    「へぇ…」
    アサシンは少し驚いたように声を上げ、背後へとバックステップをする。ランサーはその一瞬の間に回転しながら槍を振るった。
    「獣の癖して頑張るのね。健気でかわいいわ」
    「戯け、蛮勇は称賛されるべきではない。そこの兎もわかっているはずだ。お前との力の差をな」
    涼しい顔で言い放つアサシンとゲーティアの指摘にランサーは肩を上下させながら歯を食いしばる。玉兎はこの打ち合いの中でアサシンとの力量差を嫌と言うほど理解した。技術だとか経験だとかそういうものではなく、そもそもの『サーヴァントとしての格』のような物が違うのだ。
    例えるなら軽自動車とレーシングカー。出力から何からそもそも比較対象にすらならない。
    (だとしても…です)
    ちらりと空を見る。視線の遠くには小さな鳥が飛んでいた。アサシンとの戦闘を見守るローガンの使い魔である。
    『ランサー、大丈夫か…!?』
    ローガンが念話で問いかける。遠くからみていれば五分五分の戦いに見えるだろうか。戦っている本人からすれば『遊ばれている』感覚なのだが。
    「大丈夫、です!…まだやれるです!」
    今のマスターに仕えると決めたのだ。最低限、期待には答えなければならない。自分自身の矜持にかけて、無様な姿を見せるわけにはいかない。
    (それに…勝ち目はある…です)
    アサシンは確かに強い。強力なサーヴァントだ。真名はさぞ高名な王様とか戦士とかだろう。だからこそ、マスターに要求される魔力は多い。
    そもそもサーヴァントとは動くだけでマスターの魔力を食う物だ。より本来の力で、より強い攻撃を繰り出すには大量の魔力がいる。だがアサシンは最小限の動きだけでこちらの攻撃をさばいたりカウンターを狙ったりしていた。恐らく十分な魔力供給を受けていないのだろう。だから破壊力のある魔術的一撃を放てないのだ。
    なら、無理矢理魔力を使わせればいい。
    (次に鍔迫り合いに持ち込んだ時、魔眼を使うです。あの上から目線のトンチキ女を狂気に落とし込んで、思いっきり暴れさせるです)
    あれほどまでに強力なサーヴァントなら周りへの被害もあるだろう。死人も出るかもしれない。

  • 806イオン@覇久間槍陣営2020/04/20(Mon) 23:22:59ID:AwNjg4NDA(4/6)NG報告

    >>805
    でも知ったことか。敵を倒せばマスターの役に立てるのだ。それ以上の事が必要だろうか。自らのプライドに賭けて、ここで驚異となるアサシンを倒す―――!

    「タアァァァァァッ!」
    ランサーが気合いを込めてアサシンへと突っ込んでいく。少し憐れみすら感じさせる瞳を向けて、迎撃の構えを取る。
    「『奉仕すること』しか知らない兎は可哀想ね」
    二人が、ぶつかる。まさにその瞬間―――
     
    轟音。

    世界を壊すような音が響いて 

    天地が吹き飛んだ。

  • 807イオン@覇久間槍陣営2020/04/20(Mon) 23:23:43ID:AwNjg4NDA(5/6)NG報告

    >>806◇◇◇ 
    簡単な使い魔を介して戦闘を見ていたローガンはアサシンとランサーのステータスを見比べていた。
    「本当に、アサシンなのか?あのサーヴァント…?」
    サーヴァントのステータスは人によって見え方が違うと言われている。ローガンには試験の結果のようにレーダーチャートで見えていた。
    ランサーのステータスは耐久性の部分は低いが、バランスか取れていて全体的に高い水準にある。特に魔力の部分と敏捷性の部分が優れている。ローガン自身は卑下しているが、並以上のポテンシャルがあったからこそ三騎士クラスのサーヴァントが呼べたのだろう。魔術の名門、クレイドル家に生まれた者としての力を、サーヴァント召喚においては発揮していた。
    だがアサシンのステータスをみると魔力がランサーより高く、宝具の部分はずば抜けて高かった。恐らくあの背後にいる『何か』が宝具なのだろうか。だとすればとんだステータス詐欺だ。ステータスの不足分は魔力を宝具にまわしてカバーする戦略が取れる。見たところあの宝具らしきものの力は凄まじい。ただ牽制に徹してるだけのアレをフル稼働させたらどうなるか…。
    「それをしてこないということは…?まだ力を温存しているのか、それとも……?」
    ローガンが考え事に没頭しそうになったその時
    「………ッ!?」
    凄まじい魔力を持つ『何か』が近づいて来たのを感じる。ソレは遥か彼方から暴力的な程の威圧感を放ちながら凄まじい速度でこちらに向かってくる。それと同時に身体を吹き飛ばすかのような強い風を起こし、ローガンは思わず地面に伏せ、防御の結界を張ってしまう。
    「何だ…アレ?」
    地べたにはいつくばる小さなウサギには目もくれず、破壊の化身はランサーとアサシンの方へと向かう。
    「……!まずい!逃げろ、ランs」
     
     警告は間に合わず、使い魔越しに破壊が撒き散らされるのを見た。激しい突風、貫くような雨。木々をなぎ倒し地面をめくりあげ、ローガンの使い魔をぐちゃぐちゃにしていく。
    其はまさに災厄。戦争を崩壊させる、人智を超えた自然の猛威。
    「クッ、」
    その嵐の中で、ローガンは確かに聞いたのだ。
    高らかに響く笑い声を。
    「クッ、クハハハハハハ八ハハハハハハ八ハハハハハハハハハ!!!」

  • 808イオン@覇久間槍陣営2020/04/20(Mon) 23:24:59ID:AwNjg4NDA(6/6)NG報告

    >>807
    覇久間ランサー陣営4/29夜 『犬兎の争い』

  • 809魔術師@個人戦◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 12:16:57ID:MyNTI3NDY(1/7)NG報告

    >>709
    「回避ではなく転換か」
    「するどーい!って、見たまんまなんだけどな」
    キャスターに距離を取られたために、ランサーは槍を構え直す。槍の軌道を追うようにして、槍から噴き出した紫の瘴気がとぐろを巻いた。
    「それでそれが本当かどうかは証すことが出来るのか?」
    「いやぁー別に信じてもらえなくても結構々々」キャスターは頭をぽりぽりしつつ、「本当かどうかなんてのは倒れて見てから分かる物。違う?」
    「…….失礼、その通り」
    その声が届くよりも早く、鋭く踏み込まれた突きがキャスターの懐を貫いた。
    「おっ……怖っ!!怖いな!怖いわ!?躊躇ないのか!?」
    ぽふんっ、というなんだか気の抜ける残念な効果音とともに、串刺しにされたはずのキャスターが『はずれ』と書かれた呪符に変わってしまう。
    「そんで今度は頭上注意だ、ランサー」
    全速力で踏み込んだランサーがその姿勢のまま身を低くすると、ランサーの胴があった位置に360°から12振りの日本刀が水平に突き刺さる。
    そしてさらにその上から両手に刀を持ったキャスターが刃を叩きつけた。
    ランサーは天井のように降る14の日本刀を弾いて隙間を作り、刃の空間から脱出する。
    「やーん危機一髪?それともどうかな」
    「それなりには。でも嘘をついているわけではなさそうだったから」
    「そいつは信用があってどうも有難う御座います、ってね」
    ランサーの槍一振りとキャスターの刀十四振りがぶつかり合う。刃と刃が撃ち合い火花散るなか、火花に重ねて毒の飛沫も散ってゆく。キャスターは刃の汚染を刀を次々持ち替えることで対処しつつランサーを押し込むが、今ひとつ押し切ることが出来ない。ランサーはキャスターの斬撃を抑え込んでいるものの、突きの一点を捉えることが出来ない。
    ランサーがキャスターの持つ最後の刀を打ち砕く。
    「お目出度う御座います、当たりくじで御座いますってのう!」

  • 810魔術師@個人戦◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 12:17:44ID:MyNTI3NDY(2/7)NG報告

    >>809
    「しまっ……!」
    折れた日本刀の断面から、鉄に埋め込まれた呪符が覗く。ランサーは咄嗟に下がろうとするも、爆裂の方が一手速い。
    手榴弾のような爆発を受けランサーは間合いの外に飛ばされる。
    「ぐっ……、つぅ…………!」
    「いやぁもちろん刃の腕は戦士殿方には至らぬもんでな、またまたやらせて頂きましたよっと」
    鉄の破片がランサーの皮膚を浅く切り裂いて血で汚す。踏み込みの代償は深傷ではないものの、無視はし難い手傷となって帰ってきた。
    (嘘ではない……それは直感出来る。あと一回しか毒の転換ができないというのはおそらく真実なんだろう)
    ブスブスと煙のように毒を気化させる槍を構え直しながら、ランサーは直感を論理にまとめ直す。
    (仮にそれが真実だとして、それをあえて明かすのは何か『仕込み』があるのだろうな)
    母さんはそういうことをしそうだ、などという考えは一度思考から切り離した。
    「なら、すべきはきっとこうだ」
    「こない方が嬉しいんだけどなー!……来ても負けないけどな」
    高いランクの敏捷で再度距離を詰め直し、ランサーは毒槍を振るう。
    ただし今度は毒を撒き散らす事はない。
    「さすがに三騎士は技の冴えが鋭い事で!」
    「そこか」
    切り裂いたはずのキャスターがかげろうのように消え、声の位置から直感で座標を割り出し直して斬り返すこと三度。毒が槍の軌道に残る事はなく、ただただひたすら鋭い槍としてランサーは攻撃を放つ。

  • 811魔術師@個人戦◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 12:19:06ID:MyNTI3NDY(3/7)NG報告

    >>810
    「『追い毒』が無くなったら隙が増えるが?」
    「ここではいい」
    止まる事なく薙ぎ続けるランサーの槍の動き、それの穴を突くようにして鉄の杭が7本ランサーへと突き込まれる。ランサーはそれを柄と刃の両端を用いて弾き、軌道を変えてキャスターへの攻撃を続行する。
    「そこだな」
    「どうかな?」
    今度はキャスターの反撃の隙間を突いてランサーの槍が鋭く差し込まれた。
    「神鉄の毒槍(ディリティリオ)」
    「おおっとぉ!??」
    『浅い』真名解放。あえて収束させていた槍の毒素が急激に炸裂し、キャスターを爆散ささる勢いで放たれた。
    「…………仕留め損なった」
    「……へぇ成る程、つまり一発捕らえたら、そのまま何もさせずに即死させようってワケ」
    相手がなんらかの手段で毒をどこかに転換している場合、たとえ『もう一度のみ』という発言が真実であっても何かしらの仕込まれた行動が発生する恐れがある。
    それならば、無闇に撒き散らすのではなく当たった瞬間に一撃で吹き飛ばす。毒の受け入れ許容がぴったり無くなる前に、確実にオーバーフローさせる。
    槍の煌めきが満月のように反射して、キャスターの首を刈る一瞬のみ、再び毒素の爆発が起きた。
    「いよいよおっそろしいな」
    「次は斬る」

  • 812魔術師@個人戦◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 12:21:21ID:MyNTI3NDY(4/7)NG報告

    >>811
    「不快だなぁ、気分が悪い」
    ルーカスは嫌悪を隠さずに言い捨てる。
    「君はこういうのが趣味なのかな。僕は腐臭や汚泥に塗れるのはごめんしたいよ」
    「さぁ?どうだろう、それはあなたを撃破できればそれで良いかな」
    山星の指先から滴る血液は黄泉に溶け、泥とともに地を満たす。静寂をうながす鎮静の雨は、また、打ち砕かれた木々の欠片に染み渡って腐らせていく。
    「ここは道、進むべき場」
    それまで無秩序に散らばっていた破材、そして呪泥が山星の言霊で流れをつくる。
    行われるは『整地』。それだけではただ広がっているだけの地平に指向性を持たせる行為。
    (乱雑な場にベクトルの流れを作ったのか……!?)
    「そう素直に受けてやれるとでもーー」
    「そして通り道はこれ一本」
    周囲を警戒し、足を止めていたことが裏目に出た。まるでレールのように並行な流れを作り出した木片が初動の遅れたルーカスを阻む。
    「上……は遅いか!」
    「何よりここは黄泉比良坂。通るは亡者、世の瘴気。……遅かったね、もう行軍はやってきてるよ」
    左右を封じられたルーカスに、正面から黄泉の呪い風が泥を巻き上げながら轢き潰さんと迫る!
    「…………ッ!!」
    ルーカスは泣く雨を防ぐために頭上で回している二つの星、それら以外の星を足元、胴、そして正面に振り即席の相互防衛陣を作り上た。
    呪い風がルーカスを呑み込み、その防護陣ごと吹き飛ばした。しばらくは姿も見えたが、巻き上がる泥が怒涛の勢いでルーカスの姿を包み隠してしまう。
    次に彼の姿が見えたのは数十秒後、それも山星から50mは離れた上空であった。

  • 813魔術師@個人戦◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 12:22:25ID:MyNTI3NDY(5/7)NG報告

    >>812
    「泥跳ねを凌げないようではロンドンで格好はつかなくてね…………ァッグ、ハ……!」
    泥は防ぎ突風で肉体を破壊されることはなかったが、しかし邪な気を防ぎ切れたわけではない。見てくれは無傷のようで、服に汚れの一つも見当たらずとも、魔術戦において物質的な損壊が全てではないのだ。
    (内部呪詛までは流しきれなかったか……)
    「にしても困った……」
    ルーカスはステッキを持っていない左手で右脇を押さえる。
    (即、死に至る致命的な臓器で無いにせよ、内部損傷は受けたくなかったな……!)
    「これでは、今ここで!君を!完全に殺しきらなくてはならないじゃあないか!!」
    空中で体勢を整えた魔術師、その周囲を廻る光の玉の色が変化する。煌めくような金色から、輝くような蒼色へと。
    右手のステッキに光素をつたわせ、ガラスの足場を具現化。そこにルーカスは降り立つ。
    「何よそれ、まただまし絵の類?ヘタなマジックはもう飽き飽きなんだけど」
    「いや、これは本当に種も仕掛けもないんだよ」
    『完全な映像』を作成し、阿頼耶を騙してその修正力で実体を作り出す。それがソールァイトの光素魔術の真奥、『具現化』である。
    「そしてここからは僕の真髄でもあってね」
    貴族の青年はあくまでも上から見下ろして宣言する。
    「人には生まれ持った地位と素質による、歩むべき道がある」
    立ち上がり、偉そうに、格好つけて。
    「下人には下人の道が、庶民には庶民の道が、正しい人には正道が、王者には王道が、魔術師には魔道が」
    高級なジャケットを正し、胸を張って前を向く。
    「その道から逸れないことことが正しいことなんだ」

  • 814魔術師@個人戦◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 12:23:16ID:MyNTI3NDY(6/7)NG報告

    >>813
    それが彼の信じる、彼にとってすべき相応しい行いだと信じているから。
    「目覚めよ。全てを照らす光の下に」
    ガラスの床をステッキで突く。石突きの鉄と硝子がぶつかる聞き心地良い音とともにルーカスを周囲する天動説が散開した。
    「僕が『喚起』する」
    太陽が頭上に。金星と水星と土星が胸元に。そしてその他の星が足もとへ。
    「歌事と芸術と儀礼の守護者」
    頭の上には真円を。心臓を中心とした4色の十字方位陣。足もとの星々は術者を守護する魔法陣となる。
    「ただ黙って見ている、だなんてそんな筈は無いわよね?」
    「北方と緑色と大地の統治者」
    女魔術師の立つ地面から、木々が腐り落ちた泥が沸き立つ。それらは渦を巻き、塒(とぐろ)を作り、蛇のようにしてルーカスに飛び込んで行く。
    「あなたは日の光、書かれたもの、そして『神の炎』に象徴される」
    魔術師は右足で防護陣を踏んだ。魔術儀式から術者を守る陣のうち、余剰のリソースで宝瓶を組み上げ具現化し泥を呑み込ませる。
    「あなたはその炎の剣で審判し断罪することを許された」
    心臓の高さでルーカスを二分する喚起模様が炎上する。その炎は上下にも広がり魔術師の肉体を完全に覆い尽くした。
    「正典を外れて楽園と黄泉の門番をする、あなたの名前はーー」
    焔光のカーテンから青色の瞳が覗く。
    「ーー『ウリエル』だ」
    繭を破るようにして出た魔術師には、天使の光輪と翼が表れていた。

  • 815魔術師@個人戦◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 12:24:06ID:MyNTI3NDY(7/7)NG報告

    >>814
    その翼からは白い羽とは別に光が溢れていた。
    その光輪は太陽の周回で形作られ、さらに金星と水星と土星が巻きつくように回っていた。
    魔術師の杖は映像を重ねられ、剣となっていた。

    足場としていたガラスが耐え切れず、砕け散る。
    「彼は地獄の門を砕き」ルーカスは垂直に黄泉の界へと落ち、「罪人のある地獄を焼いた」
    彼の足が着く寸前に黄泉比良坂と化した全面が炎上し始めた。
    レイヤーが重なるように、黄泉比良坂として成立した地面に、ルーカスが作成した炎上の映像が重ねられたのだ。そしてそれは山星が見ることによって真実の熱量を持たされる。
    「まずは水星から」
    天使の輪となって回る星のうち、土星がルーカスの左手に収まった。直径1cm程度だったはずの光球は魔術師の手から溢れるほどの大きさになり、太陽の如く輝き始める。
    「……ッ!?」
    「磨羯宮にあるのはテイタンを恐慌させるアイギパーンのほらがいだ」
    太陽のような光球、即ち特大サイズの光素が人間の子供ほどのラッパへと変化する。
    次の瞬間、大地が砕けるほどの大音響が空間を満たし尽くした。

  • 816監獄長ハクマ弓◆VENk5mkP7Y2020/04/21(Tue) 12:44:05ID:M2MzgxNDc(5/8)NG報告

    「チェンジで」

     いきなりである。
     ブリュンヒルドの部屋に出現した男は、聖杯戦争という概念を知らなかった彼女に無愛想な淡々とした説明を一通りした後、少女の挙動を見た上で言い放ったのだ。
     魔術師としては上物。パスもしっかりと繋がっていて、出身地も近いせいか親和性も高い。
     ただ接してみて分かった事が一つ……コミュニケーション能力がゴ.ミ過ぎると、男────アーチャーのサーヴァント『オルヴァル・オッドル』はふつふつと感じてしまった。

     一瞥すればビビる。
     目を見れば逸らす。
     口を開いたと思ったら吃る。
     終始挙動不審。

     こんな内気を通り越したアレな少女が、自身を召喚したのだと思うと頭が痛い。
     故に躊躇なく本心を表に吐き出した。

  • 817監獄長ハクマ弓◆VENk5mkP7Y2020/04/21(Tue) 12:44:33ID:M2MzgxNDc(6/8)NG報告

    >>816
    「ひ、酷くない!? いくらあの偉大な弓の名手だからって、初対面の女の子に向かってチェンジとかデリカシー!」
    「喧しいうつけ! 汝こそなんだというのだ! 遊び半分で構築した術式に、ガルドルが反応して吾を召喚? 加えて聖杯戦争すら知らない半端者で、令呪の存在にも気づかず自らが刻んだルーンさえ忘却してしまう戯けが吾を召喚とな? 運命の女神(ノルン)に毒突いている姿から見処のある術者と思いきや、ただの現実逃避に反応してしまった吾の面子は丸潰れぞ! どうしてくれる!?」
    「知らないし! そもそも旅行先でこんな面倒ごとに巻き込まれるなんて思ってなかったし! あたしの慰安旅行を返せー!」

     やいのやいの口論する二人。
     約三分間程経過したところで、声を張って会話する経験が少なかったブリュンヒルドが先に音を上げてしまい、ベッドに倒れてむくれる。

     閑話休題。

     取り敢えずは正式に契約を結んだブリュンヒルドとアーチャー。
     両者共々ベッドで胡座をかき、腕を組んで今後の活動について話し合っていた。

    「汝はミジンコのようにここで蹲り、吾は戦場にて射る。これが有効的な戦法ぞ」
    「間違ってないけど言い方! そんな事するくらいなら、ここで魔銀(ミスリル)いじってホテルの料理を食べて旅行の続きを満喫するんだから!」

  • 818監獄長ハクマ弓◆VENk5mkP7Y2020/04/21(Tue) 12:45:13ID:M2MzgxNDc(7/8)NG報告

    >>817
     方針は既に決まっており、話し合った通りブリュンヒルドはホテルで待機し、アーチャーが外で偵察するというごくシンプルなもの。
     先ずは相手の出方、マスターと召喚したサーヴァント、そしてその他諸々を確認し、確実に倒せる力量差か、同盟を組んだ方が吉となる人格か見極めなければならない。
     何せマスターが右も左も分からないど素人な上、覇久間の都市に詳しくないときたのだ。
     慰安旅行に来た来訪者という理由で都市に詳しくないのは仕方とはいえ、色々と知識としても足りていない部分は多い為、堅実にいかなければ何処かでヘマを仕出かすとも限らない。

    「まったく、契約者が多少役に立つ情報を有していれば……」
    「無能ですいませんでしたー。もう……あ、でも」
    「どうした、何か関連性のある事柄に心当たりでもあるのか?」
    「実は、妖精眼持ちを一人……」

     覇久間に到着して早々路頭に迷った事をボカしつつ、ホテルまで案内してくれた女子高生────蒲池夏美について話した。

    「ふむ、土地勘のある魔術師か……戯け! 何故とっとと話さん! 其奴は明かに最有力候補者であろう!」
    「ふえぇ! それについては本当にごめんなさい!」

  • 819監獄長ハクマ弓◆VENk5mkP7Y2020/04/21(Tue) 12:45:36ID:M2MzgxNDc(8/8)NG報告

    >>818
     アーチャーはこめかみを押さえ、やれやれといった表情でブリュンヒルドに背を向ける。

    「何がともあれ、今後の方針は決まった。吾は少し外界を様子見する故、ここで大人しく待つがいい。良いか、余計な騒動を起こすでないぞ」
    「人をなんだと思って……」
    「コミュ障」

     そう言い捨てて、男は霊体化して部屋を退出した。
     残された少女は、事実なだけに反論が浮かばず、只々涙目になりながら膨れっ面になった。

    「後、もう一つ……汝、ニンニク臭い」

     音もなく戻ってきたアーチャーは、それだけを告げて今度こそ部屋からいなくなった。
     それから数分後、三十二階の部屋から号泣が響いたらしい。

  • 820ライダー陣営作成担当◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 20:42:30ID:I1NTE4NTI(1/3)NG報告

    >>663
    「死ぬかと思ったのはこちらなのだよ」
    土埃を払って立ち上がりつつあった黒野が、中途の姿勢のまま硬直する。背後からの声であるのに、振り向くという挙動をとることが出来ない。
    「ウソだろ……ビルごと爆発したのに」
    「当たり前だ、『一流』が『あの程度』で死.ねるか」
    即答であった。
    その返答によって止まっていた時間が動き出し、黒野はおそるおそるとゆっくり後ろを振り返る。
    「とはいえ、無事で済んだとも言い難いのが事実なのだけれど……」
    「…………五体満足かよ」
    「魔術師の戦闘を見た目で測るべきではないよ」
    血の塊という形容が青年には相応しかった。外傷は広く、そして浅くはない。さらに、目で見えるものではない呪詛や毒も受けていた。
    「……今更何をーー」
    「当然、すべきを」
    しようってんだ、と口に出るよりも早く魔術師の声が黒野の耳に届く。
    「まさか、まさかまだ戦うってのか!?その体で!?」
    黒野の語気が強くなるが、それは臨戦態勢に入ったそれではない。むしろ混乱、パニックというあり方と、見る方が正しいのだろう。
    「もう意味なんて無いだろ!!?ここでこれ以上戦ったって意味も価値もない!!俺はあんたらのことを詳しく知ってるわけじゃない!わけじゃないけど!あんたらには何か大事な目的があるんだろ!?だったらここで戦うんじゃなくて、そのなんかの目的のために生き残るのが正しいことなんじゃないのかよ!!?」
    そして恐らくこの発言にも、戦いを避けて身を守ろうなどという意図も込められてはいないのだろう。
    当のルーカス本人はまくし立てられた内容についてハズレであったのだが。
    「別に君と戦闘を行おうとしてここに現れたわけではなかったのだけど……そうだね、戦えば……勝てるかな?」

  • 821ライダー陣営作成担当◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 20:43:31ID:I1NTE4NTI(2/3)NG報告

    >>820
    ゾッとした黒野が身を震わせる。恐怖ではなく、前に突っ込んで重傷者を押し切るか、後ろに逃げて得体の知れない存在から距離を取るか、決め損ねたがゆえの動きだった。
    「うん、ここに令呪が四画残ってるから、一画でライダーを呼び寄せて、もう一画で君を殴らせれば…………」
    「ッ!!!」
    「…………無理かな、君が令呪でランサーを呼んだら、今のライダーじゃ勝てない……」
    それにマスターを始末することは大会規定上出来ないしね、とルーカスは付け加えた。
    「じゃ、じゃあ、アンタは一体こんな所で何をしてんだよ、とっとと、ほら、病院とかに運び込まれた方がいいんじゃないのかよ」
    「人には……生まれ持った地位と素質による、歩むべき道がある」
    「……は?」
    「下人には下人の道が、……庶民には庶民の道が、正しい人には正道が、王者には王道が、…………魔術師には魔道が」
    ガフ、と血を吐く。
    「その道から逸れないことこそが正しいことなんだ」
    「……それが」
    「要するに、……ぜぇ、まだやらなくてはいけないことがあるってことなんだ」
    今度こそ、完全に、黒野は沈黙した。
    「こればっかりはしないとロンドンには帰れなくってね…………敗退する以上は仕込まなくてはならない…………」
    先ほどの爆発で吹き飛ばされた葉を踏んで、ルーカスは再び歩き始めた。

  • 822ライダー陣営作成担当◆TvNZI.MfJE2020/04/21(Tue) 20:43:56ID:I1NTE4NTI(3/3)NG報告

    >>821
    「ああ……、この回とは関連のないことだから君が憂慮することはないかな……なんなら黙っててくれるなら令呪くらいはあげてもいいくらいだ…………」
    魔術協会が敗北する以上、ただの敗退では許されない。そもそも彼は名目上とはいえ『神秘の露見に踏み込みすぎた聖杯大会の運営の調査』として参戦しているのだ。
    故に仕込みを行う。今回ではなく、次回に参戦するであろう協会枠から聖杯大会の運営にたどり着き、模造聖杯のありかを突き止めるための調査術式を埋め込む。
    「なんでそこまで……」
    「それが僕のすべきだからね」
    またも、返答に迷いはなかった。
    「君は、君のすべきを、君の歩くべき道を、歩けては……いるのかな……」
    問いかけではなく、疑問だけを残して魔術師は消えた。

    1時間から数時間後、ルーカス・ソールァイトは聖杯大会運営組織に回収され肉体損傷による敗退が宣告されたという。

  • 823覇久間術中納言2020/04/21(Tue) 21:51:53ID:cwMzQ0NjI(9/22)NG報告

     召喚から、かれこれ1時間ほど経った。
     やって来たサーヴァント──キャスター、柿本人麻呂は、ソファーをすでに占領しており、覇久間の観光ガイドブックをしげしげと読み耽っている。
     マスターである郁はその横顔をベッドの方から見る形を取っているが、つい先ほどまでは位置が双方とも逆であった。
     キャスターが奇妙にして奇天烈、剽軽にして豪放磊落、といった言葉を地でいく性格であるということは、第一声から十二分に伝わっていた。彼はその後ひとしきり騒ぎ、動き回ると、今度は反対に大変静かになったのだ。
     郁はその間スマホで柿本人麻呂について調べていた。万葉集を代表する歌人。格調高い和歌を多数詠み、後世では「歌聖」と評され神格化もなされている、という簡素な閲歴ぐらいしかヒットせず、却って眼前の男との差に辟易してしまう。
    「────なぁ」
     ふいと、キャスターの口が開く。
    「………なんでしょう?」
    「明日さ、小生観光したいんだよね」
     何の気なしに飛び出た言葉に飾り気はなく、代わりに隠しようのない事実が降ってくる。
    「……え…っと、なんて?」
     しばしの沈黙の後、スマホの画面から顔を上げ、当惑した様子の声を返した郁の表情は困惑の一言に尽きる。対して、観光ガイドブックを机にうっちゃりソファーの肘掛けに顎を置き寛ぎかえっているキャスターは心底愉快そうに口角を吊り上げていた。
    「だから、観光だよ観光。覇久間ってのは、華らしい華はないけれど、それがまたどうしてミリキ的なもんじゃないか」
    「いや、ですからその、何故今…」
    「何故もなにも、お主と違って小生はずっとここに居れる訳じゃないからな。今のうちに現世を満喫したいのよ」
    「で、でも今は…」
    「そういう細かいことは後でもOK牧場だろ。ひとまずは固まりまくった肩の力を抜く、そのための観光だよ」
     はぁ、と気の抜けた感想が出る。曖昧な了承ともため息ともとれるし、実際両方の感情が混じっている。

  • 824覇久間術中納言2020/04/21(Tue) 21:54:07ID:cwMzQ0NjI(10/22)NG報告

    >>823
     キャスターはこのように、時代錯誤な、所謂「死語」をどういうわけか会話中に多用してくる。それが真面目なトーンであったりする時もあるために頭痛が痛い。
     その癖、この男の発言には何故かいつも気圧され、丸め込まれてしまう。単純に言いくるめるのが上手いとかではなく、言葉一つ一つに説得力があるというか、一つ一つに責任感が込められているというか。どのように形容しても、どこか釈然としない。
    「んじゃ、そういうことで…あ、今のうちに服買ってきてちょんまげ」
    「ふ、服…ですか?」
    「だってさ…」
     ソファーから起き上がったと思った次には、キャスターは郁の前に立っていた。面食らってしまったマスターを気にすることなく、サーヴァントは話を続ける。
    「この服だと、どう考えたって浮くだろ?」
     目をキャスターの衣服に移す。薄く柔らかな色に包まれた古典の資料に載っていそうな和装は確かに目を引く。アレンジがなされているのも相まって、街中だとコスプレイヤーとして注目の的になるのは想像がつく。
    「それに、お主相当なボンボンではないか」
     そう言ってひらりと出してきたのは、盗難防止のためにと印鑑と一緒にカバンの内ポケットに仕舞っていた預金通帳。確かにきちんと入れていた筈なのに、今はキャスターの掌中で弄ばれている。
    「そ、それどうやって…!」
    「いくら室内とはいえ、カバンを開けっ広げにしておくのは無用心だぞー?」
     しまった、と唇を噛むマスターの顔がよほど面白かったのか、キャスターはぷふっと吹き出す。完全に良いように扱われてしまっている。
    「にしても、この月々に振り込まれてるの、これ仕送りか?サラリーマンの半年分の収入レベルだぞこれー」
    「良いですから、早く返してください…!」
     語気を強めて言うと漸くキャスターは通帳を渡してくれた。本当に目の前の人間は柿本人麻呂なのだろうかという疑念が煮えてくる。しかし、何を以て人麻呂と確信出来るかと訊かれると答えられないために問い詰めることも出来ない。
    「ほらほら、はーやーくーしーてーたーもー」
     心から現状を楽しんでいそうな笑顔で急かしてくる。いかにも人が良さそうで、そして向こう見ずな性格が透けて見える。

  • 825覇久間術中納言2020/04/21(Tue) 21:55:48ID:cwMzQ0NjI(11/22)NG報告

    >>824
     ──ええい。買ってくれば良いんだろ。買ってくれば。
     輝かんばかりの喜色に焼かれる前に、そそくさと部屋を発った。そして、財布を忘れたのを思い出してすごすごと戻った。無遠慮な笑い声に見送られた。

    ◇◇◇

     夜風に当たり、ある程度纏まった思考を働かせることが出来るようになってからも、とりとめのないことだけが湧いてきた。
     もうこの際、キャスターが本当に歌聖、柿本人麻呂であるかどうかはどうだって良い。問題はその性格だ。
     傲岸不遜、気さく、明朗快活、軽妙洒脱、物怖じしない、と特徴を一つ一つ思い浮かべていく。そうしていくと、段々自分が彼に抱いていた既視感の正体が見えてきた。
     大学を出るまで生まれ故郷で過ごしてきた郁は、家名のために学校では先輩後輩同級生問わず遠巻きに見られていた。言い換えるなら孤立していた。物心ついた頃からであったのと、自身の境遇から独りであるのも大して苦ではなく、むしろ有り難かったものだが、それでも例外が時たまにいた。
     その例外は皆、元気でいやに明るかった。本を読んでいれば何を読んでいるのかと覗きこんできて、書き物をしていれば字が綺麗だなと見てきて、と事ある毎に話しかけてきてくれた。そしてその度に、まともな返事が出来なかった自分を恥じていたのを思い出す。
     今どうしてるんだろう、きっと良いところに就いているのだろうな、就いていてほしいなとぼんやりと考える。その際に目の前のシャツを食い入るように見たために、店員に声をかけられてしまいしどろもどろに逃げてしまった。
     詰まるところ、かなり図々しいが悪い奴ではないと自分は判断しているのだ。それはまだ希望的観測の範疇だが、そういったことはこれから──それこそ明日の観光で調べればかまわない。

  • 826覇久間術中納言2020/04/21(Tue) 21:59:45ID:cwMzQ0NjI(12/22)NG報告

    >>825
     もしかして、キャスターはその事を見越して明日観光に行こうなどと言い出したのか。だとしたら存外凄い人なのかもな、魔術についても教えてくれるかなという期待も込めて、少しばかり高めの価格設定の服を購入した。地味だなんだと文句を言いそうな気がしないでもないが、そこくらいは我慢をしてほしい。
     店を出て、つっと空を仰ぐ。春から初夏に移る頃の空気は、ほんのり熱を帯びていた。夜は、まだ長く続きそうだ。



    以上、4/29(夜)術陣営「ながながし夜を」

  • 827狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:33:47ID:Q5MjE2ODY(1/8)NG報告

    アメリカ異聞帯

  • 828狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:34:20ID:Q5MjE2ODY(2/8)NG報告

    >>827
    デン・テスラ奇襲班。彼女たちは象型移動要塞を見る。
    「これ……………何処から入るんだ?」
    「入り口……………わからないね」


    巨大。90mはあろう象は、直立姿勢を崩さず鎮座していた。表面は用途不明の機械で覆われており、絶え間なく稼働している。今まで色々な物を見てきた立夏だが、この象はその異聞帯の色に合わない。端的に言うと気味悪いのだ。

    「……………泣き言言っていても仕方がない」

    リンドヴルムはオーバーテクノロジーにより象の外部を解析。足から繋がる入り口を見つけ、ほかの皆を案内する。その間リンドヴルムは解析したとき見つけたこの象の名前に想いを馳せていた。

    (……………『System・Arc』。私のスキルを使っても見せない内部。……………嫌な予感がする)

    リンドヴルムに、直感はない。だが、これまでの生に置いて何度か感じた不吉が心に過ぎていった。

  • 829狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:34:56ID:Q5MjE2ODY(3/8)NG報告

    >>828
    〜〜〜〜
    「なんなんだここはよぉ!」

    エル・シッドは叫びながら敵を破壊する。蛇の形をしたロボだ。

    「煮ても焼いても食えない奴らばかり。……………飽きてきたぜ」

    大嶽丸が顔を引きつかせながら敵をへし折る。狼の形をしたロボだ。

    ここの内部に潜入した立夏たちであったが、探索もそこそこに断続的に動物型のロボットに襲われていた。サーヴァントなら苦戦するほどのことなく倒せる程度なのだが……………

    「こうも手も変え品を変えてくるって……………もう面倒くさい!」

    アインシュタインの言葉通り、その数は大量かつ非常にバリエーション豊かなのだ。鷲、イタチ、馬、ラーテル、サイ、ライオンetc……………まるで動物園に来たかのような錯覚に陥る。

    だがそれでも少しずつ数は減っていき、30分もたてば最早くる事もなかった。

  • 830狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:35:43ID:Q5MjE2ODY(4/8)NG報告

    >>829
    「ある程度やったのかな?」
    「さあなマスター。取り敢えず収まったと考えよう。リンドヴルム、お前さん機械に強いだろ?なんかわかんねえか?」
    「そうだな……………内部に入って気づいたが、どうやらこの機械、巨大な大辞典みたいなものだ」
    「それってどういう事?」
    「簡単に言えばあらゆる動物についての情報が入ってる」

    リンドヴルムはそういうと壁にあった機械をいじる。中からポップアップされたのは先ほど戦った動物たちのデータだ。

    「しかしなんでこんなものを溜め込んでいるのかは分からん。デン・テスラは科学者なんだろ?アインシュタイン、何か思いつかないか?」
    「えっ、ここで私に降る?……………うーん、そうだね。少なくともこのデータそのものは何も役には立たないと思う」
    「なんで?」
    「マスター、こんな事言うのはあれかも知れないけど、ただ動物の力を模倣した程度で私たちに勝てると思う?」

    確かにそうだ。現にここのデータを元に作られた動物ロボはサーヴァントに決定打を与えるには程遠い。

    しかし考えても分からないものはわからない。立夏たちは気を取り直して探索をしようとしたとき……………

  • 831狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:36:46ID:Q5MjE2ODY(5/8)NG報告

    >>830
    『……れ……………るか』

    立夏の脳裏に声が聞こえた。その声を聞いたのはほかの皆もそうである。微かな声。だがこの声には立夏は聞き覚えがあった。

    『だれ……………こえるか』
    方向に走る。聞こえる声が大きくなる
    『だれかきこえるか!』
    その声の主は

    「モードレッド!?」

    円卓のに連なっていた叛逆の騎士の声だ。何故ここにいる?立夏たちの疑問は尽きないが走る。走る。走る!
    声の大きさが強くなる。もうすぐ着くであろう、その時だ!

    「そ、こ、ま、で、だ!」

    立夏の首根っこが大嶽丸により捕まれ後ろに下がる。その瞬間爆音。目の前にクレーターができた。

  • 832狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:37:26ID:Q5MjE2ODY(6/8)NG報告

    >>831
    目の前に二人降り立つ。人?いやこの雰囲気まさか!

    「馬鹿な、サーヴァントだと?!」

    リンドヴルムの驚愕は最もだ。デン・テスラ。話によれば幻霊であった己を補強することにより英霊として辛うじて顕現した存在。まさかそのような存在がサーヴァントを呼べるとは思わないのだ。しかも降り立った二人はよく知るものたち!

    「クース!曹彰!なんであなた達が!?」

    立夏の質問には答えない。ここで大嶽丸は気づく。

    「……………なるほどね。この匂い『神酒』だ。間違いない。しかもいつもより霊基が弱い。こりゃ無理して召喚されたな」
    「ほう、よくぞ見抜いた」
    「そりゃわかるさ。俺は鬼だからな、……………随分と舐められたもんだ。そんな弱体化した状態で俺たちに勝てるとでも思ったんか?笑わせるなよ」

    鬼特有の笑いを浮かべる大嶽丸。……………彼らの返事は返ってこない。そのかわり二人は懐からなにかを取り出す。スマートフォンの様な機械だ。そしてさらに腰にベルトのようなものを巻きつけていった。

  • 833狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:38:16ID:Q5MjE2ODY(7/8)NG報告

    >>832
    「我らは桃太郎三獣士」
    曹彰は緑のそれをベルトに入れる
    『Sonicboom!』
    「我らが主の為ここは通さぬ」
    クースクリドメンは青のそれをベルトに入れる
    『Underworld!』
    「「合装(ごうそう)」」

    すると、曹彰のベルトから猿、クースクリドメンのベルトから犬が出てくる!彼らがバラバラに分かれ全身甲冑の如く装着された!目に見えて上がる霊基!そして圧倒的な魔力!

    『ブッ飛びアギト!レイジングハヌマーン!"The impulse that it is not controlled in vajra"』
    『冥府ガーディアン!シェイキングケルベロス!“The soul of the bottomlessness hole is afraid of heartily"』

    「拡充礼装!?しかもここまでものを作るなんて!」

    アルベルトの悲鳴は彼らの攻撃により掻き消されることとなった!

  • 834狂気メガネ2020/04/22(Wed) 18:38:41ID:Q5MjE2ODY(8/8)NG報告

    >>833
    終わりです

  • 835九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/04/22(Wed) 22:21:19ID:M3NTk2ODY(6/6)NG報告

    >>710
    「魔獣とは何か…ですか」

    そう言うとミュンヘンは頬に手を当てて考え込む。その様子は相手がどのような意図でそれを聞いたのか、何が知りたいのかが分からないような雰囲気が感じられる。丁度自分達が『犬や猫とは何か』と聞かれた時の様子に近い。
    それから少し考えた後ぽつりぽつりと魔獣に関する情報を断片的に呟き始める

    「魔獣は私達が食べる主食で、運が悪ければ逆に食べられるもの…
    シルトグリューンの樹液を嫌がって近寄って来ないもの…
    あとは…彼らの遠い祖先はシルトグリューンで獣に変異した人である、というくらいでしょうか」

    まるで猿と人間が遠い昔近縁種であったことを語るかのように自然と言い放つ

    「やはり魔獣は元は人だったのですか」

    三号の言葉にミュンヘンは一瞬キョトンとした後「ああ、そういう事ですか」と頷き

    「ええ、ですから言っているでしょう。シルトグリューンは人を魔獣に変える恐ろしい毒だと
    魔獣達は遺伝子に刻まれた祖先の記憶からかシルトグリューンを避けますが現代で人が魔獣に変貌したものを『変異種』と呼びます。彼らはシルトグリューンを恐れず、優先的に人を食べます。二年前、私の夫はその変異種から私達を守るために戦って、相打ちになって……っ」

    当時の事を思い出したのかミュンヘンは片手で口元を覆い涙を流すのだった

  • 836島編術陣営 ◆qjazSIB7S22020/04/23(Thu) 18:24:37ID:I0NjQzNjE(9/18)NG報告

    >>835

    通信(チャンネル)越しに流れてくる音声を記録し、重要であると思われる部分をまとめていく。
    「えーっと……『シルトグリューンの効果は人を魔獣に変化させる』『通常種は変化した人間を祖先に持ち、シルトグリューンを恐れ』『変異種は変化したものとしては初代であり、シルトグリューンを恐れない』……ま、嘘をつく必要がある状況だとも思わないし、これ以上の検証は後回しでもいいかね?」
    メモを懐に戻した西行が、「……パニック映画かなんかで聞いたような設定だなァ」と肩をすくめた。
    「…疑問。当機(わたし)は、パニック映画の類型については学習しておりません。現状の理解に役にたつのであれば五号からデータを取得しますが」
    「いや?謎の製薬会社の陰謀やらが現況の理解に役立つかどうかは甚だ疑問だぜ。そんなことより今のまとめ、共有は済ませたか?」
    「当然。…尾裂シリーズ以外に対しては改めて情報共有の場を設けてください」
    「そうだな。あとで俺から伝えよう。……じゃ、俺はもう少し聞き出したい事もあるし、3号の方に行ってくるから後片付けは頼んだわ」
    「了承」

  • 837ここのえ2020/04/24(Fri) 10:52:24ID:YxNTQwNDA(7/11)NG報告

    空の頂点に陽があり、燦々と光が降り注ぐ覇久間市立公園。
    お昼時。
    市街地にあっては珍しく緑に溢れた、休日には家族連れも多く見られるレジャー施設である。
    特級の霊地はセカンドオーナーを筆頭に、聖杯戦争を行う御三家の陣地であるので、アサシン陣営が利用できるような霊地というのは、生命力・魔力に溢れた土地柄を利用したこのような公園などに限られていた。
    「なるほど。これが当世の在り方ですね」
    天を衝くかのような摩天楼は、狭い土地を有効活用するために積み上げられた居住区であり、仕事場であって特殊な意味はなく。オフィス街には無数に列挙していた。
    公園を囲むかのように屹立する灰色の墓標の中にあっては、色鮮やかな色彩は目立つ。
    “アサシン”ネブカドネツァルは、自身の魔力不足を補うために霊地の魔力を積極的に回収していた。
    「で、飯まで食べる必要があるのか? 人間みたいに?」
    白いワンピース姿がネブカドネツァルの生粋の褐色肌に生えて、人の領域を超えた美しさを感じさせた。気品と威容。それはネブカドネツァルが生来の王聖の証だ。
    「英霊も、元は人間霊ですよ」
    「あ~いたいた、アサシン――!」
    街中、人同士の間隔も広いとはいえ、大声でクラス名を叫ぶ夢莉は情報隠蔽の概念もないようだ。が、当のネブカドネツァルは「この聖杯戦争で私より強いサーヴァントはいない」という確信を“根拠もなく”している。
    それもそうだ、アレンジされているとはいえ魔術王ソロモンの遺産があり、ネブカドネツァル自身も最高位の魔術師に近い――因果の逆転という権能一歩手前の魔術、星を降らせることも可能とする天体魔術の使い手である。
    「ね、ここのクレープが美味しいんだよ」
    「ありがとう。いただきます」
    「む……? 使い魔の使い魔の分まであるのか。ふん、律儀だな」
    「あら、珍しい」
    「貴様だって元は人間だろう」
    「え、なに当たり前のこと言ってるの」

  • 838ここのえ2020/04/24(Fri) 10:53:19ID:YxNTQwNDA(8/11)NG報告

    >>837
    夢莉が話について行けず、困惑する。
    そうだ、彼女には魔術師としての知識がない。生前の人間と、英霊と、サーヴァントの違いが理解できていないのだ。
    「ぁ、ふふ……」
    あまりに馬鹿馬鹿しくて微笑む他なかった。そんな心構えで聖杯戦争に参加しよう・させようと思った二階堂の家が。そんな人間をマスターにして“悪くない”と思ってしまう自分も。
    「ほう? 今日は本当に珍しい日だ――」貴様が笑う、だなんて。
    という言葉を続けるようなことはしなかった……?

    本当に珍しい。私が“人間の真似事”をするなんて。
    「お前はアッシュールバニパル王の如くなれ!」
    何を言っているのだろう、この父親は。
    まだ少女だった私は、貧困のただ中で汚い襤褸切れを纏って、空腹をかかえて、あちらこちらと歩き回っていた。頭は瘡蓋だらけで、たくさんの虱が、毛髪の中を這い回っていた。
    「我が子よ、俺はお前にあの王と同じ王聖を見た。生まれながらの絶対者として!」
    ナボポラッサルはバビロニアの総督となり、アッシュールバニパル王が死去するとアッシリア帝国は混乱に陥り、途端にナポポラッサルは反旗を翻した。
    イシュタルを奉るエアンナ神殿に預けられた私を呼び戻してまで。
    「アッシュールバニパル王はかような王であった……」
    そういって思い出話を咲かせた。
    なんせカンダラヌはナポポラッサル以下の器量であり、ならば王としての身近なモデルケースとしては、かの偉大な――偉大に過ぎる王しかいなかった。彼以外の王は当時、存在しないのも同然だった。
    曰く――“支配者たるこの王(オレ)が直々に首を刈ってやるのだ、身に余る光栄を噛みしめながら果てるが良い”とエラムの連中に突き詰めていたのは痛快だったな!
    曰く――“カンダラヌを北部バビロニアの領主とし、ナボポラッサルを南部バビロニアの総督とする。優秀な牙をもつが、飼い主に噛み付かんとする犬を飼ったことはあるか?”とあの王から言われた時には流石の俺も心臓が凍り付いたものだ!

  • 839ここのえ2020/04/24(Fri) 10:54:08ID:YxNTQwNDA(9/11)NG報告

    >>838
    そうして、私は王となった。それが生まれ持った私の宿命であったからだ。
    従わない都市は滅ぼした。アシュケロン、エクロン、アシュドド、ティムナ、ユダ。エジプトと縁深い都市はバビロンに従わないことは分かっていたからだ。
    「星が降りてくるだろう」
    「星が降りてくるだろう!」
    「星が降りてくるだろう……!」
    星が、星が、星が。惑星轟の奇蹟をもって平伏せよ。天上の輝きが我が力。
    その光は私の宿命を告げていた。大バビロンを造り上げよ。
    巨大な樹を、やがて切り落とされる基盤となるものを!

    「ほう? 今日は本当に珍しい日だ――」貴様が無防備に寝る、だなんて。
    マスターとの魔力供給が不足している分、疲労として意識の遮断が現れたのか。
    サーヴァントとの戦闘でも目に見えないだけで消耗は著しかったのだろう。こうも緩むとは。
    バビロンで発掘された真鍮の壺なりし七十二柱の魔神の制御装置、それをもって魔神王を逆説証明する。彼女の王としての目覚めが始まった時より傍にいた守護英霊はしかして。
    「ほう、人間の作り出すものは――悪くない」
    夢莉の嗜好が多大に反映された激甘のクレープを頬張るのであった。

  • 840ここのえ2020/04/24(Fri) 10:56:57ID:YxNTQwNDA(10/11)NG報告

    >>839

    4/30昼
    とりあえずランサー→バーサーカーと連戦したという仮定で~
    [[眠り姫と。]]

  • 841ここのえ@覇久間アサシン陣営2020/04/24(Fri) 10:58:08ID:YxNTQwNDA(11/11)NG報告

    >>840
    ぐわーコテハン忘れたっ
    覇久間聖杯戦争です~

  • 842アリウム&かねたけちゃん【ハクマ狂陣営】◆kBuHl0BYAI2020/04/25(Sat) 10:50:16ID:A4MzE0NTA(13/16)NG報告

    私を呑んだ風雨の渦から喧ましい笑い声が聴こえてくる。
    不思議な事に、あれほどの暴威が直撃したというのに私は無傷であった。
    服はずぶ濡れだし、髪も化粧も崩れてしまってはいたが……命には替えられないと割り切るべきだろう。
    宙を駆ける風雨から開放され、ようやく地に足を着けられた。
    なにものにも遮られることの無くなった視界で周囲を見渡す。
    「………本当に飛ばされてきたんだ」
    既にそこは見慣れた猜野邸の中にはではなく、まるで違った景色であった。
    飛び上がって次のシーンには全く異なる地点、だなんて ……さながら古いバラエティ番組の移動方法か。
    風景に次いで、そこにある人影を見つめる。
    一人目は雲のように真っ白な髪に、真赤の眼……柄が悪いがどこか兎のような印象を感じさせる青年。かなり疲弊しているように見受けられた。
    続いて二人目、こちらはより兎のよう、……というより兎の耳を生やした少女。コスプレのように感じられるがしかしそれにしては精巧すぎる。
    三人目と四人目は恐らくは二人一組なのだろう。褐色肌の男女だ。
    女性の方は少女……といえる風貌でありながら、どこか大人びた或いは超然とした雰囲気を纏い、男性の方は露骨に全てを品定めするような、王様気取りだ。
    ふと、少女の方が私の『瞳』を覗き込むように見つめ、少し表情を和らげて見せる。
    (もしかして、私の“天気を読める『瞳』”について……何か気づいてる……?)
    そんな事を思考していると、不意の突風、その轟音がそれを描き消した。

  • 843アリウム&かねたけちゃん【ハクマ狂陣営】◆kBuHl0BYAI2020/04/25(Sat) 10:50:41ID:A4MzE0NTA(14/16)NG報告

    >>842
    「有象無象が……貴様らは我と芽衣との契り、その祝祭における贄よ。我が暴威の前に疾く潰れるがいい」
    私の前に出現した台風から響く声。それは傲慢にして理不尽。人の倫理にとらわれない天候(カミサマ)故に全てを見下す視点のそれだ。
    あまりに、無礼であり常識知らずだが……それを否定することも恐ろしくて出来そうにない。
    或いは私と少女の目があったことに腹を立てているのかもしれないが、こんな人じゃないものの考えなんてわかるわけが無い。
    そもそも私はこの事態だって受け入れられていないのだ。
    突風が周囲の物体を弾丸の如く加速させて射ち出し、兎耳の少女は槍を、褐色の二人組は剣と不思議な光を以てそれを迎撃する。
    ここでは文字通り、“戦争”が行われていた。10人に満たない者達の規模の小さな、さりとて予想不可能の争いが。
    その事実を再確認すると、思わず身震いしてしまう。今すぐ逃げ出したいが、この台風がまた大暴れするかもしれないし、隙を見せれば他のサーヴァントに討たれるかもしれない。
    その恐怖が心を上塗りして、私の身体をその場に固定していた。
    「何処ぞの王様だか、神様だか知りませんが……ただで食われてやるつもりはない、です!」
    兎耳の少女の槍が風を突き抜けて、台風の中心部を狙う。
    しかし、より強力な風によって阻まれ、刃は弾かれる。
    「我が風を軽減する神性……!月神(イシュチェル)の眷属か!畜生風情が!」
    苛立ちを隠さず吐き捨てる台風。
    「堕ちた神か……超越者でありながらその在り方すら失った堕落、見るに堪えん。俺が引導を渡してやろう」
    その前方では褐色の男が自身の手に光を宿し、それをレーザービームの如く、台風に向けて射出する。
    「ヌゥッ──!!」
    こちらも風を突き抜けるが、台風は咄嗟に身を膨らませて、自身の中心地をずらし、光の一閃を回避する。

  • 844アリウム&かねたけちゃん【ハクマ狂陣営】◆kBuHl0BYAI2020/04/25(Sat) 10:51:16ID:A4MzE0NTA(15/16)NG報告

    >>843
    「我の核を狙おうとは、不遜な輩めが……ッ!!」
    台風は男と、それを伴った少女をより警戒するが……
    「着替え、忘れてしまったわね」
    少女が吐いたのはそんな一言であった。
    自身に迫り来る天災(カミ)を前にいるにも関わらず、ずぶ濡れの私を見てそう思案したのだ。
    (こんな状況で、そんなこと……?)
    それは男や台風の放った傲慢とも異なるものである。
    あれほどの衝撃を伴い現れ、これほどの暴力を振るった存在を『眼中にない』と告げたようなものだ。
    恐る恐る台風の方を向く。風雨が描く螺旋は怒りによって大きく崩れ、正しくカタチのない災害に近づいていた。
    『クハハ!トウモロコシ共と同じ気に食わぬ眼をしているとは思ったが……ここまでとはな!!』
    口ではそう告げているが台風の声音に愉快といった色は感じられなかった。
    『我こそは天の意思。人が我の姿を瞳に収めるなど赦されざる驕り──されど、我が姿を前に崇拝の意を捧げぬもまた愚かな罪なり!貴様の無知蒙昧を糾すしてくれるわ!!』
    見られるのは気に食わないが、見られないのも気に食わない……そんな神ならではの理不尽を振りかざす台風。
    やがて、褐色の男を見つめると、思いついたように身体を震わせる。
    『貴様の使い魔はなかなか優秀なようだが──人如きの成せる技を神たる我が出来ぬ道理もなし』
    やがて、台風からより小さな二つの台風が分かたれ、それぞれ兎耳の少女と褐色の少女の元へと突き進む。
    『蹂躙しろ、ヘーゼル/カミール!!』
    状況を呑み込めない私を置き去りにして、三騎の英霊による三つ巴の戦いはより加速していく……

  • 845アリウム&かねたけちゃん【ハクマ狂陣営】◆kBuHl0BYAI2020/04/25(Sat) 10:51:28ID:A4MzE0NTA(16/16)NG報告

    4/29 バーサーカー陣営 『嵐なりし神』

  • 846魔術師◆TvNZI.MfJE2020/04/25(Sat) 20:56:50ID:IwNTg5MjU(1/1)NG報告

    4月25日魔女の会、初回
    舞台設定、ロンドンのホテルパーティー会場(貸切)
    グループ振り分け

    Aグループ
    グランデリニアさん、ダイアナさん、夏美さん、灯里(うちの)
    Bグループ
    比良坂さん、幽宮さん、ミリンダさん、梓さん、アンジェリーナさん
    Cグループ
    クインティーナさん、飛鳥さん、ルイーセさん、マリサさん

    談笑のためのレスでは普段のコテにABCの一文字を付け加えていただけるとわかりやすいと思われます。

  • 847山星2020/04/25(Sat) 21:16:30ID:E3MjAyMjU(1/15)NG報告

    >>846
    一般通過フォーリナーさんがまだ猶予があるのならば
    https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/ダニエラ・ベロウ
    で参加したいとのことです

  • 848山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 21:26:16ID:E3MjAyMjU(2/15)NG報告

    「じゃあ、このままでいるのもなんだし、始めちゃいましょうか。
    ─────こんにちは、皆さん。私の名前は幽宮綾美って言います。年齢は16歳。魔術師……と、魔術使いも兼ねてるのかな?どうだろ。とりあえずはそんな感じです。……何か、私について聞きたいこととか、あったりします?あと、できれば皆さんからも色々な紹介を聞きたいなーなんて」

  • 849レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 21:33:38ID:k2MDAzNzU(1/17)NG報告

    >>848
    「じゃあ改めまして。比良坂学(ひらさかまなび)って言います。17歳で女子高生、しがない黒魔術師見習いやってるよ、今日はよろしくでーす。
     幽宮さん、って呼べばいいのかな?どんな魔術を扱っているのー?」

  • 850猫の藩士【魔女会Bグループ・マリサ担当】◆UhdDLWUNl.2020/04/25(Sat) 21:36:54ID:M0ODI0NTA(24/27)NG報告

    「では改めまして自己紹介を。
     マリサ・トゥルコック。歳は17、出身はイヌイット。どうぞお見知り置きを。
     せっかくの歓談の機会ということですし。良ければまずは簡単に自己紹介からはじめませんか?」

  • 851猫の藩士【魔女会Cグループ・マリサ担当】◆UhdDLWUNl.2020/04/25(Sat) 21:37:35ID:M0ODI0NTA(25/27)NG報告

    >>850
    ×Bグループ
    ○Cグループ

    Cグループの皆さんよろしくお願いします

  • 852イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 21:39:39ID:E0MDA1MDA(1/16)NG報告

    「あー、ミリンダ。ミリンダ=クレイドルです。イギリス生まれの二十四才の女子…。二十四才って女子かぁ?」

  • 853レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 21:45:13ID:k2MDAzNzU(2/17)NG報告

    >>852
    「『いつまで経っても女は夢見る女子なのよ』ってうちのおばあちゃんが言ってたから……女子じゃないですかぁ?」

  • 854スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 21:45:27ID:E4NzU0MDA(8/18)NG報告

    アンジェリーナ「ええ、アンジェリーナ・コスタと申します。幾つかの事業の傍ら魔術使いのような事をしていますわ」

    事業:コスタ家が抱えてる事業。業種とか規模とか違うけど大体ソーラァイト家みたいなイメージでOK。第■回でもこのあたりは同じ設定。

  • 855山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 21:46:15ID:E3MjAyMjU(3/15)NG報告

    >>849
    「……あなたの好きなように呼んでくれていいわ。よろしくね、比良坂さん。私の魔術……そうね、幽宮を特筆するようなのは『縁結び』かしら。他者との縁と縁を繋ぐ魔術。あとは……ああ、これは私が勝手に修めたものなのだけど、錬金術が使えるわ」

    って言った後に氷の球体の中に火が揺らめいてるっていうのを作り出して学ちゃんに渡すよ

    「錬金術ってね、単純な物質の錬金以外にもこういうことができたりするわ」

    >>852
    「………アラサーにならない限りは、ギリギリ女子で通るんじゃないかしら?社会人でも女子会はあるでしょう。……なんか眠そうというか、めんどくさそうな顔してない?

  • 856覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 21:46:23ID:U5MTkzNTA(13/22)NG報告

    「改めてごきげんよう。Aグループの皆さん。私はグランデリニア・グレーヴェンマハ。ドイツの魔術師よ。あなたたちを砂漠に描いていいかしら?」

  • 857愉悦部inクローディアァ![Cグループ]2020/04/25(Sat) 21:47:30ID:kwMDE1NzU(21/24)NG報告

    >>850
    「あ、あの。わたし、ルイーセ・エルキセン、と言います。
    北欧の山の奥の神殿で神に仕える神官をやっています。それで外の世界のこと全然知らなくて。フォーサイトさんに連れてきてもらいました……。
    魔術は神様に教えてもらった神代のルーンと、宝具を使ってます。剣とか槍とか。戦士として必要なものは一通りできます」

  • 858イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 21:50:00ID:E0MDA1MDA(2/16)NG報告

    >>855
    >>853
    「ん〜そうかな〜?そっか…いや、こういう知らない人と話すのに馴れてないっていうか…。友達、あんましいなかったし…年下ばっかだし…。時計塔にいたころはみんなに避けられてる気がしてたし…面倒くさがってコミュニケーション取らなかったツケかねぇ?」

  • 859狂気メガネ Cグループ2020/04/25(Sat) 21:54:19ID:U3ODM2MjU(23/28)NG報告

    >>850
    クインティーナ「私はクインティーナ・フォーサイト。ルイーセさんを連れて来たのは私。フォーサイト家の財力を持ってすれば容易いことですわ!……………皆さんの携帯番号とメールアドレス教えてくださっても?」鼻息が荒く

  • 860火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 21:54:20ID:EwMDcxMjU(18/36)NG報告

    (バタバタバタ、と駆け込んでくるような足音)

    「アカン出遅れたぁ!! Bグループの皆さんすんません!」

    「初っ端からやらかしてもうて申し訳ない…。改めまして、うちの名前は加々見梓。日本の関西で活動しとるしがない魔術師です」

    「使用魔術は銀糸……要するに、魔力で操るワイヤーみたいなもんです。よろしゅうお願いします(深々と頭を下げる)」

  • 861スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 21:55:17ID:E4NzU0MDA(9/18)NG報告

    >>852
    「私も20歳ですし、気にする事でも内容でしょう。何より、すらりとした美人で見劣りしませんし……気怠げなのが玉に瑕ですけど」

  • 862山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 21:56:28ID:E3MjAyMjU(4/15)NG報告

    >>858
    「……人から避けられるからコミュニケーションがーってのはわかるわよ。私もそうだったもの。いや、あなたのそれとは事情が違うのだけど。とにかく、今回を通して慣れればいいんじゃないかしら。……慣れたところでーとは思うかもしれないけれど、こんな場だもの。話すだけでも何か発見があるかもね?」

    >>854
    「あら、コスタ?……色んなところで聞く名前と思ったら、なるほどそういうことだったの。随分とお綺麗な方ね。ゴスロリが似合う人ってあまりいないわ」

    >>860
    「あら、そんなに焦ることでもないんじゃない?ちょうどみんな自己紹介してたとこだし。……とりあえず、はい。水でもどうぞ」

  • 863一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 21:57:01ID:IyMTQ2NTA(19/30)NG報告

    >>856
    「ごきげんようグレーヴェンマハさん。私はダニエラ・ベロウ、ベロウ家より参りました……この集会に参加できたことをうれしく思います」


    補足:ベロウ家は魔術の業績はそれほどでもないが金稼ぎが上手い、魔術社会では『あー、あったねそんな家。詳しくは知らんけど』程度の認知度なのである!

  • 864愉悦部inクローディアァ![Cグループ]2020/04/25(Sat) 21:58:53ID:kwMDE1NzU(22/24)NG報告

    >>859
    「……けぇたいでんわ?ってなんですか……?くるぅまみたいな人を食べる動く箱みたいなものですか……?ここに来るまでのへりこぷたぁ?も怖くて……」
    未知の単語が分からずおろおろしながら

  • 865九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/04/25(Sat) 22:00:14ID:A3MzQ1NTA(1/3)NG報告

    >>850
    「大鳳飛鳥、20歳です。こっちは使い魔のフィルニース、よろしくお願いします」
    『ヨロシク…』

  • 866イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 22:00:25ID:E0MDA1MDA(3/16)NG報告

    >>860
    「ワイヤーか…。それって使えたらすごく便利なやつ?」


    >>861
    「んー?…ありがとね。家族以外の女の人から褒められるのは、随分久しぶりな気がするから、嬉しい」

  • 867レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:00:26ID:k2MDAzNzU(3/17)NG報告

    >>855
    「あ、どうも…………こんなことできるんだ、綺麗…………」
    (学にとって)高度でしっかりとした魔術を間近で見ることができて、静かに感動してるよ。

  • 868魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/25(Sat) 22:03:49ID:E1NTk5NTA(1/6)NG報告

    >>856>>863
    「やっ、やんごとない……!?」
    「というか、どうして私がさっきまで仕切りのようなことを出来ていたのか……竹葉灯里と申します、いちおう魔女やらせてもらっていますよろしくおねがいしますっ!」

    (お辞儀角度100°)(後半に行くにつれて早口へ)

  • 869スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 22:04:00ID:E4NzU0MDA(10/18)NG報告

    >>849
    「奇遇ですわね。私も、黒魔術も扱ってますわ」

  • 870島編術陣営 ◆qjazSIB7S22020/04/25(Sat) 22:05:50ID:Q2Njc5NzU(10/18)NG報告

    >>868
    「(どう考えても緊張している……私も人の事言えないけど……)
     先ほども少し自己紹介はしましたが……ダイアナと申します。魔女といっても、もうあまり研究は進めていない家の者ではありますが、どうぞお手柔らかに」

  • 871火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:05:52ID:EwMDcxMjU(19/36)NG報告

    >>862
    「ありがとうございます(コップを受け取りつつ)。……いやぁ、電車が止まってて動けんくなってしもうてて」

    「何や途中で事故でもあったみたいで、災難でしたわ」

    「お詫びというてはなんですけど(ゴソゴソ)……とりあえず、はい(あやとり糸代わりの銀糸で作った『さかずき』を見せる)」

    「お粗末ですが、ちょっとしたご挨拶です。よろしゅうに」

  • 872覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 22:07:54ID:U5MTkzNTA(14/22)NG報告

    >>863
    >>868
    >>870
    「あらまあ。ベロウ家の…ダニエラさんね。それに灯里さんにダイアナさん。仲良くしていきましょうね」(嬉しそうに笑う)

    ※グレーヴェンマハ家は表向き金持ちなためベロウ家のことは一目置いていそうではある

  • 873狂気メガネ Cグループ2020/04/25(Sat) 22:08:02ID:U3ODM2MjU(24/28)NG報告

    >>864
    クインティーナ「……………私があげますから色々学びましょうね。手取り足取り……………」ハアハア

  • 874火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:08:51ID:EwMDcxMjU(20/36)NG報告

    >>866
    「いやぁどうやろ? 実際便利やけども、その分習得に時間と労力がかかるもんで」

    「映画の――蜘蛛男、やったっけ? あんな風に操れたらええんやけどなぁ。うちの魔術には敷居が高いわ」

  • 875猫の藩士【魔女会Cグループ・マリサ担当】◆UhdDLWUNl.2020/04/25(Sat) 22:09:09ID:M0ODI0NTA(26/27)NG報告

    >>857
    「ルイーセ・エルキセンさん、ですね。良ければルイーセさんとお呼びしても?
     ……そういえば、魔術に関する話はしてませんでしたね。
     私はアンガコック。イヌイット最後の巫術師……ようするに、シャーマンのようなものと考えていただいて結構です。西洋風に言うと降霊術ですかね」

    >>859
    「携帯というのは、この黒い板のことでいいのでしょうか? イギリスに来た時に買いはしたのですが。気づけば動かなくなってしまって。以前までは遠見の魔術で映像なんかが映っていたはずなのですが」

    >>865
    「オオトリ・アスカさんにフィルニスさん……よろしくお願いします。ナーツク、フィルニスさんとみなさんにご挨拶を」
    『初めまして。ナーツクって言います。マリサと契約した風と嵐の精霊です。よろしくお願いしますね!』(マリサの身体から幽霊のように顔を覗かせる)
    『』

  • 876一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 22:10:18ID:IyMTQ2NTA(20/30)NG報告

    >>868
    「オジギワンハンドレッドッ!?」ガビーン
    「あ…………オホン……初めまして竹葉さん、私はダニエラ・ベロウ。カバリスト……の真似事などをしております、今後ともよしなに…………」握手を求める

  • 877レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:11:01ID:k2MDAzNzU(4/17)NG報告

    >>869
    「!もし良かったら、話を詳しく聞かせてもらえませんかー?
     初心者なりに修練してはいるものの、結構行き詰っていてー……」
    と、恥を忍んだような様子で聞きたがりますね。

  • 878山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:13:06ID:E3MjAyMjU(5/15)NG報告

    >>867
    「そうね……と言っても、これは初歩の初歩。それに、私とあなたじゃ魔術系統が違うのだし。私も黒魔術は興味あるわよ。少し齧った程度なの。あ、あなたがお望みならそれに保存をかけてあげるけれど?」

    >>871
    「一芸を見せるっていうのは素敵なことね。私も何かするべきかしら……ああ、そうだわ」

    各人に軽く装飾された手のひらサイズのガラス玉を渡すよ

    「最近作ったものなの。所持者の魔力や性格で色が変わったり装飾のデザインが変わる代物よ。詳しいことは省くけれど、魂の色を見て自ら色をつけるガラス玉。……嫌じゃなかったら、もらってくださる?」

  • 879火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:13:52ID:EwMDcxMjU(21/36)NG報告

    >>877
    「黒魔術かー。うちもどんなんか、興味あるなぁ」

    打ちだとこんな感じの、ぽやぽやした見た目のまま本気なのか適当なのか伺わせない感じで聴きますね

  • 880狂気メガネ Cグループ2020/04/25(Sat) 22:17:18ID:U3ODM2MjU(25/28)NG報告

    >>875
    「……………どうやら電池切れのようですね。この形私のと同じですね。あとで一緒に充電器取りにいきませんか」距離を積める

  • 881火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:17:39ID:EwMDcxMjU(22/36)NG報告

    >>878
    (興味深げにガラス玉を見つめる)

    「おおー、面白……。昔買うてもろた万華鏡みたい」

    「けどなんか申し訳ないわ。遅刻したのに、許してもらっただけでなくこんな素敵なもんまで貰うと」

  • 882イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 22:18:01ID:E0MDA1MDA(4/16)NG報告

    >>874
    「そっかぁ、そんなに便利じゃないんだね…。残念、楽できるなら覚えようと思ったのに」


    >>877
    「黒魔術…か。懐かしいな。私も時計塔にいた時に少しならったけど、あんまし好きじゃなかったなー。私より弟の方が詳しいかも」

  • 883愉悦部inクローディアァ![Cグループ]2020/04/25(Sat) 22:19:29ID:kwMDE1NzU(23/24)NG報告

    >>873
    「は、はい。よろしく、お願いします……?」
    >>875
    「……!マリサさ、ん……?お姉さん……?も神様を信仰してるんですか?」
    不安げな顔から一転して自分と同じ巫女がいると聞いてパァッと顔を輝かせてとてとて走って近づきながら。

    そういえばこの中でルイーセだけ13で他の三人より一回り二回り幼いんですね。そりゃ年上ばかりに囲まれて初めての対人会話だから緊張するか

  • 884火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:23:16ID:EwMDcxMjU(23/36)NG報告

    >>882
    「まあ楽をするにも代償はいるっちゅうことで」

    「うちも、日頃の体育の授業をどうやって乗り切ったものかいっつも頭痛めとるしなぁ」

  • 885レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:24:09ID:k2MDAzNzU(5/17)NG報告

    >>871
    「(あっちの彼女も彼女で凄そう……てゆーか私がこのグループ内で大したこと無い感じぃ……いやいや、これも勉強だし……!)」
    とそれを見て一人なんか葛藤&気合い入れ直してる。

    >>878>>879>>882
    「マジで!貰っていいの?……大事にするし。
     ん~、と言ってもマジで私の魔術大したこと無い上に、人に見せれるような奴は……あ、うーん……」
    恥ずかしがりながら可愛らしいクマのマスコットを人数分手に取るよ
    「その……呪殺補助用の黒魔術礼装というかなんというか……いや、マジで大したこと無いんだけども(もじもじ)」

  • 886狂気メガネ Cグループ2020/04/25(Sat) 22:24:44ID:U3ODM2MjU(26/28)NG報告

    >>883
    「(じゅるり)……………まあ後でいきましょうね。しかし魔術ですか。私は黒魔術を使いますね」

  • 887スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 22:25:08ID:E4NzU0MDA(11/18)NG報告

    >>862
    「今の私に似合うように仕立ててるだけですわ。それでも奇異な目で見られる事も割とありますし」

    >>877
    「良いですけど、余り高度な事は教えられませんわよ?」
    実力と性格から、下手に教えると自分の実力を省みずに突き進んで破滅するタイプと判断

  • 888猫の藩士【魔女会Cグループ・マリサ担当】◆UhdDLWUNl.2020/04/25(Sat) 22:27:06ID:M0ODI0NTA(27/27)NG報告

    >>880
    「じゅ、ジューデンキ……?」
    嫌いなものが過度な文明なだけありますね……

    >>883
    「ええ。私が……いえ、私達が信仰しているのは精霊ですがね。神も精霊も大いなる自然を司る存在。そういう意味では貴方も私も同じと言えるでしょう」

  • 889火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:27:06ID:EwMDcxMjU(24/36)NG報告

    >>885
    上の様子を見た時:(『何や。よう分からんけど可愛らしい子やなぁ』と思ってる)

    下の取り出された人形を見た時:(『……うん。要注意やな、この子は』とさりげなく警戒レベルを引き上げてる)

  • 890イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 22:27:40ID:E0MDA1MDA(5/16)NG報告

    >>887
    >>885
    >>884
    「ん?この流れは、私も何か見せるべき?それともこのまま黒魔術相談に行く流れ?」

  • 891魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/25(Sat) 22:27:41ID:E1NTk5NTA(2/6)NG報告

    >>876
    「しっ、死ぬかと……ほんとうに死ぬかと思ってました……!」(握手返し)
    >>870>>872
    「日本の…………それも山奥の出なので……!」
    「他のかたのような身分も何もないもので……つり合うかもわかりませんが……」


    (震えている)
    (というか先ほどまでの人前に立って仕切りをするというのは一歩間違えれば焼け死ぬので本当に心の負担が大変なことになっていた)

  • 892山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:27:51ID:E3MjAyMjU(6/15)NG報告

    >>881
    「あら、本当は取り繕うべきなのでしょうけど、これってそう高くもない安物だもの。私としてはあなたのその『銀糸』に興味があるし、物々交換?とでも思ってくれていいの。……だってそれ、どことなく錬金術の感覚がするもの」

    >>885
    「えっ、可愛いわねこれ。……けれどあなた、初代なんでしょう?それにしてはよくできてると思うわ。素人目線でもわかるぐらい」

  • 893山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:29:38ID:E3MjAyMjU(7/15)NG報告

    >>892
    (あっ心の中で「学ちゃんは純粋な魔術師タイプなんだなぁ」って思ったよ)

    >>890
    「自分の興味が向いた方でいいんじゃない?……個人的にはあなたのも気になるけれど」

  • 894狂気メガネ Cグループ2020/04/25(Sat) 22:29:53ID:U3ODM2MjU(27/28)NG報告

    >>888
    「……………あとは私に任せてください」距離をさらに積める

  • 895(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/25(Sat) 22:31:36ID:Q2Njc5NzU(11/18)NG報告

    >>891
    (一応ダイアナちゃんが今回の自己紹介で家名名乗らなかったのは「ガチ貴族だって意識されると話しづらくなるかな」ってのがあるんやで)
    「いえ……今回は公式の会合という訳でもありませんし、身分のことはお気になさらず。どうぞ楽になさってください」

  • 896火村の人・Bグループ◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:32:20ID:EwMDcxMjU(25/36)NG報告

    (うーん……みんな思ってたより色々持って来とるな)

    (このままやと、うちの株だけダダ下がりや……かといって、あんま魔術は晒せへんし……せや!)

    (ピコーン!と何かを思いつく梓)

    「ちょいとごめんな、この人形使わせてもらうで…」

    (人形に銀糸を仕込ませる&指先を動かし、人形をも操る)

    「『ヤア、コンニチワ! ボク、クマノジューサンダヨ! ヨロシクネ!(裏声全開)』……なんてな。ちょっとした、人形遊びや」

  • 897一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 22:32:21ID:IyMTQ2NTA(21/30)NG報告

    >>870
    「よろしくお願いしますね、ダイアナさん…………」握手を求める


    >>872
    「今日はどうぞよしなに…………」握手を求める


    補足:なお、家の格はグレーヴェンマハ家の方が格段に上の模様。

  • 898イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 22:33:04ID:E0MDA1MDA(6/16)NG報告

    >>893
    「そっかぁ…じゃあ…少しだけタバコ、いい?」
    と言ってタバコを一本取り出してライターを持つ

  • 899覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 22:34:18ID:U5MTkzNTA(15/22)NG報告

    >>891
    「山の人なのね。確かにかわいいわ。そんなに震えないで、ほほえんでみてちょうだい?」(ぐいぐい来る)

  • 900イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 22:35:02ID:E0MDA1MDA(7/16)NG報告

    >>896
    (そんなに派手なの使うと皆を殺しちゃうから…)

    (あの人形を起点に…短いストーリーでいいかな)

    (この出会いへの手向けに人形劇を開こう。幻覚だけども)

  • 901レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:37:16ID:k2MDAzNzU(6/17)NG報告

    >>887>>893
    一応自分の限界まで習得したいけど、無理ならば自分の代ではすっぱり諦めて子供が産めるうちに相性のいい男性を見つけて次代に託そうとは思うタイプですね。

    >>892>>889
    「(う~、こんなことならもっと気合入れたの用意すればよかったぁ、絶対こんなものかって思われてるしぃ……あとは使い魔呼ぶくらいだけど、此処ホテルだしぃ)」
    と当の本人はモジモジしていますね()

  • 902九終狂陣営【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/04/25(Sat) 22:37:32ID:A3MzQ1NTA(2/3)NG報告

    >>859
    「連絡先の交換ですね。はいどうぞ!」

    >>875
    『…………』(ナーツクを見て)
    少女体「なーんだ、人型でいいのか」

    飛鳥「あ、フィルニースは人型になれるんです」

  • 903愉悦部inクローディアァ![Cグループ]2020/04/25(Sat) 22:39:39ID:kwMDE1NzU(24/24)NG報告

    >>888
    「はい!神様も精霊様もわたしたちに恵みを与え見守って下さる方々ですから。傅き仕え、畏敬の念を捧げなければ、ですね。」

  • 904イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 22:40:53ID:E0MDA1MDA(8/16)NG報告

    ミリンダはタバコに火を付け紫煙を柔らかく、同卓の人へと吹き付ける。
    「Moonlight(照らされて)…All night(微睡んで)…Fall down(沈んでいく)…」

  • 905一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 22:41:11ID:IyMTQ2NTA(22/30)NG報告

    >>891
    「ふふっ…………それでも主催を務めているのですから、立派だと私は思いますわ」


    補足:ダニエラは灯里ちゃんが魔女なのは知ってるけど、体質については全く知らないゾ!

  • 906覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 22:41:38ID:U5MTkzNTA(16/22)NG報告

    >>897
    「よろしくね。(手を握る)
     ……そういえば、皆さんはどういった魔術を研究していらっしゃるの?(こういうことが盛り上がるかしら…)」

  • 907イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 22:47:11ID:E0MDA1MDA(9/16)NG報告

    >>904
    「…かかった…かな?魔術師に大っぴらに術をかけるのは久しぶりだけども、かかってるか試すかな。『開演前にお姉さんとのお約束。劇が始まったら終わるまで静かにしてね。約束守れる人は手を挙げて』」

    反応はお任せします。月明かりのない室内だと本来の魔術式の三割程度しか完成しないので高レベルの魔術師ならもしかしたら自動防衛されるかも

  • 908(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/25(Sat) 22:47:22ID:Q2Njc5NzU(12/18)NG報告

    >>897
    「はい、どうぞよろしくお願いします」

    >>906
    「魔術、ですか……一応伝統として受け継いでいるのは黒魔術の領域ではあるのですが、最近は少し呪術方面も学んでみています(旧来の方法ではどう考えても行き詰まってますし……)」

  • 909レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:50:28ID:k2MDAzNzU(7/17)NG報告

    >>907
    学は好奇心もあるし高レベルな魔術師でも無いし危険ではなさそうなので容易くあげちゃう

  • 910魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/25(Sat) 22:51:07ID:E1NTk5NTA(3/6)NG報告

    >>895
    (というかもう1人でもやんごとない感じの人が混じってれば、自己否定からみんなそうだと思い込む可能性の方が高い)
    「はっ、はい!ありがとうございますっ!」
    >>906
    「あの、うちはおばあちゃん……祖母が薬品を作ってたんですけれど、私はそういうのあんまり得意でなくて」
    「私自身は火とホウキが得意です。勢いは結構すごいですよ!」


    (気持ちを作っているので!マークが多い)(まだリラックスまではできていない)

  • 911火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:53:45ID:EwMDcxMjU(26/36)NG報告

    >>907
    (術にかかる少し前)

    「(これは――幻術、の類?)」

    「(ちょお不味いな……幻術使い相手に無防備のままなんは、危険すぎる……)」

    「(けど――まあ、ここは一つ乗っておこか。元々うちから頼んだ話やし。……一応、前後不覚になった時の仕込みもしておいて、と)」

    (以上、無言で手を上げる)

  • 912一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 22:54:42ID:IyMTQ2NTA(23/30)NG報告

    >>906
    「カバラと、體輪術……いえ、チャクラ・チャネリングと言い換えた方がよろしいかしら……それら二つを研究していますね」


    補足:Q.チャクラ・チャネリングって?
       A.あぁ!それって東洋のマイナーな身体強化術式的なヤツ?(一般的魔術師並感)

  • 913魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/25(Sat) 22:55:56ID:E1NTk5NTA(4/6)NG報告

    >>905
    「あっ……………………」
    「あの、それは…………」

    「ロンドンでの生活を見ていてくれる人が会場と、あとこのカンペを……」

    (ローブの内側からボロボロ出てくるカンニングペーパー)(すいませんここばっかりは相当控えめな性格の灯里が自分発案の企画とはいえ司会の真似事をやる理由として許してください)

  • 914火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 22:57:28ID:EwMDcxMjU(27/36)NG報告

    >>911
    追記:

    書き忘れましたが、加々見の仕込みとは身体に銀糸を絡ませた事です。
    無意識の状態でも、身体を傷つけられたり脳臓器に痛みが走れば自動で身体を操り動かします


    …まあ、多分不要だと思いますけど

  • 915山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 22:58:58ID:E3MjAyMjU(8/15)NG報告

    >>907
    (─────嫌だわ、こんな時に私の魔術刻印は。そこらの器具と縁を強制的に繋いで正常な情景を見させようとするなんて、割とほんとに嫌になるわね。これぐらい普通に楽しませなさいよ)

    (仕方ない……比良坂さん。あなたの『縁』借りるわね)

    刻印が自動で正気にさせようとするから学ちゃんと一定時間の間だけ縁を繋がせてもらうよ。これでかかってないのに幻術にかかるとかいう矛盾してるけど成立した状況ができてる。んで手をあげる

  • 916スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 22:59:58ID:E4NzU0MDA(12/18)NG報告

    >>907
    「困りましたわね。余りこういう場に相応しい術の持ち合わせが無いので……」
    何一つ抵抗した素振りが見えないのに、全く効いてない。
    というか、精神系の耐性はバッチリ。

    戻ってきました。

  • 917覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 23:00:23ID:U5MTkzNTA(17/22)NG報告

    >>908
    「黒魔術!面白そうな響きの魔術ね。呪術なんて、とっても魔術師らしいわね」(興味深そうにうんうん頷く)
    >>910
    「火にホウキ、魔術師というより魔女みたいね。おばあ様も魔女なの?(リラックス出来ていないみたい…これは、私の出番ね)」
    >>912
    「カバラ魔術…聞いたことあるわ!素敵、ここはいろんな魔術師が揃っているのね!」(目をキラキラさせる)

    「私は伝染魔術っていう魔術を研究しているの。ちょっと試してみるわね」

    (グランデリニアは伝染魔術でリラックスした精神を広める。広まるかどうかは各々反応ご自由にどうぞ)

  • 918狂気メガネ Cグループ2020/04/25(Sat) 23:03:26ID:U3ODM2MjU(28/28)NG報告

    >>902
    「ありがとうございます……………ふふふ」声に艶と熱が帯びる

  • 919一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 23:05:48ID:IyMTQ2NTA(24/30)NG報告

    >>913
    「そうだったのですか……けれども、立派に務めているのは事実でしょう?カンペがあったとしても、私には前に立つ勇気が出せませんよ……」苦笑しながら


    大丈夫ですゾ!
    補足:実はダニエラの握手してない方の手は手汗でびっしょりである!緊張しているのだゾ!

  • 920ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:07:17ID:I0OTg5MTI(1/14)NG報告

    >>856
    >>906
    「みんな、遅れてゴメンなさい!Aグループの蒲池夏美です!日本の覇久間という土地で管理者をやってます!」
    「アタシの魔術は奉詩魔術って言ってー、元々神事の際に詩を吟じたり、楽器を奏でていたんだけど、それが元になって……今じゃ言霊とかを情報として扱ったりするんだよ」
    「あっ!それと妖精眼も持ってまーす!」

  • 921魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/25(Sat) 23:09:45ID:E1NTk5NTA(5/6)NG報告

    >>917
    「? …………?」
    「はい、魔女です。祖母いわく、魔術師ではなくて、魔女なんだそうです」
    「根源の渦っていうのも、ロンドンでお世話になってる人から教えてもらったくらいで(伝染直撃)ぽわーーーーー」

    (口から魂の抜けている様子)(体質の問題で感受性が高すぎた)

  • 922イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 23:10:16ID:E0MDA1MDA(10/16)NG報告

    (細工は、きっとされてるよね。まぁ仕方ないか)

    (死にゃあしないしへ〜きへーき)

    「さて…『それではこれより開演します。人形の華麗なダンスをお楽しみください』」

    術にかけられた者はテーブルの上で人形が軽快なステップで踊るのを見るだろう。やがて人形が二人にふえ、息のあったコンビネーションでヒップホップを踊りだす。
    だがテーブルの上では何も起こってはいない。人形はテーブルの上に倒れたままで、虚ろな視線を注がれている。
    やがて曲が終わると、人形はペコリとお辞儀をしてその場に倒れた。人形が増えたままで。
    (念の為多めに解除コマンド入れとこ。今解除すれば家に帰ったら狂死する、なんてことにはならないでしょう)
    「『これにてショーはおしまいです。ご覧いただきありがとね。もう会うことはないでしょう』」
    ミリンダがこう宣言し、タバコを携帯灰皿に押し込んで指を鳴らす。すると同卓していた者たちの瞳には生気が戻り、テーブルの上にある『一つしかない人形』をみて、それぞれの思いを滲ませるのであった。

  • 923(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/25(Sat) 23:12:12ID:Q2Njc5NzU(13/18)NG報告

    >>917
    「魔術師、らしい……(と言われるとあのロクデナシ術師のことを思い出して複雑な気分になるのだけど)」
    なお、伝染魔術については起源からきてる「周りの空気に馴染みづらい(「浮く」)」で効き目が若干落ちるが普通に効くもよう。緊張は解けるかな?

    >>920
    「いえいえ……まだ、始めたばかりですから大丈夫です。よろしくお願い致しますね」

  • 924イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 23:13:03ID:E0MDA1MDA(11/16)NG報告

    >>922
    「とまあこんなものだけども。楽しんでもらえたかな?」

  • 925覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 23:16:15ID:U5MTkzNTA(18/22)NG報告

    >>920
    「はじめまして。私はグランデリニア。グランデと呼んでね。
     コトダマ…不思議な言葉ね。どういったものなの?妖精眼も気になるわ。誰かを小鹿に変えたりするの?」
    >>921
    「魔女!本当に魔女なの?こんなところで魔女に会えちゃうなんて、とっても素敵!
     ふふ、感受性の高い魔女さんなのね(この人なら、あの世界にも共感してくれるぁも…!)」

  • 926レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:16:22ID:k2MDAzNzU(8/17)NG報告

    >>924
    素直に拍手して「すごい」とか「すげー!」とかはしゃいでます

  • 927山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:16:27ID:E3MjAyMjU(9/15)NG報告

    >>922
    「素敵だったわ、ありがとう。私の予想よりも遥かに綺麗で素晴らしかった。……魔術師は秘匿が第一なのに、それも厭わずこうやって見せてくれて本当に嬉しい。刻印が勝手にするとはいえ、対策を仕込んでいたのが申し訳ないぐらい」

    って拍手したあとに立ち上がろうとしたら急にめまいがするよ。「何も動いてない人形」と「動いたり増えたりする人形」を同時に視界に入れて見続けるとかいう現象が頭の中で起きたからね。仕方ないね

  • 928ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:16:29ID:I0OTg5MTI(2/14)NG報告

    >>923
    「ありがとう!よろしく!んー、みんなの魔術についてお話する?」
    「勿論、言える範囲、でさ」
    (伝染魔術は妖精眼で可視化できるのでそれとなく自分と遮断している)

  • 929火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 23:17:49ID:EwMDcxMjU(28/36)NG報告

    >>922
    「『スゴイスゴイ! オネエサン、コンナコトモデキタンダネ!』」

    「……はは。参ったわ。こうまで鮮やかに、しかも見事な芸を見せられるとはなぁ」

    「(幻術の精度も高かった……本気の勝負やったら、うちが負けてたやろうな)」

    「(やっぱ人形さん置いてきたのは失敗やったかなぁ……いや、今日はあくまで『歓談』や。下手に武器の類でも持ち込んだりしたら、そっちの方があかん)」

    「(最悪――それで、一触即発なんて事になったら余計読めへん)」

    「(今宵は大人しく、命拾いした事だけでも幸いと思わんとな。……まだちょっと、何か気持ち悪いけど、気ぃ利かせてくれたみたいやし、どうにかなりそうや)」

  • 930スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 23:19:25ID:E4NzU0MDA(13/18)NG報告

    >>924
    (この様子、大元は『危険度』の高い幻術の類ですわね。恐らく今回のは無害なものに調整してるから大丈夫でしょうけど)
    「『中々の』幻術ですわね」

  • 931魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/25(Sat) 23:20:56ID:E1NTk5NTA(6/6)NG報告

    >>925
    「ぽわーーーーーーーーーーーーーーー」


    (解除してもらって引き戻してこないとギャグ調の白黒で口から魂の抜けた表情のまま)
    すみません、10数分から20分ほど落ちます。
    夏美さんへの反応は戻ってきたあと、意識が戻ったタイミングでさせてもらいますね。

  • 932一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 23:21:16ID:IyMTQ2NTA(25/30)NG報告

    >>917
    「(あ、これ……グレーヴェンマハさんが気を効かせてくれたのね……)」

    補足:裏ダニエラ「害意はなかったので…………あったら?──────くふふ」まぁ、ここでそういうことになるのはあり得ないんだけどネ!


    >>908
    「ふふふ…………」どう考えても所作の端々がやんごとない方のソレなので内心焦ってる。

    >>920
    「…………?」宇宙猫顔

  • 933レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:22:02ID:k2MDAzNzU(9/17)NG報告

    ドロテーアさんが10分くらい前に来てくれたのですが、今からでも参加できそうですかね?

  • 934ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:22:58ID:I0OTg5MTI(3/14)NG報告

    >>925
    「ハハハッ!小鹿には変えられないなー。妖精眼はね、魔術とか魔力の気配が見えちゃったり、幻想種なんかがはっきりと見えるんだ。ん~なんだろう、赤外線が見えるとか、紫外線が見える……みたいに結構みんなとは視覚は違うかもネ☆」
    「言霊はね……説明が難しいんだー。これ、日本独特みたいでさ。言葉には神秘的な力が宿るって考えなんだよ」

  • 935レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:24:41ID:k2MDAzNzU(10/17)NG報告

    >>927
    これ、立ち位置的に学が近い、ので良いのかな?
    だったらふらついた気配に気がついて慌てて支えようとします

  • 936火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 23:25:15ID:EwMDcxMjU(29/36)NG報告

    >>933
    自分は問題ないです

    強いて言えば、後どれだけ続けるかにもよると思いますが…

  • 937ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:25:24ID:I0OTg5MTI(4/14)NG報告

    >>932
    「ん~……難しかったかな?ゴメンね」
    「超カンタンに言っちゃうと、情報と振動を扱う魔術なの!」

  • 938スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 23:25:26ID:E4NzU0MDA(14/18)NG報告

    >>927
    「あら、大丈夫ですか?」

  • 939イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 23:27:04ID:E0MDA1MDA(12/16)NG報告

    >>926
    「そこまでのものじゃないよ〜。…まぁ、悪い気はしないねぇ…」

    >>927
    「ん…?(ちょっと影響か残ってるのかな?もしくは…『耐えた』かな?)大丈夫?」

    >>929
    「こちらこそ。アイデアはその人形からだから、助かった」

    >>930
    「……まあ、『今回は』調節したからね〜。物足りないならもっと『いい事』してあげるけど?」


    説明しよう!ミリンダは起源『知覚』により、相手の細工や術の効き具合がなんとなぁ〜くわかるのだ!

  • 940覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 23:32:19ID:U5MTkzNTA(19/22)NG報告

    >>931
    「ちょっと抜けすぎじゃったかしら…」(伝染魔術を解除する)

    (了解です)
    >>934
    「凄い眼なのね!見る世界が違うなんて…うらやましいわ…(うっとりと見る)
     日本独自の文化…「ヤマトダマシイ」ってやつね!テレビで見たことあるわ!」

  • 941山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:32:21ID:E3MjAyMjU(10/15)NG報告

    >>933
    Bグループの人たちはいまみんなフルで居るようですし、みんながいいんだったら私は大丈夫です

    >>935
    「ああ、ごめんなさい。ありがとう、助かるわ」
    って笑顔で肩を借りて立ったあとにさりげなく繋いでた『縁』を切るよ。学ちゃんに迷惑かけないようにね

    >>938
    「ええ、大丈夫。………ここで経験の浅さがモロに出るわよね。(もう少し感覚共有の練習すればよかったわ)」

    >>939
    「気にしないで。ちょっと現実と非現実を一緒に頭にぶち込まれただけだから」

  • 942一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 23:34:49ID:IyMTQ2NTA(26/30)NG報告

    >>937
    「(いえ、まぁ、ソレは大まかに推察できたんですけど……えっ、妖精眼……?と、ともかく挨拶しないと…………)」
    「…………補足、ありがとうございます。蒲池さん、私はダニエラ・ベロウ……ベロウ家より参りました、どうぞよしなに…………」


    補足:ダニエラは、ベロウ家当主から「妖精眼持ちはやべーぞ!」と念を押されて教育されていたのである!まぁ出会ったヤツ出会ったヤツがヤバかっただけなんだけどネ!!

  • 943レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:35:07ID:k2MDAzNzU(11/17)NG報告

    これって時間は決めずにバラバラに解散する予定、で大丈夫でしょうか?
    それとも「ここまで」って決めた方が良いのでしょうか?

    ちなみに自分は4時までは大丈夫です

  • 944スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 23:37:50ID:E4NzU0MDA(15/18)NG報告

    >>939
    「いえ、止めておきましょう。そういう関係(敵)にはなりたくありませんので」

  • 945(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/25(Sat) 23:38:51ID:Q2Njc5NzU(14/18)NG報告

    >>934
    「(まぁ……日本の術ってみんなそんな風に変わった感じなのかしら)」

  • 946イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 23:39:41ID:E0MDA1MDA(13/16)NG報告

    >>944
    「そうだよね〜。そういうの、面倒くさいもんね〜。だから私、フリーでやってるわけだし」

  • 947レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:40:56ID:k2MDAzNzU(12/17)NG報告

    >>941
    色々考えつつも「まあ、不用意な詮索はここではいっかー☆」と最終的に判断しつつ、幽宮さんが大丈夫になるまで支えているよー

  • 948ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:41:29ID:I0OTg5MTI(5/14)NG報告

    >>940
    「ありがとう~。妖精眼だとたまーにそれが霊とかをこっち側と見間違えたりしちゃうんだけどねー」
    「ヤマトダマシイ……んー、なんか違う気がするなぁ」(困惑)

    >>942
    「よろしくねダニエラさん!宝石みたいに綺麗な瞳。……素敵よ」

  • 949火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/25(Sat) 23:42:17ID:EwMDcxMjU(30/36)NG報告

    >>939
    「あはは……一本取られたわぁ」

    苦手の自覚があったとはいえ、一応主分野の一つである人形手繰りで上手を取られ内心心穏やかではない梓でした

  • 950ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:42:48ID:I0OTg5MTI(6/14)NG報告

    >>945
    (魔術について説明したことってあんまりなかったけど、わかってもらえた……かな?)

  • 951ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:43:30ID:I0OTg5MTI(7/14)NG報告

    踏んだみたいなので立ててきます

  • 952(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/25(Sat) 23:47:09ID:Q2Njc5NzU(15/18)NG報告

    >>950
    メタ的視点から説明すると、こやつの見た「日本の人の魔術」って今の所キャスターのテクスチャ張り替え幻術に始まりガラス魔術、再選魔術、物質切断を得意とする言霊使いって感じだから「言霊」って言葉は教わって知ってるけど「ピーキー……特殊……東洋の神秘…………」って思考になってると思う

  • 953スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/25(Sat) 23:47:26ID:E4NzU0MDA(16/18)NG報告

    >>946
    「ええ、だからこそ私も事業のほうに身が入ってますし」

  • 954山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:48:07ID:E3MjAyMjU(11/15)NG報告

    >>947
    「ああ、ごめんなさい。悪気はないの。本当に本当。
    ………みんなで自己紹介や魔術についての話もしたところでアレなのだけど、私って割と人と話さないというか……端的に言って根暗だからあまり話題が思いつかないのよね。だから、誰か話題提供してくれる人ー……?」

    陰キャが持ち前の天才性でなんとか先陣切って頑張ってたっていう

  • 955覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/25(Sat) 23:51:00ID:U5MTkzNTA(20/22)NG報告

    >>948
    「ボーイミーツガールね!…うーん、ちょっと違うかな…(思案顔になる)
     あら、そうなの?日本は難しいのね…でもとっても楽しそうね。そのコトダマっていうのは」

  • 956レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/25(Sat) 23:53:33ID:k2MDAzNzU(13/17)NG報告

    >>954
    「話題ね~、う~ん……女子っぽいことでも話します?」

  • 957ドロテーア【九終&魔女の会Bグループ】2020/04/25(Sat) 23:54:57ID:Y2NzgxMjU(1/4)NG報告

    鬼灯「あらまあ、もうだいぶ進んでおりますなあ……。呑気なんは元からやから少しでも遅れんように早う家出たんやけど、ご様子を見るに遅うなってしまったようどすなあ。
    えーと、自己紹介をばさせてもらいますね?私、鬼灯和澄言います。この会への参加は結構ギリギリに決まりまして、ある意味では飛び入りになってしまいましたが……よろしゅうお願いしますえ?」

  • 958一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/25(Sat) 23:55:31ID:IyMTQ2NTA(27/30)NG報告

    >>948
    「くふふ…………ありがとうございます」

    補足:現在、ダニエラの目の色はエメラルドグリーン────つまり表人格である。

  • 959ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:55:59ID:I0OTg5MTI(8/14)NG報告

    >>952
    了解しました
    「ダイアナさんは黒魔術を扱うんだね。ウチも西洋魔術の流れを少し汲んでるらしいんだけど、黒魔術ってよくわからないんだ。どういうコトするの?」

    >>955
    「言霊はねー、そーいうの意識しちゃうせいか、言葉を大切にしようと思うんだ。言葉が大切なのは魔術じゃなくても同じことなんだけど、やっぱりね、特に気にしちゃうの」

  • 960イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/25(Sat) 23:57:05ID:QxMzA0NzU(1/1)NG報告

    >>956
    「…………女子っぽいこと……?あ、甘い食べ物とか…?」
    うっすらと血の気がひいてるのはそんなキャピキャピした話題の話をしたことがなかったから

  • 961ドロテーア【九終&魔女の会Bグループ】2020/04/25(Sat) 23:58:46ID:Y2NzgxMjU(2/4)NG報告

    >>956
    鬼灯「なあに?女子っぽいこと話してはりますん?そやったら、お料理の話なんてどないでしょか?……そもそも皆さん、お料理作れますのん?」

  • 962ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/25(Sat) 23:59:44ID:I0OTg5MTI(9/14)NG報告

    >>958
    夏美は妖精眼でダニエラの体内での魔術的な変化、魔力の流れとか術の構成がわかるので、地雷回避する方向で話したいと思います。
    イメージは透き通る世界↓

  • 963火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/26(Sun) 00:00:26ID:k4Nzc3MzA(31/36)NG報告

    >>957
    「あらま、まさかうち以外にも出遅れ参加の人がおったとは」

    「うちは加々見梓言います。よろしゅうに」

    「ちょうど話題に困ってた所やけん、何でも話してくださってかまへんよ?」

  • 964九終狂陣営Cグループ【大罪戦争ss】◆H2jQDESDK22020/04/26(Sun) 00:00:41ID:EzMjYzOTY(3/3)NG報告

    >>918
    「はい、クインティーナさんの連絡先も教えて貰ってもいいですか?」

  • 965魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/26(Sun) 00:01:58ID:QyMDAyNDg(1/3)NG報告

    >>940
    (魂が口の中に戻る様子)
    「…………はっ!? 私はなにを!?」

    >>920
    「…………はっ!?!? 増えて!? よっ、よろしくおねがいしますね」

  • 966覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/26(Sun) 00:02:01ID:U2NDA1NzI(21/22)NG報告

    >>959
    「言葉…そうね。言葉は人を動かすものだもの。冷血漢なおじさまは理解してくれないのだけれど…ああ、やっぱり日本は素敵なところね!お父様やお母様が言っていた通り!」(溌剌とした笑みを向ける)

  • 967火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/26(Sun) 00:02:14ID:k4Nzc3MzA(32/36)NG報告

    >>961
    「恥ずかしながら、うちは食べる専門で……」

    「人形さん――うちの使い魔みたいなもんなんやけど、それが料理上手でいっつも甘えてもらっとるねん」

    「ゆうても今日は席、外しとるんやけどな。でもほんと、頼りになる使い魔なんよ」

  • 968山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:02:27ID:gyOTk4MDI(12/15)NG報告

    >>956
    「………恋バナ、かしら……」

    >>960
    「………人生に潤いって大事よ。いや、今の時代はデリバリーで色々なものが食べれる時代なのだけれど。ウー○ー○ーツって神だわ。まあいいや、甘いもので何が好きとか、クレイドルさんはあるの?」

    >>957
    「ええ、よろしく。京都の陰陽師の方よね。よければ話題なんて提供してくれるかしら?」

  • 969(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/26(Sun) 00:03:04ID:A3Njk3ODI(16/18)NG報告

    >>959
    「どういうことを、ですか……
     おそらく家系にもよるのでしょうけど……私のところは源流を辿れば古代魔女術に至るそうなので、その流れを受け継いで生贄なんかを使った呪詛の研究だったり薬を作ったりです。
     ……もっとも、その生贄があんまり好きではないからこそ、別の方法を探していたりするんですけどね(小声)」

  • 970山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:04:39ID:gyOTk4MDI(13/15)NG報告

    >>961>>967
    「料理?そうね、料理か……家庭で出る並大抵のものは、作れるんじゃないかしら。いや、並大抵のもの以外は作ったことなんてないんだけど。
    ………私の料理を美味しいって褒めてくれる人もいたし、それなりに頑張った経験はあるわね」

  • 971レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:04:54ID:c1MDc2NzA(14/17)NG報告

    >>960
    「今年の流行は『固めプリン』『トゥンマカロン』『チーズボール』なんて言ってたっけー」

    >>961
    「あ、初めまして、比良坂学って言いまーす。
     ……料理かぁ、コンビニとかで済ませちゃうから、パスタとか饂飩とかそれくらいかなぁー」

  • 972ドロテーア【九終&魔女の会Bグループ】2020/04/26(Sun) 00:05:42ID:UyMjMyNTA(3/4)NG報告

    >>960
    鬼灯「甘い食べもんなあ……。うちは出身、日本の京都いうとこなんですが、抹茶使うたお菓子はどれも美味しいおすなあ。他やと、よく他んとこから来なはった方がよう買うてく八つ橋とかも美味しいんよ?」

  • 973イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/26(Sun) 00:06:12ID:kzNzU1NjA(14/16)NG報告

    >>968
    「ん…基本何でもすき…だけども、やっぱりクリームを使ったのが好き。ケーキとかシュークリームとか」

    >>961
    「料理作るのってダルくない?」

  • 974一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/26(Sun) 00:07:30ID:M3NDU1MDg(28/30)NG報告

    >>962
    了解です。
    まぁ、地雷(保護者に近づく)はこの場にないので踏んづけようがないから大丈夫ですゾ!

    >>965
    「大丈夫です竹葉さん?指は何本に見えます?」指を二本立てて見せる

  • 975イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/26(Sun) 00:08:42ID:kzNzU1NjA(15/16)NG報告

    >>973
    やべー自己紹介してないわ。
    「あ、私ミリンダ。よろしくね」

  • 976山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:10:35ID:gyOTk4MDI(14/15)NG報告

    >>971
    「最近は家で作るバナナケーキが流行ってるみたいね。……なんで?ケーキはわかるけれどなんでバナナなのかしら。流行って不思議ね?」
    >>973
    「わかる気がする。スイーツでクリーム系列は王道よね。ショートケーキとか好きだわ」

  • 977ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/26(Sun) 00:12:40ID:Q2NDg1NTc(10/14)NG報告

    >>965
    「うん!よろしく!竹葉さんも黒魔術を使うんだね」

    >>966
    「日本はいいところだよ~、今度遊びに来てね。覇久間に来てくれたら案内するよ☆」

    >>969
    「生け贄かぁ、中東の呪術とかにもそういうのはやるらしいね。アタシのところだと神様に捧げるのは詩とか舞とか芸能だったから、生け贄はなかったな……
    でも、受け継いでるだけじゃないって感じがしてダイアナさんのそういう別なアプローチをす探そうとするのは凄いと思う!」

  • 978ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/26(Sun) 00:15:29ID:Q2NDg1NTc(11/14)NG報告

    >>974
    わかりました。あとダニエラは見た目からして同じ年だと勘違いしてます。
    「ダニエラさん、そこは指一本でもいいんじゃないかなぁ~
    竹葉さん?大丈夫?」

  • 979スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/26(Sun) 00:16:27ID:U3MTYwNDg(17/18)NG報告

    >>957
    「アンジェリーナ・コスタと申します。以後、お見知りおきを」

    >>961
    (女子らしい事……どう考えても金銭感覚もライフスタイルも様々、共通の話題は……あら?)
    「調理ですか?ええ、気が向いたら自炊する位には嗜んでおりますわね。最も、此処の御料理のように凝った物は出来ませんけど」
    そう言いながらホタテのソテーを口に運び……立食パーティーだったはずだし、料理とか出てるよね。

  • 980イオン@覇久間槍&ミリンダBグループ2020/04/26(Sun) 00:16:33ID:kzNzU1NjA(16/16)NG報告

    すんません、めちゃくちゃ楽しいんですけどそろそろ眠気に勝てないので離脱します。
    「ごめん、ちょっとタバコ吸ってきていい?」

  • 981火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/26(Sun) 00:18:24ID:k4Nzc3MzA(33/36)NG報告

    >>960
    「甘い食べ物……んー、わらび餅とか団子とか?」

    「うちの近所にも色々お店があって、時々買いに行ったりしてるんよ」

    「あ、あとはあれ。鹿せんべいとか! ……冗談やで? だからそんな、露骨に引かんといて?」

    「それに一応、あれ人が食べても無害な作りになっとるし。まあ、食っておいしいもんやないのも事実やけど」

  • 982レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:18:48ID:c1MDc2NzA(15/17)NG報告

    >>976
    「バナナ……バナナジュースの店にいったとかで盛り上がってたっけー」
    とキャッキャしよう

  • 983(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/26(Sun) 00:19:26ID:A3Njk3ODI(17/18)NG報告

    >>977
    「……ありがとうございます」

  • 984レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:20:28ID:c1MDc2NzA(16/17)NG報告

    >>982
    ミス
    「バナナ……友達がバナナジュースの店にいったとかで盛り上がってたっけー」
    とキャッキャしよう

  • 985覇久間術中納言@Aグループグランデリニア2020/04/26(Sun) 00:21:01ID:U2NDA1NzI(22/22)NG報告

    >>977
    「えぇ!昔はよく行ったのだけれど、今度もし行くことになったらぜひ訪ねさせていただくわ!ハクマ…素敵なお名前の街なのね…!」
    >>965
    「あら、その…ごめんなさいね?そんなに効くとは思わなくて……今、何とかするから!」(しっかりした精神を伝染魔術で広める)

  • 986火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/26(Sun) 00:21:27ID:k4Nzc3MzA(34/36)NG報告

    >>980
    実を言うと、自分もさっきから少し…

    「(さっきは目の前で吸おうとしてた筈やけど……ああ、成る程)」

    「ええよ。どうぞどうぞ」

    「おっと。うちも電話かかってきたみたいやわ。ちょっと席外させてもらってもええ?」

  • 987ドロテーア【九終&魔女の会Bグループ】2020/04/26(Sun) 00:23:46ID:UyMjMyNTA(4/4)NG報告

    >>963
    >>967
    鬼灯「加賀美さん、どうぞよろしゅう。それにしてもずいぶんと優秀な使い魔をお持ちなんやねえ……うちは何をしようにも周りに人が付いてくるから大変なんよ。」
    >>968
    鬼灯「どうぞよろしゅう。幽宮さん……っておっしゃりますのん?それはまた、雅なお名前やねえ。だってほら。幽霊の宮って書いて幽宮と読むんやろ?何というか、幻想的な感じがしてうちは好きどすよ?」
    >>971
    鬼灯「比良坂さん、どうぞよろしゅう。ふふ、比良坂と聞くとどこぞの諜報機関を思い出しますなあ……。せやけど、お料理に無頓着はあきまへんで?仮にも女子なら簡単なものくらいは作れんと、男子からは注目されへんよ?」
    >>975
    鬼灯「よろしゅうなあ、ミリンダさん。でもお料理作るのは楽しくありまへんか?そら、作り始めるまでは億劫でも、作り始めると時間を忘れて打ち込んでしまった時の楽しさは中々に味わえませんて。」

  • 988魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/26(Sun) 00:23:52ID:QyMDAyNDg(2/3)NG報告

    >>974
    (無言でぽやーとしつつグーを出す)
    「あっ、はっ! 二本ですよ!二本です!」

    >>977
    「黒魔術……でいいのかな……?」
    「あと、こういうことも出来ます」
    (ステッキを取り出して先端を赤熱させ空中にファンシーファンシーな絵を描いて見せる)
    「ほんとうは術式とかを書いたりするんですけど」

  • 989一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/26(Sun) 00:24:57ID:M3NDU1MDg(29/30)NG報告

    >>978
    「やっぱりですかね?」

    了解ですー。
    補足:ダニエラの服装は画像(レージュさんデザイン)の露出強な服です。裏人格に言いくるめられていつものを着せられた模様。

  • 990ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/26(Sun) 00:25:15ID:Q2NDg1NTc(12/14)NG報告

    >>983
    「ダイアナさんもせっかくだから色々お話しましょう?」

    >>985
    「ええ、きっと気に入ると思うわ。他にも案内できる場所があったら紹介するね」

  • 991(ダイアナ Aグループ)◆qjazSIB7S22020/04/26(Sun) 00:26:59ID:A3Njk3ODI(18/18)NG報告

    >>990
    「はい……済みません、人と話すのにあまり慣れていないものですから…
     日本は私も興味がありますね。…春の桜が綺麗だと、聞いたことがあるもので」

  • 992山星 幽宮綾美 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:27:14ID:gyOTk4MDI(15/15)NG報告

    >>986>>980
    無理にするものでもないですしねぇ大丈夫だと思いますよ
    「そう?行ってらっしゃい。楽しかったわ」

    >>987
    「虚な縁を辿って天へと至る……なんて。これでも私、縁結びの魔術師なの。幻想と現実を繋ぎ結ぶ縁そのもの……なんて。鬼灯さんも素敵な名前だと思うわ」

  • 993一般通過フォーリナー@Aグループダニエラ◆gmmefYfW/o2020/04/26(Sun) 00:29:02ID:M3NDU1MDg(30/30)NG報告

    >>988
    「よ、良かった…………(竹葉さんこれをじゃんけんと勘違いして……いえ、やめておきましょう。勝手な予想から余計なことを言って混乱を招きたくはありませんから……)」その目は慈愛に満ちていた

  • 994魔術師@竹葉灯里Aグループ◆TvNZI.MfJE2020/04/26(Sun) 00:29:37ID:QyMDAyNDg(3/3)NG報告

    >>991
    「桜は素敵ですよ、まだ一輪も咲いていない頃から日々変化していく様子がいいんです」
    「でも散るのも早くて、それでも葉が混じり始めた様子も綺麗で……」

  • 995火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/26(Sun) 00:29:49ID:k4Nzc3MzA(35/36)NG報告

    >>987
    「そらまた難儀な事で……」

    「うちが同じ立場だったら大変やわぁ。今でさえもっとぐっすり寝ていたい思うてんのに、四六時中人でいっぱいになったらのんびり寝てられへんし」

  • 996スルトちゃん&マグダレーナ陣営(Bグループ)【トーナメント&第■会&stage】2020/04/26(Sun) 00:32:12ID:U3MTYwNDg(18/18)NG報告

    ごめんなさい。そろそろ限界なので落ちます。

    「ごめんなさい。少し席を外しますわ」

  • 997レージュ 比良坂学 Bグループ2020/04/26(Sun) 00:33:00ID:c1MDc2NzA(17/17)NG報告

    >>980>>986
    同じようにどうぞーと見送ります

    >>987
    「う……まあ一品ものから頑張るしー……」

  • 998火村の人・Bグループ加々見◆B6zn8Yp5B.2020/04/26(Sun) 00:34:43ID:k4Nzc3MzA(36/36)NG報告

    >>992
    鬼灯さんへの返事も済ませた所で、そろそろ寝ます
    本日はありがとうございました。結構楽しかったです。

    また機会があれば無事参加できるよう心掛けたいです(その時はまた別キャラで……流石に方言ロールは疲れる……)

    「(席から離れた場所で)……うん、うん。分かった、心配せんといて」

    「ごめん。おとんから連絡があったさかい、そろそろうちも帰らせてもらうわ」

    「今日はほんま、ありがとう。遅刻したのは申し訳なかったけども……また、どこかで縁があったら誘ってくれると嬉しいわ」

  • 999ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/26(Sun) 00:35:02ID:Q2NDg1NTc(13/14)NG報告

    >>988
    「凄ーい!ハリー・ポッターみたい!杖を使うんだ……素敵ねぇ。アタシはね、扇を使うんだ」(扇には黄金の地に蓮の文様が描かれている)


    >>989
    「そうですよー。なんか竹葉さん、グーチョキパーしてたし……」
    (それにしても凄い格好……!下着は……いや、やめておこう)
    ちなみに夏美は画像みたいなニットワンピースを着てます。

  • 1000ディック@Aグループ蒲池夏美2020/04/26(Sun) 00:37:51ID:Q2NDg1NTc(14/14)NG報告

    >>994
    「『葉桜』って言うくらいだからね、葉ざくらや奈良に二日の泊り客、みたいに季語になるくらいだし……アタシも結構好きかなぁ」

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