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愛馬は満足するまで雪で遊んだ後、雪原に鼻を近づけた。鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅いだ後、積もっていた雪を一口齧った。愛馬の口の中でふわふわした雪が溶けて水になっていった。不思議な口当たりをもう一回確かめたくて、愛馬はもう一口雪を齧ろうとした。だが騎士が手綱を引いたため食べることはできなかった。
「それは食べ物ではないよ。食べてはいけない。」
愛馬は右前足で地面を掻いて不満を現した。
「おねだりしてもダメです。」
そう言われて愛馬はしょんぼりした。だが主人の命令とあっては仕方がない。愛馬は首を上げて騎士の方を見たが尻尾はダラリと垂れていた。
「少し強く言いすぎたかな?すまない。このシュミレーターの雪自体は毒になるようなものは入っていないんだ。でも特異点みたいなレイシフト先では何が混ざっているかわからない。お願いだからよくわからないものは口にしないで欲しい。」
騎士が馬の顎を優しく撫でると、愛馬はヒヒンと元気よく返事した。騎士が愛馬を心配する心が伝わったらしい。
騎士は愛馬に跨ると雪原を駆けた。最初はゆっくりとした歩行から始めて徐々にスピードを上げていった。直進が問題ないとわかると、カーブや急停止を繰り返して動きに問題がないか確かめた。愛馬は騎士の指示を守り、その通りの動いた。
愛馬の動きに満足した騎士は愛馬から降りた。愛馬が騎士の方を見ると頭や肩の上にうっすらと雪が積もっているのが見えた。愛馬はその雪を払い落として上げたかったが、4足歩行の身ではどうしようもなかった。どうしようか考えあぐねて愛馬は首を傾げた。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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