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「しかしあの馬が林檎を拒むとはねえ…」
パーシヴァルの愛馬にはバーソロミューも会ったことがあった。混沌・悪で海賊の自分にも好意的だったと思う。属性的なものは問題はないだろう。それにあの馬は主人思いだから不審者と捉えていたなら主人の前に立ってろう。主人の後ろに隠れたのならおそらく一定の信頼はしてもらえているのだろうとバーソロミューは予想した。
「私があの馬に会った時は気に入ってもらえたんだけどね。いや、私と言うより気に入ったのは香水かな。」
「香水?」
「ああ、たまたま林檎の香りの香水をつけていたのでね。いたく気に入ったようで何度も香りを嗅いでいたよ。馬にとって鼻は第二の目のようなものだからね。」
そこまで話して、バーソロミューの中に疑問が起きた。
「もしかしてドゥリーヨダナは普段から香料を使用していたりするのかい。」
「アレは王としての身だしなみを欠くような男ではない。」
「何かしらは身につけていたんだね。もしかしたらその匂いが気に入らなかったのかもしれないね。」
「なるほど、それは朗報だ。後でドゥリーヨダナに伝えよう。」
「今じゃなくていいのかい?少しくらい離席しても構わないのだよ。」
「1人の友を大切にするあまり他の友を蔑ろにするのは本末転倒だ。」
「私の事を友と認めてくれるのかい。嬉しいね。」
しかもドゥリーヨダナは生前からの友である。それと同等の扱いをされてバーソロミューは胸が熱くなった。しかし今も図書館で調べ物をしているドゥリーヨダナが気の毒でもあった。
「ねえ、カルナ。ホールのアップルパイは2人では多いと思うんだ。もう1人くらいお茶に誘ってもいいと思うのだけれど。」
別にアップルパイは今日中に食べる必要はない。お互いそれはわかっていたが特に口に出すことはなかった。カルナはドゥリーヨダナを呼びに部屋を出て行った。バーソロミューはもう1人分の紅茶を入れるため席をたった。
その後しばらくして3人でお茶会は再開された。林檎の話以外にも最近の出来事や特異点の話題で大いに盛り上がった。丁度アップルパイがなくなったところで、お茶会はお開きとなった。
後日香料を全て落としたドゥリーヨダナがパーシヴァルの愛馬に林檎を差し出したところ、愛馬は喜んで林檎に飛びついた。カルナがその報告を聞いて嬉しそうに笑みを浮かべるのはそれから1時間後ぐらいの話である。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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