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「しかしまたなんで材料が不揃いなんだい?」
「元々はこの林檎はドゥリーヨダナのものだった。」
「へえ、彼に何かあったのかい?」
バーソロミューが先を促せば、あっさりとカルナは話した。秘匿事項というわけではないらしい。
「たいしたことではないのだが…」
そう前置きしてカルナは話し出した。
数日前、カルナはパーシヴァルと雑談をしていた。隣ではパーシヴァルの愛馬が行儀良く主人達の会話を聞いていた。そこに(本人曰く)たまたまドゥリーヨダナが通りかかって、カルナがパーシヴァルにドゥリーヨダナを紹介する流れとなった。挨拶は問題なく終わった。ドゥリーヨダナが(本人曰く)たまたま持っていた林檎を愛馬にあげようとした時問題が起きた。差し出した林檎に対して愛馬は困惑してオロオロしていた。パーシヴァルが「食べても大丈夫だよ。」と伝えても愛馬は食べようとせず最終的に主人であるパーシヴァルの後ろに隠れてしまった。パーシヴァル曰く時々そう言うこともあるそうで、折角の親切を申し訳ないと謝られた。
「それが原因?」
「いやこの時はドゥリーヨダナもさほど気にはしていなかった。」
「また何かあったのかい?」
「端的に言えばビーマだ。」
なんのことはない。たまたまビーマがパーシヴァルの愛馬に林檎をあげているところを目撃したのだ。愛馬は美味しそうにムシャムシャ林檎を食べていたそうだ。ビーマとしては食堂の料理で余った林檎を通りかかった愛馬に渡しただけでドゥリーヨダナのことは一切関係ないのだが。それが逆に癇に障ったらしい。
「ああ、宿敵に出来たことが自分には出来ないってことが応えたってわけか…それは躍起にもなるね。」
その後ドゥリーヨダナは林檎の品種について調べて香りや味を確かめるべく幾つか林檎を取り寄せた。カルナがアップルパイにしたのはその余り物である。
「結局決定打が見つからず。今、ドゥリーヨダナは図書館で古今東西の林檎について調べているところだ。」
そこまで話すとカルナは喉を潤すために紅茶を少し飲んだ。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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