その日カルデアのキッチンでバーソロミューとカルナが顔を合わせたのは偶然であった。バーソロミューは暇つぶしに何かつまむものがないのかキッチンに探しにきたところだし、カルナは焼き上がったアップルパイをオーブンから取り出すところだった。
「やあ、カルナじゃないか。そのアップルパイは誰かにプレゼントかい?」
「お前には俺がこのような出来損ないを人に振る舞うような人間に見えるのか?」
「自分用のだったのか。別段見た目や匂いは問題なさそうだけど何か失敗したのかい?」
「別に失敗はしていない。味見はこれからだがから味については保証できないがな。」
「そうか、それは丁度いい。ちょうど何かつまむものがないか探していたところなんだ。私も一緒に食べていいかい?」
「もの好きめ、好きにしろ。」
そこまで言うとカルナはアップルパイをオーブンから取り出す作業に戻った。カルナが適当なサイズにアップルパイを切り分けている間に、バーソロミューは紅茶を淹れた。2人はキッチンに近いカルナの部屋でお茶会にすることにした。
一口アップルパイを食べたバーソロミューの感想は『普通に美味しい』だった。まあカルデアにはパティシエレベルの料理が作れるものもいるからそれに比べれば劣るだろう。だが特別料理を作らないカルナにそれを指摘するのは野暮というものだ。手作りアップルパイとして充分に美味しい。
「アップルパイ、充分美味しいけどそんなに自信なかったのかい?」
丁度紅茶を飲んでいたカルナは、静かにカップを下ろして答えた。
「材料の林檎の品種が不揃いだからな。」
「ああ、成程。」
通常アップルパイを作る際はコンセプトに合わせた品種の林檎を使用する。歯応えを重視するなら火を通しても柔らかくなりすぎない品種、甘みを追求するなら加熱して甘味が増す品種と言った具合だ。材料の時点で懸念点があったのなら出来を心配したのも納得だとバーソロミューは思った。
怪 文 書 ス レッ ド 3
635
レス投稿