>>581
マスターが恐る恐る犬に触ると、犬の尻尾がゆらゆらと揺れているのが見えた。触られるのは嫌ではないらしい。犬の毛の手触りも良く、思った以上に毛はフワッとしていた。わしゃわしゃと撫でると犬はより強くブンブンと尻尾を振った。
マスターが犬から手を離すと、犬は地面にころんと寝転んだ。マスターが犬のお腹を撫でると先ほどと同じようにブンブンと尻尾をふった。
「可愛いね!」
「そうかな、ピグレットの方が100倍可愛いと思うけどなあ。」
マスターはしゃがんで両腕を広げた、犬はトコトコ歩いて両腕にそっとおさまった。そのままギュッと犬を抱きしめるとふわふわの毛並みが暖かかった。ずっと外にいたからなのかお日様のような匂いがした。
犬の方は抱きしめられてご機嫌らしく、相変わらず尻尾を揺らしていた。鼻先をマスターのほっぺに近づけたかと思うとそのままペロリとほっぺを撫でた。思わずマスターは自分の胸がキュンとするのを感じた。
「カルデアに連れて帰りたいけど、ダメだよねえ…」
これだけ人に慣れているなら、キルケーの言う通り飼い犬だろう。この綺麗な毛並みを見ても飼い主に相当愛されていると思う。流石にそれを勝手に引き離すわけにはいかない。マスターはでも今だけはいいよねと自分に言い聞かせて犬をもう一度撫でた。
そこにパーシヴァルの愛馬がよって来た。愛馬は犬に顔を寄せて頬擦りをした。抱きしめていた腕を離せば、犬は愛馬の方に駆け出していた。パーシヴァルの愛馬が金時と話をしていたことを思い出し、マスター立ち上がって金時の方を見た。
「任せきりにしてごめん、それで何かわかった?」
「おう、その犬なんだけどよ…」
「この犬?もしかして飼い主がわかったの?」
「いや、そうじゃなくてな…その犬がパーシヴァルみたいなんだ。」
「へ?」
思わずマスターの口から変な声が漏れた。
怪 文 書 ス レッ ド 3
592
レス投稿