マスターがバーソロミューの自室を去ってから1時間ほど後に、また別の人物がバーソロミューの元を訪れた。大体予想してたのだが、そんなことはお首にも出さずに言った。
「どうしたんだい、パーシヴァル卿。随分と元気がなさそうじゃないか。」
「実は相談に乗ってもらいたいことがあるんです。」
もう相談内容にも見当がついていたが、バーソロミューはあえて知らないふりをすることにした。
「まあ、立ち話もあれだし部屋に入りたまえ。」
そう言って部屋にパーシヴァルを通した。
紅茶を2人分用意して、パーシヴァルと向き合ってテーブルにつく。程なくパーシヴァルから話し始めた。
「今日マスターに出会ったのだけどね、なんとYes/No枕を差し出して来たんだよ。」
「へえ、マスターのことだから何かのジョークかな。それでどうしたんだい?」
「どうしたもこうしたも、まさかあの頃の年頃の子供にその手の話を振るわけにもいかない。『枕投げですか、お任せください!』と言って誤魔化しましたよ。」
そこでそう言っちゃうんだ…とバーソロミューは心の中で突っ込んだ。
「マスターは私を誤解していると思うのです。時に私は清らかと言われるが私にだってその…そう言う欲はある。ああも露骨にそう言ったものを見せつけられては正直困るのです。」
心底困り果てた表情のパーシヴァルを見てバーソロミューが言った。
「つまりマスターとそう言う相手になるのは嫌なのかい?」
「そう言うわけではないのですが、そもそも私とマスターは恋人や夫婦ではありません。マスターも年頃なのです。もう少し女性として貞節をわきまえた方がいいと思うのですが。」
『嫌ではない』と言うニュアンスの言葉にバーソロミューは心の中で少しホッとした。どうやら全く芽がないわけではないらしい。
「それは困ったね。これからどうするか、ちょっと話をしようか。」
「それはありがたい。私1人ではどうしていいかわからずにいたところです。」
笑顔でパーシヴァルが答えた。
バーソロミューは心の中で『だからあなたは清らかな愚か者なんだ』と呟いた。その後カップを手に取り紅茶を一口飲んだ。先ほどと同じストレートの紅茶だが、やはり同じような甘さがした。
怪 文 書 ス レッ ド 3
742
レス投稿