私の地元の神社では夏祭りを行っていた。毎年そこそこの出店が並び毎年それなりに人が来ている。たまたまその話を端遥先輩にしたところとても興味を持ってもらえた。先輩の地元にはそう言う祭はあまりやらないそうだ。思い切って祭に誘うと、先輩は満面に笑みで快諾してくれた。家に帰ると浴衣を箪笥から取り出し防虫剤の匂いを取るために乾した。赤い朝顔がいくつも咲いているこの浴衣は私のお気に入りだった。
祭りの当日、赤い朝顔の浴衣に着替えて待ち合わせ場所に向かった。端遥先輩は既に待ち合わせ場所にいた。先輩は紺色がベースの縦縞しじらの浴衣を身につけており、普段は見えない胸元が顔を覗かせていた。
「お待たせしてすみません。」
「いや、僕も今来たところだよ。」
そう言葉を交わして祭をしている神社の方に歩き出した。出店が並んでいるところまで来ると、人もそれなりに増えてきた。
「はぐれるといけないからね。」
そう言って端遥先輩は私の手を掴んだ。あまりにも突然のことでびっくりした。
「あ、嫌だったかな。今日は暑いしね。」
「いえ、大丈夫です。急だったのでびっくりしただけです。」
「そうなのかい、それは良かった。」
端遥先輩がギュッと私の手を握った。先輩はにこやかだが、私の方がそれどころではない。心臓がバクバクして破裂しそうだった。そのまま先輩と一緒に人混みの中に入っていった。
怪 文 書 ス レッ ド 3
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