>>176
拳を力一杯握りしめて、振り下ろす。
鮮血が舞う。
拳を力一杯握りしめて、振り下ろす。
悲鳴が上がった。
拳を力一杯握りしめて、振り下ろす。
か細い声が聞こえた。
―――たくさんの人が、絶望に叩き落され、恐怖の中で命を落としていった。
何もわからず理不尽に、唐突に、醜悪な悪意によって奪われた。
―――たくさんの人が、悲しみ、慟哭した。
「あんた、だけは……あんた、だけは……!」
拳を力一杯握りしめて、振り下ろす。
苦悶の声が上がる。
まだだ。こんな物ではない。あの人達が受けた苦しみは、恐怖はこんなものではない。