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前スレ
https://bbs.demonition.com/board/9761/
過去ログ https://bbs.demonition.com/search2/聖杯大会
聖杯大会本戦統合スレNO.5
https://bbs.demonition.com/board/6193
ラフム語翻訳機 https://yt8492.github.io/RafmanTranslatorとりあえず前スレ1000のアレですけど、何というか鱒達の好きな料理とスイーツ(お菓子でも可)をそれぞれ聞きたいなって感じです
とりあえず言い出しっぺの法則もありますし俺から
獅音→好きな料理は激辛坦々麺、好きなお菓子はポップコーン。
代行者特有の激辛大好き人間でこそあるけどアメリカらしくスナックも好き。甘すぎる物よりしょっぱい物の方が好きなので塩ポップコーンとかポテチうすしお味とか好き。
リヒター→好きな料理はフライドポテトとカレー、好きなお菓子は辛口スナック。
ホット大好き人間ではあるんだけど実はアイスクリームとかも食べる。
海月→好きな料理はラーメンとうどん。好きなお菓子はチョコミント。
料理はそこまで得意じゃないんだけど市販の生ラーメンのアレンジは異様に上手い。
チョコミントは大好き。歯磨き粉とか言ったら怒らないけど拗ねる。
一応分割しときますね建て乙です。今年も四月一日が終わってしまった…
とりあえずできなかった前スレの返信を一通り
前スレ>977
感想ありがとうございます
>語呂が悪い
自分も書いててそう思ってたり。でもキュア〇〇だと丸パクりになっちゃうのでね、苦肉の策だったのです
>ヘイズさんにはどう勝ったんだ
平たく言うと「ムジカの歌声バフで限界までブーストした海月とジャスミンによる合体攻撃で校舎ごと吹き飛ばした(校舎そのものはヘイズの力で上書きされてた状態だったので無事。本家で言う固有結界みたいなもの)」感じです
それでもしぶとく生き残ってましたが、この時の痛手が仇となって実質退場という事に
パロ時空なので設定との齟齬は許して…ユルシテ…
前スレ>979
感想ありがとうございます!
最初は主要回だけまとめようと思ってたのですが、あれもこれもと書いてる間に結構な量になりました
誰も彼も書きたい所が多すぎたのじゃ…凌牙→好きな料理はハンバーガー、好きなお菓子はチョコバー(プロテインバーの影響)。
実はまあまあ料理が出来るので自分で肉盛りデカハンバーガー作ったりする。ちなみに味付けはあっさりした方が好き。「普通に塩振るだけでも十分美味えだろ?」
巽→好きな料理はホルモン焼き、好きなお菓子はおつまみ系全般。
酒大好き呑み大好きなので酒が進みそうな飯とかめっちゃ好き。
裂夜→好きな料理はネギトロ丼、好きなお菓子は抹茶味の奴。
一応日本の旧家の生まれなので和食大好き。抹茶ラテとかもたまに飲む。あー、アバウトすぎたかもしれないので1000お題修正
好きなお菓子が絞れないって人は好きなお菓子とかのフレーバーというかこういう味のお菓子好きだよとかでもいいです!!いちご系だの炭酸フレーバーだのみたいな。>>8
ある時は守護神、ある時はくそがき、ある時は後方プロデューサー面、ある時は大魔王
いいじゃないですか!
マレ王「マーレマレマレ!(笑い声)」・グリフィン:好きな料理は寿司(特に回転寿司の)、好きなお菓子はレッド・ヴェルヴェッド・ケーキ。
前者は中学卒業のお祝いで行ったハワイ旅行の思い出。後者はいじめっ子を殺/した時の実感をリフレインできるから。
・エイベル:好きな料理は中華とマンハッタンクラムチャウダー、好きなお菓子はバナナスプリット。チャウダーは生前のトム&ハックと会食する時によく頼んでいた。バナナスプリットに関してはいずれドリーンを皿代わりにした女体盛りで食したいというゲスい事考えてる。
・桃夢&星雪:好きな料理は中華全般、好きなお菓子は桃夢が月餅で星雪がマンゴープリン。
桃夢は中秋節の夜に故郷を思い出しながら1人で月餅をかじる。
・ビオランテ:好きな料理は強いて言うならアンダルシア州の地方料理や豚骨ラーメン、好きなお菓子はプリシラが作った物。
プリシラに見事に餌付けされてるけど、それはそれとして市販品も好き好んで貪る。立て乙です。鱒の好きな料理やスイーツか。
クッチー:スイーツ・朽崎家伝統の自家製クッキー
刹那:スイーツ・手頃サイズのケーキ。
ポルカ:料理・生ハムのスモークサーモン巻き
鳳蝶:料理・軍艦寿司 スイーツ・あんこ系
誉:料理・兄の手料理 スイーツ・ラスク類
ヴィクトル:料理・肉料理全般 スイーツ・果物パフェ
こんな感じかなぁ。記述ないのは上手い事思いつかなかった枠です。
クッチーは味覚損耗してそうだからアレだし、刹那は古代人なのでなんでも美味しい。
ポルカは意外におかしなんでも好きそうなので。あとロウィリナ&ヴィクトルのリレーSS確認もしました。
「それが、デュランベルジェ家の跡取りの力か」って言ってるし、コレは過去にデュランベルジェ家に関係があるか、”オメェの力じゃないだろう?”でヴィクトルの厄介ファンな予感がするよね、ラスボストライプさん。スレ立て乙ですの!
前スレ船キュア、なんとなく薄ぼんやり期待はしていましたが夕ウタに続いてカステラまで出していただいて…もう本当に感謝でございます…!
このカステラはifカステラの気配を感じますね。具体的に言うと「現世はユメ、夜の夢こそマコト」を地で行ってそうな…通常カステラより胡散臭さ上がってそう。
いやしかし良いエイプリル・フールSSでした。笑いあり涙あり…全話視聴したい…
>>13
ひゃーっ!フード脱いだバージョン!メッシュ入ってるんですね…おさげメッシュは差し色が映えてとても好き。
そしてなるほど、トリカブトモチーフの子でしたか…だから陰気、攻撃力高めなのか…納得納得
>>15
>コレは過去にデュランベルジェ家に関係がある〜
そうですね。ピンポイントでヴィクトルさんの王威遂行(コミュニケーション)を防いでいますし、ロウィリナよりかはヴィクトルさん(デュランベルジェ家)に因縁を持つ存在がラスボスかな、と。
それこそヴィクトルさんの登場によって当主候補を外されてしまって分家行きになった人とか>>11
あ、リディアの分忘れてた(死)。
・リディア:好きな料理は中華と日本料理、好きなお菓子は和菓子とブラウニー。
定期的に激しい動きをする+カロリーの消費が激しい体質なので高カロリーなメニューが不可欠。お題の料理についてはせっかくなので船組でお答えいたしますね。とはいえ大体はプロフィールの好きなものに書いているのですが
トワ…プロフ通りエッグノッグ。ホワイトシチューとか、牛乳を使ったものが好きそう。お菓子は甘さ控えめなアップルパイ
レリック…食べやすく精のつくもの(腹持ちのいいもの)なら何でも。お菓子はワインゼリーとか、またもさっと食べられるもの
夕ウタ…絶対食にうるさい。鰻とか好きだろうけど浜松のしか受け付けないとかしそう。お菓子はクレープシュゼットとか。和洋の垣根を悠々と越してくる
麟ノ助…なご炒りとか。昆虫食が普通の故郷で育った男。炊き込みご飯も好きだよ。お菓子は五平餅。炭水化物が好きなのかもしれない
カステラ…オムライスだのビフテキだの、と思えばおからを酢で炒めたりだの。そこまで拘りはないらしい。お菓子?言わずもがなでしょう
ヴィルレイ…チーズ。腐りかけとか言ってるしブルーチーズっぽい。スティルトンとか。これを料理と取るかお菓子と取るかは審議中余談の余談
夕ウタがコーヒーでも鰻でも何故こうも産地や種類にうるさいのかというと、そもそも彼はその料理が好きなのではなく「メロンテ号にいた時食べてたアレと似てるから」好きで、マンデリン以外のコーヒーは同じコーヒーだと思わないし、浜松以外の鰻は同じ料理だと思っていないから。よっぽど味覚・嗅覚が鋭いらしい。
ちなみに再現してみろと言うとよくわからない具材ばかり求めてくる。「形が似てるから」でUSBメモリを使おうとしたりするのでキケン
そして前スレ>979
なりきりをまた開催とな!ぜひ自分も参加したく思います…次はカステラの万能さには頼らず行きたい…
またカステラの博物館アルバイトについてですが、これには一応入船志望にも繋がる理由があって、
カステラは夢でいつも魔都の中を冒険している。戦前東京となると鉄道や船もあって、勿論それにも乗れるのだけれど、魔都は東京までしか内包していないから東京より先には行けない。成長して夢と現実とで使い分けて人生を楽しもう!とするようになったカステラは、夢は東京満喫して、現実で色んなとこ旅しよう!ってなった。
なのでロンドンに根を下ろしている時計塔よりも世界中を航海する船に惹かれるし、ツテや機会さえあればどこにでも行こうとするんです。高校在学中もきっと暇を見ては日本全国鉄道唱歌の旅とかしてたあっと、建て乙です
好きな食べ物……的なエピソードだとルナのバウムクーヘン好きとかでしょうか
ルナ本人は別に特別好きでもなかったお菓子ですがお師匠に食え、食うオラされてるうちに愛着がわいて好きになりました
思い出の一品というやつ鱒の好きな食べ物、ですか
ざっくり書くと自分とこはこんな感じですかね
・黒野双介:カレー、ラーメン、牛丼等男子が好きなテンプレ食べ物全般。好きなスイーツはチョコ系全般
・志村千早:以外にも激辛系に通じている。本人曰く、「この辛さが鍛錬へのいい刺激になる」とか。菓子類は煎餅やスルメイカなど、渋いものが好み
・三上令司:特になし。強いて挙げれば腹に溜まりやすく、手早く食べられるもの(立ち食いソバ等)
・ジル=セレナード:栄養のあるモノ全般。それ以外だと両親が作ってくれたシチューだが、どんな味だったのか。またシチューであること以外どんな料理だったのかもう思い出せない。
・ムジカ:好きな料理はチーズリゾット。シチリア島にいた頃はよく食べていた。好きなお菓子はマリトッツォ
>>20
本人の性格的にもキャラ設定的にも、追加戦士にうってつけそうだったので採用させて頂きました
実際書いてて思ってた以上にハマり役になった感スレ立て乙です。エイプリルフール何かやろうと思ってるうちに一日が過ぎたユージーンです。
前スレの船キュアとても面白かったです。こういうわちゃわちゃしたイベント好き。
鱒の好きな食べ物とお菓子ですか。
ユージーンはプロフにあるように抹茶味のお菓子が好物ですがお眼鏡にかなう逸品に出会えることは稀です。季節限定の抹茶味の〇〇とかを買ってみては違うってなってます。
食べ物だとラーメンなどが好きです。優人ら友達とラーメン屋に寄って食べるのがいいんだとか。
恋の好きなお菓子はチョコ菓子です。特に極細のポッキーがお気に入りです。
食べ物は基本的になんでも好きというか大体作れます。なので普段作る側な分誰かに作ってもらったものを喜ぶ傾向にあります。
京介は甘いお菓子より煎餅や柿の種とかの塩っ辛いものの方が好きです。米好きだけに米菓ってかハハッ。
食べ物は言わずもがななのでここは京介がよくご飯のお供にしてるものをピックアップ。まず一つ目は『ごはんですよ』これとご飯で朝食を済ませる日もあるくらいです。二つ目は『白菜のお漬物』たまに恋がお裾分けしてくれるすだちを絞れば最&高。三つ目は『鮭フレーク』自作用の鮭を獲る為に熊を使い魔にしたともっぱらの噂です。
ミリアルカは好き嫌いがありません。なんでも食べます。強いて言うなら酒飲みなのでボイルしたウインナーとビールを与えておけば「ドイツ人だからって随分と安直ね」とか言った口でもきゅもきゅ食べ始めるます。リンクくんちゃんは好きなものにみかんの缶詰の汁を挙げてるようにフルーティーな甘味が好きです。
食べ物だととにかく肉が好きです。特に揚げ物ですね。いつぞやのうちの子料理対決でもお題がカレーの所にカツを乗っけたりしてます。
ルファスはスコーン等のティータイムに食べるお茶菓子が好きですが目新しいものに飛びつくタイプなので旅行先とかであれこれ買い込んできます。
食べ物も同じで苦手な野菜以外はなんでも美味しく食べますし野菜も苦手なだけで残さず食べます。
コーデリアは実はポテトチップスやフライドポテトが大好きです。休日に動物と触れ合うアウトドアをした後でバーガーショップ等でハンバーガー!ポテト!コーラ!と口いっぱいに頬張ってます。
普段時計塔では淑女らしく振る舞ってるのでそういうことが出来ないのがちょっとストレスなんだとか。>>23
>船キュアとても面白かったです
ありがとうございます
そうおっしゃっていただけると、ギリギリまで執筆した甲斐がありました…今人がいなさそうなので、四月馬鹿に投下した船キュアSSの設定集を投下します
まあ設定と言ってもささやかなものですが>>26
~登場人物~
・一条海月/フネメロウ
物語の主人公。
ごく普通の毎日を送っていたJKだったが、ある日ひょんな事から出会った精霊・メロと契約し船キュアとなる。
以降は大魔王マーレオとの戦いを繰り広げる傍ら、学生生活を送る事に。大変ではあるものの、本人的には好きだったアニメの主人公みたいで中々充実してるそうな。
フネメロウとしての戦闘スタイルは概ね本家海月と同じ。
「まさかこんな事になるなんて……今の私、すっごくアニメの主人公みたい!」
・ジャスミン=アドレーヌ/フネギニョール
船キュア仲間その1。
フランスから遥々日本にやってきた留学生で、海月やムジカとはクラスメイトであると同時に大親友。
マーレオの手下に苦戦するメロウ――海月の姿を目撃した際、その場に居合わせた第二の精霊リョーガと契約した事で船キュアとなった。
フネギニョールとしての戦闘スタイルは大量の人形を召喚しての物量戦術。
余談だが、船キュアとしての命名には結構悩んだとの事。
「フネドール、フネマリオネット、フネギニョール……。うーん……どれがいいかしら」>>27
・ムジカ=スフィーリス/フネセイレーン
船キュア仲間その2。
ジャスミン同様留学生で、こちらはイタリアからやってきた。
過去に起きた事件が原因で声を出せなくなっており、普段はスマホの音声通話機能で会話している。
メロウ、ギニョールが交戦してる最中に出くわし、自分も窮地に陥るも間一髪のタイミングで第三の精霊サクヤと契約し船キュアとなった。
船キュアの時は普通に声を出せるようになり、それが彼女の励みであり救いとなった。だが、同時に通常時とのギャップに苦しむきっかけともなり…(この先は本編にて)
フネセイレーンとしての戦闘スタイルは歌による後方支援と攪乱。
「今は船キュアの姿でしか声を出せないけど……いつか、普通にミツキちゃん達と喋れたらいいなって」>>28
・ペルカ/フネラビット
船キュア仲間その3。所謂追加戦士ポジ。
出番としては割と最初の方から登場してるタイプで、海月が船キュアに選ばれたり戦ってる所を遠くから見ていた。
また、海月たちよりずっと前から船キュアとして戦ってる、いわば先輩キャラでもあり戦闘経験や能力は三人よりずっと高い。
マーレオとも因縁深く、過去何度も戦っていたが今回は自分以外の船キュアがいる=後輩台頭という事で傍観者に回ってた。
が。結局見てるだけでは満足できず、何やかんやあった末海月たちと共闘する事となった。
余談ながら、精霊なしで船キュアに変身できてるトンデモ枠である。本人的には精霊がいるのを羨ましがってるそうな。
フネラビットとしての戦闘スタイルは瞬間移動を駆使した高速戦闘。
「わたしはペルカ。またの名をフネラビットのペルカ。以後、よろしく」
・メロ
海月と契約した精霊。
見た目はクラゲをマスコット化したような……というか、本家におけるメロと全く同じ姿。
ただしあちらのメロと違い、こちらは流暢に人語を話す事ができる。一人称は『ボク』
マーレオの手下に襲われていた所を助けられて以来、海月には懐いており何かと一緒に行動する。他三人にも心は許しているものの、奔放なペルカだけはやや苦手気味だそうな。
他の精霊の中でもマーレオに狙われているが、その真実は…
『ボク、ミツキと出会えてよかった』>>29
・リョーガ
第二の精霊にして、ジャスミンと契約した存在。
見た目はSD化された砕城凌牙そのまま。
性格の方も本家と似たり寄ったりだが、本家と異なり壮絶な過去や実家周りの背景がない為、純粋なヤンキー気質によるものとなっている。
精霊の中でも喧嘩っ早い気質で、マーレオの手下に襲われてた時も非力な精霊の身体で戦いを挑んでた程(当然相手になる筈もなく返り討ちにされていたが)。
ジャスミンとはその性格から何かとぶつかり合っていたものの、最終的には喧嘩友達めいた関係に収まった。
『やろうぜジャスミン! パーティのはじまりだ!!』
・サクヤ
ムジカと契約した第三の精霊。
見た目はリョーガ同様SD化された三峰裂夜。騎士を思わせる装束を纏っている。
精霊の中でも臆病かつ人見知りがち……というか、騎士団員要素を抜いた三峰裂夜そのまんまである。
マーレオの手下に襲われていた所をムジカに拾われ、また庇ってもらった事で契約する事となった。
ムジカの事は自分と似たものを感じる一方、初対面で示した勇気と奮起から自分にないもの、欠けていたものだと思わせてくれた特別な存在となっている。
『俺は臆病で、ヘタレで、情けないヤツだけど……こんな俺でも必要としてくれたあの子の事だけは裏切りたくない!』>>30
・大魔王マーレオ
本編の敵。ラスボス。
傲岸不遜、傍若無人、我田引水に邪知暴虐とおよそ考えられるだけの悪性を詰め込んだような巨悪(byメロ談)
実際メロの言う通り、本編でのやらかしも多種多様なもので『お店に入荷した新商品を買い占める』といったものから『街の水道に干渉して全市民を支配する』といったものまである。
船キュアにとっては不倶戴天の存在であり、彼からしても自分の欲望を邪魔する忌々しい宿敵と見なしている。
精霊の中でも特にメロに固執しているが、その理由は――
「フハハハハハ! この秘海市は俺様のものだー!!」
余談ではあるが、部下からの人望は割とない。
~マーレオ四天王~
マーレオ曰く、「俺様に忠誠を誓った四人の僕たち」
マーレオの部下であり、彼の命令には絶対忠実……なんて事は特になく。
命令は受け取るものの、割と個々人の裁量で自由に(もっと言えば適当に)片づけている。
とはいえ実力は紛れもなく本物であり、船キュア達を幾度となく苦しめた。>>31
・ミステリアス=タウタ
四天王その1。
遥か天空に浮かぶ飛行船「メロンテ号」からやってきた優等生命を自称する謎の紳士――というかぶっちゃけ、ほぼ本家のタウタと同じだったり。
四天王の中では真っ先に戦う事になるものの、奇矯な言動や立ち振る舞いからは想像もできない程強く、船キュアになって日が浅い海月たちを散々に叩きのめした。
最終的にマーレオに騙され利用されてた事に気づかされ、戦線離脱。
「このタウタと戦いたいと? よかろう、メロンテ号にいる間練りに練った必殺技とくと味わうがいい!」
・ノーバディ=ヘイズ
四天王その2。
正体不明の怪人であり、四天王会議の時ですら姿を見せない謎の人?物。
マーレオとは長い付き合いらしいが、内心彼の奔放さに閉口しきっておりそろそろ真面目に縁を切るべきかと考えだしていた。
その正体は同化能力を有する怪物。見た目はローブを纏った大人のような姿をしており、その下には2メートルを超える『人影』が秘められていた。
この姿も現世に現れる時の仮初のものに過ぎず、本来は人の世に干渉する事なく存在し続ける空虚な生命だった。が、マーレオに何やかんや誑かされた結果、四天王の一人として活動する羽目になってしまった。合掌。
二人目の四天王として、そして同化能力により船キュア達を苦しめるも最終的には海月・ジャスミン・ムジカ三人による合体技で撃破され戦線離脱。とはいえ死.んだわけではなく、健在である節がほのめかされていた。
『あの大馬鹿者がどうなろうと知った事ではないが、これも契約だ。忌々しいが、働かせてもらうぞ小娘ども……!』>>32
・ドリーマー=カステイラ
四天王その3。
飄々とした性格をしており、四天王会議においては減らず口や軽口を叩いて引っ掻き回してばかりいた食わせ者。
夢を操る能力を有しており、船キュア達との戦闘ではその力を用いて悪夢の中に引きずり込み精神的に追い詰めようとしていた。所謂精神攻撃系幹部ポジ。
が、この手の敵役の宿命と言うべきか。最終的に悪夢の呪縛を破った海月たちに打ち倒され、そのまま戦線離脱する羽目になった。
「悪夢(ユメ)の中へようこそ、お嬢さん達。とことん楽しんでいってくれ――力尽きるまで、ね」
・マッドドクター=ニコレット
四天王その4。
異名の通り、悪の組織にありがちなマッドサイエンティストポジ。ヤバい薬や発明品を作っては船キュア達にけしかける役回り。時々自分も被害を被ったりする。
一見すると物腰柔らかな性格だが、そこはマッドサイエンティスト。ふとした拍子にスイッチが切り替わったり「フヒヒ」と笑いながら研究に没頭する姿をしばしば目撃されている。
表向きの変装として集積船高校の女医を勤めており、その縁から幹部内の中ではいち早く、そして唯一船キュア達の正体に気づいた存在となった。
が。本人の性格と主への忠誠心のなさから物語的にはさほど影響を与えないままに終わる。人望、大事。
「(何かを閃いた効果音)むむむ、閃きました! さっそく研究に取り掛かるとしましょう!!」>>33
・戦闘員アルシオネシア
大魔王マーレオが使役する下っ端使い魔たち。
書かれてある通り戦闘員ポジの存在で、マーレオの悪だくみや船キュア達との戦闘、はては日常生活の諸々に至るまでこき使われまくっている。
その一方、忠誠心に乏しい四天王たちとは対照的にマーレオには忠実であり、どんなに酷使されても裏切ったり見限る事はない。
船キュア達に関しては主人(マーレオ)の敵という事で一貫して敵対するが、特に命令が下されていなければ普通に接したりもする。それ故のすれ違いや悲劇も生じたりするが、そちらはまた本編にて。
「イーッ!イーッ!(意訳:戦闘員とはこうやって会話するものだとマーレオ様から教わりました)」
「イーッ。イーッ?(意訳:でもこれだと日常のやり取りにも苦労しませんか?)」
「イーッ。そうですね、では普段通りの会話に戻りましょう」>>34
~舞台設定~
・秘海市
物語の舞台となる街。
人口数万人程度の地方都市で、大きく栄えている訳ではないが廃れてもいない普通の街。
現在マーレオの標的にされており、何かと街中で騒動が絶えない。
が、街の住人達も慣れ切っているのか街を離れようとする者は少なく、むしろ率先して船キュア達の戦いを見物に来るレベル。
民度もそこそこ以上に高く、船キュアが追い詰められると危険を冒してでも守ろうとする程度には善良。が、基本的にモブなので割とあっさり操られたり洗脳されたりして敵に回ったりもする。
・集積船高校
海月たちが通っている高校。
元々海に浮かんでいたという巨大船を校舎に転用した、という独特な来歴を有しており、その為外観や校内風景も他の高校とは一線を画したものになっている。
一方でその特色から入学志願者も多く、偏差値的には然程ではないものの毎年倍率は高いという奇妙な構図が生じている。
当然ながらここも度々マーレオ達による襲撃を受けており、度々校内が異界化したり生徒たちが洗脳されたりする。
・メロの正体
その正体は、マーレオが生み出した聖杯的な魔力集積体(アーティファクト)。
元々はマーレオの欲望のままに行使される便利アイテムとして作り出すつもりだったのだが、どういう訳か製造過程で自我を得てしまい脱走。そのまま海月の下に流れ着き、本編での戦いに至った。>>41
ありがとうございます。
それではおやすみなさい。「持って帰ってこれたな」
「三つもある……あれ、何個あるんだっけ?」
「六つだ。これで四つだからあと二つだな」
「おおー」
例の拠点に持ち帰った遺物を前にして、ルナとカナリアは会話を交わす。ここから先に待ち受けている仕事は教会に属する二人の仕事ではなく、時計塔の魔術師である彼女たちが行うものだからだ。というか、現在はすぐにでも触れようとするルナをカナリアが静止しているだけなのだが。
「本当にやるのか?道中まではオレがやっても良いんだが」
「大丈夫、最初のやつで大体の流れは把握できたから三つ同時に、私一人で実行できるよ。というか本当に早くやりたい、もっとウルフィルトが作り出したこの礼装に触れたいの」
「……わかった。オレは主君との定期連絡を行うから部屋を出ておく。終わったら言ってくれ」
ルナはその言葉を聞くが早いか作業に取り掛かり始める。きっと彼女は本当に魔術が好きなのだろう。魔術が好きでも嫌いでもない自分と比べると歴然とした差だ。自分にとって魔術とは保全するだけの便利な歴史の遺物でしかないから。「……主君。私です、あなたの金糸雀です」
『ああ、カナリア。定期連絡の時間だね。聞かせてもらえるかな』
「はい。まずは……」
「以上です」
『そうか。お疲れ様。……それにしても、うん。見込んだ通りだね、ルナ・アードゥルは。わざわざ金をかけて身辺調査をした結果があった。彼女がいなければもっと労力をかけていただろうから。クラッフにも感謝しないとね』
「………そう、ですか。それは良かったです」
『このまま捨て置くのも惜しいかな?仮に彼女が封印指定されるほどの単一の特別な魔術師にこの先なったとして……グローリアンの近くに置いておいた方がスムーズに執行ができるように……いや、そこまで大成するかもわからないのに無駄に抱えるのは……うーん、迷ってしまうね』
「主君。今回の廃ビル攻略についてですが……」
『ん?ああ、目を通したよ。流石の呪詛だ、伊達に聖歌隊で活躍してないね。レオン、と言ったかな?彼もまた良い。傭兵としての殺しの技は我が魔導円卓のソレとは異なった冴えを感じるね』「………はい」
『そうだ、ルナにも繋いでくれるかな。色々と褒めたいこともあるし言いたいこともあるんだ。これからも彼女の魔術には頼ることになるからね』
………オレだって、頑張ってるのに。あなたの一番になりたいから、頑張ってるのに。オレがあなたの一番なはずなのに。オレはとってもあなたの役に立ってるはずなのに。
あなたはいつも、オレのことを見ない。オレに大好きですと言わせてくれない。オレの献身をいつものことだと思ってる。なんて横暴な人なんだ?なんてズルい人なんだ?オレが怒って仕事をしなかったら今頃……
………でも、あなたの隣にはいつもあの天使モドキが立っていて。オレの紙一重の愛と怨みなんかよりもよっぽど役に立つアイツが。屍肉のくせに愛されているあの女、どれだけ自分が恵まれているかを自覚しようともしない意地汚いあの女がいる限り、別にオレはいてもいなくてもどうでも良いんだって。オレは、その程度なんだって。
今だって、ずっと頑張ってきたオレよりも、同じ夜に生きる魔術師なのに、なんで、そんな、だって、オレがいるべき場所を……
「……あの」
『どうしたんだい?』
「……いえ、何も。わかりました。お呼びします」「なぁ、リム。今回三つ遺物を手に入れたわけだが、アレら全てを同時にマヴに摂取させるのか?」
「いいえ、ゆっくり進めていくつもりですよ。最初に摂取した時のことを考えると、アレを一つ摂取することで相当の負担がかかるようです。無理やりに抑え込んでいたバネから唐突に指を離すようなもの。身体が壊れるわけではないですが負担が大きい」
「なるほどな。……ところでなぜ俺の武器の整備を眺めてるんだ?」
「物珍しいんですよ、わたしにとって。わたしの得物はコレですから」
そう言って懐から取り出したのは縄と数本の短刀。どちらもそれ相応の祝福儀礼と日本特有の呪詛と祓えの祝詞を施した優れものだ。呪いが効き難い相手にはこれで直接、物理で仕留める。そういう風にやってきた。といってもそうそうまともに戦うことはないのだけれど……
「そろそろ隊長との提起連絡の時間なのですけれど……獅音さんも参加しますか?廃ビル鎮圧の件は外にいたわたしよりも中に居たあなたの方が詳しく説明できるでしょうし」
「そうだな、じゃあ参加しよう」
『リム、代行者獅音。まずはご苦労だった。詳しい話は今からするが、それはともかく労りは大事だからな』
「はい、ありがとうございます。それでですね……」「と、いうわけなんです」
『なるほど。図らずともお前たち二人の組み合わせは相性が良かったわけだ。これも主の導き、ご加護なのかもしれんな』
「俺は呪いの方面はからっきしですからね」
『それだけではない。私が評するのは性格的な相性もだ。リムは自身を省みない、自己保身に無頓着な隊員だからな。その点、お前は傭兵としての経験からも退き際、自己保身の方法を正確にわかっているし、それを他者に向けることもできる優しさがある。リムの手綱を握る一時のバディとしては中々に悪くない』
「……リムが?」
『ああ。覚えはあるだろう』
………まだ年若い少女でありながらも度重なる飲酒、喫煙、そしてさまざまな薬の服用。確かにそれは身体を蔑ろにするものだ。だが、戦闘において彼女の全てがそのように危険なものかと言われるとそうではない。むしろ、最初の吸血鬼狩りの際は前衛、敵の攻撃を一身に受ける役割は自分が背負っていたから。
ただ……リムは、その言葉があながち間違いでもないかのように急に取り乱して。慌てたように、取り繕って。
「あ、あの、隊長。ここまででどうか……」
『……まあいい。殺し合いに身を置けばいずれわかる。その時はどうか頼む。それと……リム』「……はい」
『酔うのは良い。溺れるのも良い。殺.すのも良い。ただ逃げるな。人生から逃げるな。お前には責任があるということを忘れるな』
「………それでも、わたしは」
『私の下で働く以上はそれ以上の言葉は許さん。……じゃあな、獅音。よろしく頼む』
その言葉を最後に代行者マリナからの通話は途切れる。いついかなる時もぽやぽやとした温かみのある顔つきだったそれとはまた別の、冷えきったような、苦虫を噛み潰したような、なんとも取れない表情。いつものそれは楽観的で、あの戦いの時ですらどこか夢うつつで呪術を行使していた。しかし今の彼女は違う。酔いが覚めた状態、今まで見ていた楽しい夢が醒めてしまったかのようなそんな、今を生きることを憂う表情だ。
ガサゴソと自分の懐を探しているのは、おそらくタバコが吸いたいから。しかし、見つけたところで上手く火をつけることができない。明らかに動揺している。火がつかない事に苛々するそれは先程までの可愛らしい表情とは別物で……
「………!なんだこの音」そこで、獅音のリムに対する思考は中断された。どこからともなく、地響きのような音がしたからだ。そしてそれに次いで伝わる、どうしようもない嫌悪感。人間であるならば誰しもが忌避する、そのようにしか言い表せない不快な何かがこの拠点を呑み込もうと襲いかかってくる。
「これは……呪詛の汚染?しかもこの周囲の土地一帯を飲み込むレベルで……いやおかしい、ここはわたしとキャナリさんで大量の呪詛を防衛機構として組んでいるはず。いかに魔術師や呪術師だったとしてもそう簡単に踏み越えられる境界線じゃない。……まずい、となるとこれは魔術師じゃなくて……夜属や夜魔にも留まらない、まさか」
「一手遅い。考察する早さは悪くなかったが、それと並行して呪いに張り合おうと術式を組むのが未熟だ。お前がするべきことは呪いへの対抗ではなく、そこから身を守るための防護術式を組むことだったのに」
パチン、と空気が破裂する音がした。それと同時に発生した空気の壁がリムを窓から部屋の外に吹き飛ばす。手を伸ばそうと試みる獅音ではあったが、その動きも一手遅かった。血のカーテンによって屋敷の外と内側が分断されてしまったから。
「……拙い、ここで一番悪い流れは屋敷の中に俺しかいない場合。そうでなければどうとでもなるが……」「………何がどうなっている。これは」
急に主君との通話が切れただけに留まらず、屋敷全体が呪詛に包まれ、そして自分の目の前にマヴが倒れている。先程まで自室で寛いでいたはずのマヴが意識を失って、だ。
まず考えたのはこれが敵の囮だということ。しかし、瞬間的に己の影に潜ませた使い魔たちで索敵をした末に周囲に生命の気配がないことからそれはないと判断した。ならば何か、見せしめか。だが、その考えも速やかにマヴを解析したことで覆された。
「……マヴの性能は向上している。それも比べ物にならないほど。………例の遺物を三つ一気に取り込んだのか?」
「はい、正解。まどろっこしいじゃない、一つずつなんて。全部行った方が効率がいいものね?タイムリミットが迫ってるのはあなた達の方なんだし」
「なっ、しまっ……」
床が液体になる。いいや、床だけではなくその周囲の壁も、ドアも、装飾品も、何もかもが液体になっている。そしてその液体の中にカナリアだけが沈んでいく。墜ちていく。その最中に辛うじてカナリアが見えた光景は、同じく屋敷に沈みながらも外へと弾き飛ばされるルナの姿で……納言さーん、ちょっとレリックの日常パートでの動きについて聞きたい事があるんで余裕ある時リプくれると助かりますお願いします…あと叛鎖何回か更新してジャスミンちゃんとの模擬戦終わる所まで行ったので良かったらwikiか前スレから見てくれると嬉しかったり
>>36
ネタの練り具合凄くて脱帽ものですわ…
そして元からこんな感じではありますが海月とメロ、ジャスミンとリョーガ、ムジカとサクヤの関係が三者三様っぽいのもらしくて良いっすね
にしてもリョーガはこういう時敵幹部似合いそうだなって思ってたけど意外にマスコット似合ってて草生えましたね…また新たな可能性が生まれてしまった…
>>40
遅くなってすまんっす
誕生日おめでとうございます!!
>>52
やべえ…カナリアさん不穏だけど正直カナリアさん可哀想になってきましたね…というかアインさんに一回だけでもいいから痛い目を見てほしいと思った俺は邪悪な読者です許してください
そしてリムちゃんも近い内に何かありそうな感じ出てきましたね…獅音君頑張れ、恐らくリムちゃんに何かあった時にこのパーティーで一番か二番に背中押せるのは多分お前だ
そして遂に来ましたねボス戦!!
滅茶苦茶分断された中でのバトルという事で滅茶苦茶楽しみになってますちなみに三国鯖じゃないです
大分ほったらかしてたのでクッチーの最新情報反映を行いました。
本日は積読を崩したいな(崩せるかは不明)と思っているので、ヴィクトル*ロウィリナちゃんSSとかは無理です。
ラスボストライプさんの設定どーしよ。まぁ納言さんの案通り、”ヴィクトルさんの登場によって当主候補を外されてしまって分家行きになった人”の方面で考えていく予定です。
唯我独尊の王であるヴィクトルに相対する設定だと納まりもいいかな。>>84
了解です。ユージーンさんもおっけーですね
あとは中納言さんだ…!
お題は完全にルナですね。もう間違いなく>>84
同じ協会所属ならばうちのキャラクターならばどれも理由つければ(知己の間柄等)出せそうな気がします。スレ更新無ければ、しれっとマスター投稿します~
【名前】フリーヤ・シグルザルドッティル・ヴィゾールヴ/Frja Sigurðardottir Viðolfr
【性別】女性
【方針・属性】中立・善
【魔術回路・質/量】A/EX(本来はB+、神體を抑制した場合はB)
【魔術回路・編成】異常
【魔術系統】ルーン、幻術
【魔術属性】空
【魔術特性】感染、感応
【起源】留める
【代数(継続年数)】1000年強
【魔術/魔術礼装/技能など】
〇妖精眼:A
グラムサイト。
アイルランドの月の妖精グラムが授ける眼、あるいは北欧伝説におけるグラームという男の持っていた“見えてはいけないものが見える”視界が名前の由来とされる。
ヒトが持つ魔眼ではなく、妖精が生まれつき持つ『世界を切り替える』視界。
高位の妖精が持つ妖精眼は、あらゆる嘘を見抜き、真実を映す眼と言われている。
妖精にとっては善意も悪意も同じくくりなので特に意味のない異能だが、善悪の違いに惑う人間がこの眼を持つとろくなことにならない。>>92
〇妖精契約
地殻運動で形成されたアイスランドを安定化させるために派遣された星の触覚(亜麗)、東の守護たる竜の妖精ドレキ(Dreki)、北の守護たる鷲の妖精ガム―ル(Gammur) 、西の守護たる雄牛の妖精グリズングル(Griðungur)、南の守護たる巨人の妖精ベルグリシ(Bergrisi)の四体すべてと契約を交わすことに成功している。
魔力を対価に、彼らの仔である小妖精ランドヴェッティルを使役することができる。
〇フヴェルスヴェルグ・ヒミンス
フヴェルスヴェルグの天蓋。
“天の輪を呑み込むもの(hvélsvelg himins)”。
幻術の一種。人を惑わす魔術。精神への介入、現実世界への虚像投影などを指す。
ウートガルザ・ロキの神理で編み出した、固有結界と似て非なる大魔術。
幻の世界、大規模な範囲を異界化させた幽世ウートガルズを構築。
対象の肉体(霊基)を強制的に幻の世界の精神体に変化させ、現実での実行力を停止させる。
この幻に落ちたものは無敵になる代わりに、現実世界への干渉が不可能となる。
現実と幻の境目が失せ、幻と同じ存在階梯になってしまった時、対象は現世の生き物ではなくなってしまう。つまりは消滅するのと同義。
人類の叡智の最高峰たる大魔術、大儀式と呼ばれる大掛かりな魔術は「 」、すなわち魔法に至る為の挑戦である。>>93
【解説】
アイスランドの眠り姫。
シグルズールの娘、フリーヤは“愛する”という意味で女神フリッグの古名。
ゲルマン・北欧神話の神代が終了した紀元前1000年頃から二百余年。大陸から失われる神秘の衰退から逃げるようにアイスランドへと植民したヴィゾールヴ家の出身。アイスランド中の小妖精たちの大父・大母である守護霊ランドヴェッティルと植民者たちとの間に入り調停を生業にしてきた妖精遣いの一族だった。
『ゲスタ・ダノールム(デンマーク人の事績)』が語るところによると、シャルルマーニュ王(カール大帝)と同世代のゴトリク王の父、ゴルム王の時代(推定8世紀頃)にトゥーレ、すなわちアイスランド人の冒険家トルキルは、ウートガルザ・ロキの髭を持ち帰ったという。ウートガルザ・ロキは紛れもなく神代の“霜の巨人(ヨトゥン種)”であり、トロールに零落する前の神々に等しい存在だった。その彼が星の内海に還らず、西暦にして8世紀頃に存在する理由は定かではないが、少なくともその時代にも“神の破片”を入手する機会が北欧にあったことを示している。当時アイスランドにいたヴィゾールヴ家も、ウートガルザ・ロキから(あるいは冒険家トルキル自身から)この破片を得て、これを存続させる。
当時、まだ齢19。四体のランドヴェッティルと契約を可能とするほど妖精遣いとしての天賦に恵まれた神童であったフリーヤが、この神體を己の身体に保存する“巫女(ヴォルヴァ)”に選ばれた。不潔、悪臭に感じるほどの呪いを放つ其れを移植した時、彼女はウートガルザ・ロキの権能たる幻に落ちた。
現世にありながら現実での実行力を失った、眠り姫。
時間経過による老いにすら見放された不変の存在。
もはやヴィゾールヴ家が行使する神代の魔術の基点となるためだけに生き続けるだけの人生となった。>>94
誕生日:6月17日
年齢:元19歳(現1000歳以上)
身長・スリーサイズ:161cm・B89/W57/H85
好きな物:アイスランド・グリマ(格闘術)の観戦、ルーン・ガルドゥル
嫌いな物:電脳世界
外見:北方ゲルマン系。
翼のように広がった癖の強い銀髪(トゥヘッド、プラチナブロンド)。
雪花石(アラバスター)色の肌。
不敵な笑みを浮かべた、端正な顔付き。黄金瞳(金は魔を象徴する色)。
純白のドレスの表面を魔銀(ミスリル)とオーロラ鋼が包み込んでいる。
いかにも貴族の令嬢です、といった風采と容貌。
決戦の日:炎と氷の大地
一見すると厳格な印象を受けるが、実際には何にでも「やばい」「うまい」「かわいい」と言ってしまうぐらい語彙力のないマイペースさ加減。それも他意ではなく本心から口にする、裏表のない性格。
理屈ではなく直感によって生きる妖精種の意思を、人間が理解できるように翻訳するのがヴィゾールヴ家であるが、その事が関係しているかは本人にも分からない。神體を現世に留める要石にされたことに関しても「やばい」ぐらいで、さほど深刻な事だとは思ってもいない。とりあえず「やばい」のである。
妖精眼によって相手の嘘を見抜いてしまうが、人間は価値観によって嘘をつく箇所が異なる。よって噓であることを把握しても、そういう判断をする精神性を面白いと感じる。この辺りは流石、長命種といったところか。>>95
幻の世界の精神体とは、ゴーストのこと。
死後もこの世に姿を残す、卓越した能力者の残留思念。またはその空間の記憶。
焼き付いた未練や怨念の痕跡。あるいは魂や記憶が焼き消えてもなお生き続け、世界に溶け込んで一人歩きをした優秀な魔術回路。幻の世界であれば、本来ならば地上ではあり得ない「精神だけ」「魂だけ」の生命活動を行うゴーストが物理的に存在可能なのである。
亡霊化させた対象への優先権はこちらにあるため、害にはならない。
問題はウートガルザ・ロキの神體が“巫女(ヴォルヴァ)”に与える影響である。フリーヤ自身が神體の影響で、事実上のゴースト化をしてしまっているのだ。精気(オド)で抑えなければ、魔術回路を持たない者には認識することさえできない。
しかし同時に、精神体(ゴースト)ならば脳が焼き切れるという身体的制約を受けずに巨大な魔力を、魂の限界が来るまで生み出し、扱える。これが魔術回路の量がEX(規格外評価)されている所以である。当然ながらこれはリミッター。過剰に魔力を生み出した時には、魂が燃え尽きてしまうことになる。
精神体と化している時は、妖精たちを手足の代わりに遣う。
【サーヴァントに対して】
令呪の位置:前胸部
令呪の形:>>97
テーマは「アイスランド」と見せかけて「神代の魔術師」
『型月稿本』のゼルレッチの項目読んだ時からちょっとやりたかったので、魔術師は魔術師でも根源を目指す学者ではなく、生活・文明補助で扱う方の学者。なるほど根源≒神が身近な時代に魔術師はそういう立場になるのか~という感動
ランドヴェッティル(ランドヴェーッティルとも)の亜麗に関しては10割オリジナル設定
因縁キャラクターに関しては、アイスランドに来て「外はこういう感じで~」とフリーヤに好奇心を与えた、という経歴ができる人を募集しています…あまりにも拠点から動かない…!>>99
頭妖精()かも。キャラ推薦、ありがとうございます~
ラーズ・リュングベリに対して
「やばいな、また来たかラーズ君! 今度はどんな冒険をした、クリストファー・クライとは鉢合ったか! ……すまない気が逸ったな、そこのレストランで蜂蜜酒でも飲もう。取られる税は高いが、程よく酔える!」
証亜半月に対して
「ナツキ君の来た後のレイキャビクは男共が浮ついて、見ていて非常に楽しい。私は好きだ。後始末をする魔術師にとってはやばい事なのだが!」監獄長さんがいたらですね、ブリュンヒルド・ヤルンテイン、グルヴェイサ・グローティア、ウートガルザ・ロキに対する関係性について詰めたいです~
届け日本の裏側…!>>104
【魔術】
・精霊術
代々伝わる特殊な術式。
祝福と呪詛という相反する2つの術を併せて内包する。
【特殊技能・特性】
・精霊血脈
バイブラクラック家はフィリピン固有の幻想種が始祖であり、通常は直感や危機察知能力という形でその血に由来する力を持つ。
中には先祖返りで強い魔力を持って生まれる者もいる。
そのような子供には秘蔵されている魔術刻印が継承されたり、株分けした物が与えられたりする。
特に強い力を持って生まれたものは前者の処置がなされ、タララーワはその実例である(出産後、娘に継承させているが……)。
・対神秘補正
神秘を纏う者に対する自身と装備のステータス補正。
補正率は相手の神秘の強さに比例して上昇する。>>106
好きなもの:娘と孫、親族、初めて見た日本製のアニメ(とその主役メカ)
嫌いなもの:自分の人種と家族と初恋の人(?)を愚弄する者全て
天敵:自分を共有の愛人にしているスペイン人夫婦
願い:娘と孫の幸せ
【一人称】あたし、おばば 【二人称】あんた、お前 【三人称】あの子、あの人
台詞例
「そいつの始末、このおばばが担当しましょうか」
「臆病者の母親でごめんな、リガヤプロ……」
「あったよバイディワ! 本当にバナナケチャップが!」
「ロレンシオ様とカンデラリア様の事、今でも怖いよ。……でもね、それでもずっと惚れたままよ。あんた達2人とは未だに両想いなのよ……!」
「カンデラリア様。うちの子と孫にまで手を出すつもりなら、あんたでも病院送りになるまで……ぶつよ」>>107
【来歴】
フィリピンで密かに退魔業を裏の仕事としているバイブラクラック家の一人。
先祖返りの中でも抜きんでて強い魔力を持って産まれたが故に魔性から狙われやすく、かなり早い段階で秘蔵の魔術刻印が与えられた。
エスクリマと代々伝わる精霊術を学び、幼くして退魔業にも身を投じながら成長する。
学業もそこそこ出来ていたが当時の情勢を考慮して大学には進学しないと決めていた。
高校卒業後しばらくして、超が付くほど大好きな番組が放送禁止となったのが切っ掛けとなって、出稼ぎ目的でスペインに渡航。
用心棒の仕事と退魔業、悪徳官憲から迷惑料をむしり取ったり等で堅実に大きく稼ぎつつ、定住先のセビリアで資産家一族のバルベルデ家に雇わたのを機に、とある人物と出会うことになる。
温和でお人好しな人柄と浅葱色の髪を併せ持つ若き当主、ロレンシオとは一目惚れ同士であった。
しかし彼は既婚者だったので、すぐに身を引こうとしたのだが他ならぬロレンシオの妻であるカンデラリアが待ったをかけた。
カンデラリアはバイセクシャルであり、彼女もタラワーワに一目惚れしたのである。
共有の愛人にしようという妻の必死の提案にロレンシオも乗り、コンプライアンスなど無い時代もあってタラワーワはなす術もなく2人に囲われてしまう。
ロレンシオもカンデラリアも善良な人物であり、本心から愛してくれたのもあってタララーワも次第に絆されて体を許すまでになったが、あくまでも自分は従者という線引きは徹底し続けていた。
1980年代半ば、フィリピン全土で巻き起こっていた独裁政権への抗議活動に参加するため帰国しようと決意。
辞表を出したのだが、「フィリピンの政情が安定したら戻ってくる」という条件で休職扱いとされ、一時帰国という形となる。
フィリピンに帰国してからは予定通り反独裁政権運動に参加。
警官隊との衝突では積極的に最前線に出て、裏では政府が送り込んだ暗殺者連中を魔術とエスクリマで撃退していた。
帰国の翌年、大統領選挙で独裁政権が行った悪質極まりない開票操作を機に発生したピープルパワー革命にも黄色いシャツを着て参加している。>>108
独裁政権の完全崩壊を見届けてから約束通り再びスペインに渡り、バルベルデ家の従者兼ロレンシオとカンデラリアの愛人として復帰した。
2人との関係は以前同様に良好であったが、傍目にも分かるぐらい束縛されるようになる。
ある日の明け方、いつもの様に抱き潰されたのでぐったりしたまま目が覚めた際、先に起床していたロレンシオとカンデラリアの会話を聞いて凍り付いた。
反独裁政権運動やピープルパワー革命でのタララーワの体を張った活動を知って、自分たちの下に戻っても色々と無茶をして最悪命を落とす危険性が頭をよぎって不安に駆られたロレンシオとカンデラリアは、血迷ったのである。
もう無茶をさせないようにと、愛するタララーワを心配する余り彼女の四肢を切り落としてしまおうと画策したのだ。
まだ寝ている振りをしてその場をやり過ごしたタララーワは、涙目になるほどの恐怖に震えながら先代当主に助けを求める。
ロレンシオとカンデラリアのタララーワに対する執着と束縛に気付いていた先代当主は、頃合いを見てセビリアから逃げ出すよう彼女に促す。
先代当主や仕事仲間達の助力を得て、別れの手紙をしたためてからセビリアを逃亡。
すぐさまフィリピンに帰国したが、それからしばらく経って腹が膨んでいくのを訝しんで病院に行ったところ、妊娠が発覚。
つまり、ロレンシオとカンデラリアの下から逃げ出した時点で、ロレンシオの子を身籠っていたのである。
更に数か月経ち、産まれた娘の肌と目と髪の色がそれを証明した。
事情を聞かされていた親族たちに助けられつつ、リガヤプロと名付けた娘を女手一つで育てた。
やがて成長したリガヤプロは大学進学を機にアメリカに留学し、そこでスペイン人留学生と恋仲になったことを本人がタララーワに打ち明けている。
タララーワもリガヤプロの恋は応援するつもりだったが、娘の恋人の名前はベルムード・バルベルデであり……。>>109
それから数年経ち、皮肉な経緯から自分同様にシングルマザーとなったリガヤプロ、彼女が生んだ孫のバイディワの3人家族で平穏な日々を過ごしていたところ、ベルムードがリガヤプロを迎えに来たことで自身も半ば強引にスペインに連れていかれ、強制的に再びロレンシオとカンデラリアの愛人となる羽目に。
四肢切断を目論んだ件で2人から謝罪されたが、やはり逃げたことに関して根に持たれてもいたようで、数日程2人の寝室に監禁されたとか。
【性格】
勝気ながら相応に年を食っているせいか、普段は老練な雰囲気を纏っており、非常に落ち着いた物腰をしている。
しかしその一方で、自分の事よりも他人を優先しがちだったりと、お節介焼きな性格でもある。
南国ムードを感じさせる陽気さと、標的を躊躇なく始末する冷徹さも併せ持つ。
ロレンシオとカンデラリアに対しては、本心から愛し合っている上で大人しく従うが、愛故に自分の手足を切り落としてしまおうとすら考えた極端さから未だに恐れてもいる。
就寝も2人と一緒を強いられており、最近の悩みは腰痛と下半身の筋肉痛。
娘と孫への愛情は非常に深く、手を出そうとする不埒者には暴力と呪術を飛ばしてくる。
以上。
この過去を孫に打ち明けた彼女の心境や如何に。>>112
魔術回路の増設に、かつては魔獣のものを使っていた、から他の地域でもセーフ…セーフでしょうとお祈りしている…!
[[アレクサンドル・野紀・ヴィヴラメント]]に対して
「彼は私のような“最果て(トゥーレ)”のはみ出し者にも会いに来てくれる奇特な奴だ。高い蜂蜜酒を持参してな! ムールクラーケの奴なんかは最近まったく顔を見せない様になってしまったし!」
[[ニーナ・ルインズ]]に対して
「やばい、こわい。しかし、テミス財閥はアイスランドの環境保全運動を支援してくれているので、頭が上がらないのであった」
>>113
フリーヤ「(そこそこ程度の)人外あるある談義~」
[[刹那・ガルドロット]]に対して
「だいぶ、やばいな。アイスランドにちょいと来るだけでその旅行鞄の詰め込み具合は何? え、断捨離代わりにあげるから持って来た? やった~」>>117
製作者はカルヴァリアの星がエクスカリバー級の神秘であるのが悪いと言い訳しており…
ゆーれいさんに対して
「起きているのにどうして眠り姫と呼ばれるのか、とな。それは君が幽霊ではないのに“ゆーれいさん”を自称しているのと同じことさ。さて、私にはこれが何度目のはじめましてか分からないが、蜂蜜酒でもどうだ? 暖まるぞ」>>119
ルナちゃんのフットワーク強い、強いですね!
ルナ・アードゥルに対して
「夜に愛された子よ、よくぞ来た! さあさあ、これまでの冒険の経緯をまるっと私に話すがよい。それとも何か? もしかしてこの炎と氷、そして妖精の国が今回の冒険の舞台だとでも言うのか――」
ジャック(仮名)に対して
「わはは、お前、まだ死.ねてなかったのか! 安心せい、カタチあるものは必ず、いずれ滅びる。お前が不死を謳うのは、まだ死ぬ定めには無いということだと私は思うぞ。まあ、私は巫女であって“予言者(スパーコナ)”ではないから、実際はどうなのか知らんが」
シメオン・ノーリッジに対して
「世の中の人間には、分相応というものがあるぞ運び屋。それを卑下することはない。ということでな、仕事がある。もちろん私の国外脱出だ!!」うぐぐ…キャラそれぞれの動きの描写が纏まらない…とPCの前で呻く今日でした
>>36
登場人物全員に対してとんでもない練られよう…!シオネーズが手下ポジションでいても変わらず天然(?)ボケでコミカル面でも感動面でも人気を獲得しそう…
>>52
唐突な分断、怒涛の展開…!ある程度お互いのことも知り合った状態ではありますが、戦闘ではまだまだ息を合わすことも厳しそうですが脅威を退けることは出来るのだろうか…
>>55
はいはい。どういったご用件でしょうか?
あと続き拝読させていただきましたよ。まさに力と技のFETAL BATTLE といった感じで…しかし凌牙さんが変化球を使ってきたり、ジャスミンさんが新作を登用したりと切磋琢磨し合っているのがよくわかって戦力、各キャラの仲についての表現において導入に相応しい章でしたね!
実況席でちょくちょくヲタっぽさを見せる海月さんと初々しい反応のムジカさん、ちょっかい出すカステラも面白い…3人とも良いリアクション・解説役でしたね
>>98
北欧の神體来ちゃったコレ…!“幻に落ちた”って表現がはちゃめちゃに好きです
事件簿シリーズなんかで、フリーヤさんを助けようと暴走する人が一悶着起こすとかありそう…プリヤ的な…
因縁キャラはうちではレッドアですかねー。外の愉快なことをべらべら話す陽キャってことで。
各地をぶらぶらするヤツっていえば熄もいるけどアイツは死から飛躍した(見放された)フーリヤさんには興味持たなそうな気もするし>>123
自分はOKです!
お花見かあ、さてどんな風に動かそうか…どんな風に動くのか…wktk、wktk…
>>124
あるかもしれないですね。というかヴィゾールヴ家についてで二十彼で中編とか面白そう…北欧神話ちょっと調べてみようかな…
レッドア「Long time!アンタの助けになってるんなら俺も嬉しいぜ!こういう鄙びた村で過ごすのも新鮮な感じになれて面白いんだ。夜になると本当に真っ暗になって…あぁでも、この前はニューヨークも全域停電になってさ、普段の夜景が嘘みたいだったな。アレなんだったんだろう?」
みたいなことを返すでしょうねーレッドア。都会の喧騒が好きな男だけど、古びた静かな僻村も嫌いじゃない男>>123
いいともー!黒鹿さんへ、
マレオでお邪魔させていただこうと思うのですが「マレオお前これだけはやるなよ」っての、あったりしますか?>>123
OKでーす!今見返すとFATAL BATTLE をFETAL BATTLE と書いてた中納言です。赤ん坊対決になってたよ…
>>129
ふむふむ。巽さんへの印象、ですか。
まあそもそも巽さんってアナーキーサイドな存在ですし不良生徒と騒ぐことも多いので要注意人物と見なしています。レリックは秩序優先なので。
でも、アナーキーサイドだからこそ救われる存在がいるのも理解しているので、認めてもいるし尊敬している部分もあります。自分じゃそういった人たちの救い方がわからないから。自分は寄り添って助けることはできないからせめて守りたいって男。
だから、接し方としては何か怪しい挙措があれば「変なこと考えてんじゃねぇだろうな?」って圧もかけるし騒いだら凸って解散させる。けれど排除はしないし共存していければと思っている、といった感じでしょうか。
ただ誤解のないように言うと、巽会を規制するのに躊躇してるとか渋々やっているとかそういうことは全然ないです。不良共が騒ぐと怖がる生徒も当然いるし、第一そういった会が(黙認されているとはいえ)あるって事実だけで不安を覚える人はいるでしょうから
>記憶しとくと後々良い事あるかもしれませんよ…
ほおぅ…?
>>130
3000円!なんてスペシャル…!
これはどういう風に使うかから書いていきたいな…何だったら屋台とかで悩んだりもしたいな…桜餅に桜アイス…桜(馬肉)焼き…>>136
なるほどなるほど……
了解です、ご返答ありがとうございます~!黒鹿さん、名無しの教室について質問なのですが、魔術を何も知らないでいた一般人(魔術の素養はある)がシメオンさん伝いで名無しの教室に入ることってあり得るでしょうか?
一般人は魔術の素養があるのと当時家族と不仲中で時計塔入学(家族にはロンドンの名門校入学と伝えている)で資金は学費のみで余裕はないという感じです>>142
それだったらイノセンシオがうってつけかと。
民間軍事会社の社長で、自分も現場に出るタイプで超強いし。>>145
ああ、ルナちゃんメインっぽい感じになりましたけど、京介くんとも仲良くしてる訳ですから、そっち由来の両ルートでいけますね。そういや名無しの教室の設定詳細ページ作っていい?
前スレの黒鹿さんの纏めレスまんまコピペする感じのヤツで。>>152
あー忘れてた!
やりますやります私がやりますやりました!
というわけで名無しの教室&専任講師のモートン・ドラモンドと改修したカヴン・プラミア(ネズミ)もwiki登録です!
名無しの教室は用語集のところにつっこみました
名無しの教室
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/%E5%90%8D%E7%84%A1%E3%81%97%E3%81%AE%E6%95%99%E5%AE%A4
モートン・ドラモンドhttps://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89
カヴン・プラミア(ネズミ)
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%AB%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%82%A2%EF%BC%88%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%83%9F%EF%BC%89うおー、更新なければ、完全に自分のために書いたss投げます!
行くぜ~!ユトランド半島とシェラン島の間にあるフュン島の一都市オーデンセはデンマーク国の最古の都市のひとつだ。童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの出身地として有名だが、その歴史は古く、神聖ローマ帝国皇帝オットー3世の西暦988年3月18日付の書簡には既に確認されている。
かつては教会が支配する都市として、中世には地の利を生かした商業都市として、18世紀以降は港や運河を利用した商業港湾都市として発展し、現在は酪農や花・野菜の温室栽培、造船業・鉄鋼業・家具製造業や食品産業などが盛んな近代都市として繁栄している。また、国立南デンマーク大学を始め、各種の学校や文化施設、福祉施設の充実した都市でもある。
その名前の由来は『ヘイムスクリングラ』に記されている。
東の国からやって来たオーディン達は北に赴き、フュン島に居を構えたという。それでオーディンの神殿という意味のオーディンス・ヴェー(Odins Vé)と名付けられた。それから更にスウェーデンのシグトゥーナをギュルヴィ王から手に入れて、それを“司祭(ゴジ)”たちに与えたという。
ともかく、このオーデンセという街は、いやフュン島という土地は世界有数の歪芯霊脈を有した霊地なのである。何せ、神が降臨した地なのだから。
北欧における幻術の大家にして、土地の“管理者(セカンドオーナー)”ヴィゾールヴ家。
その本家筋がオーデンセの街並みでも数少ない大屋敷、古城に住む。
◇◇◇◇
――私、トルキルはゴルム王が求める死後の知識を得るために、ウートガルザ・ロキを訪ねることとなった。>>155
私は私に悪意をもって非難する者達を道連れにして二度目の航海に乗り出した。一度目とは違い、太陽もなく星もなく昼間の明かりすらない、永遠の夜に覆われた空の下、目印も何もなく進むことは並大抵のことではなかった。遂には木材がないので火を得ることもできなくなり、生の食事を摂った者は身体を壊し、食事を摂らなかった者は飢えに苦しんだ。
しかし、幸運にもある島で一人の巨人から助言を得て、四日目には目的地の港に着くことができたのだ。
私は変わらぬ夜の陸地を歩き、洞窟へと足を踏み入れると、手足を巨大で重い鎖に繋がれたウートガルザ・ロキが見えた。
まるで玉椿の槍のようなウートガルザ・ロキの、悪臭を放つ髭を一本引き抜き、自分たちが発見したことを誰でも信じることが出来るように持ち帰った――
◇◇◇◇
「亡霊紛いのフリーヤ、まさかアンタがアイスランドから出て来るとはな」
「流石に本家の当主就任式ぐらいは出るさ」
ヴィゾールヴ邸の最上階のすべてが当主のために用意されているのだが、次期当主、いや今日の就任式の披露宴をもって完全にヴィゾールヴ家の神秘、このオーデンセという土地の神秘をも引き継ぐのがイングヴァル・ヴィゾールヴという青年だった。
家の歴史に、魔術に誇りを持った彼は、その気難しいという第一印象その通りの顔を、更に眉間に皺を寄せて確固たるものとしていた。>>156
「不要だ。というか第一、どうやって海を渡った?」
「私はお前も言った通りの亡霊紛いだが、ゴーストそのものではないから土地には縛られん。普通に飛行機に乗って来た。もちろん席に座って、だ!」
「エコノミーでも買う金はあったか」
「わはは、そこは長命種というだけで金を出してくれるパトロンがまぁまぁ、いるからな。リィナラスの令嬢や野紀君とか、いやこの二人は貸しになりそうだな……レッドア君は引き籠りのお前でも知っているだろう。彼は散財で有名だからな!」
「自分で稼いだ訳じゃない金で威張られても困る」
「いやいや待て待て。彼らは私という存在に価値を見出して出資したのだから、それは私が稼いだ金と言えるのでは? 環境に金を出して保全したりするのと同じことでは?」
「分かった分かった。それで、アイスランドのヴィゾールヴ家の代表はお前と思っていいのか? 流石に集まっている連中に紹介はできないが、後で菓子折りでも贈ることはできる」
「ああ。出来る限り大きい箱にしろよ。そうすれば私はこの自慢の交渉術での七転八倒を武勇伝として…」
「おっともう時間だ」
「んなにぃ!?」
フリーヤ・シグルザルドッティル・ヴィゾールヴは、このデンマークを拠点とする魔術師ヴィゾールヴ家から端を発した分家であり、魔術刻印の源流刻印を株分けした一族の出である。アイスランドへ移住した方のヴィゾールヴ家(以下、シグルザール家)が、なぜウートガルザ・ロキの神體という神代の遺物を有しているのか。
妖精遣い、妖精の声を聴く巫女の家系であったヴィゾールヴ家は、魔術世界における第五架空要素の証明、新世界の始まりによってその姿を大きく変えることになった。>>157
魔術王ソロモンの弟子の係累たる、時計塔が十二の“君主(ロード)”。彼らが神格と契約して魔術を行うのではなく、魔術理論に基づく神秘の実践、西洋魔術の行使者であるとの同じことだ。神代の終了、西暦の始まりによってヴィゾールヴ家の魔術もその形を変えなければならない問題に直面した。妖精が、消え始めたのである。
そこでデンマークに残ったヴィゾールヴ家の本筋は、妖精たちの業を魔術でもって再現する方向に動いた。魔術理論・世界卵による異界常識、固有結界――妖精たちの間では妖精領域――そして空想具現化。妖精との対話ではなく、妖精に等しい存在に成る。
是をもって、星の内海に到達する道を選んだのである。
ここから幻術師としてのヴィゾールヴ家が始まる。
誤算だったのは。
世界の“最果て(トゥーレ)”にはまだ妖精が顕在しており、
神代の巨人もまた、星の内海に還っていなかったことである。
ウートガルザ・ロキと契約したシグルザールは、娘を神體の櫃に変えたことで完全にヴィゾールヴ家から追われ、逃げるようにアイスランドに定住した。
「イングヴァルは神體で魔術を使おうとは思わない訳?」
「馬鹿なことを。私が根源に等しい大目標たる、星の内海を目指すのはヴィゾールヴ家の1000年に報いるためであって、1000年の研鑽を捨てることではない。それが魔道というものでしょう」
「なるほど、完全に考え方が違うなこりゃ」>>160
「最果てのトゥーレ」という単語を温めている私
ヴィゾールヴは『ヒュンドラの歌』で全ての巫女の祖先?だとされているんですが、「ヴ」が2つもあるから一目惚れしちゃったのでした。厨二全開!すみません今夜のお花見なんですけど、予定が明日にズレて参加できそうなのでセーラに飛び入りさせてもいいですか?
>>162
おーどうぞどうぞ!ぜひ参加してください!>>165
かわゆいそっと貼る>>44の続き
筆が乗れば夜にまた分断された別の方をお出しするかもしれません「記録に残されていた死徒の呪詛汚染は恐らくⅥ階梯よりも上……下級死徒以上のそれだと断定されていたと云う。死徒の特徴的な生態の一つ、居住地域の呪詛汚染……これはその中でもかなりの物。Ⅶ階梯、上級死徒以上のそれか」
囁かれた瞬間、一瞬見えた光景。それは女と思われる人影がまるで魚のように流体と化した屋敷の中を泳いでいるそれだった。となると考えられるのは本来超えられないはずの流水への適性を持った死徒であるという線だが……
「……水魔スミレは祖、Ⅸ階梯だ。そのようなビッグネームがこんなところに来るわけがない。後継者となるⅧ階梯も同様。もっと大きな騒ぎになっているはずだから。と考えると……」
「ハァイ、ちょっとは頭回した?祖や後継者の御歴々みたいなビッグネームと勘違いされると流石に私も困っちゃうぞ」
「リリカ・ローサ……魔術師上がりの人魚モドキが……!」
「失礼な人」
死徒は流水を渡れない。渡ることはできるがそれ相応の消耗はする。それが不文律のルール。定められた生態。故に、そこから脱却した水魔スミレを除いた死徒が海を越えて国を渡るのであれば、彼らは何かしらの対策を講じる必要がある。
女は水が好きだった。水に体を浸すこと、水に沈んでいくこと、水の中を泳ぐことが好きであった。故に女は、死徒という生命体へと己を昇華したことはたいそう喜んだが、そこから先、好きなことができないという事実には困り果てた。……だが、女はこうも考えたらしい。
“普通の水を、流水をどうしようもできないのなら、水じゃないもので存分に泳げばいい”という馬鹿みたいな理屈を、馬鹿のままでは無くさせてしまった。死徒にとって欠かせないもの、たくさんの血液の中を泳ぐ化け物に。「イカれた化け物が。魚や人魚に詫びて逝け」
「死ぬ時はめいいっぱい海を泳いで死.んでやろうと思ってるんだよね」
「傍迷惑だバカ」
既に呪詛返しの毒薬は散布した。この屋敷を汚染したリリカの呪いが自分に降りかかることはない。……唯一の懸念はここに残された他の面々だが、ルナは屋敷の外に弾き出されたので問題なく、教会の二人は衣服に呪詛への防護が施されているであろうことからも問題ないと判断した。マヴは遺物を四つも取り込んだことでこの程度の呪いには侵されないように性能が増している。不幸中の幸いと言えるだろう。
「……もしかしたらオレだけが残された、か」
「だったらどうする?逃げる?」
「抜かせ。ここでお前を殺してマヴを確保する。そして外に居るお前の仲間も殺.す。その喉笛を噛みちぎってやる」
「あら、大胆。じゃあおいでなさい」
カナリアにとって暗闇は魔術を発動させるのに適した空間だ。強いて言えば星空が見える位置に居るのが理想的だが、そこまでは求めない。黒魔術と占星術が混ざり合ったハイブリッドとしての魔術師がカナリアではあるが、その比率は黒魔術の方が傾いている。それに……「焚刑だぞ吸血鬼。その心臓に銀の杭を刺して串焼きだ」
「火炙りは魔女の専売特許でしょう」
周囲の建物の影から飛び出す黒々とした槍。それらは全て黒魔術で生成したドス黒い怨念の血。影に潜ませたそれを使った一撃は、当たれば傷を、防いでも呪詛の汚染を、回避したのであれば次の魔術を発動させるための触媒になる優れものだ。今回の騒動で敵対した奴らから搾り取った甲斐があった。滝を昇るように床と壁を泳いで見せることで回避はしたが、それも大した問題ではない。
「おっそ。銃弾ぐらいのスピードじゃあね」
「言ってろ。魔術師の戦いってものを思い出させてやる」
魔術薬で魔術回路の性能を底上げした上で回避された触媒(血液)、そしてもう一つの触媒となる黒剣を利用した詠唱破棄の四小節(フォース・トゥ・フォース)。周囲一帯の空気に灰を撒き散らし、そのまま空気を操作、固定する。それはまるで灰で作り出された十字架とそこに架けられた罪人のように、リリカを拘束した上で銀色の杭が心臓を貫く。するとそれに呼応して爆炎がリリカの身を包む。対吸血鬼のために隠し持っていた甲斐があったというものだ。
「Brûlée sur le bûcher(火炙りだ)」
「……この程度で、死徒が殺.せるとでも」
「黙れ。灰喰って頭ぶち抜かれて死.ね」カナリアの目に映るのは常人では対応できないほどの速度で飛んでくる銃弾。それらは教会の聖別、リムの対呪詛の東洋呪術、そしてカナリアの魔女狩りの概念照応魔術が充てられた特別な概念武装と化した銃弾たち。
それが今、遠くから狙いを構えていた獅音の狙撃銃から放たれている。完全なる不意打ちだ。死徒の常人離れした五感に感知されないように、カナリアの隠蔽の魔術と獅音自身の精密な動作で放たれたそれらはリリカの姿が見えなくなるほどの炎を撒き散らす十字架でありながら、リリカの頭部があるであろう場所に命中して……
「呆れた。本当に戦ったことないんだ、私たち(Ⅶ階梯)と。五感で察知できない“程度”の狙撃でよく勝ちの目を見出したね」
撃ち込んだはずの弾丸が勢いを殺されて床に転がっている。それ自体は良い。千年の月日を生きた死徒だ、弾丸を事前に把握さえ出来たなら当たることすらなく対処できるだろう。よしんば当たったとして、ほとんど消耗させられない可能性もある。
問題はそこではなく、感知できないはずの攻撃を感知したということ。純然たる技術に魔術の補助も掛け合わせたそれに気づかれたということ。
「認識している規模(スケール)が小さいの。私たちは永く生きると五感に頼らない、超常的な感覚器官を生成する。五感の範疇でしか探れないのは成り立てか、よほど才能がないんじゃないかしら」
「……そうか、先生にもう少し詳しく聞いておけばよかったな。参考にしよう」
仕方ない、こうなれば真正面から打倒する他ない。例え高位の死徒であろうと、聖別した武器、概念武装、高いランクの魔術は通用するのだ。死ぬまで殺.せば良い、というだけの話。特にあちらの能力は既に割れているのだから……「人類と死徒では身体能力は桁違いだ。真正面からの格闘戦で勝てるとは思うな」
「わかってる。……あいつの固有の能力は周囲の物質を液状化させるものだ。単純だが応用性が広く、強力なものだから注意しろ」
「………やっぱり現代の魔術師って………なるほど」
「なんだその反応。………まさか」
「千年経つだけでこうなるとはねぇ。思ったよりも神秘の衰退は早かったわけだ」
あの、問答無用で全てを液状化させ操る能力は、その中を自由に泳いでこちらを翻弄してみせたそれは、まさか、魔術だとでも言うのか。だが魔術には詠唱が必要だ。屋敷全体にそのような魔術をかけるだなんていうのはとてつもない高等技術。……だが、彼女が魔術師として存在していた年月を鑑みると、それはあまりにも納得できてしまって。
「いいわ、見せてあげる。私の原理を。私という人生において導き出した呪いという名の結論を」
「………来るぞ」
「ええ、もう終わっちゃった」「な……っあ」
目の前に、綺麗な、黒い薔薇と百合が咲いていて、いつの間にか、頭から生ぬるいものが垂れてきて。
気づけば、身体中、切り傷が、血が、流れて、濡らして、頭が、回らず。
………それでも、脚を止めることはしない。戦場において、それは、死を意味する、悲惨な、でもありがちな、それが………
「海の花園。綺麗でしょ?」
「思考が、定まらんが、それ、でも……!!」
「わ、驚いた。そっちの代行者くんはまだ殴りつけてくるんだ。……なら、仕方ないか」
呪いが収束する。リリカの姿が変わっていく。それはそう、まるで人魚のそれで。
「遊びましょうか。優しく吸い殺してあげる」ふと思い付いたリディア主役のSSネタ。
『暴力で奇妙を鎮圧する物語』
……冗談抜きでこんなタイトルが思い浮かんだ。「やわらかめのネコヤギ」(https://picrew.me/ja/image_maker/197705)様で作らせていただいた>139のビジュイメージ〜
あと秘海集積船ページの特別監視対象に該当する自キャラを追加いたしました。この階級でそれぞれ合ってる…よね?(記憶頼り故の不安)
>>150
>>151
そうですねえ。それにキャラのために異能力くっつけるっていうのは個人的にもちょっと違うな…と思いました。
トラブル起こしての教室行きって言うのがやっぱり自然ですね。せっかくだしシャフリヤーナさんと絡ませてトラブル起こしてってしたいけど、それだと彼の時々来る教室に処分で入るっていうのは不自然かしら…
>>159
神體持ちが分家筋…!?となりましたが、なるほどそういった経緯があって…当主の認識の違いから察するに溝はかなりありそうですね
しかし、フリーヤさんの飄々とした振る舞いは大変長命種という感じで…イングヴァルさん結構厄介視してるな?まあ実際厄介でしょうね…
>>174
初っ端からとんでもない人(死徒)とぶつかってしまった…!代行者と騎士とはいえ相手が悪すぎますね、これは。魔術的にもちょっと相性が悪そうで…
こうなると女性陣の方もどんな強大な敵とぶつかることになるのか、戦々恐々ですわ>>180
はいな速攻で風呂済ませてきました。前回途中で風呂入って戻ってきた後寝落ちとかいう凄まじい大ポカをやらかしたので今回は対策済みですわよ…具体的にはジャスミンちゃんと凌牙の互いへの対策並に万全ですわよ…
>>183
ほいほい。リプ忘れてましたすいません…
とりあえず大体雰囲気は分かりました。仕事する時は容赦なくやるけど普通に上手くやりたいって感じでしょうか…まあいい機会ですしなりきりとかで少し試してみるのもアリかもですね
ですね、凌牙君はそこそこ料理はできるんですが味付けが基本的に塩とかこってり系に偏ってる感じだと思うんすよね。甘味とかは多分付けないタイプ。だから人を選ぶ感じにはなると思うけどそこそこ美味いんじゃないかなって。
「この位濃い方が美味えんだよ。つーか俺が甘い味付け大好きって柄な訳ねえってのはお前なら知ってんだろ?」21時になりましたけど、どうします?
もう本戦スレの方で始めても大丈夫な感じで?>>189
了解です
では本戦スレの方にて>>189
了解です
祭 り の 時 間 だ言い忘れましたが私がストックしてる生活管理局メンバーも今回ちらちら出していきます
キャラシ出してませんがお許しをポチ先生ほんとうに受難の相があらせられるな…いじられ癒しワンコ…
>>194
まあ前回からしてアレ(ライオン◯ング)でしたものね…その星の運命…衝撃の事実明かされてて草なんですが
ペルカちゃん…!?>>196
ふふふびっくりしてもらえてなにより
まぁ他人なんですが…そういえばこのなりきりイベってあとどのくらいやる予定です?
今22時半になろうかって頃合いですが本当に申し訳ありません
少し体調が悪かったため横になっていたらこんな時間まで寝てしまいました……>>206
いえいえいえ
体調不良はどうしようもないので仕方ないです。ゆっくり休んでくださいあれムジカちゃんが歌うのってやばやばなのでは…本気で止めないとまずい?
凄まじいカオスで草
ムジカちゃんまわりからすごく綺麗になっていってる…
>>210
建てておきますかーノリと勢いでついやってしまったでござる(土下座)
いやその、あくまでギャグ時空的な勢いと言いますか
元々がタウタの桜鍋という胡乱気なものだったし、なら酔った勢いという事で誤魔化せるかなと…画像貼り忘れてたので今追加してきました、すいません
>>210
建てておきましたので大丈夫です>>212
まあいいでしょう
なんかいい感じにきれいですし!>>216
では締めていきますかー…流れが綺麗なうちに!>>215
ですねー、いやほんとすいません…
改めて説明しておきますと、向こうでも言った通り今回のムジカの『歌』に設定で開設された程の効果はありません
酔った勢いの乱暴なものなので、ギリ歌として成り立ってた程度です
なので後遺症とかそういったものは全くありませんので、ご安心をばファーーーッ!
酒飲んで寝転けてしまうとは一生の不覚!
今から参加しても大丈夫そうですかね?…とりあえずそれっぽい〆を入れてみましたが、これで本格的にお花見なりきりおしまいってことでよろしいでしょうかね…?
>>225
お疲れさまでした!素敵な場と機会をご用意いただき、ありがとうございます!
途中から盛大に暴走してやらかしてしまい、申し訳ない
今回の件はあくまで一回限りのパラレル時空という事で、一つ
彼女がまた人前でも臆さず歌えるようになるかは、今後次第…>>225
お疲れ様でしたー
いやー凄まじいカオスかと思ったらいい感じに纏まって良かったですね…
じゃあ俺はそろそろ露骨すぎる位撒きに撒いたフラグを回収する為に執筆入りますね…>>225
わぁい!今回はいい感じに〆れたぞー!お疲れ様でしたー!
前回はカステラをめっちゃ動かすことができてほたるさんを酔いつぶしたりなんなりしてしまいましたが今回は夕ウタでした。次回は一体誰になるのでしょう()
ムジカさんにまさか飛び火するとは思わなかった…でもそうですよね、お花見といえばカラオケですよね…もうこれももしかして古い常識かな…
他キャラも前回と比べてかなり動かせて満足してます。トワとかね。あとヴィルレイを最後にチラッとでも出せたことが実績解除の一つになった気がします。
そしてミスターK…セリフからしてアレだよな…?ってなったので、夕ウタに「?」させましたが、はてさてどうなのか…パパさんとか空調暴走さん(仮称)とか、気になる人が大量に出てきましたね…
とても楽しかったです、また次回もあったら参加したい!あとちなみに。
実は桜鍋騒動は全部夕ウタのせいではなくて(全く夕ウタが悪くないわけではない)、麟ノ助のパパさんに関する『疑念退室』が桜鍋付近で浮上してきちゃったのが原因だったりします。少なくとも最初はそういうふうに考えてやりました。
ただ上手いこと麟ノ助がそれに気づく方面に行かなかった、それくらいカオスだったので、これについてはあってもなくてもどちらでも良いという半没案になりました。
何でもありな夕ウタと何でも起こり得る麟ノ助(の異能)って相乗効果起こりやすいんですよってお話でした>>227
前も少し言ったような気がしますが、聖杯戦争系のリレーもこういう感じでフワフワ大雑把に舞台設定を決めて、台詞メインでパッパッと進め、〆まで行ったら各々で文章化、って流れだと結構スピーディーに始動→完結までいけるんですかね?
改めて文章化する、って形ならあの行動の裏では実はこんな事考えてたのかー、的な楽しみ方も出来そうですし。いやーいざ始めてみるとやっぱり課題と反省点がぽろぽろ出てくる……セーラさんとどう絡めばいいかわかんなかったぁぁぁ………
でも楽しかったです!この形式だとやっぱりポチ先生が輝くなぁ。この愛され系もふもふわんこのかわいそうな目にあってもまじめにかわいいのはとても
あとペルカの動かしやすさというかなにさせてもいいのが楽ー。この子ほんとマイペース…
アインス先生はもうちょっとがんばろう……生活管理局メンバーと絡ませればよかったかなぁ。真面目すぎるとアレね
ピクシスは色々とねぇ……事前に用意してた事件誘発要員だったんですがなにもしなくても大騒ぎになったので出番消滅という。かなしい。春の嵐、凸ってくる牧場主、人口太陽爆発といろいろ考えてたんですがねぇもう4月になってFGOの最新イベントも切り付いた訳だけど、「アリかも?」的な意見も少数ながらあった”春の設定リメイク祭り”、興味あったり、実はリメイクや見直しをしたいキャラが……って人、いるんですかね?
例えば、黒鹿さんは錫凪ハクトくんの改修、ユーさんの自キャラの隠し設定開示、などでちょっと構想が出た訳ですけど。>>238
あぁ…ピクシスがトラブルを助長するのはそうです。今回のウサギ事件も途中まではよっしゃやったるかーと腕まくってたんですがムジカちゃんがいい感じになり始めたので、じゃあ今回はもう座らせとくか…と
人口太陽というのはアレです。ドーム内の植物たちに太陽光を与えるために作られた火の玉です。生活管理局長が作りました、実は生きてます
コレをドカンとやったろうと準備してましたが…まぁ不要になったならそれはそれで最初はムジカの腹ペコキャラで話を回していくつもりだったんですが、最終的に思わぬ方向へのかじ取りとなりました
途中までは酔っ払いムジカで適当にお茶を濁すつもりが、巽さんのカラオケシーンを見つけた事でついこう、ね?
とりあえずムジカはしばらく船メンバーに合わせる顔がなくなった事でしょうよし2レスは埋めました
あと2レス分だれかおねがいしまーす「……ハズレか。あっちの方が強いんだな」
「……魔術師?」
「いいえ。アレは魔術師ではない。おそらくは混血です」
事前情報から読み取れた混血の痕跡、そして何よりも感覚で理解した。それは脈々と現在まで受け継がれてきた一族の血の運命であり、そして一度、似たモノに一族を滅ぼされた経験を持つリムだからこそ把握したもの。退魔の血が呼応しているのだ。アレこそが魔、人と混ざりし魔、我らの天敵であると。
「混血に対してわたしの相性は悪い。そもそも純然たる魔に対しても現在のわたしたちでどれほど太刀打ちできるかという話でもありますが……さて、ルナさん。混血のことはどれほど知っていますか?」
「人と人外の間に生まれた者ってことと、あと何かの折に人外側の価値観に依りかねない……ぐらいしか」
「そうですか。なら気をつけて。彼らは人の技術に依らない“異能”を持っています。それは物理法則を超越することもある自然の触覚としての力の断片。現実では起こり得ない怪奇現象を引き起こす可能性も高い。奇想天外な能力の可能性を考慮して」
「う、うん」
目の前の男の動きが捉えづらい。視点はこちらを見つめておらず、オーバーサイズのコートに隠れた両手は何をしているか読み取れない。油断、ですらない。こちらを認識することすら億劫だという様子を明らかに見せつけている。「……“見るな、聞くな”」
「……言霊、呪言か」
「合わせですよ。わたしは目も耳も効きませんので。それとあなたの状況のチャンネルを同調させました」
「なるほど。よく聞こえんが人の軛から逃れられないからこそか」
……それにしてもおかしなものだ。この呪術は霊的な受容感(チャンネル)を合わせられる、同じ人の身に通ずるものであるからこそ混血にも通用する。しかしながら純然たる人ではないため、効果は落ちるはずだ。それがこうも上手く刺さるとは思えないが……
「悩む前に攻めましょうか。ルナさん」
「う、うん。月がきれいで 星がきれいで 見上げる夜空に 火が灯る」
「む?なんか嫌な予感がする」
勘がいいのか、他に感知手段があるのか。男は飛ばされる魔弾に対してステップを踏むような足取りで躱していく。距離を離したことで魔弾がバラけているというのもあるが、それにしてもだ。「ここ、ですね」
「わっ……縛られ……」
「遅い」
息を合わせて相手の動きに隙が出来る瞬間を見計らう。とにかく相手の動きに同調して適切な隙を突くのがリムのやり方だ。そしてその隙で得物の縄で男の四肢を地面に縛り付ける。男が地に伏せった瞬間こそがさらに好機であると、地面を擦り滑るように動く。その動きはさながら地を這う蜘蛛や蛇、かつて存在した一族を想起させるもので……
「………今、お前の目の前に何が見える」
「え?……あっ」
花が、咲き誇っている。わたしの視界の全てを、花弁が覆っている。鼻には甘く、柔らかい香りがする。何の花かはわからない。わからないが、きっとこれは綺麗な花だ。きれいな白い花が咲いている。それが真っ赤に染まって、萎んで蕾になって……
「ぐ、ふっ゛……」
「リム!」「近寄らないで、危険です。……既に術中でしたか」
「……はむ……もう少しお酒とタバコ控えよう。美味しくないぞ」
リムの体勢が崩れると共に口と鼻から血が噴き出る。ルナからしてみればそれはなぜかはわからなかった。そもそも、二人が話していた“花”とは何のことだろう。自分には見えもしないし、そんな香りすらもしない。ただ、リムには見えていたようだ。その“花”とやらが見えて、匂いもしたらしい。
リムもまた、己の不覚を知る。呪言が効いたことから大した血の濃さではないと油断していた。息をするように混血の異能を使えるほどの逸材であるとは考えすらしなかった。相手の方が一枚上手だったのだ。目の前で真っ赤に染まった蕾を、摘み上げて男は食らっていることこそが、既にその身が人のそれを外れていることの証左であったのに。
「発動のキーは……これを見ること、嗅ぐこと……わたしの中身を食べやがりましたね」
「不味かったけどね。でも俺はちゃんと残さず食べるよ」
「は……でも、それだけです」
「そう、それだけ。それだけの技法にお前は死ぬんだけどね」
手を翳す。そしてまた、目の前に花が咲いていく。その美しい純白の花弁を見ること、そして芳しいその香りを嗅ぐこと、それが異能の成立する条件だというのに、回避が間に合わず……「月はほころんで 星は手をひいて 見上げる夜空に 惹きつけられる」
「……アレ、なんで俺こんなところに?」
「よし、成功……!」
間一髪、といったところだろう。狂気を振り撒く月(ディアーナ)の光、光のない夜にただ人の目を惹きつける星、それらの概念を応用した幻覚、誤認の灯明魔術。こちらに全く関心を向けてないおかげでルナが魔術式を組むことができたものだ。今が真っ暗な夜であったこともこの魔術の概念を補強するための糧となった。それをマトモに受けた男は、リムとは見当違いの方向へふらふらと歩いていって、何もないところに手をかざしている。もちろん、範囲外なので誰にも花は見えないし香りもわからない。
「リム、今のうち!」
「ええ、ありがとうございます。……わたしのことを食べた報いですコンチクショウ。その身体の不浄、身念処によって見つめ直すとよろしい」
「む……身体の調子が悪いぞ」
「どれほど猛々しく咲き誇ろうと、生き物は生き物である以上醜く腐り果て行く運命であること。それを忘れた者に思い出して差し上げましょう。燃相などという供養は不要、あなたの九相観は青瘀相です」
男が食らったリムの身体のそれが急速に腐敗していく、それに引っ張られるように男の身体も不調を示す。腐敗したものを体に取り込むというのはもちろん身体に悪いことであるし、それよりも何よりも引きずられるように男の身体の一部も腐敗が進んでいくのである。身を犠牲にした代償呪術と丑の刻参りなどが例にあげられる類感呪術の合わせ技。
さらにリムがとった行動は、縄に短刀をくくりつけ、それを杭とした状態で器用に操って自分と男を囲むようにして狭い範囲の領域を形成する、というもの。その内においてのみであると限定することで詠唱も要らずに成立する高レベルの呪術。例え殺し切ることができずとも、それ相応のダメージは避けられず……「邪魔」
「……っ!」
「月はわらって 星はかこんで!」
一瞬だった。一瞬の出来事、何がどうなったのかもわからない内に、リムと縄は吹き飛ばされる。男が中指を親指で弾く、俗に言うデコピンによって。あまりにも一瞬だったので、ルナも慌てて魔術を発動する他なかった。
吹き飛ぶリムの後ろに展開される青白い光のカーテン。星月の光を模した結界が、柔らかくリムを包んで衝撃を殺.す。今回の冒険の前にあらかじめ結界の魔術について学んでおいて良かったと常々思ったものだ。
「今のは……異能じゃ、ない。物理法則に準じて……」
「………超能力。星の理、混血の異能とは相反するもの。人の理、アラヤによって生み出される人間が持つ超常的技能。物理法則に準ずる形とはいえ常識から外れた無法を創り出す特異能力」
「でもあの人って混血なんだよね?じゃあ、なんで」
「……前提が、間違っていました。彼は別に、混血なんかじゃない。ましてや彼は、超能力者でもなかった。わたしたちは現場の痕跡という事前情報から混血と目星をつけていたけれど、それは正しくもあり間違いでもあった」リムの身体が、健常であることを代償に見えざるものや聞こえざるもの、触れざるものに対して知覚することができる身体が知覚したもの、それが一つの結論を導き出す。
男の周囲に展開されている二つの球体。一つは真っ赤に染まっていて、もう一つは真っ青に染まっている。それらが脈動して呼吸しているということは、つまり生きているということ。そう、生き物として存在しているということ。
「……とある外法によって、混血の異能を己のものとする退魔の一族が中国にいたと聞きます。そして超能力はその者の脳に由来するものであるから、当人の脳を入手、操作すればその能力を人為的に操れる可能性を模索した魔術師がいるとも。……なるほど、あなたはその両方の技術を転用した常人なのですね。魔術回路だけが優れた常人。魔術すら知らない代わりに外法を知っている」
「………有名人だったりするの?俺」
「ええ。魔術使い、混血、超能力者、そのどれもに当てはまらないモドキとして。この神秘渦巻く裏の世界を生き抜いてきた殺し屋としては相当なまでに。クニツジ・ウキ、ですね」
「正解。……まさかさ、リリカだけじゃなくて他の二人も来てるとは思わなかったんだよ」
かつて。執行者フローレンス・ヴァルトルーム、ラミレス・アルバーン司祭、死徒リリカ・ローサ、そして春の英雄である雷紫音と四季折々の怪事件を通して街一つを巻き込んだ大立ち回りを繰り広げた殺し屋。何の因果か、アイルランドにてこの騒動の内の4人が邂逅することになったのだ。「それよりも……芯がないと思ったらそれなりにやるようだし、俺もそれなりに食べにいくし抉り飛ばしに行くね。次はそっちの魔術師の子も」
「オメーにくれてやる肉片なんざ一つもねぇです。つーわけでここでお前は仕留めます。命に替えても」
「身体の中身食べられてて右腕の骨もさっきので折れたのにそんなこと言うの?命の価値を軽んじちゃダメだよ」
「うるせー。しらねー。つーわけで、来いよ盗人。……ルナさん、あと頼みます」
終
ちなみに別に赤い球体(混血)に赤い蕾(人の血肉)を食わせればそれでエネルギー補給はできます
それをせずにあくまで身体自体は常人であるウキくんが普通に自分の口で食べてるのは個人の趣味です。タチが悪いですね夕ウタ「頼もう!ミスターK君、この夕ウタとどちらが真の秘海集積船の謎か雌雄を決しようではないか!」
ミスターK「唐突だなあ」
夕ウタ「問答無用!ということで一回戦、街頭アンケート!そこら辺を通った船員に此方と其方のどちらが謎か投票してもらおう!」
◇◇◇
ミスターK「…で、どうだったんだ?」
夕ウタ「むむむ…何度数えても、20対20。五分五分だとぉ…!」
ミスターK「まぁそんなこったろうと…うん?ちょっと待てよ、おかしくないか?」
夕ウタ「?何がだい、やはり我こそが秘海集積船の謎と主張する気?」
ミスターK「いや、それはこの際どうでも良いけど…俺たちがアンケート取ったのって、同数にならないよう39人だったはずだぜ…?」
夕ウタ「………………………」『魔女たちの涙(マレフィキウム)』
魔女狩りや異端審問などで悲惨な制裁の末に死を遂げた犠牲者たちの負の念や遺骸の一部が籠められた、ティアドロップ型をした漆黒の宝石(礼装)。
かつて犠牲者が味わった苦痛を攻撃や阻害に用いるもの。
デメリット:
1つの行動につき1つの宝石そのものを使い潰さなければならない。>>268
どうぞ~!
え、気になる気になりまするよしよしいきますかー
「うーん……」
古くさびれた木造の、名前の無い教室でルナ・アードゥルは思いふけり、そして低く唸っていた。
端的に整っていると言える容姿と人目を引く銀の髪と紅い目は、さして似合ってもいない腕組みのポーズすらもどこか愛嬌のあるものに仕立て上げていた。
「んんー……」
が、いくら愛嬌があっても理由もわからずに五分も十分も二十分も唸られつづけられると気にせざるを得なくなる。
そもそも普段からして元気はつらつ。思いついたら即行動な彼女がこんなにも長く唸る、あるいは悩むのは少々珍しい。
なので、
「……ルナちゃん? どうかしたの?」
「おー、ヨモちゃん」
同じ教室に通うヨモ・ヘルメは直接聞くことにした。もちろん友達として。>>271
「なにか悩んでる?」
「ん? あー、これべつに悩んでるとかじゃないから。大丈夫大丈夫」
「……(ジトー……)」
「よ、ヨモちゃん……?」
「……ルナちゃんの『大丈夫』は信じたらあぶないって最近わかってきた」
「え、えー、本当に大丈夫だってば。べつに隠すことでもないから」
「じゃあなに考えてたの?」
「私さ、この前ちょっと死霊病棟に行ってきたじゃない?」
「……うん」
死霊病棟とはフランスに居を構える死霊魔術の大家ガブリエール家の、異名のようなものだ。
ルナは先日その死霊病棟にうわさひとつで飛んでいき、なんやかんやあって封印指定の残骸とやりあいながらもなんとか無事に生還した。
生還したはいいものの封印指定とバッチバチにやりあったものだから魔術協会の取り調べを受けたり、いつのまにか件の死霊病棟から送りこまれてきたセダム・ガブリエールなる青年とルナは仲良くなっていたものだから、ヨモは少々気を揉んでいたのだった。
「その時にメレクとちょっとね」
「メレクくん?」
しかしルナが口にしたのは封印指定という単語でもセダムという新しい友人の名でもなく、メレク・アルマソフィアという同行者についてだった。>>272
「うんメレクの……あー、えっと」
さて、この瞬間にルナが話そうとしたのは『メレク・アルマソフィアを対象にした吸血行為』についてのものである。
その行為における感想を語ろうとしていたが……ルナが吸血行為をする、言わば吸血鬼であることは基本的にはナイショの話なので言葉に詰まった。それでも大丈夫と言ってしまった手前……
「メレクの……あー、うー、ん~」
「???」
「あっ、そうだ、メレクを食べたの! そしたらすごくおいしくて!」
(ざわ…)
よく通るルナの発言に教室がにわかにざわつく。
言葉を選んででも伝えようとした結果、ルナは我知らず自爆したのだった。本当にそれで選んだつもりだったのか?
おお見たまえよ。先輩たるクラッフくんは驚愕にメガネの奥の両眼を見開いてしまっているではないか。
「た、食べたって、えっと……? え? え?」
「ヨモちゃんならわかるよね? ほらコレ」>>273
ルナが、にー、と口を開いて八重歯を指で示せばヨモはそれで理解したらしい。
理解できていないのは教室にいる他の面々。ネズミ姿の先輩もなんだなんだと聞き耳を立てている。
「えと、おいしかったんだ?」
「うん! すっごく! 味はもちろんだけど熱が心地よくてね!」
「そ、そうなんだ…」
「もう夢中になっちゃって! メレクが止めてくれなかったらどこまでいってたか!!」
「わ、私にはちょっとわかんないなぁ…」
楽しげに話すルナも戸惑い気味に聞くヨモもまだ気づかない。まわりからの視線が動揺で満ち始めていることに。一部から納得の目を向けられていることに。
そんな空気に気づいて指摘できる当事者のメレクは今ここにはいない……ああなんたることでしょう。
「あれ? メレクくんが、その、お、おいしいのはわかったけど、それでなにか思い悩むことはないよね?」
「あ、それはね、メレクがおいしいから思いついたことがあって」
「? なに?」
「メレク以外の人はおいしいのかなって」>>275
「……言わなきゃわからない?」
「わか、る、けど……」
「じゃあ、ね? おねがい?」
「わ、わかった……」
そうしてヨモはものの数秒で陥落した。時計塔の日常においてルナの真剣な顔とキラキラ笑顔は拒否できないのがヨモ・ヘルメという少女である。
合意を確認したルナは水を得た魚のように笑顔を咲かせて立ち上がる。
「やたっ! じゃあ行こう! ここじゃダメだから人のいないところに!」
「わっ、わっ、待ってルナちゃん……!」
(……………………)
そしてルナはヨモの手を引いて教室の外へ消えていった。そんな二人を面白がってアンゼリカ・K・シェリンガムがこっそり尾けていったがそれはまた別の話で。
誤解と沈黙に満ち満ちた教室の空気を変えてくれる者はどこにもいなかった……
後日。一部始終を見届けた教室のスパイであるクラッフ・フロースは衝撃と動揺のあまり『後輩たちが爛れている』という旨の報告書を提出してしまった。
もちろん怒られた。ちなみにこれは二人の簡単なプロフィール
リリカ・ローサ
魔術師上がりの死徒。千年以上の月日を生きたⅦ階梯に相当する人類の怨敵。彼女が登場する世界線は一応fakeのように「どっちもアリ」の世界として考えられている。
幼い頃から魔術師としての在り方、命題とは別に泳ぐことが好きであったので死徒になった後もその生き方を追求するために血液の中を泳ぐという猟奇的かつ刺激的なライフスタイルを確立した。物質の流体化の魔術はその前から習得していたもの。
死徒らしく享楽的で刹那を愛する長命の者。好きなものは絶対に叶わないもの、敵わないものに対して果敢に挑み続ける人。リリカはそれに称賛を送り、それ故に己が人生の結論を以って相手をする。
Ⅶ階梯の死徒としての基本スペックに加え、卓越した魔術師としての技能、そして原理として「海の花園」を持つ。黒薔薇と黒百合の咲き誇るそれは、人を惑わせる妖花のもの。水上に咲く麗しの刃。
クニツジ・ウキ
國辻憂岐。元は一般人であった男ではあったが、神秘に触れ合う奇特な機会が訪れたこと、本人の精神性が常人のそれからは逸脱していたこと、そして何よりも運命力があったことによりこちら側の世界へと踏み込んだ常人。中華の人外を取り込むとある退魔の技術と、イギリスの超能力者を生きたまま部品とするとある魔術を複合した末に彼には二つの分身が寄り添うことになった。
冷静沈着に敵対した相手を追い詰めて食べる腹ペコモンスター。脳のリソースを割かれているので常にポヤポヤスヤスヤとした感覚でいるが表情筋が硬くて顔つきは割としっかりしているように見える。本人は混血でも超能力者でもないため直接的な人喰いも格闘戦も個人の趣味。
混血の異能は相手が白い花の幻覚と香りを嗅ぐことで成立する惜花(おしばな)と指を弾くことで成立するサイコキネシス。前者は絡め手として扱うときに便利で、後者は真正面からの火力で押す時に便利となっている。現在、リガヤプロ(タララーワの娘=バイディワの母親)を作成中。
あと、タララーワをWIKIに登録してきましたー。>>282
いなくてよかったような悪かったような…
少なくともクラッフくんが怒られる事態は避けられたでしょう私は魔女のキキ
こっちは>>254の続き「一手先読みする程度じゃ遅い。あなたの肉体スペックなら三手先まで読まないと私に攻撃は当てられない」
「……っ!」
「至近距離で不意打ち気味に狙撃銃を撃ち込むのは良い考え。でも慣れないからかちょっとだけ遅いかな」
「まだ、だ……!」
「私は空中も地中も泳げることを忘れないで。立体的な視点を持たないとあっさりと吸われてしまうわ」
空気も、そして屋敷の壁も床も、その全てが大きな水槽の壁になったみたいだ。広大なアクアリウムの中にぽつんと取り残されているのは自分。敵は、リリカは水を得た魚のように悠々と沈み、泳ぎ、こちらの格闘戦を避けてくる。それは単にあちらの動きが速く、こちらの殴打や蹴撃技で捉えられないという意味でもあり、それとは別にあちらの察知するスピードが速すぎて行動に移す前に対応されるという意味でもある。
加えてリリカの戦闘スタイルも厄介だ。周囲に展開した水を用いた攻撃。その流体操作のセンスは魔術師の中でもかなりのもの。純粋な水を操作しているということから、水銀などに比べると大きな破壊力や防御力はない。だが、それを、圧倒的な水の質量により対応している。
獅音の打撃に対して同程度の衝撃で水をぶつけて相殺し、時に獅音の四肢の一部を水で包み込んで動きを鈍くする。水で作り出した刃を時折カウンターのように放ってくるが、本命はそれではなくその攻撃を避けた後に仕組んである床や壁の流体化のトラップ。戦闘の舞台になっている屋敷自体が特殊な性質と化しているために既存の戦闘方法が通用しづらい部分が多少なりとも存在するのだ。
「……来い、影」
「あら、起きちゃった。次はポジション交代かしら」刹那、リリカの油断の空気を読んで放たれるカナリアの剣戟、そして影に潜ませていた使い魔たちの爪と牙の波状攻撃。先ほどまで倒れ伏していたカナリアが急いで傷を治して参入してきたのだ。そしてそのまま、獅音には狙撃銃で援護する立場に回ってもらう。多方向からの常に止まない攻撃の隙間を縫って撃ち込まれる高火力の狙撃で、とにかく一つでも当たればいい、起点となる部分を生み出せば良い、そのような考えで動いている。消極的ではあるが消耗を抑え、万が一の幸運を拾えるかもしれない方法だ。カナリアの傷が完全に癒えるまでを耐久する方法としても相応しい。
「色んな方向からの攻撃に対応していけば、一つの方向に対して割く水のリソースは少なくなる。そして使える水が手薄くなった所を撃ち抜く。うん、いい考え。でもそれは私がこれ以上の手数を増やせないことが前提の戦い方」
「……ハッ、サーディンランかよ」
リリカの足元に出来た血溜まりから発生する、大量の魚を象った使い魔。それはまるで大海にて身を守るために形成され進み行く魚群のよう。圧倒的な数、ただそれだけで脅威になるということをこちらに思い知らせるかのように、カナリアの方に向けて突撃してくる。それには影の使い魔も、獅音の狙撃銃も、カナリアの剣捌きも何もかもが無意味。吹き飛ばされ、地面に叩き伏せられ、そのまま意識を失っている。
大量の使い魔の生成に加え、ここまで繊細な使い魔の制御。おそらく大量かつ緻密な魔力コントロールが必要なそれを、苦もなくやってのけている。そしてそれをこなしてなお、リリカの魔力に底は見えない。死徒と人の差、ということだろう。魔力量が常軌を逸している。
「あの子は地面に倒れ伏して気絶しているね。さっきの原理の攻撃の時にとっさに黒魔術であなたの肩代わりをしたから当たり前ではあるけれど。でも、このままだと失血死かな」
「……問題ない。その前にお前を浄化し任務を遂行する」
「そう。でも残念だけど、私は人類に対して油断や慢心をする余裕はないの。絶対に勝てない、そんなはずの戦いを人類が覆す姿は人類史にいくつも記録されているのだから」リリカは知っている。人類の底力を。この星の霊長に輝いた生命の輝きを。それは彼女がかつてその人類の一人として溢れんばかりの定命の輝きを持っていたからでもあるし、死徒という存在に成った後に人類という天敵の脅威性に気づいたからでもある。
個々の種として優れているはずの死徒が今、希少種として年々数を減らしているのは人類の死徒という敵に対する執念が、技術や意志の積み重ねとなって大きな力となってきているからだ。それを彼女は知っている。だから彼女は油断しない。たとえ一人一人の生命の規模(スケール)が遥かに違ったとして、小さな虫の一噛みですら警戒しないほどのプライドは持ち合わせてなどいないのだ。
「悲しいものね。死徒としての高みに至れる可能性のある人は、その高い適性ゆえにこちら側に堕ちた時にその高性能さで人類を軽んじてしまう。落ち着いて、ゆっくりと、全能感に溺れず対策をすればさらに強くなれるのに。一握りの絶対的強者を除いて、私たちは強さに溺れて狩られていく。それを私たちは学べていない。もう、千七百年以上も経つというのに」
「それはお前もだろう。俺をいつでも殺.せる状況でそうしない」
「ええ、そうよ。生まれついてのサガなのでしょうね。あなたの言葉のおかげで自分を見つめなおせた。だから、早く終わらせないと」
呪いが、魔力が収束する。再びリリカが原理を発動させた。その内容が、今度はハッキリと、獅音にも理解できた。……理解できたが、対応は出来なかった。
周囲に咲き乱れる黒薔薇と黒百合。そこから濃厚な呪い(魔力)が垂れ流されているのがわかる。その呪いが形を成して、刃となって身体中を切り刻んでくる。ただ、それを回避できない。それは単純なスピードの速さだけではなく、回避できるように身体が動かないから。思考が回っていないから。
その原因も瞬時にわかった。自分を囲むように形成された水のドームから、思考力を奪うように錯乱させる呪詛が放たれている。じわりとした嫌な感覚が、手足の先から、頭の上から、身体を浸して犯してくる。なんて邪悪ないアクアリウムだろう。この上なく殺意と美しさに溢れている。結局、身体が動かせずに切り傷だらけのまま水で四肢を拘束されたのだから。「捕まえた。詰みかな」
「……所詮は傲慢な吸血鬼だ。今すぐ殺さなかったこと。それを後悔するだろうな」
「素敵。私の夜属になった後も同じ口を叩けることを願うわ」
首筋を鋭い歯で咬まれる。咬まれて、ゆっくりと血が吸われていく。手足の先からゆっくりと冷えと痺れが伝わってきて、頭の中はふんわりとした酩酊感、心地良さが襲ってくる。これはいけないものだ。人類に対する毒、魂を汚染するものだ。リリカの言う通り、このまま丁寧に吸い殺された後、血を送られてしまったのならば、自分は魂の一片も残さず死徒の呪いに冒され、吸血鬼に成り果ててしまうだろう。
「……だが、俺は人間だ。人間のままであることが俺が歩むべき道なんだ」
「……へぇ、これって」
爆発。聖別済みの手榴弾を用いた自爆だ。死徒という吸血鬼にはもちろんのこと、常人でさえ至近距離で爆発したのなら大きなダメージを負うだろう。それを戸惑いなく行ったのは、自身が纏う代行者としての衣服が爆破物に対する耐性を帯びていたことと、そして単に、人間としての意地に過ぎない。しかしその意地が、ここで人として死ぬことを防いでみせた。多少傷は負ったが、死ぬよりもマシだ。
「……この程度ならば私の溜め込んだ血液で復元呪詛は滞りなく作用するけど。それはそれとして……やっぱり人の意志は恐ろしいね。死なない保証はなかったでしょう」
「……心の弱さに打ち勝つこと。それが、強くなるということだからだ」
「そう、素敵ね。なら……そうだ、私もあなたを吸うのはやめましょう。真剣に、あなたを人として葬って………あら」「惜花」
「ルナさん」
「…!」
灯明魔術の応用。リムが身につけているピアスを触媒として、リムの目の前に光を発生させること。本当に魔術的効果も何もない、ただの軽い光を作り上げるだけ。そこに複雑な詠唱はいらない。魔術式の構築もいらない。ただ光を発生させるだけ。そのただそれだけの効果が、目の前の異能には何よりも効く。見ないこと、嗅ぎ取らないこと、それが何より大事だから。
「……鼻もわざと潰したな」
「持っててよかった催涙スプレーってことですよ」
「………吹っ飛べ」
今、リムが五感で感じ取っているもの。それはウキの異能と超能力の発生の前兆。退魔の血を無理やりに呼び起こすことで混血のそれを感じ取ることに並行して、正常な五感を捧げることで手に入れた知覚せざるものを知覚する五感、それと超能力の脳のチャンネルを無理やり合わせている。身体や脳の中で行われている複雑な演算処理が、少しずつ身体を疲弊させていく。
それでも止まらない。発生の前兆を感じ取ればそれらを呪術で妨害するし、格闘戦に移るのであれば相手の手足の動きを先読みして潰す。フィジカルで言えば相手の方が上回っているが、それを先読みの異能で潰していく。後手に回っては押し負ける。先に先に進んで潰すべきだ。「わたしの方が、速い!」
「……超能力とはどういうものか。混血とはどういうものか。そして、人の殺し方とはどういうものか。戦い方を相当に心得てるらしい」
「それぐらいできなきゃ、今も未練たらしく退魔なんてできるわけないでしょう……!」
「……それも、そうだな。ところで君は超能力がどういうものか知っているか」
超能力。アラヤの理に属する異能。生まれつき肉体に、脳に備わった特殊な能力であり、後天的な修練や学習では習得は不可能とされるもの。当人にとっては息を吸うかの如く引き起こす超常現象であり、しかしながらその性能自体は大抵、自然現象や魔術、ましてや混血の異能に勝るものではない。ない、はずである。
「ごく稀に。人為的な手が加わることで、本来の微弱な特殊能力のそれが肥大化するらしい。超能力と魔術の中間となる、そのような魔眼の例があったようだ。俺の側にいる彼もその一人でな。この形になったことで大きな変化があったらしい」
「……バカみたい」
「そうだな。俺もそう思う。けれど文句は俺ではなく、彼でもなく、彼をこうした魔術師に行ってくれ。地獄で」
右手の指を鳴らすことで起きた広範囲の衝撃波。とても大きなそれがリムの身体を仰け反らせる。そして流れるようにリムの腹部に向けて左手の指を弾く。小さく、圧縮されたその衝撃が、真っ直ぐに腹部を貫いてそのまま吹き飛ばす。呆れたような苦笑いのまま、壁に叩きつけられ失神する。本来の超能力者にはあり得ない対面性能だ。「……君は、人でないようで人である君は、どんな風に戦うんだ?あの熱そうな攻撃以外で君に直接的な攻撃性のある魔術はされていないけれど」
「攻撃手段が皆無なんです、って言ったら見逃してくれる?」
「俺たちがここに来たのは単純な話。君たちがあの妖精と旅をするに相応しい実力と精神性があるかのチェックだ。だから、うん」
「つまり?」
「何でもいいからどうにかしないと……がおー。食べちゃうぞー。……ってこと」
「だよね!」
強化の魔術を施して、懸命に走り抜ける。話を聞くに彼は魔術世界においての殺し屋としてかなりの腕前を誇るらしい。真正面から戦っては馬鹿を見る。いや、見る前に死ぬ。そもそも魔術師というのは戦闘職ではないし、自分という魔術師が戦闘に向いている存在かというとそうではないことはわかっている。だから、逃げて時間を稼ぐことが最適解だ。
……けれど、このまま逃げ続けることも良くないのは事実。まずウキに追いつかれてしまうだろうし、そうでなくとも彼にはサイコキネシスといった遠距離の攻撃方法がある。それに何より、リムの状態だ。腹部から血を流し続けているのは身体的に危険だ。本人の今までの経緯を聞くと、魔術師の魔術刻印のような自動治癒の術式を持ち合わせているとも思えない。簡単な治癒魔術ならば習うし基本だ。それだけでもいいから彼女に施すべきだろう。
「月にえがいて 星をむすんで 見上げる夜空へ ひとっとび」
「む?……おお、人間ロケット。恐怖心はないのか?」
「バリバリありまーす!!!」未完成の飛行魔術。本当は、本当は、こんなことをしたくなかった。だって未完成だし、とんでもなく危険だし、飛行と呼ぶには高度も速度も足りないし、あと危険だし、すごく危険だし。けれど手っ取り早くこの状況から逃れるためには、これしかないと思った。星空が見える今しかない。そう思ったからだ。
「……っ、わわっ、と」
今回だけで言えば、幸運に助けられたようだ。それも特上の幸運に。ふわふわもこもこの草原で、しかもリムに近い場所に背中から着地した。あと数メートルズレていたら思いっきり壁に激突していたので、間一髪というところだろう。まさに奇跡。ただ逃れるための止むを得ない手段だと思っていたそれが、最良に近い方向性で働いた。これが運命力だろうか。
「……そうじゃない。今、はやく」
「いいや。そこで君はお終いだ。辺り一面を見渡してご覧」
白、白、白。腹が立つぐらい他の色が混ざらない純白。あまりにも白くて、花弁の色であるはずなのに生物味が皆無だ。まるで白紙か何かで造られたかのよう。なのに何故か、香りはする。甘ったるすぎない、爽やかな、けれど確かに花のそれだとわかる香りが鼻腔をくすぐる。確かに綺麗だが、不気味な白い花々が、座り込んだ自分を囲むように、いや、自分の周囲全てを文字通り覆い尽くすように咲き誇っている。地面にも、空中にも。
「……追いつけるわけないと思ってたのに」
「サイコキネシスを推進力にして走ってきた。あと、うん。別に俺は惜花を俺の周りにしか咲かせられないとは言ってないよ。彼女はそんな難しい子じゃない。俺がちゃんと座標を把握しているところなら、集中すればピンポイントで出せる。今回で言えばそこの代行者の子が寝転んでいた場所をあらかじめマーキングしていたから」
「………食べないの?」
「食べる。食べるんだけど……君に質問したいことができちゃった」
白い花は赤い蕾になることなく、ルナを囲んでいる。いつのまにか隣に来ていたウキは、ルナの目線に合わせるようにしゃがみ込んでしっかりとルナの目を見つめてくる。その瞳の色に表れているのは、本当に単純な興味で……「死ぬかもしれないのに。というか多分、死ぬのに。とっても痛いことだろうに。何で君は少し期待してるの?」
「………えっ、と………」
「そもそも、なんで君はこんなところに来たんだ?真正面からの戦闘経験が殆どないように見えるけど。逃げる機会がなかったにしては、妙に行動的だよね」
「…………馬鹿にしない?」
「しないよ。それぐらい真摯な理由があったんだろう」
………なんてことはない。魔術師ならおそらく誰もが考えることだろう。ただ、そうだ。確かに周りと比べると、自分はそれに対する探究心は些か強いのかもしれない。幾らでも退くチャンスはあったのに、結局ここまで来てしまった。来てしまった上に、今にも自分を殺そうとするそれに対して興味が惹かれているのだから。一度も触れたことのない、それに。
「私が、魔術や神秘が大好きだから。そのためだけに、ここまで頑張れるくらい、目の前に咲くこの花がどうなっているのか気になるくらい」
「………そう。人生の一秒一瞬を色褪せないように生きているんだね。熱心に、何もかもを己の人生に刻みつけて。己の人生を世界に刻みつけて」
「………満足した?」
「うん。だからもう食べちゃ………あれ?」マナの流れに、大きな変動がある。地脈からも、大気からも、とある一点に集められていく。それは屋敷の中のとある一室。倒れたマヴが寝かされているところで、そう簡単には開けられないように封印がされているはずなのに。
ルナも、獅音も、意識を失っているはずのカナリアとリムも、そこから響くような“声”を聞いた。
『私と共に歩む仲間である以上、あなた達に敗北は許しません。……カナリア、リム。特にあなた達よ。他の二人を巻き込んだという自覚があるなら、その責任を取りなさい。私も力を分けてあげます。さあ、あなた達がするべきことは、何?』
……その声に同調するかのように、倒れている二人に変化があった。二人とも立ち上がり、容姿が変化していくのだ。
カナリアは黒い烏の翼と山羊の角、そして竜のような尻尾が生えて。リムは存在するはずの体が透けるように、そして周囲のもの全てと黄色い糸が繋がって。「驚いた。ウルフィルトの最高傑作はここまでの力を放つことができたのね。このレベルの完成度だとは思えなかったわ」
「姫君は機嫌が悪いらしい。オレも、オレの忠愛の重さを軽んじられたようで不快だ。オレが主君から貰ったこの魔術で、この愛で!お前に勝つ。そう決めた。決まっている。そういうことだよ」
「………愛、ね。面白いこと言うんだ」
「………食いごたえがなくなってそうだけどまあ関係ない。君がなんだろうが俺の胃の中には大体なんでも入る。霊体だろうがなんだろうが、ね。むしろ食べやすくなった」
「やってみろバーカ。あなたの頭の中通り越して魂すっ飛ばしてやりますよ。今、相当酔っちゃってる自覚あるんでね」
「難儀だな。生き方が。まあ関係なく食べちゃうんだが」
終
次回、なんかテンションのおかしい二人の反撃回
なお形態変化は自前です今のうちにそっと貼る相手方のスペック紹介
「海の花園」
リリカの原理。足が浸るぐらいに周囲を水浸しにして、そこから黒薔薇と黒百合を大量に咲かせる。花からは呪いが刃の形となって相手を襲う他、並行して相手の周りに極薄の水のドームを形成、そこから内側の相手に向けて思考を錯乱させる呪いを投射する
「惜花」
指定した場所に物理的に実在しないが生き物には認識できる白い花を咲かせる。その白い花を視認すること、そして香りを嗅ぐことで条件が成立し、花弁が閉じて赤い蕾になることで肉体の内部を削り取る。赤い蕾はウキだけが触れるし削り取った血肉としてのリソースになる。混血の異能らしい物理法則の埒外の超常的な力
「サイコキネシス」
歪曲の魔眼が対象を視認することで引き起こすタイプのサイコキネシスならば、こちらは指を大気に触れさせることで起こすタイプのサイコキネシス。原理としては空気に衝撃を起こしそれで物や人を動かす、というもの。便宜上サイコキネシスとは言うが、実情は衝撃波で敵を貫いたり吹き飛ばしたりする念力もどきの超能力
>>298
神秘大好きなのはね、描写したいのですよね
「がおー、食べられちゃうぞーって宣言したのにその花に対して興味津々でペタペタ触るのには驚いた」とはウキのコメント鉄は熱いうちに打て、人は物理的に暇なときに書け
ssは誰もいない時に投げたい。行きますぜ狼の戦士。ウルフヘドナー。ウールヴヘジン。
それは、ベルセルクにも並び得るという大神の戦士。
大神オーディンの加護を有する無双の狂戦士ベルセルクは、熊の皮を纏ったという。ウルフヘドナー(或いはウールヴヘジン)はベルセルクと同様の強靭な戦士であり、狼の毛皮を身につけ、獣の如き勇猛によって敵対者を屠る戦士であったとされる。
神代におけるウルフヘドナーとは、或いは、人ならざる超常の人狼――狼頭の異形戦士を指した言葉だったかもしれないが、現代の魔術世界でも諸説あり定かではない。
鬼種とカテゴリされる幻想種の中でも、元から鬼と呼ばれ根本的に人間とは違う者達と、人が変異して鬼となった者達の二種類があるように。吸血鬼とカテゴリされる幻想種の中でも、リュカオン王に端を発するラミュロス種があるように。
吸血鬼より遥かに古い起源を持つ、西欧の“森の人”。
“人狼(ウェアウルフ)”は多くの場合、人間が狼(あるいは狼の如き精神性)に変身するものだと考えられてきた。
ヒトのカタチをした幻想種は、ヒトが変じた者である時もある。
◇◇◇◇>>307
「ふっ……」
黒、黒、黒。
覗き込んだら離さない夜闇よりも深い黒、具体的には“ブラックホールに最も似ている” ベンタブラックなどの黒色塗料よりも光が反射しない、黒色のコートが風も無いのに翻っている。ちょうどそこだけ、空間が切り取られたかのような異物感。
「俺の名前はクリストファー・H・クライ。クリストファー・ハンティング・クライ!
人呼んで、この世で最も狩りが得意な男だ!!」
「(この完全な相手側のテリトリーでこの堂々たる名乗りッ!)」
「ちょい待てぃ、私たちは別に喧嘩を売りに行くわけじゃないんだ」
「「それは知っている」」
「マジか」
クリストファー・クライとラーズ・リュングベリという魔術使いの傭兵に護衛の依頼をしたのは、フリーヤ・シグルザルドッティル・ヴィゾールヴ……ではなく。ヴィゾールヴ家の本家当主たるイングヴァルであった。フリーヤは彼の名代として、この“暗き森(ミュルクヴィズ)”のひとつ、フュン島の森の奥地に足を踏み入れている。
フュン島の森はその多くが、ツーリングやハイキングといったレジャーにも使われているのだが、それでも、ヒトが入らないような辺鄙な場所に彼らは隠れ住んでいる。
人狼。
吸血鬼より遥かに古い起源を持つ、西欧の“森の人”が。>>308
「“ウルフスルーン(狼のルーン)”氏族?
ヘイムダル神の九人の巨人の母のひとりが、確かそういう名前だったな」
「その通りだラーズ君。だが、正しくはウルフスルーン・ヴィゾールヴだ」
「ヴィゾールヴはキミの姓じゃないか」
「ウルフスルーン氏族はこのフュン島に生息している人狼の一族で、近頃はその個体数を大きく減らしているのだが、ヴィゾールヴ家の庇護と支援を受けている。代わりにこっちは使い魔というか、実働隊としてその力を借りているんだ」
「人間社会に近いということは、そのウルフスルーンは混血か?」
「純血種だが……混血には近い」
「どういう意味だ」
「混血の反転という現象は、おおよそ理性を司る“大我(ソア)”を、本能的な“小我(モア)”が吞み込むことで表面化する訳なのだが…」
「ふっ、分かったぞラーズ!」
「何っ」
「人狼とは真性の幻想種たる金狼などの例外を除き、基本的に『人に変身する狼』あるいは『狼に変身する人』だ。理性と本能、どちらが主体にせよ、その変身は精神性のスイッチとしても作用する訳だな!」
「むっ、喋る内容がだいたい言われてしまった」
「俺の“餓狼憑き(ベルセルク)”とだいたいは同じか。呪いの有無という違いはあるが」
「で、だ。
このウルフスルーンの長老は人狼の集団の例に違わぬ、幻獣の域、銀狼なんだけども。
最近になって、産まれたらしい」
「何!?」「嫌な予感がするのは気のせいか」>>310
「フノス、なんか集落に向かって一直線な三人がいるんだけど」
「そういうのは問答無用で死、ってゲルセミも習ったでしょ。そうしよう」
「え、どうしよう。あれって十中八九、魔術師でしょ? 礼装ってどうやって売ればいいのかなあ」
「そんなのどうだっていいって。肉食べて、骨砕いて、余ったのは燃料!」
まるでトロールが如き、太い幹がくねり、苔が生えた樹々の森。
その枝の上に構えた銀髪、黄金瞳の少女が二人。
その生来の特徴に反して、衣服はいかにも現代的めいた乱雑な柄シャツにジーンズという組み合わせが、逆に異常性さえ感じさせる。
狼のカタチをした人なのか、人のカタチをした狼なのかでは天と地ほどの差がある。
喰らうための凶暴さ、喰らうための狡猾さ。
それを今から知ることになる。あばばばば。魔眼蒐集列車編でちょっと触れようと思ってた約500年前のユージーンの先祖の設定を書き出してたらびっくりするくらい人でなしで草も生えない。ワンチャンスレにお出しすると気分を害される可能性があるレベル。
でもこの人功績もデカ過ぎるからバックヤード家の歴史を語ると避けて通れないのよ…。
>>261
>>297
ルナぢゃん”ッ。君はまたなんて危険なことを!でもそんな中に飛び込んじゃうからこそルナちゃんなんだよなぁ…。
最近進撃の巨人のアニメ見返してるからかこの生き急ぎ野郎(ルナちゃん女の子だけど)ってなりました。
>>263
増えてるー!?悪ノリしたマレオのイタズラでしょう?そうだと言ってよ!
>>277
もう少しこう、言い方というものがだね…。でもこういうアンジャッシュ的なネタは大好きです。これが…既成事実…?バルベルデ家当主夫妻のドロい家族構成
当主:ロレンシオ
本妻:カンデラリア
夫妻共有の愛人:タララーワ
長女:プリシラ
長女の夫:ロドリゴ
次女:リガヤプロ(愛人の子)
次女の夫:ベルムード
三女:ビオランテ
孫:ミラグロス(長女の娘)とバイディワ(次女の娘)
この表記だけでも感知できるロレンシオとカンデラリアのク/ソボケ感。>>328
やったねルナ!最高のサポーターだよ!
ルナ「借金ばっかりどんどん増えてるのにー!」>>333
でも…でも…っ!メレ坊がルナと2人(+観察者1人)で人に言えないことをしていたのは事実なんです…!>>334
ここにきてやっと健全に見てくれる人が1人…!
いえまぁほんの表面的な印象の話ですからそこまで重視することでもないんですがちなみにここまでのお話で書きたかったポイントの一つである「がおー!食べちゃうぞー!されるルナちゃん」と「血を吸われる獅音くん」が書けたので満足です
>>338
食べちゃうぞーされるルナは私も書きたかったというかとっておきのネタがあったので若干先を越された感あってちょっとだけ悔しかったり
ああそれ先にやりやかった…!といういつものあれです>>342
クッチーは「黙ってろ」って言われたら静かにしてるタイプな気は……うーん微妙そうだな……。
ぜってぇどっかで茶化すわ。奇跡的にずっと無口でいたとしても、相手がユージーンくんだから「うわっ、コイツ内面滅茶苦茶うるせぇ!」となるのは確定みたいなモンだろうし。
京介くんと繋がりあるから、雇いやすさはあると思いますが。
>普段は相槌を打つくらいな寡黙な仕事人、都合のいい人
あったよ!奉仕型キョンシー!!(迅龍)
セールスポイント
・強い。(中華数千年の歴史)
・黙ってろと言われればずっと静か(ホウレンソウはちゃんとする)
・内面も虚無みたいなものなので、ユージーンくん視点(魔眼)でも寡黙。
・人件費が安い
・(作劇的な便利さ)肉体を弄ってました扱いすればストーリーで欲しい魔術使えます!
ってな訳で、ウチの概念系ショタを護衛役にどうすか?ちょっと遅くなっちゃいましたが
新入生もとい『船』の1周年キャラを出していいでしょうか>>346
よくてよよーしいきます
指先がガクガクしている「さぁいくぜみんな! 出航だぁー!!!」
【氏名】ロック
【性別】男性
【年齢】0
【出身】秘海集積船
【身長・体重】148cm・41kg
【肌色】白色【髪色】ターコイズブルー【瞳色】ターコイズブルー
【外見・容姿】つねに海パン姿の背中に穴があいた少年。青い短髪にはお気に入りの水泳ゴーグルがきらめいている。
【属性】中立・善
【好きなもの】海、船員のみんな、ド派手でカッコいいやつ!
【嫌いなもの】沈むこと(物理的にも気持ち的にも)、仲間を傷つけるやつ
【魔術系統】海
【魔術属性】水・風
【魔術特性】海
【魔術回路】質:EX-(常時変動。計測不可) 量:C+++ 編成:変質
【所属】秘海集積船・混合科一年
【階位・称号・二つ名】『船長(自称)』『キャプテン・ロック(自称)』『識別名:ハーヴグーヴァ』>>349
魔術・特殊技能・特性など
『開かずの海の鍵穴』
秘海集積船の基盤たる亜種固有結界。その断片。
大元である『船長室/開かずの海』の窓のようなものであり、結界に干渉はできても制御はできない。
結界は背中に空いた『穴』と直接繋がっている物理的に干渉可能な窓口。理論上はこの『穴』から結界内部の神秘を取りだせるはずだが、生まれたての現時点では結界内の海水しか取りだせない。
ちなみに海水は神秘を含んだもので摂取すれば魔力が得られる。そのまま飲んだりすると高確率でお腹をこわすので要注意。
『穴』
ロックの背中に空いた穴。クジラの噴気孔を想像してもらえるとわかりやすい。
とはいえ穴から出るのは呼気などではなく『開かずの海』から取りだされる神秘そのものである。生まれたてであるため海水しか取りだせないが、今後の成長次第で取りだせる神秘は増えていくと思われる。
ロックは海水しか取りだせないことを活かして、放水の勢いを利用したアクロバティックなアクションを可能とした。
飛ぶような水上走行、爆発じみたロケットジャンプ、背中を向けてから全力で踏ん張ってハイドロポンプ、といろいろできる。穴はある程度の開閉で「弱」と「強」くらいには出力を切り替えられる。>>350
『識別名:ハーヴグーヴァ』
この肉体の構成要素は人間のそれではなく北の海の幻想種クラーケンに起因する。
二隻目の『船』を新造する……船長のクローンを主軸にしたその計画で、いくつも造られた失敗作の残骸の内のひとつを使って再構成されたものがロックの肉体である。
そのため遺伝子情報は船長のものと同一。『開かずの海の鍵穴』を不自由なく機能させられる最大の理由。
"ハーヴグーヴァ"という識別名は、その残骸がクジラに似通った大きさと姿形をしていたことから付けられた。持ちうる機能もクジラのそれに近い。
まず当然に泳ぎが上手い。ものすごく上手い。潜水能力も高く一時間強は潜っていられる。前述した『穴』も肉体に由来するところが大きい。
次いで挙げられる特徴は肉体の強靭さ。生まれながらに巨大な幻想種の神秘を宿すその肉体は小柄な見かけにまるで見合わないパワーとタフネスを発揮する。その分必要とされるエネルギーも巨大で、大食い。二桁人前は平気で食べつくす。>>351
来歴
秘海集積船にある学園の混合科に所属するぴかぴかの一年生。その経歴から密かに監視されている。
彼は海から現れた。
航海中だった『船』のはるか後方から水飛沫を上げて現れた彼は、あろうことか生まれたままの姿で海面上を爆走しながら『船』に急接近したのだ。
その存在をいち早く察知した灯台室の船員は情報を端的に通信士に伝えた。「船の後方から全裸の少年が海を走って近づいてくる」と。
いまいち信じきれないその情報も通信士によって瞬く間に『船』全体に広がり、件の全裸の少年とやらを見てやろうと暇していた船員たちは船尾の区間にどやどやと集まった。
船員たちが見守る中で彼はぐんぐんと『船』に近づき、近づき、近づき、そして飛び上がった。
「おれは───キャプテン! キャプテン・ロックだ! 船長であるおれが! みんなを守るぜ!」
その宣言と共に。船長を名乗った全裸の少年は乗船を果たしたのだった。
そしてその場で捕縛された。
ワイルドハント騎士団の迅速な対応をもって連行されていった彼は強制的に調査と健康診断と尋問を数日間ぶっ通しで受けることとなる。
調査の結果このロックという少年は船長と非常に近しい遺伝子情報を持っていることが判明。遺伝子情報のみならず、幻想種クラーケンの遺骸を基とする肉体反応に『開かずの海』と繋がっていることまで確認された。
『船』は以上の情報をもって彼を船長のクローンのような存在と仮定。特例の保護観察対象として乗船を認めた。
本人の希望もあって現在は学園の一生徒として扱われている。>>352
……ある事故、いや事件があった。
のちに『船長室侵入事件』と呼ばれる事件はたったひとりの侵入者によって船長室である亜種固有結界にひとつの穴が穿たれる。
結界破りの神秘が込められたその穴は塞ぐこと叶わず……ならば一度切り離した上で塞ぎなおそうと考えたのは誰だったろうか。
目論見通りに亜種固有結界の修復は完了し、切り離された穴も廃棄処分して事件の後始末はすべて済んだ…………はずだった。
廃棄予定の穴を個人的に手を加えた人物がいたのだ。
彼女は持ち出した穴と別プランの残骸を材料にして一個の生命体として新生させた。その生命体こそ、ロックと名付けられた少年である。
「おはようロック。突然で申し訳ないのだけれど、これからキミを廃棄する。じゃないと副船長くんがうるさいからね。でもおねーさんはかわいそうなキミを応援してるよ。がんばれ!」
目覚めてすぐ生みだした張本人からそう告げられ、言葉通りにロックは海中へ投げ棄てられた。
混乱と疑問が脳を埋め尽くして、海中の暗さと息苦しさが恐怖心を煽り立てて。生まれたばかりの彼はなにもできないまま、なにもわからず沈んでいく。
なにもわからないから、せめてやりたいことをやろうと思った。
───みんなを守りたい。みんなの一番前に立って、海の彼方を指さして、そして───
みんなって、誰だろうか。少なくともこの暗い海のなかにはいない。このまま沈んでいっても見つからない気がする。なら上にいこう。ここから浮かび上がって、みんなを見つけるのだ。
心のままになんとなく。水飛沫をあげて浮上した彼は視線の先にある『船』を見つけて、確信する。
あそこに、守りたいみんながいるのだと。>>353
人物像
我こそが秘海集積船の船長であると豪語しリーダーシップを取ろうとするガキンチョ。ぴかぴかの人生一年目。
声が大きければ動作も大きい。よく食べてよく動いてよく眠る。成長真っ盛りの子供という印象を持たれがち。根が素直で言われたことはすぐに信じる。ので、とてもだまされやすい。
何事も即断即決。やりたいことをやる性分で物事の指針を決めることに関しては非常に優れている。と言っても具体的にどうやるかは人任せの勢い任せ。要はガキ大将。ガキ大将らしく仲間想いな一面も完備。大人も子供もひっくるめて船員たちは等しく自分の部下であるのだからそりゃあもう大事にする。ちなみに部下扱いを受け入れてくれる船員は今のところ皆無でキャプテンと呼んでくれる人もほぼ皆無。
騒がしさを好み、みんなでバカやるのが大好き。"みんなで"というのがロックにとっての重要ポイントで、なにかをやる時は必ず誰かを巻き込んでから騒ぐ。
ちょっと……かなり燃費の悪い大食いで給食室のメンバーからいろんな意味で顔を覚えられている。ロック視点ではおいしいごはんをいっぱい食べさせてくれるので給食室のメンバーはみんな大好き。
目下の目標は名実共に秘海集積船の船長となること。そのためにまずはなにをやればいいのかさっぱりわからないのでとりあえず身長を伸ばしたい。
0歳児としてはありえないほどに言葉と文字を使いこなし、それなりの情緒と常識を持ち合わせている。その理由はロックの中核が『開かずの海』の断片……言い換えれば船長の内面世界の一部を有しているから。自らが船長であるという自負や使命感もそこに由来している。
あくまで一部でありすべてではない。魔術師としての性やクラーケンと融合した怪物性は受け継いでいない。
喋る時は基本的に短くて簡潔。長ったらしい話は眠くなるしわかんなくなる。
ロックのパーソナリティは肉体も精神のどちらも船長からの借りもので、本当の意味で自分のものだとは言い難い。
今後、彼が獲得していく"ソレ"はあくまで船長に寄ったものなのか、まったく新しいものになるのか、それは『船』で誰と、どう過ごすかで変わってくるだろう。
生まれたての0歳キャプテンは、これからいくらでも成長していける。>>355
「む。『船』育ちのセンパイってやつか……でも! おれが船長なのは変わらないからな!」※黒須 瞳に対して
「あー? 嫌ったりするわけないだろ! おまえも大事な船の仲間なんだからよ! もちろん大好きだぞ!」※トワ・エリュオストに対して
「おまえさ、文字をさらさら~っと書くの早いんだろ? おれにもその、早く書くやつ教えてくれよ。船長は航海日誌も書けなきゃだめっていわれたんだ」※ムジカ・スフィーリスに対して
「なーんすか先生。服きろぉ? 服きても海出したらやぶれるんだって! だからやなんだって!」※ポチ先生に対して
「おまえーーー! おまえ覚えてるぞ! おれを蹴破ったやつだろー!」※ペルカに対して
「でっかい声出してこうぜ! 声がでかけりゃ体もでっかく見られるさ!」※アリシア・エルトに対して
「しってるか? 猫って船にとっての幸運のしるしなんだぜ! おまえがいればおれの航海もしあわせだな!」※シャントリエリに対して
「よう、かみさま! あっそぼーぜーーー!」※マレオに対して
【製作者】黒鹿ファン>>343
>>345
よくよく考えてみたらこのポジションの人ってメタ的に『ユージーンが護衛を雇ってる』っていうだけで特に戦いになったりする予定も無いからモブでもいいかもってなったので護衛キャラの募集は止めておきます。すいません。
>>344
何故か事情を知ってるメレクくん……まさか盗ちょゲフンゲフン。
とりあえず実は先にメレクくんに話を通してて「ルナちゃんが行くって言ったら」という実質的なOKを貰ってたみたいにしようと思います。
>>357
秘海集積船一周年に満を持して登場した(自称)船長!これはビッグネームですわ!
出生や人物像的に秘海集積船を舞台にした物語の主人公に据えられそうな設定ですね。
ところでこの子を作ったっていうおねーさんにちょいと心当たりがあるのですじゃが…。もしかして生活管理局の局長さん?リガヤプロのキャラシ暫定版が完成したんで、投下しますえ。
【氏名】リガヤプロ・バイブラクラック・バルベルデ
【性別】女
【年齢】28歳
【出身】フィリピン(現在はスペインとの二重国籍)
【身長・体重】160cm・60kg
【肌色】白色【髪色】浅葱色【瞳色】青
【スリーサイズ】108/58/96
【外見・容姿】経産婦に見えない美女
【令呪の位置】腹部
【魔術系統】精霊術
【魔術属性】無
【魔術特性】模造と上書きと改修、対神秘補正
【魔術回路】質:A 量:A 編成:異常(バルベルデ家に伝わる魔術的な移植手術を受けた影響で非常に不安定)
【起源】自由>>366
【所属】J.C.バルベルデ(昔は地元の建築設計事務所に勤めていた)
【魔術】
・精霊術
代々伝わる特殊な術式。
祝福と呪詛という相反する2つの術を併せて内包する。
・改造魔術
父方に代々伝わる魔術。
結婚に伴うスペイン移住を機に習い始めた。
【特殊技能・特性】
・精霊血脈
フィリピン固有の幻想種と人間の混血が始祖であるバイブラクラック家は、微弱ながら特殊能力を必ず有して生まれる。
先祖返りは強い力を持っており、刻印の継承や株分けなどで『戦う術』を得る。
リガヤプロは歴代の先祖返りで最も強い力を持つ母からの遺伝により、彼女ほどではないが先祖返りとして生を受けた。
なので刻印も継承したのだが、結婚とスペイン移住を機に摘出してバイブラクラック家に返還している。>>368
・光岡・ドゥーラ
大学の卒業祝いに母が買ってくれた、クラシカルなデザインの中古車。
経緯は不明だが、ほぼ未使用品で新古車だったとは受け取ったリガヤプロ自身の談。
【外見・容姿の詳細など】
父方の遺伝である色白の肌・青い目・浅葱色の髪と、母譲りの釣り目が特徴の南国系な容姿。
元々巨乳だったが、妊娠してからバストが1mをオーバーしている。
【人物像】
イメージカラー:青と銀
特技:エスクリマ、スペイン語での読み書きと会話、建築物の製図、射撃
好きなもの:格闘技観戦、ブロック玩具、カジノ見物、母と娘と夫、とある日本製のアニメ(とその主役メカ)
嫌いなもの:母と娘を侮辱する者と、自身の初恋の人(?)を軽んじる者全て
天敵:異母姉
願い:秘密>>369
【一人称】あたし、私 【二人称】貴方、あんた 【三人称】あの人、アイツ
台詞例
「ママ。あの2人と一緒に寝ていて辛くない? 何かあったらあたしに相談して」
「バイディワ。危ないから1人の時も、ミラグロスかビオランテと2人きりの時もプリシラに近づいちゃダメよー」
「ビオランテって、ほんとよく食べるわねー」
「ク/ソボケとメス豚がぁーっ!! パパも本妻さんも加減しろよ! 人の母親泣き腫らすまで毎晩ヒーヒー言わせてるとかどんだけ持て余してんだ? ビオランテとミラグロスが不憫でならないわよ全く!!」
「ベルムード……。ずっと大好きよ」
【来歴】
フィリピンの退魔業の一族、バイブラクラック家一員として、パサイ市の母子家庭で生まれ育つ。
母であるタララーワや親戚たちから可愛がられて育った一方、シングルマザーに育てられた家庭環境や父方からの遺伝である肌と目と髪の色から奇異の目で見られることも多々あり、母に父のことを聞こうと試みたこともあるが、「知らない方がいい事もあるから」と教えて貰えなかった。
親戚も口を噤む状況に首を傾げつつも、ブロック玩具好きが高じて建築学に強い興味を持ちながら健やかに成長し、学力と家の経済状況から海外留学を薦められたのを機に一念発起しアメリカに留学。
ラスベガスにある州立大学で建築学を学び、ブロック玩具同好会と総合格闘技愛好会を掛け持ちするキャンパスライフを過ごす。>>370
総合格闘技愛好会に所属する、肌のみならず目と髪の色まで同じなのが切っ掛けとなってスペイン人留学生のベルムード・バルベルデと交際。
倦怠期の心配が無さそうな雰囲気を放っていたが、卒業まで半年を切った際に事態は急転する。
ベルムードの名前をメールでのやり取りの最中に教えて貰ったタララーワが急遽渡米し、ベルムードに娘のことは諦めて欲しいと懇願したのだ。
母の突飛な行動に仰天しつつどういうことかとリガヤプロは詰問し、肚を括ったタララーワに父が誰なのか、父と彼女の馴れ初めと破局に至るまでの経緯をようやく教えて貰った。
自分がバルベルデの血を引く者であり、同時に母が現当主夫妻共有の愛人で、自分が愛人の娘だと知ったリガヤプロはへたり込むほどに動揺。
サークルの仲間たちと一緒に聞いていたベルムードも愕然となる。
娘の存在を知ったら母娘共々どのような方法で束縛されるのか分かった物ではないと、不安に押しつぶされながら心情を吐露する母の姿を見てリガヤプロは何も言えなくなってしまう。
結局、ベルムードと2人で話し合って『卒業したら別れる』という結論に落ち着いたが、同時に「貴方と愛し合った思い出を体に記録したい」と彼に体を許すようになった。
その後、卒業と同時に穏やかに破局。
「お互いが独身のままだったら、何年か後に迎えに行くから期待しないで待ってほしい」というベルムードの愛の言葉を受けてフィリピンに帰国。
建築設計事務所で働いていたが、ある時体調不良に襲われて吐き気に苦しみだす。
もしやと思った親戚が買ってきた検査薬により、妊娠が判明した。
完全に心当たりがあるリガヤプロは事情を母と親戚達に説明。
皮肉にも親心で娘に同じ轍を踏ませる結果となったタララーワは謝罪したが、リガヤプロ当人は「ベルムードの子供だから構わない」と割り切っていた。
そして数か月後に娘、バイディワを無事出産。
建築設計事務所で働く傍ら、バイブラクラック家の一員として密かに退魔業もこなしながら、母と親戚たちの助力を受けつつバイディワを育てる日々が数年続く。
そしてバイディワが5歳の頃、意を決したベルムードが自分を迎えに来て……。
トラブルの末にベルムードからのプロポーズを受け入れ、それを機に母と娘共々スペインへと移住した。>>371
【性格】
父方の血筋もあって、バイブラクラック家としてはかなり大人しい部類。
母と娘、夫に対する愛情は深い。
ただし、外敵に対する容赦の無さは既に発露しており、退魔業ではいかんなく発揮され過ぎている。
父とその本妻である、ロレンシオとカンデラリアからは母や娘共々すんなり受け入れられており、当人も2人を慕っているのだが如何せん母に対するアレな愛情表現は案の定快く思っておらず、時と場合によっては拳で訴える事も辞さない。
結婚を機に存在を知った異母姉妹との仲も良好だが、姉のプリシラのシスコン具合には強い警戒心を抱いており、初恋談議で屈託なく話が合う妹のビオランテの場合とは対照的。
以上です。
親子三代を作成することになるとは。
後、言及台詞も募集しまっせ。
ではおやすみなさいー。「身体の変化……とはちょっと違うか。生体部品の取り付け、外付けの肉体改造かな」
「ああ。これが灰の魔女の系譜。騎士であり黒魔術師でもある我々が辿り着いた結論だ」
ラ・ヴォワザン。テンプル騎士団。カナリアの一族がこの二つから見出したのは魔の概念に通ずるそれ。フランスの上流階級の裏に宿った負の歴史、神秘を継承していくことにある。王権神授など馬鹿らしい。人は愚かであるべきだ。惨めに地を這う生き物であるべきだ。その本質は人の闇、影にこそあるという負の感情を発露するもの。空に輝く月も星も、闇の中にあるものだが一種の神聖さを帯びたものと定義する反面、人の本質は光のない呪い、天上に煌めく星々を堕ちて眺める地の汚泥という構図、人類史の肯定と愚弄を両立させた魔術。つまり、人の呪いの発露こそが本質。占星術は副産物に過ぎない。
「人類史に寄り添う魔術……現在の魔術師らしい魔術ね。それにしても随分と卑屈な物事の見方をしているようだけれど」
「性善説と性悪説なら性悪説を支持するのがオレの一族でね」
「そう。ひねくれているのね」
翼、角、尾だけが生えていた時からさらに容姿が変わっている。ヘドロのような汚く真っ黒に染め上がった不定形の物質を、鎧のようにも、外套のようにも纏っている。持っていた武器も消え失せ、残っているのは肥大化した獣の爪と腕だ。「あなたはどこにも飛べない。どこにも行けない。どれだけ渇望しても、望んだ場所に辿り着けない。そんな呪いそのものよ、それは」
「だからどうした。別にオレは輝かなくてもいいんだ。惨めで無様な泥でいいんだ。地を這い続ければいい。そもそもそれが大間違い。オレは、あの人に追いつけるわけがない」
「………そう」
きっと、カナリアは気づいていない。自分が今どんな顔をしているか。幸福に喘ぐ恍惚とした顔の中に、嫉妬、羨望、怒り、遣る瀬無さ、哀しみ、そして忠愛が込められているのを。きっと、泣いていることにも気づいていないのだろう。そこにあるのはとても矛盾した感情だ。
「これが忠義だ。これが主への愛だ。これがオレだ、オレなんだ。……ああ、今ならなんだって出来そうだ。何も出来ないのに可笑しな話だがな」
「………可哀想」
「主君以外がオレを憐れむな、殺.す」
詠唱は要らない。起点となる魔術式も要らない。カナリアを包む泥の全てがヴォワザンの魔術式を刻み込んだ礼装そのものだ。常に頭に絶望と幸福感を流し続ける甘い毒。そしてカナリアに生えている邪悪な生き物の部位こそがテンプル騎士団の呪いそのもの。魔術回路を常に全力で起動し続け、どれだけ激痛が走ろうと構わず修復、使用し続ける呪いの礼装。「……驚いた。私の動きについてこれるなんてね」
「ついてくる?テメェがついてくんだろうが吸血鬼。オレの羽をバカにすんなよ。なぁ、オイ。串刺しでも丸焼きでも殺し足りねぇぞ」
「まあ、荒々しい」
鎧が付与する幾重にも重なった身体強化の魔術が本気の殺し合いではないとしてもリリカに肉薄する身体能力へとカナリアを引き上げている。リリカの水の防御術式も簡単に破壊するそれは、刻み込んだ呪いによるもの。“引き摺り落とす。どこにも行かせない。何もさせない。お前は何も出来ない”という悪意の呪いがカナリアの身体を伝って、敵対者の魔術を破壊する効果を発揮している。
それに加えて他の黒魔術も滞りなく扱えるのだから、やはり先ほどまでとはレベルが違う。今だってそうだ、息を吸うように魔術を行使する。魔術回路や身体機能を阻害する漆黒の毒の結晶を天上から墜とし、まるで指先のように四方八方から先程よりも遥かに肥大化した使い魔を突撃させている。ただ攻撃するだけではなく、そのまま同化し引きちぎろうとする厄介な性質を持ったものだ。
「来い、堕ちろ、お前なんか、お前らなんかに、良い顔なんてさせるもんか。オレだってやれるんだ。オレだって輝けるんだ。綺麗な金糸雀になれるんだ。主君の一番になるのは、オレだ……!だから邪魔するんじゃねぇ、とっとと全部ぶち撒けて死.んでしまえ!」
「……情緒の不安定さ、自我の混濁、凶暴化。まあ当然か」
先程も言ったが、今のカナリアは重度の錯乱状態にもある。絶対に欲しいものには届かない、そのような呪いであると実感しているのに、自分の底から湧き上がってくる力でなんでもできると思っている。こんな程度じゃあの大空を舞う天使には勝てないことはわかっているのに、それでも羽ばたこうとすることをやめられない。
その末に待ち受けるのは呪いとの同化。何者にもなれない、何も成し遂げられない、哀れな泥への変生だ。……リリカの見立てでは、恐らくそれはそう遠くない。このまま礼装から能力を引き出し続ければすぐにでもそうなるだろう。「私が、そしてウキくんが定めた合格ライン。それは私たちがある程度まで削られたら、力を見せたら、というものだけど……少しは期待したけどやっぱりダメね。私が実力を認める前に、あなたの身体が融けてしまう。もう少し理性的に戦ったら?」
「オレはいつでも冷静だ。冷静にお前を殺してみせる。他の奴らをみんな押し退けてオレがあの人の一番になってみせる。なれないけどなる。そう決められてるんだ、オレの人生はな。……あれ?そうだったか?まあ良い、お前は死ぬ。オレは勝つ。それだけだ」
「ダメそうね。……それで、あなたはどうするの?そのまま倒れているままなら、それでもいいけど」
このままだとカナリアは自壊する。そのことに気づいて止められるのは、この場において一人しかいない。獅音がどうするかで、この場の運命は変わる。少なくとも、ゼロをイチにする。だから今、ここで獅音がするべきことは立つことだ。立って、戦うことだ。倒れていい理由などないのだから。
「巫山戯る、な。ここで、退くわけなど、ないだろう……!」
「そう。じゃあまだ希望はあるかもしれないわ。一人じゃダメでも二人なら。協力によって絶望をひっくり返すのも人類の強みだものね」
リリカは知っている。人類の強みを。リリカは知っている。彼らはどのように生きて、どのように輝いて、どのように死ぬのかを。彼らは不条理を乗り越える生き物だ。一つ一つはか弱い命でも、それを束ねて愛と希望の未来を創る生き物だ。だから、今回もきっと、もしかすればと信じている。でも、それでも。
「私の中のあなた達を警戒する理性は“やりかねない”と言っているわ。でもね、本能の方は別。……きっと間に合わない。そう言ってるの」
「それを覆す。そう言った。……そうだろう、カナリア」「うるさいぞ。オレの手柄だ、オレのものだ。あの人の信頼の笑顔もあの人の褒めてくれる声もあの人の撫でてくれる手もあの人の不器用な優しさもあの人の怖い躾もあの人の手酷い態度もあの人がくれた首輪も全部全部オレのものだ。お前なんかにやるもんか。だからお前は端っこに座って豆鉄砲の狙撃なり何なりでちまちまやってろ。オレの邪魔するな」
「……手遅れかな?」
「これだから吸血鬼は。まだ手遅れじゃない。まだ間に合う、それを解らないようだな」
獅音はわかっている。混濁した意識の中、矛盾した気持ちに苛まれ、周囲の全てに噛みつこうとするカナリアの言葉の裏に隠されたものが。本当に最後の最後にだけ挟み込まれた、傷だらけの獅音を気遣う気持ちが。それはきっと、まだ間に合う証拠だ。
「贖罪の刻だ吸血鬼。お前の溜め込んだ血液を全て還す」
「あなた達の力を測るのは私。測られるのはあなた達。その前提、履き違えちゃダメだよ」
「ごちゃごちゃウルセェなお前ら。良いから黙って殺されて、オレが主君に褒めてもらえるための糧になれよ」
おしまい。ノリノリのイカレた金糸雀がどうなるかはまた夜にでも深夜のこそこそ話
ジャスミンの人形等へのネーミングは基本的にフランス語以外の中から語感がいいものが使われます。ノクチルカ(ラテン語)やガシャドクロ(日本語)など。フランス語で名付けられてるボンバルディエやグラン・ギニョールはジャスミン作の中でも特に力の入った自信作という意味です。
大まかに〇〇人形→外国語固有名詞→フランス語固有名詞の順で3ランクに分かれます。
>>372
デッッッッッ
失礼しました。いやしかしボンキュッボンと言うのも烏滸がましいくらいのダイナマイトボディですね。そしてバルベルデ家の女性は日本のアニメにハマる法則でもあるのじゃろうか。
一歩間違えたらドロッドロになりかねない複雑な家庭環境で円満な関係築けてるのすこ。
>>378
半暴走状態の微妙に話が通じてないというか精神汚染スキル持ちと話してる感じがいいですねぇ。果たしてこのままどこまで行くのか。或いは踏みとどまっていい感じに昇華するのか楽しみです。
>>381
あ、京極さん。久し振りに裏ペ更新しました。ちょっと相談したいこともあるのでまた確認をお願いします。レージュレージュさん質問です
メレクの許嫁ってまだ私が作っていいんでしたっけ?>>394
絶対に普段は表に出さない幻の6匹目なんだ…「Aqua est vita」
「徒に死を運び、水に嫌われているようなお前が生命の水など笑わせる。なんだその人魚モドキの格好。ダッセ、似合ってねぇぞ」
「あなたも口調が崩れてただのヤンキーみたいだわ。その陰気だけどクールな容姿とは似合ってないかもしれないね」
「お前がオレの顔を褒めるな。オレのことを褒めて良いのはあのお方だけだ。そのお褒めの言葉以外は全て取るに足りない塵屑でな」
……そんなことを言いながら、その表情は笑みが溢れている。他者から誉められたことによって自己顕示欲が満たされたのだろう。主人以外からの評価を拒むようでいて、本心では悦ぶ。非常に思春期の少年らしい在り方だ。本当に欲しい主人の評価が得られない虚しさ、寂しさから涙を流して歪んだ泣き笑いをしていることを除けば、だが。
「魔術式に干渉するその呪いは素晴らしいけれど、使い手が使い手なのが難点ね。繊細さ、緻密さが足りない。もう少し魔力操作と組み上げ方に気を遣えば本当の意味で私に傷を負わせられたかもしれないのに。そちらの代行者くんとの協調性が皆無なのも良くないかな」
「原理を見せていないのにこの実力か……」
「さっきのはお試し。本気で使うと、死んじゃうものね」魚群の使い魔、そして大量の水の操作。流動性があるが故に、水という流体の操作は単調になってしまう。魚群の使い魔というのも、大量の生命体を使役する都合上、単調な突撃しかできない。一つ一つに命令を細かく指定するのであれば、尋常ならざる演算能力と手間が必要だろう。リリカならば出来るだろうが、面倒だ。そこで彼女が選んだ選択は、魚群とは感覚を接続し、まるで一つの指先のように操作することと、それと並行して流体操作の魔術で水を扱うこと。
前者は一匹一匹に命令を打ち込むのではなく、直接操作をすることで簡略化と精密さの向上を狙ったものだ。人にはない器官を生成できる死徒にとっては、新しい腕を生やす程度のこと。脳の演算リソースは余っているのだから割り振れる。そして、後者は空いたリソースで細かな命令を水に与えることで、単調さを打ち消した多彩な水の可能性を見せている。単純な物理的攻撃力に加え、生命の象徴たる水を操ってオブジェを生成し、それに伴いさまざまな魔術的効果を使い魔に付呪(エンチャント)するなどが主な使い方か。
「面の飽和攻撃と合間に挟まれる強力な点の攻撃、つまり狙撃で私を貫こうとしたのが先程までのあなた達の戦法。でも、こっちだと対応力が段違いになるからそうも言っていられない。どうする?どうやって攻略する?」
「先程と何も変わらん。正面を張るのはカナリアでそこを俺が刺す」
「っオイ、端っこでコソコソしろって言ったろうがバカが!何うろちょろしてんだ!死.んでも知らないぞ?お前程度、殺したところでオレの功績になんてならないんだから引っ込んでろ!!」
「構わん。配慮は俺がする。お前はやりたいようにやれ」圧倒的な地力の差があるだけで、相性としては今のカナリアはとてもリリカのそれとは良い。侵食、堕落、破壊させる感染性の呪いは群体の使い魔を操るリリカに優位に働くし、水という流体にも染み込みその全体を汚染する。そのように相手の攻防一体の術式が緩んだ瞬間に獅音が狙撃銃や強襲しての拳で一撃を狙うヒット&アウェイの方式。勝ち筋はここしかない。
「……なるほど、ジリ貧狙いか」
「何処に行こうって言うんだ魚のくせに。その水も仲間も全部干上がらせた後にお前を吊り上げて串焼きにするんだ、絶対に引きずり落とすぞそこから。その偉そうなツラを挽き潰してやる。勝ち逃げなんて許すものかよ。死徒なんだから潰したところで生き返りやがるもんな?」
「これを考えたのは代行者のあなた?戦闘経験の豊富さかしらね」
微笑むリリカの握り込んだ掌に魔力(呪い)が凝縮されている。パッと開いた瞬間、二人をそれぞれ囲むように二つの水のドームが出来上がる。リリカの原理が発動したのだ。
「タネさえわかったらこんな手品にオレが引っかかるわけないだろ。バカになっても地面に咲いたの全部食い散らかせば問題ないんだからよ。舐めてんのか?お前も他の奴らみたいにオレのことをバカにしてんのか?なあ?初対面のくせに?おい、なあ?」
「……いや、違うこれは」
「テラリウムも私は好きよ。生命を感じさせるよね」ドーム状に展開された水の内側に出来上がる黒薔薇と黒百合。つまり、獅音とカナリアを覆い尽くすように展開された刃の呪いと、それに連なるように放たれる思考錯乱の呪い。地面に咲くのとはわけが違う。上下左右、ありとあらゆる方向から飛ばされるそれを対処するために脳に割かれるリソースはかなりのものだ。そこを錯乱の呪いで乱されてはどうしようもないのだから。だが……
「最低限、重傷になり得る場所だけは守れば良い。それと出来る限り吹き飛ばすのも効果的だな」
「お前がオレを斬り殺.すスピードよりも早くオレがお前の花を全部枯らしちまえば良い話だよな。綺麗な花とか見てるとムカつくし。オレの惨めさを晒しあげて笑ってるようで腹立つんだよな。お前らが綺麗に咲いてるのはお膳立てされてやがるくせにそういうのに気付いてないところとか腹が立つ。お膳立てされてないのに綺麗なオレが一番だろ」
獅音は先程の自爆である程度、衣服の防護性能や何処までなら身体に危険が及んでも大丈夫かを把握した。故に身体の重要な部位は守りつつ、手榴弾で吹き飛ばせば大量の花を減らしつつ手榴弾の破片や花の呪いから大事なところは守ることができる。頭が上手く回らなくてもできるのだ。
カナリアはさらに単純明快、礼装の自動回復に任せ、自分は呪いで水も花も全部腐らせて意味のないものにさせるという行為だ。身体を襲う苦痛は並大抵のものではないがその程度どうでも良い、そのような気合である。
「……まさか、そんな風に……!」
「油断したな、吸血鬼」
二人の手段に感嘆していたリリカの腹部に、弾丸が突き刺さる。それは序盤に撃ち込んで躱された、特注品の死徒に絶大な効果をもたらすものと同じ。超常的な感覚で避けられたそれを、今度は獅音が命中させた。花に覆われた呪いのドームで、中にいる獅音達の行動が超常的な感覚でも捉えきれないところを狙った一撃。手榴弾で自爆しながら冷静にリリカの位置を頭に思い描き、狙い済ませた人の不屈が生み出した銃弾だ。死ぬことはなくとも、一瞬の隙をⅦ階梯の死徒にも生み出す。「素晴らしい。私が、こんな風に、だなんて……」
「死.ね」
ドームを突破したカナリアの爪がリリカの臓腑を貫く。絶対に死ぬように、何度も何度も、とっくにリリカの身体には大穴が出来ているのにほじくり返すように突き刺し抉り出す。呪いを流し込みながら、頭や腕、脚も磨り潰して。
「こんな程度で私は死なないけれど……ええ、合格よ。あなた達はこの先に進む資格がある。星の内海の入り口に訪れる資格がある。ウルフィルトに会う資格が、ね」
こちらを褒め称えるそれは純粋な尊敬の気持ちのそれだ。どれだけカナリアが攻撃しても、リリカの溜め込んだリソースが手痛く削られることはない。彼女が千年以上の月日で溜め込んだ血液はそう簡単に消費されない。ただ、それでも、ここまで手傷を負わせたことに彼女は称賛する。人間の決意がまた一つ、絶対に勝てない場面を覆したのだから。
「でも、私の本能は正しかったみたい。彼、もう保たないかな。泥と身体の同化が始まってる」
「……欺瞞だ」
「真実よ。私はこの呪いも全部回収してすぐ消えるけど、早いところ何とかしたほうがいい。それでも人間なら何とかしてしまうのかもしれないけど。……それじゃあね、二人とも。次出会った時は必ず血を吸い尽くすわ」
リリカの気配が完全に消失する。どうやらこの場から完全に撤退したらしい。呪いも全て回収されて、澄んだ雰囲気が元に戻る。屋敷の防衛機構も復活しかけているようだ。「……疲れた……じゃねぇ!おい、カナリア!大丈夫か、カナリア!」
「オレは、一番で、一番になれなくて、鈍感なあなたを支えるのが喜びで、でもそれはオレじゃなくて、全部アイツのせい、いや弱いオレのせい、いや見てくれないあなたの、あの女、ユリア、ルナ、大したことないのに、大したことないのはオレなのに、大した、何も出来ない、何もない、何処にも飛べない、何にもなれない……」
「カナリア!おい、カナリア!!」
拙い。このままだと本当にカナリアは戻れなくなる。侵食の末に、既に顔のほとんども泥に覆われている。こんな状況、他の誰もが見ても諦めてしまうだろう。それほどまでに泥が放つ呪いは濃い。ただ虚な瞳のまま、涙を流し続けている。
「お前には敬愛する主人がいるんだろ!こんな所で死んだらもう二度と役に立つことがねぇんだぞ!?」
「あ、う……」………何かうるさい声が聞こえる。何者にもなれないオレを嘲笑うような声が聞こえる。もう良いだろう、頑張ったじゃないか。そんな風に思って、ここで一生涯腐っていけば良かったのに。その声がうるさくて眠りにつけない。温かい泥の中に沈み込めない。
─────でも、確か、そう。前に一度だけ、確か……
主君。私のこの魔術があれば、私はあなたのお役に立つことができます。私はこの身全てを薪にしてでも、あなたの為の金糸雀になれます。どうですか?私は、あなたのお役に立てていますか?
「そうだね。確かに素晴らしい。成立年代に見合わない、素晴らしい神秘の結晶だ。……だけれど、カナリア。それを使うのはやめなさい。修練もしなくて良い」
何故、ですか?確かに危険性はありますが、それも何度も修練を重ねればいつか克服できるものです。私はさらに強くなれます。さらに、あなたの力になれるんです。……それとも、私の、オレのことは要らないですか?
「違う。俺はね、自分の犬は出来る限り末永く従順でいて欲しいと思ってる。だから、俺が死.ねと言ったら死ぬし、俺が生きろと言ったら生きる、そんな従順な犬が欲しい。お前はそんな俺の犬だ。わかるかい、カナリア。俺はね、俺の指示なく君が命を危険に晒すことを赦さないんだよ。君は俺の大事な犬だから、ね」
そうやって頭を撫でられること。抱き寄せられること。それにひどく悦びを覚えた。周りから見れば確かに歪な形なのかもしれない。きっと、オレの主人は本当にオレのことを使い魔か何かのように扱っている。人としての扱いは元より考慮されていないのだろう。
……ただ、ペットの犬を可愛がるように、オレに向けて本当に愛玩の親愛を向けてくれている。それは事実だということもわかっている。歪んだ形だ。そんなモノ、向けられて良いわけがない。でもそれでも、嬉しくて。生きる理由をくれたことが何よりも嬉しくて。だからオレは、あなたのためになりたくて……「だから、カナリア。絶対にそれを使って呑まれるようなことにはならないように。君は、俺の所有物なのだからね」
我が主君がそう命令づけたのに、オレはそれを忘れたのか?
「っ……主君の命令を無視して、この程度の、こんな、たかが800年程度の呪いに蝕まれるなど、あってはならない。オレが、あのお方の騎士であるオレが、金糸雀が!!!!オレの愛を舐めるなよ!!!!オレが!!!負けるわけ、ない!!!」
テンプル騎士団の呪いがなんだ、ラ・ヴォワザンの呪いがなんだ。その程度でオレの愛は止められない。狂おしいほどに燃え盛るあなたへの、あなたへの愛は止められない。あなたを殺.すまで、あなたに認めてもらうまで。あなたの一番になるまで。あなたのその胸に、ナイフを突き立てるまで。あなたの内臓をぐちゃぐちゃに抉り出してしまうまで。オレは絶対に、負けない。届かなくても、届かせる。
『あーあ。ここで止まっておけば、よかったのにね』最近はリアルが立て込んでて創作活動は何の成果も得られませんでした!
メスガキねぇ……。
表面上の行動だけ考えると「人間好きだよ!でもバーカバーカ!」してるクッチーはそれっぽいかもしれない。精神年齢も餓鬼だしね。>>419
ただ「ざーこざーこ」言いながら(とっととボコれよ。まぁ抵抗はするけど)なんて考えてたりするので、一般的なメスガキ属性とはちょっと外れてるだろうけど。>>422
理仁「(目を逸らす)」歯痛が酷くて返信遅れた(泣)
>>373
三代揃ってスペインに移住(タララーワだけ強制)したり、バイディワ以外の就寝時が日本の5\:@75ー2@e(ラフム語変換)もビックリの爛れっぷりですが、幸せです。幸せです。
>>381
キャラシ無しでも現状、ロレンシオとカンデラリア、ミラグロス(キャラシ作成予定)、ベルムード(この人もキャラシ作るつもり)、泥に登録したエロSSの最後に存在だけ言及された心療内科医兼心霊医師(名前考えてない)と結構いますからねぇ…。>バルベルデ
プリシラのバストの元ネタに合わせて『3mトリオ』にしようと思ってたけど、フィーリングが合わなかったんで『一〇八星三姉妹』にしました。なので近々プリシラのバストを後2㎝膨らませる予定。ちなみに、ビオランテも妊娠したら胸は108㎝にまで膨れます。>1m超え
>>382
バルベルデの遺伝子の力ですねぇ。>ダイナマイトボディ
プリシラはそうでもなかったり。ビオランテはともかく、リガヤプロとバイディワの場合はタララーワの強い影響から彼女同様に『別格と扱うほどボルテスVが大好き』というだけで。>法則
ロレンシオとカンデラリアがタララーワを愛し、タララーワも2人を愛しているのが幸いした。>一歩間違ったらドロッドロ
>>392
フィリピン人のキャラ作りたーい、で実際にバイディワを作ったらこうなってしまった(死)。>複雑怪奇な関係>>424
ロドリゴ「僕を忘れるなぁっ!」wikiにロックを登録しましたー。『船』のページにも追加してます
あぶないあぶないまた忘れるところだった…>>428
第三段階でヒト型になるんだあ(適当)山星さんいらっしゃいますかー?
博物館の展示物を3つほど考えてみたのでちょっと見てほしいです>>431
ではではポンと
『石化した人』
石像ではなく人間が生きたまま石となったもの。地中海で発見された。
かの名高き「石化の魔眼」を受けた人間であろうと目されている。叫んでいるような表情とまっすぐに伸びた右腕と人差し指は一体なにを意味しているのやら。
注意事項はとにかく割らないように、の一言。実は腰のあたりにヒビが入っている。
『暗中疎通の黒電話』
どこからかかるかわからない。だれからかかるかわからない。けれど必ずどこかにつながるふしぎなふしぎなダイヤル式の黒電話。
ほんの少しの魔力を込めればその瞬間に「誰か」から電話がかかってくる。「誰か」は個人ではなく不特定多数。ランダムで誰かの通話に割り込む強制的なまちがい電話。
由来は不明。「第二魔法の産物」「縁結びの神様の忘れ物」「たまたま現代文明と形が似てたオーパーツ」など様々な説が挙がるがどれも憶測の域を出ない。
『姿隠しの布切れ』
触れた者の姿を見えなくしてしまう森の色をした布切れ。
ただ見えなくなるだけでなく周囲から認識されにくくなる神秘がまとわりつく。自己主張は無意味。誰かが見つけてくれるまでは……。
妖精パックが置いていったイタズラであるとされた眉唾物。意地の悪い代物で、誰にも見つけられないまま彷徨う者を何人も生んでいる。
直接触れなければ問題ないので取り扱う際は肌の露出を極力抑えてのぞむとよろしい。プルフラスの日常のルーティンを考えた結果、「ロゼに護衛用の分身をつけておき、だらだら家で過ごす、以上」という結果になりました
うちの鯖以外のキャラシ作成済みキャラのこそこそ話。
人を殺していないのは、星雪とバイディワだけ。─────あの日は雨は降っていなかった。ただ、晴れていた。腹が立つほどに眩しい陽の光。雲の一つすらない晴天。そんな中、絶景を誇る由緒正しき霊験あらたかな御山。そこに、あなたは居た。私は居た。そんなところにいたって、何もいいことなんてなかったのに。
「ねぇ、やめなよ。そこから飛び降りたって何もいいことないよ。あなたには次があるじゃない。あなたはただ、元いた場所に帰れるじゃない。帰る場所があるんでしょう?待ってる人たちがいるんでしょう?」
「………それでも。ここに来て、ここで暮らした時点で、私の愛する居場所はここになったの。だから、滅ぼされてしまった時点で、私が帰る場所は無くなってしまった」
「………あなたは生き残った。なら、他にも、きっと人が」
「居ないわ。居ないの。あの狸にみーんな終わらせられてしまった。……恨んでるわけではないの。時代錯誤な在り方だから、淘汰されるのは当たり前の流れだったのよ。でも、それでも……私の居場所は、愛する家族は、ここだった。もう、何も無くなったの」
悲しい笑顔で笑うあなたを、わたしは引き留めようとした。けれど、留められる気がしなかった。それはそうでしょう。だってそれは、わたしが思っていることと同じ。生きる意味が見出せない、みんなが逝ってしまったあちらが眩しい理想郷に見えて仕方がない。そう、現世にわたしを、あなたを、引き留めるものが一つもない。
「あっちに行きたいの。暗いところは嫌なの。もっと明るくて、暖かくて、みんなが居て、そんな場所に行きたい、そんな場所へ逝きたい、そんな場所で生きたいの……」
「………それでも、わたしは、あなたに生きてほしい」
「……あなたも、同じくせに」ああ、苦しい。悲しい。そんなことを言ったら、もう、ダメだった。やめてよとお願いするしかない。恐ろしいことに、理由は自分でもわからない。もしかしたら、ただ目の前で死なれるのが嫌なだけだったのかもしれない。いや、わたしが先にやろうと思ってたことを取られたことへの怒りだったのかも。わからない。わからないのに、今の自分の言葉には何一つ説得力がないことはわかる。だけど、目の前の飛び降りたいあなたを助けたいとも思っている。
「………ごめんなさい。ゆるして」
「待っ─────」
落ちていくあなたを、抱き止めることはできなかった。そこに哀しさを覚えたし、それと同時に美しさも覚えた。飛べるのは最初にジャンプしたときだけ。それ以外は、物理法則に従ってただ墜ちていくだけ。なのに、それなのに、わたしの眼には、あなたに羽が生えているように見えた。新しい世界へと、飛び立ったように見えた。人の死がこんなに美しく映るなんて、とても許されないことだろう。なのに、わたしは惹かれている。そちら側に、惹かれている。
「………ずるいよ。わたしも、連れてってよ………」
この世のしがらみも何もかも、全部捨て去って。輪廻の次も要らない、美しい未来もいらない、誰の愛もいらない、この枷になる肉体もいらない。わたしを照らし続ける鬱陶しい太陽もいらない。全部、全部捨て去って。いつか綺麗なところに……頑張ったねって、お疲れ様って、もういいよって、褒めて、許して欲しくて……「あなたなら、わたしを助けてくれますか」
「バカなこと言うなよ。生き続けることの苦しみも知らないくせに」
新しい力に目覚める、などという都合のいい現実は存在しない。今の不完全なマヴが出来ることはあくまで生命力や魔力の譲渡、分配だ。それをどれほど発揮できるかは本人のポテンシャル次第。これも元々リムが習得していた術理であり、先程までのリムの実力を大きく逸脱するものではない。あくまで常時100%が発揮できるようなもの。不可能を可能にすることはできない。可能になったことを必ず成功させられるわけでもない。1%を99%にする程度。その程度で、越えられはしない。
「どうする?何が君には出来る?」
「あなたを殺.せます。人であり、魔でもあるあなたを」
………肉体が透けている。それだけでなんとか出来るほどウキの持つ異能や超能力は安くない。そも、薄く見えるだけで実体自体はあるはずである。透化など、人類がそう簡単に到達していい次元の技術ではない。そう見えるだけだ。実体はある。実体があるならば、戸惑うことなど何もない。
「そうか。ところで君の周りには何が見える」
「白い花ですね。視覚も五感も何もかも断ち切っているはずなのですが」
「惜花は物理的なものではなく霊的な存在だ。そちら側への感知を高めた時点で見えないはずがない。今の君が五感全てを絶った時点でもう詰みなんだ」純白の花々がその花弁を閉じる。閉じて、真っ赤な蕾になる。その赤色は人の血肉のそれだ。人体を内部から削り取り、保存し、喰らう異能。かつて存在した鬼女の怒りがリムの身体を齧りとる。
「………味が薄い。人のそれじゃない?」
「ノーコンなんですね。では次はこちらから」
構えも何もなく、無造作に取り出した短刀を、簡単に一振り。虚空に向けて振り抜かれた刃は、何物も斬ることなくその刀身を晒す。そのはずだった。
「……切り傷?」
ぬるりと、温かい血液がウキの頬から垂れてきて。
「脚、腕、腹、背中、首筋」
「むぅ……わざと遊んでる?嬲り殺し?それとも……そうとしかできない事情でもある?」
「さて。あまりにも乱暴だから周りの生き物から祟られたんじゃないですか」
煙に巻かれる。素直に答えられるとは思っていなかったからそこは別に構わない。そう判断したウキが取った行動は早かった。最短最速でその短刀を振る腕を壊してしまえば良いだけだから。指を鳴らす、その行動で簡単にリムの右腕は捻じ曲がる。嫌な音と同時に右腕の肘から先が逆側にも曲がるようになってしまった。「その腕、もらうよ」
「ええ、どうぞ。あなたの腕ももらいますね」
「………へぇ。四肢の再生……はかなり高位のはず。紫音くんぐらいしか出来る人は知らないな」
リムは左手に握り変えた短刀で、右肘から先を切り落とす。……落としたはずだ。確かに落とした。間違いない。なのに、なんだろう。むしろ右肘から先は正常に戻っている。そうして、なぜか、ウキの右肘から先が切り落とされている。血が止まらない。
「なるほど。リンクが繋がれたわけだ」
「わたしの勝ち、あなたの負けです。このままぶち殺しますので申し訳ないですが動かないでくださいね」
「舐めるなよ」
赤い蕾を手に取って、肘の断面に植え付ける。ぐじゅりと音を立てて真っ赤なまま花開いたそれに、そっと、切り落とされた肘が付けられる。それだけ、ただそれだけでぐちゃぐちゃと不快な、生命としてあり得ない音が鳴り、そして右腕は元通りとなった。あまりにも奇妙、人として逸脱している。
「……単一の機能だけじゃないんですか、それ」
「良いだろう?さて。今のでだいたい君の絡繰もわかった。……自我の分散。周囲との接続。己を隠世の者に近づけることで引き起こした強制的な憑依現象。君、退魔の系列だったりする?」「ええ。……ふ、ふふっ、あはっ」
「………」
言葉は要らない。詰まるところ、これは忍耐力の勝負だ。リムが自分と接続しているのは文字通り周囲の生命体の全て。もちろん、ルナだけは対象から外しているし、呪詛で遮られている屋敷の中の生命体は不可能だが、逆に言えばそれ以外の全て、この屋敷一帯に生息する生命体全てに己を繋いでいる。一種のトランス状態、霊的感覚が最大限に鋭敏になっている今の彼女自身に攻撃を命中させること自体が困難であり、仮に命中させたとしてそれを別の生命体に肩代わりさせる。なるほど、無敵だ。虚空への短刀の一振りも、あくまで演技。本質は削り取られた傷の重さを、他の生き物に移した後にそのままウキに移しただけ。
しかし、それはあくまで単純な効果の話。自我の分散、精神の憑依、それらを数え切れないほど行ったリムには今、精神と肉体の接続が断たれる危険性が常々付き纏っている。自我の剥離、精神の崩壊、これはリムがこの呪術を使っている間、常に起こり得る危険性であり、抑える方法はない。常に賽子を投げ続けて1と6だけを出し続ける、それほどまでにリスクが高い。なのに、恐怖は微塵もない。
「あはっ、あははっ、やれますか?あなたなら、やってくれるんですか?ねぇ、ねぇったら!」
「他人に責任を押し付けるのはよくない癖だと思う」
「良いじゃないですか!ほら、我慢比べだバーカッ!頭がふわふわで熱くて何にも考えられないんです!それで良いじゃないですか、ねえ、あはっ、そしたらきっといつか素敵な場所に行けます。ね、連れてってくださいよ?」
「……ああ、そう。君、死にたがりなんだ」
紅と蒼の球体が、激しく回りはじめる。正確にはそれぞれ独立した生命体ではあるが、彼らの自意識はとっくに無くなっている。制御するのはウキであり、演算処理をするのもウキ。自我を蝕もうとするものに対して、本来であれば扱えるはずのない脳の機能に対して、彼は純粋に強固すぎる自我と魂、そして、並外れた演算能力で使いこなしている。一般人の中に生まれた異端。星と人の理、その一端をそれぞれ収めた男。なるほど、彼の経歴は数奇に満ちている。彼が一般人で無くなるまでの間に何があったかはわからないが……それでも、今のリムの言葉で、やる気を引き出させるほどの何かはあったらしい。「ウキ。ウキ・クニツジ。ウルフィルト・ロッテンキャットとの盟約に基づいて現れた、お前たちの敵にして、お前たちの越える壁」
「酔っていればいい。狂っていればいい。どうせこの世は地獄なんですもの。まともに生きていれば苦しかない。ならば、ええ!不真面目に自堕落に情けなく惨めに這いつくばって、楽ばかりしていきましょう!」
「話も通じないか。……そこの魔術師ちゃん。そこから動かない方がいい。頭トんでるみたいだから、最悪の場合、君も巻き添えにされかねない」
………戦いの経験が少ないルナでもわかった。フジョウ・リムという女は自分の命に無頓着だ。死のうが、生きようが、心の底からどうでもいい。己の生に依存しない。己の存在に依存しない。どうせ全て夢なのだからと最初から全て捨てて溺れている。酔っている。自分の命に対する一切の自己保存がないからこそ、リスクや危険性を度外視した100%を常に出す。その先に待っているのは自壊だ。生き物は、常に全力を出せるようには作られていない。
ならば、目の前で……いいや、お酒を呑んだくれて眠っていたあのときも、獅音に酔っ払った勢いでだる絡みをしていたあのときも、真剣な顔でルナの身を案じて結界を張ってくれていたあのときも、全部……全部、全力だったのだ。いつ死.んでも構わないと宣言するように。
「………でも、蚊帳の外は嫌」
心の傷は癒せない。体の傷だって癒す手段はそんなに持ってない。けど、現状の打破ならできる。出来るはずだ。やらないといけない。
「魔術師ではあるんだけど。私って、そこまで非情にはなり切れないらしいから」うちの女性鯖、鉄牛以外はアイドル霊衣okどすえ。
で、ちょっと考えてみたアイドル霊衣の名前。
おとめの歳月(長七郎)
里見浩太朗のシングル『おとこの歳月』から。
ルナ・エ・ルフラン・アヴェック・レアリゼ(ローエングリン)
ムーン&リフレインwithリアライズの仏訳。
ノー・トラップ・ノー・リビドー(善財童子)
女装枠(死)。
機械仕掛けのエーリカ(ビートル)
サイバーなイメージ。
鏡の中のアリシア(ハダリー)
アリシアが何を意味するか、語るまでもなく。
危NAI♀ファーマシー・テクニシャン(クリスティ)
彼女、第一次世界大戦中に薬剤師のアシスタントしてたことあるんですよ。>>465
そうですね…
俺の所の日本組の場合(獅音は戦地で拾われたから除外)
海月→岩手か宮城の辺り
凌牙→静岡(富士山の中腹に構えてた家で育った)
巽→大阪
裂夜→奈良(ちなみに三峰って名字は三峰山って山から取りました)
みたいな感じですかねすっごく色々お久しぶりなんですが恐らく一番お久しぶりなホテル聖杯戦争の続き投下してもよろしいでしょうか…?
>>473
どうぞー!行きます、行きます!
【前回までのあらすじ】
1階食堂、襲撃されてるってよ◇カトカ・オルロイ────1階送電室
火花がバチ、バチと音を立てて散った。漏電をまず疑ったがそうではない、急速な電気の流れがカトカには透けて計測(み)えたのだ。一瞬間戸惑ったが、それを理解すると向かい合っている機械内を巡りはじめた電流と同じように彼女の思考は鋭敏に起動しだした。
元来起源である『計測』が、魔術の方面ではなく技術の方面で彼女を支えていた。そもそもオルロイ家は昨今の社会が抱えるエネルギー問題を神秘の形で解決させようと成立した家だ。魔道に属しはするが、機械技術にも明るくなければお話にならない。だからこその『計測』であり、それが故の魔術なのだ。
母の形見の懐中時計は、礼装ではあるが主となる動力源は機構。中でも精緻の限りをもって編まれたトゥールビヨンは少しでも加減を誤れば二度と修復不能になるような産物であり、そこまではカトカにも如何ともしがたい。だがそれ以外の機構の修理は今までにも何度となく独力で行ってきた。機械と触れ合う時、カトカはどの状況よりも静謐で平穏、沈着な心持ちで事に当たることができる。
多少強引にはなるが、と心の中で明に詫びながら、眼前の機械の脈たる部分に手を置く。眠りから目覚める人の大動脈のように、電子管の裡で大きく電気の血潮が波打っている。量は相当だが、一気に動力部に突入するだけの量には達していない、と感じられた。ならば、自分がやるべきことはただ一つだ。
抜き身の刀を慎重に持ち直し、上部に持ち上げる。そして、重みに任せて振り下ろす。肝心なのはその次で、白刃と電子管がぶつかり、管の外皮が破れ衝撃が内部に伝わる瞬間にカトカは小さく一節の詠唱を口にした。
『日は朝(あした)、朝は七時(ななとき)』
平易にして軽やかな一節である。だが、効果は確かなものであった。かろうじて継承した礼装の賜物ではあるが、変換魔術によって今物理的な衝撃として伝わるはずであった刀の力は電力へ変換された。真剣の重量からの力である、かなりのものとなったはずだ。
果たせるかな、電気は堰を切った激流のようにして管を渡り、液晶は白く発光した。久方ぶりの光だ。夜空には今も煌々と白月が赫うているが、人工的な光というのは、否が応でも懐かしさを覚えてしまう。
しかし、目が光の加減に慣れてきて、画面に映るものについて冷静な処理ができるようになって。カトカは言葉を失った。>>476
食堂の風景が映し出されていた。先にカトカとグランデが出て行った空間。木造の、時代と品格を帯びた広間。テーブル、椅子、照明、時計、絨毯。それらが───人の死によって、覆われていた。
血が絨毯を赤黒く変色させ、時計や照明は床に落ちてガラスが粉々に砕け散っている。椅子もテーブルも一緒くたになぎ倒されて、その上や横や、はたまた下にそこへ避難していたはずの従業員たちの死体が累々と重なり合っていた。眺めるうちにも、死臭が画面から漂ってくるよう。
犯人と思しき存在はすぐに確認できた。食堂という、ホテル内でも屈指の大空間の空中を窮屈そうに泳ぐ一頭の巨魚。常識的な知識をもって判断するなら、鯨と形容できる。だがテレビなどで見るものとは全く違う。海面から見える魚影のようにその身体は黝く、禍々しく、毒々しい。詳しい姿は把握できないが、どう見ても神秘の側のものであり、この惨状の原因であろうと推察できる。
その鯨に、相対するのは一人の少女。身の丈ほどもある巨大な斧をしゃにむに振り、攻撃をしかけている。或いは、相手をそばに寄らせないようにするためか。麗しく儚げ、春先の溶け崩れる一歩手前の小雪といった美貌でありながら、人形のように無表情のまま物騒な得物を操る様は、こちらもある種不気味だ。
とかく、この状況は形容しがたくも一刻も早く救うべきものだ。予断は許されない。カトカは瞬時に各種ボタンに目をやり、そのうちの一つ、「緊急放送」と書かれた赤いものを力一杯に押した。電気はすでに送電室内の機械の大半に流れているらしい。鋭いブザー音が響き渡った。次いで館内放送用のマイクを引っ張り、今度もまた力一杯に叫ぶ。警報にかき消されぬように。
『1階食堂、1階食堂で襲撃が発生!至急…至急、各陣営救援を!』
言い終わるや否や、グランデの手を取り送電室を出た。彼女はカトカの一連の挙動と画面の光景に驚いたようだったが、足を止めずそのまま二人で食堂に向かって駆けていく。>>477
だが、白いフェルトのような、繭のような細長い物体。本来なら立つことすら出来ないだろう歪で下手くそな三流芸術品のような、ニタニタ笑う化け物たち。いつの間にかそれらが、群れを成して円形にカトカたちを閉ざしていた。
グランデたちはともかく、カトカは化け物の強さについてはある程度探索をするうちに確認できている。生身の人間が相手するには凶暴性も殺傷能力も尋常ではないが、サーヴァントと比べれば集団であってもそう脅威ではない。それが幾度かの交戦を経ての結論だ。
なのだが。この化け物たちは何かが違う。何かがおかしい。違和感を具体的に認識するために、未だに見慣れることのないフォルムを観察すると、身体の下部にあたるだろう位置にあった割れ目のような、穴のような空洞が広がっていた。数も増えている。まるで、罅を入れて、フライパンめがけて落とす直前の卵のような───
「進化…孵化、が進んでる…?気をつけてください…」
「どうしましょう…」
一体が身体の内から触手を飛び出させる。触手という表現よりもタランチュラの足みたく毛に似た何かがびっしりと鱗のようになっていたことが知れた。強靱さが見て取れた。
「いアっ、いあッ!あぁア・ア!」
「ア・ア!」「ア・ア!」「あぁアあ、ア・ア!」
一匹の鳴き声に共鳴してほかも哄笑を合唱させる。不思議と、その声や発音は以前よりもずっと“人間らしく”なっている気がした。もしくは、この化け物たちは進化と同時に知恵をつけるようになってきたのか。どちらにしても今まで通りには行かないようだ。
カトカは咄嗟に刀を構えた。鞘から抜いたまま持ち出した切っ先を向ける。やはり知恵を多少はつけていたのか、初めて見る得物に化け物たちは動揺を見せたように思えた。円環の進行がしばし停滞した。
とはいえ、それ以上は何もない。何せカトカは変換魔術以外、己の身体の強化すらきちんと習得してはいないのだ。太刀の質量にもはや両手が耐えきれなくなっている。見よう見まねの構えも段々と力なく崩れて行っている。>>478
相手方もそれを察知してきたようで、再び進行を始める。じわじわと身動きがとれなくなってくる。少年も対処に難儀しているみたいだ。食堂へ到達することすらこのままだとままならない。
群れのうち一体が目の前に躍り出てきた。何も出来ないカトカを煽るように身体をひしゃげて弾ませる。おどけたようにして、こちらを値踏みしては脅かして遊んでいる。そうして、一歩下がったかと思うと跳躍して飛びかかってきた。
「う、うわぁああ…ッ!」
こうなればもう四の五の言っていられない。その時にはすでに床に引きずりそうになっていた刀身を命いっぱいに持ち上げ、どうしようもない現実から目を背けるように瞼を閉ざして、何もかもメチャクチャな動作で振るおうと力んで───>>479
◇柳生十兵衛────3階廊下
「いィァ・アッ!い、アぁああ!」
巨体の化け物の断末魔は想定以上の騒がしさだった。幾重にも声が重なっているようで、けれど終始絶やさぬ哄笑はこの時分にも続いている。混線していくつもの局がぶつかり合うラジオのようで、聞き心地は当然最悪だ。
一太刀を浴びせた後、皇帝(仮称)の支援を受けた十兵衛はものの見事に化け物の行動を予見し捌き切り、叩き斬り伏せた。集合体として大きくなった分破壊力も随分と増していたが、その分動きの一つ一つが随分と緩慢になり、避けることができさえすれば反撃は造作もないことだった。
「いや助かったぜ。さすがは皇帝サマだ」
「切り込み隊長は良いが、その後の危なっかしさといったらなかったぞ、無鉄砲な…というか、皇帝とな?」
「そりゃ、その格好で皇帝じゃなかったらどんな詐欺者だよ」
「ふ、ふん、其方もそれぐらいの判断はつくか」
口ではそう言いながらも、皇帝は満更でもないような感情が言葉の端々から漏れている。偉ぶってはいるが、変なところで気にしいなのだな、この人。
「では、討伐の褒美に先刻我が至った考察を聞かせてやろう、傾聴せよ」
「お、何かわかったんですかい?」
「ウム…いや、わかったとは言い難いな。閃いたと言うべきだ。何せ、これは調査や探索によるものではなく…」
「律儀だなぁ。良いからお聞かせくださいよー皇帝サマ」
「ええい、急かしおって…!」>>480
文言の一つさえ取り上げて吟味する様は文筆家や芸術家の域だ。もしくは言語学者か。
とにかく、神経質に言葉を選ぼうとする相手に対して十兵衛はあえて早急な報告を強いてせがんだ。今までの言動から、彼が自身よりも詳細に神秘を理解している存在であることはわかっている。情報が極めて不足している中で、十兵衛とマスターは何かしら他者からの意見や考察を求めざるを得ない状況だ。
やっと話すべき文章を纏め終えた皇帝は、それでも口にする中で自分も考察を改めていこうと考えがちに話を始めた。
「前に、我は現状を何者かの固有結界の仕業ではないかと言った、それは依然として変わらない。其方も同意見だろう。情景が月夜から移ろわぬというのも、固定化された生命の原風景の投影と考えられる。
では、だ。仮にこの考察を真であるとして、我々が更に深く推しはかるべきことはある。固有結界の所有者は誰か?持続時間はいかほどか?これが取り去られた暁にはこの異変は解決するか?確かに、それらも重要だ。引き続き調査を続け、情報が出てき次第思考を改める必要がある。
……だが、それ以前に。我は、この結界の力について具体的に推理するが先決と考えた。いかな無法、魔法に最も近しき異能だとしても、その根幹となるのは人間の精神世界だ。人間は理に寄って生きている。起源もそうだが、記憶や思考の蓄積によって育まれた精神が全き混沌と云えようか?違うだろう。むしろ、結界として顕現するほどの確固たる自我を持つ存在ならば、どういったものであれ是非と法則があるはずだ。
ここまで推度を繰り返し、其方があのデカブツと剣戟をしているのに加勢をしてやりつつ、それまでの現象や周囲の環境を精査した末…一つ、纏まった」
皇帝はここで一旦言葉を切る。十兵衛も、なかなか理知的な思考の道筋になっていると話を聞きながら感じ入った。やはり、神秘や理屈を伴った事象については相手の方が上であるらしい。
さて、それでは纏まった仮説とはどういったものだろうと続きを待つと、皇帝は少し苦慮するようにして重々しく口を開いた。>>481
「…先に、結界にはどういったものであれ是非と法則があると話したな。そう言った手前、このような捨て鉢な答えを出すのは我としても非常に口惜しいものではあるが…其方には聞かせよう。
即ち、“因によって起こる果の連続性、規則性を乱す”。これが我が導き出した、この状況が固有結界の仕業であるとしての結界の力だ」
「……それは、うん、本当に大胆な考察だな、皇帝サマ」
「語った我が一番理解しているのだ、なんと支離滅裂で滅茶苦茶な考察であろう、と。だがな、証拠はないが根拠はあるのだ」
「…へえ?というと」
「これも、憶測の域を出るものではないが。異変の内訳となる現象は、思うにその大部分がこのホテル内で完結しているものなのではないか?」
「完結?」
「あぁ。もっと言えば…」
王笏の先で階段とエレベーター両方に交互に差して、
「階下、階上どちらに移動するにも我々はこれらを用いた。道を曲がるのに角を右折し、部屋へ入るのに扉を開けた。これらは何れも、因果がホテルの空間と道具によって管理されていると言える。
階段などはわかりやすいな。一つ一つ段を下るごとに、因果は発生し更新される。エレベーターは…此処のものは恐らくトラクション式のものだろう。ロープの動きか、はたまた錘とかごのバランスの比率か。ともかく下に向かうという結果は常に改められる。この時絶えず起こる因果法則が散り散りにされたとなれば、下へ移動したはずが元の階に戻っていたり、連れ立って道を曲がったはずが離れ離れになっていたりといった変事にも説明がつくのではなかろうか」
己を納得させるためか、そう一息で根拠たる思索の一途を皇帝は語り終える。対する十兵衛はというと、どういうわけか彼の方は見ずにただじっと王笏の先にあるエレベーターの方を睨んでいる。
しばし待つ。今度は階段へ視線を移した。またしばし待つ。曲がり角に目を遣った。その間、衣擦れの音一つ立たず、二人の間には無言が続いた。さすがに苛立ちを覚えた皇帝は、わざとらしく咳払いをする。>>482
「…何か言いたいことがあるなら言えば良かろう。多少の無礼は許してやる。というか、無言を貫くのはまだしもその目はなんだ。陳腐すぎてお話になりませんわとか言いたいのか?」
「うんにゃ、違うさ。むしろ逆、アンタ大当たりかもよ、皇帝サマ?」
「……其方、その“眼”…!」
十兵衛の瞳は爛爛と輝いていた。鋭く、怜悧な光が奥から真っ直ぐに万象を見通している。皇帝はこれがなんと呼ばれるものなのか、知らぬ男でもないだろう。
瞬き一つで、繋げられていたチャンネルはオフとなった。今は灰青色の目が皇帝の動揺を愉快げに眺めているのみである。人差し指を口元に当てがい、悪戯っぽく、
「みんなには内緒だぜ?」
そう言い放ちさえした。ただ、その眼によって得られた情報は確かなものであったらしい、それ以上は茶目っけは奥の方へ潜んでいった。
「まあ、少し眼を使って覗いてみたんだよ。言ってた通り、ここら一体の因果律ってモンがやたらめったらにとっ散らかってやがったぜ」
「そ、それでは…」
「あぁ、もしかしたら────」
会話の流れを断ち切ったのは、唐突に鳴り響いた館内スピーカーからの警報音。そして、十兵衛のよく知る女性の襲撃を知らせる震えた叫び声だった。>>483
「…マスター…!」
「なに…彼女が其方のマスターなのか!?」
「そうだ…食堂となると、マズい。あそこにはホテルのスタッフたちも大勢逃げ込んでるんだ」
「なんだと!?至急向かわねば…しかし…」
皇帝は苦々しく唇を噛む。そう、考察の開示と十兵衛の眼による証拠の獲得によって話は進んだが、それはあくまで効果についてだけ。それへの対処法などは一切出ていない。これから向かおうとしても、また無限に同じ階段を下り続ける羽目になるに違いない、はずなのだが。
十兵衛は木刀を握り締めて、脇目も振らずに廊下を走って行こうとしていた。まるで、現状への打開策はもう自分の頭の中に確立されているとでも言わんばかりに。
「お、おい!何を走っている!」
「何って、マスターの窮地に駆けつけるために決まってるだろ」
「そうは言うがな、我等は確実にこのまま1階に向かえるという保証はなく…!」
「方法なら、とっておきのが一つあるぜ」
「は、はあ…!?」
困惑する皇帝を尻目に、十兵衛は直走り、階段でもなくエレベーターでもない場所に到着した。1階のロビーより貫かれた吹き抜けである。
「何をする気だ…?」
「言ってたよな、皇帝サマ。固有結界はその者の記憶と思考の蓄積、精神内部の法則性の具現…だから、道具によっての因果は崩壊しているとさ。
…なら。まだ誰も因果を記録していない行為でなら、結界の法則性ってのも抜けられるんじゃねぇの?」>>484
目を見張るほどの鮮やかな身のこなしで、十兵衛は吹き抜けを囲う木製の手すりに飛び移る。とほぼ同時に、下の────まさしく件の1階の方で、先程スピーカーより聞こえた女性の絶叫がした。
皇帝を、十兵衛は見つめる。一言も発さず、ただ視線だけで、差し伸べた手への返事を待っている。皇帝はため息を吐き、本当になぜ自分はこのような向こう見ずとばかり組むことになるのだろう…と心中で愚痴り、
「疾く参れ」
手を掴んでみせた。十兵衛はにいっと笑って「委細承知」と呟き、跳ねるようにして皇帝と共に3階から飛び降りた。
風を受け着地をしたのはそのすぐ後だった。着地した、ということは1階へ移動することは成功したらしい。年季の入った床にまた一つ経年劣化とは別の傷がつく。
マスターの声がしたのはロビーのすぐ近くのはずだ。年季の入っているが故に3階分の衝撃によって立ち込めた煙を木刀で一挙に払いのけ、声をあげた。
「マスター!ぶじ…え?」
張り詰めた声は、事態を受けて突として窄んで間の抜けた戸惑いの音となる。
斬り伏せられて、さながらミステリーサークルのように円形に倒れ伏せている化け物たち。十兵衛が預けた刀を抜き身で携えるマスター。そんなマスターの手を自身の手を重ねるようにして支えて刀を振い、最後の一体を今しも両断した氷の如き美形の武者。with少女3人。うち一人は、やけにキラキラした真紅の目でその一連のシーンを見ていた。
「一刻の猶予もないのは百も承知として、さ。コレ、どういう状況?」あとどうやら中国四国地方出身のマスターとのお話があったので緒十の流れていく前の故郷は徳島県の離島ですよとお伝え
なんで徳島かって?そりゃあ鳴門よ()- 492名無し2023/04/21(Fri) 08:29:18(1/1)
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>>495
これは「秩序・悪」の魔神たる風格……!>>499
まーギリ兵庫辺りに被ったりもしそうではありますかね。おおよそなので、ある程度はフワっとな位置関係です。
それでも中国・四国地方かと言われれば微妙ですが。
投稿どうぞ。よしよしいきます
『降霊科の小さな先輩』
教室に入ってすぐにじっとりとした敵意ある視線が複数突き刺さる。けしてあからさまではなく、されど勘違いはありえない、そういう類の暗くて湿気を帯びた指向性のある意識の群れ。
「……」
構わず、教室に踏み入っていく。
"ぼく"がこの手の視線に晒されるのも別段珍しいことではない。また、この教室にとっても珍しいものではない。
ここは時計塔・降霊科が管理する教室のひとつだ。降霊科は貴族を至上とし、貴族としての在り方を是とする貴族主義派の集まりであり。彼らの大半は由緒ある家名と正統なる血筋そして家名と血筋に恥じぬ才能を尊ぶ。そしてプライドと傲慢さをもって口を揃えてこう言うのだ。
自分たちは選ばれた人間なのだ、と。
そういった集まりの中では正統ならざる家名を持った人間など歓迎されない。当たり前だと思う。『死霊病棟』とまで呼ばれるほど蔑まれているガブリエール家の家名を持ったぼくがこの場で浮いて疎まれるのも、自然なことだと思う。
セダム。セダム・ガブリエール。それが"ボク"の名前で、今まさに生きているかのように動いている死体の名前。
そんな死体に取り憑いて、今なお生きているかのように動かしているのが"ぼく"。名前をなくした、ただの亡霊。
(……ああ、またか)
片足だけ、床に触れる感触が渇いた砂のように感じる。さして抵抗もないままやわらかく沈みこみ、持ち上げるのに少しだけ苦労する。あくまで感覚が揺らいでいるだけで、どちらの足も木製の堅い床を踏みしめている。
こういった感覚の揺らぎはよくあることで、慣れたものだ。慣れるまで味わったそれの原因が何で、どこから、誰から来るのかもすでに知っている。
原因は呪い。名前をつけるまでもないささやかな呪いが感覚の揺らぎの原因だ。呪いは飛ばしてきた"誰か"はこの教室にいる。今も敵意のある視線を向けてくる生徒たちの中の誰かだ。全員ではないだろうが、ひとりでもない。>>502
故意ではない。呪いが物理的な攻撃力を持つなんて並外れた芸当ができるのは一握りの天才だけだろうが、それでもここにいるのは一定の才能を認められた時計塔の魔術師たちだ。ただの視線であろうとも、そこに敵意と魔力が込められてしまえば無意識のうちに呪いになってしまうことはしばしばありえる。
だからこの呪いも悪意に満ちた攻撃なんかじゃない。煩わしいのは間違いないが、それも無視すればいいだけのこと。どうせ授業が始まってしまえば視線の主の意識もそれて、たったそれだけでささやかな呪いは消える。
感覚の揺らぎを無視して一番後ろの席につく。じっとりとした煩わしい視線は席についても変わらない。それでも、いい。こうなることは時計塔に来る前からわかりきっていたことだ。
ただでさえ『死霊病棟』と蔑まれていたガブリエール家が、封印指定の遺体なんてものを手に入れて、にわかに注目が集まる中その遺体を巡ってひとつの事件が起きたのがつい最近のこと。
その事件直後にガブリエール家から時計塔に生徒として送りこまれたのが、ぼく……セダム・ガブリエールの死体を動かす亡霊というわけで。
悪目立ちの上に悪目立ちを重ねている自分がこの降霊科で疎まれて、そして浮いてしまうのも至極当然。
繰り返すがわかりきっていたことだ。理解した上で、それでも時計塔に来た。長いことたったひとりの亡霊としてこの世に残り続けてきたのだから、この程度なんてことない。
亡霊であることをあの人に見つけられておきながら、なおセダム・ガブリエールとして振る舞うのも、亡霊のまま果たしたい目的ができたからだ。
だから、ぼくは。ぼくは………………。
<──────わっ!!!!>
「っ!?」
頭の中にキンと響く声が木霊する。びっくりした。ものすごくびっくりした。
びっくりした意識に引っぱられて体は勝手に反応する。机からがたんと大きな音。>>503
教室に入ったときと同じようなじっとりとした視線が再び突き刺さる。後ろの席についていてよかった。こんな視線に四方八方から囲まれるのは煩わしいでは済まされない。
さて。どうやら自分を驚かせた声は自分だけにしか聞こえていなかったらしい。
ただの幻聴ならそれで話は終わりだが、残念ながらそうじゃない。ゆっくりと振り返れば現行犯のいたずらっ子がそこにいた。それもかなり近い距離に。
「あら。どうかしたのぉ?」
からかうような口調で小さないたずらっ子はそう言った。
プラチナブロンドの髪を下ろした少女だ。笑いをこらえているような表情は見た目通りの少女のようで、それでいてどこか風変わりな雰囲気がある。
良いように言えば不思議な子。そのまんま言えば変な子だった。時計塔の制服を着ているから生徒のひとりではあるのだろう。
「どうかした、じゃなくて。なんなんですかいきなり」
「んふふ、ごめんなさぁい。あなたから不思議な声がしてたからぁ、つい、ね?」
「……ぼくは何も喋っていませんけど」
「あらそぉお? あなたから死体だー亡霊だーってぇ、聞こえたけれどぉ?」
「……」
読心術、というものだろうか。時計塔ならそういった魔術の使い手がいることになんの不思議もないが、同じ魔術師相手に一切気取らせることなく完遂するとは普通じゃない。この子は一体……。>>504
「気になるぅ? でも教えてあーげないっ。それよりあなたのことが聞きたいわぁ」
「そんなの……言いませんよ。言うわけないでしょう。知りたければ今みたいに心を読めばいい」
「あなたの口から聞きたいのぉ。教えてくれないならぁ、あなたがどういう亡霊くんなのかぁ、みんなに言いふらしちゃおうかしらん」
「なっ……」
それは、少し、困る。
死体を動かしていることそのものはさほど問題視されないだろう。時計塔の魔術師たちが一般的な倫理観で道徳を説くなどありえないし、言われるまでもなく気づいている者もきっといる。かと言ってむやみやたらに触れまわられていい話でもない。まさに『死霊病棟』らしいと周知されて悪目立ちの三段重ねになるのは避けたい。
全員に大まかな亡霊の実態を知られるか、ひとりの少女に言われるまま洗いざらい話すか。……後者のほうがよっぽどマシな選択なことは明らかだった。
「……はぁ。わかりました、わかりましたよ。ぼく自身の口からお話させていただきます」
「やったぁ。じゃあ場所を変えましょぉ?」
ここじゃあ話しにくいだろう、とまでは言わず。少女はくいくいとぼくの袖を引っぱってこちらに来いと促してくる。
引っぱられるままついていき、教室から出てどこかを目指していく。ああ授業が始まるまでに戻ってこられるだろうか。たぶん無理だろう。
「それで、あなたのことはなんて呼べば?」
「アンゼリカでいいわぁ。アンゼちゃん、でもいいのよん?」
アンゼリカさんと呼ばせていただくことにした。>>505
・ ・ ・
よく知らない少女……ああいやアンゼリカさんと並んで座っている。
降霊科の学術棟から出て少し歩いたところにあるベンチで。一体自分はなにをしているんだろう。
こんなところに引っぱってきたアンゼリカさんといえば先ほど買ったばかり(当然のようにおごらされた)のスコーンをはむはむと口にしている。ちょっとだけリスに似ていた。
「あなたは食べないのぉ?」
「食べないです」
食べない、というよりこの身体は基本的に飲食NGである。だって死体だから。
時計塔に編入するにあたって表面上……肌に血色が通っているように見せたり、触れても違和感がないよう体温に近い熱を持つようにといくつか細工はしてあるがそれはすべて外側だけ。体内は防腐処理と存在維持・固定の術式が集中している。
そういうわけでこの身体は飲食が難しい。ものを咀嚼して嚥下したとして、食道を通るそれらを受け入れる消化器官はすべて沈黙しているのだ。固形物だけならば物言わぬ胃腸に引っかかって圧迫感を覚える程度で済むのだが、液体となるとそれはもうひどいことになる。胃腸の許容量を超えた液体を口にすれば体内のどこに引っかかることもなく坂道を転がるようにそのまま…………。
「ちょっと。食事中なのだけれどぉ?」
「あっ、と。す、すみません」>>506
そうだった。どうやってかはわからないがアンゼリカさんは心が読める。心中であっても紳士でいなければ。
しかし会話から連想した無意識に近い思考を制御する、というのは難しい。基礎的な瞑想に集中すれば可能だろうが、そうすると今度はアンゼリカさんとの会話が……。
「まぁいいわぁ。聞かせるつもりはなかったのだろうし」
「本当に、すみません。そういうわけで食べるのは無理で……」
「じゃあ、はぁい」
ぽん、と。アンゼリカさんは食べかけのスコーンをそのままぼくに渡してきた。食べるのは無理だと言ったばかりなのに……。
そんな困惑と疑問は、すぐに解消された。
「あーん」
食べさせろということらしい。心が読めなくてもさすがにわかる。
目を閉じて、ゆっくりと小さな口を開いたアンゼリカさんはその態勢のまま動かなくなった。拒否する理由もないので可愛らしく開いた口に渡されたばかりの食べかけスコーンを持っていく。小さい口がほんの少しだけかじりとっていく。
かぷり。もぐもぐ。ごくん。
一連の動作を実に外見相応にやってみせたアンゼリカさんはまた目を閉じて、口を開いて、そして動かない。
もう一度同じようにスコーンを持って行く。アンゼリカさんも同じ動作を繰り返した。そしてまた待ちの体勢に入る。
………………。>>507
「あの、いつまでやるんですか?」
「食べ終わるまでに決まってるでしょぉ?」
拒否権はない。
ハーフサイズにしなかったことを強く後悔した。誰に注目されているわけでもないが、往来で少女に菓子を食べさせてやるこの状況はどうしても気恥ずかしさを感じずにいられない。
この気恥ずかしさもアンゼリカさんには伝わっているのだろう。目を閉じていても楽しそう小さく体を揺らしている。
早く終わってくれと願うもアンゼリカさん相手にそれは逆効果と気づいた。時すでに遅し。ゆっくり、ゆっくり、ゆ~~~っくりと焦らすように時間をかけて、そしてちょびっとだけスコーンをかじる。なんてひどい子だろう。
「まーだまだ、時間がかかりそうねぇ?」
「あの、もうちょっと早く……」
「時間がかかりそうだからぁ、今お話してもいいのよぉ?」
「……ぼくの話ですか?」
「そうよぉ、あなたの話。亡霊くんの話。吸血鬼さんとの話。ぜぇんぶ」
「吸血鬼さん、って……」
アンゼリカさんはあの人のことも知っているんだ。それも吸血鬼であることまで。
教室どころか所属する科から違う二人がどうやって知り合ったのか。謎の交友関係が気になったが、今は自分の話だ。といってもどこから話せばいいものか……。>>508
「ぜぇんぶ、よ」
念押しするように、あるいは後押しするみたいにアンゼリカさんは繰り返す。
全部。全部か。なら、最初から全部話してしまおう。
親も名前も亡くした無縁墓の少年と、魔術が大好きだったセダム・ガブリエールの話を。
死体になってしまったセダム・ガブリエールと、そんな彼になりきろうとした亡霊の話を。
魔術が好きじゃなかった亡霊を見つけてくれた、吸血鬼さんの話を。
ぜんぶ、ぜーんぶ、話してしまおう。
・ ・ ・
本当に全部話してしまった。
一から十まで全部。始まりから終わりまで全部。洗いざらいのありったけ。アンゼリカさんがスコーンを食べ終わってもまだまだ足らないくらい長く長く話した。
話している間アンゼリカさんは静かに聞いていた。不思議なほど、静かに。
ふと、思う。この子はどうしてこんなことをしているんだと。
人の心を読んで、秘密を握って、ちょっと脅すようなマネをしたかと思えば面白くもないだろう他人の身の上話を長々と聞いている。>>509
やっぱり不思議な子で、変な子だと思う。
どうしてだろう。どうしてこの子は、ぼくに声をかけてくれたんだろう。
亡霊になる前の話から、例の事件で時計塔に来るまでの話をすべて終えて、ようやくアンゼリカさんは口を開いた。
「それでぇ?」
「……? もう全部話しましたけど……」
「まだ。あなたが時計塔に来てからの話を聞いてないわぁ」
「時計塔に来てからと言われても……見たままですよ」
浮いてて、疎まれてて、たったそれだけ。
時計塔に華々しい学生生活を期待していたわけでもない、ひとりで亡霊としてあの館にいた時となにも変わらない。
「だけど、なにかを変えようとしてここに来たんでしょぉ?」
…………それは……たしかに、そうだ。
ぼくは、セダム・ガブリエールを弔いたい。
遅すぎるくらいだけど、ぼくが好きだったセダムと、ちゃんとお別れがしたい。
亡霊としてじゃなくて、生きた人間になって。>>510
そのために今もこの身体を使うのはどこかおかしいかもしれないけど、ちゃんとお別れできるその日まで、この身体は誰にも渡したくないから。
だから……。
「ふぅん、そうなの。やぁっとあなたのやりたいことが聞けたわぁ」
…………やっと?
どういうことだろう。アンゼリカさんがぼくのやりたいことを聞いて、それでなにをするというのか。
「そんなの手伝うからに決まってるでしょぉ?」
「は、はぃい?」
まるで想像してなかった答えにすっとんきょうな声が出る。
そんな声を出すまで、自分が声を出さずにアンゼリカさんと言葉を交わしていたことに気づいた。
「手伝うって、なんで。……お互い魔術師なのに」
「魔術師らしい理由がほしいならぁ、今から考えるけどぉ……それでもいいのぉ?」
「…………。魔術師らしくない理由なら、あるんですか」
「あるわよぉ。新しい後輩がさびしそうにしてたから、構いたくなったのぉ」>>511
「それだけ、ですか?」
「だけよぉ?」
ことんと首をかしげてアンゼリカさんは見つめてくる。
後輩って、たったそれだけで? 変な子だなと思ってはいたけど、もう間違いなく変な子だ。
第一さびしいってなんなんだ、さびしいって。あの広い屋敷の中、ずっとひとりで亡霊だった自分が今更そんなさびしいなんて、あるわけが……
「新しい友達、できたんでしょぉ? ならひとりじゃないじゃなぁい」
「……あ」
そう、か。
そうだったのか。
もうとっくに自分はひとりじゃなくなっていたんだった。だからひとりでいるのは耐えられなくて、さびしくなって…………
……ひどいなぁ。
さびしい、なんて気持ちを思い出させるなんて、ひどいや。本当にひどい人だ。
「あぁらあら、吸血鬼さんってわるい子なのねぇ」
「そうなんですよ、ずるいくらいひどい人です」
「だったらぁ……お返しに行かないとねぇ? 二人でイタズラしてあげましょお?」ふぇへへへ……最近またアニメ観るのにどっぷりハマってしまってスレに顔出す回数が減ってしまってます。そしてそのアニメのクロケルが可愛かったです。
>>494
あらあらあら、水着とタオルでマントっぽい格好になってるのが背伸び感というかカッコつけてる感じがして微笑ましいですね。
>>495
子羊教祖、こんなゲームがあったんですね。面白そう。
そしてプルフラスよ、悪魔としてそれはアリなのか。
>>497
朽崎くんの言うように大阪の辺りを想定してます。大鳳の先祖が豊富政権に取り入って猟番の座を手にした設定やWW2の時に四国(空野家)に疎開した設定があるので。
>>498
>>朽崎一族って蘆屋道満の弟子
そういえばそうでしたね。ふと玄上家の先祖が安倍晴明と共に玉藻の前を討伐に行った術士って裏設定から現代まで道満と清明の系譜が残ってるんだなってなりました。
>>514
セダム君…良かったねぇ。時計塔で右も左も敵だらけ、なんて展開にならなくて良かった良かった。
ところでセダム君って時計塔ではどんな感じの扱いというか認識なのでしょうか?あくまでガブリエール家から時計塔に来た魔術師で正体が死体に宿る亡霊ってのは秘密ですか?>>518
今回のSSではちゃんと書こうとすると本題からズレていってしまってカットしたのですが降霊科でのセダムの扱いはけっこう微妙です
敵意そのものは向けられていますが実は表立って敵対する人はほぼいません。これはセダムがどうこう、というよりガブリエール家を敵にも味方にもしたくないから
敵に回すのは絶対嫌だけれど、味方にしようとするとガブリエール家を毛嫌いする家がまとめて敵になりかねない。なので基本的にみんなで一緒に無視がベターな選択になってます
それでも嫌悪感と警戒心からくる敵意を抑えきれずに無意識の呪いとなってしまった…というのがSS中のアレです
で、セダムが亡霊であることはもちろん秘密です。そんなことを周りに言ってもガブリエール家の印象が良くなるわけがないので
ただアンゼちゃんが亡霊であることに気づいたように絶対に隠しきれるものでもありません。なにより降霊科はその道のエキスパートの集まりなわけで気づいてしまう人はきっといると思います。もちろんガブリエール家もその道のエキスパートなので簡単にバレるような偽装はしていませんが
バレるとしたらそうですね…二世のようにすっごい観察眼を持ってる人や観測系の魔眼を持ってる人なら正体に気づけると思います。同じ降霊科なら浄眼持ってるコーデリア嬢とか
>>519
先輩と友達に恵まれてホント幸せ者ですよやつは…
これでやーっと死霊病棟編の諸々にすっきりできました。そして次行きますよ次の冒険気軽で気楽にサーヴァント&マスターを出せる舞台設定作れないかなぁと考えてる私
あ、具体案はないです皆さんご感想ありがとうございますー!喜び喜び
>>488
やはり無辜の存在は聖杯戦争に欠かせないなって…
良かった…書いてて思ったのですが、十兵衛さん時々コハ産っぽくなるなって。要はずるい男です
>>489
皇帝は一つの魔術都市の統治者だったっていうのと文人皇帝ということでこの中ではかなり神秘に強い存在ということに…固有結界としては所有者の精神性を疑ってしまう代物ですね
あと皇帝は向こう見ずたちにはリスク管理できてなさすぎてイライラしますがそういう勇敢とされる行為が嫌いなわけではないのでね、むしろ憧れはある
なに、彼女のことはすぐにわかりますよ…
>>490
お久しぶりでございますわ!頑張りますわ!
さてさてスタッフたちはネームドネームレスどれだけ生き残るのか…◇ルナ・アードゥル────1階大浴場
声がする。誰の声だろう。少なくともヨモちゃんの声や、キャスターの声ではない。彼女はもっと透明な感じだし、彼ならもっと角張っている。また、よくよく意識を尖らせて聞いていくと、それはルナへ語りかけるものではなかった。
どこか、いつか聞いたことのあるような少女の声が、何処からともなく、また、何処へともなく過ぎていく。自由で、同時に規則的な足音を携えて。縦横無尽に駆け巡る。
起きようとしたつもりはないのに、上半身を持ち上げたままの体勢でいた。思考はぼやけているが、視界は明瞭。夢に誘われたその後にやってくる気怠い感覚。それが、暗闇の中のルナを包み込んでいる。
起きたからには、立ち上がらないと。立ち上がったからには、歩かないと。歩くからには、探し求めないと。何を?決まっている、神秘をだ。疑問をだ。それが自分だ。
声はいつの間にか遠く遠くへ進んでいた。ただの声ではない気がした。だから、追いかけてみる。月のない夜のような空間を、声を頼りに歩いて行く。時折吹く風が肌寒くて、そういえば、ここへ来て化け物騒動に巻き込まれてから外に出ていないなと気づく。月があんなに綺麗なのに。星もあんなにたくさん見えるのに。
一歩一歩前進するごとに、足が下へ吸い付けられるような錯覚に陥る。自然と目線は下へ向かう。まるで、明かり一つない階段を慎重に降りていくよう。それも、ホテルの階段みたいにきっちりと整備されたものじゃなくて、古くなって凸凹で、なのに誰にも気にとめられず放置された階段を。
戻ろうかとも考えた。戻れば、月が見える、星が輝く地上へ出れるといつしか確信していた。この一文が脳にしきりに浮かんできていた。言葉を理解するより先に、文への納得がそれをより色濃くさせた。
「月?」
疑問だ。
「星?」
疑問だ。>>529
「地上?」
また疑問だ。響く音によって、疑問は形を成す。地上と言ってしまえば、ここは何処なんだ。だが、月が見える?星が輝く?この二つへの疑問のはっきりとした形は描き出されなかった。何か、具象化させるに足る実像が欠けている気がした。
その間にも身体は前へ前へ────下へ下へと止まることはなかった。身体だけが持つ、自律した記憶がそうさせているみたいで、起き抜けの気分同様薄気味悪かった。
ようやく、足が止まった。ルナ自身は何も見えていないが、どうやら眼前には扉があるらしい。手がすうっとドアノブに触れて、ゆっくり回していく。そうすれば開くことがわかっていたらしく、手と一緒に身体を奥へ滑り込ませる。部屋の中に入ったらしい。
相も変わらず暗闇だ。しかし、その暗闇に対する感想は、先とはずいぶん変わってきていた。情景が変わった、というよりも、これは、ルナ自身の認識が変わったからであろう。
ベッドがある。そこに一人の少女が臥している。が、ルナに気づいたのか上半身を起こそうとしている。極めて馴染み深く、極めて縁遠い、闇に溶け込む一歩手前のような暗い茶髪が見えている。
きっとこれは視覚的な認識ではない。記憶的な認識だ。尤も、ルナにこの記憶があるというのはどうにもおかしい。だって、今のルナにとってそれはもはや“他人”なのだから。
けれど、それでもわかってしまう。後に見える、少女の目の色が。少女の面差しが。少女の声音が。まるで、まるで自分のように。今ではその声を使って言うであろうことすら。>>530
こちらへ投げかけられた、疑問と好奇の眼差しの色は案の定緑色だった。そして、彼女が発した第一声は、
「どうするの?」
やはり、疑問だ。とうに死した“自分”が、あの地下室で笑っていた。
「ルナちゃん、ルナちゃん!」
聴覚が復帰した、ということは三半規管も覚醒したということで。激しい揺さぶりと耳元に響く大声とが脳にダイレクトに押し寄せる。しかも、耳を劈くのはヨモちゃんの声だけじゃなかった。スピーカーから流れる、ひどいサイレン音。肝心の要件を伝える声はなく、ブザーの音だけが鳴りっぱなし。
最初はそっちの方が気になった。けれど、視覚が蘇ってきて、肌の感覚も戻って、程よい加減の湯煙とそれを漂わせる異国情緒のある神秘の秘湯と言った風情の大浴場、そしてヨモちゃんの傍らに侍るいかにもサーヴァントという感じの鎧姿の男性を見て、興味は一気に流れていった。
「英霊だー!」
「あ、ルナちゃんおはよ…え?」
「英霊でしょ?この人がヨモちゃんのサーヴァント?再会できたんだね!初めまして、私ルナ・アードゥルっていいます!というかそんなことより、ここ大浴場?でも何か神秘の濃度が強いね、もしかして温泉型の工房…いやむしろ結界?すごい完成度…!」
「る、ルナちゃん落ち着いて…」
ヨモちゃんはそんな風に宥めてくるけど、自分は落ち着いてなんていられない。こんな高純度な魔力で満ちた結界内部、隅から隅までなめ回すように観察したいに決まってる。ヨモちゃんが今にも駆け出しそうになっている私を抑えるために腕をつかんでいる力はかなりのものだが、そうでもなければ泳げないとしても湯船に飛び込んでいるはずだ。>>531
結局、粘り勝ちしたのはヨモちゃんのほう。羽交い締めにされちゃ、こっちはジタバタするだけで体力を失う一方だ。彼女のサーヴァントと思しき人は、いつでも動けるような所謂臨戦態勢へ移る瞬間のまま黙座しているけれど、時々こちらに暖かな視線を向けてきているのが感じられる。実際、端から見るとこの図は相当愉快だと思う。
「ふぅ、ふぅ…ルナちゃん、ひとまず事情は後で話すから。今は緊急事態なの」
「う、うん。だって、化け物騒ぎがあって…」
「それどころじゃないの。いや、それと繋がりがあることなのかもだけど…食堂の方で従業員の人たちが襲撃されてるって。だから、救援の要請が来て…」
「…それって、サーヴァントの仕業ってこと?」
「そういうこと、なのかな…放送した人も慌ててたから…」
「じゃあ、ほかのサーヴァントも見れるかもってこと?」
「そう、かも?どれだけの陣営が行くかはわからないけど」
「よし、行こう!すぐ行こう!ここ1階だよね?ならすぐそこなはず!ほらヨモちゃん早く!」
口ではそう友人を急かしながら、ルナはもうすでに食堂へ向かって駆け出していた。もちろん救援要請にも応えようと思っているが、それ以上に「サーヴァントが一堂に会するかもしれない」という状況であると判断すると同時に彼女の身体は弾んでいた。あと、キャスターとも再会できるかもしれないと。強者としての責任感の強い彼なら、放送を聞いた時点で間違いなく向かうだろうから。
後方から風のような疾走する足音がする、と感じた途端に身体が抱えられる。彼の男性がヨモちゃんと一緒にルナを両脇に抱えて走っていた。洗練された身のこなしから、彼はサーヴァントであると重々に理解する。
「あまり、先走りをなさらぬよう」
優しい、しかし油断のない冷涼な空気を纏わせた声をかけられる。やはりサーヴァント、英霊も様々なのだ。キャスターの低い悠然としたものとは異なる趣がある。>>532
ルナがその呼びかけに何か答えるより先に一陣の風がごとき速度は急停止した。見るに、眼前に今まで何度となく接敵した化け物たちが輪になって何かを囲んでいる。どうやら人のようだ。黒地の制服を着用していないことから、スタッフではなく亜種聖杯戦争の参加者、マスターなのだろう。だがサーヴァントと見なせる存在がいない。ルナと同じようにはぐれてしまったと考えられる。
「主、如何なさいますか」
「……お願いします」
「御意」
ヨモちゃんと男性の疎通は短く冷静でスマートだ。片方が何か言うごとにつっかかって脱線していくルナとキャスターのそれとは随分違う。
あぁ、私もこんな風に格好良くマスターとして指示が出せればなあ…などと夢想していると、男性は二人を下ろして瞬く間に化け物たち目がけて走り寄り、そのまま長巻を薙ぐようにして輪を崩し内部にて不格好な構えのまま固まっている女性に助太刀をした。
「わぁ…!」
「ルナちゃん、危ないから近寄らないで…」
「で、でも、あれ見てよ…!うぅ、我慢できない…ッ」
化け物たちは存外に背丈が大きく、普通にしているとルナには円の中で起きている出来事の全容を見ることは叶わない。先ほど一閃によって開かれた間も、すぐにすっぽり隠れてしまった。それでも内部を是が非でも覗きたいルナは、友人の制止も無視しかなりギリギリの距離でジャンプして殺陣の一部始終を垣間見ようとした。
男性は、かつは己の武器を操り、かつは女性に手を添え刀を振るって剣舞とでも形容すべき鋭敏さをもって円をどんどんと切り崩していった。ルナはその絶技にも心を弾ませたが、それ以上に彼女の目を輝かせたのは、二振りの圧倒的な神秘を帯びた真剣が代わる代わるに見せる白月をその刀身に映じた光の廻転劇だった。>>533
◇◇◇
そして、今に至る。剣舞と二つの採光の舞踏が幕を引くというその折、上階から吹き抜けを突き抜けて二人の男性がやって来た。一人は和服に袖を通した眼帯の、所謂サムライという感じの無頼漢。そしてもう一人は、自分を見るたびに寄せていた眉根の皺が懐かしさすら抱かせる初老の王様だ。今、その皺は一段と深いものになっているように見える。
「キャスター!無事だったんだね」
「何が…無事だったんだね、だ!恥を知れ!」
「あぐっ」
さっきの殺陣にうっとりしていた様子は割とばっちり見られていたらしい。王笏で二度も叩かれた。少し力を込めたのか、地味にじんとくる痛みだ。
「うぅ、ごめんなさい…」
「…まあ。怪我はないようだし、この状況で一応の自衛は出来ていたということで今はこれくらいにしておいてやる」
「やったー!寛大!」
「今は、だからな。ともかく我らも行くぞ、ここで遅れを取るなど我の沽券に関わる」
「はーい…っと、おぉ?」
急ぎましょう、と彼が言っていたとおりルナちゃんと男性とはすでに食堂に向かったようで廊下にはもう姿はなかった。またあの長巻を見ることが出来るだろうか、という期待が生まれ、条件反射的に女性の方にも目が行った。一切相手にされず愕然とするサムライに女性は少し苛立っていた。
肝心の刀は今でも女性の手にある。おそらくはサムライのものを借りていたのだろう。願わくはサムライの、所有者本人の手の中で輝く様が見たいものだ。
そんな風にまた夢想していると、不意にひょい、とルナはキャスターに抱えられる。サーヴァントと人間とでは神秘的な面だけに留まらず素の身体能力でも歴然とした差があり、目下の状況ではこうすることが適切なのは理解できるが、それでもこの数時間のうちに二回もされるとなると些か如何なものかという気が湧いてくる。>>534
「…ねえキャスター。私ってもしかして結構軽い?」
「軽い。もっと栄養をつけろ。そしてよく眠れ、不健康優良児」
「はーい…」
◇カトカ・オルロイ─────1階ロビー
「あの兄ちゃん無視して行っちまった…つれねえ御仁だ」
「そんなこと言ってる場合じゃないですって!」
「あぁわかってるさ。兎にも角にも、アンタが無事で一安心だ。そこのお嬢さんもな」
「あら、ふふ。勇者様っておつきの方も親切なのね。その隠れたおめめも、もしかしてツバメがお運びになった後かしら?」
クスクス、と楽しげにグランデは笑う。カトカは出会ってから対話する中で何度となくこの少女の突飛で詩的で難解な物言いに触れてきたため慣れているが、初対面のセイバーはそうでもない。
眼を使って「この嬢ちゃんは…?」と送られてきたので、「大丈夫、ちょっと不思議なだけです…多分」と返しておく。セイバーはそれに納得したのかどうか、カトカとグランデを小脇に担いで、
「いざ食堂、ってな」
そう言ってすでに食堂に入ったと思われる先の二陣営に続いて駆け出した。>>535
──────食堂の実態は、監視カメラの映像で見たものよりずっと凄惨でずっと奇怪だった。
散らばった死屍、薄く固まった血溜まり、ガラス片、シャンデリア。それら全ての物体の濃淡が、暗い世界の中でいやにくっきりとして見える。
嗅覚も絶えず死臭に刺激される。聴覚も、まだ息のある人々の微かな呼吸音や呻き声を拾ってばかり。
そしてそれらを知覚するたびに、カトカの神経は、心や思考といった計測不能のものたちは、足場がぐらぐらと揺さぶられるような感覚を想起する。母の葬式に際して味わったあの言い知れぬ苦痛が、十余年越しに再来する。
「…目閉じてな、マスター」
セイバーが言葉少なにそう囁く。カトカの表情がよほどのものだったのだろう。ここで無理をすることはない、と。自分がどうにかする、と。そうカトカを気遣ってくれている。
だが。カトカは首を振った。セイバーさんは強い。それはこれまでで十二分に理解している。素直に身を任せることも問題はないだろうと感じる。
しかし、ここで恐怖と不快感を目を瞑って、蓋をして逃げたら。カトカは十余年前のあの夜を思い出す。自分よりも大きくて、強くて、優しい存在に縋って、幻想に逃避したあの夜。次に目を開けた時、幻想は崩落した。
カトカは強いて己を律し、奮い立たせ、或いは未だに目を背けようとするのを叱責した。もう二度とあんな思いはしたくないから。それに、それに、なんてったって。
「…私はセイバーさんの、マスターですから」
自分のマスターのその言葉に、セイバーは少し驚いていた。明らかに、五感の全てが限界点に達しているようなのに、それでもこの惨状を捉えようとしている。
何故、と考えるのは不粋と判断した。だから代わりに、笑ってやった。>>536
「そうかい、わかった。それじゃあ返してもらうぜ」
「?何かありましたっけ…」
「おいおい…その刀、一応俺の愛刀なんだけどー。木刀じゃ流石に怪物退治は演じられねえぞ」
口を尖らせて、カトカが持つ刀を指差す。慌てて平謝りと一緒に返すと、何度か握り、セイバーは愛刀の帰還に微笑んだ。
「本当に、ごめんなさい…」
「いや、良いさ。それだけ肌身離さず持っててくれたってことだろう?言った通りにしてくれて、ありがとうな」
微笑みはカトカにも向けられた。怒られることは予想していただけに、不意に感謝されて今度はこっちが驚く。
そんなカトカを背に、セイバーは愛刀・三池典太光世と共に、鯨との交戦の前線にて先んじて戦っていた皇帝や、カトカをあの時助けた武者、その二騎より更に先に抗戦していた斧の少女をぐるりと見やり、ゆっくりとしなやかに身体を臨戦態勢に整えて、
「折角主人が見せてくれた気概だ、推して参るぜ!」
啖呵一声、上段に構えて彼の前線へ身を投じた。ちなみに出身地の話をすると天海と野紀社長は京都在住です。わざわざ四国には住まないけど別荘は持ってる
ゴリッゴリの武闘派若女将こと不湯花は中国地方在住です
初梅も竜胆も関東地方、紫音と輝宙、そして雛葉は中部だったり>>546
どうぞー「マヴさん、もっと力を下さい。わたしはもっと行けます」
「アルターエゴにそう負担をかけるな代行者。彼女の霊基はまだ完成していない」
「……マヴが、アルターエゴ……?いや違う、それよりもリムのことを」
……死にそうなあなたに、何をしてあげられるだろう。私とあなたの接点はない。あるけれど、それはか細い縁だ。でも、それでも、置いてけぼりにされるのは嫌だし、酔っぱらいながらもさりげない気遣いを見せる、そんなあなたを見殺しにすることは私にはできそうにもないから。死にたいあなたに、何をしてあげられるだろう。
「……手を出すのは、まあ良いけど。俺が食べる前に代行者の子に殺されないようにね」
「ダメですよぉルナさん。あなたまだやりたいことあるんでしょう?生きたいんでしょう?なら動いちゃダメです。わたしのこれは道連れの呪い。みんなを不幸にさせるものです。だから退がって。死ぬのはわたし一人です」
眼中にない。蚊帳の外。最初から私という存在を殺し合いのピースに入れていない。それがリムとウキが出した結論であり、事実それは正しい。私があそこに割って入ってどうなる?花に身体中を食い荒らされるか、衝撃波で身体がバラバラになるか、呪いの接続先に選ばれて身代わりにされるだけ。ルナ・アードゥルという魔術師はここを戦い抜く力はない。
だから、私ができることはひとつ。機を伺うことだ。自分が介入するタイミングを待てばいい。部外者でなくなる時が絶対に来る。そこを狙えば良い。むしろ、そうでなければ一蹴される。無謀な突撃はしない。最後まで堪えて待つのだ。
『あなたの考えは正しい。けれどスペックが足りないかな』
「……えっ?誰?」
『誰でもいいだろう。ほら、今のあなたに必要なのは瞑想だ。瞑想によって私のアルターエゴと接続することだ。私の礼装を解析したんだ、その縁は既にできているから』「……生き物には規格(スケール)の定義がある。生命は全て等価値、というのは些か無理がある。それは個人的な心情や道徳の問題ではなく、生き物としての完成度、どれだけ優れた生物か否かという点において、優劣があることは否めない」
「まだるっこしい。しつこい男はわたし嫌いでーす。程よくこっちを酔わせてくれて程よくこっちを愉しませてくれる人が好き。あ、後腐れがないのも大事ですね。しつこい男はいや」
「その年で?爛れてるなぁ……。……ともかく、だからこそ俺は思うんだ。別に、君とその他の傷は等価交換できないんだろうなって」
白い花が咲き乱れる。それだけなら先程と同じだ。だが今回違うのは咲き誇る範囲。地面は勿論だが、それだけに留まらずに壁、空中、はたまた服の上にまで咲かせて見せている。たった一人を狙うだけなら、いや、ルナを合わせた二人だったとしても、ここまでの規模は過剰すぎる。
「たとえば君のお腹に俺が穴を開けたとする。そしてその傷は、小動物とか、草花とか、そのレベルに完全に移し切れるのかなって話。多分微生物とかは最初から繋いでないだろうしね。繋ぐ旨味がないし」
「……回りくどい。だから何です?」
「とりあえずストックの方から削っていけば問題ない。虫とか植物とか、移すにも多少心許ないような生命体は放っておいていい。そういうこと」
地面に倒れる音がする。生命が斃れる音がする。生命が尽きるその瞬間を、今、私たちは実感している。ウキの異能に捕まった鳥や小動物が次々にこと切れているのだ。身体の内側を食い尽くされて。糧にされて。白い花は赤くなって。
「さ、おいで。君が取れる手段は短期決戦だ。どうせ、一つずつ殺していくだけでも君の身体には負担がかかるんだ。ジリ貧だよ」
「……わたし、あなた嫌いでーす」己と他の生命を繋げること。それがどれほど危険なことか、というのは誰でもわかることだろう。リンクを繋げることにも負担がかかるのだから、それを強制的に切断することでさえ大きな負担がかかるのも明白だ。つまり、自分に繋げた生物が外的要因で死んだ瞬間、リムの背負っている突然死の危険性は跳ね上がる。それはいい。リムにとって己の死は望んだことだ。彼女の人生においてそれは夢であったから。それこそが願いだったから。
……ただ、ここにはルナがいる。せめてルナを守り通してから自分の願望は叶えるべきだ。そのためにも時間を稼がなければならない。ルナがここから去る時間を。万が一にでもチャンスがあるのであれば殺してしまってもいい。それならそれで、わたしはここで死ぬ運命ではなかったんだろう。またいつか死.ねばいい。命は限りある尊いものだと、どうやらわたし以外の人たちはそうらしい。だから、わたしの自殺には巻き込まない。わたしは誰かを不幸にしたいわけじゃない。もう、誰も切り捨てない。死ぬときは、ひとりがいい。
「手荒く行きましょう。激しくしてあげます」
「なるほど、おいで。ハグしてあげる」
数本の短刀を縄に括り付けた上での投擲。ウキを狙ったものではあるが、命中するとは到底思っていない。避けられるのもわかっている。本命はその先、投げた短刀の行く末だ。
「地面に刺さって……結界か」
「あったり〜!」
その動きはまるで蜘蛛の如く。張られた縄はウキの脱出を拒む呪詛の結界となると同時に、リムが飛び回る足場の巣になっている。縄を踏み締め跳ね跳んで、さらに高い場所に張られた縄へと足を引っ掛ける。鉄棒の要領でぐるりと身体を回転させてその勢いのままウキの後ろへ飛び移るそれは、おおよそ人の取る動きではない。あまりにも立体的な動き、互いの動きの読み合いを主とする対人武術を想定されていない動き方だ。「七夜もどきの動きはやめておいた方がいい。浅いぞ」
「ガッ……」
その程度で崩れるようであれば、彼はそもそもこのような裏側の世界に身を投じていない。元々が一般人の身でありながらこの世界を強者として戦い抜いたのは、鍛え上げた技があるからだ。それを証明するように、リムの腹に深々と右脚が突き刺さっていた。しっかりと捻りを加えられて叩き込まれたソレは、いとも簡単にリムを吹き飛ばす。間髪入れずに叩き込まれた左脚で、リムをそのままバウンドさせながら。
「まだ、まだぁっ!」
「無理やりか。俺とパスを直接繋ぐのは危険だからな。俺と周りの奴らをつないで、その分の傷を動物に押し付けてそれをこちらに移している。それはストックを余計縮めるだけだぞ……っ!」
天高く空を飛び舞うリムの姿は格好の的。もちろん衝撃波で身体を何度も何度も撃ち抜かれるが、だからといってそれで止まるような女ではない。むしろその傷を無理やりウキに移してでも止まらない。止まるつもりがない。
身体に穴が空くのを受け入れながら、縄をウキの首に縛り付ける。咄嗟に片手首を差し込んで完全に極まることは抑えたようだが、それでも絶対的な体勢の有利は覆らない。一度拘束したのであればそこから如何様にも出来る。どれほど武術に優れていようと、人のそれを超えた膂力でもない限り切り抜けることはできない。
「甘い。全体的に甘い。人にも魔にも中途半端に対応したどっちつかずで俺を打倒できると思うな」
「っ、あっ」
「ここで殺.す。俺は力を見定めるために手加減はするが遊ぶことはしないからな」
詠唱は喉を絞めて封じた。刻印での自動魔術や異能の使用だって縄に込められた呪詛で封じれる。ただ、それはあくまで魔術師や混血の話。超能力の脳のチャンネルには関係ない。指を鳴らすだけ、それだけで首と縄の間に衝撃を引き起こす。少しでも隙間が開けばこっちのもの。スルリと蛇のように抜け出し、そのままリムを掴んで投げ倒す。その流れの間にリムの身体に五発は衝撃を打ち込める。そうして受け身を取らせる間も無く叩きつけた後は、ゆっくりと指を向けて詰みだ。「……頭を潰してもその呪詛の術式は維持できるのか?」
「試してみます?」
「ああ。試して損はない」
なるほど、自分の運命はここで終わりらしい。どうやら本当に、ここで死ぬようだ。……ならばせめて、死ぬ前にルナを逃がしてしまうべきだろう。魔術師は霊的抵抗を持つ者たちが多い。しかしまあ、死ぬ間際に呪言と呪視を組み合わせれば、特大の呪いとして操れるだろう。その呪いでウキを抑えながらルナの足を動かして逃げさせる。そうだ、そうしよう。それがいい。そうと決まればゆっくりしていられない。頭部を潰される前に自分で自分の心臓を突いて─────
「月がきれいで 星がきれいで 見上げる夜空に 火が灯る」
「「なっ────」」
爆炎。地に伏しているリムはまだしも、ウキに関しては明らかに致命傷となりうるほどの爆炎。照準が定まらない、命中しないだなんて欠点は意味がない。なぜなら辺り一帯全てにばら撒かれるほどの火力と連射速度だったのだから。ありえない、先程までのルナ・アードゥルという少女ではまずありえないほどの完成度だ。ただ、魔力のゴリ押しで擬似的に実現はできるだろうが、それほどの魔力を彼女は持ち合わせていない。「リム!……よかった、無事だ」
「ぁ……霊体化、解けてる。そっか、霊体だから、その灯明魔術の余波で……というか、なんですか、それ。まさか噂に聞いてた吸血鬼化……」
「違う違う!その、マヴとリンクが繋がって。魔力の支援をしてもらったから……それでがむしゃらに撃ちまくっただけ……って、嘘」
吹き飛ばした男が立ち上がっている。身体中に咲いている赤い花が、その傷を治している。身体中に広がった火傷や孔が瞬く間に塞がる。この戦いの中で溜め込んでいた生き物たちの血を全て消費して、ウキはここに立っている。
「……アルターエゴと君の間にはそこまでの縁はなかったはず。期間が足りないはずだ。……いや、そう、そうか。ウルフィルトだな?」
「え?な、なにが……」
「……なんだ、もう贔屓してるじゃないか。俺が見定める必要もなかったな。じゃ、帰るか。……帰るけど、最後に一言。そっちの代行者の腕は素晴らしかった。素晴らしかったが命を投げやりにしすぎている。それじゃあウルフィルトは殺.せない。そして魔術師ちゃん。………良いタイミングだった。よくあそこまで黙って瞑想し続けられたものだ。おめでとう、君たちの勝利だ」
パチリ、と指を鳴らすと共にウキは消えていく。……正確には、消えていくと誤認するほどの速度の衝撃でこの場を去っていく。追いかけることはできないだろう。ルナもリムも疲弊している。マヴの支援も無くなってしまったから。屋敷の呪いのカーテンも解けた以上、問題は解決したと捉えるべきなのでそれほど困ってはいないが。「………また、死.ねなかったな」
「やっぱり、死にたかったんだ。みんな居るのに」
「ええ。………生きてる意味、ないですから」
なんかもう、許せない。確かになんか凄い、自分でもびっくりするぐらい普段よりもかなり遠回しに伝えてはいるけどそれでも気づいてくれないのが許せない。この顔を見ろ、この表情を見ろ、割と怒ってるのがわからないのか。わからないんだろう。ならば伝えるしかない。
「私は、あなたに生きていてほしい」
「………そんな、まだ出会って三日ぐらいですよ?」
「だから何?確かに関わった日数は大事だけど、それでも、さ。関わった内容の濃さでも関係性は変わるでしょ。少なくとも私は、あなたにそれだけのことはあったと思ってる」
「…………えぇ?」
「出会ってすぐの親睦を深めるためとかいった飲み会も嫌いじゃなかったし、遺物を回収するときのサポートで私のために色々守ってくれたのは嬉しかった。それにほら、あのウキって人との殺し合いで身を張ってこっちを庇ってくれたのだってそう。それぐらいわかる。わかるに決まってる」
真摯に見つめるこの視線を、わかってもらうことはできるだろうか。理解してくれているだろうか。その虚ろな酔った目に、私はどのように映っているのだろうか。こういう時、もっと魅せるのが得意な人だったらまた違ったんだろうなと思う。少しは話術の練習でもしておくべきだったかな。いや、してもそこまで上手くいくかはわからなかったし、そうでもないか。「私は、あなたが死ぬのは悲しいよ。私だけじゃなくて、他にもたくさんいるんだと思うよ、そういう人」
「………本当に?」
「うん、本当に」
「……そう、ですか。そう、なんだ。……ふふっ、そっか。それだけで、よかったのか」
青空に、悟ったような笑い声が響く。爽やかに、ひとつの答えがリムの胸を満たす。なんて清々しい気持ち。満足して、だからどっと疲れて……ルナの心配そうな目もくれずに意識がだんだん落ちていく。けれど、不安はありません。ルナのおかげで、自分がどうしたいのか、答えを得たから。
『わたしを快く思ってくれている人がいるのに。わたしはそんな人たちの思いを踏み躙って、勝手に一人で死ぬわけにはいかない。身勝手な感情で死.んではいけない』
だから、そう。精一杯報いるべきだ。命を懸けて、誰かのために戦おう。その末に死のう。そうだ、それが良い。わたしはずっと、誰かのために死にたかった。やっと言えた。やっとわかった。これがわたしだ。これがわたしの出した人生への結論だ。
あの日も、あの雨が降る中、彼に言われたじゃないか。あなたを思ってくれる人がこの先きっといるし、死ん.でしまった家族も思ってくれていた。だからキミは、そんな簡単に命を粗末にするべきじゃないって。そうだ、その通りだ。わたしの命はわたしだけのものじゃない。みんなのものだ。
『決めました。わたしは、誰かのためにこの命を捧げます。独りよがりの自殺じゃなくて、わたしの仲間のためにわたしは死ぬのです。そういう死に方がしたいのです。ありがとう、ルナさん。わたしに命の使い方を教えてくれて。
……もしあなたに危険が迫った時は、それこそわたしがあなたに恩返しをする番です。あなたを守って死ぬことこそが、わたしの何よりもの悦びです』リガヤプロをようやくWIKIに登録しました。
セルフQ&A
Q:タララーワはともかく、何でリガヤプロとバイディワは旧姓をミドルネームにしてるの?
A:フィリピンでは基本的に母方の姓をミドルネームとします。女性の場合、結婚するとミドルネームが旧姓に変更されます。タララーワの場合、両親が親戚かつ同姓だったのでミドルネームが不要でした。リガヤプロはタララーワが未婚のシングルマザーだったのでそもそも結婚するまでミドルネームの付けようがなかったのです。バイディワもリガヤプロが未婚で産んでいるため、彼女がベルムードと結婚するまで同じ状態でした。人蓑ssの続き書いてるので覚え書きも兼ねて書き置き
○人蓑ってどこに住んでるの?
→某県の弥一市という市です。県は決めていません。
具体的な位置は決めていませんがとりあえず本州なのは間違いないです。また三大都市圏(東京・大阪・名古屋)以外なのも確定です。都でも道でも府でもないのははっきりしています。
具体的に位置を定めていないのは、シュレーディンガーの人蓑の方が「いや、この距離でどうしてここに来てるんだよ」という突っ込みを回避できて便利だからです。
余談ですが人蓑祐輝は母親の実家のある弥一市で産まれ、幼稚園までこの市で過ごしたのち、小学校時代を日本及びごく短期間海外で過ごしてから中学校の3年から弥一市に戻ってきたという経緯があります。
両親の馴れ初め、お嫁に行けなかった母親、引っ越しラッシュの原因、現在高校生で一人暮らしであること、これらには設定があるので、今書いている話が終わったらその話も出せたらいいなぁと思っております。あ、忘れてましたが竹葉灯理も同じ市(同じ高校)です。
まあこっちは別に必ずしも全ての世界でこの街で生活している必要はないのでファジーで構わないのですが。夜明け前のキャラ四方山話
ブファスを創りだしたのは炎と破壊を得意とする古代の魔術師なんですが、周りからは「ぼんやり屋だけど誰に対しても穏やかで、いつも空ばかり見上げているロマンチスト」と言われる人間でした。
しかしブファスは知っています。
「ぼんやり屋だけど誰に対しても穏やか、というのは人間……そして地上のものに興味がなくどうでも良いとしているから」
「いつも空ばかり見上げているロマンチスト、というのはいつか自身の手(魔術)で天をも、宙をも焦がしたいと睨んでいたから」
バベルの塔を築き上げた人間たちの如く傲慢で、燃え滾るような目を持つ創造主だったとブファスは知っています。
_(:3」∠)_「そんな魔術師を知る我から見れば、後世の人間どめなんぞ温い緩い(フンス)」>>539
出ちゃいます、出ちゃいます。ホテル聖杯戦争参加者みんな回想もどきの白昼夢見ます。何故でしょうね…
ルナちゃんはこういう風に猪突猛進だから色々触れていくのにとても良いのですよね。ご飯食べてほしいのは本当にそう。厚子夜ホテルの料理をいただけ、ルナちゃん…
>>540
何回かの更新と忙殺からの長期未更新を何度繰り返したことか…ひとまず今は落ち着いてるので6月までにはなんとかしたいです。
偉大な母/父を持つ、ある意味二代目コンビなセイバー陣営はそれ故に分かり合えている部分も大きいですね。他陣営の仲も書いていきたいです
>>542
グランデ「まあ、怖がられちゃったわ…ふふ」
無垢な少女のクスクス笑いでしか得られない栄養が欲しかったので…Requiemさんにもライダー陣営のライダー陣営故の栄養を早くご提供したい…滾れ私…
>>544
なんとなくルナちゃんは眠りが浅そう(今回は気絶だし)なのと好奇心で身体を管理してそうなので…
そうですね、あと少し…誰が他に来るか予想しつつお待ちくだされば
>>558
十兵衛は直接はわからないけれど、グランデの誘惑に屈さず刀を手放さなかったってのもなんかこう愛刀経由で(?)わかりそうなので、いい関係になってるんじゃないかな…とあとホテル聖杯戦争の参加者の出身地はヨモは長崎県島原市、正三は広島県尾道市。西日本が多い。
そして今回三組のサーヴァントによるマスター担ぎがあったのですがコレ三者三様で
碓井貞光withヨモ→片手抱っこ的な
カール4世withルナ→お米様抱っこ。画像の③
柳生十兵衛withカトカ→小脇抱え。画像の④
碓井さんはそこら辺ちゃんと抱えてくれそうだけど皇帝サマとサムライは急いでるってのもあって割と雑そうだと思ってます
>>514
初っ端からみみっちくもいやらしい意地悪されちゃってるなぁセダムくん…貴族主義の庭でガブリエール家の人間がって考えると全然おかしくないけど…
しかしそんな中でも不思議な縁が生まれたようで、これからの学校生活がじめっとしたもの以外の色も生まれたようで嬉しいですね、セダムくんの健気さは報われてほしい…
>>556
えっマヴさんアルターエゴ…!?“霊基”って言葉も使っているし、ウルフィルトさんもしかして人造のサーヴァントを妖精ベースで作った…?
そしてウキさんの最後まで崩れることのない強者感。忠告などもしてくれて、その分彼の言う「殺.せない」がとてつもない絶壁のようにさえ思えてくる…
ルナちゃんの真っ直ぐさは人を穿ちますね。二人の関係も進展と変化が生まれましたが、これが凶と出るか吉と出るか…>>556
ルナはほんとそういうところよ……普通もうちょっと遠慮したり遠回しに伝えるどころかそもそも伝えられるかわかんないところをそんなストレートに……ほらーリムさんがなんか進んじゃったじゃーん!
カナリアさんもそうだけどなんでこう不安にさせてくるんだ…やめてぇ生きてぇ
>>560
ほうほう、じゃあ日本ならどこへ出しても違和感ナシと…
>>562
ふわーお超傲慢…みたぁい…
>>564
ヨモちゃん長崎出身!?この前長崎行ってきましたよ私!イルカと触れ合ってきましたよすっごい偶然!
時計塔ではこういう場面の方が多そうですからね…正面から敵対されないだけまだマシ…
まだまだ苦労することいっぱいでしょうがたまによく笑っていてほしい>>558
前向きにはなりましたね
>>564
あくまで主題は「Fate」なので!
ウキはそういうとこ真面目なタイプです。だからウルフィルトとの約束も履行したので
>>565
ルナちゃんの後押しのおかげで前向きな死にたがりになれました……
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/異聞%E3%80%82吸血鬼と妖精女王
更新しました。上から順にこんな感じに更新分放っています
「親睦会ってこれでいいのか」
「歪み、捻れ、壊れる」
「敵わぬ壁、叶わぬ夢」
「意地っ張りのあなたたちへ」
「どこにも行けない惨めな鳥よ」
「独り善がりで今から飛びます」エミリー・シモン氏は他にもグランデ感を個人的にビンビンに感じる曲(「Flowers」やカバーになるけれど「I wannabe your dog」など)が多いです。サイケデリックフレンチロリィタァ…
でもせっかくグレーヴェンマハ家ドイツにしたんだしいい加減ドイツ詩からも色々拾っていきたいなと思いました、まる今現在、うちのアイドル共のアイドルコンビ結成秘話を作成中
ちなみにリンネは通りすがりのドS師匠吸血鬼のスカウトで「………みんなを愛したら愛される?なら、うん。やってみてあげてもいいよ、俺」という感じ
逆にシャルルは自分から「僕ってすごいキラキラしてるじゃないですか!だから僕ってみんなを惹きつけるアイドルになれると思うんです!」と激しい売り込み>>565
子が子ならば親も親なのだ
私も見あたい!()>>574
ぶっちゃけヨモは設定+「せっかくだしルナちゃんの友人系にしたいなぁ」という作り方で、となるとルナちゃんのモチーフであろう夜に何か関連づけたい…でも朝は安直というか設定とちょっと合わないな…
とか色々考えた末に夜と合う(雨夜って言葉もあるし)、名前(お先真っ暗ならぬ四方真っ暗)も雨なら降れば暗くなるからモチーフとしてちょうど良い!となった次第
性格とかはこの後に出来ましたので、雨モチーフの大人しめで繊細な感じ、鬱屈、でも害ばかりの存在ではないという具合に整えていきました。
>「誰が私の夜を占めていますか」
ふふふ、実は自分も作った後「そういや雰囲気だけで決めたけど詠唱や描写で使えるかな〜」と思って調べてコレ狙いすぎにならないか…?となったり。奇遇はここにもあるのです…そしてホテル聖杯戦争の続きを投下したく存じますますマスタング
黒くなったので行きますますマスクメロン
【前回までのあらすじ】
>>529をば◇蔵辺 廣────2階渡り廊下
◯月×日
今日も良い天気で気持ちがいい。朝からミツとヒロと一緒に厨房で働いていたけど、ミツの料理の嗜好には本当に困る。質よりも量が好きらしく、あまり美味しくないものを量産している感じがする。でも、ヒロはあまり口を出さないから、料理が合わなかった時はオレが文句を言うことにしている。
午後からは天留さんがフロントを担当していたので、ちょっとだけ手伝いに行った。天留さんはとても人見知りだけど、フロントでの接客は上手で安心して任せられる。
そうそう、阿奈も少し手伝いをしてくれた。彼女は将来ホテルで働きたいと言っていたけど、時々自分より詳しいことがあって驚いた。職を取られるかも…なんてことはさすがにないか。
◯月×日
今日は疲れがたまっていたせいか、朝から頭痛がひどかった。
薬を飲んで気を紛らわせながら仕事をしていたら、折外さんが「今晩は天文ショーを見に行くから、一緒にどうかな?」と声をかけてくれた。天文ショーは今夜限りのもので、天文学に詳しい折外さんから説明を聞きながら星空を見たいと思っていたので、とても嬉しい誘いだった。
それにしても、折外さんの星に対する情熱が凄すぎる。ショーの前に、旧館で天体観測を楽しんでいたけど、折外さんの話を聞いていると、星空にもっと興味が湧いてくる。星座の名前を覚えたくなるなんて、とても新鮮な気持ちだ。
「あれがベテルギウス、あっちがアルデバランでその隣にスバルが…」なんて話されてもオレたちにはどれがどれか見当がつかなかった。まるで、折外さんは星一つ一つを生で見ているみたいだ。>>578
◯月×日
また二人がパンかご飯かで揉めている。バカ舌なお前らじゃどっちも大差ないだろと言ったらこっちまで巻き込んで品評会を始めようとした。その情熱はなんなんだ…。
結局、折外さんが話があると言うので品評会はなしになった。でもその話の内容がまだよくわかっていない。魔法と魔術は違うらしいし、偉人が来るとかなんとか。ミツなんかはワクワクしてたが、そんな人の前でヘマをしたらと考えると頭が痛くなる。
夜、志歩さんが中庭で歌を歌っていた。星に願いを、だったっけ。知っていたからそう伝えたら、一緒に歌ってくれたら良かったのにと言われた。でも、志歩さんが歌っていたらみんな聞く方に回ると思う。
何か歌ってみてよと言われた。緊張したけれど、宮沢賢治のアレ(名前忘れた、星のやつ)を歌った。歌い終わったら志歩さんがいなくなっていた。あの人のことはまだいまいちわからない。
◯月×日
頭が痛い。甲高い絶叫が、この頃ずっとずっと頭の中にいる。薬をいくら飲んでも治らない。二瓶あっても全部なくなった。また坂下さんに行って貰わないといけない。でも、今度はもっと強いのを頼まないと。
なんでか今夜の月は、気分が悪くなる色をしている。ミツとヒロと一緒にオルロイさんの部屋にこっそり行った。バレたけど。あの人は良い人そうだ。明日の仕込みも済ませておきたかったけど、起きていることが苦しくなって、寝た。
眠れない。早く寝ないと明日…今日に響くのに。目を閉じたら、変なのが見える。青くて丸い何か。見てると神経がイカれそうになる。
そういえば、お客様の中にお医者さんがいるらしい。遊糸さんだったっけ。行ってみようか。こんな夜遅くに申し訳ないけど、もう限界だ。
ノートの一番新しいページにはそう綴られていた。変に角ばっていて、右肩上がりなこの字はホテルのスタッフが見れば皆が研二のものだと判別できるほど癖がある。>>579
そして、幼馴染として彼をよく知っている満や廣が見れば、その字と文章に彼の不安や歪みが溢れていることを察することができる。
日記と思しきこれを、二人は彼のベッド付近で見つけた。部屋の違う普段であれば見つけられなかったが、私的なこのイベントに際して三人で一つの部屋を使うことが許されたから見ることができたのだ。
正直言って、これを読んだ時廣は恐れや心配よりも苛立ちをまず覚えた。なんで言ってくれなかったのか。この頃ということは今までにも偏頭痛の重症化はあったということだ。昨日以外でも頭痛が酷いという日はあった。
自分は医者じゃないから医療知識もないし、頭痛持ちじゃないから痛みに共感してやることもできない。だけど、けれど、そうじゃないだろう、と、滅茶苦茶で馬鹿みたいな苛立ちがあった。
なんで気づけなかった?自分は二人をよく見てるつもりだった。一緒に笑って、一緒に愚痴言って、一緒に疲れて怒って泣いて。何もかも完全に一緒にはなれないけれど、せめて共有する心は一緒でありたかった。
だから、誰かが笑ったら自分も笑えるように、誰かが不満そうであったら自分もぶーたれるように、誰かが走り出したら自分も連れ立つように二人を気遣っているつもりでいた。自主性がないとか言われるかもしれないが、少なくとも廣にとっては、三人でいるのが一番好きだから。
なのに、わからなかった。廣は今、研二が何を考えているのかわからない。銃を握りしめる彼を、人を殺してしまったと言う彼を、怖がってすらいる。
対して満は、そんな彼に今もしきりに話しかけては励ましている。けれども、やっぱり満も親友の殺人なんて信じたくはないようで、
「なあ、何かの勘違いだったんじゃねぇの?そんなモノ持ってるから」
と間違いであることを願っている。それに研二は首を振って、俯きがちに震えた声で答える。
「いや、オレは…確かに撃った」
「誰だってそんなの持ったら撃った気になるだろ」
「なら弾を見てみろよ、一発ないはずだ」
「見方なんてわかんねぇよ。それに本当になかったとしても、元からかもしれないじゃん。そもそも、それ模造品とかじゃね?」
「違う、本物の銃だ」>>580
「最近のはすごいって話だし…」
「本当だって!」
研二の怒鳴り声に思わず身体が強張る。怒らせてはいけないとつい考えてしまう。そんな自分たちに気づいて彼は苦しげに「ごめん」と呟いた。彼としても精神的に限界なのだ。
沈黙が数分間も持続する、というのは仕事中を除いてこの三人にはまずあり得なかった話だ。友人との会話というものはそう簡単には途切れない。また途切れても苦痛なものではない。それなのに、今続く無言は廣にとってはこんなにも痛々しい。
「…もし、本当に撃っちゃったとして、それは何で?」
「…!お、おいヒロ!」
「だ、だって、研二クンが…本当にやったなら、絶対何か理由があるだろ?」
「でも…」
「………あぁ。ある」
あくまで研二は人を殺してなどいないと主張する満と、殺人は起きたと仮定した上で理由を求める廣の言い合いは、研二が躊躇いがちに口を開いたことによって中断された。二人同時に研二の方を向く。
「行ってみて…そしたら、鞄の、中に…」
「鞄の中に…?」
「…盗っちまって、でもあんまりで、さ、置いてきちまった…」
「どこに…いやそんなことよりも。その、ヤバいもの持ってたからやったてことか?」>>581
「…どうすればいいかわからなくて。それで出て行ったら、扉が開いて…バレた、と思って」
その時だった。窓ガラスを震わすほどの警報音、何度か避難訓練などで聞いたことのある音がオルロイさんの救援を求める声と一緒にどっと流れ込んできた。
1階食堂、といえば廣と満が元々避難していた場所だ。二人以外にもたくさんのスタッフが逃げ込んでいた。そこが襲撃されている、ということは────
「みんなが危険だ…!」
三人は1階へ向かうことにした。自分たちで何か出来るわけではないが、それでも行くべきだと感じた。また、食堂に残った皆のことを考えると、行きたいとも強く思った。
ちょうど、4階の瓦礫の山が危ないからと2階へ移動していたのだ。エレベーターが使えるかは不明だが、階段を使えばすぐだ。そうやって、東館から廊下を伝って階段へ出ようとしていた途中、急に研二が足を止めた。表情が固まっている。
「どうしたケン、早く行かないと…」
「なんで」
「…?」
「か、階段に、階段に…なんで、生きて…」
そう促されて階段を見て、二人も愕然とした。
薄暗がりと古びた照明の光とで、夢のようなぼんやりとした空間とさえなっている階段。そこに、遊糸様がいた。おそらく彼も先から鳴り続ける警報を聞いて、1階へ下りるのだろう。やがて白衣が見えなくなった。
そう、遊糸様。研二が、“あんまりなもの”と形容するものの持ち主にして、銃で撃ち殺したという、彼の男が。>>582
◇伊佐那 義頼
サイレンがいつまでも、いつまでも闇夜にけたたましくこだまする。熱のこもった女の、絶叫にも似た館内放送が響いてもう随分経ったが、警報は切り忘れているようだ。或いは、それも忘れるほどか。
内容は漠然としていて、報告したのが聞き覚えのない声というのもあって信頼性は低い。迫真の演技を伴った罠であると捉えられても無理はないものだ。食堂へ向かう者、向かわない者、様々だろう。
義頼とエドワード黒太子は当初は静観に徹しようとした。だが、黒騎士たちの使役による情報収集も捗らない現状を鑑みて、またはその心に宿る騎士道の精神によって、エドワード黒太子は自身が食堂へ助太刀に行くことを義頼に提案した。
「僕は、敵情の視察も兼ねて向かおうと思う。マスターには黒騎士を何人か侍らせておく。構わないかい?」
「不服はない。だが…」
「何か、気になる事が?」
「いや。ただ、お前がそれだけのために向かうようにも思えなくてな」
「…それは、僕を買いかぶりすぎだよ。僕は騎士であるけれど、同時に王であり軍略家だ。勝利のために動く存在だ」
「それは当然理解している。しかし、王であり軍略家であると同時に、騎士でもあるだろう」
「まあね」
「ならば、先程の放送にも思うところがあるだろう」
「…そう言われると、何も言えなくなるな。そうとも、そりゃあ、騎士だからね」
彼と交わした言葉を思い出す。戦場へ向かう背を見て、彼の英雄たる所以を強く悟った。義血と勝利への打算は両立する。両立させるからこその英雄なのだ。
さて、そんな彼が今ここに居れば、どういう風に行動するか。義頼は己の置かれた状況を冷静に振り返る。そしてその一環として、眼前に佇む一人の男の姿を確認してみる。>>583
自分と母国を同じくする人間のはずだが、身長は日本人の平均値よりはるかに高い。スーツを着崩し、視線を窺わせないように両眼をサングラスで覆い、不敵に笑っている。灯り一つない空間で、その姿は巨大な、そして獰猛な黒猫のような────何故「獰猛な」という形容詞を使って猫と言い表したかは、彼自身理解が及んでいない。謂わば直感的表現である────そんな、警戒心を抱かざるを得ない男。
「そう睨まれたって、僕を怯ませたってどうしようもないくらい知ってるでしょう」
「…どうだかな。お前がこの異常事態の元凶であると考えている奴は、少なくないはずだ」
義頼の思量は尤もなものであった。何せ相手は増渡光来、この聖杯戦争の主催者なのだから。この男が聖杯欲しさにこんな手の込んだ異常事態を引き起こし、聖杯を独り占めにしようと暗躍しているとするのは、情報の不足している現況では最も有り得る考察である。
しかし、それを聞いて増渡は心外だとでも言うように、児戯を見せつけられた性格の悪い大人のように一笑した。暗闇でも、不思議に彼の表情がくっきりと目に映る。
「それは、どうにも随分横道に引き入れられていらっしゃる。情報の欠乏、それに伴った誤謬ですか、そんな下らない意見を促したのは」
「お前を怪しくないとするのは無理な話だ。もし仮に無実の者であるとして、何故こうも悠長にしていられる?それに、お前は俺がアーチャーと別れた後で見計らったように姿を現した。疑わないわけにはいかないだろう」
「悠長?勘違いは止してください。僕はこうするほかないんだ。今だって、できる限り早急に貴方に話をつけたい。あまり姿を晒すわけにはいかないんです」
「詭弁に思えるな」
「寸暇を惜しむ思いなんですよ。こちらとしても訊きたい。どうなんですか、やってくれるんですか」
舞台上の役者の挙動のように、わざとらしく落ち着きなく増渡は義頼に問いかける。自分はのらくらと煮え切らない答えばかりしておいて、なんとも胡乱な様である。
だが実際、軽々に相手の胡乱さを理由にして突っぱねられるような話でもない。もし彼の言葉が真実であるのなら、ではあるが。>>584
「そもそも、僕がこうして貴方に直談判したのも無闇に事を為せないためですよ。調査は今までにもしてきたことでしょう。それを、もう少し部分的に突き詰めて欲しいってワケですよ」
「部分的に、というのが胡散臭い。そこに注意を向けさせておく策ではないか」
「否定はします。それ以上は貴方次第ですが…ただ、応じてくれるならそれなりの対価を払います。貴方の欲する情報も必ずある。約束しますよ」
「そう言うなら、お前がやれば良いじゃないか」
「わ…僕じゃ目立ちすぎる。貴方一人であれば、まだ意識も向けられていない。アーチャーと別れた後にこの話を持ちかけたのも、注意が向かないためです」
「…意識、注意、目立つ…まるで誰かに狙われているような言い草だな」
「狙われているなんてものじゃない。とにかく、僕は貴方くらいにしか託せないんですよ…流石に、喋りすぎたか。ここらで失礼しますよ」
そう言って足早に去ろうとする増渡を呼び止める。義頼はこれまで以上に確認しておきたいことがあった。
「おい。訊きたいことはまだあるぞ。いや、一番訊いておきたいくらいだ…この聖杯戦争がもし解決しないなら、と言ったな」
増渡は足を止めて振り向く。笑みは消えていた。口は真一文字に結ばれ、サングラスの下から赤黒い眼光がこちらを射抜くように注がれている。冗談やまやかしは寸分も見受けられない、儼乎たる面持ちだった。
沈黙は長くは続かなかった。義頼の方へ向き直った彼は、少しの逡巡を表すように寸刻俯き、だが最重要命令を下す将軍の如く峻厳な顔つきを作って、口を開いた。そして以下はNPC紹介
増渡 光来(ふえど こうき)
性別:男性
年齢:42歳
亜種聖杯戦争の主催者。厚子夜峰の霊脈に目をつけ、知人である明を通して聖杯降臨の儀への参加を呼びかけた。
彼自身も魔術使いであり、占星術を用いた占い師として市井に溶け込み生きている。
厚子夜峰の麓の出身であり、その不可思議な地脈をいち早く感知し利用する算段を立てていたとされる。また、その特異性にもある程度調査をしていたようだ。
明とは親同士が友人という繋がり。先輩風をよく吹かしていたが、高校で遠方に引っ越してからは久しく疎遠であった。
【『二人と交叉路~パルランテ』より情報開示】
亜種聖杯戦争開幕日に、明によって焼死体で発見された。
遺体は火傷による損壊が激しく、人物の判別さえおぼつかないような状態であったらしい。
現在は発見現場とは別の場所に安置されている。
画像はビジュアルイメージ(「ニル・アドミラリの天秤 クロユリ炎陽譚より」)全然作品を更新出来てないので何とかネタを作ってみようと思います。最近、ハリポタが自分の中で熱いので自作サーヴァントがボガードに出会ったら何になるか!考えてみました。
在原業平『年老いた自分』
(愛する女性との障害を乗り越えるだけの若さが自分にはないと自覚した時期)
厩戸皇子『帝になったIF』
曹操孟徳『早死にする自分』
(人生を味わいつくさず死ぬことは嫌だという思考)
エドワード黒太子『請求書の山』
イオラオス『神罰』(人が抗えるものではない)
スブタイ『天災』(人が抗えるものではない)
マルクス・ウルピウス・トラヤヌス『なし』
(偉大なる皇帝として純化したことで恐怖など感じないのでその時に最も警戒する敵の姿に変身する)>>597
過ぎたのでそれでは。
ツキオカ家”そのもの”は確かに何の変哲もない一般家庭である。
生後間もなくのリディアは、10歳の誕生日を迎えられるかどうか分からないほどに病弱であった。
両親が藁にも縋る思いで、以前から現代医学でも根治出来ない病気を治せる料理を作れると噂されていた伍桃夢に頼み込んだことで、彼女が作った強化薬膳粥により救われた。
しかし、短命を強いられるほどの病弱を治すというのは即ち肉体そのものを強化することと同義で、代償としてリディアはミオスタチン関連筋肉肥大に近い体質と、筋力を筆頭に神秘抜きで常人を上回る体力とそれに余裕で耐える骨、そして父方の血筋に由来する『残滓』が覚醒して形成された魔術回路を併せ持ってしまったのだ。
この魔術回路こそ、桃夢がリディアに魔術を教えることになった要因である。
つまり、彼女が魔術回路を得た切っ掛けである突然変異は偶然とはいえ人為的なものだったのだ。
更に言うと、『残滓』の出所も先祖がアメリカに移住する前に結婚した女性である。
その女性の実家は当時、廃れて間もない元魔術師の家系であり、先祖が彼女と結婚したことでツキオカ家はその家系の遠縁の分家となった。>>598
件の家系の名は『禅城』。
女性は配偶者の血縁が持つ潜在能力を最大限引き出した子を産める、特異体質となる家系。
そこの血縁だと発覚したら最後、殺し合い前提の奪い合いすら起きかねない驚異の血統。
ツキオカ家は日系アメリカ人の苦しい歴史的背景のせいか代々一人っ子で、女の子もリディアが初めてだったため長らくこの事実は意味を成さず、それ以前にツキオカ家でそれを知るものは今までいなかった。
故に、ツキオカ家自体は何の変哲もないのだ、その血を引く女児以外は。
リディアは自分の体質を、知っている。
『本家』から、冬木の魔術師に嫁いだ遠縁の女性(友人である件のルポライターの幼馴染でもある)とは両親共々面識があり、彼女に誘われて来日した際、遠縁の女性の夫である魔術師がうっかり教えてしまったからだ。
その事実は、リディアの心に楔となって深く突き刺さっている。
望まぬ結婚と望まぬ妊娠に対する強い恐怖と嫌悪感を植え付けてしまい、幼少期の経験で培われた好戦的・暴力的な性質を強化したほどに。
以上です。
結構な泥向けのネタになった。
リディアにとってはたまった物じゃないけど。ちなみに坂下さんっていうのは別に新キャラとかではなく厚子夜峰の麓の町のお医者さんです。説明してた分が消えていたのでここで。
あとふと気になったのでお答えいただけると嬉しいのですが、「厚子夜」って皆さんどう読んでます?思えばルビ振ったことなかったなって
>>589
醜いがどこにかかっているのか…何を指しているのか…それがわかるのはもう少し先にございます、何卒お待ちください…
>>590
みんな大好き焼死体。火のないところでこれほどの火遁を…とか考えると見えてくるものがある…かも(胡乱)
>>591
我ながら一話で張る伏線の量じゃないだろとも思いました。でもピッチ上げてなるたけコンパクトにしないと、と…あと筆が乗ったもので。
今でも割とはちゃめちゃという事実ですが、これに輪をかけて、ということになるのかそれとも…?>>592
そう言ってもらえると嬉しいです。エドワード黒太子さんは今回はマスターの願いが願いなので私情控えめなんじゃないかな、と思いまして。
あっすみません…カール4世と対比組もうとして誤ってしまいました。wiki登録時に別な言葉(「戦士」とか)に替えておきます、ご指摘ありがとうございます…
>>600
霊的多重人格、主人格飽和の病弱少女ってだけだとちょっとキャラ薄い気がしまして…
そうその通り、朝だとライバルじゃねとなりまして。今ではいい具合に着地できたなと個人的にも満足がいっています。もっと言うと夜空を雲で隠しちゃうのも独占欲みを表現できて良いな…と。
ホラーみ感じていただけたようで何より…書く側としてはホラーに出来てるかいつも不安になっちゃうんですよね。3人は一般人代表としてまとも感性の辿る顛末に注目していただければ…
…勘違いでなければ結構なのですが、一応言うと日記の◯月×日っていうのは全部違う日付です、日付まで詳細に組むと後々自分の首を絞めてしまいそうな気がしたのでぼかしてます…
勘違いでなかった場合、折外は星が好きなだけですよ、大丈夫ですよ、たぶん>>604
どうぞ~!「あら、見窄らしい。ホームレス?」
「………怪物にも憐れみを向けられるような醜い捨て子です」
「そ。醜いなんて自虐できるならまだ余裕はあるわね。自分で自分に酔ってるんだもの」
見た目はどう見たって異質が過ぎるそれなのに。銀髪で、金眼の美少年だなんていうものなのに。その場にいる誰もが、彼を気に留めることはない。彼に特別な印象を抱くことはない。
“ああ、ただの浮浪者なんだ。こんなに小さいのに、こんなに雨に濡れて。ま、よくあることだよね。せめて別のところで死.んでくれないかな”
本当にその程度。ただやっぱり小さいから、まだ子供だから、目の前で死なれるとちょっと困るなぐらいにしか思わない。誰もその見た目に惹かれない。印象に残らない。あまりにも異質だ。けれど、誰も彼をそう認識しない。そう出来ている。
「リンネ・アスタム・ユスティングリー。アスタムとユスティングリーの二つの一族が企んだ同化計画で生まれた子供。紛れもない最高傑作で、人の域を超えている現代魔術社会の極点の一つ。……そう聞いたけれど、大したことないわね。無理な肉体改造で死ぬことがない、ぐらいが取り柄?」
「俺はむしろこれが自然でね。身体を変化させるのにわざわざ命の危険をかける一族の奴らの方が不憫でならない。わざわざ届かないお月様のために呪いで自傷してるアンタもどうかと思うけど」
「……へぇ?」女。雨が降り頻る寂れた夜道に似合わない女は、その口を三日月のように吊り上げる。黒と紫で彩られたドレスが、水滴を弾いてふわふわと漂う。周囲の影がおかしい。建物も、人も、影だけが生き物のように蠢いている。雨はさらに強くなる。風もどんどん強くなる。なのに、女は何も変わらない。影がまるで大きな怪物みたいに寄せ集まって口を開いて、少年を嘲笑うように、飲み込もうとしているように、口を開いて閉じることはない。
「聞かせて。殺しはしないわ」
「髪は眩いぐらいの黄金。かなり長いかな。うん、一本一本が透き通って実に綺麗だ。眼は紅。本当に見惚れるほどの紅だ。けど本質はそこじゃない。黄金、宝石、いやもっと上……虹?なるほど、噂に聞く月の姫。けどちょっと違う。女じゃなくて……男。そう、男だ。でもそれも少し違うかな。そもそも地球の区分で測って良いものじゃない。まさかエイリアン?……図星。なるほど、地球外生命体。御伽噺だと思ってたけど本当にいるんだね、朱い月のブリュンスタッド」
「見ただけで、わかったの?」
「わかりやすすぎる。けどこれはあくまで星の姫君を映し取ったもの。本当の彼の姿はちょっとよくわからない。見せてくれるなら、別だけど」
「っ、ふふ。ふっ、うふふふっ……あっはははは!!!」
これが最高傑作たる所以だ。欲あるもの、知性あるものの望むものを読み取るその有り様。それはリンネ自身の体に、魂に刻み込まれた魔術の効果でもあるし、それと同時に彼自身の観察眼でもある。些細な体の動き、表情、喋り方、そしてそこからの会話での態度や反応。その全てから彼は目の前の生命が望む欲望の正体を割り出す。どんな容姿で、どんな喋り方をして、どのような性格なのか。それらを完璧に割り出していく。
人の好感度を上げることにおいて、彼の右に並ぶものはそういないだろう。それほどまでに危険な毒、人類を蝕む天魔王のそれだ。「もしかするかも……と思っていたの。ええ、もしかしたわ。至ったのね、果てに。認めましょう、他ならぬ私が認めてあげる。あなたは西暦以降、彼の者たちによって生まれ変わったこの魔術世界での極点の一つ。一つの人類の神秘の頂点よ」
「……それがホームレスなんだから参っちゃうよね」
「仕方ないわ。アスタムの小僧も、ユスティングリーの宝石も、どちらもあれは人域のそれではないのだもの。生まれる一族を間違えたわ。一般人の家系にでも生まれていたら、すぐに至ったでしょうね。彼らにおいて魔術を学び適応させることは、自分に枷をつけているにすぎない。さらに極めればそうとも言えないけど」
リンネからしてみればどちらであろうと不快極まりないので別に今更どうということはない。ニヤニヤと笑いながら次代当主としての転落劇を笑い転げてバカにする目の前の女を、どうしようとも思わない。既に熱は冷めた。誰にも愛されないし、誰も愛さない。生きていく上で一番大事なものが彼には欠けてしまったから。
「さ、行きましょう。私はティム。ティム・ドルチェ。あなたに生きる意味を選ばせてあげる。行って嫌だったら蹴れば良いわ」
「そう。好きにしたら。……あ、でもファーストクラスで」
「貴族主義が抜けてない。……ところで、私の恋してる人のこと見抜いたのに、その姿にならなかったの?」
「なっても生きて帰してくれる?」
「いいえ。きっちり殺して帰るわよ。……利口な子猫だこと」「やあ、こんにちは。今日も一段とお美しい」
「世辞はいいわ。あなたは姿を変えていって、私は星が死ぬまで変わらないんだから。ま、星が死ぬのもあともう少しでしょうけど。それよりも……ほら、自己紹介」
「……リンネ」
野紀、だなんて日本の苗字を聞いていたのに。目の前に現れた男はむしろ青い瞳と金色の髪がキラキラしていた。それはもう、鬱陶しいぐらいに輝いて。日本人特有の若干の落ち着きがある風貌とは真逆だ。それなのに口から出るのはとても流暢な日本語なのだから困る。翻訳の魔術がなければ危うかった。
「これは失礼。フランス語で話したほうがよかったですね。アレクサンドル・野紀・ヴィヴラメントです。……自身の苗字が、一族がお嫌いなのですか」
「どうでもいいだろ、そんなこと」
「ええ、そうでした。……ところで、私の好きな人は誰かわかりますか?」
一目で分かった。目の前の男に性欲や愛欲を抱くような相手はいない。男でも女でもだ。そもそも性欲が薄い。ないわけじゃないが薄い。薬を盛られるだとか、他人から触られるだとか、そういうことがないのならそういう行為をすることは生涯あり得ない、それほどまでに枯れている。別に生殖機能がないわけじゃないのがなんとも言い難いところだ。ただ……親しい人、親愛や友愛を持つ人はわかる。
「何人か見てとれるけど直近のやつで。歳は俺に近い。一個上かな。……なるほど、男か。ああ言わなくていい。アンタがコイツに向けてるのは性愛じゃなくて親愛だ。髪の毛は青みがかった黒。瞳は琥珀。肌は典型的な黄色人種。白すぎず、黒すぎない。身長は……ま、気にすんなって本人に言ってあげてよ。いつか伸びるよ多分。それと……人間じゃない?いや、違うか。身体の一部が、左手が代わってるんだ。日本人っぽいし鬼か何か?……当たり。大体こんな感じの見た目で合ってる?」身体がうねって変化していく。人にあるまじき機能、人のそれではない機能。いかに魔術師といえどもここまでの肉体変化はかなり負担がかかるものだろう。しかしリンネはそれを苦に思っていない。痛みはあるが、それはリンネにとって常日頃のもの。他のものとは性能が違うのだから大した負担じゃない。……そうして彼は、野紀という男に師事する少年……羅城大我にそっくりな姿になった。
「どうですか、師匠。俺の姿はそっくりでしょう?」
「……もう一つの方で呼ばないんですか?」
「呼んでほしかったんですか?サーシャ、っていうのは多分本当の俺に呼ばれたい愛称だと思ってましたけど。……あー、そうか。そうだよなぁ。師匠ってそういう風に揶揄うとこあるんだよなぁ……」
「なるほど、素晴らしい。対話パターンや思考のエミュレートもほぼ完璧。それでいて自我を飲み込まれることはないように完璧に制御している。見せてくれてありがとうございますリンネくん」
「………俺に元の姿に戻れって言わないんですか?」
自分の親しい人間の姿になって、喋り方や関係性もそのままのように振る舞う。人によっては怒るだろう。怒らなくてもあまりいい気はしない。リンネもそれをわかっているから、他者の好みかつ現実に同じ人が存在する時は容姿や人格がそのままにならないように気を付けている。細かな部分をさらに好かれるように変えるのだ。今回で言えばそのままの姿で現れ喋ったのだからそれなりに反感を買ってもおかしくないと思ったのだが。
「まさか。あなたは大我くんではありませんから。むしろありがとう、最近は世界中周りっぱなしで彼の顔を見ることがなかったんです。良いリフレッシュになりました」
「………変わってるね」「そうでしょうか?どう思いますか、ティムさん」
「永きを生きる者で活発的すぎるという意味では、変わっているとは思うわね。まあ私もそんなもんだけど、私は金持ちの道楽。あなたは本気なんだもの」
ティムが人でないことはわかっていた。ただ、野紀もそうだったということは予想外だ。リンネからしてみても彼のそれは人にしか見えなかったから。漂う気質、魂の色、それらが人のソレにしか見えなかった。けど違うらしい。
「私も老後の生活でしかないですがね。……それよりも……リンネくん。私はあなたに言うべきことがあります」
「何?」
「……あなたをアスタムとユスティングリーの次代当主の座から引きずり落としたのは私です。私が手を貸しました」
ローザ・ユスティングリーとシャフリヤーナ・アスタム。確かに双方共に得難いほどの天才だ。魔術の至宝だ。実力においても、策謀においても、間違いなくあの時計塔を生きていける。傲慢さ、冷酷さ、そして才覚。魔術師において必要なそれらが完璧に備わっている。
ただ、それは彼らがスタートラインに立てたからの話。何事も当たり前の話ではあるが、不可能は可能にはできない。出来る人間はいるが、それは本当にごく小数。一握りの天才だ。そして、ローザもシャフリヤーナも、そもそもスタートラインになんて立てていなかった。その溢れんばかりの才能を潰すしかない立ち位置だった。……誰かがいたはずだ。彼らの後見人として、彼らの生き様を支援した奴が。遠くから下剋上を眺めていた第三者が。『奪らないで?……アンタが弱かっただけでしょ。アタシが当主になれるぐらい美しくて強い。アンタは当主の座を守れないほど弱くて醜い。ただそれだけ。アタシのせいにしないで、アンタの至らなさを嘆きなさい』
『ハッ、だよなだよな、そうだよなぁ!どうすれば良いかなんてわかんねぇよな?頭も体もぐちゃぐちゃで何をしたら良いかすらわからねぇ、動けねぇ。……人生はそんなもんだ。不公平なんだ。諦めな。オレみてぇにな』
「あなたには、私を裁く権利がある。私に復讐する正当な資格がある。どうぞ、お好きに」
「……で?俺がアンタ殺して俺に何か得はあるの?」
「スッとしますよ?私、痛みに特段強いというわけでもないので普通に嬲られたら声は出ますし涙も流すので……」
「それで俺は幸せになれんの?スカッとするのと幸せになれるのは別でしょ」
「なるほど、一理ある」
復讐心がないわけではない。自分の居場所を奪った奴らに対してこの怒りをぶつけたいという気持ちはある。ただそれは、本質的な幸せのそれとは別だ。復讐を果たして心のモヤは晴れる。でもそれがそのまま幸せに結びつくかというとそうではない。幸せになりたい、愛されたい。けれど燃え尽きてやる気のない今のリンネには、復讐が甘い果実にはどうしても見えない。「では、こうしましょう。私はあなたに愛される場を差し上げます。もちろんあなたの努力が実れば、ですが」
「………ヤダ。俺は閉じたコミュニティで愛されるなんてもうごめんだ。そんなんじゃ俺の心の渇きは、飢えは、癒されない。ぽっかり穴が空いちゃってるんだよ。足りないんだ、一人も、二人も、五人も、十人も。もっともっと愛されたいんだ。愛してくれるなら俺の全部をあげる。なんでもするから愛してほしいんだよ」
「ええ。だから、あなたにそれを差し上げると言ったんです。たくさんの人を愛したら、たくさんの人に愛してもらえる。そんな世界を。魔術とは無関係の、ね?」
日本では、それをアイドルというのです。そう囁く目の前の男は、まるで底なしの……自分の隣で笑っている女と同じようなものを感じた。真意が見えないわけじゃない。これは善意だ。混じり気のない善意。ただ、その感情があまりにも大きすぎる。大きすぎて底が見えない。わかるのに、わかりたくない。そこにリンネに対する引け目や同情はない。純粋な光がそこにある。
「愛したら、愛してくれる?」
「もちろん。あなたがみんなのアイドルとして愛を振りまくのであれば。あなたの愛は、嘘は、必ずあなたに愛となって返ってくる。あなたは、たくさんの人に愛される」
「嘘じゃない?」
「嘘になるかもしれません。でも、そうはしたくないと私は思っています」
「………良いよ。乗ってあげる。たくさんの人に愛されるために。俺が幸せになるために」「契約成立だ。あなたはいずれ、とある新しい芸能プロダクションにスカウトされる。私によく似た金髪碧眼のお人です。私と比べてかなり直情的ではっきりと勧誘するでしょう。でも怖がらないで、受け入れて」
「それまでは私がお前の世話を見てあげる。ユスティングリーの魔術、アスタムの魔術、その両方をしっかりと叩き込まなくてはいけないわ。はっきり言ってマジで死ぬほど、というか殺しちゃうほど厳しいけど……愛されたいのなら、努力して当然よね?」
「当たり前だ。もう二度と、愛は失わない。そうじゃなきゃ、生きてる意味がない」
みんなに愛されるために。みんなを愛することを決めた。貫き通せば偽りは真実になる。打算だらけでも愛し続けたのならば、本物の愛がもらえる。それが俺の人生だ。だから、俺の姿も変えよう。みんなに可愛がられるような。とびっきりの可愛らしい姿に。
「みんなの視線を僕にください!天ヶ腹リンネです!僕のこと、愛してますか〜!?」
おしまい。野紀とティムというW師匠の後押しで渇愛のモンスターゆるふわビッチアイドル♂は生まれてしまったのでした。Oh……長七郎の夏霊基版、遅れに遅れてようやくWIKIに登録しましたー。
>>456の前半部分、あと数時間で御披露目しますと自分の尻叩くで候!
>>623
どうぞ〜「嗚呼、何ですか!そのみずぼらしい出で立ちは!見ていられません、こちらに来なさい!」
「言っておきますが、決して『あの男』とかつてあった事を、私(わたくし)に聞かないでくださいね……もしも触れたならば──────ふふ。」
【元ネタ】ギリシャ神話、『オデュッセイア』
【CLASS】キャスター
【真名】カリュプソー
【性別】女性
【身長・体重】163cm・53kg
【スリーサイズ】88(E)・60・86
【外見・容姿】海や人魚を思わせるファッショナブルな格好の女性
【地域】欧州
【年代】神代ギリシャ
【属性】混沌・善
【天地人属性】天
【その他属性】女性、神性、人型
【ステータス】筋力:E 耐久:C 敏捷:E 魔力:A+ 幸運:B 宝具:A>>627
【解説】
『オデュッセイア』をはじめギリシャ神話に登場するニンフ。
伝説の島オーギュギアーの洞窟に住んでおり、そこへ漂流したオデュッセウスに惚れ、国へ帰りたいと嘆く彼を7年もの間引き留めた。
彼を気に入っていたアテナ神はそんな状況を見かね、父たる主神ゼウスに嘆願。
それを認めたゼウスは伝令神ヘルメスを通じ、カリュプソーへオデュッセウスを手放して島から送り出すよう命じた。
カリュプソーは不死たる女神が寿命ある人間と添い遂げることを許さない神々の身勝手さを非難したが、ゼウスの決定に逆らうことは不可能……。
嘆きながらも、オデュッセウスに筏の材料や衣服に酒、食料などを与え、島から送り出した。
一説にはオデュッセウスとの間に子をなしたとも、
また別の説ではオデュッセウスを見送った後に、彼を愛するあまり自ら命を絶ったとも伝えられている。>>629
台詞例
対キルケー
「恐ろしい……男を豚に変えて飼う魔女など…………なんですか契約者、『鏡を見ろ』と言いたげな顔つきは」
対オリュンポス神関係者:
「……ああ。あの神々の気配。かつて私が口にした慟哭を、思い出してしまいます……」
対アイタリデス:
「ああ……ああ!……柔らかくて憐れむ目と態度……本当にあの方そっくりですね、貴方は!」
対ポセイドン関係者:
「まあ、あれに見えるはポセイドン様の……」
他、詳しいプロフィール説明は後日に
以下はイベント内容です~<起>
またなにやら微小特異点の反応に、勝手気儘にいなくなるサーヴァントたち。
そう、イベントの始まりである。
「──────はじめまして。カルデアの皆様。」
そこへ突然カルデアに押し入ってきた謎の美女。>>631
カルデアに通じる『縁(因果律)』を通じ無理矢理こちらへ来たという、彼女の名はカリュプソー。
かのオデュッセウスを七年間も無力化し、手元に置いていたという恐るべきニンフであった。
「最近、何やら私(わたくし)の領地……オーギュギアー島内に見知らぬ輩たちが侵入し、好き勝手暴れているのです。本来ならば私が許さない限り、あり得ない事態……!」
「しかし色々と探ってみれば、そちらには私よりも強大な神々やそれに近しいモノたちが跋扈するばかりか、願いが叶う聖杯なるものを多数所有しているではありませんか……私の島に干渉した犯人がいても、おかしくは無いでしょう?」
「というわけで私は大変憤り、貴方らに疑惑の目を向けています。」
ニンフとは下級の女神。
神の怒りを買うのは恐ろしいし、微小特異点を調査する必要もある。
カルデアは案内人カリュプソーと共に現地へ飛ぶのであった……!>>603
「ここや」…なるほどそうでしたか…これは多分書いといた方が良いな。
ということで「厚子夜」の読みは「あつしや」です。ホテルの項に今週中には記載しとこう
>傘もさせば見上げることもなくなるという
そうなんですよね。ヨモのいまいち顔を上げて他人と目を合わせて話せなさそう感もそこにありそう…そしてそんなだから湖モチーフなスィレンのことが嫌でも目に入ってしまうという。さっさと空を見ろ、ヨモ
いやあ疑心暗鬼、良い言葉ですね()
>>604
未来視ってほどの高度かつ高等なものでも案外なかったりします…が、この存在はもう皆大混乱でしょうね、間違いなく
>>615
ヨモ「(控えめに「♡してます!」団扇を振る)」
当主候補だったのがホームレスに成り下がるとは…本当にローザさんもアスタムさんも完膚なきまでに打ち負かしてますね…呵責なし…
リンネさんの精神性にピッタリな職を斡旋する野紀さんの見る目も尋常じゃないですね。長年色々な訳ありで苦しむ人々を見てきただけある…
>>638
アイアイエーとトンチキを足して割ったような…と思ったらまさかのビースト案件…!?そしてカリュプソーさん、キルケー以上の拘束期間でびっくらこきましたわ、7年…
フリー枠では『叶わぬ恋や未練、秘めた想いを黒幕に付け込まれ、熱に浮かれた状態』『愛や恋の気配!愉快!』で京丸とかいかがでしょう?ちなみに『叶わぬ恋や未練、秘めた想いを黒幕に付け込まれ、熱に浮かれた状態』の京丸はおそらく普段の土地神メインとは反対で京丸牡丹伝説の男女がメインの一人二役系になってる
………と見せかけての「京丸(土地神)が霊基中の二人のエッセンスを用いて彼らのエミュしてる謂わば一人三役状態」とかだったら面白そうだな、とも。
ただ悪趣味な感はあるので普通に「恋の邪魔しちゃダメだよ!」って勝手にガーディアンになる方が自然ちなみにカリュプソーは「ミスクレーンとニトクリスを足して割り、そこへ神霊面を少し混ぜた」感じだと思ってください
>>648
ほほぅ……なるほど>>650
凄(パネ)ぇ!
大体頭ん中(イメージ)通りッス!
アロハシャツの柄は黒地にハマボウ(アオイ科)の花ですね。霊衣は人数制限いいかなとは思ったのですが、一応つけた方が良かったですかね……?
>>659
グッジョグッジョグッジョグッジョグッジョーーーブ!!
ありがとうございます、このセンスにはカリュプソーもにっこり女神の微笑み!!!>>661
これは会場内に黄色い悲鳴が溢れますねぇ!ふっふっふ…久々にサーヴァント共を動かしてやろうと思ったら全然動かせないでござる
魔術師サイドにだけ熱中してたツケがこんなところで…おのれぇ…>>668
半分くらい打算(自身への信仰)込みの診察や治療、アドバイスやら世話焼きをする感じですねぇ
「おや傷ついているではありませんか、見せなさい」
「今パイオン信仰に入れば!診察優先度が上がり!薬の効きが倍増……え?いらないですって?……チッ」
性別はバリバリ問わないので大丈夫ですよ~!>>671
了解でーす
さてどうしよっかなぁ(ノープラン)とりあえずカリュプソーイベの礼装1個できました
星4か星3か甲乙付け難いのでレージュさんに委ねますスイマセン!!
どうぞ!!
『黎明の琴音』
絵柄 シックな格好をして琴を持ちながら夜明けの海岸に座る周瑜
Arts性能アップ+登場時スター獲得
夜明けの水辺が、好きだ。
風の音、虫のさざめき、冷たい空気。そして、不規則に奏られる水の音。その全てが心地よい。
祖国とは違う異国の水辺で、それでも故郷を、生前を思い出す。
その心地良い音に耳を澄ませながら、忍ばせていた琴を取り出した。
「…たまには異郷で奏でる音も、悪くないかもな。」>>616
愛じゃよ
>>617
この後に大我くんに出会って「かわいい」と撫でまくるリンネがいるとかいないとか
>>619
コンセプトの一つが「カーマ/マーラの権能を持った殺生院」なので確かにそんな感じはあります
愛されたい(自己愛)から他者の欲望に沿った答えかたをする(他者愛)というもの
>>622
野紀は自分が面倒見た人の願いを叶えつつ社会に迷惑をかけない生き方を追求するというやり方なので社会に迷惑かけないモンスターが生まれ気味
そこに愉悦部なドS師匠のティムが合わさることでこうなります
>>644
「ありがとー!ヨモちゃん、だよね?いつも応援してくれてるのわかってるよ〜!」とファンの名前はかなりしっかり覚えているタイプ
ローザもアスタムも罪悪感とか全くないタイプなのでハイ
>>638
カリュプソー、永遠の乙女というツンツン甘々してるのが非常に良い!とても好きなキャラです>>678
あ、
「し、師匠なんですかこの人は~!?(ナデナデされまくりながら)」
は山星さん当てでした、失礼しました>>678
それでは、1日お待ちくだされ!(アホ)>>663
ま、まあパイオンさんは元からだし…
そして…あの…出来心で趙雲に眼鏡掛けてみたんすよね…
メカクレには流石に合わんかなと思ったんすけどね…
意外に似合ってたんすよ…『鵺のパーフェクトれんあい教室』
キャラ:鵺(フォーリナー)、雪女
コスト:5 HP+0 ATK+300(最大1500)
イラスト:黒板を使う女教師風の雪女と、学ランを着て手を挙げて質問している鵺
[効果]
「自身のスター集中度を200%アップ&アーツの宝具威力を20%アップ[最大解放]」
「……ということで、恋愛というのは「恋」という字と「愛」という字で成り立っているの。わかった?」
「はい、雪女」
「先生をつけなさい…なに?」
「こい、恋、鯉。食べたいです」
「…………給食まで、もう一回やり直しね…」
奔放な生徒に振り回される先生、という構図はいつの時代でもどんな場所でも変わらないらしい。
今日の献立:ごはん、牛乳、鯉こく、きんぴらごぼう、きゅうりの酢の物、みかん
という星3礼装をチラッと投下うーむん…京丸の霊衣、スタイリッシュかつユニセックスな感じを目指したいって気持ちとウェディングっぽい服(ドレス風なレースをあしらったスーツ)にしたいのとで心がふたつある〜
>>677
ヨモ「………!?!?!?」推しに認知されちゃったヨモ、少なくともその日から一週間は浮き足立ってそう…
>>684
おぉー!ご内定おめでとうございます!転職って個人的に結構気力体力使うものなのに、キャリアアップ目指してなんてすごい…
>>687
この後、鵺の「愛ってなに?」の質問に「…あったかくなるものよ」って答えたことを給食時間中柄にもないこと言って…と後悔する雪女さんとそんな先生に鯉こくを指差して「これ、こいではない。愛」と話して彼女をいっそう後悔させる鵺がいるとかいないとか…
つきましては、これをイベント礼装にしようかなと思っているのですがいかがですか?>>678
それっぽいのが出来たんでちょいと貼りますえ。
『プリンセッセ・ザ・リリーズ・ブロッサム』
キャラ:クリスティ(少女モード)&善財童子
イラスト:色取り取りの百合の花をイメージした装飾『だけ』のエロ衣装を着て、それぞれ左手と右手を重ねて指を絡めてポーズをとっているクリスティと善財童子。(微笑んではいるが口元は引きつって目も笑っておらず、青筋も立っている)
効果:ダメージを3%アップ、防御系強化及び特殊耐性特攻(解除不可の場合は効果アップ)
オーギュギアーの乱痴気騒ぎを訝しみ、名探偵にして偉大な推理小説家はレッドボーイを助手にして独自に調査を開始。
観客に紛れて情報収集という手も考えたが、それでは手遅れになる可能性があるため、彼女はあえて危険に踏み込むことにした。
その方法は、潜入捜査。
黒幕に誘導された面々に紛れ込んで内側から探りを入れようというのだ。
というわけで協力者がミス・クレーンに作ってもらった衣装で着飾って調査開始である。
なお、衣装のデザイン原案でもある協力者は、現在全身打撲のため医療室で安静にしている。
こんな感じになりました。
気になるところがあったら言ってくだされ。>>694
ふしぎないきもの過ぎる…とりあえず忘れぬようスケジュールをペタリ
今週~来週頭:
wiki内にイベントまとめたページを制作
あらすじの<インタールード>投下
来週中:
あらすじの<転>投下
再来週:
あらすじの<結>投下>>699
ありがとうございます!
なお、ミス・クレーンに衣装の制作を依頼したデザイン原案兼協力者が誰なのかは、察しがついた人もいそう。>>687>>688>>690>>693>>702
おお……、祝福の言葉が……、ありがとうございます、頑張ります。
退職を電話で~はマナー的にちょっとって感じな訳ですし、5月6日が多分管理者にコンタクトできるであろう日なので、その日に退職について伝える形になるのかな。
>>688
>転職って個人的に結構気力体力使う
実際、結構精神力は使った気はしますねー。ぐったり。
ただまぁ現職のまんま続けると、身体壊して一人暮らしになりそうだったので、転職が出来ればそっちのが総合的なプラスが多いな、と。
キャリアアップ云々に関しては、志望度高かった求人には落ちまして!(他にも沢山落ちたけど……)、理由としては基本スキル不足(まぁ社会人1年生なのでしゃーないんだろうけど)だったんですね、なので次の職場で実績作りやら能力を鍛えて、よりよい職場環境に再チャレンジ、というのが今後の構想です。
なので1~2年後ぐらいにはまた「転職活動するんでちょっと色々止まるかも!ごめん!」が発生する予定です。自分の好きな色と実際に周囲がイメージするカラーって違うらしいです。ならば皆さんの好きな色と私が皆さんに抱いている(作品の)イメージカラーも違ってくるのかな?と気になった今日でした
ちなみに中納言はくすんだオレンジが好き
>>704
Requiem読んでますよ〜!フォーリナー担当のめてお氏作のfateってだけで即食いついて…でもフォーリナー一騎しかいない…めちゃくちゃ好きだけど…
>>707
レリックは多分ねこという生命についての知識が足りないと思うので床でゴロゴロしてるのを持ち上げようとして>691みたいになる可能性は十分あります
そして「アイツ(麟ノ助)の仕業か…!?」って臨戦態勢取りつつ引き続きぐーたらする生命に対して超警戒する。あとでおそらくマレオにいじられる>>708
そうですね…俺は緑が好きなんすよね。緑とか黄緑とか、あと蛍光色みたいなのが好きだったり。
あと納言さんは個人的には深い青みたいな感じがしますね。静かというか作風の引き込まれる雰囲気的に青系っぽい
あと納言さんから見たら俺のカラーはどんな風なのか気になります…
コソコソ話
最初に出した趙雲が思い切り緑なのはまあ某無双の影響も少なからず入ってはいるんですけど、やっぱり自分の最推しには好きな色ブチ込みたいなっていう感じから緑にしたんですよね。
あと昔やっていた某データカードダスとか色々なゲームの影響で風属性=緑の図式ができていたのもあったり。それ+趙雲って属性で例えるなら風っぽいよねという独断によって多分今までの趙雲の絵で緑以外のカラーほぼ使ってなくね?ってレベルでイメージカラーがド緑になりました。私の好きな色はですねぇ!銀色と白色ですよ!!!銀世界という言葉を作った先人に感謝と敬意が止まらないッ!!!
でも私のイメージカラーは違うんでしょうね…
それが何色なのか自分じゃさっぱりわからないのでちょっと聞いてみたかったり
>>705
なるほどぉ…
い
どちらにせよ黒田家でっかいなぁ…
>>706
読んでほしい2巻読んでほしい…!
密かに好きだった2人がまさかまさかのとなって大いに脳を揺さぶられたので読んでほしい…
受動喫煙ってことならある程度の展開は知ってそうですがそれでも読んでほしい(繰り返し)
>>708
あれ、私オレンジのイメージありましたよ。明るいオレンジの上から灰をドサドサまぶしたイメージだからちょっと違いますけど
いやでもこれ山吹色のランサーの印象が強かったからだから作品のイメージと完全にイコールではないかも…?
読んでる人いた〜!やった〜!>>713
ハグしようとすると逃げていくが気まぐれにウサギ娘によじ登ってくるネコチェン…あ!表現間違えていた場所見つけたので
今からwiki内の自分のところを弄らせていただきます……!>>709
ふむふむ、青系統ですか。個人的にはRequiemさんは黄色なイメージがありましたねぇ。夜の電光掲示板みたいな…なんとなくキャラの雰囲気も朝昼より夜って印象で、その中で文や台詞回しを通してパッ!とそれぞれの個性が映えてくるって感じ
>ヴィクトル&ロウィリナリレーはGW中には次のパス出せたら
いえいえ、元はと言えば私が…という話ですし。リアルのご多忙に一休止打てた時、お手隙の際にでもぜひ…
>>710
おぉー!実は自分の中の京極さんも黄緑って印象だったのですよね。具体的には目にすっとなじむ萌黄色。キャラも文章もまっすぐに爽やかで、私にしてみれば新鮮みがあって、見ていてスカッとするなぁ、と。多分趙雲さんもありますが…
なるほど深い青…引き込まれるだなんてそんなこと言われたら私浮足立っちゃいます…ありがたやありがたや…
>>711
>銀色と白色
ですよねー。色以外でも多分「銀」って言葉の響きが好きな感じします。前に天体科の魔術師の話していらっしゃった時とか…
私としては銀色の印象も強いですが黒鹿さん自身のイメージカラーで言うとホリゾンブルーって感じです。ルナちゃんや船、推しのイチキシマヒメさんなどから空と海ってイメージで。こう、水平線と一緒で見ていてワクワクするんですよね…冒険旅行記とか特に…
>明るいオレンジの上から灰をドサドサまぶしたイメージ
何かサラッと、またはザラっと、もしかカラッとした感じですね…熄とか二十彼みたい…良い表現を得られて中納言は嬉しいです…!
エウクレイデスちゃんがたまらなく好きだしボルジア兄妹の活躍もっと見たいので3巻とRequiemコラボ2を夢見るままに待ちいたり…>>716
マレオ「おいお前ら!そんなレリ坊を弄ってやんなよ!コイツは陸地を知らねえからねこってったらウミネコしか知らないんだよ!笑ってやるな!」
レリック「…お前が真っ先に一番弄ってきたよな?」
的なやり取りは絶対ある。で実際陸地の知識が極端にないのは事実なので言い返せないレリ坊であった>>607のアイドルコンビssの続き
「………今日も日差しが痛いぞぉ!うん、全く素晴らしい毎日だ!」
少年は肌が弱い。いや、弱いというレベルを超えている。日光を浴びるだけで肌が火傷を起こし焼け爛れるほどに異常な肌の弱さ。日差しが痛い、というのは比喩ではない。文字通り肌を焼き焦がすからこそ痛いという感想を述べただけ。持ち前の異常な回復力で無理やり治し続けているだけにすぎない。傍目から見ればただの白肌のままだが、本人にとっては激痛が常に走っている。
だが、素晴らしい毎日という言葉が皮肉というわけでもない。少年は、本心で素晴らしいと評している。この自身を照らす光を、忌々しいと嫌うのではなく喜ばしいと歓迎している。あまりにも歪だ。焼かれることを悦ぶだなんて、生き物として欠落している。
「そうでしょう?それなのに何で、君はそうやって生きてるの?」
「え?……僕が光に焦がれているから。どうしようもなく眩しいそれに未来永劫焼かれていたい、追いつきたい、灰になりたいからだけど?」
「………うん。やっぱり俺の思ってた通りの子だ。久しぶりぃ。元気してた?」
「うん!名前も知らない魔術師さん!」
あの時も、そうだった。今もそうだ。この男はいつも突然現れる。気配も何も感じない、そっと後ろから現れる。そのくせかなり人懐っこいから、無遠慮に抱きついてくるのだ。背が高いくせに。そうして、こちらがどんな風に生きてどんな風な気持ちなのかを聞いてくる。他人の人生の蒐集こそが彼がやっていることだから。
マイア・シューグリット・ヒュンケル。戯れに禍福を呼び込む現代魔術師の最高位かつ封印指定の男が現れた。今回はきっと、特に何かをしでかしてやろうというわけではないのだろうが。恐らく、少年……シャルル・ソルージュの経過観察だろう。彼に与えた礼装は少し特殊なものだから。「……うんうん。相変わらず自罰主義の根幹は根暗くんだねぇ。それで?調子はどう?日光は気持ちいい?」
「気持ちいいけどすっごい痛いです!多分今刺されたら普通に死ぬぐらいに自己回復消費しまくりで……」
「そうだねぇ。君の選んだ道だから君はそこに何も抱かないんだろうけど。……そうだ、妹さんがね。無事に過ごしてるよぉ。楽しくやってるみたい」
あの夜、あの英雄が現れてからしばらく。自分は生き残った妹と離れ離れになってしまった。別にそれはいい。日陰に生きることを選んだあの子と、灼かれながらも日向で生きることを選んだ自分とでは、歩く道が違うから。だから、振り返ることはしない。
………それでも、心配には思うのだ。あの日、あの時、あの街で。堕ちた邪竜を英雄が討ち倒した末に残ったのは、数々の被害と、それの責任だ。そして、その責任を負うことになったのは妹だから。シャルルはそれが気がかりだった。相容れない在り方だとしても、それでも血肉を分けた妹だから。出奔しようとする自分を絶縁宣言と同時に背中を押してくれた妹だから。
「そうか、よかった。……僕はよくわからないけど、よく持ち直せたな。何かあった?」
「グローリアン……時計塔の魔術師の大家が手を貸してくれたんだってぇ。山星の鮮血巫女も介入してきたらしいし、復帰するまでの資金力は抜群だねぇ。あと単純に妹さんの政治力が高い」
「対して僕は出奔してコネも何もないから懐が寂しいヒッチハイカー……うーん、我ながら今までの人生がもやしだったのを実感させられる。もう少し筋肉つけたいなぁ」
「筋トレしてる最中に死にそうだねぇ」
「失礼だな!そのうち慣れるもん!僕も僕の英雄に恥じないぐらいの筋トレするもん!」頑張ってはいる。頑張ってはいるのだが、それでもなお実績は出てこないのが現状だ。重たいものを持つだけで疲れてしまう。内に宿したイカロスは、たとえ日陰であっても彼の体を蝕むのだ。不死を売りにする吸血種であるのに、すぐに死にかける。本人が日向ぼっこをしながら筋トレするのだからさらに救いがない。腹筋十回で脱水症状を起こす虚弱体質と化している。闇の中で戦えばそれなりに強いのにそれすら嫌うのだから仕方ない。本人はかなり鍛え上げられたとてつもない筋肉を目指しているのだが、未だ遠い。
「俺の方が強そうだもんねぇ。まあ、俺はどちらかと言わずとも肉体言語派だけどぉ」
「意外だよね。魔術師だから礼装や使い魔に頼るのかと思った」
「自己を識ること、自己を極めること、それが俺の心情だ。すなわち、俺が作るものよりもまず俺が最強じゃないといけないってコト。……極めたものは魔術なんてなくても強い。君も知ってるでしょお?」
「………そうだね。あの光がそれを僕に教えてくれた」
反転した。あの日、あの場所で、僕の一族のアレは起こった。人から完全に裏返った影の竜。ドラクル種の異形そのものになって、影が全てを取り込み始めた。取り込まれた同族は同じ影になって、同族じゃない人間はそのまま血も肉も吸い尽くされて魔力になった。出来上がったのは肥大化した影の化け物。城も何もかも呑み込む邪竜そのもの。現代に顕れてはいけない化け物そのものだった。
そんなアレを殺.すために、英雄は現れた。太陽のように輝いて、殺されかけた僕たちを守ってくれた。あの時生きていた人たちを、一人も取りこぼさずに、あの化け物を倒したのだ。
剣の一振りで影の鱗と同化した、物理攻撃では粉砕できないはずの城壁を物理で斬り壊す。弓の一射で大空を飛び回る鋼鉄の影翼を粉砕する。大口を開いて避難者を呑み込もうとする竜の顎を拳で仰け反らせ、蹴りでそのまま千切り飛ばす。あまりにも速く、あまりにも硬く、あまりにも強い。傷一つ負うことなく全てを救って見せた現代の英雄。それでいて……『……あ、あのっ、助けてくれて、ありがとう』
『気にするな。それが私の役目だ。むしろ、間に合わなくてすまない。………難しいとは思うが、そんなに暗そうな顔をするな。私は、笑顔が好きだから。今は難しいだろう。けれどいつか……喪った物に取り憑かれるよりは、残った物、得た物に笑ってほしい。お前はきっと、笑顔が似合うよ』
その強さに、その優しさに恋をした。ああ、なんて眩しい光なのだろう。僕はあの人を超える光を知りません。ずっと憧れ続けた陽の光よりも眩しいあなた。愛しい人、恋しい人。僕の英雄、僕の太陽。あなたに追いつきたい、近づきたい。未来永劫灼かれていたい。あなたみたいになりたい。輝きたい。追いつけないのはわかっているのに。それでもあなたを諦められない。僕は、あなたに恋をしています。
それまでの僕は、暗くて、卑屈で、世の中の何もかもが嫌でした。憧れている外の世界に行こうとしたけれど、肌が崩れるのが怖くて行けなかった臆病者。でも、あなたに会うことで、僕は決心がついた。外の世界への恐怖よりも、憧れが勝ったのです。輝きたいと思いました。素敵な未来を夢見たのです。いいえ、夢見ただけではなく、必ず叶えたいと。叶えられると、そう確信しました。だからこそ、日の当たる場所を、世界を、渡り歩くことにしたのですから。
「ああ、僕の英雄。僕の太陽。とても愛おしいあなた!この燃え盛る恋心は止められない!僕のものになってほしい、けど僕に靡くようなあなたはあなたじゃない……えへへ、そんな眩しいあなたが大好きなんだ。だから僕はあなたの虜に、一生涯かけてあなたを推して追い続けると決めたんだ。いつか殺してもらえるように」
「………今の君はどこからどう見ても輝いてないけどねぇ。無駄に炎が出てるけどそれだけかなぁ。今のままだとただの放火魔」
「ぐ……IT関連に疎い魔術師だし、ドラクルの吸血種だったのが足を引っ張ってるんだ……お城に引きこもってたくせに外の世界を知る方法が何一つなかったんだよぉ……」
「………そうだ!じゃあ俺が手助けしてあげる〜。シャルルくんの努力次第なら、きっとどこまでも輝いてみんなを照らす光になれるようなの!俺って頭良い〜!」そんなこんなで日本だ。何故日本なのだろう。嫌いではないが普通に馴染みがない。キラキラ輝く方法とやらはここに来なければ出来ないものなのか?そんな風に困惑をした……のは最初だけで。例の一件以降人が変わったように活動的になっているシャルルは面白そうだとすぐに行った。初めて体験する日本の諸々をそれはもう楽しんだ。そして、彼は出会ったのである。お目当てのものに。
「わぁ〜、すごい!アイドル!アイドルだなんてものがあるんだなぁ!とってもキラキラしてるね!」
みんなの視線を集める存在。歌と踊りとトークスキルで人気を集めるジャパニーズな文化。なるほど、これは良い。輝きたいシャルルにとってはとても眩しく映るものだ。どうやら男性アイドルという枠組みもあるようだし、そちらの方で頑張れば良いだろう。というか、頑張れる自信がある。
「僕、キラキラしてるし!みんなを惹きつける天性の才能があると思ってるし!……いや、まあ、僕の種族の特性もあるけど」
ドラクル種は人類史とは切っても切り離せない呪いの性質を秘めている。それは単純明快に、人間である以上、必ずドラクル種の血を引くものに目を惹かれる、というものだ。それが嫌悪感であったり、恐怖であったり、尊敬、思慕、出力のされ方は様々であるが、それでも人の注目を惹くということに関しては共通している。
シャルルはそれが顕著だった。持ち前のその性質に加えて、本人の振り撒く雰囲気……一見眩しい光のようだが、その内側に人を沼に落とすような闇を秘めている、そんな人間性が誰もの目を奪っていく。人を惹きつける天性のアイドルとしての素質だ。それをキラキラと周囲に発揮しながら、その事実を自覚しているのがシャルルという少年だった。なるほど、この仕事はきっと、自分にとても合っている。
「となると……僕を受け入れてくれるような場所……あ、そうだ!確かソルージュの復興を手伝ってくれた人たちの中に極東の血濡れの華が……」「はぁ……野紀さんは私の扱いが悪すぎー。確かに私はもう山星の当主を降りたけどさ、だからといってやることなすことたくさんあるんだって〜」
ここは日本のとある温泉街。お高い人からそうでもない人、そんな風に色々な人が集まる場所で……そして、数百年前。とある男の手によって霊脈が捻じ曲げられ、有数の霊地と化した末に生まれた魔術師の一族、山星がセカンドオーナーとなっている場所。星の毒も、星の薬も、全てが流れ出た場所。そこの有名旅館の裏側にある、畳部屋でゴロゴロしながら背丈の低い少女は愚痴をこぼしていた。
少女の名は山星不湯花……否、冬縁香。数年前までは早逝の呪いに囚われた山星家の当主であり、聖杯戦争を通した出会いでその宿業を断ち切り、山星家の悲願を叶えた。そして見事当主の座を返上してはじめて生きたいように生きているただの女の子である。
「でもなー、一族のみんなにもいい加減魔術師として働けって言われてるしなぁ。確かに当主だけじゃなくて若女将の座も返上して、そのくせ旅館の一室でゴロゴロしてるとねー。……はぁ。でもなー、アイドルの人材ってなんだアイドルの人材って。私に言うってことは普通の顔の良い男の子じゃなくてなんか訳ありの男の子ってことでしょ?」
「今アイドルって言ったか!?」
「うわなんだテメェ」
シャルルが炎を噴き出しながら冬縁香に話しかける。どうやらアイドルというワードを聞いたことで思わず炎が燃え上がったようだ。その煌めく期待の笑顔がとても眩しい。顔が良い。ただ燃え盛る炎は木造建築にとっては危険が過ぎるのでそんなことを考えている暇はない。燃える。歴史ある旅館が全焼する。無自覚の放火なので本当にタチが悪い。
……しかし、そこは聖杯戦争問題児筆頭。かつては武器となる礼装を売り捌きまくり、魔術資源のオークションで荒稼ぎしまくり、敵対者は容赦なく仕留めてきた女。詠唱をすることなく、振りかざした杖で草花を、鳴らした笛で鉱物を、そして脳の演算処理で水を操ってみせた。そのどれもが繊細な魔力操作と魔術式構築のセンス、そして演算処理のスピードを求められるもの。それを顔色一つ見せずに、なんならぐだぐだごろごろとしたまま使って見せたその実力は計り知れない。シャルルを鎮火しながら魔術回路の起動を阻害しつつ、すぐに拘束してみせた。「不法侵入。放火未遂。あと乙女のお部屋の覗き見。これはもう思春期の黒歴史を公開した後に市中引き回しをして、最後に串刺しにされても文句言えないよ?」
「ま、待ってくれって!僕はシャルル・ソルージュ!ソルージュ家現当主の兄です!今日は君にお願いがあってきたんだよ!」
「めんどい。パス」
「話ぐらいは聞けよ!アイドル!アイドルのことなんだけどね?」
……人は見た目では測れないものというが、なるほど。目の前の男はまさにそうだなと冬縁香は思った。こんなに輝いている顔の良い見た目でありながらガチガチのアイドルオタクなのだろうか。いいや、これはきっと偏見なのだろうなとは思っているがそれはそれだ。あと香水の良い匂いはするけど人以外には隠しきれない焦臭さがするからやっぱりそういう意味でも目の前の男は異常なんだなという思いが変わることはなかった。現実は非情である。それはそれとして話は聞く自称良い女ではあるが。
「へぇ、アイドル。好きなの?まあ確かにコネがなくはないけど」
「いやいや。アイドルにお近づきになりたいんじゃない。僕がアイドルになりたいんだよ!だってほら、僕ってすっごいキラキラしてるし、人を惹きつけることが超上手だし、最近頑張って筋肉もつけてきたからダンスも多分得意だし、歌も頑張れるし、すげぇアイドルの素質あると思うんだよね。多分僕から目を離せるような子なんていないと思う!」
「………大した自信だ………いや、待てよ……?」………それならそれで、まあ良いかもしれない。確かに目の前の男、シャルルとやらからは目を離せないのだ。いや、胸の中にあるのは困惑と嫌悪感ではあるのだが、それはそれとして人を惹きつけるものは確かに持っているらしい。これで野紀から依頼されたお仕事も達成できる。後のことは知らないのであの狸に全て任せよう。
「………じゃあこちらに氏名と電話番号と簡単にエントリーシートをですね……」
そうして、彼はアイドルになった。誰も彼もの目を奪っていくくせに、本人はそこにいない誰かに、届かない誰かに恋をして、焦がれ続けて、追い続ける。眩しい光のような、焼き付いて消えない影のような、そんなキラキラしたアイドルに。
「俺、輝いてるかー!?シャルル・ソルージュは、みんなの前でキラキラしてるかー!!」
おしまい。キラキラ輝きながら内心は恋心と自己肯定感と自己嫌悪に挟まれた男の子はどっかの封印指定ヤローと若女将(元)のせいでアイドルになったのです。ちなみに久しぶりに若女将の出番を書いたやっちまったでござるよ…つい流れで読み返したくなってRequiemを1、2巻と続けてしまって影響されたでござる…
ぁぁぁああマスターとサーヴァントの2人1組作りたいぃぃ…コンビ作りたいぃ
作ったところで出す場がないぃぃぃ
>>717
おおっと…なんだか見透かされておりますな…
しかし水平線の青ですか……………………………。昔から水平線に憧れ続けてはいましたけど、自分がそう言われる日が来るとは思わなかったなぁ…
ちなみに灰をまぶしている誰かを覗きこむと私が宇宙猫になるのですがこれはもはや色のイメージではない
>>729
表面のキラキラアイドルっぷりと裏面のじっとり具合がやばいなぁ…なんなんだぁこの太陽
相方くんと合わせてこのコンビどっちもまともにファンを見てないのでは…?視点がこわいのですがぁ!今夜は焼肉にするって考えると色々な疲労も吹っ飛ぶんだから焼肉って凄いよね(小並)
>>719
ほうほう、濃紺…私自身は火村さんは紅葉色とかそういう落ち着いた、でも鮮やかさを失わない赤色って感じでしたね。火村さんのキャラ(オーブさんやプロメテウスさん、玉屋さんたち、レーヴァテインさん、あと個人的には千早さんも)が全体的に火属性が多いっていうのもあるかも
あとスノーフィールドでの結末とか、木蘭さんとかから「カラッとした、でもカラッとしているからこその寂寥感」を持つ埋み火の感じもするんです…私、秋って感じ…
>>720
そうか、好きな色が明確にないってこともあるのか…
なんかわかんないんですけどあやかさんは淡い桃色、浅蘇芳ってイメージがあるのですよね。お茶屋さんの女性が着ていそうな…時代劇のイメージからかしら…?
>>729
行動力の化身…どこまでも突っ走って色々と周りが放っておけないこの感じ、FGO世界のエリちゃんみを感じなくもない…!
なんというか、シャルルさんの輝きって太陽は太陽でもマントルとか溶岩のニュアンスな気がしますわね、いやでも眩しく見えるけどちょっとドロっとしてるような…
>>730
>>731
やったー!割とそこまで間違ってなさそう…人の好み聞けるの結構楽しい…
>灰をまぶしている誰かを覗きこむと私が宇宙猫になる
な、なんなのだろうか…?私そこまで深い何かを展開してるだろうか…?焼肉…焼肉かぁ………いい感じにハマりそうなキャラいないなぁ
ロックの大食いキャラっぷりに期待するしか……あ、なんかポチ先生はすっごい場慣れしてそう
サーヴァントだと小食っぽい雰囲気ある隆元がお肉の脂にやられて「ちょっと…横に…」してからそのままダウンする22過ぎにイベントのあらすじ続き、投下します~
ウチはまあ大体の奴が焼肉好きそうかなって感じですね。趙雲とか五虎将全員で食う時があったら奉行してそう。黄忠は勿論の事、未登場の馬超と張飛も多分酒の席とかになるとカオスそうな雰囲気あるし振り回されてそうな雰囲気があるんすよね。
あとアレですね、俺の所は山の中で猛獣ハントしてバーベキューして生き延びた経験がある獅音とか凌牙だったり、多分史実とか見るに猛獣ハントどころか素手で牛絞め殺.せそうな元農民(ガチ)のゴリラの許褚みたく自給自足というか自分で狩って食ってそうなゴリラも散見してるの本当面白いなって。リンネとシャルルのアイドル性について
二人ともそれぞれアイドルの定義と観念を持って行動しています
リンネは「アイドルとは文字通りの偶像。みんなが望む己を投影して実行して、それでみんなの愛をもらうもの」ということ。嘘と媚びとほんのちょっとの真実の愛で凝り固めた偶像がアイドルであるというひねくれた見方
シャルルは「アイドルとは誰もを惹きつける星。みんなが自分の方を見て、引き寄せられて、離さないキラキラしたもの」ということ。誰も彼もを惹きつけて離さない輝かしい光が己を構成するのだという王道すぎる在り方
ちなみに彼らの特異体質はこの在り方を証明するかのように実際にファンや身近な人たちを惹きつけたりするのです……ただ一人の例外を除いて
野紀は例外じゃないです、虜になることはないですがやっべえ…典韋ちゃんのカリュプソーイベ霊衣考えてるけどどうしても水着の方のデザインとか準備中キャラの雰囲気と被っちまう…
>>717
マジですか!!自分の好きな色と他の人からのイメージカラーが合うのって結構嬉しいですね…アザス!!うちはローエングリンがモロにイベント礼装対象だったりする。
>>755
これにはプルフラスも「我並みにかっこよいではないか」と褒めちゃう
我、並み……?>>750
オデュッセウスに対する情念が今でも消えない火傷のよう…ラズベリーな思い出…
>>752
牛は舌から尾まで須く美味しい…感謝するほかない…
これはレリックに「せめて肉以外も食え!」って怒鳴られたり夕ウタと箸で鍔迫り合いを行う可能性大…
>>753
火属性とはいいましたが、よくよく考えていくと火村さん属性的には風っぽさのが強く感じますね。荒涼感も爽やかさも切なさも運んでくる風
そこで春風のような儚さ、夏風のような暑さ、冬風のような厳しさではなく、秋風のような寂寞の風情があるなって
>>754
>>757
その二人をたまたま見かけて「こ、これって、デート…!?」ってこっそり後をつけて勝手にドキドキするヨモはいても良いですか?いや是非問わず生やしますね()>>765
ヨモ(ま、まさかデート…!?)
メレ(こうしてると大人しいですね)
ルナ(お肉ウマーイ)
平和だぁ……>>758
風っぽさに、秋風のような寂寞…何かそう言われると照れると言いますか、こそばゆいものがありますね
こういう詩的な表現に関してはほんと中納言さんの方も上手いと思います>>754
そしてこちらは遅ればせながら完成しました、オーギュギアー・ランウェイ用コマンドコードです
一応星5想定の設定(空いてそうなのが星5だけだったので)
『帰還を信じた愛妻』
効果:刻印されたカードに回避(一回)効果&【男性(オデュッセウスを除く)】特防状態20%を付与
「愛しています。今も昔も、そしてこれから先の未来もずっと」
「どんなに寂しく、心細い時も」
「どれ程つらく、心痛める出来事に見舞われようとも」
「ただ一人。貴方の顔を思い浮かべるだけで私は全てに堪えて乗り越える事ができたのです」
「だから――愛しています、オデュッセウス様」
「……神であるあたしが言うのも何だけどさ。愛もここまで極まれば一つの奇跡よねって」コソコソ話
実は趙雲は少しだけ酒への耐性が低い。
具体的には、皆結構酒強そうな感じがする武将系サーヴァントの中ではかなり酒に弱い方で、眠くなりやすかったりする。
酒豪の黄忠や未登場だけど絶対酒強いだろコイツらみたいな他の五虎将を考えると多分五虎将の中では一番酒に弱いとは作者的に思ってるけどまあここは未登場の馬超がどの位か次第かなって。
一応生前は酒の席とかで眠気が回ってきても精神力というか一身是胆でレジストしてたので全然大丈夫だった。もしもの為に黄夫人特製の眠気覚ましの丸薬もあったので生前の宴では毎回平然とはできてた。多分終わった後に倒れてたけど。
「実はこの事は、関羽殿の様な五虎将の仲間にも話していなくてな。当時は将として率いる以上は僚将や部下達に弱みを曝け出し過ぎるのも良くないなと思っていた為に、月英殿の眠気覚ましの丸薬と己の精神力で凌いでいたんだ。まあ、今は気を張る必要も、無さそうではあるけどな。」
多分カルデアでは武将系の集いとかで控えめに飲んでる所を突っ込まれてめっちゃ飲まされたりしてる。多分曹操とか色んな奴らに揶揄われてそう。そしてこちらが密かに作った☆4コマンドコードです
☆3は…マスコット選び難しいネ…誰かおすすめしてくれてもいいのよ…?
☆4『蝋の翼』
かの海、かの迷宮から、手ずから拵えた翼を背負った男が二人、飛び立った。
ひとりは父。
ひとりは子。
父は飛びきった。迷宮から陸まで海を越えて。
子は海へ落ちた。神を睨み、太陽へ挑んだ顛末はのちに世で広く知られることとなる。
神にも恋にも挑むなら、躊躇う暇など無いのである。
<効果>
Busterカードに刻印時のみ、刻印されたカードのスター集中度を100%アップ + クリティカル威力を10%アップ>>777
<インタールードⅠ>の頃のカリュプソー「本当にあり得ませんわ!もし私が嘘をついていたらオーギュギアーの浜辺に埋めてもらってかまいませんから!」
ふふふ……>>784
気を付けます。>>787
>>788
>>790
似合うのが一番なのは…ほんと、そうですよね…
「似合わないおっぱい」とはなんぞやと考えていたら思考が泥沼化していってつい…
>>789
ん〜……スペックを明確にされるとちょっと困っちゃうかもですね
今からそれをやったとして、スペックの内容次第では後付けみたいな形での強化になるので私としては待ったをかけざるをえなくなるのです
人形使いというキャラだから登録した後で新しい人形ネタが浮かびやすいだろうとはわかっているんですが、それでも「後付けの強化」みたいになるのは阻止したい私です。一度前例ができるとじゃあ私も私もとインフレの坂道を転がり落ちる光景は嫌というほど見てきましたので
なのでスペックをあえて明確にしないでボカす…というのが私的に妥協できるラインになります>>794
げへへ、銀髪好きなお代官様には敵いませぬ……>>797
あ、すいません投下忘れてました!!
典韋ちゃん霊衣投下します!!
霊衣名『ビビッド・スプリング』
典韋(ランサー)の霊衣。
ビビッドなカラーリングが映えるカッコ可愛いカジュアルコーデ。いつもの二つ結びや水着のサイドテールとは違ったポニーテールが映える。これには曹操様も魏の道化もマッチョもニッコリ。
ちなみに見た目的なイメージは下のリンクから見れるやつの色を全体的に明るくした感じ。まあ近い内に描くのでお待ちをー。
https://wear.jp/sp/darich_official/20475591/
とりあえずどうですかッッ!!>>805
良いと思います~!>>807
了解しました、後で登録させていただきます~イベント完了!GW残りでボチボチやっていきたい。
まずは納言さんとのリレー作品だ……。
ところで創像魔術(仮名:イドルム・マギカ)
・様々な材料を使用して色々な像(人形や美術像)を作る、素材の中からそれが一番美しく輝ける”真理”を見つける魔術。
その一族が産み出す偶像は多岐に渡り、例えば仏像、もしくはガーゴイルにゴーレム、あるいは案山子と狛犬、更には天使と悪魔の像など、所謂美術品となり得るモノならなんでも作る。
・木、石、粘土、金属といった素材を扱う魔術である為、視覚的なセンスがもっとも重要とされる。
って感じの魔術を思いついたのですが、理論に穴とかありそうですかね。ずっと前からわかっていた。私という存在には先がない。私という存在はただそのためだけに作られた女、虚構の妖精なのだと。
私の一生に意味はない。私の存在にしか意味がない。私には物語すら用意されない。私には、虚構の幻想すらない。ただの鍵。ただの装置。存在意義がない。生きている意味がない。最悪、殺されても良かった。死体だけ残ってさえいれば、それで鍵は開いたから。
いわばこれは、私の“葬儀”なのだと私の中の本能は言った。おかしな話だ。生まれて間もない私なのに、そんな私に待ち受けているのは輝かしい生ではなく、死ぬことだけを期待されたあと少しの終末なのだ。ただ死ぬためだけに作られた、始めから生きてる意味なんてなかった、そんなつまらない妖精もどき。なんて、ひどい。なんて、むごい。
葬儀というのは、この世に生まれ落ちた生者の生き様を、その人生を労わるためのものだ。たとえそれが半ばで命を落としてしまった赤子であったとしても、それでも生きている意味はあったと、あなたは尊く生きた人だったと、もっと生きてほしかったと、そう弔うものだ。
だが、私はなんだ?私の生きている意味なんてない、私という肉体の内の妖精領域さえ正常に働くのであれば、私は死.んでいても構わない。むしろそちらの方が都合がいいのだと……そんな、そんなことがあり得ていいのか?……いや、事実そうなのだから仕方ないだろう。元より私はそのために、そうでなければそもそも存在を確立することすらできなかったのだから。
「私はあなたたちが羨ましい。私はあなたたちが眩しい。あなたたちが尊んでいるそれも、疎んでいるそれも、私にとっては全て人生を必死に生きた生者だからこそ持ち得る奇跡にも等しいものなのだから」カナリアの愛憎も、嫉妬も、無力感も、それは必死に生きてるからこそ得られるものだ。私にはそもそもない。
リムの自殺衝動も、絶望も、後悔も、彼女が生きたからこそ得たものだ。私にはそれを獲得する余地が存在しない。
ルナの神秘の渇望、焦がれるものに延々と手を伸ばし続けるその姿は、生きているからこそ激しく燃え上がる炎のそれだ。私にはそんな願いも、その想いの薪になる根幹もない。
獅音の受け継いだ意志、そしてそれに基づいた彼の信念は今までの人生の積み重ねから生まれるものだ。そんな大事な人もいない私には遥か遠くの星のようで。
「なのに、なんで私は今も息をしてるの?歩くのをやめないの?止まったらいいじゃない。それで誰も怒ったりしないわよ」
目の前に置いてあるナイフを手に取る。その刃に指を滑らせるが私の肌は傷ひとつつかない。それはそうだろう。四つも取り込んでいるのだ。今更この程度のナイフで傷つく体ではない。……私が私の体を貫くに値する“力”をこのナイフに与えない限り、の話だが。
なぜナイフがあるのだろうか。そんなの、わかりきっている。これはきっと私の創造主の意志なのだろう。生きるも死ぬも私任せ。どっちの道を選ぼうが、最終的に辿る結末は変わらない。何も得るものはない。私はただの鍵のまま、私の生を終えるからだ。生きていても何もないのが嫌ならここで死を選んでもいいし、それでも生きていたいならそれでもいい。そんな優しさだ。ある意味無情とも言えるが。
……でも、その心遣いが悪くない。刃の冷たさが、微塵もない慈悲が、私の心にはひんやりとして心地いい。私が私という生命体の、アルターエゴの意識を途絶えさせるには良い日だ。なんとも不器用な愛だろうか。なるほど、私は創造主ととても似ているらしい。私だって、自分らしくあることに不器用だから。「そう、そうだわ。きっとそうよ。ここで投げ出してしまえばいい。私の一生を全て棄ててしまえばいい。そうすれば、あの人たち……遠い異聞の世界で懸命に己の生を全うしたあの人たちの在り方を汚すことなく私の役割は全うできるわ」
なのに、どうして。
「私は、投げ出さないの……?」
遠い、遠い異聞の世界。かつて不要だと切り捨てられた世界で、少女は巡礼の旅を始めた。最初は魔女と蔑まれたが、次第に救世主と崇められるようになった。そしてまた、魔女と罵られた。そしてまた、救世主と謳われた。それを繰り返すこと数えきれず。少女は、女王になった。寒い、冷たい、怖い。そんな冬の女王に。
少女は生まれながらに異聞の世界の女王になることを定められていた。それは彼女の母にあたる妖精と、その世界を統べる女王との約定に基づいたもの。そのために少女は普通の女の子としての生き方を封じ、女王としての在り方を己に敷いた。死体から生まれたと蔑まれても、その全てを呑み込んで。気丈に立ち上がった。
なんとも、バカな話だ。先程までは毅然に、カナリアとリムが抱えた未来の、不幸しか待ち受けていないそれを変えてやるつもりだった。私が夢に見る彼女たちのように、例え叶わぬ夢だとしても足掻こうと思えた。だが、それがどうだろう。一気に三つも鍵を取り込んで、私が造られた意義、この旅路の最後、そしてその後に待ち受ける結末を知ると、途端にやる気が湧かなくなった。我ながら浅ましい。覚悟とはこうも簡単に曇り鈍るものなのだ。本当に、愚かだ。
生きている意味が欲しい。生きてて良いという肯定はいらない。死にたくないわけじゃない。本音を言うと死にたいわけでもない。ただ、ちょっと、生きている実感が欲しくて。生きた証を残したくて。生きてて良いと言う自己肯定感も、お前は死ぬべきだと言う存在否定の言葉もいらない。ただ、生まれてきた意味が欲しい。何を変えられなくても、何を生み出せなくても、ただそれだけが、心残りで。「じゃあもう少しだけ、生きてみたら?何かあるかもしれないよ」
「……私を造った……ウルフィルト、だったかしら」
「ああ。ウルフでもキャットでもお好きなように。声だけでごめんね」
数百年を生きる魔術師だというからてっきり老人のようなものだと思っていた。若作りをしているのであろうその声は明るく朗らかだ。変声期が来たばかりのような声なのでおそらく男だろう。それにしても若々しすぎるが。それに、今の今まで話しかけてこなかったのに急に話しかけてくるのだ。奇妙なことこの上ない。
「あなたにとっては死体の方が都合ないのではなくて?私が死にたくないから逃げる、そういう結末を選ぶ可能性もあるでしょう」
「君はそんな弱い子じゃない。現に今、生きている状況から逃げることはしていない」
「それは……」
「いいかい?君は強い。強いから、逃げない。死なない。けれど、それはそれとして君には生きる理由が、戦う理由がない。それはそうだ、まだ生まれてそんなに経っていないんだから。異聞のブリテンに存在した彼女たちのようにはなれなくて当たり前だ」
けれど、と男はさらに言葉を紡ぐ。その言葉の裏にどんな意図があるのかはわからない。わからないが、そこにあるのは紛れもなく、私に生きる意味を与えるためのものだった。なぜかわからないが、目の前の男は私を生かそうとしている。「けれど、断言しよう。君は必ず戦う理由を、生きた証を見つけるよ。いいや、違うか。とっくに見つけている」
「……何よ」
「君の周りには、君を認知してくれる人がいる。互いの過去を明かしあえるほどの。もう既に、それぐらいの一生は積み重ねてる」
「………聞いてたの?最悪」
「魔術師の目と耳は広いんだ。……ともかく、君は自分の道程に生きる下地すらないと勘違いしていたようだが、それは違う。下地は既に出来ている。残り少ない日数で、あとは何を生み出すか、だよ」
スタートラインにさえ立てていないと思っていた。でも、それは違うと魔術師は言った。私はもうとっくに立っていて、それを気づいていないだけ。だから……まだ私には、私の人生において、全てを賭して戦う場所が残っていると、そう告げた。
「さようなら、麗しの妖精女王。どうかあなたの旅路が、輝く流星でありますように」
「………最後は燃え尽きろ、ってことね。なんだかんだ言って、打算づくしじゃない」遅れましたが、ロウィリナ&ヴィクトルのSSのリレーバトンを投稿。
全体的に執筆が久しぶりなので、今一不完全燃焼感もありますが……。
多分このオジサン、「ほほう、私を押しのけて当主になった男が婚活かぁ!ちょっかいかけたろ」ぐらいのノリで動いてる想定です。なので後始末はキチンとやりそう。>>826
了解でーす
ちょっと考えてみます>>828
お、おお…何だかすごいものがきている…!ちょっと考えてみました…が、これは果たして霊衣と呼んでいいものか
疑問に思いつつもぺたり
『かんたんイカロスなりきりセット』
聖エウラリアの霊衣。
イカロスの翼を模したお手軽に着脱できるバックパック。背負うだけで誰でも飛べるスグレモノ。ガッツリ翼があるので正面から見るとちょっとした天使に見えなくもない。
バックパックの形状はいわゆるランドセル型。お子様サーヴァントが背負って翼を収納すれば小学生にも見えてしまう。お好みで黄色い帽子もオプションでどうぞ。
製作者はまさかのダイダロスその人。本当にいいのか? ド直球トラウマ案件なのでは? という周囲の心配をよそに量産体制が整えられている模様。
ただひとつの注意事項は、絶対にっ、太陽には近づくなッ!!!>>837
お早い…!
あと4枠か…まだまだありますな「いやー、驚いた。俺の方の魔術師ちゃんは死ぬと思ったんだけど」
「私も、男の子の方は吸い尽くせると思ったんだけどなぁ」
本当に、何気なく。先程まで暴れに暴れていた化け物達はケロッとした顔でとある大きな森林の地下にいた。アイルランドは豊富な妖精伝承を裏付けるように神秘的な様相の森がたくさんある。といっても、近代化でかなりすり減らされたが。今ここに至るまでにこの土地の自然が破壊されていないことは間違いなく幸運だった。そうでなければ今頃はウルフィルト・ロッテンキャットの計画は崩壊していたはずだ。
「ウルフィルトはまだ寝ているのか」
「ええ。鍵が全部開くまで起きてこないつもりよ。あの吸血鬼もどきと楽園の妖精には声をかけたみたいだけどね」
「とんだ依怙贔屓だ。おかげさまで溜め込んでたストックのほとんどを消費する羽目になった。また地道に食い溜めしないといけない」
頬を軽く膨らませて怒るウキ。その顔つきは童顔であるが故に、そんな子供らしい表情とはよく似合うがいかんせん身長が身長である。しっかりと高身長で筋肉がついているので可愛いと思う反面、恐ろしさも何処となく秘めているのだ。……千年を超えるこの盟約を取り付けられたのはウキ本人ではなく、その横にふよふよと浮いている紅い球体、その大元となった女性で在ることも考えると今回の件は完全に骨折り損だ。不満を口にするのも無理はない。「お前はどうなんだ、リリカ。かなり血液を消費したんじゃないのか」
「お生憎様。私は他の死徒よりも浪費を好まない貧乏性なの。今回もできるだけプールを消費しないように気をつけたわ。ざっと一年分ってところかな」
「そうか、補給は?」
「近々とあるマフィアの根城に出かけるつもりだから、そこで補給するつもり。犠牲者の総数は減ったけれど、国家の絡まない非合法の争いは未だ絶えないもの。頭だけ残せば問題ないでしょう」
死徒にあるまじき臆病さ、それがリリカという死徒をここまで生き延ばした秘密だ。人間をみくびらない。同胞に蔑まれたとてその在り方は変えない。子も作らない。一方、そのあり方を理解する者にとっては常に俯瞰した立場から言葉をくれるリリカは好ましい友人となっていた。ウルフィルトも、その一人だ。リリカもウルフィルトのことは嫌いでなかったし、その奇想天外の計画も面白そうだったので彼の“葬儀”に付き合うことにした。
「いい加減に機嫌直してよウキくん。殺し合いでもない限り、私はお別れは笑顔でしたい派なの」
「そんなに仲が良いわけでもないだろう、俺たち」
「そう?私は嫌いじゃないよ。だってほら、その後で相手がどうなろうが後腐れないじゃない?」人でなくなったことでの倫理観の変容。それは仕方のないことだ。死徒となった瞬間にその人物の魂は汚染される。アカシックレコードの根本から書き換えられる。不可逆の呪いそのものだから。その点で言えば、むしろリリカは人らしさは残っている方と言えるだろう。自分よりもスペックが劣っている相手を一切の手を抜かず仕留めるそれは死徒にとって異端だ。
「そうか。ま、俺は普通の人間だからそういうことはないな。普通に嫌いな奴は嫌いだし、好きな奴は好きだ」
「……そうやってまた逃げるんだ。あなたはもうとっくに普通の人じゃないのにね。あなたを普通に縛り付ける大事な人たちは、みんなあなたが殺したくせに」
「……は?なに、言って……だって俺、帰ったら家あって、あったかいご飯もあって、あれ、でも最近ずっと食べてない、肉しか……嫌だって、いや、だって、あれ」
「病気ね。カウンセリングをお勧めするわ。まあ何があっても行かないでしょうけど」
人は、人を殺.せば心がすり減る。人でない生き物を殺.すのでさえ心は傷つけられるのだからそれが同じ人であれば至極当然の論理だ。殺しに殺しを重ねた末に心が麻痺するかすり切れただけ。それをリリカは知っている。その瞳で、千年以上ずっと見てきた。目の前の青年はこの現代において紛れもなく上位に位置する実力はあるが、それは戦闘能力に限った話。精神は……強いが、脆い。何があっても綻びは生まれないが、たった一つの点をつけば簡単に腐る。
ああ、その話で言えば実力を測る名目で殺し合ったあの四人は皆、紛れもなく人間だ。麻痺もせず、すり切れず、壊れることすらできない人間。一人、身体が人間から外れかけている少女はいたが……アレは浅い。半端なままだ。けれど、多分それが良い。アルターエゴの友人だと言うし、是非ともアルターエゴの……マヴの最期を看取ってほしいものだ。「遠い、遠い剪定事象。あなたはそれを観測した。してしまった。だからあなたは妖精に魅入られた。そして、この世界であなたは運命となる妖精に出会った。それが全ての始まり」
「………ハッ、また居眠りをしていた。今何の話をしてるんだ?」
「……空気を読む力も落としてきたのかしら。まあともかく、そこから千五百年。正確には術式を土地に定着させるのに千四百年、虚構妖精の魔術を確立してから百年。やっと辿り着いたわね。あなたが思う夢の果て、そして人類の救済を、私は見届けることにするわ。あなたが勝っても、負けても」
ウキも、リリカも、とっくに仕事は終わっている。後はすぐに現地から退散して、事の顛末を遠見の魔術で眺めていれば良い。だから、リリカはもうここに用はない。ウキもここに用はないだろう。すぐに立ち去り、二度と戻ることはない。
「………まあ、ここに辿り着くのは良くて半分、悪くて死体だけだろうけど」
「俺たちはあくまで実力を測るために殺しあったけど、あの二人はそうじゃないもんな。本気で殺しにくる」
「アルバーン・ラミレス。フローレンス・ヴァルトルーム。………私たちも本気ではあったけど、それは力を限定した上での本気。けどあっちは違う。温存なんてする理由がない。死ぬなら、まあ、あの魔導円卓と秘匿聖歌隊の二人でしょうね」
「だろうね。………生きる意欲って大事だし」>>845
◇如何なる場所であろうと、上記の秘島を再現する。
島は再現された地の霊脈を利用することで莫大な魔力を生産、貯蓄をはじめる。
そこにいるだけで瞬く間に傷病は癒され、必要ならば衣類や食料、果ては魔力までも絶えず供給される、支援型の結界宝具。
──────しかし来訪者よ、注意せよ。
そこは隔離された楽園であると同時に人ならざるモノの領域。
かの聡明な英雄を無力化し縛りつけた絶海の監獄。
軽い気持ちで足を踏み入れたならば決して現世へ帰ることの出来ない、神々も近寄らぬ禁断の島でもあると。
◇と同時に、絶対の支配権はカリュプソーが握っており、結界内での戦闘などといった激しい行動や結界の出入りは彼女の許可が必要。
結界内の対象に干渉する事すら可能であり、その権限は令呪に並ばずとも恐ろしい威力。
たとえアサシンの気配遮断を持って隠れようとも、「島」に踏み込んだ時点で彼女は居場所を感知し続ける。
また島の存在自体が隠されているため、外から発見されにくい。
たとえ島を破壊しつくされても、主たるカリュプソーが健在な限りまた島を展開し直すことも可能(ただし、生産、貯蓄した魔力も一からやり直すことになるが)。
このように、味方を支援する宝具ながら伝承通りに拘束もできるという恐ろしい宝具である。メレ坊がルナにおしおきするシーンを考えているのですが、ガチすぎないおしおきってなにかいいのないですかね
私の貧相なおしおきフォルダにはおしりペンペンかえっちなやつしか入ってない…アルバーンとフローレンスとのバトルssを書いていると思うのですが、やっぱり微塵も油断しない手を抜かない最初から全力で行く気の格上の相手ってクッソ面倒なボスですねって……
若女将とアインとマリナがいなければ即死だったGWも最終日
どうにかこの間に書いて投下しようと考えてたFate/NCの続きがようやく出来上がったので投下します
いやマジでここまで続きが遅れるとは…
最後に書き上げたのがもう4ヶ月前ってマ?(前回までのあらすじ)
何とかユウキとメンテーの攻撃から生き残ったけど、前途多難だよ!
でもフェリーペには何やら考えがあるみたいで…?
その男は、この街に招かれた時から一貫していた。
誰に招かれたのかも、何故自分がこの街にいるのかも分からない。
されどその理由に興味も疑問もまるで抱く事はなく。ただ淡々と、襲い来る敵を片端から斬り捨てていった。
最後まで抗う者、少しでも生き永らえようと逃げる者、土下座し命乞いする者。例外はなく、また一片の慈悲も与えず刃を振り下ろした。
願いを叶える、という胡乱気な誘いに惹かれた訳ではない。殺戮に酔っている訳でもない。
元より男――三上令司にはそれ以外の選択肢など眼中になく。
そもそも、「戦え」と言われて拒否するだけの理由も熱量もありはしなかったのだから。>>873
「……」
睡眠から覚醒し、周囲を見渡す。
見慣れた空きビルの風景に変化らしい変化はなく、異常も見られない。設置しておいた警報装置やトラップの数々も睡眠前と何ら変わらないままだった。
プロテインバーを一本掴み、口に放り込む。最低限と呼ぶにも淡白な姿は最早食事というより単なる作業のそれに近かったが、三上は全く気にも留めない。
彼にとって食事とは単なる栄養補給でしかなく、それ以上の価値を見出す意味も必要もなかった。
プロテインバーの包みを放り捨て、代わりに得物である長ドスを取る。
休息は済ませた。ならば次は警戒とその為の巡回に移る時。
そう定め、今いる部屋を出ようと立ち上がりかけた瞬間――ある気配を感じとった。
「――ああ。そういえば、まだ一人いたな。警報もトラップも無力化して行動できる奴が」
長ドスの鯉口を切り、部屋の入り口をじっと見つめる。
簡潔で、一切の無駄を排した所作。それ故に部屋の外に潜む『連中』も察しただろう。三上が放つ冷徹な殺気を。
「さっさと出て来い。殺しでも交渉でも、まずは姿を見せてからにしろ」
気配が揺らぐ。何者かが、姿を現わそうとしている。
そうして次の瞬間、出てきた者『達』の正体は。
「……お前は」
「……」
「久しぶり、ゆうんはちょお早いか。三上のおっさん」
片や、幾度となく顔と刃を交わした糸使いの魔術師。片や、つい先日自分に挑みかかってきたばかりの新顔。
加々見梓とフェリーペ・ジョージ・デ・サントがそこにいた。>>874
――三上が目を覚ますより四、五分程前の事。
「今更やけども……ほんまにええんか? フェリーペ」
「ああ。というか、他に打つ手もないだろ?」
「せやけども。……まさかフェリーペの側から提案してくるとは思うとらんかったわ」
三上令司との同盟。フェリーペの提案とは、平たく言えばそういう事だった。
現在音邑に残っているNCバトル参加者はフェリーペ達を除けばユウキ、ジル、そして三上の三名。この内ユウキはメンテーと共に敵対し、ジルもフェリーペ側に付いた今、残るは一匹狼を貫く三上のみ。
たとえ共闘叶わずとも、せめて背中を撃たれる心配だけは確実に潰しておきたい――そういった考えも込め、この空きビルに来たのだが。
「ええかフェリーペ、何度でも念押ししとくで。絶対に三上相手に無茶な真似はすな。あいつもこの殺し合いを潜り抜けてきた怪物の一人や、生半な技量で太刀打ちできる相手やあらへん」
「ああ、分かってる」
「もしやり合う事になったとしても、そん時はうちがやる。ええな?」
「分かった」
「よし。ほな――行くか」
加々見の先導を受け、フェリーペも後に続く。
道中の警報やブービートラップを解除し、一階、また一階と昇って行き……
「――いた」
目的の場所に辿り着く。
室内には三上一人。他に人影や使い魔の類も見当たらず、罠と思しき怪しいものもない。
さてどうするかと、思案に暮れかけるも。その行動は、不意の言葉で中断させられた。>>875
「――ああ。そういえば、まだ一人いたな。警報もトラップも無力化して行動できる奴が」
誰に向けるでもない独り言――否、それはこの場にいる『一人』を指しての警告。
視線を交わす。言葉は要らず、ここまで来たら行動あるのみ。
意を決した二人は、堂々と足を踏み入れた。
「……お前は」
「……」
「久しぶり、ゆうんはちょお早いか。三上のおっさん」
フェリーペは無言、加々見は軽口。異なる両者の反応にも、三上は然程響いた風でもなくただ一瞥のみを向ける。
「何の用だ。決着でもつけに来たつもりか?」
「せや。……と言いたいところやけど、重要な話がある。聞いてくれるか?」
「勝手に言え。聞くだけなら聞いてやる」
「おおきに。ほな――」
そうして、加々見は淡々と説明していく。
現在自分たちが置かれている状況、『塔』の中で目にした出来事、そしてこれからの方策等々。
「――以上の理由から、うち等はあんたと手ェ組みたい。受けてもらえるか?」
「断る」
加々見の誘いに対し、三上からの返答は簡潔そのものだった。
にべもない答えにフェリーペが一瞬反応しかけるも、加々見は片手で制した。>>876
「理由、聞いても?」
「……この戦いは生き残りをかけたデスマッチだ。今まで散々殺し合っておきながら、今になって共闘など虫の良い話が通るとでも?」
「むしろ今だからこそ、と思わへんか」
「何?」
加々見の顔に動揺はない。
冷静に、一切の感情すら排した顔で三上に問いかけていく。
「これまではどいつもこいつも、自分が生き残る事に必死で他の事なんて思うとる暇もあらなんだ。実際うち等も、自分たちが生き残る為に多くのモンを殺(ヤ)ってきた」
「……」
「せやけど、もうこの街で生き残っとるモンはあとわずか。ここまで来たら最後まで殺し合うんも、『余計な事』に手ェ出すのも大した違いはあらへん。いや、今だからこそやっと自由にやれるとも言える」
「自由に、だと?」
「ああ。つまり――うち等をこんな状況に追い込みおった、ドグサレク.ソ野郎の正体探しに、や」
そこでようやく、加々見の目に感情が宿る。
熱く、暗く、そしてどこまでも深い激情。飄々と振舞ってきた少女が垣間見せた、瞋恚の炎。
「うち等――少なくともうちは、ずっと思うとった。『こんな地獄に追いやったドク.ソに必ず報いを受けさせる』って。そんで、自分が生き残る為に殺.してきた奴らへのケジメをつけるって」
「偽善だな」
「せや、偽善や。うちが今更元凶をぶちのめした所で罪は消えへんし、奪った命が甦る事もない」
けれど、と。少女は言葉に怒りを込め、まくし立てる。
「偽善でも何でもええ、落とし前もつけられんままくたばるよりマシや。うちは――どんな手を使ってでも、この地獄を生み出した奴(ク.ズ)に報復する!」>>877
「その為なら、得体の知れない異邦人の妄言(ことば)も鵜のみにすると?」
「得体はしれん。けど、内に秘める心(モノ)だけは確かやで? うちと黒野が保障したる」
「カガミ、さん……」
「うちから言えるのは以上や。で? 三上のおっさんはどないする?」
不敵な笑みを浮かべ、挑発する加々見。
その態度を前にして、しかし三上の反応はどこまでも冷淡だった。
「どうもこうもない。俺のやる事は変わらん。お前らとの共闘も断るし『塔』にいる連中の方にも興味はない」
「おっさん……!」
「だが」
そこで三上は言葉を区切り、視線を加々見から移す。
すなわち――自分をずっと睨んでいた青年・フェリーペの方に。
「そこの外国人、お前はどうなんだ」
「……どう、って。何が」
「決まっている。俺と本当に手を組みたいのか、そうでないのかだ」
「――ッ!」
想定外の問いかけに、フェリーペは言葉に詰まらせる。
加々見もまた、咄嗟に言葉が思い浮かばず反応が遅れた。
そして。その空白が致命的な破綻を呼ぶ。
「俺はお前の事など何も知らん。先の話も、どこまで信じたものか疑わしいしな。だが――一つだけ、俺にも分かる事がある」>>878
「何、だと……?」
「以前、お前が俺に襲い掛かってきた時のあの目。あれは復讐者の目だ。それも俺たちのような輩に対し、恨みを抱いている者のな」
「――――」
「三上! ま」
「なあ、教えてくれよ。お前どこの組の人間(ヤツ)だ? それとも――極道(おれたち)が食い物にしてきた被害者(れんちゅう)のお仲間か?」
瞬間、感情が弾けた。
加々見の制止も間に合わない。激昂したフェリーペが、一瞬にして距離を詰め――三上に蹴りを叩き込む。
それを見越していたかのように、三上もまた迎撃。蹴撃と刃が激突し、音と衝撃をまき散らした。
「――ぶっころしてやる。犯罪者(ク.ソヤロウ)」
「最初からそう言え、小僧(ガキ)」
この時、誰も気づいていなかった。
フェリーペの右手に宿る令呪、それが常とは異なる不気味な光を放っていた事に。
その光は、主の激情に呼応するように輝いていた。よし、カリュプソーの宝具名……
『秘めて帰らざる島(ハイドアウェイ・オーギュギアー)』
に決めさせていただこうと思います!コロナが5類に、との話なので、医療業界への負担が変わりそう→イコマさん復帰してくれたら嬉しいって思ったけど、これ多分負担変わらなさそうな感じなので厳しそう。結構寂しい。
さて最近の近況。
・コルテスの性格を深堀りしたい。FGOにも出たし。→情報収集せな……。結構読んでると楽しい。コンキスタドール知識の為にはレジライ村へ向かった方がいいのだろうか。←今ココ。
・前に言ってたクッチー製作のライダーベルト礼装がどうもほぼほぼデザイアドライバーになっちゃう……。
黒鹿さんに聞きたいのだけども、ルナちゃんが地球を北はロシア、南は南極ぐらいまでの超広範囲で観測された紫色の流星(なんか魔術関係っぽさがあるらしい)って情報を掴んだら見に行きたいと思うのかとか、でも駄目だ、行けない!!ってなるとしたらどういう状況か、辺りを知りたいです。>>890
おお、ハッピーバースデートゥーユー!>>896
まあそんな感じです
どっちの優先度が高くなるかは完全にその時の状況次第になりますちょっとお知らせを
SSリハビリ+前(多分このスレの一番最初の方)話してた制作中の新鯖のキャスター児雷也をお披露目したいと思ったんですがキャラシ的に必要だなと思ったので新しく短いイベント風SSを書きたいなと思います。
「絡繰幻想忍法帖〜蜃気の都市の摩天楼〜」ってタイトルの予定です
児雷也はコレでお披露目しようかなと(ちなみに児雷也呼びなのは自来也だとNARUTOの方と混同して混乱を招きそうなので)
という訳で起承転結で終わる位のストーリーですけどゆるぼしたいなと思います
・日本の江戸時代以降の歌舞伎とかの物語について知識がある鯖(要は児雷也の物語とか知ってそうな鯖)
・子供系の鯖、できれば純粋な子
・近接戦闘要員というかバトルできる鯖、できればアジア圏辺りだと有難い
を募集したいなと。できればコミュニケーション取りやすい奴だと尚良しって感じです
よければよろしくお願いします……よし、やっぱり子供枠はエウラリアにします!!
という訳で募集締め切ります申し訳ありませんありがとうございます!!>>902
やった、こちらこそ採用ありがとうございます~!ヒャッハー!朝の奇襲のお時間だァー!
というわけで投下です「先輩先輩、なんかいいバイト紹介して」
さも今思いついたかのような気楽さで、しかし密かに狙いすました言葉を私は口にする。
人気がまるでなくなった時計塔・考古学科にある名無しの教室。今ここには私ことルナ・アードゥルとネズミの先輩であるカヴン・プラミアしかいない。
つまり、今だ。今この時、私と先輩しかいないこのタイミングでしか、果たせないことがある!
が、私のそんな秘めたる決意にまるで気づかない先輩は───
「なに急に学生らしいこと言いだしてんのよ」
「いやちゃんと学生だよ私」
これだよ。もうちょっと後輩の切実な思いに気づいてもいいんじゃないかな。いやいや今はそれどころじゃない。
「とにかくバイトだよバイト! 先輩どこかいいところ知らない?」
「まぁ落ち着きなさいな。なんで急にバイトがどうとか言い始めたのよ? 社会経験でもしたくなった?」
「お金がほしいからに決まってるじゃん!」
「あらま。まーた学生らしいことを。でもルナがそれを言うのはおかしくない?」
「? おかしい? なにが?」
「アナタが金なんて欲しがればあのメレクってボーヤがいくらでも出すでしょうに。旅先ではそうしてるんでしょ?」
「だからだよ!」
「はあ?」>>907
「ご飯もホテル代も交通費もちょっとアレな弁償代も、なんならお土産の分もメレクが出すんだよ!」
「見事な財布っぷりね。アナタいつからそんな風に男を使うようになったの」
「使えてないよ! いくら使っても私の借金が増えるだけだもん!」
「ああそういえばしてたわね、そんな話。……で、それがどうしてバイトの話になるわけよ。借金返す気にでもなった?」
「無理。バイトくらいじゃ返せない。この前ちょっと聞いたら余裕で7ケタ超えてた……」
「あーらら、お先真っ暗。それで? 結局なんでバイトしたいのかわからないのだけど」
「えーと、その、借金を返すのは無理だけど、借金を増やさない方向で買いたいものがありまして……できればメレクにはナイショで」
「ふーん? それでアタシと二人きりになるタイミングを狙ってたわけね」
なんかバレてた。
「ハイ。そういうわけです。なので先輩にはみんなに黙ってもらいつつバイトを紹介してほしいなーって……」
「みんなって、ウチの教室の連中も?」
「みんな。全員。オール。誰かひとりにでも漏らせば絶対メレクは辿ってくるから徹底しないとダメ」
「大した信頼ですこと。……どういうバイトがやりたいかってのはある?」
「魔術と神秘に携わるバイトがやりたいでーす」
「社会と労働を見くびってんじゃないわよガキンチョ」
「先輩が冷たぁい……」
「ハナから公私混同しようとしていて何言ってんだか」>>898
>・日本の江戸時代以降の歌舞伎とかの物語について知識がある鯖(要は児雷也の物語とか知ってそうな鯖)
>・近接戦闘要員というかバトルできる鯖、できればアジア圏辺りだと有難い
ここら辺の条件を満たすのは彼らですね
厩戸皇子、在原業平、林崎甚助、那須与一、倭建尊、平将門
うちは子供サーヴァントはいないので残念ながら推薦できませんひぃ…ひぃ…お待たせ、どころか乾燥しちゃいそうなくらい時間が経ちましたがfalling moonの最新話ができました
頃よく貼っても良いだろうか!よし!頃合い!
理仁の耳朶に破壊の音と人々の悲鳴が聞こえる。未だ多くの一般人を残してサーヴァント同士での激戦が繰り広げられる中で、彼は柳花と共に蘇芳と凪咲めがけて駆けて行く。
残る令呪は一画。これでライダーを召喚し、蘇芳を救う判断が既に構築されている。凪咲の術式は他者の肉体に直接影響するものであり、つまるところ干渉する術は残っている。柳花が毒に犯された時の要領で、肉体に根付いている不純物を取り除こうというわけだ。
「すっごい怖い顔で来る……怖い怖い、ちょっと逃げちゃおうかしら」
凪咲は迫り来る敵を前にして、身構える事無く踵を返して逃走を選ぶ。てっきり迎え撃つとばかりに思っていた理仁は僅かに面食らい、すぐにまともに取り合おうとしないその姿勢を腹立たしく感じた。
その隣を柳花が駆け抜ける。最初から相手の動きなど気にかけず速攻で仕留めようという姿勢がその背中から溢れている。
「理仁、あの女は私がやる。黒鳥はお前が責任を持ってなんとかしろ、いいな!」
「……気をつけろよな!」
「えーっ、洲甘先輩と?それは勘弁して欲しいのだけれど……黒鳥先輩、お願いできますか?」
「が、ぁ、うううううッ!!」
柳花の道を阻むかの様に蘇芳が現れ、また黒い羽根を掲げて魔術による攻撃を試みようとする。まだ一般人がいる中で大火力の魔術など行使すれば神秘の隠蔽はおろか、どのような被害になるのか想像もつかない。
止めなければ、と理仁が一歩早く動き出そうかというところで、蘇芳はびくりと震え次の瞬間、勢いよく血を吐き出していた。
「ごぼ、ォッ」
「!?」
>>916
これには柳花も足を止め、咄嗟に飛び退く。理仁の脳裏に「死」という単語がちらりとよぎる。
目を白黒させながらも蘇芳は戦おうとする意思を持とうとするが、とめどめもなくその口からは血がこぼれ出ていく。足もふらつき、手は震え、声をあげようにも溢れる血の塊によってゴボゴボと気持ちの悪い音だけを鳴らす。
「ぶ、ぶぐ、ぅぐっ」
「蘇芳……!」
「黒鳥先輩、駄目じゃないですか。ちゃあんとご両親とお兄さんの為に戦わないと、ふふふ。それじゃあ」
「待てッ!」
瀕死の蘇芳には再び動き出した柳花を止める事など叶わない。今度こそ逃げる凪咲を捕えるべく、凄まじい速度で柳花は疾走していった。
残る理仁は歯噛みしながら蘇芳へと向き直る。なんとか手で口元を押さえ込んだものの、それでもぽたぽたとこぼれる血液はまるで彼女の命が搾り取られているかのようだ。だというのにその眼差しだけは、不安定に揺れながら敵を視界に収めようとしていた。
>>917
人が変わる瞬間、というものを黒江凪咲はこれまで何度も目にした事がある。喜びから怒りへ、悲しみから楽しさへ。
人は必ず周囲から何かしらの影響を受けて変化を起こす。どんな形であれ、人間という生き物はひたすら受動的だというのが彼女の持論だ。
周りの意見に流され、自己というものが確立されている様で非常に曖昧。言葉一つで急にそれまでの主義主張をひっくり返してしまう。そんな、朧げな在り方を凪咲は愛していた。
十人十色、という言葉を知った時に凪咲は鼻で笑ったのを覚えている。各々が異なるなど嘘だ、皆すぐに誰かの色に染まろうとするのだから。というより、自分が染めようと手を出せばすぐにそうなるのだ。
人間はキャンバスだ。それぞれの色を持つキャンバス。そこに『黒い』絵の具をぶちまけてやる。
綺麗な青、ピカピカな黄、落ち着いた緑。全て、全て真っ黒に。
ラブラブカップルには互いを嫌い合う様に仕向けた。
全会一致を信条とする仲良しグループは全員の意見がバラバラになる様に仕上げた。
干渉しつつ決して自分は出さない、あそこにいたっけあんな子、そんな存在であり続けるのだ。
だが間違っても他人を見下した事などない。様々な姿を見せてくれるその姿を凪咲は心の底から愛している。だから間久部理仁の色が変わり始めていると気付いた時は歓喜した。これまでにない色の変化が見られるとほくそ笑んだほどである。
「だから私、彼の様子を見ないといけないんです。邪魔しないでください洲甘先輩」
「断固拒否する。お前の相手は私だ」>>918
サーヴァント同士の戦闘により街の至る所で破壊が生じる。何も知らない人々が皆散り散りになって逃げていくのに凪咲は潜り込もうと試みるが、柳花は少し離れたところから距離を維持しつつ近づいて来る。完全にターゲッティングされているようだ。
どうしても最高のエンディングを見届けねばならないというのに、ライオンを擬人化した様な女が邪魔をする。ハッキリ言ってやかましく野蛮な存在というものを凪咲はこの世で一番嫌悪していた。
とにかく話というものが通じない。本人の中である程度論理が完結してしまっているおかげでこちらから入り込める隙がないのだ。これが単なる馬鹿であれば話は別だが、洲甘柳花は非常に冷静な上で話が通じないのだ。
だが、先程突然行った理仁へのキスから判断するに今の柳花には精神的な弱点が生まれている。誰かへの好意というものは自然と隙に繋がると考えて良い。
愛、それは人間を最も非合理的な思考へ駆り立てる感情。凪咲にとっては切り札の一つであり同時に不確定要素でもある。
「いいのかしら、間久部君の身に危険が及ぶかもしれないのに私なんか追いかけていて」
「交代したら理仁はお前に殺されそうだからな。アイツは甘い、絶対に言いくるめられる」>>919
凪咲はとにかく人混みへと隠れようと試みる。サーヴァント同士の戦闘が並行している状況下で何も知らない一般人達が散り散りになって逃げ惑う中に隠れるわけなのだが、柳花はそれを決して許そうとはしない。
必ず凪咲を追いかけてくる。堂々とした足取りに人々は自ずと道を譲り、モーセの如く人の海が割れていく。残るは凪咲のみというわけである。
ここらで『黒』をぶちまけてしまおうか。大体数十人単位で襲い掛かればたとえ柳花であっても対応しきれないだろう。何人かに触れ、『黒』を送り込もうとしたところで、しかし凪咲は嫌な予感がして手を止めた。
(地雷を踏むかな)
魔術とは秘匿されなければならないモノ、そんなルールは今の凪咲にとっては重要ではない。己の魔術を行使して一教室分の人間を発狂させる事にも抵抗感などありはしない。だが柳花という存在がどんな反応を取るのか、そこまでは判断がつかなかった。
暑苦しい柳花に洗脳した人間を送りこみ、むしろ正義の炎が燃え盛ったらその時はどうするべきか。
人を掌握する術に長けてはいるが、上述した様に話の聞かない阿呆には通用しない。腕っぷしをもっと鍛えておけばこんな風に柳花に背を向ける羽目にはならなかっただろう。
(あくまで狙うのは一人に絞っていくとして……)
そこまで考えて、凪咲は後ろ向きな自分の考え方に思わずほくそ笑んでいた。何故こんなにも日和見を決め込もうとしているのか、神秘の隠蔽など既に出来ない。アサシンは遂にサーヴァントと本腰を入れて戦えると喜んでいるのに、マスターである自分がそれに続かなくてどうしようというのか。どうせなら派手に行こう。
ぴたりと足を止め、柳花へと向き直る。突然の方向転換に彼女は訝しみ、身構えた。>>920
「何のつもりだ」
「それらしい素振りを続けるのも飽きたので質疑応答をしてみようかと思うんです。先輩も気になるでしょう、私のイロイロ」
「いや何の興味もない。お前はここでしね」
柳花の判断は速かった。否、判断などしていない。最初から隙を見せた瞬間に凪咲へと必殺の一撃を叩き込んでやろうと狙っていたのだ。
もちろん凪咲自身、それを理解していないはずがなかった。
咄嗟にすぐそばにいた背丈が同じくらいの女子高生に手を伸ばし、『黒』を流し込む。凪咲の血液であり同時に術式そのものである黒々とした液体を直接注射された少女は本人の意思に反して突撃して来る柳花の目の前に躍り出た。
「ッ!」
やはり最初は止まる。遅れての行動だったが、それでも根本的に善性を有している柳花ならば止まってくれるはずだという凪咲の予測は間違っていなかった。蘇芳を操っていた事からも、どういう戦法を仕掛けて来るかは開示されていた。だがそれをどう繰り出すかまでは、予測出来なかっただろう。
注意するべきはここからだ。今柳花は眼前で行われた術式の発動に考えを巡らせている。どういうものなのか、どうやっているのか。
「落ち着きましょう?焦ってもいい事はないから。ね?」
柳花の目に怒りの炎が宿る。義憤だ、何の罪もない人間を糧にする敵への義憤に燃えている。だがまだそれを爆発させる時ではない、そのタイミングまで含めて掌握せねば。
すぐにまた別の人間へ術式を流し込む。侵食の速度をあげ、一気に精神をかき乱していく。あっという間に肉人形が出来上がり呻き声と共に柳花へと掴みかかるが、容易く跳ね除けられ鋭い蹴りで吹き飛ばされた。>>921
「こんな肉壁を用意してどうするつもりだ」
「これはお手本の一つよ。私の血が混ざるとこうなるっていうね?」
「経子もこれで殺したわけか」
「だから、あれはあの子が勝手に潰れただけよ。それより先輩……あの子がどうしてああなったのか間久部君に説明していなかったんですね。かわいそう、子鹿の様に震えている姿は幼子の様でした」
「……」
「なるほど、あの時点で既に恋をしていたわけですか。片想いの人が辛い思いをしてほしくないから黙っているだなんて、健気ですね。なのに彼の視線は黒鳥先輩一筋……」
突然始まった乱闘騒ぎに人々がざわつき始める。絶好の機会に凪咲は歌う様に、そして哀れみを込めて柳花に語りかける。決して自分の作戦を気取らせない。
先程は聞く耳を持たない様子だったが、柳花はじっと動かない。何らかの策を考えているのかもしれないが、彼女よりも迅速に動ける自信が凪咲にあった。
「報われない恋、そういうのも好きですよ私。だって、滑稽で哀れですもの!もしかしてイエスと言ってもらえる事を期待しているのかしら。もう無理よ、叶わない願い!」
室内であれば、一気に『黒』で飲み込んでしまえるところなのだが路上ではそうはいかない。だが代わりに柳花を取り囲む様にして多くの人々が立ち尽くしている。
ゆっくりと、闇に紛れて『黒』は彼らに染み込んでいく。柳花を取り囲むために。
金色。それが柳花の色。気高く強くあろうと光り続ける色。
染め上げてやりたい、真っ黒に。穢してしまいたい。だが今ではない、理仁の様にじっくりお時間をかけなければ。
>>922
「……悪いが、それは百も承知だ」
「え?」
「フられても構わん、と私は言っているんだ。想いを口にしなければ何も意味はない、そう思ってやったまでだ」
思いもよらぬ答えだった。強がりかと思ったがそうではない。むしろ少し晴れ晴れとしていて、それがわずかに凪咲をイラつかせる。
何かわかった様な顔をしている。答えを得た、そんな口ぶりに彼女は猛烈に加虐心を誘われた。
「ふーん、そう。なら……素敵な心を抱いたまま死になさい!!」
魔術回路を一斉に励起させる。自分の一部全てに暴れろと命じる。
柳花を取り囲んでいた一般人の内十人ほどが、突然体を震わせ始めた。カタカタと内側から何かが崩れ去っていく異常な動きに続いて、彼らは一斉に凪咲が敵と示した少女へと駆け出していく。
今更これだけで柳花を止められるわけではない。だがまだ彼女は『黒』の全てを知らない。つまり、何が起きるかまでわかってはいない。
凪咲は一気に柳花から距離を取ると同時に、弾ける様にこう言った。
「私の魔術はね、血の中にあるの。何もかもが私に染まっていく。経子も、黒鳥先輩も!私色に染まった人間の血液は……私と同じになる!経子に襲われた時、間久部君のナカに彼女の血が入った。意味がわかる?」
「ッ!!」
虚偽である。あの場を凪咲はアサシンを通して見ていた。経子は血を吐きこそすれど理仁の体内には入っていない。
だが柳花はどうだろうか?あの場におらず事実を確認しようがない彼女には今の言葉は嘘と断じられるだろうか?>>923
この瞬間、凪咲の掌に柳花が落ちた。愛という感情が引き金となって彼女は一直線に駆け出す。
「あは、あははははは……!!」
『黒』は洗脳だけではない。直接的に人体へと干渉する事もできる。少し汚れるばかりに、あまりやりたくなかったものだが相手が相手だ。
開いた指を閉じる。獲物を捕らえた籠の様に。
「爆ぜろッッッッ!」
イメージするのは、カンバスへと投げ込まれた水風船。
美しい金色のカンバスを穢すべく、墨汁を詰めた水風船が叩き込まれる。
柳花へと詰め寄っていた人間達が一度にひしゃげる。血液をも食い尽くす『黒』により血流が逆転し、十個の人間型ポンプは柳花を取り囲んだまま凄まじい音と共に破裂した。
全方位からの面制圧攻撃、加えて歯や骨まで込めた即席の破片手榴弾というわけではある。
たとえ肉体的なダメージはなんとかなっても『黒』を喰らえば侵食は免れない。そうすれば柳花も操れるはずだ。そして───
「おい!!迂闊だぞ!!!」
怒号に思わず爆散した中心部を凝視する。人体が爆散するという惨事に人々が再び恐慌に駆られ絶叫がひしめく、そんな中で驚くべき事に無傷の柳花が憤怒を隠さず佇んでいた。>>924
「はあ!?」
一体どうやってあの包囲網を破ったと言うのか。解明するべく視線を動かし、凪咲は柳花の足元、地面に異変が起きている事に気付いた。よく見れば本来そこにあるべきコンクリートが引き剥がされたかの様になくなっている。
柳花の両指は真紅に染まっている。爪も剥がれ、ポタポタと鮮血が滴り落ちていた。
「コンクリートを……強化魔術とルーンを施したこの両腕で無理やり引き剥がしたと言うわけだ。結界も咄嗟に貼らせてもらった。魔術的なものではなく、あくまで物理での攻撃だったのが功を奏したな。即席の盾としてはまずまずだ」
「この、ゴリラがッ!」
思わず叫んでしまうのも無理は無かった。理仁の危機をちらつかせれば柳花は感情のままに動くはずだと考えた上での作戦が失敗しただけでなく、予想を遥かに上回る形で潜り抜けられてしまったのだ。
だがまだ手はある。隙を見つけて『黒』を打ち込めばチャンスはある。隙さえあれば──!
「貴様が何をどうしようが関係ない。貴様が死ぬ、それでこの悪趣味な戦いも終わりというわけだからな!!」
(そんなもの、もうないでしょうが!)
最早柳花に動きを止める理由などない。話す余地はない、許す余地もない。
事実、口中で吐き捨てた直後に凪咲の顔面には硬い拳が炸裂していた。ギリギリで拙いながらも防御の姿勢を取りはしたものの、それでも脳が揺り動かされ意識が吹き飛びかける。両足に力が込められず、わずかに宙を浮いてから彼女は地面に倒れ伏していた。
「くおっ……!」
>>925
失敗した。凪咲は激痛の中でひとりごちる。
魔術師として自分が万全な戦闘を行えない事は理解していて、その上で柳花から逃げなかったのはミステイク以外の何者でもない。
アサシンがああしているのだから自分もそうせねば、などと張り切って戦うものではなかったわけだ。
『ねえマスター!わたくし、宝具を展開したいのですけれど!』
突然アサシンからの念話がやってくる。その声色は本当に楽しそうで、殴り飛ばされた自分が少し不憫にさえ思う。
『……構わないわ、好きにやって』
『はあい!と言いたいところなのですかど、どうかして?そんなに悲しそうな声で……ああ、パスを通じてわたくしにマスターの苦しみが流れ込んだりしないものでしょうか!』
もうすぐ自分は死ぬ。であれば、アサシンに我慢をさせる必要はない。その力を解放してしまって構わない、そんな諦念をわずかにであるが凪咲は抱いていた。
『アサシン、貴女っていつも楽しそうね。私こそその楽しさを分けて欲しいくらい』
『嗚呼、わかりましたわ。マスターの悲哀、このミラーカ確かに感じ取りました。今そちらに行きますわね!』
は?と凪咲が痛みに顔を歪めながら目を開けば、トドメを刺そうと柳花が拳を構えている。一気に振り下ろされれば地面と拳の間で押しつぶされ、黒江凪咲という自己を規定するあらゆる器官がぶちまけられてしまうだろう。
「残念、だわ。私……間久部君が絶望するところを見たかったのに」>>926
灰色から赤色へ。
間久部理仁は英雄然とした人間ではない、だからこそそんな彼が正道を歩みその果てに何者をも救えず己の価値を失うその瞬間を見届けたかったのだ。
三義経子を操り、理仁を襲わせたのは彼に自身が無力であるという事を痛感させる為だった。そして救う術はないと気付き、自らの手で友人を手にかけるところまで誘導するつもりであったが、経子が勝手に死んだ。
ならばと失敗を糧にまた次の贄を用意した。黒鳥蘇芳を死に追いやり、再び理仁に苦難を強いる。経子の様に救えず彼女が自壊しても、そうでなくてもどちらでも良かった。大切なのは『間久部理仁は誰も救えない』というそれだけなのだから──。
(それも、ここで終わり?)
残念だ、と呟く。もっと色々な事したかった。もっと人を欺き、彼らの全てを黒く染めてやりたかった。
拳が振り下ろされる。『黒』を仕込んだところで即座に主の生命活動が停止してしまえばそこまでだ。そもそも仕込めるほどのスピードもない。
せめて弱いところは見せずに最後まで柳花を睨みつけてやろう、そんな風に考えていた。ところが鼻先まで迫っていた拳がピタリと止まり、柳花は何事かと空を仰いだ。
凪咲もそれに続き、驚きに目を見開く。夜空に真紅の薔薇が散り、その妖しい輝きが街を照らしているのだ。
>>927
「マスター。お迎えにあがりましてよ」
声。両親の次に言葉を交わしたかもしれない、従者どころか友人に近い吸血鬼の言葉に凪咲はギョッとした。
いつの間にか、マウントを取っていた柳花がどこにもいない。代わりにアサシンがニッコリと微笑んで立っている。ドレスを鮮血で染め上げて、少なくとも凪咲が知る中で最も楽しげだ。
「あ、れ。洲甘先輩は……」
「セイバーのマスターですか?彼女でしたらほらそこに」
アサシンが得物である杖で指差した先、柳花はボロ雑巾の様にズタズタとなって転がっている。腹部を抉り飛ばされたのか、みるみる内に赤い血の池が広がりつつあった。
一瞬、ほんの一瞬だった。乱れ咲く薔薇が彼女のもので、そして戦っていたはずのアーチャーをどうにかしてマスターを助けにきたのだ。
「もうっ!マスターは勘違いしていますわ。わたくしがこんなに楽しくいられるのは貴女のおかげですのに」
「私?」
「わたくしを、吸血鬼ミラーカを貴女は従者として信じてくれた。自我なきわたくしに対して貴女は『綺麗』だと言ってくれましたのよ」
そういえばそんな事を言った覚えがある。アサシンを召喚した際に、禍々しく血の匂いを迸らせる彼女を一目見て美しいと感じた。常人ならばきっと嫌悪する対象であるが、凪咲にとってはこの世の何よりもそう見えたのだ。
「そんなマスター、貴女が初めてでしたの。そうしたら滾ってしまうでしょう?情熱が溢れてしまうでしょう?」
「……アサシンが自我を取り戻した理由、それなの?」>>928
急に彼女が口を開いた時、それは情熱によるものだと力説された。何かしらの比喩だろうかと程よく聞き流していたがまさか事実だとは思わず、凪咲は目を瞬いた。
「さあ、黒江凪咲。わたくしのマスターにして愛する人。立ってくださいな、わたくしは楽しくても貴女が楽しくないのでは意味がありませんもの」
「───ありがとうアサシン、なんていうかちょっと驚いて言葉もなかったわ」
アサシンが差し伸べる手を握り返し、立ち上がる。みるみる内に街は真紅に染まっていく。
絶叫が聞こえる。血が滴る音が聞こえる。
地獄が生まれ落ち、現実を満たしていく。
「素敵な花園だこと」
「ふふ、そう言ってくれると思っていました。それでは少し派手にいきましょうマスター。我慢した分、発散するのが人間というものでしてよ」
「素晴らしい言葉をありがとうアサシン。貴女に会えて良かったわ。相性最高、怪物同士仲良くやりましょう」
クスクスと二人は笑う。破滅を求め、惨劇を求めて。
何者も彼女達を理解できない。理解してもらおうとも思っていない。何故ならそう生きる存在であるからだ。
街を漆黒と真紅が蝕む。だが止められる人間がどれほどいようか。>>930
流血を伴う殺伐とした戦い、真面目に聖杯戦争してますね
私も滞っている更新をなんとかしないと、ハクマは中納言さんにバトンを渡さないとだし、ありふれた聖杯戦争も早く7騎揃えないと。
ありふれた聖杯戦争、曹操がソープ行ったところで終わっているからなぁ…よーしできた…!!久々に手応えありそうな感じだ…!!
という訳でまだイベ始める訳ではありませんが、児雷也の現状出せる情報verキャラシ出来たんで投下していいっすか?よーし行きまっせー
『さて、始めるぜ…!!我こそは天下の忍、無双の義賊!!サイバー忍者児雷也、ここに在り、ってなぁ!!』
【元ネタ】児雷也説話、児雷也豪傑譚、その他多数
【CLASS】キャスター
【真名】児雷也
【異名・別名・表記揺れ】自来也、■■■
【性別】男
【イメージCV 】山下誠一郎
【身長・体重】170cm・66kg
【肌色】黄色人種 【髪色】第一再臨では黒、第三再臨では黄緑だの黄色だの赤だのがグラデった派手な色になる 【瞳色】黄緑
【外見・容姿】
第一再臨 インナーに和服風のデカいジャケットを羽織ってる。本人曰く「日常の時とかモード」。
第二再臨 ハッカー+忍者的な格好。後で画像投下します
第三再臨 霊基封印、イベント進むと解放
【地域】日本
【年代】江戸時代後期【ステータス】筋力:D 耐久:C 敏捷:B 魔力:B 幸運:D 宝具:B
【クラス別スキル】
陣地作成:C 魔術師として有利な陣地である工房を作り出す能力。
道具作成:B 魔力を帯びた道具や絡繰を作成できる。
【固有スキル】
忍術:B+ 忍者たちが使用する諜報技術、戦闘術、窃盗術、拷問術などの総称。
キャスターの扱う忍術は他の忍者サーヴァントに対して一段劣る。
絡繰蝦蟇:B キャスターの伝承に於いても有名である大蝦蟇、即ち蛙の妖術より出たスキル。
キャスターは絡繰風の蝦蟇の使い魔を操って戦うが、この蝦蟇一体一体に気配遮断D相当のスキルを付与する事ができる。一体一体がそこそこの戦闘力なのでかなり厄介。
破壊工作(機械):B 破壊工作の亜種スキル。敵の武器や装備、Cランク以下の宝具で機械やテクノロジーが使われている物であれば、蝦蟇による攻撃時に判定を発生させ、成功すれば数分の間出力を大幅にダウンさせる事が可能。無論通常の機械とかには100%効く。
元々は普通の破壊工作だったが、色々あって変化した。然程重要な理由ではないがある程度進んだら開示。
■■の■■:E イベントを進めると詳細解放>>939
【宝具】
『幻想忍法帖・児雷也豪傑譚(げんそうにんぽうちょう・じらいやごうけつたん)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:120 最大捕捉:120人
(詳細はイベント後解放するので代わりに今は宝具演出書きます)
真名解放と共に、デカい巻物を出して術を発動すると同時に幾多もの大砲やカタパルトを付けた要塞みたいな巨大な蝦蟇のロボが出てくる
顔面宝具と同時に数多の色をした魔力弾が大量に敵に降り注ぐ
【Weapon】
『巻物(カード風)』
現代のICカードとかみたいな形状の巻物。
この中に術式が入っており、これを勢いよく横に切る事で火遁等の術が発動する。
一説によると児雷也が巻物使う系忍者の発祥元だったとも言う。これなら真名もバレないね多分。
『絡繰蝦蟇』
彼が操る、メカ蛙みたいな見た目の使い魔。
あまり大きくない見た目ではあるが、一体一体に魔力弾だの仕込み毒刃だのレーザーだの閃光弾だの爆薬だのとあらゆる技巧が仕込まれており、それ+前述のスキルで低ランクの気配遮断しながら攻撃するので結構強い。>>940
【解説】
江戸時代後期に書かれた読本、児雷也説話等に登場する義賊であり忍者。
児雷也説話において初めて登場し、その後あらゆる派生の本が発生、歌舞伎等でも題材になった物が取り上げられる等になり、現代でも有名になっている忍者。
大蝦蟇を使役したりする妖術で有名な忍者であるが、物語によって語られるその逸話はバラけている。
児雷也説話曰く、忍術使いの義賊であった児雷也が仙人から学んだ蝦蟇の妖術である武士の敵討ちを助太刀したとか。
児雷也豪傑譚曰く、ナメクジの術を操る美少女と蛇を自在に操る宿敵と三竦みの戦いを繰り広げたとか。
曰く、元々は信濃の武士で、授かった蝦蟇の術で敵の家を攻撃したら術を見破られて自滅したとか。
数多くのバラけた説話を持つ彼は、現界した現在は究極のサイバー忍者と名乗ってハッカー+忍者みたいな格好をしている。
果たして架空の存在なのか、実在した存在なのか。
どの逸話が正史なのか。
どうやって、彼の霊基は生まれたのか。
謎の多い男だが、その正体は——>>941
【人物像】
高いテンションと少しカッコつけてるというか厨二っぽい言動が目立つ若い青年。
第二再臨での忍者姿とかだと派手な髪をしてるので分かりづらいが、第一再臨等の平常時は黒髪と以外と地味。
スタイリッシュな格好良さに憧れており、登場する時に自前で爆発しながらヒーロー着地しようとしたり、移動時に宙返りとか壁キックとかバク転を必要以上に連発したりとカッコつけすぎた奇行が目立つ。
自分の格好良さを求めるという事は他人に対しては敵愾心を燃やす…と思いきや割と色々な物に対して純粋に子供みたいに目を輝かせて「スゲーー!!」となったりする。ロボとか武器とかもそうだし、忍者サーヴァントに対してもこうなる辺りボーダーラインは死ぬ程低い。
自分の事に対しては、「そりゃ凄え強いんだぜ俺は!!なんてったって忍者で義賊で今はハッカーも行けるしな!!ハハッ!!」とイキイキとして笑う様に見えるが、何処か陰があるというか、内心では自信を持ってない様に見える。
それもその筈だろう。彼の正体は…■■に■れた『■■の■■』なのだから。>>942
【一人称】俺
【二人称】アンタ、◯◯さん
【三人称】アイツ
【セリフ例】(後々追加します)
「…フフフ、ハーーッハッハッハ!!!待ちかねたぜ我がマスターよ!!そう、この俺こそはクラス・キャスター!!天下の忍にして無双の義賊!!鋼の大蝦蟇操りしサイバー忍者の児雷也とは俺の事よ!!さあ、俺が来たからには任せておけ。この児雷也、天下無敵の大立ち回りを見せてやろうじゃないか!!…よし、こんなモンでいいか。」召喚時
「さあ、行こうぜマスター。この児雷也様が、究極に派手でカッコよく、アンタを護ってやるとも…!!」会話1
「マスターと俺との関係?フッ、愚問だぜマスター。アンタは俺の運命の主…我が全てを賭けて守り、共に戦う存在…ってな。…ちょっと待て、そんなドン引きしなくても良いだろ」会話2
「主従?…そんなモン分かってるさ。ほら、俺ってば元々忍者だろ?そういうモンはしっかり分かってんのさ。…え、児雷也ってそういう逸話あったかって…?…ま、まあ史実には無かったかもな…ハハッ…」会話3
『さて、始めるぜ…!!我こそは天下の忍、無双の義賊!!サイバー忍者児雷也、ここに在り、ってなぁ!!』戦闘開始ボイス1
「良いねえ!!」コマンドカード1
「承知だぜ!!」コマンドカード2
「ああ!!」コマンドカード3
「OK、派手にかますとするか…!!」宝具カード1
「最終忍術奥義、起動…!!さあ現れろ、我が大蝦蟇!!かませ、『幻想忍法帖・児雷也豪傑譚』!!これで…決まりだァッッ!!」宝具1たくさんのssが!遡るわよ!!
ちなみにちまちまと若女将に稽古つけてもらう大我くんの小話を作っていましたが……やめました>>951
建て乙でございます。
>>949
ではでは。
『タイム・オブ・オーバーホール』
キャラ:ハダリー&ビートル
イラスト:オーバーホール中なので、首から下が細かく分解されているハダリーとビートル。(泣きそうな表情で赤面しながらうつむくハダリー。対してビートルは見下し混じりの澄まし顔をしながら横目でハダリーを見ている。背景には先にオーバーホールを済ませて、あくびをしている聖霊・白鳥戦艇、汽笛を鳴らすロケット号、柔軟体操をしている凌振)
世の中、メンテナンスフリーなんて言葉もあるが、機械ならば修理・点検・部品交換が必要な時だってある。
サーヴァントも『機械の体』であれば、その点は変わらず。
という訳で今回は一斉オーバーホールである。
何やら1名だけあからさまに抵抗感を示しているが、オーバーホールなのでする側に下心は無い、と固く信じたい。
こんな感じになりました。
効果は明日以降に考える。(吐血)Q.ジライヤってあの!?
児雷也「そうだぜ、大蝦蟇使いのサイバー忍者こと児雷也とは俺のこ」
Q.イチャイチャパラダイスの!?
児雷也「ハッハッハ…なんて?(顔面蒼白)」
ちなみにコレとの表記被りを避ける為に児雷也読みにしました
>>950
言われてみれば確かにちょっとクライさんみあるかもしれないっすね…
伏字は…違うんすけど正直それも間違ってない気はしなくもない気がするかもっすね、まだ話せないんすけどね
>>951
建て乙っす!!
>>952
児雷也「ドーモ、マスター=サン、ジライヤデス。…現代の忍者って凄えんだな…」
勿論良いですぜー
>>953
マスターから勧められた現代の忍者の漫画を読んだ児雷也「カラテ…?忍手暗刃…?何それ知らん…怖…でもカッケェ」
正直サイバーハッカー風忍者って大丈夫かなと心配してましたが受け入れられたみたいでガチで安心しました…
>主人公と絡ませたらいい味出しそう
アレっすね、コイツも俺キャラの例に漏れず仲間とかで映えそうな奴だと思ってます!!>>958
ゆっくり…ゆっくりバイトさせていただきます
バイト期間はわからないじゃあそんなこんなで軽く呟く博物館コソコソ話
アルテミシアのスペックは博物館の下層に行く程に上がっていくぞ
マナの濃さとか古さが変わってくるから、本来のアルテミシアの過ごしやすい環境になっていくという意味。ちなみに上層で吸収するマナの量でも普通に化け物なので普通の範疇だとそんな変わらないので実は描写する際にはそんなに気にしないで良いポイントだったりします
あとマイアの領分は本質的には肉体じゃなくて魂なのでカヴンさんの意見を聞くことである程度の生物理論の理解はしますが本質的なところでは自分の領分じゃないので部下に丸投げにしたりしてます
「それってアオザキトーコの専門じゃな〜い?」>>964
アザッス!
了解です。>レアリティ>>964
☆3『錆色の星の海』
コスト:5
イラスト:サイバーパンクじみた海賊衣装のマレオとアルシオネシア(トレノ)
効果:毎ターンスターを3(最大4)個獲得
テキスト:
たとえ星が鉄屑で汚染されようとも、人がいる限り浪漫と信仰が尽きることは無い。
そして、人に仕えた人形と人に奉られた神もまた消え失せることは無く、今日も変わらず汚れきった海を彷徨い謳歌している。
「報告。前方にレジスタンス、ネオ・トキオ海軍と思わしき勢力を発見。交戦中の模様。」
「ヒャッハー!!派手に横殴りしてやろうじゃねーの、新世界の連中に旧世界の底力見せつけたれー!面舵いっぱーい!!」
「ヨーソロー」
こんな感じ、いかがでしょうか……?
>>967
大我がかわいそかわいいのが悪いんだよ…ここに来てですが>>629のプロフィールで修正版をば。
陣地作成:A+
魔術師として自ら有利な陣地である「工房」を作り上げる能力。
キャスターの場合は「工房」を遥かに上回る「孤島」が作成可能。
↓
陣地作成:A
魔術師として自ら有利な陣地である「工房」を作り上げる能力。
キャスターの場合は「工房」を遥かに上回る規模と性能を持つ「洞窟公房」が作成可能。昔のプールしてたりしたキャラを掘り返してみたら設定が面白くて良いなってなったのですが礼装名の元ネタを忘れてしまって上唇噛み噛み中納言
というわけで(?)本スレに婚パリレーの続き投下いたしました〜!いやあ原作に例がいるって有り難いですね深夜のちまちまコソコソ話〜サーヴァント編〜
ワルキューレ・ラグナロクは色々なものを混ぜ込んだ欠陥品のワルキューレたちだったので頭に生えた羽が落ちやすい、つまり非常にバグりやすい人格構成をしていますが、生前はバグることはありませんでした
他のワルキューレたちのように勇士に奉仕することもなく、ラグナロクや大きな戦いに身を投じることしかしなかったからです。コストも高かったので
ワルキューレ・ユグドラシルはそれぞれ特別な機能を備えてはいましたがその人格はワルキューレとしては百点満点のものでした
勇士を愛するその在り方は戦乙女のそれ。ですがただ一つ、彼女たちは人間性がかなり薄い方、バグりにくい方としての人格構成だったので生前は戦乙女から堕ちることはなく、またマスターに召喚されても基本変わらないのです
そしてラグナロクもユグドラシルもブリュンヒルデお姉様は大好きですしお姉様を誑かしたシグルドは嫌いです保守
1000なら鯖とか鱒の決め台詞的な物を即興で考える
1000なら鯖のレアリティについて語る
1000なら知られざる元ネタ、裏設定
>>990
そうですねえ、特別書きたいもの(必殺技とか)がない限りはキンクリしちゃってもよろしいかと。
後日談での二人の終着点、今のところ私は「時々食事をする仲」に落ち着くかな〜と思っているのですがいかがでしょう?次スレで虚構妖精の続き投げます
>>994
目がぐるぐるしまくってる……1000なら新しい鱒鯖の組み合わせ〜
聖杯大会運営本部【リレー相談・雑談】#220
1000
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