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前スレ
https://bbs.demonition.com/board/10141/
過去ログ https://bbs.demonition.com/search2/聖杯大会
聖杯大会本戦統合スレNO.5
https://bbs.demonition.com/board/6193
ラフム語翻訳機 https://yt8492.github.io/RafmanTranslatorスレ立て乙ですのー!
前スレお題〇〇さんが作るこんなキャラが見たい!…趣旨とはズレますが、島術さんが前に仰っていた取り替え子金髪美少年…とか…ハイ
あとアフリカの神話について軽く見てみると西アフリカでユルグっていう銀狼とかマリのアブバカリ2世とか面白い話がたくさんあるなって
特にアブバカリ2世、大西洋横断の伝承が大航海時代とかまれびと信仰とかと絡ませられそうで…たておつです!
“〇〇さんが作るこんなキャラ”……に当てはまるかは分かりませんが、やっぱり既存鯖の別霊基というかイベ鯖はいつでも気になりますねぇアナンシ……蜘蛛……ORT……は、やっぱりやめとこう。
>>6
>納言さんのメスガキとか
ふ、ふ、ふ…女子キャラを自力で作れなくなって久しい私にメスガキと来ましたか…
実はプールにね、居ないわけじゃないんですよメスガキ系。ただ概観がほぼ完璧にバーヴァン・シーと被っちゃってて…なので別角度から色々考えてみようと思います〜
京極さんは青年キャラが多いイメージなのでショタとかロリとか…あとは非戦闘の魔術特化型とかも見てみたいですね
ツンとしてあまり周りと絡まないキャラには無邪気にひっついてくる子供キャラを添えると良いですよ…(囁き)
>>7
構いませんよー。lunaticゾンビ要素も追加されちゃうのか…
>>9
アステカ神話の神霊たちが宇宙から飛来した菌から生まれたというし、宇宙から来たモノということでそういう繋がりがあってもおかしくないのがなんとも…立て乙です!
エピローグ前半……がかなり長くなりそうなので前半のルナちゃんパートを一旦投下させていただきたく
後半である獅音くんパートもあともう少しなので書き上がり次第投下しますがひとまずはルナちゃんパートだけ
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/異聞%E3%80%82吸血鬼と妖精女王「………アイン、さん?」
「あはは、いきなり連れてきちゃったからそんな顔しちゃうよね」
「アイン、後で話を聞かせてもらうからね」
「ひどいよ姉さん!」
いつの間にか居眠りをしていたのだろうか、ルナ・アードゥルがそんな風に微睡みながら目を覚ませば、眼前にはかつての依頼主であったアイン・グローリアンがいた。その隣にはビジネススーツを見に纏った、魔術師らしいとは言えない女がいて。どうやらアインの姉らしい彼女は、アインの耳をつねり上げて何か叱っているらしかった。
「ごめんなさいね。私はメリル・グローリアン。アインの姉です」
「あ、はい。ルナ・アードゥルです」
「ええ、知っているわ。アードゥル家の、ね。今回は私共の依頼を受けていただいたことへの返礼と、事後説明のためにお呼びしました」
「………来た記憶がないんですよね」
「ええ、このバカがあなたを眠らせて無理やり持ってきましたので」メリルの冷たい視線をまともに喰らって、冷や汗をかいているアイン。普段であれば絶対に見ることのできない光景なので、実はかなりレアな場面である。アインに対してある種の脅しにすら使えるだろう。といってもルナはそういうことに興味はあまりないのでその貴重さも理解していないのだけれど。ちなみにメリル自身は本来は連れてきた手段の詳細も話すのが義理だと考えているが、魔術を用いた方法なのできっとそちら側にルナは食いついてしまうと判断したのであえて黙った。その判断は正しい。
「というわけで、先日解決していただいた事件について説明をしましょう。封印指定、ウルフィルト・ロッテンキャットについては現地での説明でお聞きしましたね」
「はい。私の持つ神秘がウルフィルトの施した封印……マヴが成長するための遺物を手に入れる際に必要となる、でしたよね?」
「その通り。ですので弟は時計塔内において、西暦以前の夜の神秘を持つ者を探しました。出来れば死.んでも困ることのないような、政治的影響力の少ない人材を。……気を悪くしたら申し訳ありません。ですが、それに合致するのはあなただったのです」
「いえいえ。事実ですし。……それにしても私のコレ、どうやって知ったんですか?」
「秘密です」
ルナ自身の存在を掘り当てた方法もよくわからないし、ルナの中に宿る“それ”を看破した方法もよくわからない。情報戦に優れていなければ、十二君主に縁ある家系でもないのに時計塔有数の大家は名乗っていられない、ということだろうか。もしくはグローリアンの備えた“特性”こそが真実を見抜くことに作用したのか。
「あ、これって執行者案件だったんですよね。グローリアンって代々執行者の家系なんですか?」
「いいえ。執行者と縁があるのは我々グローリアンにおいては歴代の末子のみです。今代で言えばアインですね。ですが……家族とは助け合うものでしょう?互いに助け合っている、だから助け合う、それだけです。今回で言えば私が彼のお手伝いをしただけ」
「俺もちゃんと姉さんの手伝いしてたりするからね!暗殺しようとしてくる奴への報復とか!」
「自信満々に胸を張ることかなぁ……?」なんというか、アインという人は最初から最後まで魔術師らしい人だな、という感想である。千年以上の歴史を積み上げ、有象無象と周りを断じる傲慢さ、外敵を打ち払うために一切の容赦なく武力を行使する冷酷さ、そしてカナリアやメリルに対して向ける身内への深い愛情、その全てが魔術師のそれだ。ルナには馴染みがないが、それもまた魔術師であると知っている。
「本来であれば十全な説明を行い、依頼するのが当然です。しかしアインはあなたにあえて今回の件を伝えず、小旅行のつもりで死地に送り出しました」
「仕方ないだろ姉さん。西暦以前の夜の神秘なんてそう見つけられない。時計塔に他にいても、そんなもの持ってるのは大抵有力な家系ばかり。ルナ・アードゥルしか便利なのはいなかったし、拒否されるのも嫌だったんだ」
「それは筋を通さない理由にならないわ。あなたの傲慢さは時には薬になるけど、こういう時は毒になる。魔術師としての性というものに浸りすぎよ」
アインとは対象的に、メリルのそれは非常に魔術師らしくない。淡々とビジネスや政治活動の一環としてこちらに誠意を持って話してくる姿に魔術師の持ち得る独特の優越感、選民思想のようなものはなく、一対一の人間としてコミュニケーションを図ってくれているのがわかる。本人の口調からしても、魔術師から一歩線を引いたような立ち位置にいるようにも聞こえる。
「……もしかして、魔術師じゃなかったり?」
「ええ、まあ。兄弟と違って私は魔術回路を有していません。正真正銘の一般人ですとも。あなた達魔術師が感じ得る、魔術を使えることの超常性、それにより生まれる特別感、とでも言えるものがないのです」
「姉さんはもっと強気にいっても良いと思うんだけどね」
「黙って。………後の流れは、あなたもご存知の通りです。マヴさんの顛末も我々は理解していました。現地に到達していたキャナリさんがそれを当人から聞き出していましたから」「……私に言わなかったのは……私が止めるから、かな」
「はい。残酷な話ですが……あの場において、終点にたどり着くまでの間で彼女が生きていようが死ん.でいようが、どちらでも構わなかった。しかし、最後の最後に彼女自身が死を選ぶことは避けられなかった。その最後を、あなたは止めるだろうと思ったのです」
ルナ・アードゥルという少女のことも正確に把握した言葉であり、作戦。アインは割と人の心がわからない節があるので、彼が考えたとは思いにくい。となると……目の前の、他者の心情を見抜くことに長けたメリル本人かとも思ったが……
「計画したのは俺だよ。メリル姉さんは“人の本質を見抜くこと”にかけては多分、人類の中でもトップクラス。でも姉さんは誠実だから、マヴが最後に死ぬことも君にちゃんと伝えようとした。便利だからとそれを止めたのは俺だ。文句を言いたいなら俺に言ってくれ」
「……今更言いませんよ。終わったことだし、文句を言ってもマヴは喜ばない」
「……申し訳ありません。とかく、そのような経緯であなたには黙っていました。ウルフィルトの真の計画や腕試しと称した刺客の派遣は我々も考慮していなかったので、ここはあなたと同じで未知の戦いでした。刺客だった死徒と殺し屋は、ウルフィルトと何かしらの密約を交わしていたことだけは彼の死体から読み取れましたが……よくわからなかった」
「………あの事件はどういう扱いになったんですか?」
「ある程度カバーストーリーを独断で作り上げました。あの時世界各地で起きた異変とウルフィルトの計画の関連性はあえて誤魔化したので、対外的には『何かしようとしていた。しかし阻止され封印指定を執行された』としか映りません。……あっ、これ黙っててくださいね。あとこちら今回の報酬です」
「あっはい。……えっ?」その返事に微笑みながら、メリルが差し出した小切手と小包み。まず目が向いたのは小切手に書いてある0の桁。びっくりした。いつものルナの生活だとまず手に入らないような金額にびっくりした。魔術師とは研究資金がかかる生き物だ。けれど己の魔道の確立はすれども先鋭化はまだ叶わないルナにとっては明確な使い道もないので背筋が凍る金額だった。
「えっと、本当に?あとこの小包の中身は……?なんか凄い、本能がゾクゾクするんですけど」
「命を賭けてもらったのです。それに見合う報酬は当然でしょう。そちらの小包は霊墓アルビオンから採掘される呪体の加工品です。夜空を映す硝子と月の満ち欠けに応じて音色が変わるハンドベルです」
「あ、アルビオン!?あの!?すごい貴重なものでは!?!?」
「ええ、とても。ですがそれ相応の報酬はあって然るべき働きだと我々は判断しました。それと、アインのあなたへの不義理の償いも、です。今回の件は決して口外しない誓約もあなたと交わすつもりですので、その対価と考えてはいかがです?」
「わーい!結びます結びます!嬉しい!ありがとう!」
ルナの喜びようは凄まじく、思わずこちらも笑みが浮かぶというもの。誓約もあっさり結んでしまうあたり、本当に神秘や魔術の探求が第一でリスクは二の次なのだろう。その純粋さは政治闘争に明け暮れる時計塔の面々では決して得られないものだ。欲しいとも思わないが、疎ましいとも思わない。純粋に魔術を極める学徒であればこれが正しい姿だろう。
「あ、そういえば……カナリアは?結構しっかりひどい怪我してたけど……元気ですか?」
「……キャナリさんは……」「カナリアはもう回復してるよ。一ヶ月もあったんだ。ケロッと治って次の任務に行った。君に事情を報告しなかったのは君と顔を合わせたくないから、だそうだよ」
「ちょっとアイン」
「黙って姉さん。これは俺とルナの問題だ。そうだろう?」
「……?まあ、はい。いつかまた会えたりしますかね?」
「………そうだね。いつか会えると思う。さ、そろそろ密談も終わりにしよう。君、もうすぐ次の講義じゃない?」
「そうだった!じゃあまた今度!さようなら!……あ、ありがとうございます!」
なんとか教室に滑り込んで、シウン先生が行う講義を待っているルナ。新しい神秘と研究資金に顔をホクホクさせているルナの前に、割と小さな影が一つ。クラッフ・フロース。若き天才で、ルナの先輩である。
「はいこれ、ルナさんにあげる」
「………小物入れ?」
「中に入れたものの魔力や存在感を隠蔽する効果だよ。君のその持ってる小包から凄い魔力を感じるから。多分、君の冒険か何かで手に入れたものだろう?私は別にそれを追及する気はないけど、心無い人が見たら問い詰めたり奪ったりするかも。ロック機能もあるから入れておいた損はないと思うけど」
「あ、確かに。ありがとう先輩!」「気にしなくていいよ。………ねぇ、今回の冒険で友達はできた?」
友達ができたのだろうか、その答えに私は改めて今回の冒険に思いを馳せた。色々なことがあった。たくさん死にかけた。とても凄い刺激があった。……うん、たくさん友達もできた、と言えるだろう。マヴはそうだし、獅音もそうだ。それにリムやカナリアだって大事な友達。カナリアからは嫌われてるかもしれないけど。
「うん。たくさん。……でも任務で今は大変らしいから、それが片付いたらまた会いたいな」
「……長期任務。そう言ったんだね?あなたの友達が」
「そうだって、聞いたよ?人伝だけど」
「そうか。……じゃ、私は現代魔術科の方のアトリエに籠るから。また明日ね」
「うん、また明日!」
「………そう、ですか。キャナリさん。あなた、それを選んだんですね」
ひとまずおしまい>>7
魔術師然とした魔術師ですか…成程…
一応ストックには魔術師の案はあるっちゃあるんすよね。くろひー的な面白オタク気質かと思ったら実は割と考え方は魔術師してる野郎とか
その内出せるかなとは思ってます…
>>19
割り込みすみませんでした
良かったねルナちゃん…すごい物も貰えて大切な友達も仲間も沢山できて良かったね…
でもなんか前山星さんがボソッと言ってた結末どうしよっかなって話からするに嫌な予感がするんですが大丈夫ですよね…?獅音君は100%大丈夫だとしてもリムちゃんとカナリア君は…どうなるんだ…?
>>23
フフフ…属性モリモリの仮案が沢山ありますぜ…仮ビジュも俺にしてはめっちゃいい感じの奴多いですぜ…でも匂わせだけしていつまでも出せない事が去年からずっと続いて溜まってるので情報出すのはやめときますスイマセン…
>>23 (最後の所)
>>27
!!!
…一通りシチュエーションを想像してみましたが最高っすねコレ。めっちゃいいじゃないっすかコレ
下手したら保護者枠になれる素質すらある気がしてきましたぞ…>>28
水に近い性質。その認識であってる……と思います。境界線の中は所謂「霊界」みたいなもので、魂が巡る場所。なので、魂が揺蕩う場所として水が使われる……みたいな感じかな?
>部族ごとに変わってくるのは細かい解釈の差異がそのまま出ちゃってる…んですよね?たぶん。元をたどればみんな同じで
多分そう。他の部族の神話を大雑把に調べた事があるのですが、ある程度の世界観が類似してたので、多少ぼ差異はあれど元を辿れば皆んな同じだと思います。
いやはや、アフリカ系の神話は日本語表記がないのと、数の多さでまいっちんぐ。建て乙であります。
強いて言うなら、みなさんが作るバルベルデ家の者とか、J.C.バルベルデ傘下企業の従業員とかを見てみたいのです。
ほら、J.C.バルベルデってフリー設定だから。「こんにちは、代行者獅音。今回の任務はお疲れだった。貴君の尽力がなければ星の内海の厄災は溢れ、人類史はここで終焉を迎えていた。我々、秘匿聖歌隊は貴君に深く感謝を示そう」
「いいえ、俺も人々のために尽くせてよかった。マリナさんもご健勝で何よりです」
「そうだな。さて……今回は我々の任務に同行してくれたことの礼と、出来る限りの疑問に応えたいと思う。何かあれば話してくれ。私も出来る限り答えると誓おう」
何か聞きたいことがあるか、と聞かれてすぐに聞きたいことは生まれない。というか、今回の任務について自分は死ぬことへの覚悟を決めて参加しているので、別にそこについての疑問はない。死徒や殺し屋が現れた理由とか、気にならないわけでもないがそこまで掘り下げたいとも思わない。というか、あの場に対峙したときのセリフでなんとなく、ウルフィルトとの何かしらの盟約のもとの襲撃であるのは予想がつくからだ。ならば聞きたいことはないのか、と思ったが………そういえば、二つほど聞きたいことがあった。どうしても外せないものが。
「マヴが死ぬことは、既定路線だったんですか」
「……ああ。先に現地に着いたリムがアルターエゴ、もといマヴを発見した時にな、彼女から色々と話を聞いた。彼女自身も自身が創造された目的は何一つわかっていないということだったが……一つだけ、胸の奥から頭の芯まで、ずっと響き続ける言葉、目的、使命のようなものがあったらしい」
「……それは?」
「“お前は死ぬことに意味がある。死ぬためだけに生まれてきた”と」
「…………だからリムも、カナリアも、そしてマヴも、マヴが死ぬことを受け入れていた、と」
「ああ。道中、遺物を取り込み自身の真の使命に気づいたマヴは言っていたそうだ。これは葬儀だと。自身が生まれ、虚構の妖精女王として完成し、死ぬための。そして、ウルフィルトが考えた、ウルフィルトのための葬儀だと。実際はウルフィルトは全人類、いや地球全土との心中を企んでいたわけだが……まあ、人としてのウルフィルトの葬儀ではあったな。………怒っているな?」「少し。最初から言われていたら、俺も覚悟はできましたから」
どうしても死ななければならないのならば、そして最初からそれを知らされていたならば、それを受け入れるだけの心はあった。当の本人であるマヴが死ぬことを受け入れているのだから、それに自分たちが異を唱えるのはおかしい話だから。
確かに最後の時に未練たらしくマヴの消滅を拒んだが、それはその前に“もう絶対に誰一人取りこぼさない”という決意を胸にしたからだ。最初から伝えられていて、その強固な意思をぶつけられていたのであれば、おそらくもっと綺麗な形で飲み込めたと思う。その場合、今とは色々な状況は変わっていく恐れがあるが……それにしてもだ。納得はしても心情は別である。
「済まないな。貴様の決意の強さを汲み取れなかったのだ」
「気にしてはいませんよ。もう、終わった話ですし。聞きたいことはあと一つ。………どうして、俺だったんですかね。絶対に俺じゃないといけなかった、という場面は微塵もなかったような気がしますが」
「貴様でなければリムは死.んでいたかもしれん」
「それは詭弁です。俺よりも素直にリムが生きていることの喜びを伝えられる人はいるはずだし、その中にも俺より強い人はいたはずだ」
自分より上手くできる奴はいたはずだ、という考えは誰しもが思ったことがあるものだろう。それを否定するにしても受け入れるにしても、考えがわかないことはない。もしそういう人間がいたとしても、きっとごく少数だ。そして獅音は、卑屈になっているわけではない。極めて単純な力や性格の数値を考察した結果、自分よりもリムへの対応や外敵への対策の双方が上手くいく人材は必ずいたという確信だ。だからこそ気になる。なぜ、啓示は自分を選んだのだろうか。本当に純粋な疑問である。
「運命力、というものが魔術世界には存在する」「運命力?」
「我々人類が生存のために消費する当然のような幸運だ。これが低下したものは、たとえば難病に遭うだとか、事故に遭うだとか、そういう危険に遭遇するだろう」
「俺はそれが高いと?」
「わからん。私たち聖歌隊はそれを観測する術を持たんからな。しかし、この運命力は大事なものだ。たとえどれほど能力が優れた者でも、これが低下していれば死ぬ可能性は飛躍的に高まる。さらに言えば、特定の人物との出会いや特定の場面での遭遇でこの運命力は増減する可能性もあるという。……これは私の考察でしかないが……貴様における運命力の高まりは、ここにあったのではないか」
なるほど。そういう理由があった、と解釈することもできる。しかしながらやはり、真の意義を考察することは難しい。そも啓示とはそういうものである。意義がわかるものもあればわからないものもある。多分、その意味を知ることはないのだろう。少なくとも我々人類の視点でそれを窺い知ることはできない。
「……そうだ、貴様に渡すものがあった」
「これは?」
「リムが貴様に宛てたものだ。あれが生まれ育った故郷の場所を指し示している。……しばらく非番なのだろう?行ってやれ、今すぐにでも
「わ、わかりました」「リムが生まれ育ったところ……森、だな。辺り一面」
「まあひどい。これでもみんな生きてた頃はもう少し整備されてたんですよ?わたしも久しぶり来ましたけど」
「ッ!?」
全く気づかなかった。いつのまにか背後に立っていた。リムは確かに気配を消す手段に長けていたが、それにしてもここまでの隠形を為すとは。一ヶ月前から腕前が上がっていないかと思ってしまう。というか多分上がっている。それに……あれだけ大事そうにストックしていた酒もタバコも持っていない。もしかして酔っていたからこそ技術が鈍っていたのか?
「やめたんだな、酒もタバコも」
「クスリもやめました。もう、わたしには必要ないので。………あの、獅音さん。一緒に歩きませんか?わたしの生まれ故郷、案内したいです」
「あ、ああ……ん?」
「どうしました?」
「いや………何も。よろしく頼むわ」
色々なものを見た。色々なものを見る過程で、俺は、リムの人生がどんなものだったのかを改めて知ることになった。その一つ一つが、確かな情景となって目に焼き付いたからだ。たとえば、朝の穏やかな日がとても眩しくて痛い崖。ここから見える湖も、そして煌めく花畑も、とても綺麗なものだった。人の手が加えられていない自然だからこそ感じられるもので、幼い頃は同じ一族の子供たちもよく遊んだとリムは云う。今でも水が腐ることなく、青々とした木々の揺れる音が響く、とても穏やかな場所だった。
たとえば、修練場と名のついた場所。とても立派な天然のアスレチックで、パルクールなんかの練習は今でも変わらず行えた。倒れている木も腐ることがないのは、きっとここら一帯が異常なまでの生命力に溢れているからだ、とリムは云う。鍛えるのが好きだからとうっかりはしゃいでしまったが、リムは笑って許してくれたので問題ないと思う。多分。
たとえば、清廉な雰囲気で満ち満ちた神社。この社の中でリムは呪術を習ったという。実際、リムを残してみんな亡くなってしまった現在でも、リムが残しておいた呪物や礼装はたくさん山積みになっていて、そこにはここに至るまでの巫縄という一族の研鑽が存分にうかがえた。頑張りが痛いまでに感じ取れた分、その一族の終わりが胸を締め付けるほどに。
たとえば、リムが生まれ育った家。巫淨本家から移り住んだのはすぐらしいので、ここで彼女を育てた養父母こそが、彼女にとって真の父母なのだと云う。修練、退魔、その日々は決して楽なものではなかったが、一方で確かな家族としての温かみもあったと。実際、家の中の様相を見ればそれはすぐにわかった。団欒を重んじる家族のそれだ。とても良いものだ。
「どうです?とても良い場所でしょう?」
「ああ。……その……もっと血で濡れたおどろおどろしい場所かと」
「雨が全て流してくれました。誘い雨、あの人が全部」
リムはその光景を忘れない。優しい雨が降り注ぐ中、共に一族の死骸を埋葬してくれた男がいた。見るからに病弱で、今にも熱で倒れてしまいそうなのに、その足取りに一切の揺らぎはなく。最後まで手伝ってくれた人。“必ず君の同胞の仇を取る”と評して数日後。反転してしまった例の混血たちが混血でなくなった、と聞いた。それこそが喰魔の誘い雨の本領だったのだろう。本当に、仇を取ってくれた。彼の行動にわたしへの憐れみはなかったけれど、わたしの人生への応援はひしひしと感じていたから。不思議と不快ではなかった。
「………本当に、色々ありましたね」
「色々あったな。けどまだ人生は長い。他にもやることはたくさんあるぞ。色々起きることもあるだろ」
「そうですね!」
暑い、夏の日だったから。やけに汗がじっとりと張り付いて。蝉の声がうるさくて。ちょうど木々が少ない場所だったから、やけに眩しい陽光がリムを照らしている。見えない、と錯覚してしまうほどに。陽炎が立ち込めて、足元がよく見えない。なんだか頭も痛い。熱中症だろうか。リムの、笑顔が見えない。
「本当に、たくさんありました。わたしはあなたに、とても助けられました。あなたが居なかったら、今のわたしはないと思います」
「そりゃありがたい。俺も、お前にはたくさん助けられた。これからも助けてもらうだろうし、助けることも山ほどあるだろうな」
「そうですね。………誰かを言い訳にして死ぬのはただの独りよがりなのだと、そんなことはしてはいけないのだと、わたしはあなたに教えられました。それはとても、とても温かく大事なものとして、わたしの心に刻まれているのです」
言葉から伝わってくる。その想いは嘘ではない。リムは本当に、真実、心から、他者を理由にして死ぬことは愚かなことだと結論づけているし、他者のために死ぬことは決してないと宣言している。そうだ、それでいい。それがいい。そんな風に思ってくれることが、友達である俺は何よりも嬉しい。そこにあるのは俺だけではなく、カナリア、ルナ、そしてマヴや聖歌隊の人たちといった自分の周囲にいる人々への親愛だ。愛ゆえに、他者を振り切って死ぬというのはなんと身勝手で残酷なことかというのを、確かに理解している。「うん。でも、時間みたいです。もう少し話していたかったけど、選んだのはわたしですから。もう、行かなくちゃ。身勝手で、残酷で、とんでもなく馬鹿なわたしだけど、許して……とは言いません。恨んでも構いませんよ」
「リム?……おい、何が」
「ごめんなさい。ありがとうございました。とても、楽しかったです。………さようなら」
「リムッッ!!!おい、リ──────」
今までに見たことがないぐらい、眩しい満面の笑顔。それを最後にリムの首から血が噴き出し、ゆっくりと地面に倒れる。倒れた、はずだ。
倒れたはずの体がすぅっと透明になって、血も、服も、何も残さず消え去った。というか、倒れ落ちた音もしなかった。まるで最初からそこにリムなんていなかったみたいに。そして、そこに一つの墓石が置いてあって。「なんで……お前、ここまで、来たのに……俺は、お前に、死.んで欲しくなんて………」
思えばおかしいことだらけだった。最初に気配を消して現れた時は、本当にありえないぐらいの気配の薄さだったし、一緒に横を歩いていたはずなのに、木の葉を踏む音がしなかった。多分、リムと共に歩いていたことが楽しかったのと、認めたくなかったから。他にも、色々。この森でリムに会ってから、今の今まで、おかしいことばかりが募っていく。
きっと、あれはリムの残り香だったのだ。この世からとうに消えてしまったリムが、最後に俺に向けて残したもの。一種の残留思念。どうやって残したのかはわからないけれど、きっと呪術か何かだろう。最後の消え方は、リム本体の死に方の模倣か何か。シスター・マリナはきっと知っていた。知っていながら、リムのために黙っていたのだ。
「ひでぇよ……そんな逃げ方、ありかよ………」
たった一人だけの森。最初から、何もいなかった森。涙が落ちる音だけが、男の嗚咽だけが静かな森に響き渡る。そしてその嗚咽も、煩い蝉にかき消される。
──────うざっ怠くて仕方ない、暑い夏のことだった。数日前のこと。
「なんだ、お前も来てたのか。リム」
「あ、カナリアさん。……ええ。もう、決めましたから」
穏やかな声色で、彼らは歩みを止めることなく進んでいく。その先は魔導円卓騎士団と秘匿聖歌隊の秘密の密会場所。ここで合同作戦の会議を行ったり、時折合同訓練を行ったりする。そして何より……互いのトップであるアインとマリナはここを秘密の密会場所として愛用している。団員も隊員も皆それを知っている。そして今が、その時間帯であるということも。
「酒もタバコもクスリもやめたんだな」
「ええ、必要ないですから。やっと、前を向けそうです。あなたも、リスカ跡ないですね」
「必要ないからな。オレも、やっとやりたいことができるんだ」
扉を開いて、彼らは己が主に直面する。その顔つきはとても晴れやかで、憑き物なんて何一つなかった。ただ全てが輝かしい。今までの人生の集大成は、ここにあるのだと心の底から宣言できる。そんな誇らしい気持ちしかない。その顔を見れば、主人たちも“遂に来てしまったのか”と理解するだろう。いや、理解した。>>57
>空中に書いて魔術発動
ぎくりぎくり
ベルは悩みどころ…
どうしよう、北に持って行くのもアリだなぁ某動画を見て考えたネタ『猛烈夢幻望郷ネバーランド』。
子供の頃の思い出、懐かしさに囚われ、在りし幸福を夢見る特異点。大体の鯖に特攻だと思われ。
>>59
あれま、ご自愛くださいませ。>>59
お久しぶり&お大事に…
当分この暑さは続きそうで、げんなりさせられますねソフィア・セスタノッテからグランデ嬢とバイディワちゃんへの言及台詞を「最遅でも土曜日夜には上げます」とか私はいってたな、あれは嘘だ
いや嘘のつもりは無かったんだけど、実は今日(やっぱ自分って駄目だぜ)なメンタリティに急落したので、またもうちょっと後にさせてください。
病気とかではないですし、怪我でも無く、ただただ自分の不手際とか注意散漫などといった感じです
肉体的というよりは精神的なモノなのであんまり心配の言葉とか要らないです。というか言わないで。掛けられたら逆にダメージが増す気がするから
明日明後日が休みなので、持ち直して投稿できるかなとは思います拙者、早速ライカで何かss書こうと思ったけど何もネタが浮かばなかった侍。
前スレ1000についても私の作る〇〇なキャラが見たいとかあれば。隙あらば人外にしたり魔眼持ちにしたりする癖がありますが。
>>19
これは凄いモノを貰いましたね。まあ口止め料とかのアレコレも込みで誓約も結んでとなるとこんなものかなとも。でもルナちゃんに資金持たせると次の冒険の旅費にブッパしそうだなぁ。
>>28
うーん。私の所のキャラで該当しそうなのは飛鳥ちゃんの『力不足』でしょうか。あとは『起源が『異常』な普通の男』日向優人と『起源が『普通』な千里眼EX持ちの女』セリカ・イングラシアみたいな対比カプとか。
>>43
り、リムゥゥゥ!よりによってなんで目の前で…。最期にデカイ傷を残していきましたね……。
>>45
努力をしない天才が嫌いでそうならない点では評価が上がりそうなところですが人として嫌悪感がない訳では無いので。
>>59
お久しぶり&お疲れ様です。最近暑いですよねぇ。あと2、3ヶ月の辛抱です。水分補給や体温調節にお気を付けください。
>>66
あ”…変え忘れてたすいません…。>>68
次の旅費に使われてもまあそれはそれでの精神
リムが目の前でそうした理由は単に「死んだことを謝りたかったから」です
では、虚構妖精編エピローグの後半、最終回をこんなに心が弾んだのは初めてだ。今までの生きてきた人生ではなく、死ぬときが一番幸せだなんて。でも、仕方ないと思う。これがきっと運命で、生まれてきた時から決まっていたのだ。こうやって死ぬ。こうやって、オレ/わたしは幸せになる。
「……お前には俺の愛情は届いてなかったのかな、カナリア」
「いいえ。オレはたくさんあなたに愛されています。それはとても実感できますし、とても幸せです。心の底から、本当に」
「なら」
「でも足りないです。オレは、あなたにもっと愛されたい。あなたの一番がいい。というか、オレ以外の人なんて愛さないで、その全部をオレに注いで欲しいです」
あの時、アルバーンから助けられた際、オレはとても愛されているということを実感した。主君にたくさん愛されていて、信頼されているという事実に胸が躍った。生きていてよかったと思った。それは事実だ。間違いない。オレは、あの時、確かに救われた。
でも足りない。満たされない。まだ愛されたい。一番にオレが愛されたいし、というかオレ以外愛してほしくない。オレだけを愛して欲しい。オレもあなただけを愛するから。結局のところ、最初から最後まで、オレの気持ちはそれだった。
だからオレは、自分が愛されていることを自覚してもなおルナのことが嫌いだったし、ユリアのことも憎たらしかったのだ。自分だけじゃないと気が済まないから、自分以外が関心を向けられているだけで腑が煮え繰り返る。そう気づいてしまったが最後、主君の恋人である聖歌隊の隊長にも腹が立つ。性愛だろうが親愛だろうが友愛だろうが関係ない。それが愛である以上、オレの忠愛の邪魔である。故に全てを消し去りたい。しかしそれは叶わない。オレにそんなことはできない。ならばどうする。どうやってオレはオレの願いを叶える。
「あなたを殺します。殺して、その魂も体も、何もかもオレが取り込みます。そしてあなたがオレしか目を向かないようにする。オレの魔術なら、それができます」
「………魂を穢れで堕落させ、汚染し、引き摺り落とす魔女の灰。聖騎士の泥。殺してしまって、魂を手に入れたのなら、その魂を自分色に染め上げることができる」
「はい。放っておいたらあなたはどんどん前に行ってしまいますから。そんなの嫌です。オレだけ見てください。オレだけ愛してください。オレのこと、ずっと好きって言ってください」壊して、染めて、縛り付ける。先になんて行かせない。逃がさない。許さない。未来永劫足を引かれて、オレと一緒にいればいい。オレと一緒に腐ればいい。オレと一緒に死.ねばいい。そうして最後に、二人っきりで惨めな泥になって、灰になって、風に撒かれて消えてしまおう。オレたちの世界に他の人なんていらない。全部さよならしてしまおう。きっと、それが何よりもオレの幸せに繋がるから。
「……勝てると思ってるのか?言っておくけど、容赦はしないからな。確かにお前は惜しいが、俺の命は愚か、俺の指先に勝るほどでもない。傷一つ受けるつもりなく、お前を殺.すよ俺は」
「………それはそれでアリ、ですね。だってあなた、オレが死.んで悲しんでくれるでしょう。オレを殺したことを後悔してくれるでしょう。オレのこと、しっかり刻んでくれるでしょう?」
ああ、勝てるなんて思ってない。でも、万が一勝てるのであればという夢を語っただけのこと。オレからしてみれば殺されることもまた幸せでしかない。だって、オレのことを思って泣いてくれる。オレのことを愛してくれる。そのとき、その瞬間、主君の中の愛情は全てをオレだけに注がれるのだ。その一瞬を想うだけで、頭が蕩けてしまいそうだ。顔が綻び楽しくなる。
「ああ─────大好き。大好き、大好き!ねぇ、知ってましたか?オレずっと、あなたを殺したかった!殺して、オレの色に染めたくて……ねぇ、オレのこと、好きですか?」
「もちろん。愛しているよ、部下として」
「百点満点です。でも足りないから。ごめんなさい、殺しますね。殺してください」「死ぬ理由をもう一度聞こうか。それ次第では、私は貴様を介錯することは意地でもせんぞ」
「特にないです。死にたいから、死ぬ。それだけ。強いて言うなら……多分、最初からそういう生き物だったんだと思います、わたし」
「他者の思いを切り捨ててでも?」
「ひどいとは思います。許してほしいなんて思いません。ただそうしたいからそうするだけで」
そう、理由はない。だって自分でも思いつかない。やれ逝ってしまった一族のみんなのところに行きたいだとか、やれ誰かのためにカッコよく死にたいだとか、そんな理由すらない。高尚な思想でもないし、泥臭い思想ですらない。これはそれから逸脱したものだ。誰からも理解されないものだ。……わたしという人間が死にたいと思うことに理由はない。辛いことは何もないし、死ぬべき理由も何もない。だけどただ、死にたいと思うのだ。
生まれながらの虚無。どうしようもない希死念慮。きっと、生まれからしてまともではない。今までの人生の出来事で自ずと死にたいと思ったわけではなく、生まれたときからこうだった。おそらくわたしの起源はそういう何かなのだろう。誰が何をしても、自分が何を思っても、死に惹かれる。それをいけないことだと理性が判断して、色々な理由をつけていただけ。本来理由なんてないんだ。
なんで馬鹿馬鹿しいんだろう。なんて自分勝手なんだろう。許されていいものじゃない。理解されていいものじゃない。こんな衝動は、生涯自分の内側に秘めておくべきものだろう。でも、ダメだ。止められない。一度自覚してしまった以上、この衝動は止められない。止めたくない。なんて身勝手、なんて最低、それでも嫌だ、止まりたくない。死にたい。一度自覚したその想いが溢れ出すのを止められない。
「その死に意味はない」
「意味がないことに意味があります。わたしは死ぬために生まれてきたんですから。きっと、最初からそうだったんです」
「……もう、現実を直視できるんだな」
「はい。自己陶酔はもう終わり。わたしは、わたしの下らない願いのために、全てを切り捨てます。……申し訳ないなって、思ってるのは本当ですよ?でも、止められないんです」あのとき、獅音さんに助けられて、隊長に助けられて、自分が生きていることに意味があると教えられた。しかしそれでもなお、生きていたいと思える生存欲求は湧かず、死に惹かれる衝動だけが強く残っていた。みんな必死に生きているのに、みんな必死に前を向いているのに、自分だけ後ろを向いている。前に進めない。それはきっと、どうしようもないことなんだ。誰の所為、とかでもなく。何かの所為、というわけでもなく。これはきっと、自分の所為。自分という人間は、生まれからして外れていた。ただそれだけ。でも、それがわかっただけでも清々しい。
「ようやく、戻ってこれました。酔ってばかりのどうしようもない世界から、帰ってきた。この世界を直視できる。綺麗なことにも汚いことにもちゃんと目を向けられるようになったのです」
「やっと正気になったんだな」
「ええ。わたしは、もう迷わない。わたしという人間は迷うことなくあなたに向かっていける。飛び立てる。わたしの人生は死ぬことで完成する。理由なんて要りません。それが、わたしです」
「そうだな。今の貴様の顔はこれまで見てきた中で一番綺麗だ」
憂うことなど何もない。自己の真実に辿り着いたことに、哀しむ気持ちは微塵もない。他の誰にも止められないし、止めたくない。ああ、だって、こんなに心が晴れている。自己の終焉に向かって、一生懸命走っている。これだけでも生まれてきた甲斐があったというもの。生まれてきたのが間違いなんかじゃない。生まれたことも、育ったことも、大事な人たちとの出会いと友情も、全てはここに帰結する。何も無駄なものなんてなかった。醜いエゴだとは思うけれど、それでもわたしは幸せだ。
「もう逃げません。もう酔いません。これが、わたしの答えです」
「なるほど……私も、覚悟を決めねばならんな」少年少女は新生する。嫌いだった人、好きだった人、そんなかけがえのない友人たちとのやりとりで、己の本質を知ったからだ。その本質を悟った以上、逃げることはあり得ない。戦わないことはあり得ない。自身の人生に、結論を出さなければならない。そして、それは彼ら自身が望んだことだ。
「愛しています。誰になんと言われようと、オレがあなたを一番愛している」
「おいで」
彼らの葬儀はしめやかに。彼らが敬愛した者との殺し合いで締め括られる。それこそが彼らが望んだ最後の晴れ舞台であり、誰も知らない秘密の空間。観客はいない。ただ自分の思いの丈を精一杯ぶつけるだけ。ぶつけた末に、彼らは幸福を掴むのだ。人生最大の幸福を。
「来い、私が手ずから貴様の首を刎ねてやろう」
「最後まで迷惑かけてばっかりですね、わたし」「手厚く葬るように。死体を辱めることは決してしないで、棺に入れてやりなさい」
戦いは終わった。流れ出る血は灰となって消え去った。心臓を槍で貫かれたカナリアは、満面の笑みのままその人生を終えてみせた。一切苦痛に喘ぐことなく、最初から最後まで彼は幸福だった。
「……ユリア、カナリアの刻印だけ剥ぎ取る。剥ぎ取ったの全部俺に寄越せ」
「未練がましいですね。魂もしっかりと腐花に保管している。それで?死者蘇生を成し得るのは魔法か奇跡かの二択ですよ」
「万物の流転こそが錬金術の本質だ。カナリアそのままでなくとも、彼の魂と魔術回路、そして刻印を用いれば礼装、使い魔……まあそのどちらかは作れるさ。ハル兄さんに頼み込むよ」
そうだ、お前は俺の犬だ。俺が従えた可愛いペットだ。死んだ程度で捨てるなんてあり得ない。死ん.でも使い潰す。別の形にしても上手く使ってやる。それはキャナリ・ド・ヴォワザンではなく、また別の存在ではあるが……それでも、きっとお前は微笑むだろう。俺に使われることをお前が喜ばないわけがないから。でも、そうだな。犬はたくさんいるんだけど、俺にここまで噛みついてくるのはいなかった。身は何一つ痛くないけど、心が痛い。
「俺の犬は他にもいるけど、俺に囀る金糸雀は後にも先にもお前だけだよ」「鎮魂歌を歌ってやれ。人のために尽くした女だ、その死を悼まれる資格はあるだろう」
戦いは終わった。冷徹に、残酷に、首を刎ねて殺.すつもりが些か手が鈍ったようだ。首を切り落とすことはできず、首を切り裂き血を噴き出させる形で殺してしまった。しかしながら、それでも彼女は笑顔を浮かべていたのは不幸中の幸いか。
「リムちゃん、逝っちゃいましたね。……オレも死んだ後に煉獄で会えるかな」
「いいや。貴様や私には次があるが、リムにはないんだよ、アスモ。コイツはな、もう既に自身の魂を消費しきってしまった。次はない。根源の輪廻転生にも、我らが主の死生観にも、行けない。何処にも行けないんだ」
「え……?あ、それ、そのリムちゃんの武器……」
リムは、どうやら次の生すらも望まなかったらしい。死した魂が根源に還り、また新たな何かとなって生まれ出でるそのサイクルを、彼女は良しとしなかった。根源から外れるために、魂を純然たるリソースとして消費し、己が用いる呪具を強化する外法を成したのだ。彼女に次はない。彼女に未来はない。他の世界線はどうあれ、この世界のリムはもう、何処にもいない。強化された呪具にその思念が色濃く焼き付いているが、巫縄梨夢本人ではない。しかしまあ、遺してくれたのならば使わねばならん。
「……飛び立ったか。酔いは醒め、やっと貴様は目が覚めたんだな」>>80
ルナちゃんをお借りさせていただきありがとうございます
もちろんこれはこういう世界線も、ってことでウルフィルトとの一件があったけどカナリアが普通に生きてる世界線もあるので……ただこれが一番幸せだと思います……ルナちゃんが封印指定になったら意気揚々と追いかけると思いますはい
>>79
人生やりきるだけの答えは得た、そんな二人の悲しい夏の日の出来事……ソフィア・セスタノッテ
→グランデリニア・グレーヴェンマハ
「お前さんが伝染魔術さんトコォの幻想主義者な嬢ちゃんっちゅうヤツかいな。僕は目ぇ隠しとぉやき、今すぐにお前さんの世界を観測する事は出来へんねん。せやからグランデリニアちゃんやったっけ、僕がアンタはんのイラストを直に見れるよぉする為にも、もうちょぉ離れてくれへんか?……そうそう、それぐらいの距離やんね。あんがとさん」
「イラスト、見せて貰っとうよ。なんゆーか、僕は気に入ったで。ただまぁ、石像なり木像なり、三次元的な容に現すのは難儀しそうじゃなぁと思ったわ。勿論、そういうモデルを形作るのも燃える案件ってヤツやけん、お前さんに準備が出来たら依頼はいつでも受け付けちゃるわ」
→バイディワ・バイブラクラック・バルベルデ
「大分早熟っぽいなぁとか思ったり?あと複雑そうなご家庭やんねぇみたいな。将来的に嬢ちゃんのイラストを像にするゆう展開が起こる可能性もあるかもしれへんね。そん時はキッチリ仕事しちゃるけん、どんなイラストで芸術家するゆうが楽しみ!という訳じゃき、待っとぅよ?」できた…本当にできちゃった…
名無しの教室に入れたい子がいるのですが、見てもらってもいいでしょうか>>92
「とりあえずやってみよう。なに、最初は鼻歌でも唄うように描けばいいさ」
【氏名】エンデ・エルフィリーデ=リヒテンシュタイン
【性別】男性
【年齢】18
【出身】リヒテンシュタイン公国
【身長・体重】174cm・67kg
【肌色】白色【髪色】銀色【瞳色】空色
【外見・容姿】バシバシに長いまつ毛と短く切りそろえた銀髪が似合う甘いマスクの王子サマ。ボディもほどよく筋肉のついた細身で外見上は完璧に見える。時計塔では魔眼殺しのモノクルと仕立て直した白い魔術協会制服を身につけている。
【属性】混沌・善
【好きなもの】絵を描くこと、美しいもの、あの日見つけた一枚の贋作
【嫌いなもの】"もや"、美しさを無碍にするもの
【魔術系統】芸術ならびに金銭
【魔術属性】空
【魔術特性】描く
【魔術回路】質:A 量:D+ 編成:正常
【起源】画用紙
【所属】時計塔・考古学科
【階位・称号・二つ名】『祭位(フェス)』『贋作師』>>93
魔術・特殊技能・特性など
『絵空描き(フルクシス・アート)』
宙に線を引く。ただそれだけの魔術。
古今東西にあふるる芸術への信仰を基にエンデが作った魔術で、これそのものにはなんの歴史も伝統もない。なにせエンデ自身キャンバスいらずで絵を描くためだけに作った魔術とのたまうのだから。
注目すべきは魔術そのものではなく、その使い方にある。
エンデは他者の魔術をひとつの絵に、魔術を成立させる魔術式を無数の線に見立てて描いてみせた。
無論、ただ見ただけで魔術のすべてを理解できるはずもない。元より魔術とは秘すべき神秘であり"さわり"だけでおいそれと全容を知られるわけにはいかず……そんなことができる者はひどく限られる。エンデもまた例外ではなく、他者の魔術を正しく理解してはいない。しかしエンデは造作もなく描いて見せる。他者の魔術を、まるで自分のものであるかのように宙のキャンバスに収めてしまう。
それはなぜか。
いかなる手段を用いてか。
確かな観察眼をもって見抜いているわけではない。膨大な知識から推察しているわけでもない。彼は"さわり"だけ知った魔術のその先を、想像して描いているだけなのだ。
ただ「こうすれば美しいだろう」という美意識を元に描かれるそれが、こつんと真実に当たってしまうだけの話。そこに根拠も理屈もないが、それでも不思議と描かれるものは限りなく正解に近い。
ゆえにその魔術は───絵空を描くとされる。
可能とするのは、他者の魔術のコピー。
もちろん完璧な複製ではなく見よう見まねの絵空事。本物に近づきこそすれ本物へは至らない。
一度コピーするたびに一枚の絵を最初から最後まで描ききらねばならず、一度使えばまた描き直しとなる。エンデの筆の速さと正確さありきの曲芸で、結果に至る過程がまるで見合っていないことは見る者が見ればすぐにわかるだろう。
コピーが困難な魔術もまた無数にある。特異体質に由来するもの、磨き抜いた肉体に合わせるもの、礼装の媒介を必要とするもの、彼の美意識にそぐわないもの、魔眼、固有結界、魔法etc……挙げていけばキリがない。
エンデがコピーできる魔術は一般的とつくものが基本になると考えればいいだろう。そして、一般的の範疇にある限りはなんだってできる。>>94
『黄金魔導(ゴールデン・トリック)』
金銭を媒介に信仰に干渉する魔術。
金銭ひいて貨幣の価値は信用なくして成り立たない。これは古今東西変わらぬ大前提である。
貨幣への信用が経済というシステムを成り立たせ、このシステムが人類を社会という形でまとめあげた。貨幣は、金こそは、人類最大規模の大魔術と言えるだろう。
金銭あるところに信用ありとするならば、金銭はまさに信仰へ直結する明確な媒介となる。
信用から成り立つ世界共通の幻想を介して信仰そのものに干渉する。これが黄金魔導の神髄である。
術者が支払う金額に応じて対象の神秘を増減させる。金銭を代償に信仰を得る───極めてシンプルな等価交換。
得られる信仰は限りなく無色に近く、いかなる神秘とも反発しない。"金銭"という条件さえ満たせばだれにでも適用できる万能のバフ、あるいは何者にも弾けないデバフ。
もちろん信仰を得るには相応の金額が必要になり、それは凡人のひとりやふたりの人生を破滅させる程度ではまるで届かない額。実用的なラインで運用していくには消費が激しい宝石魔術にも似た宿命を持つ。
極論すれば、黄金魔導とは札束で殴る魔術でもあるのだ。
エルフィリーデの家に伝わる魔術であるが、時計塔にいる間エンデは貧乏暮らしをしていることからこの魔術を使えない。使わない。>>95
『顕美の魔眼』
一言で言えば「美しいものだけが見える魔眼」。
美しいものは強調されて視え、そうでないものは煙に巻くがごとく見えなくなる。……ただ、それだけである。
魔眼としての位は言うまでもなく低い。できることは主観による美醜を明らかにするだけ。皆無に等しいメリットに反してデメリットは大きい。
この魔眼によって映し出される「美しくないもの」は雲のような、霧のような"もや"に包まれて見えるようになる。
大まかな形はわかる。もやの中でシルエットのように浮かぶそれはある程度の形と大きさを教えてくれる。だが、それだけだ。
人間を見れば人の形をしていることはわかる。しかし表情は見えない。線が太いか細いかも曖昧。目の色、肌の色、髪の色───そういったこともわからない。
美しさを知らぬかぎり世界すべてがそのように見えるのだ。
しかしひとたび美しさを知ればもやは晴れ、雲のすき間に光が差し込むように視界は開ける。そのように視える世界は光すら放つように見えるだろう。
"顕美の魔眼"の本質は美を見極めることではない。
そも美醜の価値基準は己の内にあり、根本的な主導権など魔眼には無い。第一に、世界が美しいかどうかなど自分の心でしか決められないだろう。
なにが美しいか、なにを醜いとするのか───それらの主導権は持ち主の心にある。あくまで魔眼はその心を視覚化するだけだ。
感じる心をそのまま世界へ投影するプロジェクター。それこそが"顕美の魔眼"の正体であり本質である。>>96
礼装・装備など
『絵筆』
絵を描くために愛用している絵筆。
『絵空描き』の使用にも耐えられるように魔術的調整を施しているが元は一般に販売されていた普通の絵筆。
アルバイトの初任給で購入した品でエンデなりの思い入れがいっぱい詰まっている。
『モノクル』
エンデ用にオーダーメイドで制作された魔眼殺しの片眼鏡。
通常の眼鏡ではなく片眼鏡である理由はひとえにエンデ自身の強い要望から。例え一時でも魔眼から見る世界を完全に抑え込みたくはないと彼は言う。
とは言えども魔眼で見る世界と魔眼殺しから見る世界、ふたつの世界を同時に見ることは脳に強い負荷をかけてしまう。そのためモノクルを使用するときは片眼を閉じて使うようにしている。
主に人の顔を見て話すときや自分の作品を客観的に眺めたいときに使用している。>>97
来歴
リヒテンシュタイン公国、その王室を祖にするエルフィリーデ家に生まれた三人の子の一人。
生まれついて『顕美の魔眼』を持ち得ていたことで、エンデの生涯は孤独から始まった。
エンデにとっての世界とは、自身を取り囲む暗雲でしかない。魔眼を通して視る世界は霧の中のように薄暗く、流れる雲のように曖昧で定まらず。そしてなによりも醜い。
見るに堪えない───それが魔眼を通して視た世界への率直な感想だった。
すべてが醜いわけではない。この眼に見える美しさも世の中には少しばかりあった。たとえばどこまでも高い
その事実がまた心を苛んだ。いっそ世界すべてが醜いのなら「なにかがおかしい」と無責任な言葉に押し付けることもできたのに。美しさと醜さが同居しているこの世界には真実しかないのだと突きつけられる。
この世界の美しさなんて指で数えるほどしかないんだ、って。
衝動的に目を潰そうとした行為の数は数えきれない。何度、絵を描きながら筆先を眼球に突き入れようとして止められたことだろう。次第に筆を握ることも禁じられるようになり……その頃にはもう家が魔眼蒐集列車で魔眼を摘出する段取りを済ませていた。>>98
魔眼蒐集列車へ向かう前日の夜。なにも見えない暗がりを求めて、逃げるように入った倉庫で見つけたのは埃をかぶっていた一枚の空を見上げる絵だった。
きっと誰しもが目を向けないほどに平凡な、けれどそんな一枚の絵に不思議なほど心を動かされた。
それまでのことなどすべて忘れて、エンデは周りの人間に訊ねてまわった。この絵はなんだ、誰が描いた、なんでこんなところにあるんだ……その質問に皆口々に言った。
「たまたま引き取ってただけの、誰が描いたかもわからない贋作なので倉庫にしまっていたんですよ」……と。
エンデのこれまでの価値観は音を立てて崩れた。
だってこの絵はこんなにも美しいのだ。
贋作であると知らなかったから。誰が描いたかなんて知らなかったから。こんな場所で埃をかぶっていることを憤ってしまうほどに───美しいと、そう感じてしまったのだ。
贋作という先入観があれば目に入れようとも思わなかったろう。誰かが出来が悪いと言っていればそういうものだと見切りをつけていたに違いない。あらかじめ知っていればきっと「美しくない」と決めつけていたであろうそれに、あるがままの心を揺り動かされたのだ。そして一度認めた美しさはどんなに余分な情報が入ろうとも色褪せない。
気づかされてしまった。世界を醜いと知る前から断じていたのは他ならぬ自分であることを。この眼が映していたのは世の醜さではないと。
世の中が醜いのではない。世の中を視ている俺という人間が醜いんだ、と。
ならば。
ならば。
俺自身が美しくなれたなら、この世界もきっと───>>99
エンデは魔眼の摘出を辞退した。
己が魔眼の本質を知ってからエンデは自分が美しくなるために、また知らなかった美しさを気づくために、いろいろなことに挑戦した。
体力を付けるために運動を始めた。現代科学に触れるためにスマートフォンとやらを購入した。女性のように自らを着飾ってみた。まるで興味のなかった政治だ法律だ帝王学だのを勉強してみた。金に物を言わせた遊びに興じてみた。絵ではなく音で、像で、文字で世界を表せるかも試した。これだけはどうも馴染まなかったが。
ともかく、多くのことを試した。そして、これからまたひとつ新しいことに挑戦する。───留学である。イギリスのロンドンにある現代魔術師たちの総本山に……すなわち時計塔への入学を決めた。
ただ入学するだけではない。これまで通り王族故の金と人に囲まれたまま日々を過ごすのでは、自ら環境を変えに行く意味は薄い。
ならば金は持たずに行こう。身ひとつで稼いでみるというのも新鮮で悪くない。
人も誰一人として連れずに行こう。イチから友人を作るというのは実に楽しそうだ。
身を置く環境も今までとは真逆にしよう。けして煌びやかでなく。さして人も多くなく。そして絵を描くばかりの王族すら受け入れる、そんな風変わりな教室が望ましい。
それらの条件に合致したのは考古学科にあるさびれたひとつの教室だった。名無しの教室と呼ばれるその場所は落伍者御用達と言っても過言ではない場所で、美しさを知ろうとしなかった王子サマには決して踏み入る価値のなかった空間。
その空間に向かってエンデはためらいなく一歩を踏み出す。挑戦するって、こういうことなんだろう?>>100
人物像
どの角度からでも崩れない美形を保ち、気品ある余裕をつねに漂わせている王子様……に見えるがその実やることなすことに挑戦心を燃やす全力エンジョイ勢。
絵を描くこと以外のことに関しては飽きっぽく、日ごとに違うものへ挑戦している。花を愛でていたかと思えば流行りのゲームに触れ、ゲーム機を離した途端に映画を撮ろうとしたりと……なかなか先が読めない。
行動原理は「自分の視える美しい世界を広げる」というもの。それは自分の知らない美しさに気づくための長い長い旅路であり、ひとつのゴールを定めるものではない。時計塔から、名無しの教室から旅立つ日も案外遠くはないのかもしれない。
時計塔の生活においては優位に立ちまわるためリヒテンシュタインの名を惜しみなく出している。が、あくまで名前だけ。人材面や金銭面では頼らないようにしている。エンデなりの挑戦という行為を実現するための縛りプレイとでも言おうか、なにせ家の力を使ったパワープレイでは挑戦もなにもあったものではない。それではただの蹂躙である。そういうわけで生活面においてはエンデひとりですべてこなしており、金銭面も近所のピザ屋バイトの給料でやりくりしているのだとか。
顕美の魔眼によって"美"ありきの人生を送ってきたためにその審美眼は磨かれまくっている。だからか光る素材を見つけてしまうとついつい磨きたくなってしまう衝動に駆られるようになり、「こうすれば美しいだろう」とプロデュースしたくなってしまうのだ。美の原石が磨かれぬまま放置されている現実に堪え切れないという言い方もできるだろうか。はた迷惑なお節介だが実際に美しくなれてしまうので無碍にもしにくい。>>101
場合によっては幾人もキレさせる"絵空描き"による魔術コピーだがエンデ自身に抵抗や罪悪感はない。本人としては己の美意識、琴線に触れた魔術しかコピーしないようにしている。つまりはリスペクト精神の発露でエンデがコピーに及ぶことはそれだけ美しいという言外の賛辞でもあるのだが、言葉にしないのでまぁ伝わることはない。伝わらないので大抵は相手をキレさせて非難される。そしてキレられればリヒテンシュタインの名を出してすたこらさっさと逃げるのだからまぁどうしようもない。
ちなみにこの魔術コピーで幾人もキレさせた結果"贋作師"と非難されるようになり、また時計塔からは妙な曲芸を使う魔術師として評価され『祭位(フェス)』の階位を得た。
リヒテンシュタインの名を出しながら敵を増やすのは確実によろしくないことだがエンデは平然と続けている。なにせ家も魔道も自分に責任がないのだ。
エルフィリーデの家が紡ぐべき魔道は最も優れた魔術師である姉が引き継ぐし、家の運営と財政管理は銭ゲバの妹が率先してやろうとする。こうなると手すきのエンデとしては悠々自適に留学生活を送れるというもので。まったく責任が無いってのは最高だぜ。
王子様の仮面を剥がせば出てくる素顔は非常に利己的。自分の利益を最大限に享受するためならば誰の敵にも味方にもなる。身内や友人に味方することは……まぁ、余裕があれば、ね?
ここまでつらねればおおむね理解してくれると信じたい。エンデ・エルフィリーデ=リヒテンシュタインという人間は、高貴な王子様のツラを被った身勝手野郎であることを。そのくせク.ズだ駄目人間だと言われるかどうかのギリギリのラインを見極めて行動するので一度や二度関わった程度ではその事実に気づけない。それがまたいやらしい。
触れ合う頻度が増えるほどにこの男はろくでもないのでは?と気づけるようになるが、気づけるほどに関わる人間は大抵エンデにとっての身内や味方に限られてしまう。身近にいる方々におかれましては積極的に頭をシバいてやってほしい。>>102
【一人称】俺、私(王子様ムーブする時のみ)【二人称】君、(呼び捨て)、〇〇嬢(女性限定)【三人称】彼ら、彼女ら
台詞例
「とりあえずやってみよう。なに、最初は鼻歌でも唄うように描けばいいさ」
「悪いが絵に関しては見て盗んできたのでね。盗られたくないのなら自宅にでも仕舞いこんで埃をかぶせてきたまえ」
「ははは。本当にあるのだねぇ、時計塔の派閥争い。……おっと、巻き込んでくるようならリヒテンシュタインの名を存分に使わせてもらうが、どうするね?」
「なにを言っているんだい? 野郎は野郎、レディはレディだ。扱いなど違って当然だろう」
「簡単な話さ。やれば終わる、やらなきゃ終わらない、なにをするにしてもね」
「別に、贋作を作ることに自分なりのポリシーなどないよ。作れるから作っているだけさ。……ほら、創作は真似から始まるって言うだろう?」>>103
「───は? いや待て。待ちたまえ。なぜ君は服を着ている? そんなもの脱いだほうが君はよほど美しいだろう? 美しいに決まっている。俺が断言する。だから今ここで脱いでくれないか」※ローザ・ユスティングリーに対して
「───ん? これは……君は、人間だったのかい? 失礼、いつも教室の片隅で動かない"もや"など注視しないもので。……その野暮ったい服を脱げば、俺の眼に視えたのだろうがね?」※シャフリヤーナ・アスタムに対して
「構いませんよドラモンド先生、この教室でなら俺を『庶民』のひとりと呼ぼうとも。ええ」※モートン・ドラモンドに対して
「へェ、窓ガラスのお姫様ですって? それはとても興味深い。その噂話の元になった場所はどちらに? 直接行ってまいります」※テレータ・タブロイエフに対して
「…………ひどいな。こんなにも"もや"が多い人は珍しい。視えてはいけないものまで、視えてしまっているのかな」※シウン・ヴィルクレツィアに対して
「この教室には王族ではなく一人の生徒のつもりで来ている。もちろん先人を敬う心だってあるとも。けれどね、喋るネズミを先輩として敬え、というのはなかなかに正気を疑う発言なのだよ? わかってくれるかい?」※カヴン・プラミアに対して
「ははあ、それはあれかい? 上書きというやつかな? なら俺の絵にも乗せられるのか……どうだろう、試しておくれでないかい?」※ライカ・サオトメに対して
「実験体なら任せてくれたまえ。もちろん君の作る礼装の、さ。君の作品は実に挑戦心を刺激してくれる」※クラッフ・フロースに対して
「いやァ……彼のような人間をこの目で見ることができただけでも、時計塔に来た価値はあったのかもしれないね。ああいや、視えてはいないのだけれども」※デセフィオ・カロレンツ・ウェルペンに対して
「まったくもって同感だ。ルナ嬢は見目麗しきレディであるという自覚が足りない……けれども、だ。なぜヨモ嬢は自分に関係のないように話すんだい? 君だってひとりのレディだろう?」※ヨモ・ヘルメに対して
「君の魔術の続きは描けなかった。何度描き直しても上手くいかない。まったく───不思議だね?」※ルナ・アードゥルに対して
【製作者】黒鹿ファン>>105
なるほど名無しの教室におけるフラットくん枠みたい感じのキャラですな!?
私はいいと思う(画像略)。自分だけで考えると、ソフィアは立体芸術、エンデくんは平面美術ですから、方向性的な差別化は出来てるかと思います。魔眼殺シの有無とかもありますし、対人への方針も割と閉じてる系のソフィアと広げたいエンデくんと真逆ですので
能力的には前線に出る訳でもない実戦派魔術師という印象。人生楽しめるようになってるのがいいですね、なんだかんだまた名無しの教室が賑やかになりそうです
関わり合いになれそうなのはウチだと刹那あたりでしょうが、アイツがエンデくんと行動を共にする場合は突っ込み入れるんじゃなくて一緒にふざけ倒す関係性になりそうだなぁ>>104
なるほどなるほど……王家の血筋だから時計塔にいきなり参入してもそれなりに名前に力がある、という感じですかね?それにしてもとんでもねぇ王子様面の魔術師くんだぁ……
ローザ
「あなたの眼で断言しきれるほど、アタシの美は浅くない。もっと造詣を深めてちょうだい。……それはそれとして、あなたから見れば今のアタシが美しくないというのもまた正しい評価よ。それを覆すほどに綺麗になってあげるから」
シャフリヤーナ
「どうだか。オレの掲げる美は人の目にはわかりにくい、映りにくいものでな。さらに主観的なものになるお前からしてみれば醜悪なもやかもしれねぇ。……けどまあ、見せてやるのもやぶさかじゃない。お前の眼にどう映るか、オレとしても興味はある」
シウン
「不要に他人を覗き込むのはやめなさい。あまり酷すぎると食い散らかされてしまいますからね。……極める魔道としても未だ半端、かな」
クラッフ
「ぜひぜひ。ええ、仲良くしましょう。私も一介の創作者。自身の作品の美醜を測られるのは嫌いではないので」
『王族とはいえ今の今まで時計塔に参入してなかった新参の家系がここまでの……エルフィリーデという一族そのものが魔術世界に及ぼす影響を探ってみるべきですかね』こそこそカロリンツ話
長子(カロリンツ家の現当主)ですが基本的にはあちこち放浪してる自由人です、家の大事な行事とかには流石に帰ってきますが
性別は今のところ、あやふやにしておきます>>109
なんでもできる盛り上げ係がこやつに必要な側面のひとつ、愉快にやってきますよぉ
>>110
で、でもえっちな気持ちはとかは微塵もないんです信じてやってください
そこら辺のバランスは自然にいい感じになってくれました。顕美の魔眼ありがとう
>>111
そういう感じです。家そのものが各界とパイプを……というか設定出したほうが早いですね、ってわけでどん
『エルフィリーデ家』
リヒテンシュタイン王室から分かたれたもうひとつの王家。魔術という表の世界に出てこない力に対応し、そして御するために興された家である。
黄金魔導を用いた信仰と財産の金融業を運営しており巨額の富を築いている。この財の用途は様々であるが、最も目立つ使い道は現存する魔術組織への牽制を兼ねた投資。エルフィリーデ家は魔術社会において多方面にパイプを繋げることでその立ち位置を不動のものとした。
現在エルフィリーデ家には三人の子がいる。
魔術師としてもっとも優れた長女。
身勝手な留学生活を送る長男。
金を稼ぐことに夢中な末っ子次女。
いずれも一癖ある人物なので注意されたし。クラッフの両親や親族について
たかだか二百年のフロースの家系に生まれた有数の天才であるクラッフに激しい期待を寄せていて、幼い時分ながらも既に一族の誰よりも魔術に慣れ親しみ優秀だったクラッフを見て、すぐさま彼にフロースの魔術的な権利の全権を譲渡しました。彼一代で成り上がれるとは思っていませんが、彼の優秀さならフロースをさらに盛り上げて良い嫁を捕まえてさらに優れた子供を作れるかもしれないと期待しています
クラッフは「プライドってものがないのかな?」と思いつつも「まあ期待には応えよう。私も両親や一族は嫌いじゃないからね」と前向き。表の金稼ぎの手段だけは未だに若いので両親や他親族に任せています
シウンの養父について
生殖器についての魔術回路の影響(控えめな表現。フィオレ姉さんのようなものという言葉で察してください)で生まれつき絶対に子供が作れない体質であるので、優れた降霊術者でありながら一族はどん詰まり。一子相伝を重んじるあまり分家を作らなかったヴィルクレツィアは後がない」と噂され政治闘争から脱落しました
失意のまま旅をして「どうせ死ぬなら神秘に囲まれて死にたい」と博物館の門を叩きダイヤとして活動。そこでシウンと出会い、彼女の無垢さと才能に心を打たれ教育、無事にシウンの展示品としての価値を損失させて追い出されました
シウンが後継として頑張っていることに関しては「頑張りすぎても……いやでも魔術師としての業は諦めきれないし……」と複雑。ちなみにまだ30代前半なので相当若パパです
ローザの両親と親族
全員ぶっ飛ばして頂点に立ちました。自分の支配下にある奴もいれば逃げてる奴らもいますし、失意のまま魔術師を辞める、命を絶った輩(両親とか)もいます。ローザからしてみれば「そこでアタシに噛みつけない時点で弱いしブス」なので気にしてません。リンネは泣いた
シャフリヤーナの両親と親族と元本家
全員ぶっ飛ばして頂点に立ちました。妖精の祝福を受けて以降のシャフリヤーナを唯一愛し続けた祖父だけは「それも一つの魔術師の道」と認め穏やかに隠居しています。シャフリヤーナは「テメェら全員オレより下な。逃げたきゃ好きにしろ雑魚だし面倒」と気にしてません。リンネは泣いた
>>115
王家だから、という血筋の影響力というよりはエルフィリーデ家そのものが魔術世界で積み上げた影響力がそのまま響いているのですねメルクーリ家
未だに一族の多数が「優秀な魔術触媒」として人権もへったくれもねぇ状態で飼い殺し状態の上に拉致されているのでアドニスは彼らの解放を目指して闘争を繰り返しています。進みは遅いかもしれませんが彼の才能によって地道にその影響力は増しているのでいつかそれなりの数は引き戻せると思います
フォーサイス家
セルレアは近年の幻想種の退化や減少から騎士団そのものの在り方も変容すべきだと判断し、対魔術師、対死徒などにだんだん舵取りを進めています。そしてそもそもの活動の縮小や経済活動の促進に力を入れていたり。かつて従えた幻想種を自然に還すために妖精郷と繋がる土地の特定を急いでいます。古いものはもう要らないのです
クロムレイト家
リュミルが子供の頃はまだ一族の男が攫われて酷いこと(控えめな表現)されることもザラでしたが今はもうそういうこともなく一種の魔術師の家系としての地位を確立しています。リュミルの祖母があまりにも英傑すぎました。今はリュミルの兄が当主として活動しているとか。リュミルが当主になる案も出ましたが、女の子を抱けないのでその線は消えたのです
メルト家
三姉妹でレッツ当主争いバトル。誰が誰を蹴り落とせるかの親愛と敵意を込めた白熱したレース。長男のルカは三姉妹の実力を見て焦ってミスした結果廃人化、分家のエリ(ブリジット)・ミィシェーレが面倒を見ています。三女のリディアはメレクくんの許嫁という立場すら当主争いに不要なのでどうにかそこからも脱却しようと画策しているとかなんとか
>>119
なるほどなるほど……
ちなみに当時のリンネは才能だけは化け物ですがそれ以外の能力はまだとんでもなく幼い子供だったので皆無です。なのでローザとシャフリヤーナにその地位を食われました。「自分はいつか最高傑作として確かなものを残すしみんなに応援されるんだ」という無垢な願いが一夜で全て喪われた瞬間です気分転換にゆっるゆるなSS書いてみました
投下してよろしいです?よくてよついてるのでいきまーす
ひとりのウサギ娘が呆然としたように宙を見上げていた。それも寝っ転がったままで。
『船』の中での中央に近い"牧場"と呼ばれるエリアでのことだ。ウサギ娘のペルカはすべてをあきらめた表情で手足を投げ出し大の字としていた。
首から下はぴくりとも動かさない。動かせない。ナマケモノといい勝負ができそうな不動っぷりをさらしている。
その全身は黄色いイキモノにおおわれていた。
ぴよぴよぴよよ。
ぴよぴよぴよのぴーぴよよ。
ぴーちくぱーちくとやかましいこのイキモノは俗にひよこと呼ばれる。ニワトリなる鳥類のひな鳥である。
そのひよこが大量にいた。一羽とて逃げ出すことなくペルカのまわりを鳴きながら集っているのだ。傍目にはもぞもぞと動く謎の黄色い小山にも見えることだろう。
「………………」
これは、動けない。
動けるはずもない。
ぴよぴよとうるさいこの小生物どもは見るからに、か弱い。我が身に満ち満ちるウサギパワーを解放してしまえば傷つけてしまうことは明白だった。>>125
「おー………………」
しかし、離れない。
離れようとしない。
ぴよぴよとうるさいこの小生物どもは明らかに、懐いてる。我が頭上にて伸びるペルカイヤーをつんつんしまくってくる。くすぐったい。かゆい。いたくはない。
「のー………………」
なにもできず、ただか細い声をあげることしかできない無力なウサギ娘がそこにはいた。
か細い声ではなく大声を上げればぴよこ共はひよひよと逃げ出すかもしれない。でもホラ……おどかしたり、こわがらせたり、なんてのはちょっと、ね?
ペルカは途方にくれた。
どうしてこんなことになってしまったのか。事の始まりは数分前───…
…………と、回想に入るまえにペルカイヤーは音のない足音を聞き取っていた。これは……ふかふか肉球の気配っ。
黒猫を思わせる猫耳帽子をかぶった少女、シャントリエリがじーっと黄色い山を見つめていたのだ。>>126
「! まいふれんど……!」
思わぬ友の登場にペルカの眼は光をはなつ。
勝った。ペルカは勝利を確信した。
あのふかふかの肉球をもってすればこのうるさいひよこ共をふんわりやさしく押しのけることもできるハズ。
あったかいを若干通りこしてきた感のある黄色い小山から脱出する時がきたのだ。
「へるぷ……! へるぷ みー…………!」
ウサギ娘の懇願はたしかにネコ娘の耳に届いた。
ネコ娘はトコトコと近寄っていき、ぐるぐると山の周りをうろついた。
かと思えば少し離れた場所でうつぶせに近い形で寝ころぶ。香箱座りにも見える形だ。
そして、くぁぁ、とあくびをひとつ。
これはもうどう見たって見物を決め込む構えであった。いい見世物である。
「…………! ……う、裏切りのネコータス…………!」
悲痛さに溢れるその声に返事はなく。
ただただのんきな、くぁぁ、というあくびと、ぴよぴよぴよよ、と重なる鳴き声だけがありましたとさ。ルナ・アードゥル
本作、冒険異聞譚の主人公の一人。その身に秘めたとある物が持つ夜の神秘に目をつけられ、アイルランドを舞台にした、最終的に人類史の存亡をかけるまでのレベルになった争いに巻き込まれる。それでも彼女の行動指針は一貫していて変わらない。新たな友達との出会いと別れを繰り返し、貴重な経験と報酬を得ることができた、と思われる。世界線によってはこれからも普通にカナリアと絡むだろう。本作における光の部分を歩いた少女。
灼崎獅音
本作、冒険異聞譚の主人公の一人。啓示により選ばれた人員として参加し、星の内海から出でる厄災を見事止めた。しかしながらはるか格上の敵と何度も殺し合ったり、悲しい別れを何度も経験したりと、かなりハード。世界線によってはこの一件以降もリムと仲良くしている可能性はある。きっとリムの素行不良を諌めたりするんじゃなかろうか。運命力は……さて?本作における闇の部分を歩いた青年。
キャナリ・ド・ヴォワザン
魔女ラ・ヴォワザン、堕ちた騎士ジャック・ド・モレーの流れを汲んだとされる騎士の家系の最後の魔術師となった少年。魔道円卓トップイカレの名に恥じず、最初から最後まで忠愛に殉じた金糸雀。重すぎる愛は難攻不落だった主君の心の壁を最期に壊した。彼の魔術刻印、魔術回路、魂がどうなったかは……まだ未定である。アイデア募集中。
フジョウ・リム
退魔四家、巫淨の傍流、巫縄の最後の生き残り。彼女の死をもって巫縄は完全に断絶した。自身の中に生まれながらもっていた「自死衝動」から目を背けるため酔い続けていたが、最後に優雅に飛び立った大事に思ってくれる人たちは心残りとして存在していたとか。転生も拒否した大儀礼法により用いていた呪具がとんでもないものになった。能力は未定、アイデア募集中。ウルフィルト・ロッテンキャット
封印指定。千五百年前に生を受け、億分の一の確率でかの異聞世界(妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ)を夢として観測、妖精に惹かれる。そして最愛の妖精と出会い、別れ、彼女と再び会うために千五百年の旅路を続けた。人類として本当の名前は別にあるが、妖精化を遂げるために既に捨てている。その計画に人死にはなく、故にその頑張りの報酬として魔術師としての悲願であった人類妖精化は叶わないものの◾️◾️自身の願いは叶った。ちなみに身体中を生体機能の礼装で覆っているので、ケモ耳、尻尾、虫の翅、魚の鱗など様々な身体的特徴がある。
マヴ
ウルフィルトの計画に必要となる虚構妖精。虚構妖精たちの中でも唯一明確な機能を有して生まれた星の夢(アルターエゴ)。抑止力の眼を掻い潜るために敢えてかなり劣化した状態で設定され、遺物を取り込むほどに霊基を拡大させていき、最後にウルフィルトの作り出した扉に融けることで星の内海との扉を正常化する役目を持つ、死ぬために生まれた妖精。ルナたちとのやりとりにより、自身の人生に「何も変わらなくても、最初から決まっていても、確かな価値はある」と結論を導いた。自信家なセリフに反して割と悲観主義。
フェアリー・アルターエゴ
ティターニアやマブなどの“妖精の女王”という概念そのもの。星の触覚(精霊種)統率機能と人々の空想の物語への信仰が形を成した守護者の一種。明確な形はなく、精霊種の暴走を抑止する際に召喚され、ステレオタイプの妖精の女王そのものの振る舞いをする有り得ざる妖精の王。今回はマヴが同化することで特例としてマヴの人格パターンをベースにした召喚が可能となった。本来はいかに縁があるとしても通常の聖杯戦争では召喚できない。
アイン・グローリアン
協会立魔導円卓騎士団の団長。本来はウルフィルトの一件に自分が関与するつもりはなかったが未来視を持つ団員の報告から慌てて現地に飛んできた。アルバーンをしばいてカナリアもしばいた。後でそっと独りで泣いた。
シスター・マリナ
異端を擁する秘匿聖歌隊の隊長。本来はウルフィルトの一件に自分が関与するつもりはなかったが啓示を受けた隊員の報告から慌てて現地に飛んできた。フローレンスをしばいてリムもしばいた。泣かずに鎮魂歌を歌った。リリカ・ローサ、ウキ・クニツジ、アルバーン・ラミレス、フローレンス・ヴァルトルーム
色々な事情でルナや獅音たちに襲いかかってきた強者。前者二人はウルフィルトとの盟約によるマヴの同行者の力試しで、後者二人は貴族主義派閥や教会の過激派による戦力の派遣である。それぞれ戦闘能力としてはほぼ団子。
メリル・グローリアン
グローリアンの次子。魔術回路を一切持ち合わせていない代わりに異常なまでの人間観察力と商売センスを持ち合わせる政治&金策担当。筋が通った姐御気質でよく驕り高ぶるアインを叩きのめすが病弱なハルには弱い節がある。
ハル・グローリアン
グローリアンの長子。優れた魔術センスと引き換えに身体能力や対人能力が皆無の一家の末っ子に見える長男坊。地味に傲慢。カナリアの加工を求めるアインに対して、珍しく抱き寄せ頭を撫でてあげたという。
メレク・アルマソフィア
実質的なルナのスポンサー、もとい後見人であり、落ち目にあっているアルマソフィアに生まれた天才。今回はアインとメリルの工作により一切事件に関わることはできなかった。その代わりかなりの裏金をもらうことができたので財布はホクホクである。
食満四郎助
獅音の上司であり、彼が代行者を志すきっかけとなったベテラン代行者。今回はプロローグにてマリナとの会話の末、獅音に全ての選択を委ねた。事件の一月後、夏のとある森から帰ってきた獅音にどういう言葉をかけたのか、あるいはかけなかったのか、それは読者の想像にお任せする。
ユリア・フォン・ツァルクレオ
魔導円卓の一員。アインの右腕と称されるほどの信頼を寄せられているが、アインに対しては遠慮のない言葉をズバズバ浴びせる。いや、むしろだからこそか?本編ではカナリアが嫉妬を拗らせた要因として言及されたが、ユリアはカナリアを嫌いなわけではない。
代行者アスモ
聖歌隊の一員。マリナの側近を務めるぐらい優秀なチャラ男インキュバス代行者。基本的にオカン気質であり、隊員のみんなの面倒をよく見ていたためにリムの破滅的な行動も心配していた。多分、リムの死後に泣いて一番嘆き悲しんだのはアスモである。名もなき運転手さん
マヴ一行が遺物を求める旅を重ねる中で常に運転手としてみんなをサポートしてくれた教会の人。戦う力は皆無だがドラテクは一級品。無口で無表情だがノリはいい、らしい。でも無口だからこっちがノれない。帰りも無事に送り届けたとのこと。
クラッフ・フロース
ルナの先輩。何も知らないふりをして接していたがアインから一部始終の全てを知らされていた。カナリアとは彼の武器を調整する役割を担っていたらしい。ルナが望むならきっとアルビオンの呪体の礼装加工も協力してくれる。もちろん後輩価格で。
用語解説
虚構妖精
ウルフィルト・ロッテンキャットが封印指定を贈与された要因となった魔術生命体。マナの吸収と妖精が用いる異能の断片的な再現を可能とした。本来人類の積み上げたそれとはかけ離れた神秘である妖精の神秘を一端とはいえ理解し人類の魔術に貶めた魔術式を構築した魔術回路こそがウルフィルトの封印指定たる所以である。かの異聞世界の光景を見てから魔術回路が変質したことがこの魔術理論を構築させる要因となった。
遺物
女王メイヴの蜂蜜酒、妖精妃モルガンの紙片、その他様々な妖精に関する遺物。取り込んでいくごとにマヴの機能は解放されていき、最後にウルフィルト自身が千五百年をかけて作り出した「無名の女王のティアラ」を被せることで完成する。この遺物を得るための旅路がウルフィルトの冒険の中で最も険しい旅だった。
虚構の森
ウルフィルトが千四百年をかけて調整した妖精が住まう森。様々な概念照応や、生み出した数多の虚構妖精達を住まわせることで星の内海、妖精郷のそれに近い空間へと仕上げた。この森一帯がウルフィルトの工房と同義であり、飛行魔術や空間転移などといった現代の魔術師での実現は困難を極める魔術もこの森の中、その最深部である花園では使用可能。ルート分岐について
カナリア、リム、この二人は今までの人生においてとある事実から常に目を背け続けていました。カナリアは「自分以外が愛されていることに我慢ならない本性」で、リムは「理由なんてなく、ただ単純に死に惹かれている衝動」が目を背けていた事実です。それに気づくと二人は破滅の未来に走るのでカナリアは本能が、リムは理性が無意識に気付かないように留めていました。逆に言えば、これに気づくことがなければ二人は生きて暮らしていけるのです。
本ルートの結末にするか、二人とも己の本質に気付かないまま生きていくかのルートにするかは悩みましたが、今回はあえてこちらの終わり方に。本心をぶつけ合う真の絆、という意味ではこちらの方がらしいと思ったので。
カナリアについて
「他の人がアインに愛されているのが許せない」し「アインの愛情の全てを自分が受けたい」ので、それがたとえ家族だろうが恋人だろうが友達だろうが部下だろうが駒だろうが怒り狂って殺したくなります。自分だけを愛して欲しいし自分もアインだけを愛したくなります。
本ルートでこうなった原因は主に二つ。「ルナが願いに向けて諦めない心を示したこと」と「アインに愛されている事実を実感したこと」です。
アルバーン司祭との対決の際、アインを愛しているし、愛されたいという願いをルナに肯定されたこと。肯定されて、激励されること。それが彼の心の内で燻っていた本性に熱をつけることになりました。そしてその後に駆けつけたアインの言葉を受けて、自分は確かにこの人に愛されているのだという実感を心に刻みつけたことで、もう止まれなくなりました。
一度満たされてしまったことでそれ以上を求めるようになり、我慢できなくなったのです。なのでアインに愛されたことを実感して以降も、アインに関心を寄せられているルナに嫉妬心がメラメラ湧くしそれ以外の全てにも湧くようになりました。そんな自分のことを「愛されて満足したはずなのになんでだろう?」と振り返った結果、「自分だけが愛されないと満足できない」という本性を自覚し、そのために最初で最後の告白、決闘を挑んだのです。
ルナ・アードゥルに自分の結末をあえて伝えず暈したのは、きっと自分が死んだら悲しむだろうからというカナリアなりのツンデレな気遣い半分、「せいぜいオレとの再会を夢想してろ。会うこともないだろうけど」という嫌味半分です。リムについて
生まれつき、おそらく起源か何かが関係しているのかもしれませんが、理由もなく本能として死に惹かれているという特徴を持ってしまいました。歳を重ねるごとに衝動は強まっていく、理由のない自.殺というのは厄介なもので。理性はそこに「一族が皆死んだ虚無感と絶望感」や「誰かのために死にたい英雄願望」という理由をこじつけて、死ぬ瞬間を先延ばしにし続けました。本ルートで目覚めた原因は主に二つ。「獅音による生存の肯定」と、「マリナによる死の許し」です。
フローレンスとの対決の際、獅音に「生きていて欲しい」と願われたことで前述したこじ付けの死にたがりの理由が打ち砕かれました。死ん.で良い理由が消えて、生きる理由が生まれたのです。その上でマリナには「逃げの自死は認めないが本当に死にたいのなら受け入れる」と肯定されました。おそらく彼女にはリムの本質が見えていたのです。
最終決戦時、生きていい理由があるはずなのに未だに死に惹かれて生きることに真剣になれないリムは困りました。困って、自問自答を繰り返して……マリナの肯定から自分の本質がそもそも何処までも独りよがりで利己的な、理由なんてない死にたがりであると気づいてしまったのです。気づいた以上止められない。死にたいという気持ちに抑えは効かない。そうしてやっと、死ぬために生きることに真剣になれました。輪廻転生も死後の世界もいらない、この人生を最期にしたいと思ったのです。
灼崎獅音に自分の結末をあえて伝えたのは、今までずっと心配してくれていた彼へのリムなりの誠意なのです。傷つけることはわかっていましたし罪悪感はありますが、言わないよりも言った方が彼に対して出来る最初で最後の誠実な対応だろう、というもの。このお話のコンセプト
死に行くものに対しての葬儀、そして手向けとしての幸せな結末はあって然るべきだろう、というもの。
死ぬためだけに造られたマヴ。死ぬための旅路を歩み続けたウルフィルト。そして自身の本質に気づいたが最後、死に一直線に走るしかなくなるカナリアとリム。最後の二人はvsフローレンス&アルバーンを書くギリギリまで迷っていましたが、そちらに確定させたら最後、幸せな終わりを迎えることは決めていました。
死を看取る人、幸せを与える人、答えを見つける手助けをしてくれる人、そして答えを見つけて幸せになる当人。人生には意味があり、終わりには自分にも他人にも意味があるというものが主軸です。
対して、生き続ける人にはさらにまだたくさんの困難や苦難が待ち受けています。それに対して死に行く人たちが応援をする、というのもまたほんの少し織り込んだ内容です。
以上で、本当に虚構妖精編は終了です。お付き合いいただきありがとうございました
カナリアを変換するならどんな礼装or使い魔になるかなとか、リムの呪具(縄と小刀)はどう進化するかなとか、アイデア募集中です
あとあくまで一つのエンドですので今度カナリアやリムが生存したルートでこれからもルナちゃんや獅音くんとの絡みを書くかもしれません>>129
一羽なら許し二羽なら許し三羽あたりで警戒し始めるも時すでに遅し…近づいた者は例外なく黄色に呑まれるのだァ…
>>136
そっかぁルナの諦めない心を知って…そうか………おぉぉぉん…マジでかぁ…
なんてツンデレですかこやつ…あーもう…
なんとなくの感覚ですが、礼装になるにせよ使い魔になるにせよなんらかの防御力を持っていてほしいです。防御特化とは言わずとも、なにか
使い魔になるなら名前どおりの鳥の……というのは安直ですかね
>>137
こ、こんな小ネタSSであっても描かれるですと…!? いやありがとうございます!
そうですよこんな状態だから動けない、動くわけにはいかんのです
しかし虚無顔のわりに顔がよいぞこやつ…>>138
その場の思い付きワールドほど平和なものはありませんよ
私はたまにはさまれるゆるゆるとしたのがだいすきで…>>141
そう言えば、ssとかにはまだ出してないからなー。>キャラ描写
バルベルデ家のこそこそ話
ロレンシオは一度、バイディワから「ひまごのかおをみれるとおもうなよ!!!」と罵倒されたことがある。そういえば。エンデの魔眼でまわりの人がどう見えるかはまだ貼ってなかったので一気にぺたりぺたり
<モートン・ドラモンドを魔眼越しに見た場合>
首から下だけが見える。主に筋肉が見える。筋肉だけがハッキリと見える。
日々欠かさぬ鍛錬によってそのマッスルボディの美しさを維持していることは理解するが、首から下だけ見えるのはちょっと不気味。
<テレータ・タブロイエフを魔眼越しに視た場合>
ひどく見えにくい。おそらく根っこの人間性が美意識にそぐわない。
けれど真贋混ざる彼の噂話は嫌いじゃない。その噂話が目に見えるのならあるいは……というのは無意味な仮定か。
<シウン・ヴィルクレツィアを魔眼越しに見た場合>
見えない。彼女そのものが見えないというより彼女に憑いた余分なもので見えなくなっているらしい。もやの量が尋常ではない。
<カヴン・プラミアを魔眼越しに見た場合>
見えない。汚らしいネズミなぞ見えるわけがないのである。いくら使い魔であっても汚れぐらいは落としたまえ。
<ライカ・サオトメを魔眼越しに見た場合>
見えないこともない。一般的に美形と呼んで差し支えないのだろう。
なぜか彼女が自分を見る眼はもや薄まっている気がする。>>143
<クラッフ・フロースを魔眼越しに見た場合>
見えたり見えなかったり。日によって違う。美しさと醜さが素直に入り混じるのは一番人間らしいと言えるのかも。
<ルナ・アードゥルを魔眼越しに見た場合>
顔にかかるもやが薄い。おそらく根本的な顔の造形が良いのだと思われる。
魔術の話をしているときは光すら放つように見える。
<ヨモ・ヘルメを魔眼越しに見た場合>
見えにくい。一人でいる時は全身を覆うもやがいっそう濃くなっているように見受けられる。
反面、ルナ嬢が隣にいるときやアイドルの話をしている間はいくらかもやが薄まるようだ。
<デセフィオ・カロレンツ・ウェルペンを魔眼越しに見た場合>
やばい。見えねェ。
そのくせシルエットの動きとうるさい声だけで表情が読める。なんて逸材だ。>>144
<シャフリヤーナ・アスタムを魔眼越しに見た場合>
見えない。というよりも彼は見せないようにしているのでは?
あのどう見ても似合わない、抑えつけるためだけのような服は絶対に美を誇るものではないだろう。
<ローザ・ユスティングリーを魔眼越しに見た場合>
見える。見えるが、見えるのはローザ本人のみでローザが身に着けたものは例外なくもやがかかって見えない。
単品であれば美しいと感じるはずの衣装や装飾品もローザの発する度が過ぎた美によって美しいと思えなくなってしまっている。これを冒涜的にして暴力的と言わずになんと言おう。それでいて文字通りに"眼が奪われる"のだから始末に負えない。
それは同時になにひとつ身に着けないありのままの姿が美しいと断言できる根拠になるが、他人に言っても伝わらない。なんでもいいからとにかく脱いでほしい。脱ぐんだ。そんなこと言わずに、俺にその美を見せておくれ。
こんな感じです
ほかにこの人はどう見える?って時計塔キャラがいましたら書いてみますよー>>148
ポルカさんに関しては「黙ってればなァ…」という感じで見える可能性もギリあります。刹那ちゃんは、うん、見えないですね
エンデはわりと否定しないのです。眼のおかげで自分と他人の「美しい」が必ずしも一致しないと知れているので日本語って便利。モチーフさえあれば名前がすぐできる……。
ロード・エルメロイⅡ世の冒険の新刊ネタバレ解禁の時がまいりました
ついに神秘てんこ盛りの船が公式から登場ということで……いやァすごい参考になる……
いろんな国の言語に対応したヘッドホンとかがさらりと出てくるあたりがね、すごいんですよ。『船』だと言葉とかお金はどこのものを共通のそれとして採用してるかってのボカしてたので、そこ斬りこまれるとええもう、ええ、公式しゅごい
>>151
ほいさっさ。ってなわけでぺたり
<アクアステラ=リキッドクラウンを魔眼越しに見た場合>
見えな……あれ、意外と見えるかもしれない……?
魔道を邁進する姿は美しいはずなのに彼の手から生み出されるものは大体全部もやがかかっている。ナニコレ不思議体験? あ、魔術関係なくなると見えなくなるね>>153
使えそうですよねー
全員がヘッドホンなのも絵面がアレなのでいろんなアイテムを用意したいところ
技術関係なら機関室を想定しているんですが予想以上に仕事が増えてきそうになってきた…魔術+科学の側面もあるグループになるかも
エンデの心を映す魔眼なのでマジでモザイクやもしれぬ…エンデって下ネタだめなのかなぁ…>>155
政治家って浅く描写するなら裏方やら悪役やらで便利だけど深掘りするとすっごい面倒になるんですよね…
絶対に政治家がいい、ってわけじゃないならでっかい会社を持ってる金持ちとかのほうがわかりやすくなると思います>>156
それ用の魔術を自分にかけてる人もいそう。>WASP
ちなみにエイベルはそういうの一切無しでマルチリンガル。「我慢の限界。あんまり舐めたこと言ってると殺.すしかなくなるのよ、シャフ」
「そりゃあ良い提案だローザ。お前んとこの家系とは長年の縁があったがお前を殺して精算できるなら好都合。魔術師らしく決闘で勝負でも決めようか?」
「ええ、そうしましょう。アンタとの小競り合いももううんざり。政治闘争も良いけれど、力押しで終わらせるのも悪くはないわね」
時計塔、創造科のスピルバーグ教室。そこに在籍して問題児として名を馳せているローザ・ユスティングリーとシャフリヤーナ・アスタム。彼らは芸術の美学、生き方の思想、好き嫌い、その全てにおいてソリが合わない。合わないくせに顔を合わせる機会が多く、それゆえに衝突をよく起こす。今回もそうだ。互いが互いの研究発表をこき下ろし、貶しあったのが原因である。しかもそのこき下ろし方がどちらも正当性のあるものだからなおタチが悪い。誰もその指摘を咎めることができないまま、怒りは頂点に達した。そこに待ち受けるのが容赦のない殺し合いである。
「………はぁー………」
「周囲一帯から人払いしなきゃ。特にあの元素変換の姫君とか」
「………ちょうどいいや。録画しよ」
手慣れたものである。彼ら二人の教師であるスピルバーグ・フォーサイト、法政科のルピア・ヴィルガルム、そして用事があって来ていた魔導円卓、天音木ミリアは三者三様の対応を見せていた。すなわち胃痛、人払い、そして監察である。なお、三人のうち二人は野次馬感覚で眺めているので実際に苦しんでいるのは彼らの直接の先生であるスピルバーグのみ。哀れ。「って、あらやだ。通りすがりに封印されたガキがいるわ。解呪しなきゃ」
「それ例の姫君のやつじゃない?……って、ん?そこにいるのは名無しの教室のお二人?」
「「あ、こんにちは」」
「はいこんにちは」
一足遅かった。というか別の案件で既に終わってしまっていた。かのエーテライトの姫にゴリゴリに封印されていた哀れな他人(モブ)が一人転がっていたのだ。魔術を使った探知を行うまでミリアが気づけなかったのは、恐らく存在を希薄化、簡潔に言えば存在感すら薄くさせてしまうような不幸を叩きつけられたのだろう。お前のような雑魚には誰にも気づかれない道端の虫がお似合いとでも言うのだろうか。単にうざかっただけかもしれない。ここでこんな状態でいても巻き込まれるだけなのでミリアとルピアは珍しく無償で解呪してあげている。本当に珍しいのだ、こんなこと。
そしてそんな哀れな死体、いや死ん.ではいないが死体同然の生徒に目を惹かれてルナ・アードゥルとヨモ・ヘルメが立っていたのである。謎の魔術に興味津々なルナに付き合う半分、可哀想な状態になっているこの人をどうにかしてあげたい親切心半分だろう。そもそも何故ここまで来たのかは……
「えっと……なんで私たちのこと知ってるの?」
「アタシの狗……もとい相棒がアンタのスポンサーと親戚筋なワケ。それとまあ、アタシの仕事柄もあって名無しの教室はサーチ済み」
「メレクと?えっと……」
「ルピア、ね。法政科の魔術師やってる。……そんなに警戒しないでレディ・ヘルメ。今はユスティングリーとアスタムの二人について忙しいから」その言葉に驚いたのはルナとヨモである。彼女たちはその二人の典位授与に対しての祝いの言葉を述べるために立ち寄ったのだ。その二人が何かしらのアクシデントに巻き込まれているのならば、祝福などしている場合ではない。というか、まあ手伝えるなら手伝った方がいいだろう。あの二人は性質上よく他人の恨みを買いやすい、らしいから。
「あー、気にしないでいいわ。あの二人の喧嘩だから」
「え?あ、なるほど。……あなたは?」
「天音木ミリア。魔導円卓の一員。あなたの事はキャナリから聞いてるよ、ルナさん」
「カナリアの……なるほど……って待って!二人が喧嘩してるの?もしかして魔術で!?」
「まあ、うん」
「見たい!すっごい見たい!二人がどういう魔術を使うのかよく知らなかったんだ!」
これもまた予想できた事である。ルナ・アードゥルの神秘渇望を止めることは困難を極める。今の今までファッションなどに小言を言うが肝心の魔術について詳しい事は見せなかったローザと、普段だらだらしてばかりで魔術の詳細を一つも見せなかったシャフリヤーナがその神秘を見せるのだ。見学しないでどうするというのか。これが二人によるガチの殺し合いであることもルナは知らない。知らないからこそさらにその気持ちを増長させるのだろう。なんとも言い難い事だ。
「まあいいか。二人ぐらいなら守れるでしょ。ミリア?」
「はいはい。……こっちよ、お二人さん」「あ?見せもんじゃねぇ……んだよ、名無しのガキ共かよ。おもんねぇぞ、オレがボロ勝ちするから」
「完敗、の間違いでしょ?……魔術師ならば他者の魔術を見ることもまた研鑽。いいわ、アタシの美しさを目に焼き付けなさい」
どこの誰とも知らぬ他人ならば排斥していたが、二人にとってルナたちは既知の仲。わざわざ追い出す理由もなく、必然的にその見学を受け入れる形になる。……とは言っても、わざわざ防護の魔術を施す理由もないので巻き込まれるか否かは自己責任、という形を取るのだが。
「私は蝶になる。甘えるように、淑やかに。百花繚乱の如く、気高く」
「汚いは綺麗。テメェの綺麗はオレのヘドロ。万象一切等しく汚濁」
両者共に、常日頃から自身に施している制約を解いた。ローザは指を鳴らすことで己に施された結界を解き、シャフリヤーナは口で乱雑に手袋を噛み捨て、妖精の呪いを噴出させる。周りに一切の下限のない、自身のポテンシャルを発揮できる形だ。
「あっまず。全力で魔術回路洗浄して。もしくは脳を魔力で保護、もしくは強化」
「え?あっ……」
「っ、セーフ……ル、ルナちゃん!?」
「ヨモさんの強化速度スムーズだね。間に合わないと思ってたわ。ルナさんはこちらで……」かつて、かのイゼルマの美を真正面から見てしまった者の一人が語った。“あの美を前にしては呼吸をすることすらできなくなったと。それに飽き足らず、しばらくの間は魔術回路を起こすことすらできなかった”と。
それに相当する美しさをローザとシャフリヤーナは放っていた。といっても、双姫のそれと比べると二人はまだマシな方だ。マシな方だが、それでもやはりなんだかおかしい。ローザは周囲が煌めいて見えるし、シャフリヤーナは周囲が淀んで見える。前者が芸術品の如き崇高な美であるならば、後者は退廃的な背徳感溢れる美だ。見惚れるか、引き寄せられるか。どちらにせよ呼吸が止まりかねない危険なもの。ミリアの作った緑のカーテンで遮られ、ルピアの細菌による感染、それに伴う身体操作でようやくルナの魅了された状態は治ったほどだ。
「……は!すっごい綺麗!」
「いや、そうなんですけどね?恐れとかないんだなぁ」
「ルナちゃんですから……」
「静かに。そろそろ始まるわ。しっかり感覚器官と脳を強化したらカーテンなしでも見ていいからそっちを優先しなさい」
本来であれば。ローザやシャフリヤーナ自身が作り出す美はこの程度のレベルではない。これはまだ彼らが自身の本質に気づかず、極めていないからこその成長途中。だからこそ、しっかりと魔術的な防護を施せば視認できる範囲に留められている。それは手加減などではなく、彼らの研鑽が未だ足りないからこそであり、だからこそ彼らは魔術によって成長途中の自分を彩っているのだが……ともかく、ここまでは基本中の基本。本気というのは、これからである。
「リンダ」
「ドーラル」シャフリヤーナが人差し指から滴る血を試験管に垂らしこむ。ゴポゴポと排水溝が詰まったような音と共に溢れ出した黒い、海藻……あるいは毛髪、ともかくそういうナニカが形を成し、水を噴き出す。なんだかよくわからない、ズタボロの人魚のようなものがしゃがれた歌声を響かせる。本能的に“触れてはならない”と理解できる醜悪なもの。醜悪だが、目を背けることはできない。なぜだか惹きつけられてしまう。胸の内に宿るのは郷愁、憐憫、それに近いものとそこから見出せる美しさだ。美しくないことに美しさが見出せる。
対してローザは赤く彩られたベルライン。しかしその美脚はタイツ越しにもはっきりと見えるドレスを纏い、耳には紅に燃え上がるルビーのピアス、ガーネットの指輪は美しい人差し指に。ネイルもルージュも綺麗な桃色に彩った、とても活発的ながらも美しい格好だ。ローザ自身の美しさが服や装飾品をさらに美しくさせている。見る人に真正面から美しさを叩きつける。美しいものを見た者を美しく、美しいものはさらに美しく、これこそがローザの魔術の本領。最高峰の美が美を纏うことによる存在の昇華だ。
「リンダ、食い散らかしたらご褒美やるよ」
「無粋ね。灰になった方がまだ美しいわ」
ノイズのように掠れてしゃがれた歌声は生きているもの全ての足を竦ませる。恐怖を煽り、闘争心を瓦解させる悪意に満ち溢れた歌だ。その歌に呑まれてしまったものを水や毛髪で縛り、窒息させ、骨一つ残らず喰らい尽くす。それがリンダと呼ばれたシャフリヤーナの創り出す生物だ。
ならば触れさせなければいいと、ローザは指とヒールを鳴らす。巻き起こる爆炎は水に塗れた生物だろうがその水分を蒸発させ黒焦げにする程であり、美しいステップを踏むごとにさらに激しく、熱くなる。リンダの毛髪を片っ端から焼き切って、炎のカーテンで取り囲む。リンダの再生能力は凄まじく、シャフリヤーナを守る機能も備えているため不利にはならないが、拮抗という形に抑えられている。本能的に伝わる恐怖すらローザの脚を止める理由にはならないようだ。しかし無意味というわけでもない。多少の作用はしているようで、そうでなければさらに激しい炎が噴き出していただろうから。「ロウス」
「クラウディアーキア」
周囲の光を吸い込んだ、ボロボロのローブが……いや、ローブを羽織った何かがカチカチと奇妙な音を立てている。おそらく刃を擦り合わせる音だ。ロウスと名付けられた怪物は歓喜に刃を振るわせながらも、生まれながらの悲しさ、虚無感に啜り泣きながらローザを細切れにしようとする。そこに感じるのは不気味さ、恐怖でありながらも何処となく儚さや爽やかさだ。真っ暗闇で全くの気配のない、物質を透過するロウスはどこから来るかわからない。先程までの炎を放つ“ドーラル”であれば今頃ローザはこの場にいない。
それを見越したローザが放つのは光を放出しながら輝く金糸の奔流だ。白を基調とした、金の刺繍が所々に施されているタキシードに身を包む。頭上に載せられている煌めく小さな王冠が特徴的だ。妖精の翅と薔薇の茨が象られた剣を振るって、奪われた光を自ら生み出しながら、白い軌跡を描いて戦っている。ローザ自身は武術に嗜みこそすれ極めてなどいないはず。それがここまで極まっているのは身につけた礼装に刻まれた記憶を、機能を、己の美で呼び覚ましさらに強く美しくしているからだろう。
「アンタと違ってモヤシじゃいられないのよ、シャフ」
「誰がモヤシだ一人ファッションショー。次でお前ぶち抜いてやるよ」
シャフリヤーナの創り出す作品たちは全て、人類の過去の想念を引き出したもの。自身に刻まれた妖精の祝福、あるいは呪いを通して地球から幻想種の記憶を引き出し、人間の想念が宿った呪物を組み合わせて創造する醜くもどこか美しさを感じさせる化け物たち。人間とは醜悪な存在であり、その醜悪さこそ美しい。人間とはこのようなちっぽけな存在であり、だが何処までも強く美しくなれる生き物なのだと示すシャフリヤーナなりの人間賛歌。捻じ曲がった想いの伝え方であり、シャフリヤーナ独自の美の追求。創り出された化け物たちも残虐ながらも人間味を感じさせるのだ。
「ルーナ。これは誰にも見せてない新作だ。せいぜい足掻いてみろよ」
「フロウルスラ。アタシも見せてあげるわ。次のお披露目会で見せたかったけど」互いに魔術回路をさらに回し、新たな作品を─────
「今。理仁!」
「おう」
「舞台設定、亡国の第一王女」
ミリアの拍手で周囲一帯の世界が変わる。曇天の中一筋の陽光が照らされる草原に、寂れた廃墟と化した中世の城が聳え立つ。その草原でくるくると回る少女、もとい人形の動きに合わせて古びたバリスタが起動し、大量の矢を射出する。その流れのまま、物陰から飛び出た人影が加速する。ルピアによって隠蔽の魔術をかけられていた間久部理仁が不意打ちでローザとシャフリヤーナの意識を落としにきたのだ。
「もらった」
彼らの決闘に手を出す者など誰もいないと思っていた。その場の当事者たちにおいても、退避した者たちも、ミリアとルピア以外は本当に誰も思っていなかったのだ。あまりにも急すぎるものだから、理仁の拳が正確に命中するのも当然と言える。あっさりと意識を奪った後の拘束はミリアの植物に任せながら、理仁はある種の冷酷な顔色なまま深く息を吐く。それは先程までの息を潜めていた緊張を解きほぐすためのもので─────「ルピア。俺、頑張ったぞ?」
「おー、えらいえらい」
「………ご褒美、くれねぇの?撫でるだけじゃ足りねぇ」
「人前だぞ馬鹿野郎。……家に帰ったら言うこと聞いてあげるからさっさと帰って」
「……!おう、夕飯作って待ってるぞ!」
「はい、ありがとう、また後で〜……はぁ……あれでメレクの……ねぇ……まあ環境か」
なんだかメレクという言葉が聞こえたような気がするけれど、何が何だかルナにはわからなかった。ヨモにもわからなかった。ただ一つ言えることは凄い勢いで凄いニコニコとしながらルピアと仲の良さそうな青年が去っていったことだろう。「さて……お開きにしましょうか。この二人の説教はミスタースピルバーグにでも頼むとしましょう」
「二人の教師だからね。うん。仕方ないね。仕方ないけど……はぁ……」
「かわいそ。私は今回の一件を団長に報告してきま〜す。……あ、ルナさんとヨモさんも帰る?それとも起きるの待ってお祝いするの?」
「えっと……一旦帰ります」
「ヨモちゃん帰っちゃうの!?……じゃあ私も今度にする。お邪魔しました」
その判断は妥当である。こうして、問題児たちの喧嘩は幕を閉じた。ちなみに日常茶飯事である。山星さんへ、
社長に合うかなあと思う使い魔(式神)を創ってみたのですが、ちょっと今どうでしょうか……?冒険最新刊は「魔術が成立する最後の紀にはヤベー奴が生まれやすぃ」みたいな記述が、なるほど、と
後は魔術を極めた死徒は効率良い(いや人間を消費する以上は効率悪いだろと思うが!)というのと、太陽光フィルターの存在。ずるい
後、タイプムーンエース15の冒険マテリアルで二次創作的に重要なところだけ(具体的には「思想魔術」「思想鍵紋」「思想盤」「日本の魔術」)メモってあるんですけど
ニュアンスの変化による受け取り方の違いを避けるため写経したけど、これはそのまま投下してよろしいやつです?
>>170
先生、哀れ。。。
美をテーマにしながら対照的な在り方が、引き出しの深さを感じる~
>>174
ヒュッ……(息が止まる音)
野紀さん級の神秘に似合うナイスデザイン…!各キャラの使える言語とか考えてたりする時が一番楽しいユージーンです。
実は言語を習得するより翻訳礼装で済ませてるキャラとかいても面白いかもしれませんね。
>>143
マッチョしか見えねぇ先生好こ。
ライカの方は魔眼だからなのか好意的な視線が良く映るのか。
>>170
魔術を使った決闘(喧嘩)が日常茶飯事な二人。これは先生も胃痛が絶えない。そして巻き込まれても恐れより興味が勝っちゃうルナちゃんマジルナちゃん。
>>174
ワァーオ。顔に御札?が釘打ちされてるのがヤベー奴感アップしてて良い…。
>>179
ぐへっ、ぐへへ…。こんな時間からそんな下世話な話してもいいんですかい?ではあやかさんとちょっと関係しそうなことを一つ。
今キャラシのあるバックヤード家の男はほぼ全員トランク派です。
例外はデクスター。ジェンダーレスインナーをフィアナと共用で使ってます。>>196
おのれ予測変換。トランクって何だトランクスじゃい。
トランクは一族の魔眼を持ち歩く時の礼装じゃい。>>196
鍛え抜かれた筋肉は美しいのデス…
後者ですねー。見抜くタイプの魔眼じゃないので初見だと魔眼持ちだとわからないかもです下着関係は語れるほどの設定がなにもない…(´・ω・)
ああでも、クラッフくんに勝負下着(仕込み型の生存特化礼装)を作ってもらおうとしててんやわんやするお話は考えてましたね。オチが思いつかなかったけど…全体を10とすると
比較的普通の下着が8、履いてないが1、ちょっとドスケベファンタジーじゃない?が1です
あと一人だけ「体質のせいで尾骶骨がむちゃくちゃ疼くから仕方なくなんかアレな感じの下着」を履いてる人がいます。ちなみに性格も何もかも無茶苦茶まともなのでとんでもない辱めあとこれは博物館の展示品
イース・ルル・イェー
未だかつて人と神秘が切り離されていなかった時代、とある魔術師が創り出した自律型の使い魔。科学と魔術を融合した未来の魔術の在り方に近しい最高傑作。とある吸血精霊との殺し合いの果てに、現在、博物館の反例深淵アルカノルヴァにて展示中。
本来の姿は巨大な水上都市だが、それを心象風景として変換、自身の核の中に格納している。今は存在しない魔術触媒で作られた生命体であり、フォトニック純結晶体で作られた機械。その本質は巨大な工房であり、魔術と科学を掛け合わせることでさまざまな兵器、生物、そして自然や工芸品を創り出すことができる。創造と水の扱いに長けた街。
かつてのそれとは見るべくもない現代の魔術師を軽んじる他、自身を創り出した魔術師が見ていた“先の文明”に到達していない現代科学も酷く軽んじている。唯一、アトラス院の魔術師においてはその科学力に敬意を表するものの“まだ遠い”と尊敬するには至らない。同年代の性質が反するブファスについてはその神秘認めつつも「ワタシの方が強いです」と譲らない。お互い様である。
イースはかの海賊公女、ダユーが支配していたとされる水上都市の名前であり、ルル・イェーはとある近代創作神話に出てくる水中都市の名前。前者は自身が創造された後の世代の物語を知った彼女自身が作ったものであり、後者は創造主が付けた名前。珍妙なことだが、とある創作神話と、それにより繋がった外宇宙のソレと類似する名前を与えたのはどういう偶然なのだろう。
「いらっしゃいませ。どうぞ、ワタシの機能を堪能していって下さい」
「魔術も、科学も、まだ拙く情けないとワタシは思います。あと数百年ほど……失敬、オフレコで」
「ブファス?……同年のものとして敬意は評します。ですが……魔術と破壊だけ、でしょう?それではね」
「あの女はワタシが必ず臓腑を引き裂きます。真祖とは似て非なるアレを生かして返すわけにはいきませんので」下着事情ねぇ……。
ノーパンっぽそう:ポルカ
紐パンかなぁ:アゲハさん
トランクス?(強いて言うなら):遥、蒼
ボクサー:ヴィクトル
刹那と誉さんは分からん!普通の穿いてんじゃない?もうぜんっぜん顔出せていなかったもので申し訳ねえです
これから色々頑張って行きたいと思います…>>204
プルフラス「ぬわー!?!?!?」
ちなみにプルフラス(ロリ姿)は純白女児パンツだからロゼの事笑えんのだ>>204
ちなみにうちの場合はこんな感じ。
・グリフィン:ボクサーパンツ。たまに女物を着用。
・エイベル:背丈に合わせて子供用を着用。
・桃夢:機能性優先の地味な感じ。
・ビオランテ:プリシラが選んだ可愛らしいデザイン。uitdw@trs、jd@8z;ec4w@3.shd8u6]z=ftx;.(ド下ネタなのでラフム語)。
・リディア:シンプルだけど上下共にリボン状の装飾付き。鋼のクーパー靱帯(爆速再生能力付き)のおかげでスポーツブラを着用したことはない。
・イノセンシオ:ソンブラ・ネグロの社章がプリントされた、特注ブーメランパンツ。
・バイディワ:基本的にリガヤプロが選んでいる。中にはボルテスVのコラボ商品もある。
・タララーワ:ロレンシオとカンデラリアが選んだセクシーランジェリー。
・リガヤプロ:結婚&スペイン移住後、どういう訳かプリシラが選んだ可愛らしいデザインの物ばかりに。
・プリシラ:黒地のレース系。>>210
いけね、星雪を忘れてた。
・星雪:黒のボクサーとタンクトップ。こういう時自鱒は男ばっかでつまらんな…となったけどよく考えると時代・身分的にでんでらさん褌だな?
同年代の泡沫島もレリックもおそらく普通(泡沫島に関しては人形なのに下着…?とはなる)なわけでコレは…希少種なのでは…?ちなみに上で話したのは竜胆
起源覚醒してくると前世の竜要素がメキメキ出てきて尻尾もとい尾骶骨が疼くのです
>>211
イースは最終的に海に沈むしルルイエは最終的に海面に浮上するのです
創造主は水と創造の魔術に長けていて「星の生み出す生命よりも、人々が歩み創る未来の文明よりも遥かに優れた者を自分一人で創れるし??」という傲慢さで作ったとかなんとか>>204
鳳蝶さんってキアラとカレンを悪魔合体させて天使に属性反転させた感じですんで……。
普通にエッチな事もするんですが、恥じらいは(多少なりとも)あるので結果として紐パンっす名無しの教室のとあるお話の前編
モートン先生をお借りします「護身術の訓練?」
「ああ。いかに名無しの木端、庶民といえども時計塔全体の必須カリキュラムとされた護身術の動きからは逃れられん」
クラッフ・フロース、18歳。きなこ揚げパンなる日本の食べ物を食しながら明日の現代魔術科での作業についてまとめていた折のことだった。何とも神妙な顔つきで、名無しの教室の教師であるモートン・ドラモンドが尋ねてきたのである。そも名無しの後者の空き教室であるからおかしい話ではないものの、普段は礼節を重んじている故にこんなだらしない姿を見せるわけには行かないという強い思いがクラッフにはある。なので大層驚いた。残り半分ほどであった揚げパンを袋に直し向き直るが、口の端にきな粉が付いていることに気づかないほどびっくりした。
「………必須カリキュラムですから、わざわざ講義の一環として取り入れずとも良いのでは?」
「その通りだ。私としても望むところではない。しかしな……近年の騒ぎがどうにも気になる。例の“偏食家”の話だ」
「ああ、あの……。(アインさんが法政科や他の執行者達と誰が先に狩るかのレースだって湧いてたなぁ)」
偏食家。時計塔の魔術師を狙った殺人事件を度々引き起こす謎の殺人犯。殺人が行われた後の現場の痕跡には必ず“唾液”と“被害者の魔術刻印”が残されているという。魔術師同士の殺し合いにおけるハウダニット(どうやって?)は非常に特定が難しい。
しかし、現場の証拠から食べたのではないか、などという奇妙な予想がつくこと。そして、魔術師において貴重な魔術刻印を狙うわけでもなく、必ず魔術刻印は残すことからも“偏食家”などというあだ名が付けられたのだ。現在は上部からの依頼を受けた執行者、魔術世界の安寧を業務とする法政科、そして個人的な依頼を受けた魔術使いたちがその行方を探っている。クラッフのクライアントであるグローリアンの末子、封印指定執行者兼、魔道円卓団長のアインもその一角だ。既に団員の指揮をとって捜索を重ねている。「失礼ながら。その事件と護身術のカリキュラムをわざわざ講義に取り入れる関連性が見出せません。必要なのは護身術ではなく、殺し合いの技術でしょうし、時計塔を揺るがす事件でもない。。そして何より、モートン先生。あなたのような純正たる魔術師がこのような魔術師の正道から逸れた講義を考えるとは思えない」
「勿論だ。だから私も本意ではないと言ったのだ。上からの圧、というか面白半分な小言のようなものだ。随分と奇特な者が鉱石科に所属していてな。……とても不本意だがな!」
「そうでしたか(でしょうね)。ではこれは、ただの護身術の講義ではないと?」
「ああ。講師と生徒、双方一人を選出して行う実践的な護身術だ。強化魔術と体術のみならず、戦闘用の魔術を用いて良いことになっている。いわば相手の命を奪うような、な。もちろん実際に奪うわけではないが……故に貴様に白羽の矢が立ったのだ。貴様の護身術の成績には目を通している」
なるほど、道理は通っている。時計塔のカリキュラムがどうとかということに関係なく、幼い頃から身体を鍛える訓練や武術の鍛錬は行なっていた。モートン先生程でなくともそれなりの筋肉は欲しいと常々願っていたが、結局はその夢も叶わず。これだけ筋トレを重ねても付きにくいのでもうそういう体質だと諦めていたが……それはともかく、身体を動かすこと自体は得意だった。この小さい背丈も活かしようなど山ほどある。むしろこの背丈で良かったとも。筋肉は欲しいが。だからこそモートン先生の推薦にも納得だ。しかし……
「ヨモさん。彼女は自分よりも素晴らしい強化魔術の腕をお持ちでは?ライカさんもそうでしょう」
「……強化魔術の得手不得手は護身術を極めるには重要な要素だ。しかしそれだけで決まるものではない。ましてや実践的な殺し合いでは更にだ」
「……自分も、それほどではないかと」
「惚けるなよ。庶民とは言えど貴様の経歴に私は目を通している。……貴様ほど戦場に身を置いた生徒はこの名無しには存在せん」どうやら、逃れる術はなくなったようだ。警戒されるのが嫌だったからわざと口外しなかったことも全部目の前の教師にはバレている。元々隠蔽するつもりではなかったが、わざわざ明かすことでもないと言いふらすこともなかっただけだ。私の経歴をきちんと調べさえすればすぐに見つかる情報だ。だが調べなければ見つからない。つまり、その程度には私というスパイな生徒に目を向けてくれているということで……
「結構、お受けしましょう。やるからには全力で。先生方が相手であろうとも本気で取りに行きます」
「ふん。それで良いのだ」
「お相手は?やはりモートン先生ですか?」
「タブロイエフの小僧めは明らかに向いておらんのでな。私が……む?」
モートン先生と私の視線が向いたのはほぼ同時。先程まで一切の気配がなかったそこに、得体の知れない白衣の女がいたからだ。いや、得体は知っているけれど側から見たらそうとしか言えないような珍妙な女が。
「はぁい。ご機嫌よう、モートン先生。私だって講師ですから省かれるのはどうかと思います」
「貴様は非常勤だろう、ヴィルクレツィアの姫君」
「名前で呼んでくれないのはその貴族主義が相まって?まあいいや。……でも私、講師陣の中でも一番経験あると思いますけど?“殺し”の。クラッフなら知ってるんじゃない?」そりゃそうだ。痛いほど知っている。世界旅行をしている間に些細な口喧嘩から何度も決闘、暗殺、殴り合いと沢山の殺し合いをしてきた。博物館に収容される以前の彼女の話からしても、殺しのセンスは一級品だ。一番経験がある、というのも嘘ではないだろう。それこそ私ほどに。でも……
「けどさ。シウンって雑魚じゃん。くっそもやしじゃん」
「………はぁ?」
「忘れてないよ?私のコレ(拳)ですげぇ簡単に沈んだよね。こんな程度で死なれたら困るなぁってあの時は焦ったなぁ。歯応えなさすぎて」
「………私も忘れてないわよ。あなたが私の憑き物のせいで“ごめんなさい、許してください”って泣きじゃくったの」
「はぁ!?アレは精神汚染のせい……っていうか呪術や魔術の警戒はしても初見で混血の異能の対策とかできないし!あんなん初見殺しだし!」
売り言葉に買い言葉、である。かなり親しい間柄である二人だからこそ、そのやり取りはさらにヒートアップする。このようなくだらない口喧嘩など白熱する前に自身の裁量で真っ先に止めるモートンすら、あまりにもレアな状況に止めるタイミングを逃してしまった。いつも笑顔が絶えない二人だからこそ、何よりも珍しい。しかし元来、彼らはこういう負けず嫌いである。「お前のそれこそ初見殺しでしょうが!ガチで殺しに来てたじゃない卑怯者!」
「戦場育ち舐めんな!ああ結構。俺だってお前の憑き物への対策はガチガチにしたんだ。そんな口が叩けないよう今度は徹底的に叩き潰してやる!」
「私だってちゃーんと護身術を訓練しましたからね!そんなに吠え面かいて、また精神崩壊一歩手前まで押し込まれて大泣きしたらどうすんのかな!」
「来いよ!」
「上等!」
親しい人にも滅多に見せないような素の口調を曝け出して罵り合う。この二人の友情は本物だが、このような敵意もまた本物だ。初めて出会った時から彼らはかけがえのない親友であり、そして互いに競い合い、殺し合うライバルでもある。そこに取り繕う上面はなく、あるのは一人の人間としての感情と魔術師としてのプライドだけ。そうやって口喧嘩をしながら教室を出ていく二人をモートンは呆気に取られたように眺め……
「……!私の意見を聞かず……あの庶民ども……!!」
怒った。当たり前の話である。
以上です。実際の他の名無し勢のガチ殺し合いの経験値がどれほどかはわからないので後で修正するかも。次回は戦闘>>227
お気になさらず
なんかそういう実践的な護身術を行う理由がこちらとしても思いつかない物ですから……モートン先生は自主的にはなさらないでしょうし……>>230
そういう理由ならおっけーです!8月中にNCの続きかアクアステラ過去SSのどっちかは上げる予定だったのに、両方とも叶わないまま夏が終わろうとしている…
全部ポケ対とルビコンが悪いんや(責任転嫁)
>>223
売り言葉に買い言葉からのヒートアップ&バトルスタートはいい…(よくない)
モートン先生にはどうか頑張ってほしい所できた…ギリギリ8月中に…
三か月ぶりの冒険旅行記を投下していいですかー!よっしいきまーす
~前回のあらすじ~
メレクに内緒で博物館へバイトにきました。バレたので逃げました
先輩に会えたのでこれから博物館に入っていきます「おぉー……」
思わず感嘆の息が漏れる。
神秘を蒐集・展示する博物館と聞いて魔術師の工房のような暗くて湿気を帯びた場所を想像していたけれど、これが思いのほか明るかった。
近代的な照明が照らす高級ホテルにも似た入り口のホール。壁や床は柔らかい白色で構成されていて、余計な装飾は付いていない。
……私がバイトをする場所としてはちょっと上等すぎるような。
「地面の下にあるかび臭いトコでも想像してた?」
「してた」
にやにやと笑みを浮かべてカヴン先輩は私の隣を歩いている。うーん……顔は初めて見るのに声は耳慣れたもの、という状況がなんだか微妙に落ちつかない。
「ま、その想像もあながち間違っていないけど」
「そうなの? どこらへんが?」
「地面の下ってトコよ。ココ、下に行けば行くほど"らしく"なっていくから」
「塔なのに下に行くの?」
入る前に見上げた白い塔の姿を思い浮かべる。下が本命ならあれはカモフラージュ的な?>>235
「入る時に見たアレはハリボテとでも思ってなさい。神秘を扱うなら、誰の目にもよく見える場所なんて重視するはずないでしょ?」
「あ、そっか、なるほど」
言われてみればそうである。神秘も魔術も隠してこそのものだ。
表面上の見かけはどうでもいい……は言い過ぎだけど、気にしすぎる必要はない。
「第一、見かけで言うならアナタよアナタ。ルナ、なんでそんなボロボロになってるの?」
「これは……あー……転んだ?」
まあ自分から転びにいったんだけど。
ていうか、そうだ。
「先輩先輩、さっきそこでメレクに会ったんだけど……まさか話した?」
「は? なにそれ知らないわよ」
「やっぱり先輩じゃないのかぁ」
いっそのこと、話したわよ? くらい言われたほうがわかりやすくてよかったのになぁ。ますますなんでバレたのかわからない……。>>237
「……あった…………」
「あったのね……」
「メレクにもらったんだよね、このポンチョ」
「あのガキンチョそこまでやってたか……」
見つけたのは指先サイズの黒ずんだ石。一見ただの小石だけど、よくよく見てみれば六角形がきれいに並んだ……なんだっけ、ハニカム構造? みたいな形で溝が彫られている。意識してみればかすかな魔力も感じる。
これが盗聴器かどうかも、そもそもメレクが仕掛けたのかもわからないけど……まぁ十中八九そうなんだろうなぁ。
「それにこれ、もう見つけたから大丈夫! とはならないよね……」
いくら私でもそこまでのんきじゃないし。一個あれば当然二個目、三個目の可能性も考える。そして四個目、五個目と際限なく不安になっていく。これぞ疑心暗鬼スパイラル。
どうしよ。
どうにもならないか。
「何個あるかわからないのがいやらしいなー」
「ま、着替えればいいでしょ」
「いや先輩、この調子だと私の着替えも油断できないっていうか、」
「じゃなくて。アナタの持ってきた着替えじゃないわ」>>238
「?」
「ウチの制服を着ればいいのよ、ママへの挨拶がてら、ね」
「ママ?」
「ほら、もうそこに」
ふい、と先輩が顔を向けたその先に静かに佇む人影がひとつ。
そこに夜闇が見えた気がした。
実際は黒と紫のドレスがそれを連想させただけ。だけなんだけど、でも……なんだか、馴染みがあるような……?
遠目にもわかるほど整った顔立ちに見覚えはない。あんな美人さんなら一回見れば忘れられない。
じゃあなにが、と自問自答してもぴったり合う言葉は浮かんでこない。なんだろう、雰囲気……オーラ……いや匂い……?
奇妙な感覚に私がうんうん唸っていると待ちかねたように美人さんは口を開いた。
「その子が話してた後輩の子かしら。カヴン?」
あ。わかった。
声を聞いた瞬間にすとんと理解した。このヒト、私とおんなじだ。
同族。同類。同じ夜に生きるモノ。おこりが違うとしてもカテゴライズされれば同じと言い切れるくらいには近い。同類と言ってもネズミとクジラくらいの差はあるかもしれないけど。>>239
「そうよバイト希望のルナ。かわいいでしょ?」
「そうね……なかなか面白そうなのを連れてきたじゃない」
目だけでニヤリと笑って、仮称ママの美人さんは私を楽しそうに眺める。……向こうも私が同族だと気づいたみたい。
一歩二歩と前に出てぺこりと頭を下げた。
「今日から少しだけお世話になるルナ・アードゥルです! よろしくおねがいします!」
「はじめまして。ダイヤ担当のティム・ドルチェよ。主に遺物の管理と、貴方のような外から訪れる人の対応をしているわ」
挨拶を交わしながらティム・ドルチェさんも一歩二歩三歩四歩と私に急接近。私がとまどっている間に耳元に顔を寄せて、ささやく。
「……"お仲間"であることは言わなくていいのかしら?」
「えっと、それはナイショで……」
「そう。じゃあ私もそのように扱いましょう」
それだけ言うとすっと離れる。うーん、同族の扱いも慣れてる感じがするなぁ……年季ってやつが違いそう。
「なんの話? 大好きなママとかわいい後輩がいるのにアタシ抜きで内緒話だなんてつまらないわ」>>240
「混ざりたければ自力で探りなさい。ナイショだそうだからヒントは無しよ」
「ちぇー。いいわ後でアマルハプルに吞ませて聞き出すから」
アマルハプルってなに? 私なにに呑まれるの?
とかって聞きたいところだけどバイトどころじゃなくなりそうだからやめとこう。
「ところで」
「?」
ティム・ドルチェさんが待ったをかけるみたいに視線を私で固定する。大変に訝しむじとーっとした目を向けつつ。
「……どうして博物館に入る前からそんな姿になっているのか、分からないのだけれど?」
「これは転んだだけよ。そうよねルナ?」
「はい。転んだだけでーす」
「ああそれは聞いたことあるわねぇ。たしか……学生生活に付き纏ういじめ問題の常套句」
「「違う!」」
「違うの? じゃあ本当に転んだだけだと、そう言うの?」
「そうでーす」>>241
「なら聞くけれど。何をどうやって転べばそこまでボロボロになるのかしら?」
「飛行用の魔術を地面スレスレに向けて使ったらこうなりました!」
「よく分かったわ。君はアホの子ね」
「流石ママ、理解が早いわ」
「不本意ぃ」
バイト先の人からの第一印象が「アホ」で固定されることになった顔合わせでした。
やりたくてやったわけじゃないのにー。
・ ・ ・
「なにこれなにあれなにこれすっっっごーーーーーいっ!!!」
すごい! すごい! すごい! 目の前の景色全部がっ、もうっ、すごいっ!
目の前に神秘! 右を見れば神秘! 左を見ても神秘! 奥を見れば神秘がずらり!
現代じゃこの景色自体がもうひとつの奇跡みたいなもの。隠匿すべし、が大原則の今じゃ人目に触れることがまず稀なわけで、だってのに時代も地域もバラバラの神秘がひとつの視界に収まっている、この! 景色が! 奇跡と、大魔術と言わずしてなにが───「館内ではお静かに」───あ、ごめんなさい。>>242
ティム・ドルチェさんに窘められながらもワクワクうずうずドキドキがとまらない。
だってこれだ。この景色があるんだ。
ここから見えるひとつひとつに心躍らないなんてないないありえない。躍らないなら魔術師やめちまえー!
「あの! ちょっと見学してきていいですかっ!」
「静かにするならね」
「はいっ!」
ああだめだ身体が勝手に動く。身体どころか心だって大はしゃぎ。じゃあもう満場一致だ!
これが邪魔されるくらいなら理性なんてものはずっとお留守番しててお願いだから!
今までの人生でもそうそうなかったってくらいがんばって、走らないよう騒がないよう努めて展示品に近づいていく───…
「見学なんてさせちゃって。いいのママ?」
「いいに決まってるわ。自己紹介が終わったからハイ仕事なんて真面目なことやってられないもの」
「そうじゃなくって」
「ん?」
「自由にさせたら長くなるってこと。あの子の"好き"は筋金入りだもの」
「それこそいいに決まってるわ。むしろそのくらいでないとつまらない」>>246
推敲が終わったので投下どすえ。
選ぶ権利って難しい
第四次聖杯戦争が開催されるまで、まだ時間がある頃。
間桐家当主の実弟であり、主にフリーのルポライターをしている間桐雁夜は自宅の敷地内にある個人事務所(※名前は『スタジオ魔霧堂』)で1人黄昏ていた。
円蔵三に秘匿されている大聖杯が、いつの間にやら汚染されていたことを、彼は知っている。
甥の慎二と、彼の親友で現在間桐家預かりとなっている士郎から、臓碩(※幽霊なので若かりし頃の姿のまま)を介して伝えられたからだ。
自分が所有する機材の内、少し古いのを借りてロケハンごっこで遊んでいた2人は出くわした遠坂姉妹のうっかりに巻き込まれ、大聖杯が秘匿されている鍾乳洞に入ってしまったのである。
詳細は不明ながら魔術的な産物が異常をきたしている光景がしっかりと撮られており、一族自体の守護霊となっている臓碩及び兄の鶴野と一緒に確認済みである。
今の時間、2人が冬木市のセカンドオーナーである遠坂時臣と今回の聖杯戦争の監督役たる言峰神父親子にも映像を見せている頃だ。
慎二と士郎が借りた機材は一眼レフ『ミノルタα7000』と業務用ビデオカメラ『ソニーBVW-400(定価750万円)』の二つである。
確認したのは士郎が使ったBVW-400のだけで、慎二が使ったα7000に入っていたフィルムは今しがた現像したばかりだ。>>247
「まさか大聖杯があるとは思わないよな…」
現像した写真の何割かは、満更でもない表情の凛と桜だったり得意げな顔でBVW-700を肩に乗せている士郎だったりで、いかに和気藹々とした雰囲気で鍾乳洞探検をしていたのかが窺える。
優しい表情で呟いた直後、ドアを開けて慎二が臓碩(幽霊)と一緒に入ってきた。
「先に要件を言うぞ。こちらからお前が参加することになった、第四次聖杯戦争にな」
渋い表情の臓碩から告げられ、雁夜もやっぱりと言わんばかりの表情をする。
「そう、か。けど、聖杯が汚染されているのは確定事項だぞ。それに願いをかけたらどうなるか…」
「ロクなことにはなるまいて。だから『我々としてはもう大聖杯は壊す』という方針をセカンドオーナーと監督役に伝えたが、向こう側からの協力は望み薄だろうな」
溜息をつく臓碩に合わせて、慎二が1冊のノートブックを出す。
「時臣も魔術師だからなぁ。それで、今慎二が持ってるのは触媒?」>>248
「父様が出張先で見つけて、内容からトーマス・エジソンの私物だと分かったからエジソンプロジェクト渡す予定なのを、ご先祖様が強引に借りてきたんだよ。なんでも、霊界通信機と人造人間の草案が描かれているって」
慎二の説明を受けて、雁夜も臓碩の意図を察する。
つまりトーマス・エジソンを召喚して、大聖杯破壊に協力してもらうつもりなのだ。
だが、それはそれとして疑問もある。
「発明王が聖杯を欲しがったらどうする?」
「その辺は問題ない。願望機として機能しない可能性を説明すれば説得は容易だ。何せ、京都の竹絡みで親交があったからな。人柄は把握済みさ」
自身の疑問に対する臓碩の反論を聞いて、雁夜は(ご先祖様も生前から色々やってるなー……)と思いつつ、彼は肚を括り改めて臓碩を見据える。
その表情から雁夜の決意を確認した臓碩は、幽霊だてらに優しくも力強い表情で告げた。
「鶴野がセカンドオーナーと監督役の相手してくれている内に召喚の義を済ませるぞ」
「それなら応接間でやろう。凛ちゃんと桜ちゃんだけじゃなく士郎君にも見せることになるけど、スピード勝負だ」>>249
応接間。
依頼人用の一室に、魔法陣が描かれた厚紙が敷かれている。
慎二から受け取った、エジソンの私物であるノートブックを手にした雁夜は、今更張り詰めた緊張の糸を解そうと、ページをめくる。
その時、付箋代わりなのか相当古いモノクロ写真が貼られたページが視界に入る。
写っていたのは、シーツを纏って困惑と羞恥交じりに微笑む美女。
雁夜はその美女に見惚れたというか、明らかに一目惚れしたようで呆気に取られた表情をする。
「どうした? いきなり微動だにせずに。写真? ……そういうことか」
臓碩はそれを見咎めるも、その原因である写真を見るなり、「からかうぞ」と言いたげに薄ら笑いを浮かべてきた。
臓碩のそんな表情を見て呆気に取られた慎二達に、観念したかの如く雁夜は写真が貼られたページを見せる。
「エジソンの嫁さん、とは違うような?」
「浮気してたなんて話も聞いたこと無いぞ」>>250
存外生々しい話題で話し込む慎二と士郎に呆れつつ凛も桜と一緒に写真を覗き込み……目を大きく開いて硬直してしまった。
それも当然である。
何せ自分達の母に負けず劣らずの美女なのだ。
驚きもするだろう。
臓碩の説明を聞いて納得しつつも、流石に故人であろう写真の美女に対して惚れた点には難色を示す。
「どうにも一目惚れしたみたいでな」
「死んだ人相手にそれはねぇ…」
「あの世に引き込まれちゃいますよ?」
素で心配されて、雁夜も流石に気まずくなる。
それを隠す様に詠唱を開始。
詠唱の途中から魔法陣が光を放ち始め、詠唱が終わった瞬間に応接間の色が周囲の輪郭ごと光で真っ白で塗り潰されていく。
そうして光が消えた後、魔法陣の上には1人の女性が立っていた。
雁夜が手に持っている、ノートブックに貼られていた写真の美女その人が。
その美女が目の前にいる事実に面食らいながら、凛は隣で何とも言えない表情をする臓碩に話しかける。>>252
即行で我に返り、士郎にノートブックを渡してから雁夜は大聖杯の現状と自分たちの方針を説明する。
かなえたい願いのために召喚に応じた、自身にとって無情過ぎる事実にアルターエゴは表情を曇らせた。
「ペテンにかけるような形になったのは申し訳ないと思う。けど、汚染された聖杯を放置したらどうなるか想像がつかない。だから、聖杯戦争が終わるまでの短い間になるけど力を貸してくれないか? 君に一目惚れして恋人になって欲しいと願う男からの頼みだ!」
雁夜が頭を下げ、アルターエゴは戸惑う。
願望機としての機能は絶望的であり、どのような不具合が生じるか分かった物ではないから破壊に協力してくれと真摯に頼み込まれたのだ。
そんな誠意ある態度を見せられては、アルターエゴも無下にはできない。
加えて、自分に一目惚れしたと打ち明け、恋人になって欲しいとまで言ってくれたのも嬉しいのだ。
「私の力、返済不要ですから安心して使ってください」
アルターエゴは優しく微笑みながら告げる。
その表情は蠱惑的で、臓碩達は雁夜が一目惚れしたのも致し方ないかと納得させられた。
余程嬉しかったのか、雁夜は自分の両手で彼女のそれを包むように握手しながら感謝する。>>253
「ありがとう……! 君となら、俺はきっと前に進める」
「雁夜。一体何があったのですか…?」
「雁夜は感極まって冷静に説明できないのが目に見えている。なので先祖である私が代行しよう」
遂には嬉し泣きまでしだした雁夜の姿にアルターエゴも再度困惑。
何があったのかと思わず訪ねてしまう。
即座に臓碩が説明の代行を申し出て、雁夜が中学時代に姉貴分とも言える幼馴染兼初恋の人に告白して見事フラれたこと、時を経て未練を解消できたが失恋のダメージ自体は尾を引き、浮いた話を現在まで避けていたことをアルターエゴに伝えた。
「それで、前に進める、と……」
アルターエゴは雁夜の現状を知ると同時に、少しの落胆を覚えた。
彼女の願い、それは運命の人と添い遂げること。
いくら惚れられても、願いの成就が絶望的だと相手の好意に応える気にはなれない。
雁夜に対して、アルターエゴは申し訳なさそうな表情を浮かべてお断りの返事をした。
「私の願いはまだ出会えていない最愛の人と添い遂げることです。だから貴方の恋人にはなれません。ごめんなさい!」>>255
臓碩のこの疑問に対する、アルターエゴの答えに言葉は無い。
ただ、彼女は身体の各所を展開、自分の『中身』を晒しながら銃火器を見せることで返答とした。
その中身を見た臓碩達は、思わず驚愕する。
雁夜もまた、この光景を見て召喚の義に入る前、慎二の説明の内容を思い出す。
触媒として使ったノートブックには、霊界通信機と『人造人間』の草案が描かれている、と。
士郎に預けたノートブックを再度手に取り、急いでページを1枚ずつめくる。
生前のアルターエゴの写真が貼られたページの直前、その箇所には確かに人造人間の設計図の下書きが、その人造人間の名前共々記載されていた。
「発明王の面目躍如、か……」
その名前を見て、ぼやきながら雁夜はアルターエゴの真名にも気づいたのである。>>258
臓碩の延命方法が違うだけでよくもここまで変わったなぁ、と書いてるこっちも思う。>和気藹々とした間桐家
あくまでも間桐家が預かっているという立場で、養子縁組はしてないから『間桐士郎』ではないんです。おそらく、臓碩も鶴野も雁夜も養子縁組まで行くかどうかで悩んだと思う。>間桐家の士郎「………魔術の研究に必要、なのかなぁ?」
「身を守るって意味では大事だよ。目をつけられたらどうなるかわかんないし」
「僕としては目をつけられるという事態こそが魔術師として失格だと思うがね!貴族であるならば、魔術師ならば、そもそも手出しをされないほどの権力を持つべきさ!」
「あれこれ言ってるけれど、護身術が苦手なだけだよね?僕も家族と比べると下手だからあまり物は言えないが……」
名無しの教室の生徒たちが口々に感想を述べ合う。命を賭けた闘争とは離れた側面が強く、なおかつその重要性も身に染みているわけではないのが原因だろう。魔術師としての非人間性や政治闘争の惨さを知らないわけではない。知ってはいるが、本気の命を賭けた殺し合いという点ではやはり疎い部分は否めない。
「俺には今日のクラッフ・フロースは一段と煌めいて見えるね。本質は闘争にあり、ということかな」
「あの子、かなりガッツあるものねー。まあ、アタシの上司?みたいな人も冠位で実戦派らしいし、大事なんじゃない?“自分が強くなくてもいいとか惨めな発想だよねぇ〜”って煽り散らかしてたわ」
「おれはそれもすっごい気になるけど……まあともかく、今は二人の逢瀬を眺めようじゃないか。なんだかとても面白くなりそうだぞぉ」
エンデの眼は正確に彼の美しさを照らし出している。それはクラッフの悠然とした魔術師としての顔つきにもあり、またそれ以外でもある。調律で自身の魔術回路の機能を底上げして、あらかじめ強化を施していることが要因だろう。全体のランクが上がっている。もちろん、美しさとしても例外ではない。ちなみにテレータが逢瀬などという比喩の仕方をしたことは戦う二人にもしっかりと聞かれていた、のであとでお財布から何か飛んだ。カヴン曰く、“哀れでもない。当然のこと”らしい。「では、始め!」
「……だってよ。どうするの、シウン。先手はどっち?」
「もう見せてる」
小さな人影が五つ。意思疎通する様子も見せずに見事な連携をとって手に持った刃物で確実に殺しにくる。何故だか周囲は妙に風が強くて、強くなればなるほど人影の動きも速くなる。シウンは何も詠唱をしていないし、ただ魔術回路を回しただけ。強いて言えば、手に持った風車を回していただけで……
「何その呪物!知らない!」
「昨日作った」
「あっそ!」
まあ、知らないだけだ。連携を取ったところでクラッフの方が強い。死角を取った人影を地面の変化でぬかるんだ地面に沈み込ませそのまま蹴りで首をへし折る。前から飛んできた二つの影は、高温で熱した手で一つずつ丁寧に喉元を抉り抜く。シウンの創り出す呪物はさまざまな利点があるが、生命体としての個を確立したことで肉の体を持ってしまった、というのは一種の欠点だろう。本体となる依代が壊れない限り基本は再生可能だが、一度破壊されれば修復には時間がかかる。その小柄さで本来は敵を翻弄するのだろうが、こちらも小柄だ。関係ない。
「地面の液状化、体熱の激しい上昇、手慣れているな」
「あれは……変化の魔術?それとも錬金術?」
「どちらでもおかしくあるまい。あるいはどちらとも。それこそがあの庶民めの研究成果だ」パンデモニウム。格闘戦を得意とするクラッフが手に装着しているこの手袋は一つの指に一つ、合計して十の魔術系統の術式を刻んだチップが入れられている。一つの指で一つの魔術系統の魔導書、魔術基盤に接続する回路を持っているに等しい。もちろん使用にはそれぞれの魔術系統に対する深い知識と適性が必要だ。魔術師は魔術基盤や魔術刻印などに依って魔術式を成立させる。得意な魔術の系統が縛られる魔術師ではその全てを十全に扱うことなど基本不可能、なはずだが……
「その適性の広さはまさに天才、と言えるだろう。それと僕の見立てでしかないけどね、あの礼装に織り込まれているチップとやらはかなり上等な触媒が元になっている」
「それも色んな系統の、ね。おれの目立てでしかないけど、あの子のクライアントは相当の大家じゃないかなぁ?」
「魔術属性もあるだろう。アレは五大元素の中で最も熟達が難しい属性である一方、エーテルそのものに干渉する属性であるが故に魔術式への干渉を得意とする。私の専門とする宝石魔術ではほぼほぼ居ないがな」
「家柄と財力には恵まれなかったのだろうけれど。俺には彼に足りないのがその二つだけに見えるね。今や己が魔道の探求すら必要としないのではないのかな」
きっと生まれを間違えた、と言われることは少なくない。事実、彼は天才だ。天才だし、自分が何をすべきか、自分はどのように魔術を極めるべきかを知っている。魔術師として見据えるべき先がとうに見えている。そしてその上で出した結論は“この礼装加工の魔術で間違いはなかった”ということだ。生まれがどう、というよりはやはり家柄が問題だろうか。あとは財力。しかしまあ、それすら自分が成り上がればいいと思っている。魔術の才能のみで天を取ったとある魔術師のことを話に聞いているからだ。
「コード8715。5416。2221」クラッフの指の動きに従うように発動した黒魔術によって、生み出した呪いの想念を簡素な人形に封じ込める。シウンの体質はその呪いを必然的に引き寄せる形となり人形が吸い寄せられる。しかしこのままでは呪詛を糧として食い物にされるだけだ。なので本命は人形に括り付けた爆弾そのものである。降霊術の動物霊憑依によって引き出した跳躍力で飛び回りながらもルーンを刻んでいくつもの風刃を発生させる。パンデモニウムにかかればルーンを指先で刻むという手順すらいらない。とはいっても、並列かつ高速な情報処理に相当の負担が脳や魔術回路にかかっているが……
「………三つも回してたら精一杯でしょう。なんかあるわね?」
「さあ?なんだろう」
「……あなたまさか巨人の」
「三界監獄。刑吏さん」
掌から手品のように何かを出す。それはあまりにも大きくて、凶悪な形だ。おおよそ魔術師が扱う物ではない現代兵器。純粋な貴族たる魔術師ならばおそらく嫌悪を催すだろう。事実、モートンは顔を顰めている。魔術師としての誇りは見られないものだが、戦いにおいては有用であるという事実があるからこそ何より不快感を煽る。
「恋契りて首千切る。恋に落ちて空に墜つ。恋に溺れて海に沈む」
「遅い」
シウンの身を護るように現れた三体の呪体を吹き飛ばす。そのどれもが魔術的、物理的、どちらにせよ強固な防御手段を有していたが、その程度でクラッフは止められない。銃器から弾丸に至るまでが手作りである三界監獄は魔術的、物理的の双方において最適な破壊力を叩き出す。他者の魔術に対しての見識が深いクラッフ、それもシウンのずっと側で戦う姿を見てきたのならば当然だ。彼女の作り出す呪物への対応方法などわかっている。ただ一つを除いて。『ヒット。マスター』
「追撃。アイツが呼ぶ前に潰す」
『ラジャー。最適なルートを提示します』
刑吏さんなるAIが導き出した最適なルートで、クラッフの弾丸が射出される。詠唱の暇はおろか、印を組む隙すらなく急所を撃ち抜く破滅の一射。前日に殺し合い上等の口喧嘩をしたクラッフは完全に頭に来てしまっているので容赦なんてものが吹っ飛んでしまっているのだ。そして確かに、その弾丸は以前のシウンなら命中していただろう。
「っ、止め────あれ?」
「あら、怖い。博物館でもあまり見たことないものね、アレ」
「ああ……成程。どうりで俺の眼にはもやがかかって見えないわけだよ」
「こ、怖くない怖くない……」
巨大な黒い前脚が弾丸の全てを砕き、白い、紙のように薄い尻尾がクラッフの肩を切り裂く。詠唱は要らない。特定の行動も要らない。何故ならこれは彼女自身であって、肉体の一部のように扱えて当然のものだから。以前は制御するために特定の魔術を挟む必要があったが、今ではそれすら必要ない。真の意味で指先と同じように扱える。シウンが蓄え続けた全ての塊。魔術世界における生命の尺度の領分での亡霊を超えたものたち。>>246
な、なに?なんですって?(混乱)
少なくとも今回もルナは平常運転ですよ!
>>258
ルナはメレクのことをちゃんと理解してないですからね…考えてないとも言う
そのへんが今回の冒険(バイト)の動機にもなっていたりするのですけどね
>>260
ようやく、ようやく入れましたよ。短い間ですがお世話になります!
展示品は出してないのありますが……新キャラは……いません、ごめんなさい!既存キャラだけでいっぱいいっぱいだったんです
>>266
名無しの面子がそろって分析を兼ねた実況してるの面白いなぁ…わぁエンデもいる…口調とかけっこういい感じにバラけてるんだなあ
私が書くと大体みんなわちゃわちゃしがちなんでこういう真面目な空気感は新鮮ですね…いい…>>267
時計塔となるとどうにも空気が引き締まった感じのものを多めにしてしまうのですよね……博物館だともう少しゆるゆるで書けるんですけど……
あとクラッフもシウンも「コイツを○す」ってモードに入ってるのは要因かもしれません書き忘れてたけどまだ途中です、近いうちに完成させます
じゃあ遡ってきます…>>191
ほいほい了解っす
まあこっちとしても断夜さんをもうちょいテコ入れしたいなーと思ってたのである意味では助かるかもです。裂夜君のパパって以上にキャラの個性を増やしたい
>>193
おーっす
マジっすか、楽しみにしてます。どんな奴になるんやろ…
ほいほい了解っす。でも巽さんは面識…あったっけ…?
海月→プリシラ、イノセンシオ
「実は私、大企業のご令嬢さんの家族にお世話になってた時期があったんだけどね…その人のお姉さんが凄い美人さんで、お菓子も美味しくて、お母さんみたいな感じもしてね…凄いお嬢様って感じの人だったの…あと、漫画とかで見るいい人のオネエみたいなキャラ、いるじゃん?あんな感じのおじさんもいたな。…いや、嘘じゃないから。本当だって。」「ぷにゅ(おもしれー男だったぷにゅ)
ちなみにイノ叔父を描こうと思ってた時期があったんですが…やめました。マッチョオネエとか俺の手に負える難易度じゃねえ>>272
医者(ビオランテがPTSD患う泥SSの最後で言及された心療内科医とは別人)で座右の銘が「患者のためなら悪魔になる」という素行不良のマッドスーパードクター、までは頭の中で構築出来てんですけどねー。
あー、そういえばプリシラもイノセンシオも船に来ること無いから面識出来ないかぁ。>巽
そらイノセンシオみたいな人が現実にいると言われても普通は早々脳が理解してくれないよな…。>>281
ああそういう感じの…なるほど「急に……形勢が逆転しましたね」
「魔術戦において隙を見せない、相手の隙を突く、その両方は非常に重要な要素となる。敵の弱みにつけ込んでどれほど自身の得意を叩きつけられるか、という話だな。私の、ドラモンドの魔術ならば宝石を握り砕くというのはシングルアクションの動作とはいえ魔眼などに比べると一種の隙になりうる。そうならぬように研鑽はしているが」
「フロース先輩のあの手套の礼装は指を動かしたり、演算処理を魔術回路で行わなければならない必要性があるから……」
「そっか、シウン先輩はいらないんだ。だってあれは魔術ではなく身体の機能だから。別の意志はあるかもしれないけど身体の一部だから。………怖くないんだ、私は怖いのに」
「?何か言ったかいヘルメくん?」
「い、いや?何も言ってないよデセフィオくん」
シウンは何一つ動く必要がない。ただ魔術回路を起動してオドを生み出すだけで良い。それらを糧とした憑き物たちがシウンの思考に沿って自由に動いてくれるからだ。動きはアドリブでありながらもシウンの望むこと以外をすることは決してない。思考する人格はそれぞれの憑き物ごとに存在しながらそれらが宿主であるシウンに牙を剥くことはない。周りの全てを不幸にしながらもシウンだけは傷つけない。
「あまり近づかないように。おれはそういう魔術を修めてるからわかるけど、アレはシウンさん以外を全て例外なく不幸に遭わせる厄ネタだよ」
「テレータ先生なら大丈夫なんじゃ?確か、そういう魔術でしたよね?」
「“ここ”で取り込んだ亡霊も多いみたいだから彼らに肉体がなかったらよかったんだけどねぇ。……アレ、もう霊体じゃないんだよ。肉体を持った一種の生命体なんだよね。だからほら、見て」元素変換の魔術が込められた弾丸の雨あられ。魔術が乗りやすいように一つ一つを丁寧に手作りされたその弾丸たちは、パンデモニウムによって四大属性がそれぞれ練り込まれ、占星術などで最適なルートを導き出している。それはデータに基づくものではなく、一種の神秘として定められた“何故か当たりやすい”という幸運。しかしそれすらも全て憑き物たちが砕いていく。黒い巨体が、白い細身が、銃弾を轢き潰す。破壊されることで炸裂する魔術式も全てなかったものとして粉砕する。単純な神秘の古さと総量の問題だ。魔術とは、携帯兵器とは、古き強者と争う面においては脆い。
「そうか。肉体を持つ、一つの生命体になる、というのは物質としての個を持つことによるデメリットもあるけれど……人外の生き物になることで得るメリットもあるわけだ。神秘の古さによる魔術の破却、物理的性能の強さによる現代兵器の粉砕だね」
「どういうことなのライカ先輩」
「いいかいルナ。たとえば、目の前に西暦前後から存在し続ける幻想種がいる。シウン先生にあやかって鬼種と仮定するか。それを倒さないと君は死ぬ。君はどうする?」
「……最大限の火力が出せて、なおかつなるべく瞬間契約の魔術を扱う?神秘の古さの問題で多分通用しないけど」
「そうだ。それが一番“芽”がある。僕たち魔術師は現代兵器を用いらずとも当人の才能次第では単身で現代兵器を超える火力を出せるから。しかし君の言った通り二千年級の神秘なんて化け物にそう簡単に通用しない。……横にモートン先生がいたとしよう。先生は全力を出せる。さて、どうする?」
「先生に全力で殴ってもらう。物理攻撃にかけるしかない」
「だそうだ。先生、どうなりますか?」
「おそらく効かんな。高位の幻想種ともなれば生物としての単純な質も上がる。それは神秘という話ではなく、肉体性能の話だ。並の弾丸など簡単に潰されるだろう。肉体があるからこそ、物理的にも干渉できる。魔術的な防護ではない、物理的な防護も期待できる。アレはもはや霊体ではない。ただの人間の肉体の延長線でもない。一種の幻想種のそれだな」クラッフが取った物理、魔術、その双方向からのアプローチを纏めて叩き潰せてしまうのだ。そして魔術師の特徴であるアクションも全て潰せるほどに発生猶予がないこともあり、常に攻撃に晒され続ける。状況は逆転、クラッフの行動を先読みで全て潰しそのまま押し潰そうとする追い込みが始まった。シウン本人も呪体を起動させ続けることで絶えず魔術の攻撃を行なっている。
「どうしてクラッフは回避ばかりし続けるのかしら。あの子なら受け止める方法もいくらか考えそうなものだけど」
「一つは体格による物量差かな。押し切られそうだ」
「もう一つはあのもや……失礼、俺にはもやとしか見えないのでね。あのもやが帯びている性質だろう。物理、魔術、呪術、超能力、それと異能?最後の二つは勘でしかないが、最初の三つは確かに内包している。とにかく沢山の要素があってどれかの対策をしてもどれかが出来ない可能性が高い。一度受けるという事実だけで相当なリスクになるんだろう」
今までのシウンとクラッフの殺し合いでは、いかにシウンの詠唱の隙を突いてクラッフが銃弾を叩き込めるかが鍵であった。しかし成長を重ねたシウンには詠唱はなく、シングルアクションすら必要としない。故にクラッフが付け込む隙はなく、勝てない。今のままでは、勝ち目がない。魔術回路に限界が来て負ける方が先だろう。もし勝ち目があるとするなら……
「使ってない魔術系統はあと二つ」
「変化、西洋錬金術、黒魔術、ルーン、降霊術、アトラスの錬金術、元素変換、占星術……いずれも決定打にはなり得ない。でもあと二つはわからない。……シウン先生も、それはわかっているだろうね。その使用を許さないだろう」
だから、両者ともにここで勝負に出る。天井から頭上まで全てを埋め尽くす夥しいほどの蟲と、地面を這い、既にクラッフの脚元まで忍び寄る大蛇。反応はさせない。対応もさせない。質量の差で跡形もなく叩き潰してお終いだ。「コード1205。刑吏さん、遠距離および中距離使用をオートに」
『イェス。マスター』
「宝石魔術……!」
クラッフが砕くのはダイヤモンド。単純な魔力増強、次に繰り出す魔術の概念強化、そして身体能力の上昇。簡素な使い方だがそれで良い。クラッフの布石は、次にある。それで全てを決めるつもりだからだ。
「コード6785」
「すごい……全部吹き飛んで……でもあれ、どこかで……代行者の人が……」
「洗礼詠唱!?いや、でも、魔術基盤としては成立している一種の魔術だけど。でもおれだって時計塔で洗礼詠唱を扱う噂なんて聞いたことない。どこからコネを手に入れたんだ?」
「庶民が……巨人の穴蔵といい、魔術師としては異端極まるぞ……」
肉あるものに洗礼詠唱の効果は薄い。なので接触され呪いを流し込まれるその瞬間に洗礼詠唱を叩き込む。肉体を持つ怪物への攻撃ではなく、呪いを振り撒く邪霊として定めた強力な浄化の儀式。大蛇も蟲群も吹き飛んだその瞬間に走り出す。これらはシウンの肉体であり、破壊されたことは少なからずダメージが入る。その隙があれば倒せると踏んだのだ。手元の操作で出現させたのは錬金術による鉄の刃。即興なのもあり耐久力はないが鋭さに特化させていて、一撃で急所に差し込んで仕留められるような構造にしている。「コード3401!」
「滑らかで美しい動きだ。シウン嬢は詰みかな」
「いや。違うと思います。あの強化と、シウン先生の体の使い方は……あっ」
「最初に言ったわよ、クラッフ。護身術やってるって」
硬いものに背中を叩きつけられる衝撃。息ができなくなり肺が詰まる感覚。クラッフは床に転んでいる。見れば滑らかで流麗な動きのまま、シウンがクラッフの腕を掴み投げていた。見事な鮮やかさ。アレは紛れもなく実戦で用いた証拠だろう。クラッフが知らなかっただけで、確かに実戦でもシウンは護身術を鍛え上げていたのだ。憑き物ばかりに頼る呪いの火薬庫ではない。
「っ、は……仕方ない。相打ちといこう」
「そうね。それで良いわ」
最初に三界監獄を用いたときのように、いつのまにかクラッフの手にはマスケット銃が握られている。その銃口は確かにシウンの心臓を捉えたままだ。自律射撃兵器として組み合わせたのはあくまで中距離と遠距離用。近距離の散弾銃は今この瞬間を凌ぐために伏せ続けていた。もちろんシウンもただ撃たれるのではなく、背後から大きな黒狗の顎を出現させていて相打ちに持ち込む姿勢である。自分の心臓は撃ち抜かれるが、クラッフの頭は噛みちぎれる。
「そこまで!白熱しすぎだ、頭を冷やせ庶民ども!」
「ストップストップ。おれの監視下で殺人騒ぎは洒落になんないよ〜〜」講師二人の静止によって、彼らの実戦的な護身術の講義は終了した。最後の最後まで力を出したことで完全燃焼したようで、開戦前のピリピリとした空気は消し飛んでいる。シウンもクラッフも、柔らかな笑顔でそれぞれ水分補給しているようだ。
「じゃ、対戦した二人にそれぞれ感想やアドバイスを言ってもらおうか。まずはクラッフくん」
「あー……これは戦闘訓練であったのと、あと自分は私情で思わずキレちゃったので最後に相打ちに持って行こうとしましたが、本来はあそこまでする必要はありません。魔術師は戦う生き物ではなく、学ぶ生き物です。本当の殺し合いで魔術師として取る最善の選択は、あそこの洗礼詠唱で全て吹き飛ばした後、しめやかに逃走することです。まあ皆さんは殺し合いに意欲を示す人たちではないですからそこは安心していますが……」
「私としては異端の魔術を用いたことに追求する余地があると思っているが……まあ良い。続いてシウン・ヴィルクレツィア」
「私とクラッフは何度も殺し合った仲だし、そもそも私たちは殺し合いに慣れています。ですからこれはあくまで参考程度に。そも戦闘に向かない魔術系統を修める方々もいらっしゃるでしょうし、そこは臨機応変に。ああでも、私が見せたように護身術となる武術は今どきの魔術師なら一つや二つ覚えておいた方がいいのは事実ですね。……では、解散」>>245
ルナちゃん。道中色々(転んだ()、盗聴器発覚、アホ認定)あったけど博物館に着いてからは楽しそうでなにより。この後がちょっと怖い気もするけどまあ大丈夫でしょう。
>>257
こんなに平和な間桐家が見れるなんて…。やっぱり延命方法は大事。
>>266
合間での見学してる子達の考察や解説がやっぱりこういう魔術師同士の模擬戦の醍醐味だなぁって。
あとライカがビビってるけど怖くないって言っているのはあくまで魔術の産物だって言い聞かせてるからですね。魔術による降霊術とかだと分かっていれば耐えられる。
>>270
二人ともカワイイカワイイネ。あとやっぱり普段は人形を大量に使役する側なジャスミンが使役される側のキョンシーなの面白いなって。
>>290
何でも使うバチバチの戦いだけど超えちゃいけないラインの手前でちゃんと止まるの偉いなぁ。そこから自然に仲直りできるのも良い。理仁のルートがどうなろうが理仁とルピアが一度親交を持ったら理仁のこと経由でメレクくんとは仲良くなりそう
ライカの出てくるss何か書こうと思ってるのですがギャグ強めなのとシリアス強めなのだったらどっちの方が需要あるのかしら?
まだギリギリ夏だから肝試し的な話を書こうとしてるんですが名無しの教室で肝試ししようって言い出しそうな人って誰がいるんでしょう…。
>>294
戦火でポックリ逝ってるあたり魔術師といえど近代兵器にかかれば死ぬということで。そして奇しくも肉体を失ったことで魂が腐ることもないと。
>>295
その辺りのオカルトが怖くなった経緯もそのうちお出しできればいいなぁと思っております。
やぁん物騒。それでこそ魔術師。
>>297
それでもルナちゃんは神秘に囲まれてワクワクが止まらねぇしながら突き進むんですよね。
一つだけ言えるのはメレク君が追い付いてきた時が怖いってことです。テレータさんとシウンとで協力して名無しの教室勢だけでもできそうですけどね
>>307
ありがとうございます
逆に自分は格闘戦とかが上手く書けないので参考にしてます……>>310
なんておそろしいことを…そんなかわいい顔しても許されるものではないぞ
もっとギュッとしてやってくだせぇムイムイさん!>>310
カレーに挑む(未遂)とは勇気なるというか蛮勇なる行為……!ハートさんの喋り方わかんぬぇ…いったいなにが正解なんだぁ…
>>322
了解です~、ざっといくつかラフ描いてきます
二個目は一先ず他の方のリクエスト次第ということで、お願いします>>324
了解しました、いくつかラフ描いてきます~>>326
了解です、ちょいとラフ描いてお出ししますね~>>329
OK>>332
フリー設定
【奉能生體(ほうのうたい)】
日本では、奉じる神々の肉体の一部である神體を魔術の基点としてきた。
だが、神秘の残留が紀元後も残った極東であっても、時代と共に摩耗し、衰退することは避けられなかった。
いまだ現存する八つの神體を保有する組織は、各々の保存方法を確立したが
だが、保存に失敗し、それでも別の形で神と繋がることを諦めなかった組織も幾つか存在していた。
神體を失えど、所有する土地や、神をより下す樹木や岩(神籬や磐座)そのものは手放さずに済んだ組織は
「神へ奉納する物品を、支配下の土地の霊脈に繋ぎ、それを信仰の対象とし続ければ、理論上はか細くとも神から力を引き出し続けられる」
と考えた
そして、所有していた奉納品の中でも、伝統、宿した神秘、あるいは由緒
それぞれの組織が選定した逸品を、領地の擁する霊脈(多くは神籬や磐座付近の地点)に接続し
「奉能生體」と呼び習わして、神體の代用品としたのである。
元々が博打に近い試みであり、現在、かつての神體に近い水準で 奉能生體の力を引き出すことに成功した組織は六つ程度。
多くは、接続したものの碌に魔術を引き出せないまま、奉納遺物をいたずらに無駄にしただけに終わった。
そして、成功した組織も、日本の魔術の御多分に漏れず、所有する土地を一歩離れれば、魔術が大きく劣化し
大陸から輸入した、奉能生體への集団接続の概念による大魔術と、内向きの守りを得意とする。
余談だが、能生(のう) とは事物の生じることを意味する仏教用語。
歴史的にも魔術的にも、仏教の取り入れに抵抗感の薄い日本の風土だからこその言葉遊び。>>333
・朱威具足(しゅかいぐそく)
東北地方沿岸部に勢力を持つとある組織の魔術の基点となる 奉能生體。
その名とは裏腹に、山に生い茂る木々のような深緑色に染め上げられた鎧一式。
奉能生體の中でも、かつての神體同様に力を引き出せる稀な遺物。
極東の国土に遍く満ちる山々を統べる大神 オオヤマツミに繋がるモノ。
この組織は、かつては瀬戸内海付近に居を構えていた氏族を源流とする。
後世に村上水軍と呼ばれる集団と衝突し、各地を転々とした末に東北に落ち延びた。
オオヤマツミは山林の狩猟、鉱山業、農業といった日常生活を支える分野だけではなく
水運交通の守護から発展した、海上戦の守護神。ひいては、武士からの崇敬厚き軍神として戦そのものにまで
神徳を及ぼす、極東でも有数の強大な神格である。
武具を奉納品とすることは、軍神オオヤマツミへの信仰にままみられた事例である。
まだ神の息吹が満ちていた時代に、一族が行や技工の全ての力を結集して作り上げ、オオヤマツミへの奉納品とした具足一式は辛うじて村上水軍の戦利品となる運命を免れ、東北の地にまで何とか持ち去ることに成功した。
朱威具足の名は、オオヤマツミの別名の一つである、酒解神(さけどけのかみ)を しゅかい と読み換え、別の字をあてた言葉遊び。
オオヤマツミにまつわる神秘の摩耗を防ぐための工夫の一つである。
そして、かの大神は、酒解神の名の通りに造酒の権能も持つ為、具足の維持のために、組織の霊地の山を拓いて造った神専用の水田から造った米酒に布を浸し、鎧を磨くという手法をとっている。
奉能生體(ほうのうたい)を実際に設定としてどうつくるかという、私なりの例である>>340
ありがとうございます。
冒険で、何もない空間とかに神がいるという想定をして拝むのが日本の信仰という話をしていたので、神體持ちの八つの以外が全部日本固有の魔術使えなくなっているかというと、そうでもない気はしまして>>341
事件簿で、時計塔に極東からの留学生はたまに見かける程度にはいるという地の文はありましたね
螺旋館の版図ではないというのは大きいと思います
宇宙が違いますが、プロト世界の伊勢三一族は、伊勢の蛇という、多分天照あたりの朝廷絡みかなんかの神?の恩寵を失って零落して、西洋魔術に手を出したという感じでしたね調子のいい時はスラスラと書けるのに、調子の悪い時は一文にすら時間をかけるコレ。なんとかしたい……。
>>349
あー……じゃあ散歩しながら文章考えてみるとかどうでしょう?
私もけっこうやるんですけどなかなか閃き降りてきますよそーいや前に変身ベルト的な礼装作ったし、それでなんかやりたいなとか考えた結果
死の為の遊戯場。善を嘲笑う凶気の伏魔殿”サロン”!!その奥底に住まう破滅の凶獣『ハイエナ』!
一番楽園に近い病床。悪を踏み越え怨念渦巻く病床”ラストヘヴン”全ての命を救う至高の貴刃『』!
人生を満たす美しさ。衣食住と芸術、そして快楽!
万物満たす究極の娯楽を貴方に……。【カジノ】総支配人『』!
みたいな3怪人的なキャラ作ってバトルストーリー作りたいけどコレってもう型月じゃなくて特撮ヒーローでは?となったワタクシ。
『』が空白なのは渾名が思いつくなかったからだよ
至高の貴刃はメスガキ系マッドなお姉さん系ドクターかなとか思ってるよ>>370
サンキュー!!>>375
わっしょーい
いきますわっしょーい昔から、嫌われることはそれなりにあった。
一度死ぬ前の私は神童とか千年に一人の天才とか、まあ大げさなくらいに持ち上げられて期待されていた。子供ひとりには過剰と言ってもいい期待と重圧があって、同じくらい妬まれることも無い訳が、なくて。
表立ってなにかされることは少なくても、心のこもった視線を受けていれば誰だって気づく。
言葉の裏を考えてしまう。視線の意味を考えてしまう。
陰からじわじわと這いよってくるような悪意はいつだってそばにあるもので……むしろ魔術師には相応しいのかもしれないけど、私には不快なものだ。
一度殺されてから期待と嫉妬の視線は失望と嘲りに染められて。どっちにしたって不快なことには変わりない。
死ぬ前も死んだ後も私は誰かに嫌われていた。
うっすらと。じわじわと。血の繋がった人たちはみんなそろってまともに視線を向けず。けど陰から不快な感情ばかりを向けてきて。
そういう嫌われ方ばっかりしてきた。
そんな私が、今、改めて思うことがある。
「またなにかしでかしたのかルナ・アードゥル! 君の理性を置き去りにした思考回路はどうなっているのかね! ああ嘆かわしい! 君のような考えなしの行動に振り回される人間の不幸というものを少しは考えたまえよ!」
ここまでわかりやすく嫌われたことは、なかったなぁって。>>378
・ ・ ・
デセフィオ。
デセフィオ・カロレンツ・ウェルペン。
そのように名乗る男子生徒がここ名無しの教室の扉を叩いたのはつい先日のことだった。
私にとっては初めての後輩のようなもので───単純な順番だけならヨモちゃんも後輩という位置づけになるけれど、ヨモちゃんと私はほぼ同じタイミングで教室入りしたから先輩後輩という感覚はない。だからヨモちゃんの次に入ってきたあの子が、私にとってのはじめての後輩ってことになるんだけど。
この後輩がまあ、うるさかった。
教室に入ってきたかと思えば唐突に意味のわからない演説を始めて。撤廃とか改革とかそんな言葉を並び立てる姿は古い古い革命家みたいだった。けっこうな時間を大仰な身振り手振りと共に喋り倒したかと思えば私を指さしてまた何事かを喚き始めた。いったいなんなんだコイツと思ってしまうのも当然ではないだろうか。
その日は結局プッツン来たカヴン先輩が鮮烈なネズミダイブをかましたことで一応収束したが、デセフィオのうるささは初日以降も継続した。
今日もまた、名無しの教室にはじめての後輩の喚き声が木霊する。
「聞いたぞ降霊科での騒ぎを! なにを考えていれば貴族主義の彼らと事を構えるようになるのだね!」
「だーかーらあ、別に降霊科とケンカしたいとか派閥争いとかしたいわけじゃないんだって」
「したくなくても事実そうなっているだろうが! なにをしてきたか、根本的な問題点から聞かせてもらわねばならない」
「セダム……友達を助けただけだよ」
そう、もともとは友達に会いに行っただけの話だったのに。下卑た笑いを浮かべた集団に囲まれているセダムを見てそれどころではなくなった。
なんでも時計塔に疎まれているガブリエール家から来たセダムは降霊科での扱いがよくないらしい。死霊病棟なんて呼び名で疎まれているんだから当然と言えば当然だけど、そもそも時計塔がそういう面で差別的なのはもはや常識ではあるけど、それはそれとしてカチンときたのだ。>>379
カチンときたのでやってしまった。
その場に居合わせたアンゼリカと一緒に獅子奮迅の大立ち回り……とはいかない。そこはさすがに時計塔、さすがは降霊科。私ひとりがカチンときた程度じゃ勝てる相手じゃなかった。
百も二百も増えていく悪霊の群れに囲まれないようにセダムを連れて逃げ出すだけで精一杯だったんだから情けない。正直言うと悔しいしやり返したい気持ちもいっぱいなんだ。
それでもセダムに「ぼくの戦いだから」と言われてしまっては私も頭をっつ込みようがない。アンゼリカにも「後は上手くやっておくから」と遠ざけられてしまったのだから、あの一件はそれで終わりにしなくちゃいけないってのに。
なーんでほじくり返してくるかなこの子は。
「誰だねセダムというは」
「セダムはセダムだよ。知らない? セダム・ガブリエール」
「ガブリエール……まさか死霊病棟のガブリエール家か!?」
「そだよー、フランス行ったときに友達になったんだ」
「知らないわけがあるか! 死霊病棟! 亡霊と悪霊の病巣! あんなものが友達だと!? 君という人間は交友関係までもぉ……!」
またなんか喚いてぷるぷるし始めた。心なしか顔も赤くなっている。
私がなにかをするたびにこの調子だ。私が時計塔にいても冒険に行ってもずぅっとこれ。そんなに嫌ってるなら無視すればいいだろうになーんでわざわざ同じ教室にまで来るんだろう、意味わかんないよ。
教室のみんなに噛みついてるのかと思いきやクラッフ先輩は普通に先輩扱いしてるし、ヨモちゃんにも妙に紳士的だし、ああでもカヴン先輩とはずっとぎゃいぎゃい言い合ってたかな……。
はあ、もういいや。>>380
「むっ、急に立ち上がってどこへ行く気だね」
「どこでもいいじゃーん」
「いいわけあるか! またほうっておけば降霊科の件のように余所で問題を起こすのだろう!」
「私が問題を起こすのを前提にしないでほしい」
「やはり駄目だな。ほんの少しでも目を離せばまたふらふらと……監視が必要だ」
「おーい、聞こえてますかー?」
「そうだ監視……いい考えじゃないか。僕自身の眼でルナ・アードゥルの行動を見定める。決定的瞬間を捉えてしまえば言い逃れもできまい」
「……………(スタスタスタ)」
「よし、そうと決まれば……む? あれ? え? ど、どこへ消えたルナ・アードゥルーーー!」
背後からは私を探す大きな大きな声。次いでどたどたとうるさいばかりの足音が近づいてくる。あと数秒もすれば見つかってまたうるさい文句がつらつらと並べられるのだろう。
……歩かずに走って逃げればよかった。はあ、いつもより疲れちゃいそう。
・ ・ ・
「それで? ここへはなにしに来たんだ?」>>381
案の定見つかって一通り文句を浴びた後。珍しい組み合わせのふたりになって目的地にたどり着いた。
派閥としては一応私たちの所属する考古学科と同じ中立主義の学科。そして我らが君主であるロード・メルアステアが治めるもうひとつの学科でもある。
鉱石科。石とか宝石、あとたまに骨の神秘を扱う学科だ。
「この鉱石科にどんな用事が……いや、まさかっ」
「……」
「聡明な僕は一瞬で理解したぞ。あの男子のところに行くんだろう、メレク・アルマソフィアとかいう!」
「……そーだよ」
なんで話しかけてくるのさ。監視したいだけなら見てるだけでいいじゃんかよー。
「不思議だな」
「なにが」
「君と彼が時計塔の外ではなく内側で関わる理由はないと思っていたが」
「ちょっと宝石を借りてたの。音と光で石の響きを調べたかったから。……超短いレンタル期限付きで」
「だからわざわざ出向いたと。ちなみにレンタル期限を過ぎるとどうなるのだね?」
「……聞きたい?」
「やめておこう。うん、僕は僕の精神維持もパーフェクトだとも」>>382
「そんなこわい話でもないけど」
ただ超過した時間×10した私の時間をもらうってだけの条件だからね。一分一秒も無駄にしたくないからこうして返しに来たわけだけど。
さて。そうこうしているうちにメレクのいる教室についた。
「おっじゃましまーす」
「おっ、おい、少しは躊躇わないのか。同じロードが治めていると言ってもここは敵地同然なんだぞ」
「別にいいよ、時間もったいないし」
デセフィオの言葉もかまわずにずんずん教室を進んでいく。実を言えば初めて来るわけでもないし、お互いに顔を知っている相手は何人かいるので敵地という感覚はまったくない。
なにより、ここに初めて来たときはあそこの窓を突き破って入ってきたしね。……ああ、あの時抱えた借金のせいで未だにメレクに頭が上がらないんだよねぇ……。
「おい……おいっ、急に止まるな、黄昏るな、メレク・アルマソフィアならあそこにいるだろう」
私の背中を隠れながら押すようにしてデセフィオは声をあげる。この子は自分がなにをしに来たか、ちゃんと覚えているんだろうか。
呆れて黙っていると私の前からゆっくりと近づいてくる男の子がひとり。メレクだ。宝石みたいな紫の双眸は呆れフルMAXで私の背後、デセフィオに向けられている。
「なにを連れ歩いているんですか貴女は」>>383
「連れてるわけじゃないよ。勝手についてきたの」
「ほう? 女性をつけ回すのは褒められた行為ではありませんね。ミスター?」
「つ、つけ回すという言い方には大いに語弊があるというものだ。僕はこの、暴走列車の監視をしているのであってね、」
「…………」
メレクがアイコンタクトで私に「今度はなにをした?」と問いかけてくる。うっせー何もしてないやい。
何もしてないのにこうなってんだからもうどうしようもないの。……とアイコンタクトを返せばメレクは一応、納得してくれた。
「…………ま、いいでしょう。なにかできるとも思えませんし」
「おい待てっどういう意味だそれは」
「それでルナ? わざわざ出向いてきたのですからなにか用があるのでしょう?」
「うん、宝石返しにきた」
「おいこら僕を無視するなー!」
知らん。無視。構っているといつまでも話が進まない。
「はいこれ。トパーズありがとね」
「いえいえ。……期限内に返しに来るのは少々意外でしたが」>>384
「いやだって私の時間とるっていうんだから、そりゃ急いでやったよ。なんでそんな変な条件にするかなー」
「……はぁ。いえいいんです。そんなことだろうとも思っていたので」
「なんの話???」
「おおーい! こらー! 僕を無視するなと言っているんだー!!」
ああもう、うっさいなぁ。
「……なに」
「うっ!? つ、冷たい視線……!?」
「(ルナのこういう雰囲気は珍しいですね……)」
「い、いや僕は屈さないぞ! いいかルナ・アードゥル、さっきも言ったがここは敵地同然の場所であり───」
「あー! なんかいるー!!」
「聞けぇぇえええーーー!」
無視。二度目。
私は教室のすみに顔?頭?を向けてかちかちと音を鳴らす四足のナニカに近寄って行く。
全体の形状は獣のそれだ。でも全身を構成しているのは皮でも肉でもない。石だ。宝石も金属もあっちこっちに使われている。見れば四肢や爪の形状も四本全部が微妙に違うし、虎のような頭に一角獣じみた角もある。なんだこれ。>>385
「メレクー、これなにー?」
「確か……この教室の生徒が作っていた使い魔ですよ。石のキメラだとか言っていましたが」
「へー! 誰が作ったの? どこにいるの? 名前なんていうの?」
「そういうことはすべて製作者に聞いてください。ああでも名前だけはコロコッタと、呼んでいたような」
「コロコッタ……! 製作者さーん! どこにいらっしゃいますかー!?」
「今はいませんよ。動物科も掛け持ちしているようでそちらに行っていますから」
「えー! 会いたーい!」
「なあ…おかしくないか? 僕と冷たい石の怪物とで態度が違いすぎるだろう…」
無視。三度目。
私はといえばなんとかしてコロコッタくんの顔を見れないかとあちこち触っていた。
「ま、まてまて、危なくないのか。他人の使い魔をそんなぺたぺたと……」
「そういえばこの子なんで教室に放置されてんの?」
「さて……失敗作なのか未完成なのか……ああそうだ、視線を合わせるなと注意していたような」
「えっ」
「は?」
「あ」>>386
メレクの言葉をしっかりと理解するころにはすでにコロコッタくんの首をちょっとだけ回して視線を合わせてしまっていた。そりゃもうばっちりしっかりと。きれいにまっすぐ私とコロコッタくんの視線は宙でぶつかりあっている。
コロコッタくんの眼窩に埋め込まれた宝石が、きらりと光った。
あ。これダメなやつ。
『………………』
「───逃げるに限るっ!」
「あっ! こ、こら待ちたまえ!!」
すぐさま逃げ始めた私となぜか追いかけてくるデセフィオ。いや、なんで? なにしてんの?
教室を飛び出して廊下を駆ける。走ったらダメなんて注意も今は無視っ、知らないフリ。そんな場合じゃ、ないっ。
逃げ出した私を追うようにコロコッタくんが妙に噛み合っていない顎をがくんがくんと揺らしながら猛追してくる。壊れた人形を無理やり動かしてるみたいだ。絵面だけなら相当こわい。
やはり逃げる。逃げるしかない。
「おぅぅわああああ!」
「ひぇぇぇぁぁぁぁあああ!!」
「だからっ、なんでついてきてんの!!」
「うるさい! 僕の勝手ぁぁぁぎゃあぁあああ!!」>>387
私と、コロコッタくんに挟まれるようにしてデセフィオもまた走る。
コロコッタくんに追われているのは私だけみたいだし、一緒に逃げる必要なんかどこにないってのに。
「くっ、はっ、あぁ! なん、っで、魔術師が、こうも走らねばならんのだ!」
「いや止まればいいじゃん!」
「止まれるものか! 君っ、を! 監視するの、は、僕だ!」
「ああもうわかった! わかったから! 止まらないなら右か左に逸れて! そしたら私だけ追っかけるだろうから!」
至極当然、至極普通、至極妥当な提案。二人が追いかけられるより一人が追いかけられてるほうがよっぽど問題解決に近づく。
なのに。この、はじめての後輩ときたら。
「嫌だ!!」
「はあ!?」
「君のような人種はいつもそうだ! まっすぐで! 前ばかり見て! 止まることを知らなくて! 自分が世界の中心みたいなを顔をしてぇ!」
「なんの話だー!?」
「君の話だ! 僕が、気に食わない人間の話だ! 君がっ、そんなだから、僕は……!!」
「そんなだから、なに!!」
「君がそんな風に走るからっ、目が離せないんだと!! そういう、話だ!!」>>388
「は……ははっ! なにそれ! 気に食わないのに目が離せないんだ?」
「なにが、おかしい! オイ笑うなルナ・アードゥル!」
「いや、うん、いいや! 見向きもされずに嫌われるより全然いい! うん!」
「なに勝手に納得している! おい!!」
「よし! じゃあ、一緒に逃げよっか!」
「待て、待て待て、一旦話を聞け、聞いてくれ聞いてください腕をつかむな待て待て待てーーー!!!」
「行くよー! 月にえがいて、星をむすんで、見上げる夜空へ───」
「まてまてまってまtぎぃぃぃぃぃぇぇぇぇえええぇぇやぁあぁぁぁぁああああああ!!」
そうして。
はじめての後輩の腕を引っぱって私は空へ飛び出した。
うるさいし、うっとうしいし、たまには普段から黙っていてほしい困った後輩だけど。けど、後輩ってものはこのぐらい生意気でも、いいのかもね。
……。
…。
「それで? 散々騒ぎ立てて鉱石科の面々に迷惑をかけたことに対してなにか言うことは?」
「「ごめんなさい……」」
後日。静かに怒るメレクを前に頭を上げられなくなった先輩と後輩の姿がありましたとさ。……うん、ちょっとでもきれいな話で、終わりたかったよね。>>402
了解しました>>415
現状だと開示済なのは大鳳兄妹ぐらいですかね?
自分のキャラはリリィ適性のあるキャラの方が多いなぁ、刹那に遥、ヴィクトル辺りは成長後だし、他の子はそんな変化なさそう。ギリギリで誉さんか>>415
こっちはグリフィンにリディア、バイディワとミラグロス(キャラシ未作製)ぐらいですね。上でああは言ったけど自キャラだけだと思ったよりわかりやすく変化してくれるキャラが少ないな…
たぶん一番面白くなりそうなのはメルチミス
>>419
そうですねすごくレア…というか初めてと言っていいレベル。時計塔にいる間は仲のいい子ばかり周りにいるし、冒険でもまだ明確な悪意を向けてくるキャラ書いてないですからね
でもというか、だからというか、正直言ってツンツンしてるルナを書くのは新鮮で超楽しかったです
ルナの塩対応を引き出せるデセフィオくんほんと良き…お久しぶりです…
春までの勢いはどうしたレベルのROM専門になりかけてる自分をブン殴りたい所ですが中編SSの書きたい所とか浮かんだ所を先に書くスタイルしたらまあまあ良さげなので近いうちに何か出せるかもです…
あと何かうちのキャラで質問あったら受け付けます…なんでもOKっす…冒険旅行記の続きお出ししてよろしいですかー?
いっきまーす
「いやー……たまんないや、三日と言わず三か月くらいバイトしてよっかなぁ」
純度100%の本心が口からそのままぽつりとこぼれた。
もちろんそんなに長くいられるわけがない。カヴン先輩に頼めば博物館側はなんとかしてくれるかもしれないけど、時計塔のほうはそうも行かない。三か月も空けたら絶対に単位落とす。モートン先生の拳骨だって落ちてくる。
普段行っている冒険のおかげでたたでさえギリギリなんだ。これ以上はどうやっても無理。なにより、今回私が手に入れた"アレ"は期限付きのものだ。博物館に留まっていてはせっかくの機会を逃してしまう。
「やっぱ三日が限界かぁ」
結論は最初に決めたとおりに。
予定通りの短期バイトをきっちり終わらせて私はあそこに行かねばならない。ふたりで。
で、だ。
「ここどこだろ」
迷子になりました。
まあ、自業自得だけどね。
好奇心の刺激されるまま右へ左へ前へ奥へずんずかずんずん前進前進。途中でなんだか楽しげなトロッコにも乗ったりしているうちに少し下に降りてきてしまったような気がする。>>425
少なくとも、空気と魔力の密度がさっきまでいた場所と一段階、明確に違う。
肌にピリピリと刺激が走るような空気を伴った視線が刺さる。何かがいる。何でもいる。ここはそういう場所だ。
……ああ、たまんないなぁ。
「……半年ぐらいいよっかなぁ……」
期間がどんどん延びていく。まずいまずい。
このままぐるぐると同じこと考えていると本当に博物館に住むことになりかねない。さっさと動くとしよう。
とはいえ自分がどこから来たのかもわからない。魔力で探ろうにもこの場所は漏れ出た多様な魔力がうずまいてひどく混沌としてる。意識を集中しすぎると"もっていかれる"かもしれない。瞑想による自己制御は魔術師の基礎ではあるけど、ここまで埒外の環境だとはたしてどこまで通用してくれるやら。
「となると……動かないのが正解?」
それじゃ完全に迷子だ。いや迷子だけど。でも認めがたい。
どうしよう、迷子センターの呼び出しなんて受けたらさすがに耐えられないかも、いやここ迷子センターとかあるの? あるかも。
発信機とか付いてたらすぐ見つけてもらえるのになぁ……。こんな無意味な思考に引っぱられてる時点でもうダメかもしんない。ああ、メレクがポンチョに盗聴器っぽいの付けてたのはこういうときのためだったのかもなぁ……。
「おい」
「?」>>426
突然、声をかけられた。しかし前にも後ろにも人の姿はない。
ってことは……。
「こっちか」
「おう、こっちだこっち」
声のした方向。ずらりと並ぶ展示品のひとつに視線を向ける。他の展示品と比べても一際大きく、そして間隔の空けられた場所に声の主はいた。
黄土色の四肢、体躯。それでいて人類にはありえないだろう太さの全身。貼り付けたように変わらない表情のまま大きな大きなヒトガタは身体を揺らす。
その身体は、土くれで出来ていた。
俗に言う泥人形あるいはゴーレムと呼ばれるモノだろう。原初に神様が泥をこねて作った人間というのが定説だけど、果たしてこれはどれほど原初に近づけたコピー品だろうか。
「もそっとこっちに近づいて来てくれやしねぇか、嬢ちゃん」
「危ないことしない?」
「しねぇよ。この通りできねぇしな」
その言葉はおそらく正しい。
土くれで構成された巨大な身体はXの形をした柱……棒?に磔にされていたのだ。とてもわかりやすく「私は動けません」と言わんばかりのポーズ。よく見れば四肢は縛られているわけではなく後ろの柱と一体化している。泥の特性を逆用された拘束って感じかな。
なるほど。あれなら誰かが分解してやらないと動くこともできない。>>427
万が一のことも考えてギリギリ腕を伸ばしても届きそうにない場所まで近づいて私は話を続ける。
「嬢ちゃん、名前は? なんていうんだ?」
「ルナだよ。ゴーレムさんは?」
「おれは『泥に花を』って呼ばれてる。よろしくなルナ」
「……それ名前なの?」
「変だろぉ? おれだって変だと思うさ、けど他にねぇからしょうがねぇ」
「ふぅん。術式……いや詠唱の一部から取ったのかな?」
「おー正解正解。このとおり模擬人格は貼り付けたくせに個体名がないんだからまー自己認識に難儀したぜ。で、やむなく『泥に花を』って呼ばれるようになった」
「へー……。………………。…………………………。」
「おい急に無言になるな、こえーから」
「あ、ごめん。いろいろ考えてた」
「いろいろって?」
「んー泥の材質……砂と水の比率がどのくらいとか、どんな混ぜ物があるのかとか……造り方も大事だよね、ゴーレムと言えばパッと思い浮かぶのはガビーロールだけどパッと思いついたものが絶対ってわけでもないから元ネタはどのへんの地域のどのあたりの年代のを使ってるのかなとか、どういう人がどんな魔術を使って造ったのかなとか、人格を止めないままわざわざ磔にして展示してる理由とか、」
「わかったもういいちょっと黙れ」
「私に話しかけてきた理由とか?」
「おっ」
表情は動かないまでも『泥に花を』さんの気配が少し上ずったものに変わる気配がした。……うーん人格の動き、流れがとってもナチュラルだなぁ……コレ造った人相当すごいぞ……。>>428
「聞いてくれるかルナよ。おれがお前に話しかけた理由」
「うん聞きたーい」
「そうかそうかお前は良いヤツだな。そんなお前を見込んで頼みがあるんだよ」
「頼み?」
「おう。ちょっちおれをこっから出してくんねぇかな?」
「……おおう」
まじですか。こんな堂々と逃げ出したいって言うんだ。そりゃ状況的にはほかに頼みなんてないだろうけどさー。
「あのね、泥に花をさん聞いて?」
「おうおう聞くぜ、なんでも聞いてやるぜお前の言うことなら」
「私さ、今日からここでバイトするんだ」
「え? 観光客じゃねぇのか?」
「こう見えて新人アルバイトでーす」
「あんな楽しそうにこの中層をうろうろしておいてか?」
「……まぁ……うん……」
だよね。これから働く場所を楽しく見て回って迷子になるアルバイトなんているわけないよね。そうだよ、そうなんだよ、くそぅ。>>429
「ま、バイトするってんならむしろちょうどいいだろ。自然におれに近づけて脱走の手引きができるぜ」
「おおう、私が絶対に協力する流れで話が進んでいる」
「心配すんなって。損はさせねーからよ」
「するするめっちゃ損する。バイト先の先輩と上司に絶対怒られる」
「でもお前、魔術師だろ?」
「そうだけど」
「なら絶対に損はさせない。おれを構成する"泥"は神代の海を再現して造られた特別製だ。最高の研究対象だぜ?」
「ほえー!」
「ほら食いついた。な? おれがほしいだろ?」
「ほしい!」
「…………超素直じゃん。お前いい子かよ……」
「でもさ、もったいなくない?」
「なにがだよ?」
「せっかくこの博物館と敵対するのに、泥に花をさんだけしか奪わないなんてもったいないよ」
「……ああ? 何言ってんだお前? おれを連れだすだけでも超難題だぞ、他のやつに構う余裕なんざ……」
「えー! やるなら全部ほしいよー!」
「いや、いやいや、バカか? お前知らねぇから言えるんだろ。ここにある神秘の群れと英雄の強さってやつを」
「でも泥に花をさんはそれ知ってて私に持ち掛けたんでしょ? ならやろうよ」>>431
「あ、私も騒いじゃってごめんなさい。この博物館の人ですか?」
「そうだよ、マイア・シューグリット・ヒュンケルっていうんだ。一応ここの職員ですよールナ・アードゥルさん?」
「うぇ、バレてる」
「はい。バレてまーす」
声をかけてきたのは黒い髪を揺らす男の人。色と汚れをあちこちに付けた作業着に手袋をつけている。裏方を仕事をしている人、って感じだ。
作業の合間のちょっとした息抜きに散歩していましたと主張するような出で立ち。でも、纏う雰囲気は魔術師のそれだ。
「そしてキミの……キミたちの企みもバレている。というよりは聞こえてきてしまったんだけどねぇ」
「……つ、通報とかされちゃいます? ティム・ドルチェさんとかに」
「んー? あーそうかそうか、新人のキミには彼女が上司にあたるのか。だったら……そうだなぁ、聞かないフリをしてあげてもいい」
「いいんですかっ」
「いいのですよー。───その代わりに、さっきの発言の真意を聞かせてください」
「……って言われても、真意とかそんな大層なものなんて」
「なにも難しく考えなくていい。ただどこまで本気だったのかが知りたいんです。さっきの……そこのゴーレムさんをここから連れ出すという荒唐無稽な無理難題をどこまで本気で実行する気だったのかとね」
「んー……」
どこまで? と言われても、そんなの全部に決まってる。>>432
そりゃまだまだ底の見えないこの博物館と真っ向からやりあって勝てるとは思わないし、なんなら思いつく限りの小細工を持ち出しても勝てる気はしないけど、それはそれだ。
だって、
「マイアさんも魔術師ですよね?」
「? そうだけれど?」
「じゃあどうしてそんなことを聞くんですか?」
「どういう意味かな?」
「だって、無理難題に挑むなんて魔術師の常じゃないですか。みんなやってることですよ」
「…………。そうだね、それは、その通りだ」
うんうんうん、となんだか納得している風に何度もうなずいているマイア・シューグリット・ヒュンケルさん。これは……セーフなんだよね? 今から「それはそれとして」って捕まえられたりしないよね?
「うん。いいよ」
セーフらしい。よかった、助かった。
ほっと息を吐く。これで一安心だ。半年でも三か月でも三日でもなく一日未満しか博物館を楽しめなくなるところだった。
そしてこれで状況はふりだし。迷子なのはなにも変わらない。
……あ、いや? そうかふりだしじゃない。道を聞ける人が目の前にいる!>>433
「あのー……」
「なーに?」
「お恥ずかしながら、道案内とか……お願いしてもよろしいでしょうか」
「んー……? あー……そっか、だからひとりでいたのか。そっかそっかぁ」
すべてを言わずとも察してくれたらしい。良い人だ、この年で「迷子なんです」って言うのはさすがに恥ずかしい。
「じゃあこっちにおいで」
「はい!」
ちょいちょい、と手招きされる。そのまま近づいていくと首にきゅっと布を巻かれた。それなりにきつく巻かれたそれは黄色いスカーフ。視線だけ下に向けると控えめな刺繍がちらりと見えた。
「これは?」
「必要なものだよ。これがないと息ができない場所もある」
「こわっ」
「大丈夫。それにはちょっとした魔術を組み込んでいるから、それがあればどこでだって息ができるよ」
「へー! じゃあちょっと……」
「巻き方含めて発動する術式だから勝手にゆるめないようにね?」>>434
「あ、はい」
釘を刺された。窒息死は困るから大人しく従おう。
「じゃあ……そうだな、あっちの遠くに見える柱を目印に向かってまっすぐ進むとこの中層に来たときに使ったものと同じようなトロッコがある。それに乗るとキミの行きたい場所に行けるよ」
「はい! ありがとうございます!」
「ほかの展示品に目移りしないようにね。ちゃんとまっすぐ行くんだよー?」
「……ハイ」
またも刺された。私ってわかりやすいんだなあ……。
ともかく、だ。道はわかった。他の展示品を視界に入れないようにすればきっと元の場所に戻れるはず。……それが一番難しいけど。ともかく行こう。
こっちの道をまっすぐ……こっちの道をまっす……ふ……あ、あのぬいぐるみなんだろ、いやいや見るな見るな。あ、変な骨ある! あれは…………
………………。
………。
・ ・ ・>>435
「……おい」
「どうかしたのかな? ゴーレムくん」
「あっちにあるのって下層行きのトロッコだけじゃねぇか?」
「そうだよ? あの様子なら彼女は下層にも行きたがるんじゃないの~?」
「……迷子にも見えたンだがなぁ……」
「それにしても……無理難題に挑むのは魔術師の常、か。そんな意識を現代にまで残している者はそう多くないだろうにねぇ」
男は目を細めて笑う。心底楽しそうに、嬉しそうに。
宝箱をひっくり返して思いがけないおもちゃを見つけた、そんな子供みたいな笑顔で。
「なかなか面白そうな子だなぁ。カヴンくんの後輩と聞いてどんなものかなと思っていたけれど……どうやら楽しい学生生活を送れているみたいだね」
「……あんなのと一緒の生活なんて怖気が走るぜ」
「ふふふ。さっきの話がうまくいけば、キミもその生活の仲間入りできたかもだよ?」
「冗談じゃねぇよ、なにやらされるかわかったもんじゃねぇ」
「冷たい泥人形だなぁ。キミが一度でも頷けばあの子は言葉通りの行動を起こしていただろうに」
「だから、だろが。あの女マジでひとりだけでも戦争起こす気だったぞ」
「とても戦争とは呼べない有様になっていただろうけどね。……あの子もそれを理解していたフシはある」
「じゃあアレはなんなんだよ。自分ならできるはずだっつう若者特有の過信ってか?」>>436
「それはきっと違う。おそらく吐いた言葉以上の意味は無い。『やると決めたなら徹底的に』という決意表明……もしくは自身のスタンスの発露か」
「…………じゃあ、なんだ。あいつはどこでもあの調子ってか。この博物館じゃなくても同じことをやりかねないってか?」
「わかりやすく行動力とモチベーションの高さが一番の武器ってタイプだったからねぇ、あの子。きっとやってくれただろうなぁ」
「えらく持ち上げるじゃねぇかハート総括サマよ。あいつが本気でこことやりあってもいいのかよ」
「……彼女ひとりが起こす争いならば、なにをしようともここでは日常の範疇です。それに上手く転べば楽しい職員がひとり増えるかもしれないし、美しい展示品がひとつ増えるかもしれない。損になることはありません」
「………………。だからヤなんだよ、この博物館はよぉ」
「ははは。ま、君が拒否した以上その未来は訪れない。……さーてと、あの子が下層についてしまう前に先回り先回り~っと」考えたネタをマイページに登録するために、ちょっと文を投下します
許してヒヤシンス異状を眠らせたまま終わるのが正常な人間の生であるならば、私は既に異常だ。
「はぁい、記憶の連続性はどうかな~?」
「ああ……マキナ、君はマキナ・シスタール……」
「うむ。無事に“前世”のことは覚えているみたいで結構。というより“認識覚(チャンネル)”を開くための臨死体験みたいなものだけどね。
それで? 成果は?」
「問題なしだ。この眼はしっかりと君の業を、君の因果を見据えている」
「やだ気持ち悪い言い方」
私の眼前に立ち、問診さながらに事実確認を行うのはマキナ・シスタールという降霊科の魔術師だった。この霊墓アルビオン、砂漠の中のオアシスが如き採掘都市マギスフェアにあって異彩を放つ、あまりにも極彩色(ビビット)な格好を隠すことなく堂々と在る姿は眩しくもあるのだが。
彼女は私の協力者であった。
『転生』が絡む魔術はすべからく大魔術、儀礼呪法の域だ。
魔術礼装をもって超能力を制御しているとはいえ、それは既に魔術使いの領分を超えている。私の魔術理論を理解できる者でなおかつ実践できる魔術回路(さいのう)の持ち主を探す必要があった。その点で言えば、私の後援者かつ手足となる看護師を派遣してくれる医療魔術の大家「 」家の面々は役不足である。>>444
――その魔術理論の特許を私の名義にするなら、実行者になってもいいけど?
なんという悪魔の、甘美な誘惑なことか。
魔術の基本は等価交換というが、それは余りにも私にとって利があった。
脊髄反射のように二つ返事でその提案を受け入れたのであった。
「ミスター、ミスター・オキナにも感謝を」
「いや、俺にはいいさ。どうせただの儀式の助手だからな。法外なあんたの依頼料と特許料で一年は遊んで暮らせるってだけで儲けもんだ」
「儀式に使ったアルビオン産の呪体、七十層は潜るんだっけ、は叔父さんじゃなきゃ採掘できなかったから助かる。これで利益総取りは美味しいね。
叔父さんには、びた一文として入らないから」
「おおん!?!?」
「嘘嘘。嘘だってやめてその変顔」>>445
「アルビオンからの退出分と焼肉代は貰うとして。
それでその業の目、観の目ってやつはどういう理屈のモノなんだ」
「そうですね……シスタールのあなた方には当然かもしれませんが、呪いというのは効果を果たすまで消えない。呪いは解けない。人を呪わば穴二つ、呪いから解放されるには、その呪いを誰かに回すしかない。これを『回呪』といいます。または、術者を倒すか、呪いを解く条件を見つける必要があります。これが一般的な解き方。
本当の意味での解呪、人間の業の消去は悪魔払いと同レベルの稀少性である。基本的にカルマは減るようなことがあっても、マイナスをプラスが上回るというだけで無かったことにはならない……というのはご存知ですよね」
「ああ。俺たちは呪術師だからな。呪いに関しては幾分か詳しいつもりだ」
「私は長い間、医者として医療に携わる過程でこの“業(カルマ)”についての見識を得ました。というかカルマ・ヨーガの完成なのですが。私自身の業を観ることはできる。しかし、他の方の業を見るまではいかない。おそらくそのチャンネルが無い」
「無いなら強制的に作ろうっていう話か。それは脳に、魂にメスを入れる滅茶苦茶だ」
「なので逆にマキナさんに見つかって良かったという話です。
彼女は意味合いこそズレますが過去を、因果を観る眼を持っている。魔術理論に関してもアドバイスをいただきました」>>446
ジョーンさんの「荒屋敷おきな」お借りました。不思議な感覚…
以上、ここまで書いて自己崩壊しました。頭ぐっちゃぐちゃ
このお医者様は『ヤントラ・サルヴァスパ』や『アーユル・ヴェーダ』から万物(無機物・有機物)の霊子構造を理解したで~、という人。たぶん。ヴィマーナ・ゴーレム・サイボーグとかもやりたい。
「美少女看護師に囲まれたお医者様」を作ろうとして、(ここのえは医療は分からないから)『解呪』の話からインド哲学のカルマに飛んだわけなのさ。そこに転生とかが絡んでこういうのやりたいね、みたいな。
そういうキャラクターシートのプロットです誰もいなさそうなので、今の内にやっと書き上げたアクアステラの過去SS投下しますね
と言っても、おおよそwikiに登録した過去設定をSS風に書き直しただけの代物ですが
ちょっと、いやかなり長くなるので悪しからず>>448
――溶けていく。
身体が、四肢が、指先が。空気の如く揺蕩う流水に、混ざり合わさるように溶け墜ちる。
肉体の境界が失われれば、次は精神。明白だった筈の自己と外界の境目は、今や曖昧になりつつある。
……このまま溶けてしまえばどうなるのだろう?
そんな疑問ですら、泡沫のように淡く消える。恐ろしい事の筈なのに、『恐ろしい』と思う感情さえ最早覚束ない。
精神に続き、いよいよ魂らしきナニカに触れそうになった次の瞬間。
――何をやっているの! ステラ!!
強く、肩を掴まれる気配がした。
「……それで? わしの講義中に堂々と居眠りをした言い訳は以上かね?」
イギリス、時計塔。
魔術協会三大部門の一角にして総本部たる拠点。その一室で、アクアステラ・リキッドクラウンは厳しい状況に立たされていた。
具体的に言うと、召喚科学部長からのお説教である。
「す、すいませんベルフェバン学部長……」
「久しぶりの出席、それもこのわしの講義で居眠りとは。学部長の座に就任して五十年経つがお主が初めてじゃぞ」
「申し訳ございません……」
「謝らんでもよい。まあ、此度の一件でこの時計塔における貴様の立場はいっそう危ういものになったわけじゃが。わしにはそこまで関係のない事だからの」>>449
「それとも何か? わしの講義はそこまで退屈で、聴きごたえがなかったか? 流石リキッドクラウン家期待の星と謳われ入学してきただけの事はある」
「……」
平身低頭。完全に返す言葉もなく、沈黙するアクアステラ。
実際、アクアステラのやらかしは相当に大きなものであった。
ついてこれる者だけがついてくればよし、そうでない者など知ったことではない――時計塔における授業方針の常だが、だからといって不真面目や不良行為を看過するというわけでもない。
度が過ぎればこうして口頭での注意・説教・警告、あるいはそれこそ悪名高き法政科による世にも恐ろしい懲罰が待っている……とは、時計塔におけるまことしやかな『噂』の一つだ。
そういう意味では、今回のアクアステラはまだ恵まれた方だったとも言える。何しろ、説教者たる講師が時計塔の中でも(比較的)温厚よりなロッコ・ベルフェバン翁だったのだから。
そのロッコ翁はといえば、ひたすら頭を下げ続けるアクアステラに侮蔑とも憐憫とも言い難い顔を向けていた。
「……本当に、どうしてここまで落ちぶれたものかの」
アクアステラ・リキッドクラウンは決して無能でも非才でもない。
家の歴史こそせいぜい六、七百年程度と『浅い』方ではあるものの、それを鑑みれば前途有望と言って差し支えない程には才能に恵まれた人物。
かくいうロッコ翁も小耳――の端も端っこに挟む程度には気に留めていたのだが……現実はひたすら無惨だった。>>450
入学前の触れ込みはどこへやら。講義にもろくに出席せず、街を出歩いては気ままに遊び惚ける日々。コネクション構築でも行っているのかと思いきや、その実本当に遊び歩いていただけという有り様。
当然周囲からの期待も注目も、その度合いに反比例するかの如く急落し――今では典型的な落ちこぼれとみなす者の方が多かった。
「『期待倒れのリキッドクラウン』か。今のお主に、これ以上なくふさわしい言葉じゃな」
「……はい」
「じゃが、そんな輩でも時計塔の一員ともあれば放置しておくわけにはいかん。お主に才能がなければとっとと放り出してしまいにするところじゃが……つくづく、お主は運が良い」
俯いたままのアクアステラに、ロッコ翁は一枚の紙を渡す。
そこには、とある講師に向けて向けられた紹介文が書かれていた。
「その紹介状を持って、今から言う教室に行け。あの物好きな講師であれば、お主のような落ちこぼれでもどうにか使い道を見いだせるやもしれん。それでも駄目であったならば……此処から去るなり実家に帰るなり、好きにせよ」
とぼとぼ、とぼとぼと。アクアステラは廊下を往く。
流石にどこぞの問題児――いや彼も問題児ではあるのだが――よろしく口に出す事はなかったが、その姿はまさしく『悄然』という言葉が似合うものだった。>>451
――おい見ろよ。恥さらしがうろついてるぜ。
――まだ時計塔に残っていたのか。よくもまあ図太い事だ。
――とっとと出ていけばいいのに。羞恥心とかないのかしら?
――あんなモノが、数百年の積み重ねの果てだと思うと先祖に同情するよ。
――ああはなりたくないものだ。まったく、親の顔が見てみたい……
通りすがりに聞こえてくる嘲笑と侮辱も、今の彼には耳に入らない。
慣れてしまって久しい、という事もあるが。それ以上に、彼に言わせれば「よく舌が回るなぁ。人生、暇なの?」というのもあった。
(数百年の積み重ね、ね。その結果、たどり着いたのが『ただの徒労』だった側の身にもなってほしいよ)
最も、思いこそすれ口には出さない。
今の自分が何を言った所で彼ら彼女らの耳には響かないだろうし、せいぜい怒りを買うのが関の山。
そんな事より、実家から散々届いて仕方のない怒りの手紙をどう片付けようか……というのが、目下彼最大の悩みだった。
――と。そんな益体もない事を考えている間に、目的の教室が見えてきた。
教室名はエルメロイ。
かつて講師の急死により存亡の危機に立たされ、そして今や新世代の象徴とも言える異端の教室である。>>452
エルメロイ教室に移籍してから一か月ほど経ったある日。
アクアステラはエルメロイⅡ世直々の呼び出しを受けた。
「先生、アクアステラです」
「ああ。入ってくれ」
「失礼します」
ノック後、返答を受けドアを開ける。
移籍初日以来、ひと月ぶりとなる教授の執務室はまるで代わり映えがなかった。
重厚な書籍が山ほど並んだ本棚。傍目に見ても分かる立派な調度品の数々。
典型的なロードの執務室といった具合で、ロッコ翁の執務室のように怪しげな呪体の類もない。ここが時計塔でなければ、大学の執務室と言われても信じただろう。
「お疲れ様です先生。それで、ご用件は……」
「まあ座りたまえ。今、飲み物を入れさせよう。コーヒーと紅茶、どちらがいいかね?」
「あ、はい。紅茶でお願いします」
Ⅱ世の指示を受け、傍らで待機していた内弟子が二人分の飲み物を用意する。
湯気を立ち昇らせるそれらを挟み、二人の間に微妙な空気が流れる。
「早いものだ、君がうちに来てもう一か月とは。教室の空気には慣れたかね?」
「ええまあ。先輩方も皆優しくしてくれてますし、現状特に困った事とかはないです」
「それは何より。フラット辺りがまたやらかして迷惑をかけてなければ……と案じていたのだが。どうやら杞憂だったらしい」
「ははは……」>>453
エルメロイ教室に移籍してから一か月ほど経ったある日。
アクアステラはエルメロイⅡ世直々の呼び出しを受けた。
「先生、アクアステラです」
「ああ。入ってくれ」
「失礼します」
ノック後、返答を受けドアを開ける。
移籍初日以来、ひと月ぶりとなる教授の執務室はまるで代わり映えがなかった。
重厚な書籍が山ほど並んだ本棚。傍目に見ても分かる立派な調度品の数々。
典型的なロードの執務室といった具合で、ロッコ翁の執務室のように怪しげな呪体の類もない。ここが時計塔でなければ、大学の執務室と言われても信じただろう。
「お疲れ様です先生。それで、ご用件は……」
「まあ座りたまえ。今、飲み物を入れさせよう。コーヒーと紅茶、どちらがいいかね?」
「あ、はい。紅茶でお願いします」
Ⅱ世の指示を受け、傍らで待機していた内弟子が二人分の飲み物を用意する。
湯気を立ち昇らせるそれらを挟み、二人の間に微妙な空気が流れる。
「早いものだ、君がうちに来てもう一か月とは。教室の空気には慣れたかね?」
「ええまあ。先輩方も皆優しくしてくれてますし、現状特に困った事とかはないです」
「それは何より。フラット辺りがまたやらかして迷惑をかけてなければ……と案じていたのだが。どうやら杞憂だったらしい」
「ははは……」>>454
アクアステラ・リキッドクラウン。
リキッドクラウン家の長子にして、一応は現跡継ぎたる魔術師。幼少期より生家の魔術に精通し、両親に勝るとも劣らない腕前を見せていた。
その才能は歴代リキッドクラウンと比しても遜色ない程で、時計塔への進学もより一層魔導の高みへ至る事を期したものとされる……
「大体、こんな所であっているかね?」
Ⅱ世の確認に、アクアステラは言葉もなくただ頷く。
「よろしい。だが問題は進学後だ。時計塔に入学し早半年、君は多くの教室を受講し、時には教室の重鎮から誘いを受けた事もあった。注目を独占、とまではいかずともそこそこ以上に君を注視する者もいただろう」
だが。それらの期待に反し、アクアステラの取った行動はおよそ裏切りともとれるものだった。
ロッコ翁が語った通りの醜態と無様。注目の大きさだけ反転もまた酷く、今や時計塔における彼の居場所はほぼないに等しい。
実家にも彼の現状はある程度伝わっており、毎日のように怒りと呪詛を込めた手紙が届く始末。
現在その手の代物は全て一読される事もなく廃棄されているのだが……おかげで処分を担当する人たちとずいぶん親しくなってしまったのは何の皮肉と言うべきか。
「……正直なところ、私は君の事をよくある時計塔の落伍者だろうと思っていた」
時計塔の授業は、基本的についてこれる者だけがついてくればいい、という風潮が定着している。
魔術は秘匿するもの、という大原則もある。だがそれ以上に、今の時計塔では純粋な学び舎以上に将来的な陣営強化の吟味という要素が大きくなっていた。
故に、そうした立ち回りに疎かったりついてこられない者、あるいは家の歴史等から純粋に魔術師としての技量に劣る者――これらは入学しても結果を出せず、現実との乖離に打ちのめされ時計塔を去る者も少なくなかった。
Ⅱ世もまた、アクアステラをそういった落伍者の一人と考えていたのだが。>>455
「だが、君を預かったこのひと月。ずっと君を観察し続けて確信した」
「アクアステラ・リキッドクラウン。君は魔術に興味がないのではない。ただ、己が進むべき道を見つけられていないだけだ。違うかね?」
「――――」
さながら、名探偵による犯人の解明か。
肩を落とし、項垂れるだけとなったアクアステラに、されどⅡ世は講師として厳然と追及する。
「落ち込んでいる所に申し訳ないが……よければ、君がそうなってしまった理由を聞かせてもらっても?」
「……は、い。わかり、ました」
そうして、彼はぽつぽつと語りだす。
かつて魔術師の家の子として真っ当に魔術の道を修めていた頃と、今のように変わってしまった決定的な一件を。
――かつて、アクアステラは『真っ当な』魔術師だった。
そこそこの歴史を持つリキッドクラウン家に生まれ、跡継ぎとして日々魔術の鍛錬に明け暮れる日々。
幸いな事に――少なくとも当時は――才能に恵まれていた彼は、一族内部でとはいえ瞬く間に頭角を現した。
両親から教わった事を水のように吸収し、理解する。そうして理解した内容をすぐに反映し、実践してのける。
魔術を習い始めて一か月もする頃には、その歳で教われる事を一通り学びつくしていた。>>456
――これより先は、本格的に刻印を移植し始めてからの方がいい。
――焦る必要はないわ。あなたには十分すぎるくらい時間があるのだから。
そう言って聞かせる両親に、けれど当時のアクアステラは満足できなかった。
こんなものでは物足りない。もっともっと、魔術の深奥に触れてみたい。
子どもにありがちな拙速さと貪欲さ。けれど他の子ども達と決定的に違ったのは、才能の有無と多寡。
不満と鬱屈を重ねたアクアステラは、とある術式に手を出した。
それは本来、彼の目に触れないよう隠匿されていたもの。「まだ息子には危険すぎる」と隠されていて、けれど見つけてしまった本人がこっそり読み解いていたもの。
『これ程すごい術式を成功させれば、お父さんとお母さんも考えを変えるに違いない』
幼少期の彼はそんな稚拙な考えで手を出して――そして、実践した。
実践、してしまった。
『――――――――ぁ』
その術式は、水を通じて世界との合一を図るというもの。
大気中に、地表に、あるいは地下に。遍く広く存在する『液体』に己が意識を溶け合わせ、最終的に根源へと至ろうというもの。
その奇想天外な内容から過去に考案されこそすれ、机上論のまま放置されていた術式を――当時十歳にも満たなかった彼は、成功させてしまった。
より正確には、半分成功し半分失敗した。
池の水に意識を移す、そこまでは成功しかけたものの肝心の意識を戻す手段について全く考えていなかったのである。>>457
結果あわや精神が霧散しかけたのだが――幸いな事に(これは本当に)、たまたま通りがかった母親が強く呼びかけた事で間一髪彼の意識は回帰した。
当然両親は彼の無茶をこっぴどく叱り、しばらくの間は魔術鍛錬も禁じられていたのだが……同時に、彼の両親はその無謀に興奮もした。
もしかしたら。もしかすれば、自分たちの子どもは本当に根源へと至れるかもしれないと。幼少期のアクアステラに負けず劣らず、皮算用に没頭していたのである。
――その陰で、当の息子が何を抱くようになっていたのか気づきもせず。
「……こう言っては何だが。よく生きて帰ってこれたものだな、君」
「ええ、まあ。両親にも同じ事を言われました」
「当然だ。私が君の親御さんと同じ立場なら卒倒してそのまま君の後を追っていただろう」
空間に意識を一体化させ把握する、という所業自体はそう異端な話でもない。
魔術もそうだが、一部の武芸者にも似たような真似ができる者はいるという。
だが。それはあくまで鍛錬に鍛錬を重ねた達人クラスの存在だからこその荒業でもあり、間違っても魔術を教わって間もない子どもが真似をしていいものでもない。
「それで? 君は一体、何を見た……いや、この場合は知ったというべきか? 恐らくだが、君の挫折はそこに起因するのだろう?」
「……その。正直な話、あの時見たものの全てについては朧気としか言いようがないんです。記憶も何もかも、曖昧だったから」
かろうじて覚えているのは、自分が溶けていくあの感覚。
周囲の液体と自分の肉体。その狭間が消えて曖昧になり、一つになっていくような空気。恐怖どころか、『恐怖を抱く』という感情レベルで喪失していく悪夢。>>458
だけど――そんな中でも一つだけ、はっきりと掴み取れたものがあった。
「なかった、んです。何も」
「何も、とは?」
「根源への手がかりや道程、俺が読んだ本に書かれていたリキッドクラウン家の理想にして到達点。その糧になるものが――あの空間には、何一つとしてありはしなかった」
それは、当時のアクアステラの価値観を揺るがす程の衝撃だった。
どんなにつらく、苦しい鍛錬でも。どんなに厳しく、熱心な指導にも。希望があるからこそ耐えられた。
「お前がこれから学ぶ事は全て無駄なものだ」と。そう言い聞かせられていたとしても。どんなに頭の中で理解していても、実感とはまた別の話だった。
だけど、彼は知ってしまった。
あの空間で見たモノを。知ったモノを。
どこまでも広がっていきそうな、無限を思わせる世界。されどそれは真実無限などではなく、ただ自分の意識が混ざり合っているだけだと思い知らされた世界。
その只中に在って――アクアステラ・リキッドクラウンは、こう思った。
『あ、これ駄目だ。根源とか気配も匂いも感じない。多分何度やっても、死に近づくだけだ』
「それが、君の出くわした挫折というわけか」
全てを語り終えたアクアステラに、Ⅱ世は嘆息と共にそう零した。
成る程確かにこれはどうしようもない。
どんな事柄であれ、そこに意味や甲斐を求めるのは人の常。無駄な事に精を出す人間はいても、本当に無意味なものに力を注げる人間は限られる。>>459
アクアステラは注げない側の人間だった。ただ、それだけの話。
「時計塔に来たのは実家から離れたかったのと……後は、少しだけ。本当に少しだけ、期待もあったんです。魔術の総本山、その一角と名高い時計塔(ここ)ならこんな自分でも抱ける希望が見つけられるんじゃないかって」
だが現実はひたすら無情で、無慈悲だった。
元より魔導の探求より権力闘争の比率が増した昨今。一般社会ですら全ての生徒を拾い上げる事は難しいのに、ただでさえ特殊な時計塔にそんな余裕などある筈もなく。
アクアステラの切実な期待は、ごく当然のように切り捨てられた。
「先生……俺はどうすればいいんでしょうか。いっその事、実家と完全に決別でもして魔術と縁を切る事も考えた方が……」
「仮にも魔術師の端くれが滅多な事を言うな、と言いたいところだが。今の話を聞いてしまった後ではな」
冷めきった飲み物を口につけ、Ⅱ世は一息つく。
そのまましばし何事か考えを巡らせた後、神妙な顔でこう告げた。
「今の君は言うなれば、金の使い道に困っている金持ちだ」
「唸る程の軍資金を持っている癖に、肝心の欲求が絶えたせいで持て余してばかりいる」
「とっとと浪費して、最低限生きるだけの蓄えだけは残して使いきれと言えたら楽なのだろうが。生憎ここは魔術師たちの学び舎、安易に才能を潰してしまうわけにもいかん」
「だから。とりあえずもう一度だけ、やりたい事を一通り探してみろ。それでもどうしようもないというのなら、伝手を当たって表の社会で生きられる道を探してやる――」>>460
Ⅱ世との面談後、アクアステラは寮の自室に向かっていた。
「やりたい事……やりたい事、かぁ」
頭の中でⅡ世の言葉を何度も反芻し、思いを巡らせる。
そのやりたい事を見つける為に遥々やってきたというのに、かけられた言葉はさらに探せという難題。
やはり本気で実家との対立も検討するべきか――いよいよ真面目にアクアステラがそう考え始めた頃、ある光景が目に留まった。
「よっこらせっと……はあ、なんて重いんだこれ」
それは、ちょうど自室へ向かう階段の途中。
踊り場で、学生と思しき青年が大荷物を前に一息ついていた。
どうやら相当重いものらしく、青年の額には汗が浮かんでいる。身体強化魔術でも使えばいいのに、と思ったアクアステラだったが、どうやら使った上でこの有り様のようだった。
なんて事のない、ありふれた景色。
けれど、やり場のない後ろめたさもあったのだろう。その時のアクアステラは、無性に誰彼構わず親切にしたい気持ちだった。
「あの。よかったら手伝いましょうか?」
「えっ。い、いや大丈夫だ! これくらいなんてこと――うぎぎぎ」
「……」
結局。その大荷物はアクアステラと青年の二人がかりで無事運ばれた。
「いや助かったよ。強がっては見たものの、何分予想より重くて……」
「いえ、お気になさらず。たまたま通りがかっただけですから」>>461
落ち着いた所でよく見ると、目の前の青年はアクアステラよりも幾分年嵩に見えた。
二十代前半、あるいは中頃だろうか? 眼鏡をかけ、落ち着いた雰囲気を纏う姿はいかにも先輩らしい風格が漂っていた。
「それじゃ、俺はこれで」
「待った待った、せっかく手伝ってもらったんだ。お礼と言っちゃなんだが、お茶の一つでも飲んでってくれないか?」
「いや、悪いですよそれは」
「そう言ってくれるなって。時間はそんなに取らせないからさ」
結局、半ば押し切られる形で一服する事となったアクアステラ。
出された茶菓子と紅茶を味わう傍ら、先輩は先ほどの大荷物を取り出し何事か組み立て始めていた。
「……あの。そういえば気になってたんですが、その荷物は一体?」
魔術用の道具、にしては妙に機械的というか無機質な箱。
シルバーメタリックの外観はアクアステラが見てきたどの魔術礼装とも当てはまらず、むしろ異質感さえある。
するとその青年は待ってましたとばかりに、胸を張って熱弁し始めた。
「よくぞ聞いてくれた! これは最近外界で流通し始めた代物でな! その名を『デスクトップパソコン』というものだ!」
「ですくとっぷぱそこん?」
全く聞き覚えのない単語に、目が点になるアクアステラ。
名門の家系に比べれば劣るとはいえ、彼の実家もれっきとした魔術師の家。せいぜい冷蔵庫など最低限の電化製品しか持たず、まして最新科学の塊とも言えるPCなど今この時初めて知ったばかりだったのだ。
そんなアクアステラに対し、青年は調子よく説明していく。
「何でも最近外の世界で発明されたらしくてな。同じ教室のカウレスが弄ってるのを見て、俺も興味が湧いたんだ。で、今日やっとこさ買ってきたというわけだ!」
「はあ……」>>462
「ま、俺も聞きかじりだからそこまで詳しいわけじゃないんだけどな。ええと、確かまずはこの配線をこう……?」
おっかなびっくりといった様子で組み立てていく青年。
その様子にアクアステラも惹かれ、一服するだけの筈がいつしか青年と共に組み立てを手伝っていた。
「よし……完成だ! 後は、この電源?ボタンとやらを押せば――」
電子音と共に、PCが起動。真っ黒だった画面にOSが表示され、カリカリと内部機構が動作する。
その光景に、青年とアクアステラは興奮し思わずハイタッチしていた。7
「や、やりましたね!」
「ああ! だが、ここからが本番だ。カウレスの奴からもらったマニュアルだと……」
起動後も弄繰り回し、何事か進めていく青年。
最早アクアステラに手伝える事はなく、手持ち無沙汰となる。
そろそろ頃合いかと、青年に別れを告げようとしたその時。
「あの、それじゃ俺はこの辺で」
「いよっし!繋がったぁ!」
突然の大声に、アクアステラは反射的に身を竦める。
そんな彼の反応には気づかず、青年は勢いよく振り返った。
「アクアステラ、だったか? 悪いな、ここまで付き合わせて! お礼と言っちゃ何だが、もう一つ良いものを見せてやるよ!」
「い、いいもの?」
「ああ! よーく見とけよ?」
言うが早いが、青年は卓上のマウスコンピュータを操作し、ポチポチと進めていく。>>463
言うが早いが、青年は卓上のマウスコンピュータを操作し、ポチポチと進めていく。
やがてとあるページにたどり着き――そこで青年は「どうだ!」と言わんばかりにアクアステラへと見せつけた。
「こ、これは……」
「いいもんだろ? カウレスからあれこれ聞いた時、ここだけは絶対に行きたいと決めてたんだ」
傍から聞く分には、まるで観光名所か何かに対する発言。
だが。その実、画面の内側に映されていたのは――
「女性の、裸?」
いわゆるエロサイトであった。
「どうだ! すごいだろこのラインナップ! 巨乳から貧乳、西洋系から東洋系、その他ありとあらゆるジャンルが勢揃いときたもんだ!」
「ええ……」
「科学技術なんて、とバカにしていたもんだが……いや全く、侮れないもんだぜ。こんな箱の中に、これだけの異世界を作っちまうとはなぁ」
謎に感心する青年と、ひたすら反応に困るアクアステラ。
アクアステラとて一人の男子、こういったものに興味が全くないわけではない。
が。それはそれとして。面識もろくにない相手から急にこんなものを見せられてどう反応しろというのか……。
完全に部屋を出るタイミングを見失ったアクアステラを尻目に、青年は他にもいくつものページを開いていく。
「おおっ、これは中々……いや待て、こっちも良いな! な、なんと!こんなものまで……!?」
「……」>>464
よし、帰ろう。
そう決意し、アクアステラが無言で踵を返そうとしたその瞬間――『それ』は彼の視界に飛び込んできた。
「っ!? ちょっ、ちょっと待って!」
「うおっ! な、何だいきなり!」
彼の眼を引き付けたのは、とあるエロサイトの一つ。
どちらかと言えば二次元寄り――エロ漫画だのエロアニメと呼ばれるジャンルを扱ったサイト。
そのサイト内にあった、とあるコンテンツにアクアステラの意識はくぎ付けになった。
「服だけを、溶かす液体……?」
――それは、アクアステラにとって衝撃的な光景だった。
液体魔術の家の生まれとして、様々な液体に関する魔術を取り扱ってきた。
物体を、そして人体を溶かす液体を生み出す魔術。建造物の一部を溶かす魔術。あるいは地面を泥濘に変え、足止めや拘束を図る魔術。
その全てが実用性を意識したもので、事実中には彼の役に立ったものも少なくない。
だが――だが! 今、目の前に映るそれは。アクアステラ・リキッドクラウンにとって、真実想定外のモノだった。>>465
(何故人体を溶かさず、被服だけの損耗に留めている?)
(これ程の溶解力であるならば、下にある人体だって無事では済まない筈。なのに、肝心の身体は傷一つついていない)
(そればかりか――逆に肉体を活性化させ、性的興奮を助長させている、だと!?)
「なんだ……何なんだ、この液体は!?」
「お、おーい? どうした、大丈夫かー?」
傍らから掛けられた、青年の声。そこでようやくアクアステラは正気に戻り、自分が今他人の部屋にいるという事を思い出す。
が、それが彼の理性の限界でもあった。
「――すいません、急用を思い出したので失礼します! お茶菓子と紅茶、ありがとうございました!!」
「えっ、あっ、おい!? ……ど、どうしちゃったんだあいつ?」
ぽかんとする青年を置き去りにし、部屋を飛び出すアクアステラ。
そのまま飛び込むような勢いで自室に戻った彼は、すぐさま自分の礼装を片っ端から取り出した。
「これとそれとあれと……ああもう、もどかしい! なんでちゃんと整理してなかったんだ、俺!!」
過去の自分に悪態をつきながら、やるべき事だけは迷わない。
今までの遅れを取り戻すように、あるいはここからが出発点だと言うかのように。
その日から、アクアステラは『ある魔術』の研究・開発に没頭した。>>466
「おい聞いたか? 例のリキッドクラウン家の恥さらしの話」
「何だよ、とうとう退学にでもなったのか?」
「いや、それがどうも違うらしい。何でもある時期を境に、部屋にこもって研究に明け暮れるようになったとか」
「おいおい、とうとう気でも違ったのか?」
「あるいは、自棄を起こして暴走したのか。何にせよ、我々に迷惑だけはかけないでもらいたいものだ」
アクアステラ・リキッドクラウンの豹変は、瞬く間に時計塔中に広まった。
元より噂話(ゴシップ)に関しては一般社会と大差ない気風。権力闘争の影響もあり、むしろこの手の敏感さは一般社会以上とも言えた。
そして当然、その話は『彼』の耳にも届いており……
「まだ、あいつは引きこもっているのか?」
「はい。フラットさんとスヴィンさんが様子を見に行ったそうですが……どちらも部屋の前で門前払いにあったと」
ロード・エルメロイⅡ世の私室。そこで、Ⅱ世は内弟子である少女――グレイからの報告を受け取っていた。
アクアステラの変節は彼の耳にも届いており、当初は魔術師としての本懐を取り戻したのかもしれないと楽観視していた。
だが――研究に没頭し始める事早一か月。その間授業も課題もぶっちぎり、ひたすら自室で研究に勤しんでいるとあっては、流石のⅡ世も見過ごすわけにはいかなくなりつつあった。
せめて何をやっているのかだけでも知れればまだ言い訳も立つのだが、当の本人は誰が訪ねてこようと「極めて重要な研究中、面会謝絶!」の一点張り。
いよいよ力業による入室も覚悟すべきか。Ⅱ世が大真面目に検討し始めたその時。>>467
「先生! お久しぶりです、ロード・エルメロイ先生!!」
バタン、と。それはもう、勢いよく音を立てて扉が開かれる。
唐突過ぎる来訪者に思わず身構えたⅡ世とグレイだったが、現れたのは正に先ほど取り上げていた張本人だった。
「アクアステラ……!? お前、今まで一体何を」
「長い事授業をサボっててすいませんロード・エルメロイ先生、事情については後で一切合切お話しします! ですが、どうしても! どうしても先生にお頼みしたい事がありまして!!」
「待て、落ち着け。頼みとは何だ? あと私を呼ぶときは『Ⅱ世』をつけろと言った筈だが?」
「ああすいません! ですがどうしても、どうしても先生にお見せしたいものがあるんです!! お願いします!!」
あまりの剣幕と勢いに、気圧されそうになるⅡ世とグレイ。
彼らが知る由もなかったが、この時アクアステラは徹夜を何度も重ねてハイになっていた。かろうじて残った理性により最低限の身だしなみは整えていたものの、それ以外はほぼ暴走状態だったのだ。
「とにかく! とにかく、お願いします先生! どうしても先生に見せたいんです!!」
「分かった、分かったから落ち着け! ええい、一体何があったというんだ……!?」
襲い掛かる勢いでⅡ世に迫るアクアステラと、それを必死で食い止めるⅡ世。そしてどうすればいいのか、おろおろと狼狽えるグレイ。
カオスな状況はしばらく続き、落ち着くまで一時を要するのであった。>>468
Ⅱ世の私室での押し問答からしばらく後。一行は時計塔内にある実験棟、その一室である魔術試験室に移っていた。
魔術を取り扱う時計塔において、この手の実験・実践場は事欠かない。事前に申請を出す必要こそあるものの、手続きさえ済ませれば学生だけでも使用できるというのが時計塔における数少ないメリットの一つだった。
「で。とりあえず準備は整えたが……何故、貴女たちまでここに?」
アクアステラに乞われるがまま、超特急で手続きと予約を済ませたⅡ世とグレイ。
その傍らには、新たな珍客が加わっていた。
「何故、と言われましても。時計塔の安寧と秩序に関わる者として、こういった実験に立ち会うのは至極当然の事では? まして、『あの』エルメロイ教室の一員によるものとあれば猶更でしょうに」
片や、東洋の振り袖を纏った黒髪美人。
眼鏡の奥に移る瞳はどこか冷たさを感じさせ、見据える者を思わず竦ませる凄みが秘められている。
「それよりも大丈夫なのでしょうな、ロード・エルメロイ? どうしても、と貴殿がおっしゃるから我がムジークの戦闘用ホムンクルスを貸し出したのです。万が一の事があれば、私は……」
片や、小太りな肉体を瀟洒なシャツとズボンで包んだ少年。
こちらは黒髪美人とは対照的に不安と緊張に溢れており、先ほどからずっと自家の少女型ホムンクルスとⅡ世の間で視線を行ったり来たりさせていた。
彼女たちの名は化野菱理とゴルドルフ・ムジーク。時計塔の法政科に所属する魔術師であり、同時にⅡ世たちにこの場を提供した関係者でもある。>>469
「大体、魔術実験の申請ならばもっと早くに出して頂きたい。そうであれば、我々が態々骨を折らずとも順当に実験室の一部屋や二部屋、貸し出せたというものを」
「いや、こちらとしても何分急な話だったもので……」
「そこまでにしておきなさい、ゴルドルフ。……この件に関しては後でじっくり詰めるとして、此度は如何なる魔術をお試しになられるおつもりで?」
眼鏡の奥の目を細め、化野がⅡ世を見つめる。
だが、帰ってきた返事は彼女の予想をある意味で裏切るものだった。
「分からん」
「は?」
「だから、分からないと言っている。何しろ、どれだけ問い詰めても『実際に見せた方が分かりやすいので!』の一点張りだったのだから」
Ⅱ世の言葉に嘘はない。
ここへ来る途中、Ⅱ世たちは何度もアクアステラに研究内容の事を問い詰めた。
一か月もの間、一体何をやっていたのか。講義も課題もサボり倒す程の価値がある代物だったのか。
だが、返ってきたのは先の返答と――爛々と輝く、不気味な瞳だけだった。
流石に剣幕に気圧されただけではないが――それでも、最低限の確認だけはしていた。>>470
Q.Ⅱ世「その研究成果とは、人命にかかわる類のものか?」
A.アクアステラ「いいえ、全く!」
Q. Ⅱ世「ならばそれは、建物を大小問わず破壊し得るものか?」
A.アクアステラ「いいえ、全然!」
Q. Ⅱ世「……間違っても、大惨事を招くようなものではあるまいな」
A.アクアステラ「大丈夫です! 少なくとも物理的にはほぼ全く問題ありません!!」
「と、いう具合だ」
「……当てになるのかならないのか、反応に困りますね」
ジト目でⅡ世を睨む化野だったが、Ⅱ世としてもこれ以上知りようがないのでどうしようもない。
そのアクアステラはと言えば、先ほどからムジーク家の少女型ホムンクルスを前に何事かやり取りを交わしている所だった。
距離があるので詳しくは聞き取り難かったものの、概ね聞こえてきた内容は>>471
――本当に――大丈夫――?
――大丈夫です――貴方にはそこに立っててもらうだけで――
どうやら、実験時の立ち位置と安全に関するものだったらしい。
やがて話も終わったのか、アクアステラと少女型ホムンクルスは互いに距離を取り向かい合う。
ホムンクルスが得物である長槍を構える中、アクアステラは深呼吸し――そして、その詠唱を開始した。
「王の水(キングス)、道化の黄金(ピエロズ)」
アクアステラの魔術刻印が励起し、回路が作動する。
彼の体内魔力と大気中の魔力が呼応し、やがて黄金の粒子となって一つ所へまとまり始めた。
「液体は天に昇り(リキッズ)、王冠は失墜する(クラウンズ)」
先ほどまでの狂気じみた姿とは一転し、魔術師として堂々たる詠唱を重ねていくアクアステラ。
その姿にⅡ世とグレイのみならず、化野とゴルドルフ、そして少女型ホムンクルスまでも思わず目を見張った。>>472
「降り注ぐ水満たされし時(レインズ、マックス)」
黄金の粒子が一点に――少女型ホムンクルスの頭上に収束する。
少女型ホムンクルスもまた何が起きても対処できるようさらに身構え、警戒を強めた。
そして――最後の詠唱が紡がれる。
「全ては白日の下に晒されよう(トゥルース、リキッドクラウン)」
『愚者の王水(フールズ・クラウンリキッド)』
詠唱が完遂され、黄金の粒子――空中の魔力が変質する。
形なき力の流動から、明確な物量を持った存在に。
遠目から見えたそれは、黄金のスライムとも言える液体――否、『液塊』だった。
「っ!?」
ホムンクルスが長槍を掲げるが、遅い。そもそも面で降りかかる液塊に、たかだか細長いだけの棒を構えた所で何の意味があろうか。
回避する暇もなく、黄金の液塊が少女型ホムンクルスに降り注いだ。
「ネーベル!?」
「おい、アクアステラ!」
少女型ホムンクルスの名前だろうか、ゴルドルフが眼前の惨状に目を剥き叫ぶ。Ⅱ世もまた傍観していられず、アクアステラを睨みつけるが。
「大丈夫。『人体には』何の影響も与えません、自分で散々試しましたから」
「何だと……!? だが、しかしあれでは」
「それよりも、本番はここからです。よく見ていて下さい」
液塊が流れ落ち、少女型ホムンクルス――ネーベルの姿が晒される。
アクアステラの言った通りその肢体には傷らしい傷一つなく、ただ濡らされただけに思われた。
従者の無事を確かめ、安堵しかけるゴルドルフ。ひとまず手を差し伸べようとした次の瞬間――彼と、アクアステラを除いた全ての人間が凍りついた。
最初に聞こえたのは、ジュワジュワという音。最初はホムンクルスの身体でも焼かれたかと浮かんだ予想は、しかし直後に覆される。
服が、溶けていた。
ネーベルが纏っていた上着、スカート、ストッキング、果ては下着までが溶けていく。
事態を理解するよりも先に衣服の溶解は進み――あっという間に、ネーベルの肉体が白日ならぬ密室の下に晒された。
呆然と座り込むネーベルと、差し伸べようとした手を空中で止めるゴルドルフ。
永遠にも続くかと思われた沈黙は、しかし次の瞬間絶叫と共に破られた。
「ひ――きぃいやぁあああああああああ!?」
「ぶへぅ!?」
それはまさに、刹那の出来事であった。
自らが置かれた状況を理解すると同時にネーベルは真っ先に、かつ一番近くにいた少年(ゴルドルフ)を反射的にビンタ。無防備な状態でまともに食らった少年はなす術もなく吹っ飛ばされ、あわれ地面を転がった。
次いでネーベルは必死に自分の身体を抱きしめる事で隠そうとするが、そんなものでどうにかできるレベルの惨状ではない。文字通り生まれた時のままの姿が晒されまくっていた。
そして。そんな状況を生み出した元凶(アクアステラ)はといえば。>>474
「や……やった……成功だ! 成功しましたよ、先生!!」
かつてない程の喜びを見せていた。
それはまさに、偉業を達成してのけた勇者のように。あるいはテストで高得点を取った子どものような、純粋無垢な笑顔だった。
「いやあ苦労しましたよ! ある人の部屋で偶々見かけた画像を基に再現しようとしていたんですけど、これが失敗に次ぐ失敗の毎日で!」
「溶解力の調整を間違えて火傷したり、逆に全然服が溶けなかったりで! 本当にここまでこぎつけるのに苦労しました!」
「でも――これで、ようやく完成です! 見てください、この傷一つない滑らかな肌! 失敗した時も全力で治せるよう準備はしてましたけど、必要なさそうです!!」
殺意を込めた視線を向けてくるネーベルにも気づかず、最低野郎(アクアステラ)の熱弁は続く。
「先生……ずっと俺は考えていたんです。『根源にたどり着けないと分かったのに、魔術を続ける意味がどこにあるのか』って」
「でも。あの時、分かったんです。根源になんてたどり着けなくていい、根源だけが魔術師が目指すべき到達点の全てじゃないんだからって」
「この世には、俺の知らない概念がまだまだたくさんある。それを知り、実践に移し、実現する。それだけでいいんだって」>>475
「だから、この魔術が――この『服だけ溶かす液体魔術』が俺にとってのやりたい事で、俺の新たな始まりです!!」
堂々と。それはもう堂々と、自信と気概に溢れた顔と勢いで言い放ったアクアステラ。
その雄弁に対し、それまでずっと沈黙を保っていた恩師が返したものは。
「……………………ね」
「はい?」
「死.ね!! 今! ここで! 完膚なきまでに死.んでしまえェえええ!!!」
エルメロイⅡ世、かつてない程の憤怒と激昂であった。
……そこから先は、まさに地獄としか言いようがない光景だった。
完全に怒り狂ったⅡ世と、殴打から復活し従者を辱められた怒りに燃えるゴルドルフ、そして長槍を手に殺意MAXで襲い掛かってくるネーベル。
三者三様の激情を前に、徹夜を重ね疲弊しきったアクアステラはあまりにも無力であり――致命傷一歩手前まで、それはもう徹底的に痛めつけられた。
ちなみにその間、化野とグレイはゴミを見るような冷たい目で見下していた。
当然ながらこの場で起きた一件には徹底的な箝口令が敷かれ、表ざたになる事なく幕を引いた……
引いた、かに思われたのだが。>>476
「おい……見ろよアレ」
「うわぁ……マジかよあいつ、まだ時計塔に残っていたのか?」
「信じられない……本当に消えてよ……どうかしてるわよ、あいつ……」
「時計塔ソリッドブック事件、だっけか? ぶっ飛んだ奴らはここの名物みたいなものだけど、まさかあんなのまで出てくるとはなぁ」
「おい馬鹿やめろ! その名前を出すな! 法政科の連中に消されたいのか!?」
人の口に戸は立てられぬ、というべきなのか。
一体どこから漏れたのか、しばらくすると例の一件の噂は時計塔中に広まっていた。
今やアクアステラの評判は事件以前とは別な意味で地の底に落ち果てている。
「つーか、よくエルメロイⅡ世や教室の連中も許したよなあいつを」
「いや。聞いた話では、未だに許されていないという話だ。何でもあそこのOB含め、凄絶な私刑が行われたとか行われなかったとか」
「嘘だろ。なんでそれで生きてんだあいつ?」
「知らん。エルメロイ教室の謎の一つ、としか言いようがない」
『エルメロイ教室の恥部』、『時計塔の汚点(お笑い的な意味で)』、『法政科が今年選んだ第一級要注意人物』、『時計塔の抱かれたくない男ランキングワースト上位(下位?)』、etc…
女性からは軽蔑と嫌悪を、男性からは呆れとある種の畏怖を集め、アクアステラは(ある意味)一躍時の人となった。>>477
「ほんっとマジで最低……あんなのが同じ魔術師を名乗っているとか、冗談にしてもやめてほしいわ」
「ああ、全くだ。――――しかし、見所が全くないわけでもない。どれ、高額の為彼に接触の一つでも」
「はぁ??」
「おいおいおい、あいつ(社会的な意味で)死んだわ」
「でも、確かにすげえよあいつ……色んな意味で真似できねえわ……したくもないけど」
さて、そんなアクアステラ・リキッドクラウンが今どこで何をしているのかというと。
「うーん……この調合でもダメか……やっぱり、液体同士の相性が悪いのかなぁ」
あの事件の後もアクアステラはエルメロイ教室預かりのままとなっていた。
事件発生当初は(主に教室OB達を中心に)教室からの追放も声高に上がっており、実際Ⅱ世も大真面目に考慮していたのだが――今度は逆に、他講師から反対される羽目になった。
彼ら曰く、
『卑しくも魔術の道を志しながらこの体たらく。迷走にも程がある』
『本来であれば時計塔の秩序を著しく乱した罪人として処刑すべきだが、それはそれとして彼に見所の一端がないわけではない事も事実』
『そもそも元を糺せば彼を預かると決めたロード・エルメロイⅡ世の監督不行き届きであり、そのツケを他所に押し付けるとは論外である――』>>478
……まあ、色々言われてはいたものの。要するに「こんな変態預かれるか、エルメロイ教室に押し付けておけ」という意見が一致した結果であった。
追い出そうにも追い出したら今度は教室の評判がどう転ぶか分からず、結局Ⅱ世と教室メンバーの目が届く範囲内で監視しておいた方がいいという事になったのであった。
騒動の元凶となったアクアステラも流石に反省し、また元のように真っ当な魔術師としての道を歩んでいる……
「いや、諦めないぞ! 何としても完成させるんだ……飲んだだけで性別を反転させる液体を!!」
事は全然なかった。
あの場でのやらかしこそ
「ホムンクルスとはいえ、一個人相手に試すのはやりすぎだった」
「マネキンを用意して、そこに衣服を着せて行うべきだった」
と反省したものの、魔術師としての彼の理想はあの時語った内容のまま変わっていない。
この世界には、彼の想像力や発想力では及びもつかないものがまだまだ存在する。
それらに触れてもいなかった癖に、気づきもしなかったのに、勝手に見限り愛想をつかしていた自分の何と愚かだった事か。何と偏狭であった事か!
故に、彼は今日も今日とてまい進する。
傍からすれば愚かで、見るに堪えない奇行の数々を。本人にとっては、水面に映る星々を追い続けるような旅路を。
魔術師アクアステラ・リキッドクラウンの道は、まだ始まったばかりである――>>479
「先生! ロード・エルメロイⅡ世先生! 今度は『服だけ溶かすスライム』の研究に取り組もうと考えているんですが! つきましては、ライネスさんのトリムマウちゃんを少しばかり触らせて――」
「失せろこのド変態が!!」
「はぁ~……結局触らせてもらえなかったな、トリムマウちゃん……」
とぼとぼと、いつかを思い出させるような足取りでアクアステラはⅡ世の私室を後にする。
例によって例の如く、冷たい視線と畏怖めいた視線が刺さっているが最早今の彼には気にもならない。
が。やはり落ち込んでいたのが悪かったのだろう。やや俯き気味に歩いていた彼は、自身に近づいてくる存在に気づけなかった。
「きゃっ!?」
「うわっと!?」
曲がり角で、走ってきた何者かと衝突する。
ぶつかった相手の勢いと、完全に不意打ちだった事もあり、アクアステラは派手にその場に転がった。
「いてて……な、何が?」
「うーん、あいたた……」>>480
衝撃の元に目を向けると、そこにいたのは見覚えのない少女だった。
血色の薄い肌色と銀の髪、そしてルビーを思わせるような紅い瞳。
服装こそ見慣れた時計塔制服のそれだが、全体的な雰囲気も相まって別のナニカを想起させる。
例えるならば、そう――
「吸血鬼……?」
「っ!」
思わず口から零れた呟きに、眼前の少女が目を見張る。
不味い、何か地雷を踏んでしまったか? 慌てて取り繕おうとアクアステラが口を開きかけたその時、別の声が割って入った。
「ルナちゃん! 大丈夫!?」
見れば、少女が来たと思しき方向からまた別の少女がやって来る所だった。
こちらは黄色人種、それも日本人だろうか? 濃藍の長髪を三つ編みに縛り、淡色系でまとめた上下はどこか儚げな印象を抱かせる。
見た目の線の細さも多分に関係しているのかもしれないが、不思議と間近の銀髪少女以上に不安定さを感じずにいられなかった。
「あ、ヨモちゃん。うん、私は大丈夫、だけど……」
銀髪少女――ルナが、ちらりとアクアステラの方を向く。
そういえばお互い、ぶつかった事についてまだ何も言っていなかった。
「その、ぶつかってごめ」
「――アクアステラさん、だよね! 『あの』リキッドクラウンの!」
「はい?」
唐突に自分の名を呼ばれ、さらに思いっきり食いつかれた。>>481
予想外の展開に、アクアステラはポカンとルナ何某を見つめ返す。
「ええと、『服だけ溶かす液体魔術』だっけ? あれ、どうやって作ったの!? というか、なんで思いついたの!?」
「え、いや。その」
「話を聞いた時、マジかーってなってさ! でも同じくらい気になっちゃって! 良ければ詳しく話を聞かせて――」
「る、ルナちゃん! 次の授業、始まるよ!」
ぐいぐい突っ込んでくるルナ何某と、横から割って入るヨモなる少女。
やがてヨモなる少女に引っ張られる形でルナ何某は連れていかれ、後には呆然とするアクアステラだけが残された。
「……何だったんだ、今の?」
これが、アクアステラ・リキッドクラウンとルナ・アードゥル、そしてヨモ・ヘルメ/真府四方との出会い。
エルメロイ教室と名無しの教室。異なる所属の、されど同じ『魔術師』である三者の色々な始まりとなる瞬間であった。ようやくfalling moonの最新話がかけました
貼ってもよかですか…こういう時は厳密に言えば名無し生でも無いし、エルメロイでもないので登場されにくい気がする刹那に悲しき現在……。なので彼女にバラエティとかシリアス向けの術式を授けてみましょう
その名も『出る目が!?で遊戯の結界(パンドランド★ワンダランド)』という礼装です。
具体的に言えば適当な空間に差して自分含む任意のを閉じ込める結界を構築する鍵ですね。
そんで『部屋』の中にいる人間を相手に強制ベットな賭けをする事が可能なゲームを仕掛ける事が可能。
ゲームの運用を含めた審判は刹那が作ったグレムリンだけど、立場的には中立公平。
という感じのはどーよ!?長いぞ!勘弁してな!
「……はぁ」
ほんの小さなため息だった。小さな、けれど彼女を知る者であればそうそう聞く機会がない悲しげな。
『マスター、寝床に入ってからため息をつくのは五度目だ。一体どうした?息苦しいのか』
頭の中に従者からの声が響く。霊体化──要するに透明なだけの彼女からすれば柳花の全てが筒抜けなわけだ。
布団から上体だけを起こし、柳花は思わずうめき声をあげて枕元に置いてあるスマートフォンへと視線を落とした。
『ん?ああ、ライダーのマスターが気になるのか。珍しいじゃないか卿が他人に意図を察するようにと促すなど。よほど自分の口から語りたくないと見える』
「セイバー。私はお前の実力を低く思った事はない。まさに最優のサーヴァントだと心から言える。だが幾らあのヒャルティ・フグプルーズと言えど年頃の乙女の心を詮索する権利はないと思うが?というか喋れるようになったと思えば急に饒舌になったな!?」
『当然だろう。本来は喋れるのに口を塞がれていたんだ。一応第二の人生だからな、ハッキリと気になる部分はどんどん口に出していくつもりだ。それにな……これは女子トークという奴だ。恋、不安、悩み、互いに打ち明けるのもまた嗜みじゃないか?』
まったくこいつと来たら、と柳花はわずかに青筋を脈打たせる。
サーヴァントが自我を取り戻してから一ヶ月ほど。それからというものセイバーはハキハキとした口調で柳花にかなりの頻度で話しかける。よりにもよって日常生活の中で、返答できない状況下で。
戦っている時はあんなに勇ましく麗しい。だが剣を一度置くとまた違った側面が見えてくる。
英霊だからと言って機械ではない。人格を持ち生涯を終えた存在なのだから当然の結論なのだが……いかんせん、今の柳花には過干渉に思えた。>>495
『すまんな、霊体化をこちらで解ければ面と向かって話を聞いてやれるんだがこうして頭の中で話すのが精一杯だ。参ったものだろう?』
「おかげでちょっとした悪霊レベルになっているんだが」
『許せ、話したい盛りなんだ。それで──ライダーのマスターが今頃夜伽じゃないかと不安なのだろう』
「────」
今度は食ってかからず、柳花は先程とは逆にスマートフォンを視界に入れないようにと天井をじっと見つめていた。
眠るに眠らず、ため息を何度もつく。普段ならばそこまで過敏にはならない。睡眠の質を第一に健康的な生活を心がけ、眠りを妨げるものなどは存在しないと自らに言い聞かせるほどだ。
だが今夜ばかりは違う。夕食後に理仁より間久部家の人間に向けて送られてきたあるメッセージが柳花をわずかにではあるが繊細な状態へと作りあげているのだ。
『友達の家に泊まっていく』
理仁は友達と出かける、としか口にはしていなかったが間久部夫妻にはお見通しだ。異性と何処かへ行くのだとすぐに気取られていた。
何より柳花自身、彼が何処へ誰と行ったのかなどよく知っている。蘇芳とあんまりにも関係性を深めないものだから、ヤキモキして背中を押すどころか蹴り飛ばしてやったのだ。
だが第一歩のつもりであったデートから更に足を伸ばし、その日の夜に泊まるなど、考えるまでもなく導き出される結論は蜜月の関係性である。柳花本人は目を剥いて驚き、理仁と蘇芳両者に心の底からこう叫んだ。
(思い切りが良すぎるぞ!!)>>496
どちらにも決して逃げずに踏み込むべき、と確かにそう助言した。だがよりにもよって一夜を共にする選択肢を選ぶなど、想定の範囲外にも程があるのだ。
むすっと口を尖らせる柳花だが、セイバーは腕を組んで、
『卿のそれはどういう感情なんだ?卿のプロデュースから逸脱したのが嫌なのか?それとも──此方のそばにいるのは自分なのにという嫉妬か?』
「……後者はナシだ。もう吹っ切れている」
『では何が不満だ、何が不安だ?』
「やっぱりこう、段階踏まなくていいのか?とか……ちょっと強気すぎるだろ!というか……まあ、その」
『うん?なんだ、ほら言え。今なら俺以外には誰も聞かんぞ?うん?』
「親戚の叔父さんという概念がどれだけ面倒かこの数分で痛感している。あのな、私は……こう、モヤモヤするんだ凄く。理仁と蘇芳が、何をどうしているのかと」
何も男女が二人きりになって手を繋げばコウノトリが……などと信じているわけではない。洲甘家のこれまでを踏まえれば多少の知識は持っている。
ただ知識があるからと言って精通しているわけではない。まだ成人もしていない少女にとっては、何かしら恥ずかしさや照れ臭さというものも出るのだ。
努力してぼんやりとした表現をしてみると、セイバーはくつくつと笑った。>>497
『なるほどな、うむ。そうだったなマスター、お前も年若い乙女だ。シンプルに下世話な妄想もする年頃だった。良いんじゃないか?』
「なあこれ相談で合っているか?私はまったく胸が空かない。心のつかえが取れるどころか増している」
『いや、問題ない問題ない。マスターはそのままで続けて構わん。むしろ俺はそうして悶々とする卿を見ているのが好きだ。以前此方の事を想い悩んでいた様にな?』
「うぬう……そのなんとなく超然とした物言いで私の恋を取り扱われるとなんとも言えんな!」
『はっはっは、そう言うな。これでも俺は割と本気でお前が誰にも言えんと思う悩みを聞いてやっているつもりだ。その様に物思いに耽るのは何も過ちではない、とだけ言っておこう。大体妄想するのは罪か?違うだろう、言葉に出すわけでもなく考え想う事を罪だとするのなら、人間は全員罪人だとは思わんか』
「わかったわかった。人生の先達からの助言だ、素直に受け取っておく事にするよ……」
『はっはっは、軽く1000年以上前の先輩だ。ありがたく聞いておいてくれ。まあ、真面目な話をするとな」
一通り笑い終えたところで、セイバーの声色はサッと芯のある声色へとスムーズに切り替わる。あまりにも瞬間的な入れ替わりに柳花は凄まじい温度差を感じずにはいられなかった。>>498
『一応俺にも誰かを愛した事がある。自分にそんな感情が芽生えて、少し困った事もある。気持ちはかなりわかる方だ。こう……胸の内にぐっと、何かが溢れてくる様な感覚だろう?
卿は悩んで、悩んだ。俺はその姿をよく知っている。その上で、そんな卿が好きだとさえ思った』
「好きとは、どういう意味だ」
『可愛げがあり何より初々しい。卿が言うところの弱い姿という奴だな。だが彼女、美和子と言ったか?彼女と話してお前は強いと弱いの意味は理解したろう?』
弱くても良い。弱くても誰かを頼れるし、その誰かの為に戦える。
美和子との会話は柳花に大きな衝撃と、価値観の変化を促した。もちろん忘れたつもりはない。
『人を好きになってもじもじする、今もちょっと破廉恥な事を考えて悶々とする。今までの卿では許容し難い感情だったかもしれんが、俺からすればそれは結構な事だ。……喜んだり、悲しんだり、ついでに恥じたり悶絶すれば良い。そうして強く、時々弱くなりつつも卿は大人に成長していくんだ。何もおかしくはない、誰もが通過する地点なんだ』
「……」
『おい俺がキメてやったんだから少しは良い感じの反応をよこしてくれても良いんじゃないか?ここに音楽隊の一つや二つがあれば、それはもう切ない一曲を奏でてもらっていたぞ』>>499
今度は柳花がくつくつと笑う番だった。思わず口元を抑え、湧き上がる笑いを抑え込もうと背中をくの字に曲げてしまう。
北欧の英雄が、十二人のベルセルクそのうちの一人が思春期の女子に親身になって接している。それがどうにもおかしくて、何よりセイバーもまた一人の人間なのだという実感を抱かせた。
セイバーは主が笑い出した理由がわからずハッキリと不満げに「むぅ?」と声を漏らした。
「いや、ありがとうセイバー。そう言ってもらえると凄く助かる。なんと言えば良いのか……ああ、間違いなくこれは女子トークという奴かもしれん」
『そうだろうそうだろう。胸襟を開いて話せば、一人で考え込むよりかは良いと感じる答えの一つや二つは出るはずだ。どうだ?少しは気が楽になったか?」
「ああ、立派なカウンセリングだった、感謝する。楽になったし、これからの進路についても考えさせられたよ。ついでに眠気もやってきた」
『うむ、よく寝ろ。寝て起きれば悩みの一つや二つパッと忘れられるぞ』
「理仁の奴が朝帰りしてきたら……その時は思いっきり笑ってやるとするかな」
と、気持ちを改めて眠りにつこうと柳花が寝転がるのに合わせるかのようにスマートフォンがぶるりと震えた。こんな夜更けに誰かから連絡が来たようだ。
(理仁の奴か?思い切ったけど怖い助けて!とでも書いてあったりしたら大笑いだが……それとも黒鳥か)>>500
どちらにしても今の柳花はどんな連絡でも誠実に対応できる自信があった。限りなくフラットな精神状態なのだ、何が起きても即座に返信できるだろう。
そして柳花は画面を覗き込み───そして数秒ほど硬直した。喜びや怒りではなく、ただただ驚きだけが脳を埋め尽くしていったのだ。
『ん?どうした、誰からの連絡なのだ』
画面に表示されているのはメッセージアプリの通知だ。ところが送り主は理仁でも蘇芳でもない、むしろ送られてくる事など全く予期していない人物だった。
ヨシツネ
それが送り主の名である。
三義経子、すでにこの世にいない人間からのメッセージがどういうわけか柳花へ送られてきているのだ。
その内容は、
『待っていますよ先輩』
たったそれだけ。それだけである。けれど柳花は跳ねるように飛び起きる。
「セイバー、いつでも全力を出せるようにしておいてくれ」
『俺は常にベストコンディションだ、安心しろ』
テキパキと寝巻きから普段着へと着替えた柳花は廊下へと出て、玄関へと早足で進んでいく。間久部邸内に張り巡らしたルーンによる結界の締め付けを更に強め、考えうる限り最高の防御網を構築しておく。>>501
『マスター、さっきのメッセージは』
「驚きだ。まさか死人から連絡が届くとは」
玄関扉を開くと、じっとりとした空気がじわじわと邸内へと入り込んでくる。夜になって貼り始めた雨はバラバラと不規則なリズムを刻み続けている、今がピークだろう。
夜の闇へと柳花は迷いなく駆け出していき、そしてピタリと足を止める。ゾッとするほどの殺意が投げかけられ、そちらへ即座に体を向ける。
ポツポツと建てられた街灯の灯りに照らされながら、少女が一人立ち尽くしている。背格好には見覚えがあるものの、俯いている為に顔はハッキリと確認できない。
けれど柳花は少女が殺意の主であると確信していた。
「……こんばんは、洲甘先輩」
「亡霊の類い、とは考えられないな。一応言っておくがそこから動くな。指一本とてだ」
「そう言われて動きを止めるなんて本気で考えているの?失恋のせいか色々鈍っているんじゃないかしら」
ばしゃり、と少女は一歩踏み出して足元の水たまりを踏みつけると、顔が見える距離まで近付いてくる。途中で彼女は手に持っていた何かを柳花の足元へと放り投げた。
三義経子が持っていたスマートフォンだ。
「どうしようもない子だったけど、ずっと私の役に立ってくれて感謝してる」>>502
そして、うっすらと見えたその顔に柳花は口中で毒づいてしまった。
三日月の様に不気味に歪んだ笑み、爛々と光る目。
一ヶ月前街の中心部で暴れるだけ暴れた聖杯戦争におけるイレギュラー。
「黒江……凪咲」
「部長、お久しぶりです。私がいない間寂しくはありませんでしたか?」
「寂しいどころか、貴様と言葉を交わしていた事を忘れたくて大変だったさ。ちゃんと死体を確認するか追いかけてトドメを刺せばよかったと後悔していたよ」
あの夜は凪咲とそのサーヴァントが引き起こした参事があまりにも大規模であった為に一般人にも多大な被害が発生した。何人もの人間が通報し、警察や救急車が詰めかけたパニックは凄まじいものであった。
そんな中ではおちおち死体の確認さえ出来ずに撤退するしかなく、柳花は明確な落ち度だと自責の念に駆られた。蘇芳が致命傷を与えたと言っても絶命したという確たる証拠がないのでは安心などできない。
それでも一ヶ月ほど経過しても何の動きがないのでは、黒江凪咲は己がサーヴァントと共に消え去ったのではないかと甘い考えに走ってしまったのだ。そうして今、よりにもよって間久部邸に彼女は現れてしまった。
「私の前に現れてくれて少し安心している。今回はきっちりころせるからな」
口ではそう言いつつも、柳花は凪咲がどの様な攻撃を繰り出そうとしているのかについてまるでわからない。
アサシンは消滅したはずである。ランサー、アーチャー、そしてセイバー。三騎士による総攻撃によって撃滅した、そのはずなのだ。
だとしたら凪咲はたった一人でやってきたのか?
>>503
「目的はなんだ?仲良さげだったサーヴァントはもういないと言うのに単身で来たとは思えん」
「ええ、確かにアサシンはもういません。私の目の前で消えてしまった。唯一無二の親友だったのに……」
「まさかとは思うが仇討ちに来たのか?結構な事だ」
「話が早くて助かるわ。そう、端的に言えばそうなる。まずはセイバーから、貴女から始末したくて」
凪咲は恐れる事無く近付いてくる。サーヴァントを失った状態での行動とは思えず、つまるところ何かしらこちらの予想を上回る準備をしているのだろうと柳花はすぐに算段を立てて令呪を構えていた。
考え得る可能性としては新たにサーヴァントを用意したという線だが、現時点で生き残っているサーヴァントは四騎、全員の顔が割れているならば考えづらい。となれば……
「――――なるほど、読めた。セイバー!!」
光と共に、騎士は長剣を掲げる。夜の闇でその輝きはより一層強まり、そして暗闇に隠れていた伏兵の姿をさらけ出した。
大きいものもいれば小さいものも、合わせて一〇体ほどの異形が柳花を取り囲む。何度も目にした、弟橘媛より産み出される怪物達である。
凪咲は伏兵を看破された事にさして驚いてはいない。むしろ柳花の反応に対して目を細める。
「浦戸の時もこいつらは突然現れ、奴に付き従っていた。あの時はまるで理由がわからなかったが、弟橘媛という仕掛け人が裏にいると知れた今はそこまで難しい話でもない。奴も貴様も、あのおぞましい媛に頭を垂れたというワケか」
「私の場合は頭を垂れるというよりかは……ま、良いかそのあたりは説明しなくても。でもサプライズはこれからなんだから」>>504
一斉に怪物が動く、と思いきやまずは後方から数体が飛びかかる。こちらはセイバーが横薙ぎに斬撃を払って吹き飛ばすが、少しずらして前方から柳花目がけて小型のものが地を這うように駆け寄ってきた。
防御をセイバーに任せきりなわけではない。柳花も拳銃の様に人差し指を突き出し、赤黒い光弾を放つ。ルーン魔術の一種、ガンド。本来ならば呪いの一つなのだが、高められた魔術回路からならばその威力はコンクリート程度ならば穴を開ける事など造作も無い。
怪物の足元をガンドが掬い取り、体勢の崩れた瞬間目がけてルーンを刻み更にその上から強化魔術を重ねたストンプが降りかかる。見事に小ぶりな頭を踏み砕くが、それでお致死には至っていない様で鋭い爪が己を踏みつける足を切り裂こうと迫った。
「ちっ!硬い奴め……」
即座に後方へと回避した柳花と入れ替わる形でセイバーが再び剣を振るって撃退する。怪物はまだ残っており、何より全員が殺意を全身から漲らせて柳花とその従者を睨み付ける。
勝てない相手ではない、むしろたとえ強くなろうとなんら問題などあり得ないと考えていた柳花は突然湧いてきた違和感に眉をひそめた。
「なんだ……?」
妙に怪物達の動きに統一感が見られる。これまで戦ってきた個体はどれも凶暴性はどんな獣よりも激しく目に入るもの全てを鏖殺しようかという衝動に満ちながらも、しかしあまり集団での戦いに優れているというわけではなかった。大抵は挟み撃ちか、物量に任せてというシンプルな戦法だ。
だが今は違う。個体の差を利用して、守りが手薄になった一瞬をついて柳花へと対応しづらい小型の個体が襲いかかってきた。>>505
「ふ、ふふふふふ」
凪咲が笑う。得体の知れない不気味な雰囲気を纏い、ゆっくりと歩み寄ってくる。
違和感が、少しずつほぐれていく。思えば死んだと思っていた凪咲が今ここにいる事自体がありえない、とまでは言わずとも考えられない。
蘇芳は言った。確実に臓腑を抉った、あれではどう足掻いても死ぬ、と。
「……ッ」
強化した視力で凪咲へと焦点を合わせようとする。何か、違和感の正体をはっきりと掴む為に。
そうして、柳花は自分の意思とは関係無く一歩退いた。理屈では片付けられない本能的恐怖が彼女の足を動かしたのだ。
「貴様」
「気付いたのかしら?なら嬉しいわ。酷いおめかしだけど、女子ってちょっとの変化でも気付いてもらえないと悲しいもの。それが元友人であるなら、尚更」
凪咲の肌色は異常なまでに白い。頬には血管が浮き出ているだけでなく、どくどくと黒く染まり脈打っている。片目に至っては眼球の白と黒が反転し、らんらんと妖しい光を放つ。
「本音を言うならば、今すぐに死にたいくらい苦しいのよ。自分が自分でなくなる……他人に施してきた事を自分の体で体験するとなかなかどうして応えるわ」>>506
凪咲は薄汚れた衣服の裾を握ると、腹を見せる様にめくりあげた。右の脇腹から腰にかけて、本来あるべき人間の部位は無く、代わりに鱗があった。記憶が確かならばそこは蘇芳が致命傷を与えたと言っていた箇所に近い。
心なしか鱗の形は、その色は、今戦っている怪物のソレに酷似していた。
息を呑む。こんな事があり得るのか。人間の体に全く別種の肉が植え付けられるなど、生きていられるのか。
否、魔術とは、サーヴァントとは、多少の無理など強引に突き抜けられてしまう。根本的に出来るかのかどうかという問いかけについて魔術は……どこまで突き進めるものだ。
「私の体を媒介にして、この子達には私の血が流れてる。わかる?つまり……皆私の思うがままに動いてくれるのよ」
「だが」
「そうよ、人間の体で耐えられるわけがない。今も頭がどうにかなりそうなくらいの痛みがずっと走ってる」
凪咲の声が僅かにうわずり、それに続いて怪物達も喉を鳴らす。一体何をされたのかまではわからないが限りなく彼女の肉体はおぞましい異形のモノと同化しつつあるのだ。
そして本人が言う様に人間はそこまで頑強ではない。恐らく近い内に凪咲は肉体か精神、そのどちらかが崩壊する事だろう。
「弟橘媛とは一体、なんなのだ……?」>>507
『魔術にハウダニットは通用しない、問題はホワイダニットだ』、と以前耳にした。今回のケースならば『どの様に弟橘媛は凪咲を改造したのか」ではなく『何故弟橘媛は凪咲を改造できるのか』ではないだろうか。
弟橘媛という真名がわかった以上は柳花も幾つか資料を探った。ヤマトタケルの愛した女性、その最期は荒波に身を投じるという壮絶なものだが―――――異形を操る能力も、不気味な触手も、一体全体どの様な逸話から?
「もうお話はやめにしましょう。とにかく貴方を殺さないと気が済まないの。それで次は死体を手土産に間久部理仁に会いに行く。ふ、ふふふ、きっと驚くわ。私が生きていて、貴方が死体になっていて……とても素敵なサプライズになる事でしょうね」
疑問はやがて急速に頭の片隅へと押しやられていき、眼前の凪咲へと焦点が定まっていく。この場でいくら思案したところで答えは出まい。いくら問いただしたところで凪咲は応えまい。
であるならば戦うしかない。考えるべきはそのあとだ。
「……ふぅ、よし。黒江凪咲、一つ聞いておきたい事がある。三義経子の携帯を持っていたのならば彼女の死体を攫ったのは貴様だな?」
「ええ、そうね?」
「では、死体は今何処にある?」
「ふぅーん、ええと……もうないと思う。令呪が取れないとわかって、全部アサシンが食べちゃったから」>>508
呼吸を整える。湧き上がる感情を少しでも抑えようと努める。
わかっていた事だ。もうかなりの時間が経過しているのだ、どの道死体は原型を留めずに腐りきっているか何処かで白骨化していた事だろう。
わかりきっていた事だ。甘い考えだと、笑われる程度には。
付き合いもそこまで長かったわけではないし、敵と通じていた裏切り者でもあった。かつての彼女ならばもう何の感情も抱かなかった事だろう。
ああ、弱くなったものだ。
「―――――そうか、ではころす」
柳花は自分でもゾッとするほどに低い声でそれだけ言うと、何の躊躇いもなく地面を蹴っていた。セイバーもそれに続き、長剣の輝きが一瞬だけ増す。
怪物も凪咲の指示に続いて動く。ただし今度は先程とは異なり、一斉に飛びかかる。戦法を変えてきたのだ。
「今度は、今度はしくじらない。だって人間ではないもの!」
凪咲の微笑みに合わせて怪物が皆、ボコボコと膨れあがっていく。体内の血液が暴れ回り逆流しポンプの如く収縮し、そうして逃げ道を失った結果がどの様なものか柳花は知っている。
怪物が一斉に破裂すれば歯や爪、臓物と言ったあらゆるものが弾丸となって柳花とセイバーを包み込む。防ぐ事自体は出来るだろうが、その場合は周囲の住居―――間久部邸までも巻き込みかねない。二者択一というわけだ。>>509
(お前は本当にわかりやすい。人の不幸を見るのがたまらなく好きなのだからな。きっと私を苦しめようとする、選びがたい選択を迫る。けれど頭まで弄られたのだろうな、お前は忘れてしまっているようだ)
セイバーは己が主の指示に従い、剣を振るう。
膨張し破裂するその瞬間に至るよりも先に異形達は、全員が一瞬にして切り裂かれていた。
「私は一人ではなく、我が騎士と共にいるんだ」
サーヴァント、セイバー。聖杯戦争において最優を意味するその名に違わず、荒削りながらも正確な剣技は爆発を未然に防いだ。不気味な色の血液が切り裂かれた怪物の断面からごぽごぽと溢れ、間歇泉の様に溢れ出ていく。
けれど血の一滴として柳花には触れられない。騎士が放つ守護の光は毒を弾き主を守り抜いた。その佇まいたるや、闇に中にあって濁る事なく煌めいている。
「あ―――――?」
「せめてもの情けだ。痛みを感じずに死なせてやる」
最後に一振り、柳花が剣を薙ぐ様に払えば眩い光の軌跡が走る。真横に、凪咲の胴体へと。
「ぅあ……!」
何をされたのかすぐに理解し手で傷跡を抑えようとするが、ずるりと生々しい音と共に凪咲の上半身と下半身が分離し、地面へと落ちた。みるみる内に溢れ出した赤と黒の混じった血液が路上を染め上げていく。
言葉が出ないのか、ギラギラと鋭い視線を向けながら凪咲は口をぱくぱくと動かす。柳花は何も言わずにじっとそれを見つめていた。>>510
「そんな体になれば、まだ生きていられるのだな。ならば――――」
「マスター、後ろだ!」
仕留め損ねたならば介錯は自らの手でするべきかと柳花が腰を下ろして死に体の凪咲へ手を差し伸べようとしたその瞬間に、その肩をセイバーが掴み真横に回避を取った。
何をするのかと問いかけるよりも先に何かがサッと先程まで柳花がいた場所を通過し、泣き別れになっていた凪咲の肉体を掠め取る。何事かと視線で追えば、夜空にけたたましい羽ばたきが鳴り響いた。
鳥と呼ぶべきか、それとも蛾か。この世ならざる異形が翼を広げている。
「……ああ、くそ。ここに来てようやく理解したぞ」
翼を持つ者が喉を鳴らす。鳥のものではない、もっと地の底から響くような雄叫びに近い声を。
「マスター、俺はどうにも不思議でならん。奴らと向かい合うだけで、胸の底で何かが震える。奴を見ると尚更だ」
「だろうな。私も奴らが何であるのかを理解した途端に、今すぐここで嘔吐したいほどだ」
「心当たりがあるのか?」
「あくまで噂話だ。魔術師の総本山である時計塔にはこの世ならざるものを集積する連中がいるとな。神秘を扱う者達が畏怖する代物など存在するのか?などと考えていたが……」
「しかし今俺達の目に映っているものは?」
「これはあくまで仮定だ、断定まで至らない。だが――弟橘媛は恐らく我々の摂理とは異なる次元の存在だ」>>511
翼を持つ異形は戦う意志を持たないのか、身を翻して夜空を羽ばたいていく。セイバーは追いかけるべきかと視線で問いかけるが柳花はかぶりを振った。
恐らくアレは凪咲がしくじった場合にその尻拭いをする為の要員だ。追いかければ敵の本拠地が何処にあるのか、手がかりは得られるだろう。だが追跡しようにもすでに距離を取られてしまっている。
「今は理仁と黒鳥だ。弟橘媛が黒江を走狗となっているのならば、本人は別行動を取っている可能性が高い……」
聖杯戦争はこれまでにない動きを始めている。それが何を意味するのか、柳花は胸のざわつきを抑えられずにはいられなかった。>>513
わぁ(*´∀`*)>>513
柳花とヒャルティの会話、良い…
お互い気の置けない関係とでも言いますか、遠慮がないやり取りが相性の良さを感じさせますね
そしておお黒江よ、何という無惨な有り様に
次に登場する時は一体どんな姿に成り果ててる事か>>517
身長に迫るクワもってるのいいですな…かわいい…
草抜きverや種まきverもいるのかしら>>519
あ、みなさんもやってくれる…?
ひとりでもやるつもりだったけど本当にそうなら張り切っちゃおう誰だよ趙雲君は槍で風操って敏捷ブーストできるって設定にしたけどよく考えたらコレだと長坂を阿斗抱えて馬乗って駆けた一番大切な逸話はどうするんだとふと思って絶望した奴。俺だよ。
そして色々考えた結果できたイメージが風で馬ごと追い風起こして愛馬加速させながら赤子抱えた上で馬上直立の態勢で手に入れたばかりの青紅剣を振るいまくる趙雲君という絵面です。どういう事だってばよ…?
>>423
そうですね…まず子供時代からの幼馴染の一族の年上って訳なので姉のように慕ってるのは間違いないなと思います。家族失ってからバルベルデに後見人とか養子みたいな感じ?になったリヒターにとっちゃバルベルデはもう一つの家族みたいなモンですし。
そんで性格的な点でも慈愛とか暖かい的な意味でホットだなって感じで思ってて好感度高いんすけど、多分強すぎてプレイが始まりそうなレベルの母性には恐らく少しビビってるかもしれんなって。あとビオ嬢に対して母性出してるのをバーニング(隠語)と言うリヒターが思い浮かんでしまった俺を殴ってください。>>527
時間過ぎたんで投下どすえ。
かなりの長文になりそうだったから、別の掲示板でよく使われてるオンラインサービスにアップロードしたので、リンク先から閲覧してくだせぇ。
https://telegra.ph/%E3%81%82%E3%82%8B%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-09-22>>526
成る程、ミイラ男
いやこの場合はミイラ少女になるのでしょうが、それはそれとして全身包帯ぐるぐる巻きにしたムジカ…
アリですね!(サムズアップ)>>541
手慣れてる…カボチャくりぬくのけっこう力いるけどまあほたるなら大丈夫か…
いつのまにか準レギュラー化してきてるコアクリイくん…夏バテ明けたしサムライレムナントでノリが乗ったのでリハビリがてら書いたSS上げてもいいですか?
ナレーションみたいな短さですが。>>546
反応あったのでチェストします!
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
時、場所は定かなれど誰が言の葉を告げる。
「満たせ、満たせ、満たせ、満たせ、満たせ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
それは奇跡の言霊だ。
「──告ゲル。
汝の身は我ガ下に、我が命運ハ汝ノ剣に。
聖杯の寄るべに従イ、この意、この理二従うならば応エヨ」
人の世において浅ましくも万能の奇跡を求め過去の霊を使ってでも願いを叶えんとする血で血を洗う原初に正しき闘争に挑む者達の。
「ちっかいをこっこにー!
われはとこよすべてのあくとなる──。
あれ?ぜんをしくだっけ?」
「芽亜、逆。善と成って、悪を敷くの」
「あ、そうだった!
われはとこよすべてのぜんとなるもの。
われはとこよすべてのあくをしくものー!」やっぱ召喚詠唱がちょいちょい違うとワクワクしますね!
どれが誰だろ?双木姉妹がいるのは解りますが……「告げる」から「応えよ」はもしかしてジジェだったりするのだろうか、答え合わせ?もあれば是非>>539
やはりバルベルデの人間は皆身を焦がしかねない程の正義感と悪を憎む心を持ってますね。これも一族の特徴というか血は争えないというか。
そしてコーデリア?オカルト趣味と合わないのはコーデリアよりもライカだと思うのですが。あ、もしかして苦手なものの悪霊、心霊スポットのことでしょうか。これはライカのような怖い的なやつではなくて家庭の事情でこれ以上人間霊、悪霊を背負い込む訳にいかないから対応が面倒。鬱陶しい。くらいのやつなのでそれほど致命的な食い違いにはならないかと。
>>540
>>542
ぱっと思いついたのはホムンクルスの方のニコレット先生は普通にお菓子を用意してて子供たちに配ってたけど隔離棟の本体ニコレット先生の方は用意してなくてそこにやって来たマレオ、みたいな。
>>541
きゃわわ。でも無の表情なのが繁忙期的なやつなのかもと勘ぐってしまう…。
>>548
>>これは、過去という因縁に決着をつける物語だ。
あらやだかっこいい。やっぱり『これは、〇〇物語』ってフレーズ好きですわぁ。
>>554
おやおや珍しい。うちの子が採用されてるわ。
まあ案の定そのアンドリューが原因でカチコミかけられてるんですが…。サムレムはもうガチで楽しみですね…アーチャーも勿論期待してんですが他のサーヴァントも色々考察見る限り面白そうなので期待しかないっすね…個人的にはアサシンが気になる
ところで児雷也完全版プロフ(書く予定だったイベネタバレ解説付き)と叛鎖プロローグ続き(イカれた敵陣営顔見せ編)だったらどっち先に見たいですか…?製作中なんですが優先順位が決まらん
>>538
良いですねえ…
そういや前のハロウィン絵リメイク色塗りしてなかったわせんと
>>542
ハロウィンパーティー中にガチ心霊現象ドッキリとかやりそう。いやマレ男ならやる
>>554
巽のオッサンが…聖杯戦争…!?
嘘予告とはいえマジで思いもしなかったモンぶち込まれて盛り上がりました
そしてキャスターもしかしてスヴィプターグさん…?ガチならすげえモン引き当てていらっしゃらないますねオッサン…!!https://telegra.ph/ラーズアルグール-09-27
未完だから全文は載せれないけれど漠然とした設定を…
サムライレムナントは推しが出ているので純粋に楽しみですわ~
でもkonozamaしそうですわ~(泣)
逸れのサーヴァント達はfgoのアップデート(スキル強化による名称変更)済みになるのか、それとも元の設定が正しいのか、の試金石になるので地味にSRのマテリアルが気になるのでした
あと地味に陰陽師の立ち位置が分かりそうでwktkしますね…!>>571
ほう...!
了解しました〜ファーフナーが完成したので投下します。
【元ネタ】ニーベルングの指環
【CLASS】キャスター
【真名】ファーフナー
【性別】女性
【身長・体重】171cm・60kg
【肌色】白 【髪色】黒 【瞳色】翠
【スリーサイズ】82/57/82
【外見・容姿】
艶やかな黒髪に翠眼の女性。
キツめに目を吊り上げている。下は革紐を巻いたミニスカート風の衣装に上半身は動きやすい半袖ほどの長さの服と上にかかった緑の宝石の付いたショールが特徴。
【地域】ドイツ
【年代】五~六世紀
【属性】中立・悪
【天地人属性】地
【その他属性】人型、竜、巨大
【ステータス】筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:B+ 幸運:D 宝具:EX>>573
【クラス別スキル】
陣地作成:B+
魔術師ではないが精霊種として、自らに有利な陣地を作り上げる。
“工房”の形成が可能。
使用する素材によってはより飛躍的に性能が増す。
道具作成:A
魔力を帯びた器具を作成できる。
キャスターの場合は魔薬等の魔術品ではなく、天然素材由来の装飾や武具などの礼装を作成する。
【保有スキル】
怪力:B
一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。
使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。
巨人外殻:C
巨人種の肉体を構成する強靭な外殻。
きわめて特殊な組成を有しており、攻撃的エネルギーを吸収して魔力へと変換する。
吸収限界を上回る攻撃については魔力変換できず、そのダメージを受けることになる。
サーヴァントの霊基に当てはめられたことによりランクダウンしている。
コレクター:A
より品質の良いアイテムを取得する才能。レアアイテムすら頻繁に手に入れる幸運。>>574
【宝具】
『悪竜現象(ファーフナー)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1〜50 最大捕捉:400人
悪竜現象。
キャスターの身を邪悪なる竜への変じさせる。
変異した竜の鱗は並の大軍宝具を寄せ付けず、吐き出されるブレスは鉄すら容易く溶解させる。
『祝福の黄金(インゴッド・オブ・ライン)』
ランク:EX 種別:資源宝具 レンジ:ー 最大捕捉:ー
キャスターが神々からの依頼を経て報酬として得た無尽の黄金。
物質として価値を与えるも良し、魔力資源として莫大な魔力を汲み出すも良し。内的世界に限るなら凡そ万能の願望機に近い使い方が秘められている。
ただし心せよ。この黄金には地底王アルベリヒの呪いがかけられており持ち主に不幸が降りかかる。
……使うということをせず“死蔵”しかしないキャスターには無用な代物であるが。
一向に争いが起こる気配がないと周囲の人間に対して夢(固有結界)という形で干渉し黄金を奪わせようとする。>>575
『金天影する神々の城(ヴァルハラ)』
ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:10~100 最大捕捉:1000人
キャスターが生前造りあげた神々が坐する城。宇に漂う黄金の居城。
世界樹(ユグドラシル)の影としてリンクする小木(レーラズ)により無尽蔵の魔力が供給されておりこの領域内にてはマスターに依存することなく力を振るうことができる。
数ある内、第五の塔(グラズヘイム)は“英霊召喚”の儀式場として機能する。
屋根や壁は神鉄製の素材で出来ており斜壁には数百もの魔銀(ミスリル)制の魔槍が射出兵装として搭載されている。
城内外はサーヴァントに比する人工の鷲や狼型の使い魔が防衛している。
場内は540もの部屋がありそれぞれに魔術的な効果が付与され、高位の物品も拵えられている。これらはキャスターの一存で迷宮のように組み替えたり内装を変更することが出来る。
またこの宝具は玉座に座する者に与えられるモノであるため一度限りであるがキャスターからの譲渡があればキャスターが消滅した後にでも使用が可能となる。
【Weapon】
大杖
キャスターが通常時に使用する礼装。
正統な魔術師の緻密なソレには及ばないが周囲のマナに干渉し魔術的な現象を引き起こす。
【解説】
ニーベルングの指環に語られる伝説の邪竜。
北欧神話で語られるソレとは起源こそ同じであるが別人であり、座も共有しているがステータスもスキルも異なる。
ラインの黄金か菩提樹の葉でのみ触媒での召喚に応じる。
北欧のソレに由来するものでは触媒としては適さない。
戯曲『ニーベルングの指環』においては巨人族として描かれ、兄ファーゾルトと共に大神ヴォータンは神々がための巨城『ヴァルハラ』を造るように依頼される。>>576
建造後、報酬として渡される筈の女神フライヤを大神ヴォータンは差し出さず契約を詰めた悪神ローゲに事態の収集を計らせる。
ローゲは種族の確執からニーベルングの有する財宝を替わりに提示するがヴォータンはそれすら拒みいよいよ兄妹はフライヤを無理やり連れ出すという暴挙に出る。が故に神々は若作りの林檎を得ることができずに老い始めてしまう。
事を重く見たヴォータンはローゲと共に地底王アルベリヒから黄金を簒奪し知恵の女神エルダの警告も受け黄金を巨人二人に引き渡すことになる。
その後黄金の取り扱いの行方で争いとなったファーゾルトとファーフナーはファーフナーがファーゾルトを打ち殺.したことで幕を下ろす。
末路は存知のように黒竜となったファーフナーは財宝を貯め込んだ洞窟にて銀の英雄によってその心の臓を穿たれた。
【人物像】
高級嗜好で狡猾的。
仕事には真摯に取り組むが故に契約関係を重視し労働に対し相応の報酬は有るべきとしている。
良くも悪くも内的であり蒐集家(コレクター)かつ創作者(クリエイター)思考であるため意識の向け方が嗜好に触れるか触れないかで上振れ下振れが激しい。
特技:建築及び装飾作業
好きなもの:お宝
嫌いなもの:価値のない凡物、ニーベルング族、契約報酬を履行する気のない相手
天敵:ファヴニール
願い:己が仇敵、ジークフリートとの最期の瞬間を永遠のものとしたい
【一人称】私
【二人称】お前
【三人称】アイツ>>577
【セリフ例】
「だってにいさ……、ファーゾルトはあの黄金を人間の為に分配するなんて言ったんだぞ?
それは“使う”ってこと……、100が欠けるということでしょ?あの美しさが損なわれるなら殺.すしかないだろう」
「いいか、お宝というものは唯一無二であるものだ。この世に同じものなど1つとしてない。
だからこそ模倣に価値などない。どれだけ真に近づけようがその価値がオリジナルに並ぶことも超えることもない。
代替出来てしまったら、“その程度”のものに成り下がってしまうだろう?」
「私をあんな荒くれ者と一緒にしてくれるな。私が世界なんぞ荒らすわけが無いだろう。
私はただ美しいモノを愛でていたいだけなのだからな」
【因縁キャラクター】
ファヴニール
北欧に根ずるもう一人の“彼”。
破壊者と創造者という相反するスタンスから相性は良くはない。
ジークフリート
生前の命を奪った英雄。
ファーフナーが執着しているのは我武者羅であった人間であった彼であり英霊ジークフリート自体にはそこまで方向は向いていない。
それはそれとして当人からあの戦いの仔細を覚えていないと告げられると機嫌が良くなる。
ネブカドネツァル
カルデア建築会の同僚。
かの空中庭園は実にいい。奪っていいか?>>579
マジに御座るマジに御座る。
黄金奪って引き篭もって人生?終了ですし。
だからバーサーカーの方と一緒にするなと言っている。
奇麗な宝石だとか結晶とか諸々壊れるじゃろ?>>581
ここのえさんがよろしければ構いません。
ファーフナーの綺麗な、美しいもの好き!暴れんな、壊れるし無くなるだろ!?というコレクター的な精神をファヴニールが意に介するか分からなかったので。
なお邪竜対決するとヴァルハラ持ち出さん限りはだいたいファーフナーが負けます。邪竜としてもBランクなので……。
主神が自分を打倒すると想定した存在と建築に優れた一般巨人族じゃフィジカルからして違うからネ!
まぁ、そうそう聖杯戦争で会う機会が無いのですが。「………今回はちょっと趣向を変えてみたんだぁ。いつもみたいに俺のプレゼントを中心にするもいいけどぉ、偶には、面白い事もしてみたくなっちゃって〜」
集積し、肥大化する。それが今のこの博物館の方針である。しかしそれは各部門長を務める四人の意向ではなく、館長を務めるあの化け物の意向だ。それに従うもの、反発するもの、従いながらもどこかしらで反発するもの、形はさまざまだが部門長はそのように関わっている。もちろん、ハートの部門長、マイア・シューグリット・ヒュンケルも例外ではない。彼は魔術師として館長の意向にある程度の理解を示す。彼の在籍していた考古学科もまた似たような方針であったから。
しかし、だからといって溜め込むばかりはよろしくない。世の価値は流動していくものだ。多少の動乱があってこそのものだとマイアは世界を定義する。博物館においてもそれは例外ではない。故に、少し手を加えた。彼女という存在を中心、主人公とした動乱ではなく、彼女が舞台装置となった動乱を楽しむことにした。それが彼女の運命として最も相応しいからだ。
「アンドロメダ……いや、パンドラかな。極めて局所的な因果改変。自分だけが助かる災害を起こしてしまう禍福の乙女。面白いなぁ、楽しみだなぁ。下層行きを許可したし、きっととんでもないものを起こしちゃうよねぇ〜」
脱走も、取引も、全てはマイアが望むことだ。彼は神秘の保全ではなく、人の心の紡ぐ物語を好む。人の心は億人億色。一人一人の物語が、運命が、マイアの心をときめかせる。能動的で活発的。故にマイア本人が事態の中心になることはなくとも、重要なファクターを構成することは多々あり得る。今回においてもそれだ。濁歪工房、封印指定となった男の渾名がそれを表している。
だからマイアは微笑んでいる。いつも着こなしている服装も相まって、本当に胡散臭い。ただ外見を見るだけなら、繁華街を遊び歩く軽薄な顔の良い遊び人のようなものだが、声が付くと詐欺師のようにも思えてくる。身体中につけたアクセサリーの音もうるさい。これで本当に仕事中なのか。
「リーダーァァ!!」
「ん?……おっと」白衣を着た少年が怒号をあげながら襲い来る。振り下ろすのは人の動体視力では捉えきれないほどの速さの刃である。たとえ強化魔術を施した魔術師であろうと、戦いに慣れ親しんでいなければ身体能力による防御は難しい。何かしらの防護魔術が必要だ。しかし、巨人の穴蔵の出である少年はモノづくりに長けている。現代の文明レベルに合わせながらも防護魔術を貫通する振動の長剣を作ることなど造作もないのである。
「どうしたんです?僕にそんなお熱になってしまって」
「ふざけたこと抜かすのやめてくださいリーダー!!あなたの送りつけた作品のせいで博物館は大混乱です!上層、中層から管理難度D、Cが4件ほど暴走、中層および下層から管理難度B、Aが5件ほど暴走しているんですよ!?」
「え?それはとても興味深いですね!そうなるとは思ったけど想像以上じゃないですか!見せて見せて!」
「いい加減にしてください!!スペードとクラブの部門長がお怒りです。見つけ次第殺されますよ!?ってか私が殺し.たいぐらい!」
己を極める内に辿り着けるものがある、というのがマイアの持論だ。すなわち、使い魔に頼らず自らが強くあらねばならないというもの。それは自身を鍛え上げることにも表れており、剣の刃をブーツの蹴りで止めている。涼しい顔や飾った服装の裏側には、鍛えた肉体がある。分割思考と高速思考を用いた先読みの攻撃も全て、マイアの身体能力が上回っている。というかそもそも、殺したところで次のマイアが出てくるだけ。見た目や性格とは裏腹に、真正面からの戦闘に優れた武闘派である。
「死人は?」
「ゼロです!暴走したD、Cの一体ずつがなぜかこちらに加担して鎮圧に協力してるからですけどね!今頃もっと死ん.でてもおかしくないんですよ!?」
「それでもでしょう。何かありました?Aは……あの子が行ったあたりだとイースとか危ないんじゃないかと」
「あなた以外の三人が熱心に頑張っていらっしゃるのでご無事なんですよ。イースは……よくわかんないですけど。とにかくあなたも早く来てください!C、Dなら出来るでしょう!?」
「了解です。楽しくなってきましたね」なぜこうなったのだろう、と少女は回顧する。ここに迷い込んだのは偶然だ。手元に現れた入場許可証。それを持ったはいいものの使う気はなかったはず。それなのに、あれよあれよとさまざまな運命が重なって、私はここにいる。少女はただの女の子だったはずなのに、それを許さない因果があった。その結果がこれだ。こうやって血腥い地下に降りてきて、得体の知れない化け物と対面している。
「あ、あの、私は何もしてないですから。許してください」
「何もしていない?……面白いことを言うのですね。その身に宿るは禍災の業。あなたがいるだけで周りは全て不幸に転げ落ちていく。あなただけは無事なまま。けれどそれはあなたのせい。そうでしょう?」
「何が、なんだか……何を言ってるのかすら……」
「自覚がないのですね。自覚がないまま周囲を巻き込む。あなたは自分が何もしていない平凡な人生を送っていると思っている。あなたがあなたの知らぬ間に、どれほどの不幸を引き起こしているか。目を背けているのかと思いましたが、本気であなたは自分の行いに咎がないと信じたようです」
透き通るような水晶で形成されている。眼前にいるそんな女体の人外は、こちらを馬鹿にするのでもなく、憐れむのでもなく、ただ無機質なままに手のひらをかざす。一目で分かった。あれは既存の技術体系の全てを凌駕する得体の知れない何かだ。そんな物質で作られた小さな透き通った針だ。
そこに秘められるのは呪詛。呪いの朱槍のような強固な因果逆転ではないが、当たりやすい因果を作り出すもの。本来であれば科学と魔術をかけ合わせ途方もない時間と費用をかけて完成させるものを、呆気なく作り出す。これがイース。古代に生まれた人知未到の未来都市。機械仕掛けのアトリエである。
「そのキューブ状のネックレスがあなたの異常性を高めているようですね。あなたの悪性を明確な力として形にしている。本来であれば並大抵の攻撃も通用しないのでしょうが……それはワタシでなければの話。力押しで対処は可能です。どちらがより強固な因果を造れるかという話ですから」
「…………」
「さようなら。次はもっと利口に生きてください」「だってよ朝夜!こいつ俺らのこと舐めまくってるわ!」
「別にいいじゃないそのままで。足下掬いやすい方がやりやすいからね」
「黙って仕事をして。あなた達からぶちのめしますよ」
日本における高校のブレザーを身に纏った男子が二人、黒いスーツに身を纏った職員が一人。少女の顔色からして男子の方はどこかで見覚えがあるようだ。……それもそのはず。彼らは両方、博物館の展示物である。ただ“可哀想”という理由で身勝手に少女が解放したので、鎮圧されるまでの間はこうやって自由に活動しているだけである。その自由を展示物の鎮圧に使っているのは彼らの要求を通すためだ。
「俺らがちゃんと手伝ったら生活環境ちったぁマシにするんだよな?今の部屋Wi-Fiもねぇんだぞ」
「うーん……感覚が過敏な僕のこと気遣ってくれるのはありがたいんですけど……流石にその、一般の人が見るのに全裸で展示されてるのは……スウェットとかでもいいのでください」
「なら無駄口叩かずどうぞ。今のところ私だけでやってるからね」
この職員に魔術回路はない。それでも博物館の展示物たちに対応できているのは、ハートの研究による、展示物の断片を使用した特殊な装備を身につけているから。とある一件以降に彼女が手にした断片は展示物の中でも神代の物に近い。だからこそ、ナイフへと作り変えた断片による神秘で先程の針を切り飛ばしたのである。「世界樹の枝分かれ。植物の幻想種ですか。とはいえ、本来神代と人の世は別れて然るべきもの。いかに武器の形に加工されていたとしても、人の身で扱って何もなしとはいえません。……肉体を物理的に削っていると見ますが、どうでしょう」
「死ぬよりはマシだと思わない?それに私よりもベテランで優れた職員はさらに酷いわ。肉体にまで織り込んだりして、この博物館でしか生きられないもの。外に出たら死ん.でしまうのね。それに比べればマシでしょう?」
「ええ。……興醒めです。ワタシに神代のものを蹂躙するつもりはありません。ワタシと同等ならば別ですが、それ以外はどうにも。戻ってあげますので早いところ、そこの厄災を鎮めた方がいいかと思われますが」
空間転移で消えていったイースを見届け、ため息をつく。今回暴走した展示品の中で一番の危険物だったから。この件で多少なりとも死人は出るだろうが、死者の総数が大量になることは避けられる。我らが英雄は忙しく、ここまで手が回らない可能性も十分にあったから。だからあとは、目の前のこれを処分するだけ。
「ハートの部門長から確認が取れました。あなたが今回の展示品暴走の一件の起点だと。なので私はあなたを処分します」
「うわすっげー。今でも自分は何も悪いことしてねぇって顔してる」
「本当に分かってないよ。わかってないからそうなるんだし。どうしますか職員さん。僕たちがやってもいいですけど」
「そうですね………あっ」鎮圧後の博物館。クラブの部門長であるヒノメの執務部屋に、マイアは座らせられている。といっても客人としての扱いではなく、床に正座をさせられているのだが。マイアの見た目も相まって、若者が闇金の債務を取り立てられているかのよう。ただ、今回の件は十割でマイアが悪いのでなんとも言えない話である。普段温厚な表情を浮かべるヒノメも流石に硬い顔色を浮かべるが、それよりも恐ろしいのはスペードの部門長、アルテミシアである。ただの凡人であれば呼吸が止まりかねないほどの殺気を放っていることからも、本気で怒っていることがわかる。
「流石にやりすぎだよマイアさん。あなたが趣味に興じるのはいいけど、その責任を取るのはあなたじゃない。僕たちだ」
「お前のせいでうちの職員が九人入院した。職場復帰まで最大で半年。ただでさえ人員不足なのにお前のせいでさらに苦境に立たせられている。ティムの融資も金の生成もタダではないんだぞ」
「あはっ、責任とって俺が治療代出すって。悪かったって思ってるんだよ〜?でもさ、あんなの見ると楽しくなっちゃって」
「処分対象を逃がしたのもよくないね。あなたの立場でなければ僕たちは弁明の余地もあげてない」
博物館の機能の一端である空間転移。部門長と館長の計五人しか扱えないその特権を用いて、マイアはあの少女を外に弾き出した。生きているだけであらゆる災厄を振り撒く少女を、世界の外に開放した。本来ならば生かしてはおけない。即座に処分し、変換した状態で博物館に展示すべきだ。それを推したのは他ならない英雄、アルテミシア。しかし出来なかった。それを執行する前に、マイアが逃がしてしまったから。今頃少女は、外で変わらずさまざまな事件を引き起こしている。誰かを不幸に転げ落としている。もちろん、無自覚で。
「はぁ……もういい。お前に何を言っても解決しない。私が外で勝手に殺しておく」
「問題はマイアさんなんですよ。僕は……怒ってはいるけど、展示物鎮圧に参加してくれたのもあって、まああと僕の部下たちには死人は出てないのでそんなに怒ってないです。でもそれは僕の話なので」「私は怒っている。お前を殺しても殺したりないほどに。しかし……お前は殺しても死なない」
「あははっ!流石にもうやめちゃった?俺を殺.すなら相当根気強く、俺だけをみてくれないとね。でもアルちゃん、そんな余裕ないでしょ?常日頃誰かのために駆け回ってて忙しいもん」
我思う、故に我あり。本来の意味合いとは違うが、これがマイアを象徴する言葉である。マイアが世界における自身の存在を疑わない限り、殺したとて別のマイア・シューグリット・ヒュンケルが現れる。彼が彼を想う限り、この連鎖が途切れることはない。だからこそ、難しい。
「そうだな。だから私はお前を殺さない」
「っ、ぐっ゛……!?」
「その程度の魔術防護で防げると思うな。私は帰る。行くぞヒノメ」
「うっわー……あ、痛み止めここに置いておくね。じゃあ僕もご飯行くから……」
その蹴りはまるで砲撃の如く。マイアのアクセサリーに仕込まれていた防御術式を紙細工もかくやと言わんばかりに吹き飛ばし、腹部を打ち抜く。しかしながら殺しはしない。殺しはしないが、内臓や筋肉に深刻なダメージを与える。その分水嶺を見抜き、実行できるのはアルテミシアの冴え渡った技術力ありきだ。ヒノメからはご丁寧に魔術回路を阻害する毒も仕込まれてしまった。自力で這って医療部門の場所に行かねばならない。部屋の鍵が開いているのは慈悲だろう。
「っ、は……いやこれツラ……っっ……痛ぅ〜〜……ははっ……」
終わりです>>595
そういう意気込みの来客はいらっしゃいますけどガチで全部を、みたいなのってなかなかにいないですからね
そりゃあマイアも大笑いして下層行きを許可するだろうなぁと>>594
嘘CMなんで正直、そこまでは考えてなかったりする。(死)
では、アサシン陣営編をどうぞ。
アサシン「ビオランテ・バルベルデだな? 主君の命を受け、貴様自信を貰い受けに来た」
ノイヴェーラ「仕事を全うしてくれるのなら、変にお喋りでも問題無いわ」
ノイヴェーラ・スィーノ / アサシン
ノイヴェーラ「キルケーに連なる回路と刻印を持つ一族で、この地にいるのはビオランテただ一人。贄としてこれ以上ないほどうってつけね」
アサシン「専門外だけども、マスターちゃんの命令とあらば!」
Fate/BLUE STREEK~皇江戸京聖杯伝奇~
アサシン「それに人一人攫うぐらい、……鏖殺よりも他愛ないことです」>>608
かっこかわいいー!ワルキューレすぐ羽落ちる
>>612
神霊はまだしもビーストは……寝る前にイスマエルを登録してきました。
ではー。>>631
それなら良かったです!キャラ改修中……やはり初期のやつは粗いところがチラホラ……大罪戦争……
もうすぐハロウィン……つまり、“やつ”の季節……
?????「ふふふ……畏怖いか……!」>>635
んー……個人的には3番ですかね>>637
は、早まってはいけない……!>>637
休むでござる!>>637
日を置いて、そして改めて書いてみるのでござる。
自分も納得のいかないものが出来上がると、一旦放置して刺激をくれる何かに触れてます。昔好きだった漫画やら、アニメやら、小説やら、ドラマやら、曲らなど。
後は……納得いかずとも取り敢えず完成させて、あとから清書するという手も。>>637
ちょっと自分を追い詰めすぎてる気もするので美味しいものいっぱい食べて自分を甘やかしたりするとかどうでしょう
カツカレー食べましょカツカレーAIイラストアプリくんに「ヴクのイメージイラスト描ーいて!」って頼んだら「ネットワークエラーだから無理です!」って言われてしまった……。明日明後日辺りでもリトライはするけど、1年間分のサブスク料貰っといてそれはどうかと思うよ!?
───なんなら前身のアプリも告知無しでサ終してたな……。
>>637
京極さんは自責が強過ぎるのです……。引退とかする必要はないのです……。
逸る気持ちも解らなくはないけども、リレーでもなし、〆切もナシなので、「完成せんし、いいアイデアも浮かばんかったわ、まぁしゃーない次々」ぐらいのメンタルでいいのよ
今はマイナススパイラルに陥ってるようにも見えるし、もっと無責任になるべきです。所詮遊びですわ神霊云々言い出したので、一人お出ししてみます。
【CLASS】キャスター
【真名】メングロズ/Menglǫð
【性別】女性
【身長・体重】168cm・57kg
【スリーサイズ】B93/W57/H89(Gカップ)
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷E 魔力A++ 幸運EX 宝具A
【保有スキル】
陣地作成:EX
魔術師として自ら有利な陣地である「工房」を作り上げる能力。炎の牆壁たるガストロープニルの砦を自由に顕現させるからこそ、規格外のランクを有する。
道具作成:A+
魔力を帯びた道具を作成する。癒しの女神であるメングロズは、ミーマメイズの枝に生る黄金の果実があれば蘇生の霊薬すら作成を可能とする。>>644
女神の神核:A
生まれながらに完成した女神であることを表す固有スキル。神性スキルを含む複合スキル。精神と肉体の絶対性を維持する。精神系の干渉を弾き、肉体は成長・変化しない。
医療の女神:EX
医療を司る女神としての権能の断片の発露。心身に対する癒し、回復行為に大きなボーナスか入る。高ランクになると不可逆な損傷すら「元どおり」に戻すことすら可能。
【宝具】
生命の館(リル)
・ランク:A+
・種別:対死宝具
・レンジ:0〜50
・最大捕捉:100人
巨人領域ヨトゥンヘイムの一角、メングロズの支配領域である炎の牆壁にて囲われたガストロープニルの内部、霊峰リフャベルグに建てられた館を具現化する。メングロズが権能を十全に発揮する為の領域を作り出す宝具。
効果範囲の中で、メングロズが認めた存在には祝福が施され、如何なる損傷を受けようとも不死身の如き治癒能力が得られる。
この宝具の主な能力は治癒ではあるが、防衛機能がない訳ではなく砦の門番であるフョルヴィズの手や足がどこからもなく叩きつけられたり、また原初のルーンが飛来してくる事もある。>>645
九神の侍女(リルディース)
・ランク:A
・種別:侍女宝具
・レンジ:-
・最大捕捉:9人
メングロズの仕える侍女たち。全員もれなく女神であり、医療に関連付けられた権能を持つ。宝具扱い兼女神なので自由に顕現可能。
・フリヴ/Hlif
その名は「救援」を意味し、北欧においては女性たちの助けになる女神。全ての妊婦を助力を施し、不妊に関する問題解決に取り組むとされ、安全な出産の為に権能を振るう。また、乳児を保護する役割を持っている。
侍女の中では一番バブみを感じる女神であり、そっちの趣味の男性陣には変な意味で人気だとか。
・フリヴズラサ/Hlifthrasa
その名は「呼吸する者の救援」を意味し、名前が示す通り呼吸に関係する女神。酸素不足や、肺に何かしらの疾患を抱えた患者を救う力を有し、また呼吸器官にのみだが外的要因からなる有害物質を取り除く役割を持つ。
侍女の中で実は一番キスが上手い。
・ショズヴァラ/Thjodvara
その名は「人々の守護者」を意味し、肉体の療法を司る女神。肉体に関する専門知識を豊富に有しており、筋肉の動きを阻害する疾患や、骨に巣食う疾患を取り除き、これを助ける役割を持つ。また、その他にも皮膚の病を治す力も持つ。
落ち着いた性格で、マッサージ師のような相手をリラックスさせる声と話術を持っている。・ビョルト/Bjort
その名は「明るい」という意味を有し、体温を司る女神。高体温や低体温に陥らないように体温を調節する役割を持っており、それに伴って発症するであろう病気を未然に防ぐ。また、温熱療法と冷熱療法を使ってでの体調管理も行う他、名前の由来である「明るい」から太陽光を制御して医療に利用している。
名前を体現するかのように朗らかな性格で、相手を嫌な気持ちにさせない太陽のような人物。
・ブレイク/Bleik
その名は「白」を意味し、体内に巣食う病原菌の浄化を行う女神。つまりは白血球を司っており、外から摂取してしまった細菌を排除して身体の免疫力を上げる役割を持つ。
やや潔癖症のきらいがあり、仕事とプライベートでもゴム手袋やマスクを常備している。偶に「気安く触らないでください」と冷たい声で言って相手をMに目覚めさせる事も。
・ブリズ/Blith
その名は「幸福」を意味し、脳や精神における障害を取り除く女神。精神疾患に罹ってしまった人々を助け、心を安定させる役割を持つ。特に睡眠療法に力を入れており、睡眠がメンタル回復に一番効果があるので、不眠症などのといった睡眠阻害の対応にも当たっている。
仕事柄、心を開かせて患者の中に踏み込むせいか、相手に気があるかのように勘違いさせてしまう場合が多い。
・フリズ/Frith
その名は「秩序」を意味し、診断して適切な療法を行う女神。所謂肉体を安定させる機構、肉体の異常検知能力であり、肉体のバランスを保とうとする役割を持つ。
侍女たちの中でリーダーシップを取る立場だが、役割が役割なので影が薄いと思われているのがコンプレックスだったりする。所謂リーダーだけどセンターじゃない的な。
・アウルボダ/Aurboda
その名の由来は不明だが「提供者」という意味が含まれており、薬学に長けた女神。多くの薬草についての知識を持ち、それらを調合して薬にも毒にもなる秘薬を作り出す技術を有している。
侍女たちの中では一番インテリな雰囲気を纏う女神。眼鏡を使用している。
余談だが、ギュミルの妻であり、豊穣の神フレイの妻であるゲルズの母親とは同名だが、別人である。>>647
・エイル/Eir
その名は「慈悲」を意味し、北欧神話においても最良の医師と称される女神。戦場にて負傷者を手術する外科医であり、死の淵に瀕した者の前に姿を現すとされている。執刀医なので肉体の切開など熟知しており、それを利用した戦闘も可能。
侍女たちの中で一番能動的で行動的。理論を大切にしているが実践はもっと大切だと考えている女神で、職場ではエース的な立場にいる。
余談だがワルキューレのエイルと同一視される。
【解説】
北欧神話における医療の女神。巨人領域ヨトゥンヘイムの一角であるガストロープニルのの実質的な統治者。
記述の少ない女神であり、その存在は『スヴィプダーグの歌』のみに語られている。
ミーマメイズの枝に生る黄金の果実を使用して女性たちを助ける女神。
女神の中では稀な善良な性質を有しており、メングロズ自身の出生は不明。
女神ではあるが他の神々との接点は少なく、メングロズの人となりを知るのは、助けを求めて訪問してきた女性たちか、その性質を知る数人程度。
スカディが「麗しき花嫁」と認識されているのであれば、メングラッドは「庇護すべき女神」、か弱き存在と認識されている。
後に運命の人であるスヴィプダーグと対面し、結ばれた。>>648
【人物】
人間体であればそこそこ長身の女性で、非常にワガママなボディをしている。
威厳のある立ち振る舞い、仕事のできる女の姿勢と、遠目で見る分には非の打ち所がないように映るが、その実仕事以外の事柄に関しては何もかもがダメダメである。
プライベート時の私生活はだらしがなく、侍女に身の回りの世話をしてもらわなければ、溜まった洗濯物の下に埋まる生活を送る可能性がある程に自堕落。
本人曰く「一度やってみたけど、ダメだったわ」と供述しており、それ以降は諦めてしまった様子で侍女に任せている。
夫のスヴィプダーグは、表面上クールに接しているが、内心は好き好きオーラで溢れていて、周囲に気づかれていないと思っているが、普通にバレている。だが、これ以上あって無いような威厳を崩壊させる訳にもいかず夫、侍女、門番の全員が敢えて目を瞑るのが暗黙の了解。
しかし、医療に取り掛かる際にはより「神らしい」一面を見せるので、決して威厳がない訳ではない。
【能力】
医療を司る女神だけあって、その能力に右に出る者はいない。大神オーディンが原初のルーンを用いても、メングロズの権能の方が確実と言っていい程。
荒事は苦手で、戦闘などはフョルヴィズやエイルに任せているが、女神なので人間より普通に強い事を忘れてはいけない。>>651
存在がエリクサー、フェニックスの尾が後方支援にいたら、そりゃいの一番に潰すよね。私だってそうする。>>654
ビオランテ「いきなりキナ臭くなってきたわね」
セイバー「マスターを見て計画に梃入れしたのか、最初からマスターを狙っていたのか」
ビオランテ・バルベルデ / セイバー
ビオランテ「恨まれる覚えはあり過ぎるけど、人攫いに狙われる謂れは無い筈よ!」
セイバー「軽々しく真剣勝負には応じないぞ。言うだろ? 死んだら元も子も無いって」
Fate/BLUE STREEK~皇江戸京聖杯伝奇~
セイバー「一度抜いたからには……斬る!」
以上。
バーサーカー陣営の〆は「クッチーならビオランテと相対した時、時代劇世界線でも言うだろうな」と考えてLunaticでのあの台詞を、ほぼそのまま借用させていただきました。>>640
ありがとうございます……!
もうちょっと○っぽく……了解しました、頑張ってみます>>637
無理に書こうとする必要はありませんよ。書けるようになるまでのんびり他の方のssを読んだりして過ごせばいいのです。果報は寝て待て、です。
>>650
まさに生きたエリクサー。神霊だからとかなんとかで制限しないとどこまでも頼りきりになってしまいそうです。
>>653
前にもちょっと話したと思われますがアンドリューはいくつかの条件を達成するまではそれこそWASPの子供たちや神羅との契約を盾にしてでも生き汚く逃れようとしますが条件を達成すると拍子抜けするくらいあっさり死を受け入れるんですよね。
なので多分縛られて絶体絶命な状況でこんな人を食ったような態度をとってるってことはおそらく条件を達成してていつ死ん.でもいいってなってると思われ。冒険旅行記の続きお出ししてよろしいですかー
んではではさくさくいきまする
回るよ回る。ぐーるぐる回っていくトロッコに乗って私はのんびりと下っていく。
らせん階段のように回っていくかと思いきや縦に一回転二回転と回る箇所もあって案外楽しいこのトロッコ。これ作った人はけっこう遊び心があるのかもしれない。でも坂道だけで加速しているっぽいけど上りはどうするんだろう。
まあそんなこんなで体感時間がちょっと曖昧になるくらいトロッコで楽しんでから私は下層に到着した。
「はーい、長旅お疲れちゃーん」
「あれマイアさん? なんで?」
下層にて、私を待ち構えていたのはさっき中層で別れたばかりのマイア・シューグリット・ヒュンケルさんだった。
「先回りしておいたんだ。ここから先は僕が案内役しようと思ってね」
「え、いいんですか!」
「いいよぉ───ただし」
「ただし?」
「見学していい展示品はひとつだけ、一か所だけね」
「えー!?」>>664
大変残酷なことを言いだしました。一か所だけってここまで来てそんなひどいことを…………そりゃあこの階層もまた空気が違う。上層、中層、下層、とひとつ階を降りるたびに肌にぴりぴり来る感じが強くなる。危険だと言葉にされなくてもすぐわかる。許される滞在時間ってものが極端に短くても理解はできる。できるけど……。
「あ、ちなみに『危ないから』って理由だけじゃないからそこは誤解しないようにね」
「えっ」
じゃあいいじゃん、と言いかけた私だったが直後に口を閉じることになる。
「さっき連絡がきて君の上司になるティム・ドルチェと君の先輩にあたるカヴン・プラミアがカンカンに怒っててねぇ、今すぐ連れてこいってさ」
「…………」
そうでした。軽い職場見学のノリでこんな深いところまで来ちゃってた。どうしよ、こ、これでクビになっちゃったりする……?
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよぉ、ちょーっと怒られるだけさ」
「バイトをクビになったりとか……」
「あはは、ナイナイ! そのくらいで解雇してたらこの博物館は永遠に人手不足さ」
「じゃあいいや」
ポジティブにいこう。怒られるのはヤだけどそこはもう自業自得ってことで。>>665
「それで。これからひとつだけこの下の階層での神秘をお披露目するわけだけどぉ、どういうのがいいとか、ある?」
「リクエスト可ですか!?」
「可だよぉ、なんでもあるから好きなの言ってごらあん?」
「えー、えー! どうしよう! なんでも? なんでもいいんですか?」
「うん。なんでも、だよぉ」
「どうしよ、どうしよう…!」
すごく悩んじゃうぞ、これは。もはや理由は言うまでもなく。ひとつだけ選ぶしかない事実がひっじょーに悩ませる。ああああ全部って言いたいよぉ。
「悩む時間が長ければ長いほどたったひとつを見れる時間も減るから気をつけてねー」
「ええぇええぇぇええ」
余裕をなくさせないでほしい! ああまってまってまって、まってって! うあああどうしよう? 神秘の濃度で言えばどれも最上級だし、私はまだ自分の魔道をこれと決めきれていないから神秘の方向性や地域や年代で選ぶのも違うしじゃえーっとなるべく長く楽しめる……そうだ、見るだけじゃなくて、
「お喋り!」
「ん?」
「お喋りができる展示品って、ありますか! 呪われたりしてもいいので!」
「あるよ。恐れ多くも神の時代、古代の魔神っていうド級のやつがね」>>666
「じゃあそれで!」
「はーい。じゃっ、こっちについてきてねー」
ちょいちょいと手招きに誘われるままついていく。
どんな神秘と会えるだろう。なにを話せるだろう。なにから話して、なにから聞こう、いつものクセで質問攻めしないように気をつけなきゃ。
ついでに私に興味を持ってくれたら最高にうれしいんだけど、もってくれるかなぁ、興味。
・ ・ ・
なんだこれ。
私はなにを見せられているんだろう。
「もっぐもっぐ……むっしゃむっしゃ……」
さして広くもない部屋で、成人男性らしき姿をしたその生き物はなにかを食べていた。それも寝そべったまま。背中を向けたまま。
肘をついて頭を支えた姿勢のまま残った片手を動かしてなにかを食べている。見るからに行儀の悪い、休日のダラダラした姿という感じ。>>668
心臓も息も血のめぐりもなにもかもが、抑えつけられるみたいに止められた。止まったかのように、錯覚させられた。
止まって終わってしまいそうな生命活動を気合と魔力と負けん気を総動員して無理くり動かす。動かせ、動け……動いたっ。
「ほお、残したか」
「死ぬトコだったけどね!」
「やー、生きててよかったよルナちゃん。今ので死んじゃったりしたら一回殺されるくらいには怒られそうだからさー」
「む? よく見ればあの女がいないではないか?」
「そだよブファスくん。今日は君に会いたいって言う子がいるから連れてきたんだ」
「……見縊られたな。あの女の剣もつけずに観光気分か?」
「ちなみにコレは特別サービス分のポテチね」
「おお、わかってるではないか! うんうんじっくり見学していくがいいぞ」
マイアさんがどこからか取りだしたお菓子の袋をブファスと呼ばれたソレはいそいそと開けて食べだした。ちょっと子供っぽい。
……さっきの視線がうそみたいだ。
「ルナちゃん大丈夫ー?」
「ぜ、全っ然、大丈夫、です」
「だよねぇ、猛獣の檻に入るどころじゃないってわかってて、それでもこの部屋に入ったんだからそのくらいで死なれちゃあねぇ」>>669
「……死ぬとは思わなかった、って言うつもりはないですけど」
「んー?」
「マイアさんは死ぬとか思わないんですか? さっきのアレの反応見るにちゃんとした担当の人がいるんでしょ? マイアさん意外の」
「おっ正解せいかーい。そうだよーあの魔神が本格的に暴れるようなら俺も死んじゃうかもね」
「私に付き合うのに命までかけるタイプじゃなさそうなのに……」
「あっ、ひどーい。でも、うん、俺は一回二回死んだくらいじゃ滅んだりしないからね。魔術師だから」
「魔術師ならみんなできるみたいに言う…………」
「あははっごめんごめん。でもルナちゃんも同じようなことは出来るようになってたほうがいいよ? こういうことを続けるならなおさらね」
「むう。たしかに」
「てか俺とお喋りしてていいの? 本来の目的はアレでしょ?」
「……えー……」
マイアさんが指さすアレとやらに視線を戻す。
赤みを帯びた四肢は渡されたお菓子を食べるためだけに動いていた。
「うまい! まいまい! やはり供物はポテチに限る!」
「あ。供物なんだね?」
「雰囲気だけな!」
「だけかい」>>670
こんな光景見たくない。私が神代の魔力にあてられて幻覚を見てる可能性に賭けたい。
古代の魔神っていうド級の神秘って聞いてた存在が人間のお菓子を大喜びでほおばる姿は……なんか……ガッカリする! やっぱやだ!
「今日の我は豪勢にいくぞ! コンソメ味だけではない、見ろこのポテチたちを! これが燻製バターでこれはガリゴリ塩、こっちは万倍ワサビ味でさらにこれは───」
「いやまってまってまって」
「なんだ娘。欲しがってもポテチはやらんぞ」
「いや欲しがってないし。じゃなくて、なんでポテチ?」
「お前はなにを言っている? ポテチはおいしいのだぞ」
「うんおいしいんだろうけどさ、そうじゃなくてさ、あなた古代の魔神………なんだよね?」
「然り。我が名はブファス。バベルの名において敵対者を滅するもの」
そんなセリフをポテチばりばり食べながら言わないでほしい。ああもうポテチのカスがぽろぽろ落ちてるし。
別に好きな食べ物なんてヒトそれぞれだし何を食べててもいいんだけどさ、神代の魔神なんて呼ばれるような存在には威厳みたいなものを保ってほしいって思うのは贅沢なのかな……贅沢じゃないと思うんだけど。
食べるなら食べるで大地を嚙みちぎったり神喰らいとかしててほしい。それが無理でも神秘を食べるとか人間を食べるくらいは…………。
「私を食べてやるぐらいは言ってほしいなぁ……」
「え、やば。急になにを言いだしてるんだ娘」>>671
「ねぇ、ポテチよりも私を食べてみたいとか思ったりしない?」
「思うか! ヒトの生肉なんぞ食えるものか! ポテチ持ってこいポテチ!」
「もうないよ!!」
「追加分ならここにあるよー」
「でかした人間!」
そしてまた受け取ったお菓子をバリバリ食べていく魔神ブファス。どうしましょう、私が目を逸らしたくなる神秘がこの世にあるとは思わなかった。世界って広い。こんなことで実感したくなかった。
いや待て、理解を諦めるなルナ・アードゥル。
魔術師が理解を放棄するなんてもってのほか。論外。ありえない。知らないものを知るために、私は冒険してるんだ。今はバイトだけど。
だったら……
「そのポテチ私にもちょうだい」
「さっきいらんと言ったではないか娘ェ!」
「やっぱ欲しくなったの! ちょうだい!」
「いやだ! 絶対やらんぞ! これは我のポテチだ!」
「ちょうだい! ちょーうーだーいーーー!!」
「やらんやらんやらーん! 絶ーっ対にやらーーーーん!!」
「あはははは!! 魔神と子供みたいなケンカし始めたあははははははは!!」>>672
「いいじゃん一枚くらい!」
「ふざけるな貴様! ポテチ一枚の重みを知らんのか!?」
「ないよポテチ一枚に重みなんて! 風に乗せてとばせるくらいだよ!」
「言ったな!? ポテチ一枚に重みがないと! ならば知らしめてくれようポテチの重み! 手を出せ、両手で恭しくだ!」
「やったー! はーい!」
「あれいつの間にもらえる流れに……」
水を掬うようにゆっくりと魔神ブファスに向けて両手を差し出す。お皿みたいな形を作った私の手のひらにそっ……と一枚のポテチが載せられた。
一枚のポテチを指でつまんでみる。やっぱり軽い。重みなんてどこにあるのさ。
まあいいや。ともかくこのポテチはどういうものか、さっそく食べてみよう。さほどためらわずにひょいとポテチを口の中に放りこむ。バリバリと咀嚼し……
「ど、どうだ?」
なんかちょっと緊張ぎみに訊ねてくる魔神ブファス。さっきの態度はどこいった。
「や、まあ、普通においし……あ、なんか違うかも」
「違う? なにが違うというのだ。まさかまずいなんて言わぬだろうな?!」
「そういうのじゃなくて……………なんか、頭が……」>>673
「頭?」
「うん、ぐらぐらしてる……ような気が、す……る…………」
ふらっと全身から力が抜けるのを感じた。
そしてそれを最後に。私の意識は消えてなくなっていた。
・ ・ ・
一枚のポテチをバリバリと食べていた小娘が突然倒れこんだ。この事態に、古代の魔神ブファスは大いにびっくりした。
「えっ、え!? 娘!? どうした!?」
「ありゃ? ルナちゃん死んじゃった?」
「に、人間ってポテチで死ぬのか!? そうなのか!?」
「いやーポテチ一枚で死ぬ人はさすがにいないんじゃないかな。……んー、俺の礼装も付けてるし、滅多なことになるとは考えにくいけど……」
「毒か? 毒味ポテチなのか? いや袋にはちゃんとメガトン☆ミリオン☆マックス☆ガーリック味と……」
「なんて?」>>679
今更ながらこの文恥ずかし…っ!>>681
機種変更したスマホでやったらトリップを失敗してしまった。>>683
おお!転職に結婚ですか!おめでとうございます。
色々起こるでしょうが、頑張って下さい
ああ、生活面での諸々に関しては大丈夫です
もしや「まだまだコロナでキッツいから、東鬨と伏神終わったら引退するやで」となる可能性が頭をよぎってガクブルしたという訳なんで、そういうのじゃないなら問題ないですとも
何はともあれおかえりなさい!いやぁめでたい!>>690
大丈夫です~>>635に出したゆる簿。
まだまだ募集中どすえ。イギリス舞台の歴史聖杯戦争だと年代としての候補は
・ヴィクトリア朝時代到来の1837年
・アヘン戦争勃発の1840年〜1842年
・万国博覧会の1851年
・クリミア戦争勃発の1853年〜1856年
19世紀じゃないけど魔術協会も絡んできそうな大規模なものだとアメリカ独立戦争の1775年代かな〜と
史実マスターとしてはナイチンゲールとか、貧乏生活を送った幼少期のディケンズとか、ワットは厳しいなぁとか
ルーラー役として絶対にブリタニア様喚ばれそうだけどよく考えるとイギリスが国として名を馳せるようになったのはちょうどこの頃が勃興期くらいだしちょっと弱体化してる(例えば「不実なりしアルビオン」使えない)かな?とか
そんなことを目に留まった故妄想しておりました中納言です、お久しぶりです。お江戸聖杯戦争のネタバレを全力回避するため山に籠っておりました>>679
お久しぶりです~
か、格好いい登場の仕方…!時期によっては日本からジョン万次郎とかも出せるかな…多少の史実との差異は世界線が違うでごり押しできる創作物の強み…
万博で水晶宮に合わせて水晶聖杯とか面白そうだけど世界各国から人が来る状況で事件となったらそれこそ国際問題だよなあ
>>618
カステラが噺家…結構似合いそうだから面白いですね。松山鏡とか好きそう。マクラが上手いって評判そう
ただ江戸時代となると「魔都」がまだ生まれていない頃なので魔術師としてはかなり弱体化してそうで、上手いこと聖杯戦争を満喫できるかしら…などと妄想。九鬼さんとは仲良くやっていけそうで、一足先に黒船来航的イベントを宝具で再現しちゃいそうかも?なんて
>>676
ルナちゃんがあまりにも無防備すぎる…匂いでニンニクとかはわかりそうだけどその場合も嗅いだ時点で倒れてしまいそうなのが何とも
「そういう存在」と勘づかれた以上はただのアルバイトという立ち位置では済まなそうなところだけれど、果たして…
>>679
お久しぶりですー!ヒーロー着地決めてそうなクール口上…
>>703
お久しぶりです!
衰退期に入った東インド会社から誰か出せそうですよね。個人的に江戸幕府がこっそりと幕臣を派遣して…とかも良いなと私はやっとサムレム1周目終えてきたマン
とりあえず明治維新直後の日本を舞台にした聖杯戦争のネタを思いついたけど、現状抱えてるタスクとまた進行ク.ソグダになるのが目に見えてるので執筆できない…
とりあえず供養代わりに大まかな参加者内訳だけ投げる
・セイバー陣営:志村千早&セイバー(和鯖である事以外決めてない。強いて言えば兼武ちゃん辺り?)
・アーチャー陣営:メレク・アルマソフィア&アーチャー(時計塔枠)
・ライダー陣営:清国人マスター&ライダー
・アサシン陣営:エリザヴェーダ・ラジェンスキー&アサシン(ロシア帝国の特務機関所属という設定。あくまでこの聖杯戦争限りの設定という事で)
・キャスター陣営:陰陽師マスター&キャスター(一応そもそもの発端ポジ。ただし黒幕ではなくむしろ収拾に奔走してる側)
・バーサーカー陣営:不平士族系マスター&バーサーカー(桐野利秋とかあの辺の偉人を引っ張ってくる予定)
・アヴェンジャー陣営:黒野双介&山中鹿之助オルタ(やっちまったぜ鹿之助オルタ。聖杯戦争あるあるな例外枠にして主人公の宿敵ポジ。そして闇堕ち枠)
一応ライダー・キャスター・バーサーカー枠はあくまでこういう設定が下敷きだよ!ってだけで希望者がおられればそのキャラを当てはめるのもOKです
というかむしろ誰か立候補してほしい…>>707
代理戦争が進んでいく裏で各組織各国の支援者たちが一ヶ所に集まって状況整理と煽り合いと駆け引きを兼ねた実況をしてるとかも面白そうですね…
最初の方に脱落した参加者の支援者が肩身狭い思いを味わって、でも最終戦(レイド戦)で大活躍して一転して他支援者を煽り始める、とか
>>105
テレータ「あんたといいアードゥル君といいヴィルクレツィア先生といい、みんな意欲的だね…しかし、何であれ噂を楽しんでくれるのは嬉しいことだ!えっと、アレは確か…」
ヨモ「ですよね。もっとよく寝てよく食べておかないと、体力がつかないし……へ!?い、いえ、私のことは、私のことは良いんですよ!」
顕美の魔眼、名称採用してくださってありがとうございます〜!立派な魔眼になって…
贋作がエンデさんの美についてのパラダイムシフトを引き起こしたっていうのが個人的にとても好きです。見方も変われば世界も変わる…以降の吹っ切れっぷりも使う魔術も、贋作との出逢いがなければなかったことを考えると…
あと起源が「画用紙」なのも面白いですね。美を枠取り価値の証明とする額縁とかじゃなく、これからを想起させる画用紙というのが
>>713
明治維新直後の聖杯戦争…そういうのもあるのか…!幕末だとSAITAMAであったけれど維新直後は盲点…圧倒的盲点…!
お雇い外国人枠で主人公たちに親身になってくれた恩師…と思わせて外国から聖杯奪取のために派遣された裏切りマスターとか居たりしても面白そうだなと思いました。あとランサーはアヴェンジャーに枠取られた感じですかね…?>>714
アスラウグで時計塔のお偉いさんたちが批評してた感じに近くなりそうですね。支援者によっては背水の陣で命をかけて臨んでる人もいたりすると温度差があっていいかも…
しかし規模がやっばいな…聖杯世界大戦みたくなってきた…
こちらこそ魔眼の名称考えてもらってありがとうございます!今のエンデのキャラは間違いなくこの魔眼あってのものなので本当にありがとうございます!
もう運命構図しちゃったくらいにはエンデにとっての衝撃でした。なにをどう美しいと思うかはその人次第というわかりきった答えを表してるモノでもあったりします
起源はですねぇ、どうにも決まらず悩んでたタイミングでヘンテコ起源やってみましょと言われてやってみたら予想以上にハマっちゃった感じです。今ではもうこれしかしっくりこないほどで…ええはい、というわけでエンデ・エルフィリーデ・リヒテンシュタインをwikiにて登録してまいりました
製作者的な権力とか使いたくないので名無しの教室に参加してくれてる人全員納得させられなかったら即ボツにする気でいたのでようやく一安心です
ついでに冒険旅行記のほうも博物館編を2から5までまとめて登録しましたーサムレム一周目クリアー。他のルートではどうなるのかワクワクしながら二週目やってます。ところでネタバレ解禁は確か発売から二週間後でいいんでしたっけ?
サムレムの影響で過去の聖杯戦争ネタが話題に上がってますがこういう時先祖の渡来歴とか考えてるうちの子は本人よりその先祖を出せそうってなってたりします。
なおその時代でしか使えない一発ネタに終わる模様。
>>676
うん、まあ…神代の魔神と聞いてワクワクしてたところにポテチ魔神が出てきたら困惑するよね…。
そしてよりによってガーリック!乙女的にも吸血鬼的にも大敵!
>>679
お久しぶりです!!
>>691
>>695
あらやだ面白そう。もしかすると『この世界線でのジャック・ザ・リッパー』の生前の姿とかもマスターとして出せるかもしれませんね。>>714
戊辰戦争直後で西南戦争前、という絶妙な頃合いです>明治維新直後の聖杯戦争
地獄を見た者(アヴェンジャー陣営)とこれから地獄を見る者(バーサーカー陣営)がいる所がミソ
>裏切りマスター
おー面白そう
でも外国人枠はもう結構埋まってるんですよね…。それにこの時代の日本を思うと下手に暗躍するより分捕った方が手っ取り早いと言いますか
あとランサー陣営とアヴェンジャー陣営の関係はその通りです。本来ランサーが収まる枠にアヴェンジャーが紛れ込んでしまったイレギュラー
>>715
よかった…。実は鹿之助まで闇堕ちさせた事についてヤベェかと何気に戦々恐々してたもので…
主人公はおっしゃる通り、千早たちセイバー陣営です
例によって巻き込まれからのセイバー召喚、その後新政府に依頼される形で事態解決に奔走していくというのが大筋のストーリー
メレクくんは時計塔から依頼される感じで来たって所ですね
何か極東で怪しげな魔術儀式?が行われてるっぽいので様子見てきて&英国政府からも将来の同盟相手を見極めたいという事情付きで
>>718
まあ魔力問題は最悪霊脈関係をどうにかしたり他の供給源を見繕うという手もありますので
良い候補がいらっしゃったらどしどし挙げちゃってください>>716
ああいう実況好きなんですよね…当事者の把握や解説をある程度丸投げできるという点もメリット…
それこそ大国に挟まれていつ侵攻されてもおかしくないような…バルカン半島から参戦するのもおかしくなさそう
名無しメンバーを見ると、皆大なり小なり世間に揉まれて吹っ切れたっていう経緯を持って来ているようになってますね。
同じように苦労をしてきたことがわかるからわかりやすく険悪になることはないけど、その苦労も人それぞれだし何より吹っ切れて真っ直ぐだから傷の舐め合いをするほどのぬるま湯にもなっていない感じ。設備は揃ってないけど個人プレーができるって点では中々悪くない教室なのかも?
>ヘンテコ起源
なるほど、あの話の余波で…起源を何か具体的な物にするってハマるまでは首傾げっぱなしですけどハマると楽しいですよね…モチーフも決まりやすいし、もっと流行れヘンテコ起源…
>>719
生前ジャック・ザ・リッパーをマスターとしたら、スコットランドヤードマスターも欲しくなりますね。途中でレイド戦兼大捕物を演じたりして…
>>720
ほうほう、であればバーサーカーに拙宅の阿弖流為(バーサーカー)を推薦させていただきます。「強い奴が一番偉い」という思想が、「戊辰戦争において戦い抜いて力を持っているはずの自分たちが報われないのはおかしい」という不平士族マスターと相性がいいかな、と
バーサーカー版ですと鬼の要素が強いので残虐性も高く敵役にも向いていると思います>>719
神秘大好きガールには悪い意味で刺激がつよすぎたンだ…
>>720
まぁ…闇堕ちとはちょっと違いますが負の感情をドロドロに煮詰めた鹿之助はずっと妄想してるのでね…忠義の男ではありますが聖人君子というわけでもなし、ワルになっちゃうこともありますよ
なるほどぉ…お国の意向をがっつり受けてる陣営がけっこういそうなんですね。っていうかそんな大役で来てたのかメレ坊…
>>722
あーなるほど。視聴者視点で状況説明できるとなるとこれ便利ですね…
教室の性質を考えると一癖二癖ある経歴の生徒が多くなるのはある意味で自然だったり?
なんだかんだで自分を持ってる子が多くてついでに向いてる方向もけっこうバラバラだから不良の溜まり場みたいにならずにすんでるのはありがたいなぁって
人間どこで影響受けるかわかんないですよね。起源からキャライメージ膨らませることもできるんだなあって実感しましたね。侮れないヘンテコ起源
スコットランドヤードマスターは正義感に燃える人だといいなぁ…陰謀渦巻いてそうな聖杯戦争で考えなしに突っ込んでいってほしい…>>713
ライダーのマスターは……中華系マスターね。お一人新規に作ったのがいましたね。
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/m/wiki/兎破浪キャスター陣営のマスター(黒幕だけどnotラスボス)枠として、東京奠都に際しての京護結界の解除の時に生まれた旧い魔力を願望器として昇華するために儀を開いた結界主体の陰陽術師というのを妄想したり
奠都自体は面倒というだけでそこまで感慨はないけど自分が主催である以上失敗はしないつもりというプライドはあって、かつ日本以外のもの(神秘であれ人間であれ)が入ってくることを嫌う国粋派。なので主催者であるが事態の収集にも難儀しがち
使う魔術としては完成度の高い結界主体の陰陽術で、京護結界の一端である十七殿由来の結界の構築が切り札…みたいな
>>725
ワイプ芸だけに留まらないのは画期的ですよね…
スコットランドヤード入りたての青年でも良いですね。猪突猛進で行ってほしい…サーヴァントはそれにおいおい…ってなる真面目系でも良いし一緒に突っ走るタイプでも面白そう>>721 >>723 >>726
マジですか。どんな英霊参加させる気だったんだ…(愉悦部さん作バーサーカー検索)
愉悦部さんとこですとディートリッヒかアミラニですかね?アリアドネもヤバそう
まあ仮にバーサーカーにヤバいのが来ても他でバランス調整するつもりだったのですが、愉悦部さんがそうおっしゃるのであれば今回は長曾我部元親で行きますねー
>>722
おおう、これは中々いい感じ
現状考えてる不平士族系マスターが「現状に不満はあるけどそれはそれとして返り咲いた暁には士族として民草を導いていく」思想持ちなのでそういう意味でも上手い事転がせられそうです
>>724
キャスター家綱、了解です
…召喚されたら自分とこの幕府が潰された直後の時代に呼ばれる事になるのか
>>727
ふむふむ、兎破浪
いや実は候補として考えもしたんですけど、年齢がちょっと若すぎたのと背景が李鴻章(清国海軍のお偉いさん)閣下の肝入りで派遣されてきた軍人だったので意図的に外してたのです
でもせっかく勧められた事ですし、やっぱり組み直そうかな…返信続き
>>725
あれま、意外と乗り気?
実際鹿之助の人生を思うとアヴェンジャー適性は十分にあると思うんですよね。尼子家再興を目指しつつも、やってた事は毛利家への復讐ですし
時代が時代なので、割とガッツリ各国政府の思惑が絡んでる聖杯戦争だったりします
>>728
英国政府「なんか日本で怪しげな動きが見られるらしい。一応将来的には同盟を考えなくもない相手だし、ちょっと人手送ってちょ。魔術的な事案はそっちの専門分野でしょ」
時計塔「おかのした。じゃあうちの有望(だけどまあ替えが利かないわけじゃないし逆に有望過ぎて扱いに困りそうな所もあるから今回の件で色々試そう。万一の時はその時よ)な奴を派遣しますね。というわけでメレクくん、よろしく」
メレク「承知しました(思惑とか背景とか全部見抜いてるし知ってるけど満面の笑顔で承諾)」
大体こんな感じで送られることになりました
ちなみにルナちゃんも同じ時代にいます。当然黙ったまま日本に来ましたとろこで逸れは、逸れはおられるのでしょうか……!?
若旦那ならぬ、若女将のルーラーみたいな一見ギャグだけど性能はガチみたいなのはあるのでしょうか!?>>731
ありゃ、そうでしたか
本格的な執筆予定もない、現状予告編くらいで落ち着きそうな感じですからそんな深刻にならずとも大丈夫ですよ~
>>729
おおう、めっちゃ詳細に考えてらっしゃる…
こっちのキャスター陣営の案が
一部華族(元貴族たち)「維新で復権できると思ってたのに、蓋を開けたら薩長土肥連中が中心だった…。こんな維新認められるか!こうなったら大昔の魔術儀式を使って復権だ!!」
キャスターのマスター「ええ…上手くいくわけないやん…だってそれご先祖様が一度は考えたけど色々あってポシャった挙句、ほぼ家の黒歴史みたいなノリで封印されてたやつなんだけど?」
一部華族「というわけで!我らが代表として任せたぞキャスターのマスター殿!」
キャスターのマスター「助けて千早さん! もう色々限界なんですぅ!!」
千早&セイバー「「ええ……?」」
大体こんなノリだったもので、正直この練りこみようは想定外でした
でも中納言さんのアイデアの方が良さそうなので、こっち採用します(即断)
>>732
この時代の清国が色々あってズタボロ状態ですからね…
なので割と当事国的には相応に力入れてるという設定だったり。説明不足で申し訳ないうーん、ただの思いつきなんですが……アーサー王時代で聖杯戦争(ボソッ)
聖杯欲してたし、聖杯と関連がある要素あるし(ギャラハッド、聖杯城、etc……)、多分いけるっしょ!
尚、サーヴァントよりマスターのが強い模様。>>730
ありがとうございます!ですが他に考慮の余地がございましたらどうぞご遠慮なく…
このマスターとは中々良い()塩梅の主従になりそうですね
あ、因みに阿弖流為(バーサーカー)は標準語で構いません。彼にとっての方言は人との関わりの証左なので、そういった側面がピックアップされない召喚だと出てこないものなので
>>735
初稿キャスター主苦労人って感じで可愛いな…このマスターと千早さんの聖杯戦争も程よく和んで面白そうですね!
千早さんや他陣営の動向を水鏡みたいなので映して「ほう…」とほくそ笑むような感じで登場して「陰険そう」「胡散臭い」「どうみても黒幕」な感じなのが合流すると
メレク「第一陣(ファースト)───解放(リヴェレイション)」
千早「す、すごい…!」
マスター「私だってあれぐらい出来ますが!?」
とか突っかかるわ「外国夷(とつくにえびす)の助けなぞなくともこれしきの変事は私が解決してみせます!」と突撃するわでおもしれーマスターになるというイメージ
無論これは十七殿含めて個人的な妄想なので、火村さんの扱いやすいようにアレンジしていただければ…
>>748
「偉大なる先人の方々はそれらを日本に適合せしめ、真に和なるものへと昇華させました。侵入を許したのではありまん、迎合させたのです。だからこそどの神秘も技術も日本において更なる進展をしたのです。
……ですが!当代の姿勢は何ですか、まるでこちらが阿諛追従してあれら外国夷の土足での闖入に平伏する様は!外国夷共の厚顔無恥なる蛮行を防ぐためにも願望器を具現せんとしたというのに!」
という謎理論で反駁してくる気がしますね…最終的に暴走しがちなマスターを宥めるサーヴァントって関係になりそう…>>751
これは途端に緩みだすアーチャー陣営の空気……!(良い意味で)https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/異聞%E3%80%82吸血鬼と妖精女王
虚構妖精編をwikiにまとめました、一気見にどうぞ
それと今からはそっとssを「主砲、最大稼働。目標、ムスペル種。発射」
天から降り注ぐ光の魔力が燃える巨人を消し飛ばす。発生直後の巨人種を駆逐するのはそう難しい話ではない。それが私の役目で、それが私の存在理由。あるもの全て吹き飛ばしたら、それが誰かの助けになる。
「あれ?撃ち漏らし?……あー、ヨトゥン種だ。もう、これだから自動照準は当てにならないんだよね」
大神であるお父様から授かったこの礼装は、基本は魔力の砲撃を主とした武装である。しかしそれだけではなく、使いようによっては刃のように魔力を形成することもできるのだ。なんと便利で素晴らしい武装か。周りのことを気にすることが上手じゃない私には、こういう破壊力が丁度いい。使っててとても楽しくなれるから。
「止まりなさい、ゲンドゥル。そいつらには聞くことがあるわ」
「……ヘルフィヨトゥル。迷惑しちゃいました?」
「いいえ、むしろありがとう。私もあなたと一緒で歯止めが効かないの。むしろ私の方が効かないから、あなたがあらかた片付けてくれて助かったわ」
ヘルフィヨトゥルの指先が描くルーンは、他の姉妹達が扱わないような呪いに特化したもの。敵を痛めつけ、苦しめて、弱らせ、虐げ、嬲り尽くすことに特化した機能。私が愚直に火力で押す機体ならば、彼女はひたすらに嫌がらせに特化した機体だ。どちらが優れているかというとその時々だが、私も、この子も、他者への気遣いができないという致命的な欠陥がある。そのために、私たちは姉妹達のようなまともな用途にも向かないという出来損ないなのだ。「勇士を導くことはできるけど、できるだけなんですよね」
「お世話には向かないもの、私たち。要領悪いし、鈍いし、人と話すことは得意じゃないわ」
「はぁ……廃棄処分にするにはコストをかけてるからそうもできないですしね」
「ラグナロクを待てばいいのよ。そこで私たちはきっと消えることができるのだから」
けれど、結局のところ──────
「そうなんですよ。日に当たるのがすごい好きなのに、日焼けしないままで!でも肌は真っ赤になっちゃうからずっと困ってるんです」
「そりゃ大変だね。シミになったらーとか考えないの?」
「なったらなったで、そんな俺も好きでいてくれるかなって☆」
「なに言ってんだアンタ!」
みんなの目を惹きつけていく。指先一つ、目線一つ、声一つでみんなを夢中にさせる天性のアイドル。そこに向ける感情が何であろうと、人々は彼を意識の外に置くことができない。人間である以上、ほぼ必ずと言っていいほど意識が向く。恋慕、尊敬、信奉、友愛、親近感、憎悪、嫌悪、嫉妬、ともかくみんなの注目の的。それがシャルル・ソルージュという吸血鬼だった。
………私たちには相応しくないほどの光を放っている。聖杯戦争にて私たちが召喚された際も、彼は私たちが戦略兵器として機能することを求めてなどいなかった。ただ単純に、私たちが好きに過ごせるようにと色々な計らいをしている。このような服を買い与えることも、魔力消費も厭わず常時現界することも、私たちがしたいからという希望を叶えるため。一緒に買い物をしているところを撮られかけた時はマスターよりも私たちが焦ったものだ。そんな危うさ、愚直さが人を惹きつけるのだろう。「ただいまー!えっと……なんで武器持ってるの?」
「不快害虫が湧いたので」
「え!?害虫駆除でそれはダメだって!ちょっとストップ!」
ワルキューレである、という割にゲンドゥルもヘルフィヨトゥルも家庭的なスキルは色々と乏しい。戦闘用に調整されたために、戦う術しか知らない。勇士を支えるためにある戦乙女の在り方から外れて独りで立って戦う在り方になってしまっている。それはきっと、孤独だ。他の戦乙女のように人間に堕ちる機会すら与えられなかった者たち。必要最低限の同期はしていたのだろうが、逆に言えばそれだけ。他の姉妹たちのような絆もない。勇士との燃えるような恋愛劇もない。あるのはただ、週末を待って眠り、戦い、眠るだけの日々。
疎外感。ただワルキューレという形は与えられたが、本質的には異なるものであるというそれは何よりも重たいものとなる。自分が自分である価値を見出せない。だって戦いにおいても、ヴァルハラに呼ばれた勇士たちがいるのだから。いつだって脳裏に過ぎるのは出来損ないという言葉ばかりで……
「でもさ、僕がいない間も部屋を守ってくれてありがとうって思ってるのはガチだよ。だからそんなにしょげた顔しないで」
「………慰めなど必要ないわ」
「ホントだって!僕さ、自分のせいで暗い雰囲気にしちゃうのとか本気で凹むの。あと単純にキラってした顔の方が好きだしさ。だからほら見て?僕っていっつも笑顔でしょ?僕イケメンだし、みんなを笑顔で癒せるからさ」
「私たちには素のマスターを見せてくれないんですかー?」
「これが僕の素だって!いやその、テレビで一人称だけは盛ってるけどさ……それ以外は何もかも全部隠してないよ!」芸能活動に挑むにあたって、何も隠さないというのがシャルルのスタンスだ。好きなもの。嫌いなもの。毎日のルーティーンに趣味。住所や電話番号みたいな大事なものは隠すけれど、逆に言えばそれ以外は全てオープン。好きなタイプのことや初恋のことすら赤裸々に話してみせている。初恋の女性のことを照れながらも笑顔で話す姿は潔く、むしろ潔すぎてそれを聞く人にさまざまな感情を抱かせる。それが嫉妬や怒りの負の感情であろうとも、はたまたそれが面白さや意外性であろうとも、他者の注目は集める。何も隠さないスタイルが、誰もに光が差し込み認知させる太陽のようになっている。
日常生活でもそれは顕著だ。太陽が好きなあまり肌が弱いくせにベランダで筋トレをする。その結果、体が燃えて死にかける。推し活がしたいがためにオフの日には必ず世界や日本を回るし、身バレも恐れずに堂々とSNSに投稿をする。というか自宅を出かけるとき以外に対策をすることがほとんどないのである。個室ではない飲食店で普通に食事をしているところを見かけたファンがたくさんいる。そして、どんな時でもファンサを求めれば欠かさない。そんな彼が裏では魔術師として活動をしているなんて、誰が予想できるのだろう。いや、他にも魔術師をしているアイドルがいないわけではないのだが。
「一人称の方はさ、リンネがキャラ作ってるからそれと対比になるようにって感じ。でも喋り方とかはこのまんまだよ。僕にはこれが一番似合っているからね!」
「どこからその余裕は来るのかしら。マスターは自分が完全無欠だと思っているの?」
「いいや?顔は超良いし声も超良いけど出来ないことはあるよ?よく死にかけるし、僕は誰かの好みに合わせて振る舞うのって苦手だし……あとそんなに強くないし。だからさ。二人はすごい強いじゃん。僕的にはかっこいいと思うんだよね」
事実、今回の聖杯戦争では彼女たちがいないとシャルルは今頃ここに居ない。ちょうど日光で死にかけていたところに敵が襲来してきていたのだ。マスターもそうでないものも関係なく、魔術師ならば狩り尽くそうとする悍ましい殺し屋とそれに付き従うサーヴァント。ゲンドゥルとヘルフィヨトゥルがいなければどうなっていたことか。だからこそ、シャルルは二人の強さを素晴らしいものだと言う。それを卑下しないで欲しい、とも。「人には人の輝けるものがあるって思うんだ。僕は君たちにもそれを感じている」
「………強いからってことかしら。それは……」
「違う。君たちが他人のために戦えること。それが僕の尊敬する君たちの輝けるものだよ。自分の境遇に腐ることはなく、その破壊衝動に身を委ねることはなく、自分が出来ることを模索した。その結果が命ある限り味方のために戦うことだった、というだけ。それはとっても素晴らしいことだ。僕は、きっと同じようなことはできない」
「あはは……そんなことないと思いますけどねー?」
「自分を悪く言うのはやめた方がいいよ。ゲンドゥルも、ヘルフィヨトゥルも、自分と他人を比較して自分が劣っていると思い込み過ぎてる。マスターである僕が保証するけれど、君たちはとても綺麗で、カッコよくて、素敵な女の子だと思う!」
痛いほどに伝わってくる。その感情は本物だ。煌めく笑顔が、紡ぐ言葉が、本物である。嘘はなく、ただ眩しい。自身こそが中心であると自慢して憚らない光で、他人も照らして連れていく。自分が輝くことで他人も光らせる。キラキラとした在り方がそこにある。その根底にあるものがどのような歪んだ渇望であろうとも、今ここにあるものは確かな太陽だ。眩し過ぎて少し近づきたくないほどに。
「マスターは酷い人ね。私にはあなたのそれは眩しすぎるのよ。本当に、眩しすぎる。私はただの陰気で、残酷で、戦いになると見境がつかない失敗作だわ」
「そうやって自分を振り返れる時点で僕は君がただ残酷な化け物とは思わないな。戦ってる最中は仕方ないことだと思うし。少なくとも戦った後は自省できる、そしてそれを基に自分の日常の行いを省みることができる。それは君の良いところだよ、ヘルフィヨトゥル」
「ヘルフィヨトゥルはドライですけど賢いですからねー。私はそうもいきませんけど!………壊すことしか能のない、頭も悪いものに比べれば」
「ゲンドゥルは悩みながらも自分のするべきことを見出せてるじゃないか。怖いって、わかんないって、そう思いながらも自分はこうなんだっていう答えを出せてる。それだけに力を尽くせることは、君が他者に抱いて施せる確かで暖かい優しさそのものだよ」嘘をつかない。本心を隠すことなく伝える。出会ってから今に至るまで、おおよそ二週間ちょっと。でも、それでも、私たちのマスターが本気で私たちにそう言ってくれていることがわかる。それほどまでに彼の印象は強く心に焼きついている。人ではない、サーヴァント。そのサーヴァントも惹きつけるほどに、彼の異常性は極まる。生まれ持ったドラクル種の性質が、そして英雄との邂逅を通じて花開いた性格が、そのように作用する。労ろうと積極的に思っていたわけではない。ただ思ったことを口にしただけ。それでも、いやだからこそ、度重なる姉妹とのすれ違いで擦り切れた彼女たちの心には刺さるのである。
「………マスター、私たちもう寝ますね」
「何かあるときは呼んでちょうだい」
「いいよ。おやすみ!」
初めて感じる胸のざわめきを、ときめきを、封じ込めるように霊体化する。これは理解してはいけないものだ。ただでさえ出来損ないである私たちがさらに堕落し壊れるものだ。だから隠そう。消えよう。これは私たちが彼に向けていいものではない。だって彼は、恋をしているから。現代の英雄に、恋をしているから。だから……いや、でも……
「さてと……えっ!?やったの!??マジで日本で?おいおい僕の英雄サマかっこよすぎ……!!流石にラヴギッドとその一戦の交え方はやばいって……はー……好き。そうだよな、そんなえっちすぎる攻撃になんて引っかからないよあの人は。解釈一致すぎてほんと好き。あーもう、なんで僕はあの人と会えないのかなぁ………会いたいのに、こんなに会って焼かれたいのに……」
「随分喜んでいらっしゃるのですね、マスター」
白鳥のような白い鎧に身を纏い、大きな羽を生やしたワルキューレ。プロトタイプや量産型とはまた異なる強化型として造られたもののコストの関係性で彼女だけしか造られなかった特別な個体。フラズグズル・スヴァンフヴィート。普段は滅多に姿を見せない彼女に推し活の姿を見られてしまった。別にやましいことではないし恥ずかしいことでもないのだけど、なぜか妙な心地だ。
「……フラズグズル。珍しいんだね?」
「霊基の都合上、私はあの子たちと一緒に現界することは叶いませんから。私もあの子達が楽しく過ごせているのならばそれで良いと思っていますし。それで、マスター?その画像の女人があなたが懸想なさっている御方で?」「うん。アルテミシアっていうんだよ。かっこいいよね!?綺麗だよね!?」
「そうですね。……神の欠片を体内に宿すもの、ですか。これは中々に……あの子たちも骨が折れそうで。ねぇ、マスター」
なんだか感じるその妙な心地の正体。これはきっと後ろめたさだ。目の前の彼女の表情から怒りというか、責めるような主張を感じる。なぜかわからないけど、それを感じる。そしてそれに後ろめたさを感じている。重ねて言うが、本当に理由はわからない。理由はわからないが、ただそのような漠然としたものが足元から這い上がって……
「責任、とってあげてくださいね。それでは」
「え?………えっ!?」
おしまい。気軽にワルキューレの羽をもいでいけ
>>759
カワイイ!!……けどその、なんか左に、あの……>>758
ホレスは確かに1869年以降の段階で亡くなっているので座にはいると思うのですが、英国から派遣された存在であるメレクさんがわざわざ引くかというと…
ちなみにこの時代だとフランケンシュタインの怪物とか吸血鬼が主だった使い魔。知名度はない(断言)
>>759
>>768
エジプシャンコスプレカワイイヤッター!これはママさんフォルダが潤いますね…大人たちもいっぱいお菓子あげそう…実際こんな子がいたらあげちゃう…
>>767
このアイドルユニット二人してさぁ…二人とも複数のワルキューレを喚んで羽落としかけてるってなると本当に天性のアイドルなんだなって
アルテミシアさん…災難…
>>771
うーん、メレクさんがもし「舞台が日本なら現地の知名度補正の恩寵を預かることのできるサーヴァントを」となるなら昔投下して今僕鯖にいる足利尊氏がいますが…
メンタルは豆腐製オリハルコンなので絶対二、三度しごかれるでしょうね皆様、色々と挙げて下さりありがとうございます
>>772
サタン…サタンですか
もし組ませるならアサシンクラスで召喚してエリザヴェータ辺りになりますかね
>>774
足利尊氏か…悪くないかもですね
メレクくんの考え的に下手に日本での知名度低い英霊召喚するより、日本でよく知られた英霊召喚して優位に立とうとするのは割とありそうですし
>>776
おお、一挙に空いてた分が埋まってくれた
アーチャーアクタイオンor桃太郎は実際良さそう。メレク君との相性も悪くなさげですし
アサシンもリリスとの兼ね合い考えるとこっちの方がよさげですかね?
黒姫の方も悪くはないんですが、肝心の伝承を記した書籍がどれも大正や昭和というのがネックでして…
民話なので大昔から伝わってる可能性も十分ありますが、知名度的な事を考えると明治時代じゃ多分地元の人にしか知られてないのではと【悲報】割と買ったばっかのスマホ、液晶がバッキバキに割れる【ガラスコーティングしてたのに……】
なので明日は修理に行くぞ!サムライレムナントの攻略は遅れるぞ!やけ食いにも行くので。
>>773 >>775 >>778
まぁあくまで候補として、なのでより良いサーヴァントがいれば譲ります
なんだかんだサタンって強い訳ですが(魔王で堕天使でと結構属性てんこ盛りだし)、今一多様なクラス適性部分の設定がうっすら状態だったので、そろそろサタンの各クラスでの特性というかを纏めようかな、と思います
基本雷宝具はデフォでキャスターならプラス魔術をガンガン使ってくるとか、アサシンは悪魔らしさメインで攻撃範囲が広い風と斬撃の宝具、アーチャーだと燃費と黒雷宝具の性能がアップする、的な。>>789
了解しました、明日か明後日には提出させていただく予定です>>784
Aがこれに見えた私は少し疲れてるかもしれない。>>795
鹿之助が、鹿之助でやる自分との戦いか…
なんという贅沢>>803
なるほど成程
性格そのものの違いは兎も角、クラスが違えば宝具やスキルに差は作りたい!とは考えてますね。
適性クラスというか行けそうなのはアーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー?とアルターエゴにルーラー、アヴェンジャーとかでしょうか
それぞれのクラスで「こいつサタンの正体じゃね?」って言われてる悪魔などに由来する宝具を持ってくる、とそういう想定ですね。
どのクラスでも所持してるのはルシファーの雷宝具です。
因みにサタンとしてのメイン武器は宝具というよりは正体不明な存在としての情報改竄:EXで、これは解り難いかもですが、我ながらマジで頭おかしい性能なんじゃないかと思ってます
”自身に関係する情報全ての隠蔽、改竄が可能”なので、マスター関連やそのもの「聖杯戦争そのもの」への干渉が可能、という想定なのであります
神秘の隠匿が滅茶苦茶楽になるよ!やったね!!>>805
まぁワンジナイベントはおおよそクリアしたので、アカウントがきっちり戻ってくれさえすれば大丈夫……。今後は屋外でメインスマホを出さないようにしようと思いますとりあえずサタンのクラス別の宝具など(現状考えたヤツ)について投下だぁ……
アーチャー:ルシファー+ベリアル。ソドムとゴモラの逸話からの宝具。硫黄と火の雨を振らせ、被弾部分を塩に変えたりする。高めの単独行動があるので燃費がいいが、全体的に攻撃範囲が大雑把
ライダー:ルシファー+悪魔の王側面。ベリアルが乗る炎の戦車や、下級の悪魔を召喚したり。これはもっと練れるので要研究。
アサシン:ルシファー+アザゼル。荒野の支配者。風と斬撃の宝具。雷と風でオールレンジ対応型。仕える者属性が強く出る為、かなり扱いやすく、戦闘面でも強い
キャスター:ルシファー+サマエル。葡萄と毒の宝具。魔術師としての能力が強化されており、全体的にデバフ寄りを想定
アルターエゴ:ルシファー要素が目白押し。雷撃宝具以外にも、コキュートスの寒波が宝具。氷を自在に操り、疑似的な空間停止を起こす(敵を凍らせて行動を止める。視界も真っ白)
ルーラー:ルシファー+マステマ。非難者としてサーヴァントの能力を封じたりする監視者。ルーラーとしては真面目に仕事するので、試練云々は控え気味。情報改竄で隠蔽が楽なので当たりだと思う>>801
良かったです~!ふと思ったのですが皆さん自分のキャラメイク時の癖みたいなのってありますか?
私は多分基礎スペックやカタログスペックを盛ってからそれをメンタル面やらなんやらでデバフかける調整をよく使ってると思います。
>>767
この人たらし!いやワルキューレたらし!!
え、これでいざ自分にガチ好意向けられても鈍感なんでしょ?く…くそぼけ……(震え声)
>>768
あら可愛い。
>>797
うちだと上杉謙信ちゃんがいますね。バトルジャンキーな気がある以外は目立った欠点の無い優秀なセイバーですよ。
>>802
それは災難でしたね。引き継ぎミスしても落ち着いて問い合わせしたりこれこれこういうサーヴァントを育ててます。みたいに訴えればいけると思います。個人的にナチスが考案した聖杯戦争みたいなのはやってみたい。第三次聖杯戦争のとはちょっと違うやつ。
それか枢軸国による聖杯戦争。おもいっきり影響されたので私も歴史のどこかにあった聖杯戦争を妄想したくなってきた…どこがいいかなぁ
>>823
可哀想か過去でなくともいいですけど、キャラに原動力になる何かがなければモブになってしまうので。
でもやっぱ可哀想な過去よ(性癖)性癖、ダイジ。
「リューンベル。リューンベル・カースだ。こう見えて日本語は普通に喋れるぞ、どうぞよろしく」
夏空市に住んでいたとある少年、リューンベル・カース。妖精の血を引き、聖堂教会にて異端を狩る職務に従事している少々特殊な少年である。彼は現在、とある任務を遂行するために自身の通う高校とは別のところに転校生という名目で潜入している。名前は一緒だが戸籍は違う、というバレバレの偽装だがごく短期間の間の潜入なのでそれで問題ないのである。証拠隠滅はリューンベル本人ではなく教会がやってくれるし。何より前金の時点でたっぷり貰って後金も凄いから断るわけにはいかないのだ。それに……“気がかりなこと”もあったから、この仕事を受けたということもある。
「…………しかし………間違ったか?」
リューンベルの任務は大儀式の参加者……冬木式の聖杯戦争から発展したとある聖杯戦争のマスターを探し、監視することである。その内の数名がこの高校に潜んでいるという啓示を基に潜入任務をしている以上、まずやるべきことはクラスに馴染むこと……だったのだが。それが上手いことできていない。ちょっと自分の表情の硬さが出てしまったか。趣味の布教は敢えて抑えていたのだが。
「というわけで休み時間に黄昏ているわけだが……む、誰か来る」
「あちゃ〜、もう誰もいないな。次移動教室……あれ?………“こんにちは。転入生のリューンベル・カースさんですか?”」
学生服を真面目に着こなした少年が慌てて教室に駆け込んでくる。何処からどう見ても純粋な日本人であるがその口から飛び出る英語は本場のそれとそう違いがないほどのネイティブさ。遅刻、とはまた違うのだろう。焦るわけでもなく、後ろめたさがあるわけでもなく、ただ単にみんなよりも出遅れたことを残念がる意思しか見えない。なんとも、戦乱とは関係のなさそうな少年である。「ああ。わざわざ英語にしなくとも日本語でわかるぞ。あと呼び捨てでいい」
「そうなの?じゃあよろしく。このクラスの一員で、ボランティアの後の重役出勤してきました、氷瀬竜胆!リューンベルくんはどうしてここに?移動教室は……まあ確かに早いけどみんないないよ?」
「一人で物思いに耽る……そういう時もあるだろう?ホームシック的な」
「あーなるほどね!……じゃ、俺と一緒に色々話ししながら行かない?転校生って俺の高校人生で初めてだからさ、色々聞きたいんだ!」
「構わない。よし、それじゃあ行こうか。………あ、教科書忘れた」
「趣味?うーん……あ、パズルとか好き!ボードゲームでみんなで遊ぶのも好きだな。運ゲーでも真面目なやつでも!リューンベルくんは?」
「骨董品集めや日光浴はやっていて気分が上がる。あとは……そうだな、服を全て脱ぎ捨てて自宅で寛ぐとその開放感、爽快感が癖になる」「あはっ、裸族ってやつ?一定数いるっているよね。まあ節度を守ってるならいいんじゃないかな?」
「世界が変わるぞ。竜胆もやってみたらどうだ」
「あはは……機会があればね!今はそれよりもテスト勉強しないと。前の学校と範囲とかも違うだろうからわからないところがあったら俺に聞いてね?」
「そうさせてもらおう」
なるほど、勉強が出来る系の男子だったのか。いやでも真面目だからそんな気はしていたな。話を聞きながらリューンベルが漠然と思っていたのはそんなことだった。これでも学年一位なのだと豪語するその背中はなんだか大きい。というか思っていたよりも大きい。趣味ではないが筋トレや格闘技の習い事が日課だという竜胆の体格は、肉体を用いた殺しを生業とするリューンベルに負けず劣らずである。なんというか、実用的だ。
リューンベルの突発的なノリの発言に乗っかったり、心地のいいツッコミを返してくれたり、空気もそんなに悪い雰囲気ではない。その調子で移動教室まで行くのだから、必然的に周りのクラスメイトも最初にリューンベルに向けていた怪訝な目つきがだんだん変わってくるのである。男子学生の漫才じみたノリを見ている気分だ。クラス全体の空気が和らぐものである。……必然、リューンベルの任務の遂行もしやすくなる。今は無理でもいずれ、見つけられるだろう。
「まあだからと言って夜の仕事をサボるわけじゃないぞ。夜も俺はちゃんとパトロールをする。……聖杯戦争は、夜が基本だしな」
リューンベルは知っている。かつて見た星の光を。英霊たちが、マスターが、命を賭けて争う戦いを知っている。何故なら彼も一度、運命に出会ったから。輝ける星の刃に出会ったから。だからリューンベルは今回の依頼を受けたのだ。もしかしたら、万が一、再び出会うことがあるかもしれない。リューンベルは執着が強い。だから、再び出会う可能性が、誰かのマスターになっているのならば、それは……
「足音。……それと激しい金属音。戦闘だな」────目を通した資料によると。此度の亜種聖杯戦争に関与する者たちは東西霊地協約を推し進める綾姫一門の他、日本国籍の西洋魔術師がある程度の割合を占めているとか。その中でも、別の聖杯戦争に参戦していたマスターが、今回においてもマスターの一人として参加していたという話も聞く。詳細は不明、ただ二点、魔力が常軌を逸しているということ、複数のサーヴァントを指揮していることだけが情報として残っていて……
「ランサー、私が活路を切り開く!あの魔力砲撃は私の魔力防御の方が適しているからな!」
「応とも!呪詛とルーンは任せとけ!片っ端から祓ってやるよ!」
「情報通り。ランサーとアーチャーの同時使役。……俺が言うのもなんだけど、マスターの魔力量が異常じゃないか?」
相手となっているサーヴァントについては情報が割れている。ワルキューレ、北欧神話における戦乙女だ。どうやら複数召喚されているようだが、現界するケースが少ないためにそれがイレギュラーなのかどうかはわからない。しかし、真名だけでもわかっているのは僥倖だろう。バトルスタイルとしては一騎が巨大な銃火器のような兵器を担いで魔力砲撃を行うというもの。もう一騎はその合間を縫うように飛んで、苦痛を刻むルーンや呪詛を振り撒き続けるというものだ。単純だが強力、そして周囲の被害を厭わない非常に危険な戦い方である。
対してアーチャーは、発射される魔力砲撃を目の前にし、完璧なタイミングで魔力による防御を成立させている。無駄な予備動作や後隙はない。適度なタイミングで砲撃を切り裂き、防護する。そこで生まれた隙をランサーが刺し貫く、というものだ。手に持った細長い銀の武器を煌めかせ、流星のように駆け抜ける。圧倒的なスピードに気を取られては暗器の針に体を貫かれる。攻守ともにバランスの取れた、非常に相性の良い戦い方だ。どちらも武を極め、超常の力を極めている。人ならざるものを殺.すことを極めた者たち。戦いぶりを見ていてリューンベルの内側にある血が騒ぐのも頷ける。アレは天敵である。
「………周囲にマスターはいない、か。特に問題ないのなら撤退を……っ!」「あれ?リューンベルくん?どうしたのこんなところで」
サーヴァントたちが戦いを繰り広げていた森から走って抜け出す。見慣れぬ土地であっても動き自体は手慣れているものであり、すらすらと森から脱出する……いや、したはいいものの、目の前に見知った顔がいる。今日出会ったクラスメイト。氷瀬竜胆だ。それ自体は夜の散歩ということで些か奇妙だが飲み込める範疇かもしれない。しかし、今回においてはそれは適用できない。なぜならリューンベルは、他者の視線を逸らし存在感を薄める隠密用の魔術を使用していたから。一般人からの目を逸らす程度ではあるが、逆説的に一般人でなければリューンベルを知覚できる。つまりは……
「……フッ────!」
躊躇はしない。真っ先に糸を放ち首を絞める。あくまで殺しはしない、意識を落とすだけだ。この鋼線は魔力を断ち切り、魔術回路ごと魔術を切り落とす性質を持つ。故に魔術師が魔術で防御しようものなら、並大抵の術者であれば関係なしに拘束、切断できる優れものだ。そもそものリューンベルの動き自体が滑らかで、魔術回路を起動させる暇もないほど鮮やかな技術であった、ということも作用し、スムーズに、魔術を行使する暇もなく、竜胆の頸動脈を絞めることができた。
「魔力断ちの鋼糸………流石に魔女狩りの一派だな。死ぬかも、俺」
「………なんで喋れてるんだ?というかなんで知ってるんだ?プライバシーの侵害だ。いたいけな男の子の経歴を暴き立てるのは良くないと思う」
「知り合いに人間図書館がいてね。……あとその、俺、そもそも身体がガッチガチなんだわ。殺.す気もないのに首絞められたぐらいじゃ……ね?」
「なるほど、なっ……!」
「糸、離したな?」何故だかはわからないが、人知を超えた肉体強度を誇る竜胆。その竜胆を絞め落とすことは難しいと判断したリューンベルが拘束を解いて逃げの一手に走ろうとするのは正しい。竜胆がマスターならば殺.すことは任務としては失敗にしかならないから。ここは逃げてその情報を共有する方が正しい。多少の魔術ならばこちらが糸で断ち切れる。だからこそ、その判断は正しい。そう、普通の魔術師や魔術使いならば正しいのだが……
「……ちょっと魔力多すぎないか?竜胆はそんなに溜め込んで何したいんだ?」
「………世界平和、とかどうよ。まずは逃げようとする友達を捕まえて話を聞くとこから」
息をする。それだけでありえない量の魔力を生み出し、盾として成形し、放出する。魔力を切り裂く鋼線であっても、これほどの量を切り裂き捨てることはできない。圧倒的な質量の前には無力だ。その隙を生じてしっかりとリューンベルを押し倒し、ガッチリ体でロックする竜胆。暗器のナイフを使った攻撃など反撃方法はリューンベルにも山ほどあるが、先ほどの化け物のような硬さを見せた竜胆に刃が通るかどうかは怪しい。人体の柔らかいところに通ったとしても、無傷ではいられないだろう。ここは何もしないでいるのが得策だ。というか怖い。竜胆がニコニコしながら馬乗りになっているのが怖い。竜胆の後ろに竜の顔みたいな盾が爛々と輝いているのが怖い。あと神秘の秘匿を破りそうなぐらい夜の道路でやっているのが怖い。とりあえず東鬨聖杯戦争のwikiの方更新しました。
展開的に自分が納得いかないところとか、描写的に読みづらい部分があったので大幅に改訂加えた形になります。
純度百パーセントの悪意、ってタイトルです、良かったら見てくれたら嬉しいです。
コレの次の話が完全新規になります。
時間がかかるとは思いますがご容赦ください。
あとスレに投下しようか悩んだのですが余りにも長いのと数年前に一度投下した内容なのでどうしようかなーと。仮にナチスを扱った聖杯戦争するなら、ナチス側は確実にランサーは召喚する。聖槍を探してたという話もあるくらいですし。
打倒ナチス陣営は、多分聖人でも召喚するかな? ユダヤ人の虐.殺とか見てられないだろうし。ナチスとプラハをそれこそ合わせてしまってナチスによるチェコ侵攻前後のプラハを舞台に聖杯戦争するのはいかがか(言うだけなら)
>>170
>>266
>>290
わー、たくさん出していただいてありがとうございます!随所随所にキャラの掘り下げがあってすごい…
しかし、なんでしょう、二篇とも喧嘩腰バトルなせいで時計塔のイメージがどんどん物騒に…これでバトってる人たちは権謀術数も熟せて、あくまでバトルはバトルというだけなのが末恐ろしい…
クラッフくんvsシウンさんは魔術師同士の異種格闘技戦を観察して考察するという面では授業の姿としては正しい…のかな?
テレータは相変わらず口は災いの元…
>>819
日本鯖も海外鯖も彩豊かなメンツだ…!
個人的に、キリスト教徒弾圧が横行するこの時代において召喚された聖書由来のサーヴァントがどちらも悪魔なのが中々運命的で面白いなって>>846
了解しました。確認してみます!>>856
>>857
>>858
ありがとうございます、ではでは……
【元ネタ】史実
【CLASS】ランサー
【マスター】
【真名】サラディン
【異名・別名・表記揺れ】サラーハ・ディーン、“勝利王”、“紅蓮のランサー”
【性別】男
【身長・体重】195cm・117kg
【肌色】黒褐色【髪色】黒色【瞳色】赤色
【スリーサイズ】不詳
【外見・容姿】
金糸の装飾がされた黒衣と鎧に身を包む、髭面の偉丈夫。骨格、肉体、性格、構成する全てが質実剛健をカタチにしたような、巌のごとき男。
老練さが滲む容貌の中に微かな若さを内包しており、肉体年齢はおおよそ30代前半〜後半。
恐らくエジプト・シリア全土を制圧し王(スルタン)となった頃の、心身が最も醸成されたであろう時代の姿となっている。
身体付きのイメージは全盛期の『ザ・◯ック』みたいな感じ。>>859
【地域】中東・イラク北部
【年代】12世紀中頃
【属性】秩序・中庸
【天地人属性】人
【その他属性】人型、王、愛するもの
【ステータス】筋力:C 耐久:B+ 敏捷:B+ 魔力:D 幸運:A 宝具:C
【クラス別スキル】
対魔力:C
【固有スキル】
死火山を制す者:A+
戦闘を継続すればするほどに必要な魔力消費量が軽減してゆくユニークスキル。最大で10分の1にまで抑えられ、たとえ三流の魔術師がマスターであろうと宝具の連続使用が視野に入るレベル。
ヒッティーンの戦いにおいて日中夜息つく暇なく奇襲・遊撃を繰り返し、十字軍を確実に消耗させ討ち倒した話からくるもの。
仁政踏破:B
自身が善とする主義・態度を貫く事で効果を発揮する自戒系スキル。『王道踏破』と同等の効果。
決めた信念を貫く限り一部のステータス向上に寄与するが、自身の信じる道理に背く行為をすると弱体化してしまう。
彼にとっての善とはすなわち「義理人情」。論理や理屈を解しつつも、人倫や人としての道義をまず第一において行動する。>>860
カリスマ:B
大軍団を率いる天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
カリスマは稀有な才能で、一国の王としてはBランクで十分と言える。
弱体化(暗殺者):E
真偽は不明だが生前ハサン・サッバーハに暗殺の対象にされたことがある。
結局暗殺は未遂に終わったものの、ある日目が覚めると彼の枕元には毒塗りの短刀と「いつでも殺.せるからな(意訳)」と記された紙片が置いてあったという。
世にも珍しいデバフスキル。サーヴァント『アサシン』からの攻撃に対して耐性が若干低い。
【宝具】
『穿ち血繁吹く聖十字(アルサリーヴ・オルタナティブ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0~2最大捕捉:1人
ランサーが所有する、黒血が脈動する魔槍。
その正体は異教の救世主が磔刑に処された際に使用された聖十字架であり、聖都エルサレム奪還の際に奪い取ったもの。
本来聖十字架には聖槍ロンギヌスと同様に癒しの効果がある筈なのだが、異なる宗教を信奉するランサーの手に渡った事で属性が反転。結果癒しの祝福は「血に触れた者の古傷を暴く」呪いに変質している。
真名解放により血の呪いが顕在化。呪血が固まって出来た瘡蓋(かさぶた)が槍全体を覆い、長槍から本来の姿である聖十字架へと変貌する。
血の呪いはサーヴァントに対して効果覿面であり、生前戦いによって命を落とした武闘派英霊ならばほぼ確実に一撃で死に至らしめることが可能。
反面、「生前戦いとは無縁だった英霊」や「そもそも死.んでない人間」に対しては期待した効果が得られない場合も。>>861
元来十字架には「死を滅ぼしし矛」なる美称があり、槍術の逸話のない彼をランサーたらしめているのはこの宝具に依るところが大きい。
『聖戦宣誓(ジハド)』
ランク:C+ 種別:対陣宝具 レンジ:30 最大捕捉:100人
ランサー第二の宝具。
相手を不倶戴天の敵と認識し、かつ不退転の決意をもって戦いに臨む際発動する固有結界とは似て非なる大魔術。
格上を倒す為に編み出され、聖戦の名を冠した空間魔術の効果は「自他ともに一切の補給を赦さない」というもの。
空間内に吹き荒れる砂嵐は補給や回復、ないしそれに類する行為を全て無効化する効果を持ち、回復魔術はおろか物理的な治療行為、はてには魔力供給さえも完全に遮断されてしまう。
これにより自身も魔力供給が断絶され魔力の節約を余儀なくされるが、相手の燃費の悪い宝具やサーヴァントの動きを抑制し、問答無用で消耗戦へと引き摺り込んでしまえる。
さらに第一宝具『穿ち血繁吹く聖十字』の併用も可能。
まとめると相手は「視界の悪い砂嵐の中、一切補給が出来ない環境下で、不意に飛んでくる一撃必殺の槍を捌き続けなくてはならない」という事であり、正にイヤらしさの極みとも呼べる宝具。
なおスキル『風除けの加護』やそれに類する効果の宝具があれば砂嵐の影響を受けずに行動可能。>>862
【Weapon】
『穿ち血繁吹く聖十字』
異教の救世主の血が今もなお脈動し続ける、正真正銘の聖遺物。
サラディンの手に渡った際に属性が反転した結果、『死を滅ぼしし矛』は『死を招く矛』となった。
通常時は真名割れを避ける為に長槍に擬態しており、聖十字架としての効力も真名解放しない限りは鳴りを潜めている。
耳を当てるとズクンズクンと拍動の音が聞こえる。怖い。
【解説】
12世紀から13世紀に渡りエジプト、シリア、イエメンなどの地域を支配したスンナ派のイスラーム王朝であるアイユーブ朝の創始者。
彼個人の名はユースフといい、サラディンという通りの良い名前は尊称であるサラーフッディーンが西欧で訛ったもの。
尊称の意味は「宗教の救い」。
ザンギー朝の軍団長アイユーブを父に持ち、成人後はザンギー朝君主ヌールッディーンの重臣であり後にエジプト宰相となる叔父シークルーフに仕える。
サラディンは叔父のエジプト遠征に度々同行していたが、第三回エジプト遠征の最中に叔父が大食漢が原因で急逝。
なし崩し的に甥であるサラディンが軍権を引き継ぎ、そのままエジプト宰相に就任、弱冠32歳にして大国エジプトを完全支配するに至った。
これにより君主ヌールッディーンから領土的野心を疑われるも、彼も数年後に病没。
運命の悪戯としか思えない偶然が重なる形でサラディンは王へと昇り詰めた。>>863
かくして西アジア最大の勢力を持つに至ったサラディンであったが、なお脅威として立ちはだかったのが十字軍国家の存在であった。
当時軍事的な緊張状態が継続していたイェルサレム王国と幾度となく交戦し、1187年にはイェルサレム王国のキリスト教軍をヒッティーンの戦いで破ってイェルサレムを奪回。
その際に捕まえた捕虜は誰一人として殺めず、身代金すら取らなかった寛大な処置は有名。
その二年後にリチャード一世率いる第三回十字軍と激戦を繰り広げ、三年後の1192年に和平条約を締結した。
そして翌年の1193年、ダマスクスにて病死。
享年66歳、異教徒や異民族に対しても情けと対話で臨んだ人格者の最期だった。
【人物像】
とにもかくにも涙脆い。
大柄な身体と仏頂面のせいで誤解されやすいが感受性は(些か度が過ぎるくらいに)豊か。
人情味に溢れるがゆえにたとえ赤の他人の不幸だろうと涙を流す───嬉し泣き、悲し泣き、悔し泣き、もらい泣き、なんでもござれ。
生前から、
戦いに行くのが嫌過ぎて泣いたり、
暗殺教団に殺されかけて泣いたり、
道中知り合った人の身の上話を聞いて泣いたり、と泣いた逸話には事欠かない人物。>>864
ただし口数が少なく表面的な感情の起伏に乏しいため、側から見ると「突然ボロボロ泣き出す不気味な巨漢」として映ってしまう。
そしてひたすらに義理人情に厚い。
気質は寛容にして鷹揚。理屈や利益よりも物事の道理や人道を重視するので、一度外道と認識した相手にはたとえ格上であろうとマスターであろうと牙を剥く。
逆にたとえ敵であったとしても性根が善性であるならば好敵手(ライバル)として扱い、場合によっては共闘も惜しまない。
また寛容であるあまりに時として自分に不利益になる事も平然と行ってしまうこともある。
生前も行軍の軍事費を道中の村に分け与えてしまい、結果足りなくなった軍事費を軍の皆んなでカンパしたりしている。
よく泣き、よく施し、よく戦う。
その在り様は為政者というよりも『大親分』に近く、本人も王として敬われるのはくすぐったいと固辞している。
特技:号泣
好きなもの:任侠、人情喜劇、泣ける話
嫌いなもの:不義理、暗殺
天敵:ボードワン4世、ハサン・サッバーハ(とくに後者はトラウマレベルで苦手)
願い:異教の遺物に縋る願いはない、が、仮に万が一使うとしたら果たせなかった『男の約束』を果たしたい。>>865
【一人称】フォーマルでは私、それ以外は俺
【二人称】君、貴様、お前
【三人称】彼、彼女、アイツ
【セリフ例】
「相承った。只今をもって私は君の露を祓う槍であり、義を測る天秤である」
「すまん────涙を禁じえない」
「では泣けない君の代わりに泣こう。恥ずかしい話、俺の涙腺が、もう、限界なんだ」
「うっ、ふ、ふぐぅ。うっうっ、お、おおおおおおぉぉぉぉ………おおおおおおおおっ(号泣)」
「ヤバン(日本の意)には任侠、という美意識があるのだそうだ。聞くに西洋諸国で言うところの騎士道みたいなものだと。大変好ましい。高潔な人間とはかくあるべし、だ」
「仁義を欠く奴は嫌悪の対象だ。人には通すべき筋(すじ)や道理がある、それを違えば待ち受けるのは破滅だけだ。俺の生きた時代にも外道は何人もいたが、みな最期は惨めなものだったよ。……マスターも真っ当に生きたくば身の振り方には重々気をつけるんだな」
「聖杯か、宗教上信じるに値せんものだ。使いたいなら君が使うと良い」
「魔槍開帳」
「かの十字架は我が手中に堕ち、血は呪詛となりて大地を濡らす」
「疵暴け───『穿ち血繁吹く聖十字(アルサリーヴ・オルタナティブ)』」
「阻む敵は不倶戴天。ならば俺も不退転の決意をもって迎え討とう」
「我が故郷の砂よ、今此処に、信念の闘いを行うことを誓おうぞ」
「『聖戦宣誓(ジハド)』」>>875
相性ゲーってヤツですね!よっぽど運が味方しないと景清さんには勝てなさそうですねサタンのクラス別宝具を編集中……。
明日辺りにはクラス別特性とかも含めて開示できたらなぁ、と思います
因みにFGOの連続ログインは途切れそうで少ししょんぼり!とりあえずしばらくは巡礼イベントになりそうでちょっと安心>>854
思えばスペインってあまり型月でピックアップされてない印象ですね。こっちでは結構いるのですが…
魔都は明治〜太平洋戦争の東京大空襲までを中身とする憑き物なので、明治の世が存在しない江戸時代にはまだ誕生していないのです…
>>867
私この人好き!
こういういかにも豪胆って人が涙脆かったりしてて、でも戦いでは強いし頼りになるっていうギャップに萌えるし燃えるんですよね。立ち絵があったらギャグ漫画風に滂沱の涙を流す巨漢の差分がありそうで、インパクトある…
宝具の聖十字架変形時の禍々しさから初見だとめちゃくちゃ警戒されそうだなあ…ストーリーだと味方なのにCMとかですごく悪そうに映って「凶悪鯖だ!」って前評判築かれそう
>>869
改めて阿弖流為をよろしくお願いします!何か気になる点などございましたらお気軽に質問ください
あやかさんがおっしゃっていらした通り、禁教令が解かれたのは明治入って以降なんです。
キリスト教徒迫害の有名な事件で「浦上崩れ」という検挙事件もあって、その最後の四番崩れは幕末から明治を跨いでありました。それだと禁教の姿勢を継いだ明治政府は教徒である村民全員を流罪にしたって話なので、私が出した「東京奠都に際する聖杯戦争」を採用する場合は1869年前後となり、弾圧も風潮として残っていたように思います
ただ火村さんの想定していらっしゃるバーサーカー陣営のマスター(史実鱒)が以前の桐野利秋のままである場合、彼が下野し不平士族に与するようになったのは1873年10月で、禁教令撤廃は同年2月なので、それ以降と考えると確かに横行はしていなさそうですね伏神の聖杯戦争を少しだけ更新しました。
まだ自分のターンでしょうからまた後日改めて更新させていただきます。>>884
感想ありがとうございます!
親分肌に仕上げたのも史実のサラディンの逸話やら歴史の中での立ち回り方やらが騎士っていうより仁義に生きる人って感じに思えたものでして。
fakeの獅子心王のキャラクターがあまりにも濃いのもあってコチラも濃いキャラ付けとなってしまいました。笑私のFGOアカウント復活ッ!!!安心しました。
>>880
投稿ありがとうございます!!更新よろしくお願いいたします。槍讐同盟にとっては試練の展開ですねぇ、シスカさんのバーサーカーだけじゃなくて、隠しのサーヴァントも一騎いる訳ですから(戦闘になる可能性は低いのですけども)
>>867
コンセプトがまとまってて、作劇的に使いやすそうなサーヴァントですねぇ。ただ性格面で反りが合うか否かが結構重要そう。
オリジナル聖杯戦争ならぐだぐだ聖杯奇譚の戦線(レッドライン)形式とかも面白そうかも?
あとはクラス別スキルが基本各クラス一個だけな聖杯戦争(剣は対魔力のみ、アーチャーは単独行動、ライダーは騎乗、アサシンは気配遮断…って感じの)なんのもいいかもですよね。ただこっちはランサーをどうするか問題がありますがさて、サタンの各クラス(とりあえずアーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、アルターエゴ)における宝具の詳細やスタンスといった部分の設定をザックリ固めたので投下いたします!確認、質問、改善案などよろしく!
アーチャー:ルシファー(雷の宝具)+ベリアル。
スタンス:ベリアルという淫乱で嘘つきな堕天使の要素を複合した事により、いっとう醜悪。
高ランクの単独行動スキルを持つので非常に自由に行動する。サーヴァントとして評価すると”そこそこ(マスター次第)”
試練:比類なき美青年、あるいは美女の姿で現界し、マスターを堕落させようと誘惑。善人であろうとするならばそれに耐える必要があるが、元々悪属性なら一緒に楽しむベッドイン方向になるのでマジで相性枠。
アーチャー宝具
『無益・魔都の燼滅(ベリアル・ソドムゴモラ)』
ランク:A+ 種別:対都市宝具 レンジ:100 最大捕捉:500
・サタンと同一視される悪魔、「無価値」「無益」のベリアルの属性を表した宝具。触れたモノを塩と化す、火と硫黄の雨。
・ベリアルはその巧みな弁舌によって死海のほとりにある街、ソドムとゴモラに住む人々のモラルを低下させ、享楽的で性的に放埓な生活を送らせていた。同性愛に近親相姦、獣姦や他者への不寛容といった悪徳が蔓延る街へと変貌させた。
結果、神の怒りを買ったソドムとゴモラは、ただ一人信仰に篤かったロトとその家族を見逃し、それ以外は硫黄と火の雨を降らせる事によって焼き尽くした。
しかし、「決して振り返らぬように」と命ぜられたにも関わらず、ロトの妻はその禁忌を破ってしまい、そのまま塩の柱となってしまった。
・宝具を発動させると、サタンの視線が通るエリアに火と硫黄の雨が降り注ぐ。火と硫黄による熱や物理ダメージの他、生物が触れた場合は、その一滴の部分を塩に変化させるという性質も持つ。一瞬で塩の塊となり果てるといった程ではないが肉体が欠損する為、非常に厄介。
攻撃性能こそ極悪だが、発動後に決定した範囲を広げる事も不可能な為、大雑把な攻撃になりがちという欠点がある。ライダー:悪魔の王、地獄の支配者属性。邪悪というか災厄そのもので、評価は”大外れのクラスター爆弾”。大凶以下の引き。マスターはほぼ間違いなく死亡脱落するので、生還するだけで幸運と言える。
ライダー宝具
『悪逆・凶暴たる君臨(ナイトメア・イビルフィナーレ)』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:100
・地獄の支配者、悪魔たちの王としてのサタンを象徴する宝具。狼と獅子を思わせる姿をした2頭の竜が牽く戦車。炎に包まれたチャリオットであり、各部に斧や偃月刀のような刃、スパイクなど、過剰レベルの攻撃手段が備え付けられている、疾走する殺戮兵器。
・この宝具はサタンが己の悪を最大限発揮する為の存在であり、端的に言えば自身と同一視される悪魔と堕天使のエッセンスを全て取り込んでおり、単一の逸話を表現する訳ではない。
・全体的に言えば炎関連の伝承を下敷きにした宝具で、高威力高機動。疾駆するだけで戦場を蹂躙し、三騎士の渾身の一撃にも匹敵する威力で天と地を翔ける。
攻撃性能だけでなく防御力も高く、御者であるサタンごと炎に変換する事で物理攻撃の回避や短距離ではあるが瞬間移動を可能としている。
突貫だけが能ではなく索敵も可能で、不和を撒き散らし人々を狂乱に陥れる邪悪な蠅や、魔力を強奪し主に献上する下級悪魔といった尖兵を使役し、敵を見つけ出す。
さらに、攻撃対象に人属性がある場合に限り、「敵対者に突進が命中した」という結果を作ってから「戦車による突撃を行う」という原因を作る事が出来る
・欠点として燃費の悪さが挙げられる。使用時にはサタンに追加でもう一体分サーヴァントを維持できる量の魔力を消費するか、第一宝具である『堕天・暁の明星(ルシフェル・フォールエデン)』の利用禁止が求められる。>>894
7度、である。6度ではない。つまり召喚者以外のマスターを葬った後は己のマスターすら粉砕せんと戦車を差し向け、突進してくる。
サタン「己は力を示しました、さぁ己がマスターたる汝様、次は貴方が力を見せる番です!!!」
召喚したらご愁傷、頑張って生き残ってね♥このサタンにとって聖杯戦争での戦いは前菜です、というのが試練の内容。
……ぶっちゃけ、作劇的にアレすぎてお話にならないので、まず召喚される事はないだろうと盛りに盛ったのは否定できないアサシン:ルシファー+アザゼル。
スタンス:荒野の支配者、神の僕。そして人を救い力を授けて寄りそう奉仕型サーヴァント。
評価は”大当たり”で、戦闘面でもコミュニケーション面でも扱いやすく強いという文句なしのクラス。
試練:「使い魔のサタン」を認めるが出来るか、という精神に問いかける難問。従順で有能だが、この魔王を信頼し、使役できるかどうかが最大の試練。
アサシン
『誅伏・荒野の断罪(アザゼル・ウィルドジャッジ)』
ランク:B++ 種別:対罪宝具 レンジ:50 最大捕捉:200
・サタンと同一視される堕天使「神の如き強者」、「荒野の悪魔」「犠牲」のアザゼルの性質を示す風と斬撃の宝具。荒野の風、嵐を引き起こし、罪を断つ。
・元々アザゼルは天使によって構成される人間の監視団、グリゴリの総司令であったが、人間の女性と恋に落ちる、或いは神からの「人間に仕えるように」という命令に異議を唱えた結果、天界を追放され堕天使となったとされている。神への復讐なのか、人間に武器や装飾の智慧を伝授したとされている。
・『旧約聖書』の”レビ記”においてのアザゼルは、贖罪の日、ユダヤの民が告白した罪を受け止め、その心を救うとされていた。神と贖罪の為に用意された2頭の牡山羊の内、民衆の罪を背負った片一方、荒野に放逐される牡山羊をアザゼルは受け取っている。
・この宝具は嵐の宝具である。ただ放つだけならば単なる風圧による攻撃にしかならないが、”罪”を犯した者が風に触れればその身体が切り裂かれる。この場合の罪とは普遍的であったり自責や他責など、それら全てを内包しており、大抵の生物はこの斬撃から逃れる事は出来ない。
・この風は命を持たぬモノにとって無害ではなく、砂利や枝なども混ざった場合、物理的な攻撃にならないとは限らない。キャスター:ルシファー+サマエル。
スタンス:サマエルという天使の複合。諸々のエピソードにより、どちらかと言えば人間に対して否定的で、面従腹背というか言われた事だけやる感じ。敵陣営に対しての方が集中力あるように見える。
試練:言われた事だけやり、聞かれなかった事は大事な情報でも言わないなど、意地悪な悪魔に対してどうコミュニケーションを取るかというモノ。
サーヴァントとして評価すると”外れ”で、有能だが扱い難い性質。
キャスター
『神毒・十二翼の赤蛇(サマエル・ヴェノムトリップ)』
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:10 最大補足:1~10
・サタンと同一される堕天使、「盲目の神」「神の毒」サマエルの属性を表す宝具。他者を破滅させる葡萄と毒、即ち酒の性質を持つ悪性情報を操る。
・「サマエル」とは「サタン」と同一視される「神の毒」「盲目の神」の呼び名を持つ死、闇を司るとされる堕天使。第五の天国の支配者である、火星を司る、熾天使よりも上位の存在であった、という説がある。
サマエルには天使だった頃、葡萄の木を楽園に植えたとされる。だがこの行為に神は怒り、サマエルを叱責した。納得できぬサマエルはアダムを唆し、葡萄の実を食べるよう勧める。アダムは葡萄をただ食べるだけでは飽き足らず、その実を醗酵させ葡萄酒を作り始めた。
アダムの子孫は葡萄酒を飲んで親殺し、子殺し、姦淫、盗み、偽誓といった悪行を行うようになった。いつの時代も過度の飲酒は良くないとされるが、古の時代では人には罪が無く、葡萄酒が悪いと考えていたようだ。
・また、死の天使として預言者モーセの魂を天国に運ぶ命を受けた際、彼に杖で殴れ、失明。その後、神に厳しく叱責され、モーセの魂は結局神自らが天国に運んだ結果、その屈辱から神への反感が生まれてしまい、堕天してやがては魔王になったとされている。
・宝具としては毒の葡萄酒を具現化させ、支配するというモノ。自身が飲めば魔力の補給やステータス上昇といった自己強化、敵対者へは悪性情報に由来する呪詛でその肉体を腐らせたり。圧縮したりしてウォーターカッターみたいな攻撃手段にするなど、応用力もそれなり。>>886
誤解が晴れた事実にも泣きそうですが昨日の敵は今日の友的な展開に嬉し泣きしちゃいそうな気もします。顔びちゃびちゃになってますね。
>>888
感想ありがとうございます!
この後はサラッと会話して、シスカさんと遭遇するも歯が立たずに離脱、くらいまでやろうかと思ってます。
サラディンについてですが典型的な魔術師や差別主義者などとはトコトンウマが合わない感じですね。
>>891
ライダーの方はどっちかといえば西欧諸国からみたサラディンって感じですよね。
西欧諸国で語られるサラディン像は理想的な騎士然としてて高潔で清貧を良しとする王……ってイメージですね。泣き虫な印象もあんまりないですし。
それはそれでとっても素敵なキャラクターだし差別化が出来てて良いなぁと思ったり…
>>893
サーヴァント対抗早泣き選手権とかあったら最強格だと思います。アルターエゴ:ルシファー+ルシファー。
スタンス:「貴方もう真名ルシファーじゃない?」レベルで、サタン要素は固有スキルぐらいである。
悪辣という程ではないが、同時に優しい訳ではなく、程よい距離感で接してくれる感じ。
試練:アルターエゴは「元の存在から特定の感情を抽出し、純化して核として形成したサーヴァント」。異様な現界状態である為、マスターに問題があるケースがほとんど。
サタンが試練を与えるのではなく、マスターに対して既に起こっている諸々が既に当人にとっての試練、と言える。
『悲嘆・背信の氷獄(ルシフェル・コキュートス)』
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:10 最大補足:1~50
・サタンと同一される堕天使、「暁の輝ける子」ルチフェルの属性を表す宝具。地獄の最下層に巻き起こる寒波を発生させ、氷と冷気を操る事を可能とする。
・ダンテが描いた地獄は、地球の中心部に向かって降りる逆三角錐の形をしている。地獄の門には「この門をくぐるモノは一切の希望を捨てよ」と記され、5つの川と9つの層─「圏」─によって構成されている。
第一層では洗礼を受けなかった者、第二相は「邪淫」の罪人、第三層が「貪食」といった風に分けられていき、罪と罰が重くなっていく。
さて、ルチフェルが封じされている第9層は「裏切り」という重罪を犯したものが落とされており、彼はそこで腰まで氷に浸かり、自身の翼が怒る寒風によって永遠の寒さに苦しんでいるとされる。
・宝具としては冷気によって「無の状態から氷を生成し自在に操る」という性能。氷塊によって押し潰し、地面を氷結させて行動を制限する、氷の武器によって敵対者を貫くなど、単純ゆえに応用力も高い。奥の手として、敵対者の肉体を丸ごと凍結させ、瞬間的かつ疑似的な時間停止を起こしたと錯覚させる事が可能。ただしあくまで肉体を氷漬けにするだけで、世界そのものに干渉する訳ではない。さて、レスなどが遅くて時間がかかりましたが、以上でサーヴァント・サタンの設定編集は完了です。感想、質問、そして疑問点や改善した方がいいんじゃね?的なのなど、お便りお待ちしております
サムライレムナントは二週目こそ肝なので二週目やってない人がいたら個人的にネタバレしたくないですね...なお一番語りたいのも二週目という
一周目で見れるエンド分の範囲のマテリアル情報とかは流石に語らせてくれー!という気持ちですが
メルブラの時はどうでした?そういえばFGO以外の型月作品のネタバレとかよく見たら書かれてませんでしたね
ちな自分は今日やっと2周目が終わった所です
>>904
ありがとうございます!
さて、彼とエリザヴェータをどう絡ませたものか…サムレムは……おにぎりめっちゃ喰うゲームだってオラ聞いただ!
サムライレムナントの当たり障りないネタバレとしてはですね
〇保有スキル分からないのかよぅ!!
〇クラススキルの「鬼神の顕」がインドラジットとかに適応できそう
〇霊地争奪戦、ペーパームーン聖杯戦争でも感じたけど「聖杯戦争」とシステムの相性が良いですよね。サーヴァントの強化と陣地の強化ができるのでごり押し効くようになる&陣地から逃げれないので確実に衝突できる
〇アサシン陣営・バーサーカー陣営 is 最高
〇マテリアル本の「清明の千里眼で記した未来の情報→土御門がそれを元に盈月(プロトタイプ)作成→キャスター召喚→キャスター協力して完成」の流れ、他でも使えちゃうじゃん剪定やむなし
〇宮本伊織、エッッすぎる…そりゃ製作陣推しますわ…
二週目は純粋にシナリオ作りの妙に尽きるので、おいおい>>917
(露出的な意味で)マイルドビーストにデザインさせて頂きましたわ~>>922
やっほぅ!待ってまーす!>>928
>そういうこともある
それはそう。なんならクラス別スキルやステータスも開示してないんで残当というか、ぶっちゃけないものねだりの欲張りなのよね
とりあえずステータスとスキル纏めたサタン完全版を出さねば
『大当たり〜そこそこ〜大外れ』までいるのでもっとクラス増やして大当たり、当たり*2、そこそこ*2、外れ*2、大外れ、までやりたさはある>>927
一応、ここでは既存の鯖だったのもあるのと、強い、当たり外れ激しいくらいの感想しか浮かばなかったのもあるかな?
私みたいなコメントに困るマイナーなの投稿して、何を言えばいいか分からないやつもありますし。場合によりけりよ。経験上こういうのって文字数というか文字の密度が高いと返信が来にくいと感じます。
単純に読み辛いのと情報の洪水でどの要素を取り上げて感想を言えばいいか分からなくなるんでしょう。
なので隙間を空けて改行したり設定を全部書くんじゃなくて細かい情報は後からwikiに載せる際に更新するとかするといいと思います。>>931
あー。(納得)
アーチャーのサタン:サーヴァント適性、そこそこ
堕落への誘惑が試練。雷と火と硫黄を降らせるフリーダム悪魔
ライダーのサタン:サーヴァント適性、大外れ
理不尽な暴虐をどう乗り越えるかが試練。
宝具で爆走してマスターは魔術刻印すら損耗するレベルで絞り取り、霊脈もズタズタにする災害魔王
サタンがマスター7人粉砕して聖杯戦争が終わる
つまりこんな感じって訳ですね!>ザックリ情報黒鹿さん、いらっしゃいますか?
https://telegra.ph/胡長歌-10-13
途中まで作るだけ作って未完成のやつをバンバン供養するのに便利ですねテレグラフ~(超飽き性)
チャイナ娘で人狼作ろうとしたらアジア圏は人虎だとぉ!?で急遽修正入ったり色々あったけどパンプキンヘッド・ルナチャンのおそろしいところは衣装的にカボチャ頭を脱ぐとカッコかわいいツラした王子様が出てきかねないってことですよ…すごいぞ可能性に満ちあふれている
第二次世界大戦────枢軸国と連合国との間にて行われた人類史最大規模の戦争。
その発端となったドイツ軍……後のナチス・ドイツは、自らの軍事力を盤石にすべく、秘密裏に人智を超えた秘術に手を伸ばしていた。
人はそれを魔術と呼ぶ。
ナチス・ドイツの総統は特秘を発令し、それらの神秘を扱う研究機関アーネンエルベにより、とある儀式が計画された。
聖杯戦争────北欧の神秘を蒐集し、それを研究していた機関が発見した『巫女の予言』の端に書かれていた儀式。
万能の願望機をめぐり、七騎の勇者(エインヘリャル)を現界させ、死闘を執り行う神聖なる儀。
ナチス・ドイツは、この儀式を以って国を強固なものとし、全世界をドイツの名の下に統一せんとする為の布石とした。
計画名『ヘクセンナハト』。日没から未明にかけて光輪が満たされる時を待つ狂宴。魔女の夜の名を冠する儀を以って、ラストパタリオンをここに顕現させる────。
「ランサー、供給される魔力は心配しなくてもいい……贄ならば、腐る程いるのだからね」そういえば今日は鉄道の日だそうで…
機関車のロマンを語り合ってるクラスメイトたちに「いやあ、あの頃の汽車なんてのは揺れるわ五月蝿いわ馬鹿な狸が突っ込んでくるわで、碌なモンじゃないですよー」とサラッと言っちゃうカステラは多分きっといる、なんて小話
>>950
友人としてルナチャンをルナちゃんに戻すために真剣になるべきなのになんだかんだエンジョイしてぴょんぴょん跳ねて「ヨモちゃんヨモちゃん!」って言ってくるルナチャンに「このままでも…」なんて考えちゃうヨモ…それを見透かされてカヴンさんなんかに小突かれるヨモ…
やはりルナちゃんはハロウィンでも引っ張りだこですね
>>951
スレ立て乙ですの!
>>952
バイディワさんatパーティで!
>>954
ランサーさんは一体誰なのだろう…高潔な英霊であればあるほどこの状況では曇りそうで、しかしそこがランサーっぽいとも思ってしまい…
ドイツの魔術師で第二次世界大戦の関係、となると猫の藩士さんのところにそういった神秘を使う人がいたなぁ…元気してるかな>>956
おぉスタルカドさん!以前並行リレーでお借りした方だ!あの時はバーサーカーで上手いこと掘り下げ出来なかったので曇らせとはいえ気になる…
探してみたところフレデリカ・ウェウェルスブルグさんでした。彼女自身がというより彼女の家がという感じでしたね
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B0>>957
> 以前並行リレーでお借りした方だ!
そうだったのですか! 知らなかった……。
曇らせ要素は高潔と過去が故に生贄を許容できないスタルカドですが、バズディロットばりの令呪の使用で反転衝動を強制的に出された感じですね。
猫の藩士のを拝見させていただきました。いやぁ、良いですね! 実にナチス要素と神秘要素が絡まってる設定でした。
他にも超人計画で生まれたのを出していいかもですね。ホムンクルスも交えて。>>953
鯖のチョイスも相当慎重を要する予感しかしない…。スレ終盤にそっと貼るキャラリメイクとそれに伴うss投下
「失礼します」
「…………なんだ、貴様。見ない顔だ」
「はい。本日限りの限定であなたの管理担当になりました。クラブの部門に所属する青橋撫海です。よろしくお願いします、ブファス」
「不敬。不快。目障りだ。我は大層機嫌が悪い。次はないぞ、去れ」
カーディガンに身を包む少年。神代の焔をその身に宿し、人ならざる体躯で寝そべる自堕落ながらも神秘的な怪物。住んでいる世界が違うのだと思えるほどにかけ離れた者が相対している。片方からは好奇心が、そしてもう片方からは不快感が放たれている。ブファスという名の古代の魔神からしてみれば、目の前のそれはただの虫だ。小さく弱く、一息で吹き飛ぶ哀れな虫。潰す価値はない。視界に映ったところで敵意すら湧かない。しかしその虫がこちらを侮る不快な態度を取るのであれば、潰すのも道理というもの。人が目に入った醜悪な虫を排除しようとするのと同じ理である。
「それは、俺の視線?それとも別のもの?」
「貴様の視線が不快だ。下賎な下らん神秘を宿したような愚物が我を見定めることがまず大罪である。故に我は視界を閉じている。目に入れば灰すら残したくない。それと貴様のその呪いも不快だ。哀れな畜生、種を植え付ける事を使命とするようなものだ。人の身でそれはさぞ辛かろうよ。その呪いの形の醜悪さが不快だ」
普段はスナック菓子に溺れているといえど、やはりここに居るのは神代の魔術師の生み出した傑作だ。天を焦がそうとする傲慢な意志によって造られたものは、目の前の少年の本質を見出し、愚弄し、嘲笑う。おおよそ人としての運営を求められていない哀れな血と、それが魔術師として存続している事に対しての嘲笑と称賛。不快ながらもそれなりに暇を潰し興を満たすものであったがゆえに少年は……青橋撫海という魔術師は殺されることがない。尋常ではないほどの殺気はぶつけられているが。「まあまあ、そう言わず。こちらでもどうですか?新作のポテトチップスで、濃厚アボカドチーズとわさび醤油味……」
「疾く消えよ。我の前に貴様の痕跡は不要である」
「もうちょっと優しくして?俺ももう若くないの……」
魔神の勧告に次は無い。詠唱はおろか身体を何一つ動かすことなく、魔の炎が撫海を灼く。骨すら残さず何もかも焼き尽くす。ポテトチップスも美味い供物であるというだけで、攻撃を緩めるほど高尚で素晴らしいものではない。なのでポテトチップスを考慮して火加減を考慮する……などということもなく、跡形もなく焼き尽くすつもりであった。あったのだ。
撫海の手のひらに広げられている透明なルービックキューブのようなもの。そこから展開される数多の魔術式とソースコードが一つの結界を出力する。神秘に依ったものでは解除が出来ない、人類の科学技術を解析し理解しなければ決して解除もできない大結界。ブファスは人類の科学技術になど興味がないため解除は当然出来ない。単純な火力で破壊しようとするものの、足りない。現代の魔術師が作り出した結界であれば殆どを破壊して見せるブファスの炎ですら、破壊できない。
「あの女……機械仕掛けの水上都市、姫の擬きの仕業か。現代の科学や魔術のレベルを遥かに超えている。全く新しいものだ。破壊するならばそれ相応の火力を要するが……それでは部屋を破壊しようとした認識となりあの英雄がやってくるな」
「イース= ルル・イェー。とあるよしみで彼女から借り受けました。本当は持ってたいけど……まあすぐに返す。“真性のアトラス院ではないあなたにはあくまで貸し与えるだけです”なんだって」
「展示物として封印されているくせによくもまあ自由であるな。しかし我の炎の起こりはなぜ……いや、そうか。マナの微小な変化を周囲に散布した霊体から察知したな。それとわずかな先読み。脳の使用に加え一種の生霊だ。さぞ体が灼かれる苦痛が走っているだろうに」
「実際に俺が死ぬわけじゃないし」
「愚物め。………好きにしろ。我はもう貴様を殺さぬ」【氏名】青橋撫海【性別】男性【年齢】23歳
【身長・体重】157・48【髪色】群青【瞳色】銀
【容姿】短いズボンとカーディガンが特徴的。いつも飴玉を持っている
【魔術系統】降霊術・錬金術【起源】俯瞰
【魔術特性・魔術属性】支配と侵食・地と風
【魔術回路】質・量: B++・B+
【魔術・特殊技能・特性など】
降霊術
撫海が主に使用する降霊術は自身の残留思念を霊体として確立させ、無生物や生命に憑依させるもの。自分以外の存在を呪い、取り憑き、支配し、操作する方向性に伸ばしている。主に射出するようなイメージで飛ばし、憑依からの会話、操作を行う。すなわち、生物にとっては身体や精神の操作、無生物にとってはポルターガイストである。生物においては魔術回路を有するもの、無生物においては現代文明に染まっているものほど憑依とそれに伴う操作は困難になるが、撫海は後述する錬金術によってそれを可能とする。といっても魔術師の魔力洗浄や精神防御を貫くことは難度が高く、抵抗する気のあるものを従えるのであればそれ相応の儀式や手順が必要となる。精神があるものは精神を侵し、そうでないものは自らが精神となって蝕む魔術。
錬金術
分割思考、並びに高速思考。アトラス院に所属する“無計画の翁”に師事することにより得たもの。本場のアトラスのそれに比べると幾分劣っているものの、あくまで本領はそこにない。自身を演算装置として扱うことによる現代機器の操作性の向上、そして一度に多くのものを操作するための演算力向上である。そのためだけに特化させているので、未来予知は出来ない。はるか未来の演算ではなく、現在の把握、演算、少しの先読みに特化した極めて劣化が著しい錬金術である。しかし、青橋の魔術であればそれで良い。未来を望まずとも事足りるのだ。
特異体質
彼の特異体質は大まかに二つ。一つは遠縁のクロムレイトの血から発現した“孕ませた母胎から優れた神秘を持つ子が生まれる”というもの。魔術世界においては種馬として極めて優秀な能力であり、それ故に立場の弱い極東の西洋魔術師である青橋に属する撫海は無闇矢鱈に自身の才能をひけらかすことはしない。次の一つは特殊な俯瞰と理解能力。生まれてから今に至るまで青橋の魔術に慣れ親しんだことで得たもの。霊体を一体、上に飛ばすことである程度ならば空間を上空から俯瞰して眺めることができ、生命体や魔力の込められたものならばおおよその生命力、魔力にあたるものの総量を数値として理解できる。おそらく超能力などに類するものだとは思われるが研究が進んでいないため詳細は明らかになっていない。
【礼装・装備など】
還らずの水晶杖
耳を澄ませるとキーボードの打鍵音のようなものが聞こえてくる水晶が特徴的な魔術礼装。憑依させるための霊体を魔力弾として並外れた速度で射出する他、憑依させたものを操作する補助を行う礼装であり、魔力と電力で作られるタッチパネルを複数展開、可視化されたそれを見ることで撫海本人が操作するときの負担を少しでも減らそうとする礼装。杖先で殴ることもできるぞ。撫海の得意な戦い方は憑依とこれを用いた全体的な戦況の管理と指示である。敵味方問わず魔力管理と先読みを得意とする。
【来歴】
起源はとあるイタリアンマフィアの一派であり、現在は日本に国籍や家名を変えて活動している青橋家の魔術師であり、当主候補。青橋家が所有するイタリアや日本の霊地に居住することなく、全く別の場所にいながらも青橋の実権を握る小さな(リトル)ビッグブラザー。才能を引き出すために数代前に取り込んだクロムレイトの血が顕れており、天才である。見立てでは彼の子供にも引き継がれる可能性は大いにあり得るとのことであり、それもあってか幼少期は自宅において他人を支配する上に立つ者としての学びを修めることが義務となっていた。
座して待ち、指先となる末端を操ることこそ相応しいとする青橋のスタンスに一定の賛成を示す一方、己が脚で大地を踏み越え世界を見聞することでしか見られない景色もあるという熱意も彼はずっと抱いていた。それは幼き頃はただの外への憧れでしかなかったが……10になる頃に外に出た時に確信に変わった。実際に見聞きすることとそうでないことの隔たりは大きい。どんな神秘も、人の思惑も、人々の技術も、実感しなければ真に理解に至ったとは言えない。故に理解をするためには挑戦が必要だ。世界を周りさまざまなものを知る挑戦の機会が。その後は野紀一門、綾姫一門の協力を元に渡航、巨人の穴蔵の“無計画の翁”に教えを乞い、彼の予言じみた演算に従うように傭兵として世界を渡り歩くことになる。その際に空野家の次女と出会い、彼女と同輩として21歳になるまでの六年間、コンビを組み、戦いと研究を重ね続けた。その後、さらに未知の神秘に触れるために博物館へ渡航。クラブの職員として配属されてから二年間、常日頃から命の危険と隣り合わせになりながらも神秘の探求をし続けている。
蜘蛛のように支配の糸を張り巡らせながらも、雀蜂のように圧倒的な力で単身突き進む。搦手も、正攻法も、全ては己が求める真理……すなわち“全知の箱庭”に辿り着くには必要なもの。青橋が夢見た魔術師らしからぬ荒くれ者の“野望”を胸に抱いて、小さきビッグ・ブラザーは今日も熱意を胸に抱く。
【性格】
興味を抱いたものは自分で試してみないと気が済まない性分の青年。タチが悪いのは一度試せば気が済むのではなく、満足するまでやらないと気が済まないというもの。RPGならば全てのやり込み要素を完遂するまでプレイを続け、魔術の研究ですら明らかに芽がない方向性だとしても実験を完遂するまでは絶対に諦めず資金と能力を注ぎ込む。何かが自身からこぼれ落ちるのも嫌いで、一度己の物とした資産が他人に奪われるのが大嫌い。それが貴重な物であろうと、土地であろうと、金品であろうと、はたまた人材や自分の心であろうと、誰かが踏み入り荒らしたのならば必ず取り返す。
強欲で、傲慢で、けれど冷静で狡猾。指先一つで物事を自分の意のままに動かしながらも、自分の認めたものの独断行動は笑いながら看過する。それが利益を得る物ならばむしろ支援し、そうでないならば自身が不利益を被らない形で、なおかつ利益が出るように支援すらしてみせる。誰かに奪われる形ではなく、誰かに譲るという形であるならば惜しむことなく自分の物を渡す豪快さ、蜘蛛の巣のように監視網を張り巡らせているからこそ、誰かの不調を気にかけ接することの出来る優しさ。ただ暴虐なだけではない、そこに優しさを秘めるからこそのビッグ・ブラザーである。ちなみに背丈の小ささは気にしているものであり、そのことに言及されると怒る。あまりにも言及されすぎると怒るを通り越して泣く。それはもうびっくりするぐらい泣く。泣いた後に自室に引きこもってヤケ酒をする。彼をよく知る者でさえ軽く引くレベル。クロムレイトの体質のことを言われても多少動揺するし、悪いように嘲笑されると怒りを見せるが、魔道に邁進するものとして自身の優秀な種馬としての役割を認識して受け入れているので、自分の体質自体を不幸に思ったことはない。魔術師ならば喜ばしいものだ。……もちろん、自分が嫁に取る、という前提であり誰かに娶られたり婿入りすることは論外である。恋愛ごとについてもリードするなら自分からが望ましい。放任主義のように見えて裏で諸々監視してる節あり。怖いね。
特技:ボードゲーム
好きなもの・苦手なもの:果物・課金
「ようこそ博物館へ。クラブに所属しています、青橋撫海です。各部門の補助を担当していますので、基本的なことは大体できます。なのでお困りでしたらどうぞご相談ください」
「部門長ですか?良い方ですよ。自分の身を削って部下を慈しんでくれる方です。俺もご飯を奢ってもらったことがあります。ただ、少し、人外に対しての態度はいただけない。貴重な神秘があの方のせいで消えてしまうので」
「人は俺をビッグ・ブラザーと呼びます。国籍と家名を変えても青橋は西洋の魔術師に半ば近いですから。………あ、いま背丈でバカにしたな?“小さいのにビッグ・ブラザー?”って思ったな?泣き散らかしてやろうか!?」
「動かなくて良いことは動きません。けど、動いた方がいいことは俺自身が動きます。どっちかに偏らず、両方併せ持ってこその魔術師。そう思います。その代わり、俺は俺のものを管理することに責任持ちますからね。家族もそうですし、部下も、友達だってそうします」
以上ですスレ終わりそうだし、詰めてもええやろ。
という事で、少し設定を詰めてみたナチス聖杯戦争。
Fate/Black Camelot
【聖杯戦争/ヘクセンナハト】
魔女の夜の名を冠した儀式。遺産研究局アーネンエルベが考案した聖杯戦争。
ゲルマン神秘・魔術に傾倒したハインリヒ・ヒムラーへと秘密裏に接触した北欧系統の魔術師によって齎された、『巫女の予言』の一端に記されていた万能の願望機を顕現させる為の闘争。
これを以って総統に神秘の有用性、そして自らの有能性を見せんとヒムラーが躍起になったのがヘクセンナハトの始まりである。
【概要】
舞台はヴェヴェルスブルク城を中心としたビューレンの町。
主催者はハインリヒ・ヒムラー。主催者補佐はカール・マリア・ヴィリグート。そして聖杯戦争構築を裏から補佐し、後押しする北欧系統の魔術師が主要人物である。
しかし、ヒムラーには魔術回路はない為マスター権を有せず、代理人としてラインハルト・ハイドリヒがマスターとして参加する。
他の参加者はレーベンスボルンでの超人計画のアーキタイプとして造られたホムンクルス。
ヒムラーの思想に共感し、過剰なまでにゲルマン人種を絶対視する狂信者。
この計画に便乗し、成功してナチスの力を盤石にした後、他国へ戦争を仕掛けて容易に霊地を簒奪する事を企む魔術師。
……などなど(実は大まかに決めず、別にどんなキャラが来てやりたい放題してもいい)>>976
ラインハルト・ハイドリヒ
ナチスの親衛隊隊長並びに国家保安本部長官。黄金の獣と呼ばれる程の冷酷無比な人物であり、参謀に長けた傑物。
ナチスの歴史において大量虐殺・粛清の全てに深く関わった人物でもある。
「ヒムラーの頭脳、すなわちハイドリヒ」と揶揄される程、ヒムラーからその手腕を頼りにされていた。逆にハイドリヒ本人はヒムラーを内心侮蔑しており、彼の事を「間抜け」と嘲っていた。
神秘に傾倒する姿もバカバカしく思ってはいるが、魔術の存在や、聖杯戦争の概要を知るとその有用性を認識し、自らにそちら方面での才能があると確認した後に利用しようとする。
ヒムラーの命令により聖杯戦争に参加し、ランサーのマスターになった。
ランサー
真名をスタルカド。ナチスの絶対性、聖教がかつてはゲルマン民族の神秘であると正面する為に召喚された『聖槍の担い手』。
高潔である為、ナチスの取る非人道的な方針に従う気はなかったのだが、ハイドリヒによって『行き贄を拒むな』『その呪いに身を任せろ』『私に従え』という三画の令呪を用いられたので、強制的に反転衝動を発症してしまい、最強の傀儡と化してしまった。>>979
ラスボス感溢れるキャラにはやっぱり最強格という事で、北欧と聖槍要素と合わせてスタルカドという事になりました。
第二次世界大戦の伝奇ものやりたいですね……因みに、この聖杯戦争は大戦前の出来事です(聖杯戦争が1935〜1936年だとして、第二次世界大戦の発端となったポーランド侵攻は1938年)>>980
型月の喫茶店アーネンエルベも実はここから来ていたり。
正直、マスター枠は何でもOKだったりします。ただ恒例のホムンクルス枠もあったら面白いかなって……。調べれば調べる程に分かる、ハインリヒ・ヒムラーの劣化ワカメ感よ。
軍人になりたいけど、体力・身体能力共にダメダメで指揮能力も無能に等しいというコンプレックスの塊。魔術に傾倒するのも無理ないよ。>>984
血と硝煙と陰謀の香りしかない危険な気配バリバリに御座います。サムレムのぼかした内容言及だとドロテアのアサシンの行動にウチのサタンっぽさを感じました。現場からは以上です
次の水木で1周目はクリアしたいです梅うめ梅おむすび
>>989
たぶん誰かの呪いを肩代わりしたとかなんだろうなぁ…
人助けの意識とかは薄くて「自分の身体で体感できるならそれが一番」とか言ってメレ坊が止めるのも聞かずに実行……あわれルナはミニマムサイズのパンプキンヘッドに……みたいな逸れのサーヴァントがいるなら逸れのマスターがいてもいいんじゃないかな…(思いつき)
召喚時点で契約されるわけじゃなくて自分の足で探して出会えたサーヴァントとようやく契約できる、みたいな…
…進行遅くなるだけだなこれ>>997
1000なら健全ハロウィンコス
『一方その頃』描写の嵐……!?埋め
聖杯大会運営本部【リレー相談・雑談】#224
1000
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