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前スレ
https://bbs.demonition.com/board/10141/
過去ログ https://bbs.demonition.com/search2/聖杯大会
聖杯大会本戦統合スレNO.5
https://bbs.demonition.com/board/6193
ラフム語翻訳機 https://yt8492.github.io/RafmanTranslator建て乙ー
そして1000…つまり
・夏祭りシチュ
・鯖と鱒を火水草光闇の五属性に例える
・えっち絵
・自キャラの男運と女運
から選べって事ですね…
ヒトツダケナンテエラベナイヨー‼︎建て乙です。
前スレの1000で4択から選んでね、をやったんで言い出しっぺとして例題を出す。
自作キャラの男運・女運
ローエングリン:E。エルザとの離別の一部始終を考えるとね…。
義仲:EX。嫁三人と円満夫婦。
クリスティ:C。離婚歴あり。
ハダリー:E。幸運Eは伊達じゃなかった。
プリシラ&リガヤプロ:A+。心通い合う伴侶がいる。
タララーワ:D。ロレンシオとカンデラリアの愛が重過ぎ。
ビオランテ:E。バルベルデ家にあるまじき酷さ。
リディア:E。父方の血筋に由来する特異体質のせいで『聖杯惑星』では性的に狙われる羽目に。とりあえず俺が挙げた奴の方を説明をば
まあ普通に色んなゲームとかで使われてる火水草(森とか木とかのもあるけど)光闇でキャラを例えてみるーみたいな感じです。火水土風とは違った感じでやるのも面白いのではって奴ですね
複数色使ってもOKです。なんなら無属性でもいい
って感じです。よければどうぞ建て乙です
つまり…えっちな絵を描けと…?立て乙ですのー!今調べてみたら期末テストって普通は6月〜7月初旬くらいらしくちょっと見当はずれでしたネ、危ない危ない
そして五大属性当てはめで気づいたのですが拙宅は闇属性多くても光属性が考えれば考えるほどいねえなって…ワットとレッドアくらい…たくさんいる癖にバランス悪い…水にも偏重してる…
あと男運ないのは断然ロウィリナです。というより恋愛沙汰なキャラがいないから必然的にそういう運が良くも悪くも彼女に行く
あとは勝手に向こうが引っかかってくれるけど絶対に破局する(フラれる)って点ではテレータかな…とりあえず自キャラで五属性の例を出してみます
鱒
リヒター→火
獅音→火、光
海月→水
凌牙→草、光
裂夜→水、草
鱒
趙雲→草
周瑜→火、水
許褚→草、闇
典韋→火
典韋(水着)→火、水
黄忠→光、草
児雷也→光、闇
趙雲オルタ→草、闇
要はアレです、パズ◯ラとかデ◯エマ的な感じで考えてもろてって感じです男運女運はそうですね…
ウチのキャラはまだ異性キャラとの絡みが薄いから男運女運を断定し辛いけど多分海月ちゃんはありそう。リョーガ君はちょい薄い位かな?獅音君は普通くらいかと思ったけど虚構妖精でのリムちゃんへのムーブ的に異性攻略行けそうなのでもうちょい上。
そんでもってダントツであるのは裂夜君ですよ。ええ。
そんでエッチな絵って…俺のキャラと俺の画力で需要ありますか…?あるなら描かなくもないですが…たておつです~
きっと師匠と過ごす大我の夏休みは宝物、期末テストは涙目物……(前スレ999話)複数指定は1000取りの意味有る?
話広がらなかったり「それ君と数人が特定のアレの話するだけで終わらん?」みたいなちょっとよくわかんないので取られるよりは意味あると思いますわよ、複数取り
そもそもそんな格式とか意味を考えてやるもんじゃないでしょうあれ
ただのスレ埋めでやる遊び自作キャラはたぶん潜在的な火属性が多い…というか無意識のうちに作っちゃってますね
水とか草は意識しないと作らないなぁ…ロックとかメルチミスとか…
光や闇は………いるかな、微妙だなぁ…エウラリアとジャックになるのかなぁ…朽崎兄妹、刹那:闇(病み)
ポルカ、迅龍、ジジェ:闇
ヴィクトル、鳳蝶:光
かなぁ、ポケモン御三家属性が似合うヤツはおらん超久々に、またしても遅れに遅れましたが
Fate/NCの続きが書けました
今投稿してもよろしいです?とりあえず新規リレーは最低でも後一人立候補が出れば始動は出来るかなぁ、という感じです。
始める前にストップ中リレーに関する議論あたりはしておきたいですが。
SN舞台ではないでしょうけど、西洋圏縛りとか色々実験的にやってみたいつもりもあり……。>>20
よくてよ付いたので投げます(前回までのあらすじ)
『塔』攻略のため、協力者を探していたフェリーペ達
フェリーペの提案で三上の下を訪ねるも、すげなく拒絶されてしまう
それどころか三上の挑発にフェリーペが乗ってしまい、まさかの戦闘開始…!?
それは青年(フェリーペ)にとって一番古く、忌まわしい記憶。
記憶の中で、少年はベッドの上に横たわっていた。
右腕に刺さった点滴の管を通し、かろうじて命脈を繋いでいるに等しい状態。焦点が合わない瞳は虚ろで、家族の呼びかけにも応えない。
それでも。青年は毎日通い続けていた。
いつかきっと、また元のように笑ってくれる事を信じていたから。
そうしたら、また兄として、見逃していた分まで愛情を注いでやろうと決めていたから。
だが、現実は――>>23
上段からの蹴りと、かざした長ドスが激突する。
互いに尋常ではない衝撃が身体を貫くが、構わない。むしろ望むところとばかりに、連撃(ラッシュ)の応酬が幕を開ける。
蹴り、殴打、足払い。
斬撃、刺突、たまに打撃。
超至近距離での格闘戦(インファイト)。割って入れる余地などなく、迂闊に手を出せばとばっちり以外あり得ない空間がそこにあった。
「ああもう。やっぱりこうなってしもた……」
そんなご覧のあり様な惨状を前に、加々見は一人嘆息する。
交渉は決裂した。火蓋は既に切って落とされた。
ここから介入し、強引にでも止めさせる事は不可能でもないが――
「アカン、どうしたって拗れる未来しか見えへん」
無意識の内に手繰っていた銀糸、その動作を一旦中止する。
今更止めた所で、フェリーペの気が済むわけでもない。
決戦を前に無益な消耗や痛手は避けたい所ではあったが、事ここに至ってしまっては徹底的にやり合わせる方がマシというもの。
いざとなれば命だけは絶対に守れるよう整えつつ、加々見は見に回る事を決めた。
(死んだら許さへんよ、フェリーペ)
――そうしている間にも、戦局は動く。
「ふん――」
「ッ!?」
右上から左下にかけての袈裟斬り。両断よりも相手を吹き飛ばす事を重視した一撃に、フェリーペは大きく後退させられる。>>24
距離を詰め直す間もなく、銃声。後退により生じた隙を突き、三上が空いた左手に拳銃を構えていた。
狙いは胴体。必殺を期さずとも、脆い人体がまともに食らえば痛撃は避けられない。
必中不可避と思われた射程で、しかし弾丸はただの一発たりともフェリーペを貫かなかった。
「!」
「あっ……ぶねぇ……!」
フェリーペは身体を限界まで捻り、射線からかろうじて外れていた。
至近距離をかすめた弾丸はフェリーペの皮膚を、肉を削りこそしたが内部にまでは達していない。
習熟したダンスの業前と、本人でさえ予想外だった反応力が成した奇跡だった。
(避けた、はいいけど――何だ、この力!?)
想定以上の力に戸惑う暇もなく、目の前の敵に肉薄する。
二度、三度。飛んでくる銃弾を躱し、再び格闘の間合いに。三上もまた拳銃を捨て、長ドスによる迎撃に専念する。
(このガキ……明らかに増している。速度も、そして一撃ごとの重みも!)
打ち込まれる蹴りの一発一発は、既に常人が放てるそれからは乖離しつつある。>>25
最初の内は長ドスでたやすく受け流せていたものが、次第に押され出していく。防御が間に合わず、時には身体に届くものも。
だが――それは、三上もまた同じ。
「ぐあっ!?」
長ドスによる刃閃乱舞。複雑に交差する斬撃が暴風の如くフェリーペの身体を刻み、決して小さくない痛手となる。
それでも、フェリーペは止まらなかった。
痛苦を堪え、なおも三上の身体に蹴りを見舞う。喰らった三上も無事ではいられず、気づけば両者血みどろになっていた。
「「――――」」
呼吸を整え向かい合う。
次の一撃が、恐らく最後。互いにそう理解しながら、決して相手から視線を外さない。
一、二の、三秒。
フェリーペが、三上が、地を蹴った。
片や滑るように迫り、片や得物たる長ドスを抱えるように突き出す。
蹴撃と斬撃、一瞬の交錯に互いの生死が委ねられる。
そうして、最後に打ち勝ったのは――
「……っ」
「とった、ぞ……!」
フェリーペの蹴りが三上の腹部にめり込み、深く抉る。
三上の長ドスはフェリーペの身体を切り裂いてこそいたものの、内臓を貫くには至らず受け流されていた。
長ドスが落ちる。かはっ、と三上の口から苦悶の吐息が零れ、コンクリの床に跪いた。>>26
フェリーペもまた無傷ではない。それまでの攻防により身体中が切り刻まれ、血が絶え間なく零れ落ちる。加えて、先ほどの刺突が決定打となりいよいよ足から力が抜けそうになっていた。
(あ、ヤバい。死.ぬかも)
ぐらり、とフェリーペの身体が傾く。
そのままあわや床に墜落するかと思われた寸前――銀糸がフェリーペの身体を受け止めた。
「カガミ、さ」
「じっとしとき、今手当てしたる。……あのシスターみたいな医療知識はないけど、『糸』の扱い方に関しちゃ負けへんで」
言う間にも、加々見はフェリーペが負った傷口を次々と縫い合わせていく
次いでじろりと三上に視線を移し、刺々しい口調で告げた。
「一応聞いとくけど。この一戦、うちらの勝ちって事でええな? おっさん」
「……ああ」
「ほな――」
「だが。一つだけ聞かせろ」
予想外の問いかけに、加々見の縫い合わせる手が止まる。フェリーペも銀糸に支えられたまま、顔だけを三上に向けた。>>27
「お前……何故、最後に手加減した。あれ程までに怒り狂っておきながら、何故」
「……」
「俺は、てっきり殺.しにくるつもりでいたと思っていた」
「――そうだな。あんたらみたいな連中は、今でも憎いよ。それこそ、殺.してやりたい程に」
でも、と。フェリーペは続ける。
「その、言い訳に――人を殺.した理由に、弟(あいつ)を使ったら、二度と弟の墓前に顔向けできないと。そう思っただけだ」
「……そんな理由で、わざわざ手を抜いたと」
「あんたにとってはな。でも、俺にとっては何より重要だった。それだけのはな、し――」
「フェリーペ? おい、フェリーぺ!」
とうとう力尽きたのか、フェリーペはがっくりと項垂れ意識を失った。
「ああもう! とにかく、うちらはゆうた通りに動くでな! 三上のおっさん、あんたも自分の身の振り方ゆうもんを考えといてや!」
気絶したフェリーペを引っ張り、慌ただしく加々見は去っていく。
その姿を、三上はただ見送っていた。
見送って――ふと、床に転がったままの長ドスに目をやる。>>28
「身の振り方、か」
三上にとって、自分のやるべき事は一つだけだ。
自分を拾ってくれた組に、自分ができる事を返す。ただそれだけ。
ならば――今の、この状況は?
組長も、組員もいない。どこの馬の骨とも知れない輩の指示で、毎日ひたすら狩り続けてきた。
その獲物の数も残り少なくなり、行く当てもほぼ失せた。
ただ一つ。件の『塔(タワー)』を除いて。
「……」
胸元から、煙草を取り出す。
いつもと変わらない筈の味は、不思議といつもより長く感じられた。
この後。フェリーペと加々見は無事拠点であるアパートに帰還した。
が、帰りを待っていたジルに見るも無残な姿を見咎められ。半ばキレられながら丁重に治療を施される羽目になったのは別の話である。そしてこちらはうちの鱒鯖五属性一覧
火水草光闇
サーヴァント編
・火:レーヴァテイン(オルタ含む)、プロメテウス、玉屋&鍵屋
・水:アンブロシウス、ジョリー・ロジャー、冬将軍、ウィリアム1世
・草:平賀源内
・光:オリヴィエ、木蘭、ペーネロペー、本多忠勝
・闇:ガヌロン、丸目長恵(セイバー&アサシン)
マスター編
・火:オーブ、IF千早、マチルダ
・水:アクアステラ、ムジカ
・水&闇:黒江凪咲、ジェイド
・光:黒野、千早、加々見、ジル
・闇:IF黒野、モリソン、ユウキ、ゆーれいさん、ニキータ、三上前スレのお金と魔術に関係性? みたいなやつで思ったのは、遠坂のマネーイズパワーシステムのような一定量の金額を支払う事で何か省略する……みたいな?
古代の魔術師もお金支払って悪魔と契約して、力を得てるなんて話もあった気がしますし。
ただ……赤ザコさんのリピートの下位互換になりそうなんだよね……。>>11に便乗してこちらも自鱒メインの、夏祭りで見たいシチュとかゆる募しますぞー。
魚の骨を取ってたらふっと思ったこと、鱒たちの骨取り事情
船の連中が意外にもみんな最低限出来る(努力する)のはやっぱり『船』だからかな。こういうの一番下手そうなカステラも魔都で嫌というほど魚料理食ったろうし
>>18
以前にも増して少年の身体つきを習得してらっしゃる…ちょっと骨ばった感じでありながら黒インナーは挑戦的…
>>21
あ、でしたら私もリレーに参加したく思います。でも木伽含めると3つ掛け持ちはちょっと重いかな…?ひとまず志望の旨だけでもお伝え
>>30
三上さんの煙草描写最高にダンディだ…しかしこの感じは彼も最終決戦に駆けつけてくれるフラグかな…?こういうちょっとした一言が後々に響いていく展開私大好きでございます
フェリーぺさんもめちゃくちゃ頑張ったな…ラストダンジョン前によくよく休んでください…
>>36
荒川区〜!コックコートの方は町のパン屋さんとかにもいそうでどれも親しみやすくて良い…>>40
骨取り事情
普通:グリフィン、エイベル
綺麗:残り全員
ですね。よーし今日の用事終わったので先程のショートSSくらいの奴の作業に取り掛かりますわ
そして魚の骨取り事情は
綺麗→海月(マナーとかしっかりしてそう)、裂夜(家的にまあ間違いない)、巽のおっさん(まあ人数多くないとはいえ一応纏め役してるしその辺りはしっかりやってそう)
普通→リヒター(SSでビオ嬢達と魚料理食ってた覚えあるしできそう
雑→獅音(陸地での活動の方が圧倒的に多かったと思うし)
ノーコメント→凌牙(「別に骨くらい噛み砕けっし消化できるし変に骨取る必要は薄いだろ」)うーんゴリラ
>>30
泥臭いけど単純明快に爽快感のある決着でしたね…こういうの大好き
そして前回的に味方化は有り得んかなと思ってた三上さんだけどこれは…ワンチャンある…?
>>36
貴重な給食室キャラの立ち絵だァァァァ!!!可愛い!!
王道のザ・大和撫子的な雰囲気ありますねえ>>47
ですです、あやかさんのSSでビオ嬢一行で飯食ってるシーンで魚食ってたっけなって思い出したんすよ
正直俺もうろ覚えでしたが合ってて安心しましたわ…>>50
そうですね、そもそも概要や大枠もまだですしあくまで妄想希望ですがどこまで行っても妄想希望ということで一つお平に
リレーは他の人の候補を聞いて考えるのも楽しいですしね>>49
魚キライ!っていう人いませんよねー
私はお刺身とか大好きなので天国に思えますがこれ嫌いな人は辛かろうな…でもそういうキャラいたら逆に面白いかも。魚嫌いなヒト
クリエイティブなウサギ心を発揮してしまうかー…よいですわよ、すばらすぃ>>30
ついに最終章……最終章!?
フェリーぺ&加々見vs三上の戦闘描写いい……決着のつき方と言うか、弟への想いも根幹にあるのも良い
この前まで投下してた嘘だらけ家族最後の息子くん編投下して良いですか?
ちなみにこれは母と父の話をまとめたもの
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/ペルソナ家族「久しぶりだね。元気してた?」
「相変わらずの天涯孤独の苦学生ですがお前は?」
「父さんと母さんに囲まれて良い生活してるよ」
「結構、その幸せを噛み締めなさい」
眩しいはずなのに気分が薄暗くなる桃色の蛍光色。今どき聞かないようなあまりにも品のなさが窺えるBGM。そしてどうしようもないほどに充満し服にも染みついて取れないであろう甘ったるく気色悪い香り。場所が場所なら摘発されてもおかしくないような非合法感に溢れたいわゆる呑み屋と呼ばれる場所に少年が二人屯していた。知的で大人びた茶髪の少年は電子タバコを右手に煙を浮かせ、活発的であどけない灰髪の少年はウィスキーのグラスを左手に氷を鳴らしている。
「あー、ルフくん煙草吸ってる。いけないんだー、体が衰えて血反吐吐いて、地獄の苦しみを味わって早死にしちゃうんだ〜」
「誰がそんなこと言ったんですか」
「母さんと父さん。二人ともタバコとクスリは危険だから絶対に手を出すな〜って。手出したら引っ叩くって言われちゃった。だから俺は絶対に手出さないよ」
「………お酒はいいんですか?未成年でしょう」「飲むなって言われてないもん。煙たくないし明確に身体に出ないし」
「沈黙の臓器ですからね。手遅れになって泣いても知りませんよ。……ナキはああ言えばこう言いますね。ツユはまだか?」
ルフ、と呼ばれた茶髪の少年は指で机を鳴らしつつ、隣で腑抜けた顔をする灰髪の少年……ナキに呆れ果てている。綾姫ナキのご両親に……綾姫ご夫妻に以前一度お伺いを立てたが、そんな屁理屈を言うような人たちではなかった。つまり、これは完全にナキ自身の屁理屈だ。きっとバレたら引っ叩かれるだろう。今のところバレてはいないが、いつかバレるかもしれない。そうなった時に自分が出来ることは綾姫家やダヴィ兄さんに自分が関わっていないという証拠隠滅だけで──────
「え〜?私のこと探してた?ルフったら案外積極的……」
「やっぱ無理。僕は今日の仕事パスします、帰れ」
「えぇ!?」
「嫌いなんだよお前のソレ。これならまだ普通にバイトしてた方がマシだ」
つれないなぁ、と微笑む美少女……のような顔と装いだが明らかに声は男性のもの。ジェンダーレス、という装いにも思えない。これはいわゆる女装だ。しかも、それを完璧にやり遂げている。骨格の違いが違っているように見えない。そんな、ツユと呼ばれた男はそのまま何人かの顔が記載された資料を置く。今回の仕事のターゲットだろう。「あ、ツユちゃん!ツユちゃんも飲も〜?」
「だぁめ。ナキちゃんのご両親が悲しむわ。ほら、今からお仕事でしょう?ナキちゃんもそれでおしまい」
「………父さんたちが………うん、ごめんねツユちゃん。お仕事教えて?」
随分と手なづけたものだと思う。まあ、この場において自分たちが出会った時にナキだけがこちら側を……魔術や神秘の世界を知らなかったから、それを教え込めるツユが必然的に彼の首輪を付けることができたのだろう。元より素直な子だ、良い関係性を築くのは容易い。ツユもナキを悪からず思っているし、そこの間柄に何の打算もない。彼らは、友情のみで動いている。
「ま、側から見ればいたいけな男の子をたらし込んだカス野郎ですが」
「ルフもじゃない?」
「僕はナキと同じ誑かされた側のいたいけな男の子ですよ」
「スリ師がいったい何を……」
「いいじゃん二人とも。みんなのために頑張ろ?」
やろうと思ったことは大体できた。それは勉強とか、スポーツとか、そういう人生に必要なものもそうだったし、ピアノとか、ゲームとか、やりたい趣味だってそう。自分には努力し続けれられる素養はあるってわかってたし、だからそれをたくさん使おうと思った。父さんと母さんが俺のやりたいことのためにお金を使ってくれたりとかもしたし、その投資を無駄にしないために俺は必ず頑張った。………それでも、父さんにも母さんにも、俺は一つも優るものがない。父さんに格闘ゲームで勝ったとき、父さんは俺を褒めて「次はもっと戦えるようにする」と笑ってくれた。そしたら父さんは俺に手加減するほど、とても強くなった。ゲームしてるところなんて一切見せてなかったのに。若手実業家って大変なんだってたくさんテレビで聞いたのに。
母さんは俺が倒れた人を助けて表彰されたんだって言ったときに偉いよって、私の誇りだって、たくさん褒めてくれた。でも俺は知ってる。母さん、仕事で行った東京でメディアに取り上げられてた。悪い人を捕まえて人命救助もしたって。それでいて仕事はきちんと終わらせて帰ってきた。とっても忙しいはずなのに。
俺はきっと、二人みたいにすごい人にはなれない。良い大学に行って、良い仕事に就くことはできると思う。けど、二人みたいなすごい人にはなれない。俺の家族にしかできないことはたくさんあるけど、俺にしかできないことはない。……頑張ったよって、もう大丈夫だからねって、二人を安心させたいのに、こんなのじゃ安心なんてさせられない。
『ねぇねぇ、そこの君。なんで魔眼に魔力通してるだけなの?効率悪くない?普通に魔眼発動したり強化の魔術使ったら良いんじゃない?』
『………違いますよツユ。彼、無意識でやってます。魔術なんて何も知らないんでしょう』
『えぇー!?勿体無い!じゃあさじゃあさ、私たちが教えてあげる!君には魔術回路っていう内臓と魔眼っていう眼があってね────』
だから、この才能があると知ったときは心の底から喜んだ。それは俺だけのものだ。家族の中で俺しか知らないもの。俺しかやれないこと。俺にしかできないこと。俺だけが特別だった。それを知った時に俺の世界は変わったんだ。何もかもが鮮やかな世界になった。だってほら、そのおかげで……
「俺は父さんや母さんの平和を守るために、大事な人を守るために戦えるんだ」
誰もいない、やけに豪華に着飾られた成金らしさが溢れる部屋から書類を抜き取る。ここ数年で行方不明になった中学生から大学生にかけての個人情報をまとめたものだ。共通するのは、みんな家庭環境に悪いところはなく、そして顔が良いということ。さらに書類の最後には現在に至るまでの健康状態をつらつらと書き連ねており……「良かった、誰も死ん.でないんだね。なら今頃ルフくんが……」
『連絡が遅い。もうとっくに見つけてます。安全な場所に隔離もさせてますよ』
「え?俺は警備が手薄な時間帯に飛び込んだけど、そっち側はむしろ警備たくさんでしょ。鍵とかどうしたの?」
『盗んだ。ずっとダヴィ兄さんに止められてはいたけど腕は鈍ってなかったみたいです』
自分も詳しくは知らない……というか教えてもらえないが、ルフはかつて日本からかなり遠い場所……いわゆる発展途上国のスラムにいたそうだ。血の繋がってない子供達を義兄弟としてまとめあげたのがダヴィ、という男の人で。どうやら彼の頑張りのおかげで日本に来ることができたらしい。日本に来てからはダヴィさんに怒られ止めていたけど、本当は掏摸とかが大得意らしくって……
「おい、そこで何をしてる!?」
「あっやばっ……切るね」
『通報させないでください。はよ殺.せ』
「殺さないよ!」
殺.す必要性がないのだから、わざわざ殺.すことなどしなくて良い。そうやって思考を張り巡らせながら、ナキは猫のような動きで飛びかかり、両太腿で警備の頭を挟み込む。そしてそのまま、全力で、体を捻って一回転。遠心力で警備を投げ飛ばし、頭から地面に叩きつける。身軽なのに体格は高校生のそれに近いナキの得意技だ。「ぁ……あ?」
「揺れてうまく話せないでしょ。でも俺がアンタの意識落とす前に答えて。この誘拐事件の犯人はどこ?居るはずだよ、近くに」
「………誰が」
「殺、す必要がないからアンタを殺さないだけ。必要なら俺はアンタの首を掻っ切る」
「……も、すぐ、ここ、に」
「ありがと」
………先に行った警備と連絡が取れない。おそらく殺されたのだろう。所詮魔術を齧っただけ。正式に手解きを受けた私とは比べられないぐらいに劣っていたというだけだ。私ならば、違う。そう判断し扉を開けば、目の前にいるのは気絶している警備ではないか。不快で思わず蹴り飛ばしてしまった。私の見立てではまだ犯人はいるのだが、いったいどこに……
「殺った」
「ふん」
「わ、ぁっ!?」一言で言えば、踏み込みが浅い。それに尽きた。人を殺.すことを考えていない、あくまで捕縛を念頭に置いた攻撃。ドアの真上に張り付いているのは良い着眼点だから、そのまま首をへし折って殺して仕舞えば良かったものを、わざわざ離れた距離から警棒で殴り倒そうとしていた。そんなものに屈するほど、男は愚鈍ではなかったのである。
「っ、ハ……なるほど、ね。でも多分俺の方が速いよ」
「速いだけだろ」
鳴り響く鈴の音。まるで何かが訴えかけているような、何かを待っているような。そんな悲しくて、でも温かい音がする。きっと大人が聞いたところで何の影響もない。子供であっても、ツユやルフのような親との縁がない少年が聞いたところで何の影響もないだろう。しかし、両親がいて両親に愛されたナキは違った。地面に倒れ込み、胸を押さえて悶え苦しんでいる。
「ぁ……父、さん。母さん……」
「……いったい何を見てるんだろうな。この鈴で拐った奴らもそうだった。親に愛されて育ったから、親を思い出させるこの郷愁の鈴に負けちまう」
「やだ、俺がやるんだ……俺が立派になってみんなを助けるんだよ……親孝行するって……」
「お前もそうだったわけだ。顔は良いし身体も悪くない。魔術回路も持っているお前を土産で持っていかないと割に合わない」
涙を流しながら弱々しい声を吐くナキの顎を持ち上げ、冷静に品定めを行っている男。こうやって魔術回路を持つ見目麗しい少年少女を誘拐し、彼らを用いてビジネスを行っていたのだろう。今回も例外ではない。むしろ今までの商品を奪われた以上、新しい商品が必要だ。
「心を治すことは難しいが、心を壊すことは簡単だ。如何様にもなるし、さまざまな方法を組み合わせても良い」「へぇ?じゃ、俺の心はもっと先に壊しておくべきだったんじゃない?」
「……魔眼……魅了か!」
爛々と光る瞳の視線。魔術世界においてそれは独立した魔術回路の器官、人はそれを魔眼と呼ぶ。その中でもこれはありふれた魅了の魔眼だったが……それでも不意を突かれること、そして効力が高かったことがそのまま男の喉や体の動きを制限する形で現れる。しかし何故、今なのだろうか。魔眼を使用するタイミングはいくらでもあったはずだ。肩で息をしているところを見ると、魔眼で無理やり郷愁の鈴を打ち破っただけで元から抵抗できていたわけではないようだが……
「俺、まだ練習中だから……難しいんだよこれ」
「………」
「あ、話せないんだった。すぐに終わらせるね」
持っている警棒で顎を打ち抜かれる。人間である以上は威力次第で脳震盪を起こし動けなくなる。それは魔術師とて例外ではない。身体の強度を強化しても、それを上回る衝撃をぶつけられればどうしようもない。そして目の前の少年が殺.す気はなくとも、このような隙を日本に住まう魔術師たちが見逃すはずがない。彼らの微妙な仲の悪さによる隙間に寄生してきたコウモリだから、きっと耐えられない。私はあくまで魔術師ではなく、ただのヤクザ者だ。ただ、だからこそ……「……◾️◾️……」
「………は?」
普段仲睦まじい夫婦の様子をそばで見ている上、夫婦の愛を受けて育ったナキだからわかってしまった。最後に男が漏らした声色が、愛する妻や子供に向けたものであるということを。どうしてそんなことを言うのだろう。どうしてそれほど愛する者がいるのならば、こんな悪いことをしたのだろう。もっと別の愛し方はあるじゃないか。もっと別の暮らし方はあるじゃないか。どうして、なぜ?……なんで俺も、脚に力が入らないんだ?
「悪いことすんなよ……なぁ……」
「ん?どうしたのナキ〜。帰りが遅いから来てみたらなんか落ち込んでるじゃん」
ツユの声が聞こえる。どうやら心配してわざわざ来てくれたようだ。頭を抱えて声は震えて、明らかに自分でも様子がおかしいとわかるぐらいなのにそんな俺に黙って寄り添ってくれる。本当に良い友達だと思う。でも、今はその友達にすらまともな反応は返せなくて。
「………ツユちゃん……ねぇ、俺良いことやってるよね?俺のこれってみんなを守ってるよね?俺ってさ、俺っ」
「……ああ……うん!大丈夫。ナキは良いことをしてるんだよ。安心して。ナキは何にも悪くないから」
「だよね……うん、そうだ、そうなんだ。俺は良いことをしてるんだ……父さんや母さんにも褒められるような立派なことを、俺にしかできないことをやってるんだ……だから俺は何も悪くないんだ……そう、俺はただ……」
でもなんで、それなら父さんや母さんに隠してるんだろう。やましいことなんて何もないはずなのに。「………ありがとうルフくん、車で送ってもらって」
「でも無免許ですからね。捕まらない道運転してますけど」
「………ねぇ、ルフくん」
「なんです」
ずっと疑問だった。ルフは自分の行いに、ずっと露悪的な言い方をしている。自分の正しさを主張することがなく、常に自分は悪人側であると主張している。それは何故なのだろう。もっと自分に甘くても良いんじゃないかって、思うのだけど。
「俺たちがやってることって良いことだよね?」
「何を馬鹿なことを。僕たちは悪いことをしてるんですよ」
「………なんで?」
「この世は法に縛られています。もちろん無法地帯もありますが、少なくともこの日本は何処もかしこも法で縛られている。そして、人は法の下で生きる以上は法に従うべきなんです。どんな理由であれ、どういう気持ちであれ、一度法に背くことをしたのならば、それは悪です」
「……じゃ、じゃあなんで、ルフくんは悪いことやってんだよ」「お金が欲しいから。他にも大勢チビがいるのにダヴィ兄さんに迷惑はかけられない。そのために僕はこれで稼いでいます。もう家族との縁も切りましたし、今更何を引き返すわけにもいきませんからね」
だから、あなたは家族を大切にしなさい。ご大層な理想とやらで素敵なご両親を悲しませるな。そう言い残して最寄り駅に降ろされてしまった。そういえば、自分は彼の連絡先もどこに住んでいるのかも知らない。……次に会ったときは遊びに誘ってみようか。もしかしたらお金の無駄だと切って捨てられちゃうかもしれないけど。
「………僕が直々に切る予定だったヤクザの組が壊滅したって話だ。単純に考えると敵対する一族か何かの干渉……と思ったんだけど組員に死者は出ていない、ただ誘拐した少年少女だけが解放されたと……ふむ……」
男は魔術師であり、父である。他の魔術師と違うところは、完全に魔術師としての人生と父としての人生を切り分けてしまっているということだ。家族に魔術師の己は見せない。魔術師としての仲間に父親の自分は見せない。生温いと叩かれるかもしれないが、それが男の……綾姫絲栗の決意だった。
「細工師ロートゥスの作品、“郷愁の鈴”が現場から見つかったとされている。……アレは人を使って作る呪いの道具。似たような効果の礼装は作れても全く同じものは作れない……そう考えるとアレは…うーん……」
女は戦士であり、母である。今までの自分を救ってくれた恩を返すために、そして実の子供を守り育むために、母であり妻、そして不浄を焦がす剣であると己を、綾姫セレナを定めた。無理をしているのではない。辛いのではない。彼女の中では優先順位がとっくに決まり、それに従っているだけだ。
「ただいまー」
「「おかえり」」
少年は何でも屋であり、子供である。子供らしい理想と、両親への尊敬と劣等感、そして人並み外れた力が使える全能感に挟まれた結果、己を常に揺らがせながら戦っている。しかし、それをただ何もかもが悪であると断ずることはできない。綾姫ナキ、彼の立ち位置は実に曖昧だ。曖昧でいることを許されている、と言ってもいい。>>72
脳内サーヴァントで残るは後一騎……!(あてはあるけど伝承読まないと駄目案件)>>75
前々から言ってた竜胆とのコンビをね、明確に文章化したいのですよ>>76
> 聖杯大会予選だからね、聖杯戦争書かないとね
刺さる…とても私に刺さりまする…
時計塔と『船』を冒険旅行記で往復しております…黒鹿です…刺さるゥ…◇日々滓 衒
太平洋、秘海集積船、学園寮。その一室で、カステラことオレ日々滓衒は握りしめた両の拳を膝の上に置き、ベッドに腰かけ時の過ぎるのを一分一秒無闇に数えていた。一日千秋、いやこの場合一日千夏の思いで食堂の終業時間を待つ。
普段であれば深夜版カステラ放送局のために余裕を持って方々からお寄せいただいたお便りを捌いているのだが、今この時ばかりはそういうわけにもいかない。というのも────事は今日の昼頃に遡る。
昼餉時の食堂は異常なくらい混んでいる。その多くが学食を頬張る学生たちであって、そのため学友などとの雑談は必然これから迎える停泊期間、それに伴った夏季休業のことに話題が絞られる。
下船する者、残る者、下船するとして実家に帰る者、遊び歩く者、せっかくだからと停泊地近辺の旅行を計画する者と行動パターンは様々だが、所詮は青春真っ盛りの少年少女。皆押し並べて遊ぶことを思考の隅に置いている。
かく言うオレは、今回の停泊地は東京に近いし親父たちに顔でも見せてやろうかなと考えつつも視界の端で忙しなく動く少女のことが気になって仕方がなかった。
少女の名は清水ほたる。食堂ではお馴染みの若女将で、去る師走の忘年会においてお知り合いになった船員だ。酒の席というのもあってオレも彼女も少し浮かれてしまって、以降花見の宴会などでも顔を合わせては気まずい感じになってしまった何とも言えない間柄。
そんなほたるさん、今日も今日とてまめまめしく給仕に受付にと忙殺この上なしという状態であるが、このカステラの目をもってすれば立ち回る中で「夏休み」「遊ぶ」という単語に反応していることが見て取れる。
そういえば彼女に休みはあるのだろうかと考える。食堂は船員たちのライフラインに関わる施設であるため、非営業時間を除き大体いつでも開いていて、そして大抵そこには彼女の姿がある。労基法的にちゃんと休みは貰っているだろうが、その休みをしっかり休みとして使えているのだろうか、もっと言えば彼女は遊んでいるのだろうか。>>80
だから、彼女が近くを通り過ぎるタイミングで、オレは出し抜けに喋りかけてみた。
「ほたるさん、今度の停泊期間オレと遊びに出ません?」
その時の彼女の顔はびっくりなんてものじゃなかった。呼び止められたのだからと目を向ければオレという気まずい相手の顔。注文かしらと耳を傾ければオレの軽薄な遊びのお誘い。お盆のバランスを崩しかけて、何とか寸前で持ち直した。
一連の反応を見て確信した。ほたるさんの中での遊びの経験はほぼほぼ無いに等しい、あったとしても数えるほどの回数しかないと。
そんな風に柄にもなく真面目に人について考察を深めているオレに、彼女は今にも跳ねっかえる心臓を口より出してお見せしましょうというような心配になるくらいの面差しで、調子外れな声を無理矢理落ち着かせて、
「お、お仕事終わって、その時、返事しますから!」
「から」と言いながら足早に去って行ったから実質捨て台詞のようなものだが、何にせよ遅くとも終業時間後に返事はもらえるということになったのである。
さて、そんな振り返りをしている間に時計の針は終業時間を過ぎた。そして引き続き待つこと十分ほど。その時は満を持してやって来た。
戸を叩く音。気分を落ち着かせて開けると、件の少女が立っていた。仕事の時の服から変わっていないことから、急いで来たのだろうと見て取れる。
「あのっひ、昼のことですが!お父さんとか室長とかにも行ってこいって言われて…だから、その、良ければ…一日なら」
「…へえ。親御さんにオレが誘ったってのは伝えたんです?」
「は、はい。言いましたけど…」
「ふーん…」>>81
慌てて、あくまで自然体を装って大袈裟に下衆っぽく笑んでみる。
「いやあ、そうとあっちゃオレ次第ってわけっすねえ、ゲヘヘ」
「あ、遊ぶってまさかそういう…!?」
「いや違います違います、からかっただけですからそんな引かないでくださいよ〜」
そもそも貴方は守備範囲外だし…というのは心の中でだけ呟いておき、大仰に手を振ってちゃらける。気まずくなったり、シリアスな空気になったらこうやって場をリセットして臨むのがオレ流ってワケ。
こうすると大概の人は呆れて真面目な顔でいるのが馬鹿らしくなって同時に気が緩む。ほたるさんも例に漏れず「もう…」と不機嫌そうに口をすぼめながらも、
「じゃあ、何日にしましょうか?」と新たな話題に移った。
「うーんと、確か停泊期間が7月の…からだったから………」
「…………ではその日にしましょう」
「OKでーす。楽しみですねぇ、なんせ今回の停泊地はオレのお膝元、言うなればカステラ天領なのですから」
「そういえば、今船は日本に向かってましたね」
「いえーす、それも大都会東京の入江にね」
「大都会…!」
彼女の瞳の光が大都会への感嘆と共に大きく揺れる。船内でずっと暮らしていれば都会などにも憧れの念は抱こう、素朴な容貌と相まってそれは田舎のおぼこ娘が上京を夢見るようでもあった。>>82
「でもお生憎、今回ほたるさんにご案内するのは摩天楼ではございません」
「えっそうなんですか?」
「陸地初心者さんにいきなり東京はムリですよ、だからほたるさん限定特別プラン〜ってコトで…ほたるさん、貴方蛍って見たことあります?」
◇◇
日々滓衒は静かな空間が苦手である。というか、慣れていない。朝な夕な狂騒に耽り、悲鳴であれ嬌声であれ客引きであれ人の声が響く世界で今まで生きてきた。映画館は静かにしていなければならないが、それでも活動弁士やフィルムの回る音が常々何処かから聞こえてくるから結局静けさというものは存在しない。
そんなわけで、乗船してから両の手で足りる程度しか入ったことのない施設、図書館にオレは現在来ています。意識しての無言、同調圧力の静寂、息が詰まりそうになりながらも踏ん張って書架の大海原に分け入っていく様はさながらイアーソン。みたいな。
本を開いては閉じてを繰り返す中で、ふと見覚えのある顔───尤も、よほどの出不精でない限り大体の人間とはオレ顔見知りなのですが───が横切ったものだから、追いかけて声かけをした。
「どーも、イヅモさんじゃあないですか〜!きぐう~」
「ん、あぁ日々滓君ですか…静かにしないとですよ」
「あっハイ、サーセン」
ザ・几帳面って感じの全体的にくたびれた雰囲気の彼はイヅモ先生。システムエンジニアとしてきりきり舞いの毎日を送りつつ、学園生徒に情報の授業をするなんていう業務も引き受けてるもんだからホワイトカラーなのにブラックな空気感。
口元に人差し指でしーっとされて慌てて声を落とす。やましい話をするわけでもないのにこう声を潜めないといけないっていうのはやっぱり慣れない。
「しかし珍しいですね。調べ物ですか?」
「そうなんですよ~。それで先生と会って思い出したんですけど、先生って日本出身?でしたよね、確か」>>83
「いや、僕自身はこの船だよ」
「あり、そうでしたっけ?じゃあ親御さんのどっちか日本のご出身じゃないですか?」
「それはそう。母が…でも何でそれを?話した記憶はないけど」
「オレもよく覚えてはないですけど~、多分とうちょ…もとい聞こえちゃったんでしょうね~…って、そんな睨めつけないでくださいよ。ホントに偶々ですから~」
「…まあ隠してるわけでもないし良いけど。でもそれがどうかしたんですか?」
「実は、オレ今蛍について少しでも何か知っておきたいんですよ」
「蛍?」
「そう、夏は夜~っていうあの蛍です。何か良いネタありません?」
オレがほたるさんに提案した限定特別プランというのは、何を隠そう「東京チキチキ蛍狩りツアー」。せっかく東京まで来たのに…というご不満はあるだろうが、だからといって初上陸で大都会の渦中を訪ねるのは最悪彼女のトラウマになりかねない。人の群れには善人も悪人も等しく存在するのだ。
カステラとしては数少ないお休み、初めての日本を良い思い出としてもらいたい。一人修学旅行の夜なぞとけったいな渾名を戴いた男としては、遊びの楽しさを覚えてほしい。となれば、自分の名前の由来を見るというのはそうそう出来ない満喫の仕方ではなかろうか。
そしてこちらが誘った手前ホストもこちらだ。ホストならばゲストをもてなし飽きさせないために話の種を沢山仕込んでおく必要がある。蛍狩りに行こうというのなら、蛍にまつわる面白い話題を幾つか揃えて合間に茶請けの菓子よろしく提供するべきであろう。オレが慣れない図書館に来たのもそんな具合。
それを知らないイヅモ先生は、少し考え込んで「知らないな…」と口にしかけて、けれどすぐにそれを引っ込めてまた少し思案して、何事かを思い出すようにして、
「そういえば一つ、母から聞いた話がありますね」
「へえ!聞かせてくださいよ、是非に是非に!」
「だから、図書館ではしーですよ、日々滓君」
「…はーい」>>84
やっぱり、慣れないなあ。
「で、それってどんな話なんですか?」
「僕の母は日本の宇治って所の出身なんですがね、故郷を田舎くさい・抹茶くさいなんて言いながら宇治川の蛍は綺麗だとも話していたんですよ」
「宇治…京都は確かに、蛍の名所だってありましたね」
「それで、昔はその宇治川の上流で蛍合戦なるものがあった、と。何でも何千という源平の武士たちの魂が蛍に憑いて討ち合いをするのだとか」
「ふうん…それは初耳ですね~。宇治で源平ってなると頼政の話かな?ほたるさんわかるかしらん…」
「…?この程度しか覚えてないけれど、役に立ちますかね?」
「や、全然アリですよ~!ご提供ありがとうございまーす!」
「そうですか、それは何より…」
また大声出してしまった、と気づいたが先生は今度はなぜか注意してこなかった。どころか、ふうと息を吐いてぼんやり遠くを見詰めている。眼鏡のガラス越しに、何だか形容しがたい眼差しが何処へともなく向かっていて、単なる疲労感とは違いそうだ。
「どうしたんですか先生?ぼーっとして」
「え…あぁいえ、ただ…母がこんな風に郷愁に浸っていたのも夏だったな、と」
「……?」
「どうか気にしないで、忘れてください。君には関係のないことですから」
「は、はあ…」>>85
◇◇
「───なんてことがあってぇ。不思議なモンだよね~オトナって」
「そ、そうなんですね…」
図書館を後にしてオレが向かったのは空き教室。そして丁度そこで居合わせたのが1年後輩の気弱少年トワ君だった。
お互い次の授業までの暇つぶしに雑談をして、その流れでさっきのことも話した。トワ君はこういう時基本的に聞き役でそうなるとオレの喋りっぱなしサブマシンガンって感じなんだけど、一旦話を切り上げたところ彼は一通り相づちを打ったあと「でも」とポツリと呟いた。
「僕、カステラさんの気持ちも、イヅモ先生の気持ちもわかる気が、します…」
「えっそうなの?カワイイ顔して世慣れてるね~トワ君」
「あぅ、そ、そういうわけじゃない、んですけど…」
そう言いながらもトワ君はぼんやりと窓辺に視線を移す。夏のいかにも熱そうな日差しが海面に反射しながらまっすぐに伸びて、窓枠の影は船体の揺れに合わせて伸びたり縮んだり緩慢に黒い部分を変えている。オレにとってはクーラー万歳文明の利器万歳なのだけど、彼はそんなオレを置き去りにして意識がどっかに行こうとしてる。
急いで何か話題を出そうとして、あることを思い出して短兵急に切り出した。
「そういえばさ、トワ君って蛍の光知ってる?」
「……え、あ、いえ知りません…」
「やっぱりね~。日本の歌なんすけど、聞くところによれば元々はスコットランドの歌らしいんだよね」
「そうなんですか?じゃあ、聞いたことあるかも…」>>86
「そんならザックリ歌ってみますね~」
こう見えて唱歌は魔都で嫌というほど聞いて歌ったカステラさん。歌おうと思えばするするメロディも歌詞も出てきた。しかし全部歌いきる前、ほんの出だしの辺りでトワ君はすぐに、あ!と記憶していたのか食いついた。
「ぼ、僕知ってます…!"Auld Lang Syne"です…!」
「おぉそうなの?そっちではどんな歌なんです?」
「え、えっと、ちょっと歌ってみます、ね」
歌ってみますと言いながらもむしろ歌いたいという感じで彼は歌い始めた。英語のネイティブの歌詞だからぱっと聞いた限りではどんな意味なのかはわからないが、全体的な曲調とかは原曲と言われるだけあって似通っているなと感じる。
これも話題に出来るかな、なんて考えつつトワ君の方に意識を戻すと、こはいかに。彼の眼からはポロポロと大粒の涙が溢れて頬を伝っていた。しかも涙の量はぐんぐん増え、どんどんと次から次に溢れていく。最初は朗らかだった歌声もくぐもって、途切れ途切れになっていった。
「ちょ、ちょっとどうしちゃったんすか!?」
「We…twa hae,paidl'd in…the burn…ぅう、うぇ…」
「いや歌い続けなくて良いから!」
「ぅ、歌ってたら、故郷のこと、おもいだし、だしちゃって…ぇ…!」
「そんなに!?な、夏だから?これも夏の魔力ってヤツなの?」
「わぁ、わからないっ、です…ぐすっ、うぁ…」
「だ、誰かー!シオネーズーッ!」>>87
南無三、稀によくある地雷を踏んでしまったようです。年下泣かせてるとこなんて同級生にも見せられない、オレは一刻も早いシオネーズたちの到着を望みながら垂泣歔欷尽きせぬトワ君をああだこうだ、どうにかこうにか懸命に宥め尽くしましたとさ。
◇◇
「───なるほど、そんなことがあったのですね」
「そうなんですよ。だからわかるでしょ、オレは無罪でしょ先生~!」
シオネーズの到着は生徒思いな先生とほぼ同時だった。犬の姿をしたポチ先生はこういう時とんでもなく速い。そういう点でとても信頼してるのだけど、この場では発揮して欲しくなかった。マジで。おかげで何かあったのかと職員室で彼にたっぷり話をしなければならなくなった。
「まあおおよそのことはわかりました。不和があったというわけではなく安心です」
「コミュ力が売りのオレですよ、喧嘩なんてするわけないじゃないですか!」
「その割に砕城君などにはよくウザがられているようですが?」
「それはスキンシップですよ~、リョーガ先輩はそれにホラ、ツンデレですから」
やれやれ、と呆れたようにポチ先生はため息をつく。装着しているモノクルもその息で曇るようで、居たたまれない感じがしてならない。
「…というか、先生も夏に郷愁?みたいなの感じるんすか~?」
「えぇまあ…感じますね」
「えぇー!じゃあ感じないのってオレだけ?マイノリティーなんですか~?」>>88
「うーん…まぁ、私もイヅモ先生もトワ君も色々とあった身ではありますから」
「それだとオレがまるで薄っぺらい人生辿ってきた人間みたいじゃないですか~!そんな夏ってどんな感じなんですか?」
そう訊くと、先生は少し困ったように小さく「クゥーン…」と鳴いてお馴染みの哀愁を湛えた遠い目をして、
「夏、ですかねぇ…」
「わっかんねえですよー!」
「本当に日々滓君は感じないのですか?あぁ夏だなぁ、みたいなの」
「そりゃ暑いなぁってのは思いますケド。オレってば今しか見てない男ですから」
「はぁ…」
「本当に興味ないみたいな声出さないでくださいよ!」
「まぁまぁ、それだけ貴方は青春真っ盛りということですよ。ほたるさんとも良い思い出を作ってください」
「そこはモチロン、言われずとも!」
「元気でよろしい。…そういえば、何やら蛍狩りに行くとのことですが、どこに行くか目星はついているのですか?」
「そこもトーゼン、ばっちり良いとこ知ってますから」
「ほう、それは結構。東京でとなると椿山荘などでしょうか?」
「そこは間違いなく混むじゃないですか~。オレ昔蛍たくさんいるとこに行ったことあるんですよ。あそこなら綺麗だし人も少ないだろうし穴場ですよ!」
「そんなところがあるとは。一応、何処か教えてもらっても?」>>89
本当はあまり他言したくなかったけれど、このままだと帰してくれなさそうなので大人しく場所を説明した。先生は呪術のせいで犬になってから船に来るまで各地を放浪していたらしく、日本の地理にもそこそこ詳しい。〇〇駅の近くで××川を東に~と言うとすぐに理解したようだ。少し首を傾げているようにも見えたが恐らく気のせいだろう。
そうしているとチャイムが部屋中に響いた。時計を見るとちょうど終業時間。まだ日は高いが最近は停泊期間に向けて短縮授業なのでオレもそのつもりで予定を組んでいて、早速行動に移さなければならない時間になっている。
もうお咎めもなかろうと思って適当に話を切り上げて、オレは何か言いたげなポチ先生になど目もくれず超特急で職員室を出て行った。
「…クゥーン…」
「行っちゃったね、追いかけなくて良いの?」
「あぁ…葦久野先生。いえ、私自身もあまり自信のないことですからね…東京のことでしたら、彼の方が明るいでしょうし」
「ふーん。ちなみにどんなこと?」
「それが、私が放浪していた時点でのことではあるのですが───」>>92
真面目に不真面目、そんなイメージの男です。自分の行動に何ら反応してくれない魔都に比べたら行動した分影響が出る現実では行動しまくりたくなるのかも
私もただのウザ絡みキャラってだけで遊び人要素もその一環だったのですが…いや世の中わからない…
船っていう環境が私に多分に力を与えてくれています、おかげさまで沢山キャラを出せて楽しい(なお自キャラの多さ)
蛍見物の顛末は後編までお待ちくだされ!
>>97
元より涙脆いヤツに思い出想起系の話題を振った時点でカステラは詰んでましたネ。でも『Auld Lang Syne』は今回のSSのテーマに即してて良いなと私も思いました
カステラは冗談好きでからかい上手な煽り屋ですが嘘は吐かない、義理人情は通すヤツです。果たしてそれが報われるのか…
こういうふとした瞬間に可愛い仕草・優しい仕草が垣間見えるの好きなのですよ中納言は…
>「抹香(まっこう)くさい」
……………(最初から読み間違えてたことに気づく音)(「宇治市っぽくね!?」で認知が置き去りにされた音)
確証バイアスって恐ろしいですね…すみません、ご指摘ありがとうございます。禊としてwiki登録時に修正させていただきます…
そしてナオミちゃんもしかしてハルザ夫妻のお嬢さんなのですか?か…?
>>98
あ、遊び!遊びです!デートとしては歳の差が危ないので!!()>>91
やはりこの船の和気藹々とした感じはいいですね、他の魔術機関だとなかなかに出せないような感じの和やかさ
カステラくん……良い子じゃない……
>>104
エビフライタワーバトル!?
>>79
英雄願望、承認欲求の思春期全開暗殺者ボーイが本物の殺人姫と出会って……というお話
星は堕ちて光を失うといったことがテーマです
>>98
悪であれ、取り繕うなは一種のコンセプトだったり〜
せっかく羅城家の魔術も決まりましたし大我くんもほんのちょっと登場させたいですね
というわけでここまでの三つのお話の簡単な設定解説(これから先も割と出てくるかもしれない)
綾姫一門
自身の身体に与えられたもの、もしくは自身を取り巻くものに順応して新たな生物へと変化する「適応」の魔術を修める、純日本人でありながらも西洋系統の魔術を修める魔術師の一族。その魔術の特異さが魔術刻印にも反映されており、何かしらの縁が出来ているならば、そしてその縁が強ければ強いほど、血の繋がりがなくとも魔術刻印が適応するという特徴がある。この特徴を用いて、日本を襲った様々な脅威や世界が混乱に喘いでいる中でも、血筋を絶やすことはあっても綾姫一門の名と実績、そして歴史が失われることはなかった。
現当主は綾姫絲栗。生まれつき子供を作れない、と他の一族の魔術師であるなら致命的である異常を乗り越え、当主へと君臨した冷酷無比な笑顔の暴君。なお、家族というものが大好きで、自分の体の異常が判明した時は齢13でありながら絶望のどん底だったという。ラヴギッド
愛欲、魅了関係について十世紀以上も前から研究を重ね続けている大家。表社会に出ることがほぼなく、時計塔との関わりもひどく薄い。一部からは実在を疑われているが、他ならぬ魔術世界の統制を執り行う法政科が「確かに存在する」と明言するのだからその存在は確かなのだろう。
ここ数十年で唯一明確な痕跡を残したのは、レジナ女子修道会の一員であったシスター・セレナを日本で誘拐して、十日に渡る魔術実験を行い、子を成した事例である。実際に子供を孕むことになった齢14のシスター曰く、顔の印象はよく覚えていないが自分と年齢の近しい男性、清廉な修道女を堕落させることに意味があると述べていたという。
シスター・セレナはラヴギッドの魔術に由来する特殊な体質に変化、純潔を失ったことでレジナ女子修道会を退会し、現在は日本において独自の潜入調査を一児の母としての育児と並行して行なっている。
ソルシュクライン
「何でも屋」を自称する中高生三人組で構成された非合法グループ。「お金がもらえて」「良いこと」であるという二つの条件の下に、ツユと呼ばれる女装癖のある高校生が仕事を持ってきて、それを他二人が解決する、というもの。
リーダー兼、事務担当は女装大好きな男子高校生のツユ。経歴は詳細不明、特筆すべき主な能力も不明である。ただわかるのは男子高校生であるということ、そしてソルシュクラインが排除されることなく存続しているのは彼の根回しと財力のおかげである。まさに狐。
経理兼、潜入工作担当はスラム育ちの学力優秀優等生なルフ、書記兼、実務戦闘担当は一般家庭()生まれの天然強者なナキが担当している。お金がもらえる、という依頼条件はルフが、良いことである、という依頼条件はナキが希望したもの。ナキの加入前はただのお金稼ぎに全力を注ぐチームだったらしい。ルフ以外は仲が良いし、ルフも別に嫌いなわけではない。
細工師ロートゥス
人や死徒を使って特殊な工芸品を作る死徒。主に死徒、それも異能が目覚めた階梯のものたちばかりをよく狙い、作り上げられた作品はその死徒や人間の特異な性質、能力を引き継いでいるとか
以上、解説でしたQ.エビフライタワーバトルとはなんですか?
A.ネコチャンのつまみ食いを阻止しながらエビフライを山盛りにして美味しく食べるタワーディフェンスです。 万が一崩れたエビフライはネコチャンが全部キャッチして食べてしまいます。>>109
そんなマリオパーティのミニゲームみたいなやつだったんだエビフライタワーバトル…>>101
ホント閉鎖空間×陽キャの強さを知ってしまいましたよ…ある程度顔見知りで軽口叩けるキャラが多いの素晴らしい…
>>102
ナオミちゃんかーわーいー!名前がぱっと見日本系でありながらヘブライ語の意味もあるの面白くて字共々素敵な名付けだなぁ…
ハルザ家の充実具合はもはやフレーバー以上の強さですわよ
>>105幻覚ピッチャー返し
トワ「ぇ…アルシオネシアさんたちも、スコットランド出身、なんですか…?じゃ、じゃあわかってくれますよね…ちゅ、ちゅう?…え、えっと、優しいわんこさん、なんですね?」
なんだかんだで優しいボケの大渋滞で泣き止みそうですわね、コレ
>>106
船はそりゃあドロっと文字通りブラックな部分もありますが学生規模だと青春満喫の学園ものに落ち着いてくれるのでとても助かってます…時計塔とかだと余程ガッツとか無鉄砲さがないとノリが難しい
そしてカステラが思いの外株が上がっててびっくりですわ。ズルい男…イベント前に風邪を引く、イヤホン片方壊れる、充電機が壊れる。なんだ俺は呪われてるのか?
まあそれはそれとして風邪で頭が回らなくてデバフ掛かってるんですが「またすっぽかすんかそろそろ10連続でSSリクをポカしてんやぞいい加減にしろこのボケカス」ってブチギレながら今書いてます。がんばります
とりあえずリプ返しまーす
>>67
あー、前の新キャラもしかしてキャラシ登録するんかな?その紹介SS的なアレかーと思ったら最後で度肝を抜かれましたね、ええ
ダークな聖杯戦争になりそうな予感がします…!!
>>69
やっぱりポチ先生は船のマスコット筆頭になれるポテンシャルが存在するのでは…?京極は訝しんだ
まあ俺は犬描けないのでファンアート作れそうにないのが申し訳ないんですが…
>>91
カスほたてえてえ…
多くのキャラを違和感なく動かせるのは流石って感じですね…新キャラも上手く使いこなせてんの凄い…
フフ…リョーガ先輩は現状船だと唯一無二と思われるツンデレ枠…と思ったけどレリックさんがいたわ()
>>104
このゆるさからしか得られない栄養素が存在する『船』はねぇ…「船の上の学び舎」ありきで作り始めて時計塔とは空気感で差別化したかったから今のゆる〜い感じがすごく好きなのですよ…
その分ダーティーなところは薄味になりましたが
魔術師特有の黒い部分は副船長にがんばってもらおう>>120
早とちりしてしまった……申し訳ない……
(引き取り初め~中学に入る頃まで)
・ウチの魔術よく分かんないけど怖い……、
・回路のオンオフや安定感、制御の仕方を習得する程度
(中学生~17歳の今現在まで)
・ウチの魔術やっぱり考えなくともえげつねぇ……自己防衛や自制にしか使いたくないけど、この力を師匠の役にも立てるようにしたいかなって考えている
・自身の中に眠る鬼の力と向き合い、『支配』しようとすることで手一杯、肉体に魔力を纏い蹂躙する、他者を啜り食らい我が物にするのに抵抗感があり自らの意志ではしない(本能や命の危機が迫れば話は別)
と、とりあえずワッと思い浮かんだ設定を書き連ねました……
>>121
いえいえ謝ることはありませんよ!なんかパッと良い案が思い付いたりします、こういう時は
あと、『船』創作者権限でヘイズを弱体化して良いですのよぉ……?>>130
はぅっ……またやった……ぁぁぁぁあ>>132
あらかわいい~!予告っぽいものが書けたので、投下します。
「君は聖杯戦争についてどこまで知っている?」
教会の礼拝堂。燭台の光源のみに照らされた薄暗い空間にて、神父は修道服に身を包んだ少女にそう問いかける。
「冬木にて行われた、万能の願望機たる聖杯を巡る儀式とだけ」
「大まかな認識はそれで相違ない。遠坂、マキリ、アインツベルンの御三家による儀式。七騎の英霊をサーヴァントとして召喚し、最後の一人になるまで相争う」
「英霊を召喚するだなんて、随分と大それた事をなさったのですね」
「ああ、規格外という他ない。そして我々聖堂教会は、顕現する聖杯の真贋を見定め、見届けなければならない」
そう神父は修道女に────文淵句音(あやふちくいん)に聖杯戦争の基本的な機構を説明する。
聖杯戦争。舞台は冬木にあらず、聖杯大戦を経て各地にて定期的に亜種聖杯戦争が勃発し、此度は東京が舞台となっている。
日本経済の心臓部とも言える東京。そこで巻き起こるであろう破壊と、それを隠匿し、事後処理に奔走しなければならない未来に神父は嘆息した。
「東京ほど、厄介な開催地はない。深夜に寝静まる片田舎ならいず知らず、いつ如何なる時も人々の営みが止まない都心ともなれば……」
「監督役も楽じゃないですのね」
「しかし任務とあらば私情は捨てる」>>142
お仕事に熱心なその姿勢、大変美徳にございますよ、と半ば他人事のように句音は口に出す。
まあ助手として遣わされたものの、年齢的にはまだまだ子供で、任務に対する責任などの自覚が薄いのかもしれない。
本来なら、ここで責任云々の説教をするのが正しいのだろうが、いきなりより徐々に理解させる方がいいだろう。
文淵浄架の娘であり、教会内でも中々に聡い少女だと伺っているので心配はないだろうが。
「ところで、参加するマスターについて、お伺いしても宜しいかしら?」
「うむ。参加者について不詳な点が多いが、おそらく、という前置きが置けるのではあれば大凡の見当はつく」
そう言って、祭壇の上に資料を広げる。
「聖杯戦争が行われるこの時期に、東京へと来日した魔術師と思しき者たちだ」
「……ノイヴェーラ・スィーノ、フリーの魔術師。ウィリッカル・アウラコレー、時計塔所属。兎破浪(トゥー・ポーラン)、不明、中国より来日。それに……あらあら、有名な政治家まで」
「此度の亜種聖杯戦争は七騎全てが揃っているオリジナルと遜色ない故に、ここぞとばかり有力者、実力者が参戦している……が、結局のところ、これらの人物は全て推測に過ぎない。文淵句音、聡明な君の意見を聞きたい。君はこの資料を見て、彼らの詳細を見てどう思う? どう考える?」
まさか、このような尻が青い少女に意見を賜るとは……などと、別段句音に驚いた様子はなかった。
何故なら彼女は、特例で修道院に入り、その類い稀な才覚で修練課程を飛び級で終え、後に聖堂教会に見出されて聖杯戦争監督役の助手として抜擢されたのだ。
周囲から意見を求められ慣れている句音からすれば、いつもの事であった。>>143
「うーん、私としても神父様のご意見と大差ないと思いますよ。確定だと思うのは、没落気味のアウラコレー家と政治家の方でしょうか? 後の方々は確証が持てるだけの素材が少ないと言いますか……」
「いや、それでいい。意見に感謝する」
「では私からも一つ。既に現界しているサーヴァントはどのようになっているのでしょう?」
「今現在まで召喚されたサーヴァントは全部で六騎。残っている枠はセイバーのクラスのみとなっている」
「あら、最優のクラスとも言われるセイバーが残っているのですね」
「意外ではあるが、前例はある」
と言いつつも、神父はどこか懸念したような、訝しむような表情で唸る。
「どうかなさったのですか?」
「いや、霊器盤には確かに六騎のサーヴァントが確認されている……が、どこか釈然としない。マスターの数か? 辻褄か? 上手い説明ができないが、胸騒ぎがするのだ。気にしすぎだと言われればそれまでだが」
監督役に抜擢された代行者としての勘によるものか、どちらにせよ確証のないものだ。本来なら考えすぎだと一蹴されるだろう。
「神父様の杞憂は間違っておりませんよ」
しかしそんな彼の懸念を否定せず、肯定する言葉が少女の口から溢れる。
瞬間、神父の背筋に悪寒が走り、その発生源へと視線をやる。
そこには句音しかおらず、他の誰の気配も感じられない。長年培ってきた代行者の経験から、警戒すべき対象が一体誰なのか一瞬にして導かれた。>>144
「……文淵句音」
「まあ、即座に臨戦態勢に入るだなんて。そう警戒なさらなくても宜しいじゃないですか」
口調は年相応な、教養を身につけた少女そのもの────しかし、それは目の錯覚。
代行者としての経験と勘が告げている────彼女は危険であると。
間髪を入れず灰錠を両腕に展開し、いつでも殺.せるようにと構えを取った。
あれは少女の形をした中身が異なるナニだ。だが奇妙な事に、神父は句音から邪気を感じず、相手が邪悪とはまた異なる『危険性』を孕んでいる推測した。
「私のような者であっても警戒を怠らない姿勢は尊敬しますよ? 代行者の鑑です」
彼女の経歴を鑑みても人格に異常は見受けられなかった。
教会内部でも評価されていたし、能力も聖堂教会から見出されるなど、年少であっても才覚ある少女だ。
そんな少女に対して、何故こんなにも危険信号が発せられているのか。どうして異端を相手にする以上に緊張の糸が張り詰めているのか、神父にはそれ以上は分からなかった。
ただ実感しているのは、文淵句音は己にとって明確な敵である……それだけだ。
「それで、神父様の胸騒ぎですが……この通り」
句音が左手の手袋を外すと、そこにはマスターの証たる令呪が刻まれていた。>>145
「代行者の勘というものは侮れませんね。このまま放置して有耶無耶にしてもよかったのですが、後々に面倒になると読んだので予定より早めですが……消す事にしました」
聖母のような微笑と共に『消す』という言葉が発せられた瞬間、神父は飛び出そうと────できなかった。
動けない原因を探るように自らの足場を確認する。そこには、自身の足を地面に縫い付けるように光の杭が突き刺さっていた。
「な……に……!?」
直面した現実に心拍数が速くなる。興奮状態によりアドレナリンが分泌され、足から伝う筈の痛みが遮断される。
これは何だ? 洗礼詠唱の類いではない。しかしながら魔術でもない。
動作はなかった。詠唱を口ずさむ様子もなかった。ノーモーションで一体如何なる現象が齎された?
分からない、理解不明だと思考を走らせるが、それを待ってくれる程相手は呑気ではなかった。
「主よ、汝の慈悲を与え給え」
さながら慈悲を求める敬虔な信徒の言葉と共に、それは現れた。
神父に降り注がれる光。天より覗く光芒が如き輝き。
予想だにしていなかった現象に、神父の目は大きく開かれる。
この輝きは、間違っていなければ────。>>146
「神の……かつて人類が主との結んだ聖約の一片とでもいうのか……!」
「本当に察しがいいのですね。ご名答です。これは神代において、人類と神が交わした塩光の聖約が成す神秘の一片です」
「バカな! いくら君が類い希な才覚を持っていようとも、教会において至高の神秘の一つとも謳われるそれを、顕在化させる事など……!」
「不可能ではないのですよ。至高と言われようとも、結局は人類が扱えていた神秘……使える事は人類史が証明しています」
事もなげに言うが、実際そんな簡単な話ではない。
神父が驚愕に値する教会にとっても至高の神秘なぞ、一体どれ程の者に使えるのか。
おそらくは、異端審問の中でもエリートに位置する埋葬機関レベルでなければ話にならないだろう。天変地異とも称される人外でもなければ。
では、目の前の少女は何だ? 出自も、これまでの経歴も、何一つおかしな点はなく、ただ才に溢れた少女とでしか────そこで、神父はある可能性み行き着いた。
もしも、文淵句音という人物は想像通りの存在であれば、全ての辻褄は合うだろう。
その代わり、己自身の最大の不運を呪う事になるが。
「君は────所謂『根源接続者』というやつか」
「ふふ、またまたご明察です。私、神父様のような察しのいい方は嫌いではありませんよ」
嫌いではないという表現は、裏を返せば好きでもないという意味になるだろう。
成る程。出会って数週間程度の付き合いであったが、露ほども好かれていなかったか。
足の感覚が消えていくのを覚えながらも、神父はそんな感傷を抱く。
神父の両足はどういう原理か、塩の結晶に変化していた。そしてその変異は徐々に太腿から、臍へと侵食具合を進めていき、神父を人ではないものへと変えようとしている。>>147
もう半分が過ぎそうなところで、句音が「そういえば」と思い出したかのような表情で近づく。
「うーん、期待はしていなかったのですが、やはり預託令呪はありませんか。やはり亜種聖杯戦争となると、前提が異なるので令呪の保護もなしと……」
「ふふ、目論見が少し外れたようだね。最期にこうして、君の残念そうな顔を見れてよかったよ」
「あら、最期にはなんて意地悪な神父様」
そんなやり取りを最後に、神父は完全な塩の柱と化した。
旧約聖書において、神の言に背いたが故に与えられた神罰。ロトの妻の塩柱を彷彿とさせる光景であった。
しかし、暫くして塩の結晶は砂状と化してしまい、神秘的な姿から一変して、ただの散りばめられた塩となってしまった。
「はぁ、やはり魔術結晶として貯蔵はできませんか。人間一人分の物質全てを塩柱という形で魔力へと変換させたというのに……神秘とは本当に、現代に脆弱な事」>>148
◇◇◇
暗闇の中、女は────ノイヴェーラ・スィーノと呼ばれる魔術師は、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいた。
「────抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」
紡がれたのは召喚の呪文。
過去に栄光を刻み、人類史に名を残した英霊────その影法師を現世へと呼び込む為の儀式である。
魔力の奔流が巻き起こる。常人には認識できぬ神秘の流れが廻り、ここに奇跡の顕現を成立させる。
爆発的な魔力の発生と共に、空間が発光する。
そうして暫くして、光が収まったところでノイヴェーラは認識した。魔方陣(サークル)にポツンと佇んでいる、一つの人影を。
「────サーヴァント、キャスター。主の声に応じて馳せ参じたにございます」
教養を感じさせる美麗なお辞儀(ボウ・アンド・スクレープ)をする、黄金の装飾が多数使われているであろうローブを身に纏う男。
一見、成金趣味を思わせる風貌だが、それは見た目だけに過ぎず、内包する魔力の質や量共に人智を超えた存在であると証明している。
成る程、これがサーヴァントか……ノイヴェーラは少しだけ感心した後、キャスターと名乗った男に告げる。>>149
「契約は成された。しかし相互理解は求めていないわ。必要なのは勝利への報連相のみ。あなたも魔術師であるのなら、無駄を省く益は分かっているでしょう?」
「おやおや、我が主は随分と合理的で。ですが理解できますとも……して、これからどちらへ?」
キャスターは結論へ……これからの過程を全て省いて次の目的地を問う。
その問いに対し、彼女は淡々と────
「教会」
と、言い放った。
◇◇◇
東京都の某区。
寝静まった街並みの中を通り、ビル群の中でも異色を放っている西洋の建物へと足を進める。
教会。表向きには悩める仔羊たちを救い、神の御言葉を教える聖域だが、その裏では聖杯戦争と呼ばれる儀式の監視を務めている。
そして、この教会に聖杯戦争の監督役が派遣されていて、その監督役が神秘の秘匿や、事件の隠蔽を行う。>>150
『本来なら、教会に寄る必要性はない。しかし我が主はそれを逆手に取り……そこからは想像がつきませぬなぁ』
『難しい事ではないわ。ただ教会に気になる事物が一つあって、それを確かめに行くだけ。無問題なら、駒を設置して、あわよくば精神に寄生してこちら側になってもらう事もできるけれど』
『おやおや、それは大変心躍る』
『無駄話はこれで終わり。……ついたぞ』
『憎たらしい程に、相も変わらずやっているようですね』
霊体化したキャスターが嘲笑するかのように教会を批評する。
生前の絡みからか、未だ宗教体制が現存し、世界規模にまで発展している事実がいけ好かない様子だ。
真名を既に知っている彼女は、このようなコメントをする事をある程度予想していたので、特に何も言わず教会の扉を潜る。
『おや、薄暗いですね』
キャスターが怪訝そうに言う。
電灯は点けられておらず、教会内の明かりは燭台にて灯された蝋燭の光源のみ。
神聖な場というのに、その雰囲気はどちらか言えばホラー映画に使われるであろう舞台に思える。
まあ、だから何だという話なのだが。魔術系統的に、呪いを扱うノイヴェーラにとって心霊現象なぞ恐怖の対象にならない。そもそも魔術師全般、ホラー耐性持ちである。
故に何の感慨もなくさくさくと礼拝堂を歩く。
しばらく歩けば、背中を向けている人影がノイヴェーラの目に入る。>>151
「……何?」
人影が鮮明になる。そのシルエットは予想外のものであった。
てっきり神父が待機していると思われた場所には、少女が立っていたのだから。
「────ようこそ、おいでなさいました」
少女が振り向く。
端麗な容姿をしていた。可愛らしいというよりは美しい、そのような造形をしていた。
「私は文淵句音。此度の聖杯戦争で監督役を務めさせていただきます」
「あなたが監督役?」
冗談を言っているのか? と視線で暗に告げるが、少女はそれに対し微笑を浮かべて受け流す。
成る程、見た目とは違い中々に強かなようだ。しかしながら、それだけで監督役が務まるかどうかは疑問が残る。
……まあ、聖堂教会は派遣したのだから能力はあるのだろうと、ノイヴェーラは無駄な思考を省く為に納得させる。
「納得していただけたようで何よりです。それで、神の御家に如何様なご用で? 一見したところ、あなたは既に聖杯にマスターとして選ばれ、サーヴァントを召喚したとお見受けしますが?」
「────」>>152
感情の機微を見せない……少なくとも表面上は。
ノイヴェーラは不審に感じ、目の前の人物の“ただの少女”から“危険な存在”へと警戒レベルを上げた。
先程の句音が放った言葉は、監督役として何らおかしな部分はない。
では、何が彼女を警戒させるまでに至らしめたのか。
句音の目を見れば分かる。少女は最初からノイヴェーラではなく、背後の……霊体化して姿が見えない筈のサーヴァントに向けられている。
────ただの少女だと思って侮ってしまった。外見に惑わされた、私の失敗だ。
「あなたのサーヴァントは……そうですね。身なりからして、キャスターでしょうか?」
動けず、動かない。下手に動いてしまってはいけないと脳が、回路が、本能が告げている。
『主、あの女は────』
分かっている。危険であると。
しかし、気づいた瞬間から既に手遅れになっている。
こちらは飛んで火に入る夏の虫。愚かにも火中へと誘われた蛾と同じだ。
ノイヴェーラは思考し、分析し、シミュレートする。
そして結論は出た────殺られる前に殺れ。>>153
「キャスター!」
そう叫ぶと同時にノイヴェーラは自らの右腕を突き出し、魔術回路を励起させる。
唱えるは神秘。他者を呪い、傷つけ、災いを齎す魔女の術式。
「クートラル!」
その呪文に呼応するように、句音のいた場所が発火する。
人間であればその熱量に耐えきれず、霊体であればその魔力に込められた呪いによって呪死する程のもの。
そしてそれに畳み掛けるように霊体化を解いたキャスターが魔術を発動させ、炎上する空間を結界に閉じ込め、呪詛と共に固定化する。
「即興の合作ですが、悪くないですな────とはいえ、意味はなかったようですが」
「……あなたはどう見る? あれを見て、どう感じる?」
その問いにキャスターは「ふむ、個人的な感情も加味して……」と微かに思案し────
「……臭い、ですかねぇ」
顰めた表情でそう吐き捨てた。>>154
「────ひどい事をなさるのね」
ゾクリと悪寒が走る。
今のはどこから聞こえた? 耳元で囁かれるような、子守唄を聞かせるような距離感だ。
しかし背後に気配はなく、感じるのは己がサーヴァントの存在のみ。
なのに、この度し難い程の悪寒戦慄。死角に入られた被食者のような感覚に、初めて恐怖というものが湧き上がる。
ノイヴェーラは悟った。あの炎の中に誰もおらず、そして自分はもう助かる見込みはないと。
教会に足を踏み入れた瞬間から、既に敗北していたと。
「文淵句音……否、『天使(デイモーン)』。最期にいいだろうか」
「最期だなんてそんな……大切に、永久に使おうと努力致しますので」
己が運命は決したようだ。如何に魔術を駆使しようとも、生命を握っている少女には成すすべなく玉砕するだろう。
「……悍ましや、聖教の“天使(かいぶつ)”」
くぐもった声。そちらに視線をやれば────そこにはナニかがあった。
理解の及ばぬ、脳が理解を拒否するようなナニかにキャスターは蹂躙されていた。
無垢で、透明で、けれども残酷で、無慈悲なソレに。>>155
「あら、そう言えば紹介がまだでしたね。この子はライダーのサーヴァント『メルカバー』。私のサーヴァントなんですよ?」
まるで友人を紹介するかのような、自慢の玩具を見せるような声で、句音は無垢なる存在を明かす。
それと同時にノイヴェーラは自らの終わり予感した。だって、既に足元の感覚がなくなって、肉体の機能が終わろうとしているから。
人としての終わりが迫る。
生命としての終わりが来る。
消費されるだけの物資。食い物にされるだけの家畜に成り下がろうとしている。
嗚呼、なんとも呆気ない。
瞬く間に終わる自身に嘆息し、ノイヴェーラは意識を保ったまま塩の柱へと変貌した。
◇◇◇
そこで使い魔との回線が切れた。
やはり教会を警戒して正解であったと、あの光景を使い魔越しに目にしたノイヴェーラは安堵の息をつき、煙草を一本取り出して火を灯した。
過去にあった聖杯戦争のデータを見た限りでは、監督役が敵に回る事態なぞ聖杯大戦を最後に見なくなったが、念には念をと探りを入れた結果がこれだ。
あれは、ただの少女でもなければ、ただに人間ですらない。人の形をした全能……それ即ち、生まれながらにして根源を知る者。>>156
「……面倒なのがマスターに選出されたものだ」
「────正直に言えば、サーヴァントの方も規格外ですがね」
飄々とした声が虚空から響き、そこへと姿を現したのはライダーに蹂躙された筈のキャスターであった。
「戻ったか」
「我が主も酷い事をなさる。私のとっておきを、あのような場で使わせるなどと」
「必要だった故ね。有益な情報が入ったでしょう?」
「ええ、入りましたとも。ライダーの真名……『メルカバー』ですか。まさか聖杯戦争に“天使”を現界させるなど反側極まりない。神霊を呼ぶのと何が違うのでしょうか」
キャスターは忌々しげに吐き捨てる。
「……何はともあれ、教会側の戦力は把握した。後はどうとでもする」
「ほう……それはまた、心強い発言ですございますな」
ハッタリではなく、勝算あっての言葉にキャスターは愉快そうに口元に三日月のような笑みを浮かべる。
相手は全能に加え、従える僕も神霊と差異のない規格外な存在────だからといって、勝てない道理はない。
バカ正直に正面から挑む必要もないし、あの手この手を使って搦手から攻めれば、対処可能な相手ではある……ただし、根回し、打ち合わせ、膨大な準備期間が必要になるが。
────さぁて、今度こそ奴らへのリベンジと洒落込みますか。>>157
◇◇◇
「……どちらにも逃げられてしまいましたね」
塩の柱になると目されていた魔術師は、美しいとは程遠い、見るも無惨な薄汚い塩と化していた。
失敗ではない。塩化の現象は成功していた。
では何が悪かったのか? それはひとえに、相手が人でもなく、生者でもなかったが所以だろう。
「精巧な使い魔を仕立て上げて教会に送るだなんて……強かな方」
嘆息した後にライダーへと振り返る。
「キャスターも中々の大道芸師のようでしたし」
ライダーが蹂躙した者の骸は、本物と見紛う程のものであって、こちらも本物ではなかった。
霊器盤を確認したところ、サーヴァントの反応はまだあるようなので、生存は確実だろう。
「遊び心を入れたのが失敗ですね。反省です」>>159
◇◆◇◆
「ここが東京……聖杯戦争の舞台」
帽子を被り、チャンパオを着込んだ少年が闘争へと参戦し、サーヴァントを召喚する。
「オメェさんがマスターか……見目はまだ小僧じゃねえか」
「うるさい! それよりもその得物……ランサーでいいんだな?」
「へっ、威勢はいいな。儂は確かにランサーのクラスで召喚された────カーヴェ・アハンガルだ。オメェさんは?」
「……オレは兎破浪(トゥー・ポーラン)。家を再建させる為に、この聖杯戦争に挑む」
「サーヴァント、アサシン。真名をグレンデル」
怪物の名を有する美女は、傲岸不遜に佇む魔術師を葬り去り、隷属を強要されていた年端もいかない少女に寄り添う。
「あなたが私のマスター」
「……マスター? わたしを……守ってくれるの?」
「マスターが、そうお望みなら」「時代が神から人に移り変わろうとも、自らを神と錯覚し、そう振る舞う人間はいるか」
黄金。頭を覆い隠してしまう程に至大な王冠を被り、神代の紋様が描かれた衣を纏った男が言葉を放つ────否、それは言葉というには一方的で、対象を塗り潰すだけの神秘を内包していた。
「汝は依代。孤を現世へと繋ぎ止める為の楔である」
「……そうだ。俺は楔だったな」
「ボクを首輪で繋ごうだなんて、千年経とうがまだ早い。魔術は未熟、心眼は未熟、思想経験物腰から全てが未熟過ぎる!」
狂気によって召喚されながらも、既に内側にあった狂気により飛散されたバーサーカー……しかし、それでも人間には制御不可という人外の狂気を含んだまま、ソレは降り立った。
「さあ、消滅まで時間の問題だ。当面の間は餌を掻き集めて潜伏に専念しようか────その次こそが、生きとし生けるものへの蹂躙だ」
月光の下。珍しく人の気配が全くなくなった渋谷スクランブル交差点の中央にて────
「問うが、お前が此度のワタシの雇用者かね?」
────その日、運命に出会う。書く予定が今のところないので、キャラの名前出しときます。
セイバー:ヘンゲスト(アーサー王関係者枠)
ブリテンを侵略したザクセン人の指導者。白い竜。
マスター:未定。多分巻き込まれ枠かな?
アーチャー:ニムロド(黄金枠……つまり過剰火力)
多分説明は不要なので省く。
マスター:日本の有名な政治家。でもニムロドの某言語で黙らされた。
ランサー:カーヴェ・アハンガル(未熟マスターに発破をかける枠/傷を残す枠)
シャー・ナーメで民衆を集めてザッハークに反旗を翻した人。鍛治師でフェリドゥーンの武器もこの人作。宝具は国の象徴ともなった旗のついた槍。
マスター:兎破浪(トゥー・ポーラン)。中国から来た雷法使いの少年。精神面はちょっと未熟で、きっと聖杯戦争の中で育っていく……筈。
ライダー:メルカバー(例外枠というよりバグ枠)
天使。ヤベーやつ。通常形態は変な戦車。宝具は「天使機構/四獣形態(タイプ・ハヨット)」「天使機構/戦車形態(タイプ・ガルガリン)」の二つ。
マスター:文淵句音。根源接続者。ラスボス。
キャスター:シモン・マグス(トリッキー枠?)
皇帝ネロに仕えていた宮廷魔術師。死んだと思った? 残念! 死なずのマグスでした!(水着ネロスキル参照)
マスター:ノイヴェーラ・スィーノ。準封印指定。噛ませにならないナイジェル枠……を目指します。おおう、予告編
兎破浪さんがかなり好きかもしれない
ランサーとの相性もかなり楽しみ
私も虚構妖精編の続きを投下します
前回まではここから
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/異聞%E3%80%82吸血鬼と妖精女王「逝ったか。うん、彼女らしい答えだった」
「………次はお前の番だ、ウルフィルト。俺はお前を殺.すぞ。契約通りにな」
「ああ、好きにするといい」
カナリアの袖から、細長いスティレットが取り出される。黒く、鈍く光るそれはかなり細い。それで心臓を一突きすれば、ウルフィルトはたった少しの流血だけで体が動かなくなってしまった。どういう理屈かはわからないが、死体の保存も兼ねた殺し方らしい。ウルフィルトも、ひどく安らかな寝顔のようにしか見えない。自分が死ぬというのに、恐怖は微塵もないのだろうか。
「それにしても……いったい何がしたかったんでしょうね、ウルフィルトは」
「そうだな。星の内海の扉を作った、マヴを生贄にすることでそれを正常化した。……けど別に、だからといって人間にそれが開けるわけじゃないし、何よりウルフィルトは大人しく殺された。作っただけで、死んだ」死体を解析して理解した。この死体は確かにウルフィルト本人のものだ。人形じゃない。強いて言えば、かの人形師ほどの完成度ならば……と思ったがやはりあり得ない。彼女の主義とウルフィルトの体に取り付けた部品はきっと合わない。ならば、本当に扉を作りたかっただけなのか?
「答えは単純明快だ。私はね、もう人の姿を捨てていたんだよ」
「なっ……ウルフィルト!?殺したはずだぞ!というかそれ、アストラル体────」
「人の肉体はね、確かに死んだよ。さあ、計画の最終段階だ。僕はもう阿頼耶識との縁は切った。あとは扉を開くだけだ」
半端に開きかけていた扉をマヴが完全に閉めた。これにより、世界の回帰は妨げられたはずだ。神から人へと移り変わった世界は、人の世のままずっとあり続けるはずだった。マヴの選択により、世界は救われたはずだ。
…………その扉が、開かれた。ウルフィルトを名乗る、妖精のような生き物によって。完全な形で、開かれてしまった。その日、世界は変わった。それは本当に微かな変化だけれど、本来の人理が敷かれた地球ではあり得ない変化が起きてしまった。ありとあらゆる場所の妖精郷に近い場所を起点として、世界各地で異変が起きた。
“妖精を見た”と誰かが口々に言い出した。写真にもたくさん撮られた。音声にだって残っているし、物的証拠だと言わんばかりによくわからないものが沢山撒き散らされていた。それは鱗だったり、羽だったり、鱗粉だったり、体毛だったり、花弁だったりするけれど……そのどれもに共通する特徴が、この世の生き物とは思えない、記録されているどの生き物にも合致しないものだったという。
その日、地球上において胎内にいた胎児たちの少なくない数が、生まれて育っていた際にちょっとした“個性”が見つかった。それはちょっと人に見えないものが見えたり、何か考え事に耽りがちという大した事ない程度だったけれど……一部、魔術世界において妖精の祝福と言われるような異能を持ち合わせてしまったのである。
そして最後に、魔術師たちや他の超常、神秘に触れるものたちの一部に、明確な異変が現れた。魔術回路が急に発達した、急に魔眼が目覚めた、急に超能力が開花した。形としてはそれぐらいで、けれど明確に異常だったのは……彼らが一定期間、神隠しにあったこと。しかも、神隠しにあっておきながら、妖精たちに“何も奪われていなかった”ことなのである。
後に、魔術世界においてこの日は“星が夢見る刻”と呼ばれた。未だ人は地球(ホシ)の掌にある。星の悪戯、星の気まぐれ、そのようなものであえなく蹂躙されてしまう、自立にはまだ遠い生き物なのだと。
「私が肉体を捨てて行動できたのはね、長年この土地と魂を癒着させてきたからだ。ほんの数秒、ほんの一瞬、この土地を依代にすることが出来た。その結果、私は肉体を捨てて、おおよそ5秒ほどは魂単体で行動することができたんだ。それを過ぎれば霧散してしまうのだけど」
「じゃあ……なんで今、生きてるんだよ。さっさと死.ねよ」
「扉を開いたおかげで溢れた真エーテル、そしてこの土地にかけられた魂を地球に接続する魔術。それにより私の魂は完全に妖精へと変化した。私の計画なんだ、私を第一被験者として当たり前だろう?」
「……あなたの計画って、何?」ルナの問いかけは尤もだ。妖精や地形学とは無縁の彼女でもわかる、今のこの場は明らかに異常であると。途端にマナが、大気のエーテルが増大していく。大地そのものが回帰していく。扉から、息が詰まりそうなほどの、本来は人が触れるべきでないものが溢れていく。世界が書き換えられていく。地球が、私たち人類の知らないものになっていく。
「人は有限の生命だ。正確には地球上全ての生き物だが、彼らには必ず終わりがある。神代の幻想種や神たちと比べても、明らかに短い。けれどそうだね、たとえば精霊種だけど……彼らは不老不死と表現できるほどの生態だ」
「だから人類は欠陥だって言いてぇのか?だから妖精にするって言うのか?けどお前、妖精だって不老不死じゃねぇぞ。いつか終わりは来る。専用の方法で誰かに殺されても終わるし、地球が死んだらそこで終わりだ」
「その通り。私は人類の生命としての身体構造を欠陥だとは思わないし、精霊種の機能をこの星のどれよりも優れたものだとは思わない。私が評価しているのは人類と精霊種、その精神性だ。私はそれを掛け合わせたいと思う」
ウルフィルトは語る。とても楽しげに、夢見心地に、世界の終わりを語り始める。そのはしゃぎ方に同調して、虚構妖精たちが変化していく。本物の妖精になっていく。どこもかしこも妖精だらけ、こんなこと現代の地球ではまずあり得ない光景で、しかしあり得てしまっていた。
「人間というのは欲深い生き物だ。やりたいことが沢山あるし、やりたいことをやるためにかける努力や力も沢山。けれど、人間には理性というストッパーがある。やりたいと思えることも、ある程度のラインまで行くとさまざまなことを恐れて止まってしまうんだね。勿論そうでない人もいるけれど、総体で見れば止まる人が多いはずだ。私はそれを悲しく思う」
「良いことだろ」
「良いことなのかもしれないね。でも、私はそう思わない。その欲深さを全力で発露できないことを嫌だと思う。けど、妖精はどうかな。人類と比べると欲深さや悪辣さはないけど、一度“そうしたい”と思った時の爆発力は人類を越える。私が俺がと突き詰める暴力的なまでの衝動。だから私はね、人類のみんなを妖精にすることで、彼らの幸福追求を際限ないものにしたいんだよ」ウルフィルトの見立てでは、人類が妖精になったことで完全に精神性もが変わるわけではない。人類と妖精の中間、ウルフィルトが定義するところのそのそれぞれの“良いところ”を引き継ぐはずだと仮定した。そうすれば、どうなる?
人類はみんな、自分のやりたいことを遠慮なくやれるように、星から力を引き出し力を行使する化け物になってしまう。
「アラヤでありながらガイア。ガイアでありながらアラヤ。星は人に自分を食い潰されることを許容している。だから自分から力を引き出し枯らしていく自滅を気にも留めない」
「それは自.殺だ。そうなってしまったら、人は星から逃れられない。星が死んだら人もそのまま死ん.でしまう。人類は、どう足掻いても滅ぶ」
「そうだ、それで良いじゃないか。やりたいことをやりたいようにやって、自由気ままに生きて死ぬ。欲に塗れ、夢に笑って、そして最後に皆消える。誰も彼もが手を繋いで共に死ぬなら悪くもない。寂しくないし、怖くないよ」
詰まるところ、彼の主張は盛大な無理心中。安楽死のようなもので。
「星の内海から湧き出る厄災……それは、あなた自身のことだったんですね」
「ああ、そうだね。私に人類救済のような高尚な理想はない。ただ、やりたかったからやるんだよ」ようやく…SS完成しそうや…!!
長く苦しい3ヶ月でした…
>>132
>>136
>>139
ジェットストリームホタルチャン…!!なんて荒技を使いやがる…!!
それはそれとして可愛い
>>162
どの陣営もヤバい匂いがプンプンするぜェ…!!
なんというか他のに比べても正統派、というか魔術師らしさが強い聖杯戦争って感じがしますね。ギャグ成分皆無っぽい空気みたいな
>>175
人類です。精霊種です。合体!!これは一体どうなっちゃうんだ〜〜!?…ってコト!?ってク.ソデカトムブ◯ウンしてる場合じゃねえよやべえですよコレ
想像してたよりも遥かに恐ろしいスケールというかとんでもねえ事になっててここからどうなるのか全然分からなくてビビり散らかしてます…でも大丈夫の筈…ルナちゃんの主人公補正でなんとか…なるのかコレ
>>163
ワッ
ピャッ
グビャア゛ア゛ア゛ア゛ッッッッかわッッッッピャッッしぬッッ(いつもの)(神絵をブチ込まれるとキチゲ解放するアホ)
やはりザミエルさんの絵は良いっすね…可愛い…俺が出そうと思っても出せない可愛さを存分に輝かしてくれるそこに痺れる憧れる
そして前々から思ってましたがやはり海月ちゃんにはヤケク.ソ笑顔というか恥じらいの入った笑顔が似合いますね…古さだけが取り柄のような学び舎で、ふうと少女は息を吐く。ここにはいない友を想って。
彼女がいない教室は、いつもよりいやに静かで、がらんとした空間のように感じてしまう。どこか何かが色彩を欠いた、そんな感じ。
旅の空の下にいる友は今どうしているだろう、そんなことばかり考えて、心は風に揺られて宙ぶらりん。釈迦の説法も今はただの葉っぱの掠れ音。
彼女は神秘を追っている。遠く遠く彼方の神秘を。私は遠くへ行けなくて、だからいつも無事を祈って遠のく背中を見つめるばかり────
Hello、浮かない顔のお嬢さん。そんなあんたに朗報だ!
………………え?
実はテレータ先生も、今朝方今後10回分くらいの授業のデータが消し飛んじゃってカリキュラムもへったくれもなくなっちまったのさ。
なので!これからはテレータ先生珠玉のガクチカ⭐︎オカルトツアーにしちゃいます!
…………………………え?
なに、教室から出られない?オカルトに行けないならオカルトを連れてくれば良い!
隣の空き教室からロンドンの路地裏まで、気になるあの噂から、知る人ぞ知るここだけの話(アンカバー)まで粒揃いをぎゅぎゅっと堪能!
ネズミなあんたも、スパイな彼も、そこで寝たふりしてるサボり魔君も!
さあ、校外学習(だいぼうけん)の時間だよ!
『テレータ先生と行く!アンカバード・ロンドンツアー2023!』すげぇ、昔に言っていた、葦原異聞帯の決戦前前半部分を上げてもよろしいでしょうか……!?
紅く。ただ赫赫とした魔性の空にて富士の山の中に一人の男が息も絶え絶えに地に伏している。
男の名は性を卜部、名を季武という。この魑魅魍魎跋扈する地獄においてなおも弓を持ち矢を番え人の安寧を取り戻さんとした生者。
遥か異界の地。汎人類史の星詠みたるカルデアの面々と縁と繋ぎこの終わりの地へと首魁へと辿り着いた。
だが悲しきかな。その力は及ばず友とした男もクリプターの凶弾に撃たれその命の灯も燃え尽き骸と化している。
「実に残念ですねぇ。ここまでたどり着いた果てに犬死とは」
山の頂に続く斜に立つ白を基調とした術師然とした烏帽子の男。糸目に薄められた目線で以って悪意を隠す気すらないと謂わんばかりにこちらを嘲笑する。>>183
この葦原の地において妖怪異を率いて霊長の座を簒奪した筆頭、神狐葛の葉より生まれし怨敵。陰陽術師、安倍晴明。
まさに、手が届かず。これまで悪鬼羅刹を打ち払いこの葦原国に巣食うモノどもを討伐してこの末路。
──かつての都、廃京と化した宮に籠りただ一人への愛の為に世に呪いを振りまいた邪仙、清少納言。
──甲州は甲斐国に点在する湖を拠とし堕落の霧にて退廃の栄華に耽溺した堕王、紂王。
──今人類が安息の地として築き上げた隠れ里関京を攻め落とさんと怪異の指揮をとった雷神、丑御前。
──月のように幻想的な風貌のまま、余人に触れえぬ高貴さ。虫のように悪戯に弄ぶ麗人、かぐや。
──憎悪のままに人間を屠り、殺戮を欲しいままにする鬼を従える悪鬼羅刹、藤原千方。
──神出鬼没、淡々と未来を手繰り意のままに支配する酷薄の預言師、件。
──カウンターサーヴァントとして召喚され人類の存続に貢献しながらも魔性のままに妖の陣へと身を翻した魔女、華佗。
これ七騎の悪鬼。魑魅魍魎の要。都合四騎を祓い、凶兆の波を感じ取りその企てを打ち砕かんと攻め込んだが、この結末。
「これで貴方様のご悲願は叶いましょうや。朽崎殿?」
陰陽師が話を振った相手はこの場にいる数少ない人間。
この国特有の黒髪にこれまた黒ずくめの擦り切れた外套を纏う男。異星の神により異聞帯と空想樹を与えられたクリプター、その最後の一人。朽崎遥。
「あーー、ま、概ねそうだな。さぁて、少し早いがネタバラシとでもいく?」>>184
どこか心あらずといったように反応したかと思うとすぐにその表情をヘラヘラしたものに変え、魔弾を放ち幾ばくも経っていないのか硝煙を挙げる銃を指に引っ提げ弄びながらその計画の裏筋を話し出す。
「よろしいので?」
「別にもう──、いや初めから何も出来ることはなかったじゃんか。さて、まず俺達の目的だが……上見てみようか」
スッと指をさせば空を遮る魔雲に阻まれてなお輝き続ける唯一の星。即ち北極星。
──いや。いや、いやいや!その輝きは確かに、確実に増し大きくなってきている。まるで生命が脈動するかのように。こちらへ近づいているかのように。
「お察しの通り、アレは天津甕星(アマツミカボシ)。神代のその昔、神々によって天のテクスチャに封じ込められたんだが……、これを件によって呼び寄せる。そしてこの星との同化させ新たなる星の神とさせる」
「──だが、そう簡単にはいかないだろう?」
若々しくも厚みのある声が、下坂から投げかけられる。それに朽崎は苦笑しながら顔を向ける。
「きちんと飼い殺しにしていた筈なんだが、なんでここにいるんだよ?“教授”──」
勝手知ったるとでも言うように坂道を登ってきたのは1人の男。
かつてAチームのメンバーでありカルデアに敗北した魔術師。>>185
「当然、頼れる救援が有ったのだ。
いや実際の所私には昨日……君達からすれば1週間前までの記憶しか無くてね。いつ異聞帯に来たかもサッパリだ。
……とはいえだいたい分かった。
ここから逆転劇とさせてもらおう」
──レスリー・サルバドーレ・マイトストーン。
「記録にあったビーストⅢ/L
の夢の残り香を使ったか。
……採取したのは紂王か。
それに加え件による未来の剪定。
なるほど、神の如き宇宙存在を引き寄せる程度は造作もないな。
そしてビーストの力は互いに相容れず衝突し合う。
まつろわぬ星神二柱を対消滅させ遺るはなにも残らない白き地上……、いやそれすら遺らんか」
「然り然り。此方はどちらでも構いませぬ。が──、今さら魔術師1人が増えた所で何がどう変わるというのやら」
「変わるとも。こんな具合に」
その時、レスリーの言葉に合わせるようにカルデアのマスター、フェリーペ・ジョージ・デ・サントが血反吐を吐き息を吹き返す。>>186
「おい、後輩!大丈夫なのか!?いや、息を吹き返してくれてワタシは嬉しいが……」
「ゲボッ、少しばかり苦しい」
「何故、生き還った……?」
あり得ないことを見たかのように安倍晴明は目を丸くするが、朽崎は了見がいったとばかりに口元を上げ目を細くし口を開く。
「華佗だな?」
この葦原の地の霊長の理によって傾国の美姫としての霊基を複合していた華佗はそれに引きずられるように魔へと身を堕とした。
狂気に身を任せながら英雄としての矜持が遺っていたのか華佗は毒薬と共に遅効性の蘇生薬も施していたのだろう。
「いや、いやさ!
それでも死人が1人淵より引き戻されただけのこと。
驚愕こそありましたが、小手先の手品に過ぎませんな?」
嘲笑を浮かべ、陰陽師は埃でも払うような仕草で術を発動する。
五芒星が形を成し殺到するは石の鏃。抵抗をすることすら許さずと云わんばかりに地中からも脚を縫い付けんと殺到する。
若武者と盾の少女が防がんとするがこれまでのダメージによって僅かに身体が崩れかける。
──“一手”、遅い。>>187
だが魔術師は何もしない。……いや、笑う。これ以上無く不敵に笑う。“いったい何を勘違いしているんじゃあないか”とでもいうかのように。
──膨大な魔力の出現と共に陰陽師の術は切り払われた。
「そう、魔術師は真理を探求する者に過ぎない。
ではそれが前線にわざわざ姿を晒すのはなぜか。
そんなもの、十全に勝つ時だけに決まっている!」
この場で新たに舞台に上がった役者は1人。
快活な気風を表す精悍とした顔立ち。艷やかな黒く短い髪が風に少し流される。
この国風の甲冑を纏い、今しがた振るった二刀を自然体に供える。
「サーヴァント・セイバー。真名を坂上田村麻呂!
喚び声に応えたぜ、魔術師!」
「馬鹿な……、サーヴァントだと!?」
“こんなことはあり得ない”。
霊脈は全てこちらが掌握している。さらに英霊の座へと繋がる路も封鎖している。>>188
それが、なぜ。
その時関京の方角から爆発的な魔力の奔流が溢れ出る。
「は────」
こちらを見下したような笑みがようやく剥がれ目を見張るように安倍晴明は彼方を見やる。
「言っただろう?頼りになる救援が来た、と。
人望がなかったんじゃあないか?その掌握した霊脈、提供してくれるやつが出てきたぞ?
奇跡でも偶然でもなく、必然としてな」
そして、陰陽師の驚愕は止まらない。
ザパン!と濁流を思わせる黒い水の奔流が木々を薙ぎ倒しながら藤原千方に迫りそれを鬼は式神で防御する。
「今更になってその辛気臭い顔を見る羽目になるとはな。
自らの為すべき理すら持たぬ凧のように定まらぬ落伍者がノコノコなんのようだ……。
なぁ……」
闇夜から抜けるように歩み出し月光に姿を晒したのは一人の男。
かつての過去で神に見捨てられ己の信念を見失い、迷いの末一度は妖側に手を貸した愚か者。>>189
「──藤原俊仁」
「当然、やるべきこと成すべきことを果たすために来た」
溶け込むような黒髪にこれまた黒一色の鎧を纏った武芸者はしかし目だけは確かな光を宿しながら脚を進み続ける。
『……俊仁』
歩む中自らに聴こえた声にピクリと眉を動かす。
これまでも脳裏で囁き続けてきた女の声。
黒い艶のある髪を靡かせた女の幻影。
かつて自らが伐った鬼、悪路の言葉。
『俊仁。迷うことはない。ヒトも神もお前の献身に応えることない。
そんな終は嫌でしょう?
さぁ、こちらに──』
「黙れ、悪路。俺はお前の言葉には従わない」
『─────』
明確な拒絶の言葉に悪鬼の幻聴は瞠目したかのような間を生み、それすら引き離すように自らの戦う“敵”との距離を保ちつつ俊仁はフェリーペ達に歩み寄る。>>190
「これ迄の愚行、しかと謝罪する。
ついてはこれからの働きで挽回させていただきたい。」
「こちらに着いてくれるだけでも充分だよ」
「……で、その顔はなんなんだよ?」
禊ぎの掛け合いもそこそこに田村麻呂が俊仁の腫れた頬を面白がるように揶揄する。
それに俊仁は照れるように笑い答えた。
「ある女性から手痛い一発を貰ってな。
まぁ、おかげで目が覚めたが」
「ホォーウ、それはそれは……」
田村麻呂は相変わらずこの男、女周りの問題があるな、と思いながら──。
──ィン、と鉄が鳴る音がした。
大量の魔力が溶ける残滓と共に田村麻呂が僅かに動いた跡と残心を示す。
果たして何が起きたのか。無論、闘いに他ならない。
そのおよそ無尽蔵形容できる魔力で瞬時に改変(テラフォーミング)した月に酷似した静止空間を創り上げた。
時すら刻まぬ絶対の世界において行動を赦されるのは女皇のみ。
カルデアのマスターは今度こそ終の屍を晒す……。>>191
──そこに、この男(英雄)はただの身体能力と神域すら生ぬるい技量で以て割って入った。
いや、ただ割って入っただけではない。かぐやの設置した魔力弾を、一発が竜種の息吹(ドラゴンブレス)に比する宝具の雨を一つ残らず斬り捨ててみせた。
刀を肩にかけ男は飄々とした風体で挑発的に言葉を投げかける。
「悪いな、姫さん。アンタの相手は俺だ」
「……小癪、ですね」
袖で口元の忍び笑いを隠した女は目を細め殺意を強めた。
「〜~ッ!
──だが!英霊召喚を行った所で天津甕星を打倒することは出来ない!」
両翼を抑えられた陰陽師は苛立ちを表しにしながらもすぐさまそれを収め己が優位であることには変わりないと言いたげに顔を歪ませる。
「異聞帯ではその土地に縁を持つ英霊でしか召喚は出来ない!
この地では宇宙(ソラ)へと迎撃出来る英雄は居らず、こちらの戦力を迎撃出来る神秘を有する者もまた少ない……。それに」
そこで言葉を区切り、ニタリと厭らしく口元を吊り上げる。
「……それに、アラヤの希望の祈りなど直ちに関京の人間共を鏖にしてしまえば済むことでしょう?
既に妖の軍勢が向かっている!
さらにまだこちらには神とすらなった我が母すらも──」>>192
高々しく口舌を述べる晴明の言葉を遮るように山の奥深くから獣の叫び声が木霊する。それは荒々しい雄叫びではなく、傷つけられた苦しみのものであり──。
「………………………、は?」
ポカンと呆ける男を余所に事態は目まぐるしく変化する。
彼方の空から地上に向かって降り注ぐ黄金の剣。
関京から宇宙に飛び立つかのように伸ばされる光の階段。
追い打ちをかけるかのように先程まで気にかけていた件の魔力反応が精巧を脱している。
「だから言っただろう?」
「貴様、なにを……」
くつくつと笑うレスリーは種明かしを奇術師のように意地悪く笑いつける。
「私は少し細工をしただけでそれほど手を加えてはいないよ……。それだけの土台は既にできていたからな。
いや、毘沙門天神は先見の妙を持っている。流石は広く伝わる武神という訳か……。
100年弱ほど前、毘沙門天は外の国から神を誘致している。自身の優秀な武人を切り捨ててもな」
チラリと俊仁に目をやりながら続きを口に出す。>>193
「その意味は外界からの路を作ることを意味する。文化、人、資源、思想……。
様々なモノが流れてくる。西から東へその終着点はどこなのか。
その古今から全てを運ぶその路の名を何というか」
「まさか……」
万感の想いを乗せて魔術師は高らかに誇る。窮極の逆転劇の秘策。お膳立ては元より安倍晴明が何をするまでもなく完成していたのだから。
「絹の路(シルクロード)の概念を形成させて貰った!
来るぞ!英霊どもが!異聞帯のルールなど知ったことかとばかりに!」
「……ッ!」
安倍晴明が戦慄する。それではサーヴァントの召喚範囲が広大になる。土地の悲鳴も合わさり最適解の英霊達が召喚されるだろう。これで形勢は決して有利だとは言えなくなった。
「さぁて。立てるかよ、俺より先の若武者。そこでヘバッてるってェんならこれから全部俺が持っていっちまうが……」
「動けない訳がないだろう。それに、アイツは俺がやる。やらなくちゃあならない」
普段の若武者を知っている人物では目を見張るほどにその瞳に激情を宿した青年はしかと大地を踏み立ち全ての元凶である妖狐の陰陽師を見据える。
その様に鼻を鳴らした田村麻呂は剣を抜き放ちながら言い放つ。>>199
ただのエゴのぶつかり合いです、頑張ろう
魔術師としても未来を閉ざされるので容赦なくバトル案件ですそっと貼るクラッフとシャフリヤーナの会話。名無しの教室の中でも誰もいないような場所でやってるかもしれないお話
「こんにちは、シャフリヤーナ先輩」
「………あ?てめぇ……あー……えっと……」
「クラッフ。クラッフ・フロースです」
「ああ、そうだ。パシリの雑魚だったな。そんで?」
なんとも酷い物言いだが、事実なので言い返さない。それに、使いっ走りというだけでいえば同じく首輪をつけられているシャフリヤーナもそうだろうとは思ったが自身への皮肉込みの言葉なのだろうと感じたからだ。それに、今日の自分が話したいのはそういうことではない。
「創造科の授業、行かなくていいんですか?」
「は?オレの単位を心配してくれてんのか?嬉しいねぇ。けど大丈夫だ、ちゃんと調節はしてるからよ。……お前こそ現代魔術科の授業は?かのエルメロイ二世の講義だ。聴講生だとしても受けれる時に受けていて損じゃないぞ」「ご心配ありがとうございます。私は必ず授業には出席しますから」
「………へぇ。で?何が言いたいんだスパイくん。オレは考古学科、ひいては名無しの教室とは無関係なんだがなぁ」
それは事実だ。彼は厄介払いで送られたのではないし、考古学科で学ぶような内容もない。ただ、暇で、めんどくさくて、適度にサボりたかったから本来の監視としての意義を失った名無しの教室を居眠りの場所として選んだだけ。授業にだって参加しないし、実習にだって参加しない。ここ最近はやけに凸ってくる美の魔術師がウザすぎて喧嘩をしているが、本来はもっとゆっくりするために選んだサボり場なのだ。何も関与していない。けれど……
「ですが、そうですね。名無しの教室にいる人員において、あなたが一番の危険分子です。この中にいる面々の中で唯一、あなただけが時計塔で活発に政治闘争に親しんでいる」
「そりゃそうだ。金と権力の確保は魔術師にとっての嗜みだからな」
「ある意味スパイや監視役よりも凶悪です、あなたは。私やテレータ・タブロイエフよりも遥かに力を持っている。その事実だけで何よりも警戒するに値する」怪談話を扱う魔術師の一族をシャフリヤーナがつい最近ねじ伏せた、というのは民主主義派閥で最近話題になった。完全に首輪をつけて、自身の忠実な手先として飼っているらしい。他にもいくつも、彼には黒い噂がある。権謀術数、魔道に浸ったものたちの伏魔殿。その時計塔において「本家も分家も全てねじ伏せ頂点に立った」ということがどれほど凄まじいことか。昼行灯のフリをした強烈な捕食者が目の前にいる者なのだ。
「……だからお前はオレが怖いのか」
「怖くありません。警戒しているだけです」
「いやビビってるだろ。もっと踏み込めばいいのによ。それともテメェの雇い主がチキンなのか?」
「いいえ、彼らは勇敢で、強大です。私もあなたもただの小動物としてしか認識していないでしょう」
………ここでふと考える。スパイを派遣する大家なんていうのはたくさんいるが、勇敢などという形容をされる存在はそんなに多いか?それと同時に、クラッフが産業革命によるぽっと出の魔術師のくせにエルメロイ教室の聴講生などそれなりに良い待遇で生活ができているのはなぜか。彼が実績を出すのに必要な魔術触媒を買う金なんかも、フロース家だけで確保できるものではない。さらに言えば、普段無害を装うシャフリヤーナをここまで危険視できるということは、彼の行いをとても身近で感じられる、派閥的には近い……「トランベリオ」
「………はい?」
「違うか。じゃあバリュエレータもねぇな。そもあのババアは他人を使わない。けどさっきの反応からおそらく全体基礎(ミスティール)。十二君主の分家筋もねぇな。勇敢、強大……あー、グローリアンか」
「ちょっと、何を言っているか……」
「ヒット。お前グローリアンのスパイかよ。アイツらマジでガチガチだな。わざわざ名無しにもスパイ送るなんて相当暇か相当神経質かの二択だろ」
バレた。確かに人の心の機敏を見抜く力に長けているとは思っていたが、自身の想像を超えていた。実力を侮っていた。いやしかし、今はそこは重要ではない。肝心なのは自分がスパイだということがバレているだけならまだしも、“グローリアン”のスパイだとバレてしまったことで……
「言わねぇよ。めんどくせぇし、それを名無しの奴らに伝える義理もねぇし」
「………え?」
「言ったところで得はねぇしな。オレのこの溢れんばかりの才能を警戒されちまうかもしれないし?……だから黙っておいてやる。感謝しながら学問に励め。なんなら誓約をつけてもいい」
「あ、ありがとうございます!」「その代わりぃ」
急に地面に沈み込み、そして後ろに現れたシャフリヤーナにそっと顎を撫ぜられる。手袋に覆われた右手で可愛がるように頭や顎を撫でられ、左手で腕から掌、腹を撫でられる。こちらは指の腹や爪先で弄ぶようにくすぐられてしまって……
「お前の魔術にはそれなりに興味がある。使えるものは使うに越したことはない。だから、な?今度オレの言うこと聞いてくれるよな?ちょうど他家で改良、再現してみたい礼装があったんだ」
「え、えっと……距離近……耳元でやめ……」
「な?」
「は、はい!わかりました!わかりましたからぁ!!」
以上。名無しの教室に入り浸る中でもおそらく権力闘争ガチ勢の二人だと思います>>208
これだったら多分私ですね……
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/かぐや姫>>198
いえいえ。本人もやる気元気どっちも無いでしょうから。
「特にやれる事もないから全部ぶっ壊してみるか」ぐらいの軽いノリでしょう。
だからだいぶノリノリな晴明さんと違って”駄目なら駄目でしゃーない”的な思考回路かなぁ、と。
なので出番少なくても全く問題ないって寸法ですよ。
今期アニメを見てたら「クッチーが護衛アリな重要人物の暗殺依頼を請け負ったりする話見てーなー」となったけどいい感じに出来そうな下地なさそうだなぁ、みたいな独り言。ハロー!一週間くらい熱病に侵されて死にかけてたよ!そんでレージュさんに質問だよ!
lvsk-ys4kuj52[lーr@w.nー>>212
大丈夫ですよー、愉悦部さんのssなのでお好きになさってください>>214
理解した!!ヘイズさん「船長」に興味津々ってことは船長のクローン的存在であるロックを使えばなんかいい感じにできるのでは…?(思いつき)
>>207
向き不向きもあるんだろうけど、アスタム慣れてるなぁ〜いやはや、体調を崩して快調に向かっていると思いきや、蓄膿症になったり、味覚障害が起きたりと踏んだり蹴ったり。参ったねこりゃ。
>>218
お大事に……。
ところでルナティックのプロローグ完を投稿したいんですが、今って人いますかね?よし、よくてよついたぞいくぞー!
バラララララ────
此処は海上3kmの蒼穹である。そこにビオランテ・バルベルデはいた。搭乗しているのは、WASP所有のヘリコプターの中である。アメリカ西部の発着場から空に揺られる事、数時間。パイロットの方とはまだまだ面識が無いので、どんな風に会話をしたモノか、いや運転中に話しかけて邪魔をするのも良くないし……と悶々としている内に、今回自分が担当させて貰う事になった依頼──”サロン”なる闇組織の撲滅──を遂行する時間が近づいてきた、という次第である。
そろそろ匿名希望の依頼主から伝えられた座標に到着する。パラシュートの準備と、”サロン”関係者に見られたらマズいので、ヘリコプターにもかけていた存在感現象の魔術を自分にもかけて、っと。
そうそう、依頼人が添付してきたこの連絡用らしき礼装も忘れずに持って……。よし、降下開始!
「Ms.ビオランテ。……ご武運を」
おっと。まだまだ新参な私だけど、そういう風に気にかけてくれるのは嬉しいものだ。
ありがとう、とサラリとしたお礼を言って、行ってきます。という挨拶という言葉と同時にヘリコプターから落下した。暫くの間の浮遊感を味わった後は、森の樹々にパラシュートを引っかかった状態で身体へのGを実感しつつ、地面に着地した。>>220
さて、この座標は、と……。そう、この場所は数年前に発見された無人島だとかなんとか。どっかの富豪が買い取って私物化してるんだったかな?やはりこういう治外法権的な場所は無くした方が世の為なのではないだろうか。いや、まだ”サロン”があるとは決まっていない。でもしっかり用心はしておくべきだろう、とビオランテは自らの愛銃、ワルサーP38の状態と所持している弾倉の数、そして面制圧用の礼装、スナバコノキの果実の状態を確認し
PRrrrr────
していると、先ほどから持っていた連絡用らしき礼装……、液晶画面に亀裂が走り、電源がうんともすんとも言わないバキバキに壊れたガラパゴス携帯電話、に着信が入った。どうすればコールに返答が出来るのだろうか、とワタワタ数字キーを操作し、通話キーをぽちりと押すと、ガラケーからは軽薄そうな男性の声が聞こえてきた。
『おっ、繋がった繋がった。アンタがWASP?で、俺の依頼である”サロン”撲滅に派遣された人って事でいいんだよね?あぁ、返事はテキトウでいいよ。こっちからは見えてるから気にしないで?』
「貴方が、依頼人?では今回の依頼に関する動機申告とサポートぐらいはお願いしたいわね。座標と目的だけでは実行は難しいし」
ペラペラと鬱陶しいぐらいに良く回る口の持ち主である。この声、最近聞いた事はあるような、無いような。多分空耳とかだろうとは思うのだけれど。
『えー、そうだね。施設への案内ぐらいは必要か。で、動機ね。動機はぁ、単純だよ。”サロン”ぶっ壊したいから。満足?で、君の案内だけど…ゴメンちょっと待って』>>221
寸隙の間、若干焦ったかのような声が聞こえたかと思うと、電話の向こうから騒動の音が上がる。
”何故貴方が”、”壊すとはどういう”というような言葉が聞こえた気がする。そして依頼人が離れて数秒後には物が割れたり人が怪我をしているような生々しさのある音の締めとして、一発の銃声が鳴り響いた。
『ゴメーン、無防備に電話し過ぎたよ。さっきのぶっ壊す発言聞かれっちゃってた。おっと心配しないで?しっかり黙らせたからさ!』
アハハ、と笑い声と同時にそんな事を言われるが、それを聞いたビオランテはむしろ警戒を数段上げる事となった。彼女は”正義の味方”である。ただし、やるべき時は徹底的にやる、という側面もあるのだが。
故に彼女は警戒する。この依頼人、本当に善意や義憤で依頼をしたのだろうか?と。
先ほどの声には毛ほども動揺の色が表れていなかった。つまり(恐らく)彼は他人を害しても一切気にしない人間、という事だ。これは心して果たさなければならないわね……、と考えながら、彼女は通話相手からの連絡に従い、歩を進めた。>>222
「着いた…、わね」
指示通りに歩いていくと、足元にマンホールのようなモノが現れた。どうやら此処が”サロン”への入り口らしい。正規のモノでは無いだろう。緊急用の脱出口とかそういう感じの場所だろうか。
事実、十数m先には洞窟があり、その中に近代的な建造物が埋まっている。そして周囲には輸送されてきたであろう人間たちや、それの監視と警戒をしているスーツ姿の男たち。
推察するに、サロンとやらは上空から、見えないように自然物の陰から地下に伸びる施設なのだろう。
ともあれ、ビオランテはマンホールっぽい蓋を外して、サロンに這入っていった。
カンカン、カンカン。カンカン、カンカン。
梯子を下りていくと、降り立ったのは倉庫のような区画である。手枷足枷。錠剤とカプセル剤の包装シートや注射器に血液が付着したタオル、釘や螺子が乱雑に詰め込まれたゴミ袋、ギロチンの刃に絞縄のような物騒な代物など、見るだけでこの場所の悍ましさや嗜虐性を意識せざるを得ないような物品がゴロゴロしている。
「あ、君か!待ってたよぉ、お嬢さん?」
と、ビオランテがワルサーのトリガーガードに指をかけ、次の一手をどうしようかと逡巡していると、背後からケラケラとした声がかかる。一気に引き金へと指を移動させ、一回転して声の発生源に銃口を向けると、そこには黒い青年が居た。
黒い革製のジャケットにやはり黒のシャツとズボン。顔や首にはピアスがジャラジャラと装飾されている。不健康そうな肌色の顔に貼り付いたような笑顔が胡散臭さを醸し出しており、ビオランテは信用信頼はしておくべきでは無い、という結論を出した。
全体的に喪服のようだ、と感じたのはどうしてだろうか?しかし、彼の姿はどう考えても葬式には向いていない。左腕には5本の鉤爪が生えた禍々しい雰囲気の小型の籠手を装着し、右手にはグロテスクな見た目の拳銃(推測するに、ベレッタ系列だろうか?)を握っていたからである。更に言えば、クンクンと少し嗅ぐだけで分かる、濃厚な血の匂いが青年の異常性を最大限に主張していた。>>223
「そうね、とりあえず自己紹介。私はビオランテ。ビオランテ・バルベルデ。今回は貴方の依頼……でいいのよね?でコチラに伺った、WASPのインターンよ」
簡素な自己紹介に、青年は「え?」と意外そうな顔をした。どうやら自分という人材…厳密に言えばWASPではない小娘…がやってきた事に虚を突かれた表情で数瞬固まる。だが次の瞬間には立て直したようで、やはり薄っぺらな笑顔を浮かべる。
「あーまあそっか。匿名な上に雑な指示じゃあ、上級、というか。ちゃんとしたエージェントの派遣はされないよねぇ。あはは、失敗失敗。じゃ俺も自己紹介。朽崎遥って言うんだ。ヨロシクネ~」
そういって黒い青年は、唇の端を歪めて、ニヤリと嗤った。プラプラと拳銃を振り、自分を倉庫の物陰に誘う。どうやらこの場所の説明をしてくれるようだ。
彼の言葉を信じるなら、このサロンという施設は地下に広がるアリ塚のような構造になっているらしく、最下層がゴミや不要品を押し込む廃棄場、その上に奴隷を繋いでいる牢獄と付属する衛生関連という管理関係。
最上階、つまり洞窟から入れる部分は受付とレストラン。その下の連絡通路を通ると、最大規模のフロアであり、来客の主目的である拷問部屋と陵辱部屋の二区画、計4階層。地下部分の周囲は様々な責め具や非合法薬物などを保存している倉庫がドーナツ状に囲んでおり、各部の移動はエレベーターや階段で移動するようだ。
ビオランテと朽崎がいるのは周囲の倉庫で、私は秘密裡に作られた裏通路からここに侵入した、という事らしい。
「さて、それじゃあ土地勘のある俺がオフェンス、エージェントな君はディフェンスだ。階段なりエレベーターなりで外に出て、外にいる人たちの鎮圧をしてちょうだい。俺はその間に、ここのVIPさん方の制圧とか~、あと奴隷な子たちをこの不幸な状況から解放する準備とかをね、するから。OK?」
ビオランテは困惑する。何故サロン潰しを依頼されたWASPがメインなのではなく、依頼人が前衛なのだろうか、と。こういうのって普通はエージェントは矢面に立つモノなのではないだろうか、と考えていると、思わず口に出ていたようだ。回答はシンプルで、”まだインターン生なら尚更だよ”などと言われた。>>224
「分かったわよ。じゃあそうね……、一時間もあれば無力化は可能だと思うわ。貴方も、態々自分でやる、なんて見得を切ったんだから、しっかりやり切って欲しいわね。というか、一人でやるならなんで依頼を?」
当然と言えば当然の疑問をぶつける。自分で壊すつもりがあるなら、金銭を支払って協力を要請する必要は無いだろう。
「もしかして。何かタイムリミットでもあるのかしら?フランケンシュタインの怪物さん?」
なのでビオランテは、彼には時間が無いのではないか、と推測した。顔や腕など、身体の所々に縫合の後があるからである。大怪我でもしているのかもしれない。
「んー、まそんなトコかな。よしっ、入り口まで行って頑張ってね!ああ、バレたら、みたいな心配はしなくて大丈夫!此処って女性のお客さんもまぁまぁ居るっぽいから『私は新規顧客でーす』って顔すればバレないバレない!いってらっしゃーい」
立場はインターン生で依頼がヘンテコ極まりないモノだろうと、今のビオランテはWASPの顔役、代表的な人材なのである。WASPにレビュー機能などは無いが、自分の所為で評価が落ちる事は避けたい、そう考えたビオランテは、朽崎に背中を押されるがまま、地上と金持ち連中の制圧の為、エレベーターに搭乗した。>>225
「よーし、これで準備オッケー。さてさて、それじゃあ自分で作って自分で壊す、スクラップ&ビルドのお時間……いや違うか。ともかくお掃除の時間、っと」
そう言って、朽崎遥はビオランテとは違う移動手段、即ち階段で拷問&陵辱エリアへと向かった。
「あ、朽崎マネージャー、お疲れ様です!!…!?…その腕にある物騒な甲冑はなん、ですか?」
拷問&陵辱エリアに這入った朽崎遥の姿を認めた、高級そうなスーツ姿の男性が、敬意を持った挨拶をする。そして同時に彼の恰好に不信感を得たのか、率直な質問を投げかける。あはは、とヒトデナシは笑って、(なんだか申し訳ないなぁ…)と思いながら────鉤爪を振るった。
激しく吹き上がる血潮、驚愕の表情を浮かべ、疑問符を頭に躍らせたまま自身が作った血の池に沈むSP。呆気にとられる顧客たち。奴隷連中は正気を失った顔のまま死んだようにモゾモゾと動くだけ。そんな周囲の動揺はどこ吹く風と言わんばかりに、死霊魔術使いはギチャリと顔を歪めて宣言した。
「えー、ご来店の皆様及び商品の大変申し訳ございませんが、当サロンは本日を持ちまして閉店とする事が決定致しました。つきましては皆様に退会費を生命でお支払い頂きたいと思います。突然のご通達で皆様ご困惑いたしましょうでしょうが、了承いただけますと幸いです」
そんな一方的な最後通告をダラダラと宣告しながら、朽崎遥は腕を振るう。その軌跡が増える度、死人も増える。1秒で一人、2秒で二人。3秒で5人。加速度的に被害は増加し、それはSPや顧客など、差別も区別も全く考慮されない。
死者が10人程に増え、状況を理解した顧客には恐怖が伝染していく。悲鳴を上げ、我先にと逃亡を図る金持ちやコネを持つ権力者。その姿を認めた死霊魔術使いはニヤリと嗤う。誰も逃がす訳ないでしょ、バーカ。
指を鳴らして詠唱一つ。
「抜刀」
すると次の瞬間、逃亡者たちの身体が揺れ、ガクガクと震えた。そして彼らの口から華が咲く。
内臓と背骨で形作られた悍ましい鈍刀である。そんな屍の花壇が一面に。事ここに至って裏切りの事実がようやく追いついたのか、優秀な筈のSP達が拳銃を抜く。発砲、する前にやはり獰猛な五本の嵐が全てを切り裂く。
身勝手な後始末は、まだ始まったばかりだ。>>226
「Prêt!Un Deux Trois!」
スラムの裏道、その壁には数多の弾痕と罅を在る。更に次の魔弾が飛翔する。射手であるヴィクトル・デュランベルジェの指から放たれるのは、様々な”王権”の概念を示すガンド、死刑執行(オーダー)である。
王たる彼のギロチンは「太陽王」と「聖王」の権威を示すモノである。すなわち弾速と弾数、そして退魔の権能を内包する絶対的な攻撃手段なのだ。……だがソレはあくまで並の人間を相手にしている場合である。此度の敵はマトモでは無いし、勿論並の存在でも無かった。
「(ちっ、まさか<王威遂行(コミュニケーション)>が効かない人間がいるとは…)いや、もう一回だ。『動くナ>!】
彼の言葉は王の言葉だ。その命令は、ヒトであれば従わざるを得ないような神々しさと共に、力ある言葉が強制的に伝えられる。しかし!
「……っ!あぁんもう!動き難いわねぇ、面倒くせぇ」
眼の前の軍服怪人は数瞬硬直する程度で、完全な停止には至らない。何故だ、ヴィクトルの矜持が穢され、小さくない屈辱が浮かび上がる。不愉快さに歯ぎしりをするヴィクトル。だが今回のケースで言えば、彼の推測は謝っている。効かないのではなく、効きにくいのだ。
彼の王威遂行はシンプル故に完成度も高く、更にヴィクトル自身の起源にも絡む術式な為、うまく効力が現れないのは女性魔術師──ポルカ・ドラニコル──の方に原因がある。
(ふーん。これがデュランベルジェ家次期当主の王権なのですね。事前に存じ上げていなきゃあ、初手の拘束で勝負が決まっちまってたかもしれませんわ)
そう、ポルカ・ドラニコルはヴィクトルの王威遂行について既に認知しており、それ故に完全な硬直をしてしまう前に咆哮によって王威遂行の影響を軽減、自身に軽い毒を投与。苦痛によって従属状態にならないように対処をしているのだ。
(持つべきモノはお友達よねぇ……)>>227
ポルカ・ドラニコルは魔術師である。そして同時に魔術回路に魔術刻印、地脈霊脈の調律師という顔も持つ。結果として本人の気質とは裏腹に、意外にも広い情報網を持っているのだ。当然、魔術の一族が持ちうる秘奥を探るのはご法度である。広い人脈に反して、深い知識がある訳ではない。あくまで”もしかしたら?”、”こんな感じの事をしていた”程度のソースしか得られないのだが、魔術師同士の戦いではそういった事前知識はかなりのアドバンテージと言えるだろう。
では今の戦況はポルカ・ドラニコルの方が有利なのか?と問われれば、そういう訳でも無いのである。
(痛つつ……自傷しながらの行動じゃあ、攻撃に威力を乗せられねぇなぁ)
毒は毒。自家中毒、では無いが、毒の痛みは確実にポルカの内面を削っている。打撃に腰は入っていない軽いパンチしか出せないし、鞭を振るう速度もいつもの速さに至ってはいない。つまり攻めきれていないのだ。
攻撃能力の低下もそうだが、王者の従える軍団もまた、相手取るには大変な性能である。白のチェス駒がヴィクトルの周囲を回転しながら護衛し、黒のチェス駒は隙を見つけては毒蛇の魔女に多様な軌跡で突撃してくるのである。支配者自身の魔弾と、チェスによるオート攻撃。両方に気を配る必要があり、オフェンスはおろそかにせざるを得ない状況になってしまうのだ。普通ならば。
「ま、それでもオレは攻めるのですけれどねぇ!」
ポルカは一気に加速し、礼装などによって強化された拳をヴィクトルに食らわせようとするが、黒のルークとナイトに阻まれてしまう。しかし魔女もさるもの引っ搔くもの、ルークもナイトも纏めて破壊し切ったのである。
「あらぁ?兵に守らせて自分は後ろから撃つだけ、なぁんて王者って言えるのかよぉ!?……なぁ!!」
ビュガッ!と凄まじい音と伴って彼女の鞭、爬行堕尾『ascensionem』が振るわれる。これは相手を抉り断つ執念深い礼装であり、ポルカの性根がよく反映されていると言えるだろう。
「何を言う。己の騎士共を的確に運用する才能も支配者には重要な能力だろう、薄っぺらい挑発には乗らんぞ、毒蛇め」>>228
ポルカの憎まれ口にもヴィクトルは動じない。傲岸不遜な態度で死刑執行を撃ち続ける。彼の魔弾は無尽の暴虐。だが待ち受ける魔女の鱗も怖れを知らず、全てを飲み込む神の蛇。傷つける事は出来ているが、弾かれたり途中で止まったりと、絶対的な決定打には至っていない。
千日手、である。軍の力と王権による盤面支配はヴィクトル・デュランベルジェに軍配が上がるが、魔術の直接的戦闘能力においてはポルカ・ドラニコルの方が優秀なのだ。暫くの間、一進一退、どちらも譲らぬ攻防が続いた。両者当たれば戦局はそちらに傾くのだが、それはお互いに理解している為、回避や礼装によって上手にいなす。毒をウォーターカッターの様に射出するというポルカの一手も、いつの間にか出現していたトランプ一枚を犠牲にする事で防がれてしまったし。
「……手詰まりじゃねぇか、面倒臭いですわねぇ、この傲慢王様野郎」
ペッ、と忌々しそうに唾を吐く蛇の魔女。実のところはそれも毒であり、彼女の憂さを晴らすようにコンクリートの地面を溶かす。遊ばず、油断せずに打開の一手を考えているヴィクトルとは対照的だ。
「面倒だというなら、さっさと王に裁かれろ、蛇女。首を差し出せば、楽に落としてやるが」
少々の怒気を隠さず、ヴィクトルも嫌味を言い放つ。返答は吐き気を表現するかのようなイラつく顔だ。舌を突き出し、手を広げ。およそ女性がしていい表情ではなかった。最も、次の瞬間には嗜虐的な笑顔に戻ったが。
「お断りに決まってんじゃありませんか。とはいえ、此処で時間を潰し合うのも悪手。私的にも今後の予定が詰まっておりますの。決着は日本の伏神という都市で決めるのは如何?」
は?と疑問符を浮かべるヴィクトルを誘うように、ポルカは言葉を紡いでいく。
「シークレットっつーか、広告打つような情報じゃないのですけれどね?伏神市という街で聖杯戦争が開催されるんだよな。もう此処でケリ付きそうにねぇし、そちらで雌雄を決する、という事でいいのではなくて?」
無言の魔弾が5連発。どうやら勝負を後回しにするつもりは無さそうだ。>>229
「断る。なぜ王が貴様の如き罪人の指示を聞かねばならんのだ?貴様の都合は関係ない。疾く失せよ」
王者の言葉は無視するポルカである。舌なめずりをして、彼を刺激する毒を吐く。
「あらぁ?王様サンは逃げる不届き者を罰する事もせずに放置するのかよ?ハッ、万物の王を望む割には、大分低いプライドですわねぇ?」
完全に馬鹿にしきっている。ヴィクトルが思案顔になったのを見て、ポルカはニヤニヤと性悪な笑みで返答を待った。
(聖杯戦争。正直に言えば王の覇道にとっては悪くない経験値ではある。現代では久しく体験できない”戦争”。最小規模ではあるだろうが、悪手にはならないと考えていいかもしれん。だが参加するにしても、この毒蛇が嘘をついている可能性もある。このまま押し問答な戦闘を続けても、現状の王に決め手がないのも事実……。それに、ヤケを起こされて民共に魔手が迫るのも避けたい……)
「自身の未熟に腹が立つが、仕方がない、貴様の提案に乗ってやる。しかし、お前がどさくさ紛れに逃亡する、なんて事態にならないとは限らないだろうに。保証は出来るのか?」
したり顔を浮かべながら保持していたクルクルと巻き付けて片し、いそいそと手袋を外し始めるポルカ。もうこれ以上の戦闘は無いと結論を出したようだ。その安心感を与えたという事実がヴィクトルに不快感を抱かせた。
が、彼は屈辱は糧にする男なのである。この魔女を逃すマイナスと裁き易くなる状況を受け入れるプラスでは、後者を受け入れる方がマシである。これ以上スラムに犠牲者が出る可能性の方が彼には耐え難い現実故に。
「あぁ、そこは心配しなくていいぜ?俺はその聖杯戦争を起こす為の最終調整者ですの。つまり仕事って訳だな。だから俺が日本に行かない可能性は絶無、という事ですわ。なんなら私が日本に行くのに同伴する、というのは如何?同じ飛行機の便に乗れば問題ないでしょう?あ、席は近くじゃなくてもいいですわよねぇ」
更に追加されるふざけた提案にヴィクトルは思わず歯ぎしりをする。ギリィとした音が路地裏に響いた。>>231
ビオランテは”サロン”門前の監視員警備員を全員制圧し、地下に戻る。裏社会の警護を仕事にしているだけあって手練れではあったのかもしれないが、あくまで一般人の集団であった。奇襲というシチュエーションや魔力による強化。そして悪党退治をはじめとした人助けを日課レベルで行っている彼女には流石に劣る力量でしかないというのはある種順当な結果と言えよう。
さて、ビオランテは警備員連中を茨の蔦で拘束し、あの胡散臭い朽崎遥とか言う青年と合流する為に、屋内に戻り、階段で降りていく。整備が行き届いているのか、最初に侵入した時のように音が響く事は無かった。降りていく、降りていく。施設の主要区画である拷問部屋と陵辱部屋の扉が開いているようだ。喧噪は聞こえないが、もし大口を叩いていた彼が手間取っていたようなら、手伝ってやろうか。そう考えていると、ツン。と鼻に突く匂いが漂ってきた。
嫌な予感がする。じっとりと纏わり付くような、不安がビオランテの身体の中で肥大化していった。ああ、解った。これは血の匂いである。しかも、かなり濃い。彼女は警戒度を上げつつ、扉の前に立つ。
(ああ、やっぱり)>>232
ビオランテは”サロン”門前の監視員警備員を全員制圧し、地下に戻る。裏社会の警護を仕事にしているだけあって手練れではあったのかもしれないが、あくまで一般人の集団であった。奇襲というシチュエーションや魔力による強化。そして悪党退治をはじめとした人助けを日課レベルで行っている彼女には流石に劣る力量でしかないというのはある種順当な結果と言えよう。
さて、ビオランテは警備員連中を茨の蔦で拘束し、あの胡散臭い朽崎遥とか言う青年と合流する為に、屋内に戻り、階段で降りていく。整備が行き届いているのか、最初に侵入した時のように音が響く事は無かった。降りていく、降りていく。施設の主要区画である拷問部屋と陵辱部屋の扉が開いているようだ。喧噪は聞こえないが、もし大口を叩いていた彼が手間取っていたようなら、手伝ってやろうか。そう考えていると、ツン。と鼻に突く匂いが漂ってきた。
嫌な予感がする。じっとりと纏わり付くような、不安がビオランテの身体の中で肥大化していった。ああ、解った。これは血の匂いである。しかも、かなり濃い。彼女は警戒度を上げつつ、扉の前に立つ。
(ああ、やっぱり)
思わずため息を吐きそうになる落胆を堪え、目の前の光景を受け入れる。屍山血河、である。惨たらしい死体の山と、夥しい量の血液がダラダラと流れている。風呂や道路のような、排水機能が存在していない部屋なのか、床は真っ赤だ。うずたかく積まれている死体の山と、細切れの屍肉が山ほど折り重なる死体の山。その二つの山脈の間に、朽崎遥は居た。どこから持ってきたのか、簡素な椅子の上に、嘲笑するかのように佇んでいた。左手の籠手に装着された爪からは新鮮そうな血液が滴り落ちており、真っ赤なナイフを握っている右手の下の拳銃は、銃口から硝煙を立ち昇らせている。座り方の行儀も悪い。立膝のような胡坐のような。
「一応聞いておくのだけれど、何故こんな殺戮を?VIP連中は兎も角、被害者たちはこんな風にする必要は無かったでしょう」
まだ理由があるかもしれない……と滲む怒りを抑えながらビオランテは黒い青年に詰め寄る。自前の拳銃はいつでも撃てるように装弾済である。
「うーん。だって俺、死霊魔術使いだし?死体と魂は有効活用しないとね。ウチで雇ってる彼も戦場では結構有能だけどさ、稼げる間に稼いでおかないと」>>233
ワルサーを握る拳に力が入る。まだ確定ではないが、この男は自分の中では悪に分類できる、と思う。しかしよくよく考えたらこの彼はこの施設の情報源でもあるのだ。”サロン”についての情報を掴んだ後に打倒しても問題無い。問題ない、筈だ。
「それにさぁ。もうぶっちゃけ鏖殺が一番楽というかなんだよねぇ。金持ち連中は性根が終わってる上になんだかんだ逃げ延びそうだし。で、犠牲者ちゃん達の方は、もうぶっちゃけ手遅れだよコレ」
アハハ、と嗤いながら他人事のように嘯くネクロマンサー。ペラッペラな酷薄さのまましゃべり続ける。
「前に色々どうなってるかなぁ、って調べたんだけど、違法薬物とか拷問漬けだから完全に脳味噌が委縮してたの。加害者が言うのもなんだけさぁ、快楽とか損耗でメンタル限界。社会復帰も無理そうだし、ココで終わっておくべきだよ」
大量虐殺をした後だというのに、朽崎遥は悪びれもせずに滔々と語り続ける。ペラペラ、ケラケラ。ペラペラ、ケラケラ。内心では苛々が募るが、この施設の情報源でもある事を思いだし、ギリギリで踏みとどまる。
「と、いうのが俺の立場なんだけどさ、君は納得してなさそうだよね。ああ、安心して!来客は惨殺、被害者は安楽死って感じで、しっかり分別したからさ」
────罪には罰を、って言うだろう?────>>234
悩む。悩む。一応、慈悲や思いやりの概念は持っているのだろうか。だが、仮にそうだとしても、自分とは相容れない価値観の持ち主である事には変わりがない。人間性を見定める為に、彼の顔を見る。瞳と表情を見れば、それなりに人となりの判断材料にはなるだろう。
納得しきれない、治療法があるかもしれないのに、と反論しながらそれとなく観察。
……解らない。表情は貼り付いたような笑顔のまま変わらない。瞳は漆黒だ。悪意、あるいは殺.意が渦巻いているような眼球である。吸い込まれそうな、という比喩があるが、彼の瞳は吞み込まれそうなソレ。まるで死.んでいるかのように、なんの感情も映さない。いや、もしかしたら既に死体なのかも。そう感じる程に、虚無という言葉が似合う男だな、とビオランテは思う。
「うーん、相容れなさそうだね、俺たち。しかし、俺は君と此処で事を構えるつもりは無いんだよねぇ、この後は自前で聖杯戦争しなきゃだし」
さっさと日本に戻らなきゃ、と軽い調子で椅子から立ち上がる。拳銃を拾い、ジャケットにしまう。そして舌を出し、食指で私を指差して、顔を歪めて。嘲るように宣言する。
「それに、俺は君みたいな人達、好きだからさ。良いじゃん、正義の味方。カァッコイイ~」
正義の味方。ヒーロー。私は、虐げられる誰かを助ける為に、WASPに入りたいと思ったのだ。だからやはり、依頼人と名乗るこの男も捕縛しておくべきだ!そう思わせるのが朽崎遥の狙いだったらしい。数刻の隙。ボウっとしていたつもりはないが、思考が飛んでいた。気づくと眼の前には毒々しく加工された心臓が一つ。
どうやら彼がジャケットから抜いた手を振りぬく形で投げてよこしたようだ。いきなりの事で驚愕しつつ、腕を振りぬいてソレをはねのける。視線を外してしまった、ヤバい!と慌てて前方に向き直ると、そこに人はいなかった。逃げた!?いやそれにしては突然すぎる、とビオランテは急いで周囲を見渡す。
すると二つの死体の山に積まれていない死体が3体程、ビクリ、と操り仕掛けの人形のように持ち上がった。ゾンビのようである。スーツを着たSPが数体、グラグラとしながら勢い良く自分に向かってくる。
「くっ……、卑怯な!」>>236
夜の中華は騒がしい。それは雑多な街であるが故の喧噪であったり、或いは遅くまで営業している店舗の賑やかだったりするのだが、今夜の世話しなさは日常と全く異なる理由で、それが今の伊織と椿を焦らせ、走らせている。
「マズゐですよ、伊織。早くあの二人を捕縛しなければ、この混乱は加速してしまゐます」
「そうだよねぇ、ヤッバいよねぇ。アレとソレは江戸の華、だっけ?でもここ中華~!」
伊織の困惑も最だ。今夜の中華は一味違う。まるで末法、世紀末。あるいは戦争による混沌。
周囲の店舗はほとんど半壊。ボヤも出ているようだし、遠くには煙も昇っている。何が何だかは不明だが、どうもあの怪人共が暴れているようで、先ほども飛び出してきた一体を伊織が己の術式で捕縛したばかりなのだ。
それでも怪人は未だに湧いて出てくる。警官も頑張っているようだが、それでも追いついている訳では無さそうだし、自分たちがあの二人を捕まえられなかったのは完全なミスだった、と反省しきりの椿。
伊織も軽い調子だが、本気で失敗したと感じているのは自分でもわかるのだ。彼女は己の魔術によって先の二人を追跡している。自分が負担になる訳には行かない。
「いましたか!?」
「その道の先!曲がって真っ直ぐ行き止まり!」>>237
ある程度追いかけていた訳だが、どうやらしっかり追い詰めていたようだ。自分の魔術ではこういう時に役に立たないので、せめて戦闘でしっかり活躍しなければ、と椿は心を引き締めながら路地を曲がる。
「……月並みな台詞ですが。もう逃げられませんよ、違法薬物取締法違反コンビくん達!」
あ、ヤベ。先ほどまでお米様だっこで逃げていた二人だが、伊織の尽力のお陰で、あともう少しの段階まで追い詰める事ができたようだ。安心できる訳ではないが……。
「あっ、くそ。誘われたか。迅龍、悪いな。しっかり確認できなくて」
という黒服の青年の謝罪に、いえ、拙の能力不足ですので……、と答えるチャイナ服。どうやらお互いをしっかり尊重し合っている二人組らしい。
「ほ~ら、それじゃあおねーさんたちと一緒に警察、行こうね!」
追跡をしっかり終わらせるとするなら、結末は袋小路だたりである。戦闘準備開始。伊織は愛用の金属一体成型の釘バットを構え、椿も同じく愛用の狙撃銃「VSS」通称ヴィントレスに装弾を完了させる。
対する中華服、迅龍はいつの間にか日本刀らしき武装を2本抜いており、黒野と呼ばれていた青年はどこか嫌そうに黒っぽくゴツゴツした物を懐から取り出した。魔術師の様には見えなかったが、まさか魔術礼装の類だろうか?
「はぁ……、まさかコレを使う羽目になるとはな……」
はぁ~と深いため息。だがそれでも勢いよく丹田付近にソレを押し当てる。経緯を見た伊織は(仮面ライダーのバックル?)なんて少々場違いな連想をする。次の瞬間、まさかその通りの運用をする代物だとしって彼女と、そして椿も内心も驚愕に支配された。バックルの端からはベルト帯が伸び、黒野の腰に巻き付く。それと同時に彼は両手に持ったゴテゴテと装飾がなされた大型注射器をデフォルメしたような器具を握り込む。ボタンを押したのか、音声が。
『ウェイク:ナイト』『ウェイク:シュート』
ベルトにソレを装着、レバーのようなスイッチを掌で押し込む。デフォルメ注射器が動作し、ゴーストのようなデザインが解放される。
「変身」>>238
シンプルかつ嫌そうに口上を述べると、彼の周囲にリングのようなモノが展開、黒づくめの青年の体表に装甲が浮遊し始める。
『ドーピング』
BGMはどこか物寂し気なクラシックが搔き鳴らされ、装甲の装着が完了。完成したのは骸とスタイリッシュなスーツ、そして鋭角なヘルメットの要素が揃った黒い戦士である。
「抵抗するのはいいけど、手加減はしてあげないからね?ていうか、その礼装はなんなのかな?」
荒事には慣れており、精神的にも余裕も持って行動する伊織が質問をしつつ、釘バット『死滅六道』を持ち上げる。対する椿は術式を起動させ、既にステルスを発動させている。このWASP最高の戦闘コンビは伊織が前衛、椿は後衛として位置し徹底的に攻め立てるという戦術が得意である。
「じゃ、容赦しないからね!」
不審者コンビに飛び込む伊織。いきなり大振りの一発を振り落とす。黒騎士は腰に懸架しているメカニカルな拳銃を構えて応戦しようとするが、ソレよりも早く影が二人の間に割って入った。迅龍と呼ばれる長身瘦躯の人物である。彼は右手の刀、その峰でしっかりと死滅六道の一撃を防御し、同時に見えざる筈の椿の銃撃を左の刃で全弾斬り落とした。椿は驚愕しながらも、今度は黒野の変身態に的を絞って攻撃する事を決める。乱射してはいけない。相手の意識から沈没し、致命的なタイミングで致命的な一撃を、だ。それが己の……狙撃手としての役割である。個人的に思う所がないではないが、大事なポジションである。油断はしない。
「よしやるか」
どこか諦めたように呟いた後、黒野は改めて拳銃を気だるげに構える。そして鈍器の一刀流と曲芸二刀流という異質な一騎打ちで戦っている伊織と迅龍に向けて構える。隠密しながら見ていた椿が困惑する間も無く、乱射。敵味方お構いなしの連撃である。
「嘘っ!?ちょ待ったぁ!?」
伊織は突然の出来事に目を白黒させながら、慌てて回避する。因みにこの場合の伊織の目は本当に変色する。彼女が持つ戦闘用義眼が機動している目印だ。
「あのねぇ!?仲間ごと撃つ?フツー」
非難の声を上げる彼女に対する二人の反応は冷ややかなものだった。>>239
「拙はあくまで兵器ですから。持ち主の意向に従うのみです」「アイツから、迅龍のことは無視していいと言われてる。ま、あくまで戦闘中だけだけどな」
ガガガガガガ、と弾丸の雨は続く。たまにリロードの為か間が空くが、それ以外ではほぼ常に撃ちっぱだ。椿は方針転換。まずは黒野の無力化を狙う事にした。椿はステルスを解除。燕尾服の中から小ぶりのナイフを抜き取り、軽く握る。
「黒野さん、と言ゐましたね。私が相手、だ」
急加速。突貫である。ついでに言えば片腕が無いので、どこかユラユラとしたどこか変則的な突撃となる。
その妙な印象のある攻撃に戸惑ったのか、黒野の銃撃が鈍る。舌打ちを一つ発した後、両の腰に拳銃を懸架し直し、ボクシングかなにか、拳闘のフォームを取り軽くステップを踏みながら、椿に対して右ストレートを一閃!しかしその拳は途中で止まる。困惑したように顔を揺らす黒野に対して椿はナイフによるカウンター。ヘルメットに掠り、傷が走る。
「どういう事だ?パンチが……」
その後も何度か攻撃を試すも、黒野の攻撃は悉くと当たらない。椿は薄く微笑みながら(やはりあの鎧は鉄の属性を持っているか、表面を覆っているに過ぎないようだ)と推測する。彼の魔術は万物及び自分に磁力という属性を付与(エンチャント)する、という術式で、先ほどまでのような隠密性や、磁力による反発を利用した簡易的なバリアを展開する事ができるのだ。そして、反発を利用できる、という事は……っ!
椿の懐から、数多のナイフがひとりでに飛び出してくる。そして、一斉に同じ方向、即ち黒野の方を向くと、ピタッと止まる。そして、椿が腕を振るうと同時に黒野に向かって飛翔する。
「なっ!?」
避けようとする黒野。しかしナイフの群れは止まらず、移動する彼を追尾し続ける。>>240
「あぁ、回避は無理ですよ、黒野くん?もう既にマーキングしましたので。そうだ、貴方たちがばら撒いていたと思しき薬物の詳細を語ってくれたら、やめてあげましょうか?」
まぁ、恐らく口を割る事はなゐでしょうが。そう考えていた椿の想定を裏切るかのように、黒野は観念したかのような雰囲気である。そして、投げやりな口調で話し始めた。
「俺も詳しくは知らない。あくまで売人だからな。アイツのいう事には、死者の怨念を加工して、その欲望を結晶化させたのがあの薬とか言ってたっけ。この礼装はより純化したソレを媒介に戦闘用のスーツを形成する、らい……うぉぉおおおお!?」
ザックリと語り始めた直後、黒野は全力で首を振った。その次の瞬間には、半ばで折れた日本刀が彼の顔面、その横に勢いよく突き立てられる。どうやら、伊織が迅龍の得物を破壊したらしい。
「マズいな……。だから、材料や製法は俺も知らない。残念だったな。で、勿論マーキングとやらの解除はしてくれないんだろ?」
当たり前である。犯罪者に対してはしっかり警戒をしなければならないのでね。と椿は内心で肯定する。だが同時に不信感。理解不能な状況に追い込まれているだろうに、どうも焦った様子がないのだ。もしや、伊織の方に何かがあったのか、と不安に思うも、彼女はまだまだ元気に斬り結んでいる。いやしかし、あの迅龍とか言う人、強いな……。と思っていると、不意に黒野がクツクツと笑いだした。磁力の反発、斥力によって壁に押し付け拘束をしているので、ある程度なら無力化はしている筈だが
「アンタ、油断しちまってる。あの、なんだっけ?相方さんを想う気持ちを顔に出し過ぎ……」
と挑発だろうか?を言い立てようした時、夕闇の空に風が吹いた。>>241
た。ただの突風ではない。おどろおどろしい紫色の魔力を伴った嵐のような、強烈な力である。
数秒程度の余波だが、それでも体が持ってかれる程の風速だった。それが一度ならず、2度、3度と繰り返す。インターバルも数秒程度。予期せぬ現象に椿の身体はたたらを踏んで大きくそれた。
ガスマスクに隠れた彼の瞳が大きく見開かれる。
「油断ってヤツだな、”『迅龍、狙いはこっちの男だ!”引き裂け!』」
その命令を聞いた瞬間には、体を鋭い痛みが襲った。伊織が抑えてくれているという信頼もあったが、妙な竜巻という脅威に気を取られ、先ほどまでの異様な速度への注意力が下がり、警戒が出来なくなっていたようだ。
「ガゥ…ッ、ゲゴぉえ…!?かひゅ~っ、ぜっ、っぜぇッ!ハッ、ハッハッハッハッ────ッ!!?」
どうやら胴付近に彼の、迅龍の爪が当たったらしい。息が詰まり、激痛が己を蝕む。苦痛に顔を歪め、椿は体を掻き毟る。雷撃が突き抜け、水の中で溺れているような感覚。これは────ッ!
「ど、クかっ」
マズい、マズいマズいマズいマズい!薬効は不明、解毒方法も同じくだ。つまり……
(私には自身を治療する方法が無ゐ!)
「椿ィイイイイイ!!」
自分が結構なダメージを貰ってしまった事を認識した伊織が、懸命な表情でコチラに勢い込んでやって来た。感情が爆発しているのか、地面を蹴っ飛ばした衝撃で周囲に蜘蛛の巣のような罅割れが出来ている。
そういう所、情が深いんだよな、と感じつつ、敵に背中を向けているのは今の戦況では非常に危ういどうにか応戦に意識を戻して貰わないと……と思っていると、視界の端にあの二人組の動向を捉える。迅龍が黒野を抱え、飛び上がるようにこの路地裏を飛翔して撤退した。成程、引き際は理解しているらしい。
「っ、どうしよう、どうしよう、どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようッ!?」>>242
私の負傷に動揺し、半ば錯乱状態の伊織。相棒を落ち着ける為に、残っている方の腕を上げて、彼女の頭に手を当て、撫でる。
「あなっ、たの魔、術で治療は出来る、かと……」
彼女の魔術は穢液呪法(ユーモリズム)と呼称されている。生命や呪詛の媒介を象徴する体液の魔術。本来なら呪術に類する術式だが、彼女は才女。伊織は他人の治療を行う事が出来るのだ。流石に体力を回復させる事は出来ないが、戦場においては非常に有効な能力である。
「あっ、そうか。そうだった。ゴメンごめんね、気付かなくて……」
いつものチャランポランタンな伊織とは違って、顔をクシャクシャにして泣き始めていた。その涙を止められたのは、我ながら高評価出来る仕事だと思う。
伊織は医療用の注射器を取り出し、まずは自分の血液をある程度抜く。そしてあの後、自分にも注射。結果、私の体内に侵入した伊織の一部が毒物を食らい尽くし、消滅させる。
「ゴホッ、ゲホッ……。ありがとうござゐます、伊織。大分、楽になりました」
未だ身体に倦怠感や虚脱感は残留しているが、先ほどまでの状態と比べると大分楽になったのは事実である。
「あのコンビを追って下さゐ。今の中華の惨状を作りだしたのは彼ら。ゐゑ、彼らの雇ゐ主でしょう。アヰツ、と黒野青年が呼んでゐた人物を探すべきです。ゐゐですか?」
うん、うん、と頷く相棒。とりあえずいつもの彼女に戻ったかもしれないな、とひとまず安堵するが、ここいらで心身に限界が来るようだ。せめて伊織に元気な自分を見せねば、とガスマスクを外し、ぎこちないかもしれないが笑顔を見せる。そして、椿の意識は闇に落ちた。
伊織はそれを確認した後、本部に連絡。まずは椿の保護をお願いし、中華圏薬物騒動の黒幕の尻尾を掴んだ事も通達。そして一息つくと、その面立ちを一変させる。いつもお調子者でチャランポランタンな彼女のイメージとはかけ離れた無表情。
「椿を……。絶対に許さない……ッ!!!」
そして彼女は、怒りの奔流に顔を歪めた。>>243
”サロン”の最下層。そこ、廃棄場では、ひとつの怪談が噂されていた。曰く『ゴミ捨て場には怪物が潜んでいる』、と。
時々唸り声のようなモノが聞こえたり、はいずり回るような音が響いているというのだから、施設上層部は管理がどうなっているんだ、とぼやいていた。
最も、ソレは過去の話。今では誰も噂をする者はいない。今日、ココに居るものは全ての息の根が止まったからである。
そんな薄気味の悪い、汚れた場所に1人の青年が降り立った。右手でナイフと拳銃を握り、左手には鉤爪のような籠手を装着した喪服の男。朽崎遥である。
「やっほージジェ!助けに来たよ!」
あっけらかんという死霊魔術使いに、気だるげな声が返された。
「ナンダ、師匠ジャネェーカ。今日ハナニシニ来タンダ?イツモト違ッテ、今日ハこみゅにけーしょんノ日ッテ訳デモ無カッタヨナ?」
返答をしたのは怪談で噂されていた張本人。最新の幻想種であるデミ・ドラゴン、ジジェである。
彼(あるいは彼女)は、今日も変わらず物憂げだ。どうでもよさげに、死の匂いを纏う青年に返事をする。
「いやぁ、実はさ。もう俺ココに来ること無いんだよねぇ~、アハハ。もしかしたらジジェも聞こえたかもだけど、この”サロン”ってもう店じまいなんだよね」
ジジェにとってはいつもの師匠である。突然やってきて、妙な出来事を持ち込み、そして自分を混乱させてくる。そんな人間なのだ、彼は。
「アッソ、ジャアじじぇハドウスリャ良インダ?めしトカ。後、ナンダカンダししょートノこみゅにけーしょんハ楽シンデタンダゼ、じじぇハサ」
どうでもよさそうに、しかしどこか名残惜しいような口調で、ジジェは言う。実際問題、自分はどこに行けばいいのだろうか?人でも無い、獣でも無い。竜にしては半端だし、生物としても……などとうだうだ考え込んでいるジジェを見ていた遥は、懐から髑髏のような礼装を取り出す。>>244
「んー、コレとか使ってみる?一応人間っぽく偽装できたり、気配遮断とかの隠密の補助が出来る礼装なんだけど。え?とりあえず貰っておくけど、自分で変化するから多分使わない?あ、そう……」
自分が面倒を見ているドラゴンにすげなく断られた事に少なくないショックを受けたのか、朽崎遥のトーンが落ちる。このまま放っておくとまたベラベラと五月蠅くなるだろうと考えたのか、ジジェはそのまま自分の考えを伝えた。
「ふむふむ。成程?世界を見て回りたい、と。確かに、ジジェって今までずっと此処でヒッキーしてた訳だしねぇ。将来的にどう動くにしても、見識を広めるのは確かに有効か。それならそれでもいいけど、やっぱりさっきの礼装は持ってなよ。偶には俺に顔見せて欲しいし」
ジジェの決断を知って、快く送り出したい感覚と気恥ずかしさを覚えた彼は照れくさそうに自分の感想を伝える、と同時に一つの疑問を抱く。
「そういえばさ、食事とかはどうするの?世界放浪なら住居は無くても大丈夫だろうけど、服とかも必要じゃない?そこら辺の想定は確認しておきたいなぁ」
ン?と己の師匠を見上げる雑竜の答えは、非常にシンプルかつ、少々の蛮性に溢れた物だ。
「奪ウ!漁ル!野宿!」
要するに何も考えていなかった。それを聞いた朽崎遥の内心は驚愕一色である。おぉ、えぇっと……などと要領を得ない呻き声を上げ、口角をヒクヒクと痙攣させながら思わず天を仰ぐ。(マズい……一般常識ちゃんと教えたよね?少なくとも全く伝えてないような事は無かったと思うんだけど……、いや。俺も大分ク,ソガキだから、残虐性というか、人間性が移っちゃったのかなぁ。元々コイツが理性というか、生物として安定したのって僕の血裂弾を食べちゃったのが発端だし)
困惑や煩悶によって膝から崩れ落ちるような錯覚に陥った彼。組んでいた胡坐、その太股を使って頬杖を突いていたのだが、自分では想像もしていなかった惨状に頭を抱えていた。>>245
「うーん、通貨……いや世界中なら両替とかで手間取りそうだ、貴金属も同じく換金でき無さそう…あとなんかあるかなぁ」
苦々しい表情で苦悩する。とりあえず大前提として、他人から奪うのは最終手段にしろと言い含めるが、ジジェに対する効果の程は期待できないというのが正直な所である。
「ナー、駄目カ?コノ世界ッテ結局ハ弱肉強食ダロ?ア、勿論ししょーノ言ウ通リ、奪ウノハ最終手段ニスルケドヨ」
師の心を知ってか知らずか、暢気そうに続けるジジェ。そんな彼の言動を受けて、死霊魔術使いも覚悟を決めたようだ。いやもう諦めたのかもしれない。どうにでもなーれ、というような表情をしているので、諦めの境地、とでも至った可能性もあるが、それは本人にしか判らない事である。兎も角、彼は立ち上がった。パンパンとズボンの汚れを落とし、ジジェに向き合う。
「まぁ、お前は強い存在だし、なんとかなるか。逃げ足も速そうだしね。前々から聞いてる加速能力とかをしっかり活用すれば、捕獲とか解剖実験されたりは無さそうだ。あ、封印指定って可能性もあるのかな?まぁいいや。達者でやりなよ~」
そう言いながらジジェに背を向け、上層に戻る準備を始める遥である。ああ、重ねていうけど、ちゃんとたまには顔見せてよ、と再度伝える。ヒトデナシにも多少は情がある、という事だろうか。
「アア、解ッタ。礼装ハチャント受ケ取ッタカラ、多分ししょーノ家トカハ分カルッテ!」
初めての外出にテンションが上がっているのか、ウキウキと楽しそうな様子で喋り出す。そうして己の竜の足に力を込め、周囲の魔力(マナ)を吸気する。そうして全身にエネルギーを循環させ、禍々しく鋭角な翼を目いっぱい広げた。
「ジャーナー!!ししょー!!」
別れの挨拶をするが早いか、彼はまだ見ぬ天空を目指して飛び立つ。それはまるでジェット機か何かのような威力であり、風圧の余波によって、ジジェがそれまで佇んでいた廃棄場の一角は完全に破壊されてしまった。
ジジェは飛ぶ。紫色の魔力を纏い、蒼穹を目指して。目の前の障害、それまで己を閉じ込めていた牢獄を破壊しながらどんどん加速していく。お構い無く。区別無く。>>247
「あーぁ、意外に滅茶苦茶なスペックしてるよなぁ、アイツ。元気でやれよー」
ジジェが荒らした廃棄場では、朽崎遥が尻餅を突いていた。魔力を伴った飛翔の余波。その衝撃によって、軽く吹き飛ばされてしまったようだ。
全身の凝りを解すように両腕と上半身を捻り、足をグリグリと地面に押し付ける。
「さて、あとはビオランテちゃんだっけ、を躱してから帰国かなぁ、誉へのお土産は買ってたっけ?」
ポリポリと首を掻き、羽織った上着の術式を起動。他人から認識されにくくなった朽崎遥は、軽い足取りで地上を目指す。帰国は急ぐが、今日は結構忙しく動いたので少々ゆったりとした歩調である。
地上に戻った彼がまず行ったことは、この無人島に生息していた動物を一匹狩る事だった。
首を落とし、縫合。そうして死体になったそのネズミをビオランテに(もうちょっかいはかけないから帰っていいよ、依頼解決金はちゃんと振り込むから安心して!)と、煽りとも帰投命令ともとれるメッセージを吹き込み、自分が島から完全に離脱した頃に彼女に届くよう設定。そうして、隠してあった船に乗り込み、日本を目指して家路についた。>>248
「痛ッテェェェエエエエッ!!!!??」
気持ちよく蒼穹を翔けていた竜、ジジェは突然の痛みに飛び上がった。いや、飛行中なので、その形容は全く正しくないのだが。とにかく痛みによって動揺し、彼(彼女)の姿勢がグラつく。アワワワワワワ、と慌てるジジェ。痛みがジンジンと継続し、グルグルと地球を飛んでいた竜の高度がどんどん下降していく。
「ウギャァァアアアア────ッ!!!」
墜落、である。空という坂道を滑り落ちるように速度が下がり、かと思えばちょっと加速し、不安定な速度のまま地上が少しずつ近づいてくる。空の色は不気味な程赤黒い。血のようであり、さっきまで自分が籠っていた廃棄場のような暗闇のようであり。つまり自分が落ちる所は夕方?ぐらいの時間帯なのだな、と思案していたジジェは、目の前に鈍く光る建造物がある事に気が付いた。
アレはなんだろう?と疑問に思う暇はない。このままいけば、恐らくあの建物にぶつかってしまう。
危ない!!!とジジェは腕を振るい、自身が取り込んだ魔力を前面に放出する。減速し、それが無理でも己の脆弱な肉体を保護する為の鎧として活用する為だ。焦っていたこともあり、若干雑な展開になってしまったので不安との戦いを内心で繰り広げたが、実際はあまり必要なかったのだ。
というのも、ジジェが壁にぶつかる!と目を瞑った瞬間にはその壁らしきモノからの衝撃は与えられず、ジジェはガリガリと床を削りながら停止する、とそういう結果になったのである。>>249
ジジェが墜落した場所の名前はグランドホテル伏神。数年前に閉館した元高級宿であり、現在では心霊スポットとして、また取壊しの対象として周囲の住民を少なからず悩ませている厄介な夢の残滓である。
ジジェが飛び込んだのはホテルでもトップクラスのウリであった、全面ガラス張りのレストラン跡である。だが最近ではガラスが崩れ落ちたり、罅割れたりした結果、寂しい風が吹く廃墟なのだが。
兎も角ジジェは未だに残る痛みに苛立ち、その発生源を見やる。彼(彼女)は自身の身体の構成、その全てを知っている訳では無いが、体感としては人間で言う心臓、要するにジジェにとっての魔力炉にあたる場所っぽいのだ。そこには、のたくる蛇のような、グネグネとした文様らしきモノが刻まれていた。なんだろう、コレ?
ジジェは不信に思うが、気持ちよく飛んでいたのに、急な痛みでそれが中断された事に怒りを覚える。しかし同時に(よし、自分の世界観光はこの場所からにしよう)とも考えた。
だが外的要因で決める事になったのは不本意である。なので、そのストレスを発散する為に大きく息を吸い込んで、生まれて初めての大声を出す。それはまるで、狼の遠吠えのようで、聞くものの心を恐怖と憧憬で塗りつぶすような、高らかな叫びであった。
ソレが、『幽霊ホテルの人喰い狼』として伏神市の新たなる怪談になる事を、彼は知る由も無かった。>>251
兎も角ストレスを発散したジジェであるが、ココで予想外の出来事が起こった。目の前のテーブル、その上にかかっている薄汚れた布が光りはじめたのである。
ブワッ、と汚れが舞い広がり、ジジェは咳き込む。貧弱な竜には、ハウスダストは大敵なのだ。風がグルグルと竜巻のように収束しながら勢いを増し、周囲の塵を集めるように停滞する。
初めて見る現象に、ジジェは少しだけワクワクと胸を躍らせ、しかし体に悪いなぁ、と若干嫌そうな表情で事の推移を見守った。
風が少々凪いでいくと、机の上には誰かが立っていた。シルエットは膨れているが、それはどうも師匠である朽崎遥のように何かを羽織っているからそう見えるだけで、本体は細身のようだ、とジジェは感じ取った。
カカン!!と軽快な音と同時に、竜巻の勢いは断ち切られ、完全に霧散した。煙が晴れると、そこに立っていたのは、貧乏くさいがどこか品のある服装に身を包み、仮面を薄く被った角のある美青年であった。
その青年は、怪訝な顔で周囲を見渡すと、ジジェの姿を認める。そのまま、やはり困惑したような表情のまま、顎に手を当て、しげしげと竜を観察する。
「なんでぇなんでぇ、折角呼ばれたと思ったら、召喚主はよく解らねぇ竜神様かぃ!いやぁ、竜神様にしちゃあ妙に弱弱しいっつーか、薄汚れてるっつーかだが。んー。……カッカッカ!まぁ、儂が言えたこたぁねぇか!」
自分の台詞に自分で突っ込み、豪快に笑う青年。両頬を張り、いつの間にか持っていた扇子をパンッ!と開き、ジジェに向ける。
「カッカッカァ、挨拶が遅くなっちまったなぁ、あいやすまねぇ、竜神様よぉ」
ニヤリ、と悪戯っぽく笑う彼は、廃墟の中で高らかに問いかけた。
「────お前さんが、儂のマスターかぃ!?」
初めての宙(ソラ)、初めての飛翔、そして初めての魔術。>>254
あー、確かにそっちの方がキャラに合いますね。
wiki投稿の際には修正しておきます。そしてビオランテちゃんの出番は今回でほぼクランクアップです。
あとは伊織に聖杯戦争の情報を渡すぐらいですので
ジジェが召喚したのは完全に縁ですね。クッチーの根城に接触したので聖杯がエラー?みたいな感じになって「おっ遥?来とるやん!令呪渡したろ!」みたいな。
なお後に本人が戻ってくるのでまたまた困惑しながら令呪配布する模様長くなってしまったのですが切れ目がわからないので>>80の後編投下してもよろしいでしょうか?
黒くなったので行きます、以下連投失礼します
「ど~も~!お邪魔しまぁす…ってアレ?なんか人少ないですね?」
「日々滓か、珍しいな?」
オレがやって来たのはワイルドハント騎士団の本部。大体いつも此処に騎士団の男共が集まってむさ苦しい空気が満杯なのだけど、今日は普段の10分の1以下の人数しかいない。すなわち、4人。それもまた半分はいてもそうおかしくないのだが、もう半分は意外なメンツ。
こっちに気づいて話しかけてきたのはレリックさん。相変わらず怪訝そうにしていてもいなくても眉間に絶えず皺が寄っていて、話しかけられるだけでも職質クラスの威圧感だ。そしてそれに後の3人───ヴィクトルさん、マロウさん、セーラちゃんもオレの方を見る。ホント、不思議な取り合わせだ。
「うーん、騎士団は数の暴力って感じなんで少しは何か得られるかなって思って来たんですけどぉ、こう伽藍の堂だと当てが外れちゃいましたかね?騎士団にも夏期休業ってあるんです?それとも花金ってヤツ?」
「あいにくと騎士団は年中無休でな。今は鍛錬場で組み手をやらせておるんじゃよ。お主もどうかな?」
「結構でーす」
「ほっほ、つれないのお」
「つれないとかそういう話じゃないですよ…それで、マロウさんたちはどうしてこんな所に?」
「我々は少し体操をしていまして。日々の務めの一環です」
「暑いですけど、身体動かすといい汗かけるんだよね。カステラさんもどう?」
「いやぁマロウさんとの体操はちょっと…というかいい汗って、マロウさん手加減してますか?」
「?いいえ、いつだって全力です!」
「それについていけてるんだセーラちゃん…」
マロウさんとの運動は昔成り行きでやってみたけれど控えめに言って地獄の何かだった。汗なんて最早致死量級、ガロンレベルで流れたし、最後の方は意識も視界もぼんやりしてくる。そしてその横には満面の笑顔の彼がいる。これを「いい汗」と形容する程度で済ますとは、彼女もつくづく末恐ろしい。或いは教会関係者ってみんなこうなのか。>>258
ヴィクトルさんお誘いの騎士団の組み手なんてもっと行きたくない。どうせ組むなら美少女と…ゲフンゲフン。ともかく、二つの恐るべき完爾から逃れるべく、オレはレリックさんに向き合った。
「もうこの際だから聞いちゃいますけど。レリックさんたちって蛍知ってます?オレ今蛍関係のネタ集めてまして」
「ホタル?夜に海に出るアレか?」
「違いますー。全くこれだから海っぺはぁ」
「あ?」
「ほたるってほたるちゃんのこと?」
「そっちでもないんですね、いやなんとも言えないですけど…」
「?」「?」「?」「?」
あらずもがなの淀みであった。皆さん綺麗にオレの曖昧な言い方に引っかかったらしい。興味津々、或いは懐疑的な目線でオレが逃げるのを許さない。観念するしかないようで、また事の次第を語って聞かせた。
聞き終えてまず声を出したのは案の定レリックさんだった。
「………事案か?」
「違いますよ!オレのストライクゾーンは2歳以下、というか犯罪になっちゃうでしょ!」
「そンならやっぱり犯罪なんじゃねえのか?」
「そんなオレ予備軍ですか?」>>259
そんな風にして不名誉な水掛け論に展開しつつある二人の間にヴィクトルさんが割って入って、
「まぁまぁ、レリックもそう目くじらを立てるな。ルチアーノが許可をしていて彼女も受け入れているのじゃ、ワシらの出る幕でもあるまい」
「そうですそうです、野暮なこと言わないでくださ~い!」
「…そう言うなら仕方ねえが。トーキョーってのは人が多いんだろ?変なことに巻き込まれんじゃねぇぞ」
「そこら辺はこの都会派ボーイにお任せあれ、ですよ…」
「素敵だと思います、ホタルガリ!」
「おわっ」
ぐわっと手を握ってきたマロウさんの目の端には涙の滴がうっすら浮かんでいた。まさに熱血漢、でもそんなに今までの説明に感動する要素ありましたっけ?
見るとマロウさんの後方で、セーラちゃんも楽しげに目を輝かせていた。
「ほたるちゃんも喜ぶと思うな。友達とどこかに出かけるなんてきっと楽しいもん!」
「あ、ありがとうございます…?」
「しかし、そうなると私はお役に立てそうにないですね…申し訳ございません…」
「私もわからないや…」
「良いですよ、そこまで困ってるってほどネタ不足ってこともないですし」
教会の二人はいつも素直に感情を出してくる。嬉しいときは喜色満面、謝るときは心の底から申し訳なさげ。正直まっすぐが過ぎて何というか上手いことオレのペースに出来ない。煽り屋と巷間で評判のカステラ様だが、その本領もある程度ひねくれた人間でないと発揮しづらいところがある。>>260
そうして場には微妙な空気が流れる。今すぐにトンヅラしたい気分だが、言い出したのが自分なせいでそういう勝手も中々出来ない。何とかして換気をせねばと焦りと共に思案しいしいでいるのはオレ以外もそうだろう。
そんな中、ヴィクトルさんが「そういえば」と一声を投じた。オレも含めた皆が一斉にそちらに注目する。助けを求める6つの瞳に、翁は何の気なしに言葉を継いだ。
「誰から聞いたかの…確か、蛍を呼ぶ歌がニホンにはあると言うが」
「あ、あぁ!そっすね、ありますよ、えぇ!」
これ幸いと食いついて、どんな歌なのかと期待を向けてくる彼らに歌ってみせる。といっても歌そのものがそうきっちりと形を成したものではない短い一節の民謡なので、みんなの沈黙も長くは続かなかったが。
「なるほど、呪文か何かだと思ったが簡単なモンだな」
「でも、かわいくてわかりやすい歌だね。歌いやすそう」
「そんな歌じゃったか。ほたるちゃんにも教えてやると良いの」
概ね、この簡素な歌への評価は上々だった。素朴な感じが良いとなったのかもしれない。
ひとしきり感想が述べられた後で、マロウさんがふと妙案をひらめいたとばかりに身を乗り出してきた。>>261
「であれば、一つここで練習をするのはいかがでしょう?」
「練習?この歌の?」
「はい。共に歌うのならお互いに声を張って、遠方のホタルたちにも届くようにすべきかと!」
「いやこの歌ってそういうのじゃなく…」
「良いねそれ!みんなで一度歌ってみようよ!」
「え」
「ほほぅ、ならばワシもちと気張ってみるかの。たまには声を出す訓練もせねば」
「えぇ…」
蛍という生命の実態を知らない彼らはこの歌からどんなものを想像したのか。すっかり3人とも乗り気になって、練習に向けて歌を口ずさんだりしている。
助け船を願ってレリックさんに目を遣ると、彼は肩を竦めたあと小さく首を振った。口には出さずとも彼の言いたいことがわかる気がする。「どうせ暇なんだろ、諦めて付き合え」。
斯くして、それから数時間ほどオレと4人は一節に声を張り上げ一音に死力を尽くし腹の奥という奥から息を出し尽くすことになった。
全てが終わったとき、オレたちの間には疲労感よりもむしろいち民謡に対するものではない熱意をもって完成した混声三部の合唱への喜びや満足感、達成感、果ては尊敬の念すら生まれていた。
「や、やり、ましたね、私たち…っ!」
「ふ、ふ…年甲斐にもなく、はしゃいでしまった、わい…」
「ひと、まずはっ、これぐらいで十分、だろ…」
「はいっ…昔、みんなで聖歌を歌ったとき、みたいで、楽し…かった!」
「皆さん…皆さんありがとうございます、オレのために…!」>>262
その時の絆は確かなものだった。それぞれに力を合わせて苦難を乗り越えたという、その充足感が5人を包んでいた。彼らに熱く、まるで永訣を惜しむかのように熱く見送られたオレの喉は、それよりもずっと熱く激しく、ひりつくほどに滾っていた。
───具体的に言うと、そこから3日間ラジオ放送ができないくらいには。
◇◇
「あ、あの、カステラ君」
聞きなじみのない声に呼び止められたので誰何せんと顔を見てみると裂夜さんだった。なるほど道理で聞きなじみがないわけだ、彼と話すときは大体オレが終始捲し立てているだけだったのだし。
そんな意外な人が向こうから話しかけてきたので面食らっていると気まずそうに裂夜さんは視線を虚無の空間に泳がせながら、
「職質とかそういうわけじゃなくて、だから、そんなに身構えないで欲しいな…」と言ってきた。確かに騎士団員に何の前触れもなく話しかけられると職質や何らかの事件の事情聴取を疑いたくもなるが。
「違いますよ~、ただあんまり聞いたことない声だなって思ったら、ああ貴方か~、そりゃ聞いたことないわなってだけでして」
「う…もう少しちゃんと覚えてもらえるように努力するよ…」
「頑張ってくださいね~?…で、何か用です?職質じゃないってなると」
「あぁ、うん。取りあえずついてきてくれないかな」
「ぎょっ、やっぱり職質ですか!?話は署でってヤツ?一旦油断させておいてなんて裂夜さんも腕上げましたねぇ、いよっ梟雄!」
「そ、それは違う、誤解だよ…」>>263
大袈裟に振る舞って煽ると途端に語気が弱くなっていく。滞りがちに喋っておろおろする様子はどちらかというと彼の方が職質案件の挙動だ。こうなることは経験的にわかっていそうなのに声をかけてきたものだからどういう風の吹き回しだろうと思ったけれどこの分だとそこまで大したことでもなさそうに感じる。
あんまり揶揄いすぎても可哀想なのでそこそこに切り上げて言われたとおりついて行くと、裂夜さんの部屋に通された。物の少ない、よく言えばシンプルで捻くれた言い方をすれば無味無臭って感じ。所々に和風な家具が置いてあって、そこが辛うじての個性の表出って具合。
「話、聞いたよ。蛍狩りに行くんだってね」
「え、なんで知ってるんですか?もしや盗聴」
「さすがにしてないよ…」
「さすがにってのはやはり…」
「ほ、本当にしてないから…」
受太刀になりながらも彼は隅に備えられた和箪笥の上段を開けて、「良かったら、これ…」とオレの前に引っ張り出してきた。白地に薄く濃藍色の矢絣が入った浴衣。ぱっと見ただけでもそこそこ上質な仕立てがされていることがわかる。藍染めとかそういうのかもしれない。
「はえー、中々良い物持ってますねぇ」
「い、いや、昔からあったってだけだから…」
「またまた~。襟元のお仕立てなんて、ホラ手が込んでらっしゃる~」
「あ、ありがとう…?カステラ君、案外着物とか詳しいんだね…」
「それほどでも~ありますね~」
「………そ、そう…」
あらら。裂夜さん、何とも言えない表情で閉口してしまわれた。ここでツッコミできないから情けのう見えるんですよと普段なら茶化すところだが、そこは話を進めるべく堪えておく。>>264
「というか、さっき良かったら…って言ってましたけど、どういうことですか?」
「うん、えっと…レリックさんから近々蛍狩りを予定してるって事を聞いて、それで蛍来いってヤツを数時間練習するくらい気合い入れてるから、お前も何か手伝えるようなら手貸してやれ…って言われて」
なるほど、事の発端はレリックさんらしい。まるで自分はその練習大合唱に参加せず遠巻きに見ていたような言い方だが彼声は枯れなかったのだろうか。想像すると何事もなく翌日から大声上げてマレオあたりを追い回してそうな気がしてくる。あの人の生態もそれなりに謎が深い。
まさかあの人にしては珍しく為されるがままだったのはこんな風に手助けを誰かに頼む口実作りのためだったのだろうか。有難いが、だとすると昭和のオヤジ以上に不器用だ。
「蛍狩りに行くなら、浴衣の方が雰囲気あって良いかなって思って…よ、余計なお世話かもしれないけど」
「いえいえ~その点はむしろ発想の埒外だったっていうか、そういえば昔行ったときも周りの人みんな浴衣だったなぁって思い出しましたよ。有難くお借りしま~す!」
「それなら、良かった。ちょっと地味だから合わなかったら…ごめん」
「無問題ですよぉ、オレってば古今東西着こなせちゃうオールラウンダー美男子ですから~」
お礼を言ってオレが部屋を後にするのを見送る中でも裂夜さんはまた微妙な、否定とも肯定ともどちらにも属さない曖昧な顔をしていた。肯定的沈黙って風に受け取らせてもらいましょう。いやはや、騎士団の人たちは絶望的なまでの不器用揃いみたいですね~。
◇◇
そんな風にして日々はさくさくと過ぎていった。万事は恙無く整っていき、甲板から見える海は段々とオレの知る色に移っていった。東京はもう目と鼻の先らしい。
そして、約束の当日。東京湾の某港に船は入り、それに伴って生徒たちが三々五々に降りていく。ただでさえ人が多いのに東京や他所へ繰り出す連中の波に紛れ込んでしまったらいけないと思い、時間的に余裕のある頃に待ち合わせ時刻をずらしておいたのは正解だった。>>265
浴衣に袖を通すと、やはり仕立てが上等だ、着物特有の野暮ったさってものを感じない。それにオレの容貌もやはり上等、モダンで小慣れた雰囲気に纏っている。ほたるさんを待ちながら、窓に映る自分を折節眺めては打頷いた。
「お待たせしました…!」
「あぁこんにち…ほお、なかなか気合い入ってますねぇ」
急足でやって来た彼女の姿を見て、そんな感想が口にも脳にも現れた。夜色で、蛍の飛び交う光を表現した模様が入った浴衣。帯と朝顔の髪飾りは明るい紅色に統一されている。お顔もいつもよりほんのり化粧じているように思えた。
「い、いえ、お母さんが折角だからって張り切っちゃって…」
早足で来た分の息を整えて、照れくさそうに胸元に手を当てて言う。お母様に浴衣を着せられてメイクとかされてるほたるさん、容易に想像がつくなあ。
次いで彼女は入口から臨む大都会のビル群が日差しに蒸されて独特の熱気を放っているのを目にして、
「これがトカイ…」
そう感嘆の声を漏らした。こんなだとあのスクランブルなんて見た暁にはどうなってしまうのやらという好奇心も湧いてくる。尤も、かの交差点とは反対方向に行くので揉まれる機会はないのだが。
「それじゃあ、ぼちぼち出発しましょうか〜」
「は、はいっ。よろしくお願いします!」
「そんな緊張せず、お平に〜。途中で気になるとこあったら言ってくださいね、ゆとりはありますから」>>266
小さな土地に人口一千万を抱く大都会東京の日は長い。詩人の言に寄せてみれば、“かくやくの夏の日は、今 子午線の上にかかれり。”といったところか。ようやく一日の折り返しといった砌であった。
ほたるさんは東京の都大路を行く中で、それこそガラス張りの立方体の頭頂を見上げようとして太陽光を目に入れてしまったり電車という乗り物に始終ドギマギしたりして一々東京というものに───もっと言えば陸地の世界というものに興奮しきりだったが、結局どこへ寄ろうとも言い出さなかった。決めきれなかったのか、はたまたそれどころではないのか。なんとなく、後者な気がする。
それでも軽くお茶をしたりして、のんびり無理せず気兼ねなく向かったので最寄り駅を降りる頃には日は暮れかけて今まで大小問わず道という道にのさばっていた黄金色の陽気は紺青色の影に追い立てられて逃げていった。
アスファルトの道を下駄を鳴らしながら、緊張しがちにオレの後ろを歩く彼女が小さく「船で見る夕焼けも陸で見る夕焼けも、どことなく似てますね」と呟いたのが耳について、早くも彼女は疲労と共に郷愁に似た思いを覚えつつあるのだなと考えられた。一体に夏の郷愁は老若男女問わずの随感であるらしい。
「海が懐かしくなっちゃいました?」
「そうじゃない…いえ、そうかもしれないです。ごめんなさい、折角案内してもらってるのに…」
「お気になさらず~。オレも好きにやってるだけなんで」
「…カステラさんは、東京に帰ってきて懐かしいなってならないんですか?」
「んー?…んー、ならないですねぇ」
「…何でですか?」
「さぁ。皆目見当もつきませんよ~」>>267
元より中心部から外れた町は、宵を迎えると途端に人気がなくなって、二人が川に沿って歩くうちにもすれ違う人はほんの数人だけだった。さらにオレたちは住宅地から離れて森の方へ向かうわけだから、さっき三叉路を別方向に行った初老の男を最後にもう現地の人には会わないだろうというのが土地勘がなくとも感ぜられた。
林に入ると、夕日は木に遮られて届かなくなって急に周囲が薄暗くなる。当然それを予期していたオレは、袂の中からポケットサイズの懐中電灯を取り出して点けてみせる。丸く広がった貝釦色の光の一部が、視界の隅で流れる川の水面でチラチラ反射した。
「準備万端なんですね」
「ふふん、ヘレナさんに頼んで作ってもらった特注品ですよ。自然にも優しいんだとか~」
正確には、最初夕ウタさんに頼んでいて「此方もそこまで暇ではないのだよ」と傲慢にも突っぱねられていたところを事情を聞いたヘレナさんが「青春を楽しめよ若人ども!」と投げつけてくれたのだけれど。
オレがここで蛍を見たのは昔のことで、昔のことだから朧気なのだけれど、実地に赴いてみると存外に足ははっきりと行き先に向かって伸びていった。あとは疲労感と慣れない土地への緊張感とで神経をすり減らしていそうなほたるさんを小粋なトークでもって程よく和らげさせてあげれば良い。難しい話じゃなかった。
そうこうしている内に、オレの記憶の場所に辿り着いた。辿り着くことは出来た。川の中間、主流から外れたところにため池のようになっている沢があるはずだった。
なかったのだ。なくなっていた。あるのは盛り土と不十分な栄養に凋んでそれっきりの草の山。不自然なほど淀んで汚れた川の水に、蛍などは棲むはずもなく。
焦らない方が無茶な話だ。軽妙洒脱の写し絵と呼べるオレの話術も、あまりのことについ途切れてしまう。そうとは気づかれないように繋いだから良いものの、目的地を通過して当てもなくそぞろ歩くことになってしまった。首の付け根から背中にかけてどっと厭な汗が伝う。裂夜さんすみません、生地ちょっと傷んじゃうかもです。>>268
その場しのぎの雑話が続く。続けながら、心中では何故どうしてと疑問囂々。段々考えていくうちに、オレは一つの可能性に気づいた。
「(オレが見た“昔”って何時だ?)」
これは最早答えと言えた。確信に近かった。即ち、未だ雑司ヶ谷の森に夜狐の鳴くとされた頃。武蔵野の麦畑に、二人の中尉を乗せた飛行機が突っ込んだ頃。十二階の見物人の物騒がしい頃───魔都にて見た蛍の昔は、現実におけるオレの昔と言うに百余年の隔たりこそあれど夢裡にこうして重なりあったのではあるまいか。
オレはいよいよ憔然とした。原因がわかったところで、どうにも仕様がないことが明らかになっただけなのだ。まさかにほたるさんにこのことを伝えるわけにはいかない。しかし、蛍が現れるなんてこともない。何とも抜き差しならない事態となってしまった。
そういう具合で思考は昏々としきりであったから、ほたるさんがオレの袖を引っ張って止めようとしていることにはかなり強く引かれるまで気づけなかった。はっとして彼女の顔を窺うと、淡い水色の丸い大きな瞳を一層大きく見開いて真っ直ぐ先を注視している。不思議と、薄闇の中でその目はぼんやり輝いているようにも見えた。
「どうしたんです?」
「あ、あそこ、人が…!」
「人?」
視線の先を促されて見遣るが、宵も過ぎた林と森の狭間のような一本道には闇しかない。電光で照らしても少し見通しが良くなるだけで、何かいるような気配は感じない…と切り上げようとしたところで、見えた。彼女の言うとおり、そこには人がいた。
目を凝らすと次第に詳細な姿がわかってきたが、それがまたその存在同様異質なものだった。和服を纏っている、というのはオレたちも浴衣を着ているのだが、その男は長襦袢を着用していて、尚且つ羽織まで着ているとなるとそれは浴衣ではなく着物である。この炎暑に誰もが唸るような季節にそんな服に袖を通せるのはよっぽど根性のある人間だけだ。
肌は白い。白すぎる。痩せぎすと言うよりむしろ痩せすぎで、よく見ていくと着物にはほつれや継ぎ接ぎも散見され、あらゆる面で背筋をぞわぞわとさせてくる幽霊のような男。どうして自分より後ろにいたほたるさんの方が先に気づいたのだろうという疑問は残るが、正面の暗闇にこんなのが佇んでいるとなると怖くもなるわと納得した。>>269
納得できたのは良いとして、どうすべきか。踵を返すべきか?だがそうなるとほたるさんは疲れるばかりで何の思い出にもならない。オレは自分が魔術使いで、その気になればそこら辺の暴漢如き敵ではない、もし駄目そうならほたるさんを抱えてでも逃げれば良いと己に言い聞かせて、強いて敢えて男に声をかけようと決意した。
「あ、あのぉ、すみませ~ん」
「…!か、カステラさん…!?」
「しっ。心配しないで、オレに任せてください…すみません~」
怯えるほたるさんを宥めつつ二度ほど声を上げると、それでようやく相手はこちらに気づいたのか、風の流れを見ているかのように虚ろだった男の丹色の目がオレを捉えた。
しかし、その丹色の双眸にしろ、その濃紺の伸ばしっぱなしの髪にしろ、いつか何処かで見たことがあるような───?
「…何か、ご用でしょうか?」
「あぁ、えっとぉ…ここらで蛍、見ませんでした~?」
さてどう来ると心は厳戒態勢でいたのもあって、男の丁寧な言葉使いと至ってまともな返答に肩透かしを食らう。おかげで素っ頓狂な問いかけをしてしまい、ヘラヘラ笑いながら何かこれだとオレの方が変人みたいじゃんと後悔する。
けれど男はそんなオレを訝る様子もなく、小首を傾げて少しの間考えているような、それともただぼんやりしているだけのような曖昧な風で静止したあと、
「…蛍は、集まるそうです」
「へ?」>>270
「蛍は、柳に集まる、らしいです」
「あ、はあ…どうもありがとうございます」
「…どういたしまして」
「あの、それと…どこかで会ったこと、あります?」
「……?いえ、わかりません」
それだけ言うと二人の横をつっと通って去って行った。その途端、今まで話していたのが嘘のように男の足音も存在感も全く感じ取れなくなってしまった。
闇に溶け入るように、と形容したいところだが、この感覚は単純には名状しがたい。居なかったというのが正解のような、陽炎でも見たかのような。見るとほたるさんも同じような感じを覚えたようで、ポカンとした締まりのない顔になっている。
「な、何だったんでしょう…?」
「さあ…何でもないヤツだったみたいで良かったですけど、謎ですね、地元の人っぽくもないし……って、ほたるさん?」
「………………」
「もしもし、もし?ほたるさ~ん、ほたるお姉さ~ん?」
「い!?そ、そのことはもう、止めてくださいよ…!」
「すみません、すみません。でもどうしたんです、猫みたいにじっと見て」
「それが…あそこに見えるの、あれって蛍じゃありませんか?」
「うん?蛍?」
人の次は蛍?しかしそんなわけが…と思って見ると、今度は凝視する必要もなく、蛍の群れを成しているのが道の端に認められた。嘘だろと声に出したくなるが、事実川の流れが細まって半ば断絶されたようになって空堀に闇の流れるばかりのその傍に蛍光が濃淡様々に踊っているのだ。>>271
お誂え向きとでも言うべきか、そこにはしだれ柳が一本生えていた。風に吹かれる柳の葉の一つ一つに火が芽吹いたように蛍が飛び交っている。版画家にでも描かれそうな、そんな前時代的で、しかし見事と賞するほかない幻想の一幕。魔都に見たあの“昔”だった。
「そ、そう、ですね。あれは確かに…蛍ですね、えぇ」
「…!やった!」
「あ、ちょっとほたるさん!」
オレの制止も聞かずにほたるさんは嬉々として駆け出して行った。カランコロンと音がして、少女が蛍火の只中に飛び込む。それから少し戯れるようにしていたが、やがて不思議そうに目をぱちくりとさせて、
「光を捕まえたと思っても、手から抜け出しちゃいます…」と言ってきた。
それを聞いて、不意に脳の裡の、何かこれまで噛み合わずにいた歯車同士がカチリと音を立てて填まり合ったような目が冴えるような心地になった。
「理解った」というやつなのだろう。イヅモ先生やトワ君やポチ先生が夏の最中に拾い上げた郷愁というのは。あらゆる人物も、あらゆる事業も、あらゆる悲劇も、すべて移ろい行く時の中へと一つ一つ永久に消えて行って。新しい時代と新しい人物とが同じ地上を歩いて。その五十年後、百年後の今が此処なのだ、と。それらの悉くが重なり合って、けれども念々の間に失せていく。懐かしさとは、軌跡の窪みなのだ。
ほたるさんが呼ぶのでオレも柳の下へ行って、一匹眼前の光を手にすっぽり収めてやる。すると捕まえたはずのそれはいつの間にか、完全に密閉した両の手の一体どこに隙間を見つけたのだろう、すうっと実態もなく脱出してしまった。隣で彼女がほらねと言いたげに笑っている。
これについては、郷愁を解した今でも判然としない。幽霊蛍、という言葉が頭に浮かんで、それがしっくり来てしまった。百万のつかれし人が墓の中で眠っていたのを、この時ばかりはふと蛍にでもなって遊んでみようかと微睡んでみせたようだ。
そうなると、とオレはもう少し考えてみる。或いはこのしだれ柳も、幽霊しだれ柳かもわからない。百万もいるうちの一人くらいは、ならば己は柳にでもなろうかと微睡んだ。柳は死者の樹だというのだから。それに集まる蛍は亡霊なのかもしれなくて、そしてかく言う柳自身も亡霊なのだと。惑星探索にのめりこんでたらスレの進み具合がえらい事になってたでござる
とりあえず順次感想返しをば
>>162
ノイヴェーラさん生還ヤッター!でも神父様がやられたヤダー!!
こうなったからにはノイヴェーラさんには是非ともリベンジしてほしい……限りなく無理ゲーっぽいけども
各々の参加者が描写されるところも、正しく聖杯戦争開幕前夜って感じがあっていいですねえ
>>175
やっぱ魔術師ってろくでもない生き物ばっかだわ(再確認)
パニック映画とかもそうですが、こういう地球と人類の力関係を改めて思い知らされるような展開好きです
安定して星から飛び出せるようになるまでは、人類もまだまだ幼年期なんだなって
>>195
フェリーペが初っ端から死にかけてる…
どうしようもなく詰んだと思ってた盤面がひっくり返されるのは、何度見てもいいものですな>>276
訂正:蛍→ほたるちゃん
ついうっかり漢字変換してました。申し訳ない…>>276
>IF黒野「おー怖……悪寒が止まんないったらない」
最終的な殺意はクッチーに向かうので安心!
>世界各地でB8D4AQBhU2さんキャラが暴れ放題
因みに一番暴れてるというか、規模がデカいのはジジェですね。
コイツ”最低でも”北半球を数秒でグルグル周回してますから。
黒野くんが窮地から脱したり、刹那が伏神に来る事になったのはジジェの所為です。【追記】ヴィクトルのガンド名称が<死刑執行(ロイヤルランゲージ)>→死刑執行<オーダー>に変更になったのは、改めて考えると長ったらしいな……となったからです。
黒野くんとビオランテさんの描写はおおむね問題なさそうで一安心でした。>>274
前回は我慢しましたが今回こそは言いたい。お互い浴衣に着替えてからの蛍狩りだなんてこれはもうデートですね?デートです
着付けだ化粧だの時にほたるはお父ちゃんといっしょにここまでしなくてもいいんじゃ的なこと言ってるけど、お母ちゃんに女の子の見栄ってもんがあるでしょうがって背中ばしーんされて送り出されてる間違いない
しかしやっぱり蛍はダメだった…からのやさしい亡霊さんでよかった。蛍見れてよかったねぇ
ビル見上げてまぶしさにやられたり蛍に駆け寄っちゃうところとかかわいいですわね。使いどころがほぼ無いよわよわ暗視の魔眼もひろってくれてうれしみ
にしても意識してみるとカステラくんの一人称描写はちょくちょく魔都風味がただよってくるなぁ…本当は蛍狩りSSはお盆(東京のお盆は7月13日頃と聞き及び)に投下したかったのですがね、無理でしたね…
画像はカステラがいつかどこかで会ったことがあるかもしれない男です、誰なのでしょうね
>>276
優しさで出来た空間とは良いものです…
>>278
青春!って感じとちょっとの不気味さと懐かしさをモルペコしたのでそう言っていただけると嬉しいです…
ほたるちゃんには笑っていてほしいので!花言葉に合った一夏を過ごせたみたいで私うれしみ
>帯の色はこちらの作業環境では赤依りのオレンジ、朱色あたりの色
おぉ…ご指摘ありがとうございます、wiki登録時に直しておきます
>>281
で、デートではな…な…!()
ほたるちゃんは周りの人に存分に可愛がられていてほしいなって…それでプンスカするまでがセット。ハッピーセット
色々なものが移ろっていってしまったことへの郷愁はきっと死者にだってある随感でしょうから…
本当は↑の男を「背が低いから」カステラより先に見つけられたって流れが最初あったのですけどプロフの開示で無自覚魔眼の方がシーンとも合ってて、これにしよう!ってなりましたね。情報提供感謝です…
今回もめちゃくちゃ先人の知恵と文体の威をお借りしてます…特に小泉八雲の『骨董』の「蛍」…宇治の蛍合戦も本作由来>>283
って事はクッチーはフェリーペくん普通に銃殺ってる訳ですか……。
君はそういうヤツだよね彼は。
てかラストクリプターで過去の弩級異物を引っ張り出して惑星粉砕って事は今回だとデイビット枠なのか。やったー!!falling moonの最新話ができました!貼りたい!!
行くぞオアアアアア!
こっちこっちオアアアアア!「今までこういう風に誰かと出かけた事、どれくらいある?」
「覚えている限りだと全くない。そういうのダメダメか奴だったからな」
「私も似たようなものね。あまり人と関わるのに意欲的とは言えない」
「誘われたりしないのか、どっかに行こうとか」
「私の性格を知っていて、それが出来る人がいるとすれば大した人だと思う」
「じゃあ、オレは?」
「大した人、ええ本当に大した人だと思う。……ここから先は言わせないでよ」
電車の窓から見える景色は過ぎ去っていくたびに新たなものへと移り変わる。それを見つめながら、理仁は蘇芳からの質問に答える。
向かう駅まではまだ少しある。だから会話のチャンスと言えばそうなのだが、どうにもぎこちない気もする。緊張しているし、何より蘇芳の横顔がとても綺麗で、それにばかり目がいきそうなのだ。
「大した人かな。お前の事を知りたい、そう思っているんだからこういう風に誘いもするって」
「そんな話も、したんだった」
「今のところわかってきた事は幾つかあるな。まずは、結構興味津々なところ?部屋を物色するのは勘弁願いたいがな」>>287
緊張のせいか、妙に口が回る。冗談めかしてそう言ってみると、蘇芳は顔を真っ赤にして俯いた。「あれはその」「魔が刺したというかそういうわけで」とぶつぶつ囁く姿に理仁は思わずくすり微笑んでしまう。
柳花には感謝しなくてはならない、もっと早くこういう事を蘇芳にしてやるべきだったのだ。心なしか気持ちが浮ついていくのを感じる。
「けどまあオレも悪かったよ。女の子を男の部屋に置いていくもんじゃなかったな、うん……」
「別に、良い。ああ、それで思い出したけどテストの手応えはどうなのかしら、下手を打ってはいないでしょうね」
「急に切り替わったな……やり返すにしてもそれはちょっとずるいんじゃないか?まあ色々教えてもらったし多分良い結果出てるよ」
「なら良いけど、もしもそうでなかったら……どうしましょうかねその時には」
「おいおい、まだ決まってもいない事を考えないでくれよな……」
会話が弾む。学校ではイマイチ距離感を掴めず、他愛もない会話しか出来なかったというのに、今はスムーズに話せている。
同時に少し前まではもっと陰鬱としていた蘇芳が冗談混じりに話しているというのも含めて理仁は安堵した。苦しげで、今にも砕けてしまいそうな不安定さは確かに薄れている。
選択が人として正しかったかどうかはわからないが、それでも蘇芳にとっては良いものであったのは間違いない。それだけは確かだ。>>288
「じゃあ今日一日を貴方と過ごしながら計画する。相手の事を知りたい、なんて思っているのはそちらだけではないのよ」
「知るって、具体的にどんな?」
「じゃあ最初に貴方の方から教えて、私の何が知りたいの」
くい、と蘇芳の顔が理仁へと真っ直ぐに向けられる。車内に響くガタガタと言うノイズが遠くへと消え去ってしまった。
まるで絵画の中から出てきた様な、小さくて整った顔。黒く長い髪、そして……桃色の唇。
全てが間久部理仁へと差し向けられている。その感覚に彼はごくりと唾を飲んで、視線を逸らしそうになる。
「……えと、そうだな。オレは」
なんと言ったものか、なんて少し悩んでから最初に思いついた事を口に出そうとする。好きなものは何なのか、程度のものを。
と、そこで電車が停まりドアが開く。目的の駅に到着したらしい。
降りようかと視線で促せば、蘇芳は有耶無耶にされた事を察して苦い顔をしながら頷いた。>>290
博物館に行くなどいつぶりだっただろうか。記憶を遡らせてみるが、覚えている限りでは──アルマソフィアの家から移って、それから一度だけだったはずである。
「じゃあ、本当に久しぶりなのね」
「あまり興味なかったからな、こういうの。特にキョーリューとか」
「男の人って、好きではないの恐竜」
「好きではない奴もいるの、キョーリューは」
肉食恐竜の巨躯を見上げながら、他愛もない会話をする。事実理仁はあまり恐竜に興味はない。興味を持てない状態にあった、という表現はせっかく遊びに来ているのにするべきではないと判断したからでもある。
思えば、男女で行く場所に博物館とは最適であったかという疑問は湧く。少なくとも華々しく、賑やかな場所を指定するのがセオリーではないかと思いもした。柳花に勧められてそれを飲んでおきながら今更であるが、理仁は恐る恐る傍らの少女をちらちらと確認してしまっていた。
すると思いのほか、蘇芳は真面目そうな顔をしながら恐竜の骨一本一本を見つめ、顎に手をやっている。
「そっちは好きなのか、こういうの」
「存在自体は興味深いと思っているわ。人類が霊長類となる前にこの地上を統べていた生命体、それが魔術的にどれほど高位のものであるのかとか」
「そういう方向性か〜〜〜〜……!」
「……冗談よ、考えはするけど本気ではないわ。だって今は、その類いは必要無いもの」
ほんの少しだけ片目を吊り上げる蘇芳は直球の言葉を突きつけてきて、言葉に詰まった。>>291
「それでいいそれでいい。そういうのはしばらくナシにしていこーぜ」
「ああでも、恐竜がサーヴァントになったらどうなるのか、というのだけは気になるかも」
「恐竜のサーヴァント?」
ぐわっと開かれた口、そこにズラリと並ぶ牙を見つめる。確かにサーヴァントの定義が人類史に刻まれたものだというのなら、万が一にもそういう事はあるのかもしれないが、断言できるほど恐竜に詳しいわけではない。恐竜一体一体をまとめるのか、それとも特定個体を示すのか。
腕を組んで考えてから、
「わかんねぇ。いたら面白いけど、絶対バーサーカーだろ」
「隠蔽自体は簡単そうよね、だって映画の撮影だって嘘つけるもの」
「映画、映画ね。確かに、言えてるなそりゃあ。ん?なんだ、そういうの見るのかよ」
「一度だけね。なんとなく、リバイバル上映されていた昔の」
それには見覚えがある。遺伝子操作された恐竜が現代に甦って、予定調和と言わんばかりに人間を襲うのだ。理仁もテレビの再放送で見た。
意外と言えば意外である。蘇芳がそういったものを観る様には見えなくて、どちらかといえばもっとサスペンスの類いを嗜むと考えていた。
「他にはどんな映画を?」
「他、他……あまり、映画を観る方ではないから。そんな事をする暇があったら、っていういつもの奴」
「少なくとも、居間で団欒をする家庭って感じでは無さそうだものな」
「この話、やめましょうか。次」>>292
ぴしゃりとそれだけ言うと、蘇芳は足早に恐竜の展示を横切り先へと進んでいく。どうにも地雷の一つに触れてしまったようだ。
いかんせん距離が掴めない。彼女が持つ悩みや苦しみというものは人生そのものに深く根を張り、どう生きてきたかという部分にまで深刻な影響を与えてしまっている。そうした部分にどうやって触れていけば良いのか、それを理仁は図りかねていた。
「おい、蘇芳」
恐竜エリアを抜けると、今度は次に地上を制している人間の歴史についてのフロアとなった。人間の祖先を模した人形がズラリと立ち並ぶ様は幼い子供であれば言葉に出来ない恐怖を覚え、親に泣きついてしまう威圧感を持っている。
蘇芳はフロアの中心で、気まずそうに理仁へ背中を向けていた。
「ごめんなさい、ちょっと」
「原始人の映画もあるんだぜ」
「は?」
とりあえず一旦流すべきである、というのがその場で理仁が最善と思い取った選択だ。
スタスタと蘇芳の隣まで歩いて行くとガラスケースに展示されている原始人の内一体を指差して、
「こんな感じのでさ、特殊メイクとかしたりして予算を無茶苦茶かけて、それでなんかこう……なんとも言えない奴になったんだっけかな?ネットの受け売りだけど」
嘘ではない。実際にそういうものがあるという話は以前耳にしたし、調べもした。だがレンタルDVDは存在するものの入手は出来ず、流行りの動画配信サービスにも存在せずと言った具合である。そのような映画があったとは知っているが、手を伸ばしても空を掻くというわけだ。
蘇芳は突然何を言い出すのかとしばらく理仁をじっと見つめる。>>293
「原始人の映画とか、あるのね」
「世の中探せば色々ある。そんで、それを教えてくれるのがDVDさんだ。便利だぜアレ」
東京に来るまでは夜中に街を出歩くか、借りてきたDVDを見るかの二択であった。非行少年の様な活動形態だが、まあまあ嫌いではなかったし、今こうしてちょっとした知識自慢が出来ているのならば少なくとも無駄ではなかったのは確かだ。
「次さ、映画の上映会でもやろうぜ。色々面白いのは見てると自負してる。隣でう、んちくは言わない方だから安心してくれよな」
「上映会……なら私の家にしましょうか、今夜やりましょう今夜」
「お前の家で、今日?ちょっと足早すぎないか」
「鉄は熱い内に打てという奴よ、次はいつにするかなんて考えていたら互いのスケジュールがうまく噛み合わなくてうやむやになったりするんだから。どのみち私の家に来る予定だったわけだし好都合だとは思わない?」
「う、うお、畳みかけてくるな」
「即時即決判断、とても大事よ。生徒会長の時はずっとこうしていたから」
それにしては、随分と言葉の端に熱が感じられる事を理仁は黙っておく事にした。>>294
「それじゃあ、映画のネタ巡りも兼ねていきましょう。原始人の映画はどれくらいあるのかしら」
「原始人じゃなくても良いだろ!」
「うーん、じゃあフランスは?」
「有名どころだとミュージカル映画がある。長いけど面白い」
「海賊もの」
「デッカいのがある」
「戦国モノ」
「コメディシリアス何でもござれだな。オレが一番好きなのは最後までコメディな割に最後はバッチリ決める参勤交代だ」
博物館を回りながら、映画の話をする。珍しく蘇芳は興味を持ち食いついてくるものだから、理仁も思わず回答し続けていた。
ああ、らしい。誰かの生死だとか、そういう世界に立つ蘇芳の姿ばかり見ていたのに今は一人の少女として範囲外の事柄に対して関心を寄せている。それはとても、らしいのだ。
知りたい事があったとすれば、これだ。
黒鳥蘇芳が魔術師ではなく、一人の少女としている瞬間。それこそが理仁が欲していたものに違いない。
多分、蘇芳も同じ事を考えているのだろう。間久部理仁が普段はどんなものを好んで、嗜んでいるのか。
一人の人間としての個性、そういったものをこの場で互いに知ろうとしているわけだ。>>295
「私ね、小学生の頃に遠足へ行った事があるの」
「遠足?」
「そう。皆で一列になって、アリみたいにぐんぐんと」
メキシコ・アステカと書かれたエリアを歩きながら、わずかに上機嫌な声色で蘇芳はそう切り出した。
いつの間にか、彼女は理仁の手を握っている。映画の話をして、それから一緒に進んでいく内に自然とそうしていたのだ。
いつの間にか、緊張はどこかへ失せている。最初はあんなに怖かった蘇芳との逢瀬が、今は相手を知る楽しい時間へと変じている。
「よく皆でここまで来られました、って先生がご褒美をくれたの。これくらいの缶にたくさんの飴が入っていて、皆に一人ずつ」
「オレの時には無かったな、そういうのは」
「飴玉はとても綺麗で、私はオレンジ味が欲しかった。でも……真っ白な飴玉が出てきたの」
話のオチは読めた。理仁だってその体験はあるからだ。
「どんな味なのか考えもせずに口に入れて……びっくりした。ハッカ味だなんて小学生の低学年になんてわからないし、刺激が強すぎる」
「泣いたのか?」
「ええ、思いっきり泣いた。それまでは知らない感覚だもの。意外だと思った?」
「ちょっとだけ」
「昔の私は、今よりずっと大人しくて弱い子だった。信じられないかもしれないけど。先生があやしても全然泣き止まなくて、別の飴をもらってようやく」>>296
映画の話をそれなりにしたところで、思い出話へと緩やかに移行していった。展示物ではなく、場所に関する記憶を蘇らせて互いに話し合う場所へと博物館は姿を変えているわけだ。ただ部屋で話すよりずっとスムーズに頭へ入ってくる。
蘇芳はすらすらと言葉を紡ぐ。彼女自身の思い出を難なく口にし、そして僅かに照れくさそうに笑う。
理仁はその姿に口の端を歪めながら、同じくらいの時に楽しい思い出など何一つ無かったとは口が裂けても言えなかった。
「それで、家に帰ってその話を……兄さんにした」
「どんな話をしたんだ?」
「こう言われた。『今の蘇芳にはわからないだろうけど、大人になったらきっと美味しいと感じるはずだ』って。
「優しい人だったんだな、そういう風に言ってくれるなんて」
「ええ、とても、優しい人だった」
そこで不意に夢から覚めた様に蘇芳は繋いでいた手を離していた。どうして握っていたのかと不思議そうな表情を浮かべて。
途端に顔を赤く染めあげ、「ごめんなさい」「私ちょっと浮かれていた」とまたぶつぶつ呟く。出来る事ならもっとこうしていたかったのに、などと言いかけて理仁は慌てて視線を展示品へと逸らす。
「ごめんなさい、さっきもそうだけど余計な事ばかり言って」
「余計な事って?」
「今みたいに、家についての話をしてしまっている。私は貴方にそんな話ずっと聞かせるつもりなんてないはずなのに」
「別に良い。むしろそういう話を聞けるのなんてオレくらいだ」
「……貴方は、嫌じゃないの?私の事が」>>297
蘇芳は声を震わせる。それまでにはなかった感情がこもっていて、理仁はニッコリと笑って、
「嫌じゃないさ。だってそんなお前のそばにいたいと思ったんだから」
「……っ」
「家族の事が忘れられないというのならそれでも良い。オレはどんな話でも聞く」
「そんなの、貴方に得がないじゃないの」
「あるさ、さっきみたいに蘇芳と色々話が出来る。実を言うとさ、今日になるまで緊張して仕方がなかったんだ。服は選べないわ、色々不安になっちまうわ。実はオレの私服変な文字ばっか入ったTシャツばっかなんだよ。でもな……案外柔らかくなっていくもんだ。最初もうドキドキだったんだぜ、電車の中とか」
実際のところ、未だに緊張している。自分の選ぶ言葉の意味はちゃんと蘇芳へ伝わっているのか、彼女に拒絶されないかと。
「まあその、なんだ。要するに……オレはお前といるのが悪くないと思うんだわ。色んな事をひっくるめて、蘇芳といたい」
「……」
少し臭かったか?手応えをまるで感じずむしろ引かれているのではないかと理仁はちらりと蘇芳を伺ってみると、俯いて床をじっと見つめている。肯定なのか否定なのか判断しかねる絶妙な姿勢だ。>>298
「私も」
ポツリと蘇芳は呟いた。
「私も、緊張してた」
「蘇芳も?」
「この服、白と黒どっちが良いかでずっと悩んで……ランサーにまで聞いてみて、それで黒にした。あと、他にも色々準備してみたり」
「そんなに悩んだのかよその服!次は白を着てみてくれな、そっちの方が可愛く見える」
「かわっ……!」
もうこの際である、互いに言いたい事は全て言ってしまうべきだと理仁は開き直って今朝からずっと考えていた蘇芳の服についてもぶちまけてしまった。
ハッとした顔で蘇芳は顔を赤くし、もじもじとしてから、
「……白い服、ね」
「ああそうだ、白い服。オレは白い服が似合うと思う。で、なんだっけ?そう!良いんだよ色々思い出しちまっても、色々溢れちまっても。だってさ」
グッと理仁は蘇芳へと身を寄せる。>>299
「オレはずっとお前のそばにいる。ほら、前とは違って一人じゃないだろ。な?」
「……!」
ほんの少し蘇芳は顔を赤らめて、それから憎々しげに、
「貴方、そういうところ気をつけてよね」
「え」
「普段そんな事全然言わないくせに、急に来るじゃないの。服といい今といい……私、ずっと気にしていたのよ貴方が何もしてこない事に」
「ああ、それはその……ごめんなさい。何をどうすれば良いのかわからなくて」
「もしかして私はつまらない人間なのかなとか、そう思われているんじゃないかと不安で仕方がなくて……」
「そ、そこまで?そこまで気にしてた?」
「当たり前でしょう、当たり前でしょうが。他人に十字架を背負わせてしまうと本当に罪悪感に駆られた。でも……でもしょうがないじゃない。『一緒に生きる』なんて言われたんだから!」
思っていた以上に確かな言葉が返ってきて、叩きつけられて、理仁まで顔が赤くなっていた。蘇芳に至っては茹蛸もかくやである。>>300
「私が言いたい事は終わり。お互い、考えていた事が同じとわかって安心したわ。次のフロアに行きましょうか」
「う、うお、おう」
「じゃあ、はい」
そう言って、蘇芳は手を差し伸べてくる。どういう事かとじっと見つめる理仁に対して彼女はさらに顔を赤くした。
「この先、通路が少し暗いわ。躓いたりしたら怖いから、手を繋いで行きましょう」
「う、うおおおう。わかった」
促されるままに手を繋ぐ。掌を通じて伝わってくる蘇芳の体温に対して、理仁の心臓はバクバクと鳴り止まない。今にも爆発しそうだ。
蘇芳の様子はどうかと伺ってみれば、全く同じ気持ちの様で耳まで赤くなっているのがわかった。
「……行きましょうか」
「あ、あのさ蘇芳。オレ質問があるんだけどさ、お前が他の奴に告白された時にもしもオレが似た様な立場だったらって聞いたじゃん。あの時はぼかされたけど本当は」
「ころすわ」
「え?」
「貴方が下手な答えをしようものならころすと言ったの。だってそうでしょう?」
「あ、はい、すみません……」浴衣着せてもらったし、カステラくんにお返しもしなきゃだし、改めてしっかりほたるを書かねばと思う今日この頃
がんばって復活するかぁ…>>308
なんか大分雰囲気変わったように見えますね
クッチーもこんなスタイルになったりするのか…>>311
多分あると思います。>有るんですかリスカ痕
ストレス発散(破壊衝動の実践)と実益(自分の血液≒魔術の素材採取)も兼ねて、みたいな。
まぁあくまでありそう、レベルなんでやる時はあるかも程度で常にイカ焼き手首でもないと考えてますが。
あとはポルカさんに噛み付かれて吸血されたりしてそ~、的な妄想ですね。
世界線次第ではまっさら手首です。
>ニッチ系謎雑貨ゆるふわ九相図シリーズ⑧頬杖ついてだらだら寝そべる骨相ちゃん
誉さんがぬいぐるみで作ってそうだなぁ>>314
出ない時はどうしても浮かんでこないですもんね、文章…>>314
ほんの一文一語が出るまでが長かったりするんですよねぇ…。
そういう時、『AIのべりすとで出力&思った通りに書き直す』を繰り返すとはかどる。>>170の続きです
「好きだよ。俺はお前が好きだ」
「そう?嬉しいな」
「あなたはどうなんだ」
「好きよ?でも、その気持ちには応えてあげられないかな。拒絶も受容もしてあげない」
あなたは俺にそう言った。キラキラと光る微笑みで、俺の心を奪っておきながら、俺の気持ちに応えを返すことすらしない。ごめんなさいも、これからよろしくもない。そんなの、おかしいじゃないか。だって俺は、こんなにもあなたが好きなんだ。あなたに恋をしたんだ。あなたを見てると、ドキドキが止まらないんだから。
「私は妖精。あなたは人間。私たち、共に歩く道はないのよ。互いの属する理が、完全にかけ離れてる」
「………でも、フィン・マックールとサーバは一緒だった」
「それは神代の話。まだ、あなたたちと私たちがとても近い距離だった話。今は違う。私と、あなたは、相容れない。これは心情とか立場だとか、そういうレベルの話じゃない。在り方の話」
私は妖精でいたいの。妖精として生まれた自分をこれで良いと思っているの。だからあなたには何もあげない。あげられない。私はそういう存在だから。こうやって、触れ合うことしかできない。笑って、あなたとこの森で話すことしかできない。そしてそれもいつかできなくなる。あなたが老いて死ぬのか、私が人の世に耐えられなくなるのか。そのどちらかだけど。「長く人の世界に浸かりすぎた妖精は、そのままそちら側の存在になるか弱って死ぬかのどちらか。でも、私はそのどちらも嫌だと思う」
「………わがままだな。自身は何をすることもなく、ただひたすらに俺にあなたを追いかけさせ続けるつもりか。魔性の女だ。悪い妖精だ」
「そうね。私は悪い妖精だわ。しかもとても欲張りなの。だから、ね。あなたにお願いがあるわ」
煌めく星空の下、綿毛のような綻んだ笑顔で、あなたは俺にこう言った。俺という人間の人生は、あなたの言葉で定まった。俺の生命としての意味はここで生まれたのだ。
「いつか、私を迎えに来て。人も星も関係ない、そんな世界で、いつか私を抱きしめて」
─────あなたのその輝きを。俺は将来、忘れることはない。たとえどれほど地獄に身を置いても、たとえどれほどの永劫に身を委ねても。
あなたのためなら、世界を壊したって、いい。「……私の目的を知っていたのは、唯一マヴと呼ばれた彼女だけだった。さっきまではね」
「………オレたちが果たさなければならない使命。それは、お前の目的を食い止めることだ、ウルフィルト」
「妖精化のキーは擬似妖精や妖精郷から現れた妖精に触れること。そして妖精は熱に浮かされてまともな攻撃方法を取らない、やってくることは愚直に触れてこようとするだけ……マヴさんが遺した情報です。それを知れば、対応は可能だ」
そう、対応は可能だ。そしてそのために必要なものと、自分たちがしなければならないことも全てわかっている。「獅音さん、ひとつお聞きしますね」
「どうした」
「わたしが死.んで丸く収める方法、わたしは死なないけど獅音さんが命懸けでわたしを守らなきゃいけない方法、どっちがいいですか?」
「後者だろ」
「ですよね。そう言うと思ってました」
リムとしては、自分が死ん.で丸く収まる方法の方が効率も良いし自死願望も満たせるのだけれど、どうやらそれを周りの人たちは許してくれないらしいから。だから、その方法は使えない。だから、もう片方の方法を使うしかない。大変だけど、獅音を命の危機に晒してしまうけど、不思議とそれが心地良くもあった。誰かを信じ委ねることを知ったからだろう。何かに酔わなくても満ち足りた気分は初めてだ。
「我が半身、この地に納め奉る。しからば神よ、いとも尊き八百万の神々よ。我が宣誓を聞き届けたまえ。我が友の姿を御照覧あれ。人の世を代行する巫女としてどうか、どうか奏上することを!」
「………リム、お前身体が」
「この土地とわたしを繋ぎました。本来はわたしの命を生贄にして土地や精霊種の意志に作用する呪いですが……それはダメだと怒られたので少し仕組みを弄りました。生贄を捧げるのではなく、言葉で訴える方向性です。時間はかかりますし、その間わたしは何もできませんが」
「なるほど。つまり」「任せました。わたしの全部、あなたに委ねます」
地球そのものの意志に干渉することは一人の人間では不可能な事例である。しかし、この土地を基点として世界が回帰しているならば、この土地を崩せば問題ない。本来は主導権の全てをウルフィルトが所有しているが、リムの呪術で介入するすることでその関係性を破綻させたのだろう。とても危険で、一歩間違えれば死ぬだろう。それどころかさらに怒らせる可能性はある。どちらにせよ死ぬのであれば、従来の通り生贄の呪いを使った方が安全だ。
………けれど、獅音はそのリスクを考慮しない。リムが生き残る可能性があるのならば、そちらを取って当然だからだ。それに、やることも単純明快で良い。要はコイツら全部、リムに触れる前にぶっ飛ばせば良いってことだから……
「上等だ。やってやろうじゃねぇか」
「…………本当に………もう………」「………諦めては、ないみたいだな」
「当たり前でしょ。ウルフィルトの目的が成功したら、私の夢も叶わなくなる」
「星に縛り付けられた人類に先を照らす余地なんざ無いからな。……戦う気力があるなら良い。お前が今からすることは一つだからな」
「カナリア……?っ!?」
多少棘のある言葉を呟きながら、カナリアは持っていた白銀のナイフで、青白い手首を掻っ切った。もちろん大量に血が滴り落ちるが、それこそが狙いであるとカナリアはその血を操作する。流体操作の一環で、魔法陣を創り上げていくのだ。本来ならば自分がやりたかったことだが、それに固執しては真に大事なものを見失う。大事なのは主人の愛と期待に応えるために任務を成功させること。ならば、この役目はルナが最適だ。
「口開けろ」
「は?……指がなんか近っむぐぅっ!?」
「黙って飲め。あ、飲みすぎるなよ。オレは構わないがお前は吸血鬼に堕ちるのは嫌だろう」
「な、なにを……?」「召喚術だ。オレの血に手順の記憶何も混ぜ込んであるからそれに基づいて呼び出せ。何も今回の事態は地球という壮大な意志の全てが賛成していることでは無いからな。あくまでその一端をウルフィルトが扇動した形だ」
なればこそ、地球の意思であるガイアの抑止力にも、そして人の意思であるアラヤの抑止力にも、この状況を破綻させようとする存在はいるはずだ。それを呼び出す、それこそが今回の事態を切り開く鍵なのだ。そのために必要な縁はここにある。彼らの旅路が、その要素を作り上げた。物語は終わったが、後日談は終わっていない。終わっていないのだから、登場したって良いはずだ。仲間外れなんてきっと何よりも嫌うだろう。
そして、ルナにそれを任せている間にカナリアはウルフィルトと戦う。計画を完遂するために必ず攻撃してくるだろう。それを、自分は食い止めなければならない。実力差は歴然で、死ぬ可能性はかなり高い。しかし、だからといって諦めて良い理由にはならない。自分の中にあるこの愛は、それを許さない。
「………行ってくる。頼んだぞ」
「………来てくれるかな」
「来るよ。お前はあの子の友達なんだから」
実は月姫やまほよ、らっきょじゃなくてあくまで主軸はFateなので!手癖で文体にバイブルが入る、これよくない
あとで見返すと「手癖で書いてるよこれ」となる
すごくよくない>>340
ウサギナース!?
ぜぇったい子供体温であっちぃのに……いいぞやっちまえー!>>343
お心遣い、ありがとうございまス>>347
おーお帰りなさいませ!
ご無事でなによりなにより>>350
まぁ雑に考えれば山星さんはいるんでランサー陣営が勝ったどー!ってエンドにして過程はロバートさんと山星さんで相談しながら、って感じですかね。”セイバーはこういう風な事出来そう!”、「キャスターは今迄の流れからするとこうやって脱落してる感じかなぁ」的な。
あとはそれこそ剣vs術をやってる間にランサー陣営が漁夫の利をかっさらった、って形にしてもいいですし『腐敗庭園』
グローリアンが有する錬金術を主とする教室。中世等に生まれた科学と神秘が混沌とした基礎的な西洋錬金術から、発展しさらに神秘的な側面を見出そうとした西洋錬金術、さらに言えば西洋以外の錬金術の一端も担う。未熟者から一流の学生まで幅広く受け入れる全体基礎科の教室。
やけにカッコつけた名前なのは教室設立当時のグローリアン当主の癖。別に変えても良いのだけれど特に変える理由もないということで変わっていない。
現当主であり時計塔の色位を冠する上級講師であるハル・グローリアンが主に講師を務めるが、あまりにもコミュニケーションに支障があるため、全講義オンラインのオンデマンドとなっている。成績の評価は主にレポートや中途課題の進捗確認。本当は期末の大幅な成績評価条件も期末レポートもとい論文にしたかったのだが、流石に沽券に関わると学会の発表形式にした。生徒はハルの姿を誰も知らず、ハルも生徒にひょっこり紛れて期末試験となる発表を覗いている。
あまりにもデジタル化が進みすぎているので、民主主義派閥と言えどもグローリアンの古株加減を見るとあまりにも魔術師としての誇りがないんじゃないか?もうそれは現代魔術科じゃないか?という意見がある。
それに関して当主代行、メリル・グローリアンの答えは“セミナーも作ってるのでご安心を”とのこと。そも時代に着いていけない古臭い頭の魔術師はお断りなのでそもそも受け入れないということもある。我々の教導や支援を受けるのだからそれ相応の努力や献身はしろ、というグローリアン特有の上から目線。
かなり優秀な成績を修めたり、とても興味深い論文やレポートを書いた生徒にはハルが秘密裏にひょこっと連絡と実際のコンタクトをとってくる。外見などの詳細を口外することは禁じられてしまうが、出会った生徒は皆口々に「かよわく、ちいさないのちだった」と述べている。
デジタル化された講義についていけるなら誰であろうと受け入れる、という主義であるのでさまざまな人員が入ってくるが、グローリアンに仇成すつもりであった不埒者にはアイン・グローリアンの槍が待ち受けている。>>361
なおデジタル化が進んだ原因は現当主の超コミュ障体質のせい
普通にグローリアンで呼ばれるんじゃないでしょうか
下手に腐敗呼びしたら祟ってきそうな次男がいるのでいまいち形にならないので誰かチャラ男どもがハイエースに乗り込んで敵の本拠地にクレしんのあの顔で突っ込んでいくお話書いてください
>>333
わー!?そうかコレもまた“Fate”か…こういう見せ方もあるのかと脱帽…
これまでに築いてきたそれぞれの絆が故のやり取り、良いですねぇ
>>340
ロックくんとか普通にハグりにいって「……暑いな!」ってなるのだろうな…子供同士体温が高かろうし…
>>351
リョーガ先輩避けてー!逃げてー!
なんの屈託もない笑顔で振るカステラ、仮に何かあっても「やー先輩なら避けれると思って〜」と図々しくぬかしそうでウザいですねぇ良いですねぇ
>>360
ハルさんも大概忙しいお人だなあ…生徒たちに紛れ込めるってことは見目は相当若い感じなのかしら
>>363
はーい、確認いたしましたが気になるような箇所はございませんでしたよ。私の初稿での皇帝とは違ってヴィクトルさんは皇帝は皇帝であって暴君ではないから腹の探り合いや交渉なんかもすると思いますし
>>365
なにそれとても面白そう…!まあ暫くリアルでも色々あったんすけど、自分はSSも下手やし作れてへんし絵の頻度もクオリティも他の神絵師さんの完全下位互換みたいなモンだし俺に存在価値あんのかな、もう辞めようかなって感じで最近ガチで病んでたんですよね…
そんな時に目に入ったんですよ…範馬勇次郎の「競うな 持ち味をイカせッッ」って言葉が…
という訳でほぼ完全復活です。
>>362
遅ればせながら感想言いたいっすー
いやー本当にいいSSでした、カステラ君の交友の広さと新たなSSの可能性、そして中納言ワールドって感じの少し奇妙も入った世界観で満足いく話でした
うちの裂夜君も登場してて嬉しい限りでした。話し方もいい感じでしたしカステラは陽キャで話しづらいけど苦手って訳じゃないって感じのも見えていい感じでしたね…
納言さんのSSの上手さにいつもながら脱帽しました
>>366
やるかやらないかで言えば絶対やるだろってのに賭けて描かせていただきました…この二人は男子の中でも気楽にトンチキ書きやすい方だと思うんすよね…
なお掛けられた後は帯電して被害を最小限に抑えた後にプロレス技掛けた模様コルテスの設定面の深堀りというかと性能に対する修正をしました。
ステータスをちょっと低下させて燃費は自分のスキルで回収しつつ引っ掻き回すという感じに。
ムーブ的には策略を弄しながら放火するド迷惑サーヴァントです。
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%B9
>>366
良かったです~、じゃあとりあえずは今の印象で書き進めれば大丈夫そうで一安心。チャラ男ーズで言えば昔お題ガチャ(https://odaibako.net/gacha/2780)をやった時に出てきた↓がとても解釈一致だし愉快だなって
道灌絶対に「まぁロドモンさんだしいいか」でる攻め開始しただろ…
>>367
レリック「何やってんだお前ェ!」
しかし夏の海って割とそこまで冷たくなかったりもするので二人とも救出されて医務室でゆっくりしましょうねー
>>368
そういえばルナちゃんと初エンカの時使用人とかと間違えられてましたっけ…
>「お前らみんな僕より大したことない錬金術師のくせに僕が正当な評価したらこっちが悪いみたいな顔してくるから嫌だ」
おぉ…ちいかわみたいな不憫かわいい系かと思ったらしっかりいい性格してらっしゃる…
>>369
復活良かった…範馬勇次郎はやっぱり偉大ですね
ふふ、そう言って頂けて嬉しいです…幽霊蛍、あくまでカステラの憶測だから本当の真相は不明なのですよね。魔都は人智の及ばぬものだから魔都なのです
裂夜さんのエミュも間違っていなかったようでひと安心。その後に蛍狩りの話お父様にして「お前もはよ行け!」ってせっつかれてそうですよね>>375
家庭料理はできる…って程度ですかね…日本にいた頃の記憶を頼りに炒飯作ってるのでその過程で一通り作ったことはあるとか
それでかぼちゃ切ったりポテトマッシュしたりは得意だろうけど待てしばしが苦手そうだから煮物はちょっと固くなっちゃたりするような「出来るけど慣れてない」という具合なイメージです
>>376
ヨモ→クラッフくんはスパイっていうのにまずギョッとして警戒するけど周りが全く気にする気配がない&当人は勉学に対して真面目でおとなしめだから「良い人そう…?」となって、自分の勘違いかもしれないなと思うと申し訳なくて、でも確かにスパイって話で…という感じで半歩踏み出し二歩下がるを繰り返してます。あまり人を疑いたくないのでひとまず人の好い先輩と思っておこう、という後回し方針
そして>>381までの一連の二人を見て「ちょ、ルナちゃん…!」って色々な方面(魔術師としてそんな他人に詮索入れちゃ…そもそも先輩に…スパイだとしたら不用心…というか、異性間!)から大慌てで止めに入るのですね>>383
そうなんですよね、スパイはバレないよう生きてるってイメージがあるせいで思考がついていかないと言いますか…悩みすぎ考えすぎなくせに権謀術数とかそういう騙し合いや決断なんかを遠ざけるせいで名無しの教室入りが妥当という
拝読させていただきましたー。アスタムさんの強かさというか、分析力や迫り方の的確さが彼の政治手腕を物語っていますね。クラッフくんは災難だけれど、気になって近づいた時点で藪蛇だったという感じもしますね、コレは…
ちなみにテレータ先生は危険視されてることを仮に知った場合は「おれが危険だなんてそんなわけないかないか、先生はあんたらを危険から助くる者だよ?」とか言ってくる真に自分の所業を悪と捉えてないヤツなので程よい警戒は残当です
>>384
何分煮込む〜とかでも待ってる間に「本当にこんなに待って良いの?」「煮崩れとかしちゃわない?」って心配してそわそわしてすぐ火を下ろしちゃいます。そして食べてみて反省する
ヨモはあれこれ考える割に決めること・行動することにはひたすら及び腰なんでそこら辺も直情径行なルナちゃんと対をなすんだなぁ…時計塔料理事情
クラッフ→要は理論と独創性に基づいたものでしょう?とガチガチに固めながら応用を効かせつつ料理を作れる。多分うちの時計塔勢でナンバーワン
ルピア→ズボラ飯が得意。ただお菓子作りは昔から兄のためにやってきたので上手い。多分理仁とかにあげてる
ローザ→幼い頃からネグレクトされていたのと常に殺されかけてたので自分で作っていた。なんかすごいオシャレな食事も作れる
シャフリヤーナ→一人暮らしで自炊をする人レベルには作れる。一番得意なのはカクテルなどのお酒関連でこちらは店開いてお金取れるレベルである
アイン→実は上手い。兄も姉もどうしようもなく下手くそなのに暗殺対策とかで作る必要があったので彼が誠心誠意込めて作り続けた。バレンタインはコッソリと恋人の某シスターと食べさせ合いっこをした
アドニス→かなり出来る。年齢を考えるとかなり凄いんじゃないだろうか。得意料理はふわとろオムライスでジェラールはいつも涙を流しながらオムライスを食べている
番外編
カナリア→普通。ちょっと拙いかもしれないけど男子高校生でここまで出来るならまぁ、といった感じ
ユリア→超得意。恋人の胃袋を掴む、という手法で落としてきた彼氏が何人もいるぐらい。かなり家庭的な女性なのだが、それを見せるところは彼氏だけなので誤解されがち
不湯花/冬縁香→うちの人間勢でトップクラス。若女将は伊達じゃなく、和洋中なんでもござれのパーフェクト女子高校生。人は彼女を鉄の女と呼ぶ。呼んだ人はボロ雑巾になった。>>390
道灌車体の上にいるんだ…!?こうなるとクレしんよりルパン3世みを感じてきますね。ルパンの場合カーアクションでもチェイスな方だけど…行けるか…?
>>391
ヨモの初期からのコンセプトが「病弱系バスター娘」だったから脳筋になるのも致し方ない…
多分親睦を深めたいという思惑もあるでしょうがテレータは色々な料理を必要以上に多く作っちゃいそうだなっていうイメージがあるのですよね。だから生徒にも振る舞う()
>>392
強い…話を聞く前は眠れる獅子のようと思っていましたが伏しているだけでバッチリ虎視眈々な獅子様じゃった…
ヨモに対しての印象でもありましたね。気遣いのお人だ…
名無しの教室はわかりやすい問題人物は排斥される、監視の目もあるということで潜在的な危険はあってもあからさまな人はいないですよね。むしろ現状ネームドは善玉多め久しぶりにルピアの兄について言及したな……あとアドニスが一応時計塔ってのも久々に書いたな……
>>373
え、えげつねえ…。でもグローリアンの一族ならそういう事もしますよねって
あと長子の反応が一番人間臭いというか、想像以上にひ弱だった…
本人も報復くらいはするかと思ってたものでWASPの料理事情もちょっと気になる。
ガロと星雪の2強なのは確定なんだけど、他の面々はどうなんだろう?>>399
やっぱり2強が生命線か…。
この点でもビオランテ(日本食は得意)の加入は結構重要かもしれない。
ミラグロスとバイディワのこそこそ話。
2人共、ビオランテが裏名義を使っているのを知ってる。>>403
ですね
魔術方面に問題があるキャラだとプロフェッサー・カリスマが全部解決しちゃうので人間性や生まれの部分で問題児なほうがいいかもです>>405
ウチだとコイツとか、です、かね?割とそれっぽさというか責任感と王者の矜持はある男です。
境遇はなんかDIO様っぽいですが
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7そういや名無しの教室も男女比が大体同じになってきましたね
講師陣が男性で生徒が一人除いて女性ですけど
>>401
かわいい!祭りでもするのかな?
>>405
ペレスにも参加してるアドニスですかね。魔術師としての研鑽自体は一族の悲願として諦めておらず、それでいて黄金の精神に近しいものを抱いて一族復権のために政治闘争してます
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/アドニス・メルクーリ本命は本来の学科での魔術の研鑽や所属派閥に貢献する政治闘争ですがそれはそれとして名無しの監視も行うために並行して非常勤講師……のような?
>>416
今のところ呪詛科で考えてるのでいけそうな気はするんですよね
ゴリゴリに政治推し進めてるメルアステアに対してある程度の危機感、と考えられなくもないですし
事件簿のイスローを見るとそういうの全部放り投げてそうな伝承科とかと比べると割と政治闘争してそうですしね呪詛科
あとここまで監視が寄せられてると考えると確かにNew男子生徒作るなら危険分子だったりするかもしれないという説得力が増しますね
>>415>>412
まあ女の子と話すこと自体には全然動揺しないんですよ。過度な身体接触にアワアワしてしまうだけで。なんなら恋愛や性的な話題なら男女問わずアワアワする
アスタム「一応性別は“無し”なんだがなぁ」
ローザ「アンタの喋り方のせいでしょ」
クラッフ「性別がどうこう関係なくあなたたちが怖いです」>>419
呪詛科が中立主義なのってそういう幅の広さ故にひとつの方向に進まないからなのかな…とか思ったりしてましたね
シンプルに呪いというだけでも世界中にありますし>>406
ヴィクトルとの王道強者コンビ、良いですねぇ。
属性も中立・悪とバッチシ合ってるから相性良さそう。
王権に玉座は映えそうですしのぅ。
>>407
三鳥様、黄金の精神持ちだったのか……(驚愕)
相性はそこまで悪いってほどではないですが裏事情を組んだ上だとその悪さが一周回って良かったねって結果になるかもしれない……。
ドラマ的には相当関係が良さそうです。
>>408
可もなく不可もなく……。
サーヴァント側からはやや負くらいですかね?
このペアだと絆値が多分変動しない可能性が高い。
>>410
ナイトハルトは……、どうなんだろう。
ぶっちゃけ喚ばれるのがジークフリートさんちの方の邪竜の巨人(設定はストック状態)だから性格上相性悪そうなんですよね……。
夏美ちゃんは……、大丈夫?邪竜扱える?
なんというか家族構成も相まって惨事の予感しかしねぇw
絶対邪竜、当然の価値観で他の実子唆すじゃん……。
黄金目当てに兄コロがした奴ぞ。>>405
うちのエイベルはどっちかと言うと『漆黒の意思』だからなぁ。ストック鯖と言えるかわかりませんがストックには劉邦がいます。劉邦のキャラづけを考えてはみたものの、サーヴァントとしてのスペックをどうしたいのかコンセプトが固まらないのでキャラはあっても性能が未定。
>>427
ケーフェンヒラーも夏美も、ファーフナーとどうなるかはファーフナーが何を嗜好するかとか、コミュの取り方次第かな‥‥?呪詛科の非常勤講師サルベージしてたんですけど……その……そういえばクラッフとの関わりがあるんだった……
まあ互いに「お前と一番仲良いけど利害のためなら容赦も呵責もなく殺し合えるよな俺たち」みたいな仲だからセーフか……劉邦のキャラはできているので性能面誰かに作ってもらえたらなとも思いましたが、そもそも現状お話をちゃんと作れていないのに劉邦を活躍せる余裕なくない?と自問自答。
キャラ的には自作随一のダークヒーローあるいはアン.チヒーロー系統になる予定。>>439
お気になさらず。あんまプラス感情ではない訳ですし……
クラッフ君は魔術を研鑽したい!その為なら他人の下に着くのも許容範囲って印象がありますが、対する刹那は魔術には意外に深入りしてなくてまず自由でいたいってスタンスが相性悪そうかも?となった訳です。>>401
「イェーイ!祭りじゃ祭りじゃー!!」>>441
あ、ホントだ。となるとウチから出せるセイバーはフォルケールかパロミデスさんだな……。
>偽善に対してそれがどうした良いじゃないかと啖呵切ってくれる
どっちもやってくれるタイプではありますね。
パロミデスは「私は悪辣かもだけど、それでも正義の騎士サマやるのも楽しかったし!」
フォルケールは「善悪の括りは曖昧だ。だから、ソレを決めるのは周囲の人間なのさ。周りが救われればそれは善なんじゃないか?まっ、世の中には全部救おうとして心だけは救えなかった、朴念仁な勇者もいるんだけどね」
そういやフォルケールだとジークフリート関係者だからなんか面白そうな化学反応見れるかもしれんな……。ギスられられそうな気もしますが>>441
マイナー括りなら、うちは長七郎一択ですかね。
残りの知名度があり過ぎと言えばそれまでですが。>>447
フォルケールって自分のこと伝承的な土台もなければ記憶も朧気な存在って自認なので、どうしても自己評価が他者依存になりやすいんですよね。なので客観を重視するというか。あと楽人剣士で吟遊詩人的なキャラ属性もあるんで観客に委ねがち。改めて名無しの教室とそこに絡んでくる人への反応集
クラッフ、シャフリヤーナ、ローザでそれぞれです
クラッフ・フロース
ルナ・アードゥル→扱う神秘に興味津々。ルナちゃんがよければだけど、共同研究をしてみたいと思うし、本人の姿勢もなんとなくシンパシー
真府 四方→体調の変化具合にほんの少し心配心。たまに調律して体の諸々整えてあげたいなぁ、とか思ったりするけど他家の魔術師の身体に干渉するのは迷惑かなぁ、とか思ったり
カヴン・プラミア→肉体依存、生物依存の神秘であるからこそ自分の魔術との親和性は乏しいのかなぁ、とか考えたり
あと……なんか……食べるとか、孕むとか、愛するとか……なんかインモラルな感じがしていけないと思います!(顔真っ赤にしながら)
モートン・ドラモンド→教師としての面倒見の良さを快く思い、だからこそ出世して欲しいと思う反面、魔術師としてはそんなに這い上がりたいのならば復権してきたエルメロイや民主主義派閥を使えばいいのにと考えたり
テレータ・タブロイエフ→生徒としてはフレンドリーさが心地よい、魔術師としては、魔術師を殺.す毒となる噂を無自覚にばら撒くその姿に警戒心を覚える
シャフリヤーナ・アスタム→食えないジジイ。油断してたらすぐ食われそう。というかなんか距離感近くない?耳元で囁くのやめてくれない?
ローザ・ユスティングリー→化け物。ここまでグイグイ来る高圧的で傍若無人な奴は中々いない。あといちいち寝癖を鼻で笑うのやめてくれないですか?
メレク・アルマソフィア→歴史としては落ち目だし、最近の政治闘争を見てもそこまで危険ではない……がおそらくメレクが当主になったら一気に変わるだろうなと思っているのでメレク個人を警戒しているシャフリヤーナ・アスタム
ルナ・アードゥル→次期当主、という立場に拘らず一人の魔術師として新たな道を歩もうとしたのはある種の強さだなと感じてる。不用心に素肌に触ろうとしてくるのでシャフリヤーナの方がむしろ焦る
真府 四方→お前魔術師向いてねぇよ、と常々思ってる。それは性格ではなく彼女の在り方の問題で、魔道の研鑽のために己を殺.すことすらできないような人間は魔術師なんてするもんじゃねぇ、というもの。なのでそれなりに優しく気遣ってあげる
カヴン・プラミア→生まれはおおよそ真っ当な人のそれではないんだろうなと思っている。教室の生徒ではないことから弟としては扱われていないのでこちらも遠慮は割とない。弟扱いされてたらきっと絆されていた
モートン・ドラモンド→可哀想な後輩。政治闘争を生き抜くにはあまりにも正直すぎるし、その正直さに見合う実力はなかったんだなと考えてる。しかしドラモンドの刻印は既に引き継いでいるらしいので、取り込む利点も感じないのでスルー
テレータ・タブロイエフ→面白い男。その噂は使えるし、使えなくても使えるようにしてやればいい。不都合ならば消せばいい。いつか刺されて死ぬ前に酒の一杯でも奢ってやろう
メレク・アルマソフィア→若いのにガッツがあるなぁと思ってる。その積極的な外交は評価する一方、少し腹黒さが透ける部分もあるので若い頃から張り切りすぎると刺される時は勢いよく刺されるぞ〜とニヤニヤローザ・ユスティングリー
ルナ・アードゥル→たとえ全てを失ったとしても、そこから立ち上がり、夢を追い求めるというのはかなり高評価。自身の魔術師としての生き方とも敵対しないので気軽に構ってあげてる。見た目が雑だと舐められて食われるわよ
真府 四方→彼女が持つ特質を魔術師として評価しているので、それを喜んで扱えないことにある種の傲慢さを秘めた哀れみを抱く。ただ、それはそれとして本人が望んでいないのだからと「勿体無い」など言わずに体のケアの方法を色々お節介で教えたりする
カヴン・プラミア→キラキラしてて泥でも被っていろ、だなんてとんでもない褒め言葉ねとニコニコ。ローザの神秘の本質を見抜ける存在は中々いないので割と高評価。あ、泥被ってもアタシ美しいから
モートン・ドラモンド→落伍した敗北者と冷徹に判断を下す一方、「後継に繋ぐ」といった魔術師としての使命は果たしているのでその一点で敬意を示す。筋肉は自身の掲げるものとは違うが美しさの一種よね、と思ったり
テレータ・タブロイエフ→噂なんて不確かなものにアタシの美は穢されない。しかしそれと同時に噂は人の人気を集めるものとなる。邪魔なら叩き潰し、良いものならさらに囃し立てる。付き合った子への癖はどうにかした方がいいと思うわ
メレク・アルマソフィア→愛想笑いに内心が透けて見えている。彼の両親は随分と節穴なのね、と考えながらもし利権が対立したら心置きなく潰し合えるとも。実は兄の理仁とは過去ssで縁があったり
おまけ
シャフリヤーナからローザ→ク.ソ
ローザからシャフリヤーナ→カ.ス
刹那さん関連はちょっとこちらの知見が浅いので保留で(実力やルナちゃん自身の気持ちはおいといて)ルナちゃんをライバル視して名無しの教室に入ってきた子、なんてふと思いつきました
>>458
成程。正直言えば逆もちょっとあるかもしれませんね……。
僕の山星さんキャラへの理解の浅さというか。
全体的な人間関係的な物への疑問であまり深く話す事でもないですが、キャラクター同士以外にも、作者同士の相性ってやっぱあるのかなぁ……。>>463
あきらめるな若女将
>>462
顔がいかつい(褒め言葉)
>>464
そ、そんなに悪くないから多分……と思ったけどフェルルがルピアのこと可愛がってるので普通に「何処の馬の骨だ!僕のところに連れてこーい!」ってなりますね
「……間久部……聞いたことない名前だな……極東の魔術師か?ルピアの才能目当てじゃないだろうな!」
「(おもろいからアルマソフィア関連なの黙っとこ……)まあまあ、会ってみればわかるから」
ちなみにアルマソフィアと対照的にこっちは次期当主のルピアが逆にフェルルに次期当主を継がせようと画策していたり
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/山星のNPC2>>405
黄金…と呼んでいいか微妙な所ではありますが、とりあえずうちからだとアクアステラが当てはまりますかね
服だけ溶かす魔術なんてものを作ってる彼ではありますが、あれでもうちの子の中ではかなりまともなメンタルだと思います>>475
これは良かれと余計な事やらかして拳骨喰らうフラグ……>>462
ふむふむ、イラストありがとうございます。
戦闘狂笑顔が結構好きかももうfgoも8周年ですし8月に入るのでか……え、もう?(今更)
>>487
ハードルやっばいなローザの隙作れる人…
とりあえず美に関してはローザが口を挟めない状態を維持してないといけなさそう>>492
いやほんとうにすごい…
いろいろ情報載ってるらしいですね。買うかぁ…なんか気づいたらそこそこスレが進んでた
>>437
「彼女」は家族愛とかないのでクッチーさんの愛は本当に意味不で「何あの狂人こわ…」って引くでしょうね。お互い愛情を培った土壌が違いすぎてデスコミュ必至…
>>455
やはり問題児お二人は噂を利用していく構えですのね。いつか刺されるのはそれはそう
ヨモは魔術師として未熟も未熟なので三人の気遣いに恐縮しながら「自分もいつかあれくらい余裕のある魔術師に…」とか夢見ているのでしょうね
お返し…と思ったらヨモもテレータもクラッフくんとシャフリヤーナさんに対してはあるのでローザさんについて
ヨモ→ローザ:プロフェッショナル。普段のんべんだらりな感じのシャフリヤーナさんに比べてキビキビしているので相対的に魔術師としての憧れの念はこちらの方が強い。ルナちゃんにはもっと言ってやってくださいと思ってる。
テレータ→ローザ:表社会で評判のモデルということで噂も色々出てくる。たのしい。たまにデートの時の服どっちが良い?みたいなこと訊いてズバズバ指摘されて涙目になってる。
ちなみにテレータの服選びのセンスは「その時の流行り全部のせ+電話機」なのでお察し
>>463
まだ15歳、まだ成長期!(なお身長からしてもうだいぶと成長期終わりかけっぽいふいんき)
>>494
これは黄色い悲鳴の大津波ですわよ…!>>502
なんとありがとうございます。嬉し恥ずかし~!!(/▽\)名無しの教室非常勤講師をマイページからリメイクし終えました……良いですか?
【氏名】シウン・ヴィルクレツィア
【性別】女性【出身】アジア
【身長・体重】167cm・47kg
【肌色】黄【髪色】白【瞳色】茶
【外見・容姿】白衣とその下にあるストリートファッションが眩しい少女
【令呪の位置】右手、あるいは左手首
【魔術系統】降霊術、呪術
【魔術属性】虚数【魔術特性】崩壊・固定
【魔術回路】質・量:B・C 正常
【起源】巡り回る・転げ落とす
【所属】時計塔・呪詛科、考古学科(非常勤講師)
降霊術
霊体を自身、あるいは別の媒体に降霊し使役する極めてオーソドックスな降霊術、ではあるがシウンはそれを自身の肉体や他の依代と半永久的に同化させる形で存在の規格を霊体から昇華、神秘の肉を持つ一種の新たな生命体として出力、使役する技法を用いている。この使役霊は、「憑物憑き」であった彼女の血に呼応するように他の霊体と比べてさまざまな呪詛に特化した形になっている。
本来であれば自身の身体と同化させることが使役において最も安全かつ最効率の出力を維持できるのだが、彼女の身体の容量は既に埋まり切っているため、何かしらの神秘の遺物を依代として用いる例が多い。名無しの教室とはいえ考古学科に派遣される理由はその遺物に関連した縁もあるのだろう。『憑物憑き』
本体の戦闘能力において特筆すべき点、なし。しかし、周囲を取り囲む数多の呪いあり。物理的、精神的、魔術的、呪術的、超能力的、異能的能力を持つ存在であるのであらゆる面での耐性に注意しておくこと。
多数の呪いや霊体を引き付ける極度の霊媒体質であり、なおかつその存在に対して全く適応……共感をすることがない特異体質なため、数多の呪いや霊を引き寄せては、自分にはなんの霊障もなく、周りにいる人物に禍を引き起こす性質を持つ。現在、養父となった降霊術者の指導により使役を覚えている。
狗神憑き、猫又憑き、狐憑き、狸憑き、蛇憑き、蟲憑き……上記六つが特筆すべき憑物であり、その他雑多霊を複数摂取。雑多霊は皆六つに吸収されてしまった。
狗神……『壱』墨のように黒い巨犬。シウンの鼻を依代に巣食っている
猫又……『弍』紙のように白い仔猫。シウンの眼を依代に巣食っている
妖狐……『参』金色に輝く化け狐。シウンの口を依代に巣食っている。
怪狸……『肆』銀色に輝く化け狸。シウンの口を依代に巣食っている。
蟒蛇……『伍』赤い舌が特徴の蛇。シウンの肌を依代に巣食っている。
蠱毒……『陸』青い翅が特徴の蟲。シウンの耳を依代に巣食っている。
起源について
彼女の意志に関わらず、運命は彼女をさまざまな旅に誘う。それは所属するコミュニティの変化だったり、あるいは何かしらの事件を起点とした世界旅行だったり。そして更に、彼女の行動は他者を引きずりこむ。転げ落とし、破綻させる。無自覚な暴君の愛。それは正道からの脱落であったり、あるいは邪な道から引き止める行為だったり。
好きなもの・苦手なもの:煎茶・トルココーヒー
願い:アイツに吠え面かかせてあげる
【一人称】私【二人称】あなた【特技】効率の良い旅行【来歴】
恐らくアジア国籍を持っていると思われる少女。東洋の呪術師の家系に生まれ、多くの呪いを孕んだ呪詛の爆弾そのものであり、永遠に破裂することはない呪詛の宝物庫。
手に余ると一族に放置された彼女はレア物としてその筋の富豪に捕獲、オークションに出品されるも持ち前のその『憑物』で会場の参加者全てを呪殺。そのまま出品されていた大量の遺物や礼装を抱えフラフラと各地を放浪していたという。「曰く付きのものに出会いやすい」体質により様々なアイテムを入手しやすいことから、宝物庫扱いされて身を狙われることもしばしば。
そのようにフラフラとしていたところ、アフリカのとある紛争地帯で『英雄』と謳われる女に拾われる。自分の内に潜む憑物も全て薙ぎ払われ、確保されてしまった彼女はそのまま『博物館』とやらの展示品として展示されてしまう……が、ぶっちゃけ自分の展示室の設備は凄い良かったので特に気にすることなく普通に過ごしていた。
彼女に求められた価値は『制御不能の呪いの宝物庫』であること。故に彼女は展示される価値を有していたのだが、ここで博物館は困ってしまった。彼女の管理を担当する男性職員が降霊科に在籍していた魔術師であり、彼女の境遇にひどく悲しんでしまった、ということである。
端的に言って、制御不能であるその憑物を制御出来るようにと、魔術師にとって一子相伝であるはずの降霊術を教えてしまった。子供が望めぬ体質であり、親族もいない彼にとって自身の魔術とは自身の代で終わってしまう物。故に失意のまま時計塔の政治闘争から降りてここまで流れ着いたのだ。今更一子相伝などどうでも良かった。
問題は、シウンが降霊術への適性を見せたことで、自身の憑物をコントロールしてしまったということ。例えオンオフ程度であっても、これでは博物館の展示品としての役割は果たせない。存在する意味がない。そこで館長は、タダ飯食らいと化したシウン本人と、そしてそうさせてしまった責任を魔術師本人に取らせるために「お引き取りください」と追い出したのである。これから先の未来は何一つわからなかったが、とりあえず二人で世界を旅して回ることにした。なればこれからどうするか……となったところ、一か八かの可能性で魔術師の刻印の断片を移植したところ血族でないものの高い適性を見せたシウン。どうせ行き場もないのだからと、そして、細やかな恩返しとして魔術師としての想いを諦めたつもりが諦めきれなかった魔術師の願いを叶えるためにも、彼の刻印を引き継ぎ、ヴィルクレツィアの養子兼後継として時計塔へと参入した。
呪詛科を選んだのは、彼女自身の魔術が呪詛に傾いていること、そして貴族主義派閥の一派である降霊科よりも自身の境遇に寛容だろうという考え。養父に倣い政治闘争に親しみ、魔術の研究において才覚を現す傍ら、世界旅行で知り合った親友であるクラッフ・フロースがグローリアンに持って行かれた挙句、名無しの教室とやらに在籍したという話を聞いて、彼女はついに乗り出した。何、自身の魔術と考古学科は深い関係性があるのだから問題あるまい。呪詛科は中立派閥といえど完全に政治闘争を捨てたわけでもないし。
──────すなわち、名無しの教室の非常勤講師である。
【性格】
放浪時代は自己表現に乏しい少女だったが、養子としての生活を過ごす内にその性格は悪魔同然のバケモン……もとい天真爛漫で活発なお転婆娘へと変化した。一度関わった人間は必ず一度は振り回しまくって満喫するのがモットー。笑顔で他者に苦難とそれを踏破した褒美を振り撒くのでほんの少し苛虐的な趣味があると思われる、と友人であるクラッフは考察している。もちろんバレてお仕置きの無茶振りをされた。
自身の身体で観測したものを確かな真実とし、不確かな世界に答えを出す。真実とは、己が手で切り開くもの。そのために霊との交信や古い遺物の解析は欠かせないものであり、故に自身の作り出した霊的生命体や人生の途中で出会った人々を彼女は「自分が見つけた世界で一つだけの答え」として愛する。
クラッフとの出会いは霊媒体質を抑制する礼装の作製を依頼したときであり、こちらに向かって真摯にどこまでも対応したクラッフを面白がり、霊墓アルビオンと関与しない呪物を追い求めるための世界旅行に連れ回したことがきっかけ。とても面白い友達として、同じニューエイジの同胞として、時に呪物を対価とした無理難題を押しつけて、一緒に混乱に身を投じては楽しんでいる。だからグローリアンに持って行かれた時はキレた。養父との関係性は良好で、若作りだなんだと揶揄いながらも素直に“お父さん”として慕い、彼の夢を叶えるためにも魔道に邁進する。本人の根源への欲求自体は薄く、典型的な魔術を習い探求することが楽しいタイプに近い。名無しの教室の面々に対しても、かつて爪弾きにされ続けてきた自分の経験があるので不用意に「不出来」であるとか「危険」であるとかの判断はせず、半歩引いたぐらいの距離で講義を執り行っている。
「シウン・ヴィルクレツィア。ヴィルクレツィアの正当な後継です。どうぞ、よろしく」
「私は物事を上手く進められるけど、その分周りが割を食うのよ。私の生き方に巻き込まれて、ロクな目に遭わないのね。……アイツと出会ってからは何故か落ち着いたわ。私のそういう不幸、全部アイツが受け負ってるから?」
「歴史とは何か。遺物とは何か。どういう価値があるのか。私は主に人の心理状態や社会的構造と絡めた講義をします。個人というミクロな視点から社会集団のマクロな視点まで、歴史を振り返りながら呪詛や亡霊の事象を絡めて考察していくわ」
「ちょっとクラッフ。あなた、私のでしょう?尻尾を振りまくるのは良いけど、それで自分の品を下げることはやめなさいよ」「ルナ・アードゥル。……あなたのその体質の由縁は気になるけれど……まあ良いわ。あなた、私の中のそれが知りたいんでしょう?教えてあげても良いわよ」
「ヨモ……黄泉?それとも四方?私もアジア圏だの生まれだからそれなりに理解はあるの。……なるほどね……一種の降霊に近いのかしら」
「あら、これまた奇妙な。プラミア……いや、聞いたことはないか。それにしても、なぁに?博物館?………やだ、同胞かと思ったら職員だったわ」
「これはこれは。ミスター・ドラモンド。……ええ、ヴィルクレツィアの後継です。貴族としては、そうね。落第かもしれないわね。でも残念、今の私たちは貴族主義に非ず、なのですよ」
「噂は嫌いじゃないわ。噂を知ればその噂が真実かどうかを確かめる余地が生まれるの。そして私はその噂の真偽を確かめるためにそこに行くわ。だからね、テレータさん。面白い噂があったらちょうだいな」
「………アルマソフィア………ねぇ………。いやね、私の知り合いがそこの血縁の人と関わりがあるとかなんだとか聞いたけど……その、あなたってご兄弟いる?病んでたりしない?」
「クラッフ。あの時、あの場所で私はあなたとグローリアンの密談を聞いたわ。だから私も答えてあげる。私、呪詛科の監視役なの。メルアステアの躍進は目ざましいけれど、あまりに急進的すぎて少し怖いじゃない?だから、ね?常日頃からってほどでもないけどまあそれなりに派遣に使っても良いやつ、みたいな理由で私が遣わされたわけ。でも安心して?みんな気に入ってるから、あなたもね。だから私たち、殺し合わなくて済むわ」
「真実を追い求めるなら覚悟が必要よ。覗いてはいけないものを覗いて血反吐を吐いて死ぬ覚悟がね」
以上ですそういえば夏イベについてですが、チーム人数4人って2人で1騎とかのサーヴァントの場合どうカウントしましょう?
ディオスクロイみたいなどっちもつよつよ鯖は2人と数えるべきな感じはしますけど、本当に二人で一人分な鯖とかもいるし…
>>504
自分も一応終点は決まってるんですが、そこへ向かうにおいての中継点が沢山できてしまって…
サタンさんは正直人外だし悪魔だし()性別は自由自在でも不自然ではないと思いますー
>>507
ヨモはそもさん自分をしっかり持っていて前面に出せる人に憧れがちで、なおかつ魔術師としての技量も祭位って時点でぽっと出なヨモにとっちゃ夢のまた夢な地位なので…
あとヘルメ家の主家のグレーヴァンマハ家が芸術に敏感な家柄だから彼女も美に心を寄せるようになったとかもあるかもしれません
>>513
ヨモ「へっ!?えっあ、あっその………………四方、の方です…」
テレータ「アクティブな接し方だなあ。でも、そういった楽しみ方も噂ならではだね、うんうん。おれが言う噂は事実無根ではないからさ、くたびれ儲けにはならないよ!」
これはまた毛色の違った先生が増えましたね。まさかクラッフくんのご学友が臨時とはいえ講師になるとは驚き…クラッフくんも知った時とんでもない顔になってそうだな…
博物館で一度展示されたものが出る(というか追い出される)方法ってそういうのもあるんだ…まあ確かにサモトラケのニケが完全体になったらそれは違うってなるよな…>>526
行きます~
【名前】デセフィオ・カロレンツ・ウェルペン
【性別】男性
【年齢】17歳
【出身】オランダ
【方針・属性】秩序・中庸
【回路・質】B
【回路・量】C+
【魔術系統】静動魔術
【魔術属性】風
【起源】
【代数】8代目
【魔術礼装】
【解説】
「静動魔術」という独自の魔術を得意とする名門カロレンツ家の次男坊。当主たる長子の補佐や政治的な駒となるべく生まれた存在。
そんな立場だがごく普通に愛情を持って育てられた(無論、魔術師の価値観前提であるが)ので本人は両親になんの不満や恨みも抱いておらず、関係は互いに良好。
ただし、現当主たる長子に対しては性格の不一致から「才能は認めるが、あんな脳筋がカロレンツの未来を背負ってるなんて世も末だ」と嘆き、反発している。>>527
性格は簡単に言い表すと「自治厨、骨川ス○夫、空回る優等生」。
生まれつき恵まれていて失敗や挫折とは無縁の順風満帆な人生を歩んできたゆえの脆さから、「魔術師とは、この場面では、一般常識ならば、自分の経験ではこうあるべき」という“今までの当たり前”を世界の真理として見てしまう。
更には、若さゆえの未熟さや経験不足から非常識・想定外・余分な物事に当たると焦ったり、カロレンツが持つ特権の披露(つまりは自慢話)や自分本意の助言(つまりは余計な一言)で他人の不興を買ってしまう少年。
これが本当に悪意無いアドバイスだったり、「そんな特権を持つ自身がそんな特権を持たない君らを支援しよう」とノブレス・オブ・リージュ精神で接するのでたちが悪い。
選民意識が強い典型的な魔術師らしさはあるが人々を踏みにじる狡猾さ・悪辣さは薄く、責任感や義務感を持って行動する様はかのウェイバーやゴルドルフ、荒れる前の慎二などに似た人種と思われる。>>528
そんな彼が名無しの教室に来た理由は、二つ。
一つ目は『時計塔内にて箔をつける』ため。
時計塔に籍を置くカロレンツだが、魔術式の特許を登録しているくらいでこれまでに協会内で一目置かれるような功績はなく、一魔術師・一構成員程度の立場であった。
しかし聞けば、少数の問題児たちがいるだけの本来の役割を果たせない、存在そのものが疑問視され始めているこの教室。
……なるほど、“このレベルの問題”。僕が解決するには丁度良さそうだ!
大体……才能あるものが魔術を極め、あるいは競い合う時計塔に、こんな余分なものが存在してはならないものだしね。
モートン先生が「講師をやりながらこの教室を抜けてやろうではないか」の反骨精神ならば、デセフィオは「生徒をやりながらこの教室を無くしていこう」という、自身がこなせる改善意識から名無しの教室にやってきた。
そして二つ目の理由は、“ルナ・アードゥル”の存在である。
あの目の上のたんこぶたる長子とよく似た明るく人を振り回しては、好奇心でふらりといなくなる性格……、それに加え魔術師として才を絶たれたというのに時計塔に在籍する往生際の悪さ……。
彼が認めないあり得なさ──────それも、これまでの自身の人生において非常識すぎる存在が、彼のやる気に火をつけた。つけてしまった。>>530
『静動魔術』
魔力、熱、電気、物質などをその場に静止/固定させたり、その場から運動/加速させたりする魔術。
分子や粒子、霊地までも容易く干渉できる、
相手が放った攻撃魔術の動きを静止する、
物質を空中に固定し足場とする、
物質を魔力で超加速しながらレールガンのように発射する、
と言った芸当が可能。
それらの魔術行使をデセフィオも出来るが魔術刻印が無いハンデとそこそこレベルの力量から制限はあり、長子の方が精密さや効力は遥かに上。(デセフィオにとって面白くはない事実でもある)
家伝の特性は「解析」。
他の魔術師より精密に魔力や神秘の質・量・構造などを把握、それらを数値化して自身の魔術に応用する。
※名字は「カロリー」「ローレンツ力」から創作しました。>>531
【その他】
身長:175cm 体重:61㎏
イメージカラー:シャルトリューズ・グリーン 特技:推理や推察(ただし、多少ズレる)
好きな物:高級店での買い物 苦手な物:運動、アウトドア系の趣味
「やれやれ……そんな事も分からないのかい?」
「ゼェゼェ……なんで、魔術師が……魔術ではなく……体力作りなんか……ハァハァ……」
「ふふん、これかい?庶民な君にしては目ざといな。フランスから昨日届いたばかりのオートクチュールさ。」
「うぎゃああああ!!なんで僕がこんな目にー!!!」
「あの地方にはカロレンツの別荘があってね。特別に学友たる君らを招待してやろうと言ってるのさ。」
「えぇい!こんな馬鹿どもと一緒になんか居られるわけないだろう!?僕は自室に籠るぞ!!」
「……以上、この推理を持って貴方を犯人とする!…………え、異議あり?証言も追加する?ま、待ってくれ、そんなの聞いてないぞ……」
「『こんな大金、返せない』?馬鹿言うなよ!僕だって貧窮してる君に貸すほどあくまじゃない。……これは友人への贈り物として受け取って欲しいから、渡すのさ。」>>532
「ルナ・アードゥル、またしでかしたらしいな!いい加減、魔術師を諦めたらどうだ。旅が好きならばそういう職を目指すと良い。だがツアーコンダクターにはなるんじゃないぞ。君みたいな無計画な奴に案内される客たちが可哀想だからな!」
「ドラモンド先生!!アードゥルの奴がまたやらかして……僕は前もって『そんな真似は才能無しな君には無理だ、出来たとしても猿真似だ』と何度も忠告したんですよ!それなのに──────痛ぁああああ!!!?なんで、僕までぇ……!」
「アルマソフィア君と言ったね?全く、君があんな風にアードゥルを甘やかすからつけあがって困るんだよ。成績は良いのだから彼女なんか無視して、大人しく勉学に……お、おい!?何処に行くんだ聞いてるのか!!僕の方が年上なんだぞぉ!!」
以下はピクルーの「いろんなタイプの男の子(製作者:SaKURA氏)」より、イメージ画像>>535
「僕は根も葉もない噂もそれに踊り踊らされる人種は嫌いだが……なにより、タブロイエフ先生の乱雑さが駄目だ!なんだあのだらしない着こなし方はァ!スーツが泣いてるぞ!!」
「……下水道を走り回るネズミなんか扱う人間は、ろくでもない奴ばっかりだぞっ!!」
(初めて顔を合わせた際、生意気な言動にカチンときたプラミアパイセンに飛びつかれ、めちゃくちゃにされたのでネズミが若干トラウマになったそうな)
「フロース先輩が仕立てる礼装はどれも素晴らしい。個人的に是非とも贔屓したいレベルだとも!……だが洗練された腕前に比べて、血筋と立場はいただけない、がねぇ。天は残酷な采配をなさる。」
「マクラくんの体調不良……ズバリそれはあのアードゥルが原因だとも!分かるとも、僕も彼女のせいで頭痛胃痛その他苦痛が増えたとも!」
「なぜ他の科の生徒たちがこの教室に駄弁っている!?嘆かわしい……やはり一刻も早く教室を解体せねばならない。この僕が!!」>>535
ぃやったぜ、なんとか気に入られたぜ~!
という訳で上は他の教室メンバーや他所から来るメンバーに向けてです
ここから成長できるか否か……神のみぞ知る>>524
>>525
なるほど、ご回答ありがとうございます!
ハンデとしてはそれぞれ由来の違う宝具/スキルは同じように制限つきとかかな?色々考えていこう
>>534
あ〜、これは良いスネちゃま〜!魔術の強さとそれに見合わない背伸びした性格、ツッコミ担当を定められたような存在が愛おしい…是非とも教室内外の色んな人に振り回されてほしいですね!
個人的に凹凸が(平均値割り出して設定したテレータも含めて)激しかった男組でちょうどいい背丈の子が来たのも良いなとか。ホントちょうどいい…
>>536
テレータ「お、おれの扱う噂は全部きちんと根拠のある噂だよ?根も葉もない噂なんてつまらないし…というか、え、おれそんなだらしないかい…?そっか…よよよ…」
ヨモ「そ、それは違います!…あ、す、すみません、大声出して。で、でも、ご心配いただかなくても、私は大丈夫ですので…むしろデセフィオ先輩の方が、元気すぎて不安です…」
リアルでのパンチに弱いテレータ先生とルナちゃんにうるさいヨモでした。ヨモはデセフィオくんのこと心配してはいそうだけどその気遣いが逆に燃料投下してるとかあり得そう。あと腕相撲でヨモに負けるデセフィオくん見たいです
ただ重箱案件ですが、ヨモの日本名の方は一応まだ誰にも伝えてない(ルナちゃんでも日本出身というだけ)なので…ヘルメくんと呼んでいただければ>>538
ぎゃあ!重箱なんかじゃないです!申し訳ない……という訳で訂正をば
「ヘルメくんの体調不良……ズバリそれはあのアードゥルが原因だ!分かるさ、僕も彼女のせいで頭痛胃痛その他苦痛が増えたとも!」
多分腕相撲は教室一位二位を争うくらいには弱いデセフィオ……!>>534
いい感じのスネちゃまですね、贅肉のつき方もまた宜しい!嫌味ではあるけど後方保護者面できるレベルの嫌味加減で可愛らしいです
クラッフ
「……そうですね。所詮私はニューエイジ。お気になさらず貴族としての責務を果たすとよろしいかと。ところで何かご依頼などありませんか?モノづくりは得意なので」
『その減らず口を叩く喉笛、いつか噛みちぎってあげるよ』
ローザ
「家族のしがらみって大変ね。獲りたいと思った席にも座れないんだから。オートクチュールで固めるのはいいけれどもう少しバランスを気にするべきだと思うわ」
シャフリヤーナ
「頭固いねぇ。お前が次男坊でよかったよ、そんなんじゃすぐに食い尽くされちまう。良いご両親を持ったんだな、お前。失敗したことがないってのは愛されてる証拠だぜ」
>>522
これにはローザも笑顔で特製のアクセサリーを渡す
シウンが入ってきたことを知った時のクラッフはみんなの前ではニコニコしてたけど裏でシウンに「ふざけないで。どういう了見?ここで殺し合いたいのか?」と不機嫌マックスでつっかかってた模様
なお「あなたは、私の、ものでしょう?」と顎クイされて一発KO
そうですね、といってもシウンのこれは超レアケースですが……
シウンの博物館絡みのお話はこれ
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/歩く神殿ついに名無しの教室も7人+1匹になって私は感無量ですよ
例外枠を含めても聖杯戦争ができちゃう人数ですよ7人+1匹
>>542
このキャラクターでなければこの軽さで言えなかったと思えばとてもグッドです。ええこれでまだ危険分子になり得るような子がいるんですか?こわい……
ちなみにシウンの本名はミ・シウン。韓国国籍だったりします
「まあアジア各国を転々とした挙句に拾われたからそんな実感ないんだけどね」謎丸一気見するとさ…こう…こういうギャグ書けたらいいなって思うワケ
でも書き始めてみるとギャグセンスが古過ぎて泣いちゃうワケ〜☝️試しに例外枠(個人的に一番真っ当なモートンさんが引いたら面白そう)含めた聖杯戦争考えてみるとヨモの挙動がホテルと大体似通っていく…敵陣営全員身内は動揺とかそんな次元じゃないんだわ
>>540
あら気に入られちゃった…あわあわしながら大事にするのだろうなヨモ…
そしてクラッフくんとシウンさんの力関係が歴然としすぎてる…身長的にも顎クイがちょうどよくて…良い…
シウンさんめっちゃ前から出てた!?中納言衝撃でございます。割とこの時点で既に憑き物たちを制御しつつあったのですね…他の動物だとどう出すのだろう、猫は「ニャー」ではあるだろうけど
>>546
みんなゆる〜く可愛い!……ところでこれ、ペルカさんは戻れるんです…?
>>550
>>551
>>552
次点で高いテレータとも40cm以上、クラッフくんとは70cm弱で…普通の人間が設けて良い身長差じゃないですよこんなん。これで筋肉モリモリのスキンヘッドマッチョマンなのだからまぁ怖い
あと特権領域侵入系陰陽師は異例ってかもはや異物だから比較対象として挙げてはならない。いやアレも大概おかしい…武人の藤太より高いのis何故…?>>554
モートンさんでっかくするのは成功していると思いますよ、威厳たっぷり、しかして内情は…という感じで!ギャップが良い!
みんな結構穏やかな部類なのもあって主人公とか味方ポジに収っちゃいそうですね…(なおその中で暴れまくる可能性大)
カヴンさんはその分サーヴァントをつよつよにしちゃえば…この際ティラノサウルスとか喚んで究極凸凹陣営になっちゃいましょう!
真面目な話やらかすとしたらテレータか悪鯖引いて誘導されたヨモかな…という気がしないでもないのは内緒のショ
>>555
>ワンピースの世界の住人みたいなサイズ
それだとこめかみ狙えないから…いやむしろこめかみが普通じゃ届かないから矢を射た可能性…?
カイドウサイズの首が日本横断するの、控えめに言っても阿鼻叫喚ですね
>>556
おめでとう御座います!(で、良いのかな…?)
サムレム、当初の和鯖聖杯戦争!というわけでもなさそうでwktkしまくってます。逸れとかもね…>>558
こっちも逸れのセイバーが被ってる疑惑浮上してきたよ!祟り神、大怨霊、御霊としての将門はバーサーカーかアヴェンジャーのクラスが適当かなと思っていましまが、ペーパームーンをやって一側面を抽出したとすればアルターエゴでもいけそうだなと思いました。
>>558
カステラ「〜ったぁッ!医務室、医務室の方ぁ!騎士団〜!暴行事件です、頭蓋骨にヒビいきましたよコレ!えーせーへー!」
リョーガ先輩「頭蓋骨いったらンな流暢に喋れねえだろ」
みたいなやり取りが容易に想像つく…年齢と立場が逆転してるんだよな…
今まで謎の勢力均衡を見せていた三国志鯖にもついに…!ですね。型月は有名どころ避ける傾向があったので本当にようやくって感じに…
>>560
新手のB級ホラーものかマダガ◯カルシリーズ的なドタバタギャグものにしか思えない…でも絵面が素晴らしすぎるので仕方ない!
みんなメンタルが強めなのもあって暴走することはあっても道を外れることはなさそうで…黒幕いても全員で団結して黒幕潰しに行く様が浮かぶのですよね
>>561
これはカイドウサイズの影武者将門さん×7で「その影武者、宝具を使えるか否か…どうする?」みたいなマダラムーブする怨霊将門公…?やだ、ラスボスオーラ半端ない…>>545
ルピアが割と顔が広い。法政科だからというのはあるんでしょうね
見たくないものを見続けてきたシウンだから言えたことだと思います
>>549>>550
実はクラッフは筋肉がつかないことは悩んでいるけど自分の背丈自体は悩んでいないのです
小さいと相手から舐められて隙ができるから噛みつきやすいとか、割とポジティブ
でも筋肉はつけたいのにつかないから悩んでいる
>>553
クラッフからしてみれば自分に「歴史がなくても人との繋がりがあればやりようはあるんだ」と光を指し示した恩人でもあるのです。指し示し方がドSですけど
「ワン」「ニャン」「コン」「ポン」蛇と蟲は負荷がきつくてそれどころじゃなかったり
ちなみに今だとちゃんとコントロールする方法を身につけているので何も言わずに負担も少なく使役できますいつぞやも言われてましたけどクラッフは筋肉自体はあまりつかないけど身体の動かし方や相手の動きの先読みが上手いので実は割と肉体派であったりします
名無しの教室聖杯戦争……シウンもクラッフも「アイツなら気兼ねなく○せるな」と思ってるのでここがかち合ったら容赦/Zeroになりますね……
>>567
小柄な体から俊敏な動きで首根っこ引っ掴んでぶん投げたり四方八方から思いっきりぶん殴ったりします
ストリートファイター久しぶりの労働だ!帰宅したら8時頃(だったかな?)とても疲れました。
褒めなくていいけどIN率さがりそう&ただでさ遅い執筆スピードにブレーキかかりそうなのは認知してね>>585
なにっ
タフカテ民の女体有識者ニキ…!?
アザス…
女体の勉強し直してきます…>>583
うひゃー可愛い!ありがとうございます!ちなみに書こうと思ってたけど中々出力できなくて頓挫したお話は
『オリビアは基本嘘はつかないけど嘘にならない範囲で誤魔化して対話拒否することがある』
『小夜子さんの同人誌趣味は現実に対して「こうだったらいいのになぁ」という願望が元になっている』
『風花ちゃんがWASPになった後も両親に会いに行かない理由』
のWASP三点セットとなっております。
>>590
お久しぶりですー。や、やっとリハビリ用に書いたSSができた…
前半部分を投下していいでしょうかよーしいきまーす
『吸血鬼に食べさせたい』
~ある日のこと~
くるるるるるるるる……! という長い腹の音が教室にゆっくりと染みこんでいった。
音の発生源、その隣にいたヨモ・ヘルメはギョッとして左隣に勢いよく顔を向ける。
そこには机の上に広げたノートに向かってなにかを一心不乱に書き込んでいくルナ・アードゥルの姿がある。よほど集中しているのだろう、ルナは自分の腹からそんな音が鳴り響いたことにも気づいていない。
「るっ、ルナちゃんルナちゃん」
「…………(カリカリカリ)」
「ルナちゃんっ」
「んぇ? あれ、どしたのヨモちゃん」
声をかけても気づかず、軽く肩をゆすってそれでようやくルナは焦った様子のヨモに気づいた。>>599
~それから数日後~
「あのう」
「おや、どうかしましたか。ルナ」
「質問をしてもよろしいでしょうか」
「どうぞ」
「なんで私イスにがっつり固定されてるのかな」
「それはもちろん、座ってほしいからに決まってるじゃあないですか」
「ここに座るまでずっとヨモちゃんに羽交い絞めにされてたんだけど」
「膂力の差は歴然でしたね。空しく抵抗するルナの姿は見物でしたよ」
「……私、今からなにされんの?」
「悪いようにはしませんよ。悪いようにはね……フフフ……」
「めっちゃ悪い顔してるぅ」
いつのまにか教室に用意されていたイスの上でルナはうめく。
メレクがなにかしら細工をしていたらしいイスからお尻がしっかり固定されて立つこともできなくなっている。おそらくはベクトル操作の類だろう。ひどく単純なもので今すぐにも解除できそうだった。>>600
「ま、いっか。ヨモちゃんがいるならひどいことにはならないだろうし」
「今回の件はヘルメさんが言いだしましたけどね」
「おおっと不安になってきちゃったよ」
「本当に大丈夫ですよ。今日は食事をするだけです」
「食事? あ、だからイスだけじゃなくてテーブルもあるんだ」
ルナの前には外から持ち込まれた思しきテーブルがある。磨き抜かれた白一色のお高そうなテーブルはメレクが主導して持ち込んだものだった。
「いやなんで食事?」
「誰かさんが炭酸水を一食として扱ったのが発端らしいですよ。心当たりはありますか?」
「……あー…………」
「あるようですね。なによりです」
「じゃあさっきヨモちゃんが準備室に入っていったのも?」
「えぇ今まさに作っている最中のはずですよ。この数日に何度も練習していたようで」
「わぉ………流石に、ちょっと申し訳ないかも」
「申し訳ないと思うならきちんと食事は摂るように」
「ごもっともです…」>>602
「ナニコレ」
「麻婆豆腐です。中華料理のひとつですね」
「すっごい赤くて辛そうなんだけど」
「もちろん辛いですよ。辛さを重視した料理をリクエストしたので」
「うおい」
「心配せずとも常識的に食べられる辛さです。ヘルメさんにもカヴンさんにもそこは保証してもらっています」
「ほんとぉ?」
「本当よ。バッチリ見てたわ」
「いたんだカヴン先輩」
「いるに決まってんでしょ。ネズミが食事の場にいたら悪い?」
「良いか悪いかで言えば悪いんじゃないかな」
「さっき全身をイソジンに漬けてきたから大丈夫よ」
「別の意味で大丈夫? それ死なない?」
「こうして生きてるわ。なんの不思議があんのよ」
「じゃあいっか」
深くは考えないルナだった。
まぁ大抵のことは魔術を使えばどうとでもなる。なんて便利なんでしょう魔術。>>572
お久しぶりにございます〜!
良ければ>>258にヴィクトルさんをお借りしましたのでエミュなどご確認いただければ…
>>576
ピンク!フリフリ!イカ腹!うーんコレはなんともロリい…もはやペドいとすらありますね
>>587
エルメロイ教室といい名無しの教室といい、問題児を多数お抱えになる教師は野蛮になられてしまうのですね…(無辜の筋肉)
>>605
ルナちゃん、せめてトースト一枚でも食べてくれ…!フライドポテトでも良いから…!無食オートファジーはもはや修行僧だから…!
そんな友人のために立ち上がったピストル…ピストロヨモ、一体どんな料理をお見舞いするのだろう…次回は飯テロ対策も必要ですね
最初麻婆豆腐が出てきてギョッとなってしまったのは私だけでいいコソコソ名無しの教室話
クラッフが筋トレと武術を鍛えることをするようになったのはグローリアンに絡まれる少し前のお話
とある戦場で三界監獄を握って戦っていたもやしボーイだったころ、同じように礼装作成を生業とするとある若女将に「ざっこ。そんなんで出たら死ぬよ?」と強化魔術すら使わずに銃弾躱されながらワンパンで沈められたのがきっかけあくまで個人的な、アクアステラくんを好きな読者としての意見ですけど
彼のページに書いてある二世との縁やお話の断片がとても好きなのでエルメロイ教室生徒のまま名無しの教室と絡める可能性はあるならそっちの方が……という感想
最終的に決めるのは作者様なのですがはい博物館編が終わった後でならエルメロイ教室と細い、本当にか細い線ができるのでそこからなんとか繋がり持ったりとか…できないかな…
いやでも博物館編が終わるのいつになるんだって話だし…うーん
>>619
出しちゃいました。フェーブスさんお借りしました
前から目はつけてましたが魔術絡まない案件の方が輝くと思ってこんなに時間かかってしまった>>605
ルナちゃん、もしや過集中では?集中するのはいいことだけどご飯はちゃんと食べてぇ…。麻婆豆腐はちょうどいい辛さのものはめっちゃ美味しいですが型月世界で麻婆豆腐と言えば、ねぇ。
>>606
やっぱりまだ成長途中だった子供に戦闘力をガッチャンコして使い倒されてたから戦力面では安定してても精神面が未熟なアンバランスさがWASP戦闘班の魅力かなって。
>>607
日常での好々爺っぷりが想像通りの非戦闘時のヴィクトル翁でした。あとヴィクトル然りレリック然り船育ちの海しか知らない人がホタルって聞いて海ほたる(orホタルイカ)をイメージするところ好き。
>>608
別に変えなくても大丈夫ですよ。そもそもこっちのヴィクトルはフルネームの通り“ヴィクトール”の表記揺れ的なやつなので。
>>611
結論から言うと生半可なものを作ってもフィルニースがないないしちゃうからですね。
名付けの件などもあってフィルニースは飛鳥ちゃんに非常に懐いていて「飛鳥の使い魔は自分だけでよくない?」って考えてるので飛鳥ちゃんが追加の使い魔を作ろうとしてもこっそり捕食して成り代わってしまうんです。
なので死霊魔術メインのクッチーに相談しても解決できなかったので冬縁香ちゃんに相談して「なら対生物特攻の効かない無機物でフィルニースより神秘の濃いものを素材にしたらどう?」ってなった感じです。
あと飛鳥ちゃん自身のコネが狭いのでお兄ちゃん伝で頼める冬縁香ちゃんが適任というのもあります。>>624
呪いまみれな死体だったりとか挙動を制御できない動く死体とかそういうのを処理する感じになるんですかね、魔術師専門の葬儀屋
死体の情報量を考えるとよっぽどの信頼が必要になってきそうぼーんやり『葬儀屋』と呼ばれるお家の青写真あるんだ まとまって語ることがあるかは分からんが
まあシャリやシオネの実家(?)、ネルズ家は訳アリも訳ナシも平等に墓地へ迎えましょう
葬祭、墓標、永訣、即ち生者の為にこそ弔いの鐘(knell)は鳴る
あちらの家は『死』というより『生者が死を受けとめる為の営み』に目を向けています (ただひとり過去を見つめて咲いているのがドクターことドレイク•ネルズ)
よって葬儀屋 魔術師というよりなんかそういう特殊なお家に見えてきた またそれらしく考え直すこともあるかもしれない
得手は人体と植物(転じて医学)と死者を出歩かせないこと真夜中のQ&A~
Q:
A-086Mことトレノがもし壊されたらマレオはどう反応するの?
A:
「アレは元々神(おれ)のためではなく人間のための道具、だから所有物を壊されたとキレたり泣き喚いたりはしねーよ。……だがまあアルシオネシアがそんな状態になるなんて、船内で何かしら良くないのが暴れたりしてんだろ?」
「──────守護神としてきっちり“制裁”は下してやる。」
だそうな葬儀屋と納棺師と墓守は別の職業だけど納棺師作った身としては絡ませられたら良いなとか
でもこの三者がきちんと噛み合わないと魔術師の死後とかただでさえ揉めるのがより複雑化しそうだな…
>>613
クラッフくん戦場行ってる時あったんだ…!?結構歴史の浅い家とはいえ身体張ってますね
若女将さんは女将さんなのにどうして戦場なんかに…?
>>621
エミュ合ってたようで良かった…ヴィクトルさん、騎士団員として働いてる(後輩をしごいてる)時と日常の中とでは笑顔も違ってそうですよね
今「外国語で海ほたる/ホタルイカってホタルつかないのでは…?」と気づいてしまったけどあの時はみんな日本語で話していたということにします。こういう異文化コミュニケーションボケ好きなんですよね…>>327の虚構妖精編の続きを投下します
>>635
切れてしまった
ちなみに若女将とは彼女のことです
礼装売り捌くのが仕事なのでウキウキしながら戦場を駆け抜けてたんですね
商売敵的な側面もありますが何から何までこっちが上。クラッフは地味にコンプレックス
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/山星%20不湯花
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/山星冬縁香「………かけまくもかしこき星の光よ。輝き生まれる内海の指先よ………」
祈る。ただひたすらに星に祈る。少しでも損ねてしまえばそこで終わる命懸けの綱渡り。星の意思は大きなものだが、そこから溢れる小さな触覚たちは多種多様だ。大きすぎるからこそ、どの視点で見るかによって考えていることが全く違う。だからこそ、ウルフィルトの計画は成功した。
“地球からの自立”が地球の意思であるというのは、誰が言ったことだったか。しかし、そればかりではない。仮に……地球に、“私の下に還ってきて欲しい”という欲望があったらどうだろう。ダメなことだとわかっているのに、それでも自身へと回帰して欲しいという母なる欲求があったのなら?きっと、その側面にウルフィルトは干渉した。だからこそ、地球から生まれ出でる妖精が、今この瞬間だけとはいえ人々を妖精にしようと飛び回っているのだ。
「きっとそれは、今はここだけ……まだ世界中の妖精たちは姿を見せてるだけ……でも時間がない。ここで止めないと、ここで地球の意思を抑えないと、妖精が皆一斉に動き出す」
そうすれば、終わりだ。民間の人間に、妖精に対抗できる存在がどれほどいるだろうか。魔術師でさえ、困難極まる。一握りの人類の上澄みなら抵抗できるだろう。しかし、その上澄みたちの力で全人類を掬い上げることは叶わない。人類は未だ星を掴むには遠すぎる。ここまで来た時点でもう詰みだ。人類にできることといえば、この世界線を剪定して無かったことにするぐらいだろう。だがそれは、この世界に生きる人からしてみれば良いことでもなんでもない。
「だから、ここで……」風を切る弾丸の音。頭蓋を砕く拳の音。臓腑を突き刺す刃の音。もう幾度となく繰り返した。きっとまた幾度も繰り返す。いつ終わるのだろう、その前に自分が終わるのだろう。だが、自分の後ろにいる彼女が頑張っている以上、折れることは出来なかった。
「次弾、装填……ハァ……これほど群れているなら、狙いをつける必要もない……!」
辺りを見渡せばその全てを埋め尽くすように虚構妖精が飛び回っているのだ、適当に狙撃銃の引き金を引いても10匹足らずは仕留められる。彼らは虚構から真実になったことで、鉄に弱くなってしまった。だからこそ弾丸は何よりも有効だ。灰錠も黒鍵も役に立たないので、ナックルダスターを嵌め、ナイフを備えて代用する。まともに触れたらアウトなので、手袋の着用も忘れずに。脚に鉄板を仕込んでおいて良かった。心置きなく蹴りも放てるから。
「リム!進捗!」
「まだです!頑張って!」その言葉に返答するように、獅音は銃弾を放ち続ける。妖精、という存在に対して自分の知識は浅かったが、あらかじめ代行者マリナが仕入れてくれていた支援物資が役に立った。死徒などに有効な概念武装よりも、はるかに多い物理的威力を伴う近代兵器が多いのはどういう了見だと思っていたが、なるほど、このためにあったのだ。文明の兵器が自然を殺.す。自明の理で、だからこそ下手に神秘に頼るよりも有効。
しかしそれは自力が試されるというもの。もう既に頭が恐ろしく冷えている。冷えているのに心臓は熱い。足先の感覚はない。指先は銃を用いるのに必要だから、頑張って維持しているけれど、それもいつまで保つものか。
「ごほっ……ひ……あ……」
もう言葉を発することさえできない。そんなことに貴重な呼吸を使うのならば、もっと別のことに使うべきだ。身体中に酸素を行き渡らせるべきだ。乱れる呼吸を整えて、吐きそうな感覚を飲み込んで。ひたすらに体を動かす。今は妖精たちも遊んでいるのか、少数で触れてこようとしている。しかしこれが、本気になったら?この大群が自分たちに殺到したら、それを防ぐことは出来ない。身体中を妖精に触れられて、妖精化してしまうだろう。
だから、あとは。「………わたしたちはあなたと袂を分かちました。星と人は訣別しました。相容れない。もう共存はあり得ない。それを、あなたも理解しているはず……」
それでも。我が大地を踏み荒らすお前たちが愛おしい。愛おしいが、我らが死に絶えた後も、その肌にて無駄にのさばるお前たちが気持ち悪い。だからここで回帰させる。愛おしいお前たちを、愛おしいまま封じ込める。空に旅立つ気が毛頭ないのならば、ここで諸共に死.ねば良い。
「それは、万が一、億が一の可能性です!人は必ず旅立ちます!あなたの手を離れて、この宙(ソラ)に旅立ちます!死に腐ったあなたの上で恥知らずのまま生き抜くなんて、人間はそんなに怠惰じゃない!」
………そうだ。今更ながらに気づいたけれど。人間はみんな、頑張っているんだ。みんな、生きるために、夢のために、ひたすらに頑張っている。人間は、夢や目的のためならどこまでも強くなれる。そうやって、彼らは人類史を紡いできた。そこに悲しみや喜びの差はあれど、その情熱は変わらない。
そして同時に、だからこそ自分のどうしようもなさを理解した。獅音に助けられたのに、いまだに生に執着が持てない。生きたいと微塵も思わない。だから気づいた。きっと自分のこれは、仲間がどうとか、家族がどうとか、未練がどうとかじゃなくて、もっと根本的な、生まれながらの──────
「それでも、みんな生きてるんです!わたしはどうしようもない、虚無に走る生き物だけど……それはわたしだけ!他のみんなは、精一杯生きてるんです!それぞれの人生に色をつけて、文章を書いて、頑張ってる!だから、どうか、どうか………」
大量の妖精が、一斉にリムを襲う。きっと遊びの時間は終わったのだ。この土地の侵食を妨げる目の前の巫女を妖精と化し、反乱分子となるものを一切合切消し去るつもりだろう。それに気づいた獅音がリムの前に立ち塞がるも、それで払える道理もなし。たった二人なんて、圧倒的な物量差で飲み込めてしまう。獅音の小さな拳では、この大群を打ち払うことなどできないから。「どうか!彼らを、人類を、信じてはくれませんか!」
──────その言葉に呼応するように、無茶だと分かっていても振り抜いた獅音の拳が淡く光る。その光のまま殴り抜けば、妖精たちが皆吹き飛んだ。
獅音の拳が、想像を絶する威力を弾き出したのだ。本来、人間としてあり得ない、あり得てはいけない拳圧が出力され、それで大群を全て吹き飛ばした。そのままリムの請願が叶い、土地の侵食も鈍化した。ここで獅音がこの力を発揮できなければ、叶う前にリムは飲み込まれていただろう。悪あがきが奇跡を起こしたのだ。
「これは……俺じゃなくて……」
なんだか、懐かしいような。でも、ついさっきまでいたような感覚。そうだ、これを知っている。人智を超えた力を気軽に授ける、俺たちを信頼し尽くしていたあの少女を知っている。
「マヴ……?」
おしまい。何があったかは次回をいっきまーす
「ねぇメレクメレク、スプーンもなにもないんだけど」
「ここにありますよ」
メレクが取りだしたのはチャイナな意匠が施された白い匙。その名をレンゲといふ。
「なんだあるじゃん。じゃ、ちょうだい」
「……ふっ」
「メレク? おーい?」
「これがルナの使うレンゲだと誰が言いました?」
「違うの!?」
「いえ、ルナにはこのレンゲで掬った麻婆豆腐を食べていただきます」
「…? なに? なぞかけ…???」
「難しいことはありません。要するに、こういうことですよ」
言うが早いがメレクは手に持ったレンゲで一口サイズの麻婆豆腐を掬う。
そしてルナの目の前にもっていき───>>650
辛かったらしい。そりゃそうだ。
「あ、でもちゃんと美味しい……でも辛い!」
「だから言ったじゃないですか。常識的に食べられる範囲でリクエストしておりますよ」
「そこはちゃんとしてんだね…」
「ルナが食べられない辛さにしてしまっては本末転倒ですから。牛乳も用意してあります」
「準備万端じゃん」
「というわけで二口目いきましょう。はい、あーん」
「いやでもちょっと待っ……からぁぁ!!」
「わ、わわわ、わー…」
「(ポケー)」
「(ニコニコニコニコ)」
慌てふためきなにを勘違いしたかちょっと照れているヨモとずっと変わらない視線を向け続けるカヴン。初対面の使用人さんはとてもにこにこしていらっしゃる。
この3人をわき目に、一口目をほおばって涙目になったことでルナはメレクの凶行の真意を悟った!>>651
まずは前提から考えてみてほしい。
テーブルには辛い辛~い……しかし辛すぎない一般人でもギリ食べられる程度に辛い麻婆豆腐。
そのテーブルについたルナと、向かい側に構えたメレク。
一皿の麻婆豆腐と、向かい合う二人、しかしてこの場のレンゲは一本のみ。
おわかりだろうか。この一皿の麻婆豆腐を食べるペースはただ一本のレンゲを持った者に委ねられるのだ。
そしてこの場における唯一のレンゲを持つ者は……ルナではない!
つまり…………つまり!!
「(自分のペースで食べさせるためだけに、こんなことしてるのかメレクーーー!!)」
「どうされました? そんな涙目で睨むとは……ああ、次の催促ですね? 失礼、気づきませんでした。では、あーん」
「ちがっ…………からふぁ!!」
辛い。涙目。かわいい。
しかしルナに逃げることはできない。この場が設けられる理由はほかならぬルナ自身にあるからだ。まぁ自業自得だね。
なおもメレクの凶行は止まらない。
麻婆豆腐を掬い、ルナの前に持っていき、食べさせる。そして涙目で咀嚼するルナを満足そうに眺めてから、再び麻婆豆腐を掬う。>>652
「からひ、からひっへぇぇ………ずっとからひんだけどぉ!」
「ふふ、ふふふふ…」
もはやどう見ても楽しんでいたと断言できるほどに楽しんでいた。普段のポーカーフェイスはけっこう崩れてきている。
この様子ではこの一皿が空になるまで続くだろう。それほどまでにお楽しみのご様子。
だからメレクは気づかない。
自分が踏み込みすぎたことに。
間合いに入ってしまっていたことに───!
「から……から……ひ……ふ……」
「おやおや? 早くも口が止まっていますよ、ルナ」
「ふ、ふふ……」
「……?」
「これを見ても、まだ……その余裕が持つかな!?」
「な…!? それはまさか!?」
満を持して振り上げたルナの右手に、それは握られていた。
この場にあるはずのない……二本目のレンゲが!>>653
「ばかな、マイ・レンゲだとでも言うのですか?」
「クラッフ先輩作だよ!」
「あの子そんなの作ってたの?」
「なんか…魔力を溶かせる食器はいくつか作ってたような…」
「とにかく! これでメレクのペースだけで食べさせることはないよ!」
「……。ええ、そうですね。僕のペースが乱されることは必至。しかし一本が二本になったところで根本的な速度が変わるわけもない……どうするつもりで?」
「こうするんだよ!!!」
ルナは自前のレンゲで目の前の麻婆豆腐を掬い、全力で前に突き出した。
「はい、あーん!」
「………そう来ましたか」
「ふふん。メレクは食べなくてもいいよ? これは私のための料理なんだから」
「……」
「でも、私に食べさせたいなら食べるしかないよ。まさか紳士が食事の席で立ったり座ったりしないよねぇ?」
「……成長しましたね、ルナ。よもや僕を挑発しようとは」
「いつまでもやられっぱなしじゃないってことだよ!」
「いいでしょう。受けて立ちます」>>656
ちっこいネズミにぺしーんと背中を押されてヨモは改めて準備室で仕込んでいた一皿を取りに行った。
果たして、ヨモが持ってきた一皿の上にあったのは輝く白米と黄金のルー。すなわち……
「カレーだ!」
そう、カレーである。
調理難易度はすこぶる低い。ちょっとがんばれば子供にだって作れる。そしてなにより、よっぽどの馬鹿な真似をしなければマズくなることはありえないスグレモノ。
極めつけはヨモのふるさとジャパンから送られた慣れ親しんた味であること。リンゴとハチミツが決め手になった味の、その正解はヨモ自身の記憶が教えてくれる。
これは勝てる。間違いないぞ。
「……これ、激辛だったりしないよね?」
勝てるはずなのに最初から警戒されまくっている。
「ほれ見なさいメレク。ルナが辛味成分を警戒するようになったじゃない」
「気分がいいですね」
「コイツぅ」
「ちゃんと甘口にしてる…なってると思うから」>>658
「ど、ど、どう…?」
ちょっと小刻みに震えてる気がしなくもない状態でヨモは問う。ちょっと深呼吸してほしい。
「うん……食べやすい!」
「ほ、ほんと?」
「ホントホント! 全部一気に食べれちゃう!」
その言葉通りにぱくぱくもぐもぐがつがつと勢いよく食べていく。
ヨモは気が抜けたように深く息を吐き出しながら胸をなでおろしていた。
「(味について触れませんでしたね)」
「(じゃあアレ無理して一気に食べてるってコト?)」
「(…にしては表情に不自然な強張りがありませんね。フェーブスは味見していたでしょう、どうでした?)」
「(……は。なんと言いましょうか、アレは……)」
「(遠慮は要りません。どういった味でしたか)」
「(……普通、でした)」
「(普通)」>>659
「(特に可もなく不可もなく……コメントのしようがないノーマルな味わい…とでも言いましょうか)」
「(感想求められると困るヤツなわけね)」
「(まさに)」
「(それは……ルナには言えないでしょうね)」
「(さすがに自分のために用意してもらって普通!とはほざけないわよね)」
「(具体的な感想を求められる前に「ごちそうさま」に持っていくつもりですねアレは)」
「(スピード勝負ってわけ)」
食事とはなんぞや。その答えは今ここにはないのだろう。
とにもかくにもルナは何人にもクチを挟ませないハイスピードで一皿のカレーを平らげた。
「ごちそうさま! ありがとうヨモちゃん! おいしかったよ!」
いい笑顔だった。清々しさすら感じるほどに。
その笑顔の根底にあるものがカレーの味によるものか、それとも完食したことによるものか、そんなことは余人が知る必要などないのである。
「ほ、ほんとうに?」
「うん! 今日はもうお腹いっぱいだけど、また食べたいって思ったよ」>>661
ド正論であった。
「で、でも私だって別に食べたくないわけじゃないんだよ?」
「魔術の特訓、研究、開発。そういうことをしていると食べる時間も惜しくなるんですよね」
「そう、そうなの!」
「食事を抜く正当な理由にはなっていませんね?」
「……ハイ」
「やっぱりちゃんと食べないとダメだよルナちゃん。倒れちゃったら魔術の勉強どころじゃなくなるよ?」
「わかってるんだけどぉ……一分一秒が惜しいっていうか、やらずにいられないんだよ」
「今日のルナは聞き分けが悪いですね」
「だってさ、」
「今の私がこうやって魔術の勉強ができてるのなんて、ちょっとした奇跡みたいなものだから」
その言葉にどれだけのものを込めていたか、正しく把握できる者はここにはいない。
それでも感じ取るものはあったようでヨモもメレクもそろって口を閉ざしてしまう。>>648
自己解決できました。デイビット(DAYの方)が伝承科に現れたのが10歳でした…さ、参考にならねえ…
中学入学くらいですかね、やっぱり。卒業はどれくらい目安かも気になる…
とりあえずヨモは名無しの教室最新参ということで14か15かな〜ということにしておきます
>>665
なんの気兼ねもなくあーんとかし始めたぞ…!?しかもお互いが…これはヨモ宇宙猫状態になってそう(なおそういった気が全くない二人)
ひとまずルナちゃんが食の重要性を理解して一歩前進しただけでも戦果ですね。何も挟まないサンドイッチはただのトーストされてない耳なし食パンだから…うん
ちなみにヨモはハムレタスサンドを推します。炭水化物、肉、野菜、ちゃんと食べよう!>>666
(当人たちは辛いのを食わせようとしてるだけ)
パンにとても合うやつだ…パン食わせようとしてるフェーブスさん…!
>>667
あーデイビット…それかぁ…
卒業はたしかフラットが試験合格できずにずーっとエルメロイにいる、って話があったので卒業は何年かというわけではないのかも
でもこの辺の卒業条件ってなんとなく教室ごとに違いそうな気がするんですよね
本当にその気がまったくないのでヨモちゃんの反応も「?」となるルナです。メレ坊は察するけどなにも言わない
ヨモちゃんはよくやってくれました睡眠と食事のうちひとつクリアしてくれました。アンタはえらい
たまごサンドか野菜入りハムサンドかの二択だったんですが、そうかハムレタスサンドか…なるほど
>>668
仲良くなれたら教室によく遊びにくる人になりそうですね。ローザやメレ坊と同じような感じの
餌やり+思いつきのイタズラだったメレクとやられたからやりかえしてやるぜなルナでした
この二人がくっつくなら…なんなんでしょうね。とりあえずルナの吸血衝動を高めるところからかな今回リムの見つけた答えが彼女の結末を決定づけることになります
>>670
完全に思いつき100%のシーンでした食べさせ合い
当初の予定はルナだけが涙目で麻婆を完食するはずだったのに…しかしちょっと麻婆豆腐とカレーが食べたくなってきてしまった……
リディアを掘り下げるとメルト三姉妹が血を血で洗う政治闘争してる……みんながみんな「当主になるのは私」という思いが強すぎる……まあだからリディアもメレクくんの許嫁候補に「イヤッ!ヤダーッ」ってなってるのですが……
>>677
降霊術と基礎的な魔術の組み合わせなんだけどそれぞれが天才性を見せている……
なお姉妹仲は仲良しなのです。ただ当主になるためなら他二人を蹴落とす意志がみんな強すぎるだけ何か新キャラを作りたい気分〜。でも一から全部作るのは制作カロリーがきついから既存キャラの改修かフリー設定から何か草案をいただこうかと考えてるところだったり。
>>627
なんなら当のフィルニースを切り分けてサンプルとして渡すのもいいかもしれませんね。黒魔術やら蠱毒やらを混ぜ混ぜして作った“生きた呪い”みたいなものですし。
>>641
思いが届いたー!そしてリムの語った人類観に大きく頷いてるキャラがうちにも一人。ツクヨミ(ツキヨミ)です。多分今回の話を見せたら「うんうん、いつかきっと成し遂げてくれると信じているよ」と後方月神面してます。
>>642
生物の死骸を弄って作ることが多い死霊魔術の使い魔だと余程のことがない限りフィルニースにとっておやつですからねぇ。そしてこれは独占欲というよりも自分の性能に自信があるが故の「それ〇〇でよくね?」的ク.ソコテムーブなんですよね。そしてなまじ飛鳥ちゃんはそれで何とかなっちゃってたという。
フィルニース「オマイウ」
>>647
公式がどうかは分かりませんが私の中では15歳から時計塔に学びに入る感じで設定を作ることが多いです。15歳で時計塔に来てその日に問題起こして帰されたジャスミン然り小〜中学生を日本で過ごしてから時計塔入学のために帰国したコーデリア然り。
>>665
辛いものを半ば無理矢理食べさせるだなんて鬼畜ゥ。でもニヤニヤが止まらない。これが、愉悦…?キャラメイクもいいですが、どういった登場及び活躍の場を設けるのか、も必須になってきてる段階なのではないかなーとは思ってたり。
出演回転率を向上させるアイデアというか、回転数以外にもある程度長期的に出られる仕組みとか。FGOの強化待ちサーヴァントには列が!なんて言われたりもしますが、此処も作られるばっかで出番待ちも人数も渋滞してる印象はやっぱありますし。
まぁ参加者それぞれのリアル事情もあるから難しい課題ですが……。>>687
刹那の結界術の内容としては「はい結界Aでは微塵切りフードプロセッサーね」「結界Bは急速冷凍!」「結界Cは電子レンジの役目」「結界D?んー蒸し焼きしてるよ」みたいな全対応の調理道具っぽい事は出来ますね。
>閉じる魔術ってサンドイッチにも使えるんだ…
基本的にはただ皆に混ざりたい刹那がテキトー吹かしてる感じですが、結界を応用すれば自動サンドウィッチ製作結界は作れるかと。画像みたいな感じで新キャラ作ったら取り敢えず短編書いて「こんな感じのキャラで活躍ですよ」を見せるかな、私は。
〇〇をテーマにしたキャラを作るぞ!→調べていく内に面倒になる→永遠にROMり続ける
それがここのえ……インド美人を作りたいだけの人生だった(ガクッ)>>694
人物像を決めるのに「一般社会上でのリアリティ」とかも調べるので、分からんの極みですね…
州ごとに集めた情報がまったく異なるのは外国人に優しくない…!ローザとシャフリヤーナを振り返りつつ、彼らの「甘さ」「弱さ」「未熟さ」について箇条書きながら列挙してみました
ローザ
・幼い頃のネグレクト&暗殺の影響で「心に割り込まれること」「他者に無償で施されること」が大嫌い。人生は必ず貸し借りで成り立つと思っているので無償の施しは必ず倍で恩を返す
・自身が誰かに施すこと(ファッションの手直しとか)すらも気に入った人間に対するほっとけないお節介からくるものなのに「こうすることでアタシは勝手に気持ちよくなってるだけ。自己肯定感を満たしたいからやってるだけ」とわざわざ理由づける
・本来のローザの神秘は「ただそこにあるだけで美しい」「ローザを中心とした美しさの伝播」である。これは今のローザの魔術である「着飾って美しくなる」とは実は相性が悪い。本来完成しているものに無駄な手を足してしまう可能性が高いから
・実はモデルや演技の仕事というもの自体がローザに合わない。「身につけたものを引き立てること」「役を引き立てること」があくまで重要なのに自己をあまりにも主張しすぎてしまうローザの「美」は向いていない。それに気づいていながら「でもやりたいから」「結果は出してるから」と改めない
シャフリヤーナ
・幼い頃の記憶がない&隔離とアルビオン送りの経験から他者を信頼する余地がないし、鬱陶しいほどに悲観主義が極まってる。誰かに優しくされてもそれを受け取れる余地が心にないので響かず、全て皮肉的に受け取ってしまう悪癖がある
・物事をすぐに諦めがち。妥協しがち。もう少しで越えられる壁を越える前にやめてしまう。特に顕著なのは生死や人生の重大なポイントが関わらないとき。大事な魔術の研究もなあなあで止める
・本来のシャフリヤーナの神秘は「人智を超えた事象の悍ましさと人間の悍ましい欲望を混ぜ合わせた醜悪さの坩堝」なのだがシャフリヤーナは「一番醜いのは人間だし一番美しいのは人間。自然現象とか神とか妖精(つまり人ではない神秘)とか嫌いだし内容に取り入れない」と拒否しているのでその本質に気づけない
・そも、重要なことは他者と関わりを持つこと、さまざまな調査を重ねて「現代を生きる」他者の感情のサンプルを記録し、それを出力することなのだが本人が他人と関わることを拒絶してしまいやらない。過去の遺物に宿った欲望や想念を用いてしまう>>681
なにかしながら食べるのはお行儀が悪いけど食べないよりはマシですからね。というわけでサンドイッチをお食べぇおにぎりをお食べぇ。
>>682
性能面だけ決めるってのはちょっと…。というより今作りたいのって魔術師、それも時計塔のキャラなんですよね。
>>684
元々が生贄として屠殺した生物の集合体なので元生き物なら得意ですね。フィルニースの特攻は“生きているもの”に1番乗ってその次に“生きていたもの”、そして硬質化等でそれなりの物理もいける上に成長後は魔術も使えるようになるのでマジで大抵の場面に対応出来ちゃうんです。
そこにフィルニース以上の神秘を持っててある程度物理もいけて“死霊(死.んでいるもの)”が特攻のシャリーファがスーっと効いてフィルニースとシャリーファを構えた飛鳥ちゃんは幅広い特攻と特攻が刺さらない相手にもそれなりにやり合えるオールマイティさを備えてるというわけです。
逆に言えばゴーレムやオートマタ等の無機物でフィルニース&シャリーファの物理以上に強いもの(ジャスミンの人形とか)や特攻が乗っても歯が立たない格上(不湯花ちゃんのテリアルとか)が弱点です。>>685
それこそ知覚外からの狙撃とか普通にくらいますね。飛鳥ちゃん結構慢心する癖がついてるので。
というのもクッチーの所に弟子入りさせた目的の1つにネグレクトされてた&お兄ちゃんが自分の完全上位互換だって思ってたことでどん底だった自己肯定感を改善するってのもあるんですよね。その為に死霊魔術の基礎を学んで魔眼の制御を身に付けさせてクッチーの傭兵稼業で実戦的な戦闘能力を身に付けた、みたいな。
飛鳥ちゃんは身近に自分より格上が何人も居たから自分のことを大したことないって思ってたけど十分秀才なので鍛えたら強くなりました。ですが今までの反動か「私って結構イケてる?」と調子に乗りがちになってしまいました。
なので定期的に京介やクッチーや冬縁香ちゃんといった身近な格上達に鼻っ柱をポキポキしてもらって油断するなよと釘を刺されてるので今の所はなんとかなってるだけなので調子に乗ってる時に不意打ちでサクッと逝ってしまう可能性は大いにあります。
フィルニース(人型)「相手が本当に欲しいものは何か考えたことがあるか?お前のそれは自分の願望を押し付けているだけのエゴだ」
フィルニース(人型)「それに私は飛鳥と二人きりがいいと言っている訳じゃない。私に喰われる程度の使い魔が増えるよりもそれを喰らって私が増えた方が強い」
ちなみに「じゃあシャリーファ喰えないんだからいいじゃん」って言うと液体化して小さくなって「イツカクッテヤル…」って負け惜しみを言います。>>686
就職活動とかはカロリーやら使いますんで、身体の事を考えながら頑張ってください。
>>701
クッチーがなんとかしようとしたらそれこそ軍用兵器で物理アタックになりそうで……、魔術関係ねぇ!?
>>702
>どん底だった自己肯定感を改善する
問題はクッチーの自己肯定感も低い事ですね。改善したんなら上手くいったのでしょうが。
>>702
>フィルニース(人型)「相手が本当に欲しいものは何か考えたことがあるか?お前のそれは自分の願望を押し付けているだけのエゴだ」
クッチー「勿論考えてるよ?相手が本当に欲しいもの」(骨材のアクセを握り潰しながら)
クッチー「誉に必要な物。誉が欲しいモノ。多分間違いなく『兄と一緒に生きていきたい』って感じだとは思うよ?ホラ、ちゃんと理解しようとしてる」
「■■(削除対象)してないんじゃなくてさ。……■■(自主規制)してるんだ」
>フィルニース(人型)「それに私は飛鳥と二人きりがいいと言っている訳じゃない。私に喰われる程度の使い魔が増えるよりもそれを喰らって私が増えた方が強い」
クッチー「将棋とかチェスとか弱そうだねー、君。大ゴマだけじゃ勝負は出来ないし、強いって事が必ずしも生存に繋がるとは限らない」
Q.■■(削除対象)と■■(自主規制)に当て嵌まる言葉を答えよ!(配点10点。解答義務無し)>>710
確認したら編集跡もあったし、なんなら参戦してる聖杯戦争のページもあったわ。
いやいや確認ミスでしたね。記憶が正しけりゃ執筆者ってトムさんとアリウムさんでは無かった筈……。>>703
後はミラグロスとバイディワがジャックを召喚したり、リガヤプロと蘭猫のガチバトル(オブラートに包んだ表現)ぐらい?前に名前だけ出した中国少年のキャラシート出しときます。
兎破浪(トゥー・ポーラン)/Tú Pòlàng
年齢:15歳
性別:男性
身長:156cm 体重:48kg
好きな物:自己研鑽、お子様ランチ
苦手な物:脳筋
【解説】
中国の地方出身の少年。一般家庭から突然変異的に魔術回路を持って生まれ、その質と量共に天賦の才を有していた為に、地元にて研鑽を積んでいた魔術師に資質を買われ、師弟関係へと至った。
螺旋館に行ってもやっていけるどころか、ずば抜けた
【人物】
自身の才能を自覚している為か、やや自信過剰。しかしその才能に溺れる事なく研鑽を積み重ねる努力家でもある。
世界の広さを知らないが、だからといって井の中の蛙にならないタイプ。固定観念に囚われず、柔軟な思考を持っているので、割とどこへでもやっていける人種。時流適応ができるとも言う。
研鑽を重ねる求道者だが、存外にも言動は年相応。趣味嗜好に子供っぽさがあり、負けず嫌いで、田舎者と嘗められないように見栄を張ったりする(因みすぐ襤褸が出る)
無益な戦いはしない主義。けれども平和主義者という訳もでもなく、必要に駆られれば応戦はする。負けず嫌いなので諦めが悪い。>>722
【能力】
破浪の地元は古くから続く農本主義を奉じており、またそれ故に敬天思想を有していた。村民にとっては単なる暮らしを豊かにする為の思想なのだが、突き詰められば魔術にも発展し、破浪は天才とも言える資質を持っていた為、敬天思想に連なる法術の使い手に師事した。
思想魔術の一種。敬天思想から来る法術體系を習得しており、その中でも特に雷法、五雷法を基盤とした法術を得意としている。
雷法の攻撃法は従来の落雷だけでなく、電磁加速による金属物の投擲、帯電した魔力を加速運動させる事で大質量の魔力を放つ荷電粒子砲(これは魔術回路の耐久力から一日一発が限度)など多彩で、それ以外にも神経に電子信号を送る事による身体強化、周囲に磁場を発生させる事による魔術の妨害、電気マッサージなど応用の範囲が広い。
ただし、これらの応用範囲の広さは破浪が天才故のもの。とはいえ、思想鍵盤にアクセスできる領域が少ない程度には未熟で、内面も若いが故に経験不足で青臭い。
中国拳法が使える……なんて事はまったくなく、寧ろ肉体方面はへっぽこである。
将来的には大成し、四方に五雷たる四柱の雷神を配置し、その中央に立つ自身を九天応元雷声普化天尊とする事により、古来より天誅の象徴とされた雷霆の再現を一時的に可能にする。
・掌心雷
破浪の使う雷法の一種。手で雷を持って投げつけるというもの。基本的な攻撃魔術として使用する。黒鹿さん、ちょっと名無しの教室について質問が。
名無しの教室って要するに問題児が集められる教室という感じですよね?例えば派閥争いや権力闘争が嫌で黙々と研究するために自分から入った生徒とかって大丈夫ですか?へえ…へえ…ようやくfalling moonの最新話できました
貼って良いですか…チェストチェストチェスト…!!!>>726
【その他属性】人型、竜、王
【ステータス】筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:D 幸運:A 宝具:B
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術に対する抵抗力。魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:B
乗り物を乗りこなす能力。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
幻想種あるいは魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなすことが出来ない。
【固有スキル】
カリスマ:C
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。
仕切り直し:B
窮地から離脱する能力。
不利な状況から脱出する方法を瞬時に思い付くことができる。
加えて逃走に専念する場合、相手の追跡判定にペナルティを与える。>>728
透化:D++
精神面への干渉を無効化する精神防御。
アサシン能力「気配遮断」とまでは行かないが、精神を研ぎ澄ますことで一瞬とはいえ武芸者の無想の域、明鏡止水に至り霧すら断つ清絶高妙な一撃を放つことが出来る。
【宝具】
『法三章(ほうさんしょう)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0〜10 最大捕捉:20人
召喚後、3つの法(ルール)を定めそれに反した者に不可避の罰則(ペナルティ)を与える。
この違反にはセイバーも含まれ、また法(ルール)の内容にセイバー自身を含めることは出来ない。
こんな感じです。私が調べていた所で戦場で暴れていた一戦士ではなく人材を使うのが上手い人、という印象を受けたのでセイバー補正、竜因子補正でステータスは2流といった所に配置しています(ヘクトールに近いステータスが2流で良いかはさておき)。その分スキルは直接戦闘に有効になるものは余り入れてません。宝具はここに赤霄剣が加わると考えてくだされば。チェスト…チェストチェストチェスト…
とんとんとん、と包丁の音が居間に響く。理仁は椅子に腰掛け、膝の上に手を置いて時が来るまでじっと身構えていた。
真向かいにはエプロン姿の蘇芳が黙々と調理に打ち込んでおり、その背中からは凄まじい威圧感がひしひしと放たれている。
「何か手伝う事あるか?」
恐る恐るそう尋ねてみるが、蘇芳は振り返らずに、
「いらないわ。すぐに終わる」
「それなら良いが……何もしないっていうのも忍びなくてな」
「良いのよ、私もそうして欲しいから」
博物館をじっくりと見て回り、帰りにレンタルDVDをこれでもかというほど借りてきたデートの最後は蘇芳の自宅へとやってきていた。当初の約束通り兼、理仁が話した映画を鑑賞する為である。
蘇芳が理仁に家まで来て欲しい、そう言い出した理由は夕食に彼女の手料理を振る舞いたいからだったのだ。もうメインは準備をしているそうで、今はちょっとした料理を作っている段階である。
「前回はカレーだったでしょう、あの時は安直な選択をしてしまったけれど今回は事前にリサーチしておいたの。気に入ってもらえるといいんだけど……」
「凄い気合い入っているな……?」
包丁は小刻みにリズムを刻む。その様をじっと見つめるもののやはり暇をもてあましているわけで、理仁は手と足をもじもじさせる。
美和子にも同じ様に待てと言われてその通りに従った事はこれまで経験しているが、同年代の少女が手料理を差し出してくるまでを待つ日が来ようなどとは想像もしていない。
黒鳥邸は静まりかえっている。両親がいなくなってから、この広大な屋敷は蘇芳一人だけが住んでいる。彼女一人で暮らしていくには大きすぎる、寂しい雰囲気だ。>>731
「蘇芳、答えてくれなくても良いんだが聞いて良いか?その……色々どうしているんだ、生活は」
「父の会社は別の人が継いだ。一応義理で私の面倒をある程度見てくれるそうよ。お金の方も、まぁなんとかりそう」
「寂しく、ないか」
「……別に、あの人達に対して愛情を抱かなかったから。どうしてそんな事を聞くの?」
「気になったんだ。もしも辛く感じていたりしたら、オレに何か出来ないかって」
「出来る事……そうね、そこに座っていてくれる?それだけで良いから」
「うす……」
こう言われてしまえば仕方が無い。理仁は口をつぐみ、膝の上で手をもきもきとさせてその時を待つ事にした。
と、蘇芳が立てていた包丁の音がピタリと止まる。彼女は少しだけ頬を染めて振り返り、
「……出来る事、あったわ。調理はこっちでやるからお皿とかの準備お願い」
「お、おう!それくらいなら全然出来るぜ!」
待ってましたと理仁は立ち上がった。台所そばの食器棚へと足を運び、ズラリと並ぶ高そうな食器で息を呑んだ。決して間久部家の食器が安っぽいというわけではない、シンプルに『高い』と感じるものばかりなのだ。>>732
「あー、あっと、蘇芳。どの皿が必要だ?」
「メインに大きめの食器をとりあえず二枚。少し底が深いものにして」
「スープに使う様な奴か?」
「ええ、それで。持ってきて」
金色のエングレービングじみた装飾があしらわれた食器を二枚手に取る。食器でしかないはずなのに理仁には鉄塊の如き重みが感じられてしまう。もしも割ってしまえばどうなるのか、などと不吉な考えがよぎった。
そっと優しい手つきで食器を持ちながら台所へと足を運ぶ。鼻腔が美味しそうな匂いを嗅ぎ取り何処からかと確認しようとすると蘇芳からの一瞥が飛んでくる。まだ待っていろと言う鋭い視線に理仁は無言で頷き、そそくさと食器棚へと戻った。
「ごめんなさい理仁」
「急になんだよ」
「いえ、私、全部自分でやろうとしていたから。肩に力が入りすぎているんだわきっと」
「なんでそんな」
「全部言わせる気なの?それとも貴方の事だからハッキリ言った方が早いのかしら。好きな人に美味しい料理を作れるのか不安なのよ。また料理を作る、なんて約束までしたんだから」
蘇芳は背中を向けたままで言い切る。ぴしゃりと有無を言わさぬ具合なのだが、後ろから見て髪に隠れていても耳は真っ赤なのだろうと理仁でも推測できた。
調理を邪魔するわけにもいかない。並べられている皿を見つめながら、>>733
「大丈夫だって。オレ、蘇芳が作ったものなら何でも美味しいと感じるし、実際その通りだと思ってるから」
「っ……!?」
「カレーは失敗みたいに言ってたけどさ、あれもすっげぇ美味しかったし。今回も楽しみにしてる」
「……そ、そう、期待してくれるのはとても嬉しいわ。頑張り甲斐があるもの。……そういうのが一番」
最後だけ微妙に聞き取れなかったが、もう一回言って欲しいなどとてもではないが言えない。理仁は口元を緩めた。少なくとも蘇芳とコミュニケーションを取れているのは間違いない。
「他にはどんな皿がいるんだ?」
「あとは……幾つか小さな皿を」
言われるがままに食器を取り出してはテーブルへと並べる。共同作業───と言うには線引きがされすぎている様に思えるがそれでもじっと椅子に座っているよりかは理仁の精神的な苦痛は僅かに和らいでいた。
「ところでさ、そろそろ何が出るのかだけ聞いても?」
「ビーフシチュー。洲甘さんから貴方が家族の作る煮込む類いの料理が好きだと聞いたから。直接聞いたら、何が出てくるか丸わかりでしょう。それじゃあ準備が出来たから椅子に戻って」
好物まで聞いて入念に準備したとあっては理仁も期待せざるを得ない。喜び勇んで椅子へと腰掛ければ、蘇芳は料理が盛り付けられた皿を続々と並べていき、最後にシチューをよそった皿を両手で持って居間へと戻ってくる。好物を前にして、思わず感嘆の声が漏れていた。>>734
「おお……」
「そんな風に目を輝かせるの初めて見た……ビーフシチューで初めて貴方がはしゃぐ姿見たかもしれない」
「い、いやそんなずないだろ。他にもあるって」
「基本的に貴方の表情いつも目がしんでいるかくすぶっているかのどちらかよ。だからこそ、たまに感情を露わにするといつもとは違う色になる事があって新鮮ね」
自分の分を持ってくると共に向かい合う様に椅子へと腰掛けた蘇芳がくすりと笑った。理仁としてはそんな言い方はほんの少しだけ我慢ならないので、ほんの少しだけむすっと顔をしかめてみる。けれどそれもまた面白みがあるようで、彼女は口元を抑えた。
「あのな、オレが好きな食べ物の前ではしゃいで悪いのか~?」
「いいえ、全然。むしろ貴方も人並みに何かを喜ぶんだって、新鮮な気持ちよ。むしろ私の話ばかりしていては悪いし、理仁がどんなエピソードを持っているのか色々聞き出したいくらい」
「……とりあえず、いただきますからだな」
むすっと口を尖らせつつ、理仁はぴたりと手を合わせる。蘇芳もそれに続いた。
『いただきます』
不意に、手を合わせる層の姿に見覚えのある女性が重なって見えた。和服を着た、嫋やかな姿が。>>735
「……酷い映画ね、これ」
「お前が観たいって言うから借りたんだろーが。人喰いこたつモンスターの映画とかどう考えても面白くならねえって」
夕食を終えて急遽始まった映画鑑賞会。最初はそれなりに距離を取っていたはずなのに、気付けば理仁は蘇芳と肩を寄せ合ってテレビ画面とにらみ合いをする様になっていた。
垂れ流される映像はハッキリ言って視聴するのも耐えがたいチープなもので、レンタル料を払って観るものかと言われれば決してノーである。背筋をぴしっと正していた蘇芳でさえ、どんどんと力が抜けてくる始末だ。
「さっきの方が良かったかもしれない。さっきの……殺人ストーブの方が」
「単に一酸化炭素中毒での殺人事件ってオチじゃなかったかアレ、名作と迷作の割合絶対おかしいって」
「知らなかったの、世の中にはこんなにも微妙な映画が溢れているなんて。知る事が出来て良かった、いいえ知るべきではなかったかもしれない」
「……オレはもうごめんだわ、こういうの」
人喰いこたつモンスターは遂に本性を現わし、足を入れた人間を片っ端からその腹に収めていく。一体そこまで大きくないこたつのどこにそんなスペースがあるのか、一切説明がなく進んでいく様は理解を拒む人間に更なるダメージを与える驚異的な作風だ。>>736
「オレ、こんな馬鹿な事するの初めてかもしれない」
「私もよ。両親がこんな姿を見たら、きっと絶望して涙を流すかも」
「両親、か。オレの場合はスパッと捨てられちまったからなぁ。今の二人は、色んな事をしてくれたよ。確か、そう、一緒に公園へ行ったっけかな。凄い暖かい日で、両手を繋いで貰って……」
ぽつりぽつりと、理仁は記憶の片隅に残っている間久部夫妻との思い出を少しずつ遡っていく。
覚えている限りでは色々な事をしてもらった記憶がある。実の両親に見放され、荒んだ心ではまともに受け取れていなかったが、今思えばあの時から夫妻は献身的に理仁を支えてくれていた。
「楽しい思い出だ。忘れられないくらいに」
「善良な人達というのは、私にもわかる。初対面の人間にあそこまで優しく出来るなんて、そうそういないもの。あの二人に育てられたから、貴方は時々まっすぐな目をするのね」
「まっすぐな目?」
「さっき、いつも目がしんでいるかくすぶっているかと言ったでしょう。そうでない時の目はね、まっすぐなの。私に手を差し伸べてくれたり、助けてくれたり……」
衣擦れの音を伴いながら、蘇芳は顔を寄せてくる。いつの間にか距離を縮めていたばかりに彼女の整った顔が視界を満たしていた。
ゴクリと唾を飲む。そういえばここには自分達二人しかいないのだと気付くと、テレビからの雑音が急に遠ざかっていこうとしていた。
思わず後ろに下がろうとするが、床に置いていた手の上から蘇芳の手が重なり釘付けにされる。まるで獲物を仕留める獣じみた狙い澄ました行動だが、獲物側である理仁は言葉がでない。
「す、すお……」
「もう少し目を見せてくれない?動かないで、そのままで良いから」
「あ、え、いや」>>737
そこで、カチリと歯車の音と共に居間の壁に設置されている時計が空気を裂く様にして時報を鳴らす。途端に凝結していた肢体が活性化し、理仁はゆっくりと時計を仰ぎ見た。いつの間にか夜の十時を迎えている。家へ上がり込んだのが夕方の六時頃である事を踏まえれば、かなりの時間が経過しているようだ。
ぶつり、と時計との役割を入れ替えたかの様にテレビが息を止める。蘇芳はリモコンを使い、無言で電源を落としていた。
「……も、もう、こんな時間ね!今日はお開きにしましょうか」
「あ、ああそうだなうん!ちょっと長居しすぎたかもしれない!」
先程までの様子は何処へやら、弾かれる様にして二人は床に散らばっているDVDのケースをてきぱきと回収していく。揃って赤面したまま、言葉も出なかった。
いそいそと帰りの支度まで始める。誰かに追いかけられているのではないかという足取りで理仁はいそいそと玄関へと向かい、蘇芳も見送るべくそれに続いた。
胸がほんの少しだけざわつく。あのまま続けていればどうなっていたのかと、期待と後悔がない混ぜになって嫌な熱を理仁に感じさせる。もちろんそうなりたいと思っているわけではない。そんな関係性を蘇芳に求めてはいない。
(蘇芳は実の兄に色々させられた。だとしたらオレは心に、そう心に寄り添ってやらないといけないはずだ)
口中で自らを戒めながら、気付けば靴を履いてドアノブに手をかける段階まで到達している。ちらりと後ろを向けば、蘇芳は口元をきゅっと結んだ複雑そうな表情を浮かべて佇んでいる。
「じゃあ、帰るな」
「ええ。また機会があれば……」>>738
玄関扉を開けると、温い風が頬を撫でる。どうやらこれから雨が降る様だった。降り出す前に家へ戻らなければ、などと先程までの感情を押しころす様に努めながら理仁は外へ出ようとし、
『良いか、逃げるな。一歩踏み込め』
ふと、足を止めた。今朝柳花が真剣そのものと言った顔でそう言い出したのだ。
あの時は一体何を指しているのか判断はつかなかった。だが今はそうではない。ギュッと理仁はドアノブを握りしめたまま、じっと考え込んだ。
逃げてはいけない。踏み込まなければ、このままでは中途半端になってしまう。
意を決して開いていたドアを閉じる。どう言って切り出そうか、などと頭をガリガリと掻いてみるが良いアイディアは湧いてこず、
「オ、オレ今日泊まっていこうかな!」
踵を返し、思い切って言ってみたものがこれだった。あまりにも唐突で、けれどこの状況下ではそれ以外の選択肢が彼には見つからなかったが故の苦肉の策である。
浮かない顔をしていた蘇芳は予想だにもしていなかった展開にギョッとし、面食らった顔で口を開けた。
「え?」
「明日、は確か祝日だろ。学校もないし別段予定もない。蘇芳はどうだ?」
「何も、無いけど」
「じゃあ泊まっていくよ、下着の替えはコンビニで揃えるからさ。だから……ええと、良いか?」>>739
もしも断られたらものすごくダサいかもしれない、顔を見られないくらいに。今後顔を合わせる事を放棄しかねないほどに。
蘇芳の濡れ色の瞳がほんの少しだけ揺れ動いて、唇は言葉を紡ぐか紡ぐまいか葛藤する。
「……お風呂の準備、してくる」
ポツリと、蚊の鳴く様な声で彼女は囁いた。俯き表情は窺い知れないが、それでも承諾したのだ。
心臓がバクバクと早鐘を打つ。もう後戻りは出来ない、前へ向かって突き進むのみである。
いつもそうだ。正しいかどうかなどわからない。神の様に俯瞰的な視点を持っていれば話は別だが、理仁個人からでは物事の正解不正解など判断はつかないものだ。
だから自分がそうすべきだと感じた選択肢を信じるほかにない。今までもそうしてきた様に。>>740
窓に叩きつけられる雨音で理仁は目を覚ました。明かりのない室内は窓の外から差し込む月の光がわずかに照らす程度である。
傍らで眠る蘇芳の髪に軽く触れる。険の取れた寝顔、穏やかに立てられる寝息。赤子の様に無垢な様子に理仁は口元を緩ませる。
こつこつ、こつこつ、こつこつ。
雨が窓を打つ。思っていたよりも雨の勢いは強い様だ。
こつこつ、こつこつ、こつこつ。
「───?」
こつ、こつ、こつ、こつ、こつ。
気のせいか、音が変わった。雨ではない、まるで誰かが窓を叩いている様にくぐもっている。
ベッドから降りて、床に足をつける。ひんやりとする冷たさを足裏に感じながら理仁はゆっくりと窓へと近づいていく。
恐る恐る外を覗き込むがそこには闇しかない。黒い絵の具を彷彿とさせる、闇だけが。
「理仁……?どこ?」
蘇芳が呻いた。音を立てたつもりはなかったのだが、起こしてしまったらしい。何も見えない窓から離れてベッドへと戻ると、彼女は理仁を見上げて目を細めた。
「ああ、よかった。何処かへ行ってしまったんじゃないかって」
「何処にも行かないよ」>>742
細い指がつい、と立てられる。ゆったりとした動作で弟橘媛はそれを旗の様に振るい、
「邪魔なモノは、さっさと消し去ってあげましょう」
「ライ──!!」
間に合うかどうかではない、やるしかなかった。令呪へと叫ぶ。今目の前にいる敵を滅ぼせ、そう己が従者に命じる。
けれどそれでは間に合わない。もっと早く、視界に敵が映ったその時でなければ意味がない。
ごう、と風が吹く。弟橘媛による攻撃だと気付いた頃には全てが遅かった。
「マスターッ!!」
実体化したライダーが叫び、理仁を守ろうと立ち塞がる。だが防御の姿勢を完全に固めるよりも早く、白衣を真っ二つにする勢いで横薙ぎに払った触手によって彼女はロケット噴射するかという速度で黒鳥邸の外壁を真横から突き破り、夜の闇へと消えていった。
一瞬の出来事ながらも、理仁は即座に後ろへ跳んだ。すぐそばには蘇芳が呼び出したランサーが槍を手に身構えている。
「理仁、こっちへ!」
ぐい、と蘇芳に手を引かれて部屋の隅へと逃げる。弟橘媛は笑みを張り付けたままで、クスクスと笑い声を上げ始めた。
「ふふふふ、あはははは。もっと早く気付いていれば良かった。本当にごめんなさい、私の愛しい子」>>743
弟橘媛から伸びる触手が蠢き、次の瞬間部屋の床へと突き刺さる。ギシギシと家屋全体が悲鳴をあげ、理仁は足元がふらついてしまう。
ランサーが動く。閉所だが槍の鋭さは衰えず、闇の中で光の軌跡が弟橘媛めがけて突き進んでいく。が、また新たに現れた触手によって塞がれてしまう。
「なんだ、こいつは」
ランサーの声色には動揺があった。
「ただのサーヴァントじゃねえと思っていたが、お前は……!!」
「崩れ落ちると良いでしょう、この様なあばら屋は」
触手が一際強く蠢き、遂に床が砕け散る。それどころではない、家屋全体が崩壊を始めていた。
ここから出なければならない。理仁は蘇芳の手を取り、強化の魔術をかけて跳躍を試みるが、足元は吸い込まれる様に崩れ天井からも木材が降りかかってくる状況では、とてもではないが逃げ切れない。
「ランサー!蘇芳を頼むっ!」
腹の底から理仁は叫んだ。従者に己が主を助ける様に、自分を見捨てる様に、と。
蘇芳が険しい表情で何か言おうとするが、それを遮る様にしてランサーは素早く彼女を抱え上げる。幸いライダーが出ていった穴が空いている。槍兵は理仁を一瞥し、そのまま屋外へと飛び出していった。
(ああくそ、オレはどうする!?)>>744
ぐずりと崩れた足場に巻き込まれる形で、理仁は二階から落ちていく。強化魔術をかければ落下の衝撃は耐えられるかもしれないが、そらよりも目の前にいる弟橘媛からの攻撃はその範囲外である。
案の定、目の前には追いかけてきた弟橘媛が笑みを浮かべている。南無三、と理仁は精一杯の防御姿勢を取る。
ところが事態は彼の予想とは異なる展開となった。幾つもの触手が理仁へと伸びていったかと思えば、落下から守る様に全身を包み込み始めたのだ。
「な、何を…!?」
「大丈夫、貴方に傷一つ付けませんから。安心してください」
視界が触手によって覆い隠されるのと、地面に激突したらしき衝撃が走るのはギリギリ同じタイミングだった。弟橘媛が言った様に、理仁は瓦礫によって傷つく事なく無事に着地し、触手は丁寧に彼を崩れ落ちたかつて黒鳥邸であった残骸に下ろした。
一体全体、敵であったはずのサーヴァントが何故命を救ったのか。理仁は目を丸くしながら、遅れて着地してきた和服の女性へと身構えた。
「ふふふ、そんなに怖がらなくてください。もう私は貴方の敵ではないのですから」
「何言ってんだ!バケモン街中にばら撒いて、暴れるだけ暴れておきながら敵じゃねえだと!?」
「そうです。だって、貴方と戦う理由がなくなってしまったのですから。愛しい私の……マスター」
弟橘媛から発せられた言葉に、理仁は言葉が出ない。何を言っているのかが全くわからない、どう言い返せば良いのかもわからない。>>746
その名前に、理仁は数秒間言葉を失ってしまった。自分ではなく他人の口から聞く事になるなど予想もしていない。
もう決して名乗るはずのなかった旧い名前。
もう捨てたと思っていた旧い名前。
弟橘媛が手を差し伸べてくる。けれどそれに応えるつもりはない、理仁は動揺のあまり一歩ずつ後ろに後退りしていた。と、瓦礫を踏み外し、理仁は尻餅をついた。
「あら、大丈夫ですか?ヨアニス」
「違う、オレは」
「何も違いませんよ。私にとっては貴方はヨアニス・アルマソフィアです。こうして再会できたのはきっと運命に違いありません」
「なんで、知っているんだオレの……名前を」
「忘れてしまったのですか……?」
弟橘媛の腕が理仁の頭を抱きしめる。人をころし続ける化け物を生み出す、諸悪の根源であるはずなのに鼻腔をくすぐる匂いに全身の力は緩んでいく。
どこかでこの匂いを嗅いだ覚えがある。いつかの、どこかで……
>>747
「私と貴方はこうやって約束したんですよ」
「貴方を見捨てたこの世界に、復讐するって」ちなみに理仁の過去の名前は、橙子さんの「例の渾名」呼びレベルで他人が気安く本人を前に言ってはいけないレベルだったりします(※平常時ならば)
こそこそお坊ちゃん話、メレクとデセフィオどちらが体力無いかというと、
「基礎体力は年齢的にデセフィオが上(ただし17歳男子にしてはなかなか低い)」
「強化魔術など込みにするとメレクの方が遥かに上」
「体力作りへの意識やモチベだとメレク」
なので総合的にはまあ年下のメレクのが上だったりします>>761
デセフィオくんはこういうところだよね…好きだわぁ…
了解です
正直現時点でメレ坊に体力付けられるとわかりやすい弱点がなくなっちゃいますので助かりまする『大風起兮雲飛揚(たいふうひよう)』
大風起兮雲飛揚(大風起こりて雲飛揚す)。
威加海内兮帰故鄕(威は海内に加わり故郷に帰る)。
安得猛士兮守四方(安くにか猛士を得て四方を守らしめん)。
…項羽の垓下歌に並ぶ、大風歌と呼ばれる絶唱。
『鴻鵠高飛一挙千里(こうこくせんり)』
鴻鵠高飛、一挙千里(鴻鵠高く飛び、一挙に千里を行く)。
羽翼已就、橫絶四海(羽翼は已(すで)に就(な)りて、四海を横絶する)。
橫絶四海、当可奈何(四海を横絶す、当に奈何すべき)
雖有矰繳、尚安所施(矰繳ありといえども、なお安くんぞ施す所あらん)
…『史記』の「留公世家」に採録された詩歌。
ここのえも五億年ぐらい前にcv中村悠一の侠客のようなイメージで劉邦考えていたけど、公式の項羽と宝具名を対にできなくてチラ裏になった記憶が蘇る。供養でござる
>>759
横からですが失礼
戦場とは違いますが、『劉季斬蛇(りゅうきへびをきる)』あるいは『斬蛇起義』はどうでしょう
『史記』の「高祖本紀」によれば、決起する前の逃亡中にこの剣で以て道を塞ぐ蛇を斬った。先を進むと老婆がおり、蛇は白帝の子であり、赤帝の子に斬られたと嘆いたという。…という逸話があるらしいです>>763
情報ありがとうございます。とはいえその逸話は込みの状態でございます。
とりあえず第二宝具も完成してフラッシュアップしたものを投下します。とはいえ魔力ステータスを1つ上げたくらいですが。
【その他属性】人型、竜、王
【ステータス】筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:C 幸運:A 宝具:B+
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術に対する抵抗力。魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:B
乗り物を乗りこなす能力。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
幻想種あるいは魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなすことが出来ない。
【固有スキル】
カリスマ:C
軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。
カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。>>764
仕切り直し:B
窮地から離脱する能力。
不利な状況から脱出する方法を瞬時に思い付くことができる。
加えて逃走に専念する場合、相手の追跡判定にペナルティを与える。
透化:D++
精神面への干渉を無効化する精神防御。
アサシン能力「気配遮断」とまでは行かないが、精神を研ぎ澄ますことで一瞬とはいえ武芸者の無想の域、明鏡止水に至り霧すら断つ清絶高妙な一撃を放つことが出来る。
【宝具】
『法三章(ほうさんしょう)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0〜10 最大捕捉:20人
召喚後、3つの法(ルール)を定めそれに反した者に不可避の罰則(ペナルティ)を与える。
この違反にはセイバーも含まれ、また法(ルール)の内容にセイバー自身を含めることは出来ない。>>766
あっ申し訳ない
「赤霄剣」の逸話だった。おいは恥ずかしか>>763
中村悠一さん!いいですねぇ。
創作だと項羽とか呂雉のほうが目立っているような地味な扱い感じですよね。俺はスマホの通信料の見直しの為に量販店に行った!なんだかんだ古めの機種だったので新規の機種も購入したぞ!財布に大ダメージ!
今一利便性を感じにくい(買ったのは今日なので当たり前)!とりあえず前の機種もまだ使える状態だからゲームメイン用と割り切る事にした!
さてという事で”お題”というか気になった事。
【各マスター達の連絡ツール事情は?】
因みにウチの子はこんな感じ。
クッチー:プライベートと仕事用で分けて所持。飛ばし携帯とかも持ってそう
誉さん:兄に買って貰ったのを大事に長く使うタイプ
蒼:プライベート利用がメイン。仕事でも多少使用
鳳蝶さん:安めのタイプを一つ所持。あんまり携帯してない
刹那:持ってるけど今一活用できていない感。魔術面では活用できてるのに……
ポルカ:仕事用に一つあるかも、程度。
ヴィクトル:最新の奴は持ってるが、ほぼ持ってるだけ(メインの連絡は使い魔とか)
迅龍&ジジェ:すまーとふぉん………?
一応マスター陣は基本”新世代”って認識なので、機械系にも理解はあるかな~、ぐらいの認識絵を描こうと思ってApple pencilを繋いだら充電3%でした
チクショー!(◯ウメ太夫並感)
人間も機械もいつでも臨戦態勢になれるようにこまめな充電は必要ってことですね…
>>705
一応最終盤の決戦的なバトルだしダイジェストとかに纏めるのは…と思ってるのが私ですが、ディックさんが構わないようでしたらバトン受け取って書こうと思います
ただ、キャスターの固有結界展開なんかで丸々1話使う気がするのでその場合はご容赦をば…
>>749
ずっと意味深だった弟橘媛と理仁さんの関係がついに紐解かれる…!?
「愛し子」という言い方からしてずっと前から…それこそ幼少期から縁はあった可能性…?こうなると何か知っていそうなジョン神父にも訳を問いたいところ
>>773
コレはパチュリー的な本の虫キャラが名無しの教室に…?ストックしている魔術師には至高の美を持つ芸術像を作って根源に到達する事を目的とする真面目に狂ったクリエイター気質のえせ方言キャラな青年がいますね。
魔眼所有者で自分の芸術の為には他人から能力や技術を削り取って奪う事に躊躇いがないという人物像。
名無しの教室入れるか!?まぁ他の人との絡みでも美味しければいいのですが。名無しで言えば自分も考えてたキャラいるっちゃいるんですよ
元創造科で「貴方達は真の美を創り上げると言うが、芸術品や芸術は美を視覚化すうにおいては確かに有用な階ではあるけれども、真の美が存在するのは人心内部生命であるからにしてそんな蒙昧な願望を掲げている時点で貴方達が美を理解することなどは永劫有り得ない話なのです」という思想で論争したせいで孤立&四面楚歌状態になって逃げてきたっていう明治の論客みたいなヤツ
イゼルマの話すると顔が鳴門の渦潮になるしインスピレーションのために旅行してその度になんかろくでもないお土産持ってきたりするけど普段は冷静沈着な先輩らしい先輩、部活でいう副部長ポジが似合う人間です
まあ一箇所に自キャラ3人は流石に多すぎなので名無しでなくして象牙の塔辺りの所属としてのストックになっておりますが
…え?船は5人いるだろ?あっちは母数が大きいからセーフです、セーフ(天上天下唯我独尊のポーズ)多分デセフィオはうちのキャラクターの中でも体力無しモヤシ
>>783
りょ>>785
「ルナほどではありませんよ」
と微笑むメレクなのであった、まる!そういえばローザが気を許せる奴は誰だという話になるんですが、厳密には今はいないのですけど将来的になりそうな奴は一人だけいたりいなかったり
どこぞのいけすかないだっさい悲観主義のライバルが今のところ唯一の芽です
でもストーリー次第では他の人にも許せると思うので諦めないで……!
それとは別件ですけど定期的に大鳳兄妹の戦闘訓練すら冬縁香の光景とかありそうだなと思いましたそれとはさらに別件
ワルキューレ・ユグドラシルについて今いろいろと書いてます
こいつら、リンネとの相性が良い>>788
飛鳥ちゃんに関してはそれこそ>>702で言及した通り慢心ダメ絶対と定期的にシバかれてるといいなって思います。フィルニースをテリアルで倒して特攻や相性有利があってもその上で殴り勝ってくる相手もいるんだぞ的な。
京介の方は実は飛鳥ちゃんが独り立ちしたことで以前ほど力をつけなきゃ的な意識は無くなってるんですよね。たまーに来る大鳳の領地の魔術資源をパクろうとしてくる不届き者を返り討ちにできるだけの戦力があればいいみたいな。
ただし京冬時空なら話は別です。男のプライド的なのとかで「飛鳥(妹)を守れるように強く」って意識が「冬縁香(恋人)を守れるように強く」にシフトするので引き続き戦闘訓練は続けると思われます。>>792
見ている限りではおかしなところはないと思いますけどねー
元ネタあってのサーヴァントが該当する逸話もなしに強さだけ盛られるなんて不自然ですし>>794
いえいえ。ご心配おかけしました。
カリスマに関しては私もどっちにするか迷ったんですよね。
でも公式の項羽のあの頃の劉邦には天下を統べるぐらいには至っていなかった的な発言があったのでそれなら後に成長するとしてこれくらいかな……?と。
武人としては透化スキルで評価に組み込みました。
瞬間値なのは安定Bが一生棒振りしてた農民なのであんな境地に投げれる時間ねぇな、と。
それでも視界最悪な霧の中で白蛇を一斬出来るのでやれるだろうと。
ローランだのジークフリートだの知名度バリバリ神話伝承と比較すると落ちるだけで戦闘逸話が余り無い中では高ステータスに、ですね。リディアのこそこそ話。
ハロウィンでの一件から実体を持たない存在、つまり幽霊が大の苦手。
理由は神秘を用いないと射/殺・撲殺できないから。メンタリという既存のキャラをリメイクしました。ただ設定的に良し悪しが分かれると思われます。
>>750
お名前いただく時に「こういう展開になるけどええかな…NGはよほどじゃないとなしって言われたからええかな」でした許してください
>>754
本来はオレ泊まるわ!で終わらせようと思ったんですけどなにそれ…で締めた方がいいかななんて考えて無理やりくっつけてしまい…しかし後悔はない
>>755
多分あまりにも長すぎた伏線を回収する時が来たのです!
>>757
個人的に運命の構図でやって欲しいところがありますねえ!
>>771
話はガッツリ進めていちゃつかせて落とせええ!!これが強力です
>>773
緩急つけないと…ぶち込まないと…ぶち込んだあ!ってきぶんですほんとうに
>>774
かなり時間かかったんですが最終章らしくガッツリとこれまでの謎について触れていければ幸いです
>>790
戦争中なんだがいちゃついていてもこうはなるよなあ!!って感じですよねえ!!メンタリ/Mentari
年齢:不明
性別:女性
身長:131cm 体重:33kg
スリーサイズ:B68W47H69(Cカップ)
好きな物:幻実、お姉ちゃんとの思い出
怖い物:現実、大っきな大人達
起源:逃避
【解説】
欧州の片田舎で暮らしていた少女。しかし死徒の晩餐の被害に遭ってしまい、村は壊滅、唯一の生き残りとなった。
死徒の惨劇による唯一の生き残りではあったが、それ故に聖堂教会から汚染物質扱いされ、修道女か代行者かの選択を迫られたところを、死徒の隠匿に協力していた魔術協会側の人間であるウィリッカル・アウラコレーに多額の金で買われ、隷属を強制された。>>800
【人物】
足元まで伸ばされた髪に、両目を覆う眼帯型に魔術礼装が特徴的。
控えめな性格……というよりは、意思疎通に難があり、言葉遣いも辿々しい。これはウィリッカルによる教育(という名の調教)に加え、魔術礼装による思考の抑制の影響。しかし本来の性格が臆病なのもあり、調教の影響もあって誰かと話す時はいつも謙っているなど、臆病さに拍車をかけている。
肉体的成長はウィリッカルによって意図的に停められており、見た目は年端もいかない少女だが、既に成人している。成長を停められている理由は、万が一に備え身体能力的に逆らえないようにする為。
死徒の襲撃を契機に、悲惨な方向へと人生が転落してしまった事、長年に渡る調教を受けた事、女としての尊厳を散らされた事など、積み重なった絶望から自身には人として、女としての価値は皆無だと考えている。
夏か冬かと聞かれれば夏派。
平和に暮らしていた頃は、姉の後を追うばかりのお姉ちゃん子で、少し物臭な、夢ばかり見るメルヘンチックな少女だった。>>801
【能力】
先天的な魔眼の保持者で、平和な当時は開眼せず浄眼程度の能力に収まっていたのだが、死徒の事件の末に起源である『逃避』と魔眼が同時に覚醒した結果、幻視の魔眼、またの名を「空想繙読(フィクショナル・レコード)」と呼ばれる能力を発現させた。
幻視の魔眼。物質界に存在しないもの、あり得ざるものを認識し、それを虚構ではなく実在するものとして現世に固定し、定着させる魔眼。これは不確定な霊的存在、一般的には認識できない第六架空要素さえも“そこに、世界に実在する確かな存在”として留まらせてしまう。更に他者にすら影響力を持ち、誰かに「その姿を見た」という幻想を抱けば、その人物像を対象に投影する事ができる。ノウブルカラーでのランクは「宝石」。
また、直接肉眼で目視する必要はなく、脳裏に浮かべるだけでも「見た」という結果となって魔眼は発動する。故に思考の抑制と、視界を覆う眼帯型の魔術礼装を付けられている。
その規格外さと「黄金」をも超える希少価値故に、ウィリッカルに目をつけ、聖堂教会に連れて行かれる前に多額の金で買い叩かれた。
身体能力は成長停止の為皆無で、第二次性徴前の子供にも劣る。彼方、俺が旅を始めて。多くの人に出会いました。多くの苦難に遭いました。それらはとても地獄のような日々でしたが、それでも楽しいものではありました。それはあなたに会うための長い長い冒険だったからというのもあるし、俺の出会った人たちがとても好きな人たちだったから、というのもあります。
何度も涙を流しました。何度も死にかけました。でも、諦めたくなかった。俺の千五百年は、つまるところ、そんなくだらない意地なのです。もう一度あなたの顔が見たい。あなたに愛を伝えたい。ただその一心で皆を巻き込む盛大な自爆を考えたのです。あなたが欲しかった。あなたを自分のものにしたかったから。
あなたを、愛しています。あなたのためなら、全て捨てても、良い。あなたのためなら、全てあげても、良い。結局のところ、そんなありふれた恋心でしかなくて。でも─────
「へぇ……なかなか面白いこと考えるね。いいよ、リリカは死徒になるつもりだから。そのときまで生きてたら、計画成就を手伝ってあげる」
「………いずれ、そうだな。何となくの予感だけれど……ワタシ(魔)の骨を継いだ誰かがお前を助けるよ。そういう盟約を交わそう」
「馬鹿馬鹿しい。馬鹿馬鹿しい願いだが……まあ、聖職者ではなく、個人としてはお前を応援する。どうせ未来の司祭や代行者がお前を打ち倒すよ」
「ヴァルトルームはその野望に蔑みを。でも、僕は……そうだな……ロマンがあると思うよ。手伝わないけど」
多くの屍を積み上げました。それは私の都合です。多くの人を笑顔にしました。それもまた、私の都合です。名前は捨てました。かつての名前は人間社会に馴染んでいて、妖精に転生するには邪魔だったから。私があなたと再び出会うのに、その名前の存在は消さなければならなかった。
私だけが転生するのではなく、他の人を巻き込んだ理由は、単に私が人類も愛していたから。人類も大好きで、だからこそ辛い成長の道よりも楽しい自滅の道が良いだろうというお節介です。正しくないのはわかっているけど、やりたかったので止めませんでした。きっと、これぐらいが良いと思います。
だから、ねぇ。もう星の内海に融けて消えてしまったのかもしれないけど、私は、もう一度あなたに………「………次こそ仕留めてやる」
「私の身体は既に手に入れたはずだ。そこの脳髄と魔術回路だけでも十分に封印指定の執行は叶ったと思うけどね」
「個人的な事情だ」
泥が溢れる。カナリアの心の闇は過去最高潮。おそらく今ほど膨れ上がったことはない。そんな恋情が、嫉妬が、呪いになって溢れ出す。纏った鎧は難攻不落。宿った剣は一騎当千。呪い、毒し、引き摺り下ろす。何もできない羽虫に堕落させて殺.す。その毒は純粋無垢な妖精たちには有効で、ウルフィルトの繰り出す魔術も全て我が物としていった。
「計画の遂行のために土地の支援をそちらに回しているな。単純な魔術の技量は変わらんが魔術に使えるリソースは減った。先程までのような圧倒的な魔術行使は出来ない」
「それでも私の方が技量は上だ。勝てるとでも?」
「勝つさ。オレは時間稼ぎだがな」
溢れ出す蝶を、色鮮やかな小鳥を、小魚を、獣たちを、全て踏み躙る。その一つ一つが繊細な魔術式で構築された上等な使い魔だが、生き物であり、魔術式である以上、カナリアの呪いはその全てを犯す。
戦いの最中、カナリアは柄にもなく別のことを考えていた。……というのも、自分がここまでの出力を出せているのがおかしいのだ。本来この魔術は心の負の側面が大きければ大きいほど出力が増大する。しかし今、自分はかつての心のしこりを直接アインと語り合うことで脱却できたはずだ。ルナへの嫉妬も何もかも捨て去ったはずで……と、ここまで考えて。ふと、気づいてしまった。「人類がどうとか、未来がどうとか言ってるけど。お前、本当はそんなこと大事じゃねぇだろ。徹頭徹尾、自分のため。自分の好きな何かのためにやってるな」
「否定はしない。けどなぜそう思ったのかな」
「オレも同じだからだ。大義がどうとか忠義がどうとか言ってるけど、結局のところオレはあの人が大好きで我慢ならなかったんだ。それを変な理由で取り繕ってたんだよ」
ルナは嫌いだ。主君の寵愛を受けているから。本人にそのつもりがなくてもそれは許せないことでしかない。たとえルナより自分が愛されているとしても、ルナに主君の目が向けられているだけで許せない。
そうだ、自分はあの人が大好きで、あの人の全てが欲しいのだ。他の誰かにあの人の何処か一片が向けられているだけで我慢ならない。ユリアも嫌いだし、マリナとかいうあの代行者も嫌いだ。家族愛を向けているグローリアンという一族すら大嫌い。オレは、オレが一番に愛されたいし、オレだけに全てを向けて欲しい。この醜い欲望がオレなんだ。
「お前のそれは自滅の運命を導き出す。オレもそうなんだ。だからわかる」
「そうか。……でも、あの子を守るんだね」
「オレが一番やるべきことは主君の願いを果たすことだからな。嫌いでも、アイツが鍵ならオレはアイツを殺.せない。それでいい。それがいい。計画を破綻させて嫌われたくないからな」本当に、私に出来るのだろうか。英霊召喚なんて大魔術が、私なんかに出来るのだろうか。
“頼んだぞ”と言われてしまった。その言葉が私には何よりも重い。期待されることは恐ろしく、失敗により失望に変わるのが恐ろしい。それが嫌だ。特に今回で言えば、失敗した際の規模が大きすぎる。カッとなって受けてしまったけど、よく考えたら今回もたらされる失望とはカナリアやアインだけに限った話ではないんじゃないか?
別にそれで身体が固まるわけじゃないけれど、嫌だと言う気持ちは生まれるわけで。だからこそ、自分はこの召喚に本気で打ち込めない。こんな不義理、あってはいけないはずなのに。それでも私の後ろから、失望という名の未来が追いかけてきて……
「あ、失敗してもいいぞ別に」
「え?カナリア……の使い魔?」
「忙しいからな、殺し合いで。オレはお前が失敗しようが構わん。そうなったらオレが解決するし……オレはそれでお前に失望しない。オレからしてみればそれはオレが更に主君に愛されるきっかけになるだけだからな。だからまあ、気楽にやれば?じゃ、そういうことで」
使い魔越しでもひしひしと感じ取れるその早口に、思わず笑いが溢れて。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
魔力の高まりを感じる。呼べるという確信がある。期待に対する恐怖は拭えないが、今この場において、それは私の中にあるこの想い……あの子と再び出会うという想いよりも弱いものだ。問題ない。「閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
嫌なことなんて何もない。ただこの先が誇らしい。あの光る流れ星のように、彼女は再び現れる。お節介なあの子が現れないわけがない。
「─────告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。星の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
彼女がここに来るのは聖杯のためではなく。私たちのためだから。
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ─────!!」
そして、流星の女王は降り立った。>>816
ずっとそっちのイメージでした……。合ってますよ、書いてるイメージ通りです。
ルーカス・ソールァイトの描写イメージは
『元・天才児』
『天才児を引きずるエリートの青年』です。
要するに20歳超えててキャラ属性はお坊ちゃんなんです。極性はfakeのフラットに近いと思います。
身長高めなのは育ちのいい外国人ならこれくらいあるだろと昔設定したものです。でもギリ170台なあたり少年感を残そうとした名残が見えますね。というか名無し関係者の男性諸君、意外にもみんなネクタイ締めててかっちりしてるな…
男性にもなれるローザさんはどうなのだろう、パリジャンって感じなのかしら
>>805
服を魔術協会の制服にしたのもあって結構普通というか、時計塔にいそうな子の一人になりましたね
これで身長158cmで恋愛に初心っていうんだからあざとい
>>812
逆に考えるんだ黒鹿さん、8月9日からの一週間をハグウィークにしちゃおうと…()
所属者も順調に増えてきたことだし一回まとめてみたいな…でもキャラ描くだけだと侘しいな…となりまして。個性それぞれ、飲める飲めないがあるの学生って感じで私も好きです
二人で髪と瞳色の彩度が反対なのもあって単純な補色配色よりも対称的になってる感じありますね
>>820
コーヒーor紅茶程度しかレパートリーが脳内になかったのもあって二極化しちゃったらカップの種類増やさないとな、と思ってましたので嬉しい誤算にございます
厳つい・スキンヘッド・威厳マシマシ…デフォルメとは水と油なこの要素を扱える人は本当にすごいと思いますの…ちなみにシウンさんのシャツの印字は「fox」。キツネ以外にもずる賢いとか人を困惑させる、俗語ですごい美人という意味もあるそうで
>>803
魔眼めっちゃ強い…これ言うなれば空想具現化とかの領分にある代物なのでは?魔術師に見つかってしまったのが運の尽きとしか…やはり魔眼は常人の手には余るもの…
個人的にグランデと合わせてみたいなとも思いました。目キラキラさせるだろうなあ
>>811
これが友情という名の縁…!
どうしようもなく捻じ曲がってしまったエゴのぶつかり合いなカナリアさんvsウルフィルトさんの勝負、カナリアさんの独白もあってとても好き…
>>822
魔眼は直死とかみたいに何かいい感じの言葉遊び入れたいですよね。どういう効果のものなんでしょ
落伍者の掃き溜めみたいな扱い受けてますが、現状いる男性はみんなそういう要素は薄め(少なくとも見目を整えようという気概はある)ですからね
>でも崩すようなタイプがひとりいるのもそれはそれでいいですよねぇ
違いない。……まさか黒鹿さんが仰っていたとんでもない人がそれだったり…?
>>823
喜んでいただけて嬉しいですー!完全に自分好みマシマシ(緩いカールとかイヤリングとか特に)ですが…
思った以上に白髪の理由が深刻だった…一匹いるだけでもって憑き物をたくさん抱えてらっしゃるものね…
TPOをわきまえてるんですね。先生(白衣)時にはイヤリングは控えめなものに、という私の解釈はあながち的外れでもなかった…>>824
実を言うとなにができるかは未定というかなにも決まってなくて…なにが見えるかしか決まってません
でも〇〇の魔眼って少しでもわかりやすくなるようなひとつの単語に収めたいんですよね
しっくりくるのがまーったく浮かばないんですが…
>>826
今考えてるのは「美しいものだけが見える魔眼」というものです。どんな見え方なのかーとか見えたところで何ができるのかーって部分は決まってません
これにプラスして「なにを美しいと感じるか」かってところまでやればいいキャラ作れるんじゃないかなーと思ってるんですがまぁ見事にまとまらない。美しいってムズカシイ
あ、ハイ、そうです
でもこやつを入れると教室の空気ちょっと変わっちゃいそうなので入れるかどうかはお悩み中ですついでにメンタリに隷属を強要させた魔術師の詳細も。
アウラコレー家
元名門の魔術家。起源は「魔女の霊薬」であり、霊薬製作において名を馳せていたのだが、初代当主の成した「冥府」との契約によって回路が開かなくなっていく状態に陥り、徐々に没落を始めた。
現当主であるウィリッカル・アウラコレーは、時計塔にて鉱石科・植物科・呪詛科の三つの講義を受け、閉鎖している少数の回路で霊薬の作成に挑み、そして成果を出していく。
・停止の霊薬
ムーンストーン、ギリシャ神話に伝わるザクロの種、そして停滞と後退の呪詛を施した代物。投薬した対象の一部を停止させる事が可能で、物理・概念の両方に作用する。
しかし、肉体年齢を停止させても、不老不死にはならず、外見は若々しく保てても肉体細胞の劣化具合は変わらない。寧ろ過剰な投薬は、肉体の活動限界を狭める事態になる。>>831
ありす組かあ…良いですね…少女趣味前衛芸術分かり合えない夢現世界…
グランデならお姉ちゃんのことも共感(わか)りそうだな、彼女も居なくなった存在を思い続けてるわけだし。考えれば考えるほど創作意欲を掻き立たせてくれる…
>>832
買ってくるのはテレータのイメージなのでカルーアミルクは「えー!」ってなりそう。対してコーラは割とイメージ通りですね。スプライトとか好きそう
>>833
美しいものが好きで「どんな存在にも美しいところはある」という性格だけど美しいもの以外見たくねえ!ってなって盲目になって美しいものの識別をして生きてる…みたいな?
じっくり観察するのが好きだから、ローザさんみたいな全面美!な人は見えすぎて苦手…とかもあり得そうですね実はローザも服装のTPOを弁えたりします
>>823の考えと一緒
それと美かぁ……うちはローザはもちろんのこと、シャフリヤーナも「美」を命題にしてるからなぁ……>>839
アヴァロンルフェリスペクトっていうのと、あとここのページの一番下だけでも見てもらえたら今回の流れが大体わかるかと〜
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/異聞%E3%80%82吸血鬼と妖精女王>>840
あー(読んでみて)
あー!(繋がって)
あー!!!(納得する)
最後に登場したアルターエゴはそういう事かぁ……!東京で聖杯戦争を考えてみてはいるけど、時期、時空、場所によってはプロトタイプ勢(特に沙条愛歌)、空の境界勢、月姫勢とエンカウントする可能性があるんだよね……。
息抜きのバロールのお話
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/巨人は出来損ないを抱く
多分これの続きというか、似たような世界線のお話だとおもいます
愉悦部さんからヘレナ・クロフォードさんをお借りしています
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/m/wiki/ヘレナ・クロフォード
>>843
どうなんですかね?最終的には個人の好みになりそうな気もします「わかっているな我が従僕!貴様は我とロゼの使い魔であるのだ。我らが眠っている間もプライバシーに配慮しながらその身辺を警護するのが常だぞ!」
「お前寝るの?」
「貴様がリソースを喰らうからだ馬鹿者が」
「そりゃ面目ない。おやすみ」
最近はしっかり工房を構築して、プルフラスからではなく土地から魔力を徴収しているはずだが……と考えて、おそらくロゼと一緒に寝るのが心地よいだけだろうとバロールは判断した。多分、自分が召喚される前からそういう生活をしていたのだ、この二人は。
「俺はサーヴァントだから寝る必要がないわけで、必然的に暇になるんだが……って考えたらまあ、普通にずっと警備なんて暇だわな」
もちろん、マスターの命令には忠実に従う。どれほどそれが気に食わんものでも、己が魂、霊基に定めた信条に反するもの以外は従って然るべきだというのがバロールの認識だ。なので今回もプルフラスの警戒せよという命令には忠実に従う。そもバロール本人もその意向に賛成だ。これは聖杯戦争なのだから、敵の警戒は最大限したほうがいいだろう。故に、気を張り巡らせ続けるのは正しい。今もバロールは工房と化した二人の家の一角で警戒し続けている。あくまで“本体”は。「つーわけだ。よろしく頼むぜ分身」
「魔術師であれば己と同等の分身など如何様にも、な。まあちょっと違うけど任せとけ」
己の魔力を常に与え続け、育てた木々を材料として作り出した人形を形代にした。それを基に己の血肉を生贄に、ここに分身を作り出す。明確に本体と分体の関係性は分けているが、能力としてはそう変わらない。一度死んだのであれば、それを最後に記憶が本体にフィードバックする。なんとも便利なものだ。もちろん、それ相応のコストを支払って分身を外に出したのは理由がある。
「俺が召喚された理由を探る必要がある。俺とロゼの間には明確な縁などない。相性も運命の導きのような良さはない。何かあるはずだ。俺をこの街に呼んだものが」
ロゼはセイバーとの戦闘による偶発的なものでバロールを召喚した。魔法陣はあらかじめ引かれていたものだから召喚自体はイレギュラーだがその召喚性に不完全さはない。完璧なものだ。そして、だからこそ疑問が残る。巨人王バロール、直死の魔王。彼を召喚するに値する触媒を彼女達は何一つ持ち合わせていない。確かに内側に秘めるものはあるが、それはバロールとの縁になるほど強固な関連性ではない。
何か、別のものがある。この街には自分を呼んだものがいる。イレギュラーな召喚を引き起こしたものがある。それを、探さなければなるまい。俺にまつわるものなど基本良いものではないだろうから。
「たとえば、俺の魔眼の系譜とか、な。………ひとまず、俺のことをじっと見てやがる奴に聞くとするか」暗い、暗い部屋の中。私は光る画面を見ている。ここなら私は誰とも目を合わせる必要がない。誰のことも見透かして壊すことがないのだから。だから私は引きこもる。引きこもってゲームをする。ゲームなら、直接人と関わることはないから。
「っ、ひ、な、なに」
そうやってずっとモニターばかり見ていればよかったのに、何かの気の迷いで外を見たのが間違いだった。外の窓からうっすらと見える、巨大で虚ろな光を見つめてしまったから。
「や、やだ、近づいてくる」
怯えの言葉が漏れた瞬間、もう既にそれは目の前にいた。
「……なんだ、魔術師ですらねぇじゃねぇか」
「ひぃっ……!」
人ではないのはすぐわかった。人ではない化け物の中でも選りすぐりの化け物だというのもすぐにわかった。そしてそんなものが、こちらに警戒心を向けたままこちらを見下ろしているのもわかった。人外、その通り。巨人、多分巨人だ。死の気配、これは自分も近しいものを感じる、それほどまでに濃厚な物事の本質を殺.す力。そしてそのさらに深く、奥に眠っているものが、怖くて見ていられなくて、だから反射的に、ダメだとわかっているのに生存本能が壊そうとして……「はいそこまで。出会い頭に俺の霊核ぶっ壊そうたぁ良い度胸してやがる。そんなに俺が怖いかよ?」
「え?………えっ?」
止められた。方法はよくわからないけど、壊そうとした自分の“手”を目の前の化け物に止められた。それどころか、布を顔に被せられた瞬間に何もかもが見えなくなったのである。それはただの物理的視点のみではない。医療用の眼帯をつけようが両の手で塞ごうが見えてしまっていた、万物全ての事象の本質そのものが、見えなくなった。
「魔眼殺し。俺を呼ぶなんざ俺の系譜の魔眼だろうと思って用意しといてよかったぜ。下手すりゃあここで殺されていた」
「なに?これ、えっ?」
「………やっぱ人が持つもんじゃねぇな、これ(魔眼)。つーか話ぐらいちゃんと聞けや。これ飲め」
「んぐっ!?」
気持ちを落ち着かせ、体内のオド(生命力)も増幅させる薬を無理やり飲ませる。バロールにとっては目の前の少女は話を聞き出さないといけないものであって、それを最優先にした結果こうなるのは必然である。本来ならば恐怖で昂る筈の感情が、自然と沈静化する。頭が冷えるというやつだ。
「俺はお前の眼について知っている」
「わ、私の、これに……?」「ああ。俺はお前のその慢性的な体調不良の治療法も知っている」
「な、なんで」
「俺はお前の眼の大元だからだ。お前の体調不良も、全部その眼が悪い。遠縁の子孫のようなもの。どうせソレで俺が人間じゃないことはわかっているんだろう、むしろ説得力ないか?」
確かにそれは合っている。自分のこの眼が目の前の男は人でないことを映し出しており、さらに言えばそこから踏み込んで、彼の眼も特別なこと、何かしらの関係がありそうなこと、それら全ても捉えている。きっと、目の前の男が言う言葉は嘘ではないのだろう。変に取り繕わず、変にこちらを慮らず、無遠慮にあちらの都合ばかりを捲し立てられているから逆にすんなりと飲み込める。しかし……
「私と、あなたは、関係ない。教えてくれる、義理もないし理由もない。あなたは、信じられない」
「なるほど、やけに率直に言うもんだ。他人の善意より悪意が欲しいのか」
魔眼というものは所持した人間の人生を狂わせる。魔術師が扱うのであればまだしも、一般人ならば尚更である。故にこの少女も、生まれ持ったこの眼に振り回された人生だったのだろう。可哀想に、という憐憫はない。そういう運命であったこと。そこから立ち向かう意志が消えたこと。そんな存在にくれてやる優しさを巨人王は持ち合わせていない。ただ、優しさはないがそれ以外のくれてやるものはある。
「はっきりと言おうか。俺はお前のその眼の使い方が勿体無いと思う。お前個人がどう思うかではなく、持ち得るものは適切に使いこなしてこそだろう」「別に、こんな眼なんて要らない!」
「何も積極的に使えなどと言っていない。使わない方法を身につける、これも立派な使い方だ。それすらできんお前だからこそ、俺は勿体無いと言っている。何より俺の腹が立つ」
なんて横暴な、と思った瞬間に顔にかけられていた布が剥ぎ取られる。するとそこには既に男の姿はなく、残っているのは木で作られた小さな人形のみ。そしてその人形が、先ほどまでの男だったのだと再び駆動を始めたこの眼で理解した。さっきまでのは男そのものではなかったのだ。
「契約でもなんでもない、ただの提案だ。明日また1時こっきりに窓を見つめろ。そうすれば会いに行こう。情けないお前の代わりに、俺がその眼の使い方を教えてやる」
「……見つめなかったら?」
「そこでおしまい。生涯お前はそれに悩み苦しむことになる。眼を抉り取る勇気もねぇ、死.んで止める勇気もねぇ、そんなお前はさぞかし地獄だろうし、巻き込まれる周りにとっても地獄だろうよ。
ま、俺にとっちゃそれも肴だ。分不相応なもんを持った女がただ一つの選択すら選べなかったんだと笑い飛ばしてやる。………さぁ、どうする?」
………巨人、というよりはまるで悪魔。そんな嗜虐心に溢れた笑い声を向ける男の誘いを、受ける以外、なかったのである。
おしまい。誰にでも気の良い兄ちゃんというわけではないのです>>855
前は男性が少ない少ない言ってたのに急に増えましたもんねぇ…
ありがてぇ…>>858
ロゼ「^^」
微笑んでるけど威圧感たっぷりなシスターに、それが怖くて何故かバニキと一緒に縮こまってるプルフラスもいるんだ……!>>861
適度にシバかれるのを受け入れられるバランスにするのってすごく難しいと思います
そのあたりもデセフィオくんいいなって思うんですがいざ私も動かすときにこのバランスをちゃんと保てるか若干のプレッシャーでもあり…コソコソ虚構妖精編裏話
例の回想シーン、上から順に「死徒になる前のリリカ」「ウキが持つ混血の大本となったやつ」「その代のディストルレジェレの意訳聖書の持ち主」「ヴァルトルーム家のご先祖様」だったり芸術家系魔術師が出来たけど、コイツ男にしようか女にしようか迷ってる。
考えてるのは女性だけど、それだとなんかポルカと雰囲気が被りそうな印象もあるし、まずはキャラシート見て貰って性別どっちにする方が好きとか聞くの可能かしら。短いですが、第■回の更新しました。
後は決戦だけですが、どうしましょうか?もしかして「欲」に纏わる魔術ってめちゃくちゃ難しいのでは?(今更)(概念系から離れよ中納言)
>>850
鯖鱒とは別のところで運命(fate)やってる…ヘレナさんの方に召喚されなかったのがこうなると不思議になってくるくらいドラマチックな展開がありそうですねぇ
それはそれとして巨体悪魔とか恐ろしさ尋常じゃない…ヘレナさんは本当に悪運がお強くていらっしゃる
>>852
えへへ、せっかくなので描かせていただきました!
タレ目つり眉とか小憎たらしさとか上手く表現できね〜な〜!ってなって髪質ストレートなのもあってあの中で一番苦戦したっていうのはここだけの話(アンカバー)。高級スーツわからなくて気休めにネクタイに柄入れたのもここだけの話
>>854
お役に立てれば幸いです…
あー、良いですね、性別不定。自由なんだから自由で良いよね!良い知見を得られました
ロベスピエールさん、革命成功後の政権樹立までの立ち振る舞いは本当にやり手で…因みに私の中のバラは英雄って褒められたのもあってロベピさんに憧れてたりもします。会ったら目キラキラさせる「サーヴァント、ライダー。真名をフェアリー・アルターエゴ。月夜に謳う勇者たちとの契約に基づき、召喚に応じ参上しました。世界の救いではなく、ただ一人の男の葬儀のためであれば。妖精女王として、あなたに力を与えましょう」
鮮やかな桃色と、柔らかな銀色。特徴的な髪の毛を揺らして、妖精女王が降り立った。そのティアラも、その瞳も、声も、かつて一緒に旅をして、そして到達点に至った少女のそれだ。ちょっと、いやだいぶ違うのは、装いだろうか。まるで女王そのものだ。
「……マヴ、なの?」
「勿論。……と、言いたいところですが……ワタシはあの“少女”とは異なります。彼女はあそこで星の内海に還りました。このワタシを構成する霊基は世界各所に存在する妖精を統べる存在のもの。妖精王だったり妖精女王だったり……まあ、そんなものの信仰の集積体です。かの異聞において、奈落に降り立ったのが聖剣の騎士の概念ならば。ワタシは妖精の女王の概念そのもの、と言えるでしょう」
あの時、あの場で、虚構の妖精だった彼女は消えてしまった。正しく本物の精霊となって、消え去ってしまったのだ。ただ、彼女という存在は星に記録された。しかしながら、それでは信仰が足りない。かの地の聖剣の守護者のような役割を、妖精女王は課せられてなどいなかったのだから。
目の前にいる英霊はそんな妖精の女王たちの信仰を、そして星に還った彼女たちの存在をまとめあげた人々の想い、そして星の夢の凝り固まったもの。妖精に抱く幻想の側面を切り出した、一種のアルターエゴである。「まあつまり、本質的には別人。私の部分はあるけどワタシである、ってわけ。難しいけど理解してください」
「……まさか、本当に英霊召喚を成功させるとは。けれどそれならそれで疑問が残る。なぜその外見で現れたのか。なぜその記録を持っているのか。君はあくまで異聞の女王の姿を模しただけのはずだ」
「ええ、そうですね。本来のワタシはそういう存在ですよ、ウルフィルト。あなたが数百億分の一の可能性で異聞のかのブリテンを見てから、彼女は創られた。しかし、言霊の力、名付けることの魔術的意味合いはあなたもよくわかっているでしょう。あなたがそうだったのですから」
「………マヴと名付けられたことで、存在が結びついた?汎人類史の創り話、女王マブと……!」
「その通り。ロミオとジュリエットに登場する女王マブ。女王メイヴと同一視されることもありますが関連性の有無は議論の余地があります。ですが……ええ。マスターたちが彼女にマヴという名前を与えたことで繋がりました。見事、記録を妖精女王の霊基に組み込むことができたわけです」
そして、その動きがなければライダーがこの場に召喚されることもなかった。マヴと繋いだ縁はあれど、マヴがこの概念に組み込まれることがなければフェアリー・アルターエゴとの縁が生まれなかったわけである。この旅路が、彼らの努力が、間違いなく功を奏したのだ。「あとはこの通り。本来であればもっと別の事態でなければ召喚されないワタシですが、友達がお願いをしてきたので仕方なく特例です」
「……マヴ……じゃなくてアルターエゴ……」
「マヴ、でもいいですよ。……さて、というわけでウルフィルト、あとはアナタを打倒すればこの騒動は全て収まるのですよ」
「……世界中の侵食が止まった。これも君が?」
「ええ、まあ。リムと獅音がワタシが召喚されるまでの間、ずっと頑張って食い止めてくれていたので。……終わりの時です、ウルフィルト・ロッテンキャット。あなたの葬儀を見届けることはあっても、あなたと共に心中するなどまっぴらごめん。そんなことはあっては許されません。これは星の意志であり、人の意志です。そもそも──────」
アルターエゴが次の言葉を口にする前に、世界は妖精で覆われた。数百、数千では足りない。おそらく数万、もしくはそれ以上。ウルフィルトが生み出し、星によって本物に作り替えられた数多の虚構妖精たちが溢れ出る。狙いはただ一点、今この場においてアルターエゴのマスターとなったルナ・アードゥルただ一人。彼女を妖精にしてしまえば、人理との縁が切れこの召喚術式も破却されるからだ。その目論見は正しい。だが……
「話の途中よ、退きなさい」今、目の前に立っているのは“妖精たちの女王”という概念そのもの。数多の人々が空想に想い描き、星の内海に眠っていた幻想の、しかして虚構にあらざる女王。その声一つで妖精は服従し、霧散する。虚構のままならルナを引き裂き殺していただろうが、本物になった以上はアルターエゴに敵う道理はない。妖精に対する絶対的命令権。それを特権として所有している。
「そもそも─────惚れた女に会いたい一心で走り続けてるのを、ご大層な目的並べて取り繕ってるだけじゃない、アンタ!」
「………なっ……な、なっ……そ、そんなことないんだけど!?まったく何を言っているのかな!?」
「顔色が変わったわね。それで良いのよ。下手に理性なんて持たずに本能で殺しに来なさい」
図星を突かれて羞恥心に顔を赤らめるウルフィルト。激しい動悸を抑え込んで、精神の平静を保とうとして……けれど妖精へと変化したからか、自身の再燃した恋心に抑えはつかなくて、土足で踏み込んできた目の前の女王への怒りも湧いて。
「ここで君を殺.す。そして計画を遂行する」
「………来なさい。人の身でありながら星に手をかけた魔術師よ」勝負は一瞬だった。繊細な描写も何もいらない。ただの一撫で、ただの魔術、それで全ては締め括られた。
ウルフィルトが発動した魔術は人類が辿り着ける極点の一つだったのは間違いない。星から汲み出したリソースと、人類の積み上げた魔術としての知識や技術を最大限用いた魔術式。それらは“命中した存在の規格や魂のラベルを塗り替え破壊する”という、ある種アカシックレコードに触れかねない大魔術だ。おそらく、命中すれば精霊すら堕とせる。
ならばここで大事なのは、ウルフィルトと敵、そのどちらが“格上”なのかであり、アルターエゴはウルフィルトの上を行った。かつて旅立った少女が持っていた権能によって、汲み上げたリソースを奪い取り、不完全な状態の魔術式にしたのである。そうして打ち破った。あとはウルフィルトを殺.すだけだ。
「と、ウルフィルト(あなた)は思いましたね?残念ながらあなたはあちらです。殺しはしません、既に妖精の身であるならば、大人しく星に還りなさい」
「え?わ、あっ─────」
意地悪そうな笑みを浮かべて、華麗に脚でウルフィルトを蹴り飛ばす。吹き飛んだウルフィルトは星の内海に繋がれる扉に叩きつけられ……その扉の内側に入り込み、消えていくを開きっぱなしだった扉もその瞬間と共に閉じ、消え去ってしまった。この瞬間、星の内海を伝わって行われた全人類の妖精化計画は破綻したのである。
「ワタシが呼ばれたのはそも彼の葬儀のため。ワタシ自身が殺.すだなんてことはありませんもの、ね?」
「…………許しちゃったの?マヴ」
「許すも何も。彼の計画にそもそも殺人の余地なんて生まれませんでしたよ。確かに彼の遺物を巡って抗争は起きましたが、それは彼が関与したことではなく、外野が行ったこと。ええ、全てを俯瞰することができたワタシ、フェアリー・アルターエゴが断言しましょう。………彼の計画は一人も死人を生まないものだった。だからほら、頑張り続けた彼に報酬があっても良いのでは?」「そっ、か。……じゃあ、マヴの役目もこれで終わり?」
「ええ。これっきりの特別なものだから。……ルナが聖杯戦争に参加したら……いや、それもないか。ワタシ、普通は絶対呼ばれないものね」
「わかった。………ちなみにこのまま契約を維持したりは……」
「ワタシに割く魔力リソースのせいであなたが魔術の研究を出来なくなってもいいなら」
「それはやだ!」
「じゃあ、お別れです。ワタシはあの子であってあの子ではないのですし、今回のこの現場がたった一度の奇跡だった、ということで」
キラキラと光っていく。彼女の言葉を鵜呑みにするなら、彼女は妖精の女王という概念として、彼女に相応しい場に帰るのだろう。帰って、私たちのことをずっと眺め続けている。そうやって、私たちの夢を見て微睡み続ける。「魔術が成立する最後の紀にあなたは生まれました。これはとても幸福なことを意味します。……だって、まだあなたにはチャンスがあるんですから。だから、うん。頑張りなさい、応援してる」
「うん。………マヴも……綺麗だったよ。すごく綺麗」
「そう。……それでは」
「さようなら。……流星のように煌めいた女王様」はじめに感じたのは、計画が失敗したことへの悔しさ。そのためだけに千年以上の月日を尽くしたのだから、悔しいに決まっている。その虚しさを咆哮として轟かせようともしたが、みっともないのでやめた。
次に感じたのは、深い興味。アルターエゴの言葉を信じるなら自分は今、星の内海に向かっているはずだ。この身はすでに妖精で、だからこそ辿り着いても死にはしない。だからきっと、星の内海がどういう場所なのかを直接感じることができるはずだ。魔術師ならば興味が湧いて当然だ。やはりとても煌びやかな場所なのだろうか。それとも無音の海と砂浜?
「痛っ。……うぅ……ん?黄昏と……草原?星の内海って案外質素……」
「そんな質素なところであなたをずっと待ち続けた身にもなってほしいわね」
「は?………あ────」
そこに居たのは、消えたはずのあなた。星の内海に還って、融けて、眠り続けているはずのあなたで………「あの女王様のサプライズと……あと、うん。意地ね。星の内海から出ることは叶わなくても、ここで過ごして良いんだって。もちろんあなたと一緒によ、◾️◾️」
「………は、ははっ。私……俺、あなたに言いたいことがあって。ずっと前から言いたくて、言えなくて。好きだって言ったけど、その先が言えなかった」
それを言ってしまえば、心が張り裂けてしまうと思ったから。もう叶わない夢を口にするのは、嫌だったから。自分の計画が成就したところで、目の前にいる彼女はとっくに消滅したと思っていたから、言えなかったのだ。願いが叶ったのに叶えられないなんて矛盾に、気が狂ってしまいそうだった。目を背けたかったから。抱きしめるって約束したのに、それも果たせないのは嫌だったから。
「じゃあ、言ってよ。約束したハグも忘れずにね」
「もちろん。……えっと、その………俺はあなたが好きです。だから、だから!
俺はあなたと──────」
おしまい。次回、エピローグ前半です。前後半に分かれています>>884
「魔術が成立する最後の千年だから実質ラストチャンス。ルナも頑張ってくださいね」という超越者的視点と友人としての視点が入り混じった応援なのです
裏話
妖精の女王としての概念なのでティターニア(マブ)(その他諸々)を引っ提げてはいるものの本質的には「実在しない、存在できない空虚な幻想たち」なので召喚されてもそのどれにも似つかないステレオタイプのものが現界していたはず
ですが今回はマヴが一回こっきりの特例として核になったので割とマヴに近い形のパーソナリティとして現界しました>>884
>男子作るつもりが気づけば女子が似合う感じになってた
ザックリいうならそんな感じです。人物像を主軸で考えてたから男性としての名前もまだなのに女性に滑ってったから名前が全く浮かばん……”ユートグリラ・ハピネス”なんてキャラじゃないしなぁ
とりあえず性別&名称以外はほぼほぼ完成したので、投下しますね。>>888
【魔術・特殊技能・特性など】
創像魔術(イドルム・マギカ)
・様々な材料を使用して色々な像(人形や美術像)を作る、素材の中からそれが一番美しく輝ける”真理”を見つける魔術。
その一族が産み出す偶像は多岐に渡り、例えば仏像、もしくはガーゴイルにゴーレム、あるいは案山子と狛犬、更には天使と悪魔の像など、所謂美術品となり得るモノならなんでも作る。
・木、石、粘土、金属といった素材を扱う魔術である為、特に感覚的なセンスがもっとも重要とされる。
『剥影の魔眼』
・視界に入った”モノ”から『概念』を削り出し、奪い去り、眼球の中に保存し、元の持ち主以外(主に自身の主)に与える魔眼。は今一魔眼の制御は出来ておらず、欲しいと思った”才能”や”感性”、”美点”を密かに、そして無自覚に盗み取っている。やろうと思えば攻撃手段にする事も出来るが、は「美しくない」とその用法は嫌っている。というか魔眼の魔力を自身の魔術回路に上乗せこそやれているが、は魔眼の本質の理解も名前の把握も出来ていない。辛うじて”良くないモノ”だとは思っているが、その程度の認識である。>>889
【礼装・装備など】
・己が作成した石像や人形などを使い魔にしており、戦闘や日常生活のサポートを任せている。
・車輪型のスケート靴のような形状と機能に変化する靴型の魔術礼装。車輪を回転させる事で高速起動と斬撃攻撃、一撃離脱型の肉弾戦を可能としており、己の配下である”像”たちを嗾けながら、敵の間隙を確実に穿つ戦闘スタイルはかなり鬱陶しい。
【外見・容姿の詳細など】
・ズタボロのスーツを着込み、塗料や粘土などが所々にこびりついた手術着を着た長身の青年。筋力はあるのだが、着痩せするタイプなのでガッチリ感は皆無で、浮世離れした雰囲気を纏う。両目を晒を巻いて隠しており、それも初見のインパクトに繋がっているようだ。腰に巻いているレザーケースには鑿や玄能、彫刻刀などの美術ツールを纏めて収納し提げている。
【人物像】
・魔眼の影響で少々エキセントリックな性格になっているが、本質的には真面目で根気強く、そして若干頑固で拘りが強い職人気質の人物。至高の”美”を創り出す事、ひいては根源到達を目標とした芸術家であり魔術師。
・『美しい存在』を産み出す事、創り出す事が生きがいであり、存在意義。
イメージカラー:常に色味が移り変わる空色
特技:暗算、エコーロケーション技術。
好きなもの:ステーキ、ドライフルーツ。散財、美術品集め。短めの旅行
苦手なもの:インスタント食品、塩味のポップコーン。早寝早起き。製作コストの上昇
天敵:無茶な納期
願い:不老長寿>>890
【一人称】僕(やつがれ)【二人称】お前さん、アンタ。 【三人称】○○の旦那、××さんトコのお嬢、など
台詞例
「僕(やつがれ)は芸術家や言うが?素材の運搬に芸術活動の間の忍耐、その他でかなり運動量はあるがじゃ。鍛えとかんとアーティスト張るのなんざ土台無理でっしゃろ~ゆう話やけんきのう」
「ああん?新規の石像依頼の申し込みじゃと!?今は作成が立て込んじゅうがやき、後回しになっていつ締めるかがぁ解らへんねんけど、それでもええならやっちゅうがええか!OK?じゃあそこいらに依頼書あるけん、内容の記入しとけ。……あ、連絡先なんぞは忘れんと記載せぇ、コミュニケーション出来へんねんからそこの抜けがあったら望みの仕事をやるんは無理やぞ」>>891
【来歴】
・イタリアの芸術家、その端くれである魔術師を祖とする魔術の一族に生まれた。子供の時からその才能は遺憾なく発揮されており、ローティーンの頃には既にその芸術家としての名前はイタリア内でも広く知れ渡る程であった。
・の芸術は輝かしく、美しい物であった。は数多の作品を産み出し、世に送り出していったが、次第に疑問が一つ。が芸術を生み出す程に、家族や周囲の人間が疲労困憊となり、参っていき、そして最後には病弱になり床に伏せるようになるのだ。死者が出る訳でも無いが、少々気味が悪かった。そのうち、原因不明の体力不足は自分に発現している魔眼の影響なのでは無いか?という直感を得るに至る。何故なら同じ屋敷に住んでいる人間でも、己との接触が少ないもの、自分が見ていない相手ほど元気だったからである。世の中には掠取の魔眼とやらが存在するようだし、きっと己の眼も似た種類のソレなのだろうと結論付けた。
・芸術活動をやめるという選択肢は存在しない。何故なら私は魔術師であるから。己が”美”を産み出す程、『根源』に近づいているような実感があるからだ。……それにホラ。『根源』に至る為なら、家族の元気ぐらいなら多少はね?自分が悩みでスランプになった時は「構わず続けろ!」って言ってくれたし……。まーずっと一緒に居て金策や政治してくれてるあの人は元気の塊すぎてちょっと引いてる感も我ながらあるけども……。>>892
【性格】
・真面目で凝り性、根気と集中力に優れる芸術家。己の芸術活動に支障が無ければ概ね優しく、少なくとも無暗な喧嘩は避けるタイプである。が、命の危機という修羅場・鉄火場による刺激による”美”へのインスピレーションを求めたくなるタイミングがあり、そういう時は困った事に好戦的で乱暴な一面を見せる。
・自分の事を理解されたい、共感されたいとはほぼ思っておらず、まずは己が産み出した”美”に感動せよ、崇拝せよ、心を震わせろ、脳を揺らせ!と考える生粋のクリエイター。高い値札が付く必要もないと考えており、心の底から感激した人物が欲しいと言えば製作依頼をされたモノでもない限り、その心意気を対価に売り渡す事が多い。ただしそれはタダで譲る事とイコールでは無く、まずはそれなりの価格は提示するし、場合によってはローンも組む。
・極論”美”は何からでも生み出せるとする主義でもあり、そこら辺で拾ったり買ったりした安物の素材も有効活用し、作品を産み出す。
・口調がちょっとどころでは無くエキセントリックなのは、己が魔眼の影響。知らず知らずのうちに他人の情報を身体に植え付けられている為、人格情報が大混線しているスパゲッティコード状態。故に思考や台詞が滅茶苦茶にぐちゃぐちゃで、出力すると解読難易度が非常に高い状態となってしまう。じゃあ情報の渦に呑み込まれて本来の人格自体がどっかに埋もれてしまうのでは?と思われるだろうが、は自分を保っている。何故か?端的に言えば、”美”に魅入られた我がとんでもなく強固だからだったから、という結論に帰結する。矛盾するようだが、”美”を至上の価値観とする は、認知しにくい自分の変貌も「それもまたどうでも良い」、「そんな事もあるだろう」という自己変化の範疇として受け入れて生活しているから。仮に魔眼の影響で自己が変質していると知っても、「ソレがどうした、芸術を生み出す為には些事である」と迷いなく断言する。>>893
・因みに、芸術方面に関しては天才的な一方、私生活はからっきしで、家事はまるで出来ない。得意料理はカップ麺で、整理整頓も大の苦手。入浴も創作活動でハイになってると忘れがちで、更にはヘビーな愛煙家で若干の酒カスという完璧な社会不適合者。そうじゃなくてもオフにはだらけるのも好きなので、ちょっとモニョモニョがキツい。
不調になったら酒やたばこなどで色々キメてテンション上げて取り掛かるスタイルになったりもする。
・また、他人を評価する際はメンタリティを重視するタイプであり、自分の芸術活動を邪魔する者や、自分なりの美学を持たずに生きているような人物に対しては冷酷非情で一切の容赦がない。因みに前者の人間の事は「ぼんくら」だの「ダボハゼ」などの少々独特な語彙で罵倒しながら物理的に排除する方針である。>>894
【行動規範・行動方針】
・基本的な日常としては「美術品鑑賞による美のインプット→美術品を作る→個展などを開いての制作費集め→作品評価を確認し反省会→インプット」の繰り返しで、場合によっては使い魔の戦闘稼働の試運転なども行う。
【参戦理由】
自分の創作に対するインスピレーションを得る為。しかし同時に命は大事にな安全志向。負けてもいいとは思っていないが、無茶なバクチをするつもりもほとんど無い。
【サーヴァントへの態度】
・相棒、あるいはビジネスパートナー。自分が貪欲に勝ちに行くつもりが無いのもあり、多少の後ろめたさがある。
【役どころ・コンセプトなど】
魔術師らしいタイプのキャラクターを作りたかった。>>883
ただ既存のものでも後々背後から(情報開示で)刺されそうでビクビクしてしまって…創作は難しい…
でも言語化ちょっとずつ纏まってきてる感じはします、アドバイスありがとうございます!
fateだし異聞だし冒険記だしで色々な要素を使いながらめっちゃ綺麗に纏まってて本当に凄いです…あと個人的に「幻想が形を得て現実を侵食する」みたいなの大好きなので…
>>884
ロベスピエールさんは革命を成功させた人ですから…今回(fgo時空)召喚されてるのが純潔の革命家としてのロベスピエールさんだからっていうのも多分あります
>>896
広島弁彫刻家さんかぁ…自分は女性派です、「〜じゃ」系女性は何人いても良い()
名前は考えついたのが苗字だけですがセスタノッテなんてどうでしょう?イタリア語で第六夜、『夢十夜』からです
ここからは私見なのですが、『剥影の魔眼』は強力さからして宝石級という気がするのですが来歴や彼女(彼)自身への影響が少ないように見えて折角の設定が薄味になっている気がします。来歴の描写を深掘りするか魔眼をなくすか弱めるかをした方が、キャラとしての個性が一本化して彫刻家としてのインパクトが強まるのではないでしょうか名無しの教室に所属してるメンバーって誰々いるのでしょうか?wikiのページに載ってるので全員?
>>850
ほむほむ。ぶっきらぼうだけど結果的に相手の為にもなるからやっぱり親切な兄貴。差し伸べた手を掴まないならそのままってのも良い。
この理論だと一応は折り合いをつけて使えてる未来飛鳥ちゃんの方には来ない感じですかね。
>>879
言いかけて止めてましたがルナちゃんが聖杯戦争に参加したら召喚される可能性が微粒子レベルで…?
エピローグではルナちゃんがどうなるか楽しみです。TRPG等ではシナリオクリア後はクリア報酬で何かしら手に入るものですが果たして。
>>896
方言女子が好きなので女性に一票。と言いつつ今リメイク中のキャラと一部被ってて困惑中。シウン・ヴィルクレツィア、登録してきました〜!リメイク前の名前にしてたから見つからなかったと思われます
>>897
そう言っていただけて感無量……エピローグまで走り切ります……
>>898
「面白いから」という理由なので割と王様鯖っぽい感じに
今回のssにおいては「自分が召喚されたからには触媒があるはず」という認識なので未来飛鳥ちゃんを探すことはすると思います
探して「あー……」ってなった後に見つからないようにそっと姿を消します
フェアリー・アルターエゴはですねぇ……聖杯戦争だと縁があっても呼ばれないので……だから途中で言うのをやめたのです
多分カルデア召喚式なら呼べるかと!
>>900
はい、ヘレナさんを>>845のssでお借りしました
以前愉悦部さんと話した感じの展開を基に構成してみたので……かなり魂のオーラは強いですがまあ頑張って……>>904
妙な一人称にするの好きなんですよね。
台詞的にも差別化できますし、安直でも個性を出せて楽しいので。
ちゃんとアーティストを表現できてたようで。良かった~>>904
ウルフィルトが毒にも薬にもならない立場で、というのは常々描写で意識してましたね
ウキと戦う時のルナちゃんへの援護とか、マヴの背中を押すときとか
だからそう言ってもらえて嬉しいです>>910
プルフラス「失敬な!罪のない食べ物を粗末になどしないぞ!(モグモグ)」
甘いもの大好きだから仕方ないネ!>>915
ですよねー。俺も最後の方では正直名無しの教室云々は完全に抜けてましたもん
なのでやっぱ自分ちでず~っと彫刻してる方がキャラ的にあってそう。イタリア→イギリスってまぁまぁ遠いでしょうし、わざわざ遠出するより己で研鑽!って方向性のが良さそうです
時計塔経由が無くなりそうなんで、さて誰と絡ませるか……falling moonがなんかえらいことになっているがちょっと幕間を書きたくなったので次から1〜2話くらい短編を投げたい投げる
>>930
そう…ですねぇ…ヨモちゃんは控えめな子ですからね…
いつもなに考えてるんだろう?くらいにとどめてもいいかもです以前お聞きした感じだと一人で黙々と何かしてる、人を寄せつけない系?かなと思っておりまして、それで言うとヨモの態度は多分「あの人何してるんだろう…は、話しかけるのは、迷惑だよね…」って話しかけてはこないけど時折チラッチラッと様子を窺ってきているなーって具合です。グイグイ行けない、けどお邪魔だと思っても粛々と退くってこともできない
なので「なんかアイツいつも見てきてるな…」みたいな感想になるかもしれません、あくまで憶測ですが…
以上、話したことないクラスメイトへのヨモの態度でした、他に何かあればどうぞご質問ください…(ススス)あ!よく考えたらヨモちゃん日本出身だから日本語喋れる!?
この子も日本出身で英語で喋ると口調がこうなる的な設定だから日本語版で話すってのもいいかも?【氏名】ライカ・サオトメ(早乙女頼華)
【性別】女性
【年齢】21歳
【出身】日本
【身長・体重】178cm・63kg
【肌色】黄色人種【髪色】緋色【瞳色】金
【外見・容姿】ショートヘアで眼鏡をかけた中性的な美形
【令呪の位置】左胸
【属性】中立・善
【魔術系統】強化・暗示
【魔術属性】水、風、土
【魔術特性】重複
【魔術回路】質:A 量:B 編成:正常
【起源】追求
【所属】名無しの教室【魔術・特殊技能・特性など】
・強化魔術
魔力を通して対象の存在を高め、文字通りの効果を発揮する魔術。以下省略(TYPE-MOONwiki参照)
極めるのが困難とされる強化魔術だが空野姉弟は各々の魔術特性に基づいた特化する形で本来のスペック以上の力を発揮する。
ライカの場合は既に掛かっている魔術に重ねがけすることで“魔術を強化する魔術”を得意とする。これは完成した芸術品に筆を加えることに似ているとされる強化魔術に準えると芸術品の発色を良くする行為であり元となる魔術への造詣の深さが重要となる。
・魔眼
低ランクの魔眼で魔術を行使したものに残った魔力の残滓を視ることが出来る。例えば魔術絡みの事件現場を見ればハウダニットが分かる。
ライカの推理力と併せると魔力の残滓から使われた魔術の詳細を推理することが可能だがそれをしたら戦争なので普段は魔眼殺しの眼鏡で見ないようにしている。
【礼装・装備など】
・魔眼殺しの眼鏡
オーソドックスな魔眼封じの礼装。日本に居た頃は着けていなかったが時計塔に来てから余計なトラブルを避けるために着用するようになった。
・画筆
マホガニー材に競走馬の毛をあしらった拘りの逸品。魔術を使う際のイメージが色を重ねることなのもあって杖代わりに使う。普段は筆入れに入れてコートの裏にしまっている。【外見・容姿の詳細など】
外ハネのショートヘアに眼鏡をかけた中性的な美形。服装もスカート等ではなくズボンを好み黒のロングコートを愛用している。
【人物像・性格】
普段から名無しの教室の片隅で勉強に没頭する姿が見られる。冷静沈着で物怖じしない性格。
『人は皆努力するべき』という考えを持ち自身もそれに則り努力を続けるストイックな人物。反面努力をしない者や他人の足を引っ張る者に対しては冷ややかで慇懃無礼な態度を取ることがある。これは派閥争いや権力闘争に明け暮れる時計塔の魔術師を快く思っていない為。
人の好悪がはっきりした性質で気に入った相手、認めた相手に対しては態度が軟化。所謂デレを見せることもある。
一人称は僕で口調も中性的。これは英語を習った相手の口調が移ったから。
【来歴】
日本の魔術師である空野家の三女として生まれ、15歳で家を出た。
生家には『ろくに努力もせず遊び呆けている自分以上の天才(空野瞬)』と『自分はろくな能力も無いくせに子供達を束縛する父』という嫌いなもの二大巨頭がいたため義務教育を終えると母の実家を経由して時計塔入り。嫌いな父の空野姓ではなく母方の早乙女姓を名乗るようになる。
時計塔入学後はいくつかの学科を転々とするも人間関係のトラブル等で最終的に名無しの教室にやって来る。その後は図書館から借りてきた資料を読みつつ授業にも参加している。イメージカラー:黒地に赤と金
特技:料理全般
好きなもの:ショッピングモール巡り、芸術鑑賞
苦手なもの:努力しない天才、人の足を引っ張る凡人
天敵:努力を怠らない自分以上の天才
願い:根源への到達or自分の一生を預けられるパートナーとの出会い
【一人称】僕 【二人称】君 【三人称】彼、彼女、あれ
台詞例
「僕の名前は早乙女頼華。こちら風に言うならライカ・サオトメといったところかな。よろしく頼むよ」
「人は皆努力するものだ。僕はそれを怠る者や他者の足を引っ張る者を嫌悪する。君はどうかな?」
「なるほどなるほど。つまり君は僕の邪魔をすると言うんだな。なら武力行使で排除するとしよう。君だって路傍の石を蹴飛ばした経験くらいあるだろう?」
「そりゃあ僕だってこれはと思える男性と出逢えたならこの身を預けることも吝かでは無い。そんな優良物件がわざわざ僕を選ぶとは思えないがね」「ドラモンド先生、ごきげんよう。早速ですがこの資料の記述について質問が。────ええ、ドラモンド家と比べれば僕は平凡な家系に生まれた庶民でしょうとも。ですが先生。庶民の機嫌を損ねた貴族がどのような末路を辿るかは歴史の授業で習ったはずでは?」(モートン・ドラモンド)
魔術師としての役目を果たしその後講師として働いていること。そして現状からの脱却に燃えていること等から実はかなり好意的。分かり難いが舐めた態度は親しみの裏返し。
「すまないが噂話がしたければ他を当たってくれ。………ああもう、適当に相槌を打つだけだぞ」(テレータ・タブロイエフ)
噂話に花を咲かせるのはいいけど自分に絡むのはやめて欲しい。でも邪険にするほど嫌ってる訳でもないので授業中なら普通に敬語で接する。
「…………どうも」(シウン・ヴィルクレツィア)
本人への好感度は悪くない、寧ろ高いくらいだが実はオカルト(特に取り憑いて付きまとってくる系)が怖いので避けがち。
「いつか先輩の勤め先の博物館とやらにも行ってみたいな。その時は案内を頼んでもいいかい?」(カヴン・プラミア)
趣味の芸術鑑賞と魔術への探究心から博物館に興味津々。でも妹扱いには意地でも先輩呼びで抵抗する。多分兄を自称したら「あの愚兄よりこっちの方がいい」ってなってた。
「僕より若いのに随分苦労しているみたいだね。だがそのハングリー精神は好ましい」(クラッフ・クロース)
派閥とか子飼いとかやっぱり大変だなぁと思ってる。自分の魔術はそこまで高額な触媒とかが要らないリーズナブルなものでよかったまで考えてるかもしれない。
「ほう、やはり貴族主義者は服ひとつとっても中々…。うん?僕の一張羅が何か?」(デセフィオ・カロレンツ・ウェルペン)
『目的を持って名無しの教室にやって来た』と『名無しの教室を無くそうとしている』で好感度が反復横跳びしてるのでフラットに接する。「そういえば君の出身地は何処だったかな?────えっ日本?じゃあ日本語で話してもいい?よかったー。こっちに来てから日本語話せる相手おらんかったんよ」(真府 四方(ヨモ・ヘルメ))
基本的に真面目な子は高評価なので元から話しかけられれば話すくらいの間柄だったけど日本語話せるってなったらこっちから話しかけることも増える可能性有り。
「ルナ、これが何か分かるかな?そう、つい先日発掘された遺跡からの出土品のリストさ。 (スーッと左右に動かしてみる) プっ、そんな目で追わなくとも見せてあげるさ」(ルナ・アードゥル)
自分の才能を無為にされてもめげずに努力する姿を非常に評価している。なのでいい物が手に入ったらシェアするしちょっとからかったりもする。
多分ルナとドラモンド先生が名無しの教室キャラの好感度ランキングツートップ。
【Tips】
・魔術を使う際の筆で色を重ねるのはモートン先生の助言が切っ掛け。モートン先生曰く元から感覚でやっていた天才を具体的なイメージが出来るように導いただけ。
・時計塔から少し離れたアパートに部屋を借りているが部屋には物が殆どない。定期的に断捨離しているから。
・休日はショッピングモールや美術館を回っているがたまに自室で絵を描いている。
・過去二回、実家と早乙女家で別々の呪いの人形と遭遇。二回目の人形を見た時は思わず姉に電話で泣きついた。>>952
クラッフ
「………そうですね。ライカさんにつきましてはどうぞ、我が道を思うがままに進んでいただければと。何かしら提携出来る案件などございましたらいつでもご連絡を!」
他人の足を引っ張るのも、息をするように時計塔で政治闘争に慣れ親しむのも、全てはただ一つ、「悲願に到達するため」という結論に帰結する魔術師クラッフにとってはライカさんは「わざわざ優れた設備を蹴って名無しに来ても普通に研鑽できる才能への嫉妬」と「しかしながらこちらを評価しているのがわかるので生まれるハングリー精神の敵愾心」は強いと思います
一方でただのクラッフ個人としてはその自由な在り方が好ましく思い、その魔術にもすげぇ!基本の術でここまでやれるんだ!という、ある種の感嘆に近い感情も強いかと
シウン
「………魔術師でオカルトが怖いって致命じゃないかしら。ま、いいわ。よろしくね。そういうノリ、魔術師らしくなくて面白いわ。あ、私日本語も話せるからそこんとこよろしく」
「やる気は十分なのに気質が合わなくて研究施設としてはあまり質の良いものじゃない名無しの教室に来てるんだ……難儀だな……」と思いながらも本人がそれで全力で頑張ってるなら良いかァ!よろしくなァ!のノリ
生徒を教導する先生として、嗜虐心が昂る個人の趣味として、色々と教え甲斐があるなぁ、と思ったりします
久々にサーヴァントとマスターのssを書きましたが……(新キャラが登場したので)今はやめました
明日の朝にでも>>953
以前黒鹿さんと話したステイタスとしての魔眼というかこれくらいのささやかなものは割とありふれてる的なやつですね。普通の環境なら魔眼殺しも要らないくらいのものですがあちこちで魔術が使われてる時計塔ではどこで何を目撃してしまうか分からないから自衛のためにって感じです。
努力してるしてないよりも“他人の足を引っ張る”というのが一番腹に据えかねるタイプなんですよね。研鑽しつつ権力争いしてるならその足の引っ張り合いをやめればいいのにって感じです。
そうですねぇ…キャラへの絡みといいますか監獄長のキャラの中で魔眼で困ってるキャラがいたら魔眼のスペシャリスト(後遺症の残らない摘出手術なども請け負ってる)なバックヤード家のことを知ったらどんな反応をするのかとか知りたいです。
>>954
あ”ーっ!クラッフ君のファミリーネーム間違えてたー!すいません!
実家を飛び出した経験から自分が嫌な環境は抗ってどうにかしようとするよりも自分が退く選択をするようになったやつですね。元々そうやって回ってた所を自分の好みで変えるのはちょっと…って感じ。
おそらく二度の呪いの人形がよほど怖かったのかと。降霊術での云々とかなら多分大丈夫。
魔眼で魔術由来の礼装とかでないマジモンってのが分かったってのと早乙女家で見た時にまさか自分を追いかけて?と背筋が凍ったのが決定的。なお真相は父方母方両方の家に似た人形があったっていうそれはそれで怖い話。
>>955
ですです。リメイクにあたって「多分この子二世のことあんまり好きじゃないな」ってなったのと定期的に授業を遅延する天才馬鹿の存在がストレスになりそうだとなったので名無しの教室へ。
>>956
おまけに黒ロングコートに眼鏡ですよ…!>>957
パーフェクトだウォルター…!>>932
やっちまってもいいかもしれませんな…名無しの教室による大規模フィールドワーク…!
>>952
あー……なるほど時計塔に来たはいいものの気質的に合わなくて最終的に流れ着いた……と。じゃあ……アリかなぁ。トラブル起こしまくっててエルメロイ教室もNOならたしかにここしかないでしょうし
ルナに対して妙におねえさんムーブするなと思ったら21歳なんだライカさん………これは姉自称しているカヴンが黙っちゃいませんぜ…
あとモートン先生が一発で正解に導いているっぽいのは解釈違いですわ!モートンの教育はもっとこう…なんか…不器用なんです!隣に立って寄り添ってはくれるけどゴールを示せるものではないんです!スマートなアドバイスは二世の領分だと思うのです!
あ、あと細かいところで魔術属性の土は地になるかと思いますというわけでss
ワルキューレ・ユグドラシルと
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/ワルキューレ・ユグドラシル
天々腹リンネです
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/野紀プロダクション「みんな〜!今日は来てくれてありがとう〜!」
アイドルだもん。誰も彼もを愛せるように、キラキラとした笑顔で勇士のみんなを楽しませなきゃ。それが私の役目で、存在理由。そうでなければ私はワルキューレとして居ていいわけがない。価値がない。速やかに廃棄処分されるべきだ。ただ一人の勇士に惚れて壊れるなんて、あってはいけない。完全無敵のみんなのアイドルが私の全て。
「勇気をあなたに 風紀を彼方に
暗い夜空に輝いて 嫌な雰囲気の幅無くて」
みんなの前で、歌って、踊って、眩いほどに煌めいて。それで良い。それが良い。それが私(スコグル)の勇士の愛し方。戦乙女としての在り方。
……でも、うん。愛するって、恋するって、なんだろう?私、これは機能だからそうやってるってだけで。みんな愛してるのは本当だけど、たった一人を愛する気持ちはわかんないの。だから、ブリュンヒルデお姉様や、人間になった姉妹のみんなは、どういう気持ちで恋をしたんだろう、って………「任務遂行。証拠の隠滅こそ私が担った役目です。
私に備わった機能と役目は他のワルキューレたちとは違う。神々にとって不都合な真実を隠蔽すること。それが私の役目。ロキ様が我々から離反して以降は、さらに私の仕事はそのようになった。そこに誰かへの愛はない。愛はなく、ただ冷静に、一つの機械として務めを果たす。そうでなければアレほどの闇を垣間見て正気でいてはいけないから。
「都合のいい夢を見てもらいましょう。スコグルのアイドル業にあなた達は不要です」
都合のいい夢を、勇士達を狂わせ続ける夢を、魅せる。これも私の役目だ。勇士に戦いを忌避なんてさせない。ずっと熱狂させ続ける。それでいい。それが私。ミストというワルキューレだ。……でも、だからこそ、真実の愛だなんていうものはわからなくて。幻惑と夢想を創り出して生きているから、人間に堕ちたみんなが言っていた愛というものがわからない。恋する感情すら知らない。勇士にときめかない。だから……「うん、記録した内容の通りだ。引き続き観察を続けよう」
私にとってこの世の全ては主神たるお父様のために記録するべき事柄であって、それ以上でもそれ以下でもない。故に私はこの世全てを興味深いと思うが、知りたい、という行動規範以上のことは求めない。それ以上の価値を感じないから。以前の開発モデルであったヘルヴォルとは異なり、人に依らないのがこの私、ヘルヴォル・アルヴィトであるのだ。
「姉妹達は皆、愛によって堕落した。……それを私は理解できない」
愛される行為に興味を持って、わざと白鳥礼装を脱ぎ捨てたことがあった。人界に降りて、人の愛を知ろうとした。しかし、自分の心を融かすには至らなかった。ワルキューレが恋に落ちるプロセスは理解しているし、どのケースも記録した。しかし私自身はどうにも恋というものが掴めない。掴めないし、何より掴みたいとも思わない。この羽はくすまず、抜け落ちない。でも、私はそれこそが役目なのだと思っている。「お疲れ。上手かったよ」
「えぇー?そこは感動した!じゃないの〜?」
「俺もアイドルだぞ。同業者のことには厳し目でな」
「マスターは酷いですね。スコグルがかわいそうです」
「まあまあ、それも私たちの契約者らしい、というものだよ」
喧しい三騎に囲まれて、とても疲れている。疲れているからそのノリに付き合うこともできない。そもそも付き合う価値もない。その暇があるなら、今度出るドラマの台本を読むことに集中した方がいいと思う。天々腹リンネは売れっ子アイドルなのでとても忙しいのだ。謎の人理案件なんだかなんだか知らないが、そんなもので突如現れたコイツらと契約したのも本意ではない。
「え〜、でもさでもさ?そんなぶっきらぼうな態度でマスターのファンってついてきてくれるの?」
「ファンにはちゃんと尽くすし、文字通りみんなを愛するぞ、俺。こんな素は1ミリも出さない。何から何まで演じてるからな」
「そんなスムーズに切り替えられるものですかね」
「えぇ〜?ボク、みんなのことが本当に大好き、だよ?みんながボクを愛してくれるから、ボクも本気でみんなのことを愛するんだ〜☆ちなみにマジな。俺マジで自分を推してくれるファンは大好きだから。俺を愛してくれるから」一瞬だけ、「天々腹リンネ」の姿形に変化して愛を語った。今はお忍びモードというか、誰にも変化していないいわゆる素の肉体であるので変化もかなりスムーズだ。みんなに愛してもらえる天々腹の姿はテンプレとして自身の脳内に保存している。あとはその通りの人格をエミュレートとして再現するだけ。これだけは神代だろうが現代だろうが、他の誰にも引けを取るつもりはない。
「素晴らしいエミュレートだ。………というか、君の発言を参考にすると私たちワルキューレは愛してくれないのかな?」
「当たり前だろ。だってお前ら俺を愛さねーし、特に好みのタイプもないだろ。愛する対象がない。そんな奴を愛してやるほど俺は暇じゃない。もっと俺を愛してくれる人を愛さなきゃ」
俺が好きなのは自分を愛してくれる人、または愛してくれる可能性がある人だ。他者を愛したことがあったり、好きなタイプがあるのであれば、それはそのまま俺を愛してくれる可能性が存在するという結論に直結する。だって俺がその通りになって、その通りに接して、その通りに愛してもらえるから。俺はそれができる。他者の視線で、声で、動きで、癖で、会話の内容で、どういう人間が好みなのかを割り出すことができるから。
その点で言えば、ワルキューレたちは俺の好みから外れると言えるだろう。俺は自分が再現しきれない者を好きな奴は愛してやれない。相棒のシャルルが好きな女も姿形や性格はコピーできるが、アイツが好むものの一つである純然たる強さはコピーできない。あまりにも強すぎる。ワルキューレたちもそうだ。ブリュンヒルデという長姉をコイツらは好いているが、俺はそれを完全に再現できない。見た目は再現できる、性格も再現できる、でもその魂の輝きはきっと無理。人理に刻まれた英雄達というのは皆そういう気質があるから厄介だ。それに……
「違うよマスター!私、勇士(ファン)のみんなが大好きだよ?」
「嘘つき。本当はどうでもいいと思ってるくせに。俺にはわかるぞ、お前からは愛を感じない。ライブ中の笑顔に本心が微塵もない。というかお前ら三人ともだな。スコグルは役目だから勇士のためのアイドルやってるし、ミストは役目だから勇士に夢を見せてるし、アルヴィトも役目だから優秀な勇士を記録してるだけ。勇士がなんだ人々がどうだというが事実そこに愛はない」「姉妹愛と……あと誰だ?なんかようわからんメガネの男に対する恨みは感じるな。でもそれだけだ」
その言葉に驚いたのはスコグル。なぜなら彼女は姉妹を除いて勇士“だけ”は自分は愛せていると思っていたからだ。勇士を愛していると思っていた最中に、そのような言葉を打ち込まれたのだから愕然とするのも当然だろう。自分が信じていた愛すらそうでないと突きつけられたのだから。
「ぇ、でも、私……」
「………マスター、そこまでに。私は姉妹を傷つけるものは許しません。幻惑の魔術をあなたに使用することも厭いませんが」
「お前もだぞ、ミスト。お前は自分に備わったその機能を使うことを躊躇しない、なんならそれをある種楽しげに皮肉げに笑ってみせるような態度を取るけど、それが本当は嫌なことぐらいすぐわかる。お前は気づいてないかもしれないけど、その機能を使った際に必ずお前の目尻が歪むんだ。0.5ミリな」
次に心を打ち砕かれたのはミストである。ロキの教えを受け継ぐように、彼女自身も人を弄ぶことにある種の愉しみを覚えるような振る舞いを見せていた。無表情ながらも嘲笑っていると取れるような態度をとっていたのだ。しかしそれはただの防衛機制であると、本当は嫌で仕方ないのだと、そんな風に突きつけられるとは思っていなかった。本当に自分の役目が嫌いでないのであれば、それこそただどのような感情の色も見せずに全うできるのにそれをしない。それが何よりもの証明だった。
「おやおや、二人とも撃沈だ。では最後、私かな?私の知らない私自身のことを、どうやって突きつけてくれるのだろうね。乙女の秘密を、赤裸々に」
「嬉しそうにすんな。別に俺はやりたくてやったわけじゃない。……お前が嫌なら言わない」
「いいや、聞かせておくれ。私は私の何を知らないのか、是非とも興味がある」
「………お前はお前自身のことを全部理解してる。良いところも、悪いところも。だから俺はあえてお前が“知っていながら”“目を背け続けること”を教えてやるよ。お前は人間に堕ちたワルキューレの顛末を怖がっている。お前自身に備わった特別な機能を損失して、他の戦乙女のような戦闘に長けた機能もない自分がどうなるかがどうしようもなく怖いんだ。それで死ぬことが、じゃない。それで全てから孤立することが、怖い。全てを知っているからこそ、全てから疎まれる可能性があるからな」アルヴィトの表情が固まる、ということはとても珍しい。全ての事柄を興味深いと評して、微笑みながら記録する彼女の表情が固まることなどほぼないからだ。それこそ、ブリュンヒルデが人間に堕ちた時だろうか。それほどまでに、彼の突きつける事実は恐ろしい。知っていながら見ぬフリをしていたものを突きつけるというのは、とても残酷な行為だから。
「けどまあ、良いんじゃない?俺はそういうの嫌いじゃない。スコグルのライブ、好きだぞ」
「え、で、でも、感動しないって」
「俺はな。でもお前のこと大好きな勇士たちは感動してるよ多分。だってお前、愛してないのに全力で愛してるオーラ振りまいてるじゃん。俺はその見せかけの努力を評価する。嘘を貫き通した先に待つのはある種の化けた真実だよ。そういう嘘だらけのライブ、俺は好きだぞ?」
「な、なっ─────」
労りではない。単に感想を述べただけ。しかしその感想は何よりも強い感情としてスコグルの胸を突き刺した。生前、ラグナロクを戦い抜いて破壊された時よりも痛い。痛いのに、悪くない。その痛みは、思考共有を通じて他二人にも伝染する。そして更に、リンネの積み重ねる言葉が他の二人も貫いていく。
「それで言えば俺はミストのあり方も好きだ。良い夢見せたい、熱に浮かせたい、それで良いじゃん。不都合なことは隠したい、当たり前でしょ。その手伝いしてる自分を卑下するとかバカじゃない?」
「で、ですが、私のやってることは許されないことで……」
「そう?それで誰も不幸になってないから良いと思うけど。何より、他人のためにそうやって頑張れるのって良いことなんじゃない?俺はよくわかんねーけど、世の中は多分そういう奉仕精神が尊ばれるよ」
自分が内心どこかで忌み嫌っていた仕事を、お前にしかできない人助けだと認められる。それによる自己肯定感の引き上げは如何程か。ミストの顔に現れなくとも、その事実が苦しいほどに喜ばしいことを、姉妹達は共有する思考で気づいていた。「アルヴィトのそれも俺は別に恥ずかしいことじゃないだろ、と思う。俺だって元々の俺の立場をあのク.ソども……ごめん忘れて、とりあえずクッソムカつく奴らに追放されて失ったんだ。みんなに見放されたし、すげぇ怖かった。でもさ、お前には姉妹がいるじゃん。お前が何もかも無くなっても、お前のこと見てくれる奴は絶対いる。だってお前、良い奴だもん」
「私が、良い奴……そんなことは何一つしていないけどね」
「みんなが生きてきた人生の証を記録として残してくれるのって、すげぇ良いことだよ」
マスターは、本当に私たちのことを愛するつもりがないのだろうな、と感じた。本当に愛されたいならばもっと当たり障りのない慰めの言葉を吐くだろう。例えば俺は見捨てない、とか。けれどマスターは自身がどうかではなく、客観的な評価でアルヴィトを愛してくれる者を挙げ、その上でアルヴィトの行いを良いことだと認めた。それ自体は主観だが、不思議と媚びる感覚はない。
「あ、もうそろ現場入りしてリハだから俺もう行くわ。ライブの余韻冷めたら適当に霊体化して俺の部屋入っててくれ」
「う、うん。じゃあね!」
「お?おう。んじゃあな〜」
………リンネは気づいていない。自分のその言葉が、どれほどの変革をワルキューレ・ユグドラシルたちにもたらしたのか。本質的に自己肯定感が皆無である彼は、本当の姿を曝け出し、キャラを作らない自分が愛されることはほぼあり得ないと感じているから。だから、このトキメキに気づかない。「わ、私なんか変だよ……胸、ザワザワする。バグとか困っちゃうのに……」
「お、落ち着いて。マスターの言葉に動揺しただけですよスコグル。……私も怒りか何かで頭が煮えたぎっていますが」
「君も、スコグルも、それは負の感情ではないんじゃないかな。……私も、なんだけど」
なんだか、変な感じだ。変だけど、嫌じゃない。でもこの感情に、答えは出せない。だってこれは、私たちにあってはいけない────
おしまい。ワルキューレたちの羽を軽率にもいでいくリンネですが素の自分の自己評価は最低値超えてマイナスなので気づきません
愛に狂ってないときは割とこれぐらい理知的です。そういう時はほぼないですけど>>942
これ追加ダメ消えちゃってるな…POW対抗失敗で+1D4です。1D6はさすがに自重
>>943
マーリン魔術とも少し系統は違いますが、まぁ爆発自体は割と神秘感じますよね…
ちなみに2D6っていうのは2〜12ダメージを受けるってことで、一般人のHPは10なので下手したら一般人爆発四散モノです
>>944
ふむふむ、なるほど。一匹狼という感じですね、確かに一般的生活は苦しそう…聖杯戦争だったらきよひー引きそうな雰囲気もありますね
>>945
残弾は6×2です。1度に起爆させる量が増えるごとに基本ダメージの上昇は無論のこと対抗値も大きくなります(最大で35)し一個増えると+D4です
ちなみに2個以上起爆すると起爆側も爆発範囲に入るので全部起爆は被害規模以上にただの自爆
>>952
テレータ「まぁそう言わないでおくれよ。何もあんたに無関係って話じゃないんだよう、本当だよ?美術館の秘蔵品にね…」
ヨモ「へっ?…はい、私も、日本語話すの久しぶりで…もう随分前に出たはずなのに、なんだかほっとします…」
結構魔術回路良いし属性三つだし魔眼持ち…これで名無しに…?と思ったら、なるほどそういった人物だからですか。コレは確かにルナちゃん好きだろうなぁ…
あと特技が料理全般とのことで、ヨモ同郷というのもあって>595の食べさせSSの時もライカさんに聞いてたりしそうだなと後付け裏話を想像しました>>959
ですです。特に台詞例でもあるように明確に悪意を持って邪魔してきた相手を暴力で黙らせたりもしたのでそういう点でもちょっと問題児寄り。
15歳から1年くらい英語勉強して16歳で時計塔入り。それからいろんな教室を転々としてた時期を考えると16歳半ばから17歳くらいから名無しの教室にいるので今の生徒の中だと割と古株かも?
だがしかし本人はどっちかと言うと妹気質なんですよね。夜中に恋姉に「姉さん!あの人形まだそっちにある!?私のこと追いかけて来てない!?怖い!」って電話してくるくらいには。
でも自称姉には抵抗するで。先輩呼びで。
そうですね。一発で正解に導いたというよりも名無しの教室に来てからモートン先生に「貴様は庶民にしては才能がある。だが基礎がなってない!そもそも強化魔術とは〜」と基礎からマンツーマンで教わって元々才能と意欲はあったからメキメキ伸びたって感じをイメージしてます。
なのでモートン先生視点教師として当たり前の教育をしただけ、みたいな。
>>970
能力は良くても性格が致命的に合わなかったやーつ。
例のssは他でもないルナちゃんのためというのもあって参加してた可能性は大です。自分が料理を作るより他の人たちの監修に回ってたとかにすると辻褄が合うかもです。
>>969
ワルキューレすぐ羽落ちる…。あとはワルキューレ・ラグナロクとシャルルね……
>>969
しゅ、しゅげぇ…そんなぽんぽんと捥いでいくなんて、なんて悪いヒト…
>>971
>>972
なんだかんだで優秀な子多いですし過酷な場所に放り込みたいですね…環境そのものから厳しいような
>>973
ふむ意外に古株だとすると……カヴンとの付き合いもそれなりだろうし姉ポジ争いする段階は通り過ぎている…?
まぁ……そういう……ことなら……むーむむ……
>>976
お、名無しに人増えるのうれしい……んですが、おすすめできません
名無しの教室はアレでけっこう面倒な場所なので勢いで行くと私がNOを出しちゃう可能性大です
まずは普通の時計塔キャラを作って動かして、時計塔の空気感というものを掴んでからのほうがやりやすいかなぁ…と思いますちなみにこちらが私のイメージする名無しの教室に入った順番。講師陣は微妙にいったん抜いてます
カヴン>>>>>>>>>>>クラッフ>>ルナ≧ヨモ>デセフィオライカさんが21歳ということもあってテレータもうちょっと年嵩上にしようかな…と思ったけどモートンさんの1/2の年齢で色々差が歴然としてるのを図々しく無視していくのが良いんだよ!というのもあってコレは…うごご…
>>972
>>977
個人的にそこら辺の魔術系統は後々公式で刺されそうでそのまま出すのは怖い…
ので、大航海時代の新略で変貌した儀式とかそこら辺を取り入れたいなとか考えてます。そうすれば全く謎が解けないというモノでもないですし…多分
下手に好きな人がいない相手よりもリンネさんにとって理解不能な存在なんですね、ワルキューレたち…
そうなるとやはりあの問題児2人のヤバさがわかりますね。歯を食いしばってきた人たちによって旧来の常識は落ちぶれ、それと共にその常識に依っていた者もお払い箱に…歴史上にも散見する話しなだけに…
>>973
ヨモが日本人(日本食を知っている)というのもあってライカさんにご助言をいただきに行く姿、想像できるなぁ
思っていたよりライカさんが親しみやすい先輩ポジなのもあってヨモが話しかけに行く風景が見えるようになりました。同級生じゃない先輩枠っていうのも大きいかも
>>976
はーい、全然構いませんよ!お好きにお使いくださいませー
私も水着イベ、あるネタをアウトプットせねばな…夏ってあっという間だ…虚構妖精編の本編は終了しましたので一応wikiにまとめました
次スレでエピローグ前半を投げます
https://fatetv1830.wiki.fc2.com/wiki/異聞%E3%80%82吸血鬼と妖精女王
>>990
なるほど、わかりました
>>991
オデンが悪いよオデンがー>>995
【解説】
コンゴ民主共和国の寒村出身。元々はコンゴ神話体系を信仰していた部族の末裔であり、代々神官の呪術を継承してきた。
しかし、時代が進むにつれて神秘の基盤が衰退していき、次代に未来はないと悟った彼女は村人全てに魂喰いを行い、村の壊滅と引き換えに膨大な魔力の備蓄を確保。その後、外の世界へと放浪する。
【人物】
白を基調とし、青の意匠がなされた法衣に身を包む美女。褐色に肌、色素の抜けたような真っ白な髪、この世ならざる青の瞳が特徴。
物腰が柔らかく、口調も丁寧だが冷酷な性格で、どこか死気を感じさせる気配故に「幽鬼」と形容される事も。
魔術協会のいずれかにも所属しないフリーの魔術師────呪術師であり、何者にも縛られないが故に協会にとって危険な行動を取り兼ねない人物。
生まれながらにして呪術を学ぶ環境に身を置き、最年少で“神官呪医(ンガンガ)”の地位を獲得した天才。特殊な環境下にいた影響で、物質界から星幽界(コンゴ神話ではこれは“水の境界線《カルンガ》”と呼んでいる)を観測する魔眼を後天的に獲得しており、本来干渉が難しい魂関連の事象を例外的に干渉可能にした鬼才。
その代わり、様々なものが見えてしまうが故に、物事を全て俯瞰的に見てしまい、自分自身にすら無頓着になっている。なので冷酷のように感じてしまう性格も、正確には機械的なのでそう感じてしまうだけ。
けれども「根源」は目指しているらしく、己が学び、研鑽し、より高めた呪術を以ってカルンガのその先の向こうへ行こうとしている。
普段は占い師に扮して各地を渡り歩いており、そのついでとして異文化交流を多少は楽しんでいたりしている。知らないものを理解する事は楽しいらしい。
また、奇怪な生物……所謂「ゲテモノ」と呼ばれる生物が好きなのは、呪術の素材になるかららしい。>>996
【能力】
神官呪医(ンガンガ)としては異端だが、呪術師としての能力は一流。
魂を確立させるにまでは至っていないが、星幽界を通して魂への干渉を可能にしており、本来であれば世界の記録体、優れた情報媒体であり、高次元のエネルギー体であるそれを“燃料”として確保する事ができる。これを自身に刻んだ呪術刻印や、礼装に注ぐことによって備蓄の魔力として運用を可能にさせた。
また、神官呪医本来の呪術と、他者を呪う為の呪詛の腕も一流である。
神官呪医の呪術とは、呪詛に侵された対象を治癒し、心身共に回復させる医療行為が本領であり、更には『ンシキ』と呼ばれる、精霊が内包された物体、あらゆるものに宿った精霊の力の礼装を駆使し、如何なる呪いを祓う。
呪詛師の呪術は対象の魂に干渉する形で呪いを刻み、内側から苦痛を与えつつ、死した際に魂を燃料化させて取り込む為の細工を施す。
その他にもオカリナに似た笛の旋律を使っての「水」の属性を持った呪術を行使する。これは物質界と星幽界を分ける“水の境界線(カルンガ)“の特性が含まれており、虚数属性と組み合わせれば『あり得るが、物質界にはないもの』────反転世界と言われている鏡(あるいは水鏡)からの不意打ちすらできてしまう。
余談だが、神官呪医(ンガンガ)は祭事の際には仮面をつける習わしがあるのだが、彼女的にそれだけは断固拒否らしい。
あっ、あっ、残りレスが……!>>997
神官に…医…と…呪術とついてはいるけどこれ根っこは生活を助けるための術っぽさを感じますね
台湾の神秘を調べてた時と近い印象だなぁ1000なら〇〇さんが作るこんなキャラが見たい!
聖杯大会運営本部【リレー相談・雑談】#223
1000
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